【表紙】 令和3年5月25日発行・毎月1回25日発行・通巻第524号 ISSN 0386-01 障害者と雇用 2021 6 No.524 職場ルポ 各部署に点在、細やかな支援で定着 日本テクノ株式会社(東京都) グラビア 日本一をサポート ポラスシェアード株式会社(埼玉県)渡辺啓仁さん 編集委員が行く 就労移行支援促進へ、医療、雇用企業ネットワークの活用を通じた支援スキル向上 多機能型事業所スピカ(岡山県)、医療法人豊仁会まな星クリニック(岡山県)、地方独立行政法人岡山県精神科医療センター(岡山県)、社会福祉法人共生シンフォニー(滋賀県) クローズアップ コロナ禍を乗り越えて〜新しい働き方を問う〜 第1回 「木工職人」秋田県・松山(まつやま)楓茉(ふうま)さん 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 誰もが職業をとおして社会参加できる「共生社会」を目指しています 6月号 【前頁】 心のアート 絞りの技、極まれり! 細川陽平 (特定非営利活動法人地域支援センターポレポレ) 素材:布、輪ゴム  陽平さんはとにかく几帳面で、ゴミの分別から衣類のボタンやチャックまで“キッチリ”していないと気がすまない。ボタンなどのほつれを見ると、ご自身で針と糸を持って直すこともあります。  絞り染めの「絞り作業」でもその“キッチリ”は発揮され、隙間が見あたらないくらいに輪ゴムを巻きつけます。これだけ詰めて絞る技術はまさに職人技!  絞り染めは、絞る位置や巻きつけるひもの強弱などにより多種多様な模様ができあがるのが特徴です。これだけ“キッチリ”詰めて絞ると、ほとんど染まるところがなくなってしまいますが、この“キッチリ”が陽平さんらしさなのです。 (文:特定非営利活動法人地域支援センターポレポレ 菊 義典) 細川陽平(ほそかわようへい)  29歳、石川県金沢市在住。自閉症がある。  生活介護事業所「ぽれぽれ工房山の家」を週2回利用。事業所では午前に内職作業、午後に草木染めの模様つけ(通称:絞り)作業をしている。  絵画作品で受賞歴が多数あり、陽平さんのアトリエ兼ギャラリーもある。 【もくじ】 障害者と雇用 目次 2021年6月号 NO.524 心のアート 前頁 絞りの技、極まれり! 作者:細川陽平(特定非営利活動法人地域支援センターポレポレ) 私のひとこと 2 若年認知症と労働 特定非営利活動法人若年認知症サポートセンター 理事長 宮永和夫さん 職場ルポ 4 各部署に点在、細やかな支援で定着 日本テクノ株式会社(東京都) 文:豊浦美紀/写真:官野 貴 クローズアップ 10 コロナ禍を乗り越えて〜新しい働き方を問う〜 第1回 JEEDインフォメーション 12 国立職業リハビリテーションセンター 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター訓練生募集のお知らせ/令和3年度「地方アビリンピック」開催地一覧/障害者雇用を進める事業主のみなさまへ 就労支援機器をご活用ください! グラビア 15 日本一をサポート ポラスシェアード株式会社(埼玉県)渡辺啓仁さん 写真/文:官野 貴 エッセイ 19 障害福祉サービスの現場から 第4回 社会保険労務士・行政書士 高橋 悠 編集委員が行く 20 就労移行支援促進へ、医療、雇用企業ネットワークの活用を通じた支援スキル向上 多機能型事業所スピカ(岡山県)、医療法人豊仁会まな星クリニック(岡山県)、地方独立行政法人岡山県精神科医療センター(岡山県)、社会福祉法人共生シンフォニー(滋賀県) 編集委員 阪本文雄 省庁だより 26 農福連携の推進について 農林水産省 農村振興局 都市農村交流課 研究開発レポート 28 ワークサンプル幕張版(MWS)の企業における活用事例 〜DICエステート株式会社業務サポート部における人材育成の取組み〜 障害者職業総合センター研究部門 障害者支援部門 ニュースファイル 30 編集委員のひとこと 31 掲示板・次号予告 32 第29回職業リハビリテーション研究・実践発表会(発表者募集のお知らせ) 表紙絵の説明 「ものづくりが好きで、将来木工職人になりたいと思い、この題材を選びました。特に木目や木を切っているところに力を入れて描きました。作業服のしわや、木を切っている動きを表現するのがむずかしかったです。まさか自分が入賞するとは思っていなかったので、うれしかったです」 (令和2年度 障害者雇用支援月間ポスター原画募集 中学校の部 高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長奨励賞) ◎本誌掲載記事はホームページでもご覧いただけます。(https://www.jeed.go.jp/) 【P2-3】 私のひとこと 若年認知症と労働 特定非営利活動法人若年認知症サポートセンター理事長 宮永和夫 若年認知症の認知普及と家族会の設立  若年認知症は、18歳から64歳の年齢で発症した認知症をいいます。すなわち、「働き盛り」といえる年齢で生じるもので、私は一時期「働き盛りの認知症」と名づけて拙著や講演で使いましたが、残念ながら普及しなかったようです。  私は精神科医になって45年ほど経ちますが、医師になりたての時代、受診される患者さんの多くは、中等度以上の認知機能低下とBPSD(※1)のために、家族が介護することが困難となっていました。その結果、家庭は崩壊し、最後の手段として、精神科病院に連れてくる状況でした。患者さんもコミュニケーション障がいとADL(日常生活動作)障がいが強く、決して本人自らが受診するまでのいきさつを語ることはありませんでした。診察・治療は、患者さんに診断をつけて「入院」とし、病院で最期を看取るという流れでした。その後、認知症の治療薬に近い薬剤が開発され、また頭部CTなどの画像検査ができるようになったこともあり、軽度認知症の人も受診するようになりました。しかし、この時点でも、家族の困りごとは聞くものの、悩んでいる本人の声は聞いていませんでした。  その後、本人の話を聞くことができるようになった大きな転機は、1996(平成8)年に始まった若年認知症に対する全国疫学調査(※2)からだと思います。なお、日本人が認知症の本人に耳を貸し始めたのは2004年、京都市で開催された「国際アルツハイマー病協会第20回国際会議」で、認知症のある日本の越智さんとオーストラリアのブライデンさんが、自らの病気を自分の言葉で語ったときからだろうと思います。  また、2001年に疫学調査に協力いただいた家族の方々と、若年認知症の家族会「朱雀の会」(奈良県)を立ち上げることになりました。この会は、「ボケ老人を抱える会」(現認知症の人と家族の会)の奈良県支部の一部会として、すでにご家族や若年の当事者たちが集まっていたこともあり、比較的スムーズに設立することができました。  しかし、東京で家族会を立ち上げようとしたときは、土台がなにもなかったこともあり、私と作業療法士の比留間(ひるま)ちづ子先生が東奔西走して有志を募り、コクヨホールでの設立大会まで漕ぎつけるのに半年を要しました。そして、「彩星(ほし)の会」と名づけられた家族会の第一回は、医学博士で認知症専門医の橋正彦先生が勤務されていた「東京都老人医療センター」(現東京都立健康長寿医療センター)の一室を借りて行われました。  そして、その日に反省会として始まり、いつの間にか恒例となったのが「彩星の会」の二次会である「飲みニケーション」でした。この二次会を通じて、私はご家族の方や本人と一緒に、同じ仲間として食べたり飲んだりできましたし、本当の意味で認知症を理解することができたように思います。それまで、患者さんとは、正面で相対する形をとっていましたが、「飲みニケーション」を続けるうちに、同じ方向を向いて話したり歩むことが心地よいと思うようになりました。 若年認知症の人の支援と就労  就労の話もすぐに「飲みニケーション」で話題となりました。仕事を辞めたり、休職中の本人たちが、もう一度仕事に復帰したいといい出したのです。動機はいろいろでした。単に、経済的に苦しいという人もいましたし、まだ働いている同期と一緒に仕事をしたいという人もいました。働かず家にいてもつまらないので、ボランティアをしたいという人もいました。それではということで始めたのが、「ジョイント」という就労型デイケアセンターでした。  「ジョイント」では、ボランティアで公園の掃除を始めただけでなく、本人たちが自分の作品を売って、金銭を得る事業が生まれました。それらを通して、家族会における「患者さん」のイメージとは異なる個々の性格と疾患の特徴を、私たちはより深く認識するようになりました。この時点ではまだ、医療や介護の関係者に「認知症の人と労働」は結びついていませんでした。しかし、2008年に発表された厚生労働省の『「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト」〜報告書〜(平成20年7月)』において、若年性認知症対策の項目が設けられました。そして、若年性認知症に関する相談から診断・医療の充実のほか、雇用継続や就労の支援などを行い、一人ひとりに応じた支援体制を構築することが喫緊の課題であると書かれ、認知症の人にも就労支援の内容が入ることになりました。  以後、若年性認知症には就労という言葉がついて回ることになりましたが、認知症施策推進関係閣僚会議による『認知症施策推進大綱(令和元年6月18日)』の「第2 具体的な施策・4認知症バリアフリーの推進・若年性認知症の人への支援・社会参加支援」のなかに、「若年性認知症支援コーディネーターの充実等により、若年性認知症の人への支援や相談に的確に応じるようにするとともに、企業やハローワーク等と連携した就労継続の支援を行う」と記され、さらなる展開がありました。  また、地域包括ケアと地域共生社会を統一して、介護予防と健康増進を図るため、元気な高齢者や障がい者にも「労働を社会参加の一方法」としてすすめる流れが出ています。まさに、就労はいわゆる労働年齢にある人だけでなく、高齢者や障がい者にも社会活動、社会参加の手段になったわけです。  なお、表は、ILO(国際労働機関)とFundacion ONCE(スペイン視覚障害者全国組織)の共同刊行物『Making the future of work inclusive of people with disabilities(障害者を包摂した仕事の未来へ)』の概要です。若年認知症が認知症という単なる疾患でなく、障がい者としても位置づけられた結果、PWD(people with disabilities:障がいのある人々)の一員として、これらの項目の達成が今後求められるべきでしょうし、周囲のサポートもぜひ必要だと思います。 ※1 BPSD:認知症の行動・心理症状(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)。暴力・暴言・徘徊・拒絶・不潔行為などの行動症状、抑うつ・不安・幻覚・妄想・睡眠障害などの心理症状のこと ※2 厚生省科学研究費補助金精神保健医療研究事業「若年痴呆の実態に関する研究」(一ノ瀬他) 表 『障害者を包摂した仕事の未来へ』の概要 1 新たな就労形態や雇用関係に障害者包摂の視点を組み込むべきこと 2 包摂的な技能開発と生涯学習 3 新たな基盤構造、製品、サービスは、誰でもアクセス・理解・利用が可能なユニバーサル・デザインの原則に従ったものとすべきこと 4 支援技術は入手可能で手頃なものとすべきこと 5 経済の成長分野及び開発分野へ障害者を含むさらなる措置が必要なこと 出典:ILO駐日事務所プレスリリース(2019年11月21日) 宮永和夫 (みやなが かずお)  1975(昭和50)年、群馬大学医学部卒業。2000(平成12)年、群馬県こころの健康センター所長。2007年、ゆきぐに大和病院院長。2015年、南魚沼市・病院事業管理者を経て、現在に至る。専門は、老年精神医学、若年(性)認知症、高次脳機能障害、大人の発達障害。日本老年精神医学会評議員。特定非営利活動法人若年認知症サポートセンター理事長。  おもな著書に、「若年認知症の臨床」(新興医学出版社、2007年)、「高次脳機能障害のある方と働くための教科書」(日本法令〈共著〉、2020年)などがある。 ★本誌では通常「障害」と表記しますが、宮永和夫さんの希望により「障がい」としています 【P4-9】 職場ルポ 各部署に点在、細やかな支援で定着 ―日本テクノ株式会社(東京都)― 高層ビル内にある職場は、障害のあるスタッフが各部署に点在しているのが特徴。 当初から、個々の孤立感防止やスキルアップへの工夫を重ね、定着を進めてきた。 (文)豊浦美紀 (写真)官野 貴 取材先データ 日本テクノ株式会社 〒163-0653 東京都新宿区西新宿1-25-1 新宿センタービル53階 TEL 03-5909-5120 FAX 03-5909-5565 Keyword:身体障害、知的障害、精神障害、高次脳機能障害、障害者職業生活相談員、ジョブコーチ、公認心理師 POINT 1 本社内の各部署に、障害のある従業員1〜5人を配置 2 週1回の面談や情報交換会で孤立感防止やスキルアップ 3 公認心理師による専門的なサポートも 事務系の部署に点在  1995(平成7)年設立の東京都新宿区にある「日本テクノ株式会社」(以下、「日本テクノ」)は、電力小売や電気設備保安管理、電力コンサルティングなどを幅広く手がけている。  障害者雇用は、沖縄県にある「日本テクノ株式会社テクノ・サテライト・オフィス」(以下、「沖縄オフィス」)を中心に2008年から進めてきたが、2017年からは東京本社でも取り組み始めた。いまでは、全従業員1045人のうち、障害のある従業員(以下、「スタッフ」)が31人(身体障害11人、知的障害2人、精神障害18人)で、障害者雇用率は3・47%(2020〈令和2〉年6月1日現在)にのぼる。  沖縄オフィスでは、スタッフ16人が同じ部署で働いているが、東京本社で採用された9人は、各部署に点在しているのが特徴だ。管理部に5人が配属されているほかは、技術本部・保安本部・経営企画室・広報室にそれぞれ1人が配属されている。  担当する業務は、おもに伝票確認やデータ入力、封入作業、郵便物や書類の仕分けなど事務補助全般のほか、部署によっては専門的な業務もあるという。 1人から採用  東京本社で障害者雇用を始めた理由について、管理部人事課長の山ア(やまざき)亮(あきら)さんは「それまで沖縄オフィスに任せきりな状況でしたが、会社全体の従業員増加にともなって、さらなる障害者雇用を進める必要がありました」と説明する。初めてのスタッフ採用は2017年、本社内の呼びかけに手をあげた技術本部に、精神障害のある人が配属された。ただ当時はサポート役の社員を決めていたわけでもなく、小さな問題がいくつも出てきたという。  現場から相談を受けていたのが、ちょうど同じ年に、おもに新卒社員向けとして発足した「人事課人事支援係」だった。当時係長だった山アさんは、全従業員のメンタルヘルスを担当する公認心理師(当時は臨床心理士)で、経営企画室に所属する谷口(たにぐち)桃子(ももこ)さんと、公認心理師(当時は産業カウンセラー)で、同じく経営企画室所属の茂田(しげた)晃信(あきのぶ)さんに相談。そのまま3人が中心となり、障害者雇用全般にかかわるプロジェクトを立ち上げることになった。  山アさんは、まず障害者職業生活相談員と企業在籍型職場適応援助者(ジョブコーチ)の資格を取得し、ハローワークの案内でさまざまな職場や学校見学、各種セミナーなどに参加した。いろいろな実例を見て、「事務補助であれば仕事の切り出しがしやすい」と思ったものの、各部署に声をかけると「うちは顧客情報を扱うから無理ではないか」、「複雑なシステム関係だからむずかしいかも」といった消極的な反応が相次いだという。  それでも2018年に採用した精神障害のあるスタッフ2人は、山アさんのいる管理部のほかに保安本部にも配属できた。「もともと障害者雇用に理解のある社員がいたことでスムーズに進みました」と、山アさんは明かす。 週1回1時間の面談  受入れが決まった部署では、必ず事前に勉強会を実施している。法定雇用率などの基本的な知識を学んだあとに、配属されるスタッフに必要な配慮を、本人の同意を得たうえで説明する。  スタッフの担当業務は封入封かんといった軽作業から始めたが、日によっては行う業務がなく、急きょ別の部署の作業を手伝うこともあった。そこで実績や働きぶりを見てもらって、新しい仕事を担当するようにもなったという。  採用活動も進めていき、「採用基準が決まっていなかったので、まずは職歴などを問わずに会ってみることを優先させました」と山アさんはいう。面接時には、その場でエントリーシートを記入してもらった後、1時間〜1時間半ほどかけて1人ずつ話をじっくり聴く。特に障害については経緯や現状、支援機関などの通所経験や支援状況を重要視した。雇用形態はパートタイム社員だが、昨年初めて契約社員として特別支援学校から1人採用している。  スタッフが1人で配属される部署には、業務指示役の社員が1人つき、山アさんはフォロー役に回った。日常的に様子を確認できるわけではないため、週1回1時間の面談も行うことにした。  「障害者雇用の理解も経験も浅い職場ですから、なにか問題が表面化してから対応するのでは遅すぎます。少しでも早く異変に気づくことはもちろん、定期的にじっくり話を聴くことで、本人が不安や悩みを抱え込まないようにすることが大事だと考えました」  複数の部署に点在するスタッフたちは、通勤・勤務時間もバラバラだ。基本的な体調管理は日報で見守ってきたが、スタッフ同士の情報共有やコミュニケーションが十分ではないという心配があった。そこで朝礼の代わりとしてスタッフが集まった「昼礼」を毎日13時から行ってきたそうだ。全員が顔を合わせ、その日の体調や仕事内容などについて伝えあっている。 専門職によるサポート  公認心理師の2人は、定期的に各部署を回ってスタッフの様子を確認しながら声かけもしている。「人によっては声かけを増やしたり、逆に減らしたりといった工夫をしています」と茂田さんはいう。  スタッフとの面談も、山アさんを加えた3人で交代しながら行っている。気になることがあったときや、対応に困ったときなどは、月に1回受けている「スーパービジョン(※)」の場で助言をもらっているという。そこで、むずかしい課題の解決の手がかりが見つかることも多く、もらったアドバイスに沿って当事者の主治医と連携し、職場での配慮が改善できたケースもあるという。  また月1回、スタッフが集まる「情報交換会」では、日ごろ困っていることや、うまくいったこと、失敗したことなどを共有するほか、心理学的なワークショップも行っている。  「雑誌などの写真や絵を切り貼りするコラージュ療法で自己理解を深めたり、仕事中の上司に声かけする方法などを学んだりするほか、チームでのペーパータワーづくりやパソコンミニ教室など、個々のスキルアップにつながるような幅広いプログラムを企画しています」と、茂田さんは話す。 脳出血から高次脳機能障害に  次に、東京本社で働くスタッフに話を聞かせてもらった。  まずは2020年2月に入社し、技術本部に配属されている中村(なかむら)純子(じゅんこ)さん。もともとCADオペレーターとして建築図面を描く仕事をしていたが、2018年1月に脳出血で倒れ、9カ月の入院を余儀なくされた。退院時には通常の会話も生活もできるようになったものの、高次脳機能障害が残った。1年ほどリハビリ通院をしながら、東京都心身障害者福祉センターに週3回、2カ月間通って職業訓練を受けたという。  主治医の許可を得て再就職することを決め、ハローワークで日本テクノを見つけた。面接では、職場での配慮について「記憶力が弱くなっているので、口頭で指示するときはメモをとる時間がほしい。指示は紙媒体などでもらえると助かる」と伝えたそうだ。働き始めはていねいな指示書をもらっていたが、いまは慣れてきたので、自分でメモ書きするだけで済むようになっている。  中村さんは、高次脳機能障害について「自分でも症状を自覚できないところがむずかしい」と明かす。「周囲から『どこが悪いの?』といわれるほどですが、いきなりスポッと抜けたことをしてしまいます。自分でも正直、障害なのか性格なのか考えてしまうこともありますね」  職場では、資材購入にかかわる取引先との書面整理や契約内容のチェック、他部署からの業務受付などを任されている。「細々とでも働き続けていきたい」と話す中村さんは、近くDTPの勉強も始めるつもりだそうだ。 短日数勤務で体調を整え  広報室で働く舘山(たてやま)晶(あき)さんは、2020年12月に入社した。8年ほど前に双極性障害と診断され、就労移行支援事業所に通いながらハローワークで時短勤務ができる会社を探し、日本テクノを見つけた。面接では、以前グルメサイトで簡単な文章を書く仕事をしていたことを話し、「広報の仕事もできるかもしれないね」と配属先が決まったという。  現在は各部署の制作物や社内報の校正、自社ウェブサイトや自社発行の「環境市場新聞」に掲載するコラムなどを担当している。舘山さんは「みなさんやさしくて、いつも気にかけてもらっています。しかも適度に干渉しないでいてくれるのがありがたいですね」と語る。  ただし、働き始めたころは、体調管理がむずかしかったそうだ。「元気な人にとっては普通なことも、私たちにとってはハードルが高いことがいくつもあります。特に最初はたいへんな緊張感と不安感を抱えて、そこから体調を崩しそうになりました」とふり返る。勤務日数は週4日から週5日に変えたが、いまは再び週4日にしている。  舘山さんは入社直後、広報室長の中山(なかやま)大志郎(だいしろう)さんから「あなたのことは普通の新人社員と思っていますよ。ただし体調など辛いときは遠慮せず辛いと伝えるように」といわれたことも心強かったという。当時のことを中山さんはこうふり返る。  「本人が勤務日数について迷っていたときも『突然休むより、最初からしっかり休んだほうがいいよ』と助言しました。私たちからすれば『この時間に、いつもいてくれる』ことが大事なのだから、体調管理を優先させるべきだと。職場のほかの部下には、『配慮すべきポイントだけは、みんなで勉強しながら気にかけて、あとは普通通りでいこう』と話していました」  そして、舘山さんは「休日には、なるべく体を動かしたり、ゆっくりお風呂に入ったりして体調安定に努めています。ただ、いまはコロナ禍で外出がままならず、むしろ会社に通うことで安定しているような感じです」と話してくれた。 特別支援学校から入社  岩瀬(いわせ)未宙(みひろ)さんは2020年4月、初めて契約社員として新卒採用された。山アさんたちが特別支援学校を訪問し、職場実習生として受け入れたのがきっかけだ。配属先の管理部では、請求書の封入作業や郵便物の仕分け、会議室などの清掃を担当している。「働き始めたころは、作業に関する手順をいくつも覚えなければならず、慣れるまで苦労しました」とふり返る。  部署内のスタッフ5人で、週1回の「業務ふり返りミーティング」も行っている。全員で共有する業務について、改善点など意見を出し合う場だ。「同じ作業でも互いに認識のずれが生じていることもあるので、このミーティングはとても役立っています」と岩瀬さん。  週1回の面談でも、いろいろと相談しているそうだ。「職場での言葉づかいとか、ほかの社員さんとのかかわり方や距離感のつくり方など、迷うことが多いので」と新社会人らしい悩みを打ち明けてくれた。 沖縄オフィスとも連携  沖縄オフィスは、全国から集まった契約書などの保管拠点だ。スタッフ16人(身体障害4人、知的障害1人、精神障害11人)とサポート社員3人で、書類の電子化やファイリングなどを行っている。現場のみなさんにオンラインで話を聞いた。  入社9年目の比嘉(ひが)紀子(のりこ)さんは、もともと経理の仕事をしていたが、27歳のころに統合失調症と診断された。  「それからは職を転々としていたのですが、ここは、いろんな方がいて話もしやすく、居心地がいいですね」  体調がすぐれないときは、座ってできる作業を行うなど、柔軟に働かせてもらっている。「みんなから信頼される人になりたいので、日々の業務を一つひとつていねいに確実にこなして、自信につなげていくことが目標です」と話してくれた。  末吉(すえよし)あゆみさんは、入社3年目。統合失調症と診断されてから就労継続支援A型事業所に通い、業務時間を1日4時間から少しずつ延ばしてきた。  「ここで働くときは6時間から始めさせてもらいましたが、1年経って7時間になりました。仕事量のノルマや、締め切りの時間もなく、毎日自分のペースで働くことができるので本当に助かります」  東京本社から定期的に訪問する谷口さんや茂田さんにも「いろいろ話を聞いてもらえるので、みんな楽しみにしています」と、画面越しの2人に手をふって挨拶していた。  今年65歳の定年を迎えるという池田(いけだ)直子(なおこ)さんは勤続13年目。下肢に障害を抱え、就労支援事業所でパソコンスキルを学んで入社したそうだ。いまは本社からPDFで送られてくる伝票の読み取りエラーを修正する業務を担当している。池田さんは「手書きの文字を判読するのに苦労することもありますが、一日1500件ほどの修正を無事に終わらせると、大きな達成感が得られます」と語る。この職場のよさについては「サポート社員のみなさんのフォローがいいので、スタッフからも相談しやすい雰囲気ですね」と話してくれた。  業務支援課長としてスタッフを支援する大湾(おおわん)亜希子(あきこ)さんに、日ごろから心がけていることを聞いた。  「日によって、または午前と午後によっても体調が違うので、一人ひとりの状況に合わせて業務を調整しています。