【表紙】 平成31年4月25日発行・毎月1回25日発行・通巻第500号 ISSN 0386-0159 障害者と雇用 2019/5 No.500 通算 500号 記念 『働く広場』の歩みと障害者雇用の流れ 『働く広場』通算500号記念対談 『働く広場』から見る、障害者雇用の変遷 元厚生労働事務次官 村木 厚子さん、元『働く広場』編集委員座長 松矢 勝宏さん 職場ルポ 「アビリンピック挑戦」が職場の活性化に エプソンミズベ株式会社(長野県) グラビア スシローのシャリづくり名人 株式会社あきんどスシロー スシロー高知朝倉店(高知県) 編集委員が行く 多様性のなかで輝く“人財”株式会社昭和食品(群馬県) 「大きくなったらブルドーザーにのりたいな」鹿児島県・岩下(いわした) 翔(しょう)さん 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 誰もが職業をとおして社会参加できる「共生社会」を目指しています 5月号 【前頁】 心のアート 2018年カレンダー(5月) 岸本 亜矢子(NPO 法人ならチャレンジド) 画材:画用紙、水彩絵具、アクリル絵具、筆/サイズ:120mm×170mm 岸本 亜矢子(きしもと あやこ)  1990(平成2)年2月6日生まれ。奈良県香芝市(かしばし)在住。  16歳のときに交通事故に遭い、頚椎(けいつい)を損傷。首から下が不自由なので、口に筆をくわえて絵を描いています。  この作品は、2018年のカレンダーの5月のイラスト部分です。この年のカレンダーは、日本の歳時記などを意識して描きました。  カレンダー製作は、だれかに依頼されて描いてるわけではないので、ゼロから自分の好きなようにつくれて楽しいけど、ほぼ丸々1年かけて描くので、完成するころにはいつもあちこちクタクタになります。現在、2020年のカレンダーを製作中です。 文:岸本 亜矢子 【もくじ】 障害者と雇用 2019 5月号 No.500 通算500号記念 『働く広場』の歩みと障害者雇用の流れ−−2 『働く広場』通算500号記念対談−−4 『働く広場』から見る、障害者雇用の変遷 元厚生労働事務次官 村木 厚子さん、元『働く広場』編集委員座長 松矢 勝宏さん 心のアート−−前頁 2018年カレンダー(5月) 作者:岸本亜矢子(NPO法人ならチャレンジド) 職場ルポ−−8 「アビリンピック挑戦」が職場の活性化に エプソンミズベ株式会社(長野県) 文:豊浦美紀/写真:小山博孝・官野 貴 エッセイ−−14 第3回 一般採用と障害者採用、両方を経験してpart.2 『障がい者の就活ガイド』著者 紺野 大輝 グラビア−−15 スシローのシャリづくり名人 株式会社あきんどスシロー スシロー高知朝倉店(高知県) 写真:小山博孝・官野 貴/文:小山博孝 インフォメーション−−19 2019年度 職業リハビリテーションに関する研修のご案内/2019年度「地方アビリンピック」開催地一覧/作品募集 障害者雇用支援月間ポスター原画(絵画・写真)コンテスト 「働くすがた〜今そして未来〜」2019 編集委員が行く−−22 多様性のなかで輝く“人財”〜いろんな人がいるから企業は強くなれる〜 株式会社昭和食品(群馬県) 編集委員 樋口克己 研究開発レポート−−28 障害者雇用の質的改善に向けた基礎的研究 〜様々な立場から障害者雇用の質について考える〜 障害者職業総合センター研究部門 事業主支援部門 ニュースファイル−−30 掲示板−−32 表紙の説明 「乗り物が好きで、将来運転してみたい乗り物を選んで描きました。絵が小さくならないように、一つひとつをできるだけ大きく描きました。色塗りも、細かい部分は筆を立ててゆっくりと塗るようにしました。絵を描くことが好きなので、ほかにも動物や人物などを描いています」 (平成30年度障害者雇用支援月間ポスター原画募集 小学校の部 高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長奨励賞) ◎本誌掲載記事はホームページでもご覧いただけます。(http://www.jeed.or.jp) 【P2-3】 通算 500号 記念 『働く広場』の歩みと障害者雇用の流れ  1977(昭和52)年3月、「独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構」の前身、「身体障害者雇用促進協会」が設立され、同時に『働く広場』が創刊された(当時は隔月発行。1991(平成3)年11月号から毎月発行)。『働く広場』発刊前から今日までの、障害者雇用の大きな流れをたどってみる。 1960年〜  1950年代半ばから始まった高度成長期。人手不足の中小企業で身体障害者や知的障害者の雇用が行われた。  1976年、「身体障害者雇用促進法」の改正で、雇用率の義務化と納付金制度が始まり、製造業大手で聴覚障害者、軽度の身体障害者が雇用されるようになった。1977年には、特例子会社第1号としてシャープ特選工業株式会社、次いでオムロン太陽株式会社が認定された。『働く広場』でも同年の創刊号から、企業での障害者雇用の取組みを取材。現在まで「職場ルポ」として続いている。 1960年7月 「身体障害者雇用促進法」公布・施行(雇用率の制定〔努力義務〕) 1961年9月 「身体障害者雇用促進月間」を設定。1963年9月から「障害者雇用促進月間」に改称(以後毎年実施) 1972年11月 第1回「全国身体障害者技能競技大会」(アビリンピック)(以後毎年開催) 1975年12月 第30回国連総会「障害者の権利に関する宣言」採択 1976年5月 「身体障害者雇用促進法」改正(雇用率の義務化、雇用納付金制度の創設)雇用率1・5% 1977年3月 「身体障害者雇用促進協会」設立 1979年7月 「国立職業リハビリテーションセンター」設立(所沢市) 『働く広場』創刊号(1977年3月発行) 『働く広場』創刊号より「職場ルポ」 1980年〜  1981年は「国際障害者年」。「完全参加と平等」の理念の普及が掲げられたが、現在と比べると当時は障害者を街で見かけることはまだ少なかった。  同年に開催された第1回「国際アビリンピック」には、世界53カ国から304人の障害者が参加して、職業技能を競い合い、『働く広場』でもその模様を取材し、多数の写真とともに報告した。同年、岡山県などとの第三セクター方式で吉備松下株式会社が設立され、重度障害者の雇用が注目された。 1980年12月 「身体障害者雇用促進法」一部改正(障害者雇用納付金制度に基づく助成金の拡充) 1981年 国際障害者年。「完全参加と平等」がスローガン 5月 第三セクター方式による初の重度障害者雇用企業「吉備松下株式会社」創業 10月 第1回「国際アビリンピック」開催(以後4年ごとに開催) 11月 毎年12月9日を「障害者の日」と決定 1983年6月 第69回ILO総会「職業リハビリテーション及び雇用に関する条約」(159号条約)、「職業リハビリテーション及び雇用に関する勧告」採択 1984年6月 「身体障害者雇用促進法」改正(障害者の範囲の拡大等) 1987年5月 「身体障害者雇用促進法」改正(法律の名称を「障害者の雇用の促進等に関する法律」に変更。対象範囲拡大、法定雇用率の対象拡大等)。雇用率1・6%。特例子会社法制化 5月 「国立吉備高原職業リハビリテーションセンター」開設(岡山県賀陽町(現 吉備中央町)) 1988年 「身体障害者雇用促進協会」から「日本障害者雇用促進協会」へ改称 1989年5月 知的障害者のグループホーム制度化(知的障害者地域生活援助事業) 『働く広場』No.29(1982年1月発行)より、「第1回国際アビリンピック特集」  『働く広場』通算500 号という長い流れで見ると、障害者雇用を巡る状況は大きく変化した。本誌では原則として、働く障害者ご本人の実名と働く姿を掲載し、いち早く知的障害のある人、精神障害のある人の雇用も紹介してきた。今後も、障害者雇用に関して先駆的な役割をになっていきたいと願っている。 1990年〜  日本中がバブル景気にわいた1980年代後半から1990年代初めは、情報産業の興隆期。情報産業分野で多くの特例子会社が設立された。  1997年の法改正では知的障害者を含む障害者雇用率の設定がなされ、知的障害者中心の特例子会社の設立が相次いだ。職種も、事務補助、接客、清掃など職域が拡大。『働く広場』でも多くの特例子会社を紹介した。  その後も特例子会社の数は増え続け、2018年には450社を超えている。 1990年7月 「障害を持つアメリカ人法」(ADA)公布 1991年11月 「障害者職業総合センター」設立(千葉市) 1992年6月 「障害者の雇用の促進等に関する法律」改正(障害者雇用対策基本方針の策定、重度知的障害者の雇用率制度におけるダブルカウント等) 1993年6月 「精神保健法」改正(精神障害者の定義の改正、社会復帰のための事業の規定、資格制度の緩和等) 1997年4月 「障害者の雇用の促進等に関する法律」一部改正(知的障害者の雇用義務化) 9月 「障害者の雇用の促進等に関する法律施行令の一部を改正する政令」の公布。雇用率1・8% 1999年8月 障害者施策推進本部「障害者に係る欠格条項見直しの対処方針」決定 『働く広場』No.84(1991年3月発行)より、「最新特例子会社%チ集」 2000年〜  IT関連の仕事をする際の就労支援機器が充実、また、バリアフリー新法が制定され、ユニバーサルな社会に向けての法整備が行われた。2005年、障害者自立支援法が制定され、「福祉から雇用へ」の流れに。就労支援サービスの充実も図られてきた。  『働く広場』では、多様な障害種別の方を同一職場で雇用している企業など、多数の事例を取材した。 2000年5月 「高齢者・身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」(交通バリアフリー法)成立 2002年4月 「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律」成立(除外率の見直し、職場適応援助者事業の創設等) 5月 「身体障害者補助犬法」成立 2003年10月 「独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構」設立 2004年12月 「発達障害者支援法」成立 2005年6月 「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律」成立(精神障害者を雇用率の算定対象に) 10月 「障害者自立支援法」成立(障害者に対する福祉サービスを一元化。支援費制度を撤廃、サービスの応益負担) 2007年9月 「障害者権利条約」署名 2009年4月 「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律」の一部施行(企業グループ算定特例、事業協同組合等算定特例の創設等) 4月 「障害者の雇用の促進等に関する法律施行令の一部を改正する政令」の公布(除外率一律10%引下げ) 『働く広場』No.354(2007年2月発行)より、「職場ルポ」 2010年〜  今日、企業に就労する知的障害のある人たちは増加し、パラリンピックでの活躍などもあり、身体障害のある人たちとの「共生」も進んでいる。『働く広場』でも、働きながらパラリンピックを目ざす障害のある人を取材。  2018年、精神障害者を含む雇用率の設定がなされ、精神障害や発達障害のある人たちの就労、職場定着に向けてさまざまな取組みが行われている。 2011年6月 「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」(障害者虐待防止法)成立 8月 「改正障害者基本法」公布(障害者の定義の見直し、地域社会における共生等、差別の禁止等) 10月 「独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構」に名称変更 2013年4月 法定雇用率2・0%に 4月 「障害者総合支援法」が施行され、障害者の定義に難病が追加 6月 「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」成立 2016年4月 「障害者の雇用の促進等に関する法律」一部改正(障害者に対する差別の禁止、合理的配慮の提供義務) 2018年4月 「障害者総合支援法」が改正され、「就労定着支援」サービスが開始 4月 「障害者の雇用の促進等に関する法律」一部改正(精神障害者を含む雇用率の設定がなされる)法定雇用率は2018年6月現在、民間2・2%(従業員45・5人以上)、国・地方公共団体2・5% 『働く広場』No.494(2018年10月発行)より、「グラビア」 【P4-7】 通算 500号 記念 『働く広場』通算500号記念対談 『働く広場』から見る、障害者雇用の変遷(へんせん)  『働く広場』は、今号で通算500号となります。