【表紙】 令和元年10月25日発行・毎月1回25日発行・通巻第506号 ISSN 0386-0159 障害者と雇用 2019/11 No.506 職場ルポ 不安を軽減し社員を戦力化する職場の工夫とセルフケア 株式会社湘南ゼミナールオーシャン 宮崎台事業所(神奈川県) グラビア 開店準備は、お任せください LaLa Cafe(静岡県) 足立智裕さん 編集委員が行く 自己管理と職場の配慮により、クローン病の人も警備業に従事 株式会社全日警サービス長野(長野県) 私のひとこと 難病患者の雇用と就労を考える 就労支援ネットワークONE 代表 中金竜次さん 「馬の世話をする人」島根県・益成(ますなり)和雄(かずお)さん 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 誰もが職業をとおして社会参加できる「共生社会」を目指しています 11月号 【前頁】 心のアート 無題 柳生田 光利 (就労継続支援B型 スペースBe新大前/協力:特定非営利活動法人 アートキャンプ新潟) 画材:画用紙、水性ボールペン サイズ:B5  絵を「描く」というよりも、「つくりだす」に近い点描画(てんびょうが)。だから、一枚の絵の完成までがとてもむずかしい。  ここで色を足した方がよいか、やはりこのままにしておく方がよいのか、などなど、楽しみ(?)どころ満載なのです。ボールペンを使い、色を一点落としたところから作業が始まります。成功or失敗どちらになるか。ハラハラ、ドキドキの毎日です。  たかが点描画、されど点描画。今日もペンを持つ手が楽しい&頼もしい。一枚の絵づくりのために、毎日がんばっています。 柳生田 光利(やぎゅうだ みつとし)  1958年3月16日生まれ。新潟市中央区在住。  スペースBe新しん大だい前まえに通い3年目です。脳内出血で倒れ、高次脳機能障害で右上下肢が不自由に。現在は通所しながら、アートを創作・表現する楽しみを知って、精力的に作品制作に励んでいます。 文:柳生田 光利 【もくじ】 障害者と雇用 目次 2019年11月号 NO.506 心のアート 前頁−−無題 作者:柳生田 光利(就労継続支援B型 スペースBe新大前/協力:特定非営利活動法人 アートキャンプ新潟) 私のひとこと−−2 難病患者の雇用と就労を考える 就労支援ネットワークONE 代表 中金竜次さん 職場ルポ−−4 不安を軽減し社員を戦力化する職場の工夫とセルフケア 株式会社湘南ゼミナールオーシャン 宮崎台事業所(神奈川県) 文:豊浦美紀/写真:官野 貴 NOTE−−10 働く障害者の高齢化 最終回 中高年齢層の障害者の雇用継続について インフォメーション−−12 令和元年度就業支援スキル向上研修のご案内/障害者週間連続セミナー『働く広場』公開座談会/第39回全国アビリンピック開催のお知らせ グラビア−−15 開店準備は、お任せください LaLa Cafe(静岡県) 足立智裕さん 写真:小山博孝・官野 貴/文:小山博孝 エッセイ−−19 第4回 ワークとライフの素敵な関係 神田東クリニック副院長 佐藤恵美 編集委員が行く−−20 自己管理と職場の配慮により、クローン病の人も警備業に従事 株式会社全日警サービス長野(長野県) 編集委員 松爲信雄 霞が関だより−−26 令和元年版 障害者白書概要@ 内閣府ホームページより抜粋 研究開発レポート−−28 障害の多様化に対応した職業リハビリテーション支援ツールの開発(その2) ―ワークサンプル幕張版(MWS)新規課題の開発― 障害者職業総合センター研究部門 障害者支援部門 ニュースファイル−−30 掲示板−−32 読者の声/次号予告 表紙絵の説明 「益田市の牧場で、馬の世話をてきぱきとするスタッフの仕事ぶりに感動し、その様子を描きました。馬はなかなかじっとしていてくれません。スタッフの方に『その状態でとめておいて』と何回もお願いし、この作品が生まれました。スタッフさんには感謝しています」 (令和元年度 障害者雇用支援月間ポスター原画募集 高校・一般の部 高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長奨励賞) ◎本誌掲載記事はホームページでもご覧いただけます。(http://www.jeed.or.jp) 【P2-3】 私のひとこと 難病患者の雇用と就労を考える 就労支援ネットワークONE 代表中金竜次  医学研究や医薬が進歩する昨今、難病患者の平均寿命も延び、障害者手帳の有無や、障害者雇用枠、一般雇用枠にかかわらず、働く難病患者は増加している。難病患者の就労状況は、ここ数年で大きく変わりつつあり、継続して働く期間が延びている。  私は、神奈川労働局「難病患者就職サポーター」(※1)として働いていた2013(平成25)年から2019年3月まで、1日7〜8人(1人あたり45分から1時間)、年間では千件ほど、難病患者から就労相談を受けていた。相談は年々増え、私が担当していた窓口だけでも、毎月5〜6人の難病患者が就職していた。 難病患者の就労の選択肢について  難病患者の障害者雇用枠における就労とは、障害認定に該当する難病患者が、身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳などの手帳の交付を受け、その障害程度に応じて、障害者雇用枠で働くことである。また、現時点では各種手帳の認定基準を満たしていない「移行期」の難病患者もいるため、今後、障害者手帳を取得する難病患者は一定の割合で増えることになる。  また、難病の疾患群によって、それぞれ障害者手帳の取得率は異なる。例えば、神経・筋疾患、骨・関節系疾患などは、その難病患者の半分程度が取得しているが、消化器系疾患や、免疫系、内分泌系、代謝系疾患群(難病は15の疾患群に分類)は、身体障害者手帳の基準には該当しない方が大多数と思われる。このような方は、一般雇用枠で就労することになる。  「難病患者は、病種が多いですよね」と、障害者支援を行う支援者との会話でよく耳にする。就業場面で共有できる言語に変換する政策としての呼称・定義づけにより難病要件が生まれるが、難病のなかにも「希少難病」という数人しか患者がいない疾病(しっぺい)から、希少の概念があてはまらない疾病種もあり、それらを合わせると世界で6千〜8千の疾病種があり、日本にも数百万人の患者がいると予想される。  難病患者就職サポーターとして働いていた当時の私は、このような多様な難病患者からの相談を受けており、前出した毎月5〜6人の就職者は、さまざまな就労の形態を選択している(表1)。また、難病の疾病種の多さ、症状や病状に変動性や進行性があることなどから、その対応も多様になる(表2)。 難病患者の就労上の配慮事項を整理する  難病は多種多様で、それぞれに診断名があり、診療科、担当医がいる。難病患者が就労するにあたり、それらの情報を順を追って確認・把握していく必要がある。そうすることで、就労準備性や就労の再現性(※2)、その方の病気の一般的な特徴、個別的な特徴・症状や障害を知り、言語化し、就労上の配慮事項の整理に至る。  基本的な病気の症状・状態・機能障害・変動性については、当事者の把握している情報や対処行動と、主治医からの就労の際の意見書や、診断書の情報(本人同意のもと)を参考にする。  業務遂行の可否の判断がむずかしい場合は、疾病に付随した機能を医療機関で検査・評価する。  就労以前の課題を有する、または課題の有無が不明であれば、地域障害者職業センターの職業評価・職業準備支援、就労後は、必要に応じてジョブコーチ支援を活用するなど、支援者と連携しながら対応していた。  ここまで述べたなかで、「就労の再現性」をある程度想定できたものと考えるが、就労移行支援事業所や職業準備支援などで、勤務の負荷や通勤などをシミュレーションしたプログラムと、実際の勤務との間には、幾分のギャップ(実際に就労してみると、勤務での負荷が予想より高いなど)が生じることがある。そのため、就職後の定期的な面談や業務負荷の再評価、調整、実際に生じたことへの対応など、受け入れる企業側と難病患者側の両方で、今後の対応を検討する必要がある。  このように、難病患者を受け入れる際は、企業と、支援機関・医療機関のそれぞれの役割を整理し、対応していくのが望ましい(図)。  しかし、健康志向が叫ばれる現在でも「防げる病」と「防げない病」、「治療が見つかっている病」と「治療法開発途上の病」が、世の中には存在している。  そうした「だれもが発症する可能性がある難病」と向き合う人に、きちんと向き合える社会。社会全体で難病患者の就労や雇用を考え、取り組んでいくこと。これは、障害や難病にかかわらず、「治療をしながら働く人」が今後ますます増加していく社会で、健康と治療、難病の多様性にどう向き合うか。患者との対話や、われわれの行動を問われているように思えてならない。 ※1 難病患者就職サポーター:ハローワークの障害者の専門援助窓口に配置され、難病相談支援センターと連携しながら、就職を希望する難病患者に対する就労支援や、在職中に難病を発症した患者の雇用継続など、総合的な就労支援を行う者 ※2 就労の再現性:就労における準備をくり返したときに、一貫した結果が得られること 表1 難病患者の就労の選択肢 @企業での障害者雇用枠による就労:身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳などを取得し、身体、知的、精神障害者として、企業に就職する。企業には法定雇用率以上の割合で障害者を雇用する義務がある。 A企業での一般雇用枠による就労:障害者手帳を取得しない、またはできないため、一般雇用枠で企業に就職。この場合も、企業は病気や障害のある本人が、健康かつ安全に能力を発揮し、その能力を公正に評価できるようにする義務がある。 B福祉的就労:障害者総合支援法に基づき、障害のある方が働くことを支援するサービスを利用。  就労移行支援事業・就労継続支援A型事業・就労継続支援B型事業。 Cその他:自営・フリーランスなど。 表2 就労支援での難病患者の特徴難病患者の就労の選択肢 【実践からの事例により振り返る】 @疾病種が多い。 A症状や病状に変動性がある患者が多い(易疲労性・痛み・痺れ・炎症などにより、見た目ではわからない辛さがある)。 B進行性の疾患も、そうでない疾患もある。 C障害者手帳を取得していない・できない方がいるため、一般雇用枠での就職者も多い。 D軽度〜中等度、重度と、症状・状態にも幅がある。 E通院頻度が月に2〜3回、月に1回、2カ月に1回、1年に1回程度と幅広い。 F一般雇用枠での正社員、フルタイム有期雇用、日数・時間数を調整した有期雇用、障害者雇用枠での就労、テレワーク、自営など、働き方は多様である。 出典:筆者作成 出典:『難病のある人の福祉サービス活用による就労支援シンポジウム』発表資料(難病患者の福祉サービス活用によるADL向上に関する研究・研究班、平成29年)より筆者作成 図 難病患者の配慮希望事項の整理と対応機関 疾病や障害 (個別の症状・状態および機能障害など) 基本的な病気の症状 対話のうえ、配慮希望事項より検討 就業場面で共有できる言語に変換する 対応 (疾病や障害も加味) 通院配慮・休憩・面談・環境調整… 合理的配慮 医療機関 支援機関 企業 出典:筆者作成 中金竜次 (なかがね りゅうじ)  就労支援ネットワークONE代表。就労支援ネットワークコーディネーター、治療と就業の両立支援サポーター。  看護士として医療現場で臨床経験を積んだ後、企業での医療相談業務に従事。その後、東京障害者職業センターにてリワーク支援にたずさわり、2013(平成25)年から2019年3月まで神奈川労働局難病患者就職サポーターとして、難病患者の就労支援、地域連携のネットワークづくり、「難病患者の地域支援体制に関する研究」班にて『健康管理と職業生活の両立 ワークブックー難病編ー』の制作・執筆にたずさわる。  2019(令和元)年6月より、「就労支援ネットワークONE」をスタート。治療と仕事の両立、難病患者・難治性疾患者の就労支援、研究・発表に取り組んでいる。 https://r.goope.jp/oneone2019 【P4-9】 職場ルポ 不安を軽減し社員を戦力化する職場の工夫とセルフケア ―株式会社湘南ゼミナールオーシャン 宮崎台事業所(神奈川県)― 学習塾を展開する教育関連企業がつくった特例子会社。