ニュースファイル 地方の動き 愛知 県議会傍聴の聴覚障害者にタブレット貸与  愛知県議会は、2024(令和6)年2月の定例議会から、質問や答弁の声をリアルタイムで文字表示できるアプリを導入したタブレット端末を、傍聴を希望する聴覚障害者に貸し出している。  これまで愛知県議会では、聴覚障害がある人などから議会の傍聴希望があった場合には、手話通訳者や要約筆記者に対応を依頼してきたが、通訳者などの手配のため5日前までに申し出てもらう必要があり、直前の傍聴希望には対応できていなかった。  そこで議会事務局では、音声を文字化する専用アプリ「UDトーク」をインストールしたタブレット端末を3台用意し、当日の傍聴希望にも対応できるようにした。受付で申し込めば先着順に使用できる。昨年12月の議会で、声の文字化を検証したところ9割ほどが正しく変換できたという。議会事務局によると、こうしたタブレット端末を傍聴希望者に貸し出すのは全国で初めてだという。 生活情報 茨城 J2水戸が障害者チーム設立  サッカーJ2リーグに所属する「水戸ホーリーホック」(水戸市)が、障害者サッカーチーム「水戸ホーリーホッククノスフェアビデ」(以下、「クノスフェアビデ」)を設立した。  もともと県央地域で活動していた障害者サッカーチーム「茨城水戸クラブ」を水戸ホーリーホックが運営することで誕生した。所属選手は現在22人。チーム名は、ドイツ語で花のつぼみを意味する「Knospe(クノスペ)」と、つなぐを意味する「Verbinden(フェアビンデン)」をかけ合わせた造語で、所属選手の意見や想いをもとに考えたという。  今後も18歳以上で障害者手帳を持つ人を対象に、随時加入受付けを行う。監督の加藤(かとう)貴之(たかゆき)さんは、特別支援学校の元教員で、茨城県の知的障害サッカーの立ち上げや普及、強化にたずさわってきた。活動時間は毎週木曜日18時〜20時ほか日曜日など。  また水戸ホーリーホックでは、農事業「GRASS ROOTS FARM(グラスルーツファーム)」で協力を得ている「日本農業実践学園」(水戸市)と、トップパートナーであるJX金属株式会社(東京都港区)が展開する「内原(うちはら)ファーム」(水戸市)の三者で交流や連携を行ってきたことから、クノスフェアビデで「内原ファーム」で働く障害者も受け入れ、スポーツを楽しめる環境の創出を行うなど、「農業×福祉×スポーツ」のスローガンのもと三者の連携を深めていくとしている。 東京 都営地下鉄全106駅にホームドア  東京都交通局は、都営地下鉄のホーム上の安全対策やバリアフリー設備の需要に応えるため整備を進めてきたホームドアについて、都営地下鉄の全106駅における整備が完了したと発表した。2000(平成12)年から順に進めてきた整備後の路線では転落件数が「ゼロ」となるなど、ホーム上の安全対策として高い効果を発揮しているという。  浅草線では、車両に貼りつけた2次元コードを駅側のカメラで読みとってドアを開閉させる新たな仕組みが導入されたことで、当初、取りつけ費用など20億円かかるとされたコストをおよそ270万円にまで抑えることができた。  国土交通省によると、2025年度までに全ホームのうち3000カ所、1日平均利用者数が10万人以上の駅のホームでは800カ所でホームドアを整備する目標を掲げ、昨年3月末時点でそれぞれ整備されているのは2484カ所、493カ所となっている。 全国 インターネットで障害者割引乗車券購入  JR東日本は、「えきねっと」においてマイナポータルとの連携を活用した「身体障害者割引乗車券・知的障害者割引乗車券」と「新幹線車いす対応座席」の取扱いを開始した。窓口に行かずにJR6社の障害者割引きっぷが購入できるようになり、障害者割引を適用した「新幹線eチケット」、新幹線の車いす対応座席(本人席、付添席、車いすスペース)も購入できる。  また、列車に乗降するときの介助を事前にWEBで申し込める「JREおでかけサポート」のサービスも開始。