【表紙】 令和2年2月25日発行・毎月1回25日発行・通巻第510号 ISSN 0386-0159 障害者と雇用 2020 3 No.510 職場ルポ 百貨店を支える多様な業務、雇用管理の工夫で個々の能力を活かす 株式会社JFRクリエ(大阪府) グラビア 伝統を引き継いで 〜米沢銘菓 謙信せんべい〜 就労継続支援B型事業所ワークから・ころ アクティブから・ころ(山形県) 公開座談会 精神障害者雇用は今!〜雇用継続のヒントを探る〜 私のひとこと テクノロジーが変える課題先進国の福祉と介護 関西学院大学人間福祉学部 教授 生田正幸さん 「本屋さんでの実習」長野県・シンディ・ナターシャ・ハンダヤニさん 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 誰もが職業をとおして社会参加できる「共生社会」を目指しています 3月号 【前頁】 心のアート ふくろう 土江広 (NPO法人サポートセンターどりーむ) 陶芸品:15p×7p ふくろうをつくろうと思ってつくったんではないよ。 お母さんと一緒に粘土コネコネしていたらふくろうになったんだ。不思議だネ。 土江広(つちえひろし):1976(昭和51)年4月5日生まれ。  ぼく知的障害だって……!  お母さんのお腹にいる7カ月のとき、職場でお母さん転んじゃったんだって。  そのとき、ぼくの首にへその緒が巻きついたの。  この世に生まれたとき、しばらくしてから「オギャー!!」と元気な声で泣いたよ!!  「ぼく生きるんだぁ〜」って。  ぼくの家族は生まれてきたことをとっても喜んでくれたよ。  いまはすっかり元気!!就労継続支援B型事業所「わんぱく大使館」で、箱運びや陶芸・粘土で遊ぶことがだーい好きなんだ!!  ここにはネコのしげる君もいるし、みんなみんなお友だち! 楽しいところだよ。  「サポートセンターどりーむ」は、できる・できないではなく存在≠サのものを受け入れてくれるところなんだ!!  お母さん、いつもつぶやいているよ。「存在≠サのものが大事よ」って……。 文:土江広 【もくじ】 障害者と雇用 目次 2020年3月号 NO.510 心のアート−−前頁 ふくろう 作者:土江広(NPO法人サポートセンターどりーむ) 私のひとこと−−2 テクノロジーが変える課題先進国の福祉と介護 関西学院大学人間福祉学部 教授 生田正幸さん 職場ルポ−−4 百貨店を支える多様な業務、雇用管理の工夫で個々の能力を活かす 株式会社JFRクリエ(大阪府) 文:豊浦美紀/写真:官野貴 NOTE−−10 難病のある人と就労 最終回 神経系の代表的な難病について インフォメーション−−12 2019年4月号〜2020年3月号「働く広場」記事索引/職業センターの技法開発をご紹介します グラビア−−15 伝統を引き継いで 〜米沢銘菓 謙信せんべい〜 就労継続支援B型事業所ワークから・ころ アクティブから・ころ(山形県) 写真:小山博孝・官野 貴/文:官野貴 エッセイ−−19 第3回 発達障害とともに働くということ―長所を伸ばし才能を磨く― 内閣府地域働き方改革支援チーム委員(兼務 株式会社東レ経営研究所) 渥美由喜 公開座談会−−20 2019年度内閣府主催 障害者週間連続セミナー 精神障害者雇用は今! 〜雇用継続のヒントを探る〜 霞が関だより−−26 令和元年 障害者雇用状況の集計結果A 厚生労働省 職業安定局 障害者雇用対策課 研究開発レポート−−28 −合理的配慮に関する職場での話合いと仕事の満足度− 調査研究報告書148「障害のある労働者の職業サイクルに関する調査研究(第5期)」 障害者職業総合センター研究部門 社会的支援部門 ニュースファイル−−30 「読者アンケート」結果のご報告 掲示板・次号予告−−32 表紙絵の説明 「学校近くの本屋さんで職場体験をしました。店員さんに教えてもらいながら、バーコード入力をする仕事です。緊張している様子を絵にしようと思いました。髪の毛や影の表現など、うまく描けたと思います。いまは、高校入試に向けて勉強をがんばっています」 (令和元年度 障害者雇用支援月間ポスター原画募集 中学校の部 高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長賞) ◎本誌掲載記事はホームページでもご覧いただけます。(http://www.jeed.or.jp) 【P2-3】 私のひとこと テクノロジーが変える課題先進国の福祉と介護 関西学院大学人間福祉学部 教授 生田正幸 課題先進国の不安  いま、社会や経済のあり方が、大きく変わりつつあります。コンビニエンスストアやファストフード店で外国人や年配の店員を見かけることが増え、女性の運転するバスやタクシー、列車や配送トラックが目立つようになりました。空き家の増加、シャッターを閉じた店が多い商店街、廃止・統合される小学校や中学校、若い世代の患者をあまり見かけない医療機関、バス路線の減便や廃止、過疎化が進み廃墟(はいきょ)化する集落など、地域によって、人によって、気づくところ、変わったところは違うでしょうが、さまざまな変化が起こっています。  こうした変化の多くは、人口の減少や高齢者世代の増加など、急激な少子高齢化の影響によるものです。今後、さらにいろいろな影響が表面化し、人手不足や介護問題、過疎化など社会的課題の拡大と深化が進むことは避けられません。当然、私たちの暮らしも影響を受け、税金・社会保険料の引上げや社会保障の見直しにより負担や制約が増えるなど、大きな変化にさらされていくことになります。  このような変化を国家規模で経験した例は、まだ世界のどこにもありません。厳しい少子高齢化に加え、自然災害も多発するこの国は「課題先進国」といわれ、そこに暮らす私たちは、だれも経験したことのない時代を切り開いていくことを迫られているのです。 新しい「あたりまえ」が生まれる時代  私たちが向き合っているのは、これまで「あたりまえ」だと思われていたことがあたりまえではなくなり、「新しいあたりまえ(常識)」が生まれる時代といえます。私たちは、それぞれの生まれ育った時代と社会を背景にした「あたりまえ」を数多く抱えていますが、それらが大きく変わろうとしているのです。  例えば、少し前までは、列車のなかで新聞や週刊誌を読むことがあたりまえでしたが、いまでは、あまり見られなくなりました。新聞を配達してもらっている家庭も減りました。スマートフォンのニュースや動画サイトで用が足りるのでテレビを持っていないという若い人も増え、マスメディアのあり方が大きく変わりつつあります。  家族のあり方も変わりました。三世代同居があたりまえだった時代は、それほど前のことではありませんが、いまではひとり暮らしが大きな割合を占めるようになり、大都市圏では、一人暮らしの高齢女性が急増すると懸念されています。家族のあり方、家族という結びつきが大きく変わりつつあるといえるでしょう。  社会的弱者と見なされることが多かった高齢者や障害者の立場にも変化が見られます。高齢人口が増えることで、健康や生活に問題や課題のある人が社会の主流派(メインストリーマー)になったことが大きな要因と考えられます。  これら以外にも、夫婦や親子、学校や職場の人間関係、恋愛や結婚、就職や働き方など、社会と暮らしのさまざまな面で「あたりまえ」が変わりつつあります。 テクノロジーがになう期待と懸念  困難が予想される今後を切り開いていくうえで、大きな期待を集めているのがテクノロジーの急速な進歩です。特に、近年におけるICT(情報通信技術)や情報・データ活用の進化には目を見張るものがあります。  私が専門としている福祉・介護分野においても、入所施設や在宅で生活している利用者を支援するためのサービスや事務処理などの業務を効率化し高度化するため、各種の情報システムや情報機器が活用され、人手不足への対処や利用者の生活の質の向上に大きな期待を集めています。また、ICT機器を活用した見守りや、地域社会における職種・事業所の枠を超えた業務の連携や情報共有を支えるネットワークシステム、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)、ロボットといった先端テクノロジーの活用により、次の時代のサービス・支援のあり方を積極的に模索する取組みも増えてきました。最近では、福祉・介護問題の当事者や家族、支援者などの情報発信や連携、社会参画に、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などのインターネットサービスが活発に利用され、2022(令和4)年に中国・杭州(こうしゅう)で開催されるアジア競技大会の正式競技として採用される見込みとなった「eスポーツ(コンピュータ・ゲーム)」への障害者の関心の高まりなども注目されています。  そこで、今後の大きな課題とされているのが、テクノロジーを活用し収集したデータに基づく、より効果的で効率的な福祉・介護サービスの実現です。少子高齢化がさらに進行していくなかで、人手不足はもちろんのこと、福祉・介護サービスを支える各種資源の不足が進むことは避けられません。そのため、かぎられた資源を有効に活用して、サービス提供を維持し、質の向上を図ることが求められており、利用者の状態を客観的なデータで把握して、相応(ふさわ)しいサービスを適切に提供していく取組みが進められようとしています。時代が求める福祉・介護の新しい「あたりまえ」に向けた動きといえるでしょう。  また、懸念される点もあります。データや情報をどのように活用していくのかという問題です。ビッグデータに代表される各種データの活用が活発化しており、プラットフォーマー(※)と呼ばれる少数の企業が、個人情報を含むデータを大量に収集・集積していることに批判と警戒が強まっています。福祉・介護・医療に関するデータにも注目と関心が集まっていますが、取扱いと利用に十分な配慮が必要であることは、いうまでもありません。  次の時代の福祉・介護は、テクノロジーの進歩に支えられ、新しい姿へと変貌していくことになります。道具や手段としての活用にとどまらず、福祉・介護のあり方そのものにかかわる可能性が大きいだけに、福祉・介護の新しい「あたりまえ」をどのようにつくりあげていくのか、当事者・支援者をはじめとする関係者の積極的な取組みが求められています。 ※プラットフォーマー: 第三者がビジネスを行う基盤(プラットフォーム)として利用される製品やサービス、システムなどを提供、運営する事業者 生田正幸 (いくた まさゆき)  1953(昭和28)年、滋賀県大津市生まれ。龍谷大学教授、立命館大学教授を経て、現在、関西学院大学人間福祉学部および大学院人間福祉研究科教授。専門は、福祉情報論、高齢者福祉論、福祉政策論。日本福祉介護情報学会代表理事、独立行政法人福祉医療機構「WAM NET 事業推進専門委員会」委員、社団法人国民健康保険中央会「障害者総合支援法等審査事務研究会」座長。  著書(共著含む)として、『社会起業を学ぶ −社会を変革するしごと−』(関西学院大学出版会 2018年)、『福祉・介護の情報学 −生活支援のための問題解決アプローチ−』(オーム社 2009年)、『人間らしく生きる福祉学』(ミネルヴァ書房 2005年)など。 【P4-9】 職場ルポ 百貨店を支える多様な業務、雇用管理の工夫で個々の能力を活かす ―株式会社JFRクリエ(大阪府)― 老舗の大手百貨店「大丸」、「松坂屋」を核とするJ・フロント リテイリング株式会社の特例子会社として設立されて3年。社員の能力を見極めながら業務を増やし、戦力化と就労定着化が図られている。 (文)豊浦美紀 (写真)官野貴 取材先データ 株式会社JFRクリエ 〒569-8522 大阪府高槻市紺屋町2−1 TEL 072-684-8068 FAX 072-684-8191 Keyword:特例子会社、勤務条件、アビリンピック、オフィスサポート、障害者就業・生活支援センター POINT 1 通勤しやすく無理のない勤務時間・勤務日数を設定。1時間ごとに10分間の休憩、週休2日および年4回5連休を取得 2 個々の能力を活かせる仕事をつくり出す 3 親会社から出向してくる指導員は「社内公募」で選出 老舗百貨店グループの特例子会社  老舗百貨店として知られる「大丸」と「松坂屋」が2007(平成19)年に経営統合した「J・フロント リテイリング株式会社」(以下、「J・フロント」)は、2017年に特例子会社「株式会社JFRクリエ」(以下、「クリエ」)を設立した。  障害のある社員は8人(知的障害5人、精神障害3人)からスタートし、現在は21人(知的障害13人、精神障害8人)。J・フロントのグループ内から出向してきた指導員ら6人を加えた計27人が、ともに働いている。  設立時から代表取締役社長を務める松林(まつばやし)秀幸(ひでゆき)さんによると、クリエをつくる大きなきっかけは、J・フロント設立10年目にあたる2017年に策定された中期ビジョン。重点課題の一つにダイバーシティの推進が挙げられ、それまで各グループ会社任せだった障害者雇用に全社的に取り組むことになったという。社名の「クリエ」は、グループの行動指針「未来を創ろう!(Create the future)」が由来だそうだ。  設立準備期間は半年ほどしかなかったが、松林さんたちは他社の特例子会社をいくつも見学し、障害者雇用で大切なことや、逆に「やってはいけないこと」などを教えてもらったことが有意義だったという。  「例えば私は当初、特例子会社ということでいろいろ気を遣わなければと思っていましたが、ある企業の方に『福祉施設ではないのです。普通の会社として考えてください』といわれ、ハッと気づかされました」  クリエの採用面接では、「『I Will』が熱く語れること」を求めている。「私は○○ができるようになりたい」、「こんな仕事がしたい」といった意気込みを聞くのは、一般企業と同じだ。そして実際に働く職場では、「みんなが一緒に仕事をしていくうえで『配慮はするけど、遠慮はしないよ』という姿勢を基本にしています」と松林さんは話す。  工夫しているのは勤務条件だ。勤務時間は通勤しやすいよう、朝の通勤ラッシュ時間帯を避けて、10時〜17時30分と設定した。昼休憩50分のほか1時間ごとに10分休憩が4回あり、実働時間は6時間となっている。休日は週休2日の計算だが、土曜日の業務もあるためシフト制で交代勤務としている。また、ゴールデンウィークや年末年始などの大型連休の代わりに、5連休を年4回取得できるのが特徴だ。給料は、グループ会社の契約社員とほぼ同じ基準で決められている。  設立当初の業務は「リボン製作」、「封入作業」、「連絡便仕分け」の三つだったが、2年半で20業務まで増えた。これらの業務に「オフィスサポート」と「パソコン」の2チームに分かれて取り組んでいる。一人ひとりの特性や業務の向き不向きなどを見て、新たにできそうな業務を考えながら、グループ会社に営業をかけて少しずつ増やしてきたという。  「こうした取組みの背景には、会社のポリシー『人≠ニしての幸せの実現』があります。『この業務ができる社員を採用する』のではなく、『採用した社員にどんな仕事ができるだろう』という視点で履歴書や本人の話などを参考に、いろいろな業務に挑戦してもらってきました」 設立翌年からアビリンピックに挑戦  クリエの職場を見学させてもらった。