【表紙1】 令和元年8月25日発行・毎月1回25日発行・通巻第504号 ISSN 0386-0159 障害者と雇用 2019 9 No.504 職場ルポ 通信サービスを支え「生産性」を高める部署に 株式会社コスモネット(京都府) 編集委員が行く 障害者の職域をひろげる 〜アビリンピックで初のデモンストレーション〜 ATU ホールディングス株式会社(福岡県) 私のひとこと 「働きたい」を応援する Office 夢風舎 土屋 徹さん グラビア 令和元年度 障害者雇用支援月間ポスター原画(絵画・写真)コンテスト 「働くすがた〜今そして未来〜2019」入賞作品 「人手不足もなんのその! 匠」神奈川県・井上(いのうえ)浩之(ひろゆき)さん 9月は「障害者雇用支援月間」です 誰もが職業をとおして社会参加できる「共生社会」を目指しています 9月号 【表紙2】 第27回 職業リハビリテーション研究・実践発表会 令和元年11月18日(月)・19日(火) 東京ビッグサイトで開催! 入場は無料です! みなさまのご参加をお待ちしています  当機構では、職業リハビリテーションに関する研究成果を広く各方面に周知するとともに、参加者相互の意見交換、経験交流を行う場として「職業リハビリテーション研究・実践発表会」を毎年開催しております。この発表会では職業リハビリテーションに関する研究成果をはじめ、就労支援に関する実践事例や企業における障害者の雇用事例を紹介しますので、ぜひご参加ください。 参加申込みはWebからできます 職リハ発表会 検索 11月18日(月) 基礎講座 職業リハビリテーションの基礎的事項等に関する講義 「精神障害の基礎と職業問題」 「発達障害の基礎と職業問題」 「トータルパッケージの活用」 支援技法普及講習 職業センターで開発した支援技法の紹介 「発達障害者支援技法の紹介〜ナビゲーションブックの作成と活用〜」 「精神障害者支援技法の紹介〜アンガーコントロール支援〜」 特別講演 「中小企業だからこそ実現できる障害者雇用を考える 〜障害者のキャリアラダーを検討する〜」 松原 未知 氏(ビルド神保町 社会福祉士/精神保健福祉士/キャリアコンサルタント) パネルディスカッションT 「障害のある社員が働き続けるために 〜障害の多様性と多様な働き方に向き合う中小企業〜」 ▲特別講演の様子 11月19日(火) 研究発表 研究者、企業関係者、支援者などが発表 【口頭発表】テーマごとに分科会を設定 【ポスター発表】発表者による説明・参加者との討議 パネルディスカッションU 「精神障害のある社員の職場定着を進めるための情報共有ツールの有効活用について」 ▲パネルディスカッションの様子 事務局 高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター 研究企画部企画調整室 〒261-0014 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-3 TEL:043-297-9067 E-mail:vrsr@jeed.or.jp http://www.nivr.jeed.or.jp 【もくじ】 障害者と雇用 目次 2019年9月号 NO.504 私のひとこと−−2 「働きたい」を応援する Office夢風舎 土屋 徹さん 職場ルポ−−4 通信サービスを支え「生産性」を高める部署に 株式会社コスモネット(京都府) 文:豊浦美紀/写真:官野 貴 NOTE−−10 働く障害者の高齢化 Vol.3 雇用継続への取組み事例(身体障害編A) インフォメーション−−12 ご活用ください! 障害者の職業訓練実践マニュアルなど/障害者職業訓練推進交流プラザのご案内 グラビア−−15 33 令和元年度 障害者雇用支援月間ポスター原画(絵画・写真)コンテスト「働くすがた〜今そして未来〜 2019」入賞作品 エッセイ−−19 第2回 マインドフルネスに学ぶポジティブの本質とは 神田東クリニック副院長 佐藤恵美 編集委員が行く−−20 障害者の職域をひろげる〜アビリンピックで初のデモンストレーション〜 ATU ホールディングス株式会社(福岡県) 編集委員 三鴨岐子 霞が関だより−−26 特別支援教育における就労支援の取組み 文部科学省 初等中等教育局 特別支援教育課 研究開発レポート−−28 感情コントロールに課題を抱える高次脳機能障害者への支援 障害者職業総合センター職業センター ニュースファイル−−30 掲示板・次号予告−−32 表紙絵の説明 「以前、建築現場のアルバイトをしたときに指導してくださった匠の技に感動したのを思い出し、題材に選びました。デッサンをスキャナーでパソコンに取り込み、色づけするために鉛筆の線だけを抽出する作業に苦労しました。パソコンで制作されたものが、どう評価されるかわからなかったので、受賞はたいへんうれしかったです」 (平成30年度障害者雇用支援月間ポスター原画募集 高校・一般の部 高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長奨励賞) ◎本誌掲載記事はホームページでもご覧いただけます。(http://www.jeed.or.jp) 【P2-3】 私のひとこと 「働きたい」を応援する Office夢風舎(ゆめふうしゃ) 土屋 徹  私の仕事の原点は「精神科病院で患者さんを看(み)ること」でした。36年前に精神科病院に看護職で勤務することになった私は、精神科病院に対しマイナスなイメージがありました。なぜならそのころは、「宇都宮病院事件」(※1)という日本の精神保健福祉に影響を与えた事件の後でもあったからです。精神科医療が世間から注目され、閉鎖的な病棟での看護を見直そうとしていた時代です。  私が勤務していた病院でも、精神障害のある人たちは入院治療が中心であり、長く入院しているのが当たり前でした。当時は、精神科病院において「退院」という言葉はあまり身近ではなかったような気がします。「病気や障害がありながら働く」など、まったく想像できないような状況でした。退院をしたとしても、病院内にあるデイケアに通所して生活リズムを整えたり、地域の作業所に通うことは夢のようなことであり、私の周りでは、就労を支援する施設や、そうした取組みを応援していこうという人など、ほとんど見られませんでした。  病院を辞めてから、私は研究所で学ぶことになりました。当初は、病気や障害のある方ではなく、そのご家族を支援する「心理教育」に取り組んでいたのですが、ACT(包括型地域生活支援プログラム)(※2)や、IPS(個別就労支援プログラム)(※3)が日本に導入されるにあたり、現場のチームリーダーとして取り組むようになりました。それ以来、就労支援や復職支援(リワーク)などにかかわることが増え、現在では障害者職業センターや障害者職業訓練校、クリニックなどに赴(おもむ)き、さまざまな取組みを行っています。  私は、就労支援に取り組み始めたころから、どんな病気や障害であっても「働きたい」という、その人自身の希望を応援してきました。仕事に就くことも大切だと思いますが、「働きたい」という希望を持つことで、自分自身が動く、何かに進むということが、その人自身のリカバリー(※4)に影響をしていくと思っているからです。しかし、せっかく就職しても辞めてしまう人や、復職支援に関わっていてもなかなか企業に戻れない人も多くいました。理由を考えてみると、対人関係でのトラブルが多いことに気づきました。また、雇用者の方々とのやり取りの際に「対人関係がもう少しうまくいけば」と耳にすることが増えたのです。 対人的なスキルを身につければ  就労支援をしている施設や機関などは、「働くための技術を身につける」という点から、パソコンのスキルや、作業を円滑に行うための工夫を行うなど、その取組みには脱帽してしまうくらいの素晴らしさがあります。しかし、企業の方とやり取りをしていると、「仕事の技術は入社してから身につけることもできる」という言葉をいただくこともあり、雇用者側からすると、「対人的な技術」を身につけて就職してくれると仕事もうまくこなせるようになる、と考えているように思いました。  私は20年以上前から、対人的な技能を身につけるソーシャルスキルズトレーニング(以下、「SST」)(※5)という取組みを行っています。SSTはもともと、精神障害のある人たちが地域で生活していくために必要な「人付き合いのコツ」を身につけるために、1988(昭和63)年にR・P・リバーマン教授によって日本に紹介されました。1994(平成6)年には、入院生活技能訓練療法として診療報酬に組み込まれ、精神保健の領域(精神科病院)を中心に取り組まれてきました。近年では、さまざまな対象者や機関で取り組まれており、就労支援では「SSTは必須である」といわれるほどです。 SSTはさまざまなステージを応援する  「働きたい」を応援するときは、「就職するまで」だけではなく、「就労中」、「体調を崩したとき」、「(休職から)復職するとき」、「辞めるとき」、「辞めてから」など、その状況に応じた取組みを行います。また、その状況において「起こるであろう対人的な場面」などを中心に、SSTを通して練習します。もちろん、ご本人だけではなく、ご家族を対象としたSSTで練習することもあります。  あるとき、特例子会社に出向になった方が、初めて障害のある方と一緒に働くこととなり、障害のある方との接し方に悩み、自身がうつ病になってしまったというケースがありました。その方とは外来で何度かお会いして、SSTを用いて接し方のトレーニングを行いました。その方からは「私は障害のある方とうまく接することができないと思っていたけど、自分自身が接し方を身につけていなかったとわかりました。SSTを通じて、障害のある方たちとのやり取りに、少し自信が持てるようになりました」といっていただきました。  そのころから、雇用者側を対象としたSSTにも取り組み始めました。例えば、障害のある人への指示が伝わりにくい場合、「なぜ伝わらないんだろう」、「どう対応したらいいんだろう」と悩むことがあるとの声を多く聞きます。その際は、「自分たちの伝え方や接し方を再検討していくきっかけ」ととらえ、企業内でSSTを行い、自分たちの障害のある方への接し方を練習する機会を持っていただければと思います。ぜひ、企業内での研修などにSSTを普及させてほしいと願っています。 終わりに  今回この原稿を書き進めるにあたり、自分自身の35年間の仕事を振り返る機会をいただいたと思います。もっともっと前から、いまのような就労を応援する制度・事業所・人材などが充実していたら、一人でも多くの「働きたい」という希望を持っていた方々が、自分らしく生活できたのではないかと思います。  この過去の経験を、これからの自分自身の取組みに活かし、一人でも多くの方の「働きたい」を応援し続けていけたらと思っています。 土屋 徹 (つちや とおる)  Office夢風舎 フリーランス ナース&ソーシャルワーカー。  精神科病院で15 年看護職として勤務。その後、国立精神・神経センター 精神保健研究所 社会復帰相談部にて心理社会的アプローチなどを学ぶ。心理教育プログラムの基礎モデルの開発、日本で初めてのACT・IPS チームの初代チームリーダーを務める。現在は、フリーランスとして精神科クリニック( リワーク、相談業務、デイケアなど)、大学や専門学校、更生保護関係、福祉施設、障害児施設、訪問看護への取組みなど、多方面で活動中。 ※1 宇都宮病院事件:1983(昭和58)年に、栃木県宇都宮市にある精神科病院で、看護職員らの暴行によって、患者2人が死亡した事件 ※2 ACT(包括型地域生活支援プログラム):Assertive Community Treatment。重い精神障害があっても、地域社会のなかで自分らしい生活を実現・維持できるよう包括的な訪問型支援を提供するケアマネジメントモデルのひとつ ※3 IPS(個別就労支援プログラム):Individual Placement and Support。