【表紙】 令和6年5月25日発行・毎月1回25日発行・通巻第560号 ISSN 0386-0159 障害者と雇用 2024/6 No.560 職場ルポ 当事者主体で「悩まない、迷わない」現場に 株式会社キョウセイ(岡山県) グラビア みんなが笑いあいながら働ける職場 ナブテスコリンク株式会社(岐阜県) 編集委員が行く 町をあげて「幸せな就労」を支えるIPSを活用した就労の実現とその意義 社会医療法人清和会西川病院、石見食品株式会社(島根県) メダリストを訪ねて 〜第10回国際アビリンピック〜 「できない」から「できる」へ、見える世界広がる 電子機器組立種目銀メダリスト 小倉怜さん 「トマト!収穫!」福岡県・相田(あいた)咲桜(さくら)さん 6月号 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) Japan Organization for Employment of the Elderly, Persons withD isabilities and Job Seekers 【前頁】 心のアート つくえ 山本康介 (一般社団法人アートスペースからふる) 素材:木、アクリル絵の具/サイズ:縦84.5cm×横57cm×奥行31.5cm  2016(平成28)年制作。  自由に切ったままの形を活かしながら、思いつくままに釘やビスを使って組み立てた作品。機能性を除した自由な造形は、独特な存在感がある。 (文:一般社団法人アートスペースからふる 妹尾(せのお)恵依子(えいこ)) 山本康介(やまもと・こうすけ)  1994(平成6)年生まれ。アート活動をはじめた当初から、立体制作に取り組んでいる。ポップな遊び心いっぱいの作品を数多く制作している。 【もくじ】 障害者と雇用 目次 2024年6月号 NO.560 「働く広場」は、障害者雇用の啓発・広報を目的として、ルポルタージュやグラビアなど写真を多く用いて、障害者雇用の現場とその魅力をわかりやすくお伝えします。 心のアート 前頁 つくえ 作者:山本康介(一般社団法人アートスペースからふる メダリストを訪ねて 〜第10回国際アビリンピック〜 2 第3回 「できない」から「できる」へ、見える世界広がる 電子機器組立種目銀メダリスト 小倉怜さん 文:豊浦美紀/写真:官野貴 職場ルポ 6 当事者主体で「悩まない、迷わない」現場に 株式会社キョウセイ(岡山県) 文:豊浦美紀/写真:官野貴 JEEDインフォメーション 12 2024年度(令和6年度)職業リハビリテーションに関する研修のご案内/令和6年度「地方アビリンピック」開催地一覧/ 障害者雇用を進める事業主のみなさまへ 就労支援機器をご活用ください! グラビア 15 みんなが笑いあいながら働ける職場 ナブテスコリンク株式会社(岐阜県) 写真/文:官野貴 エッセイ 19 印象深い海外の視覚障害者 最終回 アイン・ビエト・ディン(ベトナム) 日本点字図書館 会長 田中徹二 編集委員が行く 20 町をあげて「幸せな就労」を支えるIPSを活用した就労の実現とその意義 社会医療法人清和会 西川病院、石見食品株式会社(島根県) 編集委員 三鴨岐子 クローズアップ 26 障害のある人とスポーツ(第5回) 〜知的障害とスポーツ、聴覚障害とスポーツ〜 研究開発レポート 28 14年間の追跡データから見た障害者の就業状況 〜職業生活からの引退の傾向〜 障害者職業総合センター研究部門 社会的支援部門 ニュースファイル 30 編集委員のひとこと 31 掲示板・次号予告 32 第32回職業リハビリテーション研究・実践発表会 発表者募集のお知らせ ※「省庁だより」は休載します 表紙絵の説明 「トマトの収穫をどのように描くかに悩みましたが、『ちぎり絵』で表現しようと思いつきました。はじめての挑戦だったので、とくに光と影の表現がむずかしかったです。前回は体調が悪く、締め切りに間に合わず応募を断念したので、できあがったときは満足感でいっぱいでした」 (令和5年度 障害者雇用支援月間絵画コンテスト 高校・一般の部 高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長奨励賞) ◎本誌掲載記事はホームページでもご覧いただけます。 (https://www.jeed.go.jp/disability/data/works/index.html) 【P2-5】 第3回 メダリストを訪ねて 〜第10回国際アビリンピック〜 「できない」から「できる」へ、見える世界広がる 電子機器組立種目銀メダリスト 小倉怜さん (株式会社デンソー勤務) おぐら・れい 1992(平成4)年、三重県生まれ。1歳から中学部まで三重県立聾学校に通う。2011年、三重県立宇治山田商業高等学校卒業、株式会社デンソー(愛知県)入社。2017年第37回全国アビリンピック(栃木県)の電子機器組立種目で金賞、2023(令和5)年、第10回国際アビリンピックフランス・メッス大会で銀賞受賞。2024年1月よりデンソー高たか棚たな製作所(愛知県)にある技能人財養成部技能研修開発室技能研修課に所属。  2023(令和5)年3月、フランスのメッス市で開催された「第10回国際アビリンピック」には、日本選手30人が17種目に出場、8人がメダルを獲得した(※1)。  今回は、電子機器組立種目で銀メダルを手にした小倉(おぐら)怜(れい)さん(三重県)に、あきらめず続けてきた努力や職場のサポート、現在の仕事などについて語っていただいた。 (文)豊浦美紀 (写真)官野貴 小3からソフトボール ――小倉さんは、幼少期をどのように過ごされましたか。 小倉 私は1歳児検診のときに重度の神経性難聴であることがわかり、三重県立聾(ろう)学校の乳幼児クラスに入りました。補聴器をつけましたが、それでも徐々に聴こえなくなり、頭痛も併発するので高校2年生のときにはずしました。  よく家族と一緒にプロ野球のテレビ観戦をしていた私は、二つ年上の兄の影響もあり、小学部3年生から地域のソフトボールチームに入りました。唯一の女子で、投手でした。小学部5年生のときに地元の強豪女子チームから声をかけられ移籍、全国大会に出場し、その後チームのなかから私が日本代表に選ばれて国際親善試合のためハワイに行きました。  総勢100人の日本選手団のなかで聾者は私だけでした。当時はまだ補聴器をつけており、近くで話してもらったり口の動きを見たりして意思疎通を図りましたが、距離感があると感じました。でも試合に勝ったあと、帰りの飛行機でチームメイトに誘われてトランプをし、一気にみんなと仲良くなれました。当時のメンバーのなかには、いまも連絡を取り合う友人もいます。 ――その後は、商業高校に進学されたのですね。 小倉 はい。聾学校にソフトボール部がなかったことと、社会人になれば周囲は聾者ではない人たちばかりになるので、前もって「聴こえる人たちの世界を学びたい」という気持ちもありました。  最初は心配していた両親も私の思いを理解し、中学部の先生と一緒に、女子ソフトボールの強豪校だった三重県立宇治山田商業高等学校に出向いて相談をしました。聾者の受入れは初めてだったそうですが、別室受験の配慮もしてもらって無事に合格しました。  入学後は、先生が同級生に私のことを説明し、授業中は隣の席の生徒がノートテイク(要約筆記)をしてくれました。先生から事前に授業内容を教えてもらうこともありましたが、それでも、ついていくのはたいへんでしたね。  学校生活では、集団行動の合図がわからなかったり、グループでの会話の輪に入れなかったりといった苦労がありましたが、部活動をがんばっているうちに自然となくなりましたね。投手として高校2年生のときにインターハイ出場、全国大会には数回出場しました。いろいろな友だちができるなかで、世間の一般常識や暗黙のルールみたいなものも知ることができました。高校生活でのさまざまな経験が、自分を客観視する機会を与えてくれ、精神的な強さも育ててくれたと思っています。 ――就職先に株式会社デンソー(以下、「デンソー」)を志望した理由はなんですか。 小倉 きっかけは高校の進路担当の先生に「デンソーに障害者採用枠があるよ」と教えてもらったことです。すぐにホームページで調べて会社見学会に申し込みました。現場で活躍している聾者の方や人事部の方の話を聞いて、とても聾者に理解が深い職場だと感じました。  入社後は、デンソー大安(だいあん)製作所(三重県)に配属されました。職場でのコミュニケーションは、高校時代までの経験があるのでとくに困らず、上司や同僚も、私を特別視せずに自然体で接してくれるので、楽しく一緒に働くことができて本当に感謝しています。 苦手だった電子機器組立 ――アビリンピック初挑戦から全国アビリンピックで金賞をとるまでの経緯を教えてください。 小倉 私は車の部品などを組み立てる業務を担当していましたが、仕事に慣れてきた入社3年目、「新しいスキルを身につけたい」との思いが強くなっていきました。ちょうどそのころ同じ職場で聴覚障害のある先輩が地方アビリンピックの「電子機器組立」種目に出場し、アビリンピックの存在を知り、上司からのすすめで私も挑戦することにしました。  デンソーでは、地方アビリンピックに出る場合、2週間程度の訓練期間が与えられます。職場の同僚のフォローのおかげで心置きなく訓練に打ち込めました。練習用の部品や精度のよい工具を用意してもらえたことも、ありがたかったです。  「電子機器組立」は数多くの部品と工具を扱い、はんだづけの接合状態や見栄えが重要なポイントです。いまだからいえますが、もともと私は細かい作業が苦手で、精密機器の組立ても好きではありませんでした。少しずつできるようになってきてから、「楽しい」という感覚が出てきたように思います。  社内訓練では、課題の動作不良や外観の整合性の問題などたくさんの失敗をしました。そのたびに原理原則に立ち返り、原因を追求するPDCAサイクル(※2)で自信をつけ、精神力も鍛えられました。とくに当時指導してくれた上司からの「手抜きをすると、よいものはできない」との言葉を胸にがんばってきました。はんだづけ作業などは日ごろ職場で行うことはないのですが、品質のこだわりや安全面の徹底などへの意識を高めることができたことも大きな収穫でした。  3回目の挑戦となる2017年、第37回全国アビリンピック(栃木県)に初出場し念願の金賞をとることができました。社内訓練で積み上げてきたスキルを活かし切れたことが奏功したと思います。緊張せずに臨めたのは、ソフトボールでの経験があったからかもしれません。 国際アビリンピックのレベルの高さ ――国際大会は、国内大会の競技とは違う点も多かったそうですね。 小倉 国際アビリンピックでは、一部の課題内容については事前に公開されません。私自身は、電子回路の基礎を頭に叩き込んだうえで、オシロスコープ(※3)といった専門機器の使い方もマスターしなければ、トラブル対応も含め勝ち残れないと思いました。  渡仏前には、第10回国際アビリンピックの国際審査員を務める職業能力開発総合大学校の高橋(たかはし)毅(たけし)先生にも指導していただき、部品の役割や回路についての理論、計算方法などを教えてもらいました。同じデンソー大安製作所の島田(しまだ)美穂(みほ)さんも日本代表に選ばれていたので、一緒に励まし合いながらスキルを高め合えたのもよかったです。  競技当日の説明はどの日本選手団参加競技よりも早い午前7時から開始され、課題内容や指示の変更がありました。前回とは違い、知識がなければできないことが数多く盛り込まれていて、レベルの高さに橋先生も驚いていたほどです。あとから聞いた話では、課題を作成したフランスの審査員も「ちょっと、むずかしすぎたかも」と話していたそうです。私自身は「やるしかない」と覚悟を決めて臨みました。  競技にかかわる伝達面においては、日本の言語通訳さんと手話通訳さんが活躍してくれて、競技内容も完全に理解しながら進めることができ、とても感謝しています。 手話通訳者の藤田(ふじた)聖子(まさこ)さんから  出国前に日本選手団が集まった場で、未知の分野「電子機器組立」の担当と知り、専門的な用語が多い競技なので茫然(ぼうぜん)としました。行きの飛行機では寝ずに勉強しました。現地でも、ずっと小倉さんたちとともに行動させてもらっていました。おかげで、一丸となり大会に臨むことができました。専門用語の「手話合わせ」もやり込み、新たにつくり出した手話もあります。フランス語→英語→日本語→手話の伝達はたいへんでしたが、よい経験でした。 自分の「視覚能力」再認識 ――競技を通して印象に残ったことがあれば教えてください。 小倉 競技中、説明書に配線の色の指示がないことに気づき、フランス人のチーフ審査員に直接、身ぶり手ぶりで質問してみました。すると彼は手をくるくるさせたジェスチャーをし、それが「なんでもOK」という意味だとわかって「通じ合えた!」