精神障害のある人を中心にした職場では、さまざまな工夫でチームの戦力化が図られている。 (文)豊浦美紀 (写真)官野 貴 取材先データ 株式会社湘南ゼミナールオーシャン 宮崎台事業所 〒216-0033 神奈川県川崎市宮前区宮崎2-10-9 オーミヤ宮崎台ビル301 TEL 044-873-8005 FAX 044-866-0881 Keyword:精神障害、発達障害、セルフケア、ピアサポート、特例子会社、障害者職業生活相談員 POINT 1 強みを活かし戦力アップすることで、チームの生産性が向上 2 多種多様な現場の工夫により、不安軽減とモチベーションを維持 3 セルフケアと職場内ピアサポートで、働き続けられる環境づくり 精神障害者に特化した特例子会社  神奈川県をはじめ関東・東海地方で学習塾を展開する教育関連企業「株式会社湘南ゼミナール」が、特例子会社「株式会社湘南ゼミナールオーシャン」(以下、「オーシャン」)を設立したのは2012(平成24)年。その経緯について、オーシャンの拠点である宮崎台事業所の事業所長を務める前山(まえやま)光憲(みつのり)さんにうかがった。  「従業員数の増加にあわせて個別に障害者雇用を進めていましたが、スピード感のある職場になじめず辞めるケースもありました。そこで思い切って別会社をつくることにしたのです」  前山さんは湘南ゼミナールの設立初期から塾講師として入社し、取締役まで務めた経歴を持つ。家族の介護などもあり早期退職したが、その後も後輩社員たちの相談に乗るなかで特例子会社設立案が出た。前山さん自身「取締役時代に障害者雇用を優先的に進められなかったのが心残りだった」こともあり、オーシャンの事業所長として再入社することを希望したという。  オーシャンでは、精神障害のある人を中心に採用が進められた。いまは従業員20人(統合失調症6人、発達障害4人、難治性てんかん1人、双極性障害1人、うつ病8人)と支援スタッフら4人の計24人がともに働いている。全従業員925人に占める障害者雇用率は2・27%(2019年6月現在)だ。 「自身の強み」を意識させる  設立当初、障害のある従業員の業務はシュレッダー作業のみだったが、いまではデータ入力や文書の電子化、テスト資料の分類、簡易印刷・名刺作成、経理補助など多岐にわたる。ここまで拡大できたのは、現場で「個々の強みを伸ばすこと」に重点を置いてきたことも大きい。  「ある人は業務内容が日々変わると力が発揮できませんでしたが、同じ業務内容なら驚くほどの正確性でこなせます。逆に、同じ作業を続けるのは苦手であっても、パソコン操作は集中でき、いまではExcel VBAでツール作成するスキルを習得している人もいます。彼らは自分の弱点を人一倍気にしていますから、『自身の強みや良さ』のほうを意識させて仕事につなげていくことが大事です」  強みは何倍にも伸ばせるため、本人の課題を直そうと働きかけるよりも、効果が高い。さらに自信がついて苦手な部分も一緒にボトムアップすることもあるという。  「本人の強みを少しでも活かせる機会をつくり、苦手部分は補完し合うことでチーム全体の生産性が上がり、戦力化につながります」と前山さんはいう。いまでは入社6年目のメンバー3人が、親会社に単独で出張して、経理や入力補助の仕事も請け負っている。  オーシャンの仕事は、主に支援スタッフが親会社などに出向いてヒアリングをするなかで生まれている。部署の業務の課題や新規事業の計画などを聞いて、オーシャンが担当できそうな業務を提案する。最近のヒットは「動画マニュアル作成」だ。教室や各部署で働くパート従業員ら向けに、事務作業やパソコンの操作手順などを画像とナレーションで編集した。紙の説明よりもわかりやすいと好評で、半年間で20本ほど制作した。「もともとオーシャン内の業務について支援スタッフのOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)なしに理解できるよう、先輩従業員がマニュアルをつくっていたので、そのスキルを活かしました」と前山さんは話す。  一方で、オーシャンの存在を親会社に忘れられないよう小さな工夫もしている。名刺印刷業務で社員の名刺を送付するとき、一人ひとりに手書きのメッセージの「サンキューカード」を添えるのだ。  「人によっては過剰だと思うかもしれませんが、私たちのホスピタリティやていねいさを感じ取り、新規の仕事を頼んできたり、わざわざ他部署の仕事まで探してくれる人も出てきました」 かけ声が飛び交うフロア  宮崎台事業所は、東急田園都市線の宮崎台駅から徒歩1分のビル内にある。見通しのよいフリーアドレス(固定席を持たないオフィススタイル)のデスク回りでは、パソコンと向き合う人や分厚い書類を1枚ずつ確認する人、シュレッダーされた紙を入れた大袋を運ぶ人などさまざまだ。  しばらくして棚に書類を重ねていた女性が、「○○作業、終了しました」と大きな声で報告すると、あちこちから拍手とともに「お疲れさまでした!」と返ってきた。「これは私たちが『スモールステップとエンドコール』と呼んでいる作業手順です」と前山さんが教えてくれた。  「以前、ADHDなどの障害のある従業員から『作業全体で自分の担当がどこかわからなくなる』、『同じ作業を続ける集中力がない』といった声がありました。そこで作業工程を細かく分けた進捗表(スモールステップ)をつくり、各工程が終わるたびに記入してチェックし、周囲にも伝える(エンドコール)ことにしました。進捗状況をみんなで共有すると同時に、本人も日々“小さな達成感”を得ながら次へ進めるようになりました」  オーシャンでは、こうした職場内の工夫によって、仕事への不安を取り除き、モチベーションを維持しながら成長できるよう、うながしている。多種多様な取組みを以下に紹介する。 【チャンスノート】  「だれかが代表してミスをしてくれた」ととらえ、失敗の要因を分析し、改善策を含め職場全体で共有する。最近は「キッティング(※1)の読み込み作業で、違うボタンを押してデータを消してしまった」というミスについての要因を「2台同時に作業していたため、つい押してしまった」などと分析。同僚たちから集まった改善策から「物理的に押せない治具(じぐ)」を検討し、常に正しい手順で行える補助ツールの治具をつくった。 【Good & More】  職場内では、業務ごとにペアをつくりフィードバックを行っている。一つの工程が終わるごとに「よかったところ(Good)」3点と、「もっと伸ばせるところ(More)」1点を一緒に確認する。「ペアは時間ごと、日ごとに変えます。複数の人に長所を認めてもらうことで、自己否定の強い人でも『これが自分の強みなのだ』という自信につながっていきます」 【数値記入】  作業内容と、かかった時間を各自で毎回記録する。目標は決めず同僚との比較もしないが、自然と平均2倍も速くなったという。「“体重計に乗るだけでダイエット”という話と同じ仕組みかもしれません」と前山さん。 【ありがとうカード】  一日の報告書作成とともに、その日感謝を伝えたい同僚がいたらメッセージカードを書く。多い月では120枚ぐらいになる。「モチベーションが下がっているときに感謝の言葉をもらうと元気が出る」、「カードがあることで、助けてほしいといいやすくなった」という声も聞かれるそうだ。 【ステップアップシート】  3カ月ごとに個別で目標を設定。それぞれの強みと苦手を共有し、職場内で強みを活かし合い、苦手をカバーしながら、各自のペースでスキルアップを図っていく。 【改善提案】  日ごろの業務で「わかりづらい」、「やりにくい」と感じたことについて改善案を自由に申請してもらう。出てきたものは翌日のミーティングで話し合い、認定されたものは即実施。月ごとに優秀提案の表彰もしている。 【職場実習】  職場実習生を積極的に受け入れている。実習生のトレーナー役を務める従業員が、初心に立ち返り、自分の成長ぶりも確認できるからだ。就労移行支援事業所からの実習生を1回2人まで、1〜2週間受け入れているが、ほぼ毎週実習生がいるほどの人気ぶりだ。 四つのセルフケア  業務上のさまざまな工夫と並行して、従業員の体調の「セルフケア」も重視している。まず入社時にはあらかじめ「職場や仕事に関する相談は私たちが受けつけます。体調については医療機関に、プライベートの問題は支援機関などに相談してください」と伝えている。実際の線引きはむずかしくても、本人に自覚を持たせることが大切だという。  こうした方針を明確にしたきっかけは、以前、ある従業員を「職場に依存させてしまった」苦い経験があったことだと前山さんは明かす。「なんでも相談してほしい」と伝えて安心させるつもりだったが、相談時間は長くなり、求められる配慮もどんどん増え、体調は逆に悪化。出勤後に休憩室に行ったきりになる日々の末に休職となった。通院同行もしていた前山さんは「プライベートとの線引きがあやふやになり、働くことへの意識も弱めてしまった」と振り返る。  オーシャンでは従業員向けに、四つのセルフケアをうながしている。  一つめは「状態把握」で、日々の自分の状態を知り、働ける状態をある程度維持することだ。具体的には川崎市が作成した「K−Step(※2)シート」を活用している。自分の状態を言語化するためのツールで、記述の自由度が高いことと本人が自己分析できる点がいいという。必要と思われる社員に記入してもらい、その日の配慮や対応につなげている。  二つめは「自己開示(配慮要求)」。朝礼時には、その日の自分の状態を簡潔に全員に伝える「チェックイン」と呼ばれる手続きをふむ。「今朝のエネルギー残量は50%です。今日は、話しかけられてもうまく返せないかもしれません」などと伝える。こうした自己開示をしておくことで、周囲に「私に不満があるのではないか」といった余計な心配をさせずにすむメリットもある。  特に体調が崩れやすい週明けには「Share & Restart(シェア アンド リスタート)」と名づけた15分程度の時間を設けている。グループごとに1人ずつ先週の「(仕事やプライベートで)よかったこと、よくなかったこと」を発表する。「パソコンがアップグレードして使いにくい」、「音楽会で人混みに酔った」といった話をいい合うだけで気分が軽くなり頭も活性化し、作業にスムーズに入っていけるという。  三つめは「リカバリー(回復行動)」。過度の不安や緊張など精神的なストレスが大きい従業員は、いくら朝の体調がよくても午後2時ぐらいにはふらふらになってしまう。そんな様子を目の当たりにした前山さんは当初、1時間に10分の休憩を入れたが、スマートフォンを触ってしまい、疲れの取れない人が多かった。「業務の一環として回復行動をとってください」と伝えたが、今度は「何をしたらいいのかわからない」という声があがった。そこでグループワークでアイデアを一斉に出してもらい、各自の実践から効果を表にまとめて掲示。一人ひとりが自分に合ったセルフケアを選んで行うことにした。短い仮眠やストレッチ、甘いお菓子を口にするなどさまざまだが、スマートフォンをいじる姿はなくなったという。  このセルフケアは予想以上の効果をもたらした。休日などのオフタイムにも実践する人が増え、欠勤する人が激減したという。この「オフタイムマネジメント」が四つめのセルフケアだ。集まったアイデアは「セルフケア道具箱」と名づけられ、いまも日々更新されている。 職場内のピアサポート  セルフケアは、職場内の仲間同士で支え合うピアサポートともつながっている。その中心になるのが2016年に発足させた「健康増進チーム」だ。メンバーは「体調が比較的安定し、人の話を聞くのがうまい」と支援スタッフから推薦があった3人で、週1回ほかの同僚のヒアリングを担当する。内容は業務・体調・セルフケア対処法・人間関係・よかったことなど幅広い。同僚からも好評で、つい時間が長引くため「10分以内」としたほどだ。ヒアリング内容や客観的な印象などを「困ったノート」に簡潔にまとめ、支援スタッフを含めた健康増進チームで情報共有している。  「彼ら同士だからこそ話せるような悩みや不安を、日ごろから職場内で把握することで、体調が大きく崩れる前にフォローしやすくなりました。さらにメンバー自身もリーダーシップを発揮できるようになり、支援スタッフの担当していた業務も単独でこなすようになるなど、さまざまな波及効果が生まれています」  健康増進チームのメンバーの1人、持田(もちだ)健一(けんいち)さん(37歳)は2012年入社の最古参で、同僚たちからの信頼も厚い。