【表紙】 令和元年11月25日発行・毎月1回25日発行・通巻第507号 ISSN 0386-0159 障害者と雇用 2019 12No.507 職場ルポ 個々に応じた勤務形態により強みを活かして働く 有限会社進工舎(愛知県) グラビア 仕事とバスケットボールで「ぼくの夢を広げたい」 福田道路株式会社 技術研究所(新潟県)  細谷晃誠さん 編集委員が行く 地域とともに、広く深く学ぶ 高知県立日高特別支援学校、高知県立日高特別支援学校 高知みかづき分校、佐川急便株式会社 高知営業所、旭食品株式会社、高知大学教育学部附属特別支援学校(高知県) この人を訪ねて 福祉業界はクリエイティブな発想で 株式会社フォーオールプロダクト 代表取締役 石丸徹郎さん 「日本一をめざす作家」鹿児島県・薬師神(やくしじん)千華(ちか)さん 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 誰もが職業をとおして社会参加できる「共生社会」を目指しています 12月号 【前頁】 ムスビヤマット 心のアート 山口 達也 (NPO法人 eばしょ結屋/協力:特定非営利活動法人 アートキャンプ新潟) 素材:すべり止めマット、いろいろな古布や古着の端切れ サイズ:470×570mm  僕の好きな色、赤を多めに入れた、お気に入りのマットです。すべり止めマットの目に合わせて端切れを一枚一枚結ぶのは、最初はむずかしくて全然できなかったけど、いまでは自分一人でできるようになりました。それでも完成までに半年かかりました。このマットはお部屋のインテリアとして、だれか気に入ってくれた方に使ってもらえたら嬉しいです。 山口 達也(やまぐち たつや)  1996(平成8)年9月28日生まれ。新潟県新潟市在住。広汎性(こうはんせい)発達障害があります。  就労継続支援B型事業所「結屋(むすびや)」を利用しています。生き物、食べること、走ることが大好き。県内外のマラソン大会にたくさん出場しています。 文:NPO法人 eばしょ結屋 鈴木 景子 【もくじ】 障害者と雇用 目次 2019年12月号 NO.507 心のアート−−前頁 ムスビヤマット 作者:山口 達也(NPO法人 eばしょ結屋/協力:特定非営利活動法人 アートキャンプ新潟) この人を訪ねて−−2 福祉業界はクリエイティブな発想で 株式会社フォーオールプロダクト 代表取締役 石丸徹郎さん 職場ルポ−−4 個々に応じた勤務形態により強みを活かして働く 有限会社進工舎(愛知県) 文:豊浦美紀/写真:小山博孝 NOTE−−10 難病のある人と就労 Vol.1 難病への理解と配慮事項 インフォメーション−−12 障害者の雇用をお考えの事業主の方へ 就労支援機器をご活用ください!/障害者雇用の月刊誌「働く広場」がデジタルブックでお読みいただけます!/障害者雇用のためのマニュアル・好事例集などのごあんない グラビア−−15 仕事とバスケットボールで「ぼくの夢を広げたい」 福田道路株式会社 技術研究所(新潟県)細谷晃誠さん 写真:小山博孝・官野 貴/文:官野 貴 エッセイ−−19 最終回 偶然に出会うこと、偶然から育てていくこと 神田東クリニック副院長 佐藤恵美 編集委員が行く−−20 地域とともに、広く深く学ぶ 高知県立日高特別支援学校、高知県立日高特別支援学校 高知みかづき分校、佐川急便株式会社 高知営業所、旭食品株式会社、高知大学教育学部附属特別支援学校(高知県) 編集委員 原 智彦 霞が関だより−−26 令和元年版 障害者白書概要A 内閣府ホームページより抜粋 研究開発レポート−−28 効果的な就労支援のための就労支援機関と精神科医療機関等の情報共有に関する研究 障害者職業総合センター研究部門 障害者支援部門 ニュースファイル−−30 掲示板・次号予告−−32 表紙絵の説明 「小学5年生のときに自分で考えた物語を書いて、とても楽しかったので『作家になりたい』と思うようになりました。将来たくさんの本を書いて、多くの人に読んでほしいと思い、この作品を描きました。最近は詩集が好きで、いろいろな詩集を読んでいます」 (令和元年度 障害者雇用支援月間ポスター原画募集 中学校の部 高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長奨励賞) ◎本誌掲載記事はホームページでもご覧いただけます。(http://www.jeed.or.jp) 【P2-3】 この人を訪ねて 福祉業界はクリエイティブな発想で 株式会社フォーオールプロダクト 代表取締役 石丸徹郎さん いしまる てつろう 1981(昭和56)年、長崎県佐世保市生まれ。2003(平成15)年、長崎大学経済学部卒業。メディア業界などを経て企画制作会社設立。2012年、30歳で就労移行支援事業所「ホットライフ」を開設。これまで長崎県内に就労支援を目的とした「株式会社フォーオールプロダクト」(https://www.for-all-product.com/)、「一般社団法人stand firm(スタンドファーム)」(https://stand-fi rm.storeinfo.jp/)のほか、福祉プロダクトのリブランディング(※1)に取り組む「株式会社and.basic(アンドベーシック)」(https://and-basic.amebaownd.com/)などを設立。 きっかけは「引きこもり支援」 ――デザインを中心にした就労移行支援事業所などを運営されていますが、設立のきっかけを教えてください。  私は大学卒業後、大手通信販売会社に入社し、テレビ制作部でCMなどをつくっていました。充実した仕事でしたが体を壊してしまい退職。働き方を見直して、26歳のときに企画制作会社をつくりました。イベントなどを手がけるなかで、佐世保市のNPO法人から「引きこもりの若者の、社会復帰プログラムをやりたい」と相談され、運営にかかわりました。  そのときに初めて、当事者の多くに精神障害があることを知りました。半年間の訓練でパソコンスキルなどを身につけ資格を取る人もいましたが、就職せずに再び引きこもる人が続出。障害特性に対する理解が得られないため、社会になじめずにいたようでした。当時は若者が訓練を受けたくなるような就労系障害福祉サービス事業所も少なく、「じゃあ自分たちでやろう」と就労移行支援事業所「ホットライフ」を立ち上げました。 ――ホットライフの事業はどのようなものですか。  パソコンとデザインを中心にした技術指導を行い、職場に通うのがむずかしい人は独立できるよう、私たちが仕事を発注する形を目ざしました。絵やデザインが苦手な人は、興味のあるモノづくりやパソコン操作、検品や納品管理など幅広い作業にチームで取り組みます。  あるとき20代の女性が、地元特産の牡蠣(カキ)をモチーフにした絵をノートに描いていました。のちに地元のフリーペーパーが表紙に使ってくれるほどポップなデザインだったので、それをデータ化し、インクジェットプリンターで布に印刷。裁縫が得意な人がポーチにしてみたら、とても可愛く仕上がりました。そこから「デザインの広がりの可能性」を感じ、商業化を視野に就労継続支援B型事業所「佐世保布小物製作所」を設立しました。  デザインをテキスタイル(布地)に変えると商品化の幅が一気に広がります。布小物などを地元の東急ハンズや、大阪と福岡の百貨店などに置いてもらっていますが「障害者のデザイン」などと強調せず、純粋に商品として扱ってくれます。クリエイターである利用者にとっても、一般の店舗に自分の商品が並ぶことは大きなモチベーションになりますよね。 ――取引先などは、どのように広げていったのでしょうか。  私たちは、商品のオリジナリティーを出すためにも、地域に暮らすクリエイターたちの感性でその土地の魅力を発信することを目ざしました。そこで手がけたのがお土産用の雑貨です。九十九島(くじゅうくしま)や赤レンガ倉庫などをテーマにしたカードケースやハンカチ、コースター、バッグなどを商品開発し、佐世保市の水族館や動物園、美術館、観光案内所、駅前のショッピングビル内などに置いてもらっています。私たちの強みは「中ロット」と呼ばれる数百個レベルの生産で、地域レベルで販売するにはちょうどいい量です。納品する商品の種類は、多い月で2〜3千点ほどになります。  また最近では、クリエイターのみなさんが自ら仕事を取ってくるケースも増えました。自分の名刺を手に地域の観光課などを回って営業する人もいます。彼らがもっと仕事をしやすいように、コワーキング(※2)スペースとして新たにつくったのが就労継続支援B型事業所の「MINATOMACHI FACTORY(ミナトマチ ファクトリー)」です。応接室もあり、利用者と自治体の担当者が打合せをしている光景もよく見られます。 働き方の制限をなくしたい ――利用者のみなさんの収入も上がっているそうですね。  事業所によって作業が異なるため、工賃には幅もありますが、縫製部門で毎日来ている方の工賃は月4〜7万円、長崎県の福祉事業所の平均工賃を大きく上回っています。利用者は19歳から56歳までと幅広く、8割が精神障害のある方、2割が知的障害または身体障害のある方です。個別支援計画上の出席率は9割を超え、比較的安定した職場環境ではないかと考えています。安定して働ける場所であるために職員研修なども重ねていますが、やはりいちばん大事なのは、経済活動において自分の役割があることではないかと思っています。地域のなかで自分が何をやっているか、胸を張っていえるベースとして私たちの商品があり、「この事業所で働くことが誇りだ」といってくれる人もいます。  私は、福祉業界はいま、一番クリエイティブな発想で動ける場ではないかと考えています。そして「働き方の制限をなくしたい」という思いもあります。何を仕事にしてもいい。字がきれいなら、アーケード街にテーブルを出して「のし袋に名前を書く」といった代筆業務をしたら、月に数万円稼げるかもしれない。「ほかに何ができそう?」と彼らに投げかけ、自分たちの好きなことをどう収入につなげるか、雑談しながら話を進めると新しいアイデアも生まれます。実際に自分の得意分野を活かし、水彩画のハンカチ作家になったり、水引(みずひき)(※3)デザイナーとして店舗を構えた人もいます。 まねのできる福祉のビジネスモデル ――今後の事業展開について、考えていることはありますか。  分野に関係なく、魅力的なよい福祉事業所をもっと増やしたいという思いがずっとあります。私たちの経験を活かして、事業所設立のお手伝いもしてきました。佐世保市内の事業所は10年前20カ所ほどだったのが90カ所ぐらいになりました。よりよい支援やサービスが提供できるよう、みんなで連携しながら切磋琢磨(せっさたくま)し、相乗効果も起きています。  今後は全国各地で、私たちのビジネスモデルを参考に、その土地ならではの価値を生み出していってほしいと思っています。昨年度から「一般財団法人たんぽぽの家」(奈良県奈良市)が主催する「IoTとFab(※4)と福祉」プロジェクトに参加し、遠隔型のワークショップを始めました。パソコンから送ってもらったイラストデータを布に印刷し、ポーチやハンカチなどの商品にして戻すというものです。県外の事業所に商品開発のアドバイスをしたり、一緒に素材づくりをしたりといった取組みも行っています。地域の産業や観光に必要とされる事業所を増やすために「まねのしやすい福祉のビジネスモデル」を普及させていきたいですね。 ――一般企業との連携も進みそうですね。  全国の企業のみなさんにぜひ知ってもらいたいのですが、各地の福祉事業所には、専門的な機材があったり、生産能力がとても高いところも多くあります。生産工場の拠点やメーカーそのものとして、福祉事業所と企業は連携できると思うのです。実際に私たちも「パラ×アクティビティ」というジャンルで、アウトドアブランドとして企業と取引きをさせてもらっています。  私たちは、企業と対等にお付き合いできる事業所のあり方を模索しています。これからも新しい福祉事業所のあり方を発信しながら、「ああいう形なら活躍のフィールドができるかも」などと参考にしてもらえるような、企画や事業を展開していくつもりです。 ※1 リブランディング:既存のブランドのデザインやサービスなどを見直し、より効果を発揮するブランドへ再構築すること ※2 コワーキング:事務所スペース、会議室、打合せスペースなどを共有しながら、独立した仕事を行うワークススタイル ※3 水引:祝儀や不祝儀の際に用いられる飾りで、贈答品や封筒につけられる帯ひも ※4 Fab(ファブ):製造、組立てという意味の「fabrication」の略称 【P4-9】 職場ルポ 個々に応じた勤務形態により強みを活かして働く ―有限会社進工舎(愛知県)― 創業80年の小さな町工場では20年以上前から障害のある従業員を採用し続け、いまでは従業員の約半数を占める。だれもが働き続けやすいよう助け合っている職場を取材した。 (文)豊浦美紀 (写真)小山博孝 取材先データ 有限会社進工舎 〒464-0850 愛知県名古屋市千種(ちくさ)区今池2-16-1 TEL 052-731-0817 FAX 052-741-4669 Keyword:精神障害、発達障害、知的障害、高次脳機能障害、障害者トライアル雇用制度、職業能力開発促進センター POINT 1 一人ひとりに合わせた勤務条件で「働き続けられる」職場に 2 それぞれの持ち味を活かしつつ、全員で作業調整も 3 障害のある従業員の「働いてみる機会」を増やし、地域の雇用を促進 障害者が半数近くの町工場  名古屋駅から地下鉄で四つめの千種(ちくさ)駅から徒歩7分。文字通り閑静な住宅街の一角に、蔦(つた)のはう青い壁が目を引く小さな工場がある。金属精密加工を手がける「有限会社進工舎」だ。  工場でつくり出される部品は千種類を超え、取引先は電力会社や鉄道会社など15社以上にのぼる。「規模が小さいので量産はできませんが、細かい仕様や少量加工に対応できるのが売りです」と話すのは、代表取締役社長を務める田中(たなか)誠(まこと)さん。1938(昭和13)年に創業した祖父から数えて三代目にあたる。  「地域の町工場は後継者不足で次々と廃業しているのが現状ですが、幸い、当社は業績も伸ばしており、いまは30代の次男も後継ぎを宣言し、専務として働いています」  従業員は社長を含め14人、うち半数近くの6人が、障害のある従業員(精神障害2人、発達障害2人、知的障害1人、高次脳機能障害1人)だ。 22年前から実習生を受入れ  田中さんが障害者雇用にかかわり始めたのは1997(平成9)年。きっかけは、従業員と近所付き合いのあった50代半ばの男性だった。以前勤務していた会社をバブル崩壊後に退職しており、「どこかに再就職させたいが、知的障害があるかもしれない」と心配した80代の母親とともに、田中さんの元へ相談に訪れた。病院での受診をすすめたところ重度の知的障害があるとわかり、療育手帳を取得。前職で進工舎と同じような仕事をしていたこともあり、実習を経て採用、定年までの19年間働き続けることができたという。  翌1998年には、精神障害のある人の雇用にふみ切った。これは、進工舎も含め愛知県内4500社ほどが参加する「中小企業家同友会」の存在が大きかったという。このなかの障害者自立応援委員会(当時の障害者問題委員会)から精神障害のある人の「模擬就労」の受入れ先を探していると聞き、すでに雇用経験のあった田中さんが手を挙げた。  模擬就労は、名古屋市の精神保健福祉センター(以下、「センター」)が手がける施策の一つ。参加した男性は、東京の会社で営業職だったものの統合失調症を患って辞めたという経緯があった。センター側から精神障害のある人に対する配慮内容などについて説明を受け、まず「会社に行って、仕事をして、帰る」ことを目標にしたという。  職場では1時間仕事をして1時間休憩という勤務の形をとった。無事に1週間を乗り切った男性から「もう少し働きたい」という希望が出たため、厚生労働省の「障害者トライアル雇用」制度(以下、「トライアル雇用」)を活用した。当時、この制度を利用した愛知県内の会社は進工舎が初めてで、新聞などでも紹介されたという。  「このときは初めてのトライアル雇用利用者のためか、ハローワークや愛知障害者職業センター、医療機関の方たちも2週間ごとに集まり、その男性と面談したり経過や今後のことを話し合ったりして、とても手厚いフォローをしてくれました」  男性は半年間のトライアル雇用も無事に終え、2011年まで13年間働いたが、体調を崩して長期入院し離職。田中さんはいまも定期的にお見舞いに行っている。 試行錯誤を重ねた日々  それからも進工舎では少しずつ障害のある従業員を採用してきたが、現場では「試行錯誤(しこうさくご)の連続でした」と田中さんは振り返る。  2003年に入社した男性は、大学院で数学を専攻していたため、NC旋盤(数値制御しながら切削(せっさく)加工をする工作機械)のプログラミングを一手に引き受けてくれた。職場でもなくてはならない存在で、本人も「頼ってもらってうれしいです」と話していたが、しばらくして体調を崩した。本人は自分の状態について「みなさんが1時間80%の力を出しているとき、私は加減ができず150%の力を出すので短時間で疲れ切ってしまう」と説明してくれた。いまは、朝10時半から正午までの1時間半の勤務をしている。それでも毎日は出勤できないが、本人の「働きたい」という意思を尊重し、見守っている。  一方で、高校卒業後に入社したある男性は、仕事にも職場にもなじんでいたが、人混みが苦手なため電車通勤が困難となり、残念ながら1年後に退職した。  また、数年前に入社した20代の男性は、気分障害により、「夜に眠れず明け方に薬を服用すると昼まで寝てしまう」ため、午後からの出勤に変えた。それでもほとんど出勤できない状況になっているが、「休みます」との電話連絡は毎日くる。田中さんは、就労移行支援事業所の担当者とも相談しつつ「本人が行こうと思えば行ける場が必要なのかなと思い、『いつでも来いよ』というスタンスでいます」と話す。  田中さんが「反省すべき失敗がいちばん多かった」と明かすのが、2012年に入社した発達障害のある男性だった。明るく素直で記憶力もすばらしく、職場にもなじんでいた。ところが1年経ったころから体調を崩してしまう。あとになって、その理由が分かった。それは2年目を機に、ほかの従業員から「もう特別な待遇はなくても大丈夫だよな」と激励されたことだったという。それまでの勤務は、数時間働いたら少し休むといった形。また家族と同居する自宅では、朝に好きなテレビ番組が観られないため6時半に出社し、休憩室でテレビを観るのが習慣だったが、「せめて7時半にしたら」と先輩従業員から助言されていた。  こうした小さな激励やアドバイスが、男性にとっては大きな精神的ダメージにつながったようだった。急に「職場でイヤーマフ(耳あて)をつけたい」、「昼の休憩時間にみんなと違う番組を観たいからテレビを増やしてほしい」といった希望を立て続けに出してきた。異変に気づいた田中さんが、対処しようとしているうちに勤務時間が半日になり、まもなく出勤が1日おきに減ってしまった。  田中さんが、男性の通っていた就労移行支援事業所に相談したところ「県の職業訓練校で再訓練ができる」とすすめられた。3カ月後には「バッチリです」と担当者に太鼓判を押されて戻ってきたが、やはり職場でのトラウマが消えず「ここでは働けない」と、別の工場に転職した。ただ男性は、いまでも定期的に進工舎に遊びに来る。トラウマのきっかけだった従業員とも楽しそうに冗談をいい合ったりしているのが幸いだという。  この件があってから田中さんは、「仕事内容にかぎらず、職場で何かいいたいことや変えたいことがあれば、どんな小さなことでも必ず社長を通す」ことを全従業員向けの社内ルールにした。 専務が思いついた工夫  試行錯誤の末、うまくいったケースもある。2014年に就労移行支援事業所の紹介で入社した田山(たやま)幸平(こうへい)さん(27歳)は得意な作業を続けることに秀(ひい)でている。ただし「好きな作業をやり続けたい」ために、担当しているほかの作業が疎(おろそ)かになることがある。また、感情のコントロールが苦手で、ほかの従業員とトラブルになることもあったそうだ。  そして、後でわかったことだが、もともと田山さんは疲れやすく、特に夏場は体力の消耗が激しかったそうだ。だがそのことを口頭で説明できず、結果として作業をしなくなっていた。  そのことに気づいた専務の田中(たなか)翔(しょう)さんが、最初は田山さんと話をしてみたが、本人はなかなか意思表示をしなかった。そこで「毎日5分、一緒に反省会をやろう」と提案した。田山さんには「今日はどんな仕事をしたか」、「体調はどうだったか」、「お客さまにはきちんと挨拶したか」といった5〜6項目についてノートに記録してもらい、自宅に持ち帰って、家族からも一言書いてもらった。こうしたやり取りをくり返すうちに、反省会で「疲れました」としっかり言葉に出して伝えられるようになったという。  田中さんは、翔さんがこうしたアイデアを出せるのは、知的障害のある長男の存在が大きいと感じている。  「幼少期から一番近いところで長男と過ごしてきたので、行動の裏にある心情などを理解し、よい方向へのうながし方もわかるのだと思います」  翔さんはほかにも、職場で人間関係がむずかしくなっていると思われる従業員がいると、こまめに一緒に食事をして話を聞き、人間関係を調整するなど、職場内の潤滑油の役割を果たしているそうだ。 短い勤務時間で長く働く  小林(こばやし)義一(よしかず)さん(56歳)は、2008年に入社した職場の大黒柱の一人だ。以前は建築関係の仕事をしていたが、残業が続いて体調を崩したという。退職後に障害者職業センターに通った後、進工舎に入社し、NC旋盤やボール盤を扱う作業を担当している。25歳のときから薬を服用しており、副作用で体がふらつくことがあるそうだ。  「最初は週5日のフルタイム勤務でしたが、徐々に体に無理がくるようになりました。そこで会社に相談して、いまは水曜日も休みをもらい、8時半から15時まで週4日勤務しています。そして納期の様子を見ながら、たまに30分ほど残業もしています。とにかく体調の維持を第一に、働き続けていきたいですね」と語る。  小林さんは、2017年度には障害者雇用支援月間の優秀勤労障害者として表彰された。精神障害について少しでも理解が広がり、企業の障害者雇用が進むように、田中さんと一緒に研修や講演会で経験などを話している。  小林さんをはじめ、従業員の就業時間は1日1時間半からフルタイムまで多様だ。フルタイム勤務ができない従業員は時間給となるが、金額は仕事内容や勤続年数によって異なる。就業時間と勤続年数によって有給休暇の日数を定めた新しい労働規則もつくった。田中さんがいう。  「職場内の不公平感が出ないようにするとともに、週1日勤務などどんな働き方でも有給休暇があるという提示です」 高次脳機能障害の男性も  2015年に入社した成田(なりた)勝利(かつとし)さん(55歳)には、高次脳機能障害がある。以前は塗装関係の仕事で、いくつも資格を持つ職人だったが、大きなバイク事故に遭(あ)い2カ月間入院。後遺症が残った。退院後は、名古屋市総合リハビリテーションセンターや職業能力開発促進センターで機能回復のための訓練などを行ったという。  その後トライアル雇用を経て、進工舎に入社。給与などは後見人が管理している。「面倒見のよい田中社長のおかげで再就職できました」と笑顔を見せる成田さんは、職場ではいまも苦労の連続だと明かしてくれた。  「とにかく数字が苦手で、職場では小数点以下のサイズで調整する必要があるので苦労しています。ネジの穴がいつの間にかずれていることもしょっちゅうなので、少しでも異変を感じたら、すぐにほかの従業員に確認してもらったり聞いたりしています」 自身の持ち味を活かす  自分の能力を存分に活かしている従業員もいる。2016年に入社した古田(ふるた)知嗣(ともつぐ)さん(23歳)は製図やプログラミングが得意で、古田さんのほかには専務の翔さんしか扱えないという最新型のNC旋盤機を担当している。工業高校卒業後、通常の就職活動がうまくいかなかったが、名古屋市障害者雇用支援センターに1年間通い、進工舎での実習を経て採用されたそうだ。「製品ができる過程をみるのが楽しいです」と笑顔で答える古田さんは、田山さんとも連携をとることが多い。「漫才のような会話のやり取りをしながら、うまく作業を回してくれています」と田中さんは目を細める。 ざっくばらんな先輩たち  障害のある従業員たちとともに職場を支えるのは、ベテランの先輩たちだ。  蟹江(かにえ)正良(まさよし)さんは会社の経営者だったが廃業し、12年前に進工舎に入社した。障害のある従業員とも、ざっくばらんに付き合っているという。「私のいうことを聞いてくれるときと、まったく聞かないときがあります。