とうれしくなりました。国際アビリンピックを通して、言葉は通じなくても心が通じればだれとでも交流できること、人と人がつながるすばらしさを実感できました。  また、さまざまな障害のある選手たちと競い合うなかで、私には聴覚障害があるゆえに「視覚能力が長けていること」を再認識できました。間違い探しが得意で、細かい部品やはんだづけの善し悪しをすぐに判断できるという私なりの力をおおいに発揮できたと思います。  他国の選手たちとは、競技後に健闘をたたえ合ったり、自分から呼びかけて記念写真を撮ったりしたのがよい思い出です。日本選手団でも、聴覚障害があり「歯科技工」種目で金メダルをとった中川(なかがわ)直樹(なおき)さん(※4)と話す機会があり「いいものをつくるには、どうしたらいいか」という話題で盛りあがりました。モノづくりを楽しむ気持ちやこだわりなど、互いに共通する部分や新たな気づきもありました。 モノづくりの楽しさを ――小倉さんは今年から、技能人財養成部で指導する立場になったそうですね。 小倉 おもにアビリンピックを目ざす後輩たちを指導していきます。特別な経験をさせてもらった恩返しという意味でも、自分の経験やスキル、モノづくりの楽しさ、そして人とかかわり感謝することの大切さを伝えていきたいですね。私自身の指導力もレベルアップさせていくつもりです。  先日は、聾学校の生徒さん向けにデンソーが開催した体験会で、プログラミングを教える機会がありました。何もできないところから、できるようになっていく生徒さんの姿にうれしくなりました。あらためて自分は人に教えることが好きなのだと実感しています。 ――最後に、アビリンピック出場を考えている人へのメッセージをお願いします。 小倉 私自身、初めての地方アビリンピックでは課題がとてもむずかしく感じ、国際アビリンピックなんて夢の話だと思っていました。その後も本当は、あきらめそうになったときもありましたが、職場のみなさんに助けられました。やはり「継続は力なり」です。途中で挫折しても努力を続けていけば大きな力につながっていきます。なにより「できない」が「できる」に変わると、見える世界が広がります。ぜひみなさんも挑戦を続け、みなさんにしかできない経験をしてください。 職場の方より 株式会社デンソー 技能人財養成部 技能研修開発室長 横井(よこい)雅弘(まさひろ)さん  自動化が進む現場では電子機器組立の作業はほとんどありません。それでもアビリンピックに参加する理由は、正しく安全に作業することや部品の整理整頓、作業改善など「モノづくりにおいて大事なこと」を教えるにはとても優れた競技だからです。「内発的動機づけ」にもつながるアビリンピックには、今後も社員にどんどん挑戦してもらいたいですね。 株式会社デンソー 技能人財養成部 技能研修開発室 技能研修課担当係長 園田(そのだ)真史(まさし)さん  聴覚障害のある常駐の専門講師は小倉さんが初めてです。私たちは今後、障害のある社員がアビリンピックだけでなく、社内でもっと活躍していけるよう新しい研修プログラムを検討していきます。小倉さんには、実直さや好奇心旺盛さ、前向きな姿勢を崩さず、後輩たちの挑戦を後押しする存在になるよう期待しています。 ※1 本誌2023年6月号で「第10回国際アビリンピック」を特集しています。 https://www.jeed.go.jp/disability/data/works/202306.html ※2 PDCAサイクル:Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)をくり返しながら業務改善を図る方法 ※3 オシロスコープ:電気信号の時間経過による変化を視覚的に表示する機器 ※4 本誌2023年11月号の「メダリストを訪ねて」で中川直樹さんにご登場いただいています。https://www.jeed.go.jp/disability/data/works/book/hiroba_202311/index.html#page=4 写真のキャプション 第10回国際アビリンピックにおいて課題に取り組む小倉さん 競技スペースには、さまざまな工具やオシロスコープなどの検査機器が並ぶ 第10回国際アビリンピックにおいて製作した電子回路の一部 第10回国際アビリンピックで小倉さんが獲得した銀メダル(写真提供:株式会社デンソー) 上司や同僚らが寄せ書きをした国旗とともに国際大会に臨み、銀メダルを手にした 通訳にあたる手話通訳者の藤田聖子さん(右) 聾学校の生徒向けに開催された体験会での一コマ。プログラミングを指導した(写真提供:株式会社デンソー) 次回の「メダリストを訪ねて」は、次号(2024年7月号)に掲載予定です。お楽しみ 【P6-11】 職場ルポ 当事者主体で「悩まない、迷わない」現場に ―株式会社キョウセイ(岡山県)― 授産施設の関係者で設立した部品工場では、障がいのある従業員たちが主体の改善活動で、だれもが働きやすく効率的な職場づくりを図っている。 (文)豊浦美紀 (写真)官野貴 取材先データ 株式会社キョウセイ 〒712-8031 岡山県倉敷市福田町浦田1919-7 TEL 086-441-6166 FAX 086-441-6177 Keyword:知的障害、改善活動、ピクトグラム、施設外就労、高齢化、支援サービス (写真提供:株式会社キョウセイ) POINT 1 授産施設を母体に工場建設、保護者らで株式会社を設立 2 独自の改善活動やピクトグラムで、負担なく働きやすい現場に 3 社会福祉法人との業務提携で多様な支援体制へ 授産施設からスタート  岡山県の倉敷美観地区と水島コンビナートの中間地点に位置する「株式会社キョウセイ」(以下、「キョウセイ」)は、おもに産業用防振ゴム製品を手がける製造会社だ。ここで働く全従業員116人のうち障がいのある従業員は66人(身体障がい1人、知的障がい59人、精神障がい6人)、なかでも重度の知的障がいのある従業員は24人在籍し、障害者雇用率は77.88%(2024〈令和6〉年3月末現在)だという。  キョウセイの前身は、授産施設「ひまわりの園(現P.P.P.オールスターズ!福田・浦田)」だ。知的障がいのある子どもの親たちが、「親なき後もわが子が、自分の力で生きていけるように」という思いから立ち上げた「社会福祉法人ひまわりの会」(以下、「ひまわりの会」)が中心となって、1983(昭和58)年に開設した。  その後、ひまわりの会の活動に賛同した倉敷化工株式会社(以下、「倉敷化工」)からゴム成形業務を受託。工場も建設し、翌1984年にキョウセイを設立した。名前の由来は「共に生きる」だ。  キョウセイは2014(平成26)年に倉敷化工の子会社となり、翌2015年には特例子会社に認定。一方のひまわりの会は2017年に「社会福祉法人P.P.P.」(以下、「P.P.P.」)と名称を変更した。「P.P.P.」は、「Powered by Party Participation(かかわるすべての人の当事者参加を原動力に)」とのフレーズから頭文字を取ったという。いまも30人近い従業員が、P.P.P.の運営するグループホームなどから通っている。  倉敷化工から出向し、キョウセイの取締役を務めている古吉(ふるよし)敏之(としゆき)さんは「キョウセイでは、障がいの内容や程度にかかわらず、だれもが悩まない、迷わない作業現場を目ざしてきました」と話す。これまでの独自の取組みとともに、働く従業員のみなさんを紹介していきたい。 「みどりの活動」  キョウセイがおもに手がけるのは産業用防振ゴムと呼ばれる製品だ。金属部品の振動を抑制するためゴムを接着させたもので、自動車や産業用機械などに広く使われている。「キョウセイは、部品の用途や大きさなどによって細かくつくり分ける多品種少量生産が得意です」と古吉さん。仕様が多岐にわたるだけに、手作業が必要なところも少なくない。  約3200uの広い工場内は、ゴムの素地を練る工程、製品に合わせて切り分ける工程、ゴムをつけるための金具に接着剤を塗る工程、実際にゴムと合わせて成形する工程、仕上げ・出荷工程などに分かれている。  その一角に置かれたボードには、「みどりの活動」と書かれた下に「見つけた改善場所30箇所」、「改善待ち27箇所」と記入されたプレートと30件ほどの一覧表が掲示されている。その隣の「工場内改善マップ」には3カ所に顔のマークがついていた。  「みどりの活動」は、2018年にスタートしたキョウセイ独自の改善活動だ。「みどり」は「みんなで、どんどん、りそうをめざす」の頭文字からつけられたという。活動内容について古吉さんが説明する。  「工場で働く障がいのある従業員たちに、現場で感じる問題点を見つけてもらいます。それを一つひとつ私たち職員もまじえて改善・解決策を考え実行していきます」  ちなみにキョウセイでは便宜上、障がいのある社員のことを「従業員」、指導やケアにあたる社員を「職員」と呼んでいる。  現在リストアップされているのは30件。そして3件が改善されている。改善内容についても、現場の従業員が「すごい悪い・悪い・良い・すごい良い」に分けて評価し、マークをつけておくそうだ。  「みどりの活動」が始まったきっかけについては、提案者である管理部品質保証課の係長を務める高田(たかだ)哲志(てつし)さんが説明してくれた。  もともとキョウセイは、倉敷化工の親会社にあたる大手自動車メーカー「マツダ株式会社」をはじめ、グループ会社で行っている「J−ABC(Jiba Achieve Best Cost[地場アチーブ・ベスト・コスト])活動」に2011年から参加してきたそうだ。  「職員による活動でしたが、キョウセイが特例子会社になったのを機に、障がいのある従業員も発表できる機会をつくったところ、その1人が、とてもいきいきと発言する様子を見ました。それで『従業員が主体の改善活動もやったらどうか』と社内提案しました」と高田さんはいう。  古吉さんたちも「従業員が主体の職場なのだから、従業員の目線で、従業員が中心となって活動していこう」と賛同し、実行に移すこととなった。 ピクトグラムで課題認識  改善活動のスタートにあたり、まず従業員全員を対象に「みんなの夢『10年後のキョウセイ』」と題したアンケートを行った。「不良をなくしていい製品をつくる工場にしたい」、「5S(※1)をしっかりして、きれいな工場を目ざしたい」などとする「笑顔あふれる従業員が主役の工場」を目ざしていくことに決まった。  当初は選抜した5人程度で始めたが、ほかの従業員からも「参加したい」との声があがり、15人の計3チームに。職員4人のサポートを受けながら週3日、各日午後の30分程度集まることになった。  具体的な活動は、異なる工程の担当者たちでチームを構成し、現場をまわりながら、さまざまな目線で問題点を洗い出し、解決法を考えていくというもの。その前に、力を入れたのが勉強会だ。高田さんが説明する。  「最初は、改善活動の基本でもある『なぜなぜ分析』(※2)をやろうとしましたが、従業員のなかには、分析のしかたがわからない人もいました。そもそも『重い』や『つまずく』ということが作業リスクになると認識できない人が多いとわかりました」  そこで高田さんは「ひっかかる」、「重い」といった作業リスクを簡略化した独自のピクトグラムを60種ほど作成、工場内の必要な場所に掲示することにした。  勉強会でもピクトグラムを使って「だから、こういう問題が出る」といった流れで説明すると一気に理解が進んだ。例えば、ある部品が低い場所に置かれている。それを手に取るのに毎回しゃがまなければならない。そこで「低い」というピクトグラムを選ぶと「低い。だから、しゃがむ。だったら高くすればいい」という改善方針が出るという具合だ。  具体的な改善作業は職員らが担当していたが、従業員から「自分たちもやりたい」との要望を受け、治具(じぐ)の試作品などを一緒につくるようになった。むずかしい治具などは、倉敷化工から毎日来てくれる技術部門の社員も加わって、最終的に一番よいものを完成させていくそうだ。  改善活動を通して、従業員の予想以上の活躍ぶりにも驚いたと古吉さん。  「人前での発言は大丈夫かなと心配していたら、しっかり自分の意見を主張してくれました。文章を書くのが苦手だという人も、未経験だったからに過ぎないと気づきました。うながせば自分たちでどんどんやっていけるようになり、いまでは改善活動にかかわらず、現場ごとに自然と改善を意識しています」 少しでも負担なく作業を  実際の改善例と、働く従業員のみなさんの様子も見せてもらった。  まずは成形の前準備の工程。製品に合わせて切り分けられたゴムが大きな機械から出てくるのを受けとめる箱がある。満杯になると17kgほどになる。これを四つ積みあげて保管場所に移動させるのだが、女性従業員には箱が重く、毎回職員を呼んで一緒に積みあげていたそうだ。  