【表紙】 令和3年10月25日発行・毎月1回25日発行・通巻第529号 ISSN 0386-0159 障害者と雇用 2021 11 No.529 職場ルポ ジョブコーチが連携し支援、競技会でスキル向上も 日本パーソネルセンター株式会社(兵庫県) グラビア 多様な業務展開で進める障害者雇用 株式会社カインズ・ビジネスサービス(埼玉県) 編集委員が行く 人の魅力が私たちの力 株式会社スミセイハーモニー(大阪府) この人を訪ねて 精神障害者へのアウトリーチ支援と就労 メンタルヘルス診療所しっぽふぁーれ院長、精神科医 伊藤順一郎さん 「小さな私の大きな仕事 ネイリスト」沖縄県・又吉(またよし)千聖(ちさと)さん 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 誰もが職業をとおして社会参加できる「共生社会」を目指しています 11月号 【前頁】 心のアート 魚 かてい よしお (社会福祉法人あしたの会 あしたの会家庭学校) 画材:紙、オイルパステル/サイズ:110cm×81cm 色彩の魔術師  普段は施設でパンの製造を担当しています。早く作業を終わらせたいように見えるのは、早く絵が描きたいからなのでしょうか? かていさんは、作品を展覧会に出展したことがきっかけで絵を描き始めたそうです。コロナ禍において、さらに創作意欲が盛んになった様子。職員も大きな紙の調達などに俄然力が入ります。画面全体に色を重ねながら埋めつくす技は教えられたものではなく、描いているうちに編み出された表現のようです。 (文:TASCぎふ) かてい よしお 1957(昭和32)年生まれ。岐阜市在住。「社会福祉法人あしたの会 あしたの会家庭学校」に所属。 ●経歴 2016年 「みんなのアート展」(ぎふメディアコスモス) 2019年 「わたしは芸術家展」(山県市役所) 「tomoniアートのフェスティバル 花さき、誇れ!」(ぎふ清流文化プラザ) 2020年 「tomoniアートのフェスティバル いろんなみんなの展覧会 種を、まく。」(ぎふ清流文化プラザ) 協力:TASCぎふ(岐阜県障がい者芸術文化支援センター) 【もくじ】 障害者と雇用 目次 2021年11月号 NO.529 「働く広場」は、障害者雇用の啓発・広報を目的として、ルポルタージュやグラビアなど写真を多く用いて、障害者雇用の現場とその魅力をわかりやすくお伝えします。 心のアート 前頁 魚作 者:かてい よしお(社会福祉法人あしたの会 あしたの会家庭学校) この人を訪ねて 2 精神障害者へのアウトリーチ支援と就労 メンタルヘルス診療所しっぽふぁーれ院長、精神科医 伊藤順一郎さん 職場ルポ 4 ジョブコーチが連携し支援、競技会でスキル向上も 日本パーソネルセンター株式会社(兵庫県) 文:豊浦美紀/写真:官野 貴 クローズアップ 10 コロナ禍を乗り越えて〜新しい働き方を問う〜第6回 JEEDインフォメーション 12 令和3年度就業支援スキル向上研修のご案内/「働く広場」公開座談会 コロナ禍を乗り越えて〜新しい働き方を問う〜/「障害者雇用事例リファレンスサービス」を活用して本誌「働く広場」の掲載記事が探せます! グラビア 15 多様な業務展開で進める障害者雇用 株式会社カインズ・ビジネスサービス(埼玉県) 写真/文:官野 貴 エッセイ 19 配慮は人のためならず第4回〜パラ五輪を観て考えたこと〜 株式会社Ds'sメンタルヘルス・ラボ 代表取締役(精神科医・産業医) 原 雄二郎 編集委員が行く 20 人の魅力が私たちの力 株式会社スミセイハーモニー(大阪府) 編集委員 諏訪田克彦 省庁だより 26 令和3年版 障害者白書概要@ 内閣府ホームページより抜粋 研究開発レポート 28 身体・知的・精神障害等のある中高年齢労働者の「職業生活再設計」のポイント 障害者職業総合センター研究部門 社会的支援部門 ニュースファイル 30 編集委員のひとこと 31 掲示板・次号予告 32 訪問型・企業在籍型職場適応援助者支援スキル向上研修 表紙絵の説明 「美術の授業で『未来の自分』をテーマに描きました。将来、就きたい仕事について調べる学習をして、ネイリストになりたいという思いが高まりました。顔の表情や、手のネイル部分などの細かいところを表すのに苦労しました。最近はネイルだけでなく、美容系全般に興味を持っています。いまは、受験に向けてがんばっています」 (令和3年度 障害者雇用支援月間絵画コンテスト 中学校の部 高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長賞) ◎本誌掲載記事はホームページでもご覧いただけます。(https://www.jeed.go.jp/) 【P2-3】 この人を訪ねて 精神障害者へのアウトリーチ支援と就労 メンタルヘルス診療所しっぽふぁーれ院長、精神科医 伊藤順一郎さん いとう じゅんいちろう 1954(昭和29)年、東京都生まれ。千葉大学医学部卒。精神科医。1994(平成6)年より国立精神・神経センター( 現国立精神・神経医療研究センター)精神保健研究所社会復帰相談部援助技術研究室長、社会復帰研究部部長を経て2015年に「メンタルヘルス診療所しっぽふぁーれ」開院。2003年に研究事業ACT―Jを立ち上げ、現在は「一般社団法人コミュニティ・メンタルヘルス・アウトリーチ協会(アウトリーチネット)」共同代表や「認定NPO法人地域精神保健福祉機構(COMHBO:コンボ)」共同代表理事も務める。『精神科病院を出て、町へ―ACTがつくる地域精神医療』(岩波書店刊)など著書多数。 障害のある人が地域のなかで自分らしく生活できるように ――伊藤さんはこれまで、精神医療におけるACT(アクト)(包括型地域生活支援プログラム)(※1)の普及に取り組まれてきました。内容や経緯について教えてください。  ACTとは、重い精神障害のある人が、病院ではなく住み慣れた生活の場で暮らしていけるよう、チームによるアウトリーチ(訪問)型の支援を展開する取組みです。1970年代にアメリカから発展し、各国に広がっていきました。私たちも2003(平成15)年から、当時の国立精神・神経センター精神保健研究所で研究事業として実践を始め、その後はNPO法人も設立し、試行錯誤を重ねながら普及に努めてきました。  チームは精神科医や看護師、作業療法士、精神保健福祉士など多職種の専門家で構成され、24時間365日体制です。外来受診や買い物など日常生活の支援から、金銭管理アドバイスや公的サービス利用の支援、ご家族への支援、社会参加や就労に向けた支援などまで、オーダーメイド型のサービスを提供します。一般的には、利用者1人に2〜3人のスタッフがつきます。  ACTを実践するために支援チームが大切にしていることがいくつかあります。まず支援の目的は「支援の対象となる障害のある人が、希望を持って、生活を楽しみ、社会に貢献することも体験する過程を意味するリカバリー(※2)を目ざす」こと。そのためには「病気や障害・問題点ではなく、本人や取り巻く環境がもつ健康な部分や可能性を含めた強み・長所(ストレングス)に焦点をあてる」こと。そして、障害の有無にかかわらず人の生活の場は地域のなかにあるべきであって、「入院は急性期の治療のための例外とし、医療・保健・福祉などのサービスは地域を中心とする」ことなどです。  私がACTについてアメリカ各地を調査したときに知ったのは「患者にとっては、住む場所や仕事、レジャーなどがあって初めて、治療やカウンセリングなどが意味を持つ」という視点でした。これは、日本で主流だった入院治療中心の"管理する医療"ではなく、生活を立て直して本人の人生を取り戻すことを"支援する医療"です。いい換えるなら「病気が主人公」から「人が主人公」になるということですね。  2011年度から厚生労働省が「精神障害者アウトリーチ推進事業」を実施したことで追い風になり、一般社団法人コミュニティ・メンタルヘルス・アウトリーチ協会の前身であるACT全国ネットワークが認定しているチームも30カ所ほどに増えました。拠点となっているのは訪問看護ステーションや多機能型の診療所などが多いですね。しかし診療報酬を含めた制度的な課題などもあり、ニーズに対応するにはまだ十分な数とはいえません。 「まず現場に出て、仕事に慣れる」 ――ACTには就労支援も含まれていますが、どういった特徴があるのでしょうか。  就労は、生活の糧になるだけでなく、社会の役に立つことで得られる充実感や、人とのつながりももたらすという意味で、私たちが生きていくうえで重要な要素ですよね。本人に「働きたい」という意思があれば、希望する仕事や働き方に沿った支援をしていきます。  具体的には、やはりアメリカで1990年代に開発されたIPS(個別就労支援プログラム)(※3)を活用しています。IPSが従来の就労支援方法と大きく違うのは、本人に職業準備性ができているか否かで判断しない、ということです。「訓練してから現場に出る」のではなく、「まず現場に出て、仕事に慣れる」というやり方です。そのためには、就労後の継続的な支援も重要です。医療保健や就労支援の専門家チームが、本人の意向と長所に着目しながら職場を探し、就労後はジョブコーチとして関与しながらサポートしていきます。  ここでカギになるのは、企業との細やかなコミュニケーションです。本人の能力を活かせる仕事を求め、企業に環境を整えてもらう必要があるからです。精神保健研究所でデイケア利用者の就労にトライしたときは、新たに就労支援専門のスタッフを雇いました。企業に出向き、「医療ケアと生活支援もしながら就労サポートをする」ことを売りに職場開拓をした結果、年間20〜30人も就労できました。医療と生活、就労の三つの支援が合体したチームの大きな強みを実感できました。  ちなみに私の患者さんのなかには、就職後に重い症状が改善した人たちが何人もいます。例えば強迫性障害で入院していた10代の男性は、カウンセリングを受けて通信制の大学に進み、IPS実践経験がある就労支援スタッフの協力で事務の仕事に就きました。さらに2年後には障害者雇用枠で転職し、いまは結婚し子どももいます。ほかにも強制入院の経験のある統合失調症の男性は、IT企業で得意なプログラミング業務に従事し、IPSの支援は3年で卒業しました。彼らに共通していたのは、仕事を通じて成長できたことのほかに、仲のよい同僚ができたり、仕事で信頼されるようになったりして「職場の一員になれた」と実感したことのようでした。 「通訳」のような立場で職場に ―― 精神障害のある人が安定して働き続けていくために、企業や私たちに求められていることは何でしょうか。  やはり、本人が安心して外に出ていけること、そして、安心して働ける環境にあることが大切です。  例えば身体障害のある人は、通勤途中や職場で、さまざまなバリアフリー設備や支援機器を必要としますよね。同じように、精神障害のある人が安定して働き続けるためには、多様な専門家たちが「通訳」のような立場で、職場などに日常的に入り込むアウトリーチ支援が必要ではないでしょうか。そういう意味では、職場と精神医療の距離がまだ遠いと感じています。精神科医も産業医として職場にかかわったり、就労移行支援事業所の嘱託医として企業と連携したりするなど、柔軟なチーム支援ができるとよいと思います。  そして、私の診療所での活動のなかで実践したいことの一つは、地域の人たちと一緒にイベントなどを行ったり、企業と意見交換できる場をつくったりしながら、患者さんの希望をもとに短期間・短時間就労が実践できる環境づくりです。私たちの周りには、重い精神障害のある人で、福祉的な作業所に通うよりも、短い時間でも一般の職場でがんばって働いて、社会や人の役に立ちたいと思っている人が少なくありません。  地域のなかで小さな仕事を探し、本人の喜びを一緒に味わえるようなチーム支援が、障害者雇用における就労形態の一部として位置づけられるよう模索していくつもりです。 ※1 ACT:Assertive Community Treatment ※2 リカバリー:精神障害のある人が、それぞれ自分が求める生き方を主体的に追求すること ※3 IPS:Individual Placement and Support 【P4-9】 職場ルポ ジョブコーチが連携し支援、競技会でスキル向上も ―日本パーソネルセンター株式会社(兵庫県)―  コーヒー業界で知られるUCCホールディングス株式会社の特例子会社では、人材を重要な資源と位置づけ、個性を活かし、能力を開花できるような職場づくりを目ざしている。 (文)豊浦美紀 (写真)官野 貴 取材先データ 日本パーソネルセンター株式会社 〒650-0015 兵庫県神戸市中央区多聞通5-3-8 TEL 078-382-8820 FAX 078-382-8845 Keyword:特例子会社、知的障害、聴覚障害、広汎性発達障害、ジョブコーチ、アビリンピック、特別支援学校 POINT 1 各部署にジョブコーチを配置し、社内外で連携 2 アビリンピックを機に独自の競技会を実施 3 特別支援学校などと連携、地域の就職率アップも 既存の子会社を特例子会社に  コーヒー業界の大手として知られる「UCCホールディングス株式会社」(以下、「UCC」)の特例子会社として2005(平成17)年に認可された「日本パーソネルセンター株式会社」(以下、「日本パーソネルセンター」)。