作業内容を臨機応変に変えてみたり、やる気を出してもらえるようにうまく激励しながらやっています」と話しつつ、「○○くん、この間、初めて数字を50まで数えていましたよ」などと成長ぶりを田中さんに報告するなど、孫のように気にかけている。  田島(たじま)信夫(のぶお)さんは、実習生が来たときに仕事を教える世話係も担当。指導するときに心がけていることや注意していることを聞いてみたが、「うーん、特に気にしていることはないかな」という。  数字が覚えられないという成田さんの指導についても「そんなに問題ではないですね。たまに教えたあとに『あ、理解してないな』と感じたらもう一回教えるだけです。最近は少しずつ変わってきていますよ」と話してくれた。  「障害のあるなしにかかわらず、いろいろな従業員がいますからね。障害のある人が一人もいなかった20年以上前といまを比べても、職場はそんなに変わりませんよ」  そして最長老の85歳だという河合(かわい)勝之(かつゆき)さんは、田中さんの祖父の代から働く、まさに熟練職人。「加工する部品の細かい調整も確認してくれる、従業員たちの師匠のような存在。河合さんしかできない技もあるので、いなくなったらどうしようかと思っています」と話す田中さんは、こう補足する。  「みんなそれぞれの持ち味を発揮してくれますから、それをうまく組み合わせるのが私の仕事といったところです。小さなハプニングも含め、毎日とても楽しいですよ」  そう話していると、事務所に退勤の挨拶にきた小林さんが「あの作業はどうします?」と心配そうにいい、「週明けにみんなで仕上げないと間に合わないね」と田中さんと確認し合っていた。  「こんなふうに、みんなが作業全体の先々の心配をしてくれるので、これまで納期を遅らせたことはありません」と田中さんが笑顔で話す。  従業員のなかには、翔さんの同級生で、他社からの採用を断って入社してくれたという柴田(しばた)直己(なおき)さんもいる。ホワイトボードに書かれている納期を常に確認してくれ、田中さんに「あれを先にしないと終わりませんよ」などと進言してくれるという。残念ながら取材日は翔さんも柴田さんも外出中だったが、若い彼らの奮闘ぶりが田中さんの話からもうかがえた。 実習生の受入れを広めたい  田中さんは「改めて、障害のある人は職場や仕事とのマッチングがとても大事だと思っています」と語る。自身が所属する中小企業家同友会の障害者自立応援委員会でも、障害者雇用がスムーズに進むよう「障害者のインターンシップ」(以下、「実習」)に積極的に取り組んできた。  実習のモットーを、@直接採用の手段としない、A実習生を(アルバイトではなく)研修生として位置づける、の二本柱とし、「社会に出る意味」、「働くことの意義」を確認できるような実習を目ざしている。具体的には自分の得意なことやできること、課題を見極められるような内容を中心に実施しているという。  「このように実習に取り組む機会があっても、中小企業のなかには『そんな余裕がない』、『うちの業種にそぐわない』といって躊躇(ちゅうちょ)する経営者も少なくありません」と田中さんは明かす。そこで実際に働いている障害者や特別支援学校のことをもっと会員に知ってもらおうと、「バリアフリー交流会」を中小企業家同友会の支部ごとに毎年開催している。模擬店のほか障害者が指導にあたる仕事体験コーナーが目玉で、田中さんも障害のあるメンバーとバンドを組んでライブ演奏をするなど盛り上げているそうだ。  また最近同社は、放課後デイサービスを手がける民間施設の生徒たちを受け入れ、「職場体験」も実施している。田中さんが、ある生徒のエピソードを紹介してくれた。  「保護者から『働くのは困難』といわれていた自閉症の生徒は潔癖症で、旋盤機械でネジを1回触る度に洗面所へ手を洗いに行っていました。そこで軍手をはめてできる作業を任せてみたところ、1週間しっかり職場体験を続けられたのです。この経験により本人は大きな自信が持て、きっと将来の描き方も変わってくるだろうと思います。こんなふうに『自分に何ができるか』を探す場があることが大事なのだと実感します」  田中さんは、就職する前の障害者にとって「働いてみる機会」がもっと増えてほしいと願っている。  「ハンディのあるなしに関係なく、挑戦する機会を奪うことは、人生のチャンスを奪うことです。『働きたい』という意欲がある人を応援し、持てる力を発揮し活躍できる企業が少しずつでも増えていくよう、私たちも努力していくつもりです」 写真のキャプション 代表取締役社長の田中誠さん バリ取り(※1)作業が得意だという田山幸平さん ※1 バリ取り:樹脂や金属を加工する際に生じた不要な突起を取り除くこと 進工舎で加工される金属部品は千種類を超える(同社のカタログより) フライス盤やボール盤の操作を担当する小林義一さん 田中社長の次男で専務の田中翔さん(写真提供:有限会社進工舎) ボール盤での作業をする成田勝利さん。部品5〜6個ごとにノギス(※2)で測って確認する ※2 ノギス:長さを100分の5o単位まで精密に測定する測定器 ベテラン職人の河合勝之さん NC旋盤機で作業を進める古田知嗣さん。「これからオールマイティにできるようになりたい」と話す 田山さんたちの指導にあたってきた蟹江正良さん ベテランの田島信夫さん。新しく入る人たちの、よき相談相手だ 進工舎の大黒柱の一人として活躍する柴田直己さん(写真提供:有限会社進工舎) 【P10-11】 NOTE Vol.1 難病のある人と就労 難病への理解と配慮事項  今回から4回にわたり、「難病のある人と就労」をテーマに、「北九州市難病相談支援センター」難病支援担当で保健師の河津(かわつ)博美(ひろみ)さんの監修のもと、難病のある人が就労するために必要な、難病への理解と配慮すべき点について紹介していきます。第1回目の今回は概要として、「難病の定義や代表的な難病」についてまとめました。 難病とは、どのような疾病(しっぺい)なのか  2015(平成27)年に施行された「難病の患者に対する医療等に関する法律」(以下、「難病法」)によると、難病とは「発病の機構が明らかでなく、かつ、治療方法が確立していない希少な疾病であって、当該疾病にかかることにより長期にわたり療養を必要とすることとなるもの」と定義されています。  では、日本において、難病が広く認知されるようになったのはいつごろからでしょうか。昭和40年代に入ってから、国会で難病に関する審議が行われ、1972(昭和47)年には難病対策要綱が策定されました。この要綱では、難病に対する対策の進め方として、@調査研究の推進、A医療施設の整備、B医療費の自己負担の解消の三つが挙げられました。こうして難病の病因・病態の解明研究および診療整備のみならず、難病に対する医療費の公費負担を目ざすようになった経緯があります。  現在、難病対策要綱が策定されてから約半世紀の歳月を経て、難病研究は進展したものの、同時に研究対象とする病気の数は徐々に増加しています。今日でも数百の病気に関する疾患概念の確立や、治療法の開発などの研究が進められています。そして、完治はしないものの、適切な治療や自己管理を続けることで、普通に生活し、就労が可能な難病患者が増加しています。そのため、「病気を抱えながら働く(働き続ける)」ことが今後の大きな課題になっています。 難病に関する制度・診断について  難病法の規定により、厚生労働大臣が定めるものを「指定難病」といい、医療費助成の対象となります。申請に必要な臨床調査個人票は、都道府県知事や政令指定都市の長が定めた難病指定医のみが記載することができます(更新手続きの場合は協力難病指定医も記載できます)。大学病院などには難病指定医がおり、難病患者を受け入れるための体制が整えられています。難病は、「完治」がむずかしくても「寛解(かんかい)」に向けた治療を行ったり、症状の抑制や進行を緩和するための治療も施されています。そのため、症状の安定期においても、 症状の悪化を予防するための服薬や自己注射など、日々の自己管理が不可欠となります。  また、睡眠や食事、服薬などによる体調管理と、検査や治療のために定期的な通院が必要なほか、体調に応じた早めの医療機関の受診も重要になります。 共通する症状と代表的な難病の種類  多くの難病に共通する主な症状に「全身的な体調の崩れやすさ」があります。全身的な疲労や倦怠感、痛み、発熱、集中力の低下など、当初は外見だけでは判断しづらい症状として現れます。これらの症状は、休憩や休暇による疲労回復、早期の通院・治療の必要性の目安となります。そのほかにも難病には、疾病に応じてさまざまな症状があります。症状の経過や疾病の進行にともない、ときには障害が残る場合もあります。また治療によっては、顔のむくみや免疫力の低下、全身の倦怠感が生じるなど、副作用が現れる場合もあります。  現在、難病と呼ばれる疾病の数は300以上あります。そのなかでも、就労世代に多い難病として、@消化器系の難病(潰瘍性大腸炎、クローン病など)、A免疫系の難病(全身性エリテマトーデスなど)、B神経系の難病(若年性パーキンソン病など)などが挙げられます(図1)。また、就労世代のどの年代にも、さまざまな難病の方がいます(図2)。就労の際は、それぞれの症状の特性をふまえた合理的な配慮が必要になります。 難病の特性をふまえた、就労上の留意点  難病患者が就労する場合、疲労を蓄積させないよう休憩を取りやすくするなど、事業者も難病のある従業員の体調に配慮しましょう。さらに、事業者は難病がある従業員と定期的に面談するなど、症状や体調の変化が伝わりやすい環境づくりを行うことが必要です。そして難病のある従業員から配慮の申し出があった際、適切な休憩を確保するなど、より柔軟な対応が望まれています。症状や障害はさまざまですが、作業環境や作業内容を変更することで就業の継続が可能になることも多々あります。  必要な配慮は仕事内容や治療の状況を含め、難病のある従業員によって異なるため、個別に確認が必要となります。難病のある従業員とよく話し合いながら、必要に応じて主治医や産業医などの意見も取り入れて、対応を検討していくことが望まれています。  次号からは、就労世代に多い難病について、具体的な配慮の例を交えながら紹介していきます。 図1 就労世代に多い主な難病 消化器系 潰瘍性大腸炎、クローン病 ●潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜に、クローン病は小腸と大腸を中心として、消化管のどの部位にも慢性の炎症や潰瘍が起こりうる、原因不明の病気。 ●主な症状に消化器機能の症状(腹痛や下痢、血便など)がある。 ●薬物治療などの継続により普段通りの生活を続けることができるが、一時的に症状が悪化する場合があり、特にクローン病では入院を必要とする場合もある。一般に病気を理由に仕事を制限することはないが、過労や過度のストレスで増悪することもあるため、疲れを残さないよう注意が必要である。 免疫系 全身性エリテマトーデス ●免疫機能に異常が生じ、自分自身の細胞を免疫系が誤って攻撃してしまい、全身にさまざまな症状が出る病気。 ●主な症状に疲れやすさ、発熱、関節痛などがある。 ●薬物治療の継続が必要で、日によって体調が変わりやすいという特徴があり、精神的、身体的なストレスを避けることが重要である。 神経系 若年性パーキンソン病 ●40歳以下の人に、運動機能に関する症状が出る病気。 ●主な症状に振戦(ふるえ)、動作緩慢、姿勢保持障害(転びやすいこと)などがある。 ●運動、睡眠、食事、服薬管理が日常生活で注意すべき基本事項である。健康維持のために適度な運動が必須。過度な安静や仕事の制限は、健康や体調維持の妨げとなる 図2 特定医療費(指定難病)受給者証所持者数、年齢階級・対象疾患別 病名 20〜29歳 30〜39歳 40〜49歳 50〜59歳 60〜69歳 消化器系 潰瘍性大腸炎 12,905 21,322 30,538 24,279 20,391 クローン病 7,432 10,016 11,481 6,308 3,027 免疫系 全身性エリテマトーデス 4,386 9,227 14,580 11,643 11,111 ベーチェット病 679 1,861 3,334 2,936 3,003 神経系 パーキンソン病 26 138 1,223 5,188 23,038 脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く) 376 979 2,204 3,240 6,533 (人) ※出典:「平成29年度衛生行政報告例」平成29年度末現在(厚生労働省、平成30年)より作成 【P12-14】 インフォメーション 障害者の雇用をお考えの事業主の方へ 就労支援機器をご活用ください! 