最初はクレーンで吊りおろす方法を考えたが不安定だった。そこで、ひな壇式に箱を並べ、エアー式のジャッキで浮かせてスライド移動させる改善案が生まれた。これによってだれでも1人で負担なく作業できるようになった。愛称は「のせらーく」だ。  次に向かったのは、ゴムの性能などを検査する場所。ここでの課題は、検査に使われたゴムを機械の部品から取り外すときにニッパーを使わなければいけなかったことだ。従業員にはニッパーを使えない人もいたので、この作業を担当できなかった。  そこで倉敷化工の技術部門の社員が、従業員らと一緒に試作品を何度もつくり、「てこの原理」を活用した簡単なゴムはがし治具を完成させた。「楽にポンっと取れるので『らくぽん』と名づけました」と古吉さんはいう。  この治具の開発にかかわった一人が、製造部製造課精錬係の小橋(こばし)礼子(れいこ)さん(43歳)。みどりの活動発足のきっかけとなった、J−ABC活動で堂々と発表した本人でもある。ひまわりの園の元利用者で、入社18年目だ。入社前は、クリーニング工場でも1カ月ほど実習を受けたそうだが「人間関係がうまくいきませんでした。ここでは職員さんがやさしくて、たくさんのことを教えてくれ、覚えられました」とふり返る。  入社当初はゴムの秤量(ひょうりょう)計算をしていたが、いまでは検査室で行う業務をほとんど担当できるほか、ほかの従業員のために作業指示書をパソコンからプリントアウトして配るなど重要な役割も任されている。  5年ほど前からグループホームを出て一人暮らしをしながら自転車通勤をしている小橋さんは、「自立した生活のために、これからも体調管理に気をつけて働いていきたいです」と話してくれた。いまは、企業在籍型の職場適応援助者(ジョブコーチ)の支援を受けながらパソコンのスキルアップにも励んでいる。 ゴム成形の熟練工も  工場の中央部で行われているゴム成形。ここではトランスファーとインジェクションという方法が取られている。トランスファーは、製品に合わせた量のゴムを、金型に手作業で流し込んで成形する。入社35年になる竹永(たけなが)直也(なおや)さん(52歳)は、製造部製造課成形係でトランスファー用のプレス機4台を扱う。「この部品は16号機、チャタリング(機械スイッチの不具合の一種)は注意せんといかん。覚えることはたくさんあるけど、もう熟練や」と笑顔で話してくれた。  いろいろな機械の名前や番号をよどみなく教えてくれた竹永さんについて、古吉さんは「親会社から、わざわざトランスファー成形を指定してくるときもあります。やり方をきちんと理解して対応してくれる竹永さんのような熟練工が減ってきているので、後継者育成が課題です」と明かす。  一方のインジェクションは、ゴムの流し込みなどが自動化され、大きな機械がいくつも並ぶなかを多くの人が行き来していた。ここでの改善は、製品の成形状況がわかる緑・赤・白の看板。従来のシグナルタワーより見やすいようで、倉敷化工の中国の子会社でも使われるようになったという。 迷わない押印で作業時間も短く  最終段階ともいえる仕上げ工程では、できあがった部品を一つひとつ手に取って不具合がないか確認作業を目視で行っていた。担当者の目の前にあるモニター画面には対象部品のチェックポイントが画像でわかりやすく説明されていて、照らし合わせながら入念に確認している。これも改善の成果だ。  「以前は、品番に合わせて紙のファイルにまとめたものを毎回、棚から引っ張り出して確認していたのですが、いまはバーコード認識で瞬時にモニター画面に映し出されるようになりました」と古吉さん。  モニター脇の台には検査票を置いて担当者名の確認印を押すことになっているが、「押印場所がいくつもあって毎回迷う」という声に応え、1カ所だけ穴のあいた透明な板を載せることで「その穴から押せば間違いない」ようにした。「迷う時間がなくなり作業時間も短くなりました」と高田さんはいう。  ここで働く管理部管理課検査・出荷係の寺脇(てらわき)徹(とおる)さん(44歳)は、入社8年目だ。管理部管理課の検査・出荷係で仕上げ工程を担当しているが、「最初はいろいろな面でとまどうことも多かったです。モニター画面になってから、ほとんどの作業が手っ取り早くなりました。判子を押すのも簡単になってよかったです」と笑顔で説明してくれた。 ゴールは「すごい良くなった」  ほかにも、ちょっとした工夫と親しみやすいネーミングの改善事例の一部を紹介したい。 ・「ドリルトレルンデ」(成形工程):ケースの上に乱雑に置かれていたドリルの刃の並びを整頓して探さずにすむようになり、@だれが使用中かもわかるようにし、Aさらに軍手をはめたままでも取りやすいよう斜めに立てて収容した。 ・「コロピタ助」(金具処理):内筒を並べる作業をするたびに台からの落下が平均3回発生。台面の形状の改善で落下がなくなり、作業時間も早まった。 ・「ミエミエミエール君」(金具処理):完成品の入庫場所を製品別に示す文字が、カラー地に黒文字で見えづらく、何度も確認していた。白地に大きく番号のみ記したことで瞬時に判断できるようになった。  いまも改善活動が続いていることについて古吉さんは、「例えば、新しい従業員が加わると新しい問題が出てきます。また、改善しても使いやすいかどうかは別問題なので、最終的には『すごい良くなった』にならなければゴールではありません。従業員たちの評価レベルも高くなっていますね」と語る。  みどりの活動は2017年、倉敷化工グループが開催した改善活動イベント「第5回KKCグループワールドカップ大会」での最優秀賞受賞をはじめ、公益社団法人日本プラントメンテナンス協会(JIPM)の「優秀改善事例全国大会2017」での大会特別賞受賞、2021年には一般財団法人日本科学技術連盟の「第50回全日本選抜QCサークル大会」で審査委員長賞等を受賞するなど、高い評価を受けている。 業務提携で支援サービス  キョウセイでは、2024年4月からP.P.P.と新たな業務提携をスタートさせた。  まずはP.P.P.が運営する就労継続支援A型事業所から20人程度の利用者に来てもらい、施設外就労をしてもらうことになった。古吉さんによると、背景にはお互いの事情があったそうだ。  「P.P.P.では自動車部品関連の業務を受けていましたが、電気自動車化の流れで仕事の確保がむずかしくなっていました。私たちキョウセイのほうは、特例子会社という立場上、従業員たちの生活面での支援に限界がありました。今回の提携により、P.P.P.の支援サービスを従業員が受けられるようにしました」  すでに多くの改善が実施されている工場内では、就労継続支援A型事業所の利用者にも難易度の高い施設外就労に取り組んでもらい、その分、キョウセイの従業員には新しい業務に挑戦してもらうのだそうだ。また、P.P.P.の就労移行支援事業所のプログラムにキョウセイの工程作業を加えてもらい、作業に慣れたところでキョウセイに入社できる道筋も考えているという。  今後は、従業員の高齢化にも対応していきたいと古吉さんは話す。  「それまで担当していた業務がむずかしくなった場合に、就労移行支援事業所で再トレーニングして業務転換を検討するほか、キョウセイで働くこと自体が困難な場合は就労継続支援事業所を紹介してもらう道もあります。その際は施設外就労として再びキョウセイに来てもらうかもしれませんが、支援者・指導員の方がついていてくれるので、本人も私たちも安心して働ける場になるはずです」  古吉さんたちは、P.P.P.との連携により、キョウセイ全体の事業拡大も見すえている。  「単純労働ではなく、少しでも付加価値の高い仕事をすることを従業員にうながしていきたいですね。キョウセイが請け負う業務も前後工程に幅を広げ、可能なかぎり内製化を進めていきます。そしてこれからも引き続き、キョウセイで働く従業員を増やしながら、キョウセイ全体の自主自立を目ざしていきます」  その実現のためにも、「だれもが悩まない、迷わない作業現場」にむけた従業員主体の改善活動、「みどりの活動」は続いていく。 ★本誌では通常「障害」と表記しますが、株式会社キョウセイ様のご意向により「障がい」としています ※1 5S:「整理」、「整頓」、「清掃」、「清潔」、「しつけ」を通じて、職場の課題を解決するための改善活動のこと ※2 なぜなぜ分析:現場で起きた問題について、単に処置するだけではなく、「なぜ」をくり返しながら根本原因を突き止めて再発を防ぐ手法 写真のキャプション 産業用防振ゴムの生産を手がける株式会社キョウセイ キョウセイの取締役を務める古吉敏之さん(写真提供:株式会社キョウセイ) 工場の一角に置かれた「みどりの活動」のプレート 障がいのある従業員も参加し、治具の試作品づくりに取り組む(写真提供:株式会社キョウセイ) 管理部品質保証課の係長を務める高田哲志さん さまざまな作業リスクを簡略化した独自のピクトグラム(資料提供:株式会社キョウセイ) ひな壇式に四つの箱が並ぶ。ローラーにより容易に積み重ねられる「のせらーく」 小橋さんはゴムの性能検査を担当している 製造部製造課精練係の小橋礼子さん てこの原理を活用したゴムはがし用の治具「らくぽん」 モニターにはチェックポイントがわかりやすく表示されている プレス機で成形作業にあたる竹永さん 製造部製造課成形係の竹永直也さん 押印場所に判子を固定できる伝票ホルダー 寺脇さんは、製品の外観検査を担当している 管理部管理課検査・出荷係の寺脇徹さん 工場の一角では、就労継続支援A型事業所の利用者が施設外就労に取り組んでいる 【P12-14】 JEED インフォメーション 〜高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)からのお知らせ〜 2024年度(令和6年度) 職業リハビリテーションに関する研修のご案内  当機構(JEED)では、医療・福祉などの関係機関で障害のある方の就業支援を担当する方を対象に、職業リハビリテーションに関する知識や技術の習得と資質の向上を図るための研修を実施しています。受講料は無料です。  各研修の詳細・お申込み先などは、JEEDホームページ(https://www.jeed.go.jp)のサイト内検索(各研修名で検索)でご確認ください。みなさまの受講を心よりお待ちしています。 研修 日程 場所 就業支援基礎研修 【対象】就業支援を担当する方 【内容】就業支援のプロセス、障害特性と職業的課題、障害者雇用施策、ケーススタディなど 各地域障害者職業センターのホームページなどで別途ご案内いたします。 ◯◯障害者職業センター 検索 ※◯◯には都道府県名を入力 各地域障害者職業センターなど 就業支援実践研修 精神障害・発達障害・高次脳機能障害コース 【対象】就業支援の実務経験2年以上の方 【内容】障害別のアセスメント、支援ツールの活用方法、ケーススタディなど 令和6年10月以降に全国14エリアで開催します。 就業支援実践研修のホームページなどで別途ご案内いたします。 全国14エリアの地域障害者職業センターなど 就業支援スキル向上研修 精神障害・発達障害・高次脳機能障害コース 【対象】就業支援の実務経験3年以上の方 【内容】障害別の支援技法、職リハに関する最新情報、ケーススタディなど 令和7年1月29日(水)〜1月31日(金) 〔オンライン形式〕 就業支援課題別セミナー 【対象】障害者の就労や雇用に関する支援を担当している方 【内容】令和6年度のテーマは「AI等の技術進展に伴う障害者の職域変化と就業支援」 令和6年11月8日(金) 〔オンライン形式〕 職場適応援助者(ジョブコーチ)に関する研修 職場適応援助者養成研修 【対象】訪問型・企業在籍型職場適応援助者(ジョブコーチ)としての援助を行う予定の方など 【内容】ジョブコーチの役割、作業指導の実際、ケースから学ぶジョブコーチ支援の実際、職場における雇用管理の実際、支援記録の作成など ※集合研修4日+地域障害者職業センターでの実技研修4日程度をすべて受講する必要があります 地域区分 集合研修(日程、開催場所など) 実技研修 東日本:北海道、東北、関東甲信越、静岡、富山 西日本:東海(静岡を除く)、北陸(富山を除く)、近畿、中国、四国、九州、沖縄 8月期 オンライン形式と集合形式の両方の受講が必須 東日本対象 西日本対象 オンライン形式 令和6年8月22日(木)〜8月23日(金) 集合研修終了後に、各地域障害者職業センターが実施 東日本対象 集合形式 令和6年8月29日(木)〜 8月30日(金) 千葉県千葉市 西日本対象 集合形式 令和6年9月4日(水)〜9月5日(木) 大阪府大阪市 10月期 全国対象 集合形式 令和6年10月22日(火)〜10月25日(金) 千葉県千葉市 12月期 オンライン形式と集合形式の両方の受講が必須 東日本対象 西日本対象 オンライン形式 令和6年12月12日(木)〜12月13日(金) 東日本対象 西日本対象 集合形式 令和6年12月19日(木)〜12月20日(金) 千葉県千葉市 大阪府大阪市 2月期 オンライン形式と集合形式の両方の受講が必須 全国対象 オンライン形式 令和7年2月13日(木)〜2月14日(金) 集合形式 令和7年2月20日(木)〜2月21日(金) 千葉県千葉市 職場適応援助者支援スキル向上研修 【対象】ジョブコーチとして1年以上の実務経験のある訪問型・企業在籍型職場適応援助者(ジョブコーチ)の方 【内容】精神・発達障害者のアセスメントや支援方法、アンガーコントロール支援、意見交換、ケーススタディなど 第2回 全国対象 集合形式 令和6年10月1日(火)〜10月4日(金) 大阪府大阪市 第3回 全国対象 オンライン形式 令和7年1月21日(火)〜1月24日(金) 各種研修の詳細はこちら https://www.jeed.go.jp/disability/supporter/supporter04.html <お問合せ先> 職業リハビリテーション部 人材育成企画課 TEL:043-297-9095 E-mail:stgrp@jeed.go.jp ◆令和6年度「地方アビリンピック」開催地一覧◆ 各都道府県における障害者の技能競技大会「地方アビリンピック」が下記の日程で開催される予定です。 