ニュースファイル 地方の動き 神奈川 障害のある職員がフリマ出品作業  横須賀(よこすか)市では、株式会社メルカリ(東京都)がサービスを提供するフリーマーケットアプリ「メルカリ」内に仮想店舗を開設し、その出品作業の一部を、障害のある職員が担当している。本庁舎で雇用されている「障害者ワークステーション」の会計年度任用職員(雇用期間最大3年)で、これまでシール貼りや文書の仕分けなどの軽作業に従事していた。新たにパソコンを使ったデジタル業務にたずさわり、出品商品の説明文をパソコンで入力したり、写真データをアップしたりしている。  同ステーションには現在8人が在籍し、ジョブコーチによる支援を受けながら作業に従事している。市は、定型的な作業から「一歩踏み出した」業務にチャレンジし、パソコンやインターネットを活用した業務のスキルアップを図り、業務に対する自信を深め、次のステップである一般就労につなげていくとしている。 兵庫 事業者に合理的配慮アドバイザーを派遣  兵庫県は、障害者支援や障害者雇用に精通した専門家「合理的配慮アドバイザー」を無料で派遣し、事業者の悩みについてサポートする事業を始めた。障害者差別解消法により2024(令和6)年4月から事業者による障害のある人への合理的配慮の提供が義務化されたことによるもので、「事業者」とは企業や団体、店舗のことであり、個人事業主やボランティア活動をするグループも「事業者」に含まれる。  県では、個人や団体、営利目的か非営利目的かを問わずサポート対象とし、障害者支援の専門家を派遣する。派遣地域は県内で、1回につき2時間程度。  アドバイスを求められる事例と派遣する専門家は、例えば、@接客研修で障害者への対応を学ぶ(障害者相談支援事業所管理者クラス)、Aユニバーサル化投資の留意点を知る(特例子会社マネージャークラス)、B障害者差別解消法により事業者等に求められる対応を学ぶ(障害者地域生活支援センター管理者クラス)などを想定している。専門家の派遣を希望する場合は、兵庫県福祉部障害福祉課に問合せのうえ、申請をする。 電話:078−362−9104 生活情報 全国 精神障害者の運賃割引へ  JR6社と一部の大手私鉄は、障害者を対象とする割引制度について、新たに精神障害者と介護者の運賃を一定の条件で半額に割り引く制度を2025年4月1日から開始すると発表した。今後、各自治体で精神障害者保健福祉手帳に旅客鉄道株式会社旅客運賃減額欄を設け、第1種または第2種の別が表記される予定。  JR6社によると、第1種精神障害者と介護者1人の普通乗車券や定期乗車券などが5割引に、12歳未満の第2種精神障害者は本人と介護者1人の定期乗車券が5割引になる。また、当事者が1人で利用する際は片道100kmを超える場合にかぎり、第1種、第2種ともに普通乗車券が5割引になる。 全国 盲導犬利用者の4割超が「受入れ拒否」を経験  公益財団法人日本盲導犬協会(神奈川県)は、盲導犬のユーザー237人に行った聞き取り調査において、2023(令和5)年の1年間で盲導犬同伴を理由とした「受入れ拒否にあった」と回答した人が103人と、全体の44%にのぼったと発表した。  本調査によると、拒否された件数は全体で208件。拒否された施設は、飲食店が114件(55%)、交通機関が25件(12%)、宿泊施設18件(9%)などだった。拒否の原因として、「従業員の教育不足」や「受け入れの義務を知らない」など、法律の認識不足が70%以上を占めたという。  あるケースでは、駅前ロータリーで、ユーザーがタクシーを利用しようとしたところ乗務員が「盲導犬とはいえ、犬は乗せられない」と拒否。次に待つタクシー乗務員にたずねたところ問題なく乗車でき、後日タクシー会社に問い合わせると「乗務員の教育不足だった」との謝罪があったという。  同協会では、ホームページで「盲導犬受け入れ拒否対応事例集」を公開しているほか、公式YouTube チャンネルで動画を公開し、盲導犬や視覚障害の基礎知識、法律や障害のとらえ方、サポート方法などをわかりやすく紹介している。 ホームページ:https://www.moudouken.net/special/case-study/ 公式YouTubeチャンネル:https://youtube.com/watch?v=wj3P-JhyzF4 全国 「読書バリアフリー推進」3団体が声明  作家らでつくる「公益社団法人日本文藝家協会(東京都)」、「一般社団法人日本推理作家協会(東京都)」、「一般社団法人日本ペンクラブ(東京都)」の3団体が、「読書バリアフリーに関する三団体共同声明」を発表した。  「すべての人に表現を届けるために、そして誰もが自由に表現できるように」として、「読書バリアフリー法」(視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律、2019〈令和元〉年6月施行)、改正「障害者差別解消法」(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律、2024年4月施行)、「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」(障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律、2022年5月施行)に賛同し、「私たちは出版界、図書館界とも歩調をあわせ読書環境整備施策の推進に協力を惜しみません」と述べている。 全国 就労障害者の保険引受け範囲拡大  「ぜんち共済株式会社」(東京都)は、就労している障害者に向けて、保険引受け範囲を拡大した。  ぜんち共済は、全国の知的障害者とその関係者を対象に福利厚生制度を行うために設立された全国知的障害者共済会を前身としており、おもな対象を知的障害や発達障害、ダウン症、てんかんのある人としていた。今回、段階的な取組みとして、就労者にかぎり、障害者手帳の種類に関係なく保険に加入できるようにした。  対象の就労者は、@一般就労をしている人(正社員・契約社員・パート・アルバイトなど)、A就労継続支援A型・B型事業所で働いている人、B就労移行支援事業所に在籍している人とし、これまで個人賠償責任補償では対象外となっていた職業従事中の「他人にケガをさせたとき、他人の物を壊したとき」に補償できる「就労応援プラン」も用意した。 本紹介 『きょうだいの進路・結婚・親亡きあと50の疑問・不安に弁護士できょうだいの私が答えます』  弁護士の藤木(ふじき)和子(かずこ)さんが、『きょうだいの進路・結婚・親亡きあと50の疑問・不安に弁護士できょうだいの私が答えます』(中央法規出版刊)を出版した。  藤木さんは5歳のとき、3歳下の弟の聴覚障害がわかったという。幼少期から「弟と私は将来どうなるのだろう」、「私は実家や地元を出てよいのか」などと悩みながら弁護士になった藤木さんは、2010(平成22)年ころから当事者団体「きょうだいの会」に参加。先輩の体験談からヒントを得るとともに、きょうだい特有の悩みの幅広さとむずかしさを痛感したことから、きょうだいの立場の弁護士として、発信や相談などの活動を行っている。  本では「一生、障害のある弟の世話をしなくてはいけない?」、「結婚相手にはいつ・どう話す?」、「親亡きあとはどうする?」など、きょうだいが抱く悩みや疑問、不安などについて50項目をQ&A形式でまとめている。A5判162ページ、1980円(税込)。