【表紙】 令和3年8月25日発行・毎月1回25日発行・通巻第527号 ISSN 0386-0159 障害者と雇用 2021 9 No.527 職場ルポ 独自のキャリア支援で職業能力を高める コニカミノルタウイズユー株式会社(東京都) 編集委員が行く 多様な雇用形態、多様な雇用の取組み 東急不動産株式会社 ウェルネス事業ユニット事業戦略部、ウィズダイバーシティ有限責任事業組合(東京都) 私のひとこと 対話による「個」の成長が「組織」の成長へ 〜障害のある人の「成長ステップ」見える化プロジェクト〜 株式会社Connecting Point代表取締役 阿部潤子さん グラビア 令和3年度障害者雇用支援月間における絵画・写真コンテスト入賞作品 「絵画コンテスト 働くすがた〜今そして未来〜」 「写真コンテスト 職場で輝く障害者〜今その瞬間〜」 「災害からの復興」長野県・服部(はっとり) 幹(かん)さん 9月は「障害者雇用支援月間」です 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 誰もが職業をとおして社会参加できる「共生社会」を目指しています 9月号 【P1】 第29回職業リハビリテーション研究・実践発表会 令和3年11月9日(火)・10日(水)東京ビッグサイトで開催  当機構では、職業リハビリテーションに関する研究成果を広く各方面に周知するとともに、参加者相互の意見交換、経験交流を行う場として「職業リハビリテーション研究・実践発表会」を毎年開催しています。  この発表会では職業リハビリテーションに関する研究成果をはじめ、就労支援に関する実践事例や企業における障害者の雇用事例を紹介します。ぜひご参加ください。 入場無料 WEBから参加申込みをしていただけます ※カメラで読み取ったQR コードのリンク先がhttps://www.nivr.jeed.go.jp/vr/vrhappyou-index.htmlであることを確認のうえアクセスしてください。 11月9日(火) ◆基礎講座 職業リハビリテーションに関する基礎的事項等に関する講義 「精神障害の基礎と職業問題」 「発達障害の基礎と職業問題」 ◆支援技法普及講習 職業センターで開発した支援技法の紹介 「問題解決技能トレーニング」 「日常生活基礎力形成支援〜心の健康を保つための生活習慣〜」 ◆特別講演 「コロナ禍における変化とチャレンジ 〜障害者雇用の現場から考える〜」 原田 昌尚 氏 (株式会社ベネッセビジネスメイト 人事総務部 部長) ◆パネルディスカッションT 「メンタルヘルス不調による休職者への対応〜職場復帰支援を考える〜」 11月10日(水) ◆研究発表(口頭発表) 障害者雇用に関するテーマを設定した分科会ごとに、研究者、企業関係者などが研究成果や実践報告などを発表 ◆パネルディスカッションU 「職務創出とその支援〜障害者雇用をしていくために〜」 ※今年度、「ポスター発表」は行いません。  また、新型コロナウイルス感染症への対応等により開催等に変更が生じる場合があります。 事務局 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター 研究企画部企画調整室 〒261-0014 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-3 TEL:043-297-9067 E-Mail:vrsr@jeed.go.jp HP:https://www.nivr.jeed.go.jp 写真のキャプション 特別講演の様子 パネルディスカッションの様子 【もくじ】 障害者と雇用 目次 2021年9月号 NO.527 私のひとこと 2 対話による「個」の成長が「組織」の成長へ 〜障害のある人の「成長ステップ」見える化プロジェクト〜 株式会社Connecting Point 代表取締役 阿部潤子さん 職場ルポ 4 独自のキャリア支援で職業能力を高める コニカミノルタウイズユー株式会社(東京都) 文:豊浦美紀/写真:官野 貴 クローズアップ 10 コロナ禍を乗り越えて〜新しい働き方を問う〜 第4回 JEEDインフォメーション 12 ご活用ください!障害者の職業訓練実践マニュアルなど/国立職業リハビリテーションセンター 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター 訓練生募集のお知らせ グラビア 15 33 令和3年度障害者雇用支援月間における絵画・写真コンテスト入賞作品 「絵画コンテスト 働くすがた〜今そして未来〜」 「写真コンテスト 職場で輝く障害者〜今その瞬間〜」 エッセイ 19 配慮は人のためならず 第2回 〜多能工化とメンタルヘルス〜 株式会社Ds'sメンタルヘルス・ラボ 代表取締役(精神科医・産業医) 原 雄二郎 編集委員が行く 20 多様な雇用形態、多様な雇用の取組み 東急不動産株式会社 ウェルネス事業ユニット事業戦略部、ウィズダイバーシティ有限責任事業組合(東京都) 編集委員 大塚由紀子 省庁だより 26 特別支援教育における就労支援の取組み 文部科学省 初等中等教育局 特別支援教育課 研究開発レポート 28 発達障害者のワークシステム・サポートプログラム リラクゼーション技能トレーニングの改良 障害者職業総合センター職業センター ニュースファイル 30 編集委員のひとこと 31 掲示板・次号予告 32 職業リハビリテーションに関する各種研修のご案内 就業支援課題別セミナー ※「心のアート」は休載します 表紙絵の説明 「職場体験で、台風19号で被災した住宅の修理をする大工さんに同行しました。電動のこぎりで木を切ったのですが、とても緊張したので、そのときの様子や気持ちを絵に描きました。部屋の奥行きや明暗を表すのに苦労しました。いまは高等部で、毎日楽しく過ごしています」 (令和2年度 障害者雇用支援月間ポスター原画募集 中学校の部 高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長奨励賞) ◎本誌掲載記事はホームページでもご覧いただけます。(https://www.jeed.go.jp/) 【P1-3】 対話による「個」の成長が「組織」の成長へ 〜障害のある人の「成長ステップ」見える化プロジェクト〜 株式会社Connecting Point代表取締役 阿部潤子 「共生社会」の実現に向けて  株式会社Connecting(コネクティング) Point(ポイント)は、「障害」が、キャリアを積むうえで障害≠ノならない社会の実現を目ざし、個を活かす障害者雇用の実践に取り組む企業のみなさまへの研修やリサーチ、コンサルティングサービスの提供を、おもな事業としています。当社が企画するプログラムでは、障害のある社員の声や存在感を感じられるコンテンツを重視し、本人参画型の障害者雇用の実践を大事にしています。  私が障害者雇用の現場において、当事者の声を尊重する姿勢を貫くきっかけとなったのは、オーストラリアにある王立メルボルン工科大学(現RMIT大学)大学院への留学経験です。この留学期間中に、障害のある人の声をもとに、ともに暮らし働くうえでの課題について、福祉サービスの提供事業者や必要なサービスを提供する民間企業も巻き込みながら解決を試みるNGO団体とともに、研究活動を行いました。この活動から、障害の有無に関係なく同じ地域で暮らし、同じ職場であたり前に働く「共生社会」の実現に向けて、障害のある人の困り感を社会とのつながり≠フなかで解決する姿勢を学び、「Connecting Point」(異なる世界観を結ぶつなぎ役=jという社名の由来にもなりました。  日本に帰国した後は、就労支援の現場で経験を積んだ後、就労継続支援A型事業所・就労移行支援事業所の経営者として、大学院時代に描いた「共生社会」にどう近づけるのか、障害のある人を一つの会社で多数雇用することのむずかしさと、「共生社会」の意味をあらためて考えさせられました。そして、この経験から「共生社会」の実現に向けた具体的な解を導くべく、株式会社Connecting Pointを設立し、障害だけでなく、価値観や興味など、人それぞれが持つさまざまな違い≠ノ学び、違い≠活かせる障害者雇用の実践に向けて各種プログラムを企画、実施しながら事業を継続してきました。今回は、2018(平成30)年より人材開発領域の専門家と産業・組織心理学の研究者の方々と開発を続けてきた「障害のある人の『成長ステップ』見える化プロジェクト」(以下、「PJ」)についてお話ししたいと思います。 障害のある人の「成長ステップ」見える化プロジェクト  PJは、障害のある人や障害者雇用に対する固定観念を払拭(ふっしょく)し、「個」の活躍に焦点をあてた障害者雇用の実践を目ざし開発してきました。PJ開始当初の調査では、障害のある人の「思考特性」(職業的な興味や価値観)を可視化し、実際に従事する仕事と本人の仕事への興味が一致するほど、仕事への満足度が高まるという事実を定量的に明らかにしました(※)。その後、思考特性に加えて、ウェクスラー式知能検査(注)の知見をもとに、「働く力」の基盤となる認知機能に焦点をあてた専用ツール「認知機能の成長ステップ」(以下、「専用ツール」)を開発し、「働く力」の見える化による「『成長プラン』設計ワークショップ」を、企業の人事担当者や職場サポーター向けの研修としてご提供しています。  このワークショップは、「働く力」の可視化による選別的なアセスメントを意図するものではなく、専用ツールを用いて、障害のある社員の「現在地」と「目的地」、そして「目的地」に至るまでの「成長プラン」を上司(職場サポーターなど)と部下(障害のある社員)がともに創りあげるストーリーとなっており、このストーリーで重視するのが、二種類の「対話」です。  まず一つめが、上司と部下によるリアルタイムで行われる「対話」です。本ワークショップでは、目標管理制度のもとに行われる「面談」ではなく、上司自らが障害のある社員をより深く理解し、部下の成長を願い、そのプロセスに伴走しながら安心感と納得感を生み出す日々の「対話」を重視しています。前述の調査においても、職場の人間関係が社員の離職意図に影響を与え、仕事の満足度にも関係していることが明らかになったことから(※)、本ワークショップでは上司と部下の関係構築はもちろん、「成長プラン」に対する本人のワクワク感と上司の期待に応えたいという内的な動機づけも、部下の成長に不可欠な要素と考えています。  二つめが、上司間の「対話」です。仕事を通じた人の成長は目に見えにくく、成長に対する「見立て」も見立てる側の価値観や経験によって一人ひとり異なります。この正解のない世界観が、人の成長を支援することのおもしろさである一方、障害のある人の可能性を最大化し、個の力を活かすためには、その見えにくさが「障害」になりやすいと考えます。そこで、専用ツールを用いながら、上司同士が一人ひとりの社員に対する「見立て」とその意味づけを共有することで、社員の「現在地」に対する認識と成長支援の一貫性を担保することが可能になります。この対話機会こそが、上司間の相互理解を深めるプロセスになるとともに、職場の「力」を組織全体で把握することにつながるのです。 人は必ず成長する  本ワークショップの開発段階からご一緒した方々からは、上司など障害のない社員間の目線合わせが可能になるだけでなく、専用ツールによって、知的・発達障害のある人と健常者と呼ばれる人たちの違いを一つのグラデーションのなかで感じることができ、社員の困り感や日常業務の背景にある本人の努力をあらためて知る機会になったという声をいただいています。まさに目に見えにくく、見立てが分かれやすい「認知機能」という能力要素を可視化することで、本人の強みや伸びしろを把握し、適切な配慮提供へつなげられるようになり、ともに働くことや成長支援についてのノウハウやスキル獲得など、専用ツールが職場における教育機能をになった成果であると考えています。  私はPJを通じて、障害の有無によらず、人は仕事を通じた有意味な経験のなかで必ず成長するという確信を持つことができました。だからこそ、障害のある人が社会的要請により「雇用される人」ではなく、「ビジョンを共有したメンバー」として組織のなかで成長し、存在感を発揮できるように、今後も事業活動を続け、「共生社会」の実現に向けた具体的な解を協働する方々との対話から探求し、ともに創りあげていきたいと思います。 注:IQテストの一種。検査は被験者と専門家(臨床心理士など)の1対1で行われ、全般的な知能だけでなく、「言語理解」や「ワーキングメモリー」、「処理速度」などの指数を得られる ※参考文献:阿部潤子「個の活躍を実現する障害者雇用の新たな手法―障害のある人の『成長ステップ』見える化プロジェクト−」, 経営センサー,2020,225, P.32-37 阿部潤子 (あべ じゅんこ)  「株式会社Connecting Point」 代表取締役。