事業所はJR高槻(たかつき)駅南口の松坂屋高槻店の5階に、いくつかのグループ会社とともに入っている。  築40年超のビルのフロアを改装。ハード面で工夫した点は、用途に合わせてパーティションの高さなどを変えたことだという。業務グループマネージャー兼社長スタッフを務める山岸(やまぎし)卓也(たくや)さんが説明する。  「メインルームは、ある程度の防音を保ちながら、部屋の外にいても互いに様子がわかるよう大きな窓をつくりました。パソコンの作業ルームの壁は、気持ちの集中を妨げず、そっと様子をうかがえる150pの高さになっています」  始業時間に合わせ、次々に社員が出勤してきた。メインルームの一角にある個人ロッカーに荷物を入れたら、それぞれのテーブルで業務日誌を記入する。内容は就寝時間、起床時間、体調(4段階)、服薬状況などで、夕方には終業時の体調や担当した業務の感想などを書く。翌朝までに指導員からコメントが入るそうだ。  定時チャイムを合図にラジオ体操からスタート。体がほぐれたところで社員の司会により朝礼が始まる。J・フロントのグループビジョンである「JFR Way」の5項目(※1)を全員で読みあげるのが日課だ。この後、オフィスサポートチームとパソコンチームに分かれて当日の仕事内容の確認をする。  オフィスサポートチームは17人が在籍。この日の午前中は三つのグループに分かれて仕事が始まった。  まず「連絡便・郵便物仕分け」グループの業務を見学させてもらった。従業員通用口の近くにある小部屋には、80超の仕分けボックスが棚状に並ぶ。札幌から博多まで散在するグループ会社・店舗との間で毎日発着する連絡便が大量に届くという。誤配のないよう2人ペアで封筒に書かれている宛先を示す数字を読み合わせながら各ボックスに分け入れる。互いに声をかけ合いながら、和気あいあいと業務に取り組んでいる様子が印象的だ。  設立時に入社した峰美穂(みねみほ)さん(36歳)は、いまでは現場のメンバーを育てる指導的な立場。「シフト勤務なので、私が休みの日でもしっかり業務を任せられるようにしたいです」と話す。業務を行いやすいようボックスの並び順の変更を提案するなど、積極的に職場改善も図ってきた。入社翌年には地方アビリンピック大阪大会で、「オフィスアシスタント」種目に挑戦し銀賞を受賞したが、「上には上がいるんだなと実感しました。いつか全国大会に出場したいです」。さらに「できれば、パソコン操作も習得していけたらいいなと思っています」と意欲をのぞかせた。  クリエでは、設立翌年の2018年からアビリンピックに挑戦している。最初は「オフィスアシスタント」種目で地方大会に出場し、金賞1人・銀賞2人、昨年は「パソコンデータ入力」種目も含め2種目で3人が銀賞を受賞した。いまも、全国大会出場を目ざして挑戦を続けている。 百貨店で使うリボンの仕様統一を提案し実現  メインルームでは、クリエの主力業務である「リボン製作」が行われていた。大丸・松坂屋の店頭で贈答用の包装に使われるリボンだ。色や太さによって10種類ほどの組合せがある。見本の台紙などに合わせてカット部分の形や曲げ具合をきれいにそろえる。毎日コツコツと作業し、生産本数は月2万本にもなるそうだ。「最初のころは苦労もあった」と、山岸さんが話す。  「もともと各店舗によってリボンの形や長さなどがバラバラで、作業にはとても手間ひまがかかっていました。そこで峰さんが奮起し、大丸松坂屋百貨店の定例会議に出席し、仕様統一を提案するプレゼンテーションを行ったのです。その場で『たしかにそうだ』と経営幹部に了承してもらい、作業効率がぐっと上がりました」  手際よくリボン製作をしていた矢野(やの)静佳(しずか)さん(31歳)は、2019(令和元)年6月に入社した。以前は手芸店で働いていたが、病気で高次脳機能障害が残り退職したという。就労移行支援事業所の紹介でクリエに入社する際は「大きな音が苦手」と伝え、印刷業務を外してもらったそうだ。障害の影響で記憶力や注意力が低下したため、連絡便の仕分けリストやマニュアルがどうしても覚えられず悔しい思いをすることもあるが、「2人ペアなので助かっています。迷惑にならないように上達を目ざしています」と話す。  勤務中は1時間に1回10分間の休憩が貴重だという。「いまは休憩時間に定着支援を受けている事業所に見せる記録を書いています。気分転換になるので、この10分があるとないとでは大違いです」  矢野さんは昨年、当機構主催の「障害者雇用支援月間ポスター原画コンテスト」で理事長奨励賞を受賞した。絵が上手だということを知っていた山岸さんらに背中を押され、職場でみんながリボン製作に取り組む様子を「幸せ運ぶリボン作り」と題して描いた。「クリエの職場を紹介でき、受賞もできて、うれしかったです」と照れながら語ってくれた。  メインルームの隣にある印刷機などが置かれた小部屋に行くと、見たことのない小さな機械で何かが印字されていた。「値札作成業務」だ。毎日のように各店舗から専用システムを通じて注文が入り、数十枚から数百枚といった単位で値札を作成、翌日には店舗に届けられる。多いときは月50万枚にものぼる。  「昨年の春に始めたばかりの業務です。各店舗のバックヤードで作業していたものを一手に引き受けようと親会社に提案し、請け負うことになりました」と話すのは、営業グループマネージャーを務める森野(もりの)広昭(ひろあき)さんだ。  「細かい業務を見つけては関係部署に提案したり、逆に『こういう業務あるけど、クリエだったらいくらでできる?』と持ちかけられたりしながら仕事を増やしてきました。先日も高機能印刷機を購入したので、これから新規業務を開拓していくところです」  ただし、グループ内であっても業務獲得はシビアだという。  「それまでと同じ品質・スピードで請け負うことができても『その金額なら部署内でやったほうがいいかも』といわれることもあります。クリエに任せたほうがメリットがあると思われないといけないので、価格交渉を含め外注業者との競争です」 チームで取り組むテープ起こし  メインルーム向かい側の作業スペースでは、4人がそれぞれパソコンと向き合っていた。行っていたのは「テープ起こし(反訳(はんやく))」。親会社などで頻繁に行われるさまざまな会議の音声から議事録をつくっている。だれが取り組んでも同じような表現になるよう、チーム内で話し合いながら「経企(けいき、経営企画)」といった社内の専門用語などを「用語集」にしている。全員で大丸松坂屋百貨店の定例会議も見学し、経営幹部の名前と声を覚えることで作業効率も一段と上がったそうだ。森野さんが話す。  「最初は1分の音声を起こすのに40〜50分かかっていましたが、1年ほど経ったいまは10数分まで縮みました。月30時間超分を反訳できるようになっています。彼ら自身、一般業者に負けないクオリティを目ざしているようです」  テープ起こしのほか取引先の情報入力、グループ会社の販売員ら750人分の勤務シフト入力、書類の電子化など計7業務を担当している。  チームの1人、吉田(よしだ)悠太郎(ゆうたろう)さん(32歳)はクリエの設立時に入社した。大学卒業後に別会社に就職したが、体調を崩し3年ほどで退職。病院でデイケアを受け就労移行支援事業所を経てクリエに入ったそうだ。森野さんは「入社当初は、ほとんど周囲と会話もしなかったのですが、いまはリーダー役まで務めてくれています」と成長ぶりを話す。  吉田さんも、「クリエでは上司のみなさんが自分のことをよく見てくれ、弱みや課題も含めて理解してくれているのでありがたいと感じます」とふり返る。自らキャリアアップに向けて努力もしている。  「通信教育で簿記3級をとり、いまは2級に挑戦中です。社内会議にも専門用語がよく出てくるので役立ちます。今後は経理の仕事にも挑戦できたらと思っています」  日によっては、一日中テープ起こしの作業になることもある。1時間ごとに10分の休憩があるので、隣の休憩室でリフレッシュするほか、「休日には意識的に犬の散歩や趣味のピアノを弾いたりして気分転換を図っています」と吉田さん。 公募で集まった指導員たち  山岸さんや森野さんを始め、クリエに出向している指導員・マネージャーの社員6人はいずれも社内公募で選ばれている。パソコンチームの指導員をつとめる熊田(くまだ)幸裕(ゆきひろ)さんは2019年3月に大丸心斎橋店から出向してきた。「クリエはまだ新しく小規模な組織で、責任ややりがいも大きいと感じたから」だそうだ。「日ごろのコミュニケーションでは、ゆっくりていねいに、慎重に、具体的に≠心がけています。各メンバーができることを少しずつ増やしていきたいです」  採用・広報担当の金庫(きんこ)佐織(さおり)さんも同時期にグループ会社から出向してきた。「ママ友のお子さんが発達障害ということで相談を受けているうちに、大学で学んだ心理学を仕事でも活かして働きたいと思うようになりました」と応募動機を教えてくれた。  代表取締役社長の松林さんは、一緒に働く出向社員を公募制で選ぶことのよさを語る。  「自ら希望して出向してきた彼らが、意欲を持って仕事や指導に向き合い、これまで社内でつちかってきた経験や人脈を活かし、さまざまな仕事を発掘し獲得してくれます。一方で、障害のある社員たちの一生懸命で、心を込めた仕事ぶりも評価されてきました。こうした全員の働きのおかげで短期間のうちにここまで業務拡大も実現できたのかなと感じています」 全員ミーティングや4者会議  社員同士による職場改善や仕事意識の向上も図っている。その一つが月に1回、昼食後の1時間を使って開催する「全員ミーティング」だ。業務の課題や改善案を出し合ったり、社員同士が理解し合えるようなワークショップを行ったりしている。その場で自分の障害特性や理解してほしいことなどを打ち明ける社員もいる。ある社員は、最近は業務ごとに分かれて行動することが多いため「ほかのチームがどんな仕事をしているのかを知り、日ごろあまり話さない人と交流できる機会にもなります」と話してくれた。  一方、クリエでは職場の指導員たちとは異なる形で定着支援を行うため月に1回、外部から招いた産業カウンセラーとの面談を行っている。さらに入社後1年経った社員を対象に、障害者就業・生活支援センター、特別支援学校など社員が利用していた関係機関、社外カウンセラーを交えた4者で集まり、本人の成長や課題を確認して情報を共有している。開催を提案した業務グループマネージャーの山岸さんは、「特に特別支援学校を出て就職した社員は、1年後以降のフォローが課題でした。学校側の支援が1年間で一区切りされるため、その後の定着支援が途切れないよう障害者就業・生活支援センターの方にしっかり引き継いでもらうことが大事です。おかげで担当者のみなさんにはよく見てもらえていますね」と語る。 2030年度の目標は3・0%  クリエは設立年に「大阪府障がい者サポートカンパニー優良企業」(※2)に認定され、3年目となる2019年9月には令和元年度の「大阪府ハートフル企業教育貢献賞」(※3)を受賞。また、2020年1月には、全重協の「令和元年度障害者活躍企業」(※4)に認証された。短期間のうちに実績が認められている印象だが、さらに事業拡大に向けた取組みが必要だと社長の松林さんは語る。クリエの拠点は高槻市だが、関東や名古屋市での拠点・事業所展開も考えている。  「国内23社のグループ各社でも、それぞれ障害者雇用を進めていく必要性を感じています。各現場で、私たちクリエの持つ経験や工夫を活かしていきたい」と話す松林さんは、こうしたクリエの取組みの推進には、親会社の経営トップの姿勢が欠かせないとつけ加える。  「周囲のいろいろな方々の協力や支援を受けながらきましたが、やはり取組みが順調である一番の要因は、J・フロントグループ各社が障害者雇用に対して温かくかかわってくれていることではないかと思っています。トップがしっかりと方針を示してくれたことで、グループ会社との会議の際も理解されやすい。これはとても大事なことですね」  障害者雇用率のグループ適用は初年度はJ・フロントと大丸松坂屋百貨店、2年目からはグループ会社を少しずつ増やし、いまは9社となった。来年度は2社増やす予定だという。雇用率はいまのところ2・21%だが、グループとして2030年度には障害者雇用率3・0%達成を目ざし、それに向けた新たなプロジェクトも親会社とともに動き始めている。 ※1 「未来を創ろう!」、「失敗を恐れず挑戦しよう!」、「新しい発想を取り入れよう!」、「自分で考えて行動しよう!」、「良識を持ち、誠実でいよう!」 ※2 大阪府障がい者サポートカンパニー優良企業:大阪府が認定する、障害者の雇用や就労支援に積極的に取り組む事業者 ※3 大阪府ハートフル企業教育貢献賞:障害のある生徒の職場実習の受入れや雇用など、支援学校などに対して職業教育に関する貢献が著しい大阪府内の企業を大阪府が表彰するもの ※4 障害者活躍企業:重度障害者を雇用する事業主の団体「公益社団法人全国重度障害者雇用事業所協会」が厚生労働省の委託を受け、障害特性に配慮した雇用管理や雇用形態の見直しなどの優れた取組みを実施し、障害者を多数雇用し、障害者が活躍している企業を認証するもの 写真のキャプション 株式会社JFRクリエ代表取締役社長の松林秀幸さん メインルームの大きなガラス窓は、防音性を保ちつつ視界を確保している 業務グループマネージャーで障害者職業生活相談員の山岸卓也さん 作業ルームの壁は、作業への集中を阻害せずに様子がうかがえる高さとなっている 仕分け作業は誤配を防ぐため2 人ペアで行われる 仕分け作業を行う峰美穂さん。地方アビリンピックにも挑戦している 2018年に大阪府の地方アビリンピックに挑戦したメンバー(写真提供:株式会社JFRクリエ) クリエで製作されたリボンが、大丸・松坂屋の各店舗で使用されている リボンをつくる矢野静佳さん。伝票整理なども担当している 2019年の障害者雇用支援月間ポスター原画コンテストで受賞した矢野さんの作品「幸せ運ぶリボン作り」 タグ・ラベルプリンタとパソコンを使って値札を出力する イヤホンで会議の録音を聞き、パソコンで議事録に起こしていく反訳作業 営業グループマネージャーで障害者職業生活相談員の森野広昭さん 月一回行われる「全員ミーティング」では、職場改善などのアイデアを出し合う(写真提供:株式会社JFRクリエ) 吉田悠太郎さんは、パソコンチームのリーダー役も務めている 社内公募で指導員として出向している熊田幸裕さん(左)と金庫佐織さん(右)(写真提供:株式会社JFRクリエ) 【P10-11】 NOTE 最終回 難病のある人と就労 神経系の代表的な難病について  「難病のある人と就労」の最終回は、神経系の代表的な難病である「若年性パーキンソン病」と「脊髄小脳変性症(せきずいしょうのうへんせいしょう)」について紹介します。また、この連載の監修者である河津(かわつ)博美(ひろみ)さん(北九州市難病相談支援センター 難病支援担当・保健師)に、難病のある方との相談のポイントや、就労する際のポイントについてうかがいました。 神経系の代表的な二つの難病  振戦(しんせん)(ふるえ)、動作緩慢(かんまん)、姿勢保持障害(転びやすいこと)など、運動機能に関する症状が出る「パーキンソン病」のなかでも、40歳以下の方に発症する「若年性パーキンソン病」は、ゆっくりと進行する病気です。服薬により症状を消失させることができ、適切な治療によって長期にわたり通常と変わらない生活を送ることができます。