グラビア 高齢化が進む製材業の貴重な働き手 堀長木材商店(和歌山県) 取材先データ 堀長木材(ほりちょうもくざい)商店(しょうてん) 〒649-2621 和歌山県西にし牟婁郡(むろぐん)すさみ町(ちょう)周参見(すさみ)4581-36 TEL 0739-55-3731(事務所) 写真・文:官野貴  和歌山県西にし牟婁郡(むろぐん)すさみ町(ちょう)において製材業を営む堀長(ほりちょう)木材(もくざい)商店(しょうてん)では、知的障害のある従業員が活躍している。1人は2021(令和3)年に「優秀勤労障害者」として独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長努力賞の表彰を受けた奥野(おくの)伸治(しんじ)さん。そしてもう1人が柴田(しばた)将之(まさゆき)さん(36歳)だ。2人は、高齢化が進む製材業において貴重な働き手となっている。  柴田さんは、梱包用木材の固縛(こばく)、製材作業の補助、薪の結束、木質バイオマスボイラーの燃料となるチップづくりなどの作業に従事している。  梱包用木材の固縛作業では、ほかの従業員が加工した角材をずれがないようにきっちりと積み上げていく。角材の状態にも注意をはらい、割れなどがあれば除外し、大きなバリ(ささくれ)を取り除く。最後にPPバンドで固縛し出荷準備が整う。柴田さんのていねいな仕事ぶりは、納品先からも高く評価されており、安定した受注につながっているという。  製材作業の補助では、同社の代表を務める堀谷(ほりたに)伸二(しんじ)さんやほかの従業員とペアを組み、帯鋸盤(おびのこばん)での作業にあたっており、安全のため、帯鋸の刃がついていない側での作業を担当している。  薪の結束作業では、輪状の鉄線(たが)に薪を詰めていき、最後は中心部に細く割った薪を詰め込むことで、型崩れすることのない薪の束ができる。柴田さんは作業時、薪がきれいに丸くなるように意識しているという。  燃料用チップづくりでは、木材を切り出した際に出る端材を、切削(せっさく)チッパー機に投入し加工を行う。このチップづくりは、SDGsの一環として木質バイオマスの利用促進ともリンクし、長期間の継続した受注が見込めるという。  堀長木材商店は2022年に創業70周年を迎えた。代表の堀谷さんは、「柴田さんに100周年を目ざしてほしい」との思いがある。柴田さんは「ここは楽しい職場です。ずっと働き続けたいです」と話してくれた。 写真のキャプション 梱包用木材の固縛 角材の状態を確認しながら、積み上げる柴田将之さん 木槌(きづち)や端材を使って角材の端を揃える PPバンドでの固縛作業。PPバンドがねじれないように注意が必要 封緘機(ふうかんき)でPPバンドを閉じる 出荷準備が整った梱包用木材。納品先の機械メーカーなどで出荷用の木枠やパレットなどに加工される 梱包用木材の固縛では、PPバンドの引締機や鋸(のこぎり)などの道具を使用する 製材作業の補助 帯鋸盤での製材作業。柴田さんは前取りを担当しており、切り出された板材を受け取り、残りの材木を送り返す 薪の結束 たがの輪の中に薪を詰める 鉈(なた)で細い薪をつくり、中心部に差し込む きれいに束ねられた薪。キャンプ場などで販売される 薪の結束では、木槌や鉈を使いこなし作業にあたる チップづくり 端材を切削チッパー機に投入する 切削チッパー機で切削されたチップが作業小屋の隣で積み上がっていく チップは木質バイオマスボイラーの燃料として活用される