障害者職業生活相談員資格認定講習も受講した。  「みんなとは先輩後輩といった感じはありません。横のつながりを強くしながら、活気のある職場にしていきたいです」と話す持田さん。実は前職の職場は気軽に話せる同僚がおらず、寂しかったという。  「オーシャンでは仲間がどんどん増えて、それが自分の財産になっていると思います。日ごろはチームで仕事を進めていますが、それぞれ強みや得意な分野があるので、自分の苦手な分野について気軽に相談できる環境です」  担当している仕事は、シュレッダー作業や経理補助、タブレットパソコンの初期設定などだ。入社時は「自分は一度に大量の情報を伝えられると理解できないことがあるので、一つずつ簡潔に説明をしてほしいとお願いしました」と語る。職場内でも定期的に「自分トリセツ(取扱説明書)」を紹介する機会があり、同僚にも伝えているという。日々のリカバリータイムには、水に濡らして絞ったタオルを電子レンジで温めて目に当て、さらに目薬をさすリフレッシュ法を実践している。 「私生活でも自信がついた」  臼井(うすい)志津(しづ)さん(39歳)は、就労移行支援事業所を経て2017年に入社した。以前まで一般雇用で働いていたが「ずっと自分の障害(ADHD)に気づかず転職をくり返していました」と打ち明ける。うっかりミスが多かったり、内容が理解できていないのに反射的に「はい」といってしまうことがあったという。  オーシャンでも最初は緊張によるミスをして落ち込んだが、すぐに周りから「これは経験、チャンスだよ」と何度もいってもらい肩の力が抜けた。チャンスノートにも助けられた。例えば、シュレッダー作業を同時進行でやっているうちに記録をとり忘れ「どの袋がどの部署のものか」わからなくなった。チャンスノートで「付箋を貼る」、「必ず1部署ずつ記録してから次に移る」といった改善案が出され、対処できるようになったそうだ。  「経験を重ねながら、自分でも仕事に自信がついたのがわかります。私生活も前向きになりました。以前は休日の外出が億劫(おっくう)だったのですが、いまは街中を歩きまわり、店にひとりで入れるようになりました」  セルフケアも実践している。通常のリカバリータイムは1時間に10分だが、臼井さんは30分に5分という間隔にしてもらった。「セルフケア道具箱」のアイデアから、洗面所でひじから手先まで流水に当てることを実践してみたところリフレッシュできたという。休日も無意識の過活動を予防するため、スマートフォンのアラーム機能を活用した注意喚起を行っているそうだ。 自分たちの経験を動画に  「職場のみんなが、どんどん成長していく姿を見られるのが何よりうれしい」と話す前山さんは、週末もセミナーや講習に参加したり専門書を参考にして「彼らの力をもっと引き出すにはどうしたらいいか」を考える日々だ。  オーシャンの今後の課題について聞くと、「一人ひとりのキャリアアップ」を挙げた。いまは契約社員(週30時間勤務)として雇用しているが、今年中に正社員へのステップとなる「限定正社員」の制度をつくりたいと考えている。限定正社員は週30時間のままで、残業なし、転勤なし、勤務時間の融通、賞与などの待遇を考えている。前山さんは「個別の条件を柔軟に組み合わせた雇用の仕組みは、障害者を含む多様な労働者が働きやすい職場をつくる働き方改革、ダイバーシティの推進にもつながると思っています」と先を見据える。  キャリアアップを後押しするためにも、親会社からの業務委託にとどまらない新規事業も必要だという。いま、みんなで出し合っているアイデアの一つが「当事者目線でつくった精神障害者の雇用のための動画」の制作だ。本人たちが実際に働いてきた経験から、職場で実践できるさまざまなノウハウを紹介するという。オーシャンの掲げるミッションである「世の中の障害者雇用の促進に貢献すること」の実現に向けて、同社の挑戦は続く。 ※1 キッティング:組立てから配線、OSのセットアップなど、コンピューターや周辺機器等を、利用者がすぐに使える状態に配備する導入作業 ※2 K-Step:Kawasaki Syurou TEityaku Program。精神障害者など体調管理に課題を抱えている方の就労定着を図るためのプログラム 写真のキャプション 宮崎台事業所の事業所長を務める前山光憲さん シュレッダー作業。設立当初から続く業務で、この日はおよそ170kgが裁断処理された 各教室から送られてきたテスト資料。用紙1枚ごとに仕分けスタンプの有無を確認する 各教室から引き受ける業務のなかでも、好評なのがテスト資料の分類作業だ 手書きのメッセージとともに、気分転換の方法なども紹介する「サンキューカード」 動画マニュアルの制作では、撮影、編集、ナレーションの録音も従業員が行っている 事業所内では、業務に合わせて自由にデスクを移動し作業にあたる 作業内容とかかった時間をタイマーで計り、記録することでおのずと創意工夫が芽生える 感謝を伝えたい同僚への「ありがとうカード」には、カラフルなもの、イラスト入りのものなど、個性が現れている 事業所の壁面には、チャンスノート、改善提案の取組みなどが掲示されている 「セルフケア道具箱」には、従業員の実体験をもとにした体調や気分を整えるための方法と効果がまとめられている 健康増進チームの持田健一さんは、事業所内の事務用品の管理なども担当している 取材日、臼井志津さんはシュレッダー作業を担当していた。タブレットを使用して処理待ちの段ボールを管理する 当事者目線の動画制作に向けての会議で、みんなで意見を出し合ったマインドマップ 【P10-11】 NOTE 働く障害者の高齢化 最終回 中高年齢層の障害者の雇用継続について  7月号から4回にわたり、働く障害者の高齢化をめぐる状況と対応にフォーカスし、いくつかの事例を取り上げてきました。最終回となる今回は、「働く障害者の高齢化」に関し、どのような展望が考えられるかについて、箕輪優子編集委員にお話をうかがいました。  また最後に、第1回から最終回までを振り返る「まとめ」を掲載しました。 働く障害者の高齢化の現状  障害者雇用の推進により、障害のある従業員の職場定着の動きが浸透する一方で、障害のある従業員の「高齢化」への対応に取り組みはじめた企業があることを、連載でお伝えしてきました。  第1回から最終回までを振り返り、箕輪(みのわ)優子(ゆうこ)編集委員は「障害のある社員の、加齢による体力低下などの変化に対応し、活躍し続けることができるように環境を整えようとされている各社の取組みは素晴らしいものだと思います。一方、障害者雇用そのものがケースバイケースであり、『高齢化』を障害者共通の特別な課題としてはとらえていない企業も多く存在すると思います」と話します。  ご自身も障害者の採用にかかわる立場から、次のように話してくれました。  「現在、キャリア採用の市場では、50歳を超えても力のある方が求められるようになってきています。(表)これは社会全体の流れで、年齢を重ねることによりつちかわれてきた経験や技術力、知識力、ノウハウが評価されているのではないでしょうか」 事業者の役割  事業者は、障害のある従業員の高齢化に対応するため、工場内の別の業務あるいは屋外作業から屋内作業へと配置転換を行うことがあります。そのような対応について、箕輪委員は次のように話します。  「本人の状況に応じた負担軽減の配置転換という観点ももちろん大切ですが、『働きにくい』という社員の声を機に、『その作業は本当に必要なのか』、『ほかの手段はないか』など、抜本的な改革≠することが、企業にとってもより有益なことにつながっていく場合もあるのではないでしょうか」  さらに、障害のある従業員の実績や技術を活かして、活躍してもらうために企業が行うべきことを、このように話してくれました。  「年齢による身体能力の変化もありますが、そもそも障害には個人差があるため、それぞれの能力が発揮しやすく、成長できるように環境を整えることは、事業者のなにより大切な役割です」と箕輪委員。また「環境を整えることが障害のある社員の『能力を向上させたい気持ち』を後押しし、それが本人のキャリアアップや雇用の継続、さらには企業の発展にもつながると思います」とも語ってくれました。 障害者のキャリアアップを促進していく  それでは、障害のある従業員のキャリアアップには、どのようなことが必要となるのでしょうか。  「どうしたら、持っている能力を最大限発揮できるのかを、会社側も障害のある社員もつねに考えながら業務に取り組んでいくことが大事です。半年に1回程度は、障害のある社員自身も『目標に向けてどのように取り組んできたのか』を振り返り、もし目標が達成できていなかったら、その要因を探り、具体的な対策を練ることも大切です。つねに前に進んでいくのがキャリアアップですから、『働く環境や業務内容に問題はないか』、『周囲も本人も固定の価値観にとらわれていないか』など、障害のある社員自身も『自分がどう働きたいか』を振り返ってみると、年齢に関係なく、早い段階で目標に対する課題が見えてくるはずです。その課題が大きくなる前に解決できれば、キャリアアップにつなげることができるのではないでしょうか。また障害のある社員の場合、本人も周囲もできるだけ転職を避け、同じ会社で同じ職務を継続していくことを推進する傾向があるように感じます。現代社会においては障害の有無にかかわらず、働き方、働く場の選択肢は多様です。障害のある方のなかにも『キャリアアップとしての転職』を選択する方がもっと増えても良いのではないかと思います」  障害者雇用の場でも、こうした「キャリアアップとしての転職」が浸透していけば、社会全体でより多様な人材の交流が可能になるのではないでしょうか。 ダイバーシティの観点からの障害者雇用  最後に「ダイバーシティ(多様性)」の観点から、障害者雇用についてお話しいただきました。  「ダイバーシティという観点でいうと、その前提として、企業は『すべての社員が働きやすい環境を整えること』があげられます。その取組みを行ううえで忘れてはならないのが、『100人いれば100通りの経験、知識、感性、視点、文化、背景、価値観などがある』ということです。『〇〇の障害がある人は〇〇が苦手』や『〇〇の障害がある人は〇〇の仕事が相応(ふさわ)しい』といったステレオタイプで考えないこと、加齢による変化も人それぞれ違うということを忘れてはいけません。さらに今後は、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)の導入による、業務の効率化やデジタル技術を活用したテレワークなど柔軟な働き方が促進されることで、『障害の有無』、『障害種別』、『年齢』にかかわらず、だれもが働きやすい環境へと整っていくことでしょう。だれにとっても働きやすい職場であれば『障害のある社員のためのサポート』という特別な考え方は必要なくなるかもしれません。障害の有無にかかわらず、年齢を重ねることを『経験やスキルがある』というポジティブな観点でとらえれば、『一人ひとりのキャリアアップの意欲を向上させ、一人ひとりの能力の向上が企業の発展につながる』という良い循環が生まれるのではないでしょうか」 まとめ 第1回(2019年7月号) 厚生労働省の2018年「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」の報告書の内容をふまえた雇用継続支援のあり方のポイント ●できる仕事への移行と配置転換を視野に入れたキャリア形成促進 ●福祉と連携した生活面の支援体制の充実 ●職業生活全体の再設計 ●関係機関の協力を得ながらていねいな話し合いを行う場の確保 第2回〜4回(2019年8月号〜10月号) 雇用継続の取組み事例にみる、働く現場での取組みのポイント ●「作業分解」「治具の活用」によるできる仕事への移行と配置転換によるキャリア形成 ●ていねいで定期的な個別面談や、企業在籍型職場適応援助者の個別的な支援や状況把握による、勤務形態や作業内容の見直し、短時間勤務への切り替え ●屋外作業から屋内作業への配置転換 第5回(最終回) 雇用管理の考え方 ●社員と事業者のどちらにも「加齢(年を重ねること)により、経験、技術力、知識、ノウハウを積み重ねて能力が向上していく」というキャリアアップの観点も重要 ●加齢による身体能力の変化などは、すべての障害者に共通する課題ということではなく、障害の有無にかかわらず個人差が大きい ●障害や年齢にかかわらず、社員一人ひとりの状況に応じて、能力を最大限発揮できる環境を整えていくことが、事業者の何より大切な役割 ***  障害者個人への配慮、企業側の業務などの見直しの両方を視野に入れた取組みを始めていくことが、いま事業者にできることなのかもしれません。 (編集部) 表 年齢階級別転職者及び転職者比率の推移 ■年齢階級別 転職者数(万人) 15〜24歳 25〜34歳 35〜44歳 45〜54歳 55〜64歳 65歳以上 2014年 55 76 67 41 40 12 2018年 63 78 65 55 49 20 ■年齢階級別 転職者比率(%) 15〜24歳 25〜34歳 35〜44歳 45〜54歳 55〜64歳 65歳以上 2014年 11.3 6.5 4.4 3.0 3.5 1.8 2018年 11.3 7.0 4.5 3.6 4.3 2.3 直近の5年間で45歳以上の人数および比率が増加 出典:総務省統計局「平成30 年労働力調査年報」 2018年の傾向として、45歳以上を採用する企業が増加し、転職年齢の上限は上昇傾向にある 写真のキャプション 横河電機株式会社人財センターで採用育成にたずさわる箕輪優子編集委員 【P12-14】 インフォメーション 受講料無料 令和元年度就業支援スキル向上研修のご案内  当機構では、労働、福祉、医療、教育などの分野で、3年以上の実務経験がある就業支援担当者の方を対象に、障害別(精神障害、発達障害、高次脳機能障害)の就業支援技術のさらなる向上や障害者の就業支援に必要なヒューマンスキルの向上を図るための「就業支援スキル向上研修」を実施しています。みなさまの受講を心よりお待ちしております。 実践的! ヒューマンスキルに関する講義・演習 最新の調査研究に関する情報提供 障害別コースの支援技法 演習やケーススタディ 専門的! 内容 全コース共通講座 ■ 職業リハビリテーションにおけるヒューマンスキル (対象者と協同的な関係を築くスキルについての講義・演習) ■ 職業リハビリテーションに関する調査・研究の最新情報 (障害者職業総合センターにおける最新の調査・研究に関する講義) コース別講座 精神・発達・高次脳機能障害の3コースから選べます! ■ 就業支援の実際 (職業準備性の向上や職場定着に関する支援技法についての講義・演習) ■ ケーススタディ (受講者の支援事例をもとにした事例検討)※ 演習や意見交換が中心となります。 対象者 次の@〜Bのすべてを満たす方が対象となります。  @労働、福祉、医療、教育などの関係機関の職員の方であって、障害者の就業支援の実務経験が3年以上の方  A希望するコースの障害者に対する就業支援経験があり、当該障害者の就業支援事例を提出できる方(事例提出必須)  B3日間のすべての課程を履修できる方 日程 令和2年1月28日(火)〜1月30日(木) 会場 障害者職業総合センター (千葉県千葉市美浜区若葉3-1-3) 定員 精神障害コース40人、発達障害コース40人 高次脳機能障害コース30人 計110人 お申込み ◎申込方法:  「就業支援スキル向上研修受講申込書」に必要事項を入力し、申込受付期間内にメールでお申し込みください。 ◎受講申込書・カリキュラム:  当機構ホームページからダウンロードできます。 ◎申込受付期間:  令和元年11月5日(火)〜12月9日(月) ※定員を超えた場合は、当初の予定より早く受付を締め切る場合があります。また、複数名の申込みをされた機関に対して受講者数の調整や本研修(職業リハビリテーションスキルアップセミナーを含む)の受講経験のない方を優先させていただくことがあります。あらかじめご了承ください。 お申込み・お問合せ先 職業リハビリテーション部 研修課 TEL:043-297-9095 E-mail:stgrp@jeed.or.jp URL: http://www.jeed.or.jp/ 就業支援スキル向上研修 検索 ステップアップ方式の研修体制となっています! ステップ1 初めて担当する方 就業支援基礎研修 就業支援の基礎作り 全国の地域障害者職業センター 全国12エリアの地域障害者職業センター ステップ2 2年以上実務経験のある方 就業支援実践研修 アセスメント力と課題解決力の向上 精神障害/発達障害/高次脳機能障害コース ステップ3 3年以上実務経験のある方 就業支援スキル向上研修 障害特性に応じた支援スキルの向上 精神障害/発達障害/高次脳機能障害コース 障害者職業総合センター 就業支援課題別セミナー 新たな課題やニーズに対応した知識・技術の向上 障害者職業総合センター 写真のキャプション 講義風景 グループワーク 入場無料! 参加者募集! 障害者週間連続セミナー 『働く広場』公開座談会 精神障害者雇用は今! 〜雇用継続のヒントを探る〜  2018(平成30)年4月から、精神障害者が法定雇用率の算定基礎に加わり、民間企業の法定雇用率が2.2%に引き上げられました。そのようななかで、今後ますます精神障害者を雇用する企業が増えていくと見込まれます。一方で、企業においては、雇用にあたって不安や課題を抱えているという声も少なくありません。  そこで今回は、精神障害者の「雇用継続」に焦点をあて、企業側から雇用継続にあたって抱えていた課題やその対応などの具体的事例、障害当事者から長期的に働くうえでの工夫や、医療機関や支援機関とどのような連携を図るか、などをご紹介し、精神障害者の雇用促進の方策を参加者とともに考えます。 日時:2019年12月5日(木)14:10〜16:00 《座長》 松爲信雄 東京通信大学 教授 《パネリスト》 成澤岐代子 株式会社良品計画 人事総務部 特定社会保険労務士 増見紳一 株式会社オレンジページ 総務人事部兼監査室 マネジャー 働く当事者 株式会社オレンジページ 総務人事部 清澤康伸 医療法人社団欣助会 吉祥寺病院 精神保健福祉士/第1号職場適応援助者 吉岡 治 東京障害者職業センター 多摩支所長 (敬称略) 場所:有楽町朝日スクエア 東京都千代田区有楽町2-5-1 有楽町マリオン11F 有楽町駅から徒歩2分(JR、有楽町線)/銀座駅から徒歩2分(丸ノ内線、銀座線、日比谷線) *入場には、事前申込みが必要です。下記の内容をご記入のうえ、FAXまたはメールで、お申し込みください。  なお、お申込みをお受けした旨のご連絡はいたしません。定員を超えた場合は、複数名の申込をされた法人・施設に対して人数の調整をさせていただくことがあります。また、やむをえずお断りをすることがあります。あらかじめご了承ください。 申込締切:2019年11月15日(金) FAX 043-213-6556 (ふりがな) 氏名 E-mail Tel Fax (ふりがな) 御所属 (企業名、所属部署など) 合計人数(本人を含む) 名 【事前アンケート】精神障害者の雇用に関して、ご質問・ご意見、ご提案、当日きいてみたいことなどをお書きください。 ※障害があり、配慮が必要な方はあらかじめお申し出ください。 ※この申込書により取得した個人情報は、当機構において適正に管理し、公開座談会の運営目的以外に使用することはありません。 ◎お申込み・お問合せ 独立行政法人 〒261-8558 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-2 TEL:043-213-6200 FAX:043-213-6556 E-mail:hiroba@jeed.or.jp 高齢・障害・求職者雇用支援機構 企画部 情報公開広報課 天皇陛下御即位記念 第39回 全国アビリンピック障害者ワークフェア 2019 入場無料 令和元年11月15日 金 〜11月17日 日 令和元年11月15日 金 開会式 令和元年11月16日 土 技能競技及び障害者ワークフェア 令和元年11月17日 日 閉会式 開催場所 愛知県国際展示場 愛知県常滑市セントレア5丁目 ● 中部国際空港駅より徒歩5分 アビリンピック シンボルマーク 新規種目登場! 第39回全国アビリンピックでは、新規種目として「ネイル施術」種目の実施を予定しており、全23種目の技能競技と2職種の技能デモンストレーションにおいて、全国各地から集った約450人の選手たちが日ごろつちかった技能を披露し、競い合います。 イベント目白押し! 障害者ワークフェアでは約140 企業・団体による出展を予定しており、今年は、特別企画として実施予定の「パラスポーツコーナー」や「アール・ブリュット展」などイベントが目白押しです。パラリンピアンによる座談会にも注目です! 過去最大規模での開催! 今大会は、完成したばかりの愛知県国際展示場に、技能五輪と全国アビリンピックを集約し同時開催します。過去最高に盛り上がること間違いありません。たくさんのご来場をお待ちしております。 ※技能五輪のうち、一部の競技は別会場にて実施します。 お問合せ 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 雇用開発推進部 雇用推進課 TEL 043-297-9516  FAX 043-297-9547  MAIL koyousuishin@jeed.or.jp 主催 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構、愛知県 後援 厚生労働省、内閣府、文部科学省、経済産業省、中央職業能力開発協会 あいち アビリンピック 検索 写真のキャプション ネイル施術 フラワーアレンジメント ワード・プロセッサ 障害者ワークフェア 【P15-18】 グラビア 開店準備は、お任せください LaLa Cafe(静岡県) 足立智裕さん 取材先データ NPO法人えんしゅう生活支援net 〒433-8117 静岡県浜松市中区高丘東3-46-14 TEL・FAX 053-420-6250 LaLa Cafe 〒430-0929 静岡県浜松市中区中央1-18-4 ウィステリアピーク1F TEL 053-455-8226  FAX 053-455-8227 写真:小山博孝・官野 貴/文:小山博孝  「NPO法人えんしゅう生活支援net」は、高次脳機能障害のある方への支援を行うために、2011(平成23)年4月に設立され、障害者自立支援法(現・障害者総合支援法)に基づく自立訓練(生活訓練)事業・就労移行支援事業を行う「ワークセンター大きな木」での活動を始めた。2013年7月には、就労継続支援B型事業所「ワークセンターふたば」が「LaLa Cafe(ララカフェ)」を開店し、19人の障害のある方々(精神障害5人、発達障害4人、高次脳機能障害10人)が交代で働いている。同法人の理事長を務める建木(たちき)健(けん)さんは、「障害のあるみなさんに、街中で活躍してもらいたい」と考え、浜松駅近くの官公庁が集まる場所に、LaLa Cafeを開店したという。  ここで働く足立(あだち)智裕(ともひろ)さん(45歳)は、焼き鳥屋を自営していた10年ほど前に、交通事故で重傷を負った。約1年間の入院の後、再び元気に活躍できる日を目ざしてリハビリ生活を送っていたが、物事や手順をすぐに忘れるなどの記憶障害が残り、それをカバーできるよう、ワークセンター大きな木の支援を受けて、3年前からLaLa Cafeで働いている。  「支援員さんたちの指導を受け、自分でメモを取って確認しながら作業することで、正確にできるようになってきました。仕事は、気分よくやらせてもらっています」と笑顔で答える足立さん。最近は週2回、知合いの店の仕込みも手伝っている。  「がんばって働き、自立したい。これが私のいちばんの願いです」と、LaLa Cafeでの開店準備の仕事を終え、元気に帰って行った。 写真のキャプション 高次脳機能障害への支援を受けながら、自立を目ざして働く足立智裕さん 就労継続支援B型事業所「ワークセンターふたば」が運営する「LaLa Cafe」 朝9:30、朝礼が始まる 連絡事項について、熱心にメモを取る足立さん 「職場でのルール」を読み上げ、朝礼を終える 支援員から指示された作業メモを参考にして、開店準備の仕事を進める LaLa Cafeの調理師で所長の酒井(さかい)由希子(ゆきこ)さん 開店準備 1 店外のテーブルを並べ、清掃 2 テーブルのドリンクメニューをきれいに拭く 3 サラダの盛りつけ 4 外の看板もていねいに拭いて並べる 以前、聖隷(せいれい)クリストファー大学リハビリテーション学部作業療法学科の助教として高次脳機能障害のリハビリに関する研究を行ってきた、理事長の建木健さん 開店の準備ができた。