【表紙】 令和3年9月25日発行・毎月1回25日発行・通巻第528号 ISSN 0386-0159 障害者と雇用 2021 10 No.528 職場ルポ 社内公募で職域拡大、チームの自走化も図る 株式会社JALサンライト(東京都) グラビア 「優秀勤労障害者」の活躍 ASKUL LOGIST 株式会社 福岡物流センター(福岡県) 編集委員が行く “働く”を支える専門職 〜企業内で活躍する精神保健福祉士(MHSW)座談会〜 この人を訪ねて 就労で「だれかを幸せにする権利」を社会福祉法人光明会専務理事、障害者支援施設「明朗塾」元施設長 内藤 晃さん 「美しい服を作る自分」愛知県・杉浦(すぎうら)あすかさん 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 誰もが職業をとおして社会参加できる「共生社会」を目指しています 10月号 【前頁】 心のアート 木枠織り 木谷光宏 (特定非営利活動法人地域支援センターポレポレ) 素材:糸、布/サイズ:縦150cm×横90cm  木谷さんは10年以上、機織(はたお)りの作品をつくり続けていますが、最初のころから手際よくスピーディーに織っているのが印象的です。  もう一つ印象的なのが、彼自身の感情が作品に反映されていることです。  「集中している」、「疲れている」、「何かに不安を感じている」、そのときの感情により、織りの強弱や布の入れ方などに変化が現れます。  「木枠織り」は、展示会に出展するために制作したものです。大きな木枠に彼の心の動きが所狭しと表現されています。(文:特定非営利活動法人地域支援センターポレポレ 菊 義典) 木谷光宏(きたに みつひろ)  36歳、石川県在住。自閉症がある。  生活介護・就労継続支援B型事業所「ぽれぽれ工房山の家&それいけ仲間たちの家」を利用。事業所では、機織りや絵画などの創作を中心に活動をしている。  休日には、ヘルパーさんと一緒に大好きな電車に乗って、いろいろな場所へ出かけることを楽しみにしている。 【もくじ】 障害者と雇用 目次 2021年10月号 NO.528 「働く広場」は、障害者雇用の啓発・広報を目的として、ルポルタージュやグラビアなど写真を多く用いて、障害者雇用の現場とその魅力をわかりやすくお伝えします。 心のアート 前頁 木枠織り 作者:木谷光宏(特定非営利活動法人地域支援センターポレポレ) この人を訪ねて 2 就労で「だれかを幸せにする権利」を 社会福祉法人光明会専務理事、障害者支援施設「明朗塾」元施設長 内藤 晃さん 職場ルポ 4 社内公募で職域拡大、チームの自走化も図る 株式会社JALサンライト(東京都) 文:豊浦美紀/写真:官野 貴 クローズアップ 10 コロナ禍を乗り越えて 〜新しい働き方を問う〜 第5回 JEEDインフォメーション 12 「障害者雇用納付金制度に基づく各種助成金」の活用事例/障害者職業訓練推進交流プラザのご案内 グラビア 15 「優秀勤労障害者」の活躍 ASKUL LOGIST 株式会社 福岡物流センター(福岡県) 写真/文:官野 貴 エッセイ 19 配慮は人のためならず第3回 〜こんなはずではなかった障害者雇用〜 株式会社Ds'sメンタルヘルス・ラボ 代表取締役(精神科医・産業医) 原 雄二郎 編集委員が行く 20 “働く”を支える専門職 〜企業内で活躍する精神保健福祉士(MHSW)座談会〜 編集委員 三鴨岐子 省庁だより 26 ハローワークを通じた「障害者の就職件数」が12年ぶりに減少 ─令和2年度 障害者の職業紹介状況等─ 厚生労働省 職業安定局 障害者雇用対策課 研究開発レポート 28 除外率制度の対象業種における障害者雇用に関する実態調査 障害者職業総合センター研究部門 事業主支援部門 社会的支援部門 ニュースファイル 30 編集委員のひとこと 31 掲示板・次号予告 32 障害者雇用の月刊誌「働く広場」がデジタルブックでいつでもお読みいただけます! 表紙絵の説明 「洋服のデザインに興味があり、ミシンが楽しそうだったので、題材に選びました。下書きや色ぬりに時間がかかってしまったけれど、美しい作品に仕上げることができました。ミシンの針の下や布を押さえている手などを細かく描くのが少しむずかしかったです。最近学校では、作業学習の時間に『刺し子』に取り組んでいます。完成がとても楽しみです」 (令和3年度 障害者雇用支援月間ポスター原画募集 中学校の部 高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長奨励賞) ◎本誌掲載記事はホームページでもご覧いただけます。(https://www.jeed.go.jp/) 【P2-4】 この人を訪ねて 就労で「だれかを幸せにする権利」を 社会福祉法人光明会専務理事、障害者支援施設「明朗塾」元施設長 内藤 晃さん ないとう あきら 1959(昭和34)年、千葉県生まれ。千葉県公立高校教員、行政書士を経て1999(平成11)年、社会福祉法人光明会の知的障害者授産施設「明朗塾」開設とともに施設長就任。2009年から2020(令和2)年まで同法人常務理事。2004年から2021年4月まで千葉県社会就労センター協議会会長。2019年から2021年5月まで全国社会就労センター協議会(セルプ協)副会長。著書に『施設長の資格』(中央法規出版、2009年)、『施設長の羅針盤(コンパス)』(同、2013年)など。 利用者を支える職員を応援 ――内藤さんが、行政書士から障害者支援施設の施設長になられた経緯を教えてください。  もともと私は、高校で政治経済や倫理を教える教員で、それから行政書士になり、地元の社会福祉法人の認可申請にかかわっていました。その法人の知的障害者授産施設の開設にあたり、当時40歳だった私は、理事長から「施設長をやってほしい」と依頼されたのです。私自身それまで障害のある方とかかわった経験もなかったのですが、次の施設長に手渡すまでの間、引き受けることにしました。私は障害者支援を志してこの世界に入ったわけではないので当初は悩みましたが、導き出した自分のスタンスは、現場を支える職員たちを応援することだと決めました。職員自身が自分の仕事にやりがいを持って、自ら成長しながら知的障害のある方も幸せにできるような職場環境を目ざしてきました。 施設職員の思い込みも ――2006(平成18)年から本格的に就労支援事業をはじめ、昨年までは施設の名称も「就職するなら明朗塾」とするほど力を入れてきたそうですね。  明朗塾から、初めて就職者が出たのは15年以上前になります。たまたま近くの特別養護老人ホームの施設長から「清掃作業員として障害者を雇用したいから、明朗塾からだれか紹介してくれないか」と依頼されました。私は喜んでジョブコーチの職員に伝えたのですが、「できる人はいません」と即答されてしまいました。しかし施設利用顧客のなかに、食品工場を退職し、行き場を失って明朗塾に来たという方がおり、担当職員が「新しい仕事なんて無理じゃないだろうか」と不安をもらしつつも、その方と一緒に面談に行きました。すると、1時間もしないうちに2人は満面の笑顔で戻ってきたのです。「決まりました!」と。ちなみにこの方は、いまもその施設で働き続けています。  担当職員は、自ら気づいたのでしょう。知的障害のある方の就労を阻はばんでいたのは、彼らを支える自分が「できないだろう」と思い込んでいたからだと。そして、この職員を職場の中心に据えることに決め、施設の名称を「就職するなら明朗塾」と変えたのです。これをきっかけに就労移行支援事業を本格的に始めることになり、その職員は1年で9人を就職に導きました。職員の自信は、利用顧客の意欲にも波及します。私は担当職員を1人増やし、翌年は36人が就職できました。さらにその翌年からは障害者就業・生活支援センター事業を受託しました。 出会いの場を増やす ――これまでに1500人近い利用者が就職されたそうですが、成功の秘訣は何でしょうか。  「出会いの場をいかに増やすか」と「企業の方にとっての採用の選択肢をいかに広げるか」です。1人でも多く、できるだけ多くの企業と面接する機会をつくりました。まずは地域のなかで明朗塾の認知度を上げて、企業や特別支援学校との信頼関係をつくることから始めました。障害者雇用についての情報や明朗塾の活動を広報紙にして企業の人事担当者に配ったりするほか、企業方針などを知る機会をつくってニーズの把握に努めました。  しかし、就職後、職場でトラブルを起こしてしまうケースもあります。そういうときに職員は、トラブルを起こした本人を守ろうと力を尽くすのですが、同時に、トラブルに対応した企業へのフォローも大事だと私は話してきました。私たちにとっては企業も大事な顧客ととらえる視点が必要ではないかと思います。支援担当者が企業に信頼されることで、次の就職にもつながります。 企業や家族に後押しを ――初めて障害者雇用をする企業にも積極的に働きかけているそうですね。  地元地域に多い中小企業は、どのように障害者雇用をしたらよいか方針が定まらないままに、求人票を用意せざるを得ないことがあります。職種欄に事務補助とあれば、知的障害のある方にはむずかしい場合もあるかもしれませんが、それでも面接していただきます。すると、ある企業では「高齢になった倉庫担当者を重労働の少ない事務に移ってもらって、今回面接した若い体力のある障害者を、倉庫作業員として採用してみよう」と気づいてくれることがあるのです。  雇用がうまくいったら、今度はその企業の方を講師に呼び、まだ障害者を雇用したことのない中小企業の方や、施設利用顧客のご家族の方たちに、好事例として話してもらいます。こうした機会は、話を聞いた側に一歩をふみ出す勇気を与えるだけでなく、話した企業にとっても自信になり、さらなる雇用推進への後押しになると思っています。  いわゆる保護者会として「お客様感謝デー」を年4回開催していますが、そのうち1回は大きなホテルでの就職祝賀会です。企業やご家族の前で、施設卒業生を勤続1年、2年と順番に表彰していきます。雇用を進めている企業には感謝状を贈ります。この会に参加した保護者の方に「うちの子も働けるかもしれない」と感じていただくためです。 就労するために大切なこと ――利用者への就労移行支援で、日ごろ心がけていることはありますか。  忌憚(きたん)なく申し上げますと、私は、実際の仕事のトレーニングは、就職してからの職場での人間関係のなかでこそ有効になると考えています。逆に、施設内での作業訓練では、支援者の想定する範囲内での向上にとどまり、本人の能力を見限る危険があるかもしれないのです。  障害者雇用の世界では、就労するために、生活習慣や対人スキルといった「就労準備性」の修得を求めていますが、本人がこれを身につけるために、障害者を雇用する企業の現場で自分たちにどのような支援ができるかを問わなければなりません。例えば、職場でのナチュラルサポートのように、福祉支援者が行っていた支援をすべて企業に任せることではなく、障害者雇用のある企業文化を創造することが大事なのではないかと思います。  そのうえで、障害者が就労するために一番大切なことは、彼らが「働くことによって、ほかのだれかを幸せにしたいという気持ち」だと思っています。  最初は、「お母さんにプレゼントを買う」といったことでもよいと思います。働くなかで、「お客さまに喜んでもらう」、「職場の仲間とともに力をあわせて作業できることに感謝する」というふうに感じられるようになること。それが仕事の遂行力に結びつけば、やがて「彼に仕事を任せてみよう」という信頼の獲得にもつながっていきます。  障害者を取り巻く社会環境は、福祉サービスをはじめ「やってあげる」、「守ってあげる」という傾向があったと感じています。でも本当に、人が生きがいを感じるのは「だれかを幸せにしている充足感」だと思います。障害のある方すべてが「だれかを幸せにする権利」を行使できる社会を、みんなで目ざしていきたいですよね。 【P4-9】 職場ルポ 社内公募で職域拡大、チームの自走化も図る ―株式会社JALサンライト(東京都)― コロナ禍で大きな影響を受けている航空業界だが、日本航空株式会社の特例子会社ではこれまで以上に、職域拡大や社員の成長に向けた取組みを積極的に進めている。 (文)豊浦美紀 (写真)官野 貴 取材先データ 株式会社JALサンライト 〒140-0002 東京都品川区東品川2-4-11 野村不動産天王洲ビル TEL 03-5460-6871 FAX 03-5460-6872 Keyword:知的障害、身体障害、ネイル施術、ヘルスキーパー、ジョブコーチ、アビリンピック POINT 1 社内公募「アイデア100出し」で新規事業 2 アビリンピック種目「ネイル施術」を業務に 3 知的障がいのある社員チームの「自走化」も JALを支える特例子会社  「日本航空株式会社」(以下、「JAL」)の特例子会社として1995(平成7)年に設立された「株式会社JALサンライト」(以下、「JALサンライト」)。障がいのある社員13人を迎えてスタートさせたが、26年を経たいまでは全社員423人、うち障がいのある社員が222人(視覚障がい18人、聴覚障がい47人、肢体不自由28人、内部障がい13人、知的障がい103人、精神障がい13人)、JALと合わせた障がい者雇用率は2.67%(2021〈令和3〉年6月1日現在)となっている。  