ニュースファイル 地方の動き 神奈川 民官連携の農園開設  横須賀市は、日建リース工業株式会社(東京都)との協働により、障害者雇用の場の創出を目的とした「はーとふる農園よこすか」の開設を発表した。あわせて障害者の就労機会の創出等を目的とする包括連携協定を両者で締結した。  農園は、市有地を活用し、同社の仮設資材を活用した『高床式砂栽培』を導入。2027年までにビニールハウス9棟などを段階的に開設し、計60人の障害のあるスタッフの雇用を予定している。ベビーリーフ栽培からスタートし、種植えから間引き、収穫を毎日行いながら、日ごろの作業成果をふり返ることができる。収穫物は、直売所や飲食店、スーパーなどで販売。また、市内学校の児童生徒を対象とした農園見学の実施や、市民を対象とした農園体験イベントなども予定している。問合せは横須賀市財務部FM推進課まで。 電話:046−822−8518 山口 芸術文化活動を支援  山口県は、障害者の芸術文化活動を通じたさらなる自立や社会参加の促進を図るため、「山口県障害者芸術文化活動支援センター」を、山口県障害者社会参加推進センター(山口市)に設置した。  おもな事業は、@「相談支援」…障害者の芸術文化活動における支援方法や創造環境の整備、権利の保護、鑑賞支援、作品の販売・公演などに関する相談に対応。A「人材育成」…多様な分野で芸術文化活動にかかわる人や団体に対し、支援方法や権利保護などに関するセミナーを開催。B「芸術文化活動(鑑賞・創造・発表等)に参加する機会の確保」…鑑賞・創造・発表などに参加する機会の確保、書道・写真講座など創作活動の場を提供するほか、山口県障害者芸術文化祭の作品展示会やステージ部門(太鼓やダンス)などを開催。C「ネットワークの構築、情報収集・発信」…ネットワークの構築や作品・作家などの情報収集・発信、などとしている。問合せは同センターまで。 電話:083−928−5432 神奈川 LINEで就労関連情報  神奈川県は、コミュニケーションアプリ「LINE」を活用し、障害者雇用について、当事者が働く前に必要な情報や、企業などが雇用するときに役立つ情報を発信する「かながわ障がい者就労サポート」の運用を開始した。愛称は、ともワク(「ともにワーク」の意)。  LINEの公式アカウント「かながわ障がい者就労サポート」を登録すると、@障害のある当事者向けに、就職面接会の開催や職場体験など働く前に必要な情報がプッシュ配信される。職業訓練に関する情報や就職活動の進め方などについて調べることができる。A企業向けに、補助金・助成金や雇用事例など、障害者雇用に役立つ情報を調べることができる。企業交流会やセミナーなどのイベント開催情報がプッシュ配信される。B位置情報から就労支援機関を検索できる。詳しくは県のホームページで。 https://www.pref.kanagawa.jp/docs/z4r/linesyogai-syuro.html 生活情報 全国 発達特性ある学生の「困り感」調査  公益財団法人日本財団(東京都)は、学生生活や就職活動に困難を感じている学生を対象にした調査結果を公表した。  Web定量調査で得られた有効回答数は、全国の20〜25歳までの1万7398人で、うち学校生活や日常生活に強い困り感を持つ若者は14%。これは全国の20〜25歳(約714万人)から推計すると約100万人にのぼるという。  学校生活での困り感としてもっとも高かった「人前で発表することがとても苦手」は、全体32.3%に対し、困り感の強い人は63.3%と30ポイント超の差があった。また、時間割や履修登録に関しては「時間割を組むことが苦手だった」は全体7.4%、困り感の強い人は28.8%、「必要な単位の把握や履修登録等の手続きが難しく、一人でできなかった」が全体6.2%、困り感の強い人は24.3%で、それぞれ差があった。さらに、強い困り感を持つ学生のうち就職活動で何らかの困難を感じた人は97%にのぼった。詳細は日本財団ホームページで。 https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/information/2025/20250327-110405.html 全国 障害者支援の財団設立  株式会社アシックス(兵庫県)は、運動・スポーツにかかわる社会課題に取り組む一般財団法人ASICS Foundation(アシックスファウンデーション)を設立した。社会的または経済的に困難な状況にある青少年、障害のある人、女性などに対する運動・スポーツを通した支援を提供する団体への助成などを行う。  当面は、事業や生産拠点がある国と地域(ベトナム、インドネシア、インドなど)や日本での取組みを予定。助成などを通じてスポーツの普及活動、スポーツ大会やイベントの開催、スポーツプログラムの実施、指導者の育成、スポーツコンテンツの開発といったソフトインフラの整備、また、学校や公園のグラウンド・スポーツ施設の整備、スポーツ用品の提供といったハードインフラの整備をおもに行っていく。元パラリンピック水泳選手の一ノ瀬メイさんも理事を務めている。 茨城 JAXA展示館がアクセシビリティ向上  JAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)筑波宇宙センター(つくば市)の展示館「スペースドーム」が約10カ月間にわたる老朽化対策工事を終え、聴覚障害や視覚障害のある人向けのアクセシビリティを向上させて開館を再開した。  「スペースドーム」は、実物大の人工衛星や本物のロケットエンジン、国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟の実物大模型などを展示している。今回、新型ロケット「H3」や気候変動を予測する人工衛星「しきさい」などの小型模型について手に取って触れられるようにした。また模型の名前などを紹介する点字を設置し、宇宙活動の紹介映像に字幕がついた。  リニューアルにあたっては聴覚障害や視覚障害のある学生が学ぶ国立大学法人筑波技術大学(つくば市)も協力し、展示物に触れる模型があるとよいことや、展示パネルの視認性などについて教職員がアドバイスをしたほか、学生らも実際に訪れて改善点などを伝えた。開館時間は10時〜17時(見学受付は9時30分〜16時30分)、入場無料、不定休。 本紹介 『発達障がいの子の進学と就労サポートブック』  児童青年精神科医で、日本発達障害ネットワーク理事長や日本自閉症協会会長を務める市川(いちかわ)宏伸(ひろのぶ)さんが、『発達障がいの子の進学と就労サポートブック』(成美堂出版刊)を出版した。  本書では、発達障害のある子どもが自立して就労し、充実した人生を送るために「親にできること」、「知っておくべきこと」を中心に解説。まず発達障害について、よく見られるサインや専門医につながるルート、中学・高校・大学での支援体制、専門的な職業教育を行う高等特別支援学校とその職業教育について紹介している。さらに「働くこと」と就労支援をテーマに、進路事例や相談窓口、若年コミュニケーション能力要支援者就職プログラムについて紹介し、障害者トライアル雇用、中小企業による障害者雇用などをテーマにしたコラムも掲載している。A5判160ページ、1540円(税込み)。