これを記念して、障害者の福祉から雇用まで幅広い施策にかかわった村木厚子さん(元厚生労働事務次官)と、30年以上にわたり編集委員をつとめた松矢勝宏さん(全日本特別支援教育研究連盟 理事長)のお二人に、『働く広場』から見る障害者雇用の変遷について語り合っていただきました。 障害者雇用の歴史とともに 松矢勝宏(以下、松矢) ちょうど1年前の2018(平成30)年4月に「障害者雇用促進法」(障害者の雇用の促進等に関する法律)が改正されました。法定雇用率が2・0%から2・2%に引き上げられると同時に、精神障害者が法定雇用率の算定基礎に入りました。正式な形として「全障害種」を含むことになったわけです。この画期的な節目の翌年に『働く広場』も500号を迎えました。障害者雇用促進法がしっかり整うまでのプロセスを、500号分で網羅しているのではないか、というのが私の率直な感想です。施策側の立場にいらっしゃった村木さんは、いかがですか。 村木厚子(以下、村木) 身体障害者から始まり知的障害者を加え、ついに精神障害者が入るまでの障害者雇用の歴史とともに『働く広場』がありますね。私が仕事で『働く広場』にかかわったのは1997年から2年余りの障害者雇用対策課長時代でしたが、この雑誌の価値を強く感じていました。楽しく読めて情報量がとても多い。編集委員の方たちが自ら学ぶつもりで取材したという気持ちが記事にも表れていて、それがみなさんの役に立つ雑誌であり続けてきた理由でもあると思います。 松矢 『働く広場』は1991年から月刊誌になり、私も編集委員時代(1986〜2017年)はいろいろ勉強になりました。  『働く広場』が創刊された1977年の前年、障害者雇用促進法の前身である「身体障害者雇用促進法」(1960年制定)が改正されました。それ以前の日本の雇用環境を見てみると、いわゆる高度経済成長時代で「中卒」の若者たちが金の卵としてもてはやされていました。人手不足のなか身体障害者はもとより知的障害者も特殊学級(いまの特別支援学級)を卒業して、就職する人が増えました。 村木 私は1978(昭和53)年に旧労働省に入り、最初の配属が身体障害者の雇用を担当する課でした。当時はその課の所掌に障害者だけでなく高齢者も学卒者も含まれていて、障害者のウエイトはまだ大きくなかったと思います。ただ身体障害者雇用促進法によって、小さいながらも施策の柱がちゃんと立っていた時期です。あのころ「傷痍(しょうい)軍人」と呼ばれた方々が「障害があっても自分たちは社会に貢献できる」という強い思いがあって、働くことによる社会参加を大事にしていることを学びました。 「国連障害者の十年」 松矢 国際障害者年の1981年には、東京で第1回国際アビリンピックが開催されました。 村木 私はちょうど外務省に出向中で、国際的な動きが日本を応援してくれるということを学びました。その後、知的障害者を対象にした第三セクターの「能力開発センター」が開設されるなど少しずつ整備されていき、より重度の人が働くうえでの福祉との連携も重要になっていきましたね。 松矢 1983年からの「国連障害者の十年」ではいろいろなことが動いたと思います。同年に国際障害者年日本推進協議会において発足した政策委員会には障害当事者も参加して活躍し、すぐに身体障害者福祉法の改正にこぎつけました。 村木 「障害者の十年」では「参加」が大きなキーワードでした。私は、障害者雇用を担当する前は女性の問題にかかわっていたので、古い考え方でいくと「そんな能力はない」、「こういう仕事は無理」と思われている人たちが実は非常に力があり、環境を整え、偏見を取り除いていけば素晴らしい活躍をするということを、女性や障害者にかかわるなかで見てきました。いずれも女性差別撤廃条約や国際障害者年、障害者の権利条約といった国際社会の後押しがありました。私は「偏見を排して、いかに人が持つ能力を発揮してもらうか」という視点で労働政策の醍醐味を感じていました。そして「働くことは、人間にとって大きな意味がある」ことをいろいろな角度から実感しました。 松矢 私が勤めていた東京学芸大学の附属養護学校でも、就職した子どもたちがたくましく成長している姿を見ると、働くことは重要だとつくづく感じました。いまでは東京の特別支援学校の生徒二人に一人が就職する時代になりました。卒業後に学校に来てくれて、立派な会社員として後輩たちに話をする姿は何とも頼もしいです。『働く広場』でも、こうした障害者たちの働く姿を全国に紹介してきたことは意義がありました。 村木 誌面の写真の力は大きいですね。私が忘れられないのは「障害者雇用支援月間ポスター原画コンテスト」写真の部の作品で、お給料袋を頭の上に両手でかかげて、とっても嬉しそうで誇らしい顔をした写真です。ちゃんと働いて、その評価としてお給料をもらうような活き活きとした姿を、『働く広場』ではていねいに見せ続けてきましたね。 雇用率制度は「宿題」 松矢 1987年に身体障害者雇用促進法が障害者雇用促進法に変更され、知的障害者も実雇用率にカウントされましたが、このころ地域障害者職業センター(以下、「地域センター」)で始まった「職業準備訓練(※1)」という取組みも斬新でした。就職にあたり、コミュニケーション、体調を自身で管理する力など、働くうえでベースとなる職業準備性や、基本的な労働習慣を体得することが必要であるとの考え方が、学校現場にも反映されていきました。一方、大企業では、当時の法定雇用率1・6%を達成するための採用を知的障害者にも広げ、彼らの能力を認知していったわけですから、大きな変化でした。 村木 義務を課すことで、形式的に雇用することにならないかという批判もありますが、やはり日本の障害者雇用の実現に、雇用率は大きな役割を果たしてきたと思いますね。私が企業の方に説明するときには「雇用率制度は宿題です」といっています。障害者雇用とはどういうものか、障害者にはどんな力があるかを知ってもらうための、勉強するきっかけになってきたのかなと。雇用率は目的化してはいけませんが、少し荷が重いことにも取り組むきっかけづくりという意味では大事な役割を果たしてきたと思っています。 松矢 そうですね。その流れで1997年の法改正で知的障害者が雇用率の算定基礎に組み込まれ、彼らを中心にした特例子会社をつくる動きも活発になりました。このころから障害者の雇用に対する考え方が、障害特性よりも「この人ができる仕事を切り出そう」というふうに変わっていきましたね。 村木 身体障害者だけだったときは、「ある従業員がやっていた仕事を、身体障害者でもできるか」という発想だったのが、「社内全体の仕事の棚卸をする」というやり方になり、知的障害者ができること・得意なことを業務として集めて部署や特例子会社をつくる。そのような動きが大企業が本気で取り組むきっかけにもなりました。 熱気に満ちあふれる特例子会社 松矢 特例子会社については、最初はどの企業も試行錯誤でした。先進的な企業の有志の方々が「障害者の雇用を楽しく考える会」という会を立ち上げ、順番に見学・研修会を開きました。私は特別会員にしてもらい毎回出席しました。同行してもらった進路指導の先生方は卒業生の変わりようを目の当たりにし、企業側が彼らの働きやすい工程や安全性を考えた職場環境を整えていることも知りました。そこで知的障害者の職業教育にも企業からアドバイスをもらおうという機運が生じたわけです。特例子会社のトップの方たちは熱意を持った人が多く、先生たちとも波長が合い、交流の機会が増えました。東京都教育委員会においては、10年ほど前から業績のある企業の方々を就労支援アドバイザーに委嘱し、進路指導の先生方との合同会議を開いたり、一緒に職場開拓に出向いたりしています。 村木 私が障害者雇用対策課長だった1997年ごろは特例子会社が70社ほどでしたが、いまは450社超ですね。当時、世話好きで熱気に満ちあふれる特例子会社のトップの方たちは「特例子会社同士はノウハウをすべて共有しよう。新しい特例子会社にはすべて教えよう」という雰囲気がありました。先日久しぶりに連絡会議に顔を出したのですが、相変わらず「ノウハウを分け合おう」という文化が残っていました。それは企業と学校の関係も同じで、みんなで取り組むという姿勢は、大きな財産です。  私自身、とても企業に感謝する機会がありました。知的障害者の雇用義務化のときに「障害者トライアル雇用(※2)」が始まったのですが、ハローワークの職員たちは「3カ月で首を切っていい職場に障害者を紹介できない」と反対していました。そのときに日本経営者団体連盟(現在の日本経済団体連合会)や特例子会社を持つ企業などが「私たちが、トライアル雇用を行い、うまくいったら本雇用してくれる企業を探します」といってくださったのです。結局は9割ほどが本雇用になり、ハローワークも一気に本腰を入れました。 就労と地域生活 松矢 このころ職域開発援助事業(※3)から、ジョブコーチ(職場適応援助者)による支援事業(※4)、トライアル雇用などの制度化や障害者就業・生活支援センターの開設によって「就労と地域生活」の二つをしっかり押さえる流れができましたよね。特に知的障害者にとっては、生活の支援が大切です。各地で官庁、民間企業、学校のネットワークができ、進路から雇用後の育成までをつなげる連携ができました。 村木 厚生労働省に再編されてから、私は今度は障害者の福祉担当(障害保健福祉部企画課長)になりましたが、あのころは全体的に「働くことが障害のある人にとって大切だ」という機運が強く、障害者福祉の仕組みの抜本改正のとき、柱となったのが「就労」と「地域生活」でした。 松矢 地域生活といえば1989年に制度化された「グループホーム」(地域生活援助事業)も大きな変化をもたらしました。通勤寮はありましたが、もっと身近なグループホームから会社や作業所に通う形で地域生活と就労を重視するようになりましたね。 村木 そうですね。こうした就労支援の施策を福祉側から考えていたころ、印象に残る議論がありました。一つ目は「いままでの福祉就労の制度は永遠の訓練だ」というものでした。そこから一般雇用につなげる道をつくるために「就労移行支援事業」が始まりました。  二つ目は「なぜ働いているのに労働者としての権利がないのか」という議論。例えば労災保険や最低賃金法が適用されないことです。そこで就労継続支援A型事業所という形で福祉の世界に労働法が適用される場をつくりました。  三つ目は、その理論だと就労継続支援B型事業所のような作業所的なところはつくれませんが、「では、つくらなかったらどうなるか」という議論。重度障害の方など労働法が適用される施設に行けない人は、生活介護という分類の施設に行くことになるが、そこで作業して工賃をもらってもよいのではないか。しかし、毎日通う場所に「働くところ」としての看板がないと、彼らの気持ちを削(そ)いでしまうのではないかと。それで、あれだけ批判されたB型を残したのです。私もあのとき「働く場に通う」形を担保できる福祉の類型をつくったことは間違っていなかったと思います。 松矢 一般就労に最も結びついているのは就労移行支援事業所ですが、A型・B型も含めた就労系障害福祉サービスから一般雇用に移行した障害者の数は、2003年を基準とすると、2017年はその11・5倍の1万4845人でした。2017年の特別支援学校からの就職者数は6411人なので、2倍以上だったことになります。つまり、障害者の離・転職ができる時代になったわけです。入社したけど合わなかった、ほかに行きたい会社が見つかれば転職できるということが可能になったのは大きいです。国際障害者年でも謳(うた)われた本人参加と自己決定の理念を反映して「障害者自立支援法」(2005年成立)では、利用者本人が希望する進路や生き方を尊重した個別支援計画の作成が定められるなど、自由度が大きく広がりました。同時に、障害者を囲ってはいけませんので、社会福祉法人の役割も責任も大きくなりました。そして制度体系が整ってきたいまは、就労にいかに移行していくかということが大きな課題になっていると思います。 村木 企業で働く人( 49・6万人)も、就労系福祉サービスを利用する人(計34・2万人)も非常に増えています。就労の世界が大きく広がっていることがわかりますね。 精神障害者の就労支援 松矢 精神障害者がようやく法定雇用率の算定基礎に入ったいま、細かい部分はまだまだですが日本も欧州並みに「すべての障害者」がリハビリテーションや雇用の対象になりました。一方、これだけ精神障害者への対応が遅れたのは、国内での差別がそれだけ強かったからでしょうね。 村木 同感です。トライアル雇用などの政策にあわせて「次は精神障害者だ」と研究会を立ち上げたのですが、それはもう反対の声が大きかったですね。知的障害者までは喜んで応援していたのに、精神障害者になると腰が引けている感じがありました。それがいまでは一番の応援どころだと、支援者の気持ちも変わってきましたよね。 松矢 精神障害者を中心とした地域生活支援センター(以下、「支援センター」)ができて、病院から出て地域生活ができるようになりました。 村木 精神障害者については調子の波をどうするか、就労時間はどの程度まで延ばせるのか、といった問題もありますが、ハローワークで扱う件数も相当増えていますから、実例が増えてくるなかで現実的な雇用の仕組みも確立されてくるのではないでしょうか。 松矢 基本的には、福祉と医療と雇用・就労の連携ということになりますが、医療は継続して必要です。