省庁だより 令和7年度 障害保健福祉部予算の概要(2) 厚生労働省 障害保健福祉部 ※1および2の1までは、前号に掲載しました。 https://www.jeed.go.jp/disability/data/works/book/hiroba_202506/index.html#page=28 2 地域移行・地域定着支援などの精神障害者施策等の推進 2 精神科救急医療体制の整備 18億円(18億円)  地域で生活する精神障害者の病状の急変時において、早期に対応が可能な医療体制及び精神科救急情報センターの相談体制を確保するため、引き続き地域の実情に応じた精神科救急医療体制を整備する。  また、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に資する精神科救急医療体制整備を推進するとともに、依存症患者が救急医療を受けた後に適切な専門医療や支援等を継続して受けられるよう、依存症専門医療機関等と精神科救急医療施設等との連携体制を構築する。 3 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に関する医療提供体制の整備の推進 188億円(192億円)  心神喪失者等医療観察法に基づく医療を円滑に行うため、引き続き指定入院医療機関を整備し、地域偏在の解消を進める。  また、指定医療機関の医療従事者等を対象とした研修や指定医療機関相互の技術交流等により、更なる医療の質の向上を図る。 【令和6年度補正予算】 ・心神喪失者等医療観察法指定入院医療機関施設整備事業 7.3億円  心神喪失者等医療観察法指定入院医療機関の医療観察法病棟について、防災・減災の観点から、大規模修繕に必要な施設整備を実施する。 4 アルコール健康障害対策・薬物依存症対策・ギャンブル等の依存症対策の推進 @アルコール・薬物・ギャンブル等の依存症対策の推進 8.4億円(8.4億円)  アルコール、薬物、ギャンブル等の依存症患者やその家族等が必要な治療や支援を受けられるよう、全国拠点機関において、依存症対策に携わる人材の養成等に取り組む。  また、都道府県等において、依存症の治療・相談支援等を担う人材を育成するとともに、相談拠点や専門医療機関等の設置を行うことにより、各地域における医療・相談支援体制の整備等を推進する。  さらに、相談支援や普及啓発等に全国規模で取り組む民間団体を支援するとともに、依存症の正しい理解を深めるための普及啓発を実施する。 【令和6年度補正予算】 ・依存症に係る医療の充実等を図るための支援 2.2億円  アルコール依存症、薬物依存症、ギャンブル等依存症及びゲームに関連する問題など、依存症の実態解明や地域の現状・課題に関する調査研究を実施し、依存症対策を推進する。 Aアルコール健康障害対策の推進 8百万円(12百万円)  アルコール健康障害対策基本法及びアルコール健康障害対策推進基本計画に基づき、飲酒に伴うリスクに関する知識の普及啓発や、都道府県におけるアルコール問題に関する横断的取組を支援する。 5 高次脳機能障害及びその関連障害に対する地域支援ネットワーク構築の促進 1.3億円(1.3億円)  高次脳機能障害の当事者への専門的相談支援及び医療と福祉の一体的な支援を普及・定着させるため、高次脳機能障害の診断及びその特性に応じた支援サービスの提供を行う協力医療機関(医療機関、リハビリ機関等)及び専門支援機関(就労支援機関、教育機関等)を確保・明確化する。さらに、地域の関係機関が相互に連携・調整を図り、当事者やその家族等の支援に資する情報提供を行う地域支援ネットワークを構築し、切れ目のない充実した支援体制の促進を図る。 6 てんかんの地域診療連携体制の整備 31百万円(31百万円)  てんかんの治療を専門的に行っている医療機関を「てんかん支援拠点病院」として指定し、関係機関との連携・調整等の実施及び各支援拠点病院で集積された知見の評価・検討を行うため「てんかん全国支援センター」を設け、専門的な相談支援や関係機関との連絡・調整を担う人材の確保や養成等を行い、てんかんの診療連携体制を整備する。 