中央障害者雇用情報センターでは、障害者を雇用している、または雇用しようとしているみなさまに無料で就労支援機器の貸出しを行っています。  「就労支援機器」とは障害者の就労を容易にするための機器のことで、例えば視覚障害者を対象とした拡大読書器や、聴覚障害者を対象とした補聴システム(集音システム)といったものがあります。 拡大読書器 ●書類や写真などを拡大表示する機器です。 ●コントラストや色調の変更も可能なためより見やすく調整することができます。 ●卓上型、携帯型など活用シーンに合わせて選択できます。 補聴システム(集音システム) 受信機 マイク送信機 ●マイク(送信機)が拾った音を直接、補聴器や人工内耳に届けるシステムです。 ●聞きたい音を大きくできるので就労のあらゆる場面で有効に使用できます。 ノイズキャンセラー パーテーション ●視覚的・聴覚的な刺激を低減させることで、周囲の状況に影響されずに集中できる環境を整えます。 ▲上記は一例です 貸出しの対象となる事業主 障害者を雇用している、または雇用しようとしている事業主など ※国、地方公共団体・独立行政法人などは除く 貸出し期間 原則、6カ月以内 ※職場実習やトライアル雇用の場合も利用できます 貸出しの流れ 申請書の提出 申請書を記入し、メールまたは郵送でご提出ください ※申請書は当機構ホームページよりダウンロードできます 貸出し決定 決定内容を通知し、機器を配送します 貸出しの終了・回収 機構契約業者が回収にうかがいます お問合せ先 中央障害者雇用情報センター 〒130-0022 東京都墨田区江東橋2-19-12 ハローワーク墨田5階 TEL 03-5638-2792 E-mail kiki@jeed.or.jp ※就労支援機器を常設にて展示しているほか、説明会を随時開催しています 就労支援機器を当機構ホームページでもご紹介しています https://www.kiki.jeed.or.jp/ 検索 就労支援機器のページ 検索 障害者雇用の月刊誌「働く広場」がデジタルブックでお読みいただけます! 当機構では、障害者に対する雇用支援などを実施しており、その一環として障害者雇用の月刊誌「働く広場」を発行しています。 本誌は当機構ホームページでデジタルブックでも公開しており、スマートフォンやパソコンでいつでも無料でお読みいただけます。ぜひ、ご利用ください! (毎月5日に最新号がアップされます) 自由に拡大できて便利! 読みたいページにすぐ飛べる! ★国が進める施策の動向や、関係制度、助成金などの支援策を紹介 ★ルポルタージュ形式で、障害者雇用の現場をわかりやすく紹介 ★「働く障害者の高齢化」「精神障害者が働く現場」「特別支援学校の取組み」など、テーマを掘り下げた記事が充実 お問合せ 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 企画部 情報公開広報課 〒261-8558 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-2 電話:043-213-6216  FAX:043-213-6556  http://www.jeed.or.jp  E-mail:hiroba@jeed.or.jp JEED 働く広場 検索 障害者雇用のためのマニュアル・好事例集などのごあんない  当機構雇用開発推進部では、事業主や事業主団体の方々に対し、障害者の雇入れにあたっての工夫・改善、障害者が能力を発揮して活躍するための実践的なマニュアルや好事例集・DVDの提供を行っています。 こんな方におすすめ 雇用の進め方や使える制度など障害者雇用に関する基本的なことが知りたい *はじめからわかる 障害者雇用* 〜事業主のためのQ&A集〜 障害者雇用の知識や関連情報、具体的方策についてわかりやすく解説 *障害者の職場定着と戦力化* 主に中小企業における14 社の事例を掲載。企業トップが語る障害者雇用のメリット、職場定着のポイントなどを紹介 こんな方におすすめ 障害者雇用のさまざまなノウハウが知りたい *障害者雇用のためのDVD* 障害者雇用を積極的に進めている企業の取組みや、雇用管理などに関するさまざまなノウハウを、DVDでわかりやすく解説 ※DVDは無料貸出を行っています こんな方におすすめ 他社の雇用の取組みや改善事例が知りたい *職場改善好事例集シリーズ* 障害者の雇用管理や雇用形態、職場環境、職域開発などについて、事業所が創意工夫を重ねて実践している取組みを、テーマ別にとりまとめて紹介した事例集 こんな方におすすめ 障害者を受け入れるにあたり、従業員が気軽に読めて、配慮事項が理解できる資料がほしい *コミック版* 障害者雇用マニュアル1〜6 障害者雇用に関する問題点の解消のためのノウハウや具体的な雇用事例を、障害別にコミック形式でまとめたマニュアル マニュアルなどについてのお問合せ 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 雇用開発推進部 雇用開発課 TEL:043-297-9513  FAX:043-297-9547 資料はホームページからダウンロードできます。ぜひご活用ください。 http://www.jeed.or.jp/disability/data/handbook/index.html JEED マニュアル 検索 DVD無料貸出しに関するお問合せ 中央障害者雇用情報センター  TEL:03-5638-2792  FAX:03-5638-2282 【P15-18】 グラビア 仕事とバスケットボールで「ぼくの夢を広げたい」 福田道路株式会社 技術研究所(新潟県) 細谷晃誠さん 取材先データ 福田道路株式会社 技術研究所 〒959-0415 新潟県新潟市西蒲区大潟2031番地 TEL 0256-88-5011  FAX 0256-88-5012 写真:小山博孝・官野 貴/文:官野 貴  新潟県新潟市に本社を置く「福田道路株式会社」は、全国各地で一般の道路や高速道路などの舗装(ほそう)を手がけている。現在は障害者雇用率が3%を超えている同社だが、2014(平成26)年までは未達成だった。同年、管理本部の総務人事部長に就任した佐藤(さとう)栄一(えいいち)さんは、「社会基盤をになう会社が、法定雇用率が未達成なのはおかしい」という経営トップの強い考えのもと、積極的に障害者雇用に取り組み、現在16人の障害のある従業員(精神障害9人、知的障害2人、身体障害5人)が活躍している。  建設現場では重機が稼働するなど、危険が多いとの心配があり、現在のところ障害のある従業員が働く場は、本社や研究所が中心となっている。安全・安心な道路をつくるための新技術開発や材料開発などを行う技術研究所では、5人の障害のある従業員が働いており、“なくてはならない貴重な戦力”となっている。  そのなかの一人、細谷(ほそや)晃誠(こうせい)さん(18歳)は、特別支援学校を卒業し、今年4月に入社した新入社員だ。取材時の盛夏のなか、汗だくになりながら強度試験用の供試体(※1)を製作する細谷さんは、「仕事を覚えるのはたいへんです。いまは先輩たちを追いかけるので精一杯です。将来は現場管理者になりたい」という。  そんな細谷さんがいま夢中になっているのが、特別支援学校(高等部)在学中に始めたバスケットボールだ。幼いころから身体を動かすことが大好きだった細谷さんは、めきめきと上達し、新潟県知的障害者バスケットボールの代表チーム「新潟ライジングサンズ」の選手として活躍している。「もっと練習して実力をつけたい」と語る細谷さんは今春、知的障害者バスケットボールの全日本育成練習会に招集された。仕事では現場管理者に、バスケットボールでも日本代表選手にと、細谷さんの夢はさらに広がっていく。 ※1 供試体:強度・耐性など各種の性能試験のために、規格に基づいて作成された試料 写真のキャプション 技術研究所での雇用推進を図る、所長の田口(たぐち)仁(ひとし)さん 管理本部総務人事部長の佐藤栄一さん 供試体は砂利とアスファルトを混ぜてつくる。ミキサ混合器から取り出し、混合物の温度を測る 冷えないうちに供試体を型に収め成形する 締固(しめかた)め装置で供試体に圧力をかけ仕上げる 真剣な表情で締固め装置を取り扱う細谷さん 完成した供試体は、強度試験などにかけられる 心臓の弁置換手術を受けた、技術研究所の石川(いしかわ)収蔵(しゅうぞう)さん(71歳)は、砂置換法土密度試験(※2)などの試験を建設現場で実施している ※2 砂置換法土密度試験:試験孔から掘り取った土の質量と、掘った試験孔に充填した砂の質量から求めた体積を利用し、原位置の土の密度を求める試験 供試体のアスファルト混合物を製作する枡屋(ますや)清則(きよのり)(41歳) 技術研究所での仕事を終えると、細谷さんは母校の新潟県立江南高等特別支援学校へバスケットボールの練習に行く 新潟県代表チーム「新潟ライジングサンズ」の仲間たち 【P19】 エッセイ*【最終回】 偶然に出会うこと、偶然から育てていくこと 佐藤恵美(さとう えみ)  神田東クリニック副院長、MPSセンター副センター長。  1970(昭和45)年生まれ、東京都出身、北里大学大学院医療系研究科産業精神保健学修了。  精神保健福祉士・公認心理師。病院勤務などを経て現職。医療現場および社内のカウンセラーとして多くの労働者の悩みに向き合い、職場に対して健やかな職場づくりのための助言をしている。著書に『ストレスマネジメント入門』(日本経済新聞出版社)、『もし部下が発達障害だったら』(ディスカバー21)などがある。  学生さんを含め、就職を希望する多くの方にお会いしていると、「自分に合った仕事が見つからない」、「仕事にするような好きなことがない」、「特にやりたいことがない」などの声をよく耳にします。こうした言葉の根底には、「仕事は、好きなことや得意なこと、他者より秀(ひい)でていることを活かして就くものだ」という考えがうかがえます。しかし、もし自分のなかにそれらを探しても見つからないし、見つけたと思ってもうまくいかなかったとすれば、どうでしょう。自分が一体どのように社会に存在したらよいか分からなくなり、不安と恐怖で押しつぶされそうな気持ちになってしまうことでしょう。なぜなら、好きなことや得意なこととは、すなわち自分らしさの大事な一部であり、それらが見つからないことや通用しない経験は、自分自身の存在があまりにも不確かで、かつ否定されているのと同じように感じてしまうからです。  好きなことを仕事にしたいとか、自分のいいところを活かして仕事をしたいと思うのは、ごく自然な発想です。実際、そうした考えから仕事を得ている人もいるでしょう。しかし、必ずしもそれが、仕事探しの出発点でなくてもよいと考えています。むしろ「いま、あると思っている好きや得意」に縛られると、可能性の幅が狭(せば)まり、さまざまなチャンスに対応する柔軟性を欠いてしまうこともあるように思います。  さて、キャリアをどのように選択し、発達させ、創り上げていくか、ということに関する知見を体系化した「キャリア理論」にはさまざまな考え方があります。そのなかで、J.Dクランボルツにより提唱された「計画された偶発性」という理論は、「キャリア形成は、すべてを意図通りにできるものではなく、むしろ偶発的な出来事や、偶然の出会いによって決定づけられるものであり、その偶発に自ら恵まれるよう建設的に考え、柔軟かつ積極的に周囲に働きかけていることが重要」というものです。  多くの人は、仕事に就こうとするときや、キャリアに行き詰まったときには、自分の志向性や能力、適性、スキルなどを意図的に積み上げて、入りたい会社ややりたい仕事への合理的な道筋を打ち立てようとするものです。いわんや、本人だけでなく、就労支援の専門職ですら、このような道筋を見つけさせることが主要な支援であると考えがちです。たしかに、形あるものを自分の手中に入れ、それを積み上げることで、前に進み、希望に近づいているような安心感を覚えることはあるでしょう。しかし、クランボルツがいうように、すべては意図通りにいかないのです。  