本人に「働きたい」という希望があれば一般の職に就ける、という強い信念に基づいてサービスを提供する就労支援モデル ※4 リカバリー:ここでは、「障害のある人が、それぞれ、自分が求める生き方を主体的に追及すること」という意味 ※5 ソーシャルスキルズトレーニング(SST):社会で人と人がかかわりあいながら生きていくために欠かせないスキルを身につける訓練 【P4-9】 職場ルポ 通信サービスを支え「生産性」を高める部署に ―株式会社コスモネット(京都府)― 携帯電話の店舗販売や通信サービス事業を全国展開するコスモネット。社内の業務支援を引き受ける部署では、障害者スタッフが数多く活躍している。 (文)豊浦美紀 (写真)官野 貴 取材先データ 株式会社コスモネット 業務支援グループ 〒604-8174 京都市中京区室町通三条上ル役行者町(えんのぎょうじゃちょう)367 Jりんとうビル2階 TEL 075-212-7551 FAX 075-212-7552 Keyword:発達障害、精神障害、知的障害、事務、清掃、キャリアアップ POINT 1 「会社で働くこと」の自覚と実践をうながす 2 個々のスキルを伸ばし「生産性」を向上 3 正社員登用も見据えたキャリアアップ 「後発組」からの積極雇用  1991(平成3)年に設立された「株式会社コスモネット」は、京都市に本社を置く情報通信のサービスプロバイダーだ。全国の407店舗(グループ会社・パートナー社含む)で携帯電話の販売・サービス事業を展開し、法人向けの情報通信システム・ソリューション事業なども手がけている。従業員数2114人(2019年6月1日現在)のうち、42人が障害者スタッフ(身体障害9人、知的障害8人、精神障害13人、発達障害12人)で、障害者雇用率は2・36%に上る。  コスモネットが本格的に障害者雇用に取り組み始めたのは2011年ごろ。多くの企業と同じように、店舗・従業員の急増にともなう法定雇用率の未達成がきっかけだった。業務管理統括本部業務支援グループ長を務める緑川(みどりかわ)徹(とおる)さんは、「障害者を雇用する企業としては後発組でしたから、身体障害の方ではなく、求職者数が増加している精神障害・発達障害のある方たちを積極的に採用することになりました」と経緯を語る。  緑川さんは、もともと障害者雇用にかかわる機関に8年在籍し、当初はコスモネットを外部からサポートする立場だった。社内に設置された障害者雇用拡大プロジェクトチームに参画するうちに、新たな部署(現在の業務支援グループ)が立ち上がることとなり、それを機にコスモネットに入社した。緑川さんたちは、まず受入れ体制づくりのために社員の認識を変えることから力を入れた。「いずれ店舗に配属しなければ、障害者雇用は進められない」と考え、現場の管理者・責任者を集めた研修会なども開いた。  スタート時の障害者スタッフ(以下、「スタッフ」)は7人(身体障害1人、知的障害2人、精神障害3人、発達障害1人)で、担当は事務業務3人、清掃業務3人、店舗業務1人に分けた。具体的な仕事の切り出しは、採用と同時に並行して進めた。「この新たな部署が、ひとつの部署として生産性を持つために何をすべきか」との方針で試行錯誤(しこうさくご)していったという。  清掃業務は、作業内容のスキルアップを図りながらエリア拡大を進め、京都市内にかぎられていた対象店舗を、滋賀県・大阪府・兵庫県・奈良県、和歌山県まで広げた。  事務業務は、管理本部内の補助業務として、各種帳票のチェックや分類、社内文書のPDF化からスタート。いまでは、業務支援グループ事務所(京都)や本社、事業所、店舗で合わせて23種類にまで増えた。具体的には、店頭で活用するPOP・チラシの作成、必要に応じて本社へスタッフを派遣するなど各種業務サポートの提供、店舗での在庫管理や商品などの陳列、エクセルを活用したデータ処理、プログラミングを活用した自動化ツールの作成、社内報「CNC 通信」の編集・レイアウト作成業務などがある。  店舗にスタッフを配置するときは、事前に本人の障害特性を含めた自己紹介資料を店舗管理者らに示し、指導や対応の際の参考にしてもらう。一方で社員やスタッフが現場で困ったときには、緑川さんや、同じく業務支援グループで主任を務め、企業在籍型職場適応援助者である福田(ふくだ)絢(あや)さんが相談窓口となっている。 働きながら意識を変える  入社時に本人に申し出るよう伝えている「合理的配慮」については、実習期間中から情報を共有する。「障害特性により生じる課題を許容し配慮することで仕事のパフォーマンスが上がるなら、可能なかぎり臨機応変に対応するというのが当社の方針です。最終面接では、例えば10項目の配慮希望があった場合『八つは配慮しますが、残り二つは〇〇の理由でできません』と説明し、そのうえで入社の意思を確認します」と緑川さん。  実は以前、入社後に勤務条件の折り合いがつかず、契約更新できなかった苦い経験があった。時短勤務だったスタッフに「(業務の進捗確認や情報共有のため)朝礼か終礼のどちらかには出てほしい」と伝えたが了解してもらえなかった。緑川さんは「会社で働くということは、みんなと一緒に働くということ。会社において勤務時間は、○○さんの都合だけで決められるものではない」などと説得を試みたがダメだった。しかしいまでは、実習期間や面接の段階で、会社の考え方をしっかりと伝えているためか、本人も「会社で働くこと」を意識して勤務条件などを考え直すことも少なくないという。  入社後も「会社での働き方」について自ら少しずつ模索していけるよう、うながしている。あるスタッフは、仕事の手順が少ししか変わらない場合でも、マニュアルを新しくしたり、増やすよう配慮を求めていた。だが、なかには1回しか使わないケースや、自分でちょっと書き加えるだけで済むケースもある。福田さんは「困ったときには聞いてくれたらいいから、新しいマニュアルなしでやってみようか」と提案してみるという。その通りにしてうまくいけば本人の自信につながり、会社としても作業が一つ省ける。  あるスタッフは確認作業について「自分が最終的なチェックを担当するのは責任問題になるので、ダブルチェックしてほしい」と希望してきた。福田さんは「気持ちはわかるけれども、それではいつまでも成長できないし、達成感もないんじゃないかな。自分でできるダブルチェックの方法を考えてみよう」と伝えたところ「そうですね」と納得し、実際に一人でチェックができるようになった。  「マニュアルもダブルチェックも、会社側がサポートできないことではありませんが、ずっと続ければ生産性の低下にもつながります。この業務支援グループにも『時間あたりの作業量』や『納期』が求められています。そういう観点を理解してもらうことも私たちの務めです」と緑川さんは説明する。スタッフによっては「納得できる日とできない日がある」ので、調子が安定しているときを見計らって話しているそうだ。  また「会社で働くこと」において大切な「周囲とのかかわり方」についても現場で試行錯誤してきたと緑川さんは話す。「スタッフ同士の摩擦はしょっちゅうです。『こんなことをいわれた』、『あの人の癖が嫌だ』など、細かい話を挙げるとキリがありません。でも、摩擦が原因で相手を責めたり自分自身が苦しくなったりしないように、いかに協働していくかを意識できるよう、個々にアドバイスしています」  影響は、共有スペースの使い方にもおよぶ。例えば以前、事務所専用のトイレをめぐって「手洗い場の周りに水滴がちらばって嫌だ」、「ごみ箱への捨て方が汚い」、「臭いが気になる」など、さまざまな声がスタッフから噴出した。そこで福田さんは最低限のルールを守るよう全員に伝える一方、ごみ箱は中身が見えない蓋(ふた)つきに変え、臭いが気になる人には「過剰にならない程度」で消臭スプレーを持参して使用するよう、すすめるなどした。  「希望をすべて聞いてしまうと、職場を自宅のように変えたがる人も出てきます。でも職場はあくまで共有スペース。スタッフ同士で話し合いながら、全員が妥協し合えるラインをつくってもらうようにしています」と福田さんはいう。 「見守り」と「伝え方」  職場の「お姉さん」的な存在の福田さんは、かつて人事部で新卒採用も担当していた。スタッフの見守り方や指導法には、新人研修などで社会人としての姿勢や仕事との向き合い方を指南してきた経験も存分に活かされているようだ。  「最初は『自分はここまでしかできない』と線引きしていたのが、徐々に視野を広げてポジティブにもなり、『自分で考えてみたのですが』と提案をしてくるようになる姿を見ると、うれしくなります」  一方の緑川さんは、かつて出版社で5年近く編集業務を担当していた経歴もある。そのため「人に何かを伝えるときには、言葉の持つニュアンスをていねいに扱いたいという気持ちがあります」と明かす。例えば、ある作業の内容を見直してほしいとき、スタッフに「改善してください」というか「修正してください」というか。「よりよくしていく」というニュアンスが心に入りやすい人がいれば、「単にやり方を変える」と伝えるほうがわかりやすい人もいる。「この言葉一つが本人のモチベーションにも大きな影響を与えます。伝える力も大事ですね」と緑川さんは語る。こうしたコミュニケーションの積み重ねが、少しのことでは崩れない上司と部下の信頼関係にもつながっていくようだ。「私の大事な部下ですから、いかに成長して会社の戦力となってくれるかをいつも考えています」 得意な分野でスキルアップ  得意な分野を重点的に任され、能力を伸ばすケースも増えてきた。あるスタッフは、入社当初からエクセルでのデータ入力が主な仕事だったが、半年後ぐらいから「どうしたらミスを減らせるかが自分の課題」と口にするようになった。「業務改善の意識が高い」と感じた緑川さんは、「その処理は自動化できるよ」と助言。すると本人は独学で自動化ツールを学び、いまでは業務支援グループにとどまらず他部門からのデータ作成なども引き受けるようになった。  別の30代のスタッフは大学で工学系を専攻し、最初の就職先企業ではCADを使って設計していたが「ユーザーのことを考えていない。想像力が足りない」といわれ、試用期間後に退職となっていた。コスモネット入社後は店舗のバックヤード作業だけでは物足りず経理サポート業務も担当してもらったが、数字のミスを見つけるのは得意でも原因をイメージするのが苦手だった。そこで、パソコンスキルの学習意欲を活かし、社員用パソコンのキッティング(※)業務を試しにやってもらった。その結果、何台も同時並行で進めることができたため、いまでは情報システムグループで、キッティングを中心とした専門的な業務を担当している。こうしたスキルアップの指導の先には、キャリアアップがあると緑川さんは話す。  「彼らに長く仕事を続けてもらうには処遇を上げていけるとよいのですが、それには実績が必要です。本人に意欲があれば、半年ごとの目標設定で順序立ててスキルを習得し、私たちはそれを活かせる業務を獲得してきます。それを繰り返しながら、チーム全体の生産性も上げていけるよう模索中です」 障害者手帳の返還後も  コスモネットでは障害者雇用に特化した人事制度があるわけではないが、一部独自の賃金テーブルの設定と運用を通じて、さまざまな雇用形態に対応できる仕組みがある。採用時は原則パートナー社員(時給制)で、一定期間経過後に一定以上の評価を上げると契約社員(月給制)に登用される可能性がある。また、パートナー社員でも年1回の昇給時には評価によって差があり、年2回の賞与では、評価が高いスタッフと評価が厳しいスタッフの間では数万円以上の差も出るそうだ。  契約社員を目ざすスタッフには、できている部分とそうではない部分を整理して伝え、順にクリアしていくよううながす。これまでに4人が契約社員になった。仕事の評価やフルタイム勤務などの要件、試験を乗り越えれば正社員登用の道もあり「将来的に正社員になる方が出てくることを、期待しています」と緑川さん。  症状が改善し、障害者手帳を返還した後にそのまま在籍し、清掃管理者として働いている社員もいる。業務支援グループの関東における拠点で2013年に障害者雇用枠で採用され、清掃業務を担当していた当時55歳の男性は、働いている間に双極性障害(躁病(そううつ))が寛解(かんかい)し、2年後には障害者手帳を返還。障害者雇用率にはカウントされなくなるため、男性からは「働き続けられるか」と相談されたが、引き続き勤務してもらった。処遇を引き上げるために緑川さんは清掃管理者を目ざすよう提案し、本人も努力して清掃管理者となった。