アビリンピック マスコットキャラク アビリス 都道府県 開催日 会場 北海道 10月5日(土) 北海道職業能力開発促進センター 青森 10月下旬〜11月上旬 青森職業能力開発促進センターほか1カ所(予定) 岩手 7月27日(土) 岩手県立産業技術短期大学校 宮城 7月6日(土) 宮城職業能力開発促進センター 秋田 7月12日(金) 秋田市にぎわい交流館AU 山形 7月4日(木) 山形国際交流プラザ(山形ビッグウイング) 福島 7月6日(土) 福島職業能力開発促進センター 茨城 7月20日(土) 7月21日(日) 茨城県職業人材育成センター 栃木 7月6日(土) 栃木職業能力開発促進センターほか2カ所(予定) 群馬 7月6日(土) 群馬職業能力開発促進センター 埼玉 7月6日(土) 国立職業リハビリテーションセンター 千葉 11月頃 千葉職業能力開発促進センター(予定) 東京 2月中旬東京障害者職業能力開発校ほか1カ所 神奈川 10月5日(土) 10月19日(土) 関東職業能力開発促進センターほか1カ所 新潟 9月7日(土) 新潟市総合福祉会館ほか1カ所(予定) 富山 7月20日(土) 富山市職業訓練センターほか1カ所 石川 10月20日(日) 石川職業能力開発促進センター 福井 6月22日(土) 7月6日(土) 福井県立産業技術専門学院ほか1カ所 山梨 10月6日(日) 山梨職業能力開発促進センター 長野 7月20日(土) 7月21日(日) 長野職業能力開発促進センター 岐阜 7月13日(土) ソフトピアジャパンセンター 静岡 6月30日(日) 7月6日(土) 7月13日(土) 静岡市東部勤労者福祉センター 清水テルサ ほか2カ所 愛知 6月8日(土) 6月16日(日) 6月23日(日) 6月29日(土) 中部職業能力開発促進センターほか3カ所(予定) 三重 6月29日(土) 三重職業能力開発促進センター 都道府県 開催日 会場 滋賀 11月30日(土) 近畿職業能力開発大学校附属 滋賀職業能力開発短期大学校 京都 2月上旬 京都府立京都高等技術専門校ほか1カ所 大阪 6月22日(土) 7月6日(土) 関西職業能力開発促進センターほか2カ所 兵庫 6月15日(土) 6月22日(土) 兵庫職業能力開発促進センター 奈良 7月20日(土) 奈良職業能力開発促進センター 和歌山 6月29日(土) 和歌山職業能力開発促進センター 鳥取 6月28日(金) 鳥取県立福祉人材研修センター 島根 7月13日(土) 島根職業能力開発促進センター 岡山 7月6日(土) 7月20日(土) 岡山職業能力開発促進センター 広島 7月上旬広島職業能力開発促進センターほか※体験会として実施予定 山口 10月19日(土) 山口職業能力開発促進センター 徳島 9月14日(土) 徳島職業能力開発促進センターほか1カ所 香川 2月頃未定 愛媛 7月6日(土) 愛媛職業能力開発促進センター 高知 6月29日(土) 7月6日(土) 高知職業能力開発促進センターほか1カ所 福岡 7月6日(土) 7月13日(土) 福岡職業能力開発促進センターほか1カ所 佐賀 1月頃佐賀職業能力開発促進センター 長崎 7月6日(土) 長崎職業能力開発促進センター 熊本 6月22日(土) 6月23日(日) 熊本職業能力開発促進センター 大分 10月12日(土) 大分職業能力開発促進センター 宮崎 7月6日(土) 宮崎職業能力開発促進センターほか1カ所 鹿児島 7月6日(土) 7月8日(月) 鹿児島職業能力開発促進センターほか1カ所 沖縄 7月6日(土) 7月20日(土) 沖縄職業能力開発促進センターほか1カ所(予定) ※2024年5月10日現在 詳細は、ホームページをご覧ください。 地方アビリンピック 検索 アクセスはこちら! ・開催地によっては、開催日や種目ごとに会場が異なります。 ・日程や会場については、変更となる場合があります。 障害者雇用を進める事業主のみなさまへ 就労支援機器をご活用ください! 当機構(JEED)の中央障害者雇用情報センターでは、障害者を雇用している、または雇用しようとする事業主に無料で就労支援機器の貸出しを行っています。 「就労支援機器」とは障害者の就労を容易にするための機器のことで、例えば視覚障害者を対象とした拡大読書器や、聴覚障害者を対象とした補聴システム(集音システム)等があります。 (例) 拡大読書器 ●書類や写真などを拡大表示する機器です。 ●コントラストや色調の変更も可能なためより見やすく調整することができます。 ●据置型、携帯型など活用シーンに合わせて選択できます。 補聴システム(集音システム) 受信機 マイク送信機 ●話者の音声に限定して拡大できる補聴システムで、補聴器とあわせて使用することで効果を発揮します。 ●周囲の騒音を取り除く機能や任意の方向からの音声を選別して集音する機能があるため、会議等の仕事の場面でも有効です。 ノイズキャンセラー パーテーション ●視覚的・聴覚的環境刺激を低減させることで、周囲の状況に影響されずに集中できる環境を整えます。 貸出しの対象 障害者を雇用している、または雇用しようとしている事業主 ※国、地方公共団体、独立行政法人などは対象外です 貸出し期間 原則、6カ月以内 ※職場実習やトライアル雇用の場合も利用できます (正当な理由がある場合にかぎり、1回のみ延長可能) 貸出しの流れ 申請書の提出 申請書を記入し、メールまたは郵送でご提出ください。 ※申請書はJEEDホームページよりダウンロードできます 貸出し決定 申請のあった事業主に対し、申請内容を確認のうえ決定内容を通知し、機器を配送します。 貸出しの終了・回収 JEEDが契約している業者が回収にうかがいます。 ※申請前に対象機器の貸出し状況等について下記までご照会ください お問合せ 中央障害者雇用情報センター 〒130-0022 東京都墨田区江東橋2-19-12 ハローワーク墨田5階 TEL:03-5638-2792 E-mail:kiki@jeed.go.jp 就労支援機器を展示しているほか、導入に関する相談も行っています。 就労支援機器はJEEDホームページで詳しくご紹介しています https://www.kiki.jeed.go.jp 就労支援機器のページ 検索 【P15-18】 グラビア みんなが笑いあいながら働ける職場 ナブテスコリンク株式会社(岐阜県) 取材先データ ナブテスコリンク株式会社 〒503-2114 岐阜県不破郡(ふわぐん)垂井町(たるいちょう)府中(ふちゅう)300-1 TEL 0584-24-1123 FAX 0584-23-5085 写真・文:官野 貴  岐阜県不破郡(ふわぐん)垂井町(たるいちょう)にある「ナブテスコリンク株式会社」は、機械部品メーカー「ナブテスコ株式会社」の子会社として2015(平成27)年に設立され、2016年10月に特例子会社の認定を受けた。2024(令和6)年4月現在、障害のある社員14人(身体障害3人、知的障害10人、精神障害1人)が農産物生産、書類の電子化や名刺作成など、さまざまな業務に就いている。  一日の業務は、体操と朝礼からスタートし、午前中に農作業、午後は名刺作成などの室内作業が行われる。取材の日、体操では音楽が途中で止まってしまうトラブルもあったが、みんなが声を出しあい、何事もなかったかのように体操が進み、チームワークのよさが示された。  この日最初の作業は、枝豆栽培に備えたマルチ張り作業だ。ロールを延ばしていく係、シートを固定する係など、一連の作業がチームワークで手際よく進められる。その後は、ハウス内でイチゴやミニトマトの収穫だ。農作業で生産された作物は、ショッピングモールなどの農産物直売所で販売され、好評を博している。農作業は土づくりから育成、出荷、販売までを一貫して体験でき、作業内容も障害のある社員の特性にもマッチし、生産する喜びとそれを買ってもらう喜びを体感できるという。  午後は室内作業。名刺作成はグループ企業全体の名刺を請け負っており、ひと月あたりおよそ100〜200件、約1万枚におよぶ。図面の確認作業は、2人1組で特製の指差し棒を使って進める。図面番号などを声に出して読み上げ、ダブルチェックが行われる。作業服のピッキングでは、グループ企業からの注文リストを読み上げる係、作業服を取り出す係など役割を分担し効率よく、そしてミスのないように作業にあたる。障害のある社員やサポートをするスタッフが、真剣に、ときに笑いあいながら楽しく働く姿が印象に残った。 写真のキャプション 社屋前に社員とスタッフ全員が集まって体操を行い、一日がスタート 朝礼では、連絡事項やオリジナルの安全標語が読み上げられる ホワイトボードに、一日の業務と担当する作業が記入されている 耕した畝(うね)にビニールシート(マルチ)を張り、マルチ押さえでシートを固定、さらに鍬(くわ)で土をかけていく 傷がついてしまうと商品として出荷できなくなるため、やさしく取り扱う 傷などをチェックし、大きさを揃えてパックに詰める 既定の範囲内に重さを揃える。指差し呼称でミスを防ぐ ミニトマトの収穫。大きさや色で熟れ具合を判断し収穫する 社屋に戻り、ミニトマトの出荷作業。大きさや傷などをチェックし、濡れ布巾で磨く。ヘアキャップ、マスク、手袋を着け衛生的に扱う 玉ねぎ畑の除草と追肥(ついひ)の作業。それぞれ担当するブロックが決まっており、思い思いのファーム名をつけ、愛情を込めて栽培している 名刺作成での一コマ。ロゴの有無などで複数の用紙があるため、指差し呼称とダブルチェックでミスを防ぐ 用紙を複合機にセット。向きにも注意が必要 印刷のかすれや汚れをチェック 作業服のピッキング。注文に応じて作業服を倉庫から集め、グループ企業へ発送する 特製の指差し棒で図面とデータの整合性をチェックする 【P19】 エッセイ 印象深い海外の視覚障害者 最終回 アイン・ビエト・ディン(ベトナム) 日本点字図書館 会長 田中徹二 田中徹二(たなか てつじ)1934(昭和9)年生まれ。1991(平成3)年、社会福祉法人日本点字図書館館長に就任。1993年、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)の「アジア太平洋障害者の十年」のスタートを機に、アジア盲人図書館協力事業を立ち上げた。マレーシアを起点に、アジア太平洋諸国で点字印刷がないところを対象に、点字印刷技術を指導。2004年からは視覚障害者個人向けに、パソコン技術指導も行っている。2001年4月から2022(令和4)年3月まで日本点字図書館理事長、現在は会長。  社会福祉法人日本点字図書館(以下、「日点」)は、2004(平成16)年からアジア太平洋地域の視覚障害者にパソコンの使用訓練を始めた。スクリーンリーダーの入ったパソコンを各人に渡して、キーボードの操作から指導した。当時のアジアでは、たとえエリートであっても、パソコンを持っている視覚障害者はほとんどいなかった。  アインは、東京で開いた第1回目の講習会に参加してきた。ベトナム盲人協会(以下、「VBA」)のリハビリテーションセンターで点字などを指導するかたわら、あちこちの大学に顔を出してさまざまなことを学ぶ若い女性だった。英語が堪能で、しかも優秀な彼女が、自由に文字が打てるようになったら、能力をさぞかし発揮するだろうと思われた。また、リハビリテーションセンターでもパソコンの学習が始まれば、その指導者になれる。予想通り彼女はVBAのなかで重視されるようになっていった。  アインは2007年には29歳の若さで、ハティン省のVBA支部の副会長になった。2年でハティン省からVBA本部に呼ばれると、リハビリテーションセンターの副所長に任命されたのである。