【表紙】 令和3年12月25日発行・毎月1回25日発行・通巻第531号 ISSN 0386-0159 障害者と雇用 2022 1 No.531 リーダーズトーク だれもが働きやすい地域密着のコンビニ 株式会社ファミリーマート 執行役員CAO(兼)管理本部長 垣見俊之さん 職場ルポ 現場実習を重ね、生産性を高める人材に 株式会社ダイフク 滋賀事業所(滋賀県) グラビア アビリンピックでの経験を職場で活かす 太平ビルサービス株式会社 東京支店(東京都) 編集委員が行く 地域とつながり、育つ・育てる 生活協同組合パルシステム東京 青梅センター、社会福祉法人ほうえい会 介護老人福祉施設 栄光の杜、東京都立あきる野学園、東京都立羽村特別支援学校、東京都立青峰学園(東京都) 「ドクターヘリで助けたい」富山県・成瀬(なるせ)千陽(ちはる)さん 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 誰もが職業をとおして社会参加できる「共生社会」を目指しています 1月号 【前頁】 心のアート 奇形魚 青山桂己 画材:紙、ボールペンなど/サイズ:31.0cm×14.3cm 内面を投影した線の集合体  一部の彩色を除いて、おもに0.25mmの黒色水性ボールペンで描くモノクロの世界。  綿密に描かれた線描のなかには、文字や象徴的なアイコンが隠れていることもあります。絵には、認知症の母に対する思いや、発達障害、腎臓病である自分の内面が投影されているようです。青山さんによれば、絵が好きでも嫌いでもないそう。中学生になり、自分が劣っていると感じ、それを補う手段として、何か特技を見つけたいと絵を描くことを始めました。 (文:TASC ぎふ) 青山 桂己(あおやま けいこ) 1978(昭和53)年生まれ。岐阜県郡上市在住。発達障害がある。 ●経歴 2004年 「カンヌ国際芸術祭」黄金の幸福賞 2007年 「ロシア国立芸術アカデミー美術館」アカデミー特別賞 2015年 「個展」(郡上八幡楽藝館・郡上画廊/郡上市) 2018年 「個展」(みんなの森 ぎふメディアコスモス・みんなのギャラリー/岐阜市) 2019年 「いろんなみんなの展覧会 たわわに、実る。」(ぎふ清流文化プラザ)   他 協力:TASC ぎふ(岐阜県障がい者芸術文化支援センター) 【もくじ】 障害者と雇用 目次 2022年1月号 NO.531 「働く広場」は、障害者雇用の啓発・広報を目的として、ルポルタージュやグラビアなど写真を多く用いて、障害者雇用の現場とその魅力をわかりやすくお伝えします。 心のアート 前頁 奇形魚 作者:青山桂己 リーダーズトーク 2 第5回 だれもが働きやすい地域密着のコンビニ 株式会社ファミリーマート 執行役員CAO(兼)管理本部長 垣見俊之さん 文:豊浦美紀/写真:官野 貴 職場ルポ 6 現場実習を重ね、生産性を高める人材に 株式会社ダイフク 滋賀事業所(滋賀県) 文:豊浦美紀/写真:官野 貴 JEEDインフォメーション 12 令和4年度「障害者雇用納付金」申告および「障害者雇用調整金」申請のお知らせ/「障害者雇用支援人材ネットワーク事業」のごあんない 〜障害者雇用の専門家が企業のみなさまを支援します〜/今、手に取られている「働く広場」をデジタルブックでもお読みいただけます! グラビア 15 アビリンピックでの経験を職場で活かす 太平ビルサービス株式会社 東京支店(東京都) 写真/文:官野 貴 エッセイ 19 発達障害当事者の働きづらさのリアル 第1回 〜発達障害当事者の一般就労の苦労〜 姫野 桂 編集委員が行く 20 地域とつながり、育つ・育てる 生活協同組合パルシステム東京 青梅センター、社会福祉法人ほうえい会 介護老人福祉施設 栄光の杜、東京都立あきる野学園、東京都立羽村特別支援学校、東京都立青峰学園(東京都) 編集委員 原 智彦 クローズアップ 26 ジョブコーチ支援〜ナチュラルサポートをめざして〜 第1回 研究開発レポート 28 ジョブデザイン・サポートプログラムのカリキュラムの再構成 障害者職業総合センター職業センター ニュースファイル 30 編集委員のひとこと 31 掲示板・次号予告 32 読者の声 ※「省庁だより」は休載します 表紙絵の説明 「図書館で調べ物をしていて見つけたドクターヘリがかっこよくて題材に選びました。ヘリや富士山をリアルに描くのがむずかしかったです。ヘリは、うまく影をつけて、かっこよく描けました。受賞した絵は、学習発表会で飾ってもらえて、うれしかったです。最近は、持久走大会に向けて練習をがんばっています」 (令和3年度 障害者雇用支援月間絵画コンテスト 小学校の部 高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長奨励賞) ◎本誌掲載記事はホームページでもご覧いただけます。(https://www.jeed.go.jp/) 【P2-5】 リーダーズ トーク 第5回 Leaders Talk だれもが働きやすい地域密着のコンビニ 株式会社ファミリーマート 執行役員 CAO(兼)管理本部長 垣見俊之さん 垣見俊之(かきみ としゆき) 1990(平成2)年、伊藤忠商事株式会社入社。人事部などを経て2003年から2007年までニューヨーク駐在。帰国後に人事・総務部企画統轄室長、人事・総務部長を経て2019年から株式会社ファミリーマートに出向し、現職。  2021(令和3)年に創立40周年を迎えた「株式会社ファミリーマート」は、国内にコンビニエンスストア約1万6600店舗を展開しています。障害者雇用については、社内で立ち上げたダイバーシティ推進委員会の方針を軸に、支援体制の強化や職域拡大に取り組んできました。これまでの経緯や今後の方針について、執行役員CAO(Chief Administrative Offi cer)(兼)管理本部長の垣見俊之さんにお話をうかがいました。 (文)豊浦美紀 (写真)官野貴 経営陣が問題意識を共有 ――垣見さんは2019(平成31)年に伊藤忠商事株式会社から出向してきましたが、それまでも障害者雇用にかかわった経験があるそうですね。 垣見 私が部長を務めていた「伊藤忠商事株式会社」(以下、「伊藤忠」)の人事・総務部は、特例子会社「伊藤忠ユニダス株式会社」(以下、「ユニダス」)を主管していました。クリーニング事業や印刷事業などを手がけるユニダスは、半数以上が障害のある社員ですが、健常の社員と一緒の職場で助け合って働いています。現地を定期的に訪れていましたが、伊藤忠社員の名刺作成を担当する障害のある社員が、各社員の過去の役職をすらすらと口にする様子を見て驚いたのを覚えています。それぞれ特性や能力を活かして活躍する障害者雇用のあり方は、職場全体の活力にもつながると感じていました。  ところで当社ファミリーマートは、2016年までは障害者雇用率が未達成で、ハローワークから指導が入っていました。エーエム・ピーエム、ココストア、サークルKサンクスなどとの合併を重ねてきた当社は、多様な人材が集まるダイバーシティの素地がある一方、急激な組織拡大のなかで、じっくりと障害者雇用に取り組むことまで手が及ばなかった状況でした。  せっかく障害者を採用して各部署に配置しても、しっかりした支援体制がなく、特に精神障害や知的障害のある社員が定着できないケースが少なくありませんでした。配慮すべき点がずれていたり、逆に配慮しなくてよいことを配慮したりして、互いにうまくいっていない状況があったようです。 ――そのようななか、2017年に「ダイバーシティ推進委員会」を発足されました。 垣見 ダイバーシティ推進委員会は、社長をトップとする経営陣で構成されています。必ず年1回集まり、推進方針や進捗状況、課題などを共有し、毎回テーマを決めて議論しています。ほかにも専門家を招いた講演会やワークショップも開催しています。ダイバーシティはまさに経営の重要な施策の一つですから、経営陣がしっかりと会社の状況をふまえ問題意識を共有し、推進の責任者として進めていくことが何より重要です。障害者雇用も、ダイバーシティのテーマの一つとしています。  委員会立ち上げの年に、さっそく人事部が中心となって、障害者雇用のための支援担当社員(ジョブサポーター)の採用を具体的に進めることになりました。現在は9人で、就労支援にかかわってきた人たちばかりです。彼らは自分たちで「業務サポート」という名称を考え、職場内に手づくりの看板を掲げ、チラシを手に社内をまわり、仕事をもらえるよう営業活動もしていました。  そして2019年には正式に「業務サポートグループ」が発足しました。障害のある社員に活躍してもらうための組織で、社内メール便や印刷、スキャニング、備品補充作業などの業務を請け負う拠点です。本社エリアでは東京都の田町と江戸川橋の2拠点で、障害のある社員32人が勤務しています。なかには、ジョブサポーターの支援を必要としなくなって「卒業」し、別部署に異動した人もいます。  いまでは当社全体で、障害のある社員は130人(身体障害51人、知的障害42人、精神障害37人)、障害者雇用率2.52%(2021年6月1日現在)となっています。 「個別支援計画」「評価制度」の導入 ――あらためて採用・支援の取組みについて教えてください。 垣見 当社の採用方針は、障害の有無にかかわらず、社員としてしっかり役割を認識してもらい、成果を出していくことを前提としています。障害は社員の一個性であると認識しており、配慮はしますが、特別扱いはしません。障害のある社員も、そういった関係を望んでいます。重要視しているのは、障害を受容して働く意欲がある人。仲間への思いやりや、成果を出そうと努力する姿勢も大事です。説明会や実習で、職場をよく知ってもらい、面接には支援機関や家族の方も同席してもらっています。  入社後は、短時間勤務や週4日制勤務など柔軟な働き方を可能にしているほか、ジョブサポーターによる月1回の面談をはじめ、体調管理を含めたフォローに力を入れています。  さらに、一人ひとりが長期的な視点でステップアップできるよう「個別支援計画」をつくり、2020年からは「評価制度」、「永年勤続制度」も導入しました。本人の努力や成長ぶりをみて、定期面談でフィードバックしながら、賞与や手当にも反映させていく仕組みです。  一方で私自身は、社内の理解促進が足りないと感じており、各部署での受入れ研修、イントラネットによる周知活動、ワークショップの実施といった地道な活動や、新入社員向けの研修も予定しています。 農場野菜をファミマ店舗で販売 ――ファミリーマートは農場スタッフとしての障害者雇用も進め、収穫野菜の店舗販売も行っているそうですね。 垣見 2013年に初めて農場専任の障害者スタッフの採用を始めました。千葉県流山市にある農場は、東京ドーム2.5個分のとても広い敷地です。ここを運営する株式会社ECA(えか)の「えかオーガニック農場」に農業指導を委託しています。現地にはジョブサポーター役の社員が常駐し、本社のマネジャーや社員も月に数回出向いて、彼らの仕事ぶりを確認しています。私も何度も農場に行っていますが、当日の作業担当が細かく割りふられて黒板に書かれ、みんなテキパキと働く姿に感心させられます。通常は農場勤務ですが、コロナ禍への対応として、希望者に本社に来てもらって、ワクチンの職域接種をしました。  農場で収穫された野菜は、当初は社内販売だけでした。しばらくして農場わきでの露店販売に挑戦しました。重度の知的障害のある社員たちが担当するため、計算しやすいよう値段はすべて100円にしたところ、有機野菜で値段も安いため、飛ぶように売れたそうです。私はいまも社内販売会で購入していますが、とてもおいしいんですよ。  その後、近くのファミリーマートの駐車場を借りて販売したところ評判になり、店舗内での販売に切り替わりました。現在近隣の10店舗に広がっています。週3回ほど特設コーナーで販売しますが、いつも1時間ほどで売り切れており、値段も相場に合わせ少しずつ上げています。他店舗から「うちでも販売したい」との要望があり、拡大を模索中です。  こうして社内販売からステップアップしていくうちに、「店舗販売こそが、私たちの経営方針である地域密着≠ノ合致する」と気づきました。地域のファミリーマートで自らが一生懸命つくった野菜を販売して喜ばれることは、農場で働く社員にとっても大きなやりがいにつながっています。 コンビニ店舗での就労 ――就労訓練向けのコンビニ店舗も運営しているそうですが、その取組みについて教えてください。 垣見 2008年に「新宿スポーツセンター店」を開店し、「公益財団法人新宿区勤労者・仕事支援センター」から実務訓練の実習生を受け入れています。現場では、接客からバックヤードの対応、在庫管理、清掃まで、ひと通りの業務を1日2時間から、訓練してもらっています。レジ以外の作業でも、店舗内にいれば顧客対応をすることもあります。常温・冷凍・冷蔵の各商品の温度管理や、食品ロスを減らすためにさまざまなルールを設けており、こうした業務も含めて現場感覚が養えるはずです。実習生たちも仕事のやりがいが増しているようですね。  一方で店舗側も、実習生を受け入れることで「品出しは任せられるな」、「こんな工夫をすれば、別の作業もできそうだ」といった気づきが生まれています。