あとは、だれかに注意や指摘をするようなときは、あえて周囲に聞こえるように話していますね」  というのも、席をはずして別室で話すと、かえって周囲が気にするからだという。「ミスが出たときもその場で指摘することで、周囲のスタッフと情報共有できるし、別のアイデアが出てくることもあります」という。  判断がむずかしいケースが出てきたときは、メールなどで谷口さんや茂田さんに相談しているそうだ。東京本社と沖縄オフィスのサポート社員によるオンライン会議も定期的に開催し、互いに職場の工夫や改善点を共有するなど、細やかな情報交換を続けている。 今後は「拠点づくり」も  これまで各部署に点在させる形で障害者雇用を進めてきた日本テクノだが、山アさんは「今後は、沖縄オフィスのような拠点も必要だと思います」と話す。  東京本社内には、郵便物などのデリバリーや事務用品の補充など「各部署に共通する業務」も多いが、集約して作業ができないため、それが雇用の限界にもつながっているという。一方でスタッフのなかには、一般雇用の社員に混じって働きたいという人もいれば、同じ障害のある人たちと一緒のほうが働きやすいという人もいるだろう。  「これまで通り、各部署に配属する形とともに、事務センターのような拠点があれば、部署を横断して業務をまとめて引き受けられますし、スタッフの働き方もさらに柔軟性をもたせられるでしょう。結果として、会社全体の業務の効率化につながると考えています」  現時点では、物理的な空間の確保が一番むずかしい課題だそうだが、上層部に働きかけながら進めていきたいと意気込む。  東京本社での障害者雇用に取り組み始めて4年。以前は、山アさんが部署に出向いて「こんな業務ができますよ」と提案していたが、いまは逆に「こういう仕事があるから手伝ってもらえないか」といわれるようになった。  「最初はスタッフに声をかけるのも私たちぐらいでしたが、いまはいろんな社員が、いろんな場で気さくに声をかけている様子を見かけます」  山アさんたちの手ごたえは、会社全体の取組みにも波及しているようだ。  「あちこちの部署が障害者雇用にかかわり始めたことで、あきらかに社員の意識は変わったと実感しています。これまでは業種の性格上、環境保護分野に偏りがちだったSDGsの取組みも、ダイバーシティを含めた広がりが出てきているようです。私たちとしては今後も、だれもが働きやすい職場と社会づくりに向けて、できることを少しずつ進めていきたいと思っています」 ※スーパービジョン:カウンセラーや心理療法家が、より知識や技能の熟達した上級者から、事例に関して助言や指導を受けること 写真のキャプション ショールームには、受電設備の模型や省エネ用機器が展示されている 管理部人事課長の山ア亮さん 公認心理師の茂田晃信さん 公認心理師の谷口桃子さん 情報共有のために月1回開催される「情報交換会」(写真提供:日本テクノ株式会社) 広報室でコラムを執筆する舘山晶さん 書類の電子化作業を行う中村純子さん コラムは「環境市場新聞」に掲載される 広報室長の中山大志郎さん 初の契約社員として新卒採用された岩瀬未宙さん。郵便物の封入や発送を担当している 無理のないペースで働き、勤務時間を延ばした末吉あゆみさん※ 仕事をていねいに確実にこなすことを目標とする比嘉紀子さん※ 業務支援課長としてスタッフを支える大湾亜希子さん※ 電子化された伝票のエラー修正を担当する池田直子さん※ (※写真提供:日本テクノ株式会社) 沖縄オフィスでは書類の電子化やファイリングなどが行われている(写真提供:日本テクノ株式会社) 【P10-11】 クローズアップ コロナ禍を乗り越えて 〜新しい働き方を問う〜 第1回  新型コロナウイルス感染症の流行拡大により、障害者雇用の現場でも新しい勤務形態を模索する企業が増えている一方で、障害者雇用ならではの新たな課題も見えてきました。今号から、コロナ禍における障害者雇用の課題や、それを乗り越えるための工夫について連載でお伝えしていきます。 監修:本誌編集委員 松爲信雄(東京通信大学教授) コロナ禍における障害者雇用の課題とは  新型コロナウイルス感染症の流行が拡大して1年以上が経ちました。2020(令和2)年は、私たちの働き方が大きく変わった年でした。もっとも大きな変化の一つは、テレワークの普及でしょう。さまざまなデジタルツールの導入や勤務形態などの変化により、社会全体として働き方改革が加速した1年でした。  一方で、テレワークを実施できる職種はパソコンによる事務系の仕事にかぎられているという課題もあります。特に、障害者雇用の現場では、出勤が必須となる作業系の仕事に従事している人が少なくありません。また、これらの業務は、在宅勤務が増加する状況のなかで、業務量を減らしている側面もあります。このような背景をふまえ、連載1回目となる今回は、本誌の編集委員である東京通信大学教授の松爲(まつい)信雄(のぶお)さんに、コロナ禍における障害者の働き方の現状と、そこから見えてきた課題について、次のようなお話をうかがいました。 職種によるテレワークの実施の可否  精神・発達障害のある人に比較的多いパソコンによる事務系の仕事ではテレワークを行えますが、知的障害のある人の多くが従事している作業系の仕事、例えば、清掃、印刷、配達物関連業務などはテレワークには向いていません。このような前提があるなかで、まずは、障害によって従事できる仕事の違いを、しっかりと区分けして考える必要があると思います。  民間企業での障害者雇用について、図1を見ながら考えてみましょう。縦の軸が「業務難易度」で、上に行くほど業務の難易度が高く、下に行くほど難易度は低くなります。横の軸は「雇用吸収力」で、右に行くほど多くの人を雇用でき、左に行くほど雇用できる人数は少なくなります。最近の障害者雇用の状況をふまえると、業務の難易度別に、次の3群からなる「求人者類型」が考えられます。第1群は、一般の総合職と同等の業務であり、一定基準の作業遂行能力が必要な仕事です。第2群は、第1群から切り出された業務が中心で、工場ラインや事務センター、特例子会社などで行う仕事に相当します。この仕事に従事する人のなかにはキャリア志向の人も含まれており、スキルアップなどにより第1群への展開制度を設けることが望ましいと考えられます。第3群は、事務所内の清掃や郵便物集配など、現場作業系の業務が中心になります。より手厚い職場定着の支援を必要とするグループです。テレワークの実施が可能な仕事は、このモデルのなかの、第1群や第2群の一部の業務にかぎられます。  図2は、新型コロナウイルス感染拡大による障害者雇用の実際について、特例子会社を中心に行われた調査の結果です。これによると、緊急事態宣言下などの状況でも、8割以上の企業が社員を出勤させる勤務形態を続けており、体調確認、消毒やマスクの着用、ソーシャルディスタンスの維持などの対策をしながら、業務を継続している例が多く見られました。その一方で、在宅勤務を実施している企業もありました。しかし、その実態は、テレワークとしての業務が十分に提供されているとはいえない状態であり、課題を自分で学習することを義務づけた自宅待機にならざるを得ない状況があったようです。こうした社員に対して、企業は定時連絡などのマネジメント上の働きかけをしていましたが、社員の一部にはメンタルの不調におちいる人もいたといいます。 コロナ禍により見えてきた二つの課題とは  これらの結果から、コロナ禍の障害者雇用において、大きく二つの課題が見えてきます。一つめは、図1の職種の分布に則した、それぞれに見合った人材確保の必要性です。新型コロナウイルスの感染拡大が労働市場にもたらした大きな変化のなかで、障害者雇用においても、今後は、テレワークなどの在宅勤務を含めた新しい働き方に対応せざるを得ないことになります。適切なアセスメントとマッチングの重要性もますます高まると考えられます。また一方では、障害のある人自身もそれに応えうるだけの能力が必要になります。そのためには、企業の人材育成にとどまらず、企業に人材を送り出す教育現場での人材育成にも変化が求められることになるでしょう。  二つめの課題は、こうした就業形態にそぐわない現業系の仕事の減少とそれに従事する障害者の処遇に、どのように取り組んでいくかという問題です。雇用する側の企業も、法定雇用率を達成して維持するためには、こうした人材をこれまで以上に雇用していかざるを得ないでしょう。そのためには、技術革新などの成果を取り込みながら、新たな仕事のやり方を生み出す必要性なども高まってくると思われます。  厳しい状況にありながらも、ほとんどの企業は、障害者の雇用を維持することを最優先とし、知見と経験を積み重ね、たくましく、このコロナ禍を乗り切ろうとしている様子がうかがえます。次号からは、今号で提示された課題や今後の展望を、企業・当事者・支援機関の視点で、事例を交えて紹介します。 図1 障害者雇用モデルと求人者群 高 業務難易度 低 雇用吸収力 高 障害者雇用モデル 第T層 第U層 第V層 求人者類型 第1群 第2群 第3群 一般部署採用 総合職 一般職 業務職 集合部署採用 軽作業 現業系 監修者作成 図2 業務遂行の形態(複数回答) 1.通常通り出勤し稼働している社員がいる 50.0% 2.通常とは異なる形(時差出勤・時短勤務等)で出勤し稼働している社員がいる 60.9% 1か2のいずれか、または両方に〇印をつけた会社は83.7% 3.自宅で仕事に取り組んでいる社員がいる(在宅勤務・テレワーク・リモートワーク) 64.1% 4.自宅待機している社員がいる 59.8% 5.休暇を取得している社員がいる 20.7% 6.会社は休業している 2.2% 出典:一般社団法人障害者雇用企業支援協会「緊急事態宣言下における障害者雇用の状況に関するアンケート報告書」、2020年 写真のキャプション 本誌編集委員 松爲信雄 (東京通信大学教授) 【P12-14】 JEED インフォメーション 〜高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)からのお知らせ〜 国立職業リハビリテーションセンター 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター 訓練生募集のお知らせ 〜障害のある方々の就職に必要な職業訓練や職業指導を実施しています〜 入所日など  国立職業リハビリテーションセンター、国立吉備高原職業リハビリテーションセンターでは、年間約10回の入所日を設けています。応募締切日や手続きなどの詳細については、お気軽にお問い合わせください。 ○遠方の方については……  国立吉備高原職業リハビリテーションセンターでは、併設の宿舎が利用できます。国立職業リハビリテーションセンターでは、身体障害、高次脳機能障害のある方、難病の方は、隣接する国立障害者リハビリテーションセンターの宿舎を利用することができます。 お問合せ 国立職業リハビリテーションセンター 埼玉県所沢市並木4-2 職業評価課04-2995-1201 http://www.nvrcd.ac.jp/ 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター 岡山県加賀郡吉備中央町吉川7520 職業評価課0866-56-9001 https://www.kibireha.jeed.go.jp/ 募集訓練コース 国立職業リハビリテーションセンター 訓練系 訓練コース メカトロ系 機械CADコース 電子技術・CADコース FAシステムコース 組立・検査・物品管理コース 建築系建築 CADコース ビジネス情報系 DTPコース Webコース ソフトウェア開発コース システム活用コース 視覚障害者情報アクセスコース 会計ビジネスコース OAビジネスコース 職域開発系 物流・組立ワークコース オフィスワークコース 販売・物流ワークコース ホテル・アメニティワークコース 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター 訓練系 訓練コース メカトロ系 機械CADコース 電気・電子技術・CADコース 組立・検査コース 資材管理コース ビジネス情報系 OAビジネスコース 会計ビジネスコース システム設計・管理コース ITビジネスコース 職域開発系 事務・販売・物流ワークコース 厨房・生活支援サービスワークコース オフィスワークコース 物流・組立ワークコース サービスワークコース ○訓練の期間は……  「システム設計・管理コース」、「ITビジネスコース」(ともに国立吉備高原職業リハビリテーションセンター)は2年間、そのほかの訓練コースは1年間の訓練です。 ○対象となる方は……  「ビジネス情報系」の「視覚障害者情報アクセスコース」(国立職業リハビリテーションセンター)、「IT ビジネスコース」(国立吉備高原職業リハビリテーションセンター)は、視覚障害のある方を対象とし、「職域開発系」の各コースは、高次脳機能障害のある方、精神障害のある方、発達障害のある方、知的障害のある方を対象としています。