そして、39歳からVBAの副会長として、文化教育部、国際部、女性部を取り仕切っているのだ。  私は、アインがハティン省にいるときに訪ねた。点字印刷技術を導入したいと申請してきたからだ。駅までアインがタクシーで迎えに来てくれた。タクシーで小一時間ほどの町は、人の気配をほとんど感じない静かなところだった。こんなところにも点字を読む視覚障害者はいるのかと思ったのを覚えている。  日点のパソコン指導は、いまも続いている。指導を始めて3〜4年もしないうちに、アジアのパソコン事情は一変した。視覚障害者にもパソコンがいきわたるようになり、初級訓練は必要なくなった。そしていまでは、プログラミングなど高度な指導が中心になっている。アインは中級、上級とその都度3コースに参加したのである。  アインが結婚したのは31歳、ハティン省から帰ってきたときだ。相手は同じくVBAのリハビリテーションセンターで働く男性だ。ハノイで会ったことがあるが、もの静かな視覚障害者だった。子どもは二人いて、いま、娘は14歳、息子は8歳だという。もう手を離れているので、仕事に集中できるだろうが、子どもが幼いときは家庭のやりくりには苦労したに違いない。彼女はこのように全盲ながら、仕事も家事もりっぱにこなしている女性なのである。40代半ばで、VBAの副会長を続けているのだから、アインがいかに支持されているかがわかるというものだ。  VBAは、英国王立盲人協会やスペイン盲人協会のように、その国の視覚障害者対策を一手に引き受けている団体だ。政府の支援も受けており、ベトナムでの力は大きい。全国各地に支部があり、視覚障害者が所属する施設などを多く管理している。例えば、視覚障害者を中心に10人前後が集まるグループを全国で135も管理しており、所属人数は4200人に達するという。そこでは、手工芸品、つまようじ、箸、苗木、バッグ、キーホルダーなどをつくる仕事をしている。わが国の就労継続支援事業所のようなものに違いない。  アインによると、ベトナムの視覚障害者の職業はマッサージ師が多く、視覚障害者が運営するマッサージ店は800以上あるという。さらに、農業に従事する人も多く、家族とともに牛、鶏、アヒルなどを飼育している。VBAのリハビリテーションセンターは、職業訓練として年間約200人の視覚障害者に、マッサージ、IT、手工芸品、農業などを指導しているという。視覚障害者の就労に向けて、ベトナムでもむずかしいながら努力を続けているといってよい。 【P20-25】 編集委員が行く 町をあげて「幸せな就労」を支えるIPSを活用した就労の実現とその意義 社会医療法人清和会 西川病院、石見食品株式会社(島根県) 有限会社まるみ 取締役社長 三鴨岐子 取材先データ 社会医療法人清和会 西川病院 〒697-0052 島根県浜田市港町293-2 TEL 0855-22-2390(代表) 石見(いわみ)食品株式会社 〒697-0006 島根県浜田市下府町(しもこうちょう)388-60 TEL 0855-28-1211 編集委員から  精神障害のある方々が就労できるように、さまざまな訓練プログラムが研究・開発され、日々多くの人が訓練に取り組まれています。適性を調べ、合致していると思われるものを習得して伸ばし、雇用の場へ移行していきますが、実際に働いてみるとうまくいかないこともあり、なかなか定着しない現実があります。米国で開発されたIPSという手法は、真逆の発想で、トレーニングをすることなく就労し、その後、職場で働きながら能力を開発していくものです。今回は、先進的にIPSを取り入れて成果をあげている島根県浜田市の病院と企業を取材しました。 Keyword:精神障害、病院、医療スタッフ、地域連携、就労支援、IPS、作業療法士、精神保健福祉士、工場、もにす認定 POINT 1 精神障害者の回復において、就労が一つの手段となっている 2 IPSという就労支援手法を取り入れ利用者をサポート 3 病院が中心となり、障害者雇用を地域企業に波及させていく IPS「個別就労支援プログラム」とは  IPSとは「Individual Placement and Support」の略です。「Individual」は「個別の」、「Placement」は「配置・就職斡旋」、「Support」は「支援」を意味します。日本語では「個別就労支援プログラム」などと呼ばれています。IPSは、アメリカで1990年代より開発された手法です。日本の一定規模の企業には法律で定められた障害者の雇用の義務があり、それを満たす目的で障害者の就労を実現する訓練プログラムが多く存在しますが、それは当然ながら就労という結果を目的とするものです。反対にIPSの発祥は、精神疾患の回復には就労が効果的だという、医療側からのアプローチです。その効果の高さから、最近では就労移行支援事業所などで、IPSを活用しているところも増え始めています。 障害者の就労を支えるのはだれか  障害者は日常生活そのものに困難があるということは、容易に想像することができます。日常生活の困難を克服しなければ、就労継続はむずかしい。日常生活支援までを雇用側がになうことへの負担があることから、最近は、福祉・医療の専門家の意見を取り入れることが有効であると考えられ、雇用・福祉・医療の連携の重要性、必要性を感じている方も多いと思います。  今回、島根県浜田市において、病院の医療スタッフによるIPSを活用した就労支援が成果を上げていると耳にし、社会医療法人清和会の西川病院と、就労先のひとつである石見(いわみ)食品株式会社を取材しました。 西川病院林先生の一般就労への思い  西川病院では、医師であり同法人理事長の林(はやし)輝男(てるお)さん自らがリーダーとなり、2016(平成28)年よりIPSを導入しています。法人として就労移行支援事業で行うか、精神科デイケア(※1)で行うかを議論し、デイケアのプログラムとして行うことを決めました。  林さんから一般就労への思いをお聞きしました。  「私は広島県出身ですが、精神科医になった当初、教授からのすすめで島根県浜田市の西川病院に診療援助に行くことになりました。通常であればおそらく閉鎖病棟に入院するような患者さんが、外を歩いたり庭でくつろぐ姿を見て驚きました。当時(1992年ごろ)は、日中は多くの患者さんが漁港で魚の選別作業や、トロ箱づくりなど、院外作業で働きに出ていました。『やればできるんだな』というのが最初の実感でした。半日働く人もいれば、夕方まで働く人もいる。診察を通してこういった患者さんたちと触れ、『必ずしも症状がすべてなくならなくても、働ける人はいっぱいいるのだ』と感じました。  その後、ご縁がありアメリカで研究を行うことになり、15年間アメリカで暮らしました。地域の花火大会では『統合失調症協会』、『メンタルヘルス協会』などのブースがあり、精神疾患があっても地域で活発に活動する姿を見て、日本の遥か先を進んでいるな、とたいへん驚きました。帰国後は患者さんのそばの医療現場に戻ることを選び、浜田市に戻りました。  人口約5万人の浜田市にある西川病院は、医療機関としての役割だけではなく、『住む』、『営む』、『働く』を運営の基本として地域生活支援を網羅し、グループホーム、地域活動支援センター、生活介護事業所、就労継続支援A型・B型事業所(おもに病院内の業務を担当)、相談支援事業所、訪問看護ステーションなどを運営しています。  最近、国は『精神障害者にも対応した地域包括ケアシステムを普及しよう』といっています。医療と福祉と社会参加、この三つが重なる部分で精神障害者を支えようというコンセプトは非常によいのですが、現状は医療と福祉だけにとどまってしまい、社会参加がむずかしい。ではどのように社会参加すればよいかというと、最もよいのが『一般企業への就職』です。私たちはここに力を入れています」 IPSの特徴  「現在就労移行で主流の考え方は、保護された訓練環境のなかで、できることを増やしてから就職する『Train-Place Model(トレイン プレイス モデル)』です。安心しながら一般就労を目ざすことができると想定されますが、時間がかかる。また、就労移行支援の訓練の場から職場に『移行』したときは、支援者間の連携が大切だといわれますが、上手な連携には相当高度なテクニックが必要で、実際はかなり苦労していると思われます。一方、IPSは真逆で、まずは就労してしまい、支援を受けながら訓練していく『Place-Train Model(プレイス トレイン モデル)』です。IPS支援スタッフは職探しから就労後の支援まで、同じ人が担当する伴走支援のため、引継ぎの切れ目というデメリットがありません」と林さんは説明します。  また、IPSには科学的に効果が実証されている八つの原則があります(図)。  障害のある人の就労先としては、就労継続支援A型・B型事業所のほか、特例子会社などもありますが、IPSでは一般企業で、ほかの従業員と一緒に働くことを想定しています。福祉的・保護的環境ではない場で、個別支援を受けて働くことも特徴といえます。 西川病院におけるIPSの実際の運用  取材では、週に一度開かれる「清和会IPS就労支援チーム」(以下、「S・IPS(シップス)」)の定例ミーティングに同席させていただきました。  S・IPSにはスーパーバイザーである林さんのほか、1人の作業療法士と1.25人の精神保健福祉士が在籍しています(1人は他部署と兼任であるため、0.25人換算)。なぜ厳密にスタッフ数をカウントするのかというと、IPSでは1人のスタッフが担当できる患者数が約20人と決まっているからだそうです。  ミーティングは、林さんの「今週のグッドニュースを教えてください」という言葉から始まりました。支援スタッフの川本(かわもと)悠大(ゆうた)さん、瀧山(たきやま)友香(ともか)さんから、ある利用者さんが240日間の支援で就労が決定した報告がされました。支援開始から何日経ったのか、全員分が一覧表になっていて、だれが長くかかっているか、そろそろだれが卒業したらよいかを話し合います。月に1回、病院内の各所とのミーティングも行い、次に就労に進めそうな人のリストアップもしていて、45人の定員に空きが出るのを待っている人が何十人もいるとのことでした。それから一覧表を見ながら、1週間で変化のあった人の報告をします。それは職場の話のほか、生活面や病状のこと、転職を考えていることなど多岐にわたっていました。  ある一人の利用者さんに、どのような仕事が向いているかも、時間をかけてアイデア出しをしました。まずは、ご本人の希望(日数、時間数、場所、体力的なこと、好み、収入など)を共有し、それを実現できそうな職場をみんなで考えていきます。その際、ついついできないことに目がいってしまいますが、ご本人が保持する強みに着目することが重要だそうです。例えば、特性上、細かい仕事は苦手だったり、膝が痛いという情報もありましたが、両親と同居していて、生活面は安定していること、とても家族思いであること、運転免許証と車を持っていることが共有されました。さまざまな業種のなかから「接客業が向いているかもしれない」という意見も出ました。  話にあがってくるすべての利用者さんのことを、医師である林さんがよくご存じで、利用者さんの情報がさまざまな角度から、より深く共有されていました。林さんが担当ではない利用者(患者)さんのことは、主治医にこまめに連絡しているそうです。  林さんが全体を把握して、介入の仕方などをアドバイスしていました。とにかく林さんは小さなニュースでも「よかった、よかった」と受けとめておられ、ニコニコとアドバイスをしている姿が印象的でした。  S・IPSは開始して丸8年で、2023(令和5)年3月までに2人の就労支援専門員で164人を支援。就労実績は約60%。訪問した事業所の数は369社です。活動は米国IPSのルールに忠実に行っているそうです。病院・事務所で面談をすることもありますが、活動時間のうち、約70%は地域に出かけていくルールです。ある利用者の職場移転で通勤経路が変わったため、バス停で待ち合わせて経路を一緒に確認し、その後は別の利用者の職場を訪問し職場の管理者と面談し、相談に乗ります。午後はハローワークに行って求人と求職者の情報マッチングをする、というような感じです。  IPS八つの原則のなかでなによりも重要なのは、本人の「希望」や「好み」を優先することだそうです。「希望」からスタートしたときに、人はやる気が高まり、能力も伸びやすくなるということでしょう。  しかしこれには、求職者を受け入れる職場へのサポートも欠かせないと感じています。IPSでは職場への支援も、本人支援とセットで大切にされています。これが、就労準備ができていない利用者が入念な準備をせずに働きはじめても、うまくいく秘訣なのだと思います。 病院と地域をつなげる活動  先述の通り8年間で2人の就労支援専門員が訪問した事業所の数は369社です。