こうした経験や実績をベースに、これまで障害のある人は本社や農場での就労がほとんどでしたが、店舗で就労するケースも増えてきました。いまは障害のある社員12人(身体障害8人、知的障害1人、精神障害3人)が直営店で働いています。  例えば補聴器をつけている社員は、制服の胸のところに耳が聞こえづらいことを伝えるマークをつけ、店長職も経験しています。また知的障害のある社員は、品出しやコーヒーマシン清掃、備品発注などを担当しています。  当社では、経営が厳しいフランチャイズ店を直営化して立て直し、再びフランチャイズ化するスキームを推進しているのですが、直営店舗で障害者雇用の拡大を試行しているところです。 「地域密着の職場」を目ざして ――今後の障害者雇用の展開について、お考えをお聞かせください。 垣見 社内業務のAI化などによって、障害のある社員が現在担当する仕事が減っていくと予想されるため、職域拡大に力を入れています。  2021年からは、全国4エリア(北日本、東日本、中日本、西日本)の本部を中心に、障害者雇用の職域拡大のための場をつくりました。これまでもニーズがあれば個別に対応してきたのですが、明確な方針を掲げてスタートさせた形です。東京都の池袋では実際に就労が始まり、9月から名古屋・大阪のエリア本部内で実習をスタート、採用につながっていると聞いています。2022年には札幌・仙台・福岡でも予定しています。  ふり返ってみると、私が出向してきた2年半前は、コンビニ業界は右肩上がりでした。その後、24時間営業問題や食品ロス問題、加盟者をめぐる問題などが一気に噴出しました。人材不足も大きな課題になっています。まさにコンビニの転換期を迎えていると実感しています。  コンビニのあり方は、今後もどんどん変わっていくでしょう。当社は、新たにデジタルサイネージを活用したメディア事業を展開して情報発信を強化するほか、無人決済型の店舗も次々とオープンさせています。  ひと昔前のコンビニは、一人でレジから品出しや在庫管理まで任され、いわゆるマルチタスクが求められていました。いまはオペレーションが複雑化するかわりに、商品管理など店舗内での分業も進みました。つまり、レジ以外の仕事を担当する働き方が可能になり、障害のある人も勤務がしやすくなってきているわけです。分業化によって「だったら働ける」という人も増えるでしょう。障害のある人も、特性などを見きわめれば、働く場がいくらでもあります。この変革期に、障害者雇用の促進を図る取組みは、会社全体に貢献できるものだと実感しています。コンビニを取り巻くさまざまな困難は、結果として新たな発見があり、障害者雇用の促進につながったものと思っています。  今後も、当社が掲げる「誰もが働きやすい、インクルーシブな職場づくり」に向けた取組みを強化し、障害の有無にかかわらず、いろいろな人に「ここなら働いてみたい」と思ってもらえるような地域密着の職場≠目ざして努力と工夫を重ねていくつもりです。 【P6-11】 職場ルポ 現場実習を重ね、生産性を高める人材に ―株式会社ダイフク 滋賀事業所(滋賀県)― 物流システムを支える総合メーカーのマザー工場では、独自の教育カリキュラムに沿って、製造現場で生産性を高めていける人材育成に取り組んでいる。 (文)豊浦美紀 (写真)官野 貴 取材先データ 株式会社ダイフク 滋賀事業所 〒529-1692 滋賀県蒲生郡(がもうぐん)日野町中在寺1225 TEL 0748-53-0321(代) Keyword:知的障害、精神障害、製造、マッチング、実習、障害者職業センターKeyword:知的障害、精神障害、製造、マッチング、実習、障害者職業センター POINT 1 製造現場での障害者雇用を進めるために専門部署を設置 2 地域の高等養護学校と連携し、職場実習でマッチング 3 安定して現場で働き続けるための人材育成カリキュラム 敷地120万uの生産拠点  1937(昭和12)年設立の物流システムメーカー「株式会社ダイフク」(以下、「ダイフク」)は大阪市に本社を構え、物流システムのコンサルティング・設計・製造などを手がける。自動車生産ラインのコンベヤシステムをはじめ、立体式自動倉庫、空港内の手荷物搬送システムなど幅広い事業を展開し、従業員数はグループ全体で1万1000人超だ。  なかでも滋賀事業所は、約120万uの広大な敷地に12の工場などが集約された一大生産拠点で、3000人以上が働いている。ここに2007(平成19)年、障害者雇用を本格的に進めるための専門チームがつくられ、試行錯誤を重ねながら、高等養護学校(※1)などと連携した職場実習や、入社後の長期的な教育カリキュラムなどを導入してきた。  滋賀事業所は、障害のある従業員が53人(身体障害5人、知的障害42人、精神障害6人)まで増え、障害者雇用率は国内4社のグループ適用で2・54%(2021〈令和3〉年6月1日現在)となっている。そのうち、「人事総務本部総務部業務サービスグループ」に所属する契約社員(以下、「メンバー」)は、36人(知的障害34人、精神障害2人)だ。  同グループのグループ長を務める薩摩(さつま)一男(かずお)さんは、「本業である“ものづくりの現場”で実習を何度も行うことで、一般従業員と同じように生産性を高めていける人材の確保と育成を図っています。メンバーそれぞれが仕事の能力を磨き、やりがいを持って働き続けられる環境ができつつあります」と話す。 高等養護学校と連携し定期採用  もともとダイフクでは製造現場などで、おもに身体障害のある社員が働いていたが、規模拡大にともなう職域・雇用拡大をなかなか進められなかった。そこで2007年、滋賀事業所の滋賀総務グループ内に、障害者雇用のための「環境サービス」というチームをつくった。ハローワーク経由で採用した知的障害のあるメンバー4人と指導員の社員1人で、事務補助や清掃などを行っていたが、「そうした業務だけでは雇用人数に限界がありました。私たちの本業である製造現場でも、メンバーが働ける仕組みづくりが必要だと考えました」と薩摩さんは話す。  続いて同年から、滋賀事業所は、ハローワークや障害者就業・生活支援センター、地元の滋賀県立高等養護学校などと相談して、職場実習生の受入れを開始。軌道に乗り始めた2012年から定期採用するようになった。  その後、着実にメンバーが増えていった環境サービスのチームは2017年、ダイフク総務部傘下の独立部署「業務サービスグループ」となった。  現在はメンバー36人と指導員6人。なお、指導員には、福祉分野などの専門知識がある人も採用している。2021年入社の宮元(みやもと)真由美(まゆみ)さんは、社会福祉士と精神保健福祉士の資格を持ち、福祉作業所などに勤務した経験も活かしながらメンバーの支援に努めているそうだ。  発足当初の業務サービスグループでは、事務補助、社内メール便、厚生施設の清掃や除草作業のほか、製造にかかわる業務などを行っていたが、指導員がメンバーの習熟度などを見きわめ、繁忙期を中心に、各事業部の製造現場にあくまで“お手伝い”として行ってもらった。ただ、各事業部に行ったり戻ったりをくり返すため、一人ひとりの仕事内容が安定しないのが悩みだった。  そこで、最終的に各事業部へと配属される形にもっていくための人材育成カリキュラム「業務サービスグループビジネスモデル」が、2019年からスタートした。採用前から入社後5年間程度を目安に、実習を重ねながらマッチングを見きわめつつ、職務能力も段階的に高めていく仕組みだ。順を追って紹介していきたい。 「安全意識」最優先の指導から 〈採用前実習期〉  滋賀事業所では定期的に、高等養護学校の1年生を対象にした職場見学会を開催している。その後、学校推薦を受けた2年生と3年生を、1〜2週間ほどの職場実習生として受け入れ、適性を見きわめながら採用につなげていく。一般採用の場合も必ず事前に実習を行っている。  業務サービスグループで実習生指導も担当している寺島(てらしま)俊恵(としえ)さんによると、特に力を入れて教えているのは“安全意識”だという。「製造現場においては、何よりも安全が優先されます。自分のささいな行動が、いかに人命の危険や会社の損害につながるかを、作業のなかで『これが“不安全”な行動だよ』などと教えます。学校側には、あまりピンときていない先生も少なくないので、日ごろから企業の考え方を理解してもらうようにしています」と話す。  先生たちと協同で「企業紹介ビデオ」も制作した。そのなかでは、求める人材について「報(報告)・連(連絡)・相(相談)ができる人」、「ルールを守れる人」、「どんな仕事でもまじめにがんばれる人」などと伝えている。 事業部の委託作業で基礎作業実習 〈会社適応期〉  入社後5年間は、業務サービスグループに所属する。特に1年目は、仕事上の基礎知識や社会人として大切なモラルやルール、安定して働くための体力づくりなどを身につけながら、環境整備や事務補助、各事業部からの委託作業を行う。業務サービスグループで指導するジョブコーチの木下(きのした)伸史(のぶふみ)さんによると「在学中の職場実習なども経て、一定の基礎力をつけてきているメンバーが増えており、日々の業務は比較的スムーズに取り組めています」とのことだ。  製造現場からの委託作業については、対象品を預かって業務サービスグループの事務所内で作業し、“納品”する形をとっている。薩摩さんが説明する。  「納品時にはメンバーが事業部に出向き、社員とやり取りするなかで、職場のコミュニケーションやマナーなども自然に身につけていきます」  事業部から委託される業務の確保は、2015年から指導員を務める中川(なかがわ)淳(じゅん)さんが一役買っている。長年、製造現場でつちかった経験と人脈を活かしながら現場と交渉しているそうだ。  4月の採用後2カ月間ほど各種の業務・委託作業のジョブローテーションをした後は、本人の得意・不得意などをふまえたうえで、指導員らが一人ひとりの「支援計画書」を作成する。日々の業務や座学研修などで社会適応能力を高めながら、基礎的な作業の訓練を重ねていく。  そして11月ごろからは、現場へ派遣し約2週間の工場実習に参加する。業務サービスグループの指導員が毎日現場を回りながら、本人と現場のフォローをし、受入れ側の支援担当者はメンバーの適性を見ながら評価する流れだ。  入社1年目のメンバーに話を聞くことができた。業務サービスグループの事務所で部品検査をしていた中村(なかむら)裕人(ゆうと)さん(19歳)は、高等養護学校時代の職場実習で「指導員や先輩方のサポートのおかげで作業しやすく、事務所内の雰囲気も明るかったのが印象的でした」とふり返る。いま担当している作業内容は、在学中の職場実習時とあまり変わらないそうだが、「大きく違うのは責任がともなうことなので、緊張感があります。同じ作業でも、どうしたら効率的になるか、品質を上げられるかを考えながら取り組んでいます」。  最近、納品などで出向いたある事業部で、自分のやってみたい作業を見つけ、社員に話を聞いてみたところ「がんばって、こっちに来なよ」と激励されたのがうれしかったそうだ。「メモを取るのが苦手なので、工場実習が始まるまでに、しっかり身につけたいです」と話してくれた。 4事業部への派遣による工場実習 〈職場実習期〉  入社2〜3年目は工場実習がメインとなる。ふだん勤務する職場は派遣先の事業部となり、実習時間は9時〜16時。朝礼と終礼だけは業務サービスグループで参加する。  現在の派遣先の事業部と派遣中のメンバー人数は、搬送システムにかかわるIL事業部9人、洗車機のAW事業部7人、半導体製造などクリーンルーム向け搬送システムのCR事業部5人、自動車生産ライン向けシステムのAM事業部4人となっている。  一人ひとりが担当する業務も、世界中から納品される部品などの受入れ・配膳(※2)、機械のユニット単位のサブ組立や部品などのライン組立、塗装加工、完了品の検査や出荷、生産管理や調達などさまざまだ。  この実習期間は、派遣先の支援担当社員や指導員と一緒に、メンバーが自分なりの目標や課題、それに対する具体的な行動などを設定する。これを「行動目標シート」にして事務所内にも掲示、つねに意識しながら仕事に励む。 事業部に配属、職種専任型社員を目ざす 〈職場適応期〉  入社4〜5年目になると派遣先の事業部に直行直帰する形をとり、勤務時間も8時半〜17時のフルタイムとなる。ここで安定した就業状態が認められると、業務サービスグループを“卒業”し、各事業部に配属されることになる。もちろん配属後も指導員が現場を回りながら、安定して働き続けられるようフォローしている。  メール室で作業中の岡田(おかだ)恒平(こうへい)さん(30歳)に話を聞いた。大学卒業後に市役所で臨時職員を1年経験後、滋賀障害者職業センターで訓練を受け、ハローワーク経由で2018年に入社した。統合失調症と発達障害の診断を受けているが、「市役所では自身の障害を開示していなかったので、きつかったです。電話業務と、ほかの業務を同時並行で進めることが苦手なのですが、ここでは配慮してもらいながら働けています」という。  いまは郵便物などの仕分け・配達のほか、他部署から依頼された書類チェックや入力作業も担当。