グラビア 障害者雇用で人材不足を乗り越える 社会福祉法人和幸園 特別養護老人ホーム和幸園(青森県) 取材先データ 社会福祉法人和幸園(わこうえん) 特別養護老人ホーム和幸園 〒039-3504 青森県青森市矢田字(やだあざ)下野尻(しものじり)48-3 TEL 017-737-3333 FAX 017-737-3332 写真・文:官野貴  青森県青森市にある「社会福祉法人和幸園(わこうえん)」では、障害のある従業員13人がさまざまな職域で活躍し、うち8人が同法人が運営する「特別養護老人ホーム和幸園」で働いている。障害のある従業員は、人材不足が問題となっている介護業界で、欠かすことのできない人材となっている。  ランドリーで働く奥谷(おくや)敦士(あつし)さん(32歳)、山内(やまうち)大士(たいし)さん(33歳)は精神障害がある。身体障害のある阿部(あべ)孝子(たかこ)さん(52歳)や障害のないスタッフとともに、施設内の洗濯業務を一手に任されている。入職10年目の奥谷さんは、その働きぶりから、2024(令和6)年9月、「優秀勤労障害者」として独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長努力賞の表彰を受け、同僚のよき模範となっている。  事務補助として働く山内(やまうち)陽人(はると)さん(30歳)は、視覚障害があり、右目の狭い範囲しか見えない。目の負担を少なくするため、作業スペースの照明を暗くするなどの配慮のもとで事務作業にあたっている。  知的障害のある能登谷(のとや)司(つかさ)さん(33歳)は、施設内の清掃業務を担当している。夏場は暑さが苦手なため、自分のタイミングで空調の効いた部屋で休憩を取れるように、配慮がなされている。  全盲の福士(ふくし)拓実(たくみ)さん(26歳)は、マッサージを担当。利用者にやさしく声をかけながら行うマッサージは、体も気分も軽くなると利用者に好評だ。これまでは障害者雇用枠で働いてきたが、今年6月から一般雇用の職員となり、なおいっそうの活躍が期待されている。  同法人では今後も積極的な障害者雇用を続けるとともに、障害者福祉の分野においても地域に貢献していくという。 写真のキャプション ランドリー @施設内の浴室から洗濯物が入ったカートを回収し、洗濯室へ運ぶ奥谷敦士さん A色や素材ごとに選別し、大型洗濯機で洗浄する。選別作業にあたる山内大士さん(左)と阿部孝子さん(右) B選別時には食べこぼしなどのしみ汚れの有無も確認。しみがある場合には、専用の洗濯機で洗浄する C洗濯、乾燥を終えた衣類を畳み、利用者ごとに仕分ける山内大士さん。氏名がよく似た利用者もいるため注意が必要だ D居室エリアで仕分け作業を行う阿部さん。衣類を運ぶ際には2段の棚がついた台車を使用する。歩行の補助にもなり、大きくかがむことなく衣類を取り出せる E仕分けた衣類を居室のたんすに収納する。阿部さんは、「立ち仕事も多いが、適宜休憩を取りながら自分のペースで働けるため、苦にならない」と話す 事務補助 面会票の入力作業の様子。山内陽人さんは、得意なパソコンを駆使して事務補助作業にあたる 昼休みはそれぞれが思い思いに過ごしている。スマートフォンを見て過ごす山内大士さん(左)。能登谷司さん(中央)は、総務部長で障害者職業生活相談員の和田(わだ)拓実(たくみ)さん(右)との雑談が楽しみだ 山内陽人さん(左)と奥谷さん(右)は、スマートフォンで行うゲームの話題で盛り上がっていた 昼休みのあとは、館内放送される演歌に合わせて行う介護予防体操に参加する。奥谷さんが見本を示す 施設内のマッサージルームで使用したタオルを洗濯のため回収する奥谷さん 清掃 台車に貼られたスケジュール モップがけを行う能登谷さん。清掃用具を載せた台車には、清掃スケジュールが貼られており、作業のペース配分の参考としている 手すりの拭き掃除を行う能登谷さん。細かいところにも気を配り作業にあたる マッサージ 福士拓実さん 特別養護老人ホームに併設されたデイサービスセンターの利用者にマッサージを行う福士さん