同社はもともとUCCグループの人事部門の子会社として2000年に設立された。その後、グループの規模拡大とともに本格的な障害者雇用を検討するなか、新たな子会社はつくらず、日本パーソネルセンターのビジネスサポート部門で雇用環境を整えてきた経緯がある。  日本パーソネルセンターは、人材を重要な資源と位置づけ、企業理念には「人を大切にする会社」、「人の個性を活かす会社」、「人の能力を開花させる会社」の三つを掲げる。社章も「人」を三つ重ね、真ん中がハートの形をしているデザインだ。  2005年当時、同社で働く障害のある従業員(以下、「メンバー」)は20人程度だったそうだが、いまでは全従業員338人のうちメンバーが75人(身体障害22人、知的障害33人、精神障害20人)を占め、計7社をグループ適用した障害者雇用率は3・14%(2021〈令和3〉年4月1日現在)となっている。  同社設立時から一貫してかかわり、現在は常務取締役を務める大本(おおもと)正巳(まさみ)さんは、障害者雇用を進めるうえで心に留めてきた「聴覚障害のある新入社員との出会い」について話してくれた。  1996年、大本さんが人事担当として在籍していたUCC近畿支社の新人研修に、聴覚障害のある社員がいて、対面販売の実習があった。本人には困難だろうと別の事務実習を用意していたが、本人から「現場に行きたい」と希望があり、大本さんが同行した。すると、対面は無理でもバックヤードで、社員とメモでやり取りしながら予想以上に業務をこなせた。大本さんは、工夫すれば現場でもできる仕事が多いことを実感したという。  「それまでは、やったことがない、見たことがないという理由で、不可能だと決めつけていたように思います。障害のある従業員も、業務内容の理解・やり方を工夫すれば、必ず戦力になると思いながら取り組んできました」 実習で見きわめ、意欲を大事に  日本パーソネルセンターの採用は多くの場合、就労前の実習とトライアル雇用を経ている。面談時には保護者と支援機関の職員にも同席してもらい、それぞれの立場から感じる障害特性をヒアリングする。本人には、自分の障害特性(長所・短所)や配慮事項のほか、「なぜ働きたいのか」も大事な質問として聞いているという。  実習(10日間)とトライアル雇用(3カ月間)の期間中は、7人いるジョブコーチのうちの1人と毎日20分間の面談をする。採用後は、本人がそのときどきによって相談しやすいジョブコーチに面談を依頼できる。2009年に同社で初めてのジョブコーチとなり、支援業務のまとめ役を務めるビジネスサポート部の村田(むらた)富士美(ふじみ)さんは、「いつでも、だれにでも相談できる環境は、本人が安心して働ける大きな前提になっていると思います」と説明する。 マニュアルは各自で作成  日本パーソネルセンターの職場は、シェアードサービス事業本部と業務サポート本部で大きく8部門22部署に分かれ、1人から最大46人が配属されている。  業務内容は、グループ会社の人事・総務関連のサポートを中心に、印刷、納品伝票のスキャニング、データ入力、社内便や郵便物の仕分け、資材発送、経理伝票の入力、請求書の作成、FAX受注入力、コーヒーマシーンの清掃など、さまざまだ。  部署によっては10項目以上の業務があり、作業手順を覚えるのもたいへんそうだが、現場で工夫しながら対応している。  例えば、マニュアルは既存のものに理解しにくい部分があったことから、各自でオリジナル版を作成してもらっている。まず、現場で業務を教わりながら自由にメモ書きし、それを体系的に手書きノートにまとめ、最後はエクセルで自分仕様のマニュアルを完成させる。「自分でつくったマニュアルは忘れにくいですからね」と大本さん。  またメンバーが46人在籍するビジネスサポート部では、重度の知的障害のあるメンバーも含め、だれもが作業しやすいよう手順の工夫をしている。その一つがFAX受注入力だ。顧客から届いたFAXをOCR(光学文字認識)で取り込み、日付・得意先コード・納品日・商品コード・数量・単位の数字がすべて合っていれば〇、一部間違っていれば×を入力。〇の案件はそのまま受注として扱い、×の案件は別の入力担当者が処理をする流れだ。  FAX受注入力は、在宅勤務の導入も可能にした。きっかけは3年前。大雨の日が続いたある日、車いすを利用するメンバーが、雨のなかカッパ姿で苦労しながら出社してきた。その様子を見た大本さんが、「安定して働くには在宅勤務も必要ではないか」と考えた。本人の意向を聞きながらパソコン環境などを整え、天候不順の日などに在宅勤務ができるようにした。  現在はコロナ禍のため、計12人が在宅勤務でFAX受注入力のほか、経費精算確定やコーヒーマシーン修理受付などの業務を行っている。なかには小学生と保育園児を抱えるメンバーや、過敏症でマスクをつけられないメンバーもいて、とても助かっているそうだ。在宅勤務が続くと運動不足やコミュニケーションの不安もあるため、いまのところ週1回は出社する形にしている。 強みを活かし、課題は克服  メンバーやジョブコーチのみなさんにも、WEB会議システムで話を聞いた。  ビジネスサポート部の村橋(むらはし)拓弥(たくや)さん(30歳)は定時制高校に在学中、企業合同説明会に参加し、2010年に入社。いまではFAX受注入力チームの障害者班長として、ジョブコーチのリーダーと連携しながら、メンバーへの業務指示などを担当している。コロナ禍で在宅と出社のハイブリッド勤務になった当初は、メンバーの様子を電話やメールで確認するのがたいへんだった。そこでWEB会議システムの活用を提案し、コミュニケーションが大きく改善したそうだ。  村橋さんは2015年から正社員になった。ちなみに日本パーソネルセンターでは、入社時はメンバー全員が時給制の契約社員からスタートし、一定の勤務日数・時間をクリアして月給制の契約社員に、その後は各自の目標達成度と所属長の推薦、役員会での本人によるプレゼンテーションを経て正社員になる。現在、障害のある正社員は18人だ。  さらに村橋さんは、ステップアップの努力も怠らない。パワーポイントやエクセルの機能、プロジェクト管理能力などについて同僚に教えてもらっているほか、最近はコーヒーについても独学中だ。「UCCの社内資格取得はハイレベルなのでむずかしいかもしれませんが、コーヒーが好きなので、個人的に勉強しながら、チャレンジしていきたいです」と話してくれた。村橋さんは兵庫県「障害者雇用優良事業所・優秀勤労障害者表彰」で、優秀勤労障害者として2016年に高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長努力賞、2021年には兵庫県知事表彰を受賞している。  2018年にやはり兵庫県で同理事長努力賞を受賞した、ビジネスサポート部の山内(やまうち)典子(のりこ)さん(33歳)は聴覚障害がある。前職で働いていた2009年、「ワード・プロセッサ」種目で出場した全国アビリンピックで、大本さんと偶然話をする機会があり、とても印象に残っていたという。その後、退職して通った職業訓練校で同社の求人票を見つけ、迷わず応募したそうだ。2012年に入社した山内さんは、現在、正社員として名刺作成や各種印刷、デザインなどを担当しながらチームの業務をまとめている。日ごろの簡単なコミュニケーションは口話でも可能だ。  ビジネスサポート部に所属するジョブコーチの山口(やまぐち)友絵(ともえ)さんによると、山内さんは入社当初に体調を崩すことが少なくなかった。原因は、趣味に没頭して就寝時間が遅くなっていたことだとわかり、家族の協力を得て改善。いまではうまくコントロールできているそうだ。  山内さんにはイラストを描く特技があり、業務でもいかんなく発揮されている。社内で制作するパンフレットなどに載せるイラストやキャラクターづくりまで手がけ、「デザインの腕を磨いて、もっと会社に貢献していきたいです」と明るい笑顔で語ってくれた。  経理部に所属する高山(たかやま)真実(まみ)さん(33歳)は、就労移行支援事業所を経て2013年に入社。訓練中に簿記検定2級を取得していたことで同社を紹介されたという。担当しているのは、各店舗の経費支払や社内便の仕分け、資材発注・箱詰め・郵送などだ。  広汎性発達障害の診断を受けている高山さんは、「注意深く何度も見直すという自分の特性に合った、正確性の求められる業務を担当できています」と語る一方、「時間がかかるため、スピードアップが課題です」と明かす。改善法を自分で考え、いまはタイマーをセットし時間内に終えられるよう努力している。担当ジョブコーチで経理部の太田(おおた)智子(ともこ)さんにも、高山さんについて文章でコメントをいただいている。「高山さんには、支払処理で一度も誤りを指摘したことがないんです」と信頼を置きつつ、成長を見守っている。  高山さんは、入社翌年からアビリンピックの「オフィスアシスタント」種目に挑戦し、3回も全国大会に出場した実力者でもある。「高い技能を持った選手ばかりなので、向上心を高めるきっかけになりました。スピードや正確性など普段の業務に求められる能力を養うこともでき、参加してよかったと強く思っています」とふり返る。今年は、高山さんが指導したメンバーが全国大会出場を決めた。高山さんの今後の目標は、課題を克服しながら、できる業務を増やし、正社員になることだそうだ。 ジョブコーチ同士で連携も  日本パーソネルセンターでは、メンバーを支えるジョブコーチ同士の連携も重要だ。社内に散在する7人のジョブコーチは、週1回の定例会のほか、大小のトラブルや課題が発生したときは随時、手の空いたジョブコーチが集まって相談し合いながら改善を図っている。「コロナ禍のいまも、チャットツールなどをフル活用して情報共有しています」と、山口さん。  メンバーが毎日記入する日報は、所属長や大本さんともメールで共有している。大本さんは全員分に目を通し、少しでも異変を感じるとジョブコーチに連絡を入れる。日ごろから状況を把握している大本さんは、ジョブコーチたちにとってなんでも相談できる存在でもあるそうだ。  日報では、睡眠時間や家庭での過ごし方も確認し、業務に影響があるようなら助言する。「例えば、家で洗濯の手伝いが入浴後で、就寝が遅くなっている場合などは、業務に影響するため改善法を一緒に考えます」と、村田さん。  合理的配慮については専用シートを用意。「自分の障害を自身で理解し、自ら伝えること」を目的とし、障害について、得意なこと、やってみたいこと、障害をカバーするための工夫や努力していること、職場で配慮・支援してほしいことを記入してもらう。成長とともに変わる部分もあるため、シートは3年に一度更新する。  このほかメンバー向けにビジネスマナー&コミュニケーション研修、一般従業員向けには障害特性理解の勉強会なども開催している。  近年は精神障害のあるメンバーが増えたほか、社内のストレスチェックに対応するため、職場に2人の精神保健福祉士がいる。その一人がジョブコーチの村田さんだ。自ら通信制学校に通って2016年に資格を取得した。村田さんは「メンバーの通院や主治医との面談に同行するようになり、産業医との橋渡し役として情報交換もしています。よりふみ込んだ連携と支援ができるようになりました」と効果を実感している。  また、ジョブコーチの連携は社外にも広がっている。大本さんが現在副会長を務める公益社団法人全国障害者雇用事業所協会(全障協)のつながりから、兵庫県内の企業16社で働くジョブコーチ約30人が年3回ほど集まり、情報交換や勉強会などを行っている。持ち回りの職場見学や、障害者職業センターから講師を招いての研修会、改善事例の発表会などを通して、工夫を取り入れ合ったり悩みを相談し合ったりできる貴重な場となっている。 アビリンピック挑戦と社内競技会  日本パーソネルセンターでは人材育成の一環として、2009年からアビリンピックへの挑戦にも力を入れてきた。これまでに延べ136人がデータ入力や喫茶サービス、製品パッキングなど7種目に出場し、20人が全国大会出場を果たしている。  2013年からは「社内競技会」も実施してきた。アビリンピックで入賞を逃した従業員からの提案だという。当初は3種目(データ入力・オフィスアシスタント・喫茶サービス)にしぼった。2014〜2019年は一般の従業員も参加していたが、人数の増加などで開催日の確保がむずかしくなり、2020年からはメンバーのみの参加となった。  その代わりに運営はメンバーが中心となり、新たにメンバー同士の交流会も企画。種目は製品パッキングと帳票作成(初級・上級)、プチブロック(細かい作業工程を通して実個数と理論在庫を確認するもの)など6種目に増えた。