定年を過ぎたいまは、嘱託社員として勤務を続けているそうだ。 円滑なコミュニケーション  蒲田(がまだ)浩(ひろし)さん(61歳)は、2013年入社で7年目。  寝屋川市の社会福祉法人みつわ会にいたが、就職活動の結果、コスモネットに採用されたという。最初は店舗に配属されてバックヤードの業務を行っていたが、6年目にはApple製品の専門店「C smart(シー スマート)」に配置換えとなり、今年6月からは業務支援グループ事務所(京都)で勤務している。  「店舗では、業務の合間に独学でエクセルの勉強をしていました。社内業務の大部分でエクセルを使用していましたから必要だと思ったのです。その結果、スキルを買われて『C smart』に移ることになりました。求められるニーズに合わせて自分自身も変わっていけたことで働き続けられたのかなと思います」と振り返る。もう一つ勤続できた大きな理由は、上司との円滑なコミュニケーションだと話す。  「店舗勤務だったときは、上司とは日常的に顔を合わせませんでしたが、電話やLINE WORKS(ラインワークス)などで細かい連絡や相談ができたので、とても安心感がありました」  取材陣が訪問した日、最初に出迎えて案内役を務めてくれたのは、安達(あだち)明孝(あきたか)さん(37歳)。もともとは大阪府内の工場でプレス作業をしていたが、雑音に耐えられず半年で退社した。体調が戻って京都府庁で働き始めたが、2年弱で再び退職したという。「恵まれた職場でしたが、当時は自分に『働く覚悟』が足りませんでした。甘えがありました」と率直に明かす。その後は就労移行支援事業所でトレーニングを受け、「受けた仕事は時間内にやり遂げること、小さなストレスを受け流す方法など、働く姿勢について学べました」。それから約1年後にコスモネットに採用された。  最初に配属された店舗ではバックヤードでデータ入力・棚卸作業などを2年ほど担当し、その後、業務支援グループ事務所(京都)に配置換えとなった。POP作成やパネル加工などの販売促進業務、最近では領収書や顧客向けキャッシュバックの確認などを行っている。  「店舗では、多くの人が出入りする流動的な雰囲気に苦労しましたが、緑川さんが頻繁(ひんぱん)に店に来て雑談をしてくれたので救われました。体調を崩して休むときには福田さんが『体調悪そうだったよね』といってくれて、見てくれていたのだなと安心しました」  入社2年目の西村(にしむら)友里(ゆり)さん(23歳)はPOP・チラシ・カード類の作成と印刷を担当している。実習中は経理や文書のPDF化などを手がけていたが、入社後にイラストレーターやパワーポイントなどの使い方を学んだそうだ。「私は細かい作業内容を頭で整理するのが苦手なので、いわれたことをメモにすることを習慣にしています。あと、わからないことや困ったことが起きたら先輩たちに聞くようにしています」と、笑顔で話してくれた。  京都事務所で稼働する清掃チーム(2チーム計8人、うち知的障害5人、発達障害1人、健常者2人)は現在、近畿エリアで1日2〜5店舗を回り、店舗内外の清掃から廃棄物回収、内装の補修、除草まで幅広い作業を行っている。スタッフの就業年数は1人が3年、ほか5人は7年となっている。清掃管理者を務める清水(しみず)政宏(まさひろ)さんは「目配り気配りのきくスタッフもいて、私よりうまく確認してくれています」と話す。店舗側からは毎回、事後評価表が届く。最初のころは×がついた項目を見つけて落ち込むスタッフも多かったが、「何が原因だろうか」、「次はよい評価を目ざそう」などと前向きな姿勢へとうながした。一人ひとりに合わせたコーチングも大切だという。「作業内容を具体的に示すといったことだけではなく、本人がより興味を持っている部分を引き出しながら、仕事につなげていけるよう心がけています」  はじめは清水さんに挨拶もしたがらないメンバーもいたそうだが、移動中の車内などで世間話を重ねながら信頼関係を築き、チームワークも強くなった。「いまでは店舗からも悪い評価はほとんどありません。しかし、慢心につながらないよう、ハードルを高くしていく必要もありますね」と清水さんは笑顔で話す。 通信業界の大きな変化のなかで  コスモネットにおける障害者雇用の今後の方針について、緑川さんに聞いた。  「大きな流れとしては、通信業界は何度目かの大きな変化の時期に来ていると実感しています。携帯料金などに関する国の動きの影響やキャリア自体の変化、業界の変化にも対応していかなければなりません。企業として生き残っていくためには今後、大小さまざまな変革が必要とされるでしょう。そのようななか、障害者雇用のあり方も変わっていくと考えています。状況によって、雇用状況などは厳しい局面があるかもしれませんが、常に将来を見据え次の展開を考え、その実現に向けて進んでいくだけです」  2019年度の社内の経営方針発表会では、業務支援グループのテーマを「事業価値の向上」とした。具体的には、仕事の成果を可能なかぎり数値化し、業務パフォーマンスの高低や経費の妥当性を継続的に見ていくなかで、アウトプットの付加価値を高め、最終的には「経営への貢献に寄与できる業務へのシフトを進める」ことだという。最後に緑川さんは「業務内容の拡大も含め課題は山積みですが、将来的には、業務支援グループが『自分の足で立てること』を目ざしていきます」と力強く語ってくれた。 ※キッティング:組立てから配線、OSのセットアップなど、コンピューターや周辺機器等を、利用者がすぐに使える状態に配備する導入作業 業務管理統括本部業務支援グループ長の緑川徹さん 主任で企業在籍型職場適応援助者の福田絢さん 販売促進ツール作成業務では、店舗で使用するPOPやチラシのデザインも行う 大型プリンタで出力したPOPの裁断作業 カートを押して店舗清掃へ向かう伊藤(いとう)雅行(まさゆき)さん 終業時に記入する日誌には、体調、目標の達成度、連絡相談事項などを記入する コミュニケーションの積み重ねが、上司と部下の信頼関係へとつながる 入社6年目の安達明孝さんは、伝票の確認など経理の仕事が増えてきましたと話す 取材時、蒲田浩さんは店舗で使用したデモ機の初期化作業を行っていた 近畿の清掃チームをまとめる清水政宏さん 大型プリンターでPOPを出力する西村友里さん 清掃チームでは清掃作業のほか、修繕作業も行う(写真提供:株式会社コスモネット) 【P10-11】 NOTE 働く障害者の高齢化 Vol.3 雇用継続への取組み事例(身体障害編A)  前回から引き続き、高齢化した障害者従業員への対応を進める企業を取り上げていきます。  今回は「雇用継続への取組み事例(身体障害編A)」として、オムロン株式会社の特例子会社「オムロン太陽株式会社」(大分県)の事例をご紹介します。 高齢化の現状と対応事例について  オムロン太陽株式会社は、「保護より機会を」という理念を持った「社会福祉法人太陽の家」創設者の中村(なかむら)裕(ゆたか)博士と、「われわれの働きで われわれの生活を向上し よりよい社会をつくりましょう」という社憲を制定した「オムロン株式会社」創業者の立石(たていし)一真(かずま)氏により、1972(昭和47)年に大分県別府市で設立されました。同社はオムロン株式会社の主要製品である、制御機器用のリレーソケットや各種スイッチの生産などを行っている特例子会社です。また、「太陽の家」が初めて連携・協力した特例子会社として古い歴史があります。  設立から47年という歳月を経ているため、社員の高齢化が進みつつあります。代表取締役社長の大前(おおまえ)浩一(こういち)さんにお話しをうかがいました。  「弊社の従業員数は72人で、そのうち障害者は35人です。肢体不自由者が22人で、半数以上を占めています。従業員全体の平均年齢は42歳を超え、身体に障害のある従業員も高齢化が進んでいます」  さらに、高齢化が進む従業員の対応事例について、工場長の前田(まえだ)清隆(きよたか)さんが話してくれました。  「身体障害のある55歳の従業員は、両手の指が少ないため、高齢化が進むにつれて部品などを掴(つか)む力が弱くなり、部品が小さいほど掴むことが厳しい状態となりました。ところが彼と話をするうちに、自宅のパソコンでワープロソフトを使っていることがわかったのです。そのスキルを活かすために、パソコンを使ってエクセルでのデータ入力をしてもらうようになりました。現在、さらに活躍の場を広げるため、空き時間を利用して、スキル向上のための訓練をしているところです」 スキルマップづくりで高齢化にも対応  同社では、前述の事例のように個々の従業員のスキルを把握し、そのスキルに合わせて、従業員の配置を行っています。大前さんはこのように続けます。  「障害の有無にかかわらず、高齢化にともない力が弱くなったり、作業スピードが遅くなるものです。また年を重ねると体調不良にも陥(おちい)りやすくなります。そうした際は、製造ラインで作業をするより、非製造の領域に少しずつシフトできればと思っています。弊社では、『この社員はこういうスキルがあります』、『こんな仕事ができます』ということを明確にした『スキルマップ』をつくっています。個々の社員のスキルを把握できれば、リソースを配分できます。また、可能な作業量を把握できれば、高齢化が進む従業員も適材適所で活躍することができます」  元来、この「スキルマップ」は、人材育成のために導入したものでした。しかし今後は、高齢化により従業員の従来のスキルが低下した際、その従業員のほかのスキルがどのぐらいかを見極め、適切な業務へ移行するための指標として、より有効になります。 だれもが使いやすい治具を目ざす  「品質第一」を方針とする同社では2007(平成19)年から、生産性向上と人材育成を目的として、よりよい方向へと転換するための「Turn Around(ターン アラウンド)活動」を実践しています。この活動の一環として力を注いでいるのが、治具(じぐ)(※)づくりです。  「治具は社内で加工できます。現場リーダーから『いまの作業だったら、こんな治具があるといいですね』という意見が出ますので、その意見をもとに製作します。高齢化で作業スピードが遅くなった場合も治具で補えますので、どんどん活用してもらいたいですね」と前田さん。  さらに品質技術グループ主査の松枝(まつえだ)幸大(ゆきひろ)さんはこのように話してくれました。  「治具については、だれもが使いやすいものを目ざしています。障害者が使いやすいということは、健常者も使いやすいということです。高齢の障害者を含めた、従業員すべての作業効率化が図れるように日々改善を進めています」 「ユニバーサルものづくり」のひとつとして  「弊社には『ユニバーサルものづくり』という考えがあり、そのなかのひとつに高齢化があるととらえています。障害があることと、高齢化によって能力障害があることは同じなのかもしれません。従業員それぞれが個々の能力をチームで理解して、お互い助け合って作業を行う姿勢が大事なのだと思います」と前田さんは話します。  さらに松枝さんは自身のことを例に語ってくれました。  「私は車いすに乗っていますので、重いものが持てません。ですから作業の際には、聴覚障害のある方々に持ってもらうようお願いしています。その代わり、私は独自で学んだ手話を使って、彼らと従業員との会話をサポートしています。このようにお互いサポートし合えば、たとえ高齢化が進んでも、よりユニバーサルにものづくりができると思います。私自身、チーム内で高齢化をあまり意識することはありません」  同社では、高齢化そのものを抽出して課題とするのではなく、従業員のスキル低下にどのように対応していくか、一人ひとりのできることをどのように増やしていくか、あくまで「ユニバーサルものづくり」のひとつとしてとらえ、従業員の活躍の場を広げています。 ※治具:作業を行ううえで、部品や工具を固定するとともに誘導してくれる器具 同社従業員の年齢分布図 身体(重度) 身体 知的 精神 健常 20歳以下 21〜30歳 31〜40歳 41〜50歳 51〜60歳 61歳以上 (資料提供:オムロン太陽株式会社) 工場での作業は小さな部品などを掴むことが多い 代表取締役社長の大前浩一さん(中央)、工場長の前田清隆さん(右)、品質技術グループ主査の松枝幸大さん(左) 車いすでも作業しやすい設計の治具製作スペース 「品質第一」の方針が掲げられた作業室 【P12-14】 インフォメーション ご活用ください! 