そのほかの訓練コースは、知的障害のある方を除くすべての方が対象です。 事業主のみなさまへ  両センターでは、障害のある方の採用をお考えの事業主と連携し、個々の事業主の方のニーズや訓練生の障害特性などに応じた、特注型のメニューによる職業訓練を行っておりますのでご活用ください。ご利用いただく事業主の方には次のような支援も行っております。 ■障害特性に応じた特別な機器・設備の配備や作業遂行に関する支援方法のアドバイスなど、円滑な受入れに関する支援 ■雇入れ後の職場定着に向けた技術面でのフォローアップとキャリアプランづくりのための支援 詳細については… https://www.jeed.go.jp/disability/person/person07.html ◆令和3年度「地方アビリンピック」開催地一覧◆ 各都道府県における障害者の技能競技大会「地方アビリンピック」が下記の日程で開催されます。 詳細は、「地方アビリンピック」ホームページをご覧ください。 ※新型コロナウイルス感染症の影響により、変更される場合があります。 都道府県 開催日 会場 北海道 10月2日(土)(予定) 北海道職業能力開発促進センター 青森 10月下旬〜11月上旬(予定) 青森職業能力開発促進センター(予定)/ホテル青森(予定) 岩手 6月27日(日) 7月11日(日) 岩手職業能力開発促進センター/岩手県立産業技術短期大学校 宮城 7月10日(土) 宮城職業能力開発促進センター 秋田 7月9日(金) 秋田市文化会館 山形 7月7日(水) 山形国際交流プラザ(山形ビッグウイング) 福島 9月頃(予定) 福島職業能力開発促進センター 茨城 7月10日(土) 7月11日(日) 茨城県職業人材育成センター 栃木 7月3日(土) 栃木職業能力開発促進センター/SHINBIデザインスクール 群馬 7月3日(土) 群馬職業能力開発促進センター 埼玉 7月10日(土) 国立職業リハビリテーションセンター 千葉 11月頃(予定)未定 東京 1月下旬〜2月中旬(予定) 東京障害者職業能力開発校/職業能力開発総合大学校 神奈川 10月28日(木) 10月30日(土)(予定) 神奈川障害者職業能力開発校(予定) 新潟 9月11日(土) 新潟市総合福祉会館/ホテルグローバルビュー新潟 富山 7月17日(土) 富山市職業訓練センター/富山県技術専門学院 石川 10月24日(日) 石川職業能力開発促進センター 福井 7月11日(日) 福井県立福井産業技術専門学院 山梨 10月3日(日) 山梨職業能力開発促進センター 長野 7月17日(土) 長野職業能力開発促進センター 岐阜 7月3日(土) 10月頃(予定) ソフトピアジャパンセンター/県内施設(予定) 静岡 6月13日(日) 6月27日(日) 7月10日(土) 静岡市清水文化会館マリナート/静岡市東部勤労者福祉センター 清水テルサ/学校法人静岡理工科大学 静岡デザイン専門学校 愛知 6月6日(日) 6月19日(土) 6月20日(日) 7月3日(土) 7月10日(土) 愛知県立名古屋聾学校/大成今池研修センター/学校法人珪山学園 専門学校日本聴能言語福祉学院/中部職業能力開発促進センター 三重 6月26日(土) 三重職業能力開発促進センター 滋賀 11月27日(土) 近畿職業能力開発大学校附属 滋賀職業能力開発短期大学校 京都 2月頃(予定) 京都府立京都高等技術専門校/京都府立京都障害者高等技術専門校 大阪 6月19日(土) 7月3日(土) 関西職業能力開発促進センター/社会福祉法人日本ライトハウス視覚障害リハビリテーションセンター/社会福祉法人大阪市障害者福祉・スポーツ協会 大阪市職業リハビリテーションセンター 兵庫 6月19日(土) 7月3日(土) 兵庫職業能力開発促進センター 奈良 6月12日(土) 奈良職業能力開発促進センター 和歌山 6月6日(日) 和歌山職業能力開発促進センター 鳥取 7月1日(木) 鳥取県立福祉人材研修センター 島根 7月10日(土) 島根職業能力開発促進センター 岡山 6月26日(土) 7月3日(土) 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター/岡山職業能力開発促進センター 広島 12月〜1月頃(予定) 広島障害者職業能力開発校(未定) 山口 10月16日(土) 山口職業能力開発促進センター 徳島 9月18日(土) 徳島職業能力開発促進センター/徳島ビルメンテナンス会館 香川 2月上旬(予定) 未定 愛媛 7月10日(土) 愛媛職業能力開発促進センター 高知 7月3日(土) 7月10日(土) 学校法人龍馬学園 国際デザイン・ビューティカレッジ/高知職業能力開発促進センター 福岡 7月3日(土) 7月10日(土) 福岡障害者職業能力開発校/福岡職業能力開発促進センター/福岡県立福岡高等技術専門校 佐賀 1月22日(土) 佐賀職業能力開発促進センター 長崎 7月10日(土) 長崎職業能力開発促進センター 熊本 6月26日(土) 6月27日(日) 熊本職業能力開発促進センター 大分 10月23日(土) 大分東部公民館 宮崎 7月10日(土) 宮崎職業能力開発促進センター/宮崎県ビルメンテナンス協会 鹿児島 7月10日(土) 鹿児島職業能力開発促進センター 沖縄 7月17日(土) 沖縄職業能力開発大学校 地方アビリンピック 検索 アクセスはこちら! ※2021年5月25日現在 開催地によっては、開催日や種目などで会場が異なります 参加選手数の増減などにより、変更される場合があります 障害者雇用を進める事業主のみなさまへ 就労支援機器をご活用ください! 中央障害者雇用情報センターでは、障害者を雇用している、または雇用しようとしているみなさまに無料で就労支援機器の貸出しを行っています。 「就労支援機器」とは障害者の就労を容易にするための機器のことで、例えば視覚障害者を対象とした拡大読書器や、聴覚障害者を対象とした補聴システム(集音システム)といったものがあります。 拡大読書器 ●書類や写真などを拡大表示する機器です。 ●コントラストや色調の変更も可能なためより見やすく調整することができます。 ●卓上型、携帯型など活用シーンに合わせて選択できます。 補聴システム(集音システム) 受信機 マイク送信機 ●マイク(送信機)が拾った音を直接、補聴器や人工内耳に届けるシステムです。 ●聞きたい音を大きくできるので就労のあらゆる場面で有効に使用できます。 ノイズキャンセラー パーテーション ●視覚的・聴覚的な刺激を低減させることで、周囲の状況に影響されずに集中できる環境を整えます。 ▲上記は一例です 貸出しの対象となる事業主 障害者を雇用している、または雇用しようとしている事業主など ※国、地方公共団体、独立行政法人などは対象外です 貸出し期間 原則、6カ月以内 ※職場実習やトライアル雇用の場合も利用できます 貸出しの流れ 申請書の提出 申請書を記入し、メールまたは郵送でご提出ください ※申請書は当機構ホームページよりダウンロードできます 貸出し決定 申請のあった事業主に対し、決定内容を通知し、機器を配送します 貸出しの終了・回収 当機構が契約している業者が回収にうかがいます お問合せ 中央障害者雇用情報センター 〒130-0022 東京都墨田区江東橋2-19-12 ハローワーク墨田5階 TEL:03-5638-2792 E-mail:kiki@jeed.go.jp 就労支援機器を常設にて展示しているほか、導入に関する相談を行っています 就労支援機器は当機構ホームページで詳しくご紹介しています https://www.kiki.jeed.go.jp/ 就労支援機器のページ 検索 ※31ページでも就労支援機器についてご案内しています。あわせてご覧ください 【P15-18】 グラビア 日本一をサポート ポラスシェアード株式会社(埼玉県) 渡辺啓仁さん 取材先データ ポラスシェアード株式会社 〒343-0821 埼玉県越谷市瓦曽根(かわらぞね)3-8-43 TEL 048-938-0102 FAX 048-938-0103 写真・文:官野 貴  「ポラスグループ ポラスシェアード株式会社」は、埼玉県・東京都・千葉県などを中心に、住宅供給やリフォームなどを手がけるハウスメーカー「ポラス株式会社」の子会社で、2015(平成27)年に越谷(こしがや)市初の特例子会社認定を受けた。グループ各社の運営にともなう設計補助業務や事務代行業務がおもな事業であり、精神障害のある社員のほか、身体障害や知的障害のある社員が活躍している。2018年と2020(令和2)年には、当機構の障害者雇用職場改善好事例の奨励賞を受賞した。  入社9年目となるビジネスサポート課の渡辺(わたなべ)啓仁(けいとヶさん(26歳)は、注意欠如・多動症(ADHD)がある。特別支援学校に在籍中、同社で3度の実習を経験し、同社初の特別支援学校の新卒者として入社した。得意なパソコンのスキルを活かし、書類の電子化、市場調査の基礎データ作成などの業務を行っている。なかでも特筆すべき点は、「荷積みデータの作成業務」を担当していることだ。  ポラスグループでは、木造住宅の構造材を工場で機械加工し建築現場へ出荷する「プレカット事業」に力を入れており、その供給量は日本一を誇る。この加工された木材を運搬用の形に積み上げる「ロボットアーム」への指示データの一部を、渡辺さんが作成している。指示データは、長さや幅、厚みがばらばらの木材を効率よく積むため、適正な配置を行わなくてはならない。  以前、ある工場でこの業務の担当者の確保に困っていたところ、ビジネスサポート課がややゲーム性を感じる作業内容に、「障害特性にマッチした仕事かもしれない」と思い、この業務を受託。いざ、渡辺さんに行ってもらうと、期待以上の成果を発揮してくれた。そして現在、渡辺さんは全国6工場のうち茨城県の工場の出荷を担当している。  プレカットされた木材の日本一の供給量をサポートしている渡辺さんだが、アビリンピックの競技種目「データ入力」でも日本一を目ざし、地方大会への出場を重ねている。入力スピードは申し分なく、今後は入力の精度を高めることを目標にしている。 写真のキャプション 渡辺啓仁さん 渡辺さんは、ビジネスサポート課のシステム担当でもあり、同僚のパソコントラブルにも対応している 2台のパソコンを使って仕様書などを参照しながら、専用ソフトを駆使し木材の高さや長さを揃え、トラックの荷台の範囲に並べていく 指示に従い、ロボットアームが木材を積み上げる(写真提供:ポラスシェアード株式会社) プレカットされた木材の型を確認しながら、荷積みの安定を図る 図面や契約書類をスキャニングし、グループの管理システムに登録する「書類の電子化」業務 ミスを防ぐため、自作のマニュアルをつくり、注意点を明確にしている パソコンのリマインド機能を駆使し、失念により仕事が滞ることを防ぐ 渡辺さんの趣味の一つが「写真撮影」。会社説明資料でも使用されている写真がこちら(撮影:渡辺啓仁さん/写真提供:ポラスシェアード株式会社) 不明な点があれば、上司の鈴木英生さんに相談や確認を行う 【P19】 エッセイ【第4 回】 障害福祉サービスの現場から 社会保険労務士・行政書士 高橋 悠 高橋 悠(たかはし ゆたか)  行政書士事務所にて約8年間、介護・障害福祉サービス事業所の立上げ・運営支援にたずさわった後、2016(平成28)年10月に独立開業。顧問先のうち7割以上が介護・障害福祉サービス事業所である。また、「合同会社サニー・プレイス」を設立し、小規模保育事業所B型および企業主導型保育所を経営している。  障害者の就労の場を提供している「就労継続支援事業所」においては、自らの事業所を選択してもらえるよう、各事業所において賃金(工賃)向上のための多種多様な施策を実施しています。  前回まで、工賃向上についての事業所の取組みの一部をいくつかご紹介していきました。今回は、今年度新たに示された改定(※)による、就労継続支援B型事業所の新しい方向性についてご紹介していきます。 就労継続支援B型事業所の新たなサービスの方向性  令和3年度の改定により、「就労継続支援B型」について、基本報酬の見直しがなされることとなりました(図)。  就労継続支援B型については、従来は利用者の「平均工賃月額」に応じた報酬体系となっていましたが、今回の改定ではさらにそれを推し進め、高工賃を実現している事業所をさらに評価し、よりきめ細かく実績を反映するため8段階(改定前は7段階)の評価が導入されることになりました。  ただ、今回の改定で私が画期的と考えるのは、前述の「平均工賃月額」のみではなく、もう一つの分岐として「利用者の就労や生産活動等への参加等」をもって一律に評価する報酬体系が導入されたことです。  