おもな業務内容は、航空券類の審査から客室乗務員・運航乗務員サポート、受付・総務や給与・福利厚生、社内メイリングなど事務サポート、カフェ運営、マッサージサービス、農作業、ネイルサロンまでと多岐にわたる。  2020年4月、代表取締役社長に就任した宮坂(みやさか)久美子(くみこ)さんは、JALサンライト初となる女性トップだ。長年、客室乗務員として世界を飛び回り、その後は客室本部の管理職として約1000人の客室乗務員をフォローしてきたという宮坂さん。「辞令を受けたときは『経営も知らない私がなぜ』と驚くばかりでした」とふり返りつつ、こう語る。  「引き受けるからには、私のこれまでの経験も活かし、JALサンライトの企業理念である『障がいを仕事の障害としない環境をもとに、多様性を活かし、新たな価値を創造し続ける』ことを目ざそうと決意しました」  実際にこの1年半、コロナ禍という非常事態のなかでも、新たな職域拡大と社員の成長をうながす取組みにまい進中だ。  まずは、2021年3月に開設されたばかりのネイルサロンから紹介していきたい。 アビリンピック競技種目「ネイル施術」を業務に  JALサンライトは2018年、社内に「新たな価値創造委員会」を立ち上げた。年1回の社内公募「アイデア100出し」で集まった事業案をもとに、実現化を検討してきた。例えば客室乗務員に手話を教える「チャレンジ手話」も、聴覚障がいのある社員からの提案で始まっている。  ここでネイルサロンを発案したのが、総務センター客室乗務員スケジュールグループグループ長の小川(おがわ)さんだ。小川さんは、インターネットで情報検索をしていたところ、知的障がいのある人がブログで「ネイルを仕事にしたかったが、周囲に反対されたので趣味にしている」などと投稿しているのを見つけた。小川さんは「仕事にできるのでは」と思い、2020年度向けの企画として出してみたという。  企画検討はコロナ禍で中断され、2020年夏に再開。ネイルサロン案を後押ししたのは、宮坂さんだった。小川さんは「『ちょうど私も考えていたのよ』といってもらい、力になりました」とふり返る。  一方、宮坂さんは就任直後にアビリンピックの存在を知り、2019年から競技種目に加わったネイル施術の記事を読んで「これだ」と思っていたそうだ。ネイル業界の関係者に事情を聞いたり、自宅で開業している車いすユーザーを訪ねたりして、「活躍している人がいる一方、資格を取っても就職に結びつかない人が少なくないことを実感した」という。しかも宮坂さんは、ネイル施術の需要も十分に把握していた。  「あまり知られていないかもしれませんが、客室乗務員は手の爪にネイルを塗ることが美容基準で定められています。JALには客室乗務員が約6千人いますので、福利厚生としても大きく貢献できると考えました」  小川さんもプレゼンテーションで「障がいに関係なく活躍できる職場を提供したい」と訴え、業務化が決まった。とはいえ、ネイリストの障がい者雇用については企業の先行事例が見つからない。ホームページで募集をかけたが手応えもなかった。「すぐに開業するつもりで、求人条件に『実務経験あり』としていたのが原因でした」と小川さんは話す。  そこでネイル業界団体に協力を求め、経験者の2人が応募してくれることになった。それが総務センター羽田事務サービスグループに所属する山下(やました)さんと坂角(さかずみ)さんだ。  関節リウマチ障がいのある山下さんは、2019年開催の第39回全国アビリンピック「ネイル施術」種目で金賞受賞後、北海道でサロンを開業したところだった。「JALサンライトから声がかかったときは迷いましたが、東京で挑戦してみたいと決断しました」とふり返る。一方、内部障がい(※1)のある坂角さんは、もともと出張ネイルを続けていたがコロナ禍で困難な状況になっていたところ、JALサンライトを紹介されたという。2021年1月に正式採用された2人は、3月上旬のオープンに向け内装からネイル商材まで2カ月間で準備した。苦労したのは新型コロナウイルス対策で、パーティションの設置や毎回消毒しても変質しない道具選びなど、2人で相談しながら進めたそうだ。  ネイルサロンがあるのは、JAL社員の訓練・教育関連施設などが入る「テクニカルセンター」。サロン内の大きな窓からは、羽田空港を見下ろすことができる。客室乗務員も仕事の行き帰りに立ち寄りやすく、評判は上々だ。  これまで2人が何人もの施術を手がけるうちに、気づいたこともある。客室乗務員の指先が、予想以上に酷使されているということだ。乾燥した機内でのさまざまな業務はもちろん、感染対策のための消毒回数が増えたことも誘因らしい。2人は、地爪を弱らせないようアドバイスしながら、ネイルの強度を工夫している。「ここで施術してからネイルの“持ち”が長くなった」といわれるのが、大きなやりがいにつながっているそうだ。  6月には聴覚障がいのある池田(いけだ)さんも入社した。サロンでのやりとりは、池田さんが発声ができるので、利用者の発言を即時に文字にする音声変換ソフトを駆使することで問題ない。池田さんは「ここは聴覚障がいについて理解のある職場なので働きやすいです。仕事では、2人についていけるようにがんばっていきたい」と話してくれた。  山下さんは「障がい者にとっても、ネイリストという職業が普通の選択肢に入ることを願いつつ、私にできる発信をしていきたい」、坂角さんは「私はネイリストになってからの内部障がいでした。苦労はしましたが『復活できる』ということを伝えていきたい」と、そろって笑顔で話してくれた。  ネイルサロンでは、知的障がいのある社員向けにネイル施術研修もしている。もともと興味があったという男性や、手先の器用な社員もいて、指導にも熱が入るそうだ。宮坂さんは「このなかから将来、ネイル業務にかかわる社員も出てくるかもしれません」と期待する。小川さんも「成田空港にもサロンを開設したい。実務経験を積める職場として、新人ネイリストも採用していきたいですね」と意気込んでいる。 「健康経営」も目ざす  JALサンライトは2018年以降、JAL本社のある天王洲ビルなどで、社員向けのマッサージルーム「Larlgo(ラルゴ)」を展開している。コロナ禍でも、予約枠を減らし手袋を使うなど感染防止対策をして営業を続けている。ヘルスキーパー4人のうちの2人に話を聞いた。  2019年入社の内藤(ないとう)さん(26歳)は、筑波大学附属視覚特別支援学校であん摩マッサージ指圧師、鍼師、灸師の免許を取得。別企業から転職してきたが、「ここでは入社後、ヘルスキーパーの同僚4人で一緒に技術向上のための研修を受けられました。また日ごろも2人で運営するので、施術しながら相談し合えるのがとてもよいです」と話す。勤務先の天王洲ビルには、JAL社員が仕事の合間をぬって訪れ、常連も増えた。それだけに心がけていることがあると内藤さんは話す。  「その日の状態で、どんな施術が必要か把握するようにしています。実際に触ってみて腰に原因があることに気づいても、『肩が痛い』という訴えがあれば、それにも応えられるようにしています。施術後に、『楽になった』といわれるのが何よりのやりがいですね」  羽田空港内で働く伊山(いやま)さん(24歳)は、筑波技術大学であん摩マッサージ指圧師、鍼師、灸師の免許を取得し、新卒で2019年に入社した。ここには乗務員のほか整備士や事務職も訪れる。施術時は、体に違和感がないか会話をしながら確認することを心がけているという。  「大学の授業と違い、実際には人によって症状も程度も違うので、内藤さんたちに相談したり、情報を共有し合ったりしてスキルアップに努めています」  またJALグループが推進する健康経営の一環として、JALサンライト社員から提案された「Wellness(ウェルネス)ストレッチ」のプログラムを内藤さんたちが開発。体の部位に合わせて10数種類あり、在宅勤務者らを中心にオンラインで実施されている。  JALサンライトは、社員の健康維持を目ざした活動も展開しており、2019年、2020年と連続で「健康経営優良法人ホワイト500」(※2)に認定されている。JALグループでは「本気の!ラジオ体操」という職場で行うラジオ体操を推奨しており、JALサンライトは2020年度に実施された全社動画コンテストで優秀賞を受賞したそうだ。  一連の企画にたずさわった、総務部人事グループで就労支援アドバイザーを務める田口(たぐち)さんは「ホワイト500認定は、大規模法人部門の単独申請では特例子会社として初めてだと思います」と胸を張る。ちなみに田口さんは、JAL在籍時に自力で社会福祉士の資格を取得したという経歴の持ち主。2019年にJALサンライト出向後は、実習生受入れから採用、定着支援、相談支援、社内研修など幅広く担当している。 自走できるチームへ  JALサンライトでは、知的障がいのある社員の多くが、総務センター事務サポートグループに配属されている。担当業務は、パソコンのデータ入力をはじめ各種封入作業、手荷物タグ制作、スカイテラス清掃、カフェ運営、給茶サービスなど多種多様だ。  現場では以前から、障がいのある社員の見守り役として客室乗務員のOGなどからなるジョブサポーターを配置してきた。母親のような存在として社員を手助けしてきたが、昨年から「社員チームの自立」を目ざした動きが始まっている。  そのきっかけをつくったのが、ジョブコーチとして指導にあたる町田(まちだ)さんだ。JALサンライトの存在を知った10年前、希望してグループ会社の関西支社から出向してきた。最初は現場の課題対応にも苦労していたが、6年前にジョブコーチ研修を受けて「それまでは素人感覚でしたが、障がい特性をきちんと知っておくことがどんなに大事かわかりました。いまは『理解は支援、支援は理解』だと常に心にとめながら対応しています」と話す。  あるとき、複数のジョブサポーターが個人的な事情で退職したことがあり、急きょ町田さんが見守り業務を代行したところ、「これは社員だけでもできるのでは」と気づいた。そこでまず、障がいのある社員のなかから5人をリーダーに選出し、彼らを中心に障がいのある社員だけでチーム(社員チーム)をつくった。リーダー教育を行い、チーム員も参加して「給茶マニュアル」を作成した。いまでは、社員チームだけで給茶サービスをしっかり行っている。2020年10月からは清掃業務でもリーダーを選出し、社員チームだけで行っている。  ちなみに先日、障がいのある社員にアンケート調査を行ったところ、全員が「自分たちだけで仕事をして、よかった」と答えた。「仲間で協力すれば、できることがわかりました」といったコメントも寄せられたそうだ。  実際の様子も見学させてもらった。現場は、天王洲ビル25階にある社員向けスペース「スカイテラス」。清掃業務を担当する社員チーム5人が出入口付近で輪になり、マニュアルを手に作業内容を確認し、200席以上ある広いテラス内に分散して、それぞれ担当するテーブルやいすなどの清掃にあたっていた。  このチームでリーダーを務めている武内(たけうち)さん(27歳)は、2013年に入社。リーダーに抜てきされたときは「初めての経験でできるのか不安でしたが、実際にマニュアルを作成しながらリーダーの仕事も覚えたので、スムーズでした」と笑顔で話す。  リーダーになってからは、周囲に指示を出しながら全体を見渡し、困っていそうな社員の助けに入るようにしている。たいへんだったことをたずねたところ、「作業内容についてチーム員の負担にならないか配慮したり、言葉遣いに気をつけたり、苦労もあります。でも、責任がともなうことで、やりがいも感じています」と答えてくれた。目下の目標は、もっと自信を持って指示を出せるようにすることだそうだ。  リーダー会も月に2回開催されている。この日は、新型コロナウイルス感染予防対策で使用する手袋の種類について話し合っていた。「このポリエチレンの手袋は、装着しやすいのですが、脱げやすいんですよね」、「ゴム手袋の場合は…」などと意見を出し合い、最後は多数決を取っていた。参加していた佐藤(さとう)さん(41歳)は2002年に入社。佐藤さんは、それまでの社会経験を買われ、以前から給茶サービスの事実上のリーダー役を務めてきた。「コミュニケーションの取り方などに悩むこともありましたが、町田さんやジョブサポーターのみなさんに相談しながら学んできました」と話す。昨年から正式にリーダーが5人になり、負担はずいぶん減ったというが、一方で「リーダーによって仕事のやり方も考えも違うので、統一できるよう、情報共有も含めた定期的な会議は大事です」と気を引き締める。  職場にはアビリンピック経験者もいる。2020年入社の細井(ほそい)さん(19歳)は、同年11月に開催された第40回全国アビリンピックの「喫茶サービス」種目で銅賞に輝いた。特別支援学校時代から腕を磨いてきた細井さんは「大会後は、職場でも『おめでとう』と声をかけてもらい、カフェ業務の担当も増えました」とうれしそうに話す。「先輩たちがいつもやさしく教えてくれるので、ほかの業務でも自分の力を伸ばせるよう、しっかり学んでいきたい」と意欲的だ。 グループ会社との連携  JALサンライトでは、「障がい者の当事者視点」を活かしたグループ会社へのサポート事業も強化している。  以前から、空港でチェックインやゲート業務を行うグループ会社の社員研修で、お手伝いを希望されるお客さまの移動方法についてアドバイスを行っていたが、最近は、空港関係の他社が参加する勉強会にも参加している。