障害者の職業訓練実践マニュアルなど  当機構が運営する国立職業リハビリテーションセンター(埼玉県)、国立吉備高原職業リハビリテーションセンター(岡山県)では、精神障害や発達障害、高次脳機能障害など、職業訓練上特別な支援を要する障害のある方(特別支援障害者)の受入れを積極的に行い、より効果的な職業訓練の実施に必要な指導技法などを、障害種別ごとにマニュアルとして取りまとめています。  このマニュアルは、当機構のホームページ(http://www.jeed.or.jp/)からダウンロードすることもできます。また、無料で配付をしていますので、お気軽にお問い合わせください! NEW!! 平成30年度発行 職業訓練実践マニュアル 精神障害・発達障害者への職業訓練における導入期の訓練編T 〜特性に応じた対応と訓練の進め方〜 ●こんな方におすすめ!  精神障害や発達障害などのある訓練生が、円滑に訓練に適応できるよう、導入期における訓練の進め方として、以下の構成でわかりやすくまとめました。 @精神障害・発達障害者への職業訓練における導入期の訓練の意義 A円滑な職業訓練に向けた特性把握と訓練生の自己理解の促進 B訓練を安定して受講できるための取り組み C対応法の習得に向けた取り組み D導入期の訓練の進め方 E情報の共有  本マニュアルに掲載されているツールなどは、訓練でご活用していただけるように巻末のCD-ROMに収録しています。また、本文、CD-ROMデータはともに当機構ホームページからダウンロードできます。 マニュアルの主な内容 導入期における職業訓練の進め方について解説しています。 訓練生の特性把握にあたっての留意事項についてまとめています。 ストレス・疲労の把握のための振り返りシートの活用方法を紹介しています。 令和元年度末 発刊予定! ☆令和元年度は、「導入期の訓練編U」をとりまとめる予定です。 職業訓練実践マニュアル 高次脳機能障害者編 ◆高次脳機能障害者編T〜施設内訓練〜(平成28年度発行) ◆高次脳機能障害者編U〜企業との協力による職業訓練等〜(平成29年度発行) 精神障害者編 ◆精神障害者編T〜施設内訓練〜(平成24年度発行) ◆精神障害者編U〜企業との協力による職業訓練等〜(平成25年度発行) 発達障害者編 ◆発達障害者編T 〜知的障害を伴う人の施設内訓練〜(平成22年度発行) ◆発達障害者編U 〜施設内訓練〜(平成23年度発行) ◆発達障害者編V 〜企業との協力による職業訓練等〜(平成24年度発行) 重度視覚障害者編 ◆重度視覚障害者編T〜施設内訓練〜(平成22年度発行) ◆重度視覚障害者編U〜企業との協力による職業訓練等〜(平成23年度発行)  「施設内訓練」編では、主に訓練環境や指導体制の整備、訓練カリキュラム、訓練教材の作成方法、実践的な職業訓練の実施方法などをまとめています。  「企業との協力による職業訓練等」編では、主に企業ニーズをふまえた職場実習や、就職活動における支援技法などをまとめています。 精神障害者等向け委託訓練参考マニュアル  精神障害や発達障害のある方への円滑な委託訓練実施のために〜精神障害者等向け委託訓練参考マニュアル〜(平成27年度発行)  委託訓練先機関の方、または委託訓練の実施を検討されている機関の方に向けて、精神障害、発達障害のある方を受け入れるための、訓練環境におけるポイント、具体的な取組内容などについてまとめました。 職業訓練実践マニュアルなどは当機構のホームページからダウンロードしてご利用ください。 障害者職業訓練に関する指導技法等の提供 検索 http://www.jeed.or.jp/ 上記のほか、平成21年度までに発刊した『職業訓練の実践研究報告書』などもございますので、あわせてご活用ください。 ◎お問合せ先 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター 職業リハビリテーション部 指導課 〒261-0014 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-3 TEL:043-297-9030 障害者職業訓練推進交流プラザのご案内  厚生労働省および当機構では、障害のある方の職業訓練を実施している、または、障害のある方の受入れを検討している施設などの方を対象に、精神障害や発達障害、高次脳機能障害のある方などに対する職業訓練技法の普及を行っています。  その一環として、厚生労働省主催の「障害者職業訓練指導員経験交流会」と当機構主催の「障害者能力開発指導者交流集会」をあわせて「障害者職業訓練推進交流プラザ」として共同開催するものです。  みなさまのご参加を心よりお待ちしております! 開催日時・会場 開催日時 令和元年10月31日(木)10:00〜16:30 会場 障害者職業総合センター(千葉市美浜区若葉3-1-3) 参加対象者 障害のある方の職業訓練を実施している、または、障害のある方の受入れを検討している施設など(障害者職業能力開発校、一般の職業能力開発校、民間の障害者職業能力開発施設、障害者委託訓練受託施設、都道府県人材開発主管課)の方 内容 【行政説明】 ・障害者人材開発施策の現状と今後の課題について 【事例発表・訓練技法等の紹介】 ・精神障害者等に対する職業訓練に関する取組  〜一般校における専門訓練コースの新規設置から訓練生の受入れ・訓練実施まで〜 ・精神障害者等支援に係る職業訓練指導員研修の取組  〜指導員の支援力向上に向けた研修体系の整備について〜 ・障害者委託訓練に関する取組  〜実践能力習得訓練コースでの委託先開拓、受講者確保、就職に向けた取組について〜 ・職業能力開発校等に対する指導技法等の普及事業について  〜効果的な職業訓練を実施するための機構営障害者校が提供する支援メニュー〜 ・精神障害・発達障害者に対する導入期の職業訓練について  〜特性に応じた対応と訓練の進め方〜 【グループ別検討会】 次のテーマごとにグループに分かれて討議を行います。 *精神障害者の職業訓練 *発達障害者の職業訓練 *障害者委託訓練 〜参加者の声〜 ●職業訓練を取り巻く現状や今後の課題を知ることができてよかった ●事例紹介のみではなく、訓練や支援をどう進めていけばよいかの説明が聞けてよかった ●得られた事例や意見を自分の職場に持ち帰り、現場の職員とも共有したい 申込み方法・締切り ◎申込み方法:当機構ホームページ(http://www.jeed.or.jp/)から申込用紙をダウンロードし、申込用紙に入力のうえ、当機構職業リハビリテーション部指導課 広域・職業訓練係あてに、メールまたはFAX、郵送でお申し込みください。 ◎締切り:令和元年10月2日(水)必着 障害者職業訓練推進交流プラザ 検索 ★参加費は無料です。事前申込みが必要です。 ★障害特性に応じた訓練カリキュラムや訓練教材、支援ツールなどの展示を行います。 ★昼食は各自ご準備ください。 ◎お問合せ先 厚生労働省 人材開発統括官 特別支援室 障害者企画係 〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2 TEL:03-5253-1111(内線5962) 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター 職業リハビリテーション部 指導課 広域・職業訓練係 〒261-0014 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-3 TEL:043-297-9030 FAX:043-297-9056 E-mail:ssgrp@jeed.or.jp 訓練教材などの紹介 意見交換の風景 事例発表の風景 【P15-18・P33】 グラビア 令和元年度 障害者雇用支援月間ポスター原画(絵画・写真)コンテスト「働くすがた〜今そして未来〜2019」入賞作品  高齢・障害・求職者雇用支援機構では、広く障害者雇用への理解と関心を深めていただくため、9月の「障害者雇用支援月間」にあわせてポスターを制作しています。今年度も、障害のある方々などからポスターの原画となる絵画と写真を募集しました。募集は絵画3部門と写真の部にわけて行い、全国から寄せられた1,634点(絵画1,482点、写真152点)の応募作品のなかから、審査の結果、ポスターに採用する厚生労働大臣賞4点のほか当機構理事長賞4点、同理事長奨励賞72点が選ばれました。  厚生労働大臣賞を受賞した4作品をもとに作成したポスターは、障害者雇用支援月間中、全国のハローワークなどに掲示されます。 厚生労働大臣賞 ◆絵画の部 小学校◆  「かみを切っている私」  鈴木 咲乃(すずき さの 愛知県) ◆絵画の部 中学校◆  「家具職人」  新倉 政亮(しんくら まさあき 鹿児島県) ◆絵画の部 高校・一般◆  「美容師さんの魔法の手」  竹下 希(たけした のぞみ 岡山県) ◆写真の部◆  「求められる以上の品質」  合地 睦(ごうち むつみ 岡山県) 高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長賞 ◆絵画の部 小学校◆  「うしのせわをしたいな」  須賀 弘希(すが ひろき 鹿児島県) ◆絵画の部 中学校◆  「本屋さんでの実習」  シンディ・ナターシャ・ハンダヤニ(長野県) ◆絵画の部 高校・一般◆  「可愛くて美味しいを創り出す」  大村 綾子(おおむら あやこ 愛知県) ◆写真の部◆  「みんなできれいに」  椎名 秀夫(しいな ひでお 神奈川県) 高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長奨励賞 絵画の部 小学校 「ケーキやさん」 吉瀬 奏(きちせ かなで 東京都) 「どんな犬でも任せて!」 豊島 珠希(とよしま たまき 愛知県) 「『一生懸命がんばる美容師』私の夢」 坂本 愛海(さかもと まなみ 京都府) 「野球の勝負」 渡邊 陽人(わたなべ あきと 大阪府) 「保線区」 定村 逞叶(さだむら たくと 福岡県) 「パン屋さんになりたいな」 岩下 翔(いわした しょう 鹿児島県) 「けっこんしきのケーキやさん」 宮ヶ迫 愛莉(みやがさこ あいり 鹿児島県) 「自分で育てたお花を売って 人を幸せにしたい」 内田 陽葵(うちだ ひなた 鹿児島県) 「おだやかなかいごし」 岩田 桃佳(いわた ももか 鹿児島県) 「みんなを助ける消防士」 松村 義樹(まつむら ともき 沖縄県) 「僕はシェフになりたい!」 國場 謙仁朗(こくば けんじろう 沖縄県) 「花火職人」 知念 秀昭(ちねん ひであき 沖縄県) 絵画の部 中学校 「ショベルカーと」 近藤 源輝(こんどう げんき 北海道) 「おいしい牛乳ができるように」 畑澤 歩斗(はたさわ あゆと 青森県) 「アニメーターになりたい」 石塚 白帆(いしづか しらほ 千葉県) 「街角の花屋さん」 香月 ネオ(かつき ねお 東京都) 「あなたの未来、シャッターチャンス!」 水谷 美樹(みずたに みき 岐阜県) 「ラベル貼り」 小倉 連(おぐら れん 長野県) 「初めての火の使い方」 潟見 武龍(かたみ たける 石川県) 「ピットクルーとレーシングドライバー」 山本 賢紀(やまもと たかのり 東京都) 絵画の部 中学校 「一流のサッカープレーヤー」 齋藤 聖也(さいとう せいや 愛知県) 「警察官のぼく」 杉浦 拓斗(すぎうら たくと 愛知県) 「日本一をめざす作家」 薬師神 千華(やくしじん ちか 鹿児島県) 「アパレル店員」 中尾 優希(なかお ゆき 鹿児島県) 「かっこいい警察官」 河原崎 琉未(かわはらさき るみ 沖縄県) 「カラフル本屋さん」 宮城 怜亜(みやぎ れあ 沖縄県) 絵画の部 高校・一般 「花火職人」 田中 瑠菜(たなか るな 北海道) 「畑作業」 沼田 洋子(ぬまた ようこ 青森県) 「自動車整備士」 柏倉 友美(かしわぐら ともみ 山形県) 「働くぼく」 深谷 翔(ふかや しょう 福島県) 「調理しているわたし」 三浦 弓枝(みうら ゆみえ 福島県) 「NZ0809リベット カシメ作業」 中井 美之(なかい みゆき 群馬県) 「バイクとボク」 番場 平(ばんば たいら 埼玉県) 「一生懸命ラテを作っている姿」 佐々木 亮介(ささき りょうすけ 東京都) 「一生懸命頑張りました」 岩本 慎司(いわもと しんじ 東京都) 「お客様の為にストックします」 新井 理華子(あらい りかこ 東京都) 「こわかったね。