ミニコラム 第31回 編集委員のひとこと ※今号の「編集委員が行く」(20〜25ページ)は金井委員が執筆しています。  ご一読ください。 障がいのある社員との接し方 トヨタループス株式会社管理部次長 金井渉  私が所属する「トヨタループス株式会社」では多くの障がいのある人が、ともに働いている。身体障がい、知的障がい、精神障がいのある人、そこに障がいのない人も加わり、業務内容も多岐にわたっている。  以前、障がいのある社員に、仕事の目的を聞いたことがある。単純に「お金がほしい」という意見や、「楽しいから」と話してくれた社員もいたが、答えることができない社員も多くいた。  答えることができなかった社員数人に、「仕事は楽しい?」と聞いたら、そのなかで「楽しくない」とはっきりいってきた社員がいた。  仕事の目的を答えられないのは想定の範囲内だったが、「楽しくない」は正直寂しかった。  障がいのある人のなかにはネガティブ思考の人もいるので致し方ない場合もあるのだが、それでも、それからはその社員に対してはしゃべりかける頻度を増やしたり、担当している仕事が世の中に役立っていることを伝えて、少しでも仕事にやりがいが持てるようになればと思って接している。  ただ、仕事に関しては、その社員は「作業がむずかしくて、自分はできていない」といいながら、チーム内では作業スピードがトップクラスで早い。たしかにむずかしい仕事は苦手だが、就業態度もいたって真面目だ。  なので「〇〇君は仕事ができているよ」と話しかけるのだが、その言葉を受け入れようとしない。  障がいのある社員に対し、どういう接し方・指導をしたらよいか、いまでも正解がわからなくなることがある。そんなときは、長期的視点で社員を見るようにしている。  短期的にはわからなくても、長期的に見るとその社員が成長しているかどうかわかるときがある。例えば、1年前と比較して成長・変化していると感じるようであれば、接し方は合っていたんだなと思うことができる。 ★本誌では通常「障害」と表記しますが、金井委員の意向により「障がい」としています