これにより、平均工賃月額によらない固定的な報酬体系をベースとしつつ、次のような取組みを行う事業所は上乗せの加算が受給できるようになりました。 ◯地域における協働の評価  利用者の多様な働く意欲に応えつつ、就労を通じた地域での活躍の場を広げる取組みとして、就労や生産活動の実施にあたり、地域や地域住民と協働した取組みを実施する事業所に加算を支給 ◯ピアサポートの実施等の取組みの評価  就労を続けるうえでの不安の解消、生産活動の実施に向けた意欲の向上などへの支援を充実させるため、ピアサポートによる支援を実施する事業所に加算を支給  前回までにお話しした通り、これまで、就労継続支援B型事業所については平均工賃月額によって報酬が決定されており、また利用者が事業所を選択する場合にも、工賃の多寡(たか)により大きく判断されていました。  しかし、今回の改定によって、工賃を唯一の指標とするのではなく、地域とのつながりを重要視して地域住民や地元企業を巻き込んで活動してきた、またはピアサポートによる利用者への相談支援などを行ってきた(またはこれから行おうとしている)事業所についても、評価を行う方向性が示されることとなりました。  まだ新設の報酬区分・加算であるため、しばらくは事業所も自治体も手探りの状況が続くかと思いますが、事業所が利用者を集めるために提示する工賃以外の新たな項目となる可能性があるということで、今回の改定は非常に大きな意義があると考えています。 ※詳しくは厚生労働省ホームページ「令和3年度障害福祉サービス等報酬改定について」をご覧ください  https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000202214_00007.html 図:就労継続支援B型の基本報酬等の見直し 出典:厚生労働省「令和3年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容(令和3年2月4日)」 【P20-25】 編集委員が行く 就労移行支援促進へ、医療、雇用企業ネットワークの活用を通じた支援スキル向上 多機能型事業所スピカ(岡山県)、医療法人豊仁会まな星クリニック(岡山県)、地方独立行政法人岡山県精神科医療センター(岡山県)、社会福祉法人共生シンフォニー(滋賀県) 岡山障害者文化芸術協会 代表理事 阪本文雄 取材先データ 多機能型事業所スピカ パン工房スピカ 〒700-0013 岡山県岡山市北区伊福町2-6-1 スピカビル1階 TEL 086-250-6161 医療法人豊仁会 まな星クリニック 〒700-0016 岡山県岡山市北区伊島町2-1-32 TEL 086-214-0550 〔児童精神科と発達障害の専門クリニック。クリニック内に児童発達支援センター、相談支援事業所、青年期支援部門のスピカがある] 地方独立行政法人 岡山県精神科医療センター 〒700-0915 岡山県岡山市北区鹿田本町3-16 TEL 086-225-3821(代表) 〔精神科、児童精神科、心療内科、252床。精神科デイケア定員50人〕 社会福祉法人 共生シンフォニー 〒520-2144 滋賀県大津市大萱7丁目6-43 びわこ共生モール2F TEL 077-543-1111 〔就労継続支援A型事業所、就労継続支援B型事業所、カレッジの運営、生活介護、通所介護、計画相談などを行っている〕 編集委員から  個性の尊重という立場からみんなが働く職場づくりが進んでいる。人手不足から企業は本来業務の即戦力となる人材を求める傾向が出ている。どちらにしても、就労支援事業所の働き手を育成し送り出す力が求められている。 写真:官野 貴 Keyword:多機能型事業所、就労継続支援A型事業所、就労移行支援、自立支援 POINT 1 就労支援と医療など新たな分野との連携 2 発達障害のある人の生活におけるソフトスキルと自己理解の向上 3 就労継続支援A型事業所に求められる経営力 岡山県「スピカ」の取組み  「パン工房スピカ」と書かれたドアを開けると甘い香りがしてきた。瀬戸内の魚をフライにしたフィッシュバーガー、直径14センチのメロンパン、桜餅のクリームサンド、北海道産小麦100%使用・無添加の食パン、フランスパンなど売れ筋が並んでいる。  ここはJR岡山駅から歩いて10分のところにある障害者対象の多機能型事業所。就労移行支援(定員14人)と自立訓練(同6人)を実施している。就労移行支援、自立訓練ともに期間は2年が限度で、組み合わせると最長で4年間、18歳から30代の男女が一般就労を目ざした支援・訓練を受けている。  小麦粉をこねる生地づくり、成型、オーブンで焼く作業、サンドイッチづくり、販売などの作業を手分けし、一日60食が売れ、売上高は一日平均1万5千円ほどになるという。地域にあるノートルダム清心女子大学、岡山済生会看護専門学校の学生や職員、周辺の住民らが買いに来てくれる。  3階建ての1階がパン工房、販売コーナー、イートイン。2階がサンドイッチづくりの厨房、3階は封入などパンづくり以外の作業場になっている。  実は、ここは全国でも数少ない発達障害に特化した就労支援事業所。  運営の中心になっているのは「医療法人豊仁会まな星クリニック」。児童精神科医歴45年の大半を発達障害の診断、治療、療育に取り組んできた同法人理事長兼クリニック院長の中島(なかしま)洋子(ようこ)さんは、岡山大学医学部を卒業と同時に精神神経科を専攻。一般精神科研修のかたわら、岡山大学病院児童外来において、当時はまだ珍しい米国での本格的な研修を受けた児童精神科医に師事した。  その後、岡山県精神保健福祉センターにも勤務することになり、小・中学生の発達障害の治療にたずさわるなかで、もっと早期に、適切な診断をする必要性を感じ、隣接する岡山保健所へ週一回出向いて、児童精神科医の立場で乳幼児の発達相談を始めた。  始めてみると、1歳半、3歳児検診、育児相談など母子保健領域のなかで見落とされていた発達障害や母親が抱えていた問題が、児童精神科医の視点から初めて明らかとなり、整理され解決への道筋が開かれることが認識された。実際、母子相談のなかで、児童精神科医への相談ニーズが最も多かったことが、それを裏づけた。こうして中島さんによる自閉症の早期介入体制構築の取組みが始まった。  その後の社会福祉法人旭川荘での勤務では、発達障害の早期療育、早期支援のあり方について試行錯誤した。やがて、自閉症特性による社会性の問題に焦点を向けることが重要であると気づいたという。早期に障害を診断し、早期に療育を開始する、また療育には家族の理解や対応力を高めるという、もう一つの重要な目的もあるので、必ず保護者参観を実施し、家庭療育の宿題を出すなど、その仕組みを県内の市町村と契約した地域療育として展開。その間、旭川児童院院長代理、自閉症幼児通所施設「バンビの家」所長、おかやま発達障害者支援センター長、地域療育センター所長などを歴任した。  中島さんは、24年におよぶ旭川荘での発達障害支援をさらに進化させようと2006(平成18)年、「まな星クリニック」を開業した。軽度発達障害、行動障害、心の問題のある子どもたちとその家族の支援が始まった。子どもたちが20代から30代になり、幼児期から青年期まで切れ目のない支援をするには就労支援が欠かせないため、2015年に自立訓練と就労移行支援の「多機能型事業所スピカ」を開所した。  「自立訓練も就労移行支援も、青年期バージョンの療育プログラムです。仕事は就労先が教えてくれるので、就労の前段階を整えることが大切です」と中島さんはいう。  困ったときに相談するなどのコミュニケーションスキル、時間、衛生面、お金の扱い方など生活管理のためのソフトスキルの向上を目ざして、一人ひとりの目標を設定する。朝は定時に起きて生活リズムを整える。出勤時間に合わせて準備する。その日に必要な物品や服装を用意する。遅刻や欠席をする場合には自分で連絡する。訓練時間を4時間、6時間、8時間に延ばしていく。休憩時間は一人でリラックスして過ごせるスペースを確保。同僚と雑談してもしなくてもよい。こうして、自己管理能力、感情調整力、コミュニケーション力が向上していくそうだ。  「講義形式ではなく、パン作業などの実際の就労場面のなかで、自分の強みや弱みにあらためて向き合い、スタッフはその解決法をタイムリーに助言します。解決のための具体的なスキルを獲得する経過のなかで会話、役割分担、協調性などが身につき、肯定的な自己理解が進んでいきます。そして、苦手なことや支援を要することなどを含んだ本人自身による『(自分の)取扱説明書』を意識し、スタッフと『取扱説明書』をつくりあげていきます」と中島さん。  一緒に働く職業指導員が設定した目標をクリアしたと確認すれば、ステップアップして本人に向いた仕事の選定、就労先企業の選定、実習へと進む。  スピカの6年間をまとめると、利用者の総数は現在利用中の人を含めて81人、そのうち一般就労したのは36人。金融機関、鉄道会社などの事務職や商品管理、清掃などの業務についている。最長4年のコースを設定しているが、特別支援学校・高校卒の利用者は自立訓練から入り、その後就労移行支援で作業能力を向上させて、平均2年3カ月の利用で就労している。大学卒の利用者の多くは最初から就労移行支援に入り、平均1年半後に就労している。利用者の67%は就労経験がなく、高校卒38%、大学卒25%、短大・専門学校卒20%。支援学校卒15%と続く。  小郷(おごう)竜宙(たつひろ)さんは24歳。通信制高校卒業後スピカに通所し、1年半パン工房スピカで訓練したあと洋服販売会社へ就職。現在、スーパーの洋服売り場で接客を担当している。就労後はスピカによる就労定着支援を受けている。  「仕事はきついこともありましたが、慣れました。マイカー通勤で、ときにはパン工房に寄って、お世話になった指導員とコーヒーを飲んでいます」と笑顔で話す。彼を支援した精神保健福祉士の古本(こもと)晃平(こうへい)さんは「初めて来たときは父親の陰に隠れるようにいて会話も苦手でした。パンづくりに慣れてきたころ、販売をやってみたらとすすめたら、コツをつかんだのか、はまっていきました」という。  「発達障害のある人の就労へ向けたライフステージ支援では、一貫性と適切性が求められます。その基本は、専門性の高いケースワーク機能と良好なメンタルヘルスの維持です」と中島さんはいう。  個人の特性に合わせ個別に対応するため、スピカでは、公認心理師、精神保健福祉士、社会福祉士、ジョブコーチ、保育士ら9人のスタッフが専門職の高い観察力とていねいな指導力を発揮しさまざまな問題にも知恵を出し合い、チームで利用者がプログラムをステップアップできるように後押ししている。生活支援員・管理責任者の下野(しもの)敏広(としひろ)さんは「開始3年目から毎年、利用者の定員の半数以上が一般就労し、高い評価を受けています。クオリティーの高いサービス・支援の提供を今後も続けていきたいです」と話す。  社会資源との連携のなかで、スピカは精神科医療機関との連携を重視している。岡山県精神科医療センター、総合病院精神科、精神科クリニックなどを受診する発達障害のケースで、精神的に病状が安定し、働きたいと意欲を示す人たちを受け入れ、就労支援を展開している。 「岡山県精神科医療センター」の取組み  岡山市内では岡山県精神科医療センターなどが中心となり、精神科医療機関が地域で暮らす発達障害や精神障害のある人への就労支援を展開している。  岡山県精神科医療センター院長の来住(きし)由樹(よしき)さんは、「社会と折り合って生きている患者さんも多いが、病状、生活が安定すると、社会的自立がゴールになり、就労が大きなポイントになります。なにより本人の働きたいという意思表示と医師がやってみるかという投げかけが一致すれば、あとは、遅刻しない、休まない、周囲の人に合わせるなどの基本的な労働習慣を身につけることで、本人に合う職場を選択できるようになります」と説明する。  この病院には発達障害外来があり、成人と高校生を対象に医療機関での就労準備支援プログラムを作成し、福祉・労働機関が行う職業トレーニングの前に訓練・実践体験をする。失敗、挫折を回避しスムーズにステップアップしていくように、7〜8人の少人数で就労準備説明会から始める。  このプログラムでの就労準備性チェックは17項目。「朝8時までに起き夜0時までに寝る」、「歯磨き、洗面、髪の手入れ、生活費の管理ができる」などだ。外来の公認心理師、ソーシャルワーカー、作業療法士、デイケアの精神保健福祉士らが支援する。就労準備性のマスターを確認し、障害者職業センター、就労移行支援事業所、就労継続支援A型事業所、ハローワーク、相談支援事業所などと連携し、職業トレーニング、職場選択、就労へとつないで行く。令和2年度は、一般就労が23人(うち障害者枠14人)、就労継続支援A型事業所へ8人、就労継続支援B型事業所へ15人が進み、地域で自立した暮らしをしている。  