社会福祉士、精神保健福祉士。  日本女子大学人間社会学部卒業後、王立メルボルン工科大学(現RMIT 大学)大学院にて「共生社会」に必要な社会政策の立案プロセスを研究し、2009(平成21)年修士号(Master of Social Science)取得。帰国後、就労系障害福祉サービスを提供する株式会社ソーシャル・スパイス・カンパニーにて就労支援員を務めた後、取締役社長就任。退任後、2015年に「株式会社Connecting Point」を設立、代表取締役に就任。  障害者雇用に関する研修・コンサルティングサービスを企業向けに提供するほか、都内区立中学校の特別支援学級や都立特別支援学校職能開発科・普通科にて、障害のある学生を対象としたキャリア教育について先生方とともに思考を重ねる活動をしている。 【P4-9】 職場ルポ 独自のキャリア支援で職業能力を高める ―コニカミノルタウイズユー株式会社(東京都)― 特別支援学校などから入社してきた100人超が働く特例子会社では、社員の長期的な育成を目ざし、独自のキャリア支援プログラムに力を入れている。 (文)豊浦美紀 (写真)官野 貴 取材先データ コニカミノルタウイズユー株式会社 〒192-8505 東京都八王子市石川町2970 コニカミノルタ東京サイト八王子 TEL 042-660-8782 FAX 042-660-8784 Keyword:知的障害、特別支援学校、特例子会社、ジョブローテーション、キャリア支援 POINT 1 社会人の土台をつくる3年間の「ベースプログラム」 2 目標をイメージしやすい3コースのキャリア支援 3 メンバー以外は全員指導員、「支援力」を高める研修も 長期的な「人財」育成  複合機をはじめとするデジタルワークプレイス事業などを展開する「コニカミノルタ株式会社」は、グループ経営体制を再編した2013(平成25)年、特例子会社「コニカミノルタウイズユー株式会社」(以下、「ウイズユー」)を設立した。  ウイズユーの障害者雇用の方針について、2017年から代表取締役社長を務める東野村(とのむら)光昭(てるあき)さんが話してくれた。  「グループ会社と同じように私たちも、障害のある人を最初から正社員として採用し、業務でのプロフェッショナルを目ざしてもらえるよう、長期的な『人財』育成に力を入れています」  毎年十数人ずつ採用してきた同社は、いまでは全社員152人のうち知的障害のある社員(メンバー)が106人、グループ適用(8社)での障害者雇用率は2.39%(2020〈令和2〉年6月1日現在)となっている。設立から7年あまりの定着率は約98%だ。  本人の職業能力を高めるキャリア支援などが評価された同社は、厚生労働省主催「グッドキャリア企業アワード2019」のイノベーション賞、東京都が顕彰する「令和2年度障害者雇用エクセレントカンパニー賞」の都知事賞を相次いで受賞した。同社を訪問し、支援内容やメンバーの働く様子を取材させてもらった。 実習によるマッチング重視  ウイズユーの本社は、「コニカミノルタ東京サイト八王子」の中にある。東京ドーム4個分の広大な敷地に研究開発棟などが建つコニカミノルタの主要事業所で、約3500人が勤務している。ここでウイズユーが担当するおもな業務は、現在九つあり、各部署に8〜32人のメンバーが所属している。 【プリンティング業務】  デジタル印刷機器4台を使い、グループ会社の名刺やマニュアル、パンフレットなどのデータ作成から製本加工までを一括請負。 【データ入力・スキャン業務】  契約書や図面、経理伝票などを画像編集も含めて電子化。領収書や伝票の確認、アンケートなどの入力。 【機械リファーブ・メンテナンス業務】  コニカミノルタ製の複合機の清掃やメンテナンス、大型デジタル印刷機器のユニット部品の再生メンテナンス。 【SKT棟業務】  コニカミノルタの研究開発棟(SKT棟)内にある10数台の自動販売機の管理や事務用消耗品の補充、会議スペース清掃、軽食などのワゴン販売サービス。 【カフェ・ショップ業務】  社屋内の喫茶コーナーやコンビニエンスストアの運営。 【園芸業務】  敷地内にある花壇の植栽・管理。押し花やドライフラワーを使ったインテリア雑貨の制作・販売、ワークショップ開催。 【機密文書処理業務】  各部署の廃棄文書を回収、クリップを取り外すなど分別したうえで書類をシュレッダー処理。 【社史管理業務】  グループが所有する歴史的な機材や資料の管理、展示室の運営。 【事業企画業務】  新規受注した業務の計画や取りまとめ。手順構築やマニュアル作成、メンバーへの作業方法の説明。  ウイズユーに入社するメンバーのほとんどは、特別支援学校や障害者職業能力開発校在籍時の実習を経ているという。多い人は3〜4回実習する場合もある。実習の受入れなどを担当する総務部定着推進グループの岡村(おかむら)雅子(まさこ)さんは、「長く安定した就労のためにも、本人と会社のマッチングを重要視しています。実習中は、複数の業務を経験してもらい、職場との相性や適性を見極めるようにしています」と説明する。約30校と連携し、教員や保護者向けの見学会も積極的に開催している。 3年間のベースプログラム  ウイズユーのメンバーへのキャリア支援の大きな特徴の一つが「ベースプログラム」だ。入社後3年間、社会人としての土台づくりのための研修やOJT(職場内訓練)を実施している。本人の長所と短所を考慮しながら、1年ごとに配属部署を変えるジョブローテーションによって「柔軟性の向上」、「対応力の強化」、「新たな適性の発見」を図る。数カ月単位で担当業務を変えることもあるそうだ。  また社会的自立訓練の一環として、体力づくりや余暇の過ごし方、金銭管理などをテーマにした研修も企画。社外に出て学ぶオフサイト研修やスポーツ大会、レクリエーションといったイベントも盛りだくさんだ。  ベースプログラムの実施中は、一人ひとりのソーシャルスキル・ジョブスキルについて記録する「S&Jシート」を活用している。本人の強みと課題を掲げたうえで、業務への取り組み方や成果などを記入。このシートの内容をもとに年1回、本人・家族・支援センター・卒業校・会社が集まった「5者面談」でふり返る。ここで、就業と生活の両面で、本人の成長した点や努力したい点・目標などを共有している。東野村さんは「面談の後半は本人に退席してもらい、4者で今後の業務や支援のあり方などについて意見を交換します。とても有意義ですね」と話す。メンバーの対応内容などは人事システムで一括管理され、グループリーダー以上の間で情報共有することで、一貫した指導に努めている。 本配属後のキャリア支援  ベースプログラムを終えた4年目には、同期メンバーが一同に集まり、2日間のキャリアアップセミナーを受講する。神奈川障害者職業能力開発校の講師に協力してもらい、3年間の仕事を総括しながら、今後のスキル向上について学ぶ。経験を積んだ同期との再会は、新たな意欲にもつながっているそうだ。  一方、本配属後のキャリア支援プログラムは、業務内容によって3コースに分かれる。コピー機のメンテナンス業務など高品質な業務を安定して行う「エキスパート(匠・熟練)」、パソコン分野などで専門性を追求する「スペシャリスト(専門性)」、多種多様な業務を習得する「マルチクラフター(多彩な職人)」だ。  各部署では、そこに所属する指導員がメンバーとともに、「長期個別育成計画シート」を作成する。本人に「5年後の成長イメージ」を考えてもらい、1年ごとの計画を立てている。定期面談も毎月実施し、メンバーが安心感と目的意識を持って取り組めるようにうながす。給与制度については、入社後3年間は全員同じ給料だが、4年目からは同社独自の昇給考課シートをもとに評価され、個別に昇給していく仕組みだ。 指導員の「支援力」向上  ウイズユーでは、メンバー以外の社員は、東野村さんも含めて「指導員」の立場で、ほぼ全員が障害者職業生活相談員の資格を取得している。もともとキャリア採用による転職組が約8割で、うち半分は福祉系の職務経験者だという。大学で福祉を学び新卒で入社した社員も2人いる。ちなみに岡村さんも社会福祉協議会からスタートして福祉作業所などを経験したキャリア採用組だそうだ。  ジョブコーチ(企業在籍型職場適応援助者)の資格も持つ東野村さんは、「メンバーへの支援には、一緒に働くわれわれ指導員の『支援力』の向上が不可欠です」と話す。そして、指導員が目ざすべき姿として、二つの視点で計10項目を提示している。 @メンバーの成長と事業貢献の拡大のために、新しい業務を創出できる人財として…「成長意欲がある/コミュニケーションスキルがある/業務提案ができる/実行力がある/ネゴシエーションスキルを持っている」 Aメンバーの社会的自立支援のためのスキル、ソーシャルスキル向上を目的に指導できる人財として…「ビジネススキルを持つ/障害に関する深い知識を持つ/多角的な視点を持つ/フォロワーシップを持つ/全社的な視点を持って課題解決に臨むことができる」  指導員育成のための研修も定期的に実施。初級・中級・上級編に分けて体系化し、多角的な内容を盛り込んでいる。また、障害や福祉の専門的な知識を持つ社員や、ビジネススキルなどの能力にたけた社員も講師になり、指導員同士が学び合う機会をつくっている。  社員の専門資格取得も奨励され、受験料補助などがある。岡村さんは、すでに精神保健福祉士・社会福祉士・介護福祉士の資格を持っていたが、入社後さらに公認心理師の資格も取得。これまでの経験と専門職としての知識を活かし、障害者雇用を進めるグループ会社からの相談にも応じているそうだ。 メンテナンス業務  職場もいくつか見学させてもらった。まず足を運んだのは、機械リファーブ(整備)・メンテナンス業務を行う「エンジニアリンググループ」のフロア。メンバーたちはコピー機と向き合いながら熱心に作業中だった。総務部長の五十川(いそかわ)渡(わたる)さんが、「最近はコロナ禍の影響で、コピー機の再レンタル・販売需要が急増しています。メンバー1人で1日1台を仕上げるのが目安ですが、1日3台をこなす人もいます」と説明してくれた。  もともとメンテナンス業務はグループ会社の業務だったが、2019年からウイズユーで請け負うことになった。「担当者はそのぶん別の仕事ができるようになり、グループ会社に大きく貢献しています」と五十川さんはいう。  指導員でありグループリーダーも務める中村(なかむら)悟(さとる)さんは、メンテナンス業務20年のキャリアがあるが、「ウイズユーでこの業務を始めたときは試行錯誤でした」と明かす。  「OJTをくり返しながら1年ほどかけて手順を固めました。最初は1台を4人で分担していましたが、1人1台のほうが責任を持って取り組むため、結局は効率的だとわかりました」  作業は、A3サイズの紙に両面印刷された、とても細かい手順マニュアルに確認チェックを入れながら進める。マニュアルはいまも週1回ぐらいのペースで修正し、更新しているそうだ。「精密機械なので、大事な部分は二重三重のチェックをしています。一方で『これは無理だろう』という勝手な線引きはせず、どんどん挑戦してもらいます。機械はいろいろな壊れ方をしますが、それがメンバーを退屈させず、成長もすごく早いと思いますね」と中村さんは話す。  同グループの立ち上げ時に転職してきた指導員の鈴木(すずき)里奈(りな)さんは、事務系は得意だが、メンテナンス業務はまったくの未経験。「メンバーと一緒になって勉強しながら、マニュアル作成にもかかわっています」と話す。日ごろは「わかりやすく説明することのほか、雑談も含めて話しやすい雰囲気をつくるよう心がけています」とのことだ。  メンバーの1人、佐々木(ささき)康太(こうた)さん(23歳)は、2016年に入社。実習を数回受け、入社後にほぼすべての業務を経験した後、エンジニアリンググループの発足時から配属されている。  「機械などの分解や組立てが好きなので、向いているかもしれません」という佐々木さんは、最近は1日2台を仕上げることもある。一方、気圧の変化で体調を崩すことがあるため、規則正しい生活とともに毎日100回の腕立て伏せなどを続けて心身をきたえているそうだ。  「入社後3年間は短期間で職場を変わるのがつらかったのですが、異動するたびに自分について新たな発見がありました。以前は不得意だった環境の変化への対応も、いまは柔軟にできるようになり、楽しく働けています」  同じく2016年入社のメンバー、西村(にしむら)光祐(こうすけ)さん(24歳)は、入社前に3週間の実習を1回行い、カフェや園芸、プリンティング業務を経験。