だからこそ最も大事なことは、自分にとって大事な偶然を得られるよう、いまの視点から未来を規定しすぎずに、心のドアを大きく開けておくという準備なのだと思います。そのドアからフットワークよく出かけて行って、あらゆる選択肢をブロックせずに、多くの人に会ったり、さまざまな機会に参加したり、これまでやったことのないことを経験してみたり、などというところから始めてみてもよいのだと思います。するともしかしたら、自分が好きだと思っていなかったことや、得意だと思っていないこと、関心がなかったこと、予想だにしなかったことが、キャリアのチャンスとなっていくかもしれません。そして、好きとか得意と思えないまま得たチャンスでも大事にし、ゼロから自分の好きや得意を育て、少しずつ自分を見つけていくこともとても大事な、キャリアと人生のつくり方であるように思うのです。  さて、今回でこの連載エッセイは最終回ですが、私の専門である労働者支援の立場から、仕事を探す人へのメッセージとなるよう、書いてみました。少しでも気持ちが楽になり、改めて前向きな一歩がふみ出せるようにと願っています。 【P20-25】 編集委員が行く 地域とともに、広く深く学ぶ 高知県立日高特別支援学校、高知県立日高特別支援学校 高知みかづき分校、佐川急便株式会社 高知営業所、旭食品株式会社、高知大学教育学部附属特別支援学校(高知県) あきる野市障がい者就労・生活支援センターあすく センター長 原 智彦 取材先データ 高知県立日高特別支援学校 〒781-2151 高知県高岡郡日高村下分60 TEL 0889-24-5306 高知県立日高特別支援学校 高知みかづき分校 〒780-0972 高知県高知市中万々(なかまま)88 TEL 088-823-2021 佐川急便株式会社 高知営業所 〒783-0040 高知県南国市(なんこくし)岡豊町(おこうちょう)滝本851-1 TEL 088-866-1111 旭食品株式会社 〒783-8555 高知県南国市領石246 TEL 088-880-8111 高知大学教育学部附属 特別支援学校 〒780-8072 高知県高知市曙町2-5-3 TEL 088-844-8450 編集委員から  今回、取材をお願いしていた9月9日に台風15号が関東を直撃し、千葉県・茨城県などに多大な被害をもたらしました。当初予定していた日程などの急な変更に対応していただいた取材先のみなさまに、心より感謝申し上げます。その後の台風も含め、被災されたみなさまには心よりお見舞い申し上げます。 写真:小山博孝・官野 貴 Keyword:特別支援学校、地域連携 POINT 1 地域と連携した学習内容の充実〜プロから学ぶ〜 2 雇用企業および事業所とのネットワーク 3 就労してからの学び、雇用してからの育成 地域に出かけ、地域に知ってもらう  「高知県立日高特別支援学校」は、1969(昭和44)年に開校し、昨年、創立50周年記念事業を行った。知的障害のある児童・生徒を対象とした小学部、中学部、高等部の一貫教育を行っている学校である。学校は小高い山の上にあり、寄宿舎も併設している。校長の利岡(としおか)徳重(のりしげ)先生と教頭の安東(あんどう)恵美(えみ)先生にお話をうかがった。  「先生方の意識は高く、職業教育の知識や技術を自分が覚えて生徒に伝えるようにしています。職業教育に特化した高等部だけの学校として開校した『高知みかづき分校』では、地元の企業や専門学校と『ジョブ・サポーティング・パートナーズ』(※1)を締結し、外部の専門家を活用しながら、生徒と先生方が学校内・外で作業の質を高めるために学んでいます。本校でも、地域との交流に重点を置いた取組みを行っています」と校長の利岡先生は話す。  地域交流という点では、高齢者施設やリサイクル活動で地域とのつながりを進めている。近隣の神社の行事に参加し、作業学習などで生産した竹炭(ちくたん)や野草の入浴剤の販売などをする生徒や、PTAの出店によって、学校の存在が幅広く知られるようになってきた。地域とつながり、交流を継続していくことが大切と考えている。  全児童・生徒数は113人で、そのうち寄宿舎の利用者が52人いる。小学部から入舎している児童もおり、将来の自立に向けて生活に必要な力を学んでいる。自宅から通学している多くの児童・生徒は、スクールバスを利用しており、自力で通学する生徒は、交通事情の関係もあり数人のみだ。  「本校では、寄宿舎から自宅へ戻り通学する生徒もいます。1カ月間通学することができたら自宅へ戻る。こうして生徒が目標を持つこと、それを周囲の大人が応援することが大切だと考えています。企業などへ実習に出ると、作業ができていても自己肯定感が低いため、生徒は(できなかった)と自己評価する。そこで、即時評価(その場でほめる)を教員に周知しています。学校時代の学びは大切であり、学校と外(地域社会)で、同じ評価が返ってくると安心する。環境を整えられれば、働ける人も多いのです」と利岡先生はいう。  また、不登校の生徒にも支援を怠らない。面談をすると「勉強したい」というので、自宅学習の機会をつくり、学習支援をして家庭訪問も行った。その生徒は卒業式当日も参加できなかったため、その日の午後に校長室で卒業証書を渡したという。  穏やかに、しかし熱く語る利岡先生の話からは、一人ひとりの生徒の願いをていねいに受け止め、その環境を整えることで、生徒のよさを引き出すための配慮や工夫をしていることがうかがえる。 プロから学ぶ、地域で学ぶ  同校の「高知みかづき分校」は、高知市内に2011(平成23)年に開校した。まずは教頭の竹内(たけうち)英貴(ひでたか)先生と、進路指導主事の藤本(ふじもと)信之(のぶゆき)先生にお話をうかがった。  同校は特別支援学校入学生の増加にともない、高等部単独設置の分校として開校し9年目になる。1学級8人、1学年2学級の小規模な学校である。今年度から入学定員が3学級(24人)となった。入学選考があり、成績だけではなく、社会性と本人の想いを重視する。入学後は職業教育を重視し、社会性を身につけることを大事に考えている。そこでは、成人期の生活に必要な学習も大切にしているという。  職業教育(作業学習)の授業では、「物流実務」、「環境サービス(清掃)」、「フードビジネス(食品製造・接客)」の学習をしている。各授業では、先述した「ジョブ・サポーティング・パートナーズ」により、地域の企業や団体から、職業自立に向けた専門的な技術や知識を学べるよう、外部専門家を活用している。  「物流実務」では、企業の助言を受けて、物品の整理・整頓などの基本から、パソコンを利用して実際の流通管理・在庫管理の応用力を身につけている。また、この作業班では封筒を製造しており、自校の封筒製造以外に教育委員会から受注し、製造・納品していることが特徴である。封筒の品質は高く、評判がよいとのこと。受注作業であるため、生徒には顧客意識が生まれ、品質にも意識が向く。そこで、封筒の出来具合の検品があり、3段階の評価基準を設けている。このことが品質を高め、生徒の目標になっているところがよい。  「環境サービス」では、やはり企業の助言を受け、ビルメンテナンス協会の清掃検定と、指導いただいている企業より清掃技術を学んでいる。「アビリンピック」や「高知県特別支援学校技能検定」に参加しており、今年7月に開催されたアビリンピック高知大会の「ビルクリーニング」に出場し、金賞を受賞している。訪問時には、生徒のみなさんが学校周辺の清掃をしながら道具の基本的な扱いを学んでいるところであった。  また、作業の体験として、フードビジネスの授業を受け持っている「学校法人三谷学園RKC調理製菓専門学校」に出向いて、定期的に窓拭きやトイレ清掃をしており、その授業の様子を案内していただいた。  生徒は徒歩で20〜30分程度の専門学校まで移動をして、清掃に取り組む。専門学校の先生方からは、生徒のみなさんの挨拶や返事がすばらしいとの評価をいただいた。また、清掃は、1年生と2年生がペアを組んで、上級生が下級生を教えるような仕組みになっており、先生方はジョブコーチ的に指導・助言をする役割をになっている。先生方は「先輩は後輩に教えることで学びがさらに深まる」と話す。取材のためか生徒たちはやや緊張気味であったが、仕事の学び方を身につけるという点では、よい方法である。専門学校の先生方によると、彼らのていねいな清掃は、学生たちに障害者と仕事への理解を深める契機になっているとのことである。貴重な出会いがあるように感じた。  「フードビジネス」では、RKC調理製菓専門学校校長の島村(しまむら)昌利(まさとし)先生が外部専門家として授業に入り、専門的な技術や知識に関する指導を行っている。また、分校内に「イエロークロワッサン」というカフェを開設し、地域の人に利用してもらっている。島村先生が開校当初のカフェ設置や商品開発に協力した。その後も、パン製造などの授業の講師として、月に2回、分校で授業を行い、基本的技術を教えるとともに、生徒の商品開発にも協力するなど、指導にあたっている。島村先生によると、分校の生徒および教員はみな熱心であるという。このカフェは、パンや菓子のメニューも多く、製造工程を客席からガラス越しに見学できる点もよい。品質を大切にしながら、衛生管理もしっかり行っている様子がお客さまにも伝わる。 「佐川急便株式会社高知営業所」を訪ねて  竹内先生と藤本先生に案内してもらい、卒業生が働く会社2社を訪問した。まずは、「佐川急便株式会社 高知営業所」にうかがい、所長の中川(なかがわ)誠(まこと)さんと、安全推進課係長の八木(やぎ)武人(たけひと)さんにお話をうかがった。本社人事部からも係長の佐藤(さとう)美穂(みほ)さんが来られ、卒業生の職場定着の様子を一緒に見学した。本誌は同社でも読まれており、特に企業の障害者雇用の担当者はよく読んでくださっているようである。  卒業生である入社4カ月目の吉松(よしまつ)将太(しょうた)さん(18歳)と、入社8年目の先輩、三谷(みたに)理志(さとし)さん(27歳)にお話を聞いた。  三谷さんは業務内容をよく理解しており、後輩の面倒見もよい。担当業務は、ベルトコンベアで流れてくる荷物の仕分けで、なかには重い荷物もあるようだ。吉松さんは、現在は荷物の仕分け、事務所内外の環境整備などを担当している。学校時代に「環境サービス」の授業で学んだ清掃技能を活かしている。  「掃除は得意ですね?」の質問に、吉松さんはすぐに「はい」と答えた。三谷さんは、「自分のわかる範囲で教えました。吉松さんは積極的に覚えてくれるので、一緒に仕事がしやすいです」という。  所長の中川さんは、「三谷さんは後輩が困っていると声をかける。話しやすい先輩であり、相談できる人です」と話す。吉松さんも「採用当初、困っていたところを教えてもらいまいした」と話す。  進路指導主事の藤本先生によると、「吉松さんは、当初は清掃系の作業を行う就職先を考えていたが、物流を含めて選択肢を広げて考えたところ、こちらの職場を選択することになった」とのこと。八木さんによると、「最初は仕分け作業から始まり、次は各エリアごとに作業量や種類がだんだんと増えてくる」そうである。  「任せられる仕事が増えることは会社にとっても大切なことです。通勤は、2人とも自転車で、吉松さんは約45分間かけて通勤しています。卒業時よりも身体が引き締まってきたようです」と八木さんは話す。  中川さんによると「2人とも嫌な顔をしているのを見たことがない」とのこと。また、2人が地域で活躍したエピソードを紹介してくれた。  「最近、近隣の食堂でボヤ騒ぎがあり、2人は先輩たちと一緒に消火活動を行ったそうです。『初期消火で済んだのは、日ごろから練習していたおかげだと思う』と話してくれました」という。  中川さんは、「会社としても、多様な方たちが働けるように対応していかなければいけない。2人は貴重な戦力なので、希望を聞きながら長く働いてもらいたい」と話してくれた。 「旭食品株式会社」を訪ねて  次に、旭食品株式会社の本社を訪問、管理統括本部人事部人事課課長の肘井(ひじい)由希子(ゆきこ)さんにお話をうかがった。  旭食品は卸売業がメインであるが、地域の生産品である柚ゆ子ずなどを使った加工食品の製造でも有名な企業である。高知みかづき分校卒業生の中平(なかひら)カンナさんは、入社2年目。同社物流倉庫の1階で働いている。肘井さんによると、中平さんは「根は素直で恥ずかしがり屋。特定の人とは話せるが、初めての人に対しては話しかけづらそう」とのお話。