これまでは事前に駅窓口などで受けつけている駅もあったが、サービス導入線区においては出発2日前の午前12時まではJR東日本のホームページから申し込める。利用可能線区はJR東日本管内の新幹線全線区、京葉線(東京〜蘇我(そが))、南武線(川崎〜立川)。 https://www.jreast.co.jp/equipment/jreodekakesupport/ 本紹介 『大人の発達障害働き方のコツがわかる本』  昭和大学附属烏山(からすやま)病院の発達障害医療研究所所長を務める太田(おおた)晴久(はるひさ)さんが「大人の発達障害働き方のコツがわかる本」(講談社刊)を出版した。  2014(平成26)年から烏山病院で成人を中心とする発達障害の診療と研究を進めてきた太田さんが、発達障害外来で行われている成人の発達障害向けのプログラムを参考に、職場での仕事の進め方や対人関係などが改善するためのメソッドをまとめている。  「自分の特性を確認しよう!」、「仕事をスムーズに進めたい!」、「対人関係で悩みたくない!」、「自己管理できるようになりたい!」、「医療と社会的支援が知りたい!」などのテーマ別に実践的な内容を盛り込み、より具体的にわかりやすく解説している。A5判、160ページ、1650円(税込)。 作品大募集! あなたの力作がポスターになる! 令和6年度 「絵画コンテスト働くすがた〜今そして未来〜」 「写真コンテスト職場で輝く障害者〜今その瞬間〜」 応募締切 令和6年6月17日(月)【消印有効】 児童・生徒をはじめ社会人・一般の方もご応募いただけます。 絵画コンテストの応募は障害のある方が対象です。 写真コンテストの応募は障害の有無を問いません。 多くのみなさまからのご応募をお待ちしています。 詳しくはホームページの募集要項をご覧ください。 JEED 絵画写真 検索 <過去のポスターや入賞作品などもご覧いただけます> 主催:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) シンボルキャラクター“ピクチャノサウルス” ミニコラム 第34回 編集委員のひとこと ※今号の「編集委員が行く」(20〜25ページ)は八重田委員が執筆しています。  ご一読ください。 音楽が心と体におよぼす影響について 筑波大学大学院教授 八重田淳  日本を代表する世界的な音楽家の坂本(さかもと)龍一(りゅういち)さんと小澤(おざわ)征爾(せいじ)さんが去年から今年にかけて相次いで亡くなられた(坂本さんは2023〈令和5〉年3月、小澤さんは2024年2月)。私は最近プールで泳ぎながら、大好きな彼らの音楽をよく聴いている。音楽が心におよぼす影響は計り知れないが、音楽は体にも影響を与えてくれるような気がする。水の中で澄んだピアノの音や壮大なシンフォニーを聴くと、リラックスできるし、勇気づけられる。これは心への効果だ。体への効果というのは、専門ではないのでよくわからないが、音楽によってキリッと背筋が伸びて姿勢がよくなったり、血の巡りがよくなったりと、自律神経にもプラスに作用している感じがする。私の場合は泳ぎながら音楽を聴くので、スーッと水の中を進むときに比較的長いトーンが耳に入ってくると、いつもより長く静かに息を止めたりするので、心肺機能にもよいのかもしれない。  では、仕事をしながら音楽を聴くことの効用についてはどうだろう。音楽によって創造力や集中力が高まるという人は少なくないと思う。以前、精神障害のある方が利用する就労継続支援B型事業所を訪問した際、働きながら音楽を聴くという話題が持ち上がったことがある。音楽を聴けば精神的に安定するし、作業効率もアップする。そんな職場だったら楽しそうだ。音楽が心身の回復に寄与することは音楽療法の科学でも実証されている。音楽は仕事の疲れを癒し、やる気にもさせてくれる。音楽そのものが仕事であり人生であった坂本龍一さんや小澤征爾さんに、こうした音楽の持つ力について訊ねてみたかった。