1人2種目まで挑戦でき、参加者は過去最高の49人にのぼった。  ジョブコーチの山口さんは「以前はアビリンピックに尻込みしていたメンバーも、社内競技会を機に、出場したいと意思表示できるようになっています。競技では、私たちが気づけなかった力も発見することがあります」と話す。  その一例が、重度の知的障害のあるメンバーで構成する清掃チームだ。あるとき大本さんの提案で、毎日少しずつパソコンを学ぶ時間をつくり、翌年の社内競技会でデータ入力に挑戦してみたところ、2人が1位、2位に輝いた。いまは清掃業務に使う消耗品の発注・納品の記録を自分たちでこなすほか、社員向けのメールも作成・送信している。 特別支援学校との連携  日本パーソネルセンターの人材育成は、社外にも広がっている。きっかけの一つは、入社後に漢字が書けるようになったメンバーがいたこと。大本さんは「できることはまだまだあるはず。就労指導や訓練段階で、より実践的で仕事に役立つ支援をしてほしい」と思っていたそうだ。  ちょうど近くに特別支援学校が移転してきたのを機に、2013年から同社社員が校内カフェ実習の指導役としてサポートしている。さらに2015年からは兵庫県教育委員会や地元の企業・団体と共同開発し、特別支援学校の生徒たちの技能をはかる「兵庫県特別支援学校技能検定」を実施している。これには兵庫県内の特別支援学校卒業生の就職率が、2013年度に16・6%と全国ワースト2位(全国平均28・4%)を記録し(※1)、特別支援学校卒業生の就職率アップという目標もあった。  検定は現在、「喫茶サービス」、「ビルクリーニング」、「パソコン」、「物流・品出し」の4種に分かれ、習得内容によって1級〜10級に認定。同社は喫茶サービスを担当し、細かいマニュアルやクリアすべき作業項目などを設定した。大本さんは、検定試験によって、次のような効果を確認できたという。 〈生徒〉安全に道具を扱い、手順通りに作業する力が身につくとともに、緊張しながらも1人で検定に挑戦することを体験できる。働く意欲が高まる。 〈保護者〉学校と連携しながら、家庭でのサポートがしやすくなる。 〈教員〉次の目標に向けた指導の展開や、指導方法の充実・改善を検討しやすい。 〈企業〉認定級を確認することで、本人の実力を客観的に把握できる。  実際に就職率も上昇し、2020年度卒業生の就職率は過去最高の26・2%(※2)だ。大本さんは「生徒の就業スキルが向上しただけでなく、私たち企業側も、本人が実際にどういう仕事ができるのか具体的に判断し、採用しやすくなっていると感じます」と話す。 自立しながら戦力に  日本パーソネルセンターの業務は、ほぼグループ会社からの請負だが、年々、コストを問われるようになってきていると大本さんはいう。  「他社と比較した場合の品質・サービスのよさや納期厳守をポイントに、適正価格で受託できるよう努力し続けています」  また、これまではグループ会社内でのみ行っていたコーヒーマシーン清掃業務だが、一般企業の職場などに置かれているUCCコーヒーマシーンの同業務の受託も目ざすなど、さらに事業の拡大も検討している。もともとUCC社員が担当してきた業務を同社が請け負うことで、UCCの業務効率化にもつながると期待されている。一般企業の職場に出向くため、業務に求められるスキルのハードルは上がるが「これを機にメンバーが新たな能力を開花させ、業務の幅を広げられるようにうながしていきたい」と力を込める。  さらに同社内でも、コロナ禍を機に、部署間の業務の融通やメンバーの派遣など、柔軟に仕事がシェアできるよう試行錯誤もしているところだという。  今後の方針について、大本さんが語ってくれた。  「私たちはグループをサポートする会社であり、なにより人の成長を大事にすることは変わりません。メンバーが自立しながら職場の戦力となっていくために、これからも、一人ひとりが目標を持って努力できるような職場づくりを目ざしていくつもりです」 ★4〜9ページの写真提供:日本パーソネルセンター株式会社 ※1 文部科学省「学校基本調査」(平成26 年度) ※2 兵庫県教育委員会「令和2年度 特別支援学校高等部卒業生の就職状況について」 写真のキャプション パソコンを使用したWEB会議システムでインタビューを行った(写真:官野 貴) オフィス内の様子 日本パーソネルセンター株式会社 常務取締役の大本正巳さん ジョブコーチで精神保健福祉士の村田富士美さん ビジネスサポート部で働く村橋拓弥さん 在宅勤務でのFAX 受注入力業務。モニターを2台使い、効率的に作業が行える オリジナルのマニュアルづくりの基礎となる手書きのメモ 書類の電子化作業を行う村橋さん 資格を活かし経理部で働く高山真実さん ジョブコーチの山口友絵さん 山内さんは、配布物などのデザインやイラスト作成も担当している ビジネスサポート部で働く山内典子さん 2019年に行われた社内競技会で行われた「喫茶サービス」種目 2020年に行われた全国アビリンピックに兵庫県代表として出場した釣井(つるい)一史(かずし)さん(写真:官野 貴) 現在、社内で行われているコーヒーマシーン清掃の様子 兵庫県特別支援学校技能検定での「喫茶サービス」の様子 【P10-11】 クローズアップ コロナ禍を乗り越えて 〜新しい働き方を問う〜 第6回  新型コロナウイルス感染症の流行にともない、テレワークなどの新しい勤務形態が導入されるなど、企業や働く人々の就労環境は大きく変化しています。そのなかで、障害者就労支援機関には、どのような対応や工夫が求められたのでしょうか。今回は、障害者の就労支援に取り組む「特定非営利活動法人さらプロジェクト」にお話をうかがいました。 監修:本誌編集委員 松爲信雄(東京通信大学教授) 試行錯誤しながら取り入れた在宅訓練  新型コロナウイルスの感染拡大から約1年半。この間に、多くの業種や職種でテレワークの導入が進められるなど、私たちの働き方は大きな転換を求められました。その波は、障害のある方の就労支援にあたる支援機関にも影響を与えています。  東京都内と神奈川県内の計四つの事業所で、おもに精神障害・発達障害のある方を対象とした就労移行支援などに取り組む「特定非営利活動法人さらプロジェクト」。同法人が運営する就労移行支援事業所「さら就労塾@ぽれぽれ」(以下、「さらぽれ」)では、2020(令和2)年4月の一回目の緊急事態宣言以降、WEB会議システムなどを使用した在宅での訓練も交えながら支援を行ってきました。  下北沢事業所職業指導員の志村(しむら)吉之輔(きちのすけ)さんは、「訓練生にパソコンを貸し出し、在宅訓練時も『自己理解プログラム』や『パソコンスキルの訓練課題』、面接練習といった『就職準備』などの通所時の訓練とほぼ同じ内容の課題を進めてもらっています。また、さらぽれでは、『消耗品の発注』など、事業所を運営するために必要な事務作業を、実務訓練として訓練生が担当しているのですが、こちらも在宅で可能なものは継続し、さらに、『ホームページ掲載用のブログ記事の作成』など、在宅でできる作業を新たに加えることもしてきました」と語ります。  オンライン環境でのやり取りを、この在宅訓練で初めて体験する訓練生も多く、最初は戸惑いも多かったそうです。また、直接顔を合わせて表情などを確認する機会が減ることで、不安や不満などのメンタル面のフォローが遅れることもありました。  「WEB会議で、朝礼や一日のふり返りの時間を設けたり、一日一回以上のオンライン面談を実施するなど、顔を合わせる機会をしっかりと設けることで、そういった声も減っていきました。初めは不安が大きかった訓練生も、オンラインでもよい訓練を提供したいという職員の思いを受けとめて、前向きに取り組んでくれて、続けていくうちによりよい訓練に変化していったと思います」と、秋葉原事業所職業指導員の飛内(とびない)峻(しゅん)さんは話します。  在宅訓練に慣れるにつれ、訓練生には次のような変化が見られたそうです。  「これまでは受け身だった人が、『面談をしてほしい』、『手が空いているので、どうしたらよいのか』といった声を自分からあげるようになるなど、訓練生の主体性に変化が見られました。また、チャットやメールなどを利用せざるを得なくなったことで、わかりやすく人に伝えるためのコミュニケーションスキルが向上した人も多くいました。一人きりでの作業を初めて経験することで、そのような環境が向いているのかどうか、自己理解が進んだ例もありました」と飛内さん。  さらに、支援にあたる職員にとっても、新たな気づきや支援方法を考える機会になったそうです。  「メールやチャットを通じたコミュニケーションが増えたことで、訓練生一人ひとりの得意・不得意や、テレワークへの適性などをアセスメント(評価)する機会になったと思います。一方で、オンライン環境の場合、『訓練のプロセスをていねいに見ることができない』、『やり方や作業の進め方を教えにくい』などの課題もあり、対面でのつながりの重要性もあらためて認識しました」と志村さんは話してくれました。 定着のためのメンタルサポートを強化  一方で、すでに就労し定着支援を受けている人たちに対しては、メンタル面のサポートが中心となりました。「在宅勤務で与えられるのは、自主勉強の課題が中心で仕事がない」、「仕事の性質上、テレワークができない」など、不安の声も多かったそうです。  「不安や不満となる状況を別の視点からとらえ直して、前向きな行動に結びつけられるような、気づきへとつながるような声がけを意識しました」と個別支援週計画飛内さんは話します。例えば、在宅勤務で仕事がないことに不安を持っている人に対しては、この機会をセルフケアに注力したり、スキルアップの機会にすることなどを提案し、気持ちと行動を整理するサポートをしたそうです。 コロナ禍で変化した就職活動  コロナ禍で求人数が減り、一時期は実習の機会もほとんどなくなるなど、就職活動については厳しい状況もありました。  「実習は、職場環境とのマッチングのためのとても大切なプロセスなのですが、その機会が減ってしまった影響は大きかったと思います。戸惑いや不安を感じ、思うように就職活動ができない訓練生もいました」と、さらプロジェクト副理事長で、働く力教育事業本部統括本部長の安尾(やすお)真美(まさみ)さんはふり返ります。  ただし、2020年の秋以降は、実際には出社が必要な業種でも、オンライン面接やリモート実習を活用する企業が出てきたことで、就職活動の機会は増えていき、結果的に、さらぽれでは、2020年度もすべての事業所で、例年と変わらない就職の実績が得られました。  「あきらめずに挑戦し続けた訓練生たちのがんばりがあってこそ、得られた結果だと思います。ただし、就職後は勤務開始当初からテレワークを交えながら、週に何日かは実際に出社して業務にあたるケースも多く、働き方の変化に適応することが求められるようになってきていると感じます」と安尾さんはいいます。  また、文章でのやりとりが中心となるコミュニケーションを苦手とする人は就職を見送ることがあるため、そのようなテレワークになじまない人が取り残されないよう、個々に合わせて対応方法を工夫しています。 次の一歩への過渡期に  働き方の変化にともない、障害者の就労の場も大きく変わりつつあります。支援機関も柔軟に変化していくことが求められています。最後に、安尾さんが次のように語ってくれました。  「コロナ禍は、今後の障害者雇用や支援のあり方を考えるうえで、大きな機会となりました。現在は、在宅訓練やテレワークの導入で見えてきたメリットやデメリットをふまえ、次の一歩へとつなげる過渡期にあると思います。障害のある人が安心して働けることはもちろん、働き方の変化に取り残されることがないよう、障害のある方、企業、支援機関の三者の努力が、ますます必要とされるのではないでしょうか」 【取材先プロフィール】 特定非営利活動法人さらプロジェクト (東京都豊島区) ◆事業内容 ・就労移行支援事業所「さら就労塾@ぽれぽれ」の運営  下北沢事業所(東京都世田谷区)、池袋事業所(東京都豊島区)、秋葉原事業所(東京都台東区)、横浜事業所(神奈川県横浜市)の4事業所 ・杉並区立ゆうゆう館受付運営受託、協働事業 ・各種講習、講師派遣 ほか ◆沿革 ・2000年9月設立総会、2001年3月特定非営利活動法人認証 ・2007年10月「さら就労塾@ぽれぽれ」事業開始 個別支援週計画 3カ月に1回作成する個別支援計画をふまえ、週ごとの支援計画を作成して、在宅訓練にあたる。毎日の訓練終了後にはふり返りを実施し、週報に記載する(提供:特定非営利活動法人さらプロジェクト) 写真のキャプション 事業所内も、3密を防ぐために、パーテーションを設置するなどさまざまな工夫を重ねた 通所している訓練生と在宅訓練生が同時にディスカッションできるようなオンライン環境を用意 【P12-14】 JEEDインフォメーション 〜高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)からのお知らせ〜 受講料無料 令和3年度就業支援スキル向上研修のご案内  当機構では、労働、福祉、医療、教育などの分野で、3年以上の実務経験がある就業支援担当者の方を対象に、障害種別(精神障害、発達障害、高次脳機能障害)の就業支援技術のさらなる向上を図るための「就業支援スキル向上研修」を実施しています。