さらに「株式会社ジャルパック」と共同で、車いすユーザーのための旅行ツアーも企画中だ。これまではおもに顧客から依頼されてアレンジしてきたが、今後は新たに商品として売り出す予定だという。代表取締役社長の宮坂さんは、「こうした企画に当事者として参加することの意義は大きい」と力を込める。  「もともと旅行好きなJALサンライトの社員たちは、海でのダイビングも楽しむなど、私たちの予想よりはるかに行動的だと知りました。ほかにも、さまざまな障がいのある社員の意見を取り込みながら、これまで応えきれていなかったニーズも旅行プランに反映させていくつもりです」 新たな職域「シューシャイン」  宮坂さんは就任当時から「まだまだ社員の能力を発揮できそうな事業があるはず」と思いながら、天王洲ビルやテクニカルセンター内を自ら歩き回ってきた。そのうちに新業務として見出されたのが、すでに受託していた客室サービス訓練施設(モックアップ)での補助業務に加え、救難訓練施設に設置された訓練用ドアハンドルや消火器などの消毒作業だ。これまでは教官たちがやっていたが、JALサンライトの障がいのある社員にトライアルで任せたところ、現場では「私たちが忘れそうな部分まで気を配って正確にやってくれる。自分たちの作業を見直す機会にもなる」と好評で、業務化が決まった。  さらにいま準備中の業務が「シューシャイン(靴磨き)」。これも社内公募で提案されたものだが、ネイルサロンのときとは違って、社内では異論も多かった。そこで、イギリスのロンドンで開催された「世界靴磨き大会」で優勝した長谷川(はせがわ)裕也(ゆうや)さんが経営する店舗の動画を紹介して、いまや憧れの職業でもあり、障がいのある社員の集中力を発揮しやすいと説明し、イメージを高めてもらい、社内理解を得ることができたと宮坂さんはいう。  現在は長谷川さんに月2回来てもらい、選抜された障がいのある社員約10人が指導してもらっている。コロナ禍の対応も考慮しつつ、年内をめどに天王洲ビル内で、JAL社員向けにサービスを始める予定だ。  「研修中の社員たちは、相当高いレベルまで上達しています。一般の大会にも出場してスキルを磨いてもらいたいですね。将来、空港のラウンジでお客さま向けにサービスを提供することができたらいいなと思っています」と明かす宮坂さん。最後に、JALサンライトの今後の方針についても語ってくれた。  「JALサンライトの障がいのある社員たちは、JALやグループ会社社員とともに同じ職場で業務を遂行したり、当事者として指導したり、意見をいえたりする機会が増えることで、JALに貢献しているという実感がわき、ますます意欲的になっているのがわかります。その気持ちが、さらに職場を活性化してくれます。今後は、もっとふみ込んで、JALのお客さまにより近い場所でも、障がいのある社員が活躍できる機会を増やしていけたらと考えています」 ★本誌では通常「障害」と表記しますが、株式会社JALサンライト様の希望により「障がい」としています ※1 内部障がい:心臓、じん臓、呼吸器、ぼうこうまたは直腸、小腸、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫および肝臓の機能障がい ※2 健康経営優良法人ホワイト500: 経済産業省が2016 年に創設した認定制度「健康経営優良法人」のうち、大規模法人部門の上位500位以内に認定された法人 写真のキャプション テクニカルセンターに開設されたネイルサロン 株式会社JALサンライト 代表取締役社長の宮坂久美子さん ネイルサロンを発案した小川さん (写真提供:株式会社JALサンライト) ネイルサロンで働く山下さん 山下さんは、全国アビリンピックで金賞を受賞した実績を持つ ネイルサロンで働く坂角さん 施術はパーティション越しに行われている 6月に入社し、ネイルサロンで働く池田さん ヘルスキーパーの内藤さん 天王洲ビルのマッサージルームで働く内藤さん ヘルスキーパーの伊山さん (写真提供:株式会社JALサンライト) ヘルスキーパーの施術は、乗務員や整備士から好評だ (写真提供:株式会社JALサンライト) 総務部人事グループ 就労支援アドバイザーの田口さん ジョブコーチの町田さん リーダーを務める武内さん 作業前、リーダーを中心にミーティングが行われる リーダー会の様子。各リーダーが意見を出し合う リーダーを務める佐藤さん 全国アビリンピックで銅賞を受賞した細井さん 会議室の清掃作業を行う細井さん 客室サービス訓練で使用するアイテムの準備や片づけ作業 (写真提供:株式会社JALサンライト) 【P10-11】 クローズアップ コロナ禍を乗り越えて 〜新しい働き方を問う〜 第5回  新型コロナウイルスの感染拡大により、障害者雇用の現場でもテレワークなどの新しい勤務形態を導入する動きがある一方で、出社が必須となる職場もあります。  今回は、テレワークがむずかしい職種や業務でのコロナ禍における課題や工夫について、重度の知的障害のある方を中心に清掃業務を手がける「株式会社ドコモ・プラスハーティ」にお話をうかがいました。 監修:本誌編集委員 松爲信雄(東京通信大学教授) 【取材先プロフィール】 株式会社ドコモ・プラスハーティ (東京都豊島区) ◆事業内容  ドコモグループ自社ビル内の清掃業務、グループ各社への障害者雇用・定着支援 ◆従業員数  147人、うち障害者97人(出向を含む、役員を除く、2021年6月現在) ◆実績 ・2019年1月 公益社団法人全国重度障害者雇用事業所協会「障害者活躍企業」認証 ・2020年3月 経済産業省・日本健康会議「健康経営優良法人2020(中小規模法人部門)」認定 ・2021年3月 経済産業省・日本健康会議「健康経営優良法人2021(中小規模法人部門)」認定 課題の検討に力を注いだ1回目の緊急事態宣言  「株式会社ドコモ・プラスハーティ」は、NTTドコモグループの特例子会社として、グループの自社ビル内の清掃業務とグループ各社の障害者雇用・定着支援を手がけています。清掃業務をになうのは、おもに知的障害のある社員(以下、「スタッフ」)のみなさんです。その多くが知的障害の重度判定を受けており、5〜6人のチーム単位で、都内4カ所と、神奈川県、大阪府各1カ所で、グループビル内のオフィス、休憩室、トイレ、廊下などの清掃を実施しています。  「各チームに、健常者のコーチが加わって、スタッフの人材育成やサポートなどを行っています。人体や環境にやさしく、洗浄・消毒が可能な薬剤を使用し、個人の力加減などに関係なく、均一の清掃効果が期待できる器具を用いて行うことで、病院の手術室で行われるような高いレベルの衛生管理を実践していることも当社の清掃作業の特長です」と、事業運営部業務企画担当の阿佐美(あさみ)弘介(こうすけ)さんは話します。  新型コロナウイルス感染症拡大による2020(令和2)年4月の緊急事態宣言の発出以降、同社では、自宅待機や交代勤務などを取り入れながら感染症拡大の防止に努め、同時に、スタッフのモチベーションの維持や心身の健康管理などにも力を注いできました。1回目の緊急事態宣言中は、スタッフ全員が勤務扱いの自宅待機となりましたが、清掃という業務の性質上、出勤しなければ仕事ができないため、その間、コーチは、時短勤務や交代勤務で出勤を続け、清掃業務を維持するのと同時に、今後の業務の在り方について検討し直したそうです。  「接触感染を減らすためには、エレベーターのボタンやドアノブなど、手指が接触する部分の清掃を強化する必要があります。そこでまずは、コーチだけで清掃業務にあたりながら、今後はどのような清掃活動に注力したらよいのかを検討、試行しました。同時に、自宅待機となったスタッフたちに、どのように過ごしてもらうのがよいのかについても検討を重ねました。自宅待機の意味をよく理解できずに生活リズムを崩したり、家族が仕事に出かけてしまい、家に1人で居ることに不安や戸惑いを感じたりするスタッフもいました。また、コーチからは週1回、電話で連絡をとりましたが、コミュニケーション頻度の少なさにも課題を感じていました」と、阿佐美さんはふり返ります。 全員で交代勤務を行った2回目の緊急事態宣言  2021年1月の2回目の緊急事態宣言発出時には、これまで検討した内容をふまえ、スタッフ、コーチともに、1日または1週間単位で交代勤務を実施しました。通常の半分の人数でも業務を遂行できるよう、感染症対策に重点を置いた特別プログラムができあがっていたことが役立ちました。また、自宅待機をしているスタッフには、次の出社日に向けての準備を整えるために課題に取り組んでもらうこととしました。阿佐美さんは、「スタッフには、生活リズムを整え、1日の目標を意識して生活をしてもらうための業務日誌(図)に取り組んでもらいました。また、有機物を残さないマイクロファイバークロス(雑巾)を配布し、業務として、自分の家でも清掃作業を続けてもらいました。また、コロナ禍前から週に1回行っているヨガの動画視聴や、視覚機能の維持のためのビジョントレーニング(視覚機能を鍛えるためのトレーニング)のプリントを用意し、身体機能を衰えさせないように課題を出すという工夫もしました」と、話します。  そして、出社日には、次の自宅待機に入るための準備をすることも、大切なポイントだったそうです。「自宅待機の前日などに、自宅待機日をどのように過ごすかをコーチと話し合い、スケジュールや目標を確認しました。特に、自閉症の傾向がある場合、いつも通りの行動ができないことや見通しが持てないことに不安を感じる人が多いので、安心してもらえるような準備が必須となりました」と、阿佐美さん。  自宅待機日には、始業時と終業時に、スタッフからコーチへ、事前に立てた目標の達成度や進捗を電話で報告してもらうなど、こまめにコミュニケーションをとるようにしました。また、スマートフォンの一斉配信サービスアプリや電話を利用してスタッフのご家族との連携を深め、スタッフのフォローに活かしました。  「自宅待機や交代勤務を経験することで、自分でスケジュールを確認する姿勢が身についたり、これまで経験のなかった電話でのやりとりを習得したりと、スタッフの成長を感じています。また、コーチにとっても、いつもと違った状況でものごとに対応する力を強化する機会となったと思います」と、阿佐美さんは話します。 働く喜びを感じられる業務を実現し続けたい  最後に、設立当初から同社の運営にかかわってきた、事業運営部担当部長の岡本(おかもと)孝伸(たかのぶ)さんが次のように語ってくれました。  「清掃の仕事は、感染症の流行下でもみなさんが安心して働ける環境をつくる大切な役割をになっています。人の役に立つ仕事ができていることに、当社のスタッフは誇りを持っています。スタッフのためにも、感染症対策に十分に配慮しつつ、働く喜びを感じられるような業務のあり方を実現することが、私たち運営者の責任だと思っています。また、これまで当社でつちかってきたノウハウがあれば、知的障害のある人にも、清掃業務にかぎらず、事務職などの別の仕事をやってもらえる可能性があるのではないかと考えています。ほかの仕事もしてみたい、もっと成長したいというスタッフがいれば、そのチャレンジを応援していきたいと思います」 図:スタッフが使用した自宅待機用業務日誌 写真のキャプション 感染対策を徹底しながら清掃業務にあたるスタッフ 業務のプロセスを細かく分解するなどの工夫を行う 【P12-14】 JEEDインフォメーション 〜高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)からのお知らせ〜 「障害者雇用納付金制度に基づく各種助成金」の活用事例  「障害者雇用納付金制度に基づく助成金」は、事業主が障害者の雇用にあたって、施設・設備の整備や適切な雇用管理を図るための特別な措置を行う場合に、その費用の一部を助成することにより、事業主の一時的な経済的負担を軽減し、障害者の雇用の促進や雇用の継続を図ることを目的としています。  今回は、これらの助成金を効果的に活用した事例を紹介します。 事例1 〜通勤時の負担を軽減するための駐車場の賃借〜 【重度障害者等通勤対策助成金(駐車場の賃借助成金)】  重い心臓機能障害(1級)があるAさんは運動について制限があり、心臓に過度な負担をかけることができません。通勤のために公共交通機関を利用する場合には、駅までの徒歩や階段の昇降が就労に際してのネックとなり、特に自宅から最寄り駅までの道は起伏が激しく、心臓への負担が大きなものとなっていました。  そこでB社はAさんの就労に際し、助成金を活用して事業所から徒歩1分の距離にAさんが利用するための駐車場を賃借し、自家用車での通勤を認めることにしました。  通勤時の身体的負担が大いに軽減したAさんは、無事に通勤できるようになり、B社で活躍しています。 事例2 〜聴覚障害者になった従業員が業務を継続するための機器の整備〜 【障害者作業施設設置等助成金(第1種)】  印刷業を営むD社で営業業務に従事していたCさんは、「突発性 難聴」により両耳が聞こえなくなり人工内耳を装用することとなり ましたが、人工内耳を装用しても、大人数や雑音の多い場所での会話、また電話での会話に聞き取りづらさが残っていました。