ミニコラム 第35回 編集委員のひとこと ※今号の「編集委員が行く」(20〜25ページ)は三鴨委員が執筆しています。 ご一読ください。 働くことは「幸せ」のひとつ 有限会社まるみ取締役社長 三鴨岐子  私の妹は視覚障害と知的障害のある重複障害者です。家族のなかで妹は庇護(ひご)される存在であり、とても働き手とは考えられませんでした。しかし、妹はさまざまな生活訓練を受け、自分の身の回りのことができるようになり、加えて、家族の分まで食器を洗えるようになりました。  障害者雇用促進法には、働きたい障害者に対し、すべての事業主は雇用の安定を図るよう努める責務がある、という内容が書かれています。  いままで働いていなかった人が働くと、直接的には人手不足の現場でとても助かります。また、給与を消費して経済活動に貢献したり、納税したり、税負担のあるサービスを受ける人が減ったり、社会にとってメリットがたくさんあります。  しかし、よく考えてみれば就労は、まず第一に、働く本人の「幸せ」に直結するものであってほしいと思うのです。  妹は、たとえ食器を洗えなかったとしても、もちろん愛すべき存在です。でも、食器を洗った後に、家族から「ありがとう」といわれると、とてもうれしそうですし、妹の幸せにつながっているようです。  今号で取材した西川病院の林輝男さんが、就労を通じて「幸せな人生だったと思う人が増えてほしい」とおっしゃっていました。  私は、働きたい障害者が働ける場所が増えるということは、世の中の「幸せ」の数が増えることだと確信しています。