「さあ、開店だ」 9:30〜11:30まで働く足立さん。この日の業務を振り返って日報を書き、足立さんの仕事が終わる 【P19】 エッセイ 第4回 ワークとライフの素敵な関係 佐藤恵美(さとう えみ)  神田東クリニック副院長、MPSセンター副センター長。  1970(昭和45)年生まれ、東京都出身、北里大学大学院医療系研究科産業精神保健学修了。  精神保健福祉士・公認心理師。病院勤務などを経て現職。医療現場および社内のカウンセラーとして多くの労働者の悩みに向き合い、職場に対して健やかな職場づくりのための助言をしている。著書に『ストレスマネジメント入門』(日本経済新聞出版社)、『もし部下が発達障害だったら』(ディスカバー21)などがある。  「ワーク・ライフ・バランス」なる言葉が生まれて久しい。さらに昨今、働き方改革関連法案の改正などを中心に「働き方改革」も推し進められている。実際、改革が進んでいるかはさておき「今日は働き方改革として、定時で帰ります!」などとカジュアルに会話できるようになってきているのは、働き方に対する意識が少なからず高まっているともいえるかもしれない。  さて、労働者のメンタルヘルスを考えるとき「ワーク・ライフ・バランス」の視点は重要だ。メンタルヘルスに不調をきたす背景には、長時間労働の常態化によって、心身が疲弊している場合も少なくないからだ。一日は、だれしも公平に24時間。例えば、朝8時から勤務を開始し、5時間の残業をして夜10時に退勤すると、帰宅するのが11時。それから夕飯、入浴などを済ませると日付をまたぐのは必至である。余暇の時間を持とうとすれば就寝は午前2時、3時だろう。もし朝6時過ぎに起床するなら、睡眠時間は3〜4時間ということになる。一日の時間は決まっているのだから、ワークが長くなれば、このように睡眠時間が削られるか、そうでなければ、余暇の時間がなくなってくる。ワークかライフ、どちらかを取ればどちらかの時間が削られる、と考えるのは自明の理である。  しかし実は、このように「かぎられた時間をどちらに充(あ)てるか」という発想では、いつまで経っても素敵な調和は生まれないだろうと思っている。24時間のなかでライフとワークが「綱引き」を始めると、どちらを取っても「損した気分」や「罪悪感」や「何かを強いられた気持ち」を感じる羽目になってしまうからだ。これでは、「調和」どころか永遠に「不協和音」だろう。  慶応大学の高橋(たかはし)俊介(しゅんすけ)先生は、このような「二者バランス」の考え方から、「ワークもプライベートも人生の一部」として「ワーク・ライフ・インテグレーション(統合)」を提唱している。ワークとライフがそれぞれのストレス緩和の機会となり相乗効果を生み出す、という考え方である。関連した研究に、仕事と家庭の関係においては、スピルオーバー(流出)効果といい、仕事・家庭のどちらかで醸成された気分が、もう一方に影響を与える、というものがある。例えば、上司に大いに評価されていい気分で帰宅すると、妻とも機嫌よく会話が弾む。逆に何かトラブルがあれば、帰宅後にもイライラして家族に八つ当たり、という具合だ。もちろん、家庭から仕事へのベクトルもある。同一の人間が体験していることなのだから、至極当然といえるだろう。  結局、ワークとライフを無理に切り離して対極に置くことから、不協和音が始まるのかもしれない。「調和」の字義通り、大事なのは自分自身がワークとライフの「建設的な融合点」に気づき、「両者に主体的にかかわること」ができているか、ということなのではないだろうか。  例えば、むずかしい顧客とやっと商談が成立してホッと一息お茶を飲みながら、「こんなふうに話すと、むずかしい人ともうまくいくのか。これって思春期を迎えたうちの子との対話にも使えるかも。よし、今晩トライしてみよう」などである。つまり、ワークとライフ両方があるからこそ、よりよい人間関係や、自己成長や自己表現、社会参加においてプラスにできる、いわば「ちょっとお得」と思える体験を自らつくり出すことである。  「ワーク(ライフ)の体験があるからこそライフ(ワーク)に活かせた」という連鎖が、例えささやかなことであっても実感できると、心身のエネルギーを充足することができるのではないだろうか。  さて、働き方改革の本質が問われるのはこれからだろう。ワークもライフも自分自身のものとして、素敵な調和を生みだしたいものである。 【P20-25】 編集委員が行く 自己管理と職場の配慮により、クローン病の人も警備業に従事 株式会社全日警サービス長野(長野県) 東京通信大学 教授 松爲信雄 取材先データ 株式会社全日警サービス長野 〒381-0034 長野県長野市大字高田1311-1 TEL 026-225-5918 編集委員から  難病であるクローン病の方は、症状の特徴から外勤作業はむずかしいと思われるかもしれない。しかし、症状が発生しないための十分な健康管理、特に、食事療法について徹底した自己管理さえできれば可能である。  継続して働くためには、現場における雇用管理体制、特に、複数配置、勤務スケジュールとシフト、研修体制の整備などの配慮が必要となる。 Keyword:難病、クローン病、警備業 写真:官野 貴 POINT 1 体調を自己管理することで、警備業のような外勤作業でも働き続けることができる 2 現場の理解と職場のちょっとした配慮によって継続的な雇用が実現 3 自己管理と職場の配慮の相乗効果で、長く働き続けられる人材を育成 はじめに  筆者は、この「編集委員が行く」で、難病の人が働いている職場を継続的に取材してきました。今回は、クローン病の人が警備業務に従事している事例を紹介します。取材先は、長野県全域に事業所を持つ、株式会社全日警サービス長野です。  まずは、クローン病と警備業についてみていきましょう。 (1)クローン病とは  大腸と小腸の粘膜に慢性的な炎症や潰瘍を引き起こす原因不明の疾患を総称して「炎症性腸疾患」といいますが、厚生労働省が難病に指定しているクローン病も、この疾患の一つです。主として若年者にみられ、口腔(こうくう)にはじまり肛門に至るまでの消化管のどの部位にも炎症や潰瘍が起こり得ますが、特に、小腸末端部に発症しやすいとされています。それらの病変で腹痛や下痢、血便、体重減少などが生じるのですが、病変と病変の間には正常な状態が続くことが特徴です。  わが国では、クローン病の患者数は年々増加し続けており、2016(平成28)年度は約4万人の患者さんが登録されています。急増した背景には、内視鏡による診断法が向上したことや、この疾患に対する認知度が向上したことも関係していると思われますが、食事を含む生活習慣の西洋化の影響も大きいと考えられています。  この病気の診断は、上記の症状や貧血などの血液検査の異常から疑われ、画像検査で特徴的な所見が認められた場合に確定されます。治療方法には、栄養療法や薬物療法などの内科治療が主体となることが多いのですが、腸閉塞や穿孔(せんこう)、膿瘍(のうよう)などの合併症には外科治療が必要となります。栄養療法・食事療法は、栄養状態の改善だけでなく、腸管の安静と食事からの刺激を取り除いて、腹痛や下痢などの症状と消化管病変の改善をしていきます。  病気の活動性や症状を抑えることができれば、健康な人とほとんど変わらない日常生活を続けることが可能です。 (2)警備業とは  「警備業法」に定められた警備業務は4種類あり、それぞれの業務ごとに詳細な業務内容と警備検定資格などが定められています。1号業務は空港保安・施設警備、2号業務は雑踏(ざっとう)・交通誘導警備、3号業務は貴重品等運搬警備、4号業務は身辺警備です。  警備業の教育制度は、さまざまな仕組みが確立されています。法定教育制度としては、30時間以上の新任教育のほかに、前期後期それぞれ8時間以上の現任教育が義務づけられています(2019年7月取材時)。また、警備員指導教育責任者制度では、営業所ごとおよび当該営業所において取り扱う警備業務の区分ごとに警備員指導教育責任者を選任しなければならないとされています。選任された者は、警備員の指導および教育に関する計画を作成し、その計画に基づき警備員を指導して教育する業務などを行います。 会社の方針と警備業界の動向  こうした情報をもとにして、全日警サービス長野の代表取締役社長である浅妻(あさつま)豊(ゆたか)さんにお話をうかがいました。 (1)会社の方針  同社は1993年に開業し、警備2号業務を中心に県内外に9事業所を展開しています。「確かな実績と高度な技術」、「多様なニーズへの対応」、「人材育成…『人』は財産」の三つをモットーとしています。  そのなかの「人材育成」においては、国家試験の有資格者となるための社内教育に力を注いでいます。それぞれの事業所ごとに行う現任教育に加えて、本社で集合教育をして国家試験の受験準備も行っています。同社はこうした社内教育の充実を通して、「学ぶ」組織風土の構築と維持を目ざしています。 (2)障害者の雇用  警備業の人材は景気に左右されます。景気がいいときは警備に対する需要は高いのですが応募者は少なく人手不足になり、他方で、景気が悪くなると人が集まります。また、雑踏警備や交通誘導は屋外作業が中心ですから、夏は暑く冬は寒い、雨だろうと雪だろうと勤務しなければなりません。そのため、体力的にはつらい現場です。そのうえ、通行人の方々を中心に近隣のさまざまな状況に気を遣うため、精神的にも負担のある職場です。  このような背景のもと、同社の社員全体の特徴を挙げると、高齢者が多くを占め、平均年齢は50代後半です。その実績が認められ、2017年度高年齢者雇用開発コンテストの高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長表彰優秀賞を受賞しました。また、同年度障害者雇用優良事業所等表彰の機構理事長表彰努力賞も受賞。社員のなかには、4人の難病者(クローン病2人、ベーチェット病1人、右大腿骨頭壊死症1人)のほかに、11人の障害者(身体障害6人、精神障害4人、知的障害1人)が、障害者施設や障害者就業・生活支援センター、そしてハローワークなどの紹介で入社しています。  「障害者に対する支援や配慮は原則、本社で最初のフォローをした以降は、各事業所に委ねていますが、現場の所長や指導者は精神・発達障害のある社員への対処方法がわからないことが多いため、本社はそのフォローを継続して行っています。また、娘が介護関連の仕事に就いていることもあって、彼女に教わりながら、私自身もフォローしています」と浅妻さんは話してくれました。  さまざまな障害者を採用していることは、中小企業では非常に珍しいとのことですが、事業の拡大を目ざすための人材確保という流れのなかで、自然と増えていったそうです。また、助成金を活用しながら、必要な配慮を行ってきましたが、障害者雇用率は意識したことはないとのこと。中小企業であるが故の、緻密(ちみつ)な研修と人材管理の体制のよさが、今日のさまざまな障害のある社員の活用に機能しているといっていいでしょう。 (3)業界の動向と将来像  警備業界は、警備員の資質が問われる時代に入ってきています。そのため、同社では常日頃から研修を通して資質の向上を目ざしています。特に、現場で対応するための理論武装として、関連する法律についても学習しています。  また、業界全体の社会的地位を高めていくためには、現場に警備員を送り出す直接的費用のほかに、人材育成や安全管理費などの整備費用も見積り、予算に計上していくシステムが望ましいと考えられます。 クローン病でも警備業に従事  次に、クローン病に罹患しながらも常勤の警備員として勤務されている、二人の社員にお話をうかがいました。  久保田(くぼた)昌毅(まさき)さん(49歳)は、2009年に入社して現在10年目です。  前職はシステムエンジニアで、非常にストレスのかかる仕事に就いていました。当時から、疲れがたまってくると体調に急激な変化が生じて、頭痛、吐き気、下痢、血便の症状がくり返されたのですが、それがクローン病の症状とは知らなかったそうです。そのため、前職よりも精神的なストレスが少なく、体力的に耐えられそうな仕事に転職したいと思い、畑違いの分野ではありますが、ハローワークの紹介で警備員として入社を決めました。  