そこでD社は、Cさんが従前どおりの営業業務に就きながら雇用を継続できるよう、会議で卓上に置いて使用したり、商談時に胸元につけたりして使用できる小型集音装置と人工内耳システムに対応した音声受信機を、助成金を活用して整備することとしました。また、小型集音装置は、社用の携帯電話(助成金対象外)とBluetoothで接続して通話も可能なものとしたことから、営業業務に必須である対面及び電話でのコミュニケーションが可能となり、Cさんの業務内容を変更することなく、働き続けられるようになりました。 ※支給に係る要件や申請の期限などの詳細は、都道府県支部高齢・障害者業務課(東京、大阪は高齢・障害者窓口サービス課)にお問い合わせください。  機構ホームページでも情報提供しています。https://www.jeed.go.jp/disability/subsidy 事例3 〜視覚障害者の業務をサポートする職場介助者の委嘱〜 【障害者介助等助成金(職場介助者の委嘱助成金)】  社会福祉法人Fで働く視覚障害のあるEさんは、施設長の業務を担当することになりました。全盲のEさんは普段の文書の読み書きでは点字を使用しているため、受け取った印刷物や手書きの文書は読み上げてもらったり、点字に訳してもらったりする必要があり、反対に施設で働くスタッフへの伝達事項などは文字で示す必要がありました。また、外出時の移動の安全確保も課題でした。そこで、助成金を活用して職場介助者を委嘱し、印刷物などの読み上げやスタッフへの伝達文書の作成補助、外出時の移動の付き添いをしてもらうことにしました。これにより、Eさんは施設長として業務を円滑に行うことができるようになりました。 事例4 〜聴覚障害者のリモート研修を支える要約筆記担当者の委嘱〜 【障害者介助等助成金(手話通訳・要約筆記等担当者の委嘱助成金)】  H社では社員研修を開催する際に、聴覚障害のあるGさんのために助成金を活用して手話通訳者を委嘱していました。ところが、新型コロナウイルス感染症対策としてテレビ電話によるリモート体制で研修を行うこととなり、画面越しの手話通訳では研修内容を把握することが困難となりました。そこで、Gさんのために要約筆記担当者を委嘱し、字幕を通じて研修を受講できるようにすることで、Gさんは自宅にいながら研修の正確な内容を把握することができるようになりました。 令和3年度より助成金が新設されました! New! 障害者介助等助成金 ・業務の遂行に必要な援助や指導を行う職場支援員を配置(= 雇用)または委嘱⇒職場支援員の配置又は委嘱助成金 ・職場復帰のために必要な職場適応の措置を行う⇒職場復帰支援助成金 職場適応援助者助成金 ・訪問型職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援⇒訪問型職場適応援助者助成金 ・企業在籍型職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援⇒企業在籍型職場適応援助者助成金 このような助成金もあります @作業施設、作業設備などの設置または整備を行う⇒障害者作業施設設置等助成金(事例2) A福祉施設の設置または整備を行う⇒障害者福祉施設設置等助成金 B雇用管理のために必要な介助などの措置を行う⇒障害者介助等助成金(事例3、事例4) C通勤を容易にするための措置を行う⇒重度障害者等通勤対策助成金(事例1) 障害者職業訓練推進交流プラザのご案内  厚生労働省および当機構では、「障害のある方の職業訓練を実施している」、または、「障害のある方の受入れを検討している」施設などの方を対象に、精神障害や発達障害、高次脳機能障害のある方などに対する職業訓練技法の普及を行っています。  その一環として、厚生労働省主催の「障害者職業訓練指導員経験交流会」と当機構主催の「障害者能力開発指導者交流集会」をあわせて「障害者職業訓練推進交流プラザ」として共同開催するものです。  今年度も、新型コロナウイルスの感染状況を考慮し、動画配信により開催することとしました。  みなさまのお申込みを心よりお待ちしております! 配信期間・方法 配信期間 令和3年10月25日(月)〜11月30日(火) 配信方法 YouTube にて動画配信(期間限定) 参加対象者 障害のある方の職業訓練を実施している、または、障害のある方の受入れを検討している施設など(障害者職業能力開発校、一般の職業能力開発校、民間の障害者職業能力開発施設、障害者委託訓練受託施設、都道府県人材開発主管課)の方 内容 ・行政説明 ・事例発表 ・訓練技法等の紹介 ★参加費は無料です。動画の視聴には事前の参加お申込みが必要です。 〜参加者の声〜 ●障害者雇用の現状が把握できた ●障害者職業訓練の具体的な成功事例がたいへん参考になった ●今後、導入期の訓練教材を参考にしていきたい ●動画配信なので、遠方からでも視聴できてよかった お申込み方法・締切り ◎お申込み方法  当機構ホームページ(https://www.jeed.go.jp/disability/supporter/intellectual/plaza_guide.html)から申込書をダウンロードできます。申込書に入力のうえ、当機構職業リハビリテーション部指導課 広域・職業訓練係あてに、メールまたは郵送でお申し込みください。  ※お申し込みいただくにあたり、事例発表等の各発表テーマに対するご意見をおうかがいしています。各テーマについて日ごろ思われていることや疑問に思うこと等についてお寄せください。各発表の最後に、寄せられたご意見にお答えする時間を設けます。それぞれの発表テーマにつきましてはご案内や申込書をご確認ください。 ◎締切り:令和3年9月30日(木)必着 ◎申込者への通知  令和3年10月20日(水)までに、メールにて動画のURLを送付いたします。10月20日(水)を過ぎてもメールが届かない場合は、お手数ですが、当機構職業リハビリテーション部指導課までお問い合わせください。 ホームページはこちら! ◎お問合せ先 厚生労働省 人材開発統括官付参事官(人材開発政策担当)付 特別支援室 障害者企画係 〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2 TEL:03-5253-1111(内線5962) 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター 職業リハビリテーション部指導課 広域・職業訓練係 〒261-0014 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-3 TEL:043-297-9030 E-mail:ssgrp@jeed.go.jp 写真のキャプション 昨年紹介したマニュアル 事例発表の様子 ※写真は令和元年度の集合開催時 【P15-18】 グラビア 「優秀勤労障害者」の活躍 ASKUL LOGIST株式会社 福岡物流センター(福岡県) 取材先データ ASKUL LOGIST株式会社 福岡物流センター 〒813-0019 福岡県福岡市東区みなと香椎2-2-1 写真・文:官野 貴  「ASKUL(アスクル) LOGIST(ロジスト)株式会社」は、事業所と一般消費者向けに通販サービスを手がける「アスクル株式会社」の子会社であり、物流センター業務、配送業務をになっている。福岡物流センターは、九州全県と中国地方の配送を担当する拠点だ。  同センターは、2020(令和2)年度「障害者雇用優良事業所」として当機構の「理事長努力賞」を受賞。ピッキングや梱包、補充棚入などの作業に従事する障害のある社員(以下、「メンバー」)2人も「優秀勤労障害者」として、同じく「理事長努力賞」を受賞している。  福岡物流センターでは、2012(平成24)年3月に特別支援学校からの新卒者を初めて採用。受賞した2人はその一期生だ。彼らの活躍が契機となり、その後、毎年採用が続いている。  商品補充業務を担当する河津(かわづ)右京(うきょう)さん(28歳)は、メンバーをまとめる“キャプテン”を任されている。「キャプテンになってからも、メンバーから相談されたことに対して、即時に対応できないこともあり、苦労しています。表彰してもらえると思っておらず、驚きました。日々の努力が認められたことにうれしく感じています。今後も、ずっと働き続けたいです」と語る。  ピッキングを担当する久田(ひさだ)恵祐(けいすけ)さん(28歳)は、「やりがいのある仕事です。お客さまからクレームが出ないように、気をつけて作業しています。働き続けられていること自体がうれしいです。受賞は日ごろの努力が報われたと感じています。社会のために役立っているように思え、本当にうれしかったです」と語る。  上司である副センター長の坂井(さかい)博基(ひろき)さんは、「知的障害や発達障害のある人は、言葉だけの説明では理解するのがむずかしい場合も多く、図や絵で説明することも必要です。ていねいな対応をしていくことで、お互いのコミュニケーション、マネージメント能力が向上し、職場内での人間関係も良好になります。障害者雇用率とともに、作業生産性が年々向上し、障害のある社員が、欠かせない戦力となっています」と語る。 写真のキャプション コンベアの上をコンテナが行き交う ASKUL LOGIST株式会社 福岡物流センター 自動倉庫からコンベアにより運ばれてきた商品を受け取る河津右京さん 指定されたデジタルピッキング用ラックの後部から商品を補充する ダンボール開梱用のカッターナイフやハンディターミナルが河津さんの仕事道具だ メンバーをまとめる「キャプテン」として活躍する河津右京さん 商品をピッキングし、コンテナやダンボールに詰める久田恵祐さん 商品の入れ忘れがクレームに直結してしまうため、しっかりと確認作業を行う @商品名と個数がモニターに表示される Aランプが点灯したラックから商品を取り出す Bピッキングした商品をコンテナに詰める 2020年、久田さん(右)は河津さんとともに、当機構福岡支部長(当時)から賞状を受け取った (写真提供:ASKUL LOGIST株式会社) 抜群のスピードと正確さを誇る久田恵祐さん。周囲からの信頼も厚い 【P19】 エッセイ 配慮は人のためならず 【第3回】 こんなはずではなかった障害者雇用 株式会社Ds's(ディーズ) メンタルヘルス・ラボ 代表取締役 (精神科医・産業医) 原 雄二郎 原 雄二郎(はら ゆうじろう)  精神保健指定医、日本精神神経学会専門医、日本医師会認定医。  金沢大学卒業後、東京女子医科大学病院、東京都立松沢病院、東京都立広尾病院勤務を経て、東京大学大学院に入学。卒業後、同大学院医学系研究科精神保健学分野客員研究員。同教室と連携し、鄭理香とともに「株式会社Ds’s メンタルヘルス・ラボ」を設立、代表に就任し、現在に至る。  臨床診療とともに、産業医・顧問医や研修講師として、職場のメンタルヘルス対策の支援を行っている。 上昇する法定障害者雇用率  読者のみなさんもご存知の通り、今年の3月より法定の障害者雇用率は上昇している。対象事業主もまた、拡大している。こうした流れは今後、加速していくことになりそうだ。このような変化のなかで、現場ではいろいろな齟齬(そご)が生じているようである。  私は精神科主治医としても、産業医としても業務をになっている立場であるため、雇う側からも雇われる側からも、「こんなはずではなかった」という言葉を聞くことがある。 雇う側の「こんなはずではなかった」  私の経験では、産業医が採用にかかわる場面は、自分と一緒に働く産業保健スタッフを除けば、ほぼない。  障害者雇用の場合でも、採用後はいろいろと要請があるが、採用そのものにかかわることは基本的に、ない。  まれに「○○障害のある方の雇用についてどう思いますか?」などと雑談の体でたずねられることもあるが、答えは必ず「一口に〇〇障害といっても千差万別であり、ケースバイケースとしかいえない」である。  そのようなことよりも、実際に就業が開始されてから「こんなはずではなかった」と相談を受けるケースが多い。雇う側の「こんなはずではなかった」をもう少しかみ砕くと、次のようなケースであることが多い。 ・事前に想定していたよりも症状が重かった、(故に)職場の配慮が想定以上に必要だった ・事前に期待していたよりも仕事のパフォーマンスが低かった 雇われる側の「こんなはずではなかった」  精神科主治医としての一番の治療のゴールは何かご存じだろうか。精神科医としては、「症状の回復」はもちろんであるが、その先に見すえているのは「社会への適応」である。  「社会」にもいろいろあり、ある人には「会社」、またある人には「学校」、さらにまたある人には「地域」や「家庭」がそうである。もちろん、複数のこともあるだろう。  精神障害のために退職を余儀なくされ、地道な治療に取り組み、障害者手帳を取得したり、訓練施設に通ったりと準備を進め、さらに数カ月、あるいは年単位で就職活動を続け、ようやく就職が決まったと報告を受けたときの主治医の心境は、本当にうれしい。  そして、それと同じくらい、「うまくいって(適応して)くれよ!」と祈る心境だ。ドキドキして送り出し、そして、就職後の診察の度に「大丈夫か、大丈夫か」とドキドキして待ち構える。そこで「こんなはずではなかった」が出ることがある。  