服薬管理に加え睡眠、食事が日常生活で注意すべき基本となります。また、健康維持のために適度な運動が必須であるため、過度な運動制限は避けることが望ましいといえます。  「脊髄小脳変性症」は、脊髄や小脳の神経が変性する病気です。足の筋肉がつっぱるなどして起立や歩行が困難になり、手先の動きが低下して、活舌(かつぜつ)も悪くなります。ほかには、めまいや血圧が変動して低血圧になることも症状として挙げられます。この病気も長い時間をかけて、ゆっくりと進行します。 二つの病気の配慮すべき点について  「若年性パーキンソン病」は、病気の進行にともない、手先を用いた細かい作業がむずかしくなったり、移動に困難をきたすこともあるため、業務内容の調整など個別の配慮が必要になります。服薬で症状を改善できる反面、薬効が切れると動けなくなるなど、症状が大きく変化します。また、疲れやすさ、眠気、抑うつ気分が生じる場合もあります。事業者側がこうした特徴を理解し、定期的に服薬や休憩ができるような勤務体制を整える必要があります。  また、「脊髄小脳変性症」は、歩行の際にふらついて転倒してしまうことがあるため、事業所の廊下やトイレなどに手すりを設置することで、リスクを軽減できます。病気が進行しても、コミュニケーションを取ることは十分に可能です。通勤混雑時を避けて時差通勤や在宅勤務を希望する方もいるので、事業所側の勤務体制の調整が望まれます。 難病のある方との相談のポイント  河津さんに、「難病のある方と相談をする際のポイント」について、お話しいただきました。 1 求職中の方の場合  求職中の方については、その方の課題を整理したうえで相談しています。例えば、「就労できる病状ではないものの、収入を得るために働かざるを得ない」と考える方の場合、働けるほどの体調が整っていない状態のため、障害年金や傷病手当、特別障害者手当など、さまざまな収入に関する制度をご紹介します。  また、ご自身の病状を十分理解していない場合もありますので、病気に関する説明を行う場合もあります。  さらに、ご自分のこれまでの状態をふり返っていただき、「どんなときに体調を崩されたのか」あるいは、「どうしたらよくなったのか」などをお聞きします。  いままでの経歴や得意分野などもヒアリングしながら、どのような仕事がよいのかを一緒に考えていきます。また、手当などを含めた収入と必要となる費用から、1カ月間の収支を熟慮し、現実的な給料の希望額を算出します。具体的な金額を算出することで、採用に関する求人情報を絞ることにつながります。 2 休職中の方の場合  休職中の方については、なるべく現在の職場は辞めずに仕事を継続する方向で進めていきます。  勤務先の人事担当者や産業医、産業看護職の方などと相談のうえ、就労しやすい業務や、在宅テレワークで行える業務への配置転換が可能かを一緒に検討していきます。必要な場合は、本人の同意を得たうえで、主治医の意見をお聞きし、産業医にお伝えすることもあります。  復職に向けては、以上のようなプロセスを重ねながら支援を行っています。 難病のある方が就労する際のポイント 最後に、河津さんに、「難病のある方が就労する際の大事なポイント」をまとめていただきました。 【ポイント】 @ ご本人に、自身の病気のことを正確に理解してもらう。 A 無理せず、長く継続できる仕事を探す。 B 事業所側と円滑なコミュニケーションを図り、職場で必要な配慮を受けられる環境づくりをする。  いずれについても、本人と事業所側との間の調整だけではうまくいかない場合は、下記の「難病相談支援センター」や、就労支援機関である「地域障害者職業センター」、「障害者就業・生活支援センター」での相談をご検討ください。事業者の方からのご相談にも対応します。  事業所側と難病のある方の両者が、難病についての理解を深めながら、仕事内容や職場配置を調整していけば、今後はさらに多様な働き方が可能になっていくことでしょう。 難病相談支援センターについて  現在、「難病相談支援センター」は各都道府県と多くの政令指定都市に設置されています。  難病のある方や、そのご家族の方、あるいは事業者の方も、難病のある方の就労に関する相談が可能です。  最寄りの難病相談支援センターまで、お気軽にお問い合わせください。 難病相談 検索 写真のキャプション ラウンジのある交流スペースでは研修なども開催 北九州市難病相談支援センターのエントランス 図表 疾患別の現在就労している職種の具体例(疾患名別の中の割合) パーキンソン病 ・専門的・技術的職業従事者(機械設計、看護師、税理士、教員)(28.1%) ・管理的職業従事者(代表取締役、事務所所長)(12.5%) ・一般事務従事者(人事事務、受付案内等)(12.5%) ・パーソナルコンピュータ操作員(9.4%) ・運搬・清掃・包装等従事者(メール便配達、駅清掃等)(9.4%) ・様々な事務従事者(銀行店舗窓口、経理事務)(6.3%) 脊髄小脳変性症 ・専門的・技術的職業従事者(研究、特許文献サーチ、教員、司書)(24.0%) ・調理人(老人ホーム調理士、保育園調理士等)(20.0%) ・様々な事務従事者(冷暖房・換気量等計算、資材調達、データ入力)(12.0%) ・一般事務従事者(保育日誌、業者応対、OA 事務)( 12.0%) ・生産工程従事者(機械加工品検査、チラシ看板作成)(12.0%) ・輸送・機械運転従事者(小型船舶エンジニア、工場動力設備管理)(8.0%) 出典:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構障害者職業総合センター調査研究報告書No.103「難病のある人の雇用管理の課題と雇用支援のあり方に関する研究」(2011年)より抜粋 【P12-14】 インフォメーション 「働く広場」記事索引 2019年4月号〜2020年3月号 は特集記事 月号 項目 【執筆者】/<取材先>タイトル 2019年4月号(No.499) この人を訪ねて <岐阜保健大学短期大学部 リハビリテーション学科講師・理学療法士 稲葉政徳さん>職場定着のための「トリセツ」と「シエスタ」 職場ルポ <シダックスオフィスパートナー株式会社>「働き続ける力を身につける」サポートと人事制度 NOTE 障害者雇用の可能性を広げるテレワーク Vol.4(最終回) インフォメーション 平成31年度障害者雇用納付金制度に基づく申告・申請が平成31年4月1日から始まります グラビア <株式会社藤三 藤三センター>コンテナ洗浄から始まったスーパーマーケットの障害者雇用 エッセイ 【『障がい者の就活ガイド』著者 紺野大輝】第2回 一般採用と障害者採用、両方を経験して part.1 編集委員が行く 【大塚由紀子】<東急リバブル株式会社、株式会社ソシオネクスト>一緒に働くからこそ得られること 〜精神障害のある社員が活躍することで見えてきた組織のしなやかさ〜 霞が関だより 「農福連携」で障害者の雇用創出を目ざす企業に関する研究成果報告 研究開発レポート 就業経験のある発達障害者の職業上のストレスに関する研究 −職場不適応の発生過程と背景要因の検討− 2019年5月号(No.500) 特集 『働く広場』通算500号記念 『働く広場』の歩みと障害者雇用の流れ 『働く広場』通算500号記念対談 <元厚生労働事務次官 村木厚子さん、元『働く広場』編集委員座長 松矢勝宏さん>『働く広場』から見る、障害者雇用の変遷 職場ルポ <エプソンミズベ株式会社>「アビリンピック挑戦」が職場の活性化に エッセイ 【『障がい者の就活ガイド』著者 紺野大輝】第3回 一般採用と障害者採用、両方を経験して part.2 グラビア <株式会社あきんどスシロー スシロー高知朝倉店>スシローのシャリづくり名人 インフォメーション 2019年度 職業リハビリテーションに関する研修のご案内/2019年度「地方アビリンピック」開催地一覧/作品募集 障害者雇用支援月間ポスター原画(絵画・写真)コンテスト「働くすがた〜今そして未来〜」2019 編集委員が行く 【樋口克己】<株式会社昭和食品>多様性のなかで輝く“人財” 〜いろんな人がいるから企業は強くなれる〜 研究開発レポート 障害者雇用の質的改善に向けた基礎的研究 〜様々な立場から障害者雇用の質について考える〜 2019年6月号(No.501) リーダーズトーク <キユーピー株式会社 執行役員人事本部長 浦田昌也さん/株式会社キユーピーあい 代表取締役社長 中林良則さん>特例子会社をグループ適用せず「楽業偕悦」を浸透 職場ルポ <クボタワークス株式会社>グループの一員として仕事にチャレンジできる人づくり インフォメーション 国立職業リハビリテーションセンター 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター訓練生募集のお知らせ/2019年度「地方アビリンピック」開催地一覧/障害者の雇用をお考えの事業主の方へ 就労支援機器をご活用ください! グラビア <クラシエ製薬株式会社 尼野次郎さん>「仕事が生きがい」総務・人事部主任、頼られる先輩に エッセイ 【『障がい者の就活ガイド』著者 紺野大輝】第4回 障害者の「働きたい」を企業とつなぐ 編集委員が行く 【朝日雅也】<東京都大田区立障がい者就労支援センター、楽天ソシオビジネス株式会社>地域就労支援ネットワークを軸に「働く」を支える −東京都大田区立障がい者就労支援センターを訪ねて− 霞が関だより 平成31年度 障害保健福祉部予算案の概要(1) 研究開発レポート 障害者の就職と職場定着の支援に向けた関係機関・職種の人材育成とネットワークのために 2019年7月号(No.502) この人を訪ねて <公益財団法人スペシャルオリンピックス日本 理事長 有森裕子さん>「ユニファイドスポーツ」が共生社会のきっかけに 職場ルポ <株式会社マルハ物産>地域でつながり、「普通に一緒に」働く工場 NOTE 働く障害者の高齢化 Vol.1 中高年齢層の障害者の雇用継続について インフォメーション 2019年度 就業支援実践研修のご案内/2019年度「地方アビリンピック」開催地一覧/障害者職業総合センター職業センターで実施している職業リハビリテーション技法開発に関する報告書・マニュアルのご紹介 グラビア <社会福祉法人アバンセ カサ・チコ>高い木工技術力でアビリンピック入賞を目ざす エッセイ 【『障がい者の就活ガイド』著者 紺野大輝】最終回 『障がい者の就活ガイド』を出版して 編集委員が行く 【阪本文雄】<株式会社夢ガーデン、特定非営利活動法人UNE>特例子会社の設立・誘致で働く場づくり 〜農園芸で越後の特産品を商品化し就農へ〜 研究開発レポート 気分障害等の精神疾患で休職中の方の職場復帰支援における事業主との調整 霞が関だより 平成30年版 障害者雇用状況の集計結果(平成30年6月1日) 2019年8月号(No.503) 私のひとこと 【就労移行支援事業所さら就労塾@ぽれぽれ 職業指導員 對馬陽一郎さん】発達障害のある人の雇用と職場定着は、社内全体で仕事として取り組もう 職場ルポ <SBフレームワークス株式会社 柏事業所>物流倉庫を舞台に「働く意識」が向上 NOTE 働く障害者の高齢化 Vol.2  雇用継続への取組み事例(身体障害編@) インフォメーション 「合理的配慮の提供」に関する事例「障害者雇用事例リファレンスサービス」/「障害者の職場定着と戦力化」 〜障害者雇用があまり進んでいない業種における雇用事例〜/2019(令和元)年度 就業支援課題別セミナー「高次脳機能障害者の就労支援」のご案内 グラビア <生活協同組合コープかごしま 産直センター>「退職者を出さない」取組み エッセイ 【神田東クリニック副院長 佐藤恵美】第1回 「やればできる」から「やれることを活かす」へ 編集委員が行く 【箕輪優子】<法政大学、早稲田大学>障害のある大学生の修学およびキャリア支援の取組み 霞が関だより 平成31年度 障害保健福祉部予算案の概要(2) 研究開発レポート 地域ネットワークにおける支援の困難さに対する地域障害者職業センターの役割 −調査研究報告書No.144「支援困難と判断された精神障害者及び発達障害者に対する支援の実態に関する調査」− 2019年9月号(No.504) 私のひとこと 【Office夢風舎 土屋徹さん】「働きたい」を応援する 職場ルポ <株式会社コスモネット>通信サービスを支え「生産性」を高める部署に NOTE 働く障害者の高齢化 Vol.3 雇用継続への取組み事例(身体障害編A) インフォメーション ご活用ください! 障害者の職業訓練実践マニュアルなど/障害者職業訓練推進交流プラザのご案内 グラビア 令和元年度 障害者雇用支援月間ポスター原画(絵画・写真)コンテスト「働くすがた〜今そして未来〜 2019」入賞作品 エッセイ 【神田東クリニック副院長 佐藤恵美】第2回 マインドフルネスに学ぶポジティブの本質とは 編集委員が行く 【三鴨岐子】<ATUホールディングス株式会社>障害者の職域をひろげる〜アビリンピックで初のデモンストレーション〜 霞が関だより 特別支援教育における就労支援の取組み 研究開発レポート 感情コントロールに課題を抱える高次脳機能障害者への支援 2019年10月号(No.505) この人を訪ねて <株式会社ミライロ 代表取締役社長 垣内俊哉さん>ハードは変えられなくても、ハートは変えられる 職場ルポ <株式会社ツムラ>ていねいなマッチングと支援により「職場点在型」を貫く NOTE 働く障害者の高齢化 Vol.4 雇用継続への取組み事例(知的障害編) インフォメーション 「障害者雇用納付金制度に基づく各種助成金」および「障害者職場実習支援事業」の活用事例/国立職業リハビリテーションセンター 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター 訓練生募集のお知らせ グラビア <ハウステンボス株式会社 松谷愛美さん>「ハウステンボス」で働く エッセイ 【神田東クリニック副院長 佐藤恵美】第3回 「連携」の在り方に思う 編集委員が行く 【諏訪田克彦】<かぶと山エム・エス有限会社>病院と取り組む地域共生型就労支援 〜久留米リハビリテーション病院との連携〜 霞が関だより ハローワークを通じた障害者の就職件数が10年連続で増加 −平成30年度 障害者の職業紹介状況等− 研究開発レポート 視覚障害者の雇用等の実状及びモデル事例の把握に関する調査研究 2019年11月号(No.506) 私のひとこと 【就労支援ネットワークONE代表 中金竜次さん】難病患者の雇用と就労を考える 職場ルポ <株式会社湘南ゼミナールオーシャン 宮崎台事業所>不安を軽減し社員を戦力化する職場の工夫とセルフケア NOTE 働く障害者の高齢化 最終回 中高年齢層の障害者の雇用継続について インフォメーション 令和元年度就業支援スキル向上研修のご案内/障害者週間連続セミナー『働く広場』公開座談会/第39回全国アビリンピック開催のお知らせ グラビア <LaLa Cafe足立智裕さん>開店準備は、お任せください エッセイ 【神田東クリニック副院長 佐藤恵美】第4回 ワークとライフの素敵な関係 編集委員が行く 【松爲信雄】<株式会社全日警サービス長野>自己管理と職場の配慮により、クローン病の人も警備業に従事 霞が関だより 令和元年版 障害者白書概要@ 研究開発レポート 障害の多様化に対応した職業リハビリテーション支援ツールの開発(その2) −ワークサンプル幕張版(MWS)新規課題の開発− 2019年12月号(No.507) この人を訪ねて <株式会社フォーオールプロダクト 代表取締役 石丸徹郎さん>福祉業界はクリエイティブな発想で 職場ルポ <有限会社進工舎>個々に応じた勤務形態により強みを活かして働く NOTE 難病のある人と就労 Vol.1 難病への理解と配慮事項 インフォメーション 障害者の雇用をお考えの事業主の方へ 就労支援機器をご活用ください!