浜田市の総事業所数は3495事業所(※2)ですので、約1割の企業を訪問したことになります。「どのような仕事があるか」や「精神疾患を経験した方を雇用する意思があるか」なども、それとなくヒアリングするそうです。そのうち、働いてくれるならお願いしたいという企業が約半分の47%ありました。これは大きな手ごたえです。半数もの企業が精神障害者の雇用に前向きというのは驚きです。2014年の調査(※3)では、浜田市の生産年齢人口割合が52%で、日本全体では61.3%でした。つまり、働き手不足が全国平均よりも進行していると考えられます。  加えて、S・IPSのような医療従事者が直接バックアップして支援することに安心感があったこともあり、47%というすばらしい数字になったと思われます。  西川病院は、地域全体で精神障害者の就労を考える気運を高めるため、浜田市から基幹相談支援センターの委託を受け、直接ネットワークづくりに乗り出しています。副市長を訪問してアドバイスをもらったり、ほかの支援事業所を訪問するなど、絵にかいた餅にならないようなアクションが実効的だと思いました。ほかにも、地域で啓蒙(けいもう)映画の上映会をしたり、病院内で就労経験者に語ってもらう会を開いたりして、働く当事者の声も広げています。 S・IPSのみなさんからコメントをいただきました 川本悠大さん  毎日の活動は、予定通りにならないこともたくさんありますが、何がたいへんかとあらためて聞かれると、結構忘れてしまっていますね。一緒に作業を経験させてもらって、いつもとは違う面が見られたりするのがおもしろいです。働くことがすべてではないですが、就労に向けて動くことがリカバリーの過程の一つとして、その人が自分らしい人生を見つけたり、やりたいことを実現できる支援をしていきたいと思っています。 瀧山友香さん  大学時代の実習でIPSを知りました。一人の人と深くかかわるIPSの伴走支援は、むずかしさもありますが、ご本人の成長を見られたり、就職先が決まったりしたときは、とてもうれしいです。面接に同行する途中で虹が出ていたときがあり、「いいことありそうだ!」と面接に臨んだら、その場で採用決定になったことがありました。虹を見たことで二人のよい思い出になったことを覚えています。 林輝男さん  この取組みが他地域でも広がってほしいと思っており、問合せをいただいた病院とのZoom勉強会などを重ね、IPSを開始された病院もいくつか出てきました。この先、どこの街にも一つはIPSチームがあるような社会になればよいと思います。一緒に働く人が増えることで、精神障害に対する理解や気づきが市民の間に広がってほしいです。 働く人たちを訪ねて  西川病院のみなさんに見送られ、午後は車で10分ほどの場所にある石見食品株式会社(以下、「石見食品」)へ移動しました。創業61年になる石見食品は、大きな二つの工場で豆腐、油揚げ、厚揚げ、惣菜などを製造・販売しています。代表取締役社長の石田(いしだ)浩志(ひろし)さんに迎えていただきました。  従業員63人のうち、障害のある従業員は5人です。30年前に当時の養護学校から新卒で入社した森川(もりかわ)ゆき子さん、中途採用で入社して1カ月の高橋(たかはし)貴弘(たかひろ)さんの職場を取材させていただきました。  森川さんは豆腐工場で、レーンに流れ てくる豆腐を、一つひとつ手に取り、へ こみ、崩れ、印字ミスがないかを目視し、 パレットに並べていく作業を行っていま した。豆腐は一定の速さで流れてくるので、 手を休めることができません。水分が多 いものなので、パレットも重いと思われ ます。気の抜けないたいへんな作業だと 感じました。  「森川さんは勤続30年のベテランですので、工場のどんな仕事もこなせますし、みんなが敬遠しがちな仕事を率先して引き受けてくれる頼もしい存在です」と、説明してくださる石田さんの言葉から、従業員との信頼関係を感じました。  高橋さんは、S・IPSから石見食品のことを聞き、応募し採用されました。取材時は揚げ物をつくる場所で、パレットの洗浄などを行っていました。豆腐製品の製造は、いくつもの工程があるので、ベテランの先輩方に教えてもらいながら、すべての工程を覚えるのが目標で、定年まで勤めたいと力強く語ってくださいました。 もにす認定、地域での役割  石見食品はS・IPSだけでなく、地域のさまざまな支援機関とつながり、障害のある方の就労先としての門戸を広げています。徐々に高齢化していく地域のなかで、一定の配慮が必要であっても、工場で活躍してくれる人の存在はとても大事だということです。  社是は「作ることへの喜びを感じ、働くことへの生きがいを感じ、感謝の気持ちを大切にしよう」です。障害のあるなしにかかわらず、採用の際の大切な基準は、「挨拶ができる人」とおっしゃっていました。たとえ仕事ができたとしても、挨拶ができない人は、職場で孤立しがちになる、と石田さんはじつによく全従業員を見ておられます。  同社は2023年11月22日に、島根県内で13番目となる、「もにす認定(障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度)」を受けられました。浜田圏域では第1号認定となります。西川病院などの取組みの成果として、浜田圏域では、障害者雇用を行う事業所が増えていますが、そのなかでも同社はリーディングカンパニーとしての役割をお持ちなのではないか、と感じます。  障害者雇用を、西川病院のような医療機関が率先して広げているのはとても珍しいケースで、浜田圏域の可能性の大きさを感じます。企業交流会も開催されるようになり、ハローワークからの声かけなどもあって、同社をはじめ多くの企業が集まっているそうです。支援機関連携のほか、気軽に相談し合えるような会社同士の連携があれば、地域としてさらに障害者雇用が進んでいくものと思われます。 おわりに  私は企業側の人間として、IPSは専門家が行うもの、むずかしいものという先入観があり、苦手と考えていました。しかし今回の取材で、当事者支援と企業支援がセットだと学び、「Train-Place Model」の連携のむずかしさを解決できるものだという可能性を感じました。  1社だけではなく、地域として精神障害者雇用が浸透していくことの相乗効果もあり、そのけん引役を病院がになっていることもすばらしい取組みでした。もちろん、就労できる人が増えれば、元気になる人も増加しますので医療費の削減にもなります。  利用者にとって、就労は決して簡単なことではありません。「『やれんねー』と思うこともたくさんある」と、S・IPSでお聞きしました。しかし、うまくいかないことがあっても、「『どうねー、どうねー』といいながら、利用者の斜め後ろからついていく支援」と話していた林さんの言葉から、利用者の幸せを願う温かな思いを感じる取材となりました。 ※1 精神科デイケア:精神障害者の社会生活機能の回復を目的として個々の患者に応じたプログラムにしたがってグループごとに治療するもの。実施される内容の種類にかかわらず、その実施時間は患者一人あたり一日につき6時間を標準としている(精神科医師、作業療法士、精神保健福祉士、臨床心理技術者、看護師などが在籍する) ※2 総務省「平成26年経済センサスー基礎調査」(2014) ※3 総務省「人口推計(平成26年10月1日現在)」 図 「IPS八つの原則」 1 競争的雇用に焦点が当てられている  重い精神障害がある人たちは目標を一般雇用において、それを達成することができると考える。 2 仕事探しをいつ始めるのかはクライエントの選択に基づいている  働く準備ができているかどうかの評価・診断・症状・不法薬物の使用歴・精神科病院への入院歴・障がいの程度または刑事罰を受けた過去などによって、働くことを望む人々を排除しない。 3 リハビリテーションと精神保健サービスの統合  IPSプログラムは精神保健治療チームと統合されている。 4 クライエントの好みを尊重する  サービス提供はプロバイダーの判断よりむしろクライエントの好みと選択に基づいている。 5 個別の経済的カウンセリング  就労スペシャリストは、クライエントのために社会保障、医療扶助他の公的援助に関する個人用にカスタマイズされ、分かりやすく、かつ正確な情報を得るのを援助する。 6 迅速な職探し  IPSプログラムでは就職のためのアプローチとして、長期にわたる職業前評価や訓練・カウンセリングを行うよりもむしろ、クライエントが直接仕事を得るのを助けるために迅速な職探しをするアプローチを用いる。 7 系統的な職場開拓  就労スペシャリストは、計画的に地元の雇用者と接触を持つことによって、クライエントの興味に基づく雇用者ネットワークを構築する。 8 無期限の個別支援  クライエントが望み、必要とする限り、フォローアップ支援は個別に判断されて継続される。 出典:日本IPSアソシエーション(JIPSA)ホームページ(https://jipsa.jp/ips/about-ips-3) 写真のキャプション 社会医療法人清和会 西川病院 社会医療法人清和会理事長で精神科医の林輝男さん S・IPSの事務所やデイケアが入る作業療法棟 S・IPSの定例ミーティングに同席させていただいた S・IPS就労支援専門員で精神保健福祉士の瀧山友香さん S・IPS就労支援専門員で作業療法士の川本悠大さん 豆腐工場で働く森川ゆき子さん 石見食品株式会社代表取締役社長の石田浩志さん 石見食品では豆腐や油揚げなどを製造している 石見食品株式会社 本社豆腐工場 豆腐工場で働く高橋貴弘さん 高橋さんはパレットやラックの洗浄などを担当している 【P26-27】 クローズアップ 障害のある人とスポーツ 第5回 〜知的障害とスポーツ、聴覚障害とスポーツ〜  「東京2020パラリンピック競技大会」を契機に注目を集めているパラスポーツ。第5回は、知的障害のある人、聴覚障害のある人が取り組んでいるスポーツについてご紹介します。そこで、東京都障害者総合スポーツセンターと一般財団法人全日本ろうあ連盟デフリンピック運営委員会にお話をうかがいました。 取材協力 東京都障害者総合スポーツセンター 〒114-0033 東京都北区十条台1-2-2 TEL 03-3907-5631 https://tsad-portal.com/mscd  東京都が設置し公益社団法人東京都障害者スポーツ協会が運営する複合スポーツ施設。障害のある人やその介助者が利用でき、体育館や運動場などの体育スペースのほか、集会室や研修室、宿泊施設も完備している。同協会運営で、東京都多摩障害者スポーツセンター(東京都国立市)もある。 知的障害とスポーツ  知的障害のある人が行うスポーツには、陸上競技や水泳、卓球、バドミントンなどがあります。東京都障害者総合スポーツセンター(以下、「スポーツセンター」)には、はじめは家族と一緒に訪れる人が多いそうですが、スポーツセンターの雰囲気やスポーツをすることに慣れてくると1人で通えるようになり、その後運動レベルが同じくらいの仲間同士で練習する人たちもいます。1人で訪れてもスポーツを楽しめるよう、職員が利用者をサポートする環境も整備されています。  また、知的障害のある人の運動能力は多くの場合、一般の人と変わりません。障害の程度によりますが、競技ルールが理解できればスポーツを楽しむことができます。そして、けがやルール違反が起こらないよう、周囲がサポートする場合もあります。スポーツセンターでは職員がサポートを行い、障害者団体での利用やスポーツ大会なども開かれています。 卓球に励んで12年、大会参加も  樅山(もみやま)駿(しゅん)さん(「株式会社KDDIチャレンジド」勤務)は、休日になると、家族と一緒にスポーツセンターを訪れ卓球の練習をしています。樅山さんが卓球を始めたのは12歳のとき。「短い時間でもスポーツに触れる時間をつくって楽しんでほしい」という父親の思いもあって、毎日のようにスポーツセンターを訪れていたそうです。練習を重ね、24歳になったいまでは、知的障害者参加の卓球大会のみならず、一般の卓球大会に参加するまでになりました。練習に励みながらも「卓球は楽しい」と話してくれました。  スポーツセンターには、常時10〜20人程度の職員が常駐し、利用者をサポートしています。  「最初はうまくできなかった人が徐々に上達していくのを見て一緒に喜んだり、『次はここまでやってみましょうか?』などアドバイスしながら、少しずつできることを増やしていけるようお手伝いしたりしています」と、職員の石巻(いしまき)詩織(しおり)さんは話してくれました。利用者にとってもスポーツを一緒に楽しんでくれる職員のバックアップは、大きな励みになっているようです。 聴覚障害とスポーツ  聴覚障害のある人は、ほとんどのスポーツを障害のない人と一緒に行うことができます。  マラソンなどの陸上競技や水泳、サッカーやバレーボール、空手などのスポーツに参加が可能です。