雇われる側の「こんなはずではなかった」は、おもに次のようなケースである。 ・期待する配慮が得られていない ・聞いていた内容と違う仕事である 「こんなもの」である  双方の「こんなはずではなかった」は、事前の双方のコミュニケーション不足、認識のギャップが要因であることが多い。であれば、当然「事前によく話し合いましょう」となるわけだが、でも、でも、である。あえていえば、「こんなもの」である。  どこまで事前に詰めても、齟齬は生じるものと考えた方がよい。それよりも、齟齬が見つかったことを出発点として、お互い歩み寄り、すり合わせていく努力を続けるほかない。  近ごろは、ジョブコーチなど社会資源も充実してきているので、そのような資源を積極的に用いるのも手である。  そして、職場のことをよくわかり調整ができる産業医、障害者の社会適応をだれよりも願っている主治医もまた、有用な資源として考えていただければ幸いである。 【P20-25】 編集委員が行く “働く”を支える専門職 〜企業内で活躍する精神保健福祉士(MHSW)座談会〜 有限会社まるみ 取締役社長 三鴨岐子 取材先データ 株式会社あしすと阪急阪神 〒530-0012 大阪府大阪市北区芝田1-16-1 阪急電鉄本社ビル12F TEL 06-6373-5636 株式会社スミセイハーモニー 〒540-0001 大阪府大阪市中央区城見1-4-35 TEL 06-6937-1490(代表) 株式会社ベネッセビジネスメイト 〒206-0033 東京都多摩市落合1-34 ベネッセコーポレーション東京ビル内 TEL 042-355-3536 楽天ソシオビジネス株式会社 〒158-0094 東京都世田谷区玉川1-14-1 楽天クリムゾンハウス TEL 050-5817-3217 編集委員から  今回は、企業で働く精神保健福祉士の方々とオンラインで座談会を開催しました。有資格者ならではの、企業での支援活動などについてご紹介します。 写真:官野 貴 Keyword:精神保健福祉士、特例子会社、定着支援、マネジメント支援 【座談会参加者】 ・城(じょう)美早(みさき)さん 株式会社あしすと阪急阪神 事業部 相談窓口リーダー ・冨賀(とみか)理恵(まさえ)さん 株式会社スミセイハーモニー ダイバーシティ推進室長 ・網代(あじろ)美保(みほ)さん 株式会社ベネッセビジネスメイト 人事総務部 定着推進課 ・五味渕(ごみぶち)律子(りつこ)さん 楽天ソシオビジネス株式会社 人事部 定着支援グループ マネージャー POINT 1 企業における精神保健福祉士の役割 2 マネジメント層や支援職が役割を果たすための支援 3 企業の一員として障害者が活躍できるよう調整 資格のある支援職は、現場全体を支援する 三鴨 みなさま本日は、お忙しいなかお時間をつくっていただき、ありがとうございます。  企業で働く精神保健福祉士(以下、「MHSW」)(※)のお仕事について、お話しいただける機会はなかなかないので、楽しみにしていました。  お仕事内容の紹介からお願いします。 城 「株式会社あしすと阪急阪神」の城です。  障害のある社員との面談、現場訪問、支援者・医療機関との定期的な連携、採用活動などにかかわっています。 冨賀 「株式会社スミセイハーモニー」の冨賀です。  弊社は身体障害、聴覚障害、精神・発達障害のある方がそれぞれ60〜70人、知的障害のある方が約20人在籍しています。もともと身体障害のある方が中心の会社だったのですが、ここ3〜4年、精神・発達障害のある方の入社が多く、大勢の身体障害のある社員のなかに、精神・発達障害のある社員を、どのようにうまく受け入れていくか、という課題があります。  私は障害者の職業訓練校で20数年就労支援を行い、その後、弊社に入社しました。現在は相談窓口、産業医と連携しながら衛生委員会・産業医面談・ストレスチェックといったメンタルヘルス対策、長期休職者の復職支援、管理者のマネジメント支援、研修講師など、その対応は多岐にわたります。社内には20人超の支援者がおりますが、求められる支援業務を効果的に果たせるよう配置、サポートするのも大きな役割です。ダイバーシティ推進室創設までの2年間は、一人で支援をしていた経緯があります。 網代 「株式会社ベネッセビジネスメイト」の網代です。職場定着支援を担当しています。業務状況の確認、面談などを通して、支援職を含めた社員のサポートをしています。また、採用に向けた実習の受入れ窓口、支援機関との連携、社員向け研修の企画・運営も行っています。障害のある社員向けには、服薬セミナーや睡眠学習会などセルフケア力アップのための研修、支援職向けにスキルアップ研修などを実施しています。 五味渕 「楽天ソシオビジネス株式会社」の五味渕です。  人事部定着支援グループでは、おもに三つの業務を行っています。  @精神・発達障害者の定着支援のための面談対応、事業部(現場)からの相談・調整、外部支援機関との連携、A知的障害者の採用と定着支援、特別支援学校との連携、実習対応、事業部からの相談・調整、B障害者の中途採用活動、支援機関向けの会社説明会、実習・トライアルの受入れ対応、などです。  現場には障害のある社員、障害のない社員がおり、そこに定着支援グループの専門職が側面からかかわり、サポートしています。担当者が一人でやりきれないところは、チームでフォローしながら対応しています。 三鴨 支援職といえば、個別支援を思い描いていましたが、みなさまの業務が多岐にわたっていて、驚きました。 冨賀 MHSWに社内でどんな仕事をしてもらうのがよいかが明確ではなく、役割の整理がしづらい会社もあると聞きます。弊社においても5年前から始まったばかりの社内支援で、手探りで必要な役割や体制を築いているところです。 三鴨 昨年から、コロナ禍でメンタルケアの必要性がさらに増しています。  MHSWは福祉の専門職と思われがちですが、企業にも配置されていくのが望ましいのではないか、と感じます。各社のMHSWは、働きながら資格取得をしている方も多いようですね。 冨賀 精神・発達障害のある方の就労も増えてきていますので、MHSWの学びの重要性は感じています。 城 MHSWは、社会福祉学が基盤で、では福祉とは何かと考えると、他者への思いやり、つまり、人として社会で生きていくうえで、あたりまえのことだと思っています。  障害のある方々は、働くことのスタート地点にも立てなかったという歴史があるので、そこを支えるのは、精神・発達障害でも知的障害のある方に対しても同じだと思っています。 網代 当社では、東京都と岡山県で合計7人のMHSWが働いています。 城 当社は3人で、私以外の2人は、社会福祉士の資格も取得しています。 仕事で大切にしていること 三鴨 仕事をしていくうえで、大切にしていることを教えてください。 冨賀 公平中立な立場で組織と、障害のある社員個人とかかわることです。それから、弊社は支援者が大勢おりますが、逆に「支援がないと障害者は働けない」というメッセージになってしまわないか、といった懸念も感じています。一人ひとりが持っている力を引き出す役割を果たしながらも、自立を妨げずに、成長につながる支援を意識しています。  私は社外(前職は障害者職業訓練校に勤務)から企業内の支援に移って感じるのは、障害のある社員の個別ニーズに応えることも大切ですが、会社組織全体から見たニーズとのバランスもとても大切で、個々を活かしながら、みんなで会社に貢献できる支援に取り組んでいます。 城 自己実現を応援したいと思っています。MHSWの一番の強みは、何気ない表情や視線、声のトーンなどあらゆる情報から本人の困りごとやいいたいことを引き出せること、現実的な相談の背景に気づけることだと考えます。それと、私の部署は「相談窓口」なので、まずは相談に来てくれたことを歓迎したいです。相談に来るまでの悩み、葛藤、恥ずかしさなど、いろいろな感情を持ちつつ、来てくれたことにありがとう≠伝えたいです。  また私は、「なんでも相談してください」というスタンスなので、恋愛相談でも大歓迎です。精神障害のある方が恋愛をするって、症状がよくなっている証拠だと思いますし、将来的にパートナーと一緒に住むとか子どもを持つとか、生活支援にもかかわってくると思うので、社内の相談員にいえるのであれば、ぜひ相談してほしいと思っています。 五味渕 専門職で知識があると、障害者からの発信に注力してしまうこともありますが、あくまでも事業部との中立な立場を保ち、ビジネス視点を持ちつつ、ご本人が活躍できる場をつくれる調整力が必要だと感じます。その連携のための情報共有が大事だと思っています。 網代 個人に向き合うときは、自分の価値観で判断するのではなくて、その人にとって何が大切なのかを考え、それを尊重しながら、しっかりと向き合うようにしています。それと同時に企業の一員として外してはならないことがあるので、その両立が必要になります。このバランス感覚が、この仕事にはとても大切だと思っています。 定着支援について 三鴨 入社してから、いろいろな準備が足りないとか、体調悪化で離職する方もいると思いますが、どのような対策を取っていますか。 冨賀 まず採用の段階で、長く定着して働けるかどうか、会社と本人双方の見きわめが大切だと感じています。入社してから合わずに辞める、そして再就職活動をするといった流れは、自信喪失や落ち込みを経て、また前向きに進めるようになるまでの精神的な負担も大きく、本人も周囲もかなりエネルギーが要ります。弊社の場合、業務内容や社内の雰囲気が合うかどうかのマッチングと、それ以上に現在勤めている社員と協調しながら働けるかを重視しており、ありがたいことに早期退職者はほとんどいない状況です。 網代 実習やハローワークの「トライアル雇用」を活用しています。その人の得意なところで力を発揮できるようにマッチングの精度を高めることを目ざしています。しかし、2週間程度の実習では、少々きつくてもがんばれてしまう人もいて、就労してからミスマッチが発覚することもあります。そんな場合でも会社としては採用責任があるので、できることはすべて手を尽くします。そこで私たち専門職は、その人が持っている力を発揮できる環境を整え、その人に合った適切なサポート方法を考えます。  ただ、私たちの支援では支えきれない場合もあり、そのときは、本人にとっても別の道に進んだ方がいいのかもしれないと悩むこともあります。 MHSW専門性の発揮 網代 実は私は今年の3月に資格を取得しました。障害者にとって「働く」という人生の大事なことにかかわるには、もっと専門性がある方がよいと思いましたし、専門性があれば社内で発言するときに、障害のある社員の状況をしっかり伝えられるのではないかと考えました。  最近は、例えばこだわりが強く、仕事がうまくいかない社員と話すときなど、自分の思いやアドバイスをうまく伝えられるようになったと思います。こんなときには、資格取得までの学びを実務で活かせていると感じます。 城 専門的な学びをしていると、たとえ上司に対しても、迷わずに正しい知識をしっかりお伝えできます。個別支援では、対人関係や家庭の事情もからんで不安定になり、退職を希望してきた社員との面談で、何がいちばんしんどいのか、どうしたら仕事を続けられるのかを掘り下げ、退職を回避できたのはよかったです。  また、社内で、「精神・発達障害のある方のことがよくわからない」といわれたときに、精神障害の発病の経緯や発達障害の特性をお伝えしたり、知り合いの精神科病院を見学させていただいたこともありました。思春期に発病し、長期間病院生活をした人の、社会経験の少なさなどを実感してもらい、彼らへの理解の参考にしてもらいました。 五味渕 専門職の社員は、さまざまなバックグラウンドがあり、社内で起こることの予測の可能性の引き出しをたくさん持っていると感じます。事業部門からは専門的な意見を求められることもありますので正確な情報を伝え、理解してもらいながら関係構築につなげていくことが必要です。 冨賀 障害のある社員が求める合理的配慮について、管理職の方から「これは障害特性から必要なのか、単なる甘えなのか」といった質問にアドバイスするときなど、専門性が活かせていると思います。私はもともと資格がないまま障害者支援の仕事を始め、働きながら資格を取得しました。資格取得のきっかけの一つに、障害のある方から「資格がない人のアドバイスは聞きません」とはっきりいわれたことがあり、資格があることで信頼され、相手に支援が届きやすくなることもあると感じています。  また、障害者支援において、特に距離感の取り方は重要だと思います。構築した関係が依存関係になってしまうと、自立をうながせず就労が安定しないといった、悪い結果につながることもあります。支援経験を積んでわかってきたことも多いのですが、これからさらに精神・発達障害のある方の就労が進むこともあり、専門知識とともに経験をふまえたお話などを伝えていくことも大事だと、今日みなさんのお話からあらためて感じました。 企業の都合、個人の都合のバランス 城 弊社の入社の条件の一つに、1日7時間勤務ができることがあります。前職は支援機関で精神障害のある人の就労支援をしていました。症状や薬の副作用で、疲れやすさや朝の起きづらさによりフルタイム勤務が難しい人もいます。そのような視点では、入社までの壁が高いな、と感じることもあります。  いま、高齢になってきた社員で7時間勤務がきつい人が出てきました。