みなさまの受講を心よりお待ちしております。 内容 全コース共通講座 ■職業リハビリテーションにおけるヒューマンスキル (対象者と協同的な関係を築くスキルについての講義・演習) ■職業リハビリテーションに関する調査・研究の最新情報 (障害者職業総合センターにおける最新の調査・研究に関する講義) コース別講座 精神・発達・高次脳機能障害の3コースから選べます! ■就業支援の実際 (職業準備性の向上や職場定着に関する支援技法についての講義・演習) ■ケーススタディ (受講者の支援事例をもとにした事例検討) ※演習や意見交換が中心となります。 対象者 次の@〜Bのすべてを満たす方が対象となります。 @労働、福祉、医療、教育等の関係機関の職員の方であって、障害者の就業支援の実務経験が3年以上の方 A希望するコースの障害種別の方に対する就業支援経験があり、当該障害種別の就業支援事例を提出できる方(事例提出必須) B3日間のすべての課程を履修できる方 日程 令和4年1月18日(火)〜1月20日(木) 会場 障害者職業総合センター(千葉県千葉市美浜区若葉3-1-3) 定員 精神障害コース25人、発達障害コース25人 高次脳機能障害コース15人 計65人 お申込み ◎申込方法:  「就業支援スキル向上研修受講申込書」に必要事項を入力し、申込受付期間内にメールでお申し込みください。 ◎受講申込書・カリキュラム:  当機構ホームページからダウンロードできます。 ◎申込受付期間:令和3年10月26日(火)〜12月2日(木) ※定員を超えた場合は、当初の予定より早く受付を締め切る場合があります。また、複数名の申込みをされた機関に対して受講者数の調整や本研修(職業リハビリテーションスキルアップセミナーを含む)の受講経験のない方を優先させていただくことがあります。あらかじめご了承ください。 お申込み・お問合せ 職業リハビリテーション部 研修課 TEL:043 -297 -9095 E-mail:stgrp@jeed.go.jp 最新の調査研究に関する情報提供 ヒューマンスキルに関する講義・演習 障害別コースの支援技法演習やケーススタディ 実践的! 専門的! ステップアップ方式の研修体制となっています! ステップ1 初めて担当する方 就業支援基礎研修就業支援の基礎作り 全国の地域障害者職業センター 障害者職業総合センター 就業支援課題別セミナー 新たな課題やニーズに対応した知識・技術の向上 ステップ2 2年以上実務経験のある方 就業支援実践研修 アセスメント力と課題解決力の向上 精神障害/発達障害/高次脳機能障害コース 全国14エリアの地域障害者職業センター ステップ3 3年以上実務経験のある方 就業支援スキル向上研修 障害特性に応じた支援スキルの向上 精神障害/発達障害/高次脳機能障害コース 障害者職業総合センター https://www.jeed.go.jp/disability/supporter/seminar/skillup_seminar.html 就業支援スキル向上研修 検索 入場無料! 参加者募集! 『働く広場』公開座談会 コロナ禍を乗り越えて 〜新しい働き方を問う〜  新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、企業における働き方が変わりつつあります。障害のある人についても、例外ではありません。  そこで今回は、本誌「クローズアップ」で連載中の「コロナ禍を乗り越えて〜新しい働き方を問う〜」の続編として、日頃から障害者雇用に取り組んできた企業等をパネリストに迎え、今回のコロナ禍の影響等をお話しいただきます。また、コロナ禍で生まれた新しい働き方を含め、今後の障害者雇用の可能性について、参加者とともに考えます。 日時:2021年12月7日(火)14:00〜16:00 《座長》 松爲(まつい)信雄(のぶお) 東京通信大学 教授 《パネリスト》 (五十音順・敬称略) 雨宮(あめみや)祥浩(よしひろ) 株式会社リーガルビジネスサポート 統括部 平岡(ひらおか)典子(みちこ) サントリービジネスシステム株式会社 コラボレイティブセンター 課長 古川(ふるかわ) 亮(りょう) 社会福祉法人実のりの会 ハートウィル 施設長 兼 障害者就業・生活支援センター ビック・ハート柏/松戸 センター長 ほか 場所:障害者職業総合センター 〒261-0014 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-3 JR京葉線 海浜幕張駅から徒歩約15分/JR総武線 幕張駅から徒歩約20分 定員:30名 *入場には事前申込みが必要です。下記の内容をご記入のうえ、FAXまたはメールでお申し込みください。FAX番号、メールアドレスは間違いがないようご確認のうえ、送信してください。 *申込人数が定員を超えた等により、やむを得ずご来場をお断りする方にはその旨のご連絡をします。ご来場いただける方には開催日のおおむね2週間前までに参加にかかわる諸注意事項をご連絡いたします。 *新型コロナウイルス感染症拡大等の影響により、状況に応じて変更または中止をする可能性がありますので、あらかじめご了承ください。 申込締切:2021年11月10日(水) (FAX:043-213-6556/E-mail:hiroba@jeed.go.jp) (ふりがな) ご氏名 E-mail TEL FAX (ふりがな) ご所属 (企業名、所属部署など) 合計人数(本人を含む) 名 【事前アンケート】コロナ禍の障害者雇用に関して、ご意見や当日聞いてみたいことなどをお書きください。 ※障害により、配慮が必要な方はあらかじめお申し出ください。 ※この申込書により取得した個人情報は、当機構において適正に管理し、公開座談会の運営目的以外に使用することはありません。 ◎お申込み・お問合せ 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 企画部 情報公開広報課 〒261-8558 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-2 TEL:043-213-6200 FAX:043-213-6556 E-mail:hiroba@jeed.go.jp 「障害者雇用事例リファレンスサービス」を活用して 本誌「働く広場」の掲載記事が探せます! 障害者雇用を考えたいけれど、ほかの企業ではどんな取組みをしているんだろう? 「障害者雇用事例リファレンスサービス」をご活用ください! 障害者雇用事例リファレンスサービスとは  障害者雇用について創意工夫を行い、積極的に取り組んでいる企業の事例や、合理的配慮の提供に関する事例を紹介する当機構のウェブサイトです。 https://www.ref.jeed.go.jp/ アクセスはこちら! ※カメラで読み取ったQR コードのリンク先がhttps://www.ref.jeed.go.jp/であることを確認のうえアクセスしてください。 「働く広場」掲載記事の検索 「障害者雇用事例リファレンスサービス」では、「働く広場」に掲載している「職場ルポ」、「編集委員が行く」の企業等取材記事 (※)を検索・確認することができます。 ※障害者雇用に取り組む企業の事例について、同サイトへの掲載許可が得られた記事に限ります。 検索方法 @ 「働く広場」の記事検索をする場合は、「モデル事例」をチェックしてください。 A 検索条件で、「働く広場」にチェックし、「業種」「障害種別」「従業員規模」「フリーワード」等の条件を設定して検索ボタンをクリックすることで、探したい記事をピックアップできます。 B クリックすると、該当企業の事例ページが表示されます。 C 該当記事のPDF ファイルにアクセスできます。 当機構ホームページでも記事検索ができます! 「働く広場」の掲載記事については、「障害者雇用事例リファレンスサービス」で検索できるほか、当機構ホームページにて、バックナンバー(過去4年分)の記事索引の閲覧や、「グラビア」、「クローズアップ」などのコーナーも記事検索ができます。どうぞご利用ください。 記事索引画面 ■「働く広場」に関するお問合せ 企画部 情報公開広報課 TEL:043-213-6200 FAX:043-213-6556 ■「障害者雇用事例リファレンスサービス」に関するお問合せ 雇用開発推進部 雇用開発課 TEL:043-297-9513 FAX:043-297-9547 【P15-18】 グラビア 多様な業務展開で進める障害者雇用 株式会社カインズ・ビジネスサービス(埼玉県) 取材先データ 株式会社カインズ・ビジネスサービス 〒367-0030 埼玉県本庄市早稲田の杜1-2-1 TEL 0495-88-7886 FAX 0495-88-7874 写真・文:官野 貴  ホームセンターを全国展開する「株式会社カインズ」の障害者雇用は、全国の店舗における雇用を中心に行われてきたが、カインズ本部での障害者雇用は進んでいなかった。そこで、商品情報の登録などをメインに請け負う子会社であった「株式会社カインズ・ビジネスサービス」を、2015(平成27)年3月に特例子会社化し、本部内業務における障害者雇用を積極的に進めてきた。  現在では、社内メール便の仕分け、備品のピッキングから出荷、カインズ従業員用制服の生産管理、縫製製品の企画・生産・販売管理、農業機械の修理業務、レーザー加工機でのステンシルシートの作成など、多岐にわたる業務において、さまざまな障害のある社員14人が活躍している。  入社7年目で、知的障害のある鳥羽(とりば)さんもその一人だ。鳥羽さんは、メール便の仕分け、ミシンを使ったジーンズの裾上げや洋服の製作などを担当しており、「作業内容を取り違えたり、読み間違えたりしないように、一つひとつていねいに仕事をすることを心がけています」という。  発達障害で場面緘黙症(ばめんかんもくしょう)のある清水(しみず)さんは入社6年目。レーザー加工機を使いステンシルシートを作成しているほか、データ入力なども担当している。「わからないことがあったときに、言葉が出なかったり、はっきり伝えることができず苦労しました。いろいろな仕事を経験していくうちに、事前に考えてから聞けるようになりました」と話す。  名刺作成や刺繍などを担当する内田(うちだ)さんは聴覚障害があり、口話や手話、筆談などを駆使しコミュニケーションを図っている。入社3年目の内田さんは、職場実習の際に「社員のみなさんが最後まで話を聞いてくれるなど、対応がよかったことが決め手となり入社を決意しました」と教えてくれた。  同社では、ユニバーサルファッション事業の立ち上げを計画するなど、新たな挑戦が続いており、今後も障害のある社員の活躍の場が広がっていく。 写真のキャプション 鳥羽さん(中央)は、社内メール便の仕分け作業も担当している 店舗で制服として使用されるジーンズの裾上げ作業。厚く固い生地をていねいに縫っていく 年齢や障害の有無にかかわらず、だれもが脱ぎ着しやすいユニバーサルファッション。そのデザインを、上司や支援員とともに検討する オフィスは本社の一角にあるため、社内における障害者への理解促進につながる 株式会社カインズ・ビジネスサービスのオフィスが入る株式会社カインズ本社ビル ステンシルシートの素材を曲がりなく、レーザー加工機にセットする 袋詰めされたステンシルシートが、しっかり切り抜けているか確認する清水さん レーザーによる切り抜き。ステンシルは塗装で文字などの転写に使用される カインズ全店舗の自転車販売データの入力も、清水さんの担当だ 切り抜かれたステンシルシートを、レーザー加工機から取り出す 内田さんは、刺繍機を使った作業着へのネーム入れ作業などを担当している @ 刺繍用の枠に作業着をはめ込む。ゆがみをなくすため、格子状の定規で確認する A 刺繍機に枠をセットする。位置のズレが仕上がりに影響するため重要な工程だ B 店舗の制服として使用される作業着に、ロゴが刺繍されていく C できあがりを確認し、縫い始めの部分から、はみ出た糸を始末する 【P19】 エッセイ 配慮は人のためならず 【第4回】 パラ五輪を観て考えたこと 株式会社Ds's(ディーズ)メンタルヘルス・ラボ 代表取締役 (精神科医・産業医) 原 雄二郎 原 雄二郎(はら ゆうじろう)  精神保健指定医、日本精神神経学会専門医、日本医師会認定医。  金沢大学卒業後、東京女子医科大学病院、東京都立松沢病院、東京都立広尾病院勤務を経て、東京大学大学院に入学。卒業後、同大学院医学系研究科精神保健学分野客員研究員。