「一つの作業を続けることが得意でしたが、実習で複数の業務を経験し、それが魅力に思えるようになりました」とふり返る。西村さんも、エンジニアリンググループ発足時に本配属。「控え目なメンバーが多いのですが、業務については積極的に意見を発信し合い、知識を共有しながら全体のレベルアップを図れていると思います」と説明する。  一方で「自身の課題は、忘れっぽさを改善することです」と明かす。指導員からアドバイスをもらい、自分でもメモを残す方法でミスを防ぐ努力をし、だんだん自信もついてきたそうだ。  「この仕事は、グループ会社の利益にも貢献できているようで、やりがいを感じています。目下の目標は1日3台を仕上げることです。将来は、後輩や同僚たちに信頼される社員になりたいです」 コンビニエンスショップ運営  ウイズユーは2016年から、社員向けのコンビニエンスショップ業務を受託。商品の品出しなどから始めて、徐々にレジ対応や発注作業などまで業務を増やし、2020年には運営をグループ関係会社からウイズユーに全面移管した。営業時間は7時50分〜17時だ。  運営を担当する「八王子サービスグループ」で指導員を務める山中(やまなか)哲壱(てついち)さんは、「ショップではもともと決済が電子マネー限定だったことも、メンバーが働きやすい環境でした」と話す。ただほかの店内業務は、通常のコンビニと変わらない。  「一人ひとりを観察しながら、個々の資質にあった指導を心がけています。全体の傾向としては、どうしても失敗を恐れてしまうので、むしろくり返さないためにどうするかを考えられるよう、うながしています」  いまではメンバー同士、先輩が後輩をOJT指導できるようになってきた。山中さんは「いずれは月ごとの棚卸や精算も含め、メンバーだけですべて運営できるようになってもらうつもりです」と語ってくれた。  2020年に入社したメンバーの河野(こうの)美空(みく)さん(19歳)は、在学中に計3回の実習を行い、カフェ、園芸、自動販売機業務を経験している。入社直後はコロナ禍に見舞われ在宅研修が続いたが、10月からショップに配属。業務は覚えることも多く苦労したが、3カ月ほどで一人でこなせるようになったそうだ。たまに作業のペースが速くなりすぎるため「ゆっくりていねいに」と指導員からアドバイスされている。河野さん自身も「仕事はていねいに、お客さま優先、そして明るく笑顔で」を心がけ、いまでは接客の仕事にやりがいを持つようにもなったと語る。  「先輩メンバーから聞いたのですが、お客さまが『あの子は元気があっていいね』とほめてくれていたそうです。とてもうれしく、もっとがんばりたいと思います」 アビリンピック出場者も  「データ入力・スキャングループ」のフロアでは、パソコンを前に黙々と業務に取り組む様子が見られた。ウイズユーでは最近、グループ会社からの受託だけでなく、その取引先からも事務サポートやデータ化の業務が依頼されるようになり、新たな利益につながっているそうだ。東野村さんは「これまで10社から書類のスキャンなどの仕事を受け、なかには取引先のオフィスに指導員・メンバーが出張するケースもあります。今後も増えていくのではないかと思います」と期待する。  フロアで作業中だった2018年入社の金子(かねこ)龍揮(りゅうき)さん(22歳)は、今年12月に東京都で開催予定の全国アビリンピックに出場予定である。職業能力開発校在籍時にワード・プロセッサ種目で全国大会出場を決めており、今回の種目はパソコンデータ入力だ。日ごろから業務でスキル向上を図っているという金子さんは「最低限、入賞したいです」と抱負を語ってくれた。 チーフ任用制度  ウイズユーでは今夏、各業務グループのメンバーから「まとめ役」を選任する「チーフ任用制度」を始めた。選考方法は、グループから推薦されたメンバーが、指導員のグループリーダー会で5分間のプレゼンテーションを行うというもの。今回は4人が候補者となった。  任期は1年で、これによる昇給はないが、「チーフになること自体が、仕事上の目標ややりがいにつながると同時に、メンバーたちが組織として自走できるようにする足がかりにもなります」と、東野村さんは説明する。  この制度は、メンバーのさらなる成長を目ざして同社が2020年に発表した人事制度改定の柱の一つでもある。メンバーに向けて、あらためてコニカミノルタウイズユーの「会社としてのなりたい姿」も示した。 ・社員全員が持っている個性を活かし、ともに学び合い、成長できる会社 ・担当業務のプロとして成長し、事業に貢献することで、やりがいと喜びを感じる会社  コニカミノルタウイズユーの今後について、東野村さんが語ってくれた。  「私たちは、障害者雇用のための特例子会社ではなく、グループの事業自体に貢献していける子会社として成長していきたいと強く思っています。社名のウイズユー(WITH YOU)には、会社にかかわるすべての人が“ともに”成長していこうという決意も込められています。これからもメンバーや指導員が一緒に働きながら、付加価値を提供し合い、新たな事業にも挑戦していくつもりです」 写真のキャプション 大型デジタル印刷機器を使用したプリンティング業務 コニカミノルタウイズユー株式会社代表取締役社長の東野村光昭さん コニカミノルタ社員の憩いの場となっている「カフェウイズユー」 昨年行われたキャリアアップセミナーの様子(写真提供:コニカミノルタウイズユー株式会社) 総務部定着推進グループの岡村雅子さん 敷地内に設置されたプランターの管理作業(写真提供:コニカミノルタウイズユー株式会社) 指導員でグループリーダーの中村悟さん(左)、指導員の鈴木里奈さん(右) 総務部長の五十川渡さん コピー機のメンテナンスを担当するエンジニアリンググループ 八王子サービスグループ指導員の山中哲壱さん 大型デジタル印刷機の整備を担当する西村光祐さん 複合機のメンテナンスを担当する佐々木康太さん 今年の全国アビリンピックに出場予定の金子龍揮さん ハンディーターミナルを使用した商品の発注作業 八王子サービスグループで働く河野美空さん 書類や図面などの電子化を行うデータ入力・スキャングループ 【P10-11】 クローズアップ コロナ禍を乗り越えて 〜新しい働き方を問う〜 第4回  新型コロナウイルス感染症の流行にともない、テレワークなどの新しい働き方が広まってきています。「知的障害のある社員にテレワークはむずかしいのでは」という声もありますが、「サントリービジネスシステム株式会社」では2020(令和2)年の緊急事態宣言以降、一般の社員と同様に知的障害のある社員にもテレワークを導入し、成果をあげています。今回は、同社におけるテレワークの取組み事例を紹介します。 監修:本誌編集委員 松爲信雄(東京通信大学教授)  今回は、本連載の第2回(※)に登場された「株式会社テレワークマネジメント」から、知的障害のある方がテレワークを実施している事例として「サントリービジネスシステム株式会社」をご紹介いただき、同社コラボレイティブセンター課長で本誌編集委員の平岡(ひらおか)典子(みちこ)さんにお話をうかがいました。 緊急事態宣言中もテレワークで就業を継続  サントリーグループ各社から事務などの業務を受託している「サントリービジネスシステム株式会社」では、2021(令和3)年6月現在、東京と大阪の3拠点で、26人の知的障害のある方が働いています。  2020年4月の新型コロナウイルス感染症の流行による緊急事態宣言の発令時には、所属社員全員が約2カ月間のテレワークを実施。現在は、感染拡大の状況や、本人や家族の希望などを考慮し、必要に応じてテレワークを取り入れながら、業務にあたっています。  「緊急事態宣言により、全社的に出社が禁止されてしまったので、やむを得ずテレワークを始めました。準備に要した時間は一週間程度。まずは、コラボレイティブセンターで受託している約150種類の業務のうち、在宅でも継続できそうな業務をあげることから始めました。すると、これまで多様な業務を受託してきたことが活き、業務全体の4割程度は継続できそうだとわかりました。そこでそれらの業務をテレワークで続けることにしました」と平岡さんは話します。  例えば、スーパーやドラッグストアなど全国の販売店舗に届ける販促物の準備などは、障害のある社員(以下、「メンバー」)の自宅に必要なものを送付して、作業をしてもらうことで継続。また、物流管理システムへのデータ入力などのパソコン作業も、テレワークで継続することができたそうです。平岡さんはいいます。  「パソコン作業に関しては、メンバー全員が普段から行っているため、慣れていました。残りの業務時間は、漢字や算数の勉強、タイピングや英会話の練習、読書、家事、体力づくりなどの課題を行い、スキルアップの時間にあててもらいました。その日一日をどんなスケジュールで過ごすのか、自分で計画を立てて実行してもらいました(図1)。また、不安や孤立感を感じることがないよう、ビデオ通話で一日数回、ほかのメンバーやサポートスタッフと顔合わせをする機会を設けたり、他部署の社員が講師となる勉強会やリモートランチ会・飲み会を開催したりするなど、在宅でもコミュニケーションをしっかりととり、生活リズムを整えることを意識しました。出社を再開する際には、会社の産業保健スタッフと連携し、あらためて感染予防策についてのセミナーを行うなど、メンバーが不安に感じないようきめ細かく対応しました」 知的障害者の可能性に限界を決めつけない  不安なままスタートしたテレワークでしたが、「メンバーは一生懸命に業務や課題に取り組み、また、時間管理なども自律的に行うことで、2カ月ぶりに出社したときには、ひとまわり大きく成長したように感じました」と平岡さんは話します。  「これは、ひとえに、メンバー自身の力だと私は感じています。私たちサポートスタッフは、メンバーの持っている力や可能性を信じ、一方的に限界を決めつけないように心がけています。サントリーでは、創業者の言葉である『やってみなはれ』の精神が大切にされており、社員が『挑戦すること』の後押しをするような文化があるのですが、それは、知的障害がある人も同じで、普段から、新しい仕事や経験にどんどんチャレンジしてもらっています。テレワークへの挑戦も、メンバーにとっては大きなチャレンジの一つでしたが、約2カ月間、無事にやり遂げたことで、自信につながる経験となりました」 年間の目標もクリア  同センターでは、その後も状況に応じて、テレワークを実施。テレワークに対応できるパソコン業務を増やすために、グループ内の各部署に働きかけ、新規業務の開拓も行ったそうです。その結果、「一時は大きく減ってしまった業務量が再び増加し、同センターへ仕事を依頼した部署への貢献度についての、その年の年間数値目標も達成することができました」と、平岡さんは教えてくれました。  「現在では、テレワーク中のすべての時間を業務にあててもらっています。テレワークは、それまで予想もしていなかったまったく新しい働き方へのチャレンジでしたが、メンバー一人ひとりの成長につながるよい機会になったと思います」 ※当機構ホームページでご覧になれます 働く広場 2021年7月号 検索 【取材先プロフィール】 サントリービジネスシステム株式会社 (東京都港区) ◆事業内容  サントリーグループ各社の人事、経理、総務などのバックオフィス業務の支援 ◆従業員数  179人(2021 年7 月時点) ◆沿革  ・2017年2月設立  ・2018年4月、障害のある社員と専属スタッフからなる部署「コラボレイティブセンター」を新設。特例子会社とは異なる枠組みでの障害者雇用に取り組む 図1 緊急事態宣言期間中に使った「計画表」 1時間目〜7時間目まで自分が何を行うか、事前に計画を立てて実行しよう! 計画表 振り返り ●月●日(●) 時間 計画 実際に行ったこと 朝礼(Teams) 1時間目 9:00〜9:50 依頼業務 PC業務 休憩時間(席を立って、ストレッチや運動、気分転換をしましょう) 2時間目 10:00〜10:50 依頼業務 PC業務 休憩時間(席を立って、ストレッチや運動、気分転換をしましょう) 3時間目 11:00〜11:50 依頼業務 PC業務 12:00 担当スタッフに業務終了連絡(メール) 12:00〜13:00 昼食・ラジオ体操 13:00 担当スタッフに業務開始連絡(メール) 4時間目 13:00〜13:50 依頼業務 PC業務 休憩時間(席を立って、ストレッチや運動、気分転換をしましょう) 5時間目 14:00〜14:50 依頼業務 PC業務 休憩時間(席を立って、ストレッチや運動、気分転換をしましょう) 6時間目 15:00〜15:50 漢字勉強(6級) 漢字勉強6級の練習書き 休憩時間(席を立って、ストレッチや運動、気分転換をしましょう) 7時間目 16:00〜16:50 タイピング練習 (タイピング) 寿司打:練習5000円コース・普通3000円コース 休憩時間(席を立って、ストレッチや運動、気分転換をしましょう) 17:00〜17:20 日報を記入し、スタッフに提出 終礼(Teams) (提供:サントリービジネスシステム株式会社) テレワークを体験したコラボレイティブセンターのメンバーに聞きました ◆Sさん(入社3年目)  最初は不安でしたが、最近はテレワークにも慣れてきました。