/障害者雇用の月刊誌「働く広場」がデジタルブックでお読みいただけます!/障害者雇用のためのマニュアル・好事例集などのごあんない グラビア <福田道路株式会社 技術研究所 細谷晃誠さん>仕事とバスケットボールで「ぼくの夢を広げたい」 エッセイ 【神田東クリニック副院長 佐藤恵美】最終回 偶然に出会うこと、偶然から育てていくこと 編集委員が行く 【原智彦】<高知県立日高特別支援学校、高知県立日高特別支援学校 高知みかづき分校、佐川急便株式会社 高知営業所、旭食品株式会社、高知大学教育学部附属特別支援学校>地域とともに、広く深く学ぶ 霞が関だより 令和元年版 障害者白書概要A 研究開発レポート 効果的な就労支援のための就労支援機関と精神科医療機関等の情報共有に関する研究 2020年1月号(No.508) リーダーズトーク 第2回<株式会社王将フードサービス 代表取締役社長 渡邊直人さん>「一人ひとりの成長」が会社の付加価値に 職場ルポ <九州地理情報株式会社>「自分に合わせた働き方」ができる職場に インフォメーション 事業主のみなさまへ 令和2年度「障害者雇用納付金」申告および「障害者雇用調整金」申請のお知らせ/「障害者雇用支援人材ネットワーク事業」のごあんない/障害者職業総合センター研究企画部 図書情報閲覧室からのお知らせ グラビア <株式会社Dreamsポップコーンパパ 天保山店>HAPPYを届けたい エッセイ 【内閣府地域働き方改革支援チーム委員(兼務 株式会社東レ経営研究所)渥美由喜】第1回 発達障害とともに生きるということ―親の接し方― 編集委員が行く 【大塚由紀子】<株式会社大創産業、株式会社ダイソーウイング>多様な人材活用力はダイソーの強み〜未来進行形で障害者スタッフの力を引き出していきたい〜 NOTE 難病のある人と就労 Vol.2 消化器系の代表的な難病について 研究開発レポート 発達障害者のワークシステム・サポートプログラム 発達障害者のアセスメント 2020年2月号(N509) 特集 第39回全国アビリンピック愛知大会 グラビア アビリンピックルポ 天皇陛下御即位記念 第39回全国アビリンピック愛知大会 〜その技に 誇りと感動 あいちから〜 この人を訪ねて <トヨタループス株式会社 取締役社長 有村秀一さん>トヨタの企業文化とともに NOTE 難病のある人と就労 Vol.3 免疫系の代表的な難病について インフォメーション 事業主のみなさまへ 令和2年度「障害者雇用納付金」申告および「障害者雇用調整金」申請のお知らせ エッセイ 【内閣府地域働き方改革支援チーム委員(兼務 株式会社東レ経営研究所)渥美由喜】第2回 発達障害とともに学ぶということ ―特性を活かす覚悟― 編集委員が行く 【武田牧子】<株式会社リンクライン、株式会社イーピービズ>多様な働き方を選択できる仕組みづくり 霞が関だより 令和元年 障害者雇用状況の集計結果@ 2020年3月号(No.510) 私のひとこと 【関西学院大学人間福祉学部 教授 生田正幸さん】テクノロジーが変える課題先進国の福祉と介護 職場ルポ <株式会社JFRクリエ>百貨店を支える多様な業務、雇用管理の工夫で個々の能力を活かす NOTE 難病のある人と就労 最終回 神経系の代表的な難病について インフォメーション 2019年4月号〜2020年3月号「働く広場」記事索引/職業センターの技法開発をご紹介します グラビア <就労継続支援B型事業所ワークから・ころ アクティブから・ころ>伝統を引き継いで 〜米沢銘菓 謙信せんべい〜 エッセイ 【内閣府地域働き方改革支援チーム委員(兼務 株式会社東レ経営研究所)渥美由喜】第3回 発達障害とともに働くということ ―長所を伸ばし才能を磨く― 公開座談会 2019年度内閣府主催 障害者週間連続セミナー 精神障害者雇用は今!〜雇用継続のヒントを探る〜 霞が関だより 令和元年 障害者雇用状況の集計結果A 研究開発レポート ―合理的配慮に関する職場での話合いと仕事の満足度― 調査研究報告書148「障害のある労働者の職業サイクルに関する調査研究(第5期)」 職業センターの技法開発をご紹介します 障害者職業総合センター 職業センター  障害者職業総合センター職業センターは、これまでの支援技法では効果が現れにくい発達障害、高次脳機能障害および精神障害のある方に対する職業リハビリテーション技法の新たな開発と改良を行い、その成果について支援マニュアルなどに取りまとめて、幅広く支援技法の普及を行っています。令和元年度の技法開発については、以下の3つの成果物を取りまとめているところです。 これまでの成果物の詳細は、ホームページをご参照ください。 http://www.nivr.jeed.or.jp/center/center.html 職業センター 技法 検索 ワークシステム・サポートプログラムによる発達障害者の支援技法開発  発達障害のある方を対象に、障害特性などのアセスメントや職場適応のためのスキル(作業遂行力、対人スキル、問題解決、ストレス対処など)向上に向けた支援技法と、事業主支援に関する技法の開発などを行っています。  令和元年度は、これまで主に集団トレーニングとして実施されていた「問題解決技能トレーニング」の改良に取り組み、個別相談やジョブコーチ支援などの個別の支援に活用できるよう技法の開発を行いました。その実施方法、留意点、支援事例などをまとめた実践報告書を作成しています。  巻末には、個別の支援で使用するシートや資料を収録したCD-R を添付します。 職場復帰支援プログラム、就職支援プログラムによる高次脳機能障害者の支援技法開発  職場復帰や就職を目ざす高次脳機能障害のある方を対象に、「障害認識の促進」、「補完手段の習得」の支援技法と、事業主支援に関する技法の開発などを行っています。  令和元年度は、高次脳機能障害者の支援課題の一つである「補完手段の習得」について、高次脳機能障害のある方の状況やニーズをふまえ、携帯電話やスマートフォン、パソコンなどの機器を補完手段とする「アシスティブテクノロジー」を活用した支援技法の開発に取り組み、その内容などをまとめた実践報告書を作成しています。  別冊として、具体的な操作方法などを解説した「活用ガイドブック(DVD 付き)」を添付します。 ジョブデザイン・サポートプログラムによる精神障害者の支援技法開発  職場復帰を目ざす気分障害などの精神障害のある方を対象に「職場適応能力の向上」、「職務再設計によるキャリア形成」の支援技法と、事業主支援に関する技法の開発などを行っています。  令和元年度は、休職者が復職準備の過程で適切な生活習慣を確立し、復職後も安定した職業生活を送るため、その生活習慣を維持する支援として「日常生活基礎力形成支援」の技法開発に取り組み、その支援の目的、内容、実施方法、留意点などをまとめた支援マニュアルを作成しています。  巻末には、支援者の方にわかりやすくご活用いただけるように、グループワーク場面の映像(DVD)、使用する配布資料などのCD-Rを添付します。 ※支援マニュアルなどは令和2年3月に発行を予定しています <お問合せ> 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター 職業センター 企画課 TEL:043-297-9043 【P15-18】 グラビア 伝統を引き継いで 〜米沢銘菓 謙信せんべい〜 就労継続支援B型事業所ワークから・ころ アクティブから・ころ(山形県) 取材先データ 就労継続支援B型事業所ワークから・ころ アクティブから・ころ 〒992-0021 山形県米沢市花沢371-1 TEL 0238-40-8457 写真:小山博孝・官野貴/文:官野貴  米沢藩の祖となる戦国武将上杉(うえすぎ)謙信(けんしん)に由来し、山形県米沢市の銘菓として60年以上親しまれてきた「謙信せんべい」。製造元の「マルサ製菓」が後継者不在で解散することとなり、地域伝統の味は途絶えるかと思われていた。  この伝統の味を引き継いだのは、「就労継続支援B型事業所ワークから・ころ」のせんべい製造を担当する「アクティブから・ころ」のメンバーだ。同事業所を運営する「NPO法人から・ころセンター」代表で、長年に渡り不登校・ひきこもりの青少年を支援してきた伊藤(いとう)正俊(まさとし)さんは、「彼らは、真面目でていねいにコツコツ働くことが得意です。せんべい職人に向いています」と語る。  いまでこそ、生地づくり、焼き、包装、出荷など、すべての工程をこなす事業所のメンバーだが、2017(平成29)年1月に、職人さんの指導を受けながら、マルサ製菓の道具やレシピを引き継いだ直後は、思い通りに焼くことはほとんどできなかったという。謙信せんべいは気温や湿度の違いによって焼き上がりが異なるため、商品として出荷できるせんべいを安定して製造することがむずかしい。そのため、約5カ月間にもおよぶ試行錯誤の末、ようやく販売開始へとこぎつけることができた。  その後も研鑽を積み、指導していただいていた職人さんが非常勤となったいまは、事業所のメンバーだけで製造している。2018年5月には「道の駅米沢」への出荷を始め、現在では地元のスーパー4店舗にも置いてもらえるようになった。今後の課題は、生産量とともに販路を拡大することだ。  この日、焼きの工程を担当していた西澤(にしざわ)博之(ひろゆき)さん(36歳)は、「生焼けや欠けが出ないようにつくるのがむずかしいです」と、一枚一枚ていねいに焼き具合を確認していた。焼き上げられたせんべいを試食してみると、懐かしい味が口いっぱいに広がった。ごまやピーナッツなどの定番商品以外にも、くるみ、チョコ味など、彼らの若い感性で新しい味の開発も進めているという。地元で愛されてきた銘菓の新たな伝統を彼らが築いてゆく。 写真のキャプション 門外不出とされた謙信せんべいのレシピを「マルサ製菓」から引き継いだ せんべいづくりは、材料の正確な計量から始まる 計量した小麦粉、玉子、砂糖を混ぜ合わせる 生地を裏ごしし、一晩寝かせることでなめらかな生地となる この日、生地づくりを担当した(左から)我妻(わがつま)文明(ふみあき)さん(29歳)、樋口(ひぐち)由昌(よしまさ)さん(26歳)、桐澤(きりさわ)直寛(なおひろ)さん(46歳) NPO法人から・ころセンター代表の伊藤正俊さん せんべいの生地を鉄板に定量しぼる。リーダーの渡部(わたなべ)祐紀(ゆうき)さん(42歳)(左)が、西澤さん(右)にしぼり方の手本を示す 固さなどにより生地の広がり方が異なるため、均一にしぼるのがむずかしい マルサ製菓から引き継いだ焼き印 こんがりと焼き上がったせんべいに上杉謙信の旗印の焼き印が押され、完成 一枚一枚検品し、ていねいに梱包する この日に製造された箱詰の謙信せんべいは、「道の駅米沢」に納品された から・ころセンターが運営するレストラン「キッチンから・ころ」で、商品を陳列する渡部さん(右)、西澤さん(左) 地元のスーパー「キムラ桑山店」では、袋詰めの徳用ミックスが、レジ前で販売されていた 【P19】 エッセイ【第3回】 発達障害とともに働くということ ―長所を伸ばし才能を磨く― 内閣府地域働き方改革支援チーム委員 (兼務 株式会社東レ経営研究所) 渥美由喜(あつみ なおき)  25年前からワークライフバランス(WLB:仕事と生活の調和)に着目した、ダイバーシティ、WLB分野の第一人者。これまでに海外10数カ国を含む、国内のダイバーシティ・WLB先進企業1050社、海外の150社を延べ4000回、訪問ヒアリングし、約1万社の企業データを分析。  また、コンサルタントとして、実際に1000 社以上の企業の取組推進をサポートする一方で、内閣府や厚生労働省などの官庁や自治体の委員を歴任。  前回、私がどう学んだかを述べた。幼少時の私の特性の一つだった「映像記憶」があるのに成績が伸び悩んだ挙句、小学4年生のときに「自分の居場所は自力で確保するしかない」と腹をくくり、脳内百科事典をつくるようになってから成績が向上したと書いた。 わかりやすい能力はすぐに代替される  誤解がないように強調しておきたいのは、親が私に話した通り、私自身も「映像記憶自体は大した能力ではない」と思っていることだ。インターネットの草創期(そうそうき)に、私はこのネットワークシステムを見て「小学生のころの、“暗記パン”が散らばっていた自分の脳内世界みたい」と感じた。つまり、現代社会では、映像記憶がない人にも、それに似たインターネットという武器がある。  そのうえで、「自分という軸を持ち、玉石混交(ぎょくせきこんこう)する情報を取捨選択するスキルを身につけないと、情報におぼれるだけ」というのは小4時の私のみならず、インターネットを利用する人全員に当てはまるはず。  映像記憶のメリットは、社会人になったころ、2時間程度の会議であれば脳内記憶を再現するだけで議事録が作成できて、楽ができた程度だ。いまはICレコーダーもあるし、いずれ自動書記ソフトが普及すれば、簡単に代替されてしまうことだろう。 わかりにくくなるまで才能を磨け  前回述べた勉強法で、大学受験の全国模試で1位、2位になったとき、両親から努力自体は褒(ほ)められたものの、「解答が存在する問題で満点をとっても、しょせん問題作成者にはかなわないし、社会への貢献はゼロ。未解決の問題に挑戦して初めて役に立つ」、「わかりやすい才能はまだ半人前。周囲にわかりにくくなるまで才能を磨け」と励まされた。  だから、社会人になり、だれも見向きもしなかった研究テーマである、“ワークライフバランス(WLB 仕事と生活の調和)”、“ダイバーシティ(多様性・多面性のある人財を活かす経営戦略)”に着手した。当時は日陰どころか、まったく役に立たないと馬鹿にされたが、四半世紀が経過したいま、コンサルタントとして日々の糧(かて)を得ている。  私が両親に感謝しているのは、だれの目にもわかりやすい短所や長所に一喜一憂(いっきいちゆう)せずに、他人にはわかりにくい長所をひたすら伸ばす方向で、叱咤(しった)してくれたことだ。「わかりやすい能力」ほど、すぐに機械やAI(人工知能)に模倣・代替されてしまう。いまさらながら、30年前に両親からいわれた言葉は含蓄(がんちく)深いと思う。 「人と同じ考えや感じ方ができない」という強み  最初の勤務先だった金融系のシンクタンクは、朝、部の掲示板に「部内会議、午前2時スタート」と書いてあるような長時間労働の職場。そんな職場で「WLBの研究に取り組みたい」と申し出たのは、いまから30年近く前の入社2年目。  上司には鼻で笑われた。「おまえはバカだなぁ。ワーク・ワークで大成功を収めてきた日本企業がWLBなんて、やるわけがないだろう。何がWLBだ。俺なんか、ワーク・ワークでわくわくしちゃうぞ、ワッハッハ!」