聴覚障害のある人とともにスポーツをする場合、伝えたいことは、ランプや旗などを利用したり、ジャスチャーなどを工夫したり、目で見てわかるようにします。 きこえる人と同じ競技を楽しむ  「聴覚障害のある人の身体動作の自由度は、きこえる人と変わりません。そのため、きこえる人と同じ競技を楽しんでおり、選手として一般の競技に出ることも珍しくないと思います」と、一般財団法人全日本ろうあ連盟デフリンピック運営委員会事務局長の倉野(くらの)直紀(なおき)さんは話します。  「聴覚障害のある人がスポーツを始めるきっかけは、保護者からのすすめや、家族・友人がやっているのを見て始める人、学校のクラブ活動、またはスター選手に憧れてなど、一般の人がスポーツを始めるきっかけと大差はないと思います。選手で活躍している人のなかには、アスリート雇用で企業に勤めている人もいらっしゃいます」と倉野さん。活動の場は広がっています。  2025年に「第25回夏季デフリンピック競技大会東京2025」が開催されます。デフリンピックは、聴覚障害のある当事者が運営する国際大会です。大会のビジョンの一つに「“誰もが個性を活かし力を発揮できる”共生社会の実現」が掲げられています。  「『共生社会』とは何かということを示し、社会を変える大会にしたいと考えています」と、デフリンピックへの思いについても、倉野さんは話してくれました。 *****  最終回となる次回は、この連載をふり返り、第1回執筆者の日本福祉大学教授の藤田(ふじた)紀昭(もとあき)さんに、パラスポーツについて総括していただきます。 取材協力 一般財団法人全日本ろうあ連盟 デフリンピック運営委員会 〒162-0053 東京都新宿区原町3-61 桂ビル2F TEL 03-6302-1448 https://www.jfd.or.jp/sc/deaflympics  2025年東京で開催される東京2025デフリンピックに向けて、一般財団法人全日本ろうあ連盟の内部に設置された組織。自治体や関係機関と協働しながら、大会準備を進めるとともにデフアスリートやデフ競技について周知啓発を行っている。 パラスポーツ ◆ミニ知識◆ スペシャルオリンピックスとは  スペシャルオリンピックス(SO)は、1968(昭和43)年、故ケネディ米大統領の妹ユニス・シュライバーが、当時スポーツを楽しむ機会が少なかった知的障害のある人たちにスポーツを通じ社会参加を応援する組織として設立しました。知的障害のある人たちへ多様なスポーツトレーニングとその成果を発表する場である競技会を、年間を通じ提供している国際的なスポーツ組織です。  スペシャルオリンピックス日本は、1994(平成6)年に設立され、今年30周年を迎えます。「2024年第8回スペシャルオリンピックス日本冬季ナショナルゲーム」(2023〈令和5〉年11月〜2024〈令和6〉年2月)を長野県と北海道で開催、全8競技を実施し、470人以上のアスリートが参加しました。本大会に参加したアスリートたちから、2025年SO冬季世界大会・トリノに派遣する、SO日本選手団が選考されます。 写真のキャプション ○C Special Olympics Nippon (左から)父親の樅山さん、駿さん、スポーツセンター職員の石巻さん 卓球の練習をする樅山駿さん 【P28-29】 研究開発レポート 14年間の追跡データから見た障害者の就業状況 〜職業生活からの引退の傾向〜 障害者職業総合センター研究部門 社会的支援部門 1 はじめに  障害者の就労支援は、就職までの支援にとどまらず、職場定着、就業継続、さらに職業生活からの引退といった「職業サイクル」全体を支えることが、ますます重要になってきています。そのような課題には、障害種別等による違いだけでなく、年齢に応じた体力や生活状況等の変化、さまざまな制度、サービス、職場環境の変化を経験してきた世代間の違い、経済状況等の全般的な社会的動向等、さまざまな要因が関連する可能性があります。  当機構の障害者職業総合センター研究部門では、「障害のある労働者の職業サイクルに関する調査研究」アンケート調査において、2008(平成20)年度から16年間の長期継続調査(パネル調査)として、障害者の就職、就業継続、離職の各局面における状況と課題を把握しており、2023(令和5)年現在、14年目までの調査結果を集計して、長期継続調査データに基づいて、職業生活からの引退についての分析を行いました。その結果、以下に示すように、障害種別によって中高年齢期の就業継続の意向や就労率が異なっていることが示唆されました。企業における雇用管理の改善や今後の施策展開においても、世代や年齢の違いも考慮したきめ細かな支援ニーズの理解がいっそう必要と考えられます。 2 調査の概要  本調査においては2008年度の開始時に就業していた障害者について、40歳未満の「前期調査」グループ、40歳以上の「後期調査」グループを設定し、その後の就業状況にかかわらず、それぞれ2年ごとにアンケート調査を行い追跡しています。開始から14年を経て一部調査対象から外れた調査対象者もいますが、第1期から第7期までの全回答者1126人の延べ4912件の回答を得ており、調査時点の就労状況が不明の者および年齢が不明な者を除いた4878件の就労状況のデータを得ています。  アンケート調査の内容は、障害者の職業生活を幅広くとらえる観点から、調査対象者の基本的な属性に関すること、職業に関すること、職業以外の生活における出来事等に関する質問と満足度等の意識に関する質問により構成しています。また、前期調査、後期調査とも同一の内容、調査対象者個人の変化を確認するために、基本的には第1期の調査から共通としていますが、時勢の変化を踏まえた質問の追加等も一部行っています。  14年目の調査となる第7期調査では、前期調査と後期調査を合わせて視覚障害者103人、聴覚障害者208人、肢体不自由者225人、内部障害者107人、知的障害者263人、精神障害者103人、計1009人を対象に実施しました。うち577人から回答(回収率57%)を得て、回答者の平均年齢は、「前期調査」グループは40.5歳、「後期調査」グループは58.9歳でした。 3 就業状況の経年変化(図1)  一般に、集団の行動様式等は、単純に年齢だけに影響されるのではなく、世代別の影響も強いため、長期継続調査(パネル調査)では、出生年によるグループ(以下、「コホート」)別の集計が重視されます。今回の分析では、回答者を生年により10年ごとに分けたコホート(1950年代生、1960年代生、1970年代生、1980年代生)別に、2年ごとの7期分の就業状況の変化を集計しました(図1)。  全体としては、1950年代生まれでは第5期に57歳から67歳となることから、それ以降に就労率が低下していました。1960年代生まれ以降のコホートでは第7期でも最高齢が61歳であることもあり高い就労率を維持していました。1950年代生まれのコホートを、障害種別に見ると、特に肢体不自由や内部障害において第5期(57歳から67歳)から急速に就労率が低下していたのに対して、視覚障害や知的障害ではより緩やかな低下で、聴覚障害では特に低下は認められず、精神障害では第7期(61歳から71歳)で急速に低下しています。また、精神障害ではほかの障害よりも、1960年代生まれや1970年代生まれで就労率が低水準となっているという特徴も認められました。 4 職業生活からの引退(表1)  回答者のうち、回答時点で非就労であったものは200人でした。第4期以降の調査では、非就労者の今後の仕事への考えも聞いており、「職業生活から完全に引退し、今後仕事をするつもりは全くない」とした回答を職業生活からの引退の意向ととらえると、職業生活からの引退の意向があったのは45人(非就労者の23%)であり、これは、全回収数のうち約5%に該当します。  障害種別に見ると、肢体不自由と内部障害では非就労者の約4割が職業生活からの引退の意向を持っており、肢体不自由では60歳未満が半数以上ですが、内部障害では約9割が60代の回答でした。また、視覚障害でも非就労者の約3割が職業生活からの引退の意向がありました。一方、聴覚障害、知的障害、精神障害では非就労者であっても、職業生活からの引退の意向があるものは約1割でした。さらに、精神障害では60歳未満での引退の意向が多い傾向も認められました。 5 まとめ  「調査研究報告書No.170障害のある労働者の職業サイクルに関する調査研究(第7期)」においては、以上の分析結果の詳細、調査内容の第1期から第7期までの集計結果等を掲載しています。1950年代生まれの障害者は第7期で全員が60歳を超え、肢体不自由や内部障害では職業生活からの引退が進んでいる一方で、聴覚障害や知的障害等では就業継続の意向が強く、実際に就業が継続している状況が明らかになりました。これに対して、1960年代生まれの障害者は、1950年代生まれと同様の変化が10年(5期)後に生じる結果にはなってはおらず、世代だけでなく、さまざまな社会的動向等の影響も示唆されます。さらに、精神障害では1980年代生まれと比較して、1960〜1970年代生まれの就労率の低さには、なんらかの世代的な課題がある可能性もあります。  本調査は、個人に対して長期にわたり継続して調査していることから、多様な要因間の因果関係をより正確に、また時系列の変化をふまえて検証できる可能性があります。2024年3月時点では、すでに16年間の調査を完了し、このような長期継続調査の特徴を活かして、さらに、障害者の安定した就業に向けた、きめ細かい対策を進めていくための基礎資料としていくための分析を進めています。 「調査研究報告書 No.170」は下記ホームページからご覧いただけます。 https://www.nivr.jeed.go.jp/research/report/houkoku/houkoku170.html ◇お問合せ先 研究企画部 企画調整室(TEL:043-297-9067 E-mail:kikakubu@jeed.go.jp) 図1 出生コホート別の就労状況 全障害計 視覚障害 聴覚障害 肢体不自由 内部障害 知的障害 精神障害 ※就労状況不明又は年齢不明を除いたすべての回答のうち、回答の多い年齢層を1950年代生から1980年代生まで抜粋して掲載。集計対象者の各調査期の年齢の範囲は下記の通り。 出生年代 第1期 第2期 第3期 第4期 第5期 第6期 第7期 1950年代 49-59歳 51-61歳 53-63歳 55-65歳 57-67歳 59-69歳 61-71歳 1960年代 39-49歳 41-51歳 43-53歳 45-55歳 47-57歳 49-59歳 51-61歳 1970年代 29-39歳 31-41歳 33-43歳 35-45歳 37-47歳 39-49歳 41-51歳 1980年代 19-29歳 21-31歳 23-33歳 25-35歳 27-37歳 29-39歳 31-41歳 表1 職業生活からの引退を希望した者の年齢層 30代 40代 50代 60代 計 回答者数に占める割合 回答者数(非就労者) 全回収数に占める割合 全回収数 視覚障害 1 2 3 (27%) 11 (3%) 87 聴覚障害 1 2 3 (12%) 25 (2%) 166 肢体不自由 1 1 9 10 21 (40%) 52 (12%) 178 内部障害 1 8 9 (41%) 22 (9%) 101 知的障害 2 1 2 5 (9%) 53 (2%) 236 精神障害 1 3 4 (11%) 37 (4%) 94 計 3 2 16 24 45 (23%) 200 (5%) 862 ※回答者数は第4期以降に1回以上非就労であった者の数(本調査項目の回答対象者)、全回収数は第4期以降に1回以上回答した者の全数。複数の調査期において職業生活からの引退の意向を示した者については、最初に回答した調査期の年齢層のみ集計に用いた。 【P30-31】 ニュースファイル 国の動き 厚生労働省 障害者の補装具上限額引上げ  厚生労働省は、障害者総合支援法に基づき、障害者が使う義肢や補聴器といった補装具の支給基準額(価格上限額)を2024(令和6)年4月から引き上げた。  個々の補装具の支給基準額等(大臣告示)は、3年に1回の見直しを行っている。今回は原材料費の高騰や新技術の導入などを反映し、義肢(下腿義足)は4700円増の8万6500円、補聴器(耳あな型)は7900円増の14万4900円、重度障害者用意思伝達装置(視線検出入力装置)は4万円増の22万円などとなった。  障害者が補装具を購入する際の負担軽減策は、基準額から利用者負担額(原則1割)を除いた額を国、都道府県、市町村が負担する仕組み。 