グラビア 地域の食文化を支える 株式会社中野製麺(岩手県) 取材先データ 株式会社中野(なかの)製麺(せいめん) 〒020-0811 岩手県盛岡市川目町(かわめちょう)23-12 TEL 019-622-6023 FAX 019-622-5972 写真・文:官野 貴  岩手県盛岡(もりおか)市には、「盛岡冷麺」や「盛岡じゃじゃ麺」といった独特の麺文化が栄えている。この地で、麺の製造を手がける「株式会社中野(なかの)製麺(せいめん)」では、知的障害などのある社員が活躍し、地域の食文化を支えている。  現在働く5人のうち、2人は30年以上勤務するベテラン。この日、麺生地づくりの作業をしていた矢本(やもと)尚幸(なおゆき)さん(47歳)もその一人で、製麺業務のほぼ全工程をオールマイティにこなす。  麺を切り出す「麺線カット」作業を行っていたのは、留場(とめば)和也(かずや)さん(27歳)。麺が注文通りの厚さや重さとなるように製麺機を調整しながら、切り出された麺を取り上げ、包装機へ流し込む。  麺を袋詰めし、消費期限のラベルを貼りつけていた藤原(ふじわら)淳子(じゅんこ)さん(50歳)もベテラン社員の一人。注文ごとに袋に入れる麺の数が異なるため、機械や手作業を使い分けて作業を行う。  第二工場では、北村(きたむら)大吾(だいご)さん(26歳)が箱詰め作業を行っていた。その作業の合間には、製麺機への打ち粉の補充、製品ラベルの発行など、さまざまな作業を手際よく進めていく。ここで生産された盛岡冷麺やスープなどは、全国の焼き肉店などに出荷されている。彼らの活躍が全国区での人気に一役買っているのだ。  同社は2022年に「野菜工場」を新設し、LED光によるリーフレタスなどの栽培も始めた。同社が支援する多機能型事業所の利用者が栽培担当者になる予定であり、現在は藤井(ふじい)亘(わたる)さん(47歳)が、その指導を行っている。配送部門で働いていた藤井さんは、病気の影響で片足を切断するも義足を装着して復職し、野菜工場の要となっている。同社では、人手不足を救う貴重な人材として、今後も障害者雇用を積極的に行っていくという。 写真のキャプション 麺生地づく @材料をミキサーに投入する矢本尚幸さん A小麦粉や水などの材料をミキサーでかくはんする Bかくはんした生地をミキサーから取り出す C圧延機を使い、生地を帯状に加工する D帯状の生地を重ねて生地を鍛える「複合」の工程 E複合後、熟成させた生地を圧延し、麺を切り出す「麺線カット」。ロールの間隔を調整し、麺の厚さを調整する 計量 一食分の麺を計量、注文に合わせて製麺機を調整する 麺を計量する留場和也さん。麺を手に持った感覚でおおよその重量がわかるという 包装 麺の袋詰めをする藤原淳子さん。小ロットの注文では、手作業で袋詰めを行う ラベラーを使い、消費期限のラベルを貼りつける 梱包、出荷 梱包した段ボールを積み上げる北村大吾さん。製品は全国へと出荷される 野菜工場 発芽したばかりのリーフレタス リーフレタスの定植作業を、就労継続支援B型事業所の利用者に指導する藤井亘さん(左) LEDの光を受け、成長したリーフレタス 昼食は麺の試食が定番。今日は中華麺の試食だ 麺を茹でる矢本さん 昼食の一コマ。(左から)北村大吾さん、矢本尚幸さん、藤原淳子さん、留場和也さん