……。  通常、上司から猛反対を受けたら引き下がることだろうが、私にはそんな殊勝(しゅしょう)な心持ちはない。上司と一緒にゲラゲラ笑いながら、「ワーク・ワークでワクワクってうまいですねぇ。でも、もしかしたら、奥さんはワークとライフがバラバラざんす、と嘆いているかもしれませんよ。“ワーク・ワイフ・バランス”の方は大丈夫ですか?」と余計な一言。痛いところを突いてしまったようで、上司は苦虫をつぶした顔になり、研究禁止命令が下された。  そこで、私はやむなく終業後の趣味としてWLBの研究を開始した。少しでも早く帰宅したかったので、「やめる、簡単にする、真似(まね)をする、してもらう(他部署に業務移管、外注など)、一緒にする」の五つの方法で業務効率を高めた。私はこの方法を、頭文字をとって「やかましい」と呼んでいる。十数年後に父の介護が始まり、息子の看護も加わって、何とか仕事を続けられたのは、このように効率のよい働き方を体得していたからだ。 【P20-25】 「働く広場」 公開座談会 2019(令和元)年12 月5日(木)に、「有楽町朝日スクエア」で開催された『働く広場』公開座談会の採録をお届けします。 2019年度内閣府主催 障害者週間連続セミナー 精神障害者雇用は今! 〜雇用継続のヒントを探る〜 出席者 座長 松爲(まつい)信雄(のぶお)さん 東京通信大学 教授 パネリスト 増見(ますみ)紳一(しんいち)さん 株式会社オレンジページ 総務人事部兼監査室 マネジャー Kさん(働く当事者) 株式会社オレンジページ 総務人事部 清澤(きよさわ)康伸(やすのぶ)さん 医療法人社団欣助会 吉祥寺病院 精神保健福祉士/第1号職場適応援助者 成澤(なるさわ)岐代子(きよこ)さん 株式会社良品計画 人事総務部 特定社会保険労務士 吉岡(よしおか)治(おさむ)さん 東京障害者職業センター 多摩支所長 精神障害者の長期的な職場定着に向けて 松爲 東京通信大学教授の松爲です。私は、長い間、障害者の雇用に関する研究にたずさわっています。近年は、厚生労働省の労働政策審議会で、精神障害者に関する雇用率設定の法改正に直接かかわっています。  2018(平成30)年4月から、民間企業の障害者の法定雇用率が2・2%に引き上げられたのと同時に、新たに精神障害者が障害者雇用義務の対象に加えられました。これには大きな議論がありまして、そのなかで私がもっとも悩んだのは、精神障害のある方の「職場定着」の問題でした。障害のある方たちの定着は、ただでさえとてもむずかしい現状がありますが、特に精神障害のある方たちは、症状が不安定なため、安定した定着につながらないことが多いのが課題です。  本日、パネリストのみなさんには、初期の「職場適応」から長期的な「職場定着」に至るまで、企業側がどのようにサポートしていくべきなのかを、お話しいただきたいと思います。 信頼感や安心感が安定した定着につながった 松爲 始めに、「株式会社オレンジページ」総務人事部の増見紳一さん、当事者のKさんにお話しいただきたいと思います。 増見 「株式会社オレンジページ」で障害者雇用を担当している増見と申します。当社は、料理や生活情報などの雑誌、書籍を出版している出版社です。社員数は150人と少ないので、小さな会社の事例だと認識していただければと思います。  当社では、これまでにも何人か、知的障害者・精神障害者の雇用を試みてきましたが、入社しては辞めるという状態がくり返されています。そこで考えた反省点は、「配慮ばかりして、画一的に切り出した業務をお願いしてきたけれども、もっとその人の特徴に合った、持ち味を活かした業務をお願いしていれば、長く続けられたのではないか」ということです。業務の切り出しは重要ですが、それでは本人のモチベーションにつながらないんですね。そこで、「小規模な会社で少人数の雇用だからこそ、大会社にはない、いろいろなことを一貫してできるようなキャリア育成(=定着)の可能性を探っていこう」と方針を変更しました。  ここで、当社の経験に基づき、もう少し具体的に、何が職場定着を阻んでいるのかをふり返ってみたいと思います。職場定着を阻む要因には、「企業の問題」、「当事者の問題」、「支援先の問題」の三つの要因があると考えられます。  「企業の問題」に関しては、障害のある方を特別扱いしすぎたような気がします。配慮することに気をとられ、本当にその人のことをよく見ていたのかという疑問が残ります。  「当事者の問題」は、当事者自身が、きちんと病状の把握をして自分をコントロールしたり、働く意思を確立することができているのかという点です。ストレスにいかに対処するか、その先にどうなりたいのかなどを、本人が考えられていないこともあるのではないかと思います。  「支援先の問題」は、支援機関にとっては、就労がゴールになっていたり、支援内容が不明確だという問題です。また、支援内容が当事者の立場に寄りすぎて企業側の立場になっていない点や、医療機関との連携がない点も問題だと感じています。  このような状況をふまえたうえで、当社のサポート体制の話をします。忘れてはいけないのは、「障害者雇用」=「雇用契約」という点です。企業は、雇用者の努力に応えますし、雇用者は社会人として自立していく、対等な立場で考えていくことが大切だと思います。  障害者のみなさんのサポートをするために、以前は専任の担当を一人決めていたのですが、現在は4人のチーム制にしています。一つのチームとして、ともに悩み行動できるようになったことで、気づきがたくさん得られるようになりました。また、配慮は最小限にとどめ、先入観を持たず本人を見てみることを大切にしています。  体調不良が起きたときにもチームでリカバリーし、チームリーダーが「眠れている?」、「ちゃんと食べている?」などとコミュニケーションを取ることで、日々の体調・心の変化にいち早く気づくようにしています。  また、月1回じっくりコミュニケーションを取り、『月次振り返りシート』と呼ばれるツールで、困っていること、相談したいことなどをメンバー間で共有するようにしています。  配属については、総務などへの配属後に、業務部署へ配属することで、逃げ込める場所をつくっておくようにしています。  今後の課題は、本人の意欲にどう応えるかという点です。動機づけや、関係機関の連携などを通じて、精神障害のある方の安定した就労継続につなげていきたいと思います。 K 「株式会社オレンジページ」の人事総務部で勤務しているKと申します。私は、大学1年生のときに、強迫神経症を発症しました。その後、休学と復学と精神科の転院をくり返して、27歳で大学を卒業しました。  初めに就職したのは外食系コンサルティング会社で、書類の送付や受付などを担当していました。勤怠も安定し、病状管理もできていて、評価はされていたのですが、待遇やキャリア形成の環境が絶望的だと感じていました。また、「障害者だからダメだ」といった言動にも苦しみ、退社することになりました。  次に入社した会社がオレンジページです。雰囲気が合っていたのと、病状に理解を示して定期的な面談をしてもらったり、支援機関の支援者が、障害者ではなく社会人として接してくれたりしたのも、安心感や信頼感につながっていきました。現在は週5日、1日7・5時間の勤務をして、さまざまな業務を任せてもらっています。 医療機関だからこそできる継続的な支援 松爲 では、オレンジページさんをサポートしている支援者の清澤康伸さんにもお話をうかがいます。 清澤 吉祥寺病院の清澤です。私は、2018年3月までの6年間、「国立精神・神経医療研究センター」で、デイケア型就労支援(医療機関であるデイケアにおいて職場開拓から定着支援、その後のキャリア支援までをワンストップで行う)のモデルの構築を行っていました。これまでに300人以上の障害者の就労を実現してきました。プログラム履修者の就労率は91・7%、就労1年後の定着率は93%です。  私どものプログラムでは、雇用前に「就労準備性」を身につけることに力を入れています。就労準備性とは就労してから働き続けるための土台づくりで、具体的にはプログラムのなかで自分の障害特性やストレス、注意サイン、そしてそれぞれの対処方法について学び実際に自分で実践できるようにしています。  メインとなる就労プログラムは週に1回、3カ月1クールで実施しています。講義やワーク形式で行いますが、このプログラムをあえてストレス負荷のかかる内容にしているため、ストレス耐性が身につき就労後の職場環境のほうがやさしいと感じられるようになります。そこも定着している理由の一つだと考えています。  就労後の雇用継続に向けた支援については、就労後3カ月程度の「職場適応段階」と、それ以降の「職場定着支援」の段階では、スタイルが変わります。  「職場適応段階」においては精神障害者の多くが勤務開始後1カ月〜3カ月で調子を崩す傾向にあり、それが離職要因の一つとなってしまうため、その要因を最小限にできるように合理的配慮をお願いしています。具体的には、時間的配慮として、初めはフルタイムではなく週に20時間程度の時短勤務から始め、半年から1年を目処(めど)に30時間以上にしてもらうようにしています。  多くの方からの指示による混乱を避けるため指示命令系統を一元化してもらいますが、担当者は1人ではなく2〜3人にしてもらっています。これは担当者が1人ですと、休んだときや出張、異動に対応できなくなってしまうリスクがあるためです。対応は「一般社員と同等にしてもらうこと」、「調子を崩すことはあくまでも想定内としておくこと」なども大切だと思います。  「職場定着段階」でいちばん大事なポイントは合理的配慮の見直しです。また、だいたい就労後2〜3年で離職する精神障害者が多いので、離職しないキャリアプランも必要だと思います。  医療情報の提供は、医療機関のできる大きな役割です。調子を崩したときに周囲から見て取れる状態や、そのときの対処、本人の不調となる傾向と対策について書面や口頭での説明を実施します。就労継続を実現するために、精神科医師、看護師、心理療法士、作業療法士、精神保健福祉士の5職種から構成される多職種チーム(Multi disciplinary Team)が定期的に本人のニーズをくみ取り、支援計画の作成、進捗状況の確認をしています。  医療機関だからこそ、病状の管理や生活支援、今後の方向性といった「医職住」についての支援が、期間の縛りがなくシームレス(※)に提供できると思います。 障害があってもなくても、仲間として働ける職場 松爲 続きまして、「株式会社良品計画」の成澤岐代子さんにお話をうかがいましょう。 成澤 「株式会社良品計画」の成澤と申します。当社では2000年に障害者雇用をスタートし、2009年には「ハートフルプロジェクト」を発足させ、障害者雇用を促進してきました。当社には「仕事」、「風土」、「目標」、「幸福」という四つの大きな旗があり、障害者雇用の基本的な考え方にもなっています。これは、「障害者も含めた全社員が目標を持って、みんなでお互いに助け合うことが自分たちの幸せであり、お客さまの幸せにつながる」というものです。  現在の障害者の雇用率は4・22%(331人)、そのうちの82・2%が精神障害者です。ここまで精神障害者の雇用が増えているのには理由があります。まず、当事者本人がご自身の病状を理解され、体調を伝えたり、自分自身をコントロールしたりすることができている点です。そして、会社全体で精神障害者を仲間として受け入れ、一緒に働く経験を共有してきたという点も、現在の雇用率につながっていると思います。  2009年にハートフルプロジェクトを発足させたときに、障害者の職域を本部や会計センターだけではなく、店舗へと広げました。これにはいろいろな意見があったのですが、この改革を通じて、スタッフ同士で助け合う姿勢を大切にしました。その後も、年度に応じてさまざまな取組みを行っています。  採用にあたっては、その人が「何を目標に当社で何をがんばりたいか」を重要視しています。また、本人や支援機関に配慮事項やプロフィール表を作成してもらうことも大切なポイントです。  仕事の内容は、障害の特性・個々の特性・能力に合わせたものとしていますが、同じ診断名でも人によって違いがありますので、しっかりとその人自身を見ていくようにしています。  また、障害者職業センターなどにお願いして、ジョブコーチにも支援をしてもらっています。全社員共通で使える仕組みとして『24時間相談センター』を設置しており、何かあれば、すぐに精神保健福祉士へのメール相談や電話相談ができる体制も設けております。  評価・昇給制度は、定着の最も大きなポイントになると思います。当社では、年に2回の評価を行い、結果をしっかりとフィードバックして給与にも反映することで、次のステップと雇用定着につなげています。  育成の面では、本人の希望した場合の異動などがあります。通常業務だけではなく、直営キャンプ場でのキッズキャンプや、田植えなどのイベントを通じて経験を広げる機会も提供しています。  ひと口に精神障害者といっても、人それぞれ違いますので、本人の特性に合ったサポートをして、モチベーションにつなげていくことが大切だと思います。 「セルフケア」、「ラインケア」で病状のマネジメントにつなげる 松爲 では次に、「東京障害者職業センター」の吉岡治さんにお話をうかがいましょう。 吉岡 「東京障害者職業センター」の吉岡です。地域障害者職業センターは、障害者の就労の促進と職場定着を図るため、障害のある方、事業主の方など、多様なニーズに対応した職業リハビリテーションサービスを提供しています。特に、障害者と事業主の双方へ支援を行うジョブコーチ支援においては、精神障害者についても多数の支援実績があります。ここでは、私どもの提供している支援の内容についてお話ししたいと思います。  精神障害の特徴は「治療しながら働く」、つまり疾病と障害が共存した状態であるという点です。環境の変化を受けて症状が変化しやすいため、医療機関との連携は不可欠であり、症状の安定のためには、当事者と職場双方の継続した取組みが必要です。  就労後、おおむね3カ月は、「職場適応」のための支援を集中的に行います。障害者側への支援としては、本人の特性などを理解したうえで、職務とのマッチングを吟味した後は、仕事で求められている技能の習得や、職場のルールの体得、職場の人間関係の構築などについて取り組みます。一方で、企業側には、受入れから、職場定着までの障害者雇用全般にかかわる支援をしていきます。必要に応じてジョブコーチ支援を活用して進めていくこともあります。  精神障害者の職場不適応の状況の多くは、「症状悪化」、「意欲の低下」、「疲労の蓄積」といったものが挙げられます。職場適応期には、このような状況を生じさせないような支援の枠組みづくりが必要となります。一例として、産業保健分野で使われている「セルフケア」、「ラインケア」という言葉がありますが、精神障害者が働く職場においても有効です。  「セルフケア」とは、当事者自身が、自分のストレスや疲労へいち早く気づき、自ら対処することを指します。  一方で、「ラインケア」は、上司と部下という関係性をベースに共有された情報をもとに、上司がご本人との個別相談などを通じて、職場環境の改善などを実施します。