読んで学ぼう! 「アビリンピック」についてご紹介!  今年度で44回目の開催となった全国アビリンピック。本誌でも毎年特集号をお届けしていますが、「アビリンピック」についてみなさまはどんなことをご存知でしょうか。  そこで今号では、全国アビリンピックの歴史や国際アビリンピックなどについて深掘りしていきます。 アビリンピック(障害者技能競技大会) 名称  大会の正式な名称は「障害者技能競技大会」ですが、親しみやすいものとするため、愛称として「アビリンピック」を使っています。「アビリンピック」(ABILYMPICS)は、「アビリティ」(ABILITY: 能力)と「オリンピック」(OLYMPICS)を合わせたものです。 目的  障害のある方々が日ごろつちかった技能を互いに競い合うことを通じて、職業能力の向上を図るとともに、企業や社会一般の障害者雇用に対する理解を深め、その雇用を促進することを目的として開催しています。 シンボルマーク  大会を象徴するシンボルマークは、故岡本太郎氏にお願いをしてつくっていただいたものです。月桂樹の葉と人間を形どったこのシンボルマークは、強く自分を切り開いてゆく人間像を表しています。 全国アビリンピックの歴史  全国アビリンピックは、1964(昭和39)年に開催された東京パラリンピックを参考に企画され、第1回大会は1972年11月に千葉県千葉市において、当時の皇太子同妃両殿下を開会式および閉会式にお迎えして、開催されました。大会は旋盤や洋裁、広告美術やラジオ・テレビ修理など、15種目の競技に36都道府県から133人の選手が参加して開催されました。  第1回大会から第25回大会まで千葉県を舞台として開催してきましたが、第26回大会(平成14年)より、全国的に障害者の雇用促進に関する気運を盛り上げるため、技能五輪全国大会と同時または同時期に、全国各地で開催するようになり、今回で44回目を迎えました。 アビリンピック マスコットキャラクター アビリス  「星」をモチーフに、「障害を乗り越える士気」、「受賞の歓喜」、「能力の開花」をイメージしてデザイン。  名前の「アビリス」は、「アビリンピック」の語感と、「幸せを運んでくれる」という花言葉を持つラン科の花「マキシラリア・バリアビリス」にちなんで命名されました。 作者 川口(かわぐち)博司(ひろし)さん 東京都在住。 国立職業リハビリテーションセンターを修了後、デザイナー、Web 系エンジニアとして活躍。 国際アビリンピック(International Abilympics)  国際アビリンピック(IA)は、1981年の国際障害者年を記念し、当時の皇太子殿下を名誉総裁に推戴し、日本(東京)で第1回大会が開催されました。以来、コロンビア、香港、オーストラリア、チェコ、インド、日本、韓国、フランスと、おむおね4年に1度開催されています。  2023(令和5)年3月に、フランス共和国メッス市で開催された第10回大会では、日本を含めた27カ国・地域から329名の選手が参加し、44種目の技能競技が行われました。 第10回国際アビリンピック/チームジャパンの挑戦 Youtubeにて公開中 国際アビリンピック開催状況 大会回数 開催時期 開催国・地域 参加国・地域 参加者数 日本選手数 日本選手成績 金賞 銀賞 銅賞 第1回 1981年10月 日本(東京) 56 841人 103人 11人 12人 8人 第2回 1985年10月 コロンビア(ボゴタ) 54 987人 14人 3人 − − 第3回 1991年8月 香港 83 2,000人 62人 2人 3人 7人 第4回 1995年9月 オーストラリア(パース) 32 1,000人 42人 2人 3人 2人 第5回 2000年8月 チェコ(プラハ) 29 1,137人 36人 − 2人 4人 第6回 2003年11月 インド(ニューデリー) 33 1,116人 25人 − 2人 1人 第7回 2007年11月 日本(静岡) 34 910人 93人 11人 17人 14人 第8回 2011年9月 韓国(ソウル) 52 1,533人 31人 2人 4人 7人 第9回 2016年3月 フランス(ボルドー) 31 1,300人 31人 2人 3人 5人 第10回 2023年3月 フランス(メッス) 27 994人 30人 1人 4人 3人 第11回 国際アビリンピック ヘルシンキ大会 開催概要(予定) 大会日程 2027年5月10日〜14日(予定) 大会会場 メスケスクスコンベンションセンター 開催種目数 42種目(予定) 主催 スキルズフィンランド他 ※大会概要は調整中であり、2年前(2025年)を目処に公表される予定です。 ※2025年の第45回全国アビリンピックにおいて派遣選手選考会を実施します。 マリア・エクロス スキルズフィンランド CEO  私たち主催者は、2027年フィンランド・ヘルシンキで開催する第11回国際アビリンピック(IA)へのみなさまの参加を歓迎します。  開催都市ヘルシンキは、美しい島々と森林に囲まれ、かつ、アクセシビリティに配慮し安全・清潔に整備されたコンパクトな首都です。  IAは過去に技能競技大会を開催してきた国内最大のイベント会場で開催され、そこでは新しいIAのコンセプトも導入されるでしょう。私たちは技能競技大会の開催経験と知識そして幅広いスキルのネットワークを活かし、参加者に質の高い競技大会を提供するのみならず、すべての来場者に、実用的かつ思い出に残る体験を提供できるよう取り組んでいきます。  2027年、ヘルシンキでみなさまをお待ちしています。 写真のキャプション ロシア フィンランド ヘルシンキ エストニア ラトビア リトアニア ノルウェー スウェーデン デンマーク