同教室と連携し、鄭理香とともに「株式会社Ds’sメンタルヘルス・ラボ」を設立、代表に就任し、現在に至る。  臨床診療とともに、産業医・顧問医や研修講師として、職場のメンタルヘルス対策の支援を行っている。 パラ五輪の感動  この夏は賛否がありながら、東京五輪、そして引き続いてパラ五輪が開催された。開催に至る経緯などを考えてしまうと、さまざまな意見があると思うが、実際に競技に真剣に取り組むアスリートの姿を目の当たりにすると、そのような頭のなかにあるモヤモヤした考えは、どこかへ吹っ飛んでしまう。  アスリートのがんばる姿、互いを尊重し合うスポーツ精神、高い技術に問答無用に魅了される。パラ五輪では、それに加えて、より多くの困難に立ち向かい、努力を重ねて素晴らしいパフォーマンスを発揮するアスリートたちに、純粋に、ただただ感動を覚える。障害にくじける様子を見せることなく、最高のプレーをしようと努力をする姿は、それがどれだけ困難なことか、どれだけの努力をしてどれほど多くの困難を乗り越えてきたのか、思いを致すと胸が熱くなる。  医療の現場にいて思うが、何かの障害があるということは、障害のない人が大多数の社会においては、まだまだとんでもなく多くの障壁が存在するのが事実なのである。 パラ五輪廃止論  さて、このパラ五輪に廃止論があるという。いろいろな意見を調べてみたところ、要点は以下となる。 ・障害者を別枠にするということは差別的である ・そもそも、五輪もパラ五輪も女性枠を設けており、男女混合ではなく、実力絶対主義ではない ・五輪とパラ五輪を統合してはどうか  こうした意見は、個人的には、納得できるところが大きい。本当の意味でのユニバーサルな世の中であれば、そもそも障害者を特別視して分けるという視点がない。  でも、よくよく考えてみると、パラ五輪が開催される以前には、そもそも、障害のある人が競技をして、それを多くの人々が観戦するというような、大きな大会がなかったのだろう。つまり、パラ五輪は、これまでなかった場を設けるという「社会的使命」を帯びて生まれたが、現代になって廃止論が唱えられるほど、社会のステージが成熟してきたとも考えられる。 パラ五輪と障害者雇用  障害者雇用においても同じような経過をたどっているのではないか。つまり、わが国では、障害者雇用率を目標に掲げ、その率を充足させるように国が働きかけを行っている。  裏を返せば、それだけ障害者の雇用率が低いということだろう。こうした目標を追っているうちは、まだまだ未成熟な社会ということだ。これが、障害者雇用率の目標を撤廃するような動きが出てくる時代になれば、ステージが成熟したと考えられるのではないだろうか。  五輪においては、LGBTQのアスリートが話題になったが、こうした話題が続いていくことで、社会の意識の変革は止まることはないだろう。社会の意識が変革すれば、競技のルールも変わる可能性があり、男女枠も曖昧になっていくかもしれない。変革の行きつく先は、性差別だけではなく、障害者を含むすべての差別撤廃に結びつくはずであり、そうなれば五輪とパラ五輪が統合される日がやってくる。  その日に、障害者雇用がどのような状況になっているだろうか。願わくば、就労を希望するすべての障害者に、障害のない者と同等に機会が与えられる世の中になっていてほしい。 【P20-25】 編集委員が行く 人の魅力が私たちの力 株式会社スミセイハーモニー(大阪府) 武庫川女子大学 准教授 諏訪田克彦 取材先データ 株式会社スミセイハーモニー 〒540-0001 大阪府大阪市中央区城見1-4-35 住友生命OBP城見ビル TEL 06-6937-1490(代表) 編集委員から  今回は、故郷の北九州市を離れて、現在生活している関西地域で取材先を探そうと思い立ち、大阪府が毎年実施している「大阪府障がい者雇用貢献企業(ハートフル企業)顕彰制度」の資料を見つけることができた。その受賞企業のなかから大阪市にある「株式会社スミセイハーモニー」を取材させていただいた。 写真:官野 貴 Keyword:特例子会社、社内委員会、職場環境の整備、キャリアアップ POINT 1 職員の成長とマネジメント力の向上を目的とした「4つの委員会」活動 2 委員会活動は、職員の相互理解や働きがい、キャリアアップもうながす 3 職員として、人としての成長に不可欠な「マナー教育」に着目 はじめに〜取材のきっかけ  株式会社スミセイハーモニー(以下、「スミセイハーモニー」)は、障がい者雇用に関する積極的な取組みを評価され、2010(平成22)年に厚生労働省の「障害者雇用優良企業」に認証された。さらに、大阪府が2003年から実施している「大阪府障がい者雇用貢献企業(ハートフル企業)顕彰制度」では、2003年度と2020(令和2)年度の2回、表彰されている。2020年度は、「職場環境向上委員会」など4つの委員会活動により、職員が会社の運営にかかわる仕組みを整備していることが評価され、「ハートフル企業チャレンジ応援賞」を受賞した。  関西地域の取材依頼は初めてであり、また、コロナ禍での取材を受けていただけるであろうかと不安を抱えながら、スミセイハーモニーに電話で取材のお願いをした。  対応していただいたのは、人事総務部担当部長の吉満(よしみつ)方子(まさこ)さん。突然の取材依頼だったが、今回の取材の目的について説明したところ、快く取材を受けていただいた。 スミセイハーモニー訪問  スミセイハーモニーはJR大阪環状線「大阪城公園前駅」から歩いて5分。大阪城公園に隣接するビジネスビル街にある住友生命保険相互会社本社ビルの6階と7階を社屋としている。  本社ビルの受付ロビーで、今回の取材依頼でお世話になった吉満さんから、「雨のなか、わざわざ当社を訪れていただき本当にありがとうございます」と笑顔の歓迎を受け、6階にある会議室に案内された。  会議室では、最初に常務取締役で人事総務部長の丹羽(にわ)孝文(たかふみ)さんから、同社の歴史について説明があった。  スミセイハーモニーは、住友生命保険相互会社の特例子会社として、2001年に設立・認定された。当時は37人だった従業員数も、2021年度には269人にまで増え、障がいのある従業員の種別も、聴覚障がい66人、精神・発達障がい62人、肢体不自由61人、知的障がい19人、内部障がい9人と、多様化しているという。昨年は高松オフィス、今年は東京オフィスを開設するなど、職域も広がっており、さらに、管理職への登用も積極的に進めている。  「これらの取組みを通して、多くの職員が自ら会社運営を実感できるような会社にしていきたい」と、穏やかな口調のなかに、熱意を感じる丹羽さんの挨拶だった。  吉満さんが用意してくださったDVDを視聴した。このDVDは、撮影は外部業者に委託したが、編集は職員らが自ら行い、全体で30分程度にまとめられている。さらに、本日の取材用にわざわざ10分程度に短縮したものを用意してくださっていた。  DVDには、スミセイハーモニーについて、企業理念、会社組織、業務内容と、今回の取材のメインテーマである「4つの委員会活動の紹介」として、それぞれの活動がまとめられていた。 スミセイハーモニー「4つの委員会」  今回の取材のテーマは2つ、@4つの委員会の目的、A4つの委員会の役割だ。  スミセイハーモニーには、職員の成長とマネジメント力の向上を目的とした「4つの委員会」があり、業務とは離れた委員会活動が行われている。この「4つの委員会」は会社設立時から設置されたわけではなく、会社とともに歩んできた歴史そのものともいえる。  会社設立の翌年2002年の、社内誌を作成する社内誌編集委員会(現在の「職場活性化委員会」)の立ち上げに始まり、障がいのある職員が100人を超えた2013年にマナーアップ委員会(現在の「職場環境向上委員会」)、2017年に「職場コミュニケーション向上委員会」、さらに、2018年には「従業員代表者委員会」が設立され、現在に至っている。 ●従業員代表者委員会  まずは、「従業員代表者委員会」委員長の岩橋(いわはし)利依(りえ)さんにお話をうかがった。委員会の活動について手話通訳の方も同席して、ていねいな説明を受けた。  同委員会は7人のメンバーで構成され、職員の「声」を会社に届け、職場環境の改善や職員の働きがいの向上につなげることを目的に、月1回委員会を開催しているという。  職員の「声」は、アンケートや意見箱によって集約され、会社への提案やスローガンなどに活用している。職員の「声」はどのようなものがあるのかたずねると、内容としては設備面の要望が多く、これまでに、@社内放送のデジタル化(音声→文字)、A冠婚葬祭などの休暇制度の新設、B車いすの社員が休憩などに使用できるベッドの設置などを実現しているそうだ。  また、職員の「声」のなかには企業内だけでなく、社会に目を向けた「声」もあり、家庭で余っている食品を持ち寄り、それを必要とする福祉団体などに寄付する「フードドライブ」運動にも参加しているという。 ●職場環境向上委員会  この委員会は、13人のメンバーが月1回の全体会のほか、「打ち合わせ会」を随時開き、会社内のすべての人が気持ちよく職務に専念できるように、職場環境の維持と向上を目的としている。  委員長の原田(はらだ)康彦(やすひこ)さんは、「この委員会活動は、職場環境のなかで職員一人ひとりに焦点をあて、ストレスフリーやマナーなど内面的な支援を展開しています」と話す。  具体的な取組みとして、職員用のマナーブック「みんなで守ろうハーモニーマナー」や、「ビジネスカジュアルのパンフレット」の作成、食事マナーや置き傘禁止などのポスターの作成・掲示をするなど、職員としてのマナー向上に努めているという。  また、スミセイハーモニーでは、職員間のコミュニケーションツールとして、手書きによる「いいね!カード」が活用されている。名刺サイズの「いいね!カード」は、職場内の仲間に対して、@ありがとう、Aすばらしい、Bおつかれさま、を感じたら、その気持ちをカードに記入して相手に渡すメッセージカードとして活用されている。「いいね!カード」の裏面に記載されている「使い方」を見ると、「『3つの言葉』にして伝えること、それが“ひとりひとりが誇りを持ち、お客さまから認められる『理想の会社』”への第一歩。」と書かれていた。  また、相手に直接渡すことができない人のために「いいね!カード」専用のポストが設けられ、その管理も委員会が担当している。月平均で約100枚が投函されているとのこと。私は、原田さんの言葉を選びながらていねいにまとめられた説明を聴きながら、SNSなどによるデジタル情報交換が中心の昨今、手書きカードによる心の交流の大切さをあらためて実感させられた。 ●職場活性化委員会  この委員会は、4つの委員会のなかで最初にできた「社内誌編集委員会」が前身である。活動は、月1回14人のメンバーが集まり、@社内誌を年3回発行、A新年会などイベントの企画と運営、B職場体験会の実施を担当している。 @社内誌は、代表取締役の巻頭言、4つの委員会報告、職員紹介などで構成され、年3回発行している。 A新年会、夏のイベントは、現在コロナ禍で開催できないため、その代替え企画として、職員だれもが参加できる「絵」や「写真」のコンテスト開催(職員の投票審査による表彰式も含める)などに取り組んでいる。 B職場体験会は、所属している部署を離れ、異なる部署の業務を体験しながら、職員それぞれの役割や業務内容を学び、会社全体を理解することを目的に、11月、12月、翌年の1月の3カ月間行われている。  職場活性化委員会の委員長の坂本(さかもと)義仁(よしひと)さんは、「これら3つの活動を通して、社員間の相互理解と親睦が深められるように、会社のムードメーカーのような存在を目ざしていきたい」と、熱意のこもった説明をしてくれた。 ●職場コミュニケーション向上委員会  この委員会は、職場内における職員同士のコミュニケーションの向上を図ることを目的にしている。  委員会の説明をしてくれた委員長の鎌田(かまだ)大地(だいち)さんは、自らの聴覚障がいについて手話通訳を交えて次のように語ってくれた。  「スミセイハーモニーは設立当初から聴覚障がいのある職員が多く働いているので、職員の“手話教育”に力を注いできました。手話以外のコミュニケーション手段として、筆談や口話、最近はスマートフォンやパソコンなどで使える音声変換ソフト(UDトークなど)がありますが、私自身、手話は生活のなかで使える“身近なコミュニケーション”という思いから、現在も会社内の手話普及に努力しています。その取組みは、毎日部署ごとに行われる朝礼で『5分間手話講座』の開催や、職員に貸与されているタブレット端末でいつでも視聴できる『手話講座』のDVD教材の作成、さらに、手話検定試験合格に向けた試験対策講座などに取り組んでいます。  また、2年前から聴覚障がい以外の障がいについて学ぶ勉強会を開催し、職員みんなが『障がいを理解する』ことを目的としています。昨年は、精神・発達障がいをテーマに勉強会を開催しました。