離職しないで済むように、体力に配慮した業務の切り出しがむずかしいと感じています。 五味渕 本人の希望を叶えると、会社に負荷がかかるケースは当然あります。どちらを優先させるかではなく、いかに妥協点を探すかがむずかしいです。専門性を活かした定着支援グループを、特例子会社の仕組みのなかでどう運用していくべきかを考えているところです。 支援機関との連携 城 支援機関のついていない社員もいます。強制ではありませんが、支援機関がつくことのメリットを、ご家族にも説明しています。もちろん、社内でも支援はしていますが、外部支援者だからこそ、相談しやすいこともあると思います。 網代 外部支援機関がついていると、会社と本人のやり取りの齟齬(そご)があったとしても、あとからうまく通訳をしてくれたりするメリットが大きいかな、と思います。 五味渕 トラブルが起こったときに、第三者の視点で、本人、家族、医療との交通整理をしてくれるのが、会社としても安心だと思います。 三鴨 理想はそうですが、支援機関が会社を誤解していることも……。 一同 ありますね。 冨賀 弊社の採用は支援機関がついていることが必須条件ではありませんが、最近は支援機関がついている方の入社が多いです。それは、ご自分の障害受容や、配慮事項の整理を支援機関で行っている方が多いからだと思います。また、グループホームから通われる社員など、生活支援は支援機関や世話人さんがやってくださるケースもあります。  ただ、会社に対して支援機関のリクエストが過剰だと、会社は対応が困難になります。私は外部と内部双方での支援経験から、会社と支援機関それぞれが役割をしっかり認識して、本人にとって本当に必要な支援は何なのかを見きわめることが大切だと思っています。 三鴨 定着支援が始まって3年くらいだと思いますが、会社と支援機関との情報共有についてはまだ課題が多いのではないでしょうか。 五味渕 支援機関担当者の業務時間内に情報共有しなくてはならないので、タイミングが合わないこともあります。もう少し、柔軟かつ円滑に情報共有できるようになりたいですね。 今後期待される役割や、やりたいこと 三鴨 今後、MHSWに期待される役割や、やっていきたいことなどをお聞かせください。 城 メンタルヘルス対策の予防研修などを実現したいです。(世の中の)MHSWに対しては、障害のある方の自己実現を応援する仲間として、就労支援のさまざまなサービスや障害者雇用のことをもっと知ってもらいたいと思います。 冨賀 安心して長く働ける職場環境づくりを第一にやっていきたいです。弊社はいま、組織拡大にともなう大きな変化のなかにあり、その変化に合わせた適切な支援ができる仕組みづくりや、チーム支援の組織力アップを図りたい。それと、社会には「働きたい」という障害のある方がまだまだたくさんいらっしゃると思うので、一会社内の取組みではありますが、そのような方々に、勇気と希望を感じてもらえるような働きをしていきたいと思います。 網代 会社にとっても本人にとっても、大切なのは不調の予防だと思います。私は、障害のある社員が不安になったときに、ちょっと立ち寄れて、少し休んで回復し、元気になってまた働くことができるようなリワーク室をつくりたいと思っています。 五味渕 専門的な視点を持って多角的なサポートをすることで、会社全体の障害者雇用が円滑に機能していくことに注力していきたいと思います。障害者の個別相談にとどまらず、会社のなかで、どういう立ち位置で活動していくかということが、専門職が存在するグループの新たな価値の創出につながると考えています。障害者雇用がさらに進み、みんなが笑顔で働きながら、かつ会社の発展につながることを間接的にサポートできる組織づくりに取り組んでいきたいです。そのように活躍できる専門職が、企業のなかで期待されている役割だと思います。 座談会を終えて  4社のお話から、MHSWが日ごろどのような業務をされているかを知ることができ、とても有意義な座談会でした。  私の少ない経験では、医療機関・福祉機関で働くMHSWは当事者への個別支援と周辺の機関とのパイプ役が主業務だと認識していましたが、企業内ではマネジメント支援(障害のある社員の上長への支援)が必須で、まさに、専門性を必要とされている業務だと感じました。それは、障害のある社員とのかかわりを、一部の方に限定するのではなく、全社をあげてかかわり、一緒に働いていく時代に入ってきたからこそ、全社的な環境整備が求められているので、とても喜ばしいことと思います。  障害のある方にとっても働くことは、人生において大きな意味を持っているので、今後多くの企業に、就労を支える専門職の力が発揮されるとよいと思いました。  今回、ご参加いただいた4社は、限定したわけではありませんが、すべて特例子会社でした。やはり特例子会社は先進的な事例をつくり出していく役割もあり、今後このようなよい取組みが、一般企業にも浸透していくことを期待しています。 ※精神保健福祉士の英語表記はPsychiatric Social Worker(精神医学ソーシャルワーカー)とされ、長らくPSWの略称が使用されてきたが、現在欧米ではPsychiatricよりもMental Healthが主流となっており、公益社団法人日本精神保健福祉士協会は2020年6月21日より、「Mental Health SocialWorker(略称 MHSW)」を使用している。 写真のキャプション 株式会社スミセイハーモニー ダイバーシティ推進室長の冨賀理恵さん (写真提供:株式会社スミセイハーモニー) 株式会社あしすと阪急阪神 事業部相談窓口リーダーの城美早さん (写真提供:株式会社あしすと阪急阪神) 楽天ソシオビジネス株式会社 人事部 定着支援グループマネージャーの五味渕律子さん (写真提供:楽天ソシオビジネス株式会社) 株式会社ベネッセビジネスメイト 人事総務部定着推進課の網代美保さん (写真提供:株式会社ベネッセビジネスメイト) インターネットを利用したビデオ会議システムで、お話をうかがった あしすと阪急阪神の城さんは、相談窓口のMHSWとして、社員のさまざまな悩みの相談に乗っている(写真提供:株式会社あしすと阪急阪神) スミセイハーモニーの冨賀さんは、自立を妨げず成長につながる支援に取り組んでいる(写真提供:株式会社スミセイハーモニー) ベネッセビジネスメイトの網代さんは、指導員向けの研修なども行っている (写真提供:株式会社ベネッセビジネスメイト) 楽天ソシオビジネスの五味淵さんは、多角的なサポートをめざしている (写真提供:楽天ソシオビジネス株式会社) 【P26-27】 省庁だより ハローワークを通じた「障害者の就職件数」が12年ぶりに減少 ─令和2年度 障害者の職業紹介状況等─ 厚生労働省 職業安定局 障害者雇用対策課  厚生労働省は6月25日、令和2年度の障害者の職業紹介状況をまとめました。  ハローワークを通じた障害者の就職件数は、令和元年度の 10万3163件から、8万9840件(対前年度比12.9%減)と12年ぶりに減少しました。 〈ポイント〉(第1表)  〇ハローワークにおける障害者の新規求職申込件数は21万1926件で、対前年度比5.1%減となり、平成11年度以来、21年ぶりに減少した。また、就職件数は8万9840件で、対前年度比12.9%減となり、平成20年度以来、12年ぶりに減少した。  〇就職率(就職件数/新規求職申込件数)は42.4%で、対前年度差3・8ポイント減となった。  〇新型コロナウイルス感染症の影響もあり、「製造業」、「宿泊業、飲食サービス業」、「卸売業、小売業」といった障害者が比較的応募しやすい業種の求人数が減少するとともに、求職者の就職活動が抑制されたことが、就職件数の減少につながったと考えられる。また、ハローワークに届け出のあった障害者の解雇者数は、2191人で、前年度(令和元年度は2074人)より増加したものの、月別の推移を見ると、年度後半においては、一定の落ち着きを見せていると考えられる。 〈産業別にみたときの特徴〉(第2表) ○産業別の就職件数は、「医療、福祉」(3万4417件、38.3%)の割合が大きく、「卸売業、小売業」(1万515件、11.7%)、「製造業」(1万357件、11.5%)、「サービス業」(9213件、10.3%)が続いている。 〈職業別にみたときの特徴〉(第3表)  ○職業別では、「運搬・清掃・包装等の職業」(3万208件、33.6%)の割合が大きく、「事務的職業」(1万9703件、21.9%)、「サービスの職業」(1万1276件、12.6%)、「生産工程の職業」(9824件、10.9%)が続いている。 ※本誌では通常西暦で表記していますが、この記事では元号で表記しています 第1表 ハローワークにおける障害者の職業紹介状況(令和2 年度) @新規求職申込件数 A有効求職者数 B就職件数 C就職率(B/@) 前年度比 前年度比 前年度比 前年度差 合計 211,926(件) △5.1(%) 331,266(人) 10.2(%) 89,840(件) △12.9(%) 42.4(%) △3.8(ポイント) 身体障害者 57,691 △7.0 107,191 8.6 20,025 △21.4 34.7 △6.4 知的障害者 34,300 △6.9 52,264 4.1 19,801 △9.6 57.7 △1.7 精神障害者 95,385 △11.3 144,611 8.8 40,624 △18.1 42.6 △3.6 その他の障害者(注) 24,550 45.6 27,200 45.6 9,390 52.2 38.2 1.6 (注)「その他の障害者」とは、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳等を保有しない者であって、発達障害、高次脳機能障害、難治性疾患等により、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者である。ただし令和2年度1月のハローワークシステム刷新の影響により、障害者手帳を所持する方も一部計上されている。 第2表 産業別就職件数(令和2年度) 産業 障害者計 身体障害者 知的障害者 精神障害者 その他の障害者 前年度比 前年度比 重度 前年度比 前年度比 重度 前年度比 前年度比 前年度比 合計 89,840(件) △12.9(%) 20,025(件) △21.4(%) 7,384(件) △30.0(%) 19,801(件) △9.6(%) 3,330(件) △15.7(%) 40,624(件) △18.1(%) 9,390(件) 52.2(%) 農林漁業 1,253 21.1 232 15.4 65 △4.4 298 6.4 42 △6.7 593 23.3 130 78.1 鉱業,採石業,砂利採取業 23 △14.8 12 0.0 3 50.0 2 △60.0 0 − 8 0.0 1 △50.0 建設業 2,830 △0.7 910 △3.9 305 △11.8 437 2.1 40 △31.0 1,229 △4.0 254 30.3 製造業 10,357 △22.8 2,058 △31.6 729 △40.2 3,140 △18.3 429 △32.0 3,982 △30.0 1,177 34.5 電気・ガス・熱供給・水道業 91 △27.2 25 △47.9 12 △40.0 7 16.7 1 − 50 △20.6 9 12.5 情報通信業 1,319 △27.8 317 △29.9 149 △41.6 139 △6.7 40 0.0 649 △40.7 214 60.9 運輸業,郵便業 3,798 △19.7 1,131 △27.9 363 △37.8 893 △12.1 170 11.8 1,402 △25.4 372 38.3 卸売業,小売業 10,515 △14.9 1,789 △27.3 632 △36.4 3,186 △6.8 535 △8.9 4,401 △23.4 1,139 56.0 金融業,保険業 935 △21.2 340 △29.6 131 △37.9 124 △8.1 24 26.3 353 △31.9 118 131.4 不動産業,物品賃貸業 878 △24.0 246 △28.1 90 △31.3 141 △31.2 20 △51.2 383 △26.5 108 22.7 学術研究,専門・技術サ−ビス業 1,826 △8.6 443 △7.5 181 △19.2 178 △33.8 33 △32.7 954 △11.5 251 46.8 宿泊業,飲食サ−ビス業 2,936 △31.7 610 △38.0 210 △45.3 946 △27.2 167 △27.4 1,137 △37.4 243 23.4 生活関連サ−ビス業,娯楽業 1,627 △31.2 379 △34.3 128 △41.0 431 △29.5 82 △29.9 664 △36.6 153 18.6 教育, 学習支援業 2,260 △6.8 717 △13.3 273 △23.3 301 △3.2 59 △16.9 1,015 △12.4 227 76.0 医療,福祉 34,417 △3.7 6,515 △15.4 2,681 △22.3 6,872 △0.7 1,233 △9.1 17,674 △7.3 3,356 62.2 