精神保健福祉士といった専門職が、医師側とつなげられるようにすることですね。いくら医師が「もう働けますよ」と診断してくれても、実際に働く際には支援が必要です。法律が改正されたことに後押しされて、「働きたい」という精神障害者は増加すると思われますので、支援センターを利用される人のなかには、ていねいな支援を必要とするケースもあるでしょう。そのあたりは知的障害者よりも充実させる必要があります。 村木 もともと精神障害者へのサービスは医療中心でした。障害者自立支援法ができたときに三障害種共通の枠組みをつくりましたが、あの狙いは、知的障害者がそれまで使っていた福祉サービスをいかに精神障害者にも使ってもらうかという部分が大きかったですね。働くために生活や病状を支える仕組みが必要ですから、福祉的な支援の強化と並行していかないと、就労が長続きしないと思います。 松矢 そういう意味では、やはり選択肢がいろいろあって、「がんばったけど挫折しちゃった」という場合に一度立ち戻る、再チャレンジするという柔軟さがあるといいわけですね。また、地域センターで行っているリワーク支援(※5)については、気分障害といった精神障害のある方たちの復職に際し、よい効果を出しています。企業側の困り感を解消できるよう、主治医と事業主が連携しながら取り組める仕組みになっていますね。  『働く広場』の公開座談会にも精神障害や発達障害のある方が出てくださると、自分はどうやって企業に雇用されるに至ったかといった話をしてくれ、説得力があります。会場にも当事者の方たちがいて熱心に聞いてくれます。 働く場に多様な人がいる価値 村木 『働く広場』は、当事者や支援者、いろいろな立場で情報がほしい方に応えてくれていると思います。障害者の支援方法や仕事の内容、働くための工夫などについての情報は、ネットワークによって地域や分野を超えて集まってきます。そのネットワークに入っている人たちを巻き込んでつくられている『働く広場』は、本当に幅広く網羅していると感じます。 松矢 編集委員も多様で、定期的に入れ替わっていますが、あらゆるジャンルで活躍されている人が記事を書いてくれています。取材では雇用を手がけた方がわかりやすく話してくれているので、初心者の方たちも興味を持って「もっと知りたいな」と思ってくれるような記事やニュースが多いのだと思います。  では最後に、今後の障害者雇用と『働く広場』への期待についてお聞かせください。 村木 私は最近、困窮者や引きこもり、非行の子どもたちとかかわる活動をしています。どの分野にいても、「働く」ことはすごく大事なのだと感じています。働くことで自己実現して自信を取り戻して成長していける社会を考えたとき、手段としてもっとも先行しているのが障害者雇用の世界だと思っています。この世界で、いろんな人を巻き込み、サポートし、選択肢をつくれば、外側の広い世界にも大きな恩恵があると思います。その実現に向けた情報提供のツールとして、この『働く広場』の意味は大きいのではないかと感じています。そして働く人や支援する人、雇用する人たちなど多くの方たちから、「ダイバーシティ」という言葉が出てくるのも、この雑誌のすぐれた点です。世の中のいずれの職場にとっても大事な価値が、理屈や無理やりの仕掛けではなく、自然に編み込まれているような感じなのです。これからもこのスタンスを変えずに、「読んで楽しくためになる」雑誌でいてほしいですね。 松矢 ダイバーシティ、多様性ということでは、たとえば稀少難病でも働きたいという思いを持っている方もいらっしゃいますよね。『働く広場』では最近もテレワークについての記事がありましたが、多様な労働形態や仕事の内容なども含めネットワークを活用して情報をどんどん見つけて取材をしてもらいたいですね。そうした情報が障害のある方たちを勇気づけ、一般の方たちも「働くとは何か」について考える大きなきっかけとなり、心の糧にもなっていくはずです。できれば『働く広場』が、障害者雇用に関係する人や機関にとどまらず、多くの場で、多くの世代の人たちの目にとまるようになってもらいたい。そしてなにより終わりのない広報誌であってほしいと思いますね。ありがとうございました。 ※1 職業準備訓練:就職に向けて基本的労働習慣の習得などを図るための訓練。地域センターでは2005年以降「職業準備支援」と称して実施している ※2 障害者トライアル雇用:ハローワークなどの紹介により、障害者を一定期間雇用することで適性や能力を見極め、継続雇用のきっかけとすることを目的とした制度 ※3 職域開発援助事業:実際の職場を利用して職業準備性の向上を図るための事業。1992年から地域センターで実施され、2002年に「ジョブコーチ支援事業」に発展、改組された ※4 ジョブコーチ支援事業:ジョブコーチが職場を訪問し、障害者および事業主に対して職場適応・定着を支援する事業 ※5 リワーク支援:うつなどで休職中の方を対象とした、主治医および事業主と連携しながらスムーズな職場復帰を図るための支援 村木(むらき) 厚子(あつこ)さん 2013年7月から2015年9月まで厚生労働事務次官を務める。退官後は伊藤忠商事取締役、住友化学取締役、SOMPOホールディングス監査役、津田塾大学客員教授、土佐高等学校理事などに就任。 松矢(まつや) 勝宏(かつひろ)さん 東京学芸大学名誉教授、目白大学客員研究員。NPO法人GreenWork21 理事長、社会福祉法人 森の会理事長。日本知的障害福祉連盟理事・日本発達障害学会理事・中央省庁・東京都などの委員を歴任。2007年10月から全日本特別支援教育研究連盟理事長。 【P8-13】 職場ルポ 「アビリンピック挑戦」が職場の活性化に ―エプソンミズベ株式会社(長野県)― (文)豊浦美紀 (写真)小山博孝・官野 貴 取材先データ エプソンミズベ株式会社 〒392-0027 長野県諏訪市湖岸通り1-18-12 TEL 0266-58-8833 FAX 0266-58-8834 Keyword:アビリンピック、障害者職業生活相談員、職場適応援助者(ジョブコーチ) POINT @ アビリンピックへの出場は、業務内容に関係なく本人の意欲を尊重 A 就業時間内に練習時間を確保。業務ができない時間は同僚がフォロー B サポートする従業員に対し、カウンセリングや勉強会を開催して支える 全国大会に5人が出場  2018(平成30)年11月に開催された「第38回全国アビリンピック沖縄大会」は、過去最多となる選手382人が参加した。なかでも、社内から5人が出場し、4人が金・銀・銅賞を獲得する大きな活躍を見せた企業がある。長野県に本社・拠点を構える「セイコーエプソン株式会社」(以下、「エプソン」)の特例子会社「エプソンミズベ株式会社」(以下、「ミズベ」)だ。2004年からアビリンピックに参加し、昨年の地方大会には過去最多15人が参加したという。彼らが日ごろ職場でどのように働きながらアビリンピックを目ざしているのか、訪ねてみることにした。  1984(昭和59)年、全国14番目の特例子会社としてスタートしたミズベには、障害のある従業員134人(2019年2月時点)が在籍している。障害種別の内訳は知的障害者86人(64%)、身体障害者33人(25%)、精神障害者15人(11%)。もう一つの特例子会社「有限会社エプソンスワン」(山形県)を含め、エプソングループ全体の障害者雇用率は2・55%(2018年6月1日時点)。うち4割超がミズベで占められている。  エプソンとミズベの本社は、いずれも諏訪(すわ)市にある。冬の風物詩「御神渡(おみわた)り」で知られる諏訪湖や諏訪大社などがある観光地だが、精密機械・部品関連に代表される工業都市でもある。長野県内に点在するエプソンの事業所内8カ所に、ミズベも業務拠点を置いている。エプソンから請け負っている業務内容は、カートリッジ類の仕分けから防塵(ぼうじん)衣類クリーニング、DTP、生産用部品の再生、時計梱包、特許図面作成、ビルクリーニングなど、20種類以上にわたる。 就業時間内に練習  さっそくアビリンピックに挑戦した選手たちが働く現場を見て回った。まずはミズベ本社に併設されている湖畔工場。ここでは使用済みインクやトナーのカートリッジ仕分け、基板実装、時計部品の加工前の段取り作業、生産用部品再生などを行っている。  リサイクルを目的とした「インクカートリッジ里帰りプロジェクト」の一端をになう仕分け部署には、見覚えのある箱がたくさん積み上げられていた。郵便局などに置いてあるカートリッジ回収ボックスだ。ここではメーカーごとに仕分け直している。小中学校などから寄せられたベルマークつきインク・トナーカートリッジの集計なども行っていた。  両手を流れるように動かしながら仕分け作業をしていた平林(ひらばやし)昌也(まさや)さん(23歳)は、昨年の全国アビリンピック沖縄大会で金賞に輝いた1人だ。出場した「製品パッキング」種目では、圧倒的なスピードと正確さで会場の見学者を驚かせていた。平林さんは地元の就労移行支援事業所に通っていたころから同種目に出場しており、入社後に「今年も挑戦してみる?」と声をかけられ「はい」と即答したという。練習場所を確保してもらい、毎日1時間以上パッキングの練習に取り組んだ。平林さんは「全国大会から戻ると新聞などに出たので、学校時代の先生や友人から『おめでとう』との連絡が来てうれしかったですね。金賞を取った種目には参加できなくなるので、立候補する同僚がいたらサポートしてあげたいです」と語ってくれた。いまの仕事については「環境保護活動や社会貢献の一部になっていると思うと、やりがいのある仕事だなと実感できます」と話す。  指導役の半澤(はんざわ)正則(まさのり)さんに話を聞いた。  「出場種目と実際の仕事内容は直接的には関係はありませんが、競技で入賞を目ざすことで日ごろの仕事のモチベーションも、ぐっと上がってくることがわかります。周りも彼が練習に打ち込めるよう『サポートしよう』という一体感が生まれます」  リーダーを務めている武居(たけい)晶子(しょうこ)さんは、「実際にメンバーが結果を出す様子を見て『自分も挑戦したい』と相談してくる人もいます。一方で『たいへんそうだから無理』と尻込みする人も当然いますから、無理にすすめることはしません。まずは毎日、みんなで楽しく働けることを大事にしています」と笑顔で話してくれた。 はんだごての職人技も  次に、湖畔工場の製品第2チームと呼ばれるフロアを訪れた。10人弱のメンバーが一人ずつ大きな作業デスクに座り、複雑な作業に黙々と取り組んでいた。ここでは主に下肢障害や聴覚障害のあるメンバーが、基板実装や時計部品の加工前の段取り作業などを行っている。電子回路基板に向き合い作業していた向山(むかいやま)雅士(まさし)さん(40歳)は、2013年全国アビリンピック大会「電子回路接続」種目で金賞に輝いた経歴を持つ。2017年度には、当機構から優秀勤労障害者「理事長努力賞」の表彰を受けた。はんだごての高い技術を持つ向山さんは「ときには計30時間ぐらい集中して取り組む案件があるため苦労しますが、達成感も大きいですね。いまはリーダーとして、業務請負の見積りから出荷までのとりまとめも任されています」と笑顔で答えてくれた。  向山さんの隣で別の作業をしていた藤森(ふじもり)千恵(ちえ)さん(60歳)も「電子機器組立」種目でアビリンピック全国大会に3回出場し入賞している。熟達した職人技を買われ、定年退職後も再雇用されたそうだ。聴覚障害があるが、向山さんが「独学で覚えた」という手話を介し、冗談も交えながらスムーズに会話をしていた。 手話のできる社員に囲まれ  エプソン本社内にあるミズベの諏訪工場にもアビリンピック出場者がいる。訪ねたのは高速ラインインクジェットプリンターを使った印刷部署。短時間で大量に印刷できるため、主に社内報や労働組合機関紙、生活協同組合の印刷物などを取り扱っているそうだ。  複数のプリンターを同時に操作していた市川(いちかわ)尚正(たかまさ)さん(39歳)は、入社18年目。全国アビリンピック沖縄大会では「DTP」種目で二度目の全国大会への出場だったが、残念ながら入賞には届かなかった。大会の感想を、リーダーの渡邉(わたなべ)則夫のりお)さんとの手話を通じて伝えてくれた。  「レベルが高くて、まだまだ自分の実力は未熟でした。来年はもっと腕を磨いてメダルを取りたいです」  いまは印刷業務がメインで、DTP業務はたまに手伝うぐらいだという市川さんだが、今年の長野のアビリンピック地方大会PR のためのポスターデザインを任された。  市川さんは「この職場は周りで手話を使える人が多く、コミュニケーションで困ることはありません。仕事内容や連絡事項を細かく伝えてくれるので安心です。気兼ねなく、仕事に集中できます」とも教えてくれた。ちなみに職場には手書き用の電子ボードも置かれていて、専門用語などを説明するときなどに活用しているそうだ。 ワークフェアで名刺作成の実演  本社内には、多くの社外見学者が訪れる場所もある。「ペーパーラボ」が置かれたフロアだ。エプソンが2015年に世界に先駆けて新開発したという製品「ペーパーラボ」は、機密文書などの使用済みの紙を、水をほとんど使わず新たな紙に再生する“乾式オフィス製紙機”だ。