もう大丈夫!」 井上 浩之(いのうえ ひろゆき 神奈川県) 「皿を洗う女性」 小林 秀樹(こばやし ひでき 長野県) 「とある鉱石採掘場の風景」 加藤 利和(かとう としかず 岐阜県) 「持ち手縫いをしている自分」 橋 星稀(たかはし しょうき 静岡県) 「タイヤの空気圧点検」 戸苅 宏二(とがり こうじ 愛知県) 「庭師がつなぐ花の未来 」 大村 麻子(おおむら あさこ 愛知県) 「幸せ運ぶリボン作り」 矢野 静佳(やの しずか 大阪府) 「美術家・世界を創造するお仕事」 小林 弘典(こばやし ひろのり 奈良県) 「仕事をするぼく」 三好 啓介(みよし けいすけ 鳥取県) 「馬の世話をする人」 益成 和雄(ますなり かずお 島根県) 「カキのから出し」 松尾 仁和(まつお よしかず 山口県) 「つくる」 樫原 翼(かしはら つばさ 徳島県) 「調理の風景」 谷ア 未悠(たにざき みゆう 徳島県) 「がんばるそうじ」 南 洸希(みなみ こうき 徳島県) 「箱折り」 渡邉 菜々子(わたなべ ななこ 愛媛県) 「玉ねぎ収穫」 川口 清美(かわぐち きよみ 長崎県) 「かご職人」 宮村 光(みやむら ひかる 熊本県) 「働く親父」 河野 日出夫(かわの ひでお 大分県) 「パッチワーク」 丸尾 義久(まるお よしひさ 宮崎県) 「トイレそうじ」 坂山 拳神(さかやま けんしん 鹿児島県) 「家具職人」 山縣 陸翔(やまがた りくと 鹿児島県) 「お仕事クラブの指導」 宮里 真生(みやざと まお 沖縄県) 今年度も力作がそろいました 写真の部 「珍味作業している私」 上林 きよ(かんばやし きよ 北海道) 「腕に自信のある石井さん」 高山 響(たかやま ひびき 千葉県) 「それ ええやん!」 佐藤 浩(さとう ひろし 東京都) 「カラー軍手に心を込めて」 奥村 美央(おくむら みお 愛知県) 「何事も一所懸命」 水島 芳彦(みずしま よしひこ 大阪府) 「日本人の歯をセラミックで白くしたい」 今井 久二(いまい ひさじ 大阪府) 「あこがれのセンパイ!」 沖 慎二郎(おき しんじろう 岡山県) 「バランスを崩さないように」 佐田野 優(さだの ゆう 岡山県) 「縁の下の力持ち」 平井 英樹(ひらい ひでき 福岡県) 「織物作業(さをり織り)の様子」 小野 雅裕(おの まさひろ 大分県) 「働く版画絵に色つけ中」 西 竜祐(にし りゅうすけ 鹿児島県) 「みんなで頑張る農園」 徳田 俊彰(とくだ としあき 鹿児島県) 「実習する友だち」 菅沼 和寿喜(すがぬま かずき 鹿児島県) 「パン納品」 西里 恵子(にしざと けいこ 沖縄県) 入賞作品展示会のお知らせ 全国5カ所で入賞作品展示会を開催します。 【東京】9/2(月)〜9/6(金) 丸の内MY PLAZA 【愛知】9/14(土)〜9/17(火) SMBCパーク栄 【大阪】9/24(火)〜9/26(木) 大阪市役所 【福岡】10/3(木)〜10/6(日) 福岡市役所 【札幌】10/21(月)〜10/23(水) 札幌駅前通地下広場 詳しくはホームページをご覧ください 審査委員 永関 和雄 (委員長)武蔵野美術大学 講師 清水 満久 昭和女子大学現代教育研究所 研究員 竹内 とも子 東京都千代田区立九段小学校 指導教諭 桑原 史成 日本写真家協会常務理事 小山 博孝 日本写真家協会会員 澤口 浩司 厚生労働省 職業安定局障害者雇用対策課 地域就労支援室長 和田 慶宏 高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長 【P19】 エッセイ 第2回 マインドフルネスに学ぶポジティブの本質とは 佐藤恵美(さとう えみ)  神田東クリニック副院長、MPSセンター副センター長。  1970(昭和45)年生まれ、東京都出身、北里大学大学院医療系研究科産業精神保健学修了。  精神保健福祉士・公認心理師。病院勤務などを経て現職。医療現場および社内のカウンセラーとして多くの労働者の悩みに向き合い、職場に対して健やかな職場づくりのための助言をしている。著書に『ストレスマネジメント入門』(日本経済新聞出版社)、『もし部下が発達障害だったら』(ディスカバー21)などがある。  昨今、「ポジティブ(positive:明確なはっきりした 実際的な)」という英単語は、すっかりお馴染(なじ)みになった。もはや日本語と化したかと思うほどに「プラス思考」、「楽天的性格」などを表現する際に多用されている。メンタルヘルスの分野でも「ポジティブ・メンタルヘルス」という考え方が示され、不調者だけでなく、すべての人を対象として心も体も健康でイキイキと生活するための幅広い活動として注目されている。これらの言葉の使われ方からも、「ポジ」は積極的で前向き、「ネガ」はその対極概念、というイメージが一般的であろう。  さて最近、私がカウンセリングを行っている方がとても興味深い話をしてくれた。かの有名な『夜と霧』の著者、フランクルの隠れた名著『それでも人生にイエスと言う』という書籍の一節に「現実的」という言葉が使われており、その横に「ポジティブ」というフリガナがあった、というのである。彼のいわんとすることは、すぐに私に伝わった。というのも、彼が新たな生き方を獲得するためにたどり着いた一つの重要なワードが、マインドフルネスの考え方に基づく「いま、目の前の現実だけ見ること」だったからだ。  「マインドフルネス」とは、「いまこの瞬間」にだけに意識を向け、呼吸法や瞑想を用いて、何も主観や評価を加えず「ただ“そのもの”をみて」心を整える方法である。心が塞(ふさ)いだり、不安になったり、怒りや妬(ねた)み、自責などを感じるのは、人はそこに「良い悪い」、「好き嫌い」などと自ら主観や評価を与えたり、他者からみた自分を意識したり、他者と比較したり、「ああすればよかった、こうなったらどうしよう」と過去や未来を思考するなどして、心を乱すからである。だから、主観や評価や比較や過去・未来への不毛な思考を交えずに、「いま、ただ、そのものを見る」ことが心の安寧(あんねい)につながる、というわけである。「ただ、そのもの」とは、「あるがまま」とも言い換えられる。「あるがまま」は「在る、が、そのまま」まさに主観や評価の色を何もつけない「現実そのもの」ということなのである。  「マインドフルネス」は、もともとは2600年前にブッダが苦しみを滅(めっ)する方法として提唱した瞑想法に由来し、禅や武道など人が精神統一をはかる多くの日本文化のなかに息づいている。ここ30年ほどは、宗教色を排した心理療法として確立され、欧米を中心に治療や教育などのさまざまな分野で応用されている。さらに昨今では、ストレス低減、集中力や思考力アップなどの効果から、ビジネスパーソンにも役立つと考えられ、欧米企業などでは、社員教育の一環として組織的な取組みも行われるようになっている。  話は戻るが、一般的に「ポジティブ」の日本語的な解釈では、前向き、積極的、強みなどが主であるが、フランクルの著書のなかで見つけたワードは「現実的」と結びついていた。つまり、「ポジティブ」とは、物事を前向きやプラスに転じようとするものではなく、「ただそこにあるそのまま(現実)をみる」ということこそが本質なのだ、と私たちは腑に落ちたのである。  今日一日を振り返ってみよう。人はいかに勝手な主観の色をつけて生きていることか。「客からクレームをいわれた(自分の評価が下がるのでは? → 恐怖)」とか、「上司に業務を頼まれた(やったことないが自分にできるのか? → 不安)」、「客からの電話に対応した(自分ばかり損している → 怒り)」などなど、起こった現実に当然のように勝手な主観をくっつけ、それを種にした負の感情によってストレスを自ら生んでいる。「ただ目の前の現実だけをみて、必要な対応をすればいい」というシンプルな方法こそが、実は究極の「ポジティブ」なのかもしれない。 【P20-25】 編集委員が行く 障害者の職域をひろげる 〜アビリンピックで初のデモンストレーション〜 ATUホールディングス株式会社(福岡県) 株式会社まるみ 取締役社長 三鴨岐子 取材先データ ATUホールディングス株式会社 〒812-0011 福岡県博多区博多駅前4-33-1 KMビル3階 TEL 092-710-5681 FAX 092-710-5682 編集委員から  日本の障害者雇用は法定雇用率というルールをクリアすることを目標に、進んできた。一方で、雇用率の達成を求められていない小規模企業の経営者が、使命感を持って雇用を進めているケースもある。自社だけでなく警備の「業界」で、雇用を実現するにはどのようなことが必要なのかを研究し、実践する福岡県の企業を取材した。 写真:小山博孝・官野 貴 Keyword:警備業、社員教育、情報共有、アビリンピック POINT 1 警備業界での障害者雇用に、会社として挑戦 2 ツールの活用とチームワークによる経営 3 アビリンピックでのデモンストレーションに挑戦 多様な社員  JR博多駅より徒歩10分。4階建てのこじんまりとしたビルの前で、訪問までの時間調整をしていると、視覚障害者が白杖をつきながら歩いてくるのが見えた。その人は訪問先であるビルに入っていった。  今回訪問した「ATUホールディングス株式会社」(以下、「ATU」)の、この日の9時15分からの朝礼は、高齢従業員、精神障害のある従業員、さきほど見かけた視覚障害のある従業員、子育て中の在宅勤務の従業員、社長の5人で行われた。ATUの従業員数は49人(うち身体障害4人、知的障害5人、精神障害7人、計16人。障害者雇用率39・0%)。ATUは警備会社なので、ほとんどの社員が現場へ直行直帰であり、事務所内の人数は少ない。朝の挨拶、理念唱和、一言訓話の読み上げ、連絡事項の10分程度の短い朝礼を済ませ、業務が始まる。  応接コーナーにて、代表取締役の岩ア(いわさき)龍太郎(りゅうたろう)さんにお話をうかがった。ついたての後ろでは、赤ちゃんの声がしている。その日休んだ事務職員の代わりに、通常は在宅勤務の従業員が赤ちゃんを連れての出勤だったのである。ATUの多様な人々が活躍する風景を、いきなり目の当たりにした。 「障害者雇用できる会社」が目標  警備業に従事する者には警備業法による細かい規定があり、2002(平成14)年までは障害者は従事できなかった。それでも実際は、手帳の保有を隠して働いていた人も多くいたと思われている。法改正により欠格事由の見直しがされたものの、業界内では、「障害者に警備の仕事ができるはずはない」という見方が根強く残っている。  岩アさんは大学卒業後、警備会社に勤めていた。一生懸命に仕事に取り組んだその会社は、業績が上がり、規模も拡大し、社員の待遇が改善していたにもかかわらず、社内の雰囲気がよくならないことを不思議に思っていた。  そこで、よい会社・よい経営について学ぶべく、社会人大学院生となりMBA(経営学修士)を取得。2012年には『日本でいちばん大切にしたい会社』の著者である、法政大学大学院教授(当時)の坂本光司氏を知り、翌2013年より法政大学大学院へ入学、坂本ゼミで「人を大切にする経営」について学び始めた。ある日、坂本教授と1対1で話をする機会があったときに、「職に就いている障害者と、就いていない障害者では、寿命に大きな差があること、自分が従事している警備業界でも、今後多くの障害者を雇用することができること」を坂本教授から示唆された。  なぜ警備業界では障害者が雇用されないのか、と漠然と感じているだけで、当事者意識がまったくなかった自分、業界の事情を熟知している自分が始めないから雇用が広がらないのだ、と痛感することになる。  そして、勤務していた警備会社を辞め、福岡へ移住。警備業の協同受注の窓口会社であったATUへ入社し、障害者雇用を開始。2年半後に代表取締役に就任した。 