複合サ−ビス事業 672 △18.8 162 △24.3 53 △30.3 172 △17.3 26 0.0 270 △26.2 68 70.0 サ−ビス業 9,213 △12.5 2,277 △16.3 748 △27.9 2,196 △8.8 382 △19.4 3,791 △20.8 949 55.3 公務・その他 4,890 △22.0 1,862 △24.2 631 △35.8 338 △12.9 47 △13.0 2,069 △31.6 621 56.0 第3表 職業別就職件数(令和2年度) 職業 障害者計 身体障害者 知的障害者 精神障害者 その他の障害者 前年度比 前年度比 重度 前年度比 前年度比 重度 前年度比 前年度比 前年度比 合計 89,840(件) △12.9(%) 20,025(件) △21.4(%) 7,384(件) △30.0(%) 19,801(件) △9.6(%) 3,330(件) △15.7(%) 40,624(件) △18.1(%) 9,390(件) 52.2(%) 管理的職業 101 0.0 42 △6.7 15 △37.5 4 0.0 0 △100.0 41 △18.0 14 600.0 専門的・技術的職業 6,568 △5.0 2,193 △14.6 980 △24.7 261 6.5 47 20.5 3,303 △5.9 811 37.5 事務的職業 19,703 △18.0 5,430 △27.7 2,208 △34.2 1,814 △15.5 249 △21.5 9,752 △23.1 2,707 58.7 販売の職業 4,228 △11.3 712 △19.1 243 △28.1 1,346 △4.2 213 △4.1 1,750 △19.1 420 30.4 サ−ビスの職業 11,276 △10.8 2,495 △17.3 832 △22.4 2,753 △10.8 447 △16.4 5,068 △13.0 960 35.0 保安の職業 1,162 △7.5 520 △11.4 143 △23.9 113 △8.9 12 △7.7 440 △6.6 89 20.3 農林漁業の職業 3,097 5.6 411 △2.6 129 △18.9 913 3.2 182 7.7 1,462 0.6 311 79.8 生産工程の職業 9,824 △17.4 1,758 △25.8 648 △35.5 2,922 △13.4 428 △27.5 4,076 △24.2 1,068 37.6 輸送・機械運転の職業 2,540 △13.3 1,303 △17.4 338 △35.7 137 23.4 11 37.5 919 △15.0 181 13.8 建設・採掘の職業 1,133 △1.6 297 △12.4 68 △37.0 266 13.2 21 △22.2 484 △4.5 86 22.9 運搬・清掃・包装等の職業 30,208 △12.5 4,864 △21.2 1,780 △28.3 9,272 △9.8 1,720 △15.3 13,329 △19.2 2,743 73.1 分類不能の職業 0 − 0 − 0 − 0 − 0 − 0 − 0 − 【P28-29】 研究開発レポート 除外率制度の対象業種における障害者雇用に関する実態調査 障害者職業総合センター研究部門 事業主支援部門 社会的支援部門 1 はじめに  除外率制度は、2002(平成14)年の障害者雇用促進法改正で廃止されたものの、経過措置として当分の間は維持することとされ、2004年と2010年の率の引下げ後は、除外率設定が維持されています。しかし、法律的には除外率制度を廃止することとされているなかで、雇用が困難とされてきた業種でも障害者雇用に対する先進的な取組みはみられ、また「障害者とともに働くことが当たり前の社会」という理念にも合致しません。そこで、障害者職業総合センターでは除外率設定業種における障害者雇用の実態調査や諸外国の対応にかかわる情報収集を行い、除外率設定業種における障害者雇用の現状・課題・実際の取組み事例を把握し、除外率廃止に向けて考えられる対策を整理しました。本稿でその一部を紹介します。 2 調査結果の概要 (1)事業所に対する質問紙調査  2018年障害者雇用状況報告において除外率が適用される企業から2万5700事業所を抽出し、人事管理担当者に質問紙への回答を求め、7341事業所から回答を得ました。  このうち1870事業所から、障害者が就業することが困難だと認められる職種(対象職種)の業務に従事する障害者数が1人以上いると回答がありました。対象職種における雇用管理改善は「実施無」が約6割を占め、「実施有」の回答の中では「障害者本人の安全を確保できるような工夫・改善」の実施率(26.3%)が最も高くなりました(図1)。また、対象職種の業務に関連する技術革新の世間一般の進展状況については「ない」が約4割強、技術革新の導入状況については、「導入無」が全体の約6割弱を占め、「導入有」の回答の中では「少ない身体的動作で業務ができるようなツール・設備等」と「障害者本人の安全を確保できるようなツール・設備等」の導入率(ともに9・1%)が最も高くなりました(図2)。技術革新の内容は、特殊な装置などのほか、タブレットやカーナビ、オートマチック車など日常生活で普及しているものも多くみられました。  現在、障害者が就いていない業務に障害者を配置するとしたら、どのような支障があるかは、「業務遂行を手助けする援助者、介助者が必要になる」(63.1%)と「業務上の安全が確保できない。本人に危険が伴う」(59.8%)の選択率が高くなりました。  除外率の廃止・縮小に資する取組みなどのアイディア・意見(自由記述)は、@業種以外の観点による除外率の設定、A法定雇用率の算定方法などの見直し、およびB障害者雇用を行う事業主に対する支援の三つに分類されました。 (2)企業に対するヒアリング調査  対象職種で雇用される障害者がになう業務内容、直面している課題と課題解決のための配慮や工夫の内容などを具体的に把握するため、事業所質問紙調査協力企業の人事・労務管理担当者などを対象にヒアリング調査を実施し、8社の事例分析を行いました。  対象職種の採用は、看護師や保育士など特定の免許や技能があることを前提とし、一般求人に障害者が応募してきた際、必要とされる資格の有無などを考慮して行われている場合が多く、実際の配属については体力面の負担などを考慮し、本人のペースで進めやすい業務が選ばれている傾向もありました。ある保育園の下肢障害のある保育士は、3歳児以上のクラスは園児たちの速い動きについていくのが負担であり、1歳児以下のクラスでは園児を抱きかかえることが多く足腰の負荷となるため、相対的に勤務しやすい2歳児クラスを担当していました。また、対象職種の業務に関連する技術革新は、障害者の労働環境改善が目的ではないものの、作業員や周囲の人の安全、利便性に資するものであり、結果として障害のある社員の働きやすさにつながっていました。ある警備業の企業では、モニターやセンサーを活用した遠隔・駆けつけ警備(機械警備)のシステムを採用したことにより、障害のある警備員が負担なく勤務できるようになっていました。 3 まとめ  前述のように、現在、障害者が就いていない業務に障害者を配置する場合、「人的支援」と「本人・周囲の安全確保」の2点が支障となっており、また対象職種の業務に就くためには免許・資格などが必要となることや、警備業法などの制度の存在が対象職種における障害者雇用の課題だと考えられます。  雇用管理改善は低予算・低コストで実施できるものもあるため、具体的な取組み事例の提供や、企業に技術革新を障害者雇用にどのように結びつけ、どのような効果が得られるかなどを具体的に示すことが必要だと考えられます。  除外率廃止・縮小に対して否定的な意見が多かったことから、企業に対し、除外率廃止・縮小の必要性にかかわる説明を行って理解を得るとともに、除外率未設定業種も含めた業種間で不公平感が残らないような対応が必要だと考えられます。  本調査研究の成果として、「除外率設定業種における障害者雇用事例集ー職場での工夫と配慮ー」(※)を作成しましたので、ぜひご活用ください。 ★本調査研究報告書は下記ホームページからご覧いただけます  「調査研究報告書 No.158」https://www.nivr.jeed.go.jp/research/report/houkoku/houkoku158.html ※https://www.nivr.jeed.go.jp/research/kyouzai/kyouzai72.html ◇お問合せ先:研究企画部 企画調整室(TEL:043-297-9067 E-mail:kikakubu@jeed.go.jp) 図1 対象職種における雇用管理改善の実施状況 (対象職種障害者雇用事業所1,870事業所にかかわるもの) 高度な知識・経験を要せず業務ができるような工夫・改善 実施有14.5% 実施無66.2% 無回答19.3% 少ない身体的動作で業務ができるような工夫・改善 実施有19.1% 実施無63.3% 無回答17.6% 他人の安全を確保できるような工夫・改善 実施有15.9% 実施無63.4% 無回答20.7% 障害者本人の安全を確保できるような工夫・改善 実施有26.3% 実施無55.7% 無回答18.0% 体調・精神面の変化が不安定でも業務ができるような工夫・改善 実施有23.3% 実施無58.1% 無回答18.6% 図2 対象職種の業務に関連する技術革新の導入状況 (対象職種障害者雇用事業所1,870事業所にかかわるもの) 高度な知識・経験を要せず業務ができるようなツール・設備等 導入有8.3% 導入無57.0% 無回答34.7% 少ない身体的動作で業務ができるようなツール・設備等 導入有9.1% 導入無56.4% 無回答34.4% 他人の安全を確保できるようなツール・設備等 導入有8.1% 導入無55.6% 無回答36.3% 障害者本人の安全を確保できるようなツール・設備等 導入有9.1% 導入無54.9% 無回答36.0% 体調・精神面の変化が不安定でも業務ができるようなツール・設備等 導入有6.7% 導入無57.0% 無回答36.4% 【P30-31】 ニュースファイル 地方の動き 神奈川 就労施設への業務依頼窓口を開設  厚木市で、障害者の就労施設への業務依頼を受けつける窓口「厚木市障がい者就労施設共同受注窓口(通称・てとて)」が開設された。発注を増やし、障害者の安定的な就労と工賃の確保を目ざす。  「てとて」は、業務を依頼したい企業・団体などと、依頼に対応できる就労施設の両者をつないでコーディネートする役割を果たす。現在、市内の15施設が登録しており、「てとて」を通して発注できるのは、食料品(お弁当、パン、クッキーなど)や小物・雑貨など自主製品の製造となっている。また清掃、除草、クリーニング、ポスティング、箱詰め、印刷、チラシ折りなどの役務・受託加工サービスにも対応する。  問合せは「てとて」(工房 小野橋内)まで。電話:046−248−8351 https://www.atsugikyodojuchu.com/ 生活情報 三重 バリアフリー観光を促進  伊勢志摩地域でのバリアフリー観光促進に向け、「公益社団法人伊勢志摩観光コンベンション機構」(伊勢市)、「NPO法人伊勢志摩バリアフリーツアーセンター」(鳥羽市)、「株式会社ミライロ」(大阪府)が協定書を交わした。障害者にストレスなく観光を楽しんでもらう環境づくりの一環として、ミライロが開発した障害者手帳アプリ「ミライロID」の導入拡大を目ざす。  同アプリを登録した障害者は、連携施設での割引サービスなどを得られる。これまで12施設が導入し、さらに普及を広げていく方針。 島根 「はみがきカード」を考案  江津(ごうつ)市内の障害児者と家族、地域住民らでつくる「江津市の子どもの社会参加を考える会(はらぺこ会)」が、発達障害などへの理解を深めてもらう活動のなかで、歯磨きの手順をわかりやすく記した「はみがきカード」を考案した。  カードは24枚組で、「みぎうえのうら ゴシゴシ10回」、「ひだりうえのまえ ゴシゴシ10回」など歯磨きの手順を絵にし、ラミネートフィルム加工した。洗面台などに取りつけ、手でめくりながら、一人でていねいに歯磨きができるよううながしている。テーマ型の赤い羽根共同募金活動として50セットをつくり、地元の養護学校や事業所などに配布。はみがきカードは、1000円の寄付で1セットを返礼している。 http://blog.livedoor.jp/honwakakai-prejob/ 働く 富山 福祉人材育成へ6法人が連携  県内の6社会福祉法人が、福祉人材の育成に連携して取り組む「とやまの福祉よくするネットワーク」(略称・とっと)を設立した。新型コロナウイルス感染拡大で、福祉施設での学生ボランティアの活動が制限されているため、リモートで学生と高齢者や障害者が交流できる取組みを検討する。  参加するのは、高齢者、障害者の施設などを運営する「社会福祉法人光風会」(富山市)、「社会福祉法人セーナー苑」(同)、「社会福祉法人宣長康久会(せんちょうこうきゅうかい)」(同)、「社会福祉法人白皇山(はくおうざん)保護園」(同)、「社会福祉法人海望福祉会」(魚津市)、「社会福祉法人小杉福祉会」(射水(いみず)市)の6法人。