最初は一緒に食事をしたり、コミュニケーションを取るように心がけたそうだが、取材したころには、同じ部署の3階フロアの女性社員に手を握って応えるなど、スキンシップでの交流ができるようになっていた。  担当上司であるセンター長の田中(たなか)修己(おさみ)さんによると、最初は入荷作業から始め、その後出荷作業を覚えて、商品知識が増えたところで、2年目からは「荷合わせ(パソコンによる個口表の作成)作業」に入った。「本人が仕事を覚えたことで、ほかの人に別の作業を任せることができるようになり助かった」とのこと。荷合わせ作業は1日あたり3時間ほどの作業。パソコンは学校時代から練習して身につけたとのことであった。  「自慢できることじゃない」と中平さんは遠慮がちにいうが、上司は「間違わないことが会社の信頼性を上げている」と話す。見学後のみなさんとの会話のなかで、学校時代にダンスが上手であったことが話題となり、会社の「よさこい祭りチーム」に入りたいと思っていたことがわかった。旭食品の「よさこい祭りチーム」は高知では有名な強豪チームだ。中平さんの仕事と「よさこい」が、これからの目標となった素敵な見学訪問であった。 本物から学ぶ、プロから学ぶ  次に、安東先生の案内で、1970年開校の「高知大学教育学部附属特別支援学校」を訪ねた。校長の蒲生(がもう)啓司(けいじ)先生、副校長の杉元(すぎもと)美栄(みえ)先生、「菓子工房hocco sweets(ホッコ スイーツ)」店長を務める谷(たに)亜由美(あゆみ)先生からお話をうかがった。  まずは、高等部の作業学習のひとつとして運営しているお店「hocco sweets」についてお聞きした。2014年秋にドイツ菓子を提供するお店としてオープンし、いまでは地域住民との交流の場にもなっている。また、教員以外に、一般スタッフ(接客レジ1人、製造2人)を雇用し、生徒・教員と一緒に働くお店になっているところが特徴である。一般スタッフとして、障害者雇用枠で卒業生が2人働いているところも先進的である。  こうした環境のなかで、生徒たちは緊張感を持って学習している。教育目標は社会的自立、自己実現であり、学年に応じた作業、現場実習をしている。このお店は学校内にあり、食品製造分野での就労がむずかしいなか、生徒が製品の品質や接客を学べる場として、地域のお客さまの認めるものをつくることを目標としてきた。  お菓子づくりは本場ドイツのマイスター(※2)で松山市在住のエンゲルハート先生から、年に2回研修を受けている。エンゲルハート先生は製菓・製パンマイスターであり、新商品を販売する際は、先生が試食し、許可が出ないと商品にはならない。プロが認めたものしか販売していないのだ。  これらの教育実践は、高知大学の高知発達障害研究プロジェクト(2008〜2015年)の「職業教育課程研究」がきっかけであり、賞味期限が長いドイツ菓子の製造・販売の店をオープンすると決めた際に、エンゲルハート先生につながったそうである。さらには、小学部のときからお店で食事をしたり、隣にある給食室に配膳の当番で来たときにお店を見るなど、高等部生徒の作業の様子をたびたび目にすることで、児童生徒が日ごろから「働くこと」を学べる環境となっている。  お店で働く高等部2年生のM田(はまだ)慶次朗(けいじろう)さん、川渕(かわぶち)由香(ゆか)さんの2人に聞いてみた。  M田さんは「手洗いや身支度など、衛生管理について学んでいます」。川渕さんは「お客さまがうれしそうにしていることが楽しい」とのこと。  菓子製造や包装などの作業場が、客席から見える場所にあることが、生徒の顧客意識から品質意識へとつながる環境を整えているように思う。卒業生には、在校中にアビリンピック高知大会の「喫茶サービス」で金賞を受賞し、全国大会に出場した人もいる。開店して5周年を迎える今年は、セット販売や宅配便で発送する注文も受けるようになった。地域のみなさんの家へのポスティングによるPRも行っており、生徒の学びが広がってきている。 おわりに  特別支援学校3校を見学し、職業教育の内容に広がりと深まりを感じた。地域の企業や関係機関の助言を受けて、先生方の研修も行っている。外部専門家が生徒に直接教える機会を設ける、オープンキッチンを取り入れたカフェや実習室を用意する、学校外・地域から作業を受注するなどの工夫により、生徒の学びが深く広いものになりつつある。  また、卒業生を雇用している事業所2社を見学し、雇用側の人材育成と定着支援に向けたきめ細かな取組みに障害者雇用に対する理解と広がりを感じた。これらの生徒・卒業生の学びをつないでいる進路担当者や管理職をはじめとする先生方の役割の大切さについても、改めて考えさせられた。  案内していただいた竹内先生、藤本先生、安東先生らの、生徒の生活や学びの経過をふまえた支援が、卒業後の企業の人材育成を支えるものとなっている。日ごろから地域とつながり、企業・事業所と顔の見える関係をつくっているからこそ、できることであろう。 ※1 ジョブ・サポーティング・パートナーズ:「物流実務」、「環境サービス」、「フードビジネス」の各分野で、企業や専門学校の専門スタッフによる、職業自立に 向けた専門的な知識や技術の指導を受ける取組み ※2 マイスター:ドイツにおける高等職業能力資格認定制度の有資格者であるスペシャリスト 写真のキャプション 高知県立日高特別支援学校 高知県立日高特別支援学校校長の利岡徳重先生(左)と、教頭の安東恵美先生(右) 「物流実務」を学ぶ ケーキづくり、パソコン学習と、それぞれの作業学習に取り組む生徒たち 学校近くのRKC調理製菓専門学校へ出かけ、窓拭き、トイレ清掃などの作業をする高知みかづき分校の生徒たち RKC調理製菓専門学校校長の島村昌利先生 高知みかづき分校のカフェ「イエロークロワッサン」 オリジナルキャラクターの「イエクロくん」が入り口でお出迎え 佐川急便株式会社高知営業所所長の中川誠さん(右)、安全推進課係長の八木武人さん(中央)、本社人事部係長の佐藤美穂さん(左) 吉松将太さん(右)と、三谷理志さん(左) パソコンで個口表の作成作業をする中平カンナさん(手前)。その作業を見学する原智彦編集委員(奥) 旭食品株式会社の人事部人事課課長を務める肘井由希子さん 高知大学教育学部附属特別支援学校 同校内にある「hocco sweets」 校長の蒲生啓司先生(左)の案内で、ドイツ菓子とコーヒーをいただく 【P26-27】 霞が関だより 令和元年版 障害者白書概要A 内閣府ホームページより抜粋  前月号では、第1章「障害のある人に対する理解を深めるための基盤づくり」、第2章「社会参加へ向けた自立の基盤づくり」、第3章「日々の暮らしの基盤づくり」の概要について紹介しました。今月号は、第4章と第5章の概要を紹介します。 第4章 住みよい環境の基盤づくり 第1節 障害のある人の住みよいまちづくりと安全・安心のための施策 ●移動等の円滑化の一層の促進  ・バリアフリー法の改正  理念規定の新設、公共交通事業者等によるハード・ソフト一体的な取組の推進、バリアフリーのまちづくりに向けた地域における取組の強化等 ●ユニバーサルデザインの考え方を踏まえたバリアフリー施策の推進  ・心のバリアフリーの推進  高齢者、障害のある人等が公共交通機関を利用する際等の支援、接遇を的確に行うための研修プログラムやマニュアルを交通事業者や観光事業者に向けて作成、教育・研修を促進 ●住宅、建築物のバリアフリー化の推進  ・ホテル・旅館、観光地のバリアフリー化  障害のある人等がより円滑にホテル・旅館を利用できるよう、バリアフリー客室基準を改正。また、「宿泊施設におけるバリアフリー情報発信のためのマニュアル」を作成し公表 ●公共交通機関、歩行空間等のバリアフリー化の推進  ・主要鉄道駅・主要ターミナルにおけるバリアフリー化  2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機に、バリアフリールートの複数化、エレベータの大型化やホームドアの設置等のバリアフリーの高度化を推進  ・ICTの活用によるシームレス(※)な移動の実現  屋内外を問わず、現在位置やバリアフリーに関する情報を容易に入手できるよう、GPSの届かない地下街等における空間情報インフラの整備や、施設のバリアフリー情報を含む各種データのオープンデータ化等を推進 ●防災、防犯対策の推進  ・救急現場における多言語音声翻訳アプリの利用  タブレットやスマートフォンで多言語音声翻訳アプリを利用し、救急隊員が外国人や聴覚に障害のある人と円滑なコミュニケーションを図ることが可能  ・音声によらない119番通報  聴覚・言語機能に障害のある人など音声通話での119番通報が困難な人が、スマートフォンなどを活用して音声によらずに消防への通報を行える「Net119 緊急通報システム」を運用 第2節 障害のある人の情報アクセシビリティを向上するための施策 ●情報バリアフリーの促進  障害に対応するICT技術の開発を推進する企業等への助成や、音声認識技術の高度化を推進 ●コミュニケーション支援体制の充実  ・電話リレーサービス  聴覚に障害がある人が家族などに頼らずに電話をかけられるよう、手話通訳や文字通訳に対応するオペレーターを配置して支援する「電話リレーサービス」を推進 ●障害者の情報アクセス機会の充実に係る著作権法の一部改正  視覚障害者等のために書籍の音訳等を権利者の許可なく行うことを認める規定について、音訳等を提供できる障害者の範囲の拡大や、音訳等を行える主体の拡大(一定の要件を満たせば文化庁長官の指定を受けることなく行えるよう見直し) 第5章 国際的な取組 ●国際協力等の推進  ・障害のある紛争被害者のソーシャルインクルージョンプロジェクト  国内武力紛争による被害と障害という二重の困難に直面する人々の社会復帰を目指し、公的サービスへのアクセシビリティ向上、非障害者の障害理解の促進や能力強化の分野で協力 ※ シームレス:途切れのない 参考資料 障害者に関するマーク(一例) マーク名 称概要等 障害者のための国際シンボルマーク 障害者が利用できる建物、施設であることを明確に表すための世界共通のシンボルマーク 盲人のための国際シンボルマーク 世界盲人連合で1984年に制定された盲人のための世界共通のマーク 身体障害者標識(身体障害者マーク) 肢体不自由であることを理由に免許に条件を付されている方が運転する車に表示するマーク 聴覚障害者標識(聴覚障害者マーク) 聴覚障害であることを理由に免許に条件を付されている方が運転する車に表示するマーク ほじょ犬マーク 身体障害者補助犬法(公共施設、交通機関や民間施設などに対して、補助犬ユーザーによる補助犬同伴の受け入れを義務づけるもの)を啓発するマーク 耳マーク 聞こえが不自由なことを表すと同時に、聞こえない人・聞こえにくい人への配慮を表すマーク オストメイト用設備/オストメイトオストメイトのための設備(オストメイト対応のトイレ)があること及びオストメイトであることを表すマーク ハート・プラスマーク 身体内部(心臓、呼吸機能、じん臓、膀胱・直腸、小腸、肝臓、免疫機能)に障害がある人を表すマーク 「白杖SOS シグナル」普及啓発シンボルマーク 白杖を頭上に掲げている視覚障害者を見かけたら進んで支援しようという「白杖SOS シグナル」運動を普及啓発するマーク ヘルプマーク 外見から分からなくても援助や配慮を必要としている方々が、周囲の方に配慮を必要としていることを知らせることができるマーク 障害者白書は、内閣府ホームページに掲載しています。http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/index-w.html 【P28-29】 研究開発レポート 効果的な就労支援のための就労支援機関と精神科医療機関等の情報共有に関する研究(※1) 障害者職業総合センター研究部門 障害者支援部門 1 研究の趣旨  精神障害や発達障害のある人たちのなかには精神科医療機関(以下、「医療機関」)を利用している人がいます。医療機関と就労支援機関(以下、「支援機関」)の両機関を利用する人たちに対しては、支援機関の職員は医療機関の職員と支援対象者(以下、「対象者」)に関する情報を共有・連携して支援に当たることが大切です。医療に関する情報は、支援機関の職員が対象者の心身の状態に配慮した支援を実施することに役立ちます。一方、就労支援に関する情報は、医療機関の職員が対象者の生活・就労の状況を把握することに役立ち、適切な治療を可能にします。  