テレワークをする前日などに、サポートスタッフとどのようなスケジュールで業務にあたるのかを相談しています。テレワークでも仕事ができるという自信がついてよかったと思っています。 ◆Yさん(入社1年目)  先輩社員がテレワークをしているのを見て、自分もやってみたいと思いました。一人で仕事をするのは少し寂しかったのですが、テレワークではパソコンで行う仕事をして、出社したときには会社でしかできない仕事ができるので、今後も両方やっていきたいです。 写真のキャプション ビデオ通話でコミュニケーションをとることが、テレワーク中の励みになったという [テレワークの様子] パソコンへの入力業務 店頭に置く応募はがきに締め切りのタグをつける業務 【P12-14】 JEED インフォメーション 〜高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)からのお知らせ〜 ご活用ください!障害者の職業訓練実践マニュアルなど  当機構が運営する国立職業リハビリテーションセンター(埼玉県)、国立吉備高原職業リハビリテーションセンター(岡山県)では、精神障害や発達障害、高次脳機能障害など、職業訓練上特別な支援を要する障害のある方(特別支援障害者)の受入れを積極的に行い、より効果的な職業訓練の実施に必要な指導技法などを、障害種別ごとにマニュアルとして取りまとめています。  このマニュアルは、当機構のホームページ(https://www.jeed.go.jp/)からダウンロードすることもできます。また、無料で配付をしていますので、お気軽に左記お問合せ先(※)へご連絡ください! NEW!! 令和2年度発行 職業訓練実践マニュアル 精神障害・発達障害者への職業訓練における導入期の訓練編V 〜導入期の訓練のカリキュラムと具体的な進め方〜 精神障害や発達障害のある訓練生が、円滑に訓練へ適応できるよう実施する、「導入期における訓練」の具体的な進め方を以下の構成でわかりやすくまとめました。 @精神障害・発達障害者への職業訓練における導入期の訓練の意義 A職業訓練実践マニュアル「精神障害・発達障害者への職業訓練における導入期の訓練編T及びU」の概要 B導入期の訓練カリキュラム C導入期の訓練での特性把握のための教材例 D訓練実施に当たっての対応法 E導入期の訓練の実施例 マニュアル本文および教材等のツールは、巻末の付属DVDや当機構ホームページにも掲載しています。上記QR コードからアクセスできます。 マニュアルの内容 導入期の訓練で使用する教材作成や、既存の教材を活用するポイントについてまとめています。 導入期の訓練の流れやスケジュール、段階ごとのテーマなどを、具体例をあげて整理しています。 こんな方におすすめ! 「どんな教材を使ったらいいの?」「困りごとへの対応方法は?」という方にもわかりやすいよう、教材や具体例を紹介しています。 ◆付属DVD◆ マニュアル巻末の付属DVDにマニュアル本文や教材等を収録しています。 ご自由にご活用ください。 職業訓練実践マニュアル 導入期の訓練編 ◆精神障害・発達障害者への職業訓練における導入期の訓練編T 〜特性に応じた対応と訓練の進め方〜(平成30年度発行) ◆精神障害・発達障害者への職業訓練における導入期の訓練編U 〜対応法の習得に向けた具体的な取り組み〜(令和元年度発行) 高次脳機能障害者編 ◆高次脳機能障害者編T〜施設内訓練〜(平成28年度発行) ◆高次脳機能障害者編U〜企業との協力による職業訓練等〜(平成29年度発行) 精神障害者編 ◆精神障害者編T〜施設内訓練〜(平成24年度発行) ◆精神障害者編U〜企業との協力による職業訓練等〜(平成25年度発行) 発達障害者編 ◆発達障害者編T 〜知的障害を伴う人の施設内訓練〜(平成22年度発行) ◆発達障害者編U 〜施設内訓練〜(平成23年度発行) ◆発達障害者編V 〜企業との協力による職業訓練等〜(平成24年度発行) 重度視覚障害者編 ◆重度視覚障害者編T〜施設内訓練〜(平成22年度発行) ◆重度視覚障害者編U〜企業との協力による職業訓練等〜(平成23年度発行)  「施設内訓練」編では、おもに訓練環境や指導体制の整備、訓練カリキュラム、訓練教材の作成方法、実践的な職業訓練の実施方法などをまとめています。  「企業との協力による職業訓練等」編では、おもに企業ニーズをふまえた職場実習や、就職活動における支援技法などをまとめています。 ☆令和3年度の職業訓練実践マニュアルは、「訓練生個々の特性に応じた訓練コースの円滑な運営〜基礎編〜」の予定です。 精神障害者等向け委託訓練参考マニュアル 精神障害や発達障害のある方への円滑な委託訓練実施のために  〜精神障害者等向け委託訓練参考マニュアル〜(平成27 年度発行)  委託訓練先機関の方、また実施を検討されている機関の方に向けて、精神障害や発達障害のある方を受け入れるための、訓練環境におけるポイント、具体的な取組み内容などについてまとめました。 予告! 障害者職業訓練推進交流プラザのご案内  効果的な障害者職業訓練の推進を図ることを目的として、毎年10月中旬〜11月上旬に障害者職業訓練に関する事例発表や指導技法の紹介をする「障害者職業訓練推進交流プラザ」を開催しています。  障害者職業能力開発校、一般の職業能力開発校、民間の障害者職業能力開発施設、障害者委託訓練受託施設、都道府県人材開発主管課の方に、幅広くご参加いただいています。 ☆詳細はホームページをご覧ください ※お問合せ先 障害者職業総合センター 職業リハビリテーション部 指導課 TEL:043-297-9030 国立職業リハビリテーションセンター 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター 訓練生募集のお知らせ 〜障害のある方々の就職に必要な職業訓練や職業指導を実施しています〜 入所日など  国立職業リハビリテーションセンター、国立吉備高原職業リハビリテーションセンターでは、年間約10回の入所日を設けています。応募締切日や手続きなどの詳細については、お気軽にお問い合わせください。 ○遠方の方については……  国立吉備高原職業リハビリテーションセンターでは、併設の宿舎が利用できます。国立職業リハビリテーションセンターでは、身体障害、高次脳機能障害のある方、難病の方は、隣接する国立障害者リハビリテーションセンターの宿舎を利用することができます。 お問合せ 国立職業リハビリテーションセンター  埼玉県所沢市並木4-2  職業評価課04-2995-1201  http://www.nvrcd.ac.jp/ 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター  岡山県加賀郡吉備中央町吉川7520  職業評価課0866-56-9001  https://www.kibireha.jeed.go.jp/ 募集訓練コース 国立職業リハビリテーションセンター 訓練系 訓練コース メカトロ系 機械CADコース 電子技術・CADコース FAシステムコース 組立・検査・物品管理コース 建築系 建築CADコース ビジネス情報系 DTPコース Webコース ソフトウェア開発コース システム活用コース 視覚障害者情報アクセスコース 会計ビジネスコース OAビジネスコース 職域開発系 物流・組立ワークコース オフィスワークコース 販売・物流ワークコース ホテル・アメニティワークコース 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター 訓練系 訓練コース メカトロ系 機械CADコース 電気・電子技術・CADコース 組立・検査コース 資材管理コース ビジネス情報系 OAビジネスコース 会計ビジネスコース システム設計・管理コース ITビジネスコース 職域開発系 事務・販売・物流ワークコース 厨房・生活支援サービスワークコース オフィスワークコース 物流・組立ワークコース サービスワークコース ○訓練の期間は……  「システム設計・管理コース」、「ITビジネスコース」(ともに国立吉備高原職業リハビリテーションセンター)は2年間、そのほかの訓練コースは1年間の訓練です。 ○対象となる方は……  「ビジネス情報系」の「視覚障害者情報アクセスコース」(国立職業リハビリテーションセンター)、「IT ビジネスコース」(国立吉備高原職業リハビリテーションセンター)は、視覚障害のある方を対象とし、「職域開発系」の各コースは、高次脳機能障害のある方、精神障害のある方、発達障害のある方、知的障害のある方を対象としています。そのほかの訓練コースは、知的障害のある方を除くすべての方が対象です。 事業主のみなさまへ  両センターでは、障害のある方の採用をお考えの事業主と連携し、個々の事業主の方のニーズや訓練生の障害特性などに応じた、特注型のメニューによる職業訓練を行っておりますのでご活用ください。ご利用いただく事業主の方には次のような支援も行っております。 ■障害特性に応じた特別な機器・設備の配備や作業遂行に関する支援方法のアドバイスなど、円滑な受入れに関する支援 ■雇入れ後の職場定着に向けた技術面でのフォローアップとキャリアプランづくりのための支援  詳細については…  https://www.jeed.go.jp/disability/person/person07.html 【P15-18】 令和3年度 障害者雇用支援月間における絵画・写真コンテスト入賞作品 「絵画コンテスト 働くすがた〜今そして未来〜」 「写真コンテスト 職場で輝く障害者〜今その瞬間〜」  高齢・障害・求職者雇用支援機構では、広く障害者雇用への理解と関心を深めていただくため、9月の「障害者雇用支援月間」にあわせてポスターを制作しています。今年度も、障害のある方々などからポスターの原画となる絵画と写真を募集しました。  募集は絵画コンテスト3部門と写真コンテストに分けて行い、全国から寄せられた1、898点(絵画1、620点、写真278点)の応募作品のなかから、審査の結果、ポスターに採用する厚生労働大臣賞4点のほか当機構理事長賞4点、同理事長奨励賞72点がそれぞれ選ばれました。  厚生労働大臣賞を受賞した4作品をもとに作成したポスターは、障害者雇用支援月間中、全国のハローワークなどに掲示されます。 厚生労働大臣賞 ◆絵画コンテスト 小学校の部◆  「わたしの作ったケーキ」  福井 琴音(ふくい ことね 愛知県) ◆絵画コンテスト 高校・一般の部◆  「助け合い」  古村 瑠菜(こむら るな 愛知県) ◆絵画コンテスト 中学校の部◆  「ひとりで作る」  後藤 志生(ごとう しお 福岡県) ◆写真コンテスト◆  「糸通し」  米澤 優実(よねざわ ゆうみ 茨城県) 高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長賞 ◆絵画コンテスト 小学校の部◆  「ペットショップの店員になりたいな」  吉野 優美(よしの ゆうみ 鹿児島県) ◆絵画コンテスト 中学校の部◆  「小さな私の大きな仕事 ネイリスト」  又吉 千聖(またよし ちさと 沖縄県) ◆絵画コンテスト 高校・一般の部◆  「想いを花束に代えて」  大村 綾子(おおむら あやこ 愛知県) ◆写真コンテスト◆  「おひなさま飾りと揃いのエプロンで」  西村 みずえ(にしむら みずえ 高知県) 今年度も力作がそろいました シンボルキャラクター ピクチャノサウルス 高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長奨励賞 絵画コンテスト 小学校の部 「みんな使いやすい本をとりあつかう図書館司書さん」 若林 纏(わかばやし まとい 東京都) 「カフェではたらきたい」 小濱 心緒 (こはま みお 東京都) 「ドクターヘリで助けたい」 成瀬 千陽 (なるせ ちはる 富山県) 「うどん屋さんになりたいな」 村井 暖基(むらい はるき 香川県) 「美容師」 今野 琳(こんの りん 福岡県) 「車のしゅう理をする人」 坂元 洸翔 (さかもと ひろと 鹿児島県) 「かっこいいけいさつかん」 向窪 大翔 (むかいくぼ やまと 鹿児島県) 「むしはかせになりたいな」 吉川 恵祐 (よしかわ けいすけ 鹿児島県) 「おいしいおすしをにぎりましょう」 川ア 一真(かわさき かずま 鹿児島県 「優しい獣医さん」 徳重 瑠比 (とくしげ るい 鹿児島県) 絵画コンテスト 中学校の部 「絵を描く人」 谷 菜々美 (たに ななみ 岐阜県) 「画家」 三輪 正明(みわ まさあき 岐阜県) 「ゆめを叶えたびようし」 太田 花菜(おおた はるな 愛知県) 「警察官」 北川 陽音(きたがわ はると 愛知県) 「中華、始めました。」 