仕事も休みも連携プレー  障害のある社員第1号として採用された三苫(みとま)雄一郎(ゆういちろう)さん(35歳)は、勤続4年、精神障害者保健福祉手帳2級を取得している。  前職では、スーパーマーケットの品出しなどバックヤードの業務に従事していたが、1日の勤務時間を4時間以上にしたいと希望したがかなわず、転職を決意。福岡市障がい者就労支援センターの協力を得ながら、ハローワークで見つけたATUに応募し、採用された。  主に事務業務に従事しているが、社内研修制度を使い、警備員の資格を取得。いまは現場に出て警備業もこなす。国家資格である警備指導教育責任者となり、後輩の指導にもあたっている。  事務職員としては、これから警備をすることになる現場の測量などの実地検分、道路使用許可などの書類作成、警察への申請や、警備員の教育、さらには採用まで任されている。ジョブコーチの資格も取得した。  また、落ち着いた話しぶりで、話していると安心感を覚える。三苫さんは前職と比べ、数倍のパフォーマンスを発揮していることがよくわかる。  警備員は朝、事務所へ出勤せず現場へ直行し、仕事が終わればそのまま帰宅する。その社員の動きを把握し、急な欠勤によって配置に穴が開かないようにすることが重要である。毎日、全員が家を出るときに出発報告、現場への到着報告を電話で行う。また、在宅勤務の管理担当者が、午前5時から業務にあたる。急な体調不良による欠勤が発生すると、替わりに入る人員を配置する。警備の現場は当然のことながら、管理部門も含めたチームプレーの仕事なのだと強く感じた。そのなかで働く三苫さんは、「自分のできないことや、ほかの人に頼れることは頼ってよいのだと思える」、また「有給休暇を取りやすい」職場であると、話してくれた。仕事も休みも、連携プレーができている証拠である。 業界の現状手厚い研修カリキュラム  警備業従事者数は過去20年ずっと微増傾向で、2018年には55万4千人あまり(※1)。警備員を配置できなければ、工事を行えないなど、とても重要な仕事である。しかし昨今、処遇の改善が叫ばれている介護職などと同様に、一般的には賃金が低いといわれている。  福岡県の保安要員の有効求人倍率は5倍を超え、人手不足が顕著である。非正規雇用者の割合が9割と高い業界だが、ATUは全員正規雇用とし、社会保険にも加入している。手厚く処遇するためには、責任ある仕事をし、他社と比べて高い価格を設定する必要があるため、サービス向上のための研修にはとても力を入れている。  まず、新任教育は警備業法の定めでは最低30時間だが、それよりも多くの時間をかける。基本的な対人訓練から始めなければならない人も、本人の意欲を引き出しながら1カ月間かけて教育する。その後も警備業従事者には年に2回の研修が義務づけられているが、法令義務の半年に1回の現任教育に加え、月8時間は座学の教育を行う。  職務を分解してわかりやすく教えるジョブコーチは現在4人。支援機関など、外部の人にお願いする企業が多いなか、ATUでは社員がにない、4人のうち3人は障害のある人が担当している。「どこが大事なポイントか」などは障害のある人同士だと伝えやすいことがあるからである。  業務内容は、港湾施設・港湾制限区域で通行管理を行う保安警備などが50%、交通誘導が50%。対人対応などの複雑な状況判断が苦手な人が多いものの、障害のある人にもわかりやすいようシンプルな作業に分解して、ほぼすべての警備業務に配置している。  以前は、業界内に障害のある人がいなかったため、当初はお客さまも戸惑い、「健常者にお願いしたい」という要望もあったが、実際に警備をしている姿を見てもらい、まったく遜色(そんしょく)なく業務にあたれることを納得してもらってきた。障害のある人のなかには、一度記憶したことを忘れず、長期間同じ作業を続ける能力の高い人も少なくない。一般的には融通が利かないと評価が低くなるが、いいかえれば、融通が利かないということは、周囲に振り回されず、コンスタントに仕事ができるということだ。警備員としては大きな価値となり、特性が活かせる環境さえあれば力を発揮できる。障害のある人の多くは、「怠けたり、ずるいことをしない」という岩アさんの意見は、筆者も障害のある人の雇用を経験してきたなかで、実際に感じており、障害特性の面からも納得できる。 視覚障害のある新入社員  中嶋(なかじま)大空(そら)さん(20歳)は、今年5月27日に入社したばかり。小学校3年生から18歳まで盲学校に在籍し、卒業後は北九州市にある国立県営の福岡障害者職業能力開発校流通ビジネス科1年コースで、ワード文書作成、エクセル、電話応対、テープ起こし、議事録作成などを学んできた。片道2時間以上をかけて通学した、努力の人だ。  就職先が決まらなかった中嶋さんを紹介された岩アさんは、時間をかけて成長してもらおう、と採用を決めた。福岡障害者職業能力開発校まで出向き、中嶋さんが使用する機器を選定して導入した。長い時間をかけて通学した経験があるため、通勤にはなんの問題もない。総務に配属され、取材当日は先輩から教えてもらいながら社内データを把握するため、さまざまなファイルの中身を確認していた。  「社内の雰囲気はとてもいいです。社会で求められる人材になりたいと思います」と語る中嶋さんは、20歳とは思えないほど、しっかりとした口ぶりで、取材者への対応も素晴らしい。岩アさんのもとで、着実に成長していく人材であると感じた。  この日は、ATUが所属する、全国重度障害者雇用事業所協会の西村(にしむら)和芳(かずよし)さんが中嶋さんの様子を見に来ていた。障害者雇用がうまく進んでいる会社の特徴として、横の関係、地域のつながりが円滑であることがあげられる。人、仕事、教育、制度などの情報を共有することで、課題を解決していく。就職が決まらなかった中嶋さんの場合も、地域ネットワークによってATUに出会い、採用につながった。視覚障害者の業務遂行に関しては、ATU内の経験も乏しいことから、今後は支援機関などと連携しながら、よりよい方法を探していくことになる。  中嶋さんの課題は、体力づくり。視覚障害者は運動量が少ない傾向があるので、仕事に慣れてきたら、スポーツジムなどに行くことも考えていると話していた。 警備の現場にて  事務所を出て岩アさんの運転する車で30分。いよいよ道路工事の交通誘導の見学に行く。二つの警備会社が合同で警備をしている現場だが、岩アさんの解説を聞くと外見を見ただけで、その違いが判る。ATUの社員は身に着けている反射ベストの色が濃い。靴も決められたものを履いている。たったそれだけのこと、と思うかもしれないが、すぐ横に、それができていない他社の警備員を見ると、基本に忠実であることの大切さがよくわかる。  山口(やまぐち)泉太郎(せんたろう)さん(42歳)は勤続1年あまり。ハローワークの障害者求人に応募し採用された。週5日のフルタイム勤務だ。雨の日も、暑い日も、外に立つ交通誘導はたいへんな仕事だが、「1年経って慣れました」と笑顔で話してくれた。  山口さんとの会話から、岩アさんが現場の一人ひとりの状況を把握していることがよくわかる。そして、山口さんが立つ現場への入り口を抜け奥へ進むと、スムーズに車を誘導する山下(やました)正和(まさかず)さん(60代)がいた。ここはまさに道路工事の場所であり、ダンプカーを誘導したり、停めたりと臨機応変な対応が求められるため、ベテランの山下さんが担当していた。このように道路工事といってもいくつもの警備があり、それを人の特性を見ながら配置していくことで、山口さんのように、まだ経験の少ない人でもしっかり警備ができることがよく理解できた。  次に、福岡市東区香椎(かしい)の博多港湾ターミナルへ行った。船に積まれているコンテナの入出庫と交通誘導を行っている。古川(ふるかわ)和博(かずひろ)さん(64歳)は週に3回、夜間の透析が必要な身体障害1級である。職務に障害が影響することはないが、いざ職を探すと、職種がかぎられていた。障害があっても雇用されるということでATUに就職。「社長のもとで、めいっぱい働いています」と笑顔がこぼれた。この日、古川さんとペアを組んでいたのは中島(なかじま)正義(まさよし)さん(77歳)。ATUには70歳以上の社員が7人いるが、そのうちの一人だった。 ツールの活用と心理学に基づくアプローチ  広範囲にちらばる社員との連絡には、情報共有ソフトの「Evernote(エバーノート)」(※2)を使っている。スマートフォンとこのようなソフトがあれば、一人で現場も任せられる。ただし、管理はできても仕事ぶりを見ることはできないから、巡回をして声をかけたり、事務所に立ち寄ってもらい、顔を見て話すコミュニケーションを大切にしている。「個人面談」というと身構えてしまうので、「雑談しに来て」と伝え、フラットな雰囲気を心がけている。雑談のなかで近況をうかがうなどして、その人の変化をキャッチできれば、的確なアドバイスもできるようになる。  岩アさんから、ある社員の個別の勤務状態記録を見せてもらった。数カ月にわたる勤務状況が記されている。これにより、この人の思考・行動パターンが理解できる。  入社して間もないころ、この社員は勤務が安定しなかったが、その理由を明確に知ることで、対処方法を工夫した。これは応用行動分析という手法で、個人と環境の相互作用の視点から、人間の行動の予測と制御を行うものである。また、勤務が安定しないという困った行動への適切な対応方法を導き出すために、ABC分析(※3)という手法も用いている。ATUでは社長が率先して心理的アプローチを学んでいるが、これは対象を障害者にかぎったものではなく、管理職であればだれでも身につけたい知識ではないだろうか。 障害者雇用から始まる企業力アップ  最近、中小企業経営者が顔を合わせれば、「人手不足」の話題になる。そのなかでも人材確保がむずかしいといわれる警備業であるが、ATUは順調に採用を続けている。岩アさんは、「良質な経営を続ければ、有料の媒体に求人広告を出さなくても、ハローワークの紹介や評判を聞いて人材が集まります。以前の当社のホームページには『会社の目的は社員の幸福を通じて社会に貢献する』とあり、その一文を目にして入社した社員もいます」と語っている。  設立後、転職を理由とした離職がほぼなく、親睦会出席率80%という数字からも、社員の満足度が高く、業務に前向きに取り組んでいることがうかがえる。 アビリンピックへの第一歩  岩アさんが進める障害者を含む就労弱者の雇用は、結果的にATUが優良企業となる一因であるが、この雇用モデルを自社に留めることなく、警備業界に広めたいと考えている。  取材直前の6月8日に福岡県立福岡高等技術専門校で行われたアビリンピック(障害者技能競技大会)福岡大会で、全国で初の「交通誘導」と「雑踏警備」のデモンストレーションが行われた。岩アさんが主催者に働きかけ、実現したものだ。実技内容は岩アさんが作成し、事前に県立大宰府特別支援学校高等部の生徒にATU社員が実技指導を行い、当日は一緒に参加した。  デモンストレーションは正式競技ではないが、障害者がまだ少数の職種であり、雇用の可能性が多いことを示す絶好の機会となった。「警備業で障害者雇用ができることを証明し、同業者に理解してもらうことを目ざしています。警備業界全体で障害者雇用率をもっともっと上げることが目標です」岩アさんの目標は社員とともに、確実に前進している。 まとめ  ATUでは、職務の分解で仕事を吟味した警備業務、教育に時間をかけた充分な研修により、質の高いサービスを提供すれば、福祉的支援がなくても障害者の行う仕事が社会で充分に機能することが実証されている。いわゆる「障害は個人の属性の問題」ではなく「社会」の側にあり、社会が変化すれば障害が軽減していくことの証である。福岡県での保安要員の有効求人倍率が全国平均の5倍ということは、工事の多い東京都・大阪府などでの人手不足はもっと顕著であろう。障害のある人もしっかりと、業務を遂行できることを確認して採用すれば、そうした警備会社に仕事を依頼する会社も、工事を円滑に進められるという好循環になっていくと思われる。  警備業にかぎらず、障害者向けに求人をしていない業種は、障害があると本当にできない仕事なのか。それとも、工夫次第でできる仕事なのか。