講師は委員会メンバーが担当して、社内の当事者から体験などを聴きながら勉強会で使用する資料を作成しています」 社内見学  住友生命本社ビルの6階、7階にあるスミセイハーモニーを、人事総務部人事教育課業務推進役の梶原(かじわら)明子(あきこ)さんに案内していただいた。各階ともに仕切りなしのオープンスペースで、机がグループごとに配置され、職員がそれぞれ担当しているデスクワークを行い、テレビや映画に登場するようなオフィス空間そのものだった。  机の配置は車いす移動に配慮して通路が広く確保され、障がい者トイレの使用状況がわかる表示板や、職員が疲れたときに周りを気にせずゆっくり休息できるリラックスルーム、意見箱、「いいね!カード」の投函箱、ポスターが貼られている掲示板が設けられていた。  また、スミセイハーモニーはコロナ禍でのオンラインによる業務展開が困難なことから、フレックスタイムによる時差出勤を行っている。見学した時間帯が午後4時を過ぎていたので、午前8時から出社したグループの人たちが終業のミーティングを行っていた。 職員インタビュー  委員会活動メンバーとして活躍する2人に、インタビューをお願いした。 ●田中(たなか)美由樹(みゆき)さん 【入社したきっかけ】  聴覚障がいのある田中さんは、学生のときにスミセイハーモニーで実習を行った。その際に、多くの職員が手話を使っていたのがとても印象に残り、「働きやすい」と感じ、迷わずスミセイハーモニーに応募したそうだ。入社3年目になるが、電話応対も周りの職員がみんなで助け合って対応するので、実習のときに感じた「働きやすい」という実感は、いまも変わっていないという。 【委員会活動】  昨年から、職場活性化委員会のメンバーになった。「コロナ禍でのイベント企画はたいへんで、戸惑うこともあったが、委員会のみんなで考えたイベントに参加した職員から“楽しかったよ”といってもらえることがとてもうれしく、それが仕事の活力になっている」と笑顔で答えてくれた。 ●坂本義仁さん 【入社したきっかけ】  坂本さんは12年前、仕事中に転落事故で脊髄を損傷し、車いす生活になったという。しかし、「妻と2人の子どもがいたので、一家の大黒柱としてがんばらなければならないと自分を励まし、精神的に落ち込むことはなかった」そうだ。「自分ががんばれたのは、やはり家族のおかげ」と、家族に対する感謝の気持ちが坂本さんの支えになっている。  事故後は知人の紹介により、ある会社で契約社員として再スタートしたが、「自分がやりたい仕事を見つけたい、正社員として働きたい」という気持ちからハローワークを訪ねたり、会社説明会などにも参加した。スミセイハーモニーとの出会いで、やっと自分がやりたいことが見つかり就職することができた。入社5年目、保全グループで毎日の仕事に励んでいる。 【委員会活動】  職場活性化委員会で委員長を務め、先ほどの委員会説明もしてくれた坂本さんに、一職員として委員会活動をどのように感じているか、あらためて意見を述べてもらった。同席している田中さんにもわかるようにと坂本さんは手話を交えて次のように語った。  「最初は自信がなかったのですが、車いす生活者の視点から、社内の環境、例えば通りやすい空間づくりなどを提案してそれらを実現することができました。また、職場ではコミュニケーションがとても重要なので、コミュニケーションを通して職員が互いを知ること、理解することで互いに絆が深まり、職員一人ひとりの向上心にもつながっていると思う。障がいにこだわらないことで、互いに支えあえると思います」と、坂本さんの元気なコメントをいただけた。 取材を終えて  最初のテーマ「4つの委員会の目的」は、スミセイハーモニーの企業理念(図)そのものであり、会社全体がそれを実現することを目標としている。スミセイハーモニーは、会社の縦割り組織(役員、管理職、職員)とは別に、横のつながりを強化した組織(委員会組織)をつくり、その活動から職員一人ひとりが仕事能力とマネジメント力を備えた人材に成長できる「場」、「組織」になっていると感じた。  2つ目のテーマ「4つの委員会の役割」は、すべての職員が会社全体を理解することや、仕事能力の向上が図れるよう、その推進役としての役割を委員会がになっていることに尽きる。また、仕事能力プラス「人」としての成長も委員会の役割の一つとしてとらえられる。例えば、委員会メンバーは各部長の推薦により選出され、いろいろな部署の職員が協力しながら日常業務から離れた活動を展開している。この出会いや活動を通して、職員一人ひとりが常識を備え、他者を気遣う社会人としても成長できる、スミセイハーモニー独自のキャリアアップを、この「4つの委員会」がになっているといえよう。  「4つの委員会の役割」をキーワード的に整理すると、@職場活性化委員会は「相互理解」と「支えあい」、A職場環境向上委員会は「マナー」、B職場コミュニケーション向上委員会は「コミュニケーション」、C従業員代表者委員会は「働きがい」となる。  これらのキーワードは、読者のみなさんの職場における雇用や、具体的な職場定着の取組みのチェック項目として、参考になるのではと思う。  なかでも私は「マナー」に着目した。というのも、私が勤務する大学では毎年、社会福祉士や精神保健福祉士の実習指導やインターンシップ、企業訪問や面接に備えて多くの時間を割き、マナーに関する個別指導を行っている。その理由は、マナーを知らない、または、どうしたらよいのかわからない学生が多く、マナー教育を行うことが避けられないという現状だからである。障がいのある人のなかにも、「知らない」、「わからない」、「そのことを表現できない」などの理由から、マナーだけではなく、ルールを理解することができない状況に陥っていると予測される。  マナーとは「お互いが気持ちよく過ごすための心遣い」であり、「日常の挨拶」や「心遣い」によって「人と人が理解し、支えあうことができる」と考える。スミセイハーモニーが取り組んでいるマナー教育は、職員として、人としての成長にはマナー教育が不可欠であることを今回の取材で痛感した。  また、今回は取材することができなかったが、スミセイハーモニーには社会福祉士、精神保健福祉士、臨床心理士、手話通訳士など、国家資格を有するスタッフで構成された「ダイバーシティ推進室」が設置されている。  近年、地域の相談体制の充実は著しく、学校などでも取り組まれるようになり、就労支援に関しても高校生や大学生などの若者を対象とした自立支援にまで広がっている。  企業における障がいのある人への相談体制は専門家による評価やプランニングによる充実が進められている。「合理的配慮」、「LGBTQ」など、相談者や内容が今後も多様化していくなかで、専門職と当事者の参加による相談体制の確立は急務と考える。スミセイハーモニーでは、ここでも委員会と同様に、各部課長が職員とダイバーシティ推進室のつなぎ役として活躍している。  最後に、本誌編集委員で埼玉県立大学保健医療福祉学部教授の朝日雅也さんは、「社会福祉現場における就労支援サービスのあり方」(※)のなかで、「福祉から雇用へというと、とかく『働かせる』という論理が前に出てくるが、『働かせる』というのは支援者側や政策側の論理に陥りやすい。そうではなく、『働きたい』と思うことを支援するのが就労支援の本質である」と述べている。  朝日さんが指摘している「働きたいと思うことを支援する」が、障がいのある人の就労支援にかかわるすべての人たちが共有する倫理観、価値観になるよう、私も取材を続けていきたい。  今回、インタビューに快く応じてくれた職員みなさんの表情や言葉のなかに、「スミセイハーモニーで働きたい」という気持ちが溢れていた。 ★本誌では通常「障害」と表記しますが、株式会社スミセイハーモニー様の希望により「障がい」としています ※公益財団法人特別区協議会「社会福祉リカレント講座」資料、2009年 図 株式会社スミセイハーモニー 企業理念 ●働く意欲のある障がい者に対して積極的に雇用の場を創出・提供する ●社員は職場の仲間の個性や障がい特性を互いに理解・配慮し、すべての人が持てる力を発揮し、やりがいと達成感を感じることのできる風土をつくる ●人として成長することで、自立し地域社会で活躍出来るよう、必要な教育機会を提供する 写真のキャプション 株式会社スミセイハ−モニ−常務取締役、人事総務部長の丹羽孝文さん (写真提供:株式会社スミセイハーモニー) DVDは字幕や手話が入り、情報保障が図られている 職場環境向上委員会が作成した服装についてのパンフレット 職場環境向上委員会の(左から)原田康彦さん、平田(ひらた)真央(まお)さん、松島(まつしま)勲(いさお)さん 従業員代表者委員会の(左から)山本(やまもと)孝(たかし)さん、岩橋利依さん 職場コミュニケーション向上委員会の(左から)奥野(おくの)ひとみさん、中島(なかじま)健司(けんじ)さん、鎌田大地さん 職場活性化委員会の(左から)内田(うちだ)隆敏(たかとし)さん、坂本義仁さん、永田(ながた)千鶴(ちづる)さん 感謝などを伝えるのに使われる「いいね!カード」 職場活性化委員会が作成している社内誌「すまいるはーもにー」 社内に設置された「いいね!カード」や意見の投函箱 デスクや通路は車いすなどに配慮し、充分な幅をとって設置されている 職場コミュニケーション向上委員会が実施している挨拶運動(写真提供:株式会社スミセイハーモニー) 部署ごとに朝礼で行われる5分間手話講座(写真提供:株式会社スミセイハーモニー) 職場活性化委員会の委員長を務める坂本義仁さん 電子化を終えた書類の整理を行う田中さん 職場活性化委員会メンバーの田中美由樹さん 【P26-27】 省庁だより 令和3年版 障害者白書概要@ 内閣府ホームページより抜粋  障害者白書は、障害者基本法第13条に基づき、障害者のために講じた施策の概況について、毎年国会に報告しているものです。今号と次号において、「令和3年版障害者白書」の概要を紹介します。 第1章 新型コロナウイルス感染症への対応 政府における対応(新型コロナウイルス感染症対策本部の設置等)障害のある人に関わる主な措置 ●障害福祉サービス事業者等への支援  感染症対策実施に必要なかかり増し費用(マスク、消毒の費用等)などを助成したほか、現場における感染症への対応力底上げのための感染症対策マニュアルなどを作成して周知 ●障害のある子どもへの対応  臨時休業等で学校に登校できない児童生徒の学びを保障するために、障害種毎の家庭学習上の留意事項を通知 第2章 東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けた動き 「ユニバーサルデザイン2020行動計画」に基づく取組の推進  「ユニバーサルデザイン2020行動計画」を基に共生社会の実現に向けた諸施策を推進する中、障害のある人の視点を施策に反映させる仕組みとして「ユニバーサルデザイン2020評価会議」を設置し、各省庁の施策等を評価 「心のバリアフリー」の普及・拡大  障害の有無等にかかわらず、誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う「心のバリアフリー」の研修教材を作成し、学校、企業、地域などで幅広く活用、観光施設における心のバリアフリー認定制度の創設、小学校で2020年度から中学校で2021年度から新学習指導要領を踏まえた授業を全面実施 「共生社会ホストタウン」の取組  共生社会の実現に向けた取組を加速し、東京パラリンピック競技大会以降につなげていく「共生社会ホストタウン」の取組を推進 第3章 障害のある人に対する理解を深めるための基盤づくり 第1節 広報・啓発等の推進 ●「障害者週間」(毎年12月3日〜9日)における全国的な広報・啓発活動、国民への理解促進のための取組の推進 ●学校教育における理解促進等の取組  教育委員会が主体となり、学校において、障害のある幼児児童生徒と障害のない幼児児童生徒等の交流及び共同学習の機会を設けることにより、障害者理解の一層の推進を図る取組等を実施。また、「ユニバーサルデザイン2020行動計画」に基づき「心のバリアフリー学習推進会議」を設置、心のバリアフリーの促進を図るとともに、教育委員会や学校等に対して積極的な取組の促進 第2節 障害を理由とする差別の解消の推進 ●「障害者差別解消法」の円滑な施行の推進 ・合理的配慮の提供等事例集の作成、活用 ・「障害者差別解消支援地域協議会」の設置等の促進  地域の関係機関が連携し、差別事案への効果的な対応や紛争解決の後押しを行えるよう、自治体における地域協議会の設置等を促進 ・「障害者差別解消法」の施行後3年の見直しの検討  内閣府の障害者政策委員会による「障害者差別解消法」の施行3年後の見直しに関する意見書等を踏まえ、事業者による合理的配慮の提供の義務化等を内容とする同法の改正法案を2021年通常国会に提出し、同年5月に成立 第4章 社会参加へ向けた自立の基盤づくり 第1節 障害のある子供の教育・育成に関する施策 ●障害のある児童生徒のための入出力支援装置の整備  「1人1台端末」と「学校における高速通信ネットワーク」の整備による教育のICT化の推進(GIGAスクール構想)において、障害のある児童生徒が1人1台端末を効果的に活用できるよう、一人一人に応じた入出力支援装置(音声読み上げソフト、点字ディスプレイ等)の整備を支援 ●病気療養児に対する遠隔教育の取組  病気療養児の教育機会を確保するとともに学習や学校生活に関する不安感を解消し円滑な復学につなげるため、遠隔教育等を活用した取組を推進。