米津 伸之輔 (よねづ しんのすけ 愛知県) 「美しい服を作る自分」 杉浦 あすか (すぎうら あすか 愛知県) 「バスのうんてんしゅ」 小林 陽太(こばやし ひなた 香川県) 「笑顔いっぱい!パン屋さん」 古川 和 (ふるかわ やまと 香川県) 絵画コンテスト 中学校の部 「アクセサリーをつくるわたし」 小西 由莉(こにし ゆり 福岡県) 「私はファッションデザイナー」 坂元 優姫 (さかもと ゆうき 鹿児島県) 絵画コンテスト 高校・一般の部 「丼洗い」 糸井 優真(いとい ゆうま 秋田県) 「私の支え」 金澤 里美(かなざわ さとみ 福島県) 「工房〜お菓子作りしている私たち」 三浦 弓枝(みうら ゆみえ 福島県) 「おいしいパン屋さん」 野口 隼人(のぐち はやと 茨城県) 「線切り部分を真剣に見るその瞳」 中井 美之 (なかい みゆき 群馬県) 「はーいこちら うらべ です。これから、テレワーク始めます。」 占部 昌広(うらべ まさひろ 埼玉県) 「支えてくれる人々」 千葉 涼子 (ちば りょうこ 東京都) 「美しく働いている姿」 佐々木 亮介(ささき りょうすけ 東京都) 「宣言下の会議、力強い発表」 岩本 慎司 (いわもと しんじ 東京都) 「ごちゃごちゃ〜ただ、それだけ〜」 古賀 望 (こが のぞみ 東京都) 「ともに働く」 小島 幸吉(こじま こうきち 神奈川県) 「清掃員の姿」 折坂 優輝(おりさか ゆうき 神奈川県) 「よく買い物に行くスーパーで」 長谷川 莉子 (はせがわ りこ 新潟県) 「毎日運ぶよ!両手一杯の紙おむつ〜良い介護職員に成りたいな〜」 伊藤 竜之介(いとう りゅうのすけ 新潟県 「運搬の仕事」 山口 祐典 (やまぐち ゆうすけ 石川県) 「コーヒーの店員さんの様子」 間島 基禄(ましま きら 福井県) 絵画コンテスト 高校・一般の部 「診療所の優しい看護師さん」 鎌田 希和子(かまた きわこ 山梨県) 「視線を合わせて」 中村 佑真 (なかむら ゆうま 長野県) 「かわいた大地に作物を育てるぞ」 加藤 利和(かとう としかず 岐阜県) 「布に集中する僕」 夏井 康汰(なつい こうた 静岡県) 「お菓子の匠 あめ細工師」 大村 麻子 (おおむら あさこ 愛知県) 「自動車部品を作る作業者」 堀江 裕貴(ほりえ ゆうき 愛知県) 「パスタを茹でるシェフ」 岡本 邦裕(おかもと くにひろ 愛知県) 「感謝 −彩り−」 中瀬 友之(なかせ ともゆき 三重県) 「一点集中(配電盤の前にて)」 朝鵜 弥寿子 (あさう やすこ 大阪府) 「イラストレーター・画像の中で夢を見せる仕事」 小林 弘典(こばやし ひろのり 奈良県) 「みんなで積み込み作業」 澁田 大輔 (しぶた だいすけ 和歌山県) 「キレイっていいな」 嶋田 麻希(しまだ まき 島根県) 「みんなでレッツクッキング!」 赤江 由衣 (あかえ ゆい 島根県) 「自動車修理工」 大利 心澄(おおり きよと 愛媛県) 「ハウステンボス号の運転手」 永井 昇 (ながい のぼる 福岡県) 「開幕!! 東京2020 輝け 東京オリパラ魂を込めた砲丸造りガンバレ ニッポンアスリート」 松尾 英昭(まつお ひであき 熊本県) 「押し花の仕分け作業」 椙山 歩 (すぎやま あゆみ 大分県) 「いちごタルトをもう一度」 宮川 哲夫(みやがわ てつお 鹿児島県) 「闘牛士」 佐渡山 安一 (さどやま やすいち 沖縄県) 「足元注意、清掃中です」 玻名城 政樹 (はなしろ まさき 沖縄県) 入賞作品展示会のお知らせ 全国5カ所で入賞作品展示会を開催します。 【東京】9/13(月)〜9/17(金) 丸の内MY PLAZA 【大阪】9/27(月)〜9/29(水) 大阪市役所 【福岡】10/5(火)〜10/8(金) 福岡市役所 【札幌】10/28(木)〜10/30(土) 札幌駅前通地下広場 【愛知】11/18(木)〜11/20(土) ナディアパーク 詳しくは当機構ホームページをご覧ください。 【P19】 エッセイ 配慮は人のためならず 【第2回】 多能工化とメンタルヘルス 株式会社Ds's(ディーズ) メンタルヘルス・ラボ 代表取締役 (精神科医・産業医) 原 雄二郎 原 雄二郎(はら ゆうじろう)  精神保健指定医、日本精神神経学会専門医、日本医師会認定医。  金沢大学卒業後、東京女子医科大学病院、東京都立松沢病院、東京都立広尾病院勤務を経て、東京大学大学院に入学。卒業後、同大学院医学系研究科精神保健学分野客員研究員。同教室と連携し、鄭理香とともに「株式会社Ds’sメンタルヘルス・ラボ」を設立、代表に就任し、現在に至る。  臨床診療とともに、産業医・顧問医や研修講師として、職場のメンタルヘルス対策の支援を行っている。 多能工化の広がり  「多能工化」という言葉が登場してから久しい。おもに製造業において、従業員を一人で複数の業務や工程をこなすことができるように育成する仕組みを指すことが始まりだったと記憶している。  いまでは、製造現場以外にあっても、マルチスキル化という形で、一人の社員がさまざまな業務を行えるように育成する、あるいは、さまざまな業務が行えることが期待されるという時代になってきているようだ。かぎられた人員でかぎられた時間内に多くの業務を効率よくこなさなければならないという現状がある以上、特定の仕事しかできない「職人気質」の従業員は、企業側からすると、使い勝手の悪い社員なのかもしれない。 多能工化の陰に不調者あり  一方で、精神障害や精神疾患がある人のなかには、新しい環境や仕事が極度に苦手な人が少なくない。典型的なエピソードを紹介しよう。 ◆ASD(自閉スペクトラム症)の傾向がある50代の男性のケース  これまで入社以来、30年以上も現場勤務であったが、人事部の方針により、事務中心の部署に配置転換となった後にうつ状態で休職。その後、回復をして復職しても、すぐに再発をくり返してしまう。この過程でASDの診断がなされた。結果、元の部署に再配属されたが、その後は従前のように戦力として勤務ができている。  ほかにも、静かな環境で、目に見える形では問題なく勤務ができていた妄想性障害のある人が、人が多いフロアに異動になった途端に症状が悪化し、フロアの同僚に対して被害妄想を抱いてしまったケース、長年のうつ病を抱えた精神障害のある人が、極度のプレッシャーを感じる部署へ異動になった後症状が悪化し、療養しても改善せず、最終的に退職を余儀なくされたケースなどなど……、このような例は枚挙に暇がない。  産業医に異動について打診があれば、意見を具申することができるが、世の多くの企業では、産業医に異動について相談をするというケースはそれほど多くはないように思う。そうすると、障害のある人であっても、そのときのコンディションによらず、問答無用に異動対象になるという事態が生まれる。そうして不調になり、事後になって産業医がかかわるということになる。  こうした事態は予防医学の立場からは避けてほしいというのが本音だ。ただ、一方で、障害があるからといって、別の部署で花開く可能性をすべて摘んでしまってよいということにはもちろんならない。だからこそ、普段から定期的に面談を実施し、その人の特性や状態をよく知る産業医と人員配置の担当者が連携を密にし、その人の人生を一緒に考えていくことが必要なのではないだろうか。  たしかに手間暇がかかるかもしれないが、ひとたび不調になってしまった事後の対応よりはずっと手間が少ないはずであるし、何より不調を未然に防ぐことができるのである。 スペシャリストにも道を!  最後に、人事担当者のみなさんにお願いしたい。ぜひ、社内に「スペシャリストの道」を、いまよりも多く残しておいてほしい。ある業務であれば大いに戦力になるが、別の部署、業務では戦力にならない、あるいは、不調になるという人たちの居場所を残しておいていただきたい。  ついでに、これは声を大にしていいたいのだが、産業医のパートナーとなる人事担当者のみなさん。数年かけてようやく“阿吽(あうん)の呼吸”で対応ができるようになったころに転勤となるのは、本当に、本当に残念! 【P20-25】 編集委員が行く 多様な雇用形態、多様な雇用の取組み 東急不動産株式会社、東急リゾート株式会社、東急リゾーツ&ステイ株式会社、株式会社東急スポーツオアシス、株式会社東急イーライフデザイン、ウィズダイバーシティ有限責任事業組合(東京都) 株式会社FVP代表取締役 大塚由紀子 取材先データ 東急不動産株式会社 ウェルネス事業ユニット事業戦略部 (東急不動産株式会社、東急リゾート株式会社、東急リゾーツ&ステイ株式会社、株式会社東急スポーツオアシス、株式会社東急イーライフデザイン) 〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1-10-8 渋谷道玄坂東急ビル ・チャレンジプロジェクトでの障害者雇用人数は8人(精神、発達障害者) ウィズダイバーシティ有限責任事業組合 〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷3-54-15 ベルズ原宿ビル3F ・障害者雇用人数は45人(身体、知的、精神、発達障害者) 編集委員から  特例子会社を持たないグループ企業や中小企業などで、障害者雇用に悩む企業は少なくない。仕事の切り出し、雇用管理における知見、人的資源にもかぎりがあることなどがその要因である。今回は、そういった状況に対応したユニークな取組みを2事例ご紹介する。 Keyword:グループ企業、業務改善、ハローワーク、事業協同組合等算定特例、有限責任事業組合(LLP) POINT 1 所管会社各社の障害者雇用の推進と業務改善プロジェクトの出会い 2 所管会社が共同で取り組む障害者雇用「チャレンジプロジェクト」を発足 3 中小企業が共同して障害者雇用に取り組む「有限責任事業組合(LLP)」 所管会社の障害者雇用推進が課題だった東急不動産ウェルネス事業ユニット  「所管会社すべてが法定雇用率を達成することは絶対条件だが」と前置きしたうえで、東急不動産株式会社ウェルネス事業ユニット事業戦略部統括部長の越田(こしだ)隆(ゆたか)さんはこういった。  「従来型の障害者雇用には、限界を感じていた」  事業戦略部のミッションの一つは、同ユニット所管会社の事業課題の解決を図ることである。その課題の一つに所管会社各社の障害者雇用の推進があったのだ。  「従来型の障害者雇用」とは、障害者を各部門に配属していくスタイルのことである。以前は「障害特性もわからず、配慮も十分ではなかった」ため定着率も上がらず、活躍のステージまで持っていくのもむずかしかった。「うまくいかなかった経験」がさらに災いして、障害者の受入れに現場は消極的にならざるを得ない状況も。増員しようにも「仕事がない」、「うちの部署ではむずかしい」状態に陥り、「これ以上の採用を進めるのは限界」というコメントになった。 所管会社共同で進めていた「業務改善プロジェクト」と障害者雇用が出会う  実は、以前から事業戦略部とウェルネス事業ユニットの所管会社が共同のプロジェクトで、バックオフィス業務の標準化、効率化に取り組んでいた。そこには効率化や標準化を必要とするさまざまな業務が「集まって」きていたのだ。越田さんは、「この仕事の一部を障害のある社員の仕事としてはどうか」と考えた。  越田さんは早速、グループ企業である東急リバブル株式会社の障害者雇用の現場を見学に行った。そこでは60人を超える精神障害や発達障害のある社員たちが活き活きと仕事に取り組み、社内のさまざまな部門の業務を請け負い、自分たちで管理をしながらきちんと成果を生み出していた。これをみて、「業務改善プロジェクトと障害者雇用を一気通貫で進められる!」、越田さんはそう確信した。 共同で取り組む新しい障害者雇用「チャレンジプロジェクト」が発足  これを機に、「チャレンジプロジェクト」と名づけられた新しい形の障害者雇用プロジェクトが立ち上がった。「従来型」と異なるのは、「障害のある社員が力を発揮する仕事を所管会社全体から切り出すこと」(業務改善プロジェクトの発想と同じ)、「働きやすい環境を用意すること」、「業務プロセスの見直しや標準化を同時並行で進め、戦力として期待していくこと」である。