グラビア ものづくりにたずさわれてうれしい! タイム技研高知株式会社(高知県) 取材先データ タイム技研高知株式会社 〒788-0783 高知県宿毛市(すくもし)平田町(ひらたちょう)戸内(へない)字(あざ)扇(おうぎ)3386-57 TEL 0880-66-1777(代) FAX 0880-66-1780 写真・文:官野貴  タイム技研高知株式会社は、愛知県に本社を置くタイム技研株式会社の子会社であり、高知県宿毛(すくも)市において、給湯器などに搭載されるバルブやセンサーなどを製造している。同社では、障害のある従業員が製造の現場において欠かすことのできない人材となっている。  入社20年目の嶋崎(しまさき)加代(かよ)さん(38歳)も、その一人。知的障害のある嶋崎さんは、外部で製造された部品の洗浄や、配送用の段ボール箱から工場内で使用するコンテナに移し替える「箱入れ」という工程を担当している。これらの工程は、工場の製造エリア内にゴミやほこりを持ち込まないために、欠かすことのできない工程であり、製品の高い品質につながっている。  朝礼後、まず取りかかったのはプラスチック製部品の洗浄作業だ。水を貯めたシンクで部品を水洗いし、ゴミやほこりなどを取り除く。エアガンで大まかな水滴を落とし、カゴに移し替え、乾燥させる。  続いては「箱入れ」の作業。段ボール箱を開梱し、部品に付着したゴミやほこりをバキューム装置で吸い取り、部品をコンテナに移し替える。嶋崎さんに仕事のやりがいについてたずねると「ものづくりにたずさわれてうれしいです」と教えてくれた。  入社4年目で知的障害のある富田(とみた)李(もも)さん(21歳)も「箱入れ」を担当。富田さんの作業エリアには、ホワイトボードが設置されており、次に行う作業が一目でわかるようになっている。これは、富田さんからの提案を部内で検討し、設置されたものだ。  同社は、障害特性に配慮した職場環境づくり、雇用管理や体制づくりへの取組みが評価され、2023(令和5)年度に「障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度」(もにす認定制度)の認定を受けた。今後も、障害者雇用への取組みに積極的に臨む予定だという。 写真のキャプション 朝礼から業務がスタート。一日の作業計画などの情報共有が行われる 工場内の一角に設けられたシンクで、部品の洗浄作業にあたる嶋崎加代さん シンクに水を貯め、空気を送り込むブロワー装置を作動させる。部品をざるに入れ水洗いし、ゴミや不良品などを取り除く 洗浄した部品にエアガンで空気を吹きかけ、水滴を落とす。その後カゴに移し替え、乾燥させる 嶋崎さんは「箱入れ」も担当。バキュームをかけた部品をコンテナに移し替える。製造エリア内にほこりなどを持ち込まないために欠かせない工程だ 嶋崎さんの作業日誌。作業の進捗だけではなく、体調や仕事での困りごとなどが記載でき、支援担当者がすぐに相談にのれるようになっている 作業の「見える化」を図った写真入りの作業マニュアル。写真により作業内容が容易に把握できるようになっている 富田さんの業務改善提案を受けて設置されたホワイトボード。作業順が一目でわかる ホワイトボードに記入する富田さん。急ぎの作業が入っても、ホワイトボードのおかげで、作業順に迷うことはないという 「箱入れ」の作業にあたる富田李さん。富田さんは「部品を落とさないように注意しています。急ぐ気持ちを押さえて焦らないことが大事です」と話す 部品をコンテナ内の専用トレーに並べてゆく。富田さんは「作業は楽しいです。ここは働き続けたい職場です」と教えてくれた 専用のトレーにきれいに並べられた部品。「箱入れ」は、指定された部品を指定された数だけ間違いなく詰めていくことが求められる 「箱入れ」を終えたコンテナに、部品の型番や個数などが記された伝票を貼りつける富田さん コンテナの側面に、部品の個数が書かれた紙を挟み込む。作業で部品の数が合わないようなことがあれば上司や担当者に確認する 部品の入ったコンテナを保管場所に運ぶ。コンテナを積み上げる段数も定められており、安全面も配慮されている 空きコンテナの整理にあたる部署においても、障害のある従業員が活躍している コンテナの汚れをクロスでふき取る。すみずみまでていねいかつスピーディーにふき上げる