この部署では、社内から集まってきた使用済み文書1日あたり約6千枚を、5千枚の再生紙にしている。  ペーパーラボの操作に従事している武居(たけい)昌紀(まさのり)さん(30歳)は2016年に入社。別工場の清掃チームにいたが、何度かペーパーラボ部を手伝う機会があり、能力を見込まれて昨年異動してきたそうだ。  「まだ新しい製品で作業内容の改善をくり返しているため、新たな作業を覚えていくのは少したいへんですが、迷ったときは上司に確認しています。作業の合間に世間話をするのも楽しいですね」  オペレーターとして指導役もつとめる村崎(むらさき)和浩(かずひろ)さんに、武居さんの仕事ぶりについて聞くと「この作業で必要な『感性』も持ち合わせており、優秀です」と太鼓判を押してくれた。コピー用紙・名刺・ノートなど、使用目的によって再生紙の仕様は異なるため、用途に合わせて投入する紙を手際よく的確に仕分けたり、効率を考えて段取りを行うなど、さまざまな工夫をしているという。「武居さんは、職場で欠かせない存在になっています」と村崎さん。  この再生紙をフルに使い、エプソン社員の名刺もつくっている。下肢障害のある森下(もりした)美和(みわ)さん(43歳)は、パソコンと専用のプリンターを駆使して名刺づくりに励む。全国アビリンピック沖縄大会にも同行し、「障害者ワークフェア」の出展ブースで名刺印刷の実演を担当した。「400人分の名刺をつくろうと再生紙400枚を持ち込んでがんばったのですが、結果は200人分」と苦笑いする森下さんだが、「多くの企業の方や来場者のみなさまと交流し、再生紙のことも紹介できて、よい経験になりました」と語る。  ペーパーラボは来年度以降、ほかの事業所にも配置し、障害のある従業員がかかわる業務として、さらに定着させていく予定だそうだ。 レベルの高いビルクリーニング  ミズベの主力業務の一つとなっている「ビルクリーニング」は、1995年に外部委託から切り替える形で始まり、いまはエプソン本社を含め県内工場5カ所で行っている。全国アビリンピックの2017年栃木大会と2018年の沖縄大会に出場した、豊科(とよしな)工場の与曽井(よそい)瑞穂(みずほ)さんが、「ビルクリーニング」種目で連続して銀賞を獲得するなど、レベルの高さがうかがえる。  昨年入社したばかりの山ア(やまざき)芹菜(せりな)さん(26歳)も「いつかは挑戦してみたい」と遠慮がちに話してくれたが、リーダーの樋口(ひぐち)隆子(たかこ)さんは「山アさんは、とても優秀なので、ぜひ挑戦してほしいですね」と背中を押す。「清掃用の道具は、食堂や水回りを含め、場所に合わせていろいろあるのですが、山アさんは一つひとつていねいに使いこなして取り組んでくれています」  日ごろは、昼休みの同僚たちとの歓談が楽しみだという山アさんは、聴覚障害のある同僚との会話のために、独学で手話も勉強しているそうだ。  企業在籍型ジョブコーチ(職場適応援助者)でもある樋口さんは「一人ひとりの個性に合った指導をしながら、日々の小さな変化を見逃さないように心がけています。みんなに楽しく通ってもらうことが一番」としながら、今後は作業エリアの拡大も狙いたいと語る。「実は、社員が清掃を担当している場所は手が回りきっていないようで、私たちがやったほうがキレイになるからです」と笑いながら明かしてくれた。  取材陣が最後に訪れたのは、本社から車で45分ほど離れた松本市の神林(かんばやし)事業所。ここには大型プリンター用インクカートリッジの分解作業部署などが入っている。分解によって7割のリサイクルを実現しているという。カートリッジに付随しているICチップを取り外し、ラベルをはがし取り、プラスチックケースを分解し、インクパックを取り出し、分別仕分けする作業を、十数人で定期的に役割を入れ替えながら行っている。  この日、ラベルはがし作業に取り組んでいた上條(かみじょう)美咲(みさき)さん(23)は、全国アビリンピック沖縄大会の「オフィスアシスタント」種目で金賞に輝いた。前回の栃木大会で初出場して入賞を逃し「悔しくて号泣した」という上條さんが、今回は表彰台で「嬉しくて号泣した」姿が印象的だった。大会前は、競技のために封筒や紙などを用意し、毎日2時間の練習時間も確保してもらったという。業務ができない時間はほかのメンバーがカバーした。入社5年目という上條さんは「いままで先輩たちに支えてもらってきたので、今後は後輩たちに、仕事を教えたり、いろいろな相談に乗ってあげたいですね」と頼もしい表情で語ってくれた。  指導役の洞澤(ほらさわ)陽子(ようこ)さんにも話を聞いた。  「競技の練習も普段の業務も、本人がしっかり納得したうえで取り組めるよう心がけています。特にここは安全にも気をつけなければいけないため、本人の作業のしやすさなどを考慮し、作業方法やペースを一緒に試行錯誤しています」 サポート側の従業員も支援  アビリンピックに挑戦する障害のある従業員が増える背景には、その意欲を引き出し、大会までの練習を含めて支えるサポート従業員の存在も大きいだろう。ミズベは、障害のある従業員を支援する従業員46人全員が、障害者職業生活相談員、うち13人が企業在籍型ジョブコーチの資格を取得している。さらに、以前まで月2回の訪問だった精神保健福祉士には、いまは常駐の形で8拠点を巡回してもらっている。ミズベの管理部長荒井(あらい)孝昌(たかまさ)さんは「もともと精神保健福祉士の巡回は障害のある従業員のためでしたが、彼らをサポートする側からもさまざまな悩みが寄せられました。職場では先輩が経験をふまえて助言することも多いのですが、やはり専門職の方の話は説得力があるようです。各工場で定期的に勉強会やワークショップなども行い、好評です」と話す。  また、障害者の視点に立った新たな安全活動の一つとして、災害時などに自分の命と安全を守るための「HELP CARD」を2017年に導入した。首からさげる社員証ホルダーに一緒に入れる赤色のカードには、障害種別や支援してほしいこと、家族や支援機関・主治医の連絡先や服用薬の種類・量などを細かく記入できる。ミズベの従業員全員が携帯しているそうだ。「私自身も通勤時など何かあったときに、代わりにだれかが連絡してくれたり、助けてもらったりできるという安心感があります」と荒井さん。  さらに同年春には、障害のある従業員の就労定着支援に力を入れるため、管理部内に「サポートグループ」を新設。同年夏には「企画グループ」も誕生し、新しい業務の開拓に取り組む。近年、通勤圏内では精神障害のある求職者が圧倒的に多いこともあり、目下の重要課題は「精神障害のある方の採用をいかに拡大するか」だという。そのためのワーキンググループを2月に立ち上げたばかりだ。障害者雇用の「時代の波」に立ち遅れないよう、荒井さんたちは各地で開催されるさまざまな障害者雇用向けセミナーや集まりに頻繁に参加し、情報収集にも余念がない。  「私たちの理念や支援のあり方をしっかりと継承しつつ、時代に合わせて変えるべきものは変えていかなければいけないと思っています。ミズベだけではなく親会社も巻き込んで、職域・雇用拡大のための議論も始めています。ミズベが、今後もグループ全体の障害者雇用を牽引(けんいん)していくという気概をもって取り組んでいきたいですね」 挑戦が日々の成長もうながす  毎年7月ごろに開催されるアビリンピック地方大会に向け、挑戦する選手を決めるのは年度初めの4月ごろからだ。各工場に声をかけ、職場の上司と相談して本人が立候補してくるそうだ。競技種目は業務内容と無関係でも構わず、本人の希望を尊重するという。上司らの指導やアドバイスを受けながら毎日のように行う練習は、就業時間内に確保している。練習に必要な道具なども社内の備品などをうまく使いまわしている。物心両面で手厚いバックアップ体制だが、最初のころは社内でも認知度が低かったらしく、当時参加していた従業員が「自分のときは1人でやっていた。いまは会社が応援してくれてうらやましい」と笑いながら教えてくれた。  周囲のサポートや応援を感じるほど、本人たちの「がんばりたい」という気持ちも強くなる。ある若い障害のある従業員は、同僚がアビリンピックの練習をする様子を見て「私も出られますか」と相談してきた。初めての地方大会は残念な結果に終わったが、泣きながら「再チャレンジします」と宣言したという。「泣くほど悔しい思いをする経験も、彼らの成長の糧になっているようで、こちらもうれしくなります」という荒井さんだが、同行した沖縄大会では「自分のほうが感動して泣いてばかりでした」と振り返る。最後に、アビリンピックに参加することの意味について、こう語ってくれた。  「もちろん賞をもらえることに越したことはないのですが、職場では、なによりも『みんなで目標を持ってチャレンジすることを大事にしたいよね』と話しています。何かに挑戦する従業員のために、周囲のメンバーも仕事を助けたりアイデアを出しながら、一緒になって取り組んでいます。一人ひとりが刺激を受け、職場全体が活性化していくことを日々実感しています。それがミズベの理念の一つである『昨日より今日の自分が成長していることが僅(わず)かでも感じられること』にもつながっていると思います」 全国アビリンピック沖縄大会で入賞した同社のみなさん(エプソンミズベ提供写真) 「製品パッキング」種目で念願の金賞を受賞した平林昌也さん(左)。インクカートリッジの仕分け作業をしている 基板実装の作業をする、リーダーの向山雅士さん リーダーの武居晶子さん 平林さんの指導役、半澤正則さん 向山さん(手前)と手話で話す藤森千恵さん(奥) ペーパーラボの操作をする武居昌紀さん 「感性」を見込まれて、清掃チームから異動してきた 全国アビリンピック「電子機器組立」種目に出場し、銅賞3回のベテラン、横内(よこうち)庄一(しょういち)さん 高速ラインインクジェットプリンターでの印刷を担当する市川尚正さん 「感性」を見込まれて、清掃チームから異動してきた 再生紙での名刺づくりをする森下美和さん 清掃班の山ア芹菜さん 「ビルクリーニング」種目で銀賞を獲得した与曽井瑞穂さん 「オフィスアシスタント」種目で金賞の上條美咲さん 「HELP CARD」のサンプル 管理部長の荒井孝昌さん 【P14】 エッセイ第3回 一般採用と障害者採用、両方を経験してpart.2 『障がい者の就活ガイド』著者 紺野大輝 紺野大輝(こんのたいき) 1976(昭和51)年、札幌市生まれ。「脳性麻痺による脳原性運動機能障害(両上肢機能障害)2級」という障害を持って生まれる。2000(平成12)年法政大学卒業後、一般採用で都内老舗ホテルに入社、購買部で5年間勤務する。2006年、障害者採用で転職。2016年、『障がい者の就活ガイド』(左右社)を出版。2018年8月22日、朝日新聞「天声人語」で紹介される。 公式ホームページ:http://konnotaiki.net/ ◎生き方を決めよう  新卒での一般採用枠で入社したホテルを退社後、ハローワークに行きました。そこで私は初めてハローワークに「障害者窓口」があることを知りました。「障害者しか応募できない求人があるのだ」と目から鱗(うろこ)でした。新卒時の就職活動では苦労したので、今回は、健常者と比較されることもなければ門前払いもない「障害者採用」で就職活動することに決めました。  さっそくハローワーク主催の障害者向け合同就職説明会に参加し、手あたり次第にブースを回りました。実際に話をしてみると、障害を理由に断られることがないばかりか、どこも話をきちんと聞いてくれるのが印象的でした。と同時に、違和感を覚える点もありました。  まず職種を見ると、サポート業務・補助業務が圧倒的に多いことに気がつきました。「障害者は健常者のサポート役にしかなれないのか」。私は第一線で活躍したいと思っていたので、大きな疑問が湧きました。  次に、有期雇用契約が多かったことも気になりました。現在では、5年以上の勤務をすれば無期雇用を申し込める無期雇用転換ルールがありますが、当時はまだそのような制度はなく、更新回数の上限が決まっている企業もありました。「もし、そのような企業に勤めたら、数年後にはまた就職活動をしなければならない。それをくり返して高齢になったとき、就職先はあるのだろうか」。先々を考え、不安を覚えました。  しかし、不安を抱えつつも先に進む必要があるため、またこれからの人生・生き方の指針を決めるためにも、どんな就職先がいいか、ポイントを絞って応募することにしました。@補助的な仕事ではなく、主要な役割を果たせる仕事であること、A無期雇用での募集であること、B身体的負担の少ない内勤業務であること、の3点です。また、面接の際などには「タイピングのスピードは健常者の半分程度です」、「10s以上のものは運べません」など、あえて不得手なことも具体的に伝えるようにしました。 ◎企業の姿勢もさまざま  自分が納得できる企業に出会うため、民間の障害者向け求人媒体も利用し、多くの企業に応募しました。いろいろな企業に応募をすると、その企業がどのような気持ちで障害者雇用に取り組んでいるかがわかります。障害者雇用に前向きで積極的な企業、義務的に行っている企業、どこか差別的な印象を受ける企業など、実にさまざまでした。  仕事内容はもちろん重要ですが、「職場環境」もたしかめるようにしました。