ミニコラム 第43回 編集委員のひとこと ※今号の「編集委員が行く」(20〜25ページ)は菊地委員が執筆しています。ご一読ください。 共生社会の実現に向けた「教育」と「産業界」のコラボレーションの重要性 弘前大学教職大学院 教授 菊地一文  我が国では人口減少や少子高齢化が加速し、障害の有無にかかわらず、すべての人が多様性を認め合い、支え合う「共生社会」の実現が喫緊の課題となっている。  特に人口減少や人口流出の先進地域といえる青森県においては、今後これらの課題により相対的に障害のある人の割合が増えていくと予想され、彼らの就労や社会参画は後継者不足問題の解決という視点からも優先して取り組むべき事項といえる。  今回の「青森県特別支援学校技能検定・発表会」の取材を通して、あらためて障害のある生徒が将来の社会的・職業的自立に向けて何かにチャレンジする経験の必要性や、「なぜ・なんのため」、「何を」学ぶのかについて意識化を図り、学校教育において具現化していく必要性、そしてその効果について考えさせられた。  現行の学習指導要領では「我が国の学校教育が長年目指している『生きる力』の育成という目標を、教育課程の編成を通じて具体化し、そうした教育課程に基づく教育活動を通して、児童生徒一人一人に、社会の変化に受身で対応するのではなく、主体的に向き合って関わり合い、自らの可能性を発揮し多様な他者と協働しながら、よりよい社会と幸福な人生を切り拓き、未来の創り手となるために必要な力を育んでいくことである」と示している。  つまり学校内に完結しない教育のあり様が問われており、生徒の「できない」を「できる」にしていくことだけではなく、地域とのかかわりを通して「できる」ことを「活かす」機会をつくり、「手応え」や「達成感」が得られるようにしていくことが肝要となる。  地域や社会、その一つとしての産業界と教育のコラボレーションは不可欠であり、そのいっそうの充実が求められる。