日本公的病院精神科協会(公精協)会長で岡山県精神科医療センター理事長の中島(なかしま)豊爾(とよじ)さんは「発達障害、精神障害のある人の就労はケースワークによって医療、労働、福祉という幅広い機関が連携し、個別支援をすることで実現できているところもあります。受け入れる企業は個々の特性を理解したうえで職場配置し、定着への障害者雇用のノウハウを企業内で確立してほしいです。戦後の大量生産、効率重視から脱皮し、個性や多様性を大事にした働き方改革をお願いしたいのです。私たちも公的病院の責務、患者への社会的使命として取り組んできましたが、まだまだ足りません。みんなが働ける社会へ向けて支援を続けたいです」と話す。 滋賀県「共生シンフォニー」の取組み  次に、「障害者のつくったクッキーの製造販売で全国展開」、「年商1億3千万円」という滋賀県大津市大将軍(たいしょうぐん)の「社会福祉法人共生シンフォニー」が運営する「就労継続支援A型事業所がんばカンパニー」を訪ねた。  工場の玄関を開けると陳列棚にクッキー、パウンドケーキ、シフォンケーキなどがずらりと並んでいる。ココアマーブル、コーヒー、シナモン、チョコチップクッキーなどの定番商品に加え、沖縄黒糖、ミカンの粒の食感がある伊予かん味などご当地ブランドもあり、約50種類ものクッキーなどが並ぶ。最初はオーガニック、国産食材で注目されて自然食品店で都市圏に広まり、いまは全国20都府県のデパート、スーパー、食品店で販売し、好評を得ている。各地の福祉施設と共同企画し、原価製造で協力するなど精力的に商品開発、販売網の拡大に取り組んでいる。  元々は、1986(昭和61)年に、小規模作業所「今日も一日がんばった本舗」として始まった。設立者は、重度の脳性麻痺のある門脇(かどわき)謙治(けんじ)さん。車いすに乗った身体障害者が信楽焼(しがらきやき)、お茶などを売って回ったそうだ。  6年後、現「社会福祉法人共生シンフォニー」常務理事のである中崎(なかざき)ひとみさんが中心になり、クッキーの商品化に乗り出す。無添加、無農薬の材料を用いるという環境・健康路線が若いお母さんたちに支持され、売上げを伸ばしていった。1995年には、小規模作業所だったが、利用者と雇用契約を結び、全国でも先駆的取組みとして注目された。2008年、「就労継続支援A型事業所がんばカンパニー」になった。「働く人のために、ちゃんとした組織にしたいという思いがあり、雇用契約を結ぶ作業所から就労継続支援A型事業所へと進めました」と中崎さん。  工場では白い作業服、帽子、マスク、手袋姿の人がクッキー、パウンドケーキ、シフォンケーキづくりに励んでいた。平均年齢は35歳、平均勤続年数は10年、長い人は20年近い。工場には冷凍庫、オーブン、ステンレスの作業台が設置され、そばにバター、小麦粉、牛乳、卵などの材料が置かれている。  勤務時間は4〜8時間。体力、能力によって分かれる。柴田(しばた)洋美(ひろみ)さんは24歳。養護学校を卒業し職場見学、実習を経て就職し、勤続6年目になる。焼き菓子フロランタンの表面にアーモンドの入ったカラメルを塗っていく工程を担当している。「いまは自転車で通勤し5時間勤務です。楽しい職場です」と話す。  2015年、中崎さんから、がんばカンパニー施設長を引き継いだ水野(みずの)武(たけし)さんはいま、インターネット通販、さらに企業から製造を受託しその会社のブランドで販売する製造委託を進め、コロナ禍でも売上げが維持できるように奮闘している。  「小売り店の売上げが低迷したため、製造卸の私たちの事業所は、製造受託で工場をフル回転させ、生産技術で利益を確保するように取り組んでいます」  菓子メーカーの競争のなかで揉まれながら、収益部門に受託生産を導入し、構造を変える対応をし、人件費の財源確保に力を注いでいた。  がんばカンパニーといえば、商品開発と販路を全国に展開した就労継続支援A型事業所として知られ、学びに来る福祉施設関係者は多いが、実は財務に強い経営力を持っていた。中崎さんは「社会福祉法人である私たちは企業のように営業マンを雇い高い営業経費を使うことはできないので、卸として製造で生きて行く道を選びました。福祉の人たちはA型事業所を運営するのなら、経営と労働を勉強し真剣に取り組んでほしいです」という。  また、共生シンフォニーは2014年、大津市一里山(いちりやま)に自立・生活訓練(1、2年次)、就労移行支援事業(3、4年次)を行う、「くれおカレッジ」を開設した。  1、2年次は算数、国語、パソコン、演劇、美術、書道、体育などの学習、預金口座の管理、ATMの利用、グループに分かれての作業、サークル活動、調理実習、大学生との交流などを通して会話、コミュニケーションなどを体験する。  3、4年次はビジネスマナー、職場見学、軽作業や接客、販売練習をする作業訓練、企業での職場実習を行う。  スタッフは職業指導員、ジョブコーチ、社会福祉士、教員免許取得者ら14人。  「本人が主体的に自分の就労先を選択する、というのが私たちの基本方針です。自分で選んで、自ら意欲的にその仕事を学ぶことによって職業選択のミスマッチが防げます」と、開設から2021(令和3)年3月まで、くれおカレッジ所長を務めた永田(ながた)義人(よしひと)さんはいう。ハローワークを訪問し、求人票の検索を何回も体験させ、自分で就労先を探す企業情報の取得も導入部から支援している。  また、永田さんは「もう一つ、こだわったのは住居に近い職場。通勤が心身の負担になると長続きしません」と話す。コロナ禍でバス、電車などの公共交通機関の利用を避けたい人や乗り換えが苦手な人もいて、通勤時の移動も配慮が必要である。  これまで4期の卒業生の進路状況をみると、1期生9人のうち8人が一般就労、1人が就労継続支援A型事業所。2期生9人のうち2人が自立訓練の段階で一般就労し、卒業生7人は全員一般就労。3期生9人は、1人が自立訓練で一般就労し、2人が就労継続支援B型事業所、卒業生6人は一般就労した。4期生10人は、自立訓練で家業、転居、就労継続支援B型事業所各1人、卒業生7人のうち5人が一般就労し、2人は就活中である。  卒業生29人のうち26人が一般就労という高い割合を占める。勤務先は大津市を中心にした滋賀県が多く、一部は京都市で、イオン、コープなどのスーパー、クリーニング工場、野菜工場、検査会社、介護補助、運送会社のピッキングなどの業務についているという。  「ハローワークに求人票を出す企業を職員が訪問し、うちの利用者の採用へ向けて、今後の採用予定や職種など、求人求職のパートナーとして情報交換し、連携するようにしています」と永田さん。地道な活動により地域で障害者を雇用する企業とネットワークが構築されていた。 おわりに  厚生労働省は4月、就労支援事業所の報酬改定を実施した。  就労継続支援A型事業所全国協議会副理事長も務める共生シンフォニーの中崎さんは、「今回の改定は重度の人たちが働く場としてのA型事業所の維持と、一般就労をもっと進めるとしっかり加算しますというこの二つがはっきりしました」という。  厚生労働省の令和元年「社会福祉施設等調査」で、障害福祉サービス等事業所の利用終了者が一般就労した割合を見ると、3パターンある就労支援事業所において、一般就労を実現したのは就労移行支援事業所54・7%、就労継続支援A型事業所25・1%、就労継続支援B型事業所13・2%だ。  岡山のスピカ、大津のくれおカレッジ、これら二つの就労移行支援事業所をよく知る同全国協議会副理事長の萩原(はぎはら)義文(よしふみ)さんは、「発達障害の医療に強いスピカ、地方都市で障害者雇用のネットワークを構築したくれおカレッジ、それぞれが強みになる特徴を持ち、毎年コンスタントに一般就労を実現していることが共通しています。就労移行支援事業所は今後、一層、一般就労の中核となるだろうが、支援のスキルになる特徴、推進力になるものが必要で、その在り方の参考になるでしょう」と話す。  私は福祉に、いろいろな分野から経営や直接的な処遇などにかかわり、参加することはよいことだと思っている。特に、障害のある人の心身には医療の役割が大きなウェイトを占めていると感じた。今回の取材を通じ、あらためて就労支援において医療の力も欠かせないと思った。 写真のキャプション 岡山市の多機能型事業所「スピカ」の1階にパン工房がある 販売コーナーやイートインが設置されている店内 工房には大型のオーブンや発酵機などが並ぶ まな星クリニックの院長であり、法人の理事長を兼任する中島洋子さん 精神保健福祉士の古本晃平さん スピカの就労定着支援を受ける小郷竜宙さん クリニックには、児童発達支援センターも併設されている 日本公的病院精神科協会会長の中島豊爾さん 岡山県精神科医療センター院長の来住由樹さん 「岡山県精神科医療センター」 がんばカンパニーでは、安全で良質な素材からクッキーをつくっている 滋賀県大津市の就労継続支援A型事業所「がんばカンパニー」 「共生シンフォニー」本部や「くれおカレッジ」が入る共生モール がんばカンパニー施設長の水野武さん がんばカンパニーで働く柴田洋美さん フロランタンにカラメルを塗る柴田さん(右から2人め) くれおカレッジの作業訓練では、実際の就労環境を想定し立ち姿勢で軽作業を行う 【P26-27】 省庁だより 農福連携の推進について 農林水産省 農村振興局 都市農村交流課 1 広がりを見せる農福連携  農業の担い手の不足という課題を抱えている農業分野、障害者の働く場が少ないという課題を抱えている福祉分野、それぞれが手を結び合い連携することで、双方の課題を解決できるのではという背景のもと、農福連携の取組が推進されてきており、現在、様々な形で取組が広がってきています。  農福連携と聞くと、農業者が障害者を雇用する形、障害者就労施設自体が農業生産や農産加工に取り組む形を、まずはイメージするのではないかと思いますが、それ以外にも、障害者就労施設が農業者の元に出向き、農作業の一部を請け負う事例、特例子会社が農業に参入する、もしくは地域の農作業を請け負う事例、農業者と障害者就労施設のニーズを農協がマッチングする事例、食品関連企業が農業者や障害者就労施設と連携して新たな品目の栽培を手掛ける事例、地域協議会が農福連携の専門人材育成に取り組む事例など、地域の実情や課題に則した様々な農福連携の形が生まれてきています。 2 農福連携のメリット  農福連携の取組が広がってきているのは、農業分野、福祉分野双方の課題解決につながるいわゆるwin・winの関係にあるからといえますが、農福連携に取り組むことによるメリット、効果があることも分かってきています。  例えば、雇用などにより障害者を受け入れ農福連携に取り組んでいる農業者のうち約8割は、「障害者を受け入れて貴重な人材となった」、同じく8割は、「年間売上が増加した」と回答しており、実際に農福連携を実践している農業者は、農業経営に及ぼす効果を実感しているといえます(図1)。  一方で、農業に取り組む障害者就労施設の約9割は障害者が農業に携わることでプラスの効果があったと回答しており、「施設を利用する障害者が体力がついて長い時間働けるようになった」、約6割が「障害者の表情が明るくなった」(図2)、「感情面で落ち着いてきた」、「意欲が向上した」と回答しています。  それ以外にも、「コミュニケーション力が向上した」、「地域住民との交流する機会が増えた」、「自分で判断できるようになった」などの回答もあり、身体・健康面、精神・情緒面での効果以外に、仕事への取組姿勢への効果もあることがうかがえ、就労訓練としての農業も期待されています。 3 農福連携推進の方向性  このように農福連携は、障害者が農業分野での活躍を通じ、自立や生きがいを持って社会参画していく取組であり、障害者の就労機会の創出となるだけではなく、農業分野の新たな働き手の確保につながる取組であり、これを通じて農業・農村の維持発展につながることが期待されています。そのため、農福連携を強力に推進するため、2019(令和元)年に菅官房長官(当時)を議長とする「農福連携等推進会議」を設置し、今後の推進の方向性を「農福連携等推進ビジョン」として取りまとめました(図3)。農福連携の裾野を広げるためには、現場において@知られていない、A踏み出しにくい、B広がっていかないという課題があると認識しており、このビジョンにおいては、それぞれの課題に対して、3つのアクションを位置付け、@認知度の向上のため、農福連携のメリットの客観的な提示、国民全体に訴えかける戦略的プロモーション、A取組の促進のため、ワンストップで相談できる窓口体制の整備、農福連携を進める専門人材の育成、B取組の拡大のため、各界の関係者が参加するコンソーシアムの設置、ノウフクアワード選定による優良事例の表彰・横展開などに取り組むこととしています。  近年、農福連携は、障害者だけではなく、高齢者の支援や生活困窮者の就労訓練など、広がりのある取組となってきています。また、犯罪や非行をした者の立ち直り支援の方策のひとつとして農業も注目されています。