2020年4月に、「学校教育法施行規則」の改正により、高等学校段階の病気療養中等の生徒に対する遠隔教育の単位修得数等の上限を緩和 第2節 雇用・就労の促進施策 ●公務部門における障害者雇用  公務部門における障害者雇用の不適切計上を踏まえ、雇用率の達成はもとより、雇用の質の向上を実現するため、障害者雇用推進者、障害者職業生活相談員の選任義務等に加え、「障害者活躍推進計画」の作成・公表義務を課し、これに基づき障害者雇用を進める取組を実施 ●障害のある人への地域における就労支援  ハローワークを中心とした関係機関とのチーム支援、一般雇用や雇用支援策に関する理解促進、トライアル雇用等による就労支援の充実と活性化 ●障害特性に応じた雇用支援策の充実  ハローワークに配置した専門の相談員による求職者へのきめ細かな相談支援や事業主に対する支援、就職や職場定着のために必要な支援等の情報を共有するための「就労パスポート」の作成、テレワーク勤務への支援等 ●障害者の就労支援における農福連携  農業分野に取り組もうとする就労継続支援事業所等に農業分野の専門家を派遣し、農業に関する知識・技術習得や販売・加工の助言・指導等を実施  また、全国的な機運の醸成を図り、今後強力に推進していく方策を検討するため、「農福連携等推進会議」を設置し、「農福連携等推進ビジョン」を策定 (次号では、第5章、第6章、第7章について紹介します) 「障害者白書」は、内閣府ホームページに掲載しています(★) ★https://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/index-w.html 【P28-29】 研究開発レポート 身体・知的・精神障害等のある中高年齢労働者の「職業生活再設計」のポイント 障害者職業総合センター研究部門 社会的支援部門  労働人口の高齢化にともない、障害のある労働者についても、健康かつ生産的に長期に仕事を続けられるような雇用管理のあり方がますます重要です。障害者職業総合センターでは、2020(令和2)年に、45歳以上の身体・知的・精神障害等のある労働者(以下、「中高年齢障害者」)を雇用している全国の企業へのアンケート調査および企業と障害者へのヒアリング調査を実施し、職場での雇用管理だけでなく地域関係機関と連携した健康管理や生活管理等も含めた「職業生活再設計」のポイントを明らかにしました。 1 全国の企業アンケート調査から  障害者雇用の有無にかかわらない全国の企業へのアンケートを実施し、1239社から回答が得られました。障害者を雇用する企業は744社で、そのうち中高年齢障害者を雇用している企業は616社(82.8%)でした。 (1)中高年齢障害者の雇用の特徴  障害者を雇用する企業744社において、45歳以上の年齢階層別に、身体・知的・精神の障害種別の雇用状況を見たものが図1です。知的障害者と精神障害者では年齢が上がるにつれて雇用割合が低下しており、特に50歳以上では身体障害者の雇用割合が多いことがわかります。  また、中高年齢障害者を雇用している企業616社においては、身体障害者(肢体不自由者や内部障害者の回答が多かった)の仕事内容は事務的職業が約半数であり、次いで専門的・技術的職業が多くなっていました。一方、知的障害者では、運搬・清掃・包装等の職業が過半数であり、次いで生産工程の職業が3分の1程度となっていました。精神障害者では、事務的職業が約半数で、次いで運搬・清掃・包装等の職業が多くなっていました。 (2)中高年齢障害者に対する配慮について  中高年齢障害者を雇用している企業616社の人事労務担当者や職場の雇用管理担当者等から、中高年齢の障害のない労働者および障害種別の障害者に対して、どのような配慮を行っているかを聞きました。その結果、現状の企業の中高年齢障害者への配慮として、中高年齢者への一般的配慮、障害者の職業課題への一般的配慮、障害種別の配慮の3要素が確認できました。 @中高年齢者への一般的配慮:障害のない中高年齢従業員と中高年齢障害者に共通して企業で多く行われていた配慮としては、加齢にともなう体力の低下や健康問題の増加等に応じた「仕事内容の工夫」、「健康管理」がありました。 A障害者の職業課題への一般的配慮:特に中高年齢障害者において障害種にかかわらず多く行われていた配慮として、「職場における障害についての理解促進」がありました。中高年齢以前から重要であった配慮だけでなく、加齢による障害の進行等や周囲の異動等の職場環境の変化などもふまえた継続的な職場での理解や配慮の促進も含むと考えられます。また、「業務実施方法のわかりやすい指示」、「休暇や勤務中の休憩等の休養への配慮」、「産業保健スタッフによる事業所内の健康管理」も障害種にかかわらず比較的多いものでした。 B障害種別の配慮:@、Aに加え、障害種別に特徴的な配慮がありました。具体的には、視覚障害者に対する「視力の変化についての状況把握」、聴覚障害者に対する「職場内での聴覚障害に対する筆談・口話の配慮」、肢体不自由者に対する「トイレ等の改善」や「職務環境における作業施設の改善」、知的障害者に対する「業務遂行援助者の配置」、「作業を容易にする構造化」、「残業(時間)の制限」、精神障害者に対する「短時間勤務による勤務時間の配慮」などでした。 (3)中高年齢障害者に残存していた課題  一方、これらの配慮を行っても、中高年齢障害者で職業上の課題が残存しているとした企業は、身体障害者については2割でしたが、知的障害と精神障害については4割以上となっていました。残存課題には、職業基礎能力に関する課題と精神的側面等の外部機関の支援を要する課題に加え、障害種別に特徴的なものもありました。 @職業基礎能力に関する課題:本人の能力に応じた仕事内容の設定、職場の人間関係、指示理解等のコミュニケーションや作業速度、労働意欲等の課題、等 A精神的側面等の支援を要する課題:精神的ストレスへの対処や体調の不安定さや外部機関の活用等の課題、等 Bその他、障害種別に特徴的な課題:視覚障害…「視力が落ちた」/肢体不自由…「運動機能が落ちた」、「無理なく働ける勤務時間の設定」、「歩行や交通機関を使用した場所の移動」/内部障害…「無理なく働ける勤務時間の設定」/精神障害…「長期休業した場合の職場復帰の対応」 2 企業と障害者のヒアリング調査から  中高年齢障害者を雇用している多くの企業で配慮を実施しても残存している課題について、対応できていると考えられた4社の雇用管理担当者および在職中の中高年齢障害者ならびに退職者とその家族を対象としたヒアリング調査を行いました。その結果、4社に共通して障害者本人と企業の対話の姿勢による仕事に対するモチベーション維持を基礎として、職業基礎能力や精神的側面への外部機関の活用の課題へのさまざまな取組みが確認できました。 @仕事に対するモチベーションの維持:課題状況には個別相談で本人の気持ちもふまえ丁寧に対話し、働きやすい職務内容、職場環境、待遇を一緒に検討して構築すること A仕事内容の工夫の推進:目標管理シートや業務マニュアルでの仕事内容や働き方の確認、本人と確認しながらの業務負担軽減の検討、支援機器等 B健康管理の充実:定期的面談での体調等の確認、腰痛予防体操やストレスチェック等、休憩時間での社員と本人の対話等、専門病院でのチェックや受診時間の調整 C外部機関の活用:就職前に利用していた支援機関での相談、家族関係の変化に対応したグループホームによる生活支援の円滑な利用、ジョブコーチと連携した配置転換 3 まとめ  企業においては、特に知的障害や精神障害のある労働者の中高年齢化に対し、障害のある労働者との丁寧な対話をベースにして、「職業生活再設計」というスタンスで、職務や職場環境の見直しだけでなく、健康管理や生活管理等の課題にも外部機関を効果的に活用し取り組むことが重要です。ポイントをマニュアル(図2)(※)にまとめていますのでご活用ください。 ★本調査研究報告書は下記ホームページからダウンロードいただけます  「調査研究報告書 No.159」https://www.nivr.jeed.go.jp/research/report/houkoku/houkoku159.html ※https://www.nivr.jeed.go.jp/research/kyouzai/kyouzai73.htmlからダウンロードいただけます ◇お問合せ先:研究企画部 企画調整室(TEL:043-297-9067 E-mail:kikakubu@jeed.go.jp) 図1 障害者雇用企業(n=744)における45歳以上の身体・知的・精神障害者の年齢別雇用状況 雇用障害者の年齢 65歳以上 身体障害者 9.1% 知的障害者 0.3% 精神障害者 0.8% 60歳〜64歳 身体障害者 14.2% 知的障害者 1.7% 精神障害者 2.2% 55歳〜59歳 身体障害者 17.8% 知的障害者 3.6% 精神障害者 8.6% 50歳〜54歳 身体障害者 15.1% 知的障害者 5.5% 精神障害者 8.6% 45歳〜49歳 身体障害者 14.7% 知的障害者 7.9% 精神障害者 16.5% 図2 事例からみた中高年齢 障害者に対する職業生活 再設計のポイント 【P30】 ニュースファイル 地方の動き 静岡 「農福連携」の仕組みを構築  磐田(いわた)市は、障害者の就労促進と農業の働き手確保を目ざした「農福連携」の仕組み構築を本格的に始める。産官学13団体で設立した「未来の農業連携懇話会」のネットワークを活かし、農業現場と障害者双方のニーズを収集しながら具体的な就労に結びつける。  まず、農業に特化した就労支援施設を運営す る「Grand Farm(グランドファーム)株式会社」(磐田市)、「静岡県立農林環境専門職大学」(同市)、市の懇話会メンバーの3者が協力してモデル的に取り組む。Grand Farm は就労継続支援事業所「すずなりカレッジ磐田校」(同市)を開設。利用者5人が親会社の大規模生産ハウス内で、水耕栽培向けの苗の定植や袋詰め、洗い場の作業などに従事する。農林環境専門職大学は、利用者の健康や体力、心の状況把握に使うケアシートをもとに、農作業が働き手の心身に与える効果に関する研究で協力する。 生活情報 東京 車いすユーザー目線の情報サイト  「凸版印刷株式会社」(文京区)と、その特例子会社「東京都プリプレス・トッパン株式会社」(以下、「TPT」)(板橋区)は、車いすユーザーのためのバリアフリー情報サイト「らくゆく」をオープンした。  「らくゆく」は、TPTの車いすユーザー社員らが中心となり現地調査をした情報を掲載。バリアフリーマップ(浅草・秋葉原から順にエリア拡大予定)に、主要観光地までのルート上の段差・傾斜情報や、多目的トイレの内部写真などを掲載するほか、車いすのパンク修理可能な店や病院・避難場所情報の提示、車いすで利用できるタクシーを呼ぶ機能なども備えた。さらに車いすユーザー目線の観光・イベントや店舗情報、オンラインツアーコンテンツも提供していく。https://rakuyuku.com/ 働く 新潟 作品販売のアンテナショップが開店  障害者のグループホームの運営や就労支援に取り組む「社会福祉法人ロングラン」(柏崎市)が、障害者の作品を販売するアンテナショップ「ART BASE FLAG(アートベースフラッグ)」(同市)をオープンした。  店内には、利用者が描いた絵を飾る「ギャラリースペース」と、コーヒーやクレープなどの軽食を楽しめる「カフェスペース」を設け、絵入りのトートバッグやアクセサリーなどの雑貨も並ぶ。昼前には総菜や弁当も販売し、年3回ほど企画展などを行う予定。営業時間は平日10時〜16時。問合せはロングランまで。 電話:0257−21−5090 東京 特例子会社がデータ分析サービス  「伊藤忠テクノソリューションズ株式会社」(港区)は、データの成形や統合など、データ分析の事前準備を専門に行うサービスの提供を始めた。受注したAIやデータ分析の案件については同社の特例子会社「CTCひなり株式会社」(同区)が、表記揺れや誤記などを整える作業を行う。  新サービスは、CTCひなりの障害者社員とサポート社員がチームを組み作業を進める。具体的には、表記の調整や全角・半角ルール適用、重複用語や異常値の削除などを行う。これまで約1年間にわたる試行期間で品質を確認し、本格的なサービス開始となった。  プログラミング業務はテレワークとの親和性も高いため、出社困難な人材の在宅就労にも期待できる。 