2021(令和3)年6月現在、ウェルネス事業ユニット所管会社5社のうち、「東急リゾート株式会社」、「東急リゾーツ&ステイ株式会社」、「株式会社東急スポーツオアシス」、「株式会社東急イーライフデザイン」の4社がプロジェクトに参画している。 進め方についてハローワークに相談  「障害者雇用のことは、まったく素人だったから」と、越田さんはまずハローワークに相談に行った。2019年12月のことである。対応したハローワーク渋谷統括職業指導官(当時)の中島(なかじま)浩志(ひろし)さんに、「業務改善プロジェクトを活用しながら、障害のある方が戦力として活躍できる職場環境、体制づくりを、ウェルネス事業ユニットの所管会社共同のプロジェクトとして進めたい」と説明した。中島さんからは、障害者雇用を進めるうえでの受入れ側の心構えや、複数企業が共同で進める際の雇用管理上の留意点などについての助言とともに、「ぜひ実現させてほしい。できることは全力で協力する」という励ましの言葉が返ってきた。「チャレンジプロジェクト」がスタートした記念すべき瞬間である。  瞬く間に東急不動産株式会社の谷塚(やつか)哲治(てつじ)さん、小川(おがわ)靖志(やすし)さん、筒井(つつい)はるみさんの3人が、チャレンジプロジェクトの「サポートスタッフ」として任命された。  「正直『まいったな』と思った。障害のある社員と一緒に仕事した経験なんてなかったので……。自分にできるだろうかと不安にもなった。でもいまは、働いてみたら『大丈夫だった』と心から感じているので、取り越し苦労でしたね」と、小川さんは笑いながら当時をふり返る。  同プロジェクトで雇用された障害のあるスタッフ「チャレンジスタッフ」の1期生3人が入社したのは、2020年4月。新型コロナウイルス感染症の感染拡大による緊急事態宣言の影響で、初出社は2カ月後の6月となってしまった。  「給与は100%保証されるにしても、一日も出勤せずに自宅待機になってしまった3人のことが心配だった」と谷塚さん。「元気に出社してくれたあの日のことを思うと、いまでも感慨深い」と小川さん。  チャレンジスタッフの1期生たちも「出勤できたときは本当にうれしかった」、「いよいよだと思った」と当時のことをふり返る。 コロナ禍で進めたことが大きな成果を結んだ1年  チャレンジスタッフの仕事が各社に与えたインパクトは大きい。担当のはっきりしていない仕事や、納期があいまいな仕事などがどんどん片づいていくので、一般社員の時間外労働が減った。マニュアルをつくる必要性から、業務手順を確認したり見直したりすることで、業務効率が向上し、標準化が図られていく。  当初2種類だった仕事は、1年後には28種類まで増えた。経費精算伝票や請求書など経理帳票類のチェック、営業報告書のチェック、さまざまな申込書類や契約書類のPDF化、伝票整理、各種照合作業、ファイリングなどである。「この仕事も」、「あの仕事も」と依頼される仕事が、いまもどんどん増えている。  なによりチャレンジスタッフの仕事は正確で納期厳守であるため、依頼元から大いに評価されている。「半年が経った12月ごろからものすごく仕事が増えてきた。最初は遠巻きにみていた社員たちも彼らに対する評価が変わったのだと思う」と谷塚さん。一般社員の出社率の抑制にも大いに貢献している。「自分たちにテレワークは無理」といっていた社員たちが、業務の標準化が進むことにより、テレワークに取り組めているのだ。  順風満帆に思えるがアクシデントもあった。スタート段階で予定していた経理関連の業務のなかには、コロナの影響で現場が休業してしまい、仕事が用意できなくなってしまったものがあった。せっかく入社してくれたチャレンジスタッフたちの手を空けるわけにはいかない。「少々納期がタイトでも、量が少なくても、とにかくやらせてほしいといって、新しい仕事を受けるようにした」と小川さん。  また、サポートスタッフの一人が体調を崩し、1カ月あまり不在となってしまったこともあった。しかし、すべてのチャレンジスタッフの体調や業務指示の情報は、クラウドの業務日報でサポートスタッフ全員がリアルタイムに共有していたため、不在期間も同じように業務指示を行えたのは不幸中の幸いだった。  2020年10月からは、チャレンジスタッフたちもテレワークと通勤を併用するようになった。テレワークは想定していなかったが、担当業務を、出勤して行う工程とテレワークで行う工程に分けることで取り組めた。そして2021年春に、チャレンジスタッフはさらに5人増えて計8人の所帯になっている。 働きやすい、やりがいを感じる、もっと成長したい、もっと役に立ちたい  2021年4月入社の2期生に話を聞いた。  「気持ちよく働ける、とても働きやすい」(Aさん)、「自分の障害を理解してくれる」(Bさん)、「スピードより正確性といってもらえる。スピード追求は苦手なのでありがたい」(Cさん)、「お昼のお弁当を買う店の選択肢がいっぱいあって飽きない」(Dさん)。いまの職場に満足している様子がうかがえる。  1期生からも話を聞いた。入社2年目に入って2期生への指導やサポートも仕事に加わった。  「パソコン操作が得意じゃなくて不安だったけど、1年間でテレワークまでできた。いまは後輩に教えている。できるようになったことがたくさんあってうれしい」と高瀬(たかせ)哲(さとる)さん(49歳)。  「後輩に追い抜かれるんじゃないかと心配だったけど、教えることで後輩がうまく仕事ができるようになれば、それも貢献につながるんだと感じる」と中田(なかだ)雄(たけし)さん(46歳)。  「後輩に教える仕事が増えた。むずかしいけど達成感もある。活き活き仕事できて幸せを感じる」と上野(うえの)要(かなめ)さん(24歳)。  異口同音に、やりがいを感じていることがうかがえる。 障害者雇用の夢が大きく広がる  チャレンジプロジェクトの今後について聞くと、「目ざすのはあくまでも戦力としての障害者雇用。いまのチャレンジスタッフたちがもっと活躍してくれるように、さまざまな工夫をしたい」と小川さん。「仕事の姿勢など彼らから学ぶことも多い。一緒に成長したい」と筒井さん。「コロナが収束した後のことを考える。将来的には30人くらいの雇用を目ざしたい」と谷塚さん。そして、「ウェルネス事業ユニットとしてのこのプロジェクトを、ほかのユニットやグループ企業にも提案していきたい」と越田さんは話してくれた。 中小企業が共同して障害者雇用に取り組むウィズダイバーシティ有限責任事業組合  「事業協同組合等算定特例」という制度をご存じだろうか。  中小企業が事業協同組合等を活用して協同事業を行い、一定の要件を満たすものとして厚生労働大臣の認定を受けた場合に、事業協同組合等とその組合員である中小企業(特定事業主)で実雇用率を通算することが可能となる制度、言い換えると中小企業版の特例子会社制度である。設立や参画にはさまざまな条件が必要で、全国でも算定特例を受けている団体は8カ所にとどまっている。そのなかの一つ、「ウィズダイバーシティ有限責任事業組合」(以下、「ウィズD」)は、おもに同業種の事業主で設立する「事業協同組合」ではなく、異業種の事業主の参画が期待できる「LLP(有限責任事業組合)」であり、国家戦略特区の認定を受けて発足した日本初の組織である。  ウィズDの仕組みについて紹介する。  東京圏に所在する中小企業であって、障害者の雇用状況、共同事業で行う業務の発注額など一定の要件を満たす場合は、ウィズDの特定事業主と認められる。特定事業主となれば、ウィズDとほかの特定事業主が雇用している障害者を自社の雇用とみなすことができる。  一方、共同事業に参画する企業は、ウィズDに優先的に仕事を発注することで、新たな障害者の雇用を創出することができる。また、その雇用における定着や活躍については、ウィズDの特定事業主であり、就労継続支援A型事業で45人もの障害者を雇用する「一般社団法人ローランズプラス」の持つ、障害者の雇用管理のノウハウによってサポートされるという仕組みだ。  仕事は、ホームページ作成事業、フラワーギフト、子ども食堂、グリーンレンタル・メンテナンス事業、ドライフルーツギフト事業、再資源化事業など多岐にわたる。  現在、特定事業主として認可を受けている企業は5社、参画企業は50社にのぼる。  「多様な仕事を準備できれば、もっともっと多くの障害のある方が活躍できます」と、一般社団法人ローランズプラス代表理事の福寿(ふくじゅ)満希(みづき)さん。  特定事業主の1社である「株式会社東京ディエスジャパン」業務部長の小野(おの)晴彦(はるひこ)さんにも話を聞いた。  「当社はディエスジャパングループの東京の会社として、オフィス用品の販売を業とする企業です。ウィズDに、ホームページ作成や生花の発注を積極的に行っています」  そのほか、営業社員が自社の営業資料の中にウィズDの商品カタログも携帯し客先で提案しているという。「ウィズDが大きく成長すればもっとたくさんの障害のある方の雇用が創出できます。ウィズDを多くの人に知っていただくことも私たちのミッションです」と小野さんは力強く話す。  福寿さんは「ローランズには障害者の雇用管理のノウハウがありますが、営業力には限界がありました。参画企業の経営資源を集約、交換してパートナーシップで障害者の雇用に共同して取り組めば、ローランズは雇用の維持や新規採用に集中することができます」という。そして、現在50社ほどの参画企業を、500社まで広げたいと意気込む。  現在、ウィズDは全国の企業が参画できるように、事業協同組合による算定特例団体の設立にも取り組んでいるとのことである。今後の活躍を見守りたい。 写真のキャプション 東急不動産株式会社 東急不動産株式会社ウェルネス事業ユニット事業戦略部統括部長の越田隆さん サポートスタッフの小川靖志さん サポートスタッフの谷塚哲治さん ハローワーク渋谷統括職業指導官(当時)の中島浩志さん サポートスタッフの筒井はるみさん 二期生のみなさんにお話をうかがう大塚委員(奥) 書類の電子化作業にあたる高瀬さん チャレンジスタッフ1期生の高瀬哲さん 来客者向けの飲料ボトルを補充する中田さん チャレンジスタッフ1期生の中田雄さん フリーアドレスのオフィスで書類の分類作業を行う上野さん チャレンジスタッフ1期生の上野要さん ウィズダイバーシティ有限責任事業組合と一般社団法人ローランズプラスが入居するビル。たくさんの緑に囲まれている ホームページの作成作業 ドライフルーツギフトの袋詰作業 株式会社東京ディエスジャパン業務部長で、ウィズダイバーシティ有限責任事業組合職務執行者の小野晴彦さん 一般社団法人ローランズプラス代表理事で、ウィズダイバーシティ有限責任事業組合職務執行者の福寿満希さん 【P26-27】 省庁だより 特別支援教育における就労支援の取組み 文部科学省 初等中等教育局 特別支援教育課  改正障害者雇用促進法などの法的整備を背景に障害者の社会参加が進むなか、特別支援教育の教育現場でも、障害のある生徒の就職や職場定着を促進するための教育の充実に力が注がれています。ここでは、特別支援教育における就労支援の取組みの現状について紹介します。 1 就職する特別支援学校卒業生が増加  特別支援学校の卒業生の進路として、企業に就職する生徒が着実に増加してきています(図1)。  これは、障害者を積極的に採用しようとする企業が増えていることの表れであり、最近はそうした雇用ニーズに呼応して、企業就労も目ざした特別支援学校高等部を設ける学校が見られるようになりました。 2 キャリア教育・職業教育の推進  文部科学省においても、障害者の社会参加が進み続ける現状をふまえ、障害者の就労支援に向けたキャリア教育・職業教育の充実に取り組んでいます。  平成31年2月に告示された特別支援学校高等部学習指導要領では、キャリア教育・職業教育の充実を目ざして、次の点が示されています。 キャリア教育及び職業教育に関して配慮すべき事項 ●学校においては、キャリア教育及び職業教育を推進するために、生徒の障害の状態や特性及び心身の発達の段階等、学校や地域の実態等を考慮し、地域及び産業界や労働等の業務を行う関係機関との連携を図り、産業現場等における長期間の実習を取り入れるなどの就業体験活動の機会を積極的に設ける。 ●地域や産業界や労働等の業務を行う関係機関の人々の協力を積極的に得るよう配慮する。 キャリア教育の充実 ●生徒が、学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら、社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力を身に付けていくことができるよう、特別活動を要としつつ各教科・科目等又は各教科等の特質に応じて、キャリア教育の充実を図る。 ●その中で、生徒が自己の在り方生き方を考え主体的に進路を選択することができるよう、学校の教育活動全体を通じ、組織的かつ計画的な進路指導を行う。その際、家庭及び地域や福祉、労働等の業務を行う関係機関との連携を十分に図る。  また、テレワーク、在宅勤務など、働き方も大きく変化しており、障害のある生徒等に対して新しい働き方をふまえた指導や支援が求められています。このため、文部科学省では、令和3年度より、特別支援学校高等部の職業教育におけるICTを活用した指導計画、指導方法等の開発を行い効果的な指導の在り方について研究することとしています。 3 教育・労働などの関連機関・部局の連携  障害者の就労支援をさらに推し進めていくためにいま、教育・労働などの関連機関・部局の連携強化が強く求められています。  厚生労働省においては、障害者の雇用に関する労働関係機関と教育、福祉、医療など関係機関の連携について、都道府県労働局や公共職業安定所などにおいて特別支援学校などとの連携を一層強化するよう、厚生労働省職業安定局長より通達が出されました(平成25年3月29日に通達、平成30年4月2日改正)。これを受けて、文部科学省では、教育委員会などに対し、本件通達について、及び労働関係機関との一層の連携のもとに、障害のある生徒の就労に向けた支援の充実を図るよう周知しました。 4 共生社会の実現に向けた生涯学習の推進  障害の有無にかかわらず共に学び、生きる共生社会の実現とともに、障害者が生涯にわたり自らの可能性を追求でき、地域の一員として豊かな人生を送ることができる環境を整えていくことが求められています。  文部科学省では、障害者が生涯を通じて教育、文化、スポーツなどのさまざまな機会に親しむことができるよう、次のような事業を実施しています。 ●学校卒業後における障害者の学びの支援に関する実践研究事業 ・都道府県を中心とした地域コンソーシアム形成による持続可能な生涯学習支援モデルの構築や、地方公共団体と民間団体等が連携して障害者の生涯学習機会の拡大促進を目ざす取組を実施 ・生涯学習の担い手の育成や学習環境の実質的な整備につなげるための研究成果発信・実践交流等を行うブロック別コンファレンスを実施 ●特別支援学校等における障害者スポーツの充実 ・特別支援学校の児童生徒等が参加するスポーツ・文化・教育の全国的な祭典の開催 ・特別支援学校等を活用した地域における障害者スポーツの拠点づくり等を実施 ●障害者の文化芸術活動の充実 ・生徒による作品の展示や実演芸術の発表の場の提供 ・生徒たちに対する文化芸術の鑑賞・体験機会の提供 ・障害のある芸術家による文化芸術の鑑賞・体験機会の提供 ●障害のある学生の修学・就職支援促進事業 ・高等教育における障害学生支援の充実を図るため、先進的な取組や多くの知見を持つ大学等がプラットフォームを形成し、他の大学等がプラットフォームを活用する「障害のある学生の修学・就職支援促進事業」を実施 ※本誌では通常西暦で表記していますが、この記事では元号で表記しています 図1 特別支援学校高等部(本科)卒業後の状況 令和2年3月卒業者 区分 計 卒業者 22,515人 進学者 375人 (1.7%) 教育訓練機関等 339人 (1.5%) 就職者等 7,204人 (32.0%) 社会福祉施設等入所・通所者 13,662人 (60.7%) その他 935人 (4.2%) (令和2年度学校基本調査より) 社会福祉施設等入所・通所者 (平成19)57.8%→(令和2)60.7%に増加 就職者(等) (平成19)23.1%→(令和2)32.0%に増加 進学者・教育訓練機関等 (平成19)7.0%→(令和2)3.2%に減少 その他(在宅等) (平成19)12.1%→(令和2)4.2%に減少 (各年3月時点) ※「就職者等」について、令和2年度の学校基本調査で就職状況の区分が細かく分類されたが、令和2年度においては「就職者等」の数を、平成31年度以前は「就職者」の数を学校基本調査から抽出することとした。 【P28-29】 研究開発レポート 発達障害者のワークシステム・サポートプログラム リラクゼーション技能トレーニングの改良 障害者職業総合センター職業センター  障害者職業総合センター職業センターでは、発達障害のある方を対象とした「ワークシステム・サポートプログラム」を実施することにより、発達障害の特性に応じた的確な支援を行うための技法開発・改良を行っています。平成25年には、職場におけるストレス対処スキルの向上を目ざして、自らのストレス・疲労の状態を把握し、時々の状態に応じたリラクゼーション法を実践するトレーニングについて、支援マニュアル10「発達障害者のためのリラクゼーション技能トレーニング  ストレス・疲労のセルフモニタリングと対処方法」にとりまとめました。その後当該技法が、地域障害者職業センターをはじめとする障害者就労支援機関で活用されるようになるなかで、「セルフモニタリングがうまく機能しないためにトレーニング効果が出にくい方がいる」という声や「認知的なアプローチが必要な方にも対応できるような改良を希望する」という声を多数いただくことになりました。  そこで、セルフモニタリングを強化し、従来のリラクゼーション技能トレーニングの効果をより高める三つの新規プログラムを開発し、2020(令和2)年度末に実践報告書36「リラクゼーション技能トレーニングの改良」としてとりまとめました。以下にその概要について紹介します。 【技法開発・改良の視点】  改良したリラクゼーション技能トレーニングは、感覚、運動、認知(思考・感情)の三つのプログラムで構成されています。身体感覚、思考、感情に関するセルフモニタリングの強化を図ることでストレス・疲労への気づきを高め、ストレス・疲労に関する対処法の習得・実践をうながします(図1)。  このトレーニングにおいてセルフモニタリングは、ストレス・疲労への気づきや、リラクゼーションスキルの習得・実践を支える重要な役割をになっています。例えば、身体感覚のモニタリングでは、呼吸法の練習を通じて、浅い呼吸と深い呼吸の違いを体感します。受講者は「浅い呼吸の時はお腹が膨らまなかったが、深い呼吸をするとお腹が膨らむ」、「ゆっくり息を吐くときに気持ちが落ちつく」、「心臓のドキドキが和らぐ」などを、感じ取ることができます。そのタイミングで支援者が日常的に呼吸に意識を向けることをうながすと、受講者は、自らの呼吸をモニタリングすることとなり、ストレスと呼吸の関係を発見するきっかけを得ます。あるいは支援者のフィードバックで気づく場合もあります。この体験から、浅い呼吸をストレスサインとしてモニタリングして、浅い呼吸に気づいたら、呼吸法を実践することが可能になります。  つまり、呼吸に関するセルフモニタリングが強化されると、ストレス・疲労に気づきやすくなるのです。 【三つの新規プログラムの概要】 ア 感覚プログラム  感覚プログラムは、三つのステップで構成されます。@まず個別面談において、感覚特性に関するチェックシートに回答してもらいます。その後、報告書に付属しているCDに収録されている感覚特性見える化シート(図2)を用いて不快や苦手さなどの感覚をグラフ化し、受講者と共有します。A共有した結果をもとに特性対処のヒント集(図3)を参考にして感覚の不快さを除去・緩和するための対処方法や対処ツール、リラックス効果のあるツールやリラックスできる環境を検討します。B最後に、プログラム内で効果を検証します。 イ 運動プログラム  運動プロブラムでは、疲れにくい姿勢(よい姿勢)づくりを目ざしながら、実際に体を動かし、筋肉の緊張や弛緩、体の傾き、疲労と姿勢との関係などの気づきをうながします。このプログラムでは、姿勢をよくする体操・運動(図4)を毎日実践することを推奨しています。日常的に身体を動かし、身体感覚をモニタリングすることで、身体的なストレス・疲労への気づきにつなげます。 ウ 認知プログラム  認知プログラムでは、思考や感情と適切な距離をとることを学びます。例えば、身体感覚に注意集中する呼吸を行っているとき、思考や感情など呼吸以外の感覚に注意がそれたら、注意がそれた対象にラベリングを行い(例:鳥の鳴き声に注意がそれたときは心の中で「音」とつぶやく)、再び注意を呼吸にともなう感覚へと引き戻すトレーニングを行います。自分の意識にわきあがってくるさまざまな対象について客観的に観察することは、それ自体がセルフモニタリングの練習になります。  同時に、今自分が取り組んでいることに集中できれば、リラクゼーションの効果的な実施につながることが期待されるのです。 【リラクゼーション技能トレーニングの効果・実践事例の紹介】  強い不安・緊張、感覚過敏、過集中の傾向があるAさんの事例(自閉症スペクトラム障害、注意欠如・多動性障害)  感覚プログラムでは、自覚していた聴覚・嗅覚の過敏さ以外にも、一度に多量の文字を見ると気持ちが悪くなる、視線の移動に労力を要すなど視覚認知の特性があることがわかりました。そこで、拡大ルーラーの使用や書見台の高さをパソコンの画面に合わせ視線移動の距離を短くすることで作業にともなう疲労を大きく軽減することができました。  運動プログラムでは、「よい姿勢で作業に取り組むことで以前よりも疲れにくくなった」という実感が持てました。また、作業から注意が離れる休憩中に体を動かすことで、背中のコリなど身体的な疲労に気づけるようになりました。  認知プログラムでは、講習を通じてネガティブな印象を持つ感情にも役割があることを知り、「不安や緊張など自分が抱きやすい感情を悪いとは思わなくなった」との感想がありました。また、わき起こる思考や感情に評価・反応せず、ただ観察するというトレーニングを通じて、不要なエネルギーを使わない在り方を学びました。  Aさんの事例では、各プログラムが提供する枠組みに沿って意識的にかつ継続的にセルフモニタリングを行うことによって、ストレス・疲労への気づきと効果的な対処方法の習得・実践が可能になったといえます。  実践報告書36「リラクゼーション技能トレーニングの改良」は、障害者職業総合センター研究部門のホームページに掲載しています(★1)。また、冊子の配付を希望される場合は、当職業センターに直接ご連絡ください(★2)。 ★1 「実践報告書No.36」は、https://www.nivr.jeed.go.jp/center/report/practice36.htmlよりダウンロードできます。 ★2 障害者職業総合センター 職業センター TEL:043-297-9043 https://www.nivr.jeed.go.jp/center/center.html 図1 リラクゼーション技能トレーニングとセルフモニタリングの関係 図2 感覚特性見える化シート 図3 特性対処のヒント集 図4 姿勢をよくする体操・運動 【P30-31】 ニュースファイル 国の動き 総務省 手話が使える「電話リレーサービス」開始  総務省は、「聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律」に基づく公共サービス、「電話リレーサービス」の提供を、2021(令和3)年7月1日から開始した。  このサービスは、手話や文字チャットを使い、通訳オペレーターを介して電話を利用できるというもの。「緊急通報への対応」、「24時間・365日の対応」、「通話の相手方との双方向の発信」が可能となるほか、店への予約、家族・友人との連絡など、お互いのやりとりができる。  サービスの利用登録や利用方法、サービス内容などの問合せは、サービス提供機関の「一般財団法人日本財団電話リレーサービス」まで。 電話:03−6275−0912(9時半〜18時)info@nftrs.or.jp 地方の動き 三重 「中小企業のための障がい者のテレワーク導入ガイド」  三重県は、障害者のテレワークに初めて取り組む企業向けに「中小企業のための障がい者のテレワーク導入ガイド」を作成した。  分身ロボットやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)をはじめ、さまざまなテレワークを活用した障害者の就労訓練を通して、障害者雇用の新しい働き方のモデルを構築した。また今年度は、障害者のテレワーク就労を検討している県内企業に対し、テレワーク導入支援アドバイザーを派遣する事業を予定している。  問合せは、三重県雇用経済部雇用対策課障がい者雇用班まで。 電話:059−224−2510 koyou@pref.mie.lg.jp 奈良 県立高校に知的障害者向け「自立支援農業科」  奈良県教育委員会は来年度、「奈良県立山辺(やまべ)高等学校」(奈良市)に、知的障害のある生徒が農業などを学ぶ「自立支援農業科」を設置する。  