7 摂食障害治療体制の整備 23百万円(23百万円)  摂食障害の治療を専門的に行っている医療機関を「摂食障害支援拠点病院」として指定し、関係機関との連携・調整等の実施及び各支援拠点病院で集積された知見の評価・検討を行うため「摂食障害全国支援センター」を設け、摂食障害の診療連携体制を整備する。 8 こころの健康づくり対策等の推進 78百万円(89百万円)及び地域生活支援事業等の内数  精神疾患を有する方への早期の専門的対応を充実するため、かかりつけ医や精神保健医療福祉関係者等への研修を実施するほか、うつ病などの治療で有効な認知行動療法の研修を実施し、治療の質の向上を図る。また、精神保健上の問題による自殺対策のうち、自殺のハイリスク者で再企図の多い自殺未遂者の再企図を防ぐための医療従事者研修等を実施し、医療提供体制を構築する。 9 公認心理師実習演習担当教員及び実習指導者養成講習会事業 33百万円(33百万円)  公認心理師の質の維持・向上のため、公認心理師となるために必要な科目を教授する実習演習担当教員及び実習施設において必要な科目を指導する実習指導者を養成するための講習会を実施する。 10 虐待対応体制整備の支援 41百万円(41百万円)  令和4年の精神保健福祉法改正により、令和6年4月以降においては、精神科病院の業務従事者による虐待を受けたと思われる患者を発見した者は速やかに都道府県・指定都市に通報することが義務付けられたため、精神科病院に対する指導監督権限を有する都道府県・指定都市において、精神科病院における虐待防止措置を支援するとともに、虐待通報窓口を設置し、虐待事案に対し適切な対応をするために必要な経費について財政的支援を行うことにより、虐待の防止や障害者の保護等の対応ができる体制を整備する。 3 発達障害児者の支援施策の推進 1 強度行動障害を有する者に対する地域支援機能の強化 @広域的支援人材の配置及び集中的支援の実施、支援のネットワークの構築等の推進 4.3億円(4.3億円)  著しい行動障害が生じているなどの難しい事案に対応する現場の職員を支援するため、高い専門性を有する「広域的支援人材」の発達障害者支援センター等への配置を推進する。  また、強度行動障害を有する者に対する支援人材が連携した支援の実施や、支援者同士での意見交換や情報共有等の取組を進めるため、ネットワーク構築を推進する。 A強度行動障害者支援のための中核的人材養成 【令和6年度補正予算】 ・強度行動障害者支援のための中核的人材養成研修事業 21百万円  強度行動障害者支援について専門性の高い中核的人材を養成するとともに、令和9年度から全国の都道府県で中核的人材養成が開始できるよう、研修指導者の養成及び研修指導者が活用する教材の開発等を実施する。 2 発達障害の初診待機解消に関する取組の推進 93百万円(93百万円)  発達障害児者の診断に係る初診待機の解消を進めるため、発達障害の医療ネットワークを構築し、発達障害の診療・支援ができる医師の養成を行うための実地研修等の実施や医療機関におけるアセスメント対応職員の配置を進める。 3 発達障害児者とその家族に対する支援 1.6億円(1.6億円)  都道府県及び市町村において、同じ悩みを持つ本人同士や発達障害児者の家族に対するピアサポートや発達障害児者の家族に対するペアレントトレーニング、青年期の発達障害者に対する居場所作り等を実施することにより、発達障害児者及びその家族の支援を推進する。 4 教育と福祉の連携の推進 地域生活支援事業等の内数  市町村内における家庭・教育・福祉の連携促進及び地域支援対応力の向上を図るため、教育委員会や福祉部局、学校、障害児通所支援事業所等の関係者が障害児への切れ目ない支援について協議を行う場の設置や福祉機関と教育機関等との連携の役割を担う「地域連携推進マネジャー」を市町村に配置する。 4 障害者に対する就労支援の推進 1 雇用施策と福祉施策の連携による重度障害者等の就労支援 7.7億円(7.7億円)  重度障害者等に対する就労支援として、雇用施策と福祉施策が連携し、企業が障害者雇用納付金制度に基づく助成金を活用しても支援が充分ではない場合や、重度障害者等が自営業者として働く場合等で、自治体が必要と認めた場合に、必要な就労支援を行う。  また、事業実施市町村におけるHPやリーフレット等による周知・広報等の取組を支援する。 