さらに、農業のみならず林福連携、水福連携の取組が見られるなど、「農」、「福」の双方において、従来の枠組にとらわれない取組が展開され始めてきており、ビジョンにおいては、今後、農福連携における「農」と「福」のそれぞれの広がりを推進していくこととしています。 4 withコロナ時代における農福連携  新型コロナウイルス感染症の収束がなかなか見通せない中、農福連携の現場においても、生産する農産物の売上げの減少、障害者就労施設の利用を制限され在宅での対応が必要となったなどの影響が出ているところです。しかし、外国人材が不足するなど、農業分野において人手不足が顕著となっていること、農業は屋外での作業が多く、ソーシャルディスタンスを確保しやすいことなどの状況から、農福連携が新たな働き手の確保の手段として注目されている状況もあります。そのため、コロナ禍を契機に農業法人が障害者就労施設に新たに農作業を依頼する事例や、障害者就労施設が農業に新たに取り組む事例が多数出てきていることも分かっています。まさに、withコロナ時代において、障害者の活躍の場としての農業がますます注目されるのではないでしょうか。 図1 農業経営体への効果 図2 障害者にとっての影響 図1、図2 出典:第1回農福連携等推進会議資料より抜粋 図3 農福連携を推進するためのアクション 農福連携を推進するためのアクション 目標:農福連携に取り組む主体を新たに3,000創出※ 1 認知度の向上 ・定量的なデータを収集・解析し、農福連携のメリットを客観的に提示 ・優良事例をとりまとめ、各地の様々な取組内容を分かりやすく情報発信 ・農福連携で生産された商品の消費者向けキャンペーン等のPR活動 ・農福連携マルシェなど東京オリンピック・パラリンピック等に合わせた戦略的プロモーションの実施 2 取組の促進 ○農福連携に取り組む機会の拡大 ・ワンストップで相談できる窓口体制の整備 ・スタートアップマニュアルの作成 ・試験的に農作業委託等を短期間行う「お試しノウフク」の仕組みの構築 ・特別支援学校における農業実習の充実 ・農業分野における公的職業訓練の推進 ○ニーズをつなぐマッチングの仕組み等の構築 ・農業経営体と障害者就労施設等のニーズをマッチングする仕組み等の構築 ・コーディネーターの育成・普及 ・ハローワーク等関係者における連携強化を通じた、農業分野での障害者雇用の推進 ○障害者が働きやすい環境の整備と専門人材の育成 ・農業法人等への障害者の就職・研修等の推進と、障害者を新たに雇用して行う実践的な研修の推進 ・障害者の作業をサポートする機械器具、スマート農業の技術等の活用 ・全国共通の枠組みとして農業版ジョブコーチの仕組みの構築 ・農林水産研修所等による農業版ジョブコーチ等の育成の推進 ・農業大学校や農業高校等において農福連携を学ぶ取組の推進 ・障害者就労施設等における工賃・賃金向上の支援の強化 ○農福連携に取り組む経営の発展 ・農福連携を行う農業経営体等の収益力強化等の経営発展を目指す取組の推進 ・農福連携の特色を生かした6次産業化の推進 ・障害者就労施設等への経営指導 ・農福連携でのGAPの実施の推進 3 取組の輪の拡大 ・各界関係者が参加するコンソーシアムの設置、優良事例の表彰・横展開 ・障害者優先調達推進法の推進とともに、関係団体等による農福連携の横展開等の推進への期待 ※令和6(2024)年度までの目標 出典:農林水産省 農福連携等推進会議「農福連携等推進ビジョン」より抜粋 【P28-29】 研究開発レポート ワークサンプル幕張版(MWS)の企業における活用事例 〜DICエステート株式会社業務サポート部における人材育成の取組み〜 障害者職業総合センター研究部門 障害者支援部門 1 はじめに  ワークサンプル幕張版(以下、「MWS」)は、作業の体験や職業上の課題の把握、作業遂行力の向上、補完方法の獲得、セルフマネージメントの確立等の支援を行うために障害者職業総合センター研究部門で開発したツールで、現在、全国の多くの支援機関等で活用されています。当研究部門では2016(平成28)年度から2018年度にかけて、従来のワークサンプルより難易度が高く、より実務に即したものとして、「給与計算」、「文書校正」、「社内郵便物仕分」の三つの新規課題を開発し、市販化も開始しています。  現在、当研究部門では、これら新規課題も含めた、MWS等のツールが効果的に活用されるよう、教材や研修プログラムの開発も含めた伝達のための方法論を検討しています。今回は、その研究のために事例を提供いただいたDICエステート株式会社業務サポート部(東京都)の効果的な活用の取組みについて報告します。 2 DICエステート株式会社業務サポート部の人材育成の取組み (1)MWS活用の経緯  DICエステート株式会社は、これまで障がい者雇用を着実に促進させてきましたが、雇用した障がいのある社員は、特別支援学校を卒業した知的障がいのある社員が多く、主に社内便・郵便物の集配業務や、宅配便の配達業務を職務としていました。しかし、障がいのある社員の職域を広げキャリアアップさせるために、いまある職務だけではなく事務職にも職域を広げていきたいと考え、MWSの活用を検討することとなりました。  そこで、障害者職業総合センター障害者支援部門の担当研究員にMWSの活用に関して相談し、後日、MWSの活用方法についての研修を受講(4時間程度)しました。  現在は、職域開発の一環としてMWSの「文書入力課題」を障がいのある社員に活用しています。また、仕事の合間に社員自身が申請して訓練時間を確保する仕組みにしており、セルフマネージメントや、本人が成長を実感するための支援にもつなげています。 (2)取組みの概要 〇人材育成の対象となった社員 ・Aさん:19歳、精神障害者保健福祉手帳2級 ・勤続年数:1年9カ月 ・担当業務:社内便集配業務・宅配便配達業務・社内文具管理 ほか 〇対象となった社員の特徴や課題 ・特別支援学校での学習成果により、勤怠の安定、体調管理、身だしなみ、あいさつ、言葉づかい等の職業準備性は問題ない。 ・担当業務に関して、指示理解、正確性、作業スピード、持続力とも問題ない。作業意欲が強く、新しい業務、レベルの高い業務に積極的に取り組む姿勢がある。 ・明朗な性格で他者と積極的にコミュニケーションを図ろうとする姿勢を持ち、他の社員と友好的な関係を築くことができる。 ・責任感が強い反面、作業の成否を気にしすぎて、本来の能力を発揮できないときがある。 〇MWSを活用したトレーニングの内容 ・作業課題:文書入力課題 ・作業目標:MWSマニュアルに掲載されている一般参考値20歳代の50パーセンタイルの数値を達成目標とする。 〇トレーニングを通して達成したい人物像 ・作業の成否を気にしすぎないよう、落ちついて作業に取り組む。 ・セルフマネージメント能力を高め、作業の優先順を自ら判断し、最適なタイミングでトレーニングに取り組む。 ・予定表を見てほかの業務との兼ね合いを自分で判断し、結果を上長に報告・確認したうえでトレーニングに取り組む。 〇トレーニング開始から3カ月間の状況 ・開始当初は、正答率が安定せず正確性が課題となった。入力ミスの原因は、タイピング時にホームポジションを守らないといった、タッチタイピングの基礎がない点にあると考えたため、文書入力課題を一旦中止し、市販のタイピングソフトによる基礎練習に切り替えた。 ・タイピングが安定した後は、1日3ブロック〜4ブロックごとの文書入力課題を再び開始したが、前日より記録が落ちた場面では、悔しそうにする様子が見られたため、作業結果のグラフを本人と一緒に確認して、短期的なアップダウンはあっても、長期的には精度やスピードが確実に伸びていることを示して、本人が成長している実感を持てるようにした。また、感情的になると仕事の成果は上がらないため、平常心で落ち着いて取り組むよう指導するとともに、目標(作業時間、正答率)を具体的数値で表すことでモチベーションを持たせるようにした。 ・セルフマネージメントについて、トレーニング時間を確保するために、自分の予定のチェックはできるようになったが、業務の優先順位の判断には、まだ指導が必要であった。 〇トレーニング3カ月目〜6カ月目の状況 ・スピードを意識することで、正答率が安定しなくなったため、時間より正確性が重視されることを、請求書作成等の会社で発生する具体的な事例をもとに指導した。また、ホームポジションでの入力が崩れてきたため指導を行った。結果、正答率は100%で安定してきたため、次は正答率を重視したうえでの作業スピードの向上を目標にした。 ・セルフマネージメントについて、業務の優先順位の判断は概(おおむ)ね問題なくできるようになったため、自分の判断結果を上長に適切に報告・確認ができること(報告内容が若干長いときがある)が目標となった。 3 おわりに  DICエステート株式会社業務サポート部の担当者の方より、次のような感想をいただきました。  「MWSのOA作業を中心に活用していますが、MWSは一般参考値があるため、本人の目標を具体的に考えられる点がよいです。また、社内全体に障がい者雇用への理解や、雇用した障がい者のキャリアアップ・職域拡大の理解を浸透させていくためには、雇用した障がい者が『どのような能力を持っているか』を、このような具体的な指標も用いて知らせていくことが有効だと考えます。MWSは、そのためにもよいツールですし、企業でも活用できるツールだと考えます。」  以上のように、DICエステート株式会社業務サポート部では、MWSとその支援理論を効果的に活用しています。 ★本誌では通常「障害」と表記しますが、この記事ではDICグループ様で用いられている「障がい」としています ※ワークサンプル幕張版(MWS)新規課題の開発に関する詳細は、「調査研究報告書No.145」をご覧ください  https://www.nivr.jeed.go.jp/research/report/houkoku/houkoku145.html ◇お問合せ先:研究企画部 企画調整室(TEL:043-297-9067 E-mail:kikakubu@jeed.go.jp) 写真のキャプション 〈給与計算〉 〈文書校正〉 〈社内郵便物仕分〉 ワークサンプル幕張版(MWS)の新規課題 社内便集配業務の様子 仕事の予定を確認する予定表 【P30-31】 ニュースファイル 生活情報 東京 障害者スポーツの名称を統一「パラスポーツ」に  「公益財団法人日本障がい者スポーツ協会」(中央区)は、これまでの「障害者スポーツ」という呼び方を「パラスポーツ」に統一する。「障害者スポーツ」から連想される「福祉やリハビリのためのスポーツ」というイメージから、より競技性が高く障害の有無にかかわらず楽しめるスポーツとしての将来性を表現するため、一般の認知が広がってきた「パラスポーツ」を使うことに決めた。日本障がい者スポーツ協会の名称については今後、一般から意見を募るなどしたうえで変更するかどうかを検討する。このほか、日本パラリンピック委員会の2030年までの戦略計画も策定され、パラリンピック出場選手を発掘する専門チームの設置や、全国の75%以上の学校で特別なパラ教育を進める予定。 大阪 「障害者手帳アプリ」全国の鉄道で  JRや大手私鉄などを含む全国123社の鉄道会社で、障害者手帳アプリ「ミライロID」が導入され、障害者手帳の代わりに利用可能となった。  「ミライロID」は、「株式会社ミライロ」(大阪府大阪市)が提供する障害者手帳の所有者を対象としたスマートフォン向けアプリ。障害者手帳の情報、福祉機器の仕様、求めるサポートの内容などを登録できる。公共機関や商業施設などミライロIDを本人確認書類として認めている事業者において、障害者手帳の代わりに提示すると割引きなどを受けられる。利用者にとっては、手帳をかばんから取り出すなどの手間が省け、紛失のリスクも軽減できる。 働く 東京 障害者の藍染め工房の直営店  障害者がつくった藍染(あいぞ)め・刺し子・織り製品を販売する、「就労継続支援B型事業所ファクトリー藍」の出張所「ファクトリー藍SHOP」が、世田谷区の下北沢駅近くにオープンした。  運営する「社会福祉法人藍」(世田谷区)は1983(昭和58)年に藍染め工房を設立し、レストランやグループホームも運営。藍染め工房には約30人の利用者が通い、ストール、ハンカチ、ポーチなどをつくっている。約19uの店内には、若者向けにつくったワンピースやワイシャツなど70種類以上の商品が並ぶ。  営業時間は月〜木曜日が12時〜19時、金〜日曜日・祝日が12時〜17時。 http://www.aikobo.or.jp/factory.html 長野 ソバ栽培で「農福連携」  ソバ栽培を手がける「株式会社かまくらや」(松本市)は、農業分野で障害者を雇用する子会社「株式会社安曇野(あずみの)みらい農園」(安曇野市)を設立した。農業を通じて障害者が活躍できる場を生み出す「農福連携」の実現を目ざす。  