そこで、当研究部門では、支援機関と医療機関が効果的に情報共有・連携を行うために必要な視点やノウハウを収集し整理した結果を「就労支援と精神科医療の情報交換マニュアル」(以下、「マニュアル」)(※2)としてまとめ、2017(平成29)年に上梓(じょうし)しました。とはいえ、このようなマニュアルを関係機関に配布するだけで、はたして医療機関と支援機関の情報共有・連携が円滑に進むようになるのでしょうか。マニュアルで示すことができるのは原則論に過ぎず、地域の状況に即した具体的な情報共有・連携の在り方については各地域の支援機関と医療機関の対話に基づいて検討することが必要ではないでしょうか。  このような問題意識のもと、2017年度から2018年度にかけて、マニュアルに示した視点やノウハウを普及する取組みを複数の地域で実施することで、支援機関と医療機関の情報共有・連携をうながすことができるかについて検証を行いました。  これと並行して、障害のある人が自分の状況を見える化し、その情報を関係者(例えば、職場の管理者)と共有することで本人と関係者のコミュニケーションを円滑にするとともに、適切なセルフケアやラインケア、外部の専門的なケアにつなげて、安定した職業生活の継続を支える「情報共有シート」の開発にも取り組みました。 2 情報共有に関する視点やノウハウを普及する取組みで地域の情報共有・連携は変わったのか?  それではまず、情報共有に関する視点やノウハウを普及する取組みによって「取組みを実施した地域の情報共有・連携の状況が変わったのか」について調べた調査結果について紹介します。  取組みを実施した地域は全国4カ所のハローワーク管轄区域(以下、「調査地域」)でした。これらの地域において「研修講座」、「パネルディスカッション」、「グループワーク」、「フォローアップ」、「助言者の設置」という五つの取組みを実施しました。  「研修講座」は、マニュアルに掲載した視点やノウハウに関する説明を中心に行いました。講座は「就労支援機関と精神科医療機関の情報共有・連携の必要性」、「情報共有・連携の前提」、「情報共有・連携の課題」、「効率的な情報共有・連携を行うために支援機関が留意すべきこと」、「情報を共有するためのツールの有効活用」などの話題から構成しました。  「パネルディスカッション」では、調査地域に所在する支援機関や医療機関の職員などから選定したパネリストに、情報共有・連携の現状や工夫していることなどについて発表していただきました。発表終了後には、パネリスト間およびほかの参加者との間で質疑応答を行いました。  「グループワーク」では、5〜6人のグループごとに、地域の現状や課題、課題を克服するための地域における行動計画などについて討議を行いました。医療機関の敷居を高く感じる支援機関の職員が多いことをふまえて、各グループは支援機関と医療機関の双方の職員により構成しました。また、グループでの討議内容を参加者全員で共有するため、全体討議も行いました。  「フォローアップ」は、グループワークが終了した約3カ月後と約1年後の計2回実施しました。そこでは、各地域における情報共有・連携の状況や変化、グループワークで話し合われた行動計画の実施状況、行動計画が十分に実施されていない場合は、実施されるための対策について参加者間で話し合いました。  「助言者の設置」は、支援機関の職員は医療機関の仕組みや事情に詳しくない、反対に医療機関の職員は支援機関の仕組みや事情に詳しくないといった背景を考慮した取組みです。具体的には、連携を進める際に不明なことがあった場合などに相談・助言する者を、調査地域内に所在する支援機関と医療機関の双方から選び、研究参加者が相談できる窓口を設けました。  それでは、以上の取組みを実施することで地域の情報共有・連携に変化はあったのでしょうか。図1は、支援機関の職員が取組みに参加する前と後で医療機関との情報共有や連携に関する行動を実施する頻度(以下、「実施頻度」)がどのくらい変わったのかを示したものです。図には「対象者本人からの同意取得」、「文書等による事前連絡」、「問題発生時の協議」という3種類の行動についての実施頻度を取組みの参加前後に測定した結果を示しています。図中の●は職員間の実施頻度の平均を示しており、その上下につけられた棒は職員間における実施頻度のばらつきの程度を表しています。いずれの行動についても、取組みの参加後の実施頻度は参加前よりも高くなっていることが分かります。このように本研究で実施した取組みは情報共有に関する行動をうながすことができる可能性が示されました。本研究で実施した取組みを参考に、地域事情に精通した関係者や地域のネットワークづくりを主導する機関が中心となって、就労支援機関と精神科医療機関の支援ネットワークが形成されることが期待されます。 3 就労継続を支える情報共有シート  次に、本研究で開発した情報共有シートについて紹介します。このシートは、障害のある人が自分の状況について自らチェック(見える化)し、その情報を支援者や職場の人と一緒に確認することで、コミュニケーションを円滑にし、適切なセルフケアやラインケア、支援機関や医療機関の対応につなげることを目的としています。主たる利用者として、「自身の体調変化に気づけず、体調が悪化し仕事に影響が出る人」や「悩んでいても周囲の人からは元気にやっていると思われがちで、自分の思いを伝えにくい人」を想定しています。  本シートは「生活面:睡眠、食事、服薬、その他の日常生活面をチェックする欄」、「心身の状況:体調や意欲、疲労などの心身の状況をチェックする欄」、「対処・工夫: 体調を維持するための対処や工夫の状況をチェックする欄」などを組み合わせ1日1行程度記入するものです(例は図2)。どの欄でシートを構成し、どのような状態・行動をチェックするかなどは、基本的に本人が決め、本人が決められない場合にのみ支援者が助言します。また、状況や目的により情報共有すべき内容は変わるため、シートを更新する必要もあります。  シートを利用した支援者を対象にした調査では「支援者が本人のセルフケアを意識して支援するようになった」、「本人が必要な対処行動をとれるようになった」などの効果が報告されています。シートの作成・活用方法などは「情報共有シート活用の手引」(※3)にまとめていますので、ご興味のある方はぜひ手引をご覧いただき、ご活用ください。 ※1 本研究「調査研究報告書No.146」は、http://www.nivr.jeed.or.jp/research/report/houkoku/houkoku146.htmlよりダウンロードできます ※2 http://www.nivr.jeed.or.jp/research/kyouzai/kyouzai55.htmlよりダウンロードできます ※3 http://www.nivr.jeed.or.jp/research/kyouzai/kyouzai60.htmlよりダウンロードできます ◇お問合せ先:研究企画部 企画調整室(TEL:043-297-9067 E-mail:kikakubu@jeed.or.jp) 図1 取組みへの参加による支援機関の職員の行動の変化 (%) 100 80 60 40 20 0 参加前 参加後 医療機関との情報交換の際、必要性を本人に説明し、本人の同意を取得 参加前 参加後 医療機関に問合せをする際、相談経過・確認事項を事前に文書等で伝達 参加前 参加後 問題が発生した際、医療機関と協議 図2 情報共有シートの例 日にち 生活面 心身の状況 対処・工夫 相談ごと 困りごと 確認者のサイン 就寝時間 起床時間 食事 服薬 体調 意欲 ストレッチ 水分補給 4月1日 22:00−6:00 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ 4 4 2 3 ◯ レ 4月2日 22:30−6:10 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ 4 3 2 3 ◯ レ 4月3日 22:00−5:50 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ 3 3 2 3 ◯ レ 4月4日 23:00−6:00 レ◯ ◯ レ◯ ◯ 2 1 2 2 レレ 4月5日 22:00−6:20 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ 3 2 4 3 ◯ レ 4月6日 23:00−7:00 レ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ 3 3 1 2 ◯ レ 4月7日 22:30−7:15 レ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ 3 3 1 2 ◯ レ 食事・服薬⇒した場合:○ 抜けた(忘れた)場合:レ 心身の状況⇒非常に良好:5〜非常に不良:1 対処・工夫⇒非常に良くできた:5 〜全くできなかった:1 相談ごと・困りごと⇒ない:○ ある:レ 【P30-31】 ニュースファイル 国の動き 警察庁 聴覚障害者向け「110番アプリシステム」開発  警察庁は、聴覚や言語機能に障害があり110番通報が困難な人に向けて、スマートフォンを利用し文字や画像で通報できる「110番アプリシステム」を開発し運用を始めた。  専用アプリをダウンロードし、氏名などを登録すると利用できる。アプリを起動すると「何がありましたか」、「けが人はいますか」、「救急車の手配は必要ですか」といった現場状況の質問項目が表示される。事件事故の内容別に選択式のフォームがあり、管轄する都道府県警に通報できる。文字入力による細かいやり取りや写真の送信も可能。GPSの位置情報を使って通報場所も確認できる。 政府 手話通訳電話24時間化へ  政府は、聴覚障害のある人が手話通訳者などを介して障害のない人と通話する「電話リレーサービス」の公共インフラ化を進め、24時間体制での利用を図り、2021年度の運用開始を目ざす。  電話リレーは、パソコンやスマートフォンなどのテレビ電話やチャット機能を使い、通訳オペレーターに手話や文字入力で伝えると通訳が代わりに相手と会話する仕組み。現在は日本財団の業務委託によりサービスを提供する事業者と、厚生労働省の補助を受けて独自にサービスを実施している事業者がある。政府はオペレーターの確保・育成を進め、24時間365日利用できる環境を整備。緊急通報も利用できるよう拡充を図る。 国土交通省 障害者らに優しい道路へ指針  国土交通省は、障害のある人や高齢者、ベビーカー利用者ら「要配慮者」が通行しやすい道路整備を自治体に進めてもらうため、当事者の要望を反映したバリアフリー化の指針を策定する方針を固めた。今年度中に要配慮者の要望についての調査に着手する。  国交省は、駅や空港と公共施設などを結び、障害のある人や高齢者が多く利用する道路を「特定道路」に指定。一方で、歩道と車道の境界を認識できる段差の確保や、段差の高さに関する改善の声もあった。  要配慮者からの要望調査の結果をもとに、2020年度にも道路構造に工夫を施すための指針をまとめて、自治体に示す。 地方の動き 岐阜 障害者への声がけを手助けサポーター認定制度を導入へ  周囲に配慮や支援を必要としていることを知らせる「ヘルプマーク」を身につけている障害のある人に、積極的に声がけなどを行う人を「ヘルプマークサポーター」として認定する制度を、岐阜県が年内に始める。  ヘルプマークは、義足や人工関節を使用していたり、外見からはわかりにくい障害のある人に、周囲が気づきやすくするもの。交通機関や商業施設での声がけや手助け、席を譲るといった行動をうながす。十字とハートをあしらったヘルプマークは、岐阜県でも2017年に導入し、ストラップ約3万個を配布した。その一方でマークの意味を理解する人を増やすため、率先して行動するサポーターの認定制度を検討。既存の各種研修を活用し、障害の特性や日常で困る状況、必要な対応について学んでもらう。受講者にサポーターへの協力を依頼し、名刺サイズの認定カードを交付する。 愛媛 障害者向け「災害対応の手引」県が作成  愛媛県は、西日本豪雨を教訓として障害者に特化した災害対応の手引を作成した。本人や家族らに役立ててもらうのがねらい。  