2 工賃向上等のための取組の推進 5.8億円(5.8億円)  一般就労が困難な障害者の自立した生活を支援する観点から、就労継続支援事業所などに対し、経営改善、商品開発、市場開拓や販路開拓等に対する支援、在宅障害者に対するICTを活用した就業支援体制の構築や販路開拓等の支援等を実施する。  また、全都道府県において、関係者による協議体の設置により共同受注窓口の機能を強化することで、企業等と障害者就労施設等との受発注のマッチングを促進し、障害者就労施設等に対する官公需や民需の増進を図る。さらに、農業等の専門家派遣や伴走型コーディネーターの活用によるマッチングから事業実施までの支援等を行い、農福連携等の推進を図る。 【令和6年度補正予算】 ・就労継続支援A型事業所の経営改善モデル事業 2.9億円  直近の生産活動収支が赤字であるA型事業所に対して、生産設備の導入に加え、指定権者である自治体との連携や経営改善コンサルタントによる各種分析・業務開拓等を併せて実施することにより、赤字から黒字へ転換するノウハウを収集し、横展開するモデル事業を行う。 ・障害者就労施設における生産活動の効率化に資するICT機器等の導入事業 3.1億円  障害者就労施設における、障害者が従事することができる業務範囲の拡大や、従事する作業の効率化を図るため、ICT機器や工作機械・治具、その他効率化するために必要となる機械の導入支援を行う。 ・障害者就労施設における就労支援事業会計の管理・経営改善支援等事業 3.2億円  障害者就労施設に実効性のある経営改善計画の策定等に向けて、都道府県等において、事業所に対する就労支援事業会計に関する専門家派遣や相談窓口の設置、事業所から提出される指定申請や事業計画書について経営面から精査・助言する専門家の活用を実施する。 ・農福連携プラス推進モデル事業 1.3億円  農業以外の林業や水産業、伝統工芸等の分野を中心に、農福連携等に取り組む障害者就労施設に対して、マッチング、立ち上げ支援(機器等導入・初期運用支援)に係る費用を一括的に支援するとともに、コーディネーターが伴走することで、より効果的な事業実施・検証・事例報告までを一気通貫したモデル事業を行う。  モデル事例の報告を受け、全国へ事例の共有を行い、農業以外の分野も含めた障害者の就労支援の取組を推進する。 3 障害者就業・生活支援センター事業の推進 7.9億円(7.9億円)  就業に伴う日常生活の支援を必要とする障害者に対し、窓口での相談や職場・家庭訪問等による生活面の支援などを実施する。 4 就労選択支援員養成研修の実施 【令和6年度補正予算】 ・就労選択支援員養成研修等の実施 70百万円  国が実施主体となって就労支援員養成研修を実施する。また、順次、就労選択支援の対象となる就労継続支援A型の新規利用者等について、モデル的な取組を通じて課題やノウハウを収集し、マニュアル等を作成する。 5 東日本大震災等の災害からの復旧・復興への支援 1 「第2期復興・創生期間」の終了を見据えた障害福祉サービスの再構築支援(復興) 24百万円(29百万円)  令和7年度に「第2期復興・創生期間」が終了することを見据え、期間終了後の障害福祉サービスの提供体制の確保や事業所の自立を図るための事業に要する費用について、財政支援を行う。 2 避難指示区域等での障害福祉制度の特別措置(復興) 10百万円(15百万円)  東京電力福島第一原発の事故により設定された帰還困難区域等及び上位所得層を除く旧緊急時避難準備区域等・旧避難指示解除準備区域等の住民について、障害福祉サービス等の利用者負担の免除の措置を延長する場合には、引き続き市町村等の負担を軽減するための財政支援を行う。 3 被災地心のケア支援体制の整備(復興) 被災者支援総合交付金(77億円)の内数  東日本大震災による被災者の精神保健面の支援のため、専門職による相談支援等を実施するとともに、自主避難者等への支援などを通じて、引き続き専門的な心のケア支援を行う。 【令和6年度補正予算】 ・被災者への心のケアの充実を図るための支援 1.5億円  令和6年1月の能登半島地震に加え、9月の石川県における大雨による被災者等への心のケアについて、仮設住宅や避難所等への訪問支援等の充実を図る。 ★本誌では通常西暦で表記していますが、この記事では元号で表記しています ※( )内は令和6年度予算額