安曇野みらい農園は、就労継続支援A型事業所として初年度に障害者を10人、3年目で20人雇用する計画。約3haの耕作放棄地を活用し、ニンジンとタマネギを栽培。収穫物はカット野菜に加工して総菜会社などに販売する。今秋以降はビニールハウスで「陸ワサビ」の栽培も始め、地元の大手加工メーカーに販売予定。 本紹介 『仕事だいじょうぶの本ー職場の人と安心してコミュニケーションできるSSTレッスンBOOK』  障害者の就労・生活支援に30年かかわってきた精神保健福祉士の北岡(きたおか)祐子(ゆうこ)さんが『仕事だいじょうぶの本ー職場の人と安心してコミュニケーションできるSSTレッスンBOOK』(ペンコム刊)を出版した。  これまで就労移行支援事業所やハローワークなどで行ってきた実例をもとに、職場でのコミュニケーションの不安をソーシャルスキルトレーニング(SST)の技法を使って解決していくレッスン本。職場ですぐに役立つコミュニケーションのコツや、よい人間関係をつくる伝え方などを身につけることを目ざし、「困った場面」→「対処方法」を実例で具体的に解説。声に出して読むことで、一緒にプログラムに参加しているように練習できる形式となっている。 B5判128ページ、1980円(税込) 就労支援機器紹介シリーズ 第3回 障害のある社員の就労環境を支援する機器やソフトをご紹介します! ソノヴァ・ジャパン株式会社の『ロジャーシリーズ』 聴覚障害者向け 会議に最適! ロジャー テーブルマイクU 173,800円(税込) セレクト機能付き ロジャー セレクト 140,800円(税込) 製品説明 騒音下や離れた距離での聴覚パフォーマンスを向上 ・ロジャーシリーズは、ほぼすべての補聴器・人工内耳に利用でき、言葉の聞き取りがむずかしい環境でも、よりクリアな「聞こえ」を可能とするデジタルワイヤレス補聴援助システムです ・話し手の声を送信機(ワイヤレスマイクロホン)が集音し、聞き手の受信機まで送信します ・デジタル無線方式で高音質の音声を届けるだけではなく、独自のテクノロジーで騒音を効果的にカットします ※ロジャーシリーズは用途に合わせてさまざまな製品があります。 詳細はホームページでご確認ください https://www.phonak.com/jp/ja.html 製品のお問合せ ソノヴァ・ジャパン株式会社(TEL:0120-06-4079)まで 当機構では障害者を雇用している・雇用しようとしている企業に『ロジャーシリーズ』を無料で貸し出しております! 詳細は、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 中央障害者雇用情報センター(TEL:03-5638-2792)まで、またはホームページをご確認ください(https://www.kiki.jeed.go.jp)。 ※14ページでも就労支援機器についてご案内しています。あわせてご覧ください 就労支援機器のページ 検索 ミニコラム 第2回 編集委員のひとこと ※今号の「編集委員が行く」(20〜25ページ)も阪本委員が執筆しています。 ご一読ください。 施設名に人生の原点、福祉の心 岡山障害者文化芸術協会代表理事 阪本文雄  社会福祉法人の名称の付け方が変わっている。  「共生シンフォニー」(滋賀県)、「巣立ちの杜(もり)」(群馬県)、「オリーブの樹」(千葉県)、「さくらの花」(岐阜県)、「こころん」(福島県)。  人はどう生きるのか、を問いかけ、樹木や咲く花のように平和を愛し、美しく、強く、大きな心を目ざし、社会に呼びかけているように感じさせる。  就労支援事業所の名称では「BeSmile」(福岡県)、「とわ・え・もあ」(福岡県)、「ひまわり畑」(大分県)、「IKIIKI堂」(鹿児島県)、「エコステーション未来」(愛媛県)、「ライフイノベーション北之庄事業所」(奈良県)、「ピュアハート」(愛知県)、「ビーアンビシャス」(千葉県)、「一歩」(岩手県)。  生きていくうえで大事なものはなにか、環境志向、生き方を変えよう、こころは、希望は、足元は、人とのかかわりのなかで目ざすものを指し示しているように思える。  いや、そんなへ理屈ではなく、ライトに、フラットに、自由に考え、みんなでワイワイやりながら決めたかもしれない。片意地張らないところがいい。  さりげなく、大事なことを教えてくれている。  福祉は人が人をケアする仕事である。就労へ向け提供するサービス、支援によっては対象となる子ども、成人の人生を大きく変えることも可能である。  だからこそ、ケアは創造的な仕事であり、専門的な知見も求められる。  また、障害のある人を励ますことも大事になる。未来、希望、笑顔はそのためにある。  人として生きるのに、なにが大事なのかを掲げている。  ここに、福祉の大きな役割が詰め込まれているのである。  表現は今風になり、就労支援事業所などには経営主体としては株式会社、合同会社、NPO法人、一般社団法人などの新規参入が認められた。経営力、労働効率、事業の継続性が求められるが、原点は福祉マインドであり、それがネーミングにも表れているのである。 【P32】 掲示板 第29回職業リハビリテーション研究・実践発表会 (発表者募集のお知らせ)  職業リハビリテーション研究・実践発表会は、職業リハビリテーションに関する研究成果、実践報告の発表のほか、特別講演、パネルディスカッションなどを行うもので、毎年1回開催しています。昨年は、新型コロナウイルス感染症の対策として、障害者職業総合センター(NIVR)ホームページに動画などを掲載して開催しました(https://www.nivr.jeed.go.jp/vr/news/28kaisai.html)。  今年度の発表会は、令和3年11月9日(火)、11月10日(水)の2日間、東京都江東区有明の東京ビッグサイトで開催する予定です。発表者は5月末頃から募集します。詳細は障害者職業総合センター研究部門ホームページをご覧ください。  なお、当日の参加者については、8月末頃にホームページなどで募集する予定です。 ※新型コロナウイルス感染症の影響により、変更する場合があります。 障害者職業総合センター 検索 雇用管理や人材育成の「いま」・「これから」を考える人事労務担当の方ぜひご覧ください! メールマガジン好評配信中! 詳しくは JEED メールマガジン 検索 ※カメラで読み取ったリンク先が https://www.jeed.go.jp/general/merumaga/index.html であることを確認のうえアクセスしてください。 次号予告 ●この人を訪ねて  福祉を軸とした新規サービスの企画立案・開発などを行う株式会社ヘラルボニー代表取締役社長の松田崇弥さんに、障害のあるアーティストの育成などについてうかがいます。 ●職場ルポ  リクルートグループの特例子会社、株式会社リクルートオフィスサポート(東京都)を取材。テレワークを導入し、障害のある方が活躍できる仕組みについてお聞きします。 ●グラビア  サントリービバレッジサービス株式会社(東京都)の東京北支店を取材。おもに倉庫でのピッキング業務などを行う障害のある社員の活躍をご紹介します。 ●編集委員と行く  朝日雅也編集委員が、「編集委員と行く」と題し、障害のある方とともに、埼玉県の就労支援ネットワークを取材。越谷市障害者就労支援センター、株式会社クリタエイムデリカなどを訪問します。 本誌購入方法  定期購読のほか、最新号やバックナンバーのご購入は、下記へお申し込みください。  1冊からのご購入も受けつけています。 ◆インターネットでのお申し込み 富士山マガジンサービス 検索 ◆お電話、FAXでのお申し込み 株式会社廣済堂までご連絡ください。 TEL 03-5484-8821 FAX 03-5484-8822 編集委員 (五十音順) 埼玉県立大学 教授 朝日雅也 株式会社FVP代表取締役 大塚由紀子 NPO法人大阪精神障害者就労支援ネットワーク 副理事・統括施設長 金塚たかし 岡山障害者文化芸術協会 代表理事 阪本文雄 武庫川女子大学 准教授 諏訪田克彦 あきる野市障がい者就労・生活支援センターあすく センター長 原 智彦 ホンダ太陽株式会社 社友 樋口克己 サントリービジネスシステム株式会社 課長 平岡典子 東京通信大学 教授 松爲信雄 有限会社まるみ 取締役社長 三鴨岐子 筑波大学 准教授 八重田淳 あなたの原稿をお待ちしています ■声−障害者雇用にかかわるお考えやご意見、行事やできごとなどを500字以内で編集部(企画部情報公開広報課)まで。 ●発行−−独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 発行人−−企画部長 奥村英輝 編集人−−企画部次長 五十嵐意和保 〒261−8558 千葉県千葉市美浜区若葉3−1−2 電話 043−213−6216(企画部情報公開広報課) ホームページ https://www.jeed.go.jp/ メールアドレス hiroba@jeed.go.jp ●発売所−−株式会社 廣済堂 〒105−8318 港区芝浦1−2−3 シーバンスS館13階 電話 03−5484−8821 FAX 03−5484−8822 6月号 定価141円(本体129円+税)送料別 令和3年5月25日発行 無断転載を禁ずる ・本誌に掲載した論文等で意見にわたる部分は、それぞれ筆者の個人的見解であることをお断りします。本誌では「障害」という表記を基本としていますが、執筆者・取材先の方針などから、ほかの表記とすることがあります。 【裏表紙】 ジョブコーチの養成・スキル向上研修のご案内  当機構では、職場適応援助者(ジョブコーチ)に必要となる専門的知識および支援技術を修得するための「職場適応援助者養成研修」、「職場適応援助者支援スキル向上研修」を実施しています。  各研修の詳細・お申込み先などは、右記のQRコードなどから当機構のホームページ(https://www.jeed.go.jp/disability/supporter/supporter04.html)にアクセスいただき、サイト内検索(各研修名で検索)でご確認ください。みなさまの受講を心よりお待ちしています。 ジョブコーチの養成・スキル向上研修 ステップ1 入門編・実践編 職場適応援助者養成研修 ◆訪問型職場適応援助者養成研修 (年7回)※うち4回は東日本と西日本に分けて実施 ◆企業在籍型職場適応援助者養成研修 (年7回)※うち4回は東日本と西日本に分けて実施 ステップ2 スキルアップ編 職場適応援助者支援スキル向上研修 ◆訪問型職場適応援助者支援スキル向上研修 (年4回) ◆企業在籍型職場適応援助者支援スキル向上研修 (年4回) ※職場適応援助者として1年以上の実務経験のある方が対象となります 感染症対策を行い研修を開催しています 研修 日程 場所 職場適応援助者養成研修 【対象】訪問型・企業在籍型職場適応援助者(ジョブコーチ)としての援助を行う予定の方など 【内容】ジョブコーチの役割、作業指導の実際、ケースから学ぶジョブコーチ支援の実際、職場における雇用管理の実際、支援記録の作成など(集合研修4日+地域障害者職業センターでの実技研修4日程度) ※対象地域は以下のとおりです  東日本:北海道、東北、関東甲信越、静岡、富山  西日本:東海(静岡を除く)、北陸(富山を除く)、近畿、中国、四国、九州、沖縄 9月期 東日本対象:令和3年9月14日(火)〜9月17日(金) 千葉県千葉市 西日本対象:令和3年9月14日(火)〜9月17日(金) 大阪府内 10月期 全国対象:令和3年10月26日(火)〜10月29日(金) 千葉県千葉市 12月期 東日本対象:令和3年12月14日(火)〜12月17日(金) 千葉県千葉市 西日本対象:令和3年12月14日(火)〜12月17日(金) 大阪府内 2月期 全国対象:令和4年2月15日(火)〜2月18日(金) 千葉県千葉市 職場適応援助者支援スキル向上研修 【対象】ジョブコーチとして1年以上の実務経験のある訪問型・企業在籍型職場適応援助者の方 【内容】精神・発達障害者のアセスメントや支援方法、アンガーコントロール支援、意見交換、ケーススタディなど <第2回> 令和3年8月3日(火)〜8月6日(金) 大阪府大阪市 <第3回> 令和3年10月12日(火)〜10月15日(金) 千葉県千葉市 <第4回> 令和4年2月1日(火)〜2月4日(金) 大阪府大阪市 ※申込期間終了分を除く <お問合せ先> (千葉県で実施する研修)職業リハビリテーション部 研修課 TEL:043-297-9095 E-mail:stgrp@jeed.go.jp (大阪府で実施する研修)大阪障害者職業センター TEL:06-6261-5215 E-mail:osaka-ctr02@jeed.go.jp 6月号 令和3年5月25日発行 通巻524号 毎月1回25日発行 定価141円(本体129円+税)