世の中のすべての職場で、もう一度検証する価値があると実感する取材となった。 ※1 「平成30年における警備業の概況」(警察庁)より ※2 Evernote:パソコンやスマートフォン向けのアプリケーションで、ノートを取るように情報を蓄積することができる ※3 ABC分析:数ある指標のなかから重視するポイントを決め、データごとに優先度を決めて整理する方法。重点分析 ATU代表取締役の岩ア龍太郎さん 警備指導教育責任者としても活躍する三苫雄一郎さん ATUの朝礼 視覚障害のある中嶋大空さん 赤ちゃんを連れて出勤する従業員も 全国重度障害者雇用事業所協会の西村和芳さん(左)と話をする岩アさん(右) 交通誘導をする山口泉太郎さん 工事現場で誘導する山下正和さん 2019年度アビリンピック福岡大会で、デモンストレーション競技として「交通誘導」、「雑踏警備」が行われた(写真提供:ATUホールディングス株式会社) 博多港湾ターミナルでの誘導作業をする中島正義さん(左)と、古川和博さん(右) 【P26-27】 霞が関だより 特別支援教育における就労支援の取組み 文部科学省 初等中等教育局 特別支援教育課  改正障害者雇用促進法などの法的整備を背景に障害者の社会参加が進むなか、特別支援教育の教育現場でも、障害のある生徒の就職や職場定着を促進するための教育の充実に力が注がれています。ここでは、特別支援教育における就労支援の取組みの現状について紹介します。 1 就職する特別支援学校卒業生が増加  特別支援学校の卒業生の進路を見ると、ここ十数年の変化として、平成16年卒業者と平成30年卒業者を比較すると、企業への就職者は20・4%から31・2%に増加しており、企業に就職する生徒が着実に増加していることがわかります(図1)。  これは、障害者を積極的に採用しようとする企業が増えていることの表れであり、最近はそうした雇用ニーズに呼応して、企業就労も目ざした特別支援学校高等部を設ける学校が見られるようになりました。 2 キャリア教育・職業教育の推進  文部科学省においても、障害者の社会参加が進み続ける現状をふまえ、障害者の就労支援に向けたキャリア教育・職業教育の充実に取り組んでいます。  まず、平成31年2月に告示された特別支援学校高等部学習指導要領では、キャリア教育・職業教育の充実を目ざして、次の点が示されました。 キャリア教育及び職業教育に関して配慮すべき事項 ●学校においては、キャリア教育及び職業教育を推進するために、生徒の障害の状態や特性及び心身の発達の段階等、学校や地域の実態等を考慮し、地域及び産業界や労働等の業務を行う関係機関との連携を図り、産業現場等における長期間の実習を取り入れるなどの就業体験活動の機会を積極的に設ける。 ●地域や産業界や労働等の業務を行う関係機関の人々の協力を積極的に得るよう配慮する。 キャリア教育の充実 ●生徒が、学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら、社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力を身に付けていくことができるよう、特別活動を要としつつ各教科・科目等又は各教科等の特質に応じて、キャリア教育の充実を図ること。 ●その中で、生徒が自己の在り方生き方を考え主体的に進路を選択することができるよう、学校の教育活動全体を通じ、組織的かつ計画的な進路指導を行うこと。その際、家庭及び地域や福祉、労働等の業務を行う関係機関との連携を十分に図ること。 3 教育・労働などの関連機関・部局の連携  障害者の就労支援をさらに推し進めていくためにいま、教育・労働などの関連機関・部局の連携強化が強く求められています。  厚生労働省においては、障害者の雇用に関する労働関係機関と教育、福祉、医療など関係機関の連携について、都道府県労働局や公共職業安定所などにおいて特別支援学校などとの連携を一層強化するよう、厚生労働省職業安定局長より通達が出されました(平成25年3月29日に通達、平成29年4月3日に一部改正)。これを受けて、文部科学省では、教育委員会などに対し、本件通達の周知と、労働関係機関との一層の連携のもとに、障害のある生徒の就労に向けた職業教育、進路指導などの充実を図るよう通知を出しました。  また文部科学省では、平成29年度より、キャリア教育の在り方に関する研究も対象とした「特別支援教育に関する実践研究事業(新学習指導要領に向けた実践研究)」を実施しています。 4 特別支援教育の生涯学習化  文部科学省では、平成29年4月7日付の文部科学大臣メッセージにおいて、障害のある方々が生涯を通じて教育、文化、スポーツなどのさまざまな機会に親しむことができるよう、教育施策とスポーツ施策、福祉施策と労働施策などを連動させながら支援していく「特別支援教育の生涯学習化」に向けての取組みを、今後より一層進めていくことを宣言しました。  具体的には、次のような特別支援教育の生涯学習化推進プランを策定しています(以下、抜粋)。 ●切れ目ない支援体制構築に向けた特別支援教育の充実  障害者の自立と社会参加に向けた取組のさらなる充実を図り、障害のある児童生徒等が十分な教育を受けられる環境を構築 ●特別支援学校等における障害者スポーツの充実  2020年に全国の特別支援学校でスポーツ・文化・教育の祭典を開催するための体制整備、特別支援学校等を活用した地域における障害者スポーツの拠点づくり等を実施 ●障害者の文化芸術活動の充実 ・生徒による作品の展示や実演芸術の発表の場の提供 ・生徒たちに対する文化芸術の鑑賞・体験機会の提供 ・障害のある芸術家による文化芸術の鑑賞・体験機会の提供 ●地域学校協働活動推進事業  「地域学校協働活動」を特別支援学校等を含めて全国的に推進し、障害のある子供たちの放課後等の学習・体験活動等を充実 ●学校卒業後における障害者の学びの支援に関する実践研究事業  学校卒業後の障害者について、学校から社会への移行期や人生の各ステージにおける効果的な学習に係る具体的な学習プログラムや実施体制、情報収集・提供、相談機能等に関する実証的な研究を実施 ※「働く広場」では通常西暦で表記していますが、この記事では元号で表記しています 図1 特別支援学校高等部(本科)卒業後の状況 平成30年3月卒業者 区分 計 卒業者 21,657人 進学・教育訓練機関等 769人(3.6%) 就職者 6,760人(31.2%) 施設・医療機関 13,241人(61.1%) その他 887人(4.1%) 施設・医療機関 施設・医療機関 (平成16)55.9%→(平成30)61.1%に増加 就職者 就職者 (平成16)20.4%→(平成30)31.2%に増加 進学者・教育訓練機関等 進学者・教育訓練機関等 (平成16)7.7%→(平成30)3.6%に減少 その他 その他(在宅等) (平成16)16%→(平成30)4.1%に減少 (各年3月時点) 出典:学校基本統計 【P28-29】 研究開発レポート 感情コントロールに課題を抱える高次脳機能障害者への支援 障害者職業総合センター職業センター  障害者職業総合センター職業センターでは、休職中の高次脳機能障害者を対象とした職場復帰支援プログラム、就職を目ざす高次脳機能障害者を対象とした就職支援プログラムを実施しながら、障害特性に起因する職業的課題への補完行動の獲得による作業遂行力や自己管理能力の向上、および職業的課題に関する自己理解の促進を図るための支援技法の開発を進めています。  高次脳機能障害者の就労支援において、怒りや不安、抑うつといった「感情コントロール」に課題がある対象者は少なくありません。障害者職業総合センターの調査研究においても、作業遂行上の問題点として、作業手順の定着や覚えられないといった実務に関連する項目を除くと、「感情コントロール」の問題が比較的多いという結果が出ています。感情コントロールに課題があると、就職・復職に向けた活動への参加や、その後の安定的な就労に支障をきたす恐れがあり、その支援は大変重要です。  このような状況をふまえ、2016(平成28)年度から感情コントロールに課題を抱える高次脳機能障害者への支援技法の開発に取り組み、2018年度末に、実践報告書33「感情コントロールに課題を抱える高次脳機能障害者への支援〜認知と行動に焦点をあてたグループワークの試行〜」を作成しました。今回、その一部を紹介します。 ●感情コントロールの課題と支援  技法開発にあたっては、文献調査や国内外の先駆的な取組みについて情報を集め、その結果を基に支援技法を開発し試行しました。 ○文献調査  高次脳機能障害者の感情コントロールの課題は、「脳損傷そのもの」と「脳損傷によって生じた変化」に起因し、多くの高次脳機能障害者に生じるものです。感情コントロールの課題は、職場の人間関係や仕事のパフォーマンス、安定的な出勤など、職業面に影響するだけでなく、気分障害などの二次障害を発症するリスクも考えられるため、しっかり対処することが重要です。 ○国内の取組み  国内の先駆的な取組みについてヒアリング調査を行い、支援のポイントを以下のように整理しました。 ・不適切な行動が起こる背景を理解し、状態像に合致した対応を行う ・行動観察や周囲からの情報収集を行う ・グループ形式の活用は、課題への気づきの促進や当事者同士の心理的支持などの効果が期待できる ・慎重なグループ編成や十分な数の支援者の配置、前後の個別場面での丁寧なフォローが不可欠 ・障害程度や個別の課題を考慮したグループ編成がむずかしい場合、2〜3人の少人数グループや、作業活動の一部を活用した対人交流場面を設定する ○海外の取組み  オーストラリアで高次脳機能障害者の感情コントロールの支援に取り組んでいる施設を訪問し、情報収集を行いました。 ア.不安と抑うつへの認知行動療法  基本的な認知行動療法モデル(ABCモデル)を使用した、単純化した認知再構成法(ものごとのとらえ方を修正する)が行われています。理解力や記憶の定着の課題があるため、問題の特定やゴールの設定を工夫するほか、くり返し教育を実施することが重要です。 イ.疲労と睡眠の認知行動療法  脳損傷のある人の約8割に、疲労と睡眠、または疲労か睡眠のいずれかに課題があると指摘する研究者もいます。また、疲労が蓄積すると抑うつになりやすいとの指摘もあります。そこで、疲労や睡眠の改善を通じて気分や感情面の課題を改善する認知行動療法が行われています。 ●支援の試行概要  これらの情報収集結果をふまえ、認知行動療法の考え方を基にした全6回のグループワークを開発し、10人に試行しました(表)。また、期間中は、個別フォロー(宿題の提示、個別相談)をあわせて行いました。 ○支援事例  Aさんは20歳代の男性です。大学在学中、交通事故に遭い、高次脳機能障害が残りました。  大学卒業後は、支援機関を利用しながら資格試験の勉強に取り組んでいましたが、夜更かしをするなど生活リズムは不安定で、約束した時間に支援機関に来られないこともありました。  Aさんは、医療機関で定期的に相談するなかで、自分の課題の一つとして感情コントロールの課題を認識するようになりました。しかし、イライラが高じて暴言をくり返すことがあるなど、対処行動は不十分でした。  第2回、第3回のグループワークでは、疲労や睡眠の対処を学び、可能なものから生活のなかに取り入れました。プログラム受講前と比べ、睡眠リズムが改善していきました。  第4回、第5回のグループワークでは、「他者からくり返し指摘を受けることが刺激となって、感情を左右されることが多い」ということに気づきました。新規の就職を目ざしているAさんは、職場選びにおいて「指示を受ける回数が少ない」、「自分で作業手順を確認できる手順書がある」職場を選びたい、と話すようになりました。  今でもイライラすることはありますが、感情を爆発させる前に「一度その場を離れる」、「一人になってクールダウンする」といった対処が取れることが増えていきました。  プログラム終了後も、「身近な人や支援者に相談しながら、ここで学んだ対処に取り組んでいきたい」と話しています。 ●支援実施に係る留意事項  感情コントロール支援を効果的に進めるため、グループワークと個別フォローを組み合わせて支援を行いました。  