当事者は、自分のストレスや疲労のサインをよく知ることでセルフマネジメントにつなげることが重要であり、さらに、自分がストレスや疲労を感じるのにはどのような場面があるのか、ストレスサインに対処する行動は何なのか、ストレスサインをキャッチしたら周囲からどのような配慮を得たいかなどについて、あらかじめ職場の上司と取り決めておくことが、予防的な対策として効果的です。  疲労や気分といった感覚的なものを可視化するためには「生活リズム表」などのツールも有効です。睡眠時間、疲労度、気分などを数値化して上司と共有することで、ラインケアの介入により事態の悪化を防ぎます。セルフマネジメントを効果的に行う前提として、障害者ご自身が客観的に自分のことを知ることが必要です。自己理解を深めるには、一つの方法として自分の特性や周囲へのお願い事項などを言語化した「ナビゲーション・ブック(取扱説明書)」や、先日厚生労働省から発表がありました「就労パスポート」などを作成するのも有効です。  こうしたセルフマネジメントの手法などについては、ジョブコーチの活用を通じて、ご提案させていただいております。 安心して、働き続けるために 松爲 ありがとうございました。「職場適応」と「職場定着」の両側面について、詳細にお話ししていただきました。  では、この先は、この座談会に参加をお申し込みされたみなさんより、事前にいただいたアンケートから見えてきた課題について、話し合いたいと思います。初めに、定着のむずかしさの背景とその対策について、清澤さんと吉岡さんにうかがいましょう。 清澤 ほとんどの医療者が、就労場面や、その先を見据えた治療をしていないという現状があります。就労場面を想定した対処方法をきちんとお伝えしていないことが課題だと思います。 吉岡 ご本人の課題以外にも、人事異動や作業の変更や追加など、長期に職場に属することで生じる変化もあります。こういった変化が生じた際には、なるべく早い段階で支援機関がかかわり、必要に応じてジョブコーチによる支援を行うことが効果的だと思います。 松爲 当事者のセルフケアを企業として、どのようにサポートしているのかについて、増見さん、成澤さんにうかがいたいと思います。 増見 精神障害のある方は、体調や心の調子の「ゆらぎ」があります。当社では、それをいち早く発見するために、毎日、体調を確認しています。すると、何が問題なのか、どんな業務を割りふればいいのかなどの対策を講じることができます。 成澤 会社にどのような制度があるかを伝えることによって、体調の悪いときには無理をしなくてもよいことをわかってもらうようにしています。当社には、3カ月の休職制度がありますが、もっと長くなる場合にも、個別の対応をしたり、出勤率が足りなくても次年度の年次有給休暇を付与したりしています。勤務時間の変更などにも対応しています。 松爲 モチベーションアップのために、企業として、取り組んでいることはありますか。 成澤 一人ひとり目標が違いますので、年2回の評価時にしっかりと話を聞くようにしています。社内でステップアップをしたい人もいれば、将来は漫画家になりたいという人もいます。そのうえで、当社でどのように働きたいのかをしっかりと話し合っています。目標への到達を会社が応援していくスタイルが、長期的な定着にもつながるのではないでしょうか。 増見 月1回のコミュニケーションを大切にしております。そのなかで、何ができたか、できなかったか、何に悩んでいるのか、何を伸ばしたいのかを共有し、一緒に歩むようにしています。 松爲 Kさんは、当事者としてどのような支援が必要だと感じていますか。 K 通院のために休みをいただくなどの配慮はしてもらっていますが、「障害者だからこれ」といった雰囲気はありません。当たり前のことを当たり前にやっているだけです。 松爲 では、関係機関として、精神障害者を雇用する企業をどのような形で支えるのがよいのか、清澤さん、吉岡さんにもお話をうかがいましょう。 清澤 医療機関は医療情報を責任持って提供できるのが強みです。また、医療チームでかかわっているため何かあったときの受診や治療、生活部分における支援などトータルでのサポートがワンストップで行えるバックアップ体制で企業をフォローしたいと思います。 吉岡 医療機関との連携は必須だと思います。支援機関による支援が終わった後も、医療機関と当事者の関係は続きますので、診察の際に医療機関で何か気になることがあった場合は、支援機関に連絡してもらうような関係性があれば、問題が小さなうちに対処することができると思います。 松爲 Kさんの将来展望などがあれば、お話しください。 K 正社員になることが目標です。また、昔から小説を書くのが趣味なので、仕事をしながら、いつかそういう仕事もできればよいと思っています。 松爲 Kさんのこの話は、すごく大事だと思います。ご自身が何になりたいのか、どんな仕事で人生をつくりたいのか、支援機関にも、当事者の方がそれらを考えられるような指導をていねいにしていただきたいと思います。では、この後は、会場のみなさんから、ご自由にご意見、ご質問をいただきたいと思います。 質問者@ 良品計画の事例では、精神障害のある方の待遇が一般の方よりもよいと感じました。ほかの方から不公平だと訴える声はありませんか。 成澤 一緒に働くなかで、ほかの社員も精神障害者の特性を実感として理解してくださっているので、不公平という声は聞きません。 増見 休みが増えるなどの配慮事項以外は、一般の方と同じ扱いです。当事者にとっては、逆にそれがモチベーションになっているのではないかと思います。 質問者A 主治医が当事者のいうままに診断書を書いてきて対応に困ることがありますが、どうしたらよいのでしょうか。 清澤 産業医がいる場合は、産業医から主治医へ「診療情報提供書」を依頼してください。そのなかにはその方の状態や服薬状況などが詳細に記されているため、より具体的に対応できるかと思います。 吉岡 当機構のホームページで、『就労支援と精神科医療の情報交換マニュアル』をダウンロードしていただけます。医療機関とのつき合い方について、予備知識としてお読みいただくとよいと思います。 質問者B 「聞こえづらい」、「見えにくい」などの身体的な症状を本人が自覚できていない場合に、どのように対処したらよいのかを教えてください。 清澤 「その状況がどれくらい業務に影響を与えているのか」を把握したうえで、本人に対しそれを客観的に伝え、安全配慮義務の観点から何か問題があるとこちらとして心配であるということで受診をすすめます。 吉岡 コミュニケーションの手段として、代替手段を検討していき、何がよいのかを考えていただくのも一つの方法だと思います。 質問者C 就労した後に有効な、働く意欲や就労マインドの育成のためのプログラムなどがあれば教えてください。 清澤 現在、企業内や支援機関のなかでそのようなプログラムを行い、精神障害者を育成できる人材を育てていくための協会を立ち上げて人材育成を行っています。 松爲 最後に、モチベーションや働き続けるための就労マインドの育成について、どのような考えで取り組んでいるのかを、みなさんにうかがいましょう。 成澤 同じ会社で働くことも大切ですが、当社をステップにしてもらってもよいので、その先にある「自分の幸せ」を実現してもらいたいと思います。企業がそういう姿勢でいれば、当事者の方も、「いまの仕事が楽しい」と思ってくださるのではないでしょうか。 増見 精神障害のある方たちを特別扱いせずに、まず人として、一緒に働く仲間として向き合う姿勢を持つことが大切だと思っています。 吉岡 キャリアアップやステップアップがうまく機能している企業に関しては、しっかりとした制度の下支えもあると思います。例えば、休みを一日単位ではなく、半日や時間単位で取れたら、体調をいたわりながら自分のキャリアに対して「もっとチャレンジをしてみよう」という気にもなるのではないかと思います。制度も含めた、企業側の対応も重要だと思います。 清澤 障害者としてではなく、障害のある社会のなかで生きる人として私は就労支援を行っています。そのため、ときには厳しいことをいうこともあります。そのうえで何のために働きたいのか、働くとどんなよいことがあるのかを自分で理解して職場で活躍してもらいたいと思っています。働きたくても働けない、もしくは働くことをあきらめてしまった方が、一人でも多く働いて自律していくことを応援するのが自分の仕事だと思っています。 松爲 精神障害者の職場定着は、企業にとって非常に大きな取組みになります。ただし、その際に大切なことは、支援機関などの関係機関が一緒に障害者雇用を進めていくことだと思います。今後も、本人・企業・支援者が一体となって、精神障害者の雇用を進めていただきたいと思います。 ※シームレス:途切れのない、継ぎ目のない 写真のキャプション 松爲信雄さん 増見紳一さん 清澤康伸さん 成澤岐代子さん 吉岡治さん 【P26-27】 霞が関だより 令和元年 障害者雇用状況の集計結果A (令和元年6月1日) 厚生労働省 職業安定局 障害者雇用対策課 1 民間企業における雇用状況 ◎産業別の状況  産業別にみると、雇用されている障害者の数は、「鉱業、採石業、砂利採取業」、「金融業、保険業」以外のすべての業種で前年よりも増加した。  産業別の実雇用率では、「医療、福祉」(2・73%)、「農、林、漁業」(2・54%)、「生活関連サービス業、娯楽業」(2・32%)、「電気・ガス・熱供給・水道業」(2・25%)が法定雇用率を上回っている(第4表)。 2 国、地方公共団体における在職状況 (1)国の機関  国の機関に在職している障害者の数は7577・0人、実雇用率は2・31%であった。国の機関は44機関中27機関で達成している(第3表(1))。 (2)都道府県の機関  都道府県の機関に在職している障害者の数は9033・0人、実雇用率は2・61%であった。知事部局は47機関中33機関で達成しており、知事部局以外は111機関中89機関が達成している(第3表(1)) (3)市町村の機関  市町村の機関に在職している障害者の数は2万8978・0人、実雇用率は2・41%であった。2441機関中1766機関が達成している(第3表(1))。 (4)都道府県等の教育委員会  2・4%の法定雇用率が適用される都道府県等の教育委員会に在職している障害者の数は1万3477・5人、実雇用率は1・89%(都道府県教育委員会は1・87%、市町村教育委員会は2・03%)であった。都道府県教育委員会は47機関中6機関が、市町村教育委員会は53機関中32機関が達成している(第3表(2))。 3 独立行政法人等における雇用状況  独立行政法人等(法定雇用率2・5%)に雇用されている障害者の数は1万1612・0人、実雇用率は2・63%であった。独立行政法人等(国立大学法人等を除く)は91法人中83法人が達成、国立大学法人等は90法人中72法人が、地方独立行政法人等は171法人中127法人が達成している(第3表(3))。 【第3表】 国、地方公共団体等における在職状況 (1)国、地方公共団体の機関(法定雇用率2.5%) [ ]内は、実人数 @法定雇用障害者数の算定の基礎となる職員数 A障害者の数 B実雇用率 C法定雇用率達成機関の数/機関数 D達成割合 国の機関 328,132.5人 (320,654.0人) 7,577.0人 [6,237人] (3,902.5人) 2.31% (1.22%) 27/44 (8/43) 61.4% (18.6%) 都道府県の機関 345,606.0人 (337,872.0人) 9,033.0人 [6,847人] (8,244.5人) 2.61% (2.44%) 122/158 (99/161) 77.2% (61.5%) 市町村の機関 1,200,580.0人 (1,140,348.5人) 28,978.0人 [21,981人] (27,145.5人) 2.41% (2.38%) 1,766/2,441 (1,718/2,470) 72.3% (69.6%) (2)都道府県等の教育委員会(法定雇用率2.4%) @法定雇用障害者数の算定の基礎となる職員数 A障害者の数 B実雇用率 C法定雇用率達成機関の数/機関数 D達成割合 都道府県等教育委員会 714,968.5人 (662,641.5人) 13,477.5人 [10,082人] (12,607.5人) 1.89% (1.90%) 38/100 (39/100) 38.0% (39.0%) (3)独立行政法人等における雇用状況(法定雇用率2.5%) @法定雇用障害者数の算定の基礎となる労働者数 A障害者の数 B実雇用率 C法定雇用率達成機関の数/機関数 D達成割合 独立行政法人等 440,944.0人 (432,729.0人) 11,612.0人 [8,885人] (11,010.0人) 2.63% (2.54%) 282/352 (240/348) 80.1% (69.0%) 注1 (1)(2)の各表の@欄の「法定雇用障害者数の算定の基礎となる職員数」とは、職員総数から除外職員数及び除外率相当職員数(旧除外職員が職員総数に占める割合を元に設定した除外率を乗じて得た数)を除いた職員数である。 注2 (3)の表の@欄の「法定雇用障害者数の算定の基礎となる労働者数」とは、常用労働者総数から除外率相当数(身体障害者及び知的障害者が就業することが困難であると認められる職種が相当の割合を占める業種について定められた率を乗じて得た数)を除いた労働者数である。 注3 各表のA欄の「障害者の数」とは、身体障害者、知的障害者及び精神障害者の計であり、短時間労働者以外の重度身体障害者及び重度知的障害者については法律上、1人を2人に相当するものとしてダブルカウントを行い、重度以外の身体障害者及び知的障害者並びに精神障害者である短時間労働者については法律上、1人を0.5人に相当するものとして0.5カウントとしている。   ただし、精神障害者である短時間労働者であっても、次のいずれかに該当する者については、1 人分とカウントしている。   @平成28年6月2日以降に採用された者であること   A平成28年6月2日より前に採用された者で、同日以後に精神障害者保健福祉手帳を取得した者であること 注4 法定雇用率2.4%が適用される機関とは、都道府県の教育委員会及び一定の市町村の教育委員会である。 注5 ( )内は、平成30年6月1日現在の数値である。   なお、精神障害者は平成18年4月1日から実雇用率に算定されることとなった。 注6 「独立行政法人等」とは、障害者の雇用の促進等に関する法律施行令別表第2の第1号から第8号まで、「地方独立行政法人等」とは、同令別表第2の第9号及び第10号までの法人を指す。 注7 特例承認・特例認定や各機関における法定雇用障害者数の算定の基礎となる労働者数の変化等により機関数は変動する。 【第4表】 民間企業における産業別の雇用状況 区分 @ 企業数 A 法定雇用障害者数の算定の基礎となる労働者数 B 障害者の数  A.重度身体障害者および重度知的障害者  B.重度身体障害者および重度知的障害者である短時間労働者  C.重度以外の身体障害者、知的障害者および精神障害者  D.重度以外の身体障害者および知的障害者ならびに精神障害者である短時間労働者  E.計 A×2+B+C+D×0.5  F.