施設の垣根を越え、協力して地域の課題を解決しようとネットワークを設けた。福祉人材の確保のほか、相談支援のための情報共有も進める。 富山 県リハビリテーション病院内に就労支援カフェがオープン  「社会福祉法人アルペン会」(富山市)は、「富山県リハビリテーション病院・こども支援センター」(同)内に、障害者就労支援型のカフェを開店した。同法人が運営する多機能型就労支援事業所「ワークハーバーMUROYA(ムロヤ)」(同)の支店であり、利用者が、就労訓練として軽食の準備や提供、接客、菓子販売などを担当。アルペン会職員が指導員や支援員を務める。  メニューは、キーマカレーとニョッキのランチ2種類(副菜2種類とマカロン、スープつき750円)のほか、コーヒーやジュースなど。料理は障害者が温めるだけで提供できるよう、本店で仕込んで真空パックに詰めている。 長崎 農福連携で雑貨づくり  障害者就労支援施設「SAKURA(サクラ)+(プラス)」(大村市)が、地元産の果物や野菜を乾燥させて加工した雑貨商品を開発し、ネット販売を始めた。  SAKURA+では、これまでも利用者がシーグラスやドライフラワーなどの天然素材を使用したアクセサリーなどを製作してきた。コロナ禍でイベント販売の機会が減少したことから、新たに通販サイトを開設。商品の代金は、利用者の工賃として支払われている。  今回は、規格外のミカンやゴーヤーなどを業者が薄くカットして、別の障害者施設で乾燥させて樹脂加工したものを、キーホルダーなどにした。https://sakuraplus.stores.jp/ 本紹介 『9つの事例でわかる精神障害・発達障害のある人が活躍する職場のつくりかた』  福島県立医科大学特任准教授で精神保健福祉士の八木(やぎ)亜紀子(あきこ)さんらが、『9つの事例でわかる精神障害・発達障害のある人が活躍する職場のつくりかた』(中央法規出版刊)を出版した。  障害のある人もない人も、それぞれの強みを活かしながらともに働き成長を続ける企業の成功の秘訣を、当事者や企業の担当者、就労支援者の9つのインタビューからひも解いていく。成功に導くキーワードの解説に加えて、合理的配慮をふまえた支援者の視点、合理的配慮の提供に関する解説、これからの障害者雇用について欠かせない情報を多面的にまとめた。A5判、170ページ、2420円(税込)。 2021年度地方アビリンピック開催予定 10月〜11月 北海道、青森県、千葉県、神奈川県、石川県、山梨県、滋賀県、山口県、大分県 *部門ごとに開催地・日時が分かれている県もあります *北海道、青森県、千葉県、神奈川県、石川県、山梨県、滋賀県、山口県、大分県以外は開催終了 ※全国アビリンピックが12月17日(金)〜12月20日(月)に、東京都で開催されます。 地方アビリンピック 検索 ※新型コロナウイルス感染症の影響により、変更する場合があります。 ミニコラム 第6回 編集委員のひとこと ※今号の「編集委員が行く」(20〜25ページ)は三鴨委員が執筆しています。ご一読ください。 だれもが働きやすい社会を目ざして 有限会社まるみ取締役社長 三鴨岐子  「平成27年度精神保健福祉士就労状況調査結果」(公益財団法人社会福祉振興・試験センター)によれば、精神保健福祉士の資格を活かして就労している先は次の通りです。  医療関係(32.4%)、障害者福祉関係(30.8%)、行政関係(11.3%)、高齢者福祉関係(9.5%)、教育関係(3.5%)、社会福祉協議会(2.5%)、児童福祉関係(2.4%)、生活保護関係(1.4%)、障害者職業センター(0.9%)、司法関係(0.7%)、その他(2.9%)、無回答(1.5%)。  6年前のこの調査のなかに企業は入っていませんでしたが、最近は「企業のなかにも、精神保健福祉士がいてほしい」という声を、ちらほら聞くことがありました。  ここ数年、精神・発達障害のある方々が、多くの企業で働き始めたことの証かもしれません。  今回の座談会で、精神保健福祉士の略称がPSW(Psychiatric Social Worker)ではなく、MHSW(Mental Health Social Worker)に変更になっていたことを初めて知りました。限定された医療や福祉のなかだけではなく、一般に働く人を対象とした専門職になってきたことの証です。精神的な働きづらさは、障害認定された方々のみが感じるものではなく、一般に働く私たちの多くも感じています。コロナ禍など、社会情勢が不穏なときは、ストレスを感じる人はさらに多いはずです。そんななか、精神・発達障害のある方が安心して働ける職場は、だれもが働きやすい職場になっていきます。  ご参加いただいたみなさまは、企業内でのMHSWの立ち位置を確立していくトップランナーです。障害のある、なしに関係なく、だれもが働きやすい職場環境をつくりあげるため、今後も多くの専門職の方々に力を発揮していただきたいと感じる座談会でした。 【P32】 掲示板 障害者雇用の月刊誌「働く広場」がデジタルブックでいつでもお読みいただけます!  本誌は当機構ホームページで、デジタルブックとしても公開しており、いつでも無料でお読みいただけます。  また、最新号は毎月5日ごろに当機構ホームページに掲載されます。掲載をお知らせするメール配信サービスもございますのであわせてご利用ください。 JEED 働く広場 検索 読みたいページにすぐ飛べる! 自由に拡大できて便利! ※2017年4月号〜最新号まで掲載しています 雇用管理や人材育成の「いま」・「これから」を考える人事労務担当の方 ぜひご覧ください! メールマガジン好評配信中! 詳しくは JEED メールマガジン 検索 次号予告 ●この人を訪ねて  千葉県市川市のメンタルヘルス診療所しっぽふぁーれ院長で精神科医の伊藤順一郎さんに、精神障害のある方への社会復帰支援などについて、お話をうかがいます。 ●職場ルポ  UCCグループの特例子会社日本パーソネルセンター株式会社(兵庫県)を取材。定着支援や職場環境改善の取組みなどをお伝えします。 ●グラビア  株式会社カインズの特例子会社株式会社カインズ・ビジネスサービス(埼玉県)を訪問。ホームセンターならではの業務で活躍する障害のある社員をご紹介します。 ●編集委員が行く  諏訪田克彦編集委員が、住友生命保険相互会社の特例子会社株式会社スミセイハーモニー(大阪府)を訪問。障害のある社員の声と、社内での支援体制について取材します。 公式ツイッター始めました! 最新号発行のお知らせやコーナー紹介などをお届けします。 @JEED_hiroba 本誌購入方法 定期購読のほか、最新号やバックナンバーのご購入は、下記へお申し込みください。 1冊からのご購入も受けつけています。 ◆インターネットでのお申込み 富士山マガジンサービス 検索 ◆お電話、FAXでのお申し込み 株式会社廣済堂までご連絡ください。 TEL 03-5484-8821 FAX 03-5484-8822 編集委員 (五十音順) 埼玉県立大学 教授 朝日雅也 株式会社FVP 代表取締役 大塚由紀子 NPO法人大阪精神障害者就労支援ネットワーク 副理事・統括施設長 金塚たかし 岡山障害者文化芸術協会 代表理事 阪本文雄 武庫川女子大学 准教授 諏訪田克彦 あきる野市障がい者就労・生活支援センターあすく センター長 原 智彦 ホンダ太陽株式会社 社友 樋口克己 サントリービジネスシステム株式会社 課長 平岡典子 東京通信大学 教授 松爲信雄 有限会社まるみ 取締役社長 三鴨岐子 筑波大学 准教授 八重田淳 訂正とお詫び  2021年5月号「クローズアップ」(11ページ)において、内容に誤りがありました。「★本誌では通常「障害」と表記しますが、富士ソフト企画株式会社様の希望により「障がい」としています」と記載しておりましたが、正しくは「★本誌では通常「障害」と表記しますが、株式会社ニッセイ・ニュークリエーション様の希望により「障がい」としています」です。  関係者のみなさまにはご迷惑をおかけしましたことを、お詫び申し上げます。 ●発行−−独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 発行人−−企画部長 奥村英輝 編集人−−企画部次長 五十嵐意和保 〒261−8558 千葉県千葉市美浜区若葉3−1−2 電話 043−213−6216(企画部情報公開広報課) ホームページ https://www.jeed.go.jp/ メールアドレス hiroba@jeed.go.jp ●発売所−−株式会社 廣済堂(10月1日より、社名が「株式会社広済堂ネクスト」に変わります) 〒105−8318 港区芝浦1−2−3 シーバンスS 館13階 電話 03−5484−8821 FAX 03−5484−8822 10月号 定価141円(本体129円+税)送料別 令和3年9月25日発行 無断転載を禁ずる ・本誌に掲載した論文等で意見にわたる部分は、それぞれ筆者の個人的見解であることをお断りします。本誌では「障害」という表記を基本としていますが、執筆者・取材先の方針などから、ほかの表記とすることがあります。 【P33】 高障求 メールマガジン 無料配信中 新規登録募集中! 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構では、当機構が全国で実施する高齢者や障害者の雇用支援、従業員の人材育成(職業能力開発)などの情報を毎月月末に、みなさまに配信しています。 主な特徴 ・読みごたえのある充実した内容 ・当機構の制度やサービス内容がよくわかる ・マイエリア情報で地元情報をチェック!! ・セミナーやイベント情報が満載 *シンプルなテキスト版もあります 雇用管理や人材育成の「いま」・「これから」を考える人事労務担当者や就労支援担当者のみなさま 必読!! みなさまの「どうする?」に応えるヒントが、見つかります! 令和3年度「高障求メールマガジン」読者アンケート 12月15日(水)まで実施中!! メールマガジン編集部では、みなさまによりよい情報をお届けできるようアンケートを実施しています。 みなさまのご意見をお待ちしています! 当機構ホームページからの回答も可能です。 ※カメラで読み取ったリンク先がhttps://www.jeed.go.jp/general/merumaga/index.htmlであることを確認のうえアクセスしてください。 JEED メルマガ で 検索 当機構ホームページもあわせてチェック https://www.jeed.go.jp 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 【裏表紙】 第29回職業リハビリテーション研究・実践発表会 令和3年11月9日(火)・10日(水)東京ビッグサイトで開催  当機構では、職業リハビリテーションに関する研究成果を広く各方面に周知するとともに、参加者相互の意見交換、経験交流を行う場として「職業リハビリテーション研究・実践発表会」を毎年開催しています。  この発表会では職業リハビリテーションに関する研究成果をはじめ、就労支援に関する実践事例や企業における障害者の雇用事例を紹介します。ぜひご参加ください。 入場無料 WEBから参加申込みをしていただけます ※カメラで読み取ったQR コードのリンク先がhttps://www.nivr.jeed.go.jp/vr/vrhappyou-index.htmlであることを確認のうえアクセスしてください。 11月9日(火) ◆基礎講座  職業リハビリテーションに関する基礎的事項等に関する講義  「精神障害の基礎と職業問題」  「発達障害の基礎と職業問題」 ◆支援技法普及講習  職業センターで開発した支援技法の紹介  「問題解決技能トレーニング」  「日常生活基礎力形成支援〜心の健康を保つための生活習慣〜」 ◆特別講演  「コロナ禍における変化とチャレンジ〜障害者雇用の現場から考える〜」  原田 昌尚氏  (株式会社ベネッセビジネスメイト 人事総務部 部長) ◆パネルディスカッションT  「メンタルヘルス不調による休職者への対応〜職場復帰支援を考える〜」 11月10日(水) ◆研究発表(口頭発表)  障害者雇用に関するテーマを設定した分科会ごとに、研究者、企業関係者などが研究成果や実践報告などを発表 ◆パネルディスカッションU  「職務創出とその支援〜障害者雇用をしていくために〜」 ※今年度、「ポスター発表」は行いません。  また、新型コロナウイルス感染症への対応等により開催等に変更が生じる場合があります。 事務局 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター 研究企画部企画調整室 〒261-0014 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-3 TEL:043-297-9067 E-Mail:vrsr@jeed.go.jp HP:https://www.nivr.jeed.go.jp 写真のキャプション 昨年度の特別講演の様子 昨年度のパネルディスカッションの様子 10月号 令和3年9月25日発行 通巻528号 毎月1回25日発行 定価141円(本体129円+税)