例えば、廊下ですれ違う従業員の表情、エレベーターやトイレなどでの会話など、面接以外の場所も注意深く観察するようにしました。会社の雰囲気というのは、さまざまなところに表れます。自分も選ぶ立場であるということを忘れず、細部までチェックするようにしました。 ◎転職、14年間勤務  最終的に選んだのは、現在勤めている従業員数約1800人の情報提供サービスの会社です。決め手となったのは、正社員としての採用であったこと、また、障害者枠での採用でしたが、入社後は障害のない従業員と同じように働けることなどです。高い成果を求められる一方、やりがいもあります。2006(平成18)年に入社し、最初はデータ構築の部門に配属されました。そして、2015年に人事部に異動となり、現在は人事業務全般を担当しています。  働きやすい環境でやりがいもあり、気がつけば入社から14年が経ちました。ラッシュを避けて通勤したり、整体に通ったり、週1回フィットネスクラブでトレーニングをするなど、1日でも長く働けるように自分でも工夫しながら勤務しています。  そんなとき、個人的におつき合いのある企業の社長さんから「障害者就労移行支援事業所を始めたので、利用者にこれまでの経験を話してほしい」との依頼をいただきました。私は、「経験が役に立つのなら」と、喜んで引き受けました。  次回は、そのことについて書きたいと思います。              つづく ※第1回(2019年3月号)、第2回(2019年4月号)は、当機構ホームページでもご覧になれます。 【P15-18】 グラビア スシローのシャリづくり名人 株式会社あきんどスシロー スシロー高知朝倉店(高知県) 取材先データ 株式会社あきんどスシロー スシロー高知朝倉店 〒780-8076 高知県高知市朝倉東町51-17 TEL 088-828-8420 写真:小山博孝・官野 貴/文:小山博孝  創業35年、回転寿司チェーン「スシロー」を全国に518店舗展開、運営している株式会社あきんどスシロー。4万人を超える従業員のうち、障害者224人(知的障害165人、発達障害25人、聴覚障害を含む身体障害19人、精神障害14人、そのほか1人、2019〈平成31〉年3月現在)が本社の雇用促進担当部署の支援を受けながら、各地の店舗で活躍している。  高知県にあるスシロー高知朝倉店には、シャリづくりの名人がいる。彼は、入社して4年目の30歳。大学卒業後、発達障害(アスペルガー症候群)の診断を受け、精神障害者保健福祉手帳を取得した。高知障害者職業センターや、就労サポートセンターかみまちの支援を受け、同店での食器洗浄業務などの実習を経て、2015年9月に採用された。  入社して食器洗浄などの業務に就き一カ月ほど経ったころ、炊飯業務を担当することになった。当時の店長が、「慣れるまで時間がかかるが、炊飯業務は作業の流れがわかりやすく、見通しが立ちやすい。仕事がスムーズにできるようになれば、安定して働き続けられるだろう」と考えたためだ。こうして彼のシャリづくりがスタートし、名人と呼ばれるまでになった。現在、8時20分に出勤し、朝礼、手洗いの後、9時から作業を開始する。炊飯器1台で米5・6s(約500皿分)のシャリが、平日は12〜14回(約70〜80s)、休日には20〜24回(120s前後)炊かれ、酢合せをしてできあがる。  現店長の山岡聖也さんは「彼は店の大切な戦力です。シャリは、つくり手によって変わるもの。スピードと、ていねいさの両方が大事です」と期待は大きい。 自宅から、愛車のバイクで通勤 スシロー高知朝倉店のシャリづくりを担当している 店長の山岡聖也さんが見守る前で、ていねいに手洗いを行う スシロー高知朝倉店 おいしいシャリができるまで 彼の目標が目の前に貼ってある 1 洗米機で米を洗う 2 水量の調整 3 米が炊きあがる 4 酢合せ機「シャリッカー」に手早く移す 5 炊きあがりをチェック 6 すぐに酢合せをする できあがったシャリを点検する 自動でシャリを握ってくれる寿司ロボの整備 シャリを寿司ロボに補充する 開店。寿司ロボも動きはじめる 【P19-21】 インフォメーション 2019年度 職業リハビリテーションに関する研修のご案内  当機構では、医療・福祉などの関係機関で障害のある方の就業支援を担当する方を対象に、職業リハビリテーションに関する知識や障害者の雇用支援に必要な技術の修得と資質の向上を図るための研修を実施しています。受講料は無料です。  各研修の詳細・お申込み先などは、当機構のホームページ(http://www.jeed.or.jp) のサイト内検索(各研修名で検索)でご確認ください。みなさまの受講を心よりお待ちしています。 研修 就業支援基礎研修 【対象】就業支援を担当する方 【内容】就業支援のプロセス、障害特性と職業的課題、障害者雇用施策、ケーススタディなど 日程 各地域障害者職業センターのホームページなどで別途ご案内いたします。 ◯◯障害者職業センター 検索 ※◯◯には都道府県名を入力 場所 各地域障害者職業センターなど 研修 就業支援実践研修 精神障害・発達障害・高次脳機能障害コース 【対象】就業支援の実務経験2年以上の方 【内容】障害別のアセスメント、支援ツールの活用方法、ケーススタディなど 日程 10〜12月に全国12 エリアで開催します。就業支援実践研修のホームページなどで別途ご案内いたします。 場所 全国12エリアの地域障害者職業センターなど 研修 就業支援スキル向上研修 精神障害・発達障害・高次脳機能障害コース 【対象】就業支援の実務経験3 年以上の方 【内容】障害別の支援技法、職リハに関する最新情報、ケーススタディなど 日程 2020年1月28日(火)〜1月30日(木) 場所 千葉県千葉市 研修 就業支援課題別セミナー 「高次脳機能障害者の支援」 【対象】障害者の就労や雇用に関する支援を担当しており、高次脳機能障害者に対する就業支援の実務経験を有する方 ※内容については、おってホームページでご案内します 日程 2019年10月3日(木)〜10月4日(金) 場所 千葉県千葉市 研修 職場適応援助者養成研修 【対象】訪問型・企業在籍型職場適応援助者(ジョブコーチ)としての援助を行う予定の方など 【内容】 ジョブコーチの役割、作業指導の実際、ケースから学ぶジョブコーチ支援の実際、職場における雇用管理の実際、支援記録の作成など (集合研修4日+地域障害者職業センターでの実技研修4日程度) ※対象地域は以下のとおりです  東日本:北海道、東北、関東甲信越、静岡、富山  西日本:東海(静岡を除く)、北陸(富山を除く)、近畿、中国、四国、九州、沖縄 日程 4月期 全国対象:2019年4月23日(火)〜4月26日(金) 場所 千葉県千葉市 日程 6月期 NEW 西日本対象:2019年6月25日(火)〜6月28日(金) 場所 大阪府摂津市 日程 東日本対象:2019年6月25日(火)〜6月28日(金) 場所 千葉県千葉市 日程 8月期 西日本対象:2019年8月27日(火)〜8月30日(金) 場所 大阪府摂津市 日程 東日本対象:2019年8月27日(火)〜8月30日(金) 場所 千葉県千葉市 日程 10月期 全国対象:2019年10月15日(火)〜10月18日(金) 場所 千葉県千葉市 日程 12月期 西日本対象:2019年12月17日(火)〜12月20日(金) 場所 大阪府摂津市 日程 東日本対象:2019年12月17日(火)〜12月20日(金) 場所 千葉県千葉市 日程 2月期 NEW 西日本対象:2020年2月18日(火)〜2月21日(金) 場所 大阪府摂津市 東日本対象:2020年2月18日(火)〜2月21日(金) 場所 千葉県千葉市 研修 職場適応援助者支援スキル向上研修 【対象】ジョブコーチとして一定の実務経験のある訪問型・企業在籍型職場適応援助者の方 【内容】精神・発達障害者のアセスメントや支援方法、アンガーコントロール支援、意見交換、ケーススタディなど 日程 NEW <第1回>2019年5月28日(火)〜5月31日(金) 場所 大阪府大阪市 日程 <第2回>2019年7月23日(火)〜7月26日(金) 場所 千葉県千葉市 日程 NEW <第3回>2019年10月29日(火)〜11月1日(金) 場所 大阪府大阪市 日程 <第4回>2019年11月26日(火)〜11月29日(金) 場所 千葉県千葉市 <お問合せ先> 職業リハビリテーション部 研修課 TEL:043-297-9095 E-mail:stgrp@jeed.or.jp ◆2019年度「地方アビリンピック」開催地一覧◆ 各都道府県における障害者の技能競技大会「地方アビリンピック」が下記の日程で開催されます。 詳細は、「地方アビリンピック」ホームページをご覧ください。 都道府県 開催日 会場 北海道 10月頃 北海道職業能力開発促進センター 青森 9月下旬 @青森職業能力開発促進センター Aホテル青森 岩手 7月7日(日) 岩手県立産業技術短期大学校 宮城 7月13日(土) 宮城職業能力開発促進センター 秋田 7月頃 秋田市にぎわい交流館AU(あう)(エリアなかいち) 山形 7月9日(火) 山形ビッグウイング 福島 11月頃 福島職業能力開発促進センター 茨城 12月7日(土) 12月8日(日) 茨城県職業人材育成センター 栃木 7月6日(土) @栃木職業能力開発促進センター A文星芸術大学 Bとちぎ福祉プラザ 群馬 7月6日(土) 群馬職業能力開発促進センター 埼玉 7月13日(土) 国立職業リハビリテーションセンター 千葉 11月頃 未定 東京 2月中 @東京障害者職業能力開発校 A職業能力開発総合大学校 神奈川 10月24日(木) 10月26日(土) 国立県営神奈川障害者職業能力開発校 新潟 9月7日(土) 新潟市総合福祉会館 富山 7月27日(土) @富山市職業訓練センター A富山県技術専門学院 石川 10月6日(日)または20日(日) 石川職業能力開発促進センター 福井 7月7日(日) 福井県立福井産業技術専門学院 山梨 10月6日(日) 山梨職業能力開発促進センター 長野 7月20日(土) 7月21日(日) ポリテクセンター長野 岐阜 7月13日(土) 東海職業能力開発大学校 静岡 @AB7月6日(土) C7月13日(土) @静岡市清水文化会館マリナート A静岡市東部勤労者福祉センター清水テルサ B清水社会福祉会館はーとぴあ清水 C学校法人静岡理工科大学 静岡デザイン専門学校 愛知 @6月16日(日) A6月22日(土) B6月23日(日) C6月29日(土) @愛知県立名古屋聾学校 A大成今池研修センター B学校法人 珪山学園 専門学校 日本聴能言語福祉学院 C中部職業能力開発促進センター 三重 12月頃 三重職業能力開発促進センター 滋賀 10月中旬 @滋賀職業能力開発促進センター A滋賀職業能力開発短期大学校 京都 2月頃 @京都府立京都高等技術専門校 A京都府立京都障害者高等技術専門校 B京都府精神保健福祉センター 大阪 @AB6月22日(土) @7月6日(土) @関西職業能力開発促進センター A(社福)日本ライトハウス視覚障害リハビリテーションセンター B(社福)大阪市障害者福祉・スポーツ協会 大阪市職業リハビリテーションセンター 兵庫 6月22日(土) 7月6日(土) 兵庫職業能力開発促進センター 奈良 @未定 A6月28日(金) @奈良県立盲学校(パソコン操作のみ) A奈良県立高等技術専門校 和歌山 6月15日(土) 和歌山職業能力開発促進センター 鳥取 6月下旬 鳥取県立福祉人材研修センター 島根 7月13日(土) 島根職業能力開発促進センター 岡山 6月29日(土) 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター 広島 12月または1月 広島障害者職業能力開発校 山口 10月19日(土) 山口職業能力開発促進センター 徳島 9月21日(土) @徳島職業能力開発促進センター A徳島ビルメンテナンス会館 香川 1月下旬または2月上旬 @かがわ総合リハビリテーションセンター A香川県立高松養護学校 B香川県立香川中部養護学校 愛媛 7月13日(土) 愛媛職業能力開発促進センター 高知 7月6日(土) 高知職業能力開発促進センター 福岡 @6月8日(土) A6月15日(土) @福岡県立福岡高等技術専門校 A国立県営福岡障害者職業能力開発校 佐賀 1月頃 @村岡屋大和店 Wa cafe さかしめ A佐賀職業能力開発促進センター 長崎 7月頃 長崎県立長崎高等技術専門校または長崎職業能力開発促進センター 熊本 @6月29日(土) A6月30日(日) @熊本職業能力開発促進センター A熊本県立技術短期大学校 大分 11月30日(土) 社会福祉法人太陽の家 宮崎 7月6日(土) 宮崎職業能力開発促進センター 鹿児島 7月21日(日) @鹿児島職業能力開発促進センター A国立・県営鹿児島障害者職業能力開発校 沖縄 未定 沖縄職業能力開発大学校 地方アビリンピック 検索 ※2019年4月15日現在 ■については、予定または未定になります 開催地によっては、開催日や種目などで会場が異なります 参加選手数の増減などにより、変更される場合があります 作品募集 障害者雇用支援月間 ポスター原画(絵画・写真)コンテスト「働くすがた〜今そして未来〜」2019  毎年9月1日〜30日は、「障害者雇用支援月間」です。