地方の動き 東京 聴覚障害理解に関する映像教材配信  東京都教育委員会は、「第25回夏季デフリンピック競技大会東京2025デフリンピック」開催を機に、児童・生徒がデフリンピックへの興味・関心を高めるとともに聴覚障害への理解を深め、障害の有無にかかわらず共生していこうとする意識や姿勢を育むため、聴覚障害に関する映像教材の配信を開始した。  動画は都立学校の生徒の意見を取り入れて作成した。(1)聴覚障害について知ろう、(2)手話について学ぼう、(3)デフリンピックを応援しよう、という内容で各動画は約20分程度。出演者はタレントの井上(いのうえ)咲楽(さくら)さん、映画監督の早P(はやせ)憲太郎(けんたろう)さん、都立学校(立川学園、葛飾(かつしか)ろう学校、中央ろう学校、忍岡(しのぶがおか)高校、立川国際中等教育学校)の生徒たちで、一般財団法人全日本ろうあ連盟が監修した。  動画は、東京都教育委員会のホームページからリンクされ、学校の授業などで活用できる。問合せは、教育庁指導部特別支援教育指導課へ。 https://www.youtube.com/playlist?list=PL5P7kTPVbatxGwrUU8DbFe5hnYBw_CijD 電話:03−5320−6847 生活情報 全国 スマートフォンの振動や音声で自動販売機利用  日本コカ・コーラ株式会社(東京都)は、障害のある人や高齢者が自動販売機を使いやすくなるよう、同社の公式アプリ「Coke ON(コーク オン)」の機能を拡充させた。スマートフォンの振動で近くの自動販売機の場所を探したり、音声で自動販売機内の製品を選択したりできる。全国48万台の対応自動販売機で利用できる。  今回のサービス開発にあたり、デジタル障害者手帳アプリ「ミライロID」を手がける株式会社ミライロ(大阪府)と連携。当事者の声を調べ、「自動販売機の場所がわからない」、「車いすだと高い位置にあるボタンに届かない」などの意見に対応したという。ミライロIDの登録者はCoke ONとの連携でドリンク購入時のスタンプが2倍もらえるようになる。機能について説明した動画をYouTubeで公開している。https://www.youtube.com/watch?v=JslqkvVLZ_o 働く 全国 障害者雇用貢献の11団体表彰  「全国社会就労センター協議会(セルプ協)」(東京都)は、障害者雇用への理解とセルプ協への多大な貢献があったとして表彰する「協力企業・団体・官公庁等感謝」に昨年度11団体を選定した。  このうち施設・事業所へ10年以上継続して年額500万円以上発注している団体が対象の「特別感謝(発注)」には「ニッポー株式会社」(大阪府)が選ばれた。推薦した「社会福祉法人こがね福祉会こがね園」(福岡県)は2000(平成12)年から、同社九州工場のリールリユース作業などを委託され、利用者の適性に応じた作業を行い、工賃向上につながっている。  また、10年以上継続して雇用しつつ法定雇用率も順守する「特別感謝(雇用)」には、「大分キヤノン株式会社」(大分県)が選ばれた。同社は「社会福祉法人暁雲(ぎょううん)福祉会」(大分県)とともに2008年に特例子会社「キヤノンウィンド株式会社」(大分県)を設立し、重度の知的障害者の雇用を目的とした定期採用を実施。暁雲福祉会からの出向による福祉専門スタッフを配置し、社員の生活面・就労面・就労意欲のサポート体制も充実させている。  このほか「感謝(発注)」には「医療法人希望会」(岩手県)、「株式会社魚沼オールパッケージ」(新潟県)、「江見印刷紙工株式会社」(大阪府)、「株式会社ユタカ技研」(静岡県)、「医療法人社団白山会」(石川県)、「酒井化学工業株式会社」(福井県)、「株式会社サナス」(鹿児島県)の7社、「感謝(雇用)」には「株式会社本砂屋」(兵庫県)、「小浜食糧株式会社」(長崎県)の2社が選ばれた。 本紹介 『まちで生きる、まちが変わる つくば自立生活センターほにゃらの挑戦』  茨城県在住のフォトジャーナリスト、柴田(しばた)大輔(だいすけ)さんが『まちで生きる、まちが変わる つくば自立生活センターほにゃらの挑戦』(夕書房刊)を出版した。  柴田さんは、茨城県つくば市で重度身体障害者たちが、「いつ、どこで、だれと、何をするのかを自分で決める暮らし」を実現するためにつくった団体「つくば自立生活センターほにゃら」で、介助者としてもかかわる。本書は、当事者と支援者の物語をつむぎながら、障害者の現実と闘いの軌跡、そしてだれもが住みよいインクルーシブな社会とまちづくりのヒントを見出していく内容となっている。四六判272ページ、2200円(税込)。 作品大募集! あなたの力作がポスターになる! 令和6年度 「絵画コンテスト 働くすがた〜今そして未来〜」 「写真コンテスト 職場で輝く障害者〜今その瞬間〜」 締切迫る! 令和6年6月17日(月)【消印有効】 児童・生徒をはじめ社会人・一般の方もご応募いただけます。 絵画コンテストの応募は障害のある方が対象です。 写真コンテストの応募は障害の有無を問いません。 多くのみなさまからのご応募をお待ちしています。 詳しくはホームページの募集要項をご覧ください。 JEED 絵画写真 検索 <過去のポスターや入賞作品などもご覧いただけます> 主催:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) シンボルキャラクター “ピクチャノサウルス” ミニコラム 第35回 編集委員のひとこと ※今号の「編集委員が行く」(20〜25ページ)は三鴨委員が執筆しています。 ご一読ください。 働くことは「幸せ」のひとつ 有限会社まるみ取締役社長 三鴨岐子  私の妹は視覚障害と知的障害のある重複障害者です。家族のなかで妹は庇護(ひご)される存在であり、とても働き手とは考えられませんでした。しかし、妹はさまざまな生活訓練を受け、自分の身の回りのことができるようになり、加えて、家族の分まで食器を洗えるようになりました。  障害者雇用促進法には、働きたい障害者に対し、すべての事業主は雇用の安定を図るよう努める責務がある、という内容が書かれています。  いままで働いていなかった人が働くと、直接的には人手不足の現場でとても助かります。また、給与を消費して経済活動に貢献したり、納税したり、税負担のあるサービスを受ける人が減ったり、社会にとってメリットがたくさんあります。  しかし、よく考えてみれば就労は、まず第一に、働く本人の「幸せ」に直結するものであってほしいと思うのです。  妹は、たとえ食器を洗えなかったとしても、もちろん愛すべき存在です。でも、食器を洗った後に、家族から「ありがとう」といわれると、とてもうれしそうですし、妹の幸せにつながっているようです。  今号で取材した西川病院の林輝男さんが、就労を通じて「幸せな人生だったと思う人が増えてほしい」とおっしゃっていました。  私は、働きたい障害者が働ける場所が増えるということは、世の中の「幸せ」の数が増えることだと確信しています。 【P32】 掲示板 第32回職業リハビリテーション研究・実践発表会 発表者募集のお知らせ  当機構(JEED)では職業リハビリテーションの研究成果を広く周知するとともに、参加者相互の意見交換、経験交流を行う場として「職業リハビリテーション研究・実践発表会」を毎年開催しています。  今年度は、2024(令和6)年11月13日(水)、11月14日(木)の2日間、東京都江東区有明の東京ビッグサイトで開催する予定です。6月上旬ごろから発表者を募集しますので、詳細はJEED障害者職業総合センター(NIVR)ホームページをご覧ください。  なお、当日の参加者については、8月末ごろにホームページなどで募集する予定です。 ※NIVRホームページでは、昨年度までの発表資料等を掲載していますので、あわせてご覧ください。 NIVR 検索 〈お問合せ先〉 研究企画部企画調整室 TEL:043-297-9067 E-mail:vrsr@jeed.go.jp 読者アンケートにご協力をお願いします! 回答はこちらから メールマガジン好評配信中! 詳しくは JEED メールマガジン 検索 次号予告 ●メダリストを訪ねて  2023(令和5)年3月にフランスで開催された第10回国際アビリンピックの「ネイリスト」種目で、銀賞を受賞した山下加代さんに、大会の思い出や、今後の抱負などをうかがいます。 ●職場ルポ  施設管理、施設警備、清掃などを手がける四国管財株式会社(高知県)を訪問。障害の有無にかかわらず、相談や研修等のサポートがある職場での就労の様子を取材しました。 ●グラビア  建設、鉱山、環境関連の機器を製造する株式会社ワイビーエム(佐賀県)を取材。障害者雇用への理解が深い職場で活躍する従業員の様子を紹介します。 ●編集委員が行く  若林功編集委員が、東京障害者職業能力開発校(東京都)と石川県立金沢産業技術専門校(石川県)を取材。障害者雇用におけるキャリアアップを目ざす取組みについて取材します。 公式X(旧Twitter)はこちら! 最新号発行のお知らせやコーナー紹介などをお届けします。 本誌購入方法  定期購読のほか、最新号やバックナンバーのご購入は、下記へお申し込みください。  1冊からのご購入も受けつけています。 ◆インターネットでのお申し込み 富士山マガジンサービス 検索 ◆お電話、FAXでのお申し込み 株式会社広済堂ネクストまでご連絡ください。 TEL 03-5484-8821 FAX 03-5484-8822 編集委員 (五十音順) 株式会社FVP 代表取締役 大塚由紀子 トヨタループス株式会社 管理部次長 金井渉 NPO法人大阪精神障害者就労支援ネットワーク 副理事・統括施設長 金塚たかし 弘前大学教職大学院 教授 菊地一文 武庫川女子大学 准教授 諏訪田克彦 サントリービバレッジソリューション株式会社 人事本部 副部長 平岡典子 神奈川県立保健福祉大学 名誉教授 松爲信雄 有限会社まるみ 取締役社長 三鴨岐子 筑波大学大学院 教授 八重田淳 国際医療福祉大学 准教授 若林功 あなたの原稿をお待ちしています ■声−−障害者雇用にかかわるお考えやご意見、行事やできごと などを500字以内で編集部(企画部情報公開広報課)まで。 ●発行−−独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 発行人−−企画部長 境伸栄 編集人−−企画部次長 綱川香代子 〒261−8558 千葉県千葉市美浜区若葉3−1−2 電話 043−213−6200(企画部情報公開広報課) ホームページ https://www.jeed.go.jp メールアドレス hiroba@jeed.go.jp ●発売所−−株式会社広済堂ネクスト 〒105−8318 東京都港区芝浦1−2−3 シーバンスS館13階 電話 03−5484−8821 FAX 03−5484−8822 6月号 定価141円(本体129円+税)送料別 令和6年5月25日発行 無断転載を禁ずる ・本誌に掲載した論文等で意見にわたる部分は、それぞれ筆者の個人的見解であることをお断りします。また、本誌では「障害」という表記を基本としていますが、執筆者・取材先の方針などから、ほかの表記とすることがあります。 【P33】 障害者雇用の月刊誌「働く広場」がいつでも無料でお読みいただけます! (独)高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)では、障害者に対する雇用支援などを実施しており、その一環として障害者雇用の月刊誌「働く広場」を発行しています。 本誌はデジタルブックでも公開しており、スマートフォンやパソコンでいつでも無料でお読みいただけます。ぜひ、ご利用ください!(毎月5日に最新号がアップされます) 掲載をお知らせするメール配信サービスもございますのであわせてご利用ください。 自由に拡大できて便利! 読みたいページにすぐ飛べる! ★ルポルタージュ形式で障害者雇用の現場をわかりやすく紹介 ★国が進める施策の動向や、助成金などの制度、最新の調査研究を紹介 ★「職場内の支援体制の課題と対応」「障害者職業能力開発校の活用術」など、テーマを掘り下げた記事が充実 お問合せ先 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 企画部情報公開広報課 〒261-8558 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-2 電話043-213-6200 FAX043-213-6556 E-mail hiroba@jeed.go.jp https://www.jeed.go.jp/disability/data/works/index.html JEED 働く広場 検索 【裏表紙】 6月号 令和6年5月25日発行 通巻560号 毎月1回25日発行 定価141円(本体129円+税)