三重 作業所兼ショップで働く姿を  障害福祉サービスを提供する「株式会社アス リードプラス」(鳥羽市)が、障害者が就労訓練 をする作業場と、市内の事業所でつくられた商品 を販売するアンテナショップで、カフェを併設し た「IPPO WORKPLACE ANTENNASHOP & IPPO cafe(イッポワークプレイスアンテナショップアンドイッポカフェ)」(同市)を開店。障害者が働く姿を実際に見てもらいながら販路拡大も目ざす。  アンテナショップ内では、同社が運営する障害福祉サービス事業所「五(い)っぽ」の利用者が、靴下の切れ端を編んでマットをつくる作業などを進める。ほかのスペースでは、市内の五つの事業所でつくられた鍋敷きや、さをり織りのストールなどの商品が並ぶ。営業時間10時〜17時、定休日は原則、日祝日。 電話:0599−20−0253 https://athleadplus.com/works/shop-cafe/ 【P31】 本紹介 『キャリア支援に基づく職業リハビリテーションカウンセリング―理論と実際―』  本誌編集委員の松爲(まつい)信雄(のぶお)さんが、「キャリア支援に基づく職業リハビリテーションカウンセリング―理論と実際―」(ジアース教育新社刊)を出版した。  現在、障害のある人を含む社会的弱者の雇用・就労施策においては、医療・教育・保健・福祉・雇用の各分野の一体的で切れ目のない施策の展開と、それを支える多分野の人材の育成や確保が重要な課題とされている。実際の支援では異なる分野の専門職が、雇用・就労支援の活動基盤となる知識と技術の全体的な体系について共通認識を持つことが重要である。このため、本書ではキャリア支援の視点を軸に、職業リハビリテーションカウンセリングの理論的基盤と実践方法の全体像を明らかにし、「理論的基盤」、「個別支援の実際」、「雇用環境調整の実際」、「ネットワークと人材」の4部19章で構成。専門書ながら平易な文章で、雇用・就労支援の新時代に対応できる知識と技術の体系を習得することをうながす。B5判304ページ、2970円(税込)。 2021年度地方アビリンピック開催予定 11月〜12月 青森県、千葉県、滋賀県、大分県 *部門ごとに開催地・日時が分かれている県もあります *青森県、千葉県、滋賀県、大分県以外は開催終了 ※全国アビリンピックが12月17日(金)〜12月20日(月)に、東京都で開催されます。 地方アビリンピック 検索 ※新型コロナウイルス感染症の影響により、変更する場合があります。 ミニコラム 第7回 編集委員のひとこと ※今号の「編集委員が行く」(20〜25ページ)は諏訪田委員が執筆しています。ご一読ください。 「編集委員としての心がけ、当事者主体≠ニディーセント・ワーク=v 武庫川女子大学准教授 諏訪田克彦  「編集委員が行く」を担当する編集委員として、これまで3カ所の企業を取材させていただいた。年1回の担当だが、私にとってこの取材は、障害のある人たちの就労をテーマにした、社会福祉の現場とつながる貴重な機会になっている。  大学では「医療ソーシャルワーク」をおもな研究テーマとしているが、前職は医療型障害児入所施設(旧肢体不自由児施設)の医療ソーシャルワーカーとして勤務し、そこで出会った人たちの「就労」や「自立」などの支援にかかわってきたことが、私のソーシャルワーク研究の原点になっている。  最近、ディーセント・ワーク≠ニいうことばを知った。ディーセント・ワーク(Decent Work)とは、1999年からILO(国際労働機関)が打ち出した考え方で、「働きがいのある人間らしい仕事」と位置づけられている。その対象のなかに障害のある人が含まれており、@働く権利が保護され、A十分な収入が得られ、B適切で社会的な保護が与えられた生産的な仕事であり、Cそれとともに、その人にとって尊厳が保障された働き方であるかどうか、が重要な要素になっている。  なかでもCの「人の尊厳」は、ソーシャルワークの基幹原則であり、そこにこだわる本誌編集委員として、当事者視点を基本にして、ディーセント・ワークを大切にしながら、就労支援の取材を今後も行っていきたい。 【P32】 掲示板 受講料無料 受講者募集! 職業リハビリテーションに関する各種研修のご案内 訪問型・企業在籍型職場適応援助者支援スキル向上研修 ◆訪問型・企業在籍型職場適応援助者支援スキル向上研修(第4回)  訪問型または企業在籍型職場適応援助者(ジョブコーチ)として1年以上の実務経験を有する方に対して、雇用管理やアセスメントに関する支援スキルの向上を図る研修を実施します。  講義・演習に加え、ケーススタディ、グループワーク、アクションプランの作成など実践的な内容が特長です。 ◆日程および会場  【第4回】<大阪会場> ※全国からお申し込みいただけます。  日程:令和4年2月1日(火)〜2月4日(金)  会場:クラボウアネックスビル3階(大阪市中央区久太郎町2-4-11) ◆申込受付期間  令和3年11月9日(火)〜12月17日(金) ◆お申込み先  当機構ホームページに受講申込書および申込方法を掲載しています。 ◆お問合せ先  職業リハビリテーション部 研修課  TEL:043-297-9095  E-mail : stgrp@jeed.go.jp https://www.jeed.go.jp/disability/supporter/supporter04.html 職場適応援助者(ジョブコーチ) 障害者職業総合センター 全国の地域障害者職業センター ステップ1 ジョブコーチをめざす方 職場適応援助者養成研修 ジョブコーチ支援を行う際に必要な知識・技術の習得 障害者職業総合センター・大阪障害者職業センター ステップ2 ジョブコーチの実務経験のある方 職場適応援助者 支援スキル向上研修 ジョブコーチとしての支援スキルの向上 雇用管理や人材育成の「いま」・「これから」を考える人事労務担当の方 ぜひご覧ください! メールマガジン好評配信中! 詳しくは JEED メールマガジン 検索 次号予告 ●この人を訪ねて  今年の東京パラ五輪「柔道女子48キロ級」で活躍した半谷静香さんに、競技と就労の両立などについて、お話をうかがいます。 ●職場ルポ  株式会社三井住友銀行の特例子会社SMBCグリーンサービス株式会社(千葉県)を取材。キャリアアップや定着支援の取組みなどについてうかがいました。 ●グラビア  株式会社ダスキンの子会社株式会社ダスキンプロダクト西関東(東京都)を訪問。多能工化を図る職場で活躍する、障害のある社員をご紹介します。 ●編集委員が行く  松爲信雄編集委員が、障害者の新たな働き方として、日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会の取組みを取材。労協連本部と加盟事業所のお話をうかがいます。 公式ツイッター始めました! 最新号発行のお知らせやコーナー紹介などをお届けします。 @JEED_hiroba 本誌購入方法 定期購読のほか、最新号やバックナンバーのご購入は、下記へお申し込みください。 1冊からのご購入も受けつけています。 ◆インターネットでのお申込み 富士山マガジンサービス 検索 ◆お電話、FAX でのお申し込み 株式会社広済堂ネクストまでご連絡ください。 TEL 03-5484-8821 FAX 03-5484-8822 あなたの原稿をお待ちしています ■声−障害者雇用にかかわるお考えやご意見、行事やできごとなどを500字以内で編集部(企画部情報公開広報課)まで。 ●発行−−独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 発行人−−企画部長 奥村英輝 編集人−−企画部次長 五十嵐意和保 〒261−8558 千葉県千葉市美浜区若葉3−1−2 電話 043−213−6216(企画部情報公開広報課) ホームページ https://www.jeed.go.jp/ メールアドレス hiroba@jeed.go.jp ●発売所−−株式会社広済堂ネクスト 〒105−8318 港区芝浦1−2−3 シーバンスS館13階 電話 03−5484−8821 FAX 03−5484−8822 11月号 定価141円(本体129円+税)送料別 令和3年10月25日発行 無断転載を禁ずる ・本誌に掲載した論文等で意見にわたる部分は、それぞれ筆者の個人的見解であることをお断りします。本誌では「障害」という表記を基本としていますが、執筆者・取材先の方針などから、ほかの表記とすることがあります。 編集委員 (五十音順) 埼玉県立大学 教授 朝日雅也 株式会社FVP 代表取締役 大塚由紀子 NPO法人大阪精神障害者就労支援ネットワーク 副理事・統括施設長 金塚たかし 岡山障害者文化芸術協会 代表理事 阪本文雄 武庫川女子大学 准教授 諏訪田克彦 あきる野市障がい者就労・生活支援センターあすく センター長 原 智彦 ホンダ太陽株式会社 社友 樋口克己 サントリービジネスシステム株式会社 課長 平岡典子 東京通信大学 教授 松爲信雄 有限会社まるみ 取締役社長 三鴨岐子 筑波大学 准教授 八重田淳 【P33】 障害者雇用支援月間(9月)における厚生労働大臣表彰などの表彰式が開催されました  9月14日(火)、令和3 年度障害者雇用優良事業所等の全国表彰式がオンラインで開催されました。  当日は、障害者雇用優良事業所と優秀勤労障害者の厚生労働大臣表彰18 件のほか、障害者雇用支援月間における絵画・写真コンテストの厚生労働大臣賞および当機構理事長賞8件の表彰が行われました。  最後に、「障害者雇用優良事業所」として厚生労働大臣表彰を受けられた、株式会社リオン・ドールコーポレ―ション人材教育部秘書室室長佐藤(さとう)祐美(ゆみ)様が代表者挨拶を述べられました。 障害者雇用優良事業所 厚生労働大臣表彰 株式会社リオン・ドールコーポレ―ション(福島県) 優秀勤労障害者 厚生労働大臣表彰 小川(おがわ)勝志(かつし)様(新潟県) 絵画コンテスト 小学校の部 厚生労働大臣賞 福井(ふくい)琴音(ことね)様(愛知県) 【裏表紙】 職業リハビリテーションに関する 令和3年度研修のご案内 受講料無料  医療・福祉などの機関における障害者の就業支援担当者を対象に、職業リハビリテーションに関する知識や、就業支援に必要な技術の修得、資質の向上を図る研修を実施しています。 職場適応援助者(ジョブコーチ)の養成・スキル向上研修 ステップ1 入門編・実践編 職場適応援助者養成研修※1 ◎訪問型職場適応援助者養成研修  千葉市(幕張)年7回 大阪市 年4回 ◎企業在籍型職場適応援助者養成研修  千葉市(幕張)年7回 大阪市 年4回 養成研修修了者サポート研修 ※2 全国の地域障害者職業センター ステップ2 スキルアップ編 職場適応援助者支援スキル向上研修※2 ◎訪問型職場適応援助者支援スキル向上研修  千葉市(幕張)年2回 大阪市 年2回 ◎企業在籍型職場適応援助者支援スキル向上研修  千葉市(幕張)年2回 大阪市 年2回 支援スキル向上研修 修了者サポート研修 ※2 全国の地域障害者職業センター ※1は職場適応援助者として援助を予定している方、※2は職場適応援助者として一定の実務経験がある方が主な対象となります。 ※回数は開催計画数です(令和3 年4月時点)。新型コロナウイルス感染症の影響により、予定が変更となる場合があります。 医療・福祉などの機関の就業支援担当者向けの研修 ステップ1 入門編 就業支援基礎研修 全国の地域障害者 職業センター各年1回以上 ステップ2 実践編 就業支援実践研修 ◎精神障害コース ◎発達障害コース ◎高次脳機能障害コース 全国14 エリア各年1回 テーマ別 就業支援課題別セミナー ◎令和3年度テーマ「視覚障害者への就業支援の最前線」年1回 ステップ3 スキルアップ編 就業支援スキル向上研修 ◎精神障害コース ◎発達障害コース ◎高次脳機能障害コース 千葉市(幕張)年1回 ◎実務経験に応じて、講義・演習・事例検討などを組み合わせた、実践的なカリキュラムとなっています。 ◎研修の参加には事前のお申込みが必要です。受講料は無料です。 ◎今年度の申込受付はすでに終了している研修もあります。各研修の日程、カリキュラム、会場、受講要件など、詳しくはホームページをご覧ください。 お問合せ先 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 職業リハビリテーション部 研修課 Email : stgrp@jeed.go.jp TEL 043-297-9095 FAX 043-297-9056 JEED 就業支援担当者 研修 検索 https://www.jeed.go.jp/disability/supporter/supporter04.html 11月号 令和3年10月25日発行 通巻529号 毎月1回25日発行 定価141円(本体129円+税)