国民のみなさまに障害者雇用への理解と関心を深めていただけるよう、障害のある児童・生徒や働く障害のある方々を主な対象に「働くこと」をテーマとする障害者雇用支援月間ポスター原画(絵画・写真)コンテスト「働くすがた 〜今そして未来〜」を実施しています。厚生労働大臣賞受賞作品は、障害者雇用支援月間ポスターに使用し、全国のハローワークなどに掲示します。 6/14(金) 締切・必着 詳しくはホームページの募集要項をご覧ください。 http://www.jeed.or.jp/disability/activity/contest/index.html 月間ポスター原画コンテスト 検索 ★過去のポスターや入賞作品などもご覧いただけます。 応募作品・テーマ (絵画)働くこと、または仕事に関係のあるもの (写真)障害のある方の仕事にスポットをあて、障害のある方が働いている姿を撮影したもの お問合せ先 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 雇用開発推進部 雇用開発課 TEL 043-297-9515 FAX 043-297-9547 【P22-27】 編集委員が行く 多様性のなかで輝く“人財” 〜いろんな人がいるから企業は強くなれる〜 株式会社昭和食品(群馬県) 株式会社ダイナン 経営補佐 樋口克己 編集委員から  通算500号となる『働く広場』を、永年に渡ってお読みいただいている読者のみなさまに、心より御礼を申し上げます。障害者雇用の基本は「企業のトップの考え方」です。一人でも多くの人たちを雇用できるよう、さまざまな施策を展開することが重要です。障害者は「戦力」なのです。 取材先データ 株式会社昭和食品 〒379-2153 群馬県前橋市上大島町182-67 TEL 027-261-0264 FAX 027-261-0311 Keyword:就労移行支援事業所、特別支援学校、食品加工業、障害理解、職場環境の整備 POINT @感謝の気持ちで接することが、雇用の安定につながっている A社員一人ひとりの“気持ち”を育む Bチャンスにチャレンジできるよう準備する  日本人は「焼き鳥」が好きな国民ではないだろうか。日本全国津々浦々(つつうらうら)どこに行っても焼き鳥屋を見かける。それだけ大衆に好かれ、酒の友としても欠かせない食べ物ということであろう。今回訪問したのは、その焼き鳥の製造・出荷額で日本ナンバーワンを誇る、前橋市にある株式会社昭和食品である。群馬県で障害者雇用のアドバイザーをしている西方(にしかた)正(ただし)さんから情報をいただき、焼き鳥好きの一人として、ぜひ取材に訪れたかった企業である。 社長の考えが全社に  JR両毛(りょうもう)線の前橋大島駅からすぐの場所にある本社を訪れたのが午後1時半前。管理部長の福島(ふくしま)榮(さかえ)さんに迎えていただき、中へ入った。社員の方々が「いらっしゃいませ」と次々に声をかけてくれた。後に工場を訪れた際も同様だった。実に気持ちがいい。このような元気な声かけも、最近の企業では少なくなったように思う。  2階の社長室で赤石(あかいし)貴正(たかまさ)代表取締役社長とお会いし、さっそく、インタビューとなった。  昭和食品は、現在の社長である赤石貴正さんの父親が1972(昭和47)年2月に設立した。現在は貴正さんが代表となり、国内7工場と、東京支店を含めた全社の運営にあたっている。社長になって10年目の現在52歳。経営者として最も力を発揮できるときであろう。  障害者雇用に取り組むきっかけについて、赤石社長はこう語る。  「私は、自分の部下や社員への教育はどうあるべきかを考えるとき、『ほかの人のことをどれほど考えられるか』ということを常に念頭に置いています。その根本には、経営者として、社員一人ひとりが持っている“気持ち”を育んでいきたい、という私の基本的な考えがあります。あるとき、障害のある子どもを持つ知人が『自分の子どもを昭和食品で働かせたい』といってくれました。うれしかったですね。これがきっかけで、障害のある人と接するようになりました。それ以来、徐々に私のなかで『この会社を障害のある人が働ける、いい会社にしたい』という考えが固まっていったのです。当社には海外からの技能実習生も働いていますが、社員一人ひとりの“気持ち”を大事に教育していれば、障害のある人や外国人に対して自然と優しくなれるものなのです」  さらに、こうも続けてくれた。  「4年前から本格的に障害者雇用の取組みを開始しましたが、その際に、それまでの現場を離れ、改めて客観的に会社を見るようになってから、障害者雇用は“人徳”、つまり、人としてやるべき根本の問題であると痛感しました。例えば以前、買い物に行ったときのことです。駐車場で車いすの人が自動車から降りようとして、誤って落ちてしまったことがあったのですが、周りの人たちがびっくりしているなか、私はとっさに行動しました。そして『ありがとうございます』の言葉をもらったときに、『行動することが大切だ』と実感しました。シンプルで簡単なことです。でも、それと同時に『周りの人も一緒に行動できること』が重要だとも思いました」  昭和食品は、2014(平成26)年度までは雇用率が低迷し、法定雇用率を達成できないこともあった。しかし、2015年度には雇用率2・73%を達成し、2017年度は3・3%にまで伸ばしてきた。算定基礎人数が453人の会社で、障害者雇用率が3%を超えているのは素晴らしいことである。現在は身体障害者3人、知的障害者7人、精神障害者9人の計19人が在籍している。  さらに素晴らしいことに「離職者」が出ないのだ。これは、ていねいに仕事を教えることによって、定着につなげることができることを証明している。「障害のある人や外国の技能実習生にも感謝の気持ちをもって接することで、雇用の安定につながっている」と赤石社長は話す。 第一工場で  工場内を視察したが、さすが食品加工工場。細部まで徹底された衛生・品質管理が行われ、生産設備が整っている。入場時の衛生管理も徹底していた。パンフレットにも書かれていたが、「食の安全は生命の根源」であり、徹底した品質管理が求められる。全従業員がこのことを理解し実践しており、どこにも負けない素晴らしいものがある。障害の有無にかかわらず、決して妥協を許さない姿勢がうかがえた。  本社から少し離れた場所にある第一工場へ移動し、この第一工場で障害のある社員として入社第1号の亀井(かめい)聡太(そうた)さん(27歳、知的障害)にインタビューをした。現在は入社9年目で、梱包用の段ボールの組立て作業をしている。  いまではさらに、ほかの工程にもチャレンジし、多能工化も進んでいるようだ。「高校2年生のときから現場実習をし、卒業後に入社しました。チームワークを第一に、外国の人たちにも仕事や日本語を教えています。友達がいっぱいほしいです」と語る。  副工場長の谷藤(たにとう)伸宏(のぶひろ)さんは「彼はまじめなうえ積極的で、一つの仕事だけでなく、複数の仕事をこなしてくれます。今後はさらに、いろいろな仕事にチャレンジして新しい業務を覚えてもらいたいと思っています。そのための環境はつくっていきます」と話す。赤石社長もときどき現場に来て「声かけ」を行う。彼らにとって、大きな励みになっている。 第二工場で  本社敷地内にある第二工場。ここでは障害のある人たち5人が働いている。責任者である工場長の大塚(おおつか)正明(まさあき)さんは「一つの仕事に集中して取り組む力がすぐれており、一般社員以上だと感じることがあります。彼らは、ここでの大きな戦力となっています。仕事を覚えてもらうのに時間がかかることもありますが、大きく育ってほしい。今後も、徐々にではありますが、雇用を拡大していきたいと思っています」と語る。  入社15年目で、チームリーダーも務める加藤(かとう)尋彦(ひろひこ)さん(38歳、知的障害)は、10人の仲間をまとめ、指示を出す。いまでは作業に精通した「なくてはならない人」である。取材の際は、メーカー向けカルビ商品のタレづけ作業をしていた。  「特に注意している点はサイズです。大小の差がなく、均一になるようにしています。けっこう力もいりますよ」と加藤さん。ほかにも、ソーセージ加工の作業など、多種の作業をこなしている。  この昭和食品では、近隣の就労移行支援事業所「ワークスタジオ前橋」から実習生を多く受け入れており、就労支援の場としても大きな貢献をしている。2年前に赤石社長がワークスタジオ前橋の運営方針や考え方に共感して以来、いろいろな形で協力しているという。取材時にも、ワークスタジオ前橋の利用者の方3人と、指導員の方が来ていた。指導員の小暮(こぐれ)智子(ともこ)さんに話をうかがうことができた。  「いまは、この会社で実習生3人が働いています。肉を3枚に下ろして機械へ投入し、タレづけとせいろへ移動させる作業をしています。みんな、就労を目ざしてがんばっています。会社からの支援も十分やっていただいており、たいへん助かっています。3人全員が就労できるように努力していきます」と話してくれた。  案内をしていただいた副工場長の井口(いのくち)英治(えいじ)さんは「実習生だからといって、特別な扱いはしていません。最終的には、実習生が就労することが大きな目標ですし、就労後もさまざまなサポートを続けていきます」と語ってくれた。  加藤(かとう)雅人(まさひと)さん(32歳、精神障害)は、ワークスタジオ前橋からこの会社に就職して3カ月になる。  「仕事はきついこともありますが、職場は働きやすいです。みんなが障害のことを、よくわかってくれています。食べ物を扱う職場なので、衛生面にはたいへん気をつけています。朝が弱いので寝坊に注意です」と話す。  入社15年目の荒川(あらかわ)泰三郎(たいざぶろう)さん(70歳、知的障害)は、ここへ来るまでは豆腐屋で働いていたそうだ。「年齢が年齢ですが、あと5年はがんばりたい」とのこと。せいろなどの製造機器の清掃・洗浄作業が中心だ。「夏は暑いからきついです。滑らないように床の掃除も気をつけています」と話す。  肉処理・カット・検品・解凍とさまざまな作業をこなす木村(きむら)真之(まさゆき)さん(49歳、精神障害)は、2011年5月入社、8年目のベテラン。「ミートボールのライン以外はすべて経験しました。異物混入がないよう、また衛生管理、ナイフによる作業などは特に注意して行っています」と語ってくれた。 夢に向かってほしい  赤石社長は「当たり前のことですが、職場では個々の役割があります。社会の一部として機能することが大切です。ですから私は、可能性を秘めている人たち、チャレンジする人たちに、この会社を上手に利用してもらって、夢に向かって進んでほしいと思っています。でもそのためには、仕事とのマッチングが大切だと感じています。海外では自動化が進み、コスト的にも安価な商品が輸入されていますが、わが社の生産ラインは自動化はしません。わが社が国産と手づくりにこだわるのは、古くから日本人は産地や旬、季節感を大切にし、繊細な味にこだわる感性を持っているからです。人の手でていねいにつくることで、それらが“気持ち”になって商品に現れるのです。お客さまのニーズに合わせた食品をつくるには、やはり人の手で、国内製造でなくてはいけません」と語る。 今後の展望  精神的な問題を抱える人が多くなった現代社会のなかで、使命感を持って雇用につなげていく昭和食品。人権意識や人間関係が希薄になっている昨今だが、「人がチャレンジできる場を会社が準備していくことが重要」と赤石社長は考えている。  「チャンスとチャレンジを基本に、自分に自信をつけてステップアップしてもらいたい」と話す。社会的な役割をになうなかで向上心が持てるよう、自らも積極的に社員へ声かけを行う。昭和食品は“人ありき”の会社である。  人事管理にたずさわる管理部長の福島さんは「現状として、若い人の採用は年々むずかしくなってきている。今後は、外国人技能実習生を含め、障害のある人たちも“戦力”として募集を進めていきたいと考えております。もちろん企業経営ですから、それぞれのバランスが重要です。なかでも障害のある人たちには、現場で自立できるようにサポートしていきます。特に目標値は定めませんが、それは雇用率ありきではないということです。自立のための応援を自然体でやっていきます。障害のある人のために仕事をつくるのではなく、その仕事ができるように進めていくことがポイントです」と語ってくれた。 最後に  どの企業にもいえることだが、障害者雇用における重要なポイントの一つは、その企業のトップの考え方である。法定雇用率のため、CSR(企業の社会的責任)の観点をもった雇用は、障害者雇用そのものの考えが全社員に浸透しにくい。もちろん、法律に定められたものであるから、その達成は必須である。しかし、障害者雇用の本質は「すべての人が、人として、人らしく生きること」である。「やってあげる」だけでは、受け入れられた人たちの気持ちはなかなか向上しにくい。障害のある人たちにチャレンジをさせ続け、戦力として活用する。これは、人財育成の基本である。