入社した直後は、仕事の内容はまったくわからなかったそうですが、多くの社内研修を経て現在に至っています。前職に比べて精神的なストレスは著しく軽減したのですが、前述の症状は定期的に発生しており、その都度、医者の指示で入院や休職をくり返していました。そして、昨年末に腸閉塞で入院して手術をした結果、初めてクローン病と診断されました。手術した後は、服薬と食事制限により症状は抑えられ落ち着いています。食事さえ気をつけていれば、日常生活にはまったく問題はなく、自己コントロールにより体調を維持できているとのことです。  宮原(みやはら)照夫(てるお)さん(54歳)は、2013年に入社して現在6年目です。  東京で生活をしていた20代のころに、下痢や発熱が続いたため診察を受けたところ、拒食症と診断されたそうです。その後、別の医師を受診し開腹手術した結果、クローン病と診断されました。治療のため実家のある長野に戻ったのですが、現在の会社に入社するまでの23〜24年間は無職でした。仕事をしたいとの思いはあったものの、他方で、「難病であることを言い訳に甘えていたかもしれない」とのこと。ご両親が亡くなって一人になったことを契機に、ハローワークの紹介で警備員として入社されました。  嘔吐などの症状は30代まで続いていましたが、以降は安定しており、最近では「もう大丈夫かな」という感じだそうです。現在は、食事制限により刺激物や脂質の食物は禁止されており、月1、2回程度は症状が出るものの、それ以外はまったく普通の状態です。 クローン病の社員の勤務状況と配慮事項 (1)勤務状況  このお二人の上司の方々にもお話をうかがいました。  飯田営業所の山ア(やまざき)努(つとむ)さん(34歳)は、久保田さんの上司です。  久保田さんは、入社後も前職時と同様に症状が継続しており、そのため、入退院のくり返しでした。現場に出ても腹痛のため座り込んでしまうなど、一人で任せることはむずかしく、正直なところ、シフトを組むのがむずかしかったそうです。しかし、周りの社員もフォローし、山アさん自身が病気を理解するにつれて、トイレ対応ができるよう人数の多いチームに配置したり、少量ずつ食事がとれるよう休憩時間の配慮をすることにより、徐々に体調が安定していったそうです。  「現在では、体調の変化による波はほとんどなくなりました。警備の現場はチームで活動しますが、本人は非常にまじめな勤務態度ですし、また、体調の崩れで周りに迷惑をかけては申し訳ないという思いがあり、とても頑張っています。そうしたことから、いまでは、チームに欠かせない存在となっています」と山アさんは話します。  入社時は短時間雇用の契約でしたが、ほぼ1年後には常用雇用に切り替えています。また、久保田さんは2017年に2号警備業務の資格も取得し、仕事が楽しそうな様子です。会社は65歳定年ですが、それ以降も勤務は可能です。そのため、「本人がキャリアアップを目ざすのであれば、当然、そのバックアップをしていきます」とのことでした。  松本営業所の丸山(まるやま)英一(えいいち)さん(57歳)は、宮原さんの上司です。  宮原さんは、入社後初の現場で丸山さんと一緒になったそうです。丸山さんも、クローン病についての知識はありませんでした。しかし、宮原さん自身は、ほかの障害のある人たちと比較しても症状が軽いために、全体としてはほかの社員と変わらず対応しています。「『これまで就職したことがない』と聞いていたのですが、仕事の態度はまじめですし、理解力も十分にあります」と丸山さん。もちろん、宮原さんも2号警備業務の資格を取得しています。  しかし、雇用管理上の配慮をまったくしないということではないそうです。体力的に厳しい警備現場には送らず、単独では現場に配置しないようにしているとのことでした。 (2)配慮していること  上司の方々からは、さらに、警備業の特徴とクローン病の人が働く際の配慮事項についてうかがうことができました。  交通誘導という仕事は、チームワークが最も重要です。そのため、同社では配属するメンバーについては、個々人の能力の過不足を十分に勘案するとともに、チーム全体として最大の能力を発揮できるように編成して送り出しています。障害の有無で従業員を区別するという発想ではなく、障害によって仕事に課題が生じるようであれば、必ず、それを補完するチーム編成をしています。チームワークが不十分なために現場で事故が発生したとなれば一大事ですから、警備業務の研修では、この点を徹底して教育しています。  また、警備業務の現場は365日稼働していますが、それはいい換えると、シフトに融通が利きやすい職場でもあるということです。そのため、障害のある社員から休暇や通院の希望が出されたら、優先的に融通させることも可能です。また、現場での長時間勤務であれば、適宜交代して休息をとるなど、勤務時間も融通できます。  クローン病のお二人に対する配慮も、基本的にはこうした交通誘導業務の特徴をふまえたものです。また当然のことながら、主治医の意見も尊重した雇用管理を行っていますので、その要点をまとめてみます。  第一が、「複数配置」です。腹痛などの症状で作業遂行の際、不都合が起きないように、現場では予防的に複数配置をします。状況に応じて交代させるとともに、追加要員で現場を補填します。現場での事故を予防するためには不可欠です。また、午前、午後、昼食時に休憩をとりやすいように、人数の多い現場に、交代要員も含めて配置するようにしています。  第二に、「勤務スケジュールとシフトの配慮」です。通常の勤務は8時から17時までで、平均すると月6〜7日の休日があります。シフトを組む際は、昼勤と夜勤を連続させません。また、現場の状況に応じて勤務時間の増減が出ますが、残業はないようにしています。  第三は、「健康管理」です。日常生活では、特に食事管理が重要です。これに気をつけていれば、クローン病とはいっても症状が出る頻度は極めて少なく、通常の勤務も可能となっています。トイレは現場で借りることになりますが、体調がよい(腸がぜん動しないかぎりは)と頻繁に行く必要もありません。  第四は、「資格取得とキャリア形成」です。法律によって警備業務に従事する資格が定められていますし、警備員指導教育責任者になる制度も定められています。そのため、体調不良で研修が受けられなかった場合は、改めて研修の時間を設けるなど、柔軟に対応しています。このようにキャリア形成をフォローしていくことで、障害のある方も、定年後の再雇用により70歳を超えても働き続けることのできる職場となっています。 まとめ  読者のみなさんのなかには、クローン病の症状は腹痛や下痢、血便などのため、「外勤作業はむずかしいのでは」との感想を持たれた方もいるかもしれません。  しかし、この病気の特徴として、病変と病変の間には正常な状態が続くことから、症状が発生しないための十分な健康管理、特に、食事について徹底した自己管理さえできれば、外勤作業でも働くことができるということを、面談したお二人からうかがいました。  他方で、その背景には、上司の方々の現場における雇用管理の体制、特に、複数配置、勤務スケジュールとシフト、資格取得のための研修でのフォロー体制などが必要なことも明らかになりました。  こうした、健康に対する自己管理と職場の配慮の相乗効果によって、障害の有無にかかわらず、長く働き続ける人材を育成していこうとするのが、社長の浅妻さんの願いかもしれません。 写真のキャプション 雑踏警備、交通誘導を行う同社社員。警備業法で、これらの業務は2号業務と呼ばれる(写真提供:全日警サービス長野) 株式会社全日警サービス長野代表取締役社長の浅妻豊さん 「この職場で70歳まで働きたい」と目標を語る宮原照夫さん 「疲れをためないように、体調管理に気をつけています」と久保田昌毅さん 飯田営業所所長代理の山ア努さん 松本営業所所長代理の丸山英一さん 警備業法によって定められた現任教育、警備業務に求められる資格の取得などを通してキャリア形成が図られる(写真提供:全日警サービス長野) 【P26-27】 霞が関だより 令和元年版 障害者白書概要@ 内閣府ホームページより抜粋  障害者白書は、障害者基本法第13 条に基づき、障害者のために講じた施策の概況について、毎年国会に報告しているものです。今号と次号において、「令和元年版障害者白書」の概要を紹介します。 第1章 障害のある人に対する理解を深めるための基盤づくり 第1節 広報・啓発等の推進 ●障害者週間(毎年12月3日〜9日)における全国的な広報・啓発活動、国民への理解促進のため取組の推進 ●学校教育における理解促進等の取組  教育委員会が主体となり、学校において、障害のある幼児児童生徒と障害のない幼児児童生徒の交流及び共同学習の機会を設けることにより、障害者理解の一層の推進を図る取組等を実施 第2節 障害を理由とする差別の解消の推進 ●障害者差別解消法の円滑な施行の推進  ・合理的配慮の提供等事例の収集・整理、活用促進  ・障害者差別解消支援地域協議会の設置促進  地域の関係機関が連携し、差別事案への効果的な対応や紛争解決の後押しを行えるよう、自治体における地域協議会の設置を促進 第3節 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機とした取組 ●ユニバーサルデザイン2020行動計画に基づく取組の推進  ・心のバリアフリーの普及  一人一人の理解と行動を促す「心のバリアフリー」の研修教材を作成、学校、企業、地域などで幅広く活用を促進  ・共生社会ホストタウンの取組  パラリンピアンを迎えることを契機に、選手との交流、心のバリアフリーなどユニバーサルデザインの街づくりを進める「共生社会ホストタウン」制度を推進、取組の横展開を促進 第2章 社会参加へ向けた自立の基盤づくり 第1節 障害のある子供の教育・育成に関する施策 ●特別支援学校学習指導要領等の改訂  障害の特性に応じた指導上の配慮の充実、個別の教育支援計画や指導計画を全児童生徒に作成 ●学習者用デジタル教科書の制度化  文字の拡大、音声読み上げ等の機能により、視覚障害、発達障害等、紙の教科書での学習が困難な児童生徒を支援 ●切れ目ない支援体制の整備(教育と福祉等の連携)  特別な支援を必要とする子供への就学前から学齢期、就業・社会参加までの切れ目ない支援体制の整備(連携支援コーディネーターによる支援等) ●医療的ケアが必要な子供と家族を支える取組  学校において高度な医療的ケアに対応するため、看護師の配置や、医師と連携した校内支援体制の構築を推進。また、ケア児を支援する施設が親の就業も支援する等の民間の取組事例も紹介 ●社会的及び職業的自立の促進  ・生涯を通じた活躍の支援(文部科学省 障害者活躍推進プラン)  障害のある人がその個性や能力を生かして社会でより一層活躍できるよう、学校教育、生涯学習、文化芸術、スポーツ等の様々な分野における活躍推進方策を策定、実施 第2節 雇用・就労の促進施策 ●公務部門における障害者雇用状況の不適切計上事案とこれを受けた対応  事案の検証を踏まえ、関係閣僚会議として取りまとめた「公務部門における障害者雇用に関する基本方針」に基づき、法定雇用率の速やかな達成と、国・地方公共団体における障害者の活躍の場の拡大等に向けた取組を推進  本年3月、国及び地方公共団体における障害者の雇用状況の的確な把握等の措置を盛り込んだ障害者雇用促進法改正案を国会に提出 ●障害のある人への地域における就労支援  身近な地域での就業面及び生活面の一体的な支援の実施、福祉的就労から一般就労への移行等の支援 ●障害特性に応じた雇用支援策の充実  ハローワークに配置したトータルサポーターによるきめ細かな相談支援、在宅就業に取り組む障害者や事業者への支援 ●障害者の就労支援における農福連携  農業分野に取り組もうとする就労継続支援事業所に農業分野の専門家を派遣し、農業に関する知識・技術習得や販売・加工の助言・指導等を実施 第3章 日々の暮らしの基盤づくり 第1節 生活安定のための施策 ●障害福祉サービスの計画的な基盤整備  精神障害者の地域生活を支える包括的な支援体制の構築、障害児支援の提供体制整備や発達障害者支援の一層の充実 ●2018年度障害福祉サービス等報酬改定  障害者の重度化・高齢化への対応、一人暮らしを支援する「自立生活援助」の創設、医療的ケア児への支援の充実、長期入院精神障害者の地域生活移行促進、一般就労への定着の支援 ●障害者虐待防止対策の推進  未然防止、迅速対応のための地域における関係機関の協力体制の整備、虐待防止や権利擁護等の指導的な役割を担う者の養成 ●地域における発達障害者支援体制の整備  当事者同士のピアサポート、ペアレントプログラム・ペアレントメンターによる家族支援、発達障害者支援センターを中心とした相談・就業支援など地域の支援体制・対応力の強化 ●スポーツの振興  ・スポーツを通じた共生社会実現に向けた取組  「パラリンピック教育普及啓発事業」として、パラリンピック競技の指導方法を学ぶ「教員向けパラリンピック教育研修会」や「市民向けパラリンピック競技体験型イベント」を開催 ●文化芸術活動の振興  ・障害者による文化芸術活動の推進に関する法律及び基本的な計画  障害者による文化芸術活動の幅広い促進、芸術作品等の創造への支援強化や、障害者による文化芸術活動に係る地域での作品等の発表等を促進 ●福祉用具の研究開発・普及促進と利用支援  ・障害者自立支援機器等の開発促進  企業等への開発助成や、支援機器に対する開発側のシーズと障害のある人のニーズとのマッチングの支援 第2節 保健・医療施策 ●保健・医療の向上に資する研究開発等の推進  発達障害や精神障害の診断支援技術の研究開発  (次号では、第4章と第5章について紹介します) 障害者白書は、内閣府ホームページに掲載しています。