自分でメモからつくりあげた手順ノートを見返しながら、ミス防止に努めている。「障害者職業センターで手順書をつくるプログラムがあり、とても役立ちました」と笑顔で話す。  同僚のメンバー2人と一緒に働くなかで、一時は「自分は能力が劣っているのではないか」と悩んだこともあった。話を聞いてくれた指導員の北浦(きたうら)律子(りつこ)さんに「他人と比較してもマイナスにしかならない。昨日の自分と比べてみたら」とアドバイスされ、いまは業務日報を書きながら過去の自分をふり返ることで、前向きになれているという。北浦さんも、岡田さんの成長ぶりに驚いている。  「最初のころは、人とスムーズに会話をするのがむずかしい状態でしたが、事業所内の配達に回ったり、同僚や私たち指導員と話したりするうちに、どんどん積極的になり、『もっと仕事をやらせてください』というようになりました」  岡田さんは「いろいろな業務に取り組むなかで『これは岡田に任せれば安心だ』といってもらえる仕事を増やしていきたいです」と語ってくれた。 職種専任型社員にも 〈事業部配属〉  入社6年目からは、就業状態が良好と現場の上司らに認められた場合、社員登用試験(論文)を受けることができ、合格すれば「職種専任型社員」となり、正式に配属される。職種専任型社員は、一般正社員の一つのタイプで、定年まで異動することなく働き続けられ、給料やボーナスなどの待遇がいままでと大きく変わる。これまでに職種専任型社員になったメンバーは8人、今年も4人が候補にあげられているという。  ただし、こうした一連のカリキュラムは、だれもが順調に進んでいくわけではないと薩摩さんが説明する。  「なかには障害特性により派遣先が決まらないとか、派遣先業務との適性を見定める期間がもう少し必要と判断され、延長になることもあります。また、本人が職種専任型社員になることに一歩ふみ出せなかったり、途中で業務サービスグループに戻ってきたりするケースもあります。逆に、1年目から派遣先の事業部で戦力として認められ、そのまま派遣先に配属され、そこで働き続けるメンバーもいます。一人ひとりの特性や成長に合わせ、無理せず着実に育てていきたいと思っています」  メンバーが着実に戦力となっている現場も訪れた。大きなビニール型テントのなかで、部材の配膳作業をしていた小寺(こてら)修司(しゅうじ)さん(29歳)は、2011年に入社。さまざまな現場を経験したあと、2019年からIL事業部に派遣されている。小寺さんは高等養護学校時代にフォークリフトの免許を取得しており、「実際に運転しながら作業できるのがうれしい」という。「ここは何でも相談しやすく、話をしやすいので、とても働きやすいです」と話す小寺さんは、職種専任型社員を目ざしている。「これからも、安全を意識して仕事をしていきたい」と意欲を語ってくれた。  小寺さんの働く現場から車で数分離れた場所にもIL事業部の大きな倉庫がある。その入口付近のデスクで、伝票の束(たば)をめくりながら手早くはんこを押していたのは、2007年入社の奥村(おくむら)理果(りか)さん(32歳)。2014年にいまの現場に配属され、2021年に念願の職種専任型社員になった。「大きな工場で働きたいと思って入社しました。ここではいろいろな人とコミュニケーションが取れるのがうれしい」と笑顔で話す。  ここには毎日2000点以上の発注部品が納品され、仕分けられて各現場へと配達されている。奥村さんは、納品書にミスがないかチェックしながら、バーコードで読み込み、確認用のはんこを押している。少しでも仕事を効率的に進められるよう、自分でアイデアを練って工夫を重ねてきたそうだ。  作業机の上には、はんこの日付を確認する試し紙を目の前にまとめて掲げておいたり、数字を書き込んで伝票に挟むメモ用紙をつくったり、だれでも代わりに作業できるよう道具や書類をわかりやすく整理している。今後の目標について聞くと、「ほかのみんながやっている、部品を仕分ける作業など、新しい仕事を覚えたいです」と話してくれた。  指導員の中川さんは、「以前、作業机の上は文房具などが散乱し、ホッチキスを探すのにも苦労したほどでしたが、奥村さんがきれいに整理してくれて、作業も格段にしやすくなりました」と目を細める。また、薩摩さんは「奥村さんは、もともと字を書くのが苦手でしたが、順次導入されつつあるタブレットへの移行で負担が減り、業務自体に力を発揮してくれると期待しています。時代が彼女に追いついたような感じです」と話してくれた。 受入れ現場との連携  業務サービスグループの指導員たちは、派遣先の現場で、メンバーを支援する社員たちのフォローも欠かさない。指導員の宮元さんは、「支援担当の社員には、普段の仕事に加えて、負担がかかるかもしれないことを承知のうえで提案することもあり、悩むことも少なくありません」と明かす。グループ長の薩摩さんも、「双方が過度のストレスなく働ける環境をつくることが課題の一つです。支援する側の社員がまいってしまうようではいけないので、困ったときはいつでも何でも相談してもらえるような関係を大事にしています」という。  業務サービスグループでは、派遣先の上長や支援担当者に、月1回の定例ミーティングを行うほか、障害者雇用に関する知識・スキル向上を目的としたオンライン研修の受講もうながしている。さらに年2回、各事業部の支援担当者が集まり「合同ミーティング」も開催。指導員からの事例発表やメンバー紹介のほか、初めてメンバーを受け入れた部署の担当者に対して、受入れ歴が長い部署の担当者から、経験談を交えたアドバイスをするなど意見交換の場にもなっている。 事業部内での職域拡大も  「最近は、事業部内での職域拡大が進んでいることがうれしい傾向です」と薩摩さんは語る。もともと派遣先のメインは製造現場だったが、設計や管理などの事務的な業務に就くケースも増えてきているという。業務サービスグループの取組みが広がるにつれ、現場も受入れに慣れ、メンバーの能力が認知されるようになった結果のようだ。  ある職種専任型社員になったメンバーは、外部の取引先への商品発注や交渉の補佐を担当、パソコン2台を駆使して業務に取り組んでいる。また、近年中に職種専任型社員を目ざすメンバーは、定型の手順を設定してもらうことで、海外にある関連会社とのメールのやり取りまで担当できるようになっている。こうした業務はパソコン操作が必須のため、「高等養護学校にも、パソコン授業の充実をお願いしています」と、薩摩さんはいう。今後の展開も見据えて次のように話してくれた。  「現場のデジタル化などが進むことで、むしろメンバーも作業に加わりやすい労働環境になってきていると感じます。業務のやり方しだいで、さらに職域が広がっていくのではないかと考えています」  ダイフクグループ全体としては、今後も積極的に障害者雇用を進めていく必要があるという。大規模で多様な製造現場を持つ滋賀事業所は、引き続き、生産性を高める人材を育成する場として期待が寄せられている。 ※1 高等養護学校:特に職業教育に重点を置いたカリキュラム編成により、就労による社会的自立を目ざす高等部単独で設置される特別支援学校。高等特別支援学校ともいうが、地域により名称が異なることが多い ※2 配膳:部品の配膳とは、部品の置き場において組立工程ごとに必要な部品を事前に仕分け、作業者に供給すること 写真のキャプション 工場で使用する部材などが納められた自動倉庫 (後列左から)木下伸史さん、薩摩一男さん、中川淳さん、寺島俊恵さん、宮元真由美さん、北浦律子さん 端子台へのラベル貼り作業を行う中村さん 入社1年目、基礎作業実習に就く中村裕人さん 朝礼や実習などで使用する業務サービスグループの事務所 岡田さんは社内便の仕分けや配達を担当している メール室で働く岡田恒平さん IL事業部の小寺修司さん 行動目標シートには「作業前に伝票を確認する」など、具体的に記載されている フォークリフトを使い部材の配送する小寺さん 整理整頓が行き届いた作業机はだれもが使いやすい 奥村さんは、工場へ納品される部材の受入れを担当している 職種専任型社員の奥村理果さん 【P12-14】 JEED インフォメーション 〜高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)からのお知らせ〜 事業主のみなさまへ 令和4年度 「障害者雇用納付金」申告および「障害者雇用調整金」申請のお知らせ 〜常用雇用労働者の総数が100人を超えるすべての事業主は障害者雇用納付金の申告義務があります〜 令和4年4月1日から同年5月16日の間に令和4年度分の申告と申請をお願いします。 前年度(令和3年4月1日から令和4年3月31日まで)の雇用障害者数をもとに、  ○障害者雇用納付金の申告を行ってください。  ○障害者の法定雇用率を下回る場合は、障害者雇用納付金を納付する必要があります。  ○障害者の法定雇用率を上回る場合は、障害者雇用調整金の支給申請ができます。 【申告申請期間】 種別 障害者雇用納付金 障害者雇用調整金 在宅就業障害者特例調整金 特例給付金 申告申請対象期間 令和3年4月1日〜令和4年3月31日 申告申請期間・納付期限 令和4年4月1日〜令和4年5月16日 (注1、注2、注3) (注1)年度(令和3年4月1日〜令和4年3月31日)の中途で事業廃止した場合(吸収合併等含む)は、廃止した日から45日以内に申告申請(障害者雇用納付金の場合は、申告額の納付)が必要です。 (注2)障害者雇用調整金、在宅就業障害者特例調整金及び特例給付金は、申請期限を過ぎた申請に対しては支給できませんので、十分にお気をつけください。 (注3)常用雇用労働者の総数が100人以下の事業主が、特例給付金の申請を行う場合の申請期限は令和4年8月1日となります。 *詳しくは、最寄りの各都道府県支部 高齢・障害者業務課(東京・大阪は高齢・障害者窓口サービス課)にお問い合わせください(33ページ参照)。 JEED 都道府県支部 検索 常用雇用労働者が100人以下の場合は障害者雇用納付金の申告義務はありません。 なお、雇用障害者数が一定数を超えている場合は報奨金の支給申請をすることができます。詳しくは、最寄りの都道府県支部高齢・障害者業務課(東京・大阪は高齢・障害者窓口サービス課)にお問い合わせください。 申告申請の事務説明会にぜひご参加ください。 *全国各地で2〜3月に開催します。 *参加費は無料です。 JEED 納付金 説明会 検索 「障害者雇用支援人材ネットワーク事業」のごあんない 〜障害者雇用の専門家が企業のみなさまを支援します〜 障害者雇用の課題に対応した経験をもつ、「労務管理」「医療」「建築」などさまざまな分野の専門家である「障害者雇用管理サポーター」が企業のみなさまの疑問や課題に対応いたします。 サポーターの活用例 相談内容  精神障害のある社員の職場定着に向けて、自社の取組みの参考とするため、ほかの企業が実際にどのように取り組んでいるのかを把握したい。 支援内容  相談企業が、障害者雇用管理サポーターが所属している企業(精神障害のある社員を複数人雇用)を訪問した。  サポーターから、「電話応対の可否など、精神障害のある社員一人ひとりの特性に合わせて、職務内容や配置場所を変えていること」、「管理者による体調管理ができるように、毎日障害のある社員から日誌の提出を求めていること」、「障害のある社員本人の了解のもとで周囲の従業員に障害の特性を説明し、配慮を求めていること」などについて説明した。  相談企業からは、配置場所や活用している資料等について目にすることができたので、わかりやすく勉強になったとの意見があった。 相談内容  初めて全盲の方を雇用するにあたり、職務内容や就労支援機器、職場環境の整備についてノウハウがないため、アドバイスがほしい。 支援内容  視覚障害者に対する支援の専門家である障害者雇用管理サポーターが、相談企業を訪問した。  サポーターから、企業の担当者と一緒に社内の作業動線を確認しながら、点字シールの活用や座席の配慮など環境整備、具体的な就労支援機器の紹介、職務の切り出し、障害特性をふまえたほかの社員とのかかわり方、通勤時の支援などの助言を行った。  相談企業からは、「専門家から具体的でわかりやすいアドバイスが得られてよかった」、「特に点字やトイレの整備、歩行訓練士など、知らなかった点や気づかなかった点について助言が得られてよかった」との意見があった。 ※上記のほか、特例子会社の設立や運営に関する助言も行っています。 ご相談受付 サポーターによる支援をご希望の場合は、次のどちらかの方法でご連絡ください。 ★中央障害者雇用情報センターの障害者雇用支援ネットワークコーディネーターにご相談ください。  事業主のみなさまの相談内容に合わせて、サポーターと調整を行います。(相談・支援に係る費用は無料です。)  TEL:03-5638-2792  E-mail:syougai-soudan@jeed.go.jp ★障害者雇用管理サポーター検索サイト「障害者雇用支援人材ネットワークシステム」により、ご自身でサポーターを検索し、直接連絡のうえ、支援の依頼についてご相談いただけます。(支援に関する費用はサポーターによって異なります。