受講者の意欲的な参加姿勢を引き出すため、また、安全に受講できる環境を整えるために、事前にアセスメントを行います。感情コントロールの課題があまりに大きいケースでは、個別での実施も考慮します。  グループワークで留意した点は以下の通りです。 ・重要なポイントをくり返し伝える ・補完手段の活用をうながす ・おさらいの助けになる資料を渡す ・視覚的な資料を用意する ・資料は簡潔にする ・発表時のセリフの例を示す ・選択肢を示す  また、個別のフォローで留意した点は以下の通りです。 ・記憶や理解度にあわせて講習の内容を振り返る ・グループワークで学んだ内容と自分の体験を結びつけて理解し、対処方法を考える ・考えた対処方法を実践する ●まとめ  今回の試行では、受講者の反応はおおむね良好で、一定の変化が認められましたが、プログラムで学んだことを実践し続けるための工夫や、受障や職場復帰に際しての心理的なサポートなど、いくつもの課題を残しています。また、対象者が10人と少なく、さらに支援実績の蓄積が必要です。  実践報告書33「感情コントロールに課題を抱える高次脳機能障害者への支援〜認知と行動に焦点をあてたグループワークの試行〜」は、障害者職業総合センター研究部門のホームページ(※)からダウンロードしていただけます。 ※http://www.nivr.jeed.or.jp/center/report/practice33.html JEED 報告書33 検索 お問合せ先:障害者職業総合センター 職業センター(TEL:043-297-9043) 表 各回のグループワークのテーマ 回 テーマ 概要 1 グループワークの目的・高次脳機能障害 目的の説明、目標の設定、高次脳機能障害について、感情コントロールの対処の必要性 2 疲労 高次脳機能障害と疲労の関係、疲労の対処方法 3 睡眠 高次脳機能障害と睡眠の関係、睡眠の対処方法 4 認知@ 感情のメカニズム、ものごとのとらえ方の傾向 5 認知A 感情を左右しやすい刺激や状況 6 まとめ 第1回〜第5回の振返り、プログラム終了後の取組み 【P30-31】 ニュースファイル 開発 振動と光で「音を感じる装置」支援サービス  「富士通株式会社」(神奈川県川崎市)は、音を光と振動で感じる装置「Ontenna(オンテナ)」を活用したイベント支援サービスを2019年7月から始めた。耳が聞こえなくても音を感じることができるため、聴覚障害者の生活を支援するほか娯楽イベントなどでの活用も見込んでいる。  オンテナは小型サイズの装置で、髪の毛や襟元(えりもと)などにつけて使う。本体はマイクがついており、音の大小で振動する。コントローラーが音を拾い、複数のオンテナ本体に信号を送って同時に反応させる機能もある。価格は本体2万5千円前後、コントローラー3万円前後を想定している。富士通はイベント向けサービスとしてオンテナ30台を1日あたり税別20万円からレンタルする。企業や個人向けの販売は「富士通エレクトロニクス株式会社」(神奈川県横浜市)が行う。初年度は1万台の販売を目ざす。 地方の動き 岐阜 県内初の障害者用体育館オープン  岐阜県内で初の障害者用体育館となる「岐阜県福祉友愛アリーナ」(岐阜市)が6月にオープンした。車いすバスケットボールやボッチャ、シッティングバレーなど20競技に対応。隣接する障害者用屋内プール「岐阜県福祉友愛プール」とともに選手たちの練習環境を充実させた。障害者スポーツの推進や競技水準の向上を図る中核拠点として活用する。  館内は全面バリアフリーで冷暖房完備。視覚・聴覚障害者に配慮し、音声案内装置や文字表示ができるテレビモニターなどを設置した。性別の異なる介護者も利用しやすいよう家族更衣室も3室備えている。 京都 多機能トイレの表示見直しへ  京都市が多機能トイレの表示文を見直す。健常者の利用により、障害者が長時間待たされるケースが相次いでいるためで、利用者の良心に訴えかける従来の文章を改め、一般のトイレを利用できる人向けに「一般トイレを御利用ください」と明記する。公園や市営地下鉄駅構内の多機能トイレ588カ所で順次取り換える。  従来の表示文は、車いす利用者ら多機能トイレを必要としている人を例示し「思いやりの心をもって利用しましょう」と記していたが、利用者から「長時間待たされた後、中から健常者が出てきた」との相談が寄せられていたという。「緊急時はだれでも使っていただいていいが、譲り合う気持ちを持ってほしい」としている。各トイレの機能を絵文字で示したステッカーも作成した。 生活情報 長野 原田泰治さんらバリアフリー推進の会を結成  画家でグラフィックデザイナーの原田(はらだ)泰治(たいじ)さんや、作家の鎌田(かまた)實(みのる)さんらが、店舗や施設のバリアフリー化を推進する「らくらく入店の会」を諏訪(すわ)市で結成した。まずは入り口にスロープを設置する店舗が1カ所でも増えるよう、この運動が全国に広がることを期待している。  原田さんらは「段差をなくしてだれもが買い物や食事を楽しむまちづくり」を構想。鎌田さんも「人生100 年時代。障害があっても街に出て行けるまちづくりを推進できれば、諏訪にも人を呼び込めるのでは」と運動の広がりと自治体の支援に期待した。  「らくらく入店」の店舗は、原田さんデザインのロゴマークのステッカーで表示する。日の丸をイメージした赤い丸のなかで車いすの人がスロープを上っているデザインだ。趣旨に賛同しバリアフリーに協力する店舗には無料配布する。問合せは「諏訪市原田泰治美術館内」事務局へ。TEL:0266−54−1881 大阪 「親なきあと」相談室関西ネットワーク設立  知的障害や発達障害などのある子どもたちが、病気や死別などで親がそばからいなくなっても安心して暮らせるようにと、法律や福祉などの専門家らがチームを組み「一般社団法人『親なきあと』相談室 関西ネットワーク」(大阪市)を立ち上げた。  メンバーは、税理士、社会保険労務士、保険会社のライフプランナーや、障害者施設の相談員ら10人。全員が障害者の家族や親族で、当事者の気持ちに寄り添いながら助言する。ワンストップで相談を受けつけると同時に、月1回のペースでセミナーを開き「お金」、「住まい」などのテーマごとに情報発信していく。 働く 山形 障害者アート 企業向けデザイン販売  障害者の通所施設や障害者アートの展示場を運営する「社会福祉法人さくらんぼ共生会」(寒河江(さがえ)市)などは、利用者らが描いたイラストを広告とともにトイレットペーパーの包装紙にデザインし、企業の宣伝用品として販売する取組みを始めた。障害者の表現の場を広げながら工賃アップにつなげるのがねらい。  トイレットペーパーは「社会福祉法人月山(がっさん)福祉会」(鶴岡市)が運営する作業所が製造。包装紙のイラストを共生会の利用者が描き、福祉会が企業の広告と組み合わせて包装紙に印刷する。包装紙には、イラストと一緒に商品広告を掲載し、QRコードを読み込めば商品の説明動画も見られる。 その他 障害者団体がガイドライン要望  障害者団体「DPI日本会議」(東京都千代田区)は、障害のある人が裁判を傍聴(ぼうちょう)する際に裁判所側の配慮が不十分なケースがあるとして、最高裁判所に対し統一的なガイドラインをつくるよう要望した。  要望書は、(1)車いすのまま傍聴できるスペースの確保、(2)傍聴席抽選には介助者を含めず同伴を認める、(3)法廷でのたん吸引や服薬を認める、(4)必要に応じて手話通訳や要約筆記者の配置や見やすい席を用意する、などの対応を求めている。  最高裁の裁判官会議はこれまで、障害のある人から申し出があった場合は負担が過重にならない範囲で合理的な配慮をしなければならないとの対応要領を議決しているが、細かなルールまでは定めていない。 2019年度 地方アビリンピック開催予定 9月〜10月 北海道、青森県、神奈川県、新潟県、石川県、山梨県、滋賀県、山口県、徳島県 *部門ごとに開催地・日時が分かれている県もあります *  の県は開催終了 ※全国アビリンピックが11月15日(金)〜11月17日(日)に、愛知県で開催されます。 地方アビリンピック 検索 【P32】 掲示板 障害者雇用の月刊誌「働く広場」がホームページでいつでもお読みいただけます! 本誌は当機構ホームページで、デジタルブックでも公開しており、 いつでも無料でお読みいただけます(※)。  また、最新号は毎月5日ごろに当機構ホームページに掲載されます。掲載をお知らせするメール配信サービスもございますのであわせてご利用ください。 JEED 働く広場 検索 読みたいページにすぐ飛べる! 自由に拡大できて便利! ※2015年4月号〜現在まで掲載しています メールマガジン好評配信中! 9月2日(月)「障害者雇用支援月間特集」を配信します JEED メールマガジン 検索 ※カメラで読み取ったリンク先がhttp://www.jeed.or.jp/general/merumaga/index.htmlであることを確認のうえアクセスしてください。 次号予告 ●この人を訪ねて  ユニバーサルデザインを専門とする株式会社ミライロの代表取締役社長で、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会アドバイザーの垣内俊哉さんにお話をうかがいます。 ●職場ルポ  「自然と健康を科学する」を経営理念とする、漢方の株式会社ツムラ(東京都)を訪問。それぞれの能力を存分に引き出す採用活動で、積極的に障害者雇用に取り組む現場を取材します。 ●グラビア  テーマパークやホテル事業などを幅広く展開しているハウステンボス株式会社(長崎県)の、テーマパーク内にある専門店で活躍する、聴覚に障害のある従業員をご紹介します。 ●編集委員が行く  諏訪田克彦編集委員が、かぶと山エム・エス有限会社(福岡県)が運営する、介護サービス事業所を訪問。障害者が働く現場と、その支援の様子を取材します。 本誌購入方法  定期購読のほか、最新号やバックナンバーのご購入は、下記へお申し込みください。  1冊からのご購入も受けつけています。 ◆インターネットでのお申し込み 富士山マガジンサービス 検索 ◆お電話、FAXでのお申し込み 株式会社廣済堂までご連絡ください。 TEL 03-5484-8821 FAX 03-5484-8822 編集委員 (五十音順) 埼玉県立大学教授 朝日雅也 株式会社FVP代表取締役 大塚由紀子 山陽新聞社会事業団専務理事 阪本文雄 武庫川女子大学 准教授 諏訪田克彦 相談支援事業所 Serecosu 新宿 武田牧子 あきる野市障がい者就労・生活支援センターあすく センター長 原 智彦 株式会社ダイナン 経営補佐 樋口克己 東京通信大学教授 松爲信雄 有限会社まるみ 取締役社長 三鴨岐子 横河電機株式会社 箕輪優子 あなたの原稿をお待ちしています ■声−−障害者雇用にかかわるお考えやご意見、行事やできごとなどを500字以内で編集部(企画部情報公開広報課)まで。 ●発行−−独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 発行人−−企画部長 片淵仁文 編集人−−企画部次長 中村雅子 〒261−8558 千葉県千葉市美浜区若葉3−1−2 電話 043−213−6216(企画部情報公開広報課) ホームページ http://www.jeed.or.jp  メールアドレス hiroba@jeed.or.jp ●発売所−−株式会社 廣済堂 〒105−8318 港区芝浦1−2−3 シーバンスS館13階 電話 03−5484−8821  FAX 03−5484−8822 9月号 定価(本体価格129円+税)送料別 令和元年8月25日発行 無断転載を禁ずる ・本誌に掲載した論文等で意見にわたる部分は、それぞれ筆者の個人的見解であることをお断りします。本誌では「障害」という表記を基本としていますが、執筆者・取材先の方針などから、ほかの表記とすることがあります。 【裏表紙】 令和元年度 障害者雇用支援月間ポスター このポスターの原画は、障害のある方々などから募集したものです。原画募集の入賞作品は、本誌グラビアで紹介しています。 9月号 令和元年8月25日発行 通巻504号 毎月1回25日発行 定価(本体価格129円+税)