http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/index-w.html 【P28-29】 研究開発レポート 障害の多様化に対応した職業リハビリテーション支援ツールの開発(その2) ―ワークサンプル幕張版(MWS)新規課題の開発― 障害者職業総合センター研究部門 障害者支援部門 1 MWSの概要と新規課題開発の背景  「ワークサンプル幕張版」(Makuhari Work Sample:以下、「MWS」)は、「職場適応促進のためのトータルパッケージ」(以下、「トータルパッケージ」)を構成する職業リハビリテーションのためのツールの一つとして、障害者職業総合センター研究部門が開発したワークサンプルです。トータルパッケージとは、対象者の障害の状況を把握し、把握された状況に応じて対象者がセルフマネジメントできるよう、作業を遂行するうえでの特性などの理解や、作業を遂行する力の向上、それがうまくいかない場合の補完方法の獲得、またその際に生じるストレス・疲労への対処方法の獲得などを支援するツール・技法群の総称です。  なかでもMWSは、作業内容と難易度の異なる13種類のワークサンプルについて、それぞれ簡易版と訓練版を備え、作業遂行力の評価及び訓練に活用されてきました。簡易版では、比較的短い時間でさまざまなワークサンプルを体験することができ、対象者自身が自分に合った作業などを見つけたり、自身の障害が作業にどのように影響するかを確認することができます。また、訓練版では、段階的に難しくなっていくレベルが設定されており、作業遂行力向上のための訓練に活用できるほか、簡易版で把握できた自分の課題を解決するための手段や方法、あるいは環境調整の必要性などを明らかにしていくことができます。  1999(平成11)年にMWSを含むトータルパッケージの開発が開始された当初は、精神障害(統合失調症)、高次脳機能障害のある方を主な対象としていましたが、現在では、障害の種類を問わず、多くの方に利用されています。特に、近年は、障害者雇用の対象となる障害の種類の拡大の影響などもあり、知的障害をともなわない発達障害や精神障害(気分障害)のある方に対するMWS活用のニーズが高まってきています。  そこで、2013(平成25)年から既存のワークサンプルの改訂と新しいワークサンプルの開発を開始しました。このレポートでは、新たに開発した「給与計算」「文書校正」「社内郵便物仕分」の三つのワークサンプル(以下、「新規課題」)の内容と機能について簡単に説明します。 2 MWS新規課題の特徴  近年の傾向として、既存のMWSでは認知的な負荷が低く、作業遂行力の評価・訓練として機能しない場面があるとの指摘を受け、新規課題では、従来のMWSのコンセプトを継承しつつ、より難易度を高めたワークサンプルを開発しました。 (1)MWS新規課題に共通する特徴  新規課題では、作業のルールや作業に用いる資料が複雑になりました。そのため、「サブブック」という冊子に必要な手続きなどを記載することにしました。対象者は、支援者から簡単な教示を受けたあと、一人でサブブックに書かれたルールを読み、理解し、そのルールを的確に運用する必要があります。したがって、「文書に記載されたルールを理解する力」「理解したルールを的確に運用する力」は、新規課題に共通して把握できる力の一つとなります。 (2)MWS「給与計算」の特徴  「給与計算」(図1)は、OA作業の領域に属する作業で、パソコンの画面に表示された架空の社員一名分の情報をもとに、必要な項目の値を計算したり、必要な数値を別添の資料中に特定したりして、指定されたセルに適切な数値を入力する作業です。 (3)MWS「文書校正」の特徴  「文書校正」(図2)は、事務作業の領域に属する作業で、コラム・事務文書・報告書の「初校」を「原稿」と照らし合わせて確認し、誤りがあればサブブックに記載された校正記号を用いて修正の指示を書き込む作業です。また、サブブックとは別に提示される報告書作成規定や文字ポイント表を用いて、体裁の確認を行う作業もあります。 (4)MWS「社内郵便物仕分」の特徴  「社内郵便物仕分」(図3)は、実務作業の領域に属する作業で、架空の会社に届いた郵便物を、サブブックに収載された「仕分のルール」「組織図」「社員名簿」「社員名簿あいうえお索引」を適宜参照して宛先の部課などの仕分ボックスないしフォルダーに適切に仕分ける作業です。サブブックに収載された「仕分のルール」には、さまざまな場合の例外的な対応方法についても書かれています。 3 MWS新規課題で強化・追加された機能  この研究では、新規課題を一般の成人の方、また障害のある方に対して実施した結果から、新規課題について、次のような機能があると考えています。  簡易版では、作業がより複雑になったことにより、既存課題では把握できなかった作業遂行力の高い対象者の認知的・行動的特性やエラー傾向、その方の強みなどを把握できるようになりました。また、「指さし」や「見直し」などの、作業をするうえでの自発的な工夫が多く見られており、その方が日常的に用いる工夫の把握や、既存課題で習得した補完方法が他の場面でも活用できているかどうかの把握ができると考えられます。  一方、訓練版では、従来の「作業遂行力の向上」や「作業遂行及びストレス・疲労に対するセルフマネジメントスキルの確立」という機能が新規課題のより複雑な作業においても確認されたことに加え、既存課題に比べ、よりリアルな作業であることから、「訓練に対するモチベーションの維持」「自己の特性への気づきと事業所との調整事項の明確化」といった機能が確認されています。 4 MWS新規課題の留意事項  新規課題は、ここまで述べてきたように、認知的な負荷が高いワークサンプルとなっています。そのため、疲労も生じやすく、認知機能の低下がうかがわれる方に対しては、一定時間注意を持続できる程度に回復しているなど、実施のための要件が考えられます。そのほか、モチベーションの維持には工夫が必要であること、過集中の方への対処などいくつかの留意事項があります。  詳細については、当研究部門ホームページ掲載の『障害の多様化に対応した職業リハビリテーション支援ツールの開発(その2)―ワークサンプル幕張版(MWS)新規課題の開発―』(調査研究報告書bP45)(※)でご確認ください。 ※調査研究報告書No.145は、http://www.nivr.jeed.or.jp/research/report/houkoku/houkoku145.htmlからダウンロードできます ◇お問合せ先:研究企画部 企画調整室(TEL:043-297-9067 E-mail:kikakubu@jeed.or.jp) 図1 MWS「給与計算」の課題画面 ※画面は開発中のものです 図2 MWS「文書校正」の課題例 ※課題は開発中のものです 図3 MWS「社内郵便物仕分」の使用物品 ※物品は開発中のものです 【P30-31】 ニュースファイル 国の動き 厚生労働省 仕事中の障害者介助見直しへ  厚生労働省は、重い障害のある人が日常生活で介助を受ける「重度訪問介護」サービスを仕事中には受けられない現状をふまえ、制度見直しも含め議論していく方針を示した。6月に成立した改正障害者雇用促進法の付帯決議で、障害者に対する通勤や職場での支援の在り方の検討を開始するよう求められたことを受け、「障害者雇用・福祉連携強化プロジェクトチーム」を設置した。  重度訪問介護サービスは、重い障害があり常時介護が必要な人が食事、排せつの援助や外出の付き添いなどの支援を公費で受けられる制度。自己負担は最大一割。ただし「通勤や営業活動などの経済活動にかかる外出」は対象外となっている。7月の参院選で24時間介護を受ける2氏が初当選したあと、登院や国会内での移動で公費による介助が受けられなくなることを訴えて問題が表面化していた。 文化庁 チケット転売対策の本人確認、障害者手帳OKに 文化庁は、コンサートなどのチケット不正転売防止のため入場時に行われる本人確認について、イベント主催者らに対し障害者差別解消法の趣旨に基づき障害者手帳も本人確認の証明書として認めるよう求める通知を出した。2020年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会や日本芸能実演家団体協議会など、スポーツや文化の15の統括団体宛て。同庁ホームページでも公開した。  6月に施行されたチケット不正転売禁止法は、不正に入手したチケットでは入場できないようイベント主催者に入場時に買った本人か確認するなどの努力義務を課している。運転免許証やパスポート、マイナンバーカード、在留カードなどは顔写真があり認められやすい。一方、自治体が発行する障害者手帳は、自治体によって顔写真がないものもあり、コンサートで障害者手帳での身分証明を拒まれ入場できないケースが表面化していた。 地震動予測地図、危険度の色を統一  政府の地震調査研究推進本部は、地震によって揺れやすい確率を示す「全国地震動予測地図」などの分布図の色分けを、新しくすることを決めた。レベルに応じて9色にそろえ、色覚障害者にも見やすくする。  分布図はこれまで、危険度が高いものと低いものに同じ黒が使われるなど、色分けが統一されていなかった。このため、気象庁が使用している色分けを参考に配色を決めた。危険度が高い順に「赤紫」、「赤」、「朱」、「橙(だいだい)」、「黄」、「淡黄」、「青」、「水色」、「薄灰」。色覚障害者に配慮し、見分けにくい「赤」と「緑」を同じ図に配置しないようにする。新たに作成・改訂する図から導入する。 地方の動き 神奈川 障害者の製造品、販売促進でアプリ活用  神奈川県は、フリーマーケットアプリの「株式会社メルカリ」(東京都港区)と情報通信技術(ICT)活用に関する協定を結んだ。障害者や高齢者のアプリ利用を進め、商品の販路開拓や障害者の活躍を後押しする。  障害のある人が作業所などでつくる手芸品や菓子などを、メルカリを通じて販売する。障害者の働く作業所やNPO団体向けに導入をうながす研修を共催する。アプリで広く掲載することで販売拡大のほか障害者への理解促進も図る。 兵庫 障害者雇用で神戸市と東大先端研が協定  神戸市と東京大学先端科学技術研究センター(以下、「先端研」)が連携協定を結んだ。あらゆる人を受容する社会の構築を目標に文理や芸術の融合で研究を進める先端研に対し、同市は実証フィールドを提供し、よりよいまちづくりを目ざす。先行して連携してきた障害者雇用の多様化を全市に広げ、再生可能エネルギーやまちづくりの分野でも協力する。先端研が政令指定都市と連携協定を結ぶのは初めて。  障害者雇用については同市と先端研の近藤武夫准教授が連携し、同市内の商店街で、障害者の法定雇用率に算定されない週20時間未満の労働を導入した。長時間働けない障害者の社会参加を促進し、商店街の人手不足解消や地域活性化にもつなげている。協定締結を受け、年度内に別地域でも着手する予定。 