サイトのサポーター検索結果からご確認ください。) JEED 支援人材 検索 こちらのQRコードからも「障害者雇用支援人材ネットワークシステム」にアクセスできます <お問合せ> 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 雇用開発推進部 雇用開発課 TEL:043-297-9513 今、手に取られている「働く広場」をデジタルブックでもお読みいただけます! 当機構では、障害者に対する雇用支援などを実施しており、その一環として障害者雇用の月刊誌「働く広場」を発行しています。 本誌は当機構ホームページでデジタルブックとしても公開しており、スマートフォンやパソコンでいつでも無料でお読みいただけます(※)。ぜひ、ご利用ください!(毎月5日ごろに最新号がアップされます) ※2017年4月号〜最新号まで掲載しています ホームページの画面 読みたいページにすぐ飛べる! 自由に拡大できて便利! ★ルポルタージュ形式で、障害者雇用の現場をわかりやすく紹介 ★国が進める施策の動向や、関係制度、助成金などの支援策を紹介 お問合せ 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 企画部 情報公開広報課 〒261-8558 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-2 TEL:043-213-6216 FAX:043-213-6556 https://www.jeed.go.jp E-mail:hiroba@jeed.go.jp JEED 働く広場 検索 【P15-18】 グラビア アビリンピックでの経験を職場で活かす 太平ビルサービス株式会社 東京支店(東京都) 取材先データ 太平ビルサービス株式会社 東京支店 〒169-0074 東京都新宿区北新宿2-21-1 新宿フロントタワー19F TEL 03-5386-2810 FAX 03-5386-2811 写真・文:官野 貴  ビルメンテナンスを手がける「太平(たいへい)ビルサービス株式会社東京支店」では、オフィスビルや公共施設などの清掃業務や点検業務において、さまざまな障害のある社員が活躍している。なかでも清掃業務では、技術の向上を目ざし、アビリンピック「ビルクリーニング」種目への出場を積極的に行っている。  2015(平成27)年に入社し、2020(令和2)年に正社員となった繻エ(くわばら)遼(りょう)さんは、2017年2月の地方アビリンピック(東京都)において金賞を獲得、同年11月に開催された第37回全国アビリンピックへの出場を果たした。大会での経験を活かして「将来は支店で若手のリーダー的存在になりたいです」と語る。  大会を通じ、のちに先輩となる繻エさんに出会ったのが、中山(なかやま)茂雄(しげお)さんだ。中山さんは特別支援学校在学中の2017年2月、地方アビリンピック(東京都)に出場し、繻エさんと技を競い合い、銀賞を受賞した。この際、太平ビルサービスの担当者から入社をすすめられたことがきっかけで同社へ入社した。2019年2月には再び、地方アビリンピック(東京都)へ出場、「2度とも銀賞でしたが、練習の成果を出せたことがうれしかったです」と語る。  そして、中山さんと同期で、2018年入社の谷口(たにぐち)湧真(ゆうま)さんは、2020年2月の地方アビリンピック(東京都)において金賞を獲得、同年11月に行われた第40回全国アビリンピックへ出場した。「全国アビリンピックでは、惜しくも優勝を逃し銀賞でしたが、すばらしい経験ができたことをたいへん誇りに思っています」と語る。  現在、3人はアビリンピックでの経験を活かし、国家資格である「ビルクリーニング技能士」取得のため、同社の研修センターで技を磨いている。アビリンピックへの出場、資格取得により得られる自信が、職場での活躍につながっている。 写真のキャプション バキューム(掃除機)がけを行う中山茂雄さん 会議机の消毒作業を行う繻エ遼さん 音やにおいなどに注意しながらゴミ回収を行う谷口湧真さん2級ビルクリーニング技能士を目ざす谷口さんは、研修センターで「ガラス面洗浄作業」研修の様子を見せてくれた 中山さん(右)は、2級ビルクリーニング技能士の実技試験課題である「繊維系床しみ取り作業」の練習を行った 1級ビルクリーニング技能士の資格取得を目ざしている繻エさん(中央)は、上司が見守るなか、実技試験課題の「繊維系床部分洗浄作業」を披露してくれた 【P19】 エッセイ 発達障害当事者の働きづらさのリアル 第1回 〜発達障害当事者の一般就労の苦労〜 姫野 桂(ひめの けい) フリーライター。1987(昭和62)年生まれ。宮崎県宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。25歳のときにライターに転身。現在は週刊誌やウェブ媒体などで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ、など。おもな著書に『私たちは生きづらさを抱えている 発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)、『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)などがある。  はじめまして。おもに発達障害などの「生きづらさ」について取材をしているライターの姫野(ひめの)桂(けい)と申します。私自身も発達障害の当事者で、ADHD(注意欠如・多動症)、算数LD(学習障害)、ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)傾向があります。  現在はフリーランスのライターとして9年目を迎えてうまく順応できて働けていますが、かつて会社員をしていた時期は、とても働きづらさを感じていました。そもそも、私が就職活動をしていた時期はリーマンショックの大不況中。なかなか内定が出ず、大学の卒業式2週間前にようやく内定が出た会社に滑り込みで入社しました。とにかく「雇ってもらえればどこでもよかった」という感覚も大きかったです。なので、自分に合っている仕事かどうかは二の次でした。  さて、いざ入社してみると自分の仕事のできなさに直面しました。当時はまだ自分に発達障害があると気づいていなかったので、全部自分の努力不足だと思っていました。具体的にいうと山ほど働きづらさはあったのですが、まず、ASD傾向により会社の暗黙のルールがわかりませんでした。  就職した会社は全社員50人ほどの中小企業だったので、大企業と比べると正確なルールが明文化されていなかったのです。友人が就職した大手企業は「髪色はトーン8まで」、と就業規則に書かれていたそうなのですが、私が就職した会社にはそんなことは書かれていません。私はもともと派手なファッションや明るい髪色が好きだったのですが、就活は黒髪で行うのが基本です。長かった黒髪生活を終わらせたく、就職して1カ月ほど経ってから、私は美容室へ向かい、髪を明るいピンクベージュでオーダー。久しぶりの明るい髪色に心が踊りました。ところが翌日、その髪色で出社したところ、全社員の目が私の髪にいき、そのうちの一人の社員から「金髪はダメだよ」と注意を受けたのです。なぜこの髪色がダメなのか私には到底理解できませんでした。その後、再び髪を黒染めしましたが、一度ブリーチをしているためすぐに色落ちして金髪に戻ってしまい、そのたびにほかの社員から小言をいわれました。この髪色がダメなのならばきちんと就業規則に書いていてほしかったです。これはおそらくASD傾向からくるこだわり思考だと思われます。  次にこれが一番苦労したことなのですが、私の担当していた仕事は総務と経理。ADHDと算数LDがあるのに、細かい書類仕事や経費の計算などをするのが私にとっては苦痛でたまりませんでした。そして必ずミスがありました。特に外勤社員の経費の精算なんて、何度検算しても電卓を使っても計算が合いません。金庫のなかのお金を数えるのもADHDの不注意のせいで私にとっては困難そのものでした。それでも、上司がやさしく根気よく教え続けてくださったのはありがたかったです。  また、もう一つ悩んでいたのは社内の人間関係です。お局さんが2人いたのですが、その2人がひそひそ話や筆談をしているのです。そして、思い込みの特性のある私は、「もしかして、私の悪口をいっているのではないか」という思いに囚(とら)われて、どんどん気分が落ち込んでいったのです。しかし、これは後で知ったことですが、このひそひそ話や筆談は、おもに男性社員に対する愚痴を話していたことが同期入社の友人からの情報により明らかになりました。発達障害傾向のある人は、いままでたくさんの失敗を重ねてきたことにより自己肯定感が下がり、「自分が悪いのではないか」というマイナス思考に陥りがちです。  私はこの会社を3年で辞めましたが、「もっと早く辞めていてもよかったのかな」と、いまとなっては思います。このように、発達障害のある人には他人からは見えない働きづらさがあることを少しでも知っていただき、フォローしてもらえるとうれしいです。 写真のキャプション 姫野 桂 【P20-25】 編集委員が行く 地域とつながり、育つ・育てる 生活協同組合パルシステム東京 青梅センター、社会福祉法人ほうえい会 介護老人福祉施設 栄光の杜、東京都立あきる野学園、東京都立羽村特別支援学校、東京都立青峰学園(東京都) あきる野市障がい者就労・生活支援センターあすく センター長 原 智彦 取材先データ 生活協同組合パルシステム東京 青梅センター 〒198-0024 東京都青梅市新町3-11-1 社会福祉法人ほうえい会 介護老人福祉施設 栄光の杜(もり) 〒190-0182 東京都西多摩郡日の出町平井3052 東京都立あきる野学園 〒197-0832 東京都あきる野市上代継(かみよつぎ)123-1 東京都立羽村(はむら)特別支援学校 〒205-0011 東京都羽村市五ノ神319-1 東京都立青峰(せいほう)学園 〒198-0014 東京都青梅市大門3-12 編集委員から  新型コロナウイルス感染拡大の第5波による緊急事態宣言が出され、昨年に続き感染防止のため、県境を越えずに、東京都の西多摩地域での取材をお願いすることとなった。  この地域は私どもの就労支援センターがある場所でもあり、秩父多摩甲斐国立公園がある地域で、自然に恵まれたところである。このたび、緊急事態宣言が解除され、取材の協力をいただいた。あらためてここに感謝を申し上げ、コロナ禍でも生徒たちの学びを工夫し、雇用継続の配慮と支援をしている事業所をお伝えしたいと思う。 Keyword:特別支援学校、地域の連携、ハローワーク、ジョブコーチ、職場実習 写真:官野 貴 POINT 1 地域の関係機関とともに育てる・学ぶ 2 地域とかかわりながら、自分の役割を意識し強みを伸ばす 3 在学中からの連携と育成が定着を生む 長期雇用を目ざして関係機関と連携して支える  「生活協同組合パルシステム東京」は、宅配事業、福祉・保育事業、共済事業などを行っており、職員数は1832人。そのうち障害のある職員は36人(2021〈令和3〉年8月現在)おり、身体・知的・精神の手帳を持つ人がおもに配送センターなどで勤務している。そのうちの約6割強が知的障害者であり、勤続5年以上の人が7割を超えていることが大きな特徴である。そこには、長期雇用を見すえた定期的なフォロー面談の実施、当事者およびその家族・関係者を含めた交流会の実施、変化していく障害のある職員の状況に合わせて、就労支援機関を積極的に活用しながら業務内容を見直していくという、ていねいな雇用管理がある。そうした取組みが評価され、東京都の「令和3年度障害者雇用エクセレントカンパニー賞」の東京都知事賞を10月に受賞した。  今回の取材は、東京都立羽村(はむら)特別支援学校を卒業後、29年間働いている戸倉(とくら)良子(よしこ)さんが勤務する青梅センターを訪ねた。職場では、センター長の三橋(みつはし)丈晴(たけはる)さんと供給長の鈴木(すずき)佑門(ゆうと)さんとともに、人事部の人事・育成課課長の飯嶋(いいじま)和紀(かずのり)さん、主任の福元(ふくもと)研太(けんた)さんが迎えてくださった。みなさんと取材の内容などについてお話をした後で、戸倉さんが働く倉庫業務の現場へと案内していただき、配送する商品のコンテナに入れる保冷剤の洗浄作業を見学した。戸倉さんは就労上の重度障害者の判定を受けているが、慣れた作業のためか、きびきびと作業している。洗浄された保冷剤が詰まったケースは10s近い重さがあるが、かご台車に手際よく積んでいた。  三橋さんや鈴木さんが声をかけると元気な声で返事が返ってくる。日ごろからの良好なコミュニケーションがうかがえる。そうした姿を見ながら、お二人は、「長年働いてきた戸倉さんにはそろそろ負担の軽い作業も検討していきたい」と話してくれた。  また、2021年に地域の特別支援学校である東京都立青峰(せいほう)学園から実習生を受け入れた際、実習生たちに作業を教える役割を戸倉さんにお願いしたところ、スムーズに指導できたそうだ。彼女にとって、やりがいのある仕事だったようである。  しかし、長年働いていると、さまざまな不安や悩みは必ず出てくる。