うち新規雇用分産業計企業 C 実雇用率E÷A×100 D 法定雇用率達成企業の数 E 法定雇用率達成企業の割合 産業計 企業 101,889 (100,586) 人 26,585,858.0 (26,104,834.5) 人 121,377 (117,892) 人 16,845 (16,026) 人 278,430 (262,305) 人 45,159 (41,309) 人 560,608.5 (534,769.5) 人 62,015.0 (60,491.5) % 2.11 (2.05) 企業 48,898 (46,217) % 48.0 (45.9) 農、林、漁業 365 (359) 42,366.5 (40,690.5) 191 (172) 35 (25) 594 (548) 126 (132) 1,074.0 (983.0) 88.0 (93.0) 2.54 (2.42) 219 (212) 60.0 (59.1) 鉱業、採石業砂利採取業 72 (73) 10,420.5 (10,463.5) 49 (52) 1 (3) 105 (99) 4 (5) 206.0 (208.5) 8.0 (13.0) 1.98 (1.99) 39 (44) 54.2 (60.3) 建設業 4,251 (4,157) 803,549.0 (785,272.0) 3,986 (3,855) 212 (197) 6,802 (6,349) 266 (246) 15,119.0 (14,379.0) 1,252.5 (1,469.5) 1.88 (1.83) 2,042 (1,890) 48.0 (45.5) 製造業 25,238 (24,979) 7,108,849.5 (6,990,815.0) 37,003 (36,147) 1,688 (1,572) 73,435 (68,944) 3,735 (3,231) 150,996.5 (144,425.5) 12,219.5 (11,113.5) 2.12 (2.07) 13,613 (13,025) 53.9 (52.1) 電気・ガス・熱供給・水道業 254 (248) 215,501.5 (215,413.0) 1,262 (1,231) 30 (37) 2,278 (2,182) 41 (41) 4,852.5 (4,701.5) 244.5 (296.0) 2.25 (2.18) 122 (112) 48.0 (45.2) 情報通信業 5,468 (5,263) 1,561,346.5 (1,514,800.5) 7,070 (6,890) 276 (272) 12,568 (11,574) 366 (337) 27,167.0 (25,794.5) 3,464.0 (3,188.5) 1.74 (1.70) 1,473 (1,335) 26.9 (25.4) 運輸業、郵便業 7,336 (7,188) 1,597,562.0 (1,586,010.5) 7,474 (7,269) 822 (810) 18,212 (17,505) 1,894 (1,841) 34,929.0 (33,773.5) 3,323.5 (3,377.5) 2.19 (2.13) 3,989 (3,732) 54.4 (51.9) 卸売業、小売業 15,933 (15,955) 4,306,939.0 (4,300,319.0) 15,581 (15,330) 3,116 (3,026) 44,415 (42,312) 9,685 (9,085) 83,535.5 (80,540.5) 9,468.0 (9,695.0) 1.94 (1.87) 6,073 (5,771) 38.1 (36.2) 金融業、保険業 1,408 (1,405) 1,159,132.5 (1,201,221.0) 6,357 (6,464) 259 (256) 11,220 (11,050) 375 (394) 24,380.5 (24,431.0) 2,336.5 (2,452.0) 2.10 (2.03) 545 (498) 38.7 (35.4) 不動産業、物品賃貸業 1,945 (1,897) 466,653.5 (447,970.5) 1,791 (1,647) 204 (209) 4,185 (3,853) 434 (375) 8,188.0 (7,543.5) 1,128.0 (1,151.0) 1.75 (1.68) 658 (598) 33.8 (31.5) 学術研究、専門・技術サービス業 3,171 (3,065) 1,043,055.0 (914,498.0) 4,342 (3,685) 525 (475) 10,131 (7,863) 1,517 (1,401) 20,098.5 (16,408.5) 2,773.5 (1,832.0) 1.93 (1.79) 1,065 (961) 33.6 (31.4) 宿泊業、飲食サービス業 3,153 (3,143) 880,808.0 (870,400.0) 3,002 (2,813) 1,153 (1,176) 9,285 (8,763) 3,394 (3,311) 18,139.0 (17,220.5) 2,395.5 (2,362.0) 2.06 (1.98) 1,453 (1,359) 46.1 (43.2) 生活関連サービス業、娯楽業 2,977 (3,010) 534,754.0 (530,465.0) 2,353 (2,322) 536 (530) 6,499 (6,180) 1,308 (1,288) 12,395.0 (11,998.0) 1,445.0 (1,419.5) 2.32 (2.26) 1,242 (1,228) 41.7 (40.8) 教育、学習支援業 2,149 (2,116) 486,793.5 (478,716.0) 2,007 (1,954) 226 (201) 3,777 (3,590) 385 (333) 8,209.5 (7,865.5) 938.0 (928.5) 1.69 (1.64) 805 (744) 37.5 (35.2) 医療、福祉 16,880 (16,601) 2,910,097.0 (2,858,196.5) 13,719 (13,430) 5,243 (4,946) 38,683 (37,737) 16,009 (14,189) 79,368.5 (76,637.5) 11,345.0 (11,883.5) 2.73 (2.68) 10,397 (9,876) 61.6 (59.5) 複合サービス事業 951 (956) 306,822.0 (306,252.0) 1,405 (1,393) 167 (152) 2,926 (2,768) 344 (316) 6,075.0 (5,864.0) 535.0 (456.5) 1.98 (1.91) 406 (383) 42.7 (40.1) サービス業 10,338 (10,171) 3,151,208.0 (3,053,331.5) 13,785 (13,238) 2,352 (2,139) 33,315 (30,988) 5,276 (4,784) 65,875.0 (61,995.0) 9,050.5 (8,760.5) 2.09 (2.03) 4,757 (4,449) 46.0 (43.7) 注 前号掲載の第1表と同じ 【P28-29】 研究開発レポート −合理的配慮に関する職場での話合いと仕事の満足度− 調査研究報告書148「障害のある労働者の職業サイクルに関する調査研究(第5期)」 障害者職業総合センター研究部門 社会的支援部門 1 はじめに  障害者の安定した就業を進めていくためには、障害者の就職、就業継続、離職の各局面における状況と課題を把握し、これに応じたきめ細かい対策を進めていくことが不可欠です。このため、長期継続調査により、現状と課題を継続的に把握し、企業における雇用管理の改善や今後の施策展開のための基礎資料を得るため、2008(平成20)年度から16年計画で本調査研究を行っています。第5期(9年目・10年目)の調査では、2016年4月より改正障害者雇用促進法が施行され、すべての事業主に雇用の分野における障害者に対する差別禁止と合理的配慮の提供が義務づけられたことをふまえて、「事業主に対する障害者への差別禁止指針と合理的配慮の指針について、聞いたり読んだりしたことがあるか」、「2016年4月以降に職場において支障となっていることの確認や話合いの機会があったかどうか」という新たな設問を追加しました。  本調査研究の研究デザインである長期継続調査は、個人に対して長期にわたり継続して調査することにより、ある状態や状況と別の状態や状況との間の因果関係をより正確に、また時系列の変化をふまえて検証することが可能になるという性質を持っています。本調査研究ではこの法改正によって、障害者の仕事の満足度にどのような影響があったかを分析しました。 2 長期継続調査の概要  本調査研究の特徴である長期にわたり個人を追跡する研究方法は、欧米で1960年代後半から賃金、就業、家計などをテーマとした調査がスタートしており現在も続いています。日本でも1980年代後半からさまざまな調査が開始されています。障害者を対象とした就業に関する長期にわたる本調査研究はまれな取組みであり障害者団体などからも注目されているところです。  本調査研究は2008年度の開始時に、就業している40才未満の対象者のグループを「前期調査」、就業している40才以上の対象者のグループを「後期調査」として二つのグループを設定し、それぞれ2年間に1回アンケート調査を行い追跡しています。今回報告する第5期の調査では、前期調査と後期調査を合わせて視覚障害者113人、聴覚障害者228人、肢体不自由者234人、内部障害者119人、知的障害者282人、精神障害者115人、計1091人を対象に調査を実施しました。その結果、660人から回答(回収率60%)を得ています。回答者の就労率は、視覚障害者93%、聴覚障害者90%、肢体不自由者76%、内部障害者84%、知的障害者88%、精神障害者74%でした。平均年齢は、前期調査のグループは36・4歳、後期調査のグループは55・1歳でした。  アンケート調査の内容は、障害者の職業生活を幅広くとらえる観点から、調査対象者の基本的な属性に関すること、職業に関すること、職業以外の生活における出来事などに関する質問と満足度などの意識に関する質問により構成しています。また、前期調査、後期調査ともに、調査対象者個人の変化を確認するために基本的には第1期の調査から同一の内容としていますが、今回のように時勢の変化をふまえた質問の追加などを行っています。 3 差別禁止と合理的配慮指針の把握状況と職場での話合いの機会の状況  回答者のうち現在就労している556人の「障害のある方への差別禁止指針と合理的配慮指針の把握状況」、「2016年4月以降の職場での合理的配慮に関する話合いの機会の状況」は、次のグラフの通りです。  合理的配慮等の指針についての労働者本人の認知度は、半数を超える方が指針に触れる機会があったようでしたが、約4割の方は知らないという結果でした(図1)。合理的配慮を職場で進めるためには、まず職場での支障の確認、そして話合いの機会を持つことが最初のステップとされています。話合いの有無については、4割の方に話合いの機会があった一方で、話合いの機会はまだないとの回答も約4割ありました(図2)。 4 仕事の満足度との関係  本調査研究において「仕事満足度」は「就労を続けたいという気持ち」および「2年後の離職」に有意に関係しています。加えて「仕事満足度」の決定要因は、会社や職場の関係者へ自身の障害を説明している場合に「仕事満足度」が有意に高いこと、作業・通勤・コミュニケーション・勤務時間などの七つの項目において配慮を必要としている項目が多い人ほど「仕事満足度」が有意に低いこと、援助者がいなくなる出来事があった場合に「仕事満足度」が有意に低いことなどを確認できました。これは、職場において、周囲に対して自身の障害について説明すること、本人が必要と感じている配慮が行き届くこと、職場において援助者が不在とならないよう適切に引継ぎを行うことの重要性を示唆しています。  今回、上述の職場での支障の確認や話合いの機会と仕事の満足度の関係を分析したところ「仕事の内容」、「給料・待遇(労働条件)」、「職場の人間関係」、「職場の環境(施設整備等)」の四つの仕事の満足度すべてにおいて「今までと同様に確認や話合いの機会があった」場合は、「確認や話合いの機会はまだない」よりも有意に満足度が高い結果となりました。一方で「新たに確認や話合いの機会があった」と「確認や話合いの機会はまだない」の間には、有意な差は検出されませんでした。 5 まとめ  この分析結果から、障害者と事業主の間で、職場で支障となっていることの確認や話合いの機会が継続してあることが相互理解をうながし、障害者にとってより満足できる仕事の実現に寄与したと考察するとともに、制度改正を受けて新たに話合いを開始して間もない段階では障害者と事業主の相互理解は醸成されにくいことが示唆され、今後、さらなる確認や話合いの機会を継続していくことが求められると考察しました。  「調査研究報告書bP48」は、以上の分析結果の詳細、調査内容の第1期から第5期までの集計結果などを掲載しています。現在、本調査研究は第6期の調査の取りまとめを行っており、今後2回の調査が予定されています。引き続き、追加される調査結果を含めた分析により、仕事の満足度や状況の変化をとらえるとともに、影響する要因を含めた障害者のキャリア形成に関して研究を継続していきます。  また、本調査研究は、長期にわたる調査の共通の課題として、回を重ねるごとの回収率の低下があります。対象者の協力維持にかかるていねいな対応を継続して、今後の合理的配慮の取組み状況の変化に注視しつつ、キャリア形成に関する知見をさらに深めていきます。 ※「調査研究報告書NO.148」は、http://www.nivr.jeed.or.jp/research/report/houkoku/houkoku148.htmlよりダウンロードできます ◇お問合せ先:研究企画部 企画調整室(TEL:043-297-9067 E-mail:kikakubu@jeed.or.jp) 図1 差別禁止指針と合理的配慮指針の把握状況 n=556 把握している 29% 聞いたことはあるが把握していない 28% 知らない 40% 無回答 3% 図2 職場での合理的配慮に関する話合いの機会の状況 n=556 今まで同様に機会があった 31% 新たに機会があった 9% 機会はまだない 37% よくわからない 18% 無回答 5% 【P30-31】 ニュースファイル 地方の動き 東京 事業組合で障害者雇用  東京都は、国家戦略特区制度を活用し、複数の中小企業で障害者を共同で雇用する仕組みを導入する。  障害者雇用に積極的な社会的企業(ソーシャルファーム)が加わることで、雇用義務を達成できていない中小企業が法定雇用率を満たすことができる。ソーシャルファーム側も事業拡大の機会となる。行政手続きの簡便な有限責任事業組合(LLP)を都内の中小企業が共同出資で設立し、出資企業全体で実雇用率を算定できるようにする。 神奈川 ALS患者が分身ロボットを使いアドバイザーに  神奈川県は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者である野(たかの)元(はじめ)氏を「共生社会アドバイザー」に委嘱した。