福岡 障害者への配慮ガイドブックなどを作成  福岡県は、日常生活で障害のある人に配慮すべきポイントをまとめた「合理的配慮ガイドブック(分野別編)」を作成した。医療や教育など7分野別に、視覚や聴覚など障害の種類に応じて、どんな接し方が望ましいかを事例を挙げて紹介している。  県は2017(平成29)年に「福岡県障がいを理由とする差別の解消の推進に関する条例」を施行。条例の趣旨を広く知ってもらおうと昨年、障害者への基本的な配慮をまとめたガイドブックの「施設利用、情報提供、意思表示の受領編」を発行した。続編となる分野別編は、福祉サービス▽医療▽教育▽スポーツ・レクリエーション・文化活動▽公共交通機関の利用▽不動産取引▽商品・サービス・役務の提供について、利活用しやすいよう8ページずつ紹介。A4判、カラーで2千部を無料配布するほか、県のホームページから無料でダウンロードできる。  また、ウェブ上で公共施設や観光施設のバリアフリー情報を紹介する「ふくおかバリアフリーマップ」も作成。地図上の施設をクリックすると、オストメイト対応トイレや自動ドア、点字案内などの情報を絵文字で表示する。英語、中国語、韓国語にも対応している。 障害のある人への合理的配慮ガイドブック 検索 ふくおかバリアフリーマップ 検索 生活情報 石川 自然栽培ニンニクを加工  農業を通して障害者の自立支援に取り組む「社 会福祉法人つばさの会」(鹿島郡中能登(なか町のとまち))が、町内で農薬と肥料を使わずに育てたニンニク「いだっ娘(こ)にんにく」の加工品2種類の販売を始めた。  商品化したのは、うま味を凝縮した乾燥チップと抗酸化作用を高めた黒ニンニク。皮をむいたニンニクを乾燥させたり高温で保存したりして完成させた。乾燥チップ(40g)は450円(税別)、黒ニンニク(50g)は600円(税別)で、同町内の道の駅「織姫(おりひめ)の里なかのと」と、七尾市の「JA能登わかば本店」で販売している。  今後は、町内の養蜂家がつくったハチミツに漬けた新商品も開発する予定。 働く 京都 日東精工が特例子会社設立  日東精工株式会社( 綾部市)は、障害者雇用促進法に基づく特例子会社「日東精工SWIMMY株式会社」を、本社内に設立した。  従業員は、文書の電子化やデータ入力、印刷業務、社内配送、清掃などの業務を手がける。障害者雇用は日東精工で現在働いている3人からスタートし、徐々に増やしていく予定。同社の障害者雇用率はすでに法定基準を上回っているが「安定した職場環境を確保して地域社会に貢献したい」としている。 京都 有形文化財の旧家に障害者が働く料理店  国登録有形文化財「中野家住宅」(長岡京市)を活用し、障害のある人が夜間に働く場のモデルとして期待される飲食店「なかの邸」がオープンした。  なかの邸は7月中旬にプレオープンし、スタッフとして働く障害のある人たちが、接客や盛りつけ、食器洗いなどの練習を重ねてきた。地元産の食材を使ったおばんざいなどを提供するほか、26種類の日本酒をはじめビールやワインなどのアルコール類も揃える。  営業は日・月曜を除く午後6〜10時。予約・問合せは「なかの邸」へ。 電話 075−959−2877。 本紹介 『吃音(きつおん)と就職 先輩から学ぶ上手に働くコツ』  言語聴覚士の飯村(いいむら)大智(だいち)さんが『吃音と就職 先輩から学ぶ上手に働くコツ』(学苑社刊)を出版した。「就職」という大きなイベントに、悩みながらも吃音とうまく向き合い働いている20人の声を紹介。エビデンスをふまえた解説やアドバイスも加え、働くことを応援するためのサポートブックとなっている。  飯村さんは京都大学総合人間学部卒業、同大学院情報学研究科を修了後に言語聴覚士免許を取得。病院勤務を経て、現在は昭和女子大学人間社会学部非常勤講師。吃音の研究、臨床、教育に従事しながら吃音の学会や自助・支援団体の運営にかかわる。A5判134ページ、1600円(税別)。 2019年度 地方アビリンピック開催予定 11月〜12月 福島県、茨城県、千葉県、三重県、大分県 *部門ごとに開催地・日時が分かれている県もあります *  の県は開催終了 ※全国アビリンピックが  11月15日(金)〜11月17日(日)に、愛知県で開催されます。 地方アビリンピック 検索 福島県 茨城県 千葉県 三重県 大分県 【P32】 掲示板 読者の声 一隅(いちぐう)を照らす 石田 直子  私は、障害者雇用枠で就労している精神障害者です。同じ障害を持つ数名の同僚とともに、簡易事務・庶務の仕事をしています。おもな業務の一つに、社内の会議室の備品点検があります。51室ある会議室を快適に使用できるよう、整えて回る業務です。  会議室が空いている時間を利用して、ホワイトボードの清掃、ペンやクリーナーが使える状態になっているかの確認(必要なら交換・補充します)、プロジェクターなどの機材の動作確認、時計・カレンダー・椅子の状態の確認を行い、点検リストに結果を記載します。仕事をみんなで分担し、会議室1部屋あたり数分から10分程度で作業を完了します。担当業務のなかでも、特にチームワークが必要な作業です。  こうした業務を通して、私たちは少しずつお互いを理解し、助け合い、チームとして働くことができています。また自分たちの業務により、会議室の、そして会社の状態が少しでも整い、社員がみんな、気持ちよく働けることに喜びを感じます。  障害があってもできる業務を通して、自分がささやかながら何かの、だれかの役に立っていることを実感します。チームワークを大切にしながら、これからも、すべての業務に真摯(しんし)に取り組んでいきたいです。 EDITORS,NOTES 次号予告 ● この人を訪ねて  就労継続支援B型事業所などを運営する株式会社フォーオールプロダクト(長崎県)の代表石丸徹郎さんに、お話をうかがいます。 ● 職場ルポ  電力部品の金属精密加工を行う有限会社進工舎(愛知県)を訪問。職場見学やトライアル雇用などを活用し、積極的な障害者雇用と定着に取り組む現場を取材します。 ● グラビア  一般道路や高速道路の舗装などを中心に、幅広く建設事業を展開する福田道路株式会社(新潟県)の、技術研究所で活躍する障害のある方をご紹介します。 ● 編集委員が行く  原智彦編集委員が、高知県立日高特別支援学校と高知大学教育学部附属特別支援学校、その卒業生たちの就労先を訪問。障害者の雇用と就労の現場、支援の様子を取材します。 本誌購入方法  定期購読のほか、最新号やバックナンバーのご購入は、下記へお申し込みください。  1冊からのご購入も受けつけています。 ◆インターネットでのお申し込み 富士山マガジンサービス 検索 ◆お電話、FAX でのお申し込み 株式会社廣済堂までご連絡ください。 TEL 03-5484-8821 FAX 03-5484-8822 編集委員 (五十音順) 埼玉県立大学教授 朝日雅也 株式会社FVP 代表取締役 大塚由紀子 山陽新聞社会事業団専務理事 阪本文雄 武庫川女子大学 准教授 諏訪田克彦 相談支援事業所 Serecosu 新宿 武田牧子 あきる野市障がい者就労・生活支援センターあすく センター長 原智彦 株式会社ダイナン 経営補佐 樋口克己 東京通信大学教授 松爲信雄 有限会社まるみ 取締役社長 三鴨岐子 横河電機株式会社 箕輪優子 あなたの原稿をお待ちしています ■声−障害者雇用にかかわるお考えやご意見、行事やできごとなどを500字以内で編集部(企画部情報公開広報課)まで。 ●発行−−独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 発行人−−企画部長 片淵仁文 編集人−−企画部次長 中村雅子 〒261−8558 千葉県千葉市美浜区若葉3−1−2 電話 043−213−6216(企画部情報公開広報課) ホームページ http://www.jeed.or.jp  メールアドレス hiroba@jeed.or.jp ●発売所−−株式会社 廣済堂 〒105−8318 港区芝浦1−2−3 シーバンスS館13階 電話 03−5484−8821  FAX 03−5484−8822 11月号 定価(本体価格129円+税)送料別 令和元年10月25日発行 無断転載を禁ずる ・本誌に掲載した論文等で意見にわたる部分は、それぞれ筆者の個人的見解であることをお断りします。本誌では「障害」という表記を基本としていますが、執筆者・取材先の方針などから、ほかの表記とすることがあります。 【P33】 障害者雇用支援月間(9月)における厚生労働大臣表彰などの表彰式が開催されました  9月3日(火)、東京都千代田区のMY PLAZAホールにおいて、令和元年度障害者雇用優良事業所等の全国表彰式が開催されました。  当日は、障害者雇用優良事業所、優秀勤労障害者の厚生労働大臣表彰34 件、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長表彰59件のほか、障害者雇用支援月間ポスター原画と障害者雇用職場改善好事例の厚生労働大臣賞、同機構理事長賞の表彰が行われました。  最後に、「障害者雇用優良事業所」として厚生労働大臣表彰を受けられた、株式会社DNPメディア・アート代表取締役社長 高橋 登様が代表者挨拶を述べられました。 写真のキャプション 障害者雇用支援月間ポスター原画の厚生労働大臣賞、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長賞の受賞者 *赤い花の胸章をつけている方々が受賞者 障害者雇用優良事業所 厚生労働大臣表彰 株式会社DNPメディア・アート様(東京都)ほか16事業所 優秀勤労障害者 厚生労働大臣表彰 稲村 初枝様(富山県)ほか16名 障害者雇用職場改善好事例 厚生労働大臣賞 株式会社シーエックスカーゴ 桶川流通センター様(埼玉県) 【裏表紙】 職業リハビリテーションに関する 2019年度研修のご案内 受講料無料  医療・福祉などの各機関における障害者の就業支援担当者を対象に、職業リハビリテーションに関する知識や、就業支援に必要な技術の修得、資質の向上を図る研修を実施しています。 ジョブコーチの養成・スキル向上研修 ステップ1 入門編・実践編 職場適応援助者養成研修 ※1 ◎訪問型職場適応援助者養成研修  千葉市(幕張) 年6回 大阪府摂津市 年4回 ◎企業在籍型職場適応援助者養成研修  千葉市(幕張)年6回 大阪府摂津市 年4回 養成研修修了者サポート研修※2 全国の地域障害者職業センター 講義風景 ステップ2 スキルアップ編 職場適応援助者支援スキル向上研修 ※2 ◎訪問型職場適応援助者支援スキル向上研修  千葉市(幕張)年2回 大阪市 年2回 ◎企業在籍型職場適応援助者支援スキル向上研修  千葉市(幕張)年2回 大阪市 年2回 支援スキル向上研修修了者サポート研修※2 全国の地域障害者職業センター ※1は職場適応援助者として援助を予定している方、※2は職場適応援助者として一定の実務経験がある方が主な対象となります。 医療・福祉などの機関の就業支援担当者向けの研修 ステップ1 入門編 就業支援基礎研修 全国の地域障害者職業センター(各年1回以上) グループワーク ステップ2 実践編 就業支援実践研修 ◎精神障害コース ◎発達障害コース ◎高次脳機能障害コース 全国12エリア(各年1回) テーマ別 就業支援課題別セミナー ◎令和元年度テーマ 「高次脳機能障害者の就労支援」 千葉市(幕張)(年1回) ステップ3 スキルアップ編 就業支援スキル向上研修 ◎精神障害コース ◎発達障害コース ◎高次脳機能障害コース 千葉市(幕張)(年1回) ◎実務経験に応じて、講義・演習・事例検討などを組み合わせた、実践的なカリキュラムとなっています。 ◎研修の参加には事前のお申込みが必要です。受講料は無料です。 ◎今年度の申込受付は既に終了している研修もあります。各研修の日程、カリキュラム、会場、受講要件など、詳しくはホームページをご覧ください。  「就業支援担当者の養成と研修|高齢・障害・求職者雇用支援機構」 JEED 就業支援担当者 研修 検索 お問合せ先 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 職業リハビリテーション部 研修課 TEL 043-297-9095  FAX 043-297-9056 11月号 令和元年10月25日発行 通巻506号 毎月1回25日発行 定価(本体価格129円+税)