そのようなとき、職場の上司や人事部のみなさんは、言葉で上手に伝えられない戸倉さんの気持ちを汲み取り、外部の支援機関と連携して支援を行ってきた。東京障害者職業センター多摩支所、東京ジョブコーチ支援センターなどに相談して、ジョブコーチの派遣のお願いもしてきた。外部の支援機関を活用しながら、年齢や体力に合わせた作業の組み立てを再構成することで、長期雇用が実現している。そこにはパルシステム東京が目ざすビジョンと同様に、ともに働く職員のライフステージに合わせた働き方を大切にする思いがある。取材後には、センター長の三橋さんと供給長の鈴木さん、人事部のみなさんと、就労支援センターのスタッフとの支援会議が行われた。 高齢者施設における障害者雇用と地域連携  西多摩郡日の出町にある「社会福祉法人ほうえい会」の介護老人福祉施設「栄光の杜(もり)」に着くと、施設長の三鴨みかも)香奈(かな)さんと副施設長の田村(たむら)泰志(やすし)さん、事務の大津(おおつ)裕珠子(ゆみこ)さんが出迎えてくださった。こちらでは、山本(やまもと)憩依(いこい)さんと鈴木(すずき)剛(ごう)さんを含め障害のある人を3人雇用している。山本さんと鈴木さんは就労上の重度障害者に該当する職員である。まずは、会議室で障害者雇用についてお聞きした。  山本さんを雇用したきっかけは、地域のボランティア団体「お年寄リスペクト隊」に障害のある方が入隊し、その母親と、隊長である副施設長の田村さんが出会ったことから始まったそうである。リスペクト隊は、自作のお年寄り向けの健康体操、認知症理解のための寸劇、要支援・要介護の方の手芸作品などの展示・販売を行い、地域貢献に取り組んでいる。その出会いから、近くにある東京都立あきる野学園に通っていた山本さんを紹介され、彼女の体験実習を「栄光の杜」で受け入れることになり、家庭および学校と東京ジョブコーチ支援センターの協力を得て、2021年4月からの雇用につながった。同センターの支援は、特別支援学校在学中の実習から受けることができ、雇用後も引き続き定着支援を受けている。取材したとき、山本さんは椅子などの清掃と消毒作業を行っていた。新型コロナウイルス感染症が広がったことから、こうした清掃や消毒はますます必要とされている。雇用事業所と家庭、学校、ジョブコーチが連携して、業務の時間管理ができるようにキッチンタイマーを活用したり、業務のスケジュール表や清掃箇所がわかるようにエリア図などの補助具をつくるなど、山本さんが働きやすい環境を整えてきた。また、田村さんと事務の大津さんを担当者とし、報告・連絡と相談がしやすい環境も整えた。毎日の連絡帳で、家庭との連携も大切にしている。山本さんも働く大人として学びながら、利用者と周囲の役に立つ仕事ができるようになってきた。こうした配慮と実績が山本さんのやりがいや意欲を生み出している。大津さんは、「自分自身が小学生のころから障害のある友人と一緒に勉強をしてきた経験があり、成人して一緒に仕事をする仲間として自然に受け入れることができた」という。教育には、地域に障害や多様性の理解を育む力があることをあらためて思う。  鈴木さんは上下肢に麻痺があり、身体障害者手帳1級を持っている。鈴木さんが雇用されたころ、「栄光の杜」ではハローワーク職員による障害者雇用の理解啓発の研修を行っていた。雇用にあたっては、東京ジョブコーチ支援センターの支援を受けて、鈴木さんができそうな仕事を切り出し、介護職員を支える業務をまとめていくことができた。少しずつ鈴木さんのできることが増え、いまでは高圧洗浄機によるベランダの清掃もできるようになってきた。取材の日は、ベランダのクモの巣を払う仕事をしているところであった。施設の周りには樹木が多く自然が豊かな場所にあるため、秋になれば多くの枯葉がベランダに集まる。「彼のおかげでベランダがきれいになった」と、三鴨さんが話してくれた。雇用した当初は田村さんが鈴木さんの担当であったが、業務内容が増えてきたこともあり、鈴木さんに現場の職員に報告・相談をしながら仕事をするように求め、現場の職員からも田村さんに報告が上がるように変えてきた。雇用管理のあり方を職員の状況により変えていくことが、鈴木さんの成長と一緒に働く現場の職員の理解や支援を生み出している。仕事のことは雇用現場で支援を行い、生活上の相談は就労支援センターが行うという形ができあがってきたことで、職場定着ができている。そして田村さんは、鈴木さんが利用者の部屋を掃除したとき、部屋の時計が止まっていることに気づき電池の交換ができたエピソードを話してくれた。「だれのために仕事をしているか彼はよくわかっているから、われわれの職場に必要な人だ」という。 地域で学び、地域をつくる  東京都立あきる野学園は、1997(平成9)年4月に開校し、25年目を迎える。肢体不自由教育部門と知的障害教育部門を併置した学校で、小学部、中学部、高等部の学部がそれぞれの部門にある。当時は養護学校と呼ばれていた時代であったが、保護者からの要望もあり、開校当初から通称で「学園」としてスタートした。その後に東京都では部門併置の学校を学園としている。  市川(いちかわ)裕二(ゆうじ)校長、石田(いしだ)節恵(ともえ)副校長、進路指導部の山ア(やまざき)達彦(たつひこ)先生と吉澤(よしざわ)洋人(ひろと)先生にお話をうかがった。高等部の学習では、地域の外部専門家を迎え入れ、授業改善に力を入れている。近年こうした取組みは全国各地で見られるようになった。同学園は早くからこうした取組みを続けており、知的障害教育部門の高等部では、作業学習や授業時間に外部専門家から直接、助言や指導を受けている。  2020年度からは、学校近くにある「生活クラブ生活協同組合・東京」の「生活クラブ農園・あきる野」の農場で、農場責任者である冨澤(とみざわ)廉(れん)さんに協力をしてもらい、農園芸班の生徒たちが作業している。農園内の直営農場では、江戸東京野菜を中心に、無農薬・無化学肥料栽培を行っている。生徒にとっても安全な環境での作業であり、伝統野菜に触れる貴重な機会にもなっている。取材当日はあいにくの雨になったが、生徒たちは雨除けのテントのなかで出荷前の調整作業を行っていた。いまは、内藤(ないとう)トウガラシの収穫時期で、畑には鮮やかな赤い色が広がっていた。授業を担当する先生方や農場責任者の冨澤さんは、収穫作物の商品化の作業を通して、生徒の流通への興味を引き出し、だんだんと生徒に生産者意識が芽生え、品質を意識した作業へと変わってきたという。地域の生産場面で働くことで、生徒が働く意義を理解し、作業学習の取組みが充実することがわかる。  食品加工班を訪れると、赤澤(あかさわ)容子(ようこ)先生と守山(もりやま)明日香(あすか)先生の指導のもと、生徒たちがチーズパン、ハムコーンパン、あんロールパン、レモンロール、マドレーヌなどの製造をしているところであった。作業室の壁には、分担表や製造目標時間などの掲示があり、生徒それぞれにはマニュアルが用意されている。成形を担当する生徒は、ピザやパンをつくるためのマットを使用しており、それには大きさを測る目盛りがついている。生地の丸め、成形、計量などの分担作業を、生徒が一人でできる工夫がされており、静かな作業風景が授業の質の高さを感じさせる。2021年度からは、食品加工班が、生活クラブ農園で収穫された内藤(ないとう)カボチャやサツマイモを使って、焼き菓子などを試作し、商品化に向けて取り組んでいる。生産から加工までのダイナミックな工程ができあがりつつある。  「生活クラブ農園・あきる野」では、地域の就労継続支援B型事業所の施設外就労も受け入れており、教育・福祉との農福連携の形をつくりつつある。ここでは、生徒が地域で学び、地域をともにつくる営みが見られた。 オンライン授業で学び、地域でも校内でも深く学ぶ  東京都立羽村特別支援学校は、1973(昭和48)年12月に、東京都における心身障害児希望者全員就学の方針に基づき新設された、知的障害特別支援学校である。西多摩地域と北多摩地域の6市2町の通学区域を持ち、2021年現在、小学部152人、中学部104人、高等部195人、合計451人の都内で2番目に大きい特別支援学校である。児童生徒全員が通学しているため、スクールバスの台数は12台を数え、教職員も172人になる。2014年度には、開校40周年を迎え、いまの新校舎へと改築した。  田口(たぐち)克己(かつみ)校長と進路指導部の新居(あらい)衣都(いと)先生、神子(かみこ)雅行(まさゆき)先生から校長室でお話をうかがった。高等部は、一学年に60人から70人が在籍し、卒業後の進路先に向けて日ごろから関係機関との連携が欠かせない。ここ数年は卒業生の3〜4割前後が企業に就職している。下校時になると校舎の玄関前に、放課後等デイサービスのお迎えの職員がずらりと並ぶ。担当の先生のマイクによる指示で、生徒がデイサービスの職員へと引き継がれていく。取材日は、全校生徒が一斉に下校する曜日で、障害の重い生徒のみなさんがおだやかに下校していく姿が印象的であった。人権教育を大切にしている日ごろの学習の成果がその姿に現れていた。  高等部の作業学習の一つであるビルクリーニング班の授業があり、堀田(ほった)豊(ゆたか)先生の説明を聞きながら、2年生と3年生の様子を見学した。2年生は道具の扱い方や清掃方法の基礎を中心に学び、年度の後半から応用として3年生と一緒に用務主事からの受注で校内作業に取り組む。この日は、生徒昇降口と廊下の清掃作業を見学した。コロナ禍で消毒作業も加わって、ますます必要とされる作業となり、職員室や洗面所などの清掃も担当するようになった。生徒たちが清掃の必要性と場所に合わせたさまざまな資機材を使いながら作業態度を学ぶよい機会となっている。また、授業担当の先生方と進路指導部の先生方が連携して、清掃作業を行う企業の特例子会社を見学し、作業方法や社員の育成方法について研修を受けているそうで、授業の充実度に納得した。今後、洗濯作業も取り入れていきたいと堀田先生は話してくれた。  教科「職業」では、神子先生と新居先生による高等部3年生の進路学習の授業を見せていただいた。『LLブック仕事に行ってきますI図書館の仕事 祥弘さんの1日』(社会福祉法人埼玉福祉会発行)を教材に、主人公のひとり暮らしの生活を学んでいた。コロナ禍のなか校内のWi-Fi環境が整い、生徒一人ずつにパソコンが用意され、教材を見ながら生活設計について学習する姿は、これからの新しい学びになると思われる。授業は、ひとり暮らしに必要な食事づくりや掃除、洗濯などの日常生活の力と自己理解を比較しながら、自分はどのような暮らしをしたいのかを仲間と考えるものであった。授業後半では、オンラインで地域の相談支援事業所「特定非営利活動法人秋川流域生活支援ネットワーク」の藤間(ふじま)英之(ひでゆき)さんを講師に迎え、「福祉」という言葉の意味と家事援助や自立生活援助などの福祉サービスについて学ぶ姿を見ることができた。できないことがあっても援助や支援を受けて幸せな生活をすることができると藤間さんは生徒たちに助言していた。藤間さんは東京都教育委員会の就労支援アドバイザーも務めており、特別支援学校の授業に助言などを行う役割も果たしている。生徒のニーズや願いを引き出し、生徒自らができる役割と支援や援助を求める方策とともに、生活設計や将来設計を考える授業は成人期の生活に向けて必要な学習内容であろう。外部講師による授業は、いままでは対面で行われていたが、オンライン授業であっても対面と同様の効果を生む可能性があり、新しい授業づくりの工夫を見ることができた。 キャリア教育を充実し、オンラインに対応する  東京都立青峰学園は、2009年に開校し、12年目を迎える。肢体不自由教育部門の小学部・中学部・高等部普通科と、知的障害教育部門の高等部専門学科・就業技術科の併置の学校である。2021年現在、肢体不自由教育部門は3学部全体で16人の児童生徒が学んでおり、スクールバスで通学をしている。知的障害教育部門の高等部就業技術科は、学年60人の定員で計177人の生徒が学んでおり、電車・バスなどの公共交通機関で通学している。  山本(やまもと)和彦(かずひこ)校長と有馬(ありま)宏子(ひろこ)先生、進路指導主任の篠原(しのはら)正樹(まさき)先生にお話をうかがった。東京都では2022年度より高等部の生徒一人ひとりにパソコンが配備される予定である。コロナ禍になり、卒業生のなかでも在宅勤務が増えてきている状況を見ると、パソコンを使用して業務を行う力もつける必要があると考え、校長自らが、オンラインによる授業や講話などを行っている。これまで「英語のトリビア」、「青峰学園のトリビア」などのテーマで、生徒が楽しみながら学ぶ機会を提供してきた。生徒たちはパソコン操作に慣れ、校長とのチャットもできるようになってきた。生徒にはクラスごとのグループがつくられ、教職員にも情報共有ができるグループが組まれている。これで、ホームルームや職員会議がオンラインでできる環境が整った。それぞれがパソコンなどのリテラシーを身につけることで、今後の社会の変化に対応した働き方が実現できると思われる。パソコンの導入には保護者の費用負担もあるため、それに応える成果をあげたいとの考えである。  有馬先生、篠原先生にコロナ禍での進路指導の状況をお聞きした。