自分の情報や手助けしてほしいことを記入し携帯する「ヘルプカード」の作成方法や、備蓄品や被災時の行動、自分で記入する避難計画書などを収録した。文字の大きさや配色も工夫し、わかりやすさを重視。点字版、音声版CDは年内に完成する見込みで、本年度中に障害者対象の防災研修も計画している。  A4判34ページで2万部を作成し、障害者団体などに配布する。県や市町村の障害福祉担当課でも入手できる。 生活情報 石川 「バス内美術館」障害者の複製画など展示  芸術の才能がある障害者の創作を支援する「金沢アート工房」の作家14人の作品が、金沢市が運行する「ふらっとバス」の全車両14台を「金沢アウトサイダー・アート美術館inふらっとバス」と銘打ち、車内に複製画計188点を飾る。  昨秋から2台で展示していたが、より多くの作品を発信し作家の自立を応援しようと、市が展示拡大を決めた。10月から順次運行している。 岡山 重度障害者向けに観光マップ  重度障害者が倉敷市の街を気軽に楽しめるようにと、重症心身障害児者(以下、「重症児者」)をサポートする小児科医らでつくる「倉敷地区重症児の在宅医療を考える会」が、「重度重複障がい児(者)の幸せを願う会 『ますかっと』」などから外出に役立つ情報を集め、観光マップをつくった。  痰(たん)の吸引など医療的ケアが必要な重症児者は、大人用のおむつ交換台や広い洗面台を備えたトイレ、大型エレベーター、車いす専用駐車場がない施設には行けず、外出をためらう傾向にある。  マップでは、美観地区と児島地区の二つのモデルコースを紹介。入り口にスロープのあるカフェや、おむつ替えに簡易ベッドが利用できる施設、平たんな道で車いす利用者らの負担が少ないエリアなどを掲載している。主な施設のエレベーターの寸法や車いす用駐車場の台数も掲載した。倉敷市観光休憩所、同市総合療育相談センターで無料配布する。 働く 岐阜 オンダ製作所が障害者雇用する子会社設立  配管資材メーカーの「株式会社オンダ製作所関工場」(関市)は、岐阜市にある「一般社団法人光陽福祉会」の事業所内に、重度の知的・精神障害のある人を雇用し、製品組立て作業を行う子会社「なないろ製作所」を設立した。  オンダ製作所関工場は光陽福祉会と2017年に業務提携を結び、就労移行支援事業所などに作業を委託していた。設立した子会社には、これまで作業にたずさわってきた男性5人が就職した。同法人の利用者も社員とともに職業訓練として作業に取り組む。来年春の特例子会社化を目ざしている。 本紹介 『ピアスタッフとして働くヒント 精神障がいのある人が輝いて働くことを応援する本』  日本ソーシャルワーク学会副会長で日本社会事業大学教授の大島(おおしま)巌(いわお)さんらが、『ピアスタッフとして働くヒント 精神障がいのある人が輝いて働くことを応援する本』(星和書店刊)を出版した。  メンタルヘルスの領域において脚光を浴びている「ピアスタッフ」について、現場の「ピアスタッフとして働きたいけど不安だ」、「何から始めればよいかわからない」、「ピアスタッフを雇いたいが具体的にどうすればいいか」といった声に応え、専門家や当事者らが、できるだけ専門用語を使わず、わかりやすく説明。ピアスタッフの現状や歴史的背景、制度などに加え、現場の思いや葛藤など生の声も収録されている。A5判280ページ、2400円(税別)。 みんなで作り、みんなで使う「音声ナビ・プロジェクト」  視覚障害者向け機器の開発・販売などを手がける「株式会社アメディア」(本社・東京都練馬区)は、「一般社団法人音声ナビネット」と、音声ガイド地図の本格的なシステム構築と普及を目ざして「音声ナビ・プロジェクト」を始めた。目の不自由な人たちも外出しやすいよう、音声を使った地図と歩行ナビゲーションのインフラを整備する。開発と運営をアメディアが担当し、無料利用できる形で公開する。  技術的には音声ナビ・アプリの「ナビレコ」や、地図作成の編集ソフト「ナビエディット」を活用。公開ウェブサイト「ナビ広場」で作成者がアップロードするとそのまま掲載され、ナビレコ・ユーザーでなくても自由に参照できる。「みんなで作り、みんなで使う」をモットーにした音声ガイド地図を実現するため、現場を周知する人によるコメントや、作成してほしい地図のリクエストなどの書き込みを広く呼びかけている。また同社では、音声ガイド地図作成の普及のため講習会なども行い、活動に参加できる人を募っている。 問合せ先:株式会社アメディア http://www.amedia.co.jp/ 電話 03−6915−8597 2019年度 地方アビリンピック開催予定 12月〜1月 茨城県、広島県、佐賀県 *部門ごとに開催地・日時が分かれている県もあります *茨城県、広島県、佐賀県以外の県は開催終了 地方アビリンピック 検索 【P32】 掲示板 高障求 メールマガジン 好評配信中!  独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構では、当機構が全国で実施する高齢者や障害者の雇用支援、従業員の人材育成(職業能力開発)などの情報を、毎月月末に、みなさまに配信しています。 雇用管理や人材育成の「いま」・「これから」を考える人事労務担当者のみなさま、必読! 高齢 超高齢社会の人材確保 障害 障害特性に応じた配慮の方法 求職 ものづくり技術伝承や人材育成 みなさまの「どうする?」に応えるヒントが、見つかります! または JEED メルマガ で検索 【登録用QRコード】 ※カメラで読み取ったリンク先がhttp://www.jeed.or.jp/general/merumaga/index.htmlであることを確認のうえアクセスしてください。 次号予告 ●リーダーズトーク   全国で中華料理レストランチェーンを展開する株式会社王将フードサービス(京都府)の代表取締役社長 渡邊直人さんに、お話をうかがいます。 ●職場ルポ  地図作成や地理情報の提供などを行う九州地理情報株式会社(福岡県)を訪問。障害のある方が、社内での役割のステップアップにチャレンジできる雇用の仕組みを取材します。 ●グラビア  大阪府を中心に、ポップコーンの製造・販売などを行う「ポップコーンパパ」を展開している、株式会社Dreamsの障害のある社員の活躍をご紹介します。 ●編集委員が行く  大塚由紀子編集委員が、株式会社大創(だいそう)産業(広島県)を取材。障害者の雇用と就労の現場および支援の取組みを取材します。 本誌購入方法  定期購読のほか、最新号やバックナンバーのご購入は、下記へお申し込みください。  1冊からのご購入も受けつけています。 ◆インターネットでのお申し込み 富士山マガジンサービス 検索 ◆お電話、FAX でのお申し込み 株式会社廣済堂までご連絡ください。 TEL 03-5484-8821 FAX 03-5484-8822 あなたの原稿をお待ちしています ■声−−障害者雇用にかかわるお考えやご意見、行事やできごとなどを500字以内で編集部(企画部情報公開広報課)まで。 ●発行−−独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 発行人−−企画部長 片淵仁文 編集人−−企画部次長 中村雅子 〒261−8558 千葉県千葉市美浜区若葉3−1−2 電話 043−213−6216(企画部情報公開広報課) ホームページ http://www.jeed.or.jp  メールアドレス hiroba@jeed.or.jp ●発売所−−株式会社 廣済堂 〒105−8318 港区芝浦1−2−3 シーバンスS館13階 電話 03−5484−8821  FAX 03−5484−8822 12月号 定価(本体価格129円+税)送料別 令和元年11月25日発行 無断転載を禁ずる ・本誌に掲載した論文等で意見にわたる部分は、それぞれ筆者の個人的見解であることをお断りします。本誌では「障害」という表記を基本としていますが、執筆者・取材先の方針などから、ほかの表記とすることがあります。 編集委員 (五十音順) 埼玉県立大学教授 朝日雅也 株式会社FVP 代表取締役 大塚由紀子 山陽新聞社会事業団専務理事 阪本文雄 武庫川女子大学 准教授 諏訪田克彦 相談支援事業所 Serecosu 新宿 武田牧子 あきる野市障がい者就労・生活支援センターあすく センター長 原智彦 株式会社ダイナン 経営補佐 樋口克己 東京通信大学教授 松爲信雄 有限会社まるみ 取締役社長 三鴨岐子 横河電機株式会社 箕輪優子 【裏表紙】 ◆広域センター・地域センター 一覧◆ 令和元年11月25日現在 広域障害者職業センター 全国の広範な地域から障害者を受け入れ、職業評価、職業指導、職業訓練などの職業リハビリテーションを実施し、その成果に基づく指導技法などを能力開発施設へ提供しています 国立職業リハビリテーションセンター (中央障害者職業能力開発校) 〒359−0042 埼玉県所沢市並木4−2 04−2995−1711 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター (吉備高原障害者職業能力開発校) 〒716−1241 岡山県加賀郡吉備中央町吉川7520 0866−56−9000 地域障害者職業センター 障害者に対する専門的な職業リハビリテーションサービス、事業主に対する障害者の雇用管理に関する相談・援助、地域の関係機関に対する助言・援助を実施しています 北海道障害者職業センター 〒001−0024 札幌市北区北二十四条西5−1−1 札幌サンプラザ5階 011−747−8231 旭川支所 〒070−0034 旭川市四条通8丁目右1号 LEE旭川ビル5階 0166−26−8231 青森障害者職業センター 〒030−0845 青森市緑2−17−2 017−774−7123 岩手障害者職業センター 〒020−0133 盛岡市青山4−12−30 019−646−4117 宮城障害者職業センター 〒983−0836 仙台市宮城野区幸町4−6−1 022−257−5601 秋田障害者職業センター 〒010−0944 秋田市川尻若葉町4−48 018−864−3608 山形障害者職業センター 〒990−0021 山形市小白川町2−3−68 023−624−2102 福島障害者職業センター 〒960−8054 福島市三河北町7-14 福島職業能力開発促進センター内 024−526−1005 茨城障害者職業センター 〒309−1703 笠間市鯉淵6528−66 0296−77−7373 栃木障害者職業センター 〒320−0865 宇都宮市睦町3−8 028−637−3216 群馬障害者職業センター 〒379−2154 前橋市天川大島町130−1 027−290−2540 埼玉障害者職業センター 〒338−0825 さいたま市桜区下大久保136−1 048−854−3222 千葉障害者職業センター 〒261−0001 千葉市美浜区幸町1−1−3 043−204−2080 東京障害者職業センター 〒110−0015 台東区東上野4−27−3 上野トーセイビル3階 03−6673−3938 多摩支所 〒190−0012 立川市曙町2−38−5 立川ビジネスセンタービル5階 042−529−3341 神奈川障害者職業センター 〒252−0315 相模原市南区桜台13−1 042−745−3131 新潟障害者職業センター 〒950−0067 新潟市東区大山2−13−1 025−271−0333 富山障害者職業センター 〒930−0004 富山市桜橋通り1−18 北日本桜橋ビル7階 076−413−5515 石川障害者職業センター 〒920−0901 金沢市彦三町1−2−1 アソルティ金沢彦三2階 076−225−5011 福井障害者職業センター 〒910−0026 福井市光陽2−3−32 0776−25−3685 山梨障害者職業センター 〒400−0864 甲府市湯田2−17−14 055−232−7069 長野障害者職業センター 〒380−0935 長野市中御所3−2−4 026−227−9774 岐阜障害者職業センター 〒502−0933 岐阜市日光町6−30 058−231−1222 静岡障害者職業センター 〒420−0851 静岡市葵区黒金町59−6 大同生命静岡ビル7階 054−652−3322 愛知障害者職業センター 〒460−0003 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