「できないのは何か」ではなく、「何ができるのか」を見出していく。その方向性をトップ自らが旗を振り、全社員に根づかせるのが管理職の役割である。人を育てるのはむずかしいが、人は覚えたことは忘れない。人には心がある。“この人のためなら”とか、“この会社のためなら”といった気概を引き出すことができるかが、すべての「鍵」となるであろう。今回の昭和食品は、多様性のなかでそれを見事に発揮している企業であった。 代表取締役社長の赤石貴正さん 管理部長の福島榮さん 赤石社長(左)の声かけに答える亀井聡太さん(右)と、見守る副工場長の谷藤伸宏さん(中央) 入社15年目になる加藤尋彦さんは、チームリーダーとしても活躍している 加藤雅人さん(左)の指導にあたる加藤尋彦さん(右) 「ワークスタジオ前橋」指導員の小暮智子さん トレイの洗浄を担当する荒川泰三郎さん 肉処理、カット、検品と、さまざまな仕事をこなすベテランの木村真之さん 第二工場長の大塚正明さん(右)と、副工場長の井口英治さん(左) 【P28-29】 研究開発レポート 障害者雇用の質的改善に向けた基礎的研究 〜様々な立場から障害者雇用の質について考える〜 障害者職業総合センター研究部門 事業主支援部門 1.はじめに  近年、障害者の就労意欲の高まりや企業のコンプライアンス、社会的責任への関心の高まりなどを背景に、障害者雇用数は着実に増加している状況にあります。  そうしたなか、2016(平成28)年4月から雇用分野における「障害者に対する差別の禁止及び合理的配慮の提供義務」が施行され、これまでの障害者雇用率制度による量的拡大に加えて、障害者雇用の在り方(質)が問われる状況となっています。しかしながら、障害者雇用の質の視点や評価の手法に関する取りまとめはこれまでになされていないところです。そこで、障害者職業総合センターでは、障害者の雇用の質に関する知見等を把握するために、専門家ヒアリング、企業ヒアリング、先行文献および当事者手記から収集した情報を整理して、障害者雇用の質に関する視点をまとめました。本稿ではその一部を紹介します。 2.調査結果の概要  今回の調査結果では、障害者雇用の質に関する専門的・客観的立場からの知見等を把握するため、7名の学識・実務経験者に対するヒアリングと、100人未満規模企業3社、100〜1000人未満規模企業3社、1000人以上規模企業3社の計9名の企業担当者にグループインタビューを実施しました。また、障害当事者の立場からの知見を把握するため先行文献および障害当事者手記について検索を行いました。  収集した情報を整理した結果、大きく分けたところ7分類、233視点、392の項目(捉え方)となりました。分類別の視点の内容は表の通りです。 (1)社会からの期待への対応(よりよい働き方、企業経営など)  学識・実務経験者からはCSR(企業の社会的責任)の観点、ESG投資(環境、社会、企業統治に配慮した企業への投資)としての障害者雇用、ダイバーシティ経営の推進、障害者雇用による地域活性化などの視点が得られました。  企業からは、社会貢献の実施、家族の希望への対応、実習の受入れ、障害者の雇用管理方法への期待など、障害者雇用を継続していくための環境づくりに関する視点が得られました。  障害当事者からは、障害者が働くことへの地域社会への理解を求める視点が得られました。 (2)障害者雇用の位置づけと全社的な取組み  学識・実務経験者からは、障害者雇用を経営戦略として位置づけることや、障害のある人と障害のない人との公平さを目ざすための環境づくりとして、労働条件、賃金制度、機会の均等、人事異動など各種制度を確立することなどが得られました。  企業からは、特に、障害者のよりよい雇用のためには、企業理念のもとに、管理職をはじめとした社員の障害理解の必要性や人事・給与制度を同一化することなどが得られました。  障害当事者からは、安全衛生面から職場環境の改善や公平な労働条件に対する視点が得られました。 (3)障害者のキャリア形成と能力の発揮(戦力化)  学識・実務経験者からは、キャリアビジョンのもとに研修システムを充実させたり、管理職への登用や適正な賃金の支給により戦力化することなどの視点が得られました。  企業からは、障害の特性に合わせた職務の提供に関して多くの意見がありましたが、そのための能力の見極めや適正な業績評価の必要性などの視点が多く得られました。  障害当事者からは、仕事により社会性の向上につながることや、会社に貢献したいなどの意見のほか、障害への配慮を求める視点も得られました。 (4)障害理解に基づくきめ細かな対応  学識・実務経験者からは、障害者の働きやすい環境づくりの取組みとして、仕事に対する意欲や態度を向上するためのかかわり、職務とのマッチングの定期的な点検、地域資源(外部機関)の活用などの視点が得られました。  企業からは、加齢・障害特性への配慮、労働条件の緩和など障害者一人ひとりの状態に合わせた対応や、必要に応じて外部の支援機関を利用した対応をすることなども視点として得られました。  障害当事者からは、支援機関に対する就職当初の職場適応支援や仕事を理解するための支援、障害特性に理解ある社員を求めるなど人的サポートに関する視点が得られました。 (5)働く価値や意味、賃金、自己実現(障害者から見た雇用の質)  学識・実務経験者からは、ES(従業員満足度)、ワーク・ライフ・バランス、会社での居場所づくり、幸せの実現につながる雇用、自己実現、生活の充実など、障害のある方々が豊かな生活を送るために必要な視点が得られました。  企業からは、仕事に対するやりがいやモチベーションの向上につながる取組みが得られました。  障害当事者からは、働きがい、他者からの承認、自己実現、健常者とともに働く場、社会参加、仕事への意欲、賃金、経済的安定などの視点が得られ、その多くが仕事を通して社会参加し、自己実現を求めるものでした。 (6)障害者雇用の波及効果(障害者雇用と企業経営・共に働く労働者の雇用との相互作用)  学識・実務経験者からは、社員の意識向上、ダイバーシティ経営への効果、障害者雇用ノウハウの営業ツール化、障害者対応の新技術への応用など、障害者とのかかわりのなかで得られる企業のメリットについての視点が得られました。  企業からは、社員の意識向上が最も多くあげられ、企業のイメージ向上や社員の育成に効果が得られるなどの視点も得られました。 (7)その他  学識・実務経験者からは、ピアレビュー(立場や職種が同じような者による評価)による質的評価、障害者雇用率、職場定着、職場定着率が得られました。  企業からは、職場定着、地域の障害者機関・施設との関係づくり、社会的気運の醸成が得られました。 3.おわりに  今回の研究は、何人かの専門家、企業の方々や先行文献のなかから、障害者雇用の質を見る視点を事例的に収集し、見出しをつけて整理を行った段階のものになります。本研究がさまざまな立場の方々において「障害者雇用の質とは何か」ということについて考えていただく契機となり、障害者雇用の質的向上につながることを願っています。 ※本研究(資料シリーズNo.101)は、障害者職業総合センター研究部門のホームページに掲載しています。  http://www.nivr.jeed.or.jp/research/report/shiryou/shiryou101.html JEED 資料シリーズ 101 検索 表 収集した障害者雇用の質に関する視点の概要 分類 視点 項目 視点(抜粋) @社会からの期待への対応(よりよい働き方、企業経営等) 24 32 CSRの観点、ESG投資としての障害者雇用、ダイバーシティ経営の推進、障害者雇用による地域活性化、家族の希望への対応、実習の受入れ、障害者の雇用管理方法への期待、社会・地域貢献、社会からの要請に基づく障害者雇用への取組み、社会貢献活動、障害者雇用に関する表彰等、障害者の社会的な自立への支援、社会的責任の履行、社会の役に立つ、地域社会の理解など A障害者雇用の位置づけと全社的な取組み 50 70 企業理念での位置づけ、共通の賃金制度、グループ全体での障害者雇用の推進、健常者との同一の労働条件、雇用推進の仕組み、雇用の目的の付与、 コンプライアンス、支援の積極的な実施、資格制度の導入、障害者雇用知識の習得、障害者雇用の取組方針、親会社と連携した雇用促進、管理職の障害理解の促進、機会の均等化、終身雇用の実施、障害の有無に関係のない人事異動、障害者用の賃金制度の設定、職位に求められる人財像の明確化、人材育成の観点、正社員への登用、ダイバーシティに取り組む姿勢、同一労働同一賃金、労働環境の整備、企業トップの姿勢、経営課題としての障害者雇用、経営戦略としての取組み、経営倫理の理解、差別のない雇用、社会からの排除の改善、障害者雇用を経営戦略に位置づける、戦略化策としての障害者雇用、組織変革としての障害者雇用など B障害者のキャリア形成と能力の発揮(戦力化) 53 105 障害特性に応じた職務、仕事からの学び、実習による適性の見極め、キャリアアップ、キャリアビジョン、個別の育成プログラム、個別の作業習得支援、コミュニケーションの強化、雇用障害者に合った職位制度の創設、雇用の安定性、作業指示の工夫、作業量の向上、支援器具、支援者のサポート、仕事の与え方、仕事の調整、仕事の能力向上、仕事のマッチング、仕事への意欲、障害者の長所、柔軟な働き方、障害に合った機器の改良、障害への配慮、昇進・昇格、職場の人間関係、職場の物理的環境、職場の理解、職務遂行上での指導の実施、職務の遂行、人材育成の姿勢、人事異動、成果の見える化、生産性向上、多能工化、適材適所、適正な業績評価、適性の見極め、適正評価、適切な雇用管理指導の実施、適切な人事評価の実施、手順の工夫等、特性に応じた育成プログラム、日報作成、能力に応じたスキルアップ、能力の活用、配属先での業務理解の促進、研修システムの充実など C障害理解に基づくきめ細かな対応 50 87 外部機関の活用、仕事の与え方、柔軟な働き方、働く意欲の維持向上、同じ職場の仲間、家族との連携による職業生活の維持、加齢に伴う対応への配慮、休職に関する配慮の実施、勤務時間の弾力化、合理的配慮、個別配慮、コミュニケーション、支援者のサポート、仕事の調整、仕事のマッチング、仕事の見える化による定着の促進、施設・設備の改善、障害者相互の支援の実施、指導役の対応、障害者同士でのカバー、障害知識を有する社員による雇用管理、障害特性に応じた配慮の実施、障害への配慮、上級職位への意識付け、職場の理解、生活面を含めた支援の実施、相互理解の促進、体制整備、賃金の公平性、定着課題へのきめ細かな対応、適正な支援、店舗巡回・面談の実施、配慮ニーズの把握、働きやすい環境、目標設定と結果に応じた賃金の設定、労働条件の緩和など D働く価値や意味、賃金、自己実現等(障害者から見た雇用の質) 32 55 ES(従業員満足度)、同じ職場の仲間、解雇、健常者と同じ仕事、健常者と働く場、自己実現、仕事からの学び、仕事による承認、仕事の負荷、仕事への意欲、社会参加、職場の人間関係、職務の必要性の理解、職務満足、生活の充実、成果に伴うやり甲斐の発生、退職遺留、他者からの承認、賃金、通勤、働きがい、ハラスメント、福利厚生、モチベーションの向上、労働条件、ワーク・ライフ・バランス、会社での居場所づくり、経済的安定、健常者と同じ参加の場、幸せの実現につながる雇用、昇給、賃金が維持できる雇用、満足度 E障害者雇用の波及効果(障害者雇用と企業経営・共に働く労働者の雇用との相互作用) 18 36 企業イメージの向上、求人への応募の推進、業務改善の推進、顧客に対するイメージの向上、コミュニケーションへの配慮、雇用管理方法の習得、作業工程の改善、障害者雇用の価値、社員の意識向上、社員の指導方法の改善、社員の障害理解の難しさ、社員の生産性向上、社内のコミュニケーションの向上、相談時間の確保、ダイバーシティ経営への効果、雇用による社内への好影響、障害者雇用ノウハウの営業ツール化、障害者対応の新技術への応用 Fその他 6 7 社会的気運の醸成、職場定着、地域の障害者機関・施設との関係づくり、ピアレビューによる質的評価、障害者雇用率、職場定着率 計 233 392 【P30-31】 ニュースファイル 地方の動き 神奈川 市議会審議をリアルタイムで文字情報化  川崎市議会は、平成31年第1回定例会(2月12日)から、本会議場での発言をリアルタイムで文字に変換することが可能なAI(人工知能)を活用した音声認識システムを導入し、障害者や高齢者など、聞き取りが困難な人が傍聴しやすい環境を整えた。  議場のマイクで集めた声を委託業者の音声認識システムに送信して文字データに変換。議場の傍聴席に設置したモニターに映し出している。 神奈川 「サポートカード」を作成  平塚市では、障害のある人とその家族の生活をサポートする新たな手段の一つとして、「サポートカード」を作成した。  障害のある人やその家族が、本人の障害特性や配慮してほしいことをサポートカードに記載。バスや電車に乗車しているとき、日常生活で困ったとき、災害や緊急時などに、自身の障害を周囲の人たちに理解してもらい、必要とする支援を得られやすくするもの。サポートカードは小さく折りたたみ、携帯して利用する。