今年度オンラインによる会社見学、会社との面談、現場実習がすでに行われており、緊急事態宣言下でも感染防止対策を行いながら進路指導に取り組んでいる。また、現場実習ができない会社には、学校に出向いてもらい、学校の施設を使って実習をする方策も取っている。  就業技術科の4コースの授業の様子も見学した。エコロジーサービスコースは、開校以来校内の清掃を授業で行っており、開校10年を超えても各場所がきれいに保たれている。生徒昇降口での清掃の様子を見ていると、来客への適切な挨拶が返ってくる。校舎1階にある「のんびりカフェ」では、食品コースのパン販売と福祉コースのカフェが一緒に行われていた。パン製造のスキルに加え、接客の対応力も身につけながら、顧客意識から品質意識へと働く意義を深める機会をつくっている。福祉コースの実習室では、高齢者介護の職場で行われるベッドのシーツ交換の授業場面を見せていただいた。直接介護の仕事に就く卒業生はまだ少ないが、介護の業務を体験し学ぶことは、何のために働くのか、だれのために働くのかを考える機会となる。ロジスティクスコースの実習室を訪ねると、印刷製本などの作業を行っていた。リーダーの生徒は、印刷枚数のダブルチェックをしているところであった。教職員や地域からの受注は、正確性などを学ぶよい機会となる。  就業技術科では、部活動も全員参加で積極的に行っている。運動部に加え文化系の部活も人気がある。パソコン部の活動を見せていただいた。顧問の細川(ほそかわ)信之(のぶゆき)先生の指導のもと、日本語ワープロ検定や情報処理技能検定などで在学中に1級や初段を取得する生徒が多数出ている。全国パソコン技能競技大会で入賞する成果もあげてきた。さらには、卒業生の生涯学習機会も提供しており、全国パソコン技能競技大会で、2019年度、2020年度に団体戦で2位入賞の成果も収めている。そのほか、伝統文化部は、今年度の第45回全国高等学校総合文化祭(日本音楽部門)に東京都代表として出場した。卒業後も琴の演奏を職場で続けている卒業生もいる。  職業教育も部活動も成人期の学びにつながり、自分の強みを広げ、社会や地域のなかでの役割を意識するきっかけになっていると思われる。その価値や意味を学ぶ学校の営みに今後も期待したい。 写真のキャプション 生活協同組合パルシステム東京「青梅センター」 保冷剤を洗浄する戸倉さん 勤続29年の戸倉良子さん 人事・育成課課長の飯嶋和紀さん(左)、主任の福元研太さん(右) 供給長の鈴木佑門さん(左)、センター長の三橋丈晴さん(右) 社会福祉法人ほうえい会 介護老人福祉施設「栄光の杜」 クモの巣を払う鈴木さん 鈴木剛さん 椅子の消毒作業を行う山本さん 山本憩依さん (左から)事務の大津裕珠子さん、施設長の三鴨香奈さん、副施設長の田村泰志さん (左から)山ア達彦先生、石田節恵副校長、吉澤洋人先生 市川裕二校長 東京都立あきる野学園 収穫した内藤トウガラシの整理作業 食品加工班を担当する守山明日香先生(左)、赤澤容子先生(右) 農場責任者の冨澤廉さん 「生活クラブ農園・あきる野」(写真提供:あきる野学園) パンの成形作業 江戸東京野菜の一つである内藤カボチャ 下校時、昇降口には大型のスクールバスが連なる 東京都立羽村特別支援学校 堀田豊先生 進路指導部の神子雅行先生(左)、新居衣都先生(右) 田口克己校長 廊下の清掃作業 高等部3年生の進路学習の様子 オンラインで講師を務めた相談支援事業所の藤間英之さん ロジスティクスコースの実習の様子 食品コースの(学内向け)パン販売 東京都立青峰学園 指導にあたる顧問の細川信之先生(右) パソコン部の活動。部員は検定に向け練習に励む 福祉コースのシーツ交換の実習 (左から)有馬宏子先生、山本和彦校長、篠原正樹先生 【P26-27】 クローズアップ ジョブコーチ支援 第1回 〜ナチュラルサポートをめざして〜  障害者雇用では、障害のある社員の職場定着が大きな課題となっています。障害のある人が安心して就労し、安定して勤め続けるために重要なのが職場での支援体制です。なかでも「ジョブコーチ」と呼ばれる支援者が果たす役割に大きな注目が集まっています。  今回から3回の連載でジョブコーチを活用した障害者雇用の取組みをお伝えしていきます。 【取材先プロフィール】 社会福祉法人寿陽会(じゅようかい) 特別養護老人ホーム空 (千葉県八街(やちまた)市) ◆事業内容 2012(平成24)年開設。在宅での生活が困難な高齢者に対しての生活全般の介護サービスを提供。 ◆従業員数 59人(2021年11月1日現在)。 「ジョブコーチ」とは  ジョブコーチ(職場適応援助者)は、障害のある人が企業で働くにあたり、障害特性をふまえた専門的な支援を行い、障害者の職場適応と職場定着を図る支援者です。  障害者本人に対して、職務の遂行の仕方や職場内でのコミュニケーションに関する支援などを行う一方で、職場となる企業に対しては、どのような仕事に従事してもらったらよいのか、どのように関わっていけばよいのかなどの障害特性に配慮した雇用管理に関する支援などを行います。  ジョブコーチは、所属する機関や支援対象などによって、当機構の地域障害者職業センターに所属する「配置型ジョブコーチ」、就労支援を行っている社会福祉法人等に所属する「訪問型ジョブコーチ」、障害者を雇用している企業に雇用される「企業在籍型ジョブコーチ」の三つの形に分けられます。  支援期間は1〜8カ月(標準2〜4カ月)で、対象の障害者が職場に定着するための具体的な目標を定め、支援計画に基づいて支援を実施します。  今回は、社会福祉法人寿陽会(じゅようかい)が運営する「特別養護老人ホーム空」を取材。ジョブコーチの活用事例を紹介します。 ジョブコーチの助言をふまえ作業環境と手順を改善  「特別養護老人ホーム空」では、2020(令和2)年9月から、身体障害(アペール症候群)と軽度の知的障害のある小能見(このみ)彩夏(あやか)さんが働いています。担当している業務は、施設利用者のベッドメイクと清掃。1日5時間、週5日の勤務で、施設の利用者が快適に過ごせる環境を整えています。  小能見さんの採用にあたり同施設で活用したのが、ジョブコーチの支援。もともと小能見さんの就労移行支援を担当していた社会福祉法人光明会に所属する「訪問型ジョブコーチ」と、当機構の千葉障害者職業センターに所属する「配置型ジョブコーチ」によるペア支援が実施されました。  ジョブコーチの支援は、大きく分けて「雇用する事業所に対する支援」と「障害者本人に対する支援」の二つがあります。事業所に対する支援の一つが、業務の進め方について、本人が作業しやすいような環境を整えるためのアドバイスです。例えば、小能見さんの支援では、次のような経緯で作業環境の改善を図ったと、同施設副施設長の塚本(つかもと)大(輔だいすけ)さんは話します。  「初めは、掃除機を活用して床の清掃をしていたのですが、うまく扱えていない様子を見たジョブコーチが、より扱いの簡単なモップの活用を提案してくれました。モップを洗うバケツを運ぶ台車についても、だれかが使っていて所定の置き場にない状況にとまどう様子が見られたので、小能見さん専用の台車を用意することで、スムーズに業務にあたれるようになりました」  一方で、ジョブコーチは小能見さん本人に対して、作業をどのように進めたらよいのか、具体的な手順をわかりやすくアドバイスしてくれたそうです。  「モップで床を手当たりしだいに拭いていたため、拭き残しが多くありましたが、それでは不十分であることは本人は自覚できませんでした。そこで、フローリングの木目に沿って3列ずつモップをかけていくとよいと手順を示してくれました」  漠然とした指示の出し方ではとまどってしまう特性をよく理解したうえで、本人にとってやりやすい仕事の仕方を提案してくれたことは、専門家ならではの視点だったと塚本さんはふり返ります。  「アドバイスにしたがい、本人のやりやすい方法を用意することで、結果的に効率や作業の質が上がることも実感しました」 コミュニケーションの課題をフォローして安心して働ける環境に  ジョブコーチは、生活リズムやメンタル面に対しての支援も行います。小能見さんは、人との関わりにおいて、とても心配性であることをジョブコーチからの情報で把握していた塚本さんは、一緒に働く職員にもそれを周知していました。しかし、それでも口調が厳しくなってしまうことがある職員に対して、小能見さんが苦手意識を持ってしまったこともあったそうです。  「どうしたら、小能見さん本人が状況を乗り越えられるかという視点で工夫をしました。例えば、苦手な職員に一対一で対面しなくてはならない場面では、私が必ず同行して安心できる雰囲気をつくりました。また、その職員の苦手な部分だけではなく、面倒見のよさや、やさしい言動などのよい部分にも目を向けられるような声がけを意識しました」と塚本さんは話します。苦労はしましたが、小能見さんには「どの職員に何を聞いても大丈夫だよ」と説明しているので、しだいに緊張感はなくなり安心し、いまではわからないことがあると、まわりの職員に自分から聞けるようになったそうです。 ジョブコーチの活用で障害者雇用の自信につながった  小能見さんへのジョブコーチの支援(図)は順調に進み、ジョブコーチの訪問の頻度は、月に4回(集中支援期間)から月に2回(移行支援期間)へと徐々に減り、現在は障害者総合支援法に基づく「職場定着支援」という形で、月に1回の訪問を受けています。訪問時には、小能見さんとの面談のほか、必ず塚本さんとの情報共有と助言の時間も設けられ、どのような工夫をしていけばよいのか考えることができたそうです。就労から約1年が経ち、勤務にも慣れた小能見さんは作業の腕前も向上し、職場で一目置かれる存在になっています。最後に塚本さんは、次のように話してくれました。  「本人にも、『もっとほかの仕事にも挑戦してみたい』という思いがあるようなので、応えていきたいと思っています。また、小能見さんは、当事業所にとって初めての障害のある従業員でしたが、ジョブコーチのサポートが受けられたことで自信を持つことができました。新たな障害者の雇用など、次の展開についても検討していきたいと思っています」 ★写真提供:社会福祉法人寿陽会 特別養護老人ホーム空 図 小能見さんへの支援の流れ 2020年9月:「特別養護老人ホーム空」に採用 実習期間 2020年10月:ジョブコーチ支援開始 集中支援期間(月4回訪問) 2020年11月中旬 移行支援期間(月2回訪問) 2021年1月 フォローアップ期間(月1回訪問) ※通常約1年だが、期間満了を待たず、「職場定着支援」に移行 職場定着支援(月1回程度の訪問) 現在 写真のキャプション 小能見さん専用の清掃道具。モップには矢印をつけて、どの方向に動かせばよいのかわかりやすく示されている 「特別養護老人ホーム空」で働く小能見彩夏さん いまでは、安心して職員とコミュニケーションがとれるようになった 【P28-29】 研究開発レポート ジョブデザイン・サポートプログラムのカリキュラムの再構成 障害者職業総合センター職業センター  障害者職業総合センター職業センターでは、気分障害等で休職中の方を対象とした職場復帰支援プログラム「ジョブデザイン・サポートプログラム」(以下、「JDSP」)の実施を通じ、職場復帰支援にかかる先駆的な職業リハビリテーション技法の開発に取り組んでいます。  この度、2004(平成16)年の開始以降さまざまな支援技法の開発と改良を重ねてきたJDSPの全体像や構成要素をあらためて整理し、プログラムの具体的な内容や支援の実際を実践報告書37「ジョブデザイン・サポートプログラムのカリキュラムの再構成〜プログラムの具体的内容と支援の実際〜」に取りまとめました。以下にその概要を紹介します。 ●JDSPとは  JDSPの構成要素を整理したものが図1の構成図です。 (1)JDSPの目的  目的は、休職者の「スムーズな復職」と「復職後の健康的で安定した職業生活」の実現です。 (2)JDSPの目標  JDSPでは、四つの目標(「復職後を想定した生活習慣の確立と維持」、「基本的な労働習慣と基本的な業務遂行能力の確立」、「休職要因の分析と再休職予防策の検討」、「今後の働き方の検討」)に取り組みます。これらは、休職者や事業主からよくあげられる支援課題や復職判断基準をふまえています。 (3)JDSPの利用手続き  JDSPの利用は、「休職者」、「主治医」、「事業主」いずれかからの直接の申し込みとなります。最初に休職者とインテーク(初回相談)を行い、次に主治医の意見書を取得し、原則通院に同行します。また、事業主から「復職に向けた課題・支援ニーズを確認」します。それらをふまえて「支援計画を策定」し、休職者・主治医・事業主の「三者同意」を得ます。 (4)JDSPの四つのテーマ  JDSPでは、習得をめざす知識やスキルを、四つのテーマ(「生活習慣」、「コミュニケーション」、「ストレス対処」、「仕事の取組み方・働き方」)に分類しています。 (5)JDSPの支援サイクル  JDSPは、「学ぶ」、「体験・実践する」、「振り返る」の三つのサイクルで進めます。セミナーで学び、学んだ知識やスキルを体験・実践プログラムで試し、各種ワークシートやグループワーク、個別面談による振り返りで理解を深めます。 (6)事業主との調整  JDSPでは、休職者と事業主による主体的な取組みを主軸に据えながら、復職に向け事業主との調整を行います。調整では、支援開始にあたって「基本情報の共有と支援目標の明確化」を行い、「進捗を共有」し、支援の終了にあたって「取組み成果を共有」します。 (7)復職レポートの作成  JDSP終了にあたって、休職者は取組み成果を復職レポートに取りまとめます。四つのテーマをふまえた多角的な分析ができているか、体験・実践しながら検討した具体的な行動レベルの対処策を示しているか、事業主の意向や見解をふまえているか、客観的か、現実的か、簡潔か、といった視点で振り返りながら休職者がレポートにまとめ上げる作業は、JDSPの集大成といえます。 ●JDSPの実際 (1)支援期間・時間  標準的な支援期間は12〜14週間(月〜金曜日)です。支援時間は10時15分〜15時30分です。 (2)カリキュラム  おもなカリキュラムは表1の通りです。 ●JDSPの特徴や工夫 (1)職場復帰支援の目標やポイントの明確化  休職者のなかには、復職に向けて何をどう始めたらよいかわからないという方が少なくありません。職場復帰支援においては、復職にあたり何が課題で何にどう取り組むべきかを明確にし、休職者が主体的に復職をめざせるよう支援することが重要です。JDSPでは、構成図に基づき、支援初期から職場復帰支援の目標やポイントを休職者に伝えます。また、事業主の視点をふまえた支援課題を確認し、関係者間で支援目標を共有する手続きを重視します。 (2)多角的な分析をうながす四つのテーマ設定  休職に至る要因はさまざまで、複数の要因が重なっていることも少なくありません。健康的で安定した職業生活を維持するためには、生活習慣や健康管理のあり方、ものごとのとらえ方、コミュニケーションやソーシャルサポート活用のあり方、仕事の取組み方や働き方、余暇・リラックスのあり方など、職業生活全般のさまざまな局面において、さまざまな知識やスキルを総合的に活用することが必要です。JDSPでは、カリキュラム構成を四つのテーマに分け、支援初期から四つのテーマにそった振り返りを繰り返し行うことで、多角的な分析をうながすよう工夫しています。 (3)ワークシートやグループワークを活用した言語化・視覚化  JDSPでは、休職者が思考を整理したり、自らを客観視したり、新たな視点を発見できるよう、各種ワークシートやグループワークを通じて学びや気づきを言語化・視覚化する機会を多く設けます。また、蓄積した記録は、復職レポートを作成するための資料とします。  そのほか、学んだ知識やスキルを具体的な行動レベルに落とし込むための体験・実践プログラム「ジョブリハーサル」があることもJDSPの特徴です。 ●おわりに  JDSPのカリキュラムの再構成では、休職者や事業主、支援者が復職に向けた道筋を端的に把握できるよう、職場復帰支援で取り組むべき支援課題や到達目標、各プログラムのねらいや効果、支援の流れを整理しました。今後は、再構成の一環として、職業リハビリテーション機関の特徴を活かし、仕事への適応に焦点化した支援の充実に取り組みます。具体的には、体験・実践プログラム「ジョブリハーサル」の改良と仕事の取組み方と働き方のセルフマネジメント支援プログラムの開発を行う予定です。  実践報告書37「ジョブデザイン・サポートプログラムのカリキュラムの再構成〜プログラムの具体的内容と支援の実際〜」では、各プログラムの具体的な内容や支援事例も紹介しています。障害者職業総合センター研究部門のホームページに掲載していますのでご覧ください(★1)。また、冊子の配付を希望される場合は、下記にご連絡ください(★2)。 ★1「実践報告書No.37」は、https://www.nivr.jeed.go.jp/center/report/practice37.htmlよりダウンロードできます ★2 障害者職業総合センター 職業センター TEL:043-297-9043 https://www.nivr.jeed.go.jp/center/center.html 図1 JDSP の構成図 表1 カリキュラム一覧 【P30】 ニュースファイル 地方の動き 和歌山 県が仲介し農福連携推進  和歌山県が2021(令和3)年度から実施している農業と福祉の連携推進事業で、「社会福祉法人やおき福祉会」(田辺市)が運営する障害福祉サービス事業所「やおき工房」(同市)が、市内の農家の作業を受託し、障害者が梅のせんてい枝を集める作業を始めた。  県はこれまでも、福祉事業所へのアドバイザー派遣や、事業所の農産品の販売機会を設けるなどの支援を行ってきた。今回は県が仲介役となり、農家と障害者就労施設をつなげた。農家側には、障害者への農作業指導や受入れ準備に必要な経費を支援。成功事例の情報を発信することで農福連携を広げていくねらい。  県では、今回の事業で福祉事業所と一緒に取り組みたいという農家を受けつけている。問合せは、和歌山県福祉保健部福祉保健政策局障害福祉課へ。 電話:073−441−2537 働く 愛知 米袋でエコバッグ  障害者の就労支援などを行う「特定非営利活動法人アルクス」(岡崎市)が、JAあいち三河と連携して、米袋を再利用したエコバッグ「米(まい)ばっく」の製作・販売を始めた。  アルクスに通う10〜60代の14人が中心となり製作している「米ばっく」は、表面に防水や消臭に効果があるとされる柿渋が塗ってある。サイズは縦32p・横48pで、価格は1000円(税込)。農産物直売所「ふれあいドーム岡崎」内の店舗「ピクルスcafeアルクス」などで販売。問合せはアルクスへ。 電話:0564−77−8284 愛知 専門店の技術指導を受けたカフェ  「特定非営利活動法人障がい者みらい創造センター」(名古屋市)が、おもに知的障害者・発達障害者の就労を目的としたカフェ「magnet(マグネット)」(同市)をオープンした。  就職を目ざす利用者らが、調理や接客を通した就労訓練を受けて、働くことができる。カフェ運営にあたっては地域の専門店4店からメニュー提供と技術指導を受け、コーヒーや紅茶、日本茶、カレーなどを提供する。営業時間は10時半〜22時、定休日は水曜日。問合せは「magnet」へ。 電話:052―627―8333 https://cafe-magnet.info 三重 テイクアウトのピザ店オープン  フリースクールなどを運営する「株式会社エンジョイ」(鈴鹿市)が、ピザのテイクアウト専門店である就労継続支援B型事業所「ナポリの台所鈴鹿店」をオープンした。  全国約120店舗の宅配ピザ「ナポリの窯」を運営する「株式会社ストロベリーコーンズ」(宮城県)のフランチャイズとして、ピザづくりの技術提供を受けた。店舗には職業指導員らが常駐し、B型事業所の利用者は10時から16時まで働く。個別の支援計画に沿って、スタンプ押しやチラシの折り込みをはじめ、ピザづくりやレジなどを担当。地元産の野菜を使ったオリジナルの「プルコギ鈴カレー」など12種類のピザなどを提供する。営業時間は11時〜15時半。定休日は土曜日、日曜日。問合せは「ナポリの台所鈴鹿店」へ。 電話:059―389―5320 兵庫 県の事業を活用しジャム開発  「社会福祉法人兵庫県社会福祉事業団」(神戸市)の障害者支援施設「丹(南精明園たんなんせいめいえん)」(丹波篠山市)が、運営する就労継続支援B型事業所の「丹波丹(たんばまごころ)ファーム」(丹波市)で栽培したイチゴなどを使ったジャムを開発した。  兵庫県の「障害者工賃向上支援アドバイザー等派遣事業」を活用し、神戸市内の洋菓子店にジャムづくりを、スイーツ関連企画会社からはパッケージづくりなどを教わった。10月から販売を開始した「TAMBA(タンバ) MAGOKORO(マゴコロ) JAM(ジャム)」は、イチゴジャムと、ひかみ牛乳を使ったミルクジャム、神戸市産イチジクを使ったジャムの三種類。それぞれ1個140g入り700円(税込)。ネットショップ「+ NUKUMORI(ぬくもり)」などで販売。 https://www.nukumori-hyogo.com/ 本紹介 『誰もが働いて幸せになるエル・チャレンジのもやいなおし』  大阪府を中心に、知的障害者などの雇用促進に向けた取組みをしている「大阪知的障害者雇用促進建物サービス事業協同組合」(通称:エル・チャレンジ)が、『誰もが働いて幸せになるエル・チャレンジのもやいなおし』(ラグーナ出版刊)を発行した。  エル・チャレンジは、1995(平成7)年に障害者雇用を進めるための事業体として社会福祉法人、株式会社の4団体が集まり設立。2002年に自治体ビル管理契約研究会を発足、大阪府・市の「総合評価一般競争入札制度」を実現させた。2012年に「一般社団法人エル・チャレンジ」設立。同年に就労移行支援事業所、2014年に就労継続支援B型事業所、総称「えるえる」を開所。2015年には自立訓練校「L's college おおさか」を開校。障害者雇用日本一を目標に掲げた大阪府ハートフル条例を機に、効率化と福祉化の両立を追求した大阪発ソーシャルファームの20年あまりの軌跡をまとめた一冊。A5判136ページ、定価1980円(税込)。 『祈りのかたち』  群馬県在住の彫刻家・三(輪みわ)途道(みちよ)さんが、視覚障害のある人にも読みやすいよう工夫しながら、県内の仏像の魅力を紹介した『祈りのかたち』(上毛新聞社刊)を出版した。三輪さん自身も視野が欠ける病を患っている。本は、情報誌「上州風」(上毛新聞社刊)で2008〜2010年に連載したエッセイを中心に収録。一般用とLOW VISION 用の2冊の合本式で、裏表紙側から開くと、文章は黒地に白のゴシック文字の横書きとなっており、写真はモノクロにして一部に白い輪郭線を引くなど、視力が弱い人も認識しやすくなっている。B5判、計220ページ、2750円(税込)。 2021年度地方アビリンピック開催予定 1月〜2月 東京都、京都府、広島県、香川県、佐賀県 *部門ごとに開催地・日時が分かれている県もあります *東京都、京都府、広島県、香川県、佐賀県以外は開催終了 地方アビリンピック 検索 ※新型コロナウイルス感染症の影響により、変更する場合があります。 ミニコラム 第9回 編集委員のひとこと ※今号の「編集委員が行く」(20〜25ページ)は原委員が執筆しています。ご一読ください。 就労支援機関の役割と専門性 あきる野市障がい者就労・生活支援センターあすくセンター長原智彦  就労支援機関は、当事者と雇用している、または雇用しようとする事業所の双方を支援する役割があります。10代から60代までの登録者と、その人たちを雇用する事業所、支援する関係機関と連携しながら、就職支援、定着支援、生活支援などを行います。生活支援には、当事者の不安や病状についての相談、障害基礎年金の申請にかかわる相談や支援、主治医の先生との話を含めた通院同行もあります。ここ数年は新規の登録者として、精神障害者保健福祉手帳を所持する人たちが増えています。  先日、「キャリア支援に基づく職業リハビリテーションカウンセリングー理論と実際ー」(ジアース教育新社刊)を執筆された松爲信雄先生と、ジョブコーチ(職場適応援助者)養成研修をされている小川浩先生と、一緒に話す機会がありました。就労支援機関は年々対象となる登録者が増え、その専門性が求められています。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止を受けて、障害のある人の働き方にも変化が出始めています。在宅勤務のあり方やオンラインによる働き方も見られるようになりました。多様な課題がある状況をふまえて、お二人の先生は、職業リハビリテーションの学問としての確立の必要性を述べられました。多様なニーズを抱える人への支援や学びを保障するには、就労支援の現場におけるOJTに加え、専門性を担保して、職業リハビリテーションを進める資格制度も必要に思います。現在ある就業支援基礎研修、ジョブコーチ(職場適応援助者)養成研修に加え、新たな資格制度を検討する時期かもしれません。人は他者との関係のなかで、自分の役割を果たし、生きがいを見つけます。一人ひとりの良さを活かし、多様性を大切にする社会をつくるには、労働・福祉・教育の分野において、その方向性を合わせ、新たな専門性と人材育成を目ざす時期を迎えているように思います。 【P32】 読者の声 掲示板 障害者雇用として働くことについて 川合(かわい)正(樹まさき)  発達障害である私は、3年前から発達障害者の情報共有の場や居場所づくりを目的に、地元で発達障害者の当事者会を立ち上げて活動をしています。  今まで発達障害による悩みや苦しみを打ち明けることができずにいた参加者から感謝の言葉をもらうこともあり、そんなときは立ち上げて本当によかったと思います。  また、これまでずっと仕事で悩んでいた参加者の方がいました。その方が人事異動で職場が変わり、上司の配慮もあって、以来働きやすくなったと笑顔で話していた姿には私までうれしくなったことがありました。  障害者雇用において配慮は必要不可欠です。もちろん、障害者自身が配慮を求めてばかりではなく、日々の努力や工夫の両輪があってこそ成り立つものだと思います。  