分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」を活用したテレワークにより、共生社会の実現のための諸施策等に対する助言をもらう。具体的には、同県の障害者支援政策における課題を明確にするためのデータの活用・分析に関する内容。月に2日程度、分身ロボットでの遠隔操作による在宅勤務で、会議に出席する。OriHimeにはカメラ・マイク・スピーカーが搭載されており、インターネットを通して操作する。周囲を見回し会話にリアクションをするなどのコミュニケーションが可能。 大阪 自営の障害者に介護費補助  大阪府は、障害福祉サービスの「重度訪問介護」を利用する自営業の障害者を対象に、現行制度では公的補助が出ない仕事中も介助を受けられるよう、独自に費用を補助する方針を決めた。働きやすい環境を整え、就業拡大につなげるねらい。来年度から政令指定都市の大阪市と堺市で実施する。  重度訪問介護は外出時も利用できるが、収入を得る「経済活動」は対象外で、通勤時や就業中は使えない。切れ目なくサービスを受けられるよう、就業中だけでなく食事、トイレなどの休憩中も費用を補助する。 生活情報 神奈川 障害者スポーツの拠点がオープン  障害者のスポーツの新たな拠点「障害者スポーツ文化センターラポール上大岡」が、横浜市の上大岡駅から直結するビル「ゆめおおおかオフィスタワー」の6〜8階にオープンした。  同市が約3億円をかけて体育室やトレーニング室、フィットネススタジオなどを整備。多目的トイレ・更衣室、視覚障害者用誘導マットなどを設置し、障害者が利用しやすくした。専用の機器を使って身体の状態を測定し、利用者に合わせた個別プログラムの提供も行う。 電話:045−840−2151 FAX:045−840−2157 働く 東京 ソフトバンク、短時間勤務の障害者雇用を拡充  「ソフトバンク株式会社」(港区)は、週20時間未満勤務の障害のある社員の雇用を、2020(令和2)年度以降、これまでより7割多い最大30人に拡充することを目ざす。同社は、障害者向けに「ショートタイムワーク制度」を2016(平成28)年に設け、現在18人が働く。就労時間は週4〜20時間で、3カ月ごとに契約を更新。東京大学などと連携してアライアンス(※)も発足させ、自治体や企業にも参加を働きかけている。 本紹介 『障害者雇用は経営課題だった!失敗事例から学ぶ、障害者の活躍セオリー』  障害者雇用支援事業を手がける「パーソルチャレンジ株式会社」(東京都港区)は、障害者雇用を経営視点からとらえ、雇用成功のポイントをまとめた『障害者雇用は経営課題だった!失敗事例から学ぶ、障害者の活躍セオリー』(good.book刊)を発行した。経営視点とは、障害者を戦力として位置づけ、活躍してもらうことで、雇用にかかるコストを活かすこと。「失敗事例から考える障害者の採用と活躍でつまずきやすいポイント」、「能力と処遇のミスマッチを解消する方法」、「自社の雇用状況把握のためのチェックリスト」なども掲載。 A5判130ページ、1000円(税別)。 ※アライアンス:複数の異業種企業が互いの利益のために協力しあうこと。業務提携など 「読者アンケート」にご協力いただき、ありがとうございました  いつもご愛読いただき、ありがとうございます。2019年7月号で実施しました読者アンケートには、みなさまから多数のご意見・ご要望をいただきました。心よりお礼申し上げます。今後の企画・編集の貴重な資料として活用させていただき、よりよい誌面づくりに努めてまいりますので、引き続きのご愛読をお願いいたします。  読者アンケートの結果の一部をご紹介します。次回のアンケートは、2020年7月号で実施する予定です。 【「働く広場」は参考になっていますか?】 非常に参考になる 19.1% 参考になる 69.0% あまり参考にならない 5.8% 参考にならない 0.2% 無回答 5.9% 本誌に対する評価  「『働く広場』は参考になる」と、88.1%の方から高い評価をいただきました。その理由として、「取組みなどが具体的に書かれていて参考になった」、「実際に障害者が働いている様子がよくわかる」、「障害のある社員への理解が深まった」などの意見が多数ありました。  参考になった記事では、「職場ルポ」、次いで「編集委員が行く」、「グラビア」、「NOTE」の人気がありました。 参考になった理由(代表的な理由) 【職場ルポ】 ・各企業での取組みが細かく具体的に紹介されていて参考になる。 ・実際に障害者が働いている様子や実態がよくわかる。 【編集委員が行く】 ・企業の具体的な取組みや、それに関連する考えなどを知ることができた。 【グラビア】 ・企業や個人について、細かく紹介されていて見ごたえがある 【NOTE】 ・アイデア、データ収集、参考事例、就労支援、多様な働き方を推進するうえで参考になる。 もっと充実を図ってほしい記事や内容 【職場ルポ】 ・いろいろな職種での障害者のかかわり方を知りたい。 ・中小企業や地方の小さな事業所の活動なども紹介してほしい。 【グラビア】 ・雇用する企業側の苦労やアドバイスをもう少し知りたい。 【編集委員が行く】 ・第三者の視点なども知りたい。 【研究開発レポート】 ・参考となる内容が多いため、もう少し誌面を増やしてほしい。 今後取り上げてほしい内容 ・障害者を雇用していくうえで生じた問題や課題、その解決法や体験談など。 ・精神障害・発達障害のある方の事例などを多めに取り上げていただきたい。 ・50〜100人規模の中小企業の「職場ルポ」など。 ・中高年層を含めた障害者雇用継続の具体例を取り上げてほしい。 ・さまざまな支援機関や組織の全体像や、それぞれの役割・目的などの解説があるとよい。 ・重度障害者を雇用している企業や就労支援機関、在宅ワークについて知りたい。 ・雇用されている障害者の職場での人間関係などについて。 ・国の動向、官公庁の障害者雇用状況など。 ・まだ障害者雇用には至っていない企業や障害者の悩みが知りたい。 ・特例子会社設立についての重要事項、問題点、具体例など。 ・障害別に事例を解説してほしい。 ・企業在籍型ジョブコーチの活躍事例。 ご意見・ご要望 ・できるだけ写真を多くして具体的事例を充実してほしい。 ・もう少し文字を大きくしてほしい。 ・障害者雇用に関する制度や障害の区分など、一般の人にも知ってもらえるコーナーを設けてほしい。 今年度本誌で取り上げた内容については、12〜13ページの「記事索引」をご覧ください。 また、興味・関心のあるテーマについては、当機構ホームページに掲載しているバックナンバーもご覧ください。 働く広場 バックナンバー 検索 【P32】 掲示板 障害者雇用の月刊誌「働く広場」がホームページでいつでもお読みいただけます!  本誌は当機構ホームページで、デジタルブックでも公開しており、いつでも無料でお読みいただけます(※)。  また、最新号は毎月5日ごろに当機構ホームページに掲載されます。掲載をお知らせするメール配信サービスもございますのであわせてご利用ください。 JEED 働く広場 検索 自由に拡大できて便利! 読みたいページにすぐ飛べる! ※2015年4月号〜現在まで掲載しています 雇用管理や人材育成の「いま」・「これから」を考える人事労務担当の方 ぜひご覧ください! メールマガジン好評配信中! 詳しくは JEED メールマガジン 検索 ※カメラで読み取ったリンク先がhttp://www.jeed.or.jp/general/merumaga/index.htmlであることを確認のうえアクセスしてください。 次号予告 ● 職場ルポ  法人向け情報化支援事業を行うラディックス株式会社の特例子会社、リベラル株式会社(東京都)を訪問。障害者の自立・成長をうながす現場を取材します。 ● クローズアップ  障害者雇用に関する諸問題や事柄について取り上げる「NOTE」のコーナーは、内容を充実させ、「クローズアップ」というコーナーにリニューアルします。4月号からは「はじめての障害者雇用」を連載します。 ● グラビア  今年度の全国アビリンピック出場者で、株式会社U&U(山梨県)に勤務する阪本祐介さんの職場での様子をご紹介します。 ● 編集委員が行く  松爲信雄編集委員が、富士電機株式会社の特例子会社、株式会社富士電機フロンティア(神奈川県)を訪問。障害のある社員の加齢問題への取組みを取材します。 本誌購入方法  定期購読のほか、最新号やバックナンバーのご購入は、下記へお申し込みください。  1冊からのご購入も受けつけています。 ◆インターネットでのお申し込み 富士山マガジンサービス 検索 ◆お電話、FAXでのお申し込み 株式会社廣済堂までご連絡ください。 TEL 03-5484-8821 FAX 03-5484-8822 あなたの原稿をお待ちしています ■声−−障害者雇用にかかわるお考えやご意見、行事やできごとなどを500字以内で編集部(企画部情報公開広報課)まで。 ●発行−−独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 発行人−−企画部長 片淵仁文 編集人−−企画部次長 中村雅子 〒261−8558 千葉県千葉市美浜区若葉3−1−2 電話 043−213−6216(企画部情報公開広報課) ホームページ http://www.jeed.or.jp メールアドレス hiroba@jeed.or.jp ●発売所−−株式会社 廣済堂 〒105−8318 港区芝浦1−2−3 シーバンスS館13階 電話 03−5484−8821  FAX 03−5484−8822 3月号 定価(本体価格129円+税)送料別 令和2年2月25日発行 無断転載を禁ずる ・本誌に掲載した論文等で意見にわたる部分は、それぞれ筆者の個人的見解であることをお断りします。本誌では「障害」という表記を基本としていますが、執筆者・取材先の方針などから、ほかの表記とすることがあります。 編集委員 (五十音順) 埼玉県立大学教授 朝日雅也 株式会社FVP 代表取締役 大塚由紀子 山陽新聞社会事業団専務理事 阪本文雄 武庫川女子大学 准教授 諏訪田克彦 相談支援事業所 Serecosu 新宿 武田牧子 あきる野市障がい者就労・生活支援センターあすく センター長 原智彦 株式会社ダイナン 経営補佐 樋口克己 東京通信大学教授 松爲信雄 有限会社まるみ 取締役社長 三鴨岐子 横河電機株式会社 箕輪優子 【P33】 募集 令和2年度 障害者雇用職場改善好事例 企業のみなさまから障害者雇用における雇用管理の工夫や働きやすい職場にするための改善事例を募集します。 募集テーマ:障害者の健康に配慮し安心・安全に働けるよう取り組んだ職場改善好事例 募集期間 令和2年4月1日(水)〜5月20日(水) 募集事例 (取組例) 一般労働安全衛生対策を実施したうえで、雇用している障害者に対して、その特性に応じた取組を行った事例を募集します。 〇障害のある従業員の身体機能の状況(体力、見え方や聞こえ方、体温調節機能、感覚の過敏さなど)を考慮し、独自の労働安全衛生対策を行った事例 〇理解力の状況に配慮し、安全な業務遂行のためのルール作りの改善・工夫を行った事例 〇安全衛生教育、保健指導などの集団指導を障害者に確実に理解させるための工夫を行った事例 〇障害特性に関する安全衛生上の留意点について、障害のない従業員に理解させるための取組を行った事例 〇障害のある従業員が安全衛生委員会活動などへ参画し、提言を元に改善に取り組んだ事例 〇産業保健に関する専門職などとの連携や体制整備を工夫した事例 〇災害時の避難経路、避難訓練、情報提供などについて障害に配慮した取組を行った事例 など 応募資格 (1)募集事例の障害者を雇用している事業所 (2)労働関係法令等に関し重大な違反がないこと及び社会通念上、表彰するにふさわしくないと判断される問題を起こしていないこと (3)応募事業所において障害者雇用に関する支援(障害者就労継続支援事業所を含む)・コンサルティングを主たる営業品目としていないこと 賞 厚生労働大臣賞(1編) 優秀賞 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 理事長賞(若干編) 奨励賞 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 理事長賞(若干編) ※入賞事業所は、令和2年8月末ごろにホームページなどで発表する予定です。 主催 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構  後援 厚生労働省(予定) ◎応募方法 募集要項をご確認のうえ、指定の応募用紙に改善内容を記入し、郵送またはEメールにてご応募ください。募集要項、応募用紙はホームページからダウンロードできます。 http://www.jeed.or.jp/ 職場改善好事例 検索 NEW! 入賞事例を掲載した好事例集はホームページでご覧いただけます。 〈応募先・お問合せ先〉雇用開発推進部 雇用開発課 TEL:043-297-9514 E-mail:manual@jeed.or.jp 【裏表紙】 作品募集! 令和2年度 障害者雇用支援月間 令和2年度より団体奨励賞を新設! ポスター原画( 絵画・写真)コンテスト 「働くすがた〜今そして未来〜」 6/15(月)締切・消印有効  毎年9月1日〜30日は、「障害者雇用支援月間」です。国民のみなさまに障害者雇用への理解と関心を深めていただけるよう、障害のある児童・生徒や働く障害のある方々を主な対象に「働くこと」をテーマとする障害者雇用支援月間ポスター原画(絵画・写真)コンテスト「働くすがた〜今そして未来〜」を実施しています。厚生労働大臣賞受賞作品は、障害者雇用支援月間ポスターに使用し、全国のハローワークなどに掲示します。 詳しくはホームページの募集要項をご覧ください。 http://www.jeed.or.jp/disability/activity/contest/index.html ★過去のポスターや入賞作品などもご覧いただけます。 JEED 原画 検索 令和元年度 障害者雇用支援月間ポスター原画 高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長賞 【絵画の部】高校・一般 「可愛くて美味しいを創り出す」 大村綾子さん(愛知県) 【絵画の部】中学校 「本屋さんでの実習」 シンディ・ナターシャ・ハンダヤニさん(長野県) 【絵画の部】小学校 「うしのせわをしたいな」 須賀弘希さん(鹿児島県) 【写真の部】 「みんなできれいに」 椎名秀夫さん(神奈川県) 写真は、プロのカメラマン以外の方であればどなたでもご応募いただけます。 たくさんのご応募お待ちしています。 シンボルキャラクター“ピクチャノサウルス”(かおはカメラ、つのは絵筆をイメージしています) お問合せ先 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 雇用開発推進部 雇用開発課 TEL 043-297-9515 FAX 043-297-9547 3月号 令和2年2月25日発行 通巻510号 毎月1回25日発行 定価(本体価格129円+税)