県内ではこれまで山辺高等学校など3校に「奈良県立高等養護学校」(磯城郡田原本町)の分教室を設けている。高等養護学校2年生から分教室を選ぶことができ、山辺高等学校でも生物科学科で野菜栽培などに取り組んできた。  自立支援農業科では、高等学校の教育課程として、特に、農業に関する探究的な学習に取り組むとともに、個々の障害の状態に応じて、個別の教育支援計画や個別の指導計画に基づいた指導や支援を行う。定員は20人を予定し、特色選抜入試で選考する。 生活情報 ICカードで障害者割引へ  JR東日本や首都圏の私鉄など69事業者でつくる「関東ICカード相互利用協議会」は、首都圏の電車とバスの障害者割引がICカード「Suica(スイカ)」と「PASMO(パスモ)」で利用できるサービスを2022年10月以降に開始することを決めた。障害者割引に対応する専用ICカードの発売などが検討されている。  首都圏では現在、電車とバスの障害者割引を受ける際には、駅の窓口などで障害者手帳を見せて購入するなど手間がかかっていた。関西圏ではすでに、約60の鉄道・バスで使える障害者割引対応のICカードが導入されている。 働く 岐阜 障害者が働く古民家宿  古い町並みが残る観光地として知られる岐阜市川原町地区に、障害者が働く1棟貸しの宿泊施設「帰蝶(きちょう)」がオープンした。明治時代の蔵つき古民家を改装した2階建ての宿で、週末に1組のみ、最大7人まで宿泊できる。  運営する「一般社団法人サステイナブル・サポート」の就労継続支援B型事業所「alley(アリー)」に通う発達障害や精神障害のある利用者が、ベッドメイキングや清掃、予約対応などにあたる。平日はアリーの作業所として使われる。  1泊3万3千円(2人)〜4万2千円(7人)。問合せはアリーまで。 電話:058−201−5990 本紹介 『あまねく届け! 光〜見えない・見えにくいあなたに贈る31のメッセージ〜』  社会の第一線で就労経験のある視覚障害者らで組織する「視覚障害者就労相談人材バンク」の有志が、視覚障害者31人の手記をまとめた本『あまねく届け! 光〜見えない・見えにくいあなたに贈る31のメッセージ〜」(読書日和刊)を出版した。  同バンクは活動スローガンである「私たちの就労経験を伝える」場として2020年にホームページを開設し、就労事例を公開しているが、このたび手記を書籍化。就職、転職、就労継続の3章に分けて、見え方や経歴などの異なる銀行員や医師、司法書士、会社員らが、就労にまつわる経験や思いをつづっている。視覚障害者とともに働くための情報も収録。音声で聞くことができるテキストデータ引換券つき。A5判400ページ、2750円(税込)。 『「こだわりさん」が強みを活かして働けるようになる本』  キャリアアドバイザーの銀河さんが、自身の経験を活かした『「こだわりさん」が強みを活かして働けるようになる本』(扶桑社刊)を出版した。  上智大学卒の銀河さんは、ASD(自閉症スペクトラム障害)とADHD(注意欠陥多動性障害)の当事者。営業職としてキャリアをスタートするも約1年でうつ病を発症。やがて復職し、発達障害の強みを活かして営業成績2位を収めた経験を持つという。現在はキャリアに悩む人への転職サポートのほか、キャリアや生活で悩む発達障害の人へのコーチングも行っている。  本書では、「最適なパターンさえ見つければ仕事はうまくいく」、「非常識力をアイデアの源泉に」など、発達障害を「資産」に変える50のコツを紹介している。四六判288ページ、1650円(税込)。 2021年度地方アビリンピック開催予定 9月〜10月 北海道、青森県、福島県、神奈川県、新潟県、石川県、山梨県、岐阜県、山口県、徳島県、大分県 *部門ごとに開催地・日時が分かれている県もあります *北海道、青森県、福島県、神奈川県、新潟県、石川県、山梨県、岐阜県、山口県、徳島県、大分県以外の県は開催終了 ※全国アビリンピックが12月17日(金)〜12月20日(月)に、東京都で開催されます。 地方アビリンピック 検索 ※新型コロナウイルス感染症の影響により、変更する場合があります。 写真のキャプション 北海道 青森県 福島県 神奈川県 新潟県 石川県 山梨県 岐阜県 山口県 徳島県 大分県 ミニコラム 第5回 編集委員のひとこと ※今号の「編集委員が行く」(20〜25ページ)も大塚委員が執筆しています。  ご一読ください。 「懐かしい日常」への想い 株式会社FVP 代表取締役 大塚由紀子  本号が発行されるころは、パラ五輪の真っただなか。そのころの新型コロナウイルスの状況については想像もできないが、安全に開催され、世界中のパラアスリートたちが悔いなく試合に参加できていることを祈るばかりだ。  ワクチン接種が進み、新型コロナウイルス感染症が収束しても、ジョブ型雇用やテレワークなどの流れは止まらないだろう。障害者雇用ももちろんその流れのなかにいる。非対面、非接触での新たな業務の開発に取り組み、成果を感じている企業の方もいらっしゃるだろう。障害のある社員にはむずかしいと思っていたが、やらざるを得ない環境でやってみたらできた。従来のスタイルには無駄や非効率があったことも教えられた。新型コロナウイルスがもたらしたよい面だともいえる。  ところで、大人数での会議、出張、職場の飲み会。最後に行ったのはいつだろう。それくらいご無沙汰している。「時間的、体力的にはずいぶんと楽になった」といいたいところだが、そうでもない。実は満員電車に乗って通勤するより、テレワークの方が疲れを感じる自分がいる。「新しい日常」への適応力が低いのかもしれない。  名刺交換の儀式、職場で交わす何気ない冗談、会議で意見が一致したときに漂う空気(その逆もあるが)、仕事終わりに行く居酒屋。無駄も多く非効率だったかもしれないが、働くうえで、働き続けるうえで、癒しや支えになっていたことに気づかされる。  でも「対面がいい。オンラインは苦手」といいにくい空気が、世の中にまん延しているのはつらい。  コロナ禍で、障害のある社員の体調が不安定になったとも聞く。日本にかぎっては、若い人の自殺も増えているそうだ。「新しい日常」に加えて「懐かしい日常」も取り戻したい気持ちがある。そんな今日このごろである。 【P32】 掲示板 受講者募集! 職業リハビリテーションに関する各種研修のご案内 就業支援課題別セミナー 受講料 無料  当機構では、労働、福祉、医療、教育などの分野で障害のある方の就業支援を担当している方を対象として、新たな課題やニーズに対応した知識・技術の向上を図るための「就業支援課題別セミナー」を実施しています。  令和3年度のテーマは、「視覚障害者への就業支援の最前線」です。みなさまの受講を心よりお待ちしています。 ◆日程および開催方法  日程:令和3年11月4日(木)〜11月5日(金)  開催方法:オンラインによる開催を予定しています。  研修のご参加にあたっての、インターネット通信費等は受講者各自の負担となります。 ◆申込受付期間  令和3年8月26日(木)〜10月1日(金) ◆お申込み  ホームページに受講申込書および申込方法を掲載しています。 ◆お問合せ先  職業リハビリテーション部 研修課  TEL:043-297-9095  E-mail : stgrp@jeed.go.jp 雇用管理や人材育成の「いま」・「これから」を考える人事労務担当の方 ぜひご覧ください! メールマガジン好評配信中! 9月1日(水)「障害者雇用支援月間特集」を配信します 詳しくは JEED メールマガジン 検索 ※カメラで読み取ったリンク先がhttps://www.jeed.go.jp/general/merumaga/index.htmlであることを確認のうえアクセスしてください。 次号予告 ●この人を訪ねて  障害者支援施設「明朗塾」などを運営する社会福祉法人光明会常務理事の内藤晃さんに、就労支援のあり方などについて、お話をうかがいます。 ●職場ルポ  日本航空株式会社の特例子会社株式会社JALサンライト(東京都)を取材。同社での新規事業など、障害者雇用の新たな取組みについてお伝えします。 ●グラビア  アスクル株式会社の子会社、ASKUL LOGIST株式会社福岡物流センター(福岡県)を訪問、同社で活躍する障害のある社員をご紹介します。 ●編集委員が行く  三鴨岐子編集委員が、企業で働く精神保健福祉士の方々との座談会を開催。有資格者ならではの、企業での支援活動について、お話をうかがいます。 本誌購入方法  定期購読のほか、最新号やバックナンバーのご購入は、下記へお申し込みください。  1冊からのご購入も受けつけています。 ◆インターネットでのお申し込み 富士山マガジンサービス 検索 ◆お電話、FAXでのお申し込み 株式会社廣済堂までご連絡ください。 TEL 03-5484-8821 FAX 03-5484-8822 あなたの原稿をお待ちしています ■声−障害者雇用にかかわるお考えやご意見、行事やできごとなどを500字以内で編集部(企画部情報公開広報課)まで。 ●発行−−独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 発行人−−企画部長 奥村英輝 編集人−−企画部次長 五十嵐意和保 〒261−8558 千葉県千葉市美浜区若葉3−1−2 電話 043−213−6216(企画部情報公開広報課) ホームページ https://www.jeed.go.jp/ メールアドレス hiroba@jeed.go.jp ●発売所−−株式会社 廣済堂 〒105−8318 港区芝浦1−2−3 シーバンスS館13階 電話 03−5484−8821 FAX 03−5484−8822 9月号 定価141円(本体129円+税)送料別 令和3年8月25日発行 無断転載を禁ずる ・本誌に掲載した論文等で意見にわたる部分は、それぞれ筆者の個人的見解であることをお断りします。本誌では「障害」という表記を基本としていますが、執筆者・取材先の方針などから、ほかの表記とすることがあります。 編集委員 (五十音順) 埼玉県立大学 教授 朝日雅也 株式会社FVP 代表取締役 大塚由紀子 NPO法人大阪精神障害者就労支援ネットワーク 副理事・統括施設長 金塚たかし 岡山障害者文化芸術協会 代表理事 阪本文雄 武庫川女子大学 准教授 諏訪田克彦 あきる野市障がい者就労・生活支援センターあすく センター長 原 智彦 ホンダ太陽株式会社 社友 樋口克己 サントリービジネスシステム株式会社 課長 平岡典子 東京通信大学 教授 松爲信雄 有限会社まるみ 取締役社長 三鴨岐子 筑波大学 准教授 八重田 淳 【P33】 高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長奨励賞 写真コンテスト 「どれが美味しいかな?」 伊東 富士夫(いとう ふじお 北海道) 「豆の殻むき作業」 藤村 靖子 (ふじむら やすこ 青森県) 「集中力と感覚が大切な製本作業」 森田 涼介(もりた りょうすけ 埼玉県) 「どんなときでも優しさと笑顔」 瀧柳 拓矢(たきやなぎ たくや 東京都) 「なんだこりゃー?」 島津 聖汰 (しまづ しょうた 福井県) 「一紐入魂」 奥村 美央 (おくむら みお 愛知県) 「リボンをかがやかせる金のシール」 横田 唯 (よこた ゆい 大阪府) 「病院へ届け検査薬」 庄司 千景(しょうじ ちかげ 兵庫県) 「感染対策万全な私。」 鷺原 優(さぎはら ゆう 岡山県) 「しわをのばして、ピシッ!」 森谷 佳世(もりたに かよ 岡山県) 「藍の団らん」 松野 真理 (まつの まこと 徳島県) 「けがやじこがないように」 荒木 美幸 (あらき みゆき 福岡県) 「よし!できた!!」 丹羽 信誠 (にわ しんじょう 大分県) 「おまめコロコロ」 垂水 幸子 (たるみず さちこ 鹿児島県) 「きれいにするよ」 村尾 一成 (むらお いっせい 鹿児島県) 「結び織」 仲宗根 唯登(なかそね ゆいと 沖縄県) 審査委員 永関和雄 (委員長)元 全国造形教育連盟委員長 清水満久 昭和女子大学 教職専門指導員 竹内とも子 東京都新宿区立柏木小学校 指導教諭 桑原史成 日本写真家協会理事 小山博孝 日本写真家協会会友 大谷真司 厚生労働省 職業安定局障害者雇用対策課 障害者雇用促進研究官 和田慶宏 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長 【裏表紙】 令和3年度 障害者雇用支援月間ポスター このポスターの原画は、障害のある方々などから募集したものです。絵画・写真コンテストの入賞作品は、本誌グラビアで紹介しています。 9月号 令和3年8月25日発行 通巻527号 毎月1回25日発行 定価141円(本体129円+税)