市役所の窓口で配布するほか、市のウェブサイトからダウンロードできる。 生活情報 「思いやり型返礼品」プロジェクト始動  ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を運営する「株式会社トラストバンク」(目黒区)と、岩手県北上市、群馬県前橋市は、福祉施設やNPO法人を応援するため、思いやり型返礼品プロジェクト「きふと、」を立ち上げた。  「思いやり型返礼品」とは、寄附をすることで「自分のためではなく、だれかのためになる」返礼品や、「社会貢献につながる」返礼品のこと。支援型(障害者支援施設でつくられた製品や、加工、ピッキングなどをしている「もの」)、寄贈型(困っている人たちを助けるための商品やサービスを寄附者から「プレゼント」)、協賛型(NPOや障害者支援施設、コミュニティ活動団体などへの「協賛金」)、参加型(お年寄りのための雪かきや草取りなどの「体験イベント」)の四つがある。今後、全国の自治体や団体に参加を呼びかけていく。 思いやり型返礼品 検索 東京 本社内に障害者によるカフェがオープン  「株式会社ベルシステム24ホールディングス」(中央区)は、コーヒーを通じたSDGs(持続可能な開発目標)の実現を進める「株式会社ミカフェート」(港区)のプロデュースのもと、本社オフィスラウンジに、障害者がコーヒーを抽出し、提供するカフェをオープンした。  ミカフェートの専門家からコーヒーの淹(い)れ方を教わった障害者従業員がコーヒーを提供。使用するコーヒーには、タイ山岳地帯の貧困下にある少数民族の自活支援プロジェクトの一環で、アヘン生産をしていたケシ畑をコーヒー農園に転作してつくられた高品質なコーヒー豆を選定。オフィスフロアでのワゴン販売や来客者への提供も行う。  「人に優しい職場環境の実現」を企業理念に掲げる同社は、「久遠(くおん)チョコレート」と連携し、障害者によるチョコレート製造も行っている。 富山 身障者駐車スペース向け上屋(うわや)の新商品  「三協立山株式会社・三協アルミ社」(高岡市)は、身体障害者駐車スペース向け上屋(屋根)「ウェルハート」のラインアップを拡充、積雪地帯でも設置可能なタイプを発売した。  「ウェルハート」は、身体障害者が運転または同乗する車両が駐車する際、雨に濡れずに安全、円滑に乗車できるように車体両側に乗車スペースを設けた公共用の障害者向け上屋。大雪などの異常気象が続くなか、風や雪に強い商品が求められていた。価格は288万700円(消費税、施工費、搬入費などを除く)。 和歌山 障害者福祉情報サイトを開設  就労継続支援事業所の利用者たちが製作した品物などを扱うウェブ通販サイト「和歌山市障害者福祉情報サイト ふくりっち」が開設された。  「福祉を豊かに」をコンセプトに、市内の就労継続支援事業所が参加。利用者が製作した箸置き、携帯ホルダー、ポストカード、ブローチ、木製トレイ、お菓子などをオンラインショップで販売している。 ふくりっち 検索 岡山 障害者のアート活動を支援  障害者の文化、芸術活動を支援する「一般社団法人岡山障害者文化芸術協会」が設立された。  作品展やセミナーの開催、文化芸術の作家の発掘、育成などを行い、作品を展示する美術館の運営を目ざす。これらの事業展開のため、就労移行支援事業所などを運営してアートと就労を一体的に支援。作家を志す障害者にはアート関連の就労への取組みを行う方針。  山陽新聞社会事業団(岡山市)が2017年に、創立70周年記念事業として、障害者の絵画、造形作品を県内から公募して行った「きらぼし★アート展」の開催が契機となった。事務局は同事業団に置く。 働く 東京 「心のバリアフリー」サポート企業に  「トランスコスモス株式会社」(渋谷区)は、東京都「心のバリアフリー」サポート企業に登録された。  東京都「心のバリアフリー」サポート企業とは、「全ての人が平等に社会参加できる社会や環境について考え、そのために必要な行動を続けること」を、東京都とともに推進する企業や法人のこと。東京都が募集し、審査・登録を行う。 神奈川 サテライトオフィスサービス拠点を開設  障害者雇用支援コンサルティングを行う「株式会社スタートライン」(東京都三鷹市)は、神奈川県相模原市に9拠点目の「障がい者向けサテライトオフィスサービス」をオープンした。  サテライトオフィスサービスでは、あらゆる障害種別の人が安心・快適に勤務、相談できる体制を整え、一人ひとりに合わせた支援計画のもと、定期的な面談・カウンセリングを通して、障害者の自社業務における戦力化を支援している。 本紹介 『精神科医が導く「こころが疲れたなぁ」と思ったら読む本』  精神科医の浅川(あさかわ)雅晴(まさはる)さんが、『精神科医が導く「こころが疲れたなぁ」と思ったら読む本』(ロングセラーズ刊)を出版した。  「何事もやってみなければわからない」、「自分で自分をほめてあげよう」、「泣けるだけ泣く、心の毒が出る」、「今日も無事に終わったことが幸せだ」など、不安や迷い、怒りや悲しみ、憎しみなどを消して自分らしく生きるための、心の栄養剤72の処方箋を見開き2ページで綴る。新書判207ページ、1080円(税込) 『自分がきらいなあなたへ』  生まれつき骨が弱く、小さいころは寝たきりだった安積(あさか)遊歩(ゆうほ)さんが、『自分がきらいなあなたへ』(ミツイパブリッシング刊)を出版した。  22歳で親元から自立した著者は、米国のバークレー自立センターで研修を受け、ピア・カウンセリングを日本に紹介。40歳で娘を出産。優生思想の撤廃や、障害のある人の自立生活運動など、さまざまな分野で当事者として発言を続けている著者が、自分を好きになるまでのステップを綴る。四六判176ページ、1836円(税込)。 『精神科医が教える 忘れる技術』  精神科医の岡野憲一郎さんが『精神科医が教える 忘れる技術』(創元社刊)を出版した。  人が遭遇する、さまざまな「忘れられない」ケース。例えば、PTSDを引き起こす外傷記憶、恨みや罪悪感、依存や中毒など、思い出すたびにつらくなる過去や苦しい症状は、いつまでも心を蝕(むしば)み、ときには日常を支配してしまう……。こうした「忘れられないこと」を上手に「忘れる」ための具体的な方法を説く。また、「なぜ忘れることができないのか」のメカニズムを解き明かしている。四六判208ページ、1512円(税込)。 開発 電動車いすの自動運転システムの実証実験を開始  「すべての人の移動を楽しくスマートにする」をミッションとして、パーソナルモビリティの開発・販売を行う「WHILL(ウィル)株式会社」(横浜市)は、「WHILL 自動運転システム」を利用した実証実験を、「三菱電機株式会社」(千代田区)、「株式会社Liquid」(千代田区)と共同で開始した。「三菱地所株式会社」(千代田区)と「SAPジャパン株式会社」(千代田区)がオープンしたコラボラティブスペース「Inspired.Lab」で実施。  建物内のエレベーターと電動車いす「WHILL」が通信回線でつながることにより、無人のWHILLが近づくとエレベーターがWHILLのいる階に停止し、扉の開閉を行い、目的の階まで送り届ける。これにより、建物内のあらゆる場所に行くことができるようになる。また株式会社Liquidと共同で、建物のセキュリティシステムとWHILLの連携の実証実験も行う。  将来的には、公道など建物外での自動走行も見据えて、実証実験を展開していく。 【P32】 掲示板 「働く広場」広告募集のお知らせ 広告掲載を希望される企業の方は、栢A済堂までご連絡ください。 広告の掲載位置・規格 表3 (裏表紙の裏) カラー A4フルサイズ 掲載料金(円、税抜) 150,000 広告の掲載位置・規格 A4の2分の1 掲載料金(円、税抜) 75,000 広告の掲載位置・規格 本文 (P.31) 2色 A4フルサイズ 掲載料金(円、税抜) 100,000 広告の掲載位置・規格 A4の2分の1 掲載料金(円、税抜) 50,000 【判 型】:A4判、中綴  【頁数】:カラー8頁(表紙含む)、2色28頁 【定 価】:本体価格129 円+税  【発行部数】:5万2千部  【発行形態】:月刊(毎月25日発行) 【問合せ】:株式会社 廣済堂「働く広場」編集担当 (TEL 03-5484-8821 FAX 03-5484-8822 mail hatarakuhiroba@kosaido.co.jp) 雇用管理や人材育成の「いま」・「これから」を考える人事労務担当の方 ぜひご覧ください! メールマガジン好評配信中! 詳しくは JEED メールマガジン 検索 ※カメラで読み取ったリンク先がhttp://www.jeed.or.jp/general/merumaga/index.htmlであることを確認のうえアクセスしてください。 次号予告 ●新コーナー「リーダーズトーク」  キユーピー株式会社 執行役員人事本部長の浦田昌也さんと、特例子会社の株式会社キユーピーあい 代表取締役社長の中林良則さんに、障害者雇用の取組み、障害者の働き方などについてお話をうかがいます。 ●職場ルポ  株式会社クボタの特例子会社、クボタワークス株式会社(大阪府)を訪問。障害のある社員が多く活躍する現場を取材します。 ●グラビア  医薬品などの製造販売を行うクラシエ製薬株式会社(東京都)を訪問。視覚障害のある社員を定着に導いた就労支援制度と、その現場に密着します。 ●編集委員が行く  朝日雅也編集委員が、大田区障がい者就労支援センターと、楽天ソシオビジネス株式会社(東京都)を訪問。地域ネットワークを活用した連携と、その取組みを取材します。 本誌購入方法  定期購読のほか、最新号やバックナンバーのご購入は、下記へお申し込みください。  1冊からのご購入も受けつけています。 ◆インターネットでのお申し込み 富士山マガジンサービス 検索 ◆お電話、FAXでのお申し込み 株式会社廣済堂までご連絡ください。 TEL 03-5484-8821 FAX 03-5484-8822 編集委員 (五十音順) 埼玉県立大学教授 朝日雅也 株式会社FVP 代表取締役 大塚由紀子 山陽新聞社会事業団専務理事 阪本文雄 武庫川女子大学 准教授 諏訪田克彦 一般社団法人Shanti 武田牧子 あきる野市障がい者就労・生活支援センターあすく センター長 原 智彦 株式会社ダイナン 経営補佐 樋口克己 東京通信大学教授 松爲信雄 有限会社まるみ 取締役社長 三鴨岐子 横河電機株式会社 箕輪優子 あなたの原稿をお待ちしています ■声−−障害者雇用にかかわるお考えやご意見、行事やできごとなどを500字以内で編集部(企画部情報公開広報課)まで。 ●発行−−独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 発行人−−企画部長 片淵仁文 編集人−−企画部次長 中村雅子 〒261−8558 千葉県千葉市美浜区若葉3−1−2 電話 043−213−6216(企画部情報公開広報課) ホームページ http://www.jeed.or.jp  メールアドレス hiroba@jeed.or.jp ●発売所−−株式会社 廣済堂 〒105−8318 港区芝浦1−2−3 シーバンスS館13階 電話 03−5484−8821  FAX 03−5484−8822 5月号 定価(本体価格129円+税)送料別 平成31年4月25日発行 無断転載を禁ずる ・本誌に掲載した論文等で意見にわたる部分は、それぞれ筆者の個人的見解であることをお断りします。本誌では「障害」という表記を基本としていますが、執筆者・取材先の方針などから、ほかの表記とすることがあります。 【裏表紙】 当機構では、障害者の技能競技大会(アビリンピック)の開催と国際アビリンピックへの選手派遣をしています。 2019年度 地方アビリンピック参加者募集!!! 参加無料!! 各都道府県で開催する地方アビリンピックにあなたも参加してみませんか? 地方アビリンピックは、全国アビリンピック、国際アビリンピック出場へのはじめの一歩です。 ○主な競技種目 ◆ワード・プロセッサ、表計算、DTP、CAD などのパソコン競技 ◆電子機器組立、縫製、木工などのものづくり競技 ◆喫茶サービス、ビルクリーニング、オフィスアシスタント、製品パッキングなどの接客等競技 ◆そのほか地方独自の技能競技 ※都道府県によって実施する競技が異なります。  詳しくは各都道府県支部のホームページをご覧ください。  なお、各都道府県での開催地一覧は、本誌20ページに掲載しています。 〜障害者の技能競技大会(アビリンピック)の概要については、当機構ホームページをご覧ください〜 アビリンピック 検索 地方アビリンピック 地方アビリンピック【喫茶サービス】 地方アビリンピック【電子機器組立】 全国アビリンピック 全国アビリンピック【会場の様子】 全国アビリンピック【閉会式の様子】 国際アビリンピック 国際アビリンピック【開会式の様子】 国際アビリンピック【競技の様子】 雇用開発推進部 雇用推進課 TEL 043-297-9516 FAX 043-297-9547 5月号 平成31年4月25日発行 通巻500号 毎月1回25日発行 定価(本体価格129円+税)