昨今、障害者雇用においての地位向上や環境改善は目覚ましく感じます。だからこそ、働く障害者のキャリアについても、もっと社会全体で考えてほしいと願います。  「配慮があるので、条件が抑えられているのも仕方がない」ではなく、配慮と努力の両輪で障害者も大きく花開く可能性を秘めているとの認識が広まることで、障害者雇用の選択肢がもっと増えてほしいです。 次号予告 ●私のひとこと  医療機関の障害者雇用ネットワーク代表の依田晶男さんに、医療機関における障害者雇用の拡大や、その活動などについて、ご執筆いただきます。 ●職場ルポ  地方自治体などのシステム開発・構築・運営などを行う株式会社ジーシーシー(群馬県)を訪問。同社における障害者雇用の理解促進や、定着率向上の工夫などについて取材しました。 ●グラビア  警備会社の株式会社ゼンコー(埼玉県)で活躍する障害のある社員を取材。試行錯誤しながら業務に取り組む様子をご紹介します。 ●編集委員が行く  金塚たかし編集委員が、株式会社オクヤピーナッツジャパン(福島県)を訪問。地域における農福連携の取組みについてお話をうかがいました。 公式ツイッター始めました! 最新号発行のお知らせやコーナー紹介などをお届けします。 @JEED_hiroba 本誌購入方法 定期購読のほか、最新号やバックナンバーのご購入は、下記へお申し込みください。 1冊からのご購入も受けつけています。 ◆インターネットでのお申込み 富士山マガジンサービス 検索 ◆お電話、FAX でのお申し込み  株式会社広済堂ネクストまでご連絡ください。  TEL 03-5484-8821  FAX 03-5484-8822 あなたの原稿をお待ちしています ■声−−障害者雇用にかかわるお考えやご意見、行事やできごとなどを500字以内で編集部(企画部情報公開広報課)まで。 ●発行−−独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 発行人−−企画部長 奥村英輝 編集人−−企画部次長 五十嵐意和保 〒261−8558 千葉県千葉市美浜区若葉3−1−2 電話 043−213−6216(企画部情報公開広報課) ホームページ https://www.jeed.go.jp/ メールアドレス hiroba@jeed.go.jp ●発売所−−株式会社広済堂ネクスト 〒105−8318 東京都港区芝浦1−2−3 シーバンスS館13階 電話 03−5484−8821 FAX 03−5484−8822 1月号 定価141円(本体129円+税)送料別 令和3年12月25日発行 無断転載を禁ずる ・本誌に掲載した論文等で意見にわたる部分は、それぞれ筆者の個人的見解であることをお断りします。本誌では「障害」という表記を基本としていますが、執筆者・取材先の方針などから、ほかの表記とすることがあります。 編集委員 (五十音順) 埼玉県立大学 教授 朝日雅也 株式会社FVP 代表取締役 大塚由紀子 NPO法人大阪精神障害者就労支援ネットワーク 副理事・統括施設長 金塚たかし 岡山障害者文化芸術協会 代表理事 阪本文雄 武庫川女子大学 准教授 諏訪田克彦 あきる野市障がい者就労・生活支援センターあすく センター長 原 智彦 ホンダ太陽株式会社 社友 樋口克己 サントリービジネスシステム株式会社 課長 平岡典子 東京通信大学 教授 松爲信雄 有限会社まるみ 取締役社長 三鴨岐子 筑波大学 准教授 八重田淳 【P33】 (独)高齢・障害・求職者雇用支援機構 各都道府県支部高齢・障害者業務課 所在地等一覧  独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構では、各都道府県支部高齢・障害者業務課等において高齢者・障害者の雇用支援のための業務(相談・援助、給付金・助成金の支給、障害者雇用納付金制度に基づく申告・申請の受付、啓発等)を実施しています。 2021年12月25日現在 名称 所在地 電話番号(代表) 北海道支部高齢・障害者業務課 〒063-0804 札幌市西区二十四軒4条1-4-1 北海道職業能力開発促進センター内 011-622-3351 青森支部高齢・障害者業務課 〒030-0822 青森市中央3-20-2 青森職業能力開発促進センター内 017-721-2125 岩手支部高齢・障害者業務課 〒020-0024 盛岡市菜園1-12-18 盛岡菜園センタービル3階 019-654-2081 宮城支部高齢・障害者業務課 〒985-8550 多賀城市明月2-2-1 宮城職業能力開発促進センター内 022-361-6288 秋田支部高齢・障害者業務課 〒010-0101 潟上市天王字上北野4-143 秋田職業能力開発促進センター内 018-872-1801 山形支部高齢・障害者業務課 〒990-2161 山形市漆山1954 山形職業能力開発促進センター内 023-674-9567 福島支部高齢・障害者業務課 〒960-8054 福島市三河北町7-14 福島職業能力開発促進センター内 024-526-1510 茨城支部高齢・障害者業務課 〒310-0803 水戸市城南1-4-7 第5プリンスビル5階 029-300-1215 栃木支部高齢・障害者業務課 〒320-0072 宇都宮市若草1-4-23 栃木職業能力開発促進センター内 028-650-6226 群馬支部高齢・障害者業務課 〒379-2154 前橋市天川大島町130-1 ハローワーク前橋3階 027-287-1511 埼玉支部高齢・障害者業務課 〒336-0931 さいたま市緑区原山2-18-8 埼玉職業能力開発促進センター内 048-813-1112 千葉支部高齢・障害者業務課 〒261-0001 千葉市美浜区幸町1-1-3 ハローワーク千葉5階 043-204-2901 東京支部高齢・障害者業務課 〒130-0022 墨田区江東橋2-19-12 ハローワーク墨田5階 03-5638-2794 東京支部高齢・障害者窓口サービス課 〒130-0022 墨田区江東橋2-19-12 ハローワーク墨田5階 03-5638-2284 神奈川支部高齢・障害者業務課 〒241-0824 横浜市旭区南希望が丘78 関東職業能力開発促進センター内 045-360-6010 新潟支部高齢・障害者業務課 〒951-8061 新潟市中央区西堀通6-866 NEXT21 ビル12階 025-226-6011 富山支部高齢・障害者業務課 〒933-0982 高岡市八ケ55 富山職業能力開発促進センター内 0766-26-1881 石川支部高齢・障害者業務課 〒920-0352 金沢市観音堂町へ1 石川職業能力開発促進センター内 076-267-6001 福井支部高齢・障害者業務課 〒915-0853 越前市行松町25-10 福井職業能力開発促進センター内 0778-23-1021 山梨支部高齢・障害者業務課 〒400-0854 甲府市中小河原町403-1 山梨職業能力開発促進センター内 055-242-3723 長野支部高齢・障害者業務課 〒381-0043 長野市吉田4-25-12 長野職業能力開発促進センター内 026-258-6001 岐阜支部高齢・障害者業務課 〒500-8842 岐阜市金町5-25 G-front U 7階 058-265-5823 静岡支部高齢・障害者業務課 〒422-8033 静岡市駿河区登呂3-1-35 静岡職業能力開発促進センター内 054-280-3622 愛知支部高齢・障害者業務課 〒460-0003 名古屋市中区錦1-10-1 MIテラス名古屋伏見4階 052-218-3385 三重支部高齢・障害者業務課 〒514-0002 津市島崎町327-1 ハローワーク津2階 059-213-9255 滋賀支部高齢・障害者業務課 〒520-0856 大津市光が丘町3-13 滋賀職業能力開発促進センター内 077-537-1214 京都支部高齢・障害者業務課 〒617-0843 長岡京市友岡1-2-1 京都職業能力開発促進センター内 075-951-7481 大阪支部高齢・障害者業務課 〒566-0022 摂津市三島1-2-1 関西職業能力開発促進センター内 06-7664-0782 大阪支部高齢・障害者窓口サービス課 〒566-0022 摂津市三島1-2-1 関西職業能力開発促進センター内 06-7664-0722 兵庫支部高齢・障害者業務課 〒661-0045 尼崎市武庫豊町3-1-50 兵庫職業能力開発促進センター内 06-6431-8201 奈良支部高齢・障害者業務課 〒634-0033 橿原市城殿町433 奈良職業能力開発促進センター内 0744-22-5232 和歌山支部高齢・障害者業務課 〒640-8483 和歌山市園部1276 和歌山職業能力開発促進センター内 073-462-6900 鳥取支部高齢・障害者業務課 〒689-1112 鳥取市若葉台南7-1-11 鳥取職業能力開発促進センター内 0857-52-8803 島根支部高齢・障害者業務課 〒690-0001 松江市東朝日町267 島根職業能力開発促進センター内 0852-60-1677 岡山支部高齢・障害者業務課 〒700-0951 岡山市北区田中580 岡山職業能力開発促進センター内 086-241-0166 広島支部高齢・障害者業務課 〒730-0825 広島市中区光南5-2-65 広島職業能力開発促進センター内 082-545-7150 山口支部高齢・障害者業務課 〒753-0861 山口市矢原1284-1 山口職業能力開発促進センター内 083-995-2050 徳島支部高齢・障害者業務課 〒770-0823 徳島市出来島本町1-5 ハローワーク徳島5階 088-611-2388 香川支部高齢・障害者業務課 〒761-8063 高松市花ノ宮町2-4-3 香川職業能力開発促進センター内 087-814-3791 愛媛支部高齢・障害者業務課 〒791-8044 松山市西垣生町2184 愛媛職業能力開発促進センター内 089-905-6780 高知支部高齢・障害者業務課 〒781-8010 高知市桟橋通4-15-68 高知職業能力開発促進センター内 088-837-1160 福岡支部高齢・障害者業務課 〒810-0042 福岡市中央区赤坂1-10-17 しんくみ赤坂ビル6階 092-718-1310 佐賀支部高齢・障害者業務課 〒849-0911 佐賀市兵庫町若宮1042-2 佐賀職業能力開発促進センター内 0952-37-9117 長崎支部高齢・障害者業務課 〒854-0062 諫早市小船越町1113 長崎職業能力開発促進センター内 0957-35-4721 熊本支部高齢・障害者業務課 〒861-1102 合志市須屋2505-3 熊本職業能力開発促進センター内 096-249-1888 大分支部高齢・障害者業務課 〒870-0131 大分市皆春1483-1 大分職業能力開発促進センター内 097-522-7255 宮崎支部高齢・障害者業務課 〒880-0916 宮崎市大字恒久4241 宮崎職業能力開発促進センター内 0985-51-1556 鹿児島支部高齢・障害者業務課 〒890-0068 鹿児島市東郡元町14-3 鹿児島職業能力開発促進センター内 099-813-0132 沖縄支部高齢・障害者業務課 〒900-0006 那覇市おもろまち1-3-25 沖縄職業総合庁舎4 階 098-941-3301 【裏表紙】 事業主の方へ 指導者(障害のある方を指導する方)育成に役立つ 研修受講者募集 令和4年度コースは3月2日(水)より受付開始!!  職業能力開発総合大学校では、職業訓練や企業において教育・指導にたずさわる方々を対象とした研修を実施しています。実際に教育訓練を担当される方が指導するにあたって必要な知識および技能・技術を習得するための研修をはじめ、精神・発達障害への配慮や支援に役立つ研修もありますので、ぜひご利用ください。 【研修コースの例】  「一般校の指導員のための精神・発達障害に配慮した支援と対応」として、4部構成(「理解と接し方編」、「訓練の支援と支援体制編」、「メンタルの支援編」、「就職活動の支援編」)の研修コースを用意しており、段階的に受講することができます。 【研修期間・研修会場・受講料の例】 ・研修期間 1コース 2〜3日 ・研修会場 職業能力開発総合大学校など ・受講料 1コース 6,000円〜 ※研修期間、研修会場および受講料は、コースにより異なりますので、詳細は職業能力開発総合大学校研修部までお問い合わせください。 研修コースの内容や申込方法などの詳細はホームページで! 職業大研修 検索 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 職業能力開発総合大学校 研修部 〒187-0035 東京都小平市小川西町2-32-1 TEL:042-346-7234 FAX:042-346-7478 https://www.uitec.jeed.go.jp/training/index.html 1月号 令和3年12月25日発行 通巻531号 毎月1回25日発行 定価141円(本体129円+税)