【表紙】 令和4年1月25日発行・毎月1回25日発行・通巻第532号 ISSN 0386-0159 障害者と雇用 2022 2 No.532 職場ルポ 一人ひとりの事情に合わせ、働きやすい環境づくり 株式会社ジーシーシー(群馬県) グラビア 障害のある人が活躍できるフィールドを広げるために 株式会社ゼンコー 濱田久仁彦さん(埼玉県) 編集委員が行く ピーナッツを通じてつながった当事者・学校・農業・企業が地域を盛り上げる 株式会社オクヤピーナッツジャパン(福島県) 私のひとこと 障害者雇用に魅せられて〜医療機関・公務部門・健康経営〜 医療機関の障害者雇用ネットワーク 代表 依田晶男さん 「笑顔いっぱい!パン屋さん」香川県・古川(ふるかわ) 和(やまと)さん 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 誰もが職業をとおして社会参加できる「共生社会」を目指しています 2月号 【前頁】 心のアート 光と音の波動 よしの 画材:紙、ペン/サイズ:20.9cm×29.6cm あふれるエネルギー  数年前から、気持ちを安定させるための療法として絵画に取り組み始めました。  当初は自分の想いをぶつけるように描かれた絵も、紙を見つめて浮かんできたイメージを描いたり、「ゼンタングルR法」というリラクゼーションと結びついた模様を参考に描いたりと、どんどん作風が変化しています。「自分の描いたときのイメージとは違っても、見る人に何かしら伝わったらうれしい」と、作者はいいます。 (文:TASC ぎふ) よしの 1967(昭和42)年生まれ。岐阜県郡上(ぐじょう)市在住。 ●経歴 2018年 「町民芸能祭」出展(小野公民館/郡上市) 2018年 「あんきに見とくれ展」出展(道の駅古今伝授の里やまと/郡上市) 2019年 「tomoni アートのフェスティバル 花さき、誇れ!」出展(ぎふ清流文化プラザ/岐阜市) 2019年 「tomoni アートのフェスティバル PICK UP展」出展(ぎふ清流文化プラザ/岐阜市) 協力:TASC ぎふ(岐阜県障がい者芸術文化支援センター) 【もくじ】 目次 2022年2月号 NO.532 「働く広場」は、障害者雇用の啓発・広報を目的として、ルポルタージュやグラビアなど写真を多く用いて、障害者雇用の現場とその魅力をわかりやすくお伝えします。 心のアート 前頁 光と音の波動 作者:よしの 私のひとこと 2 障害者雇用に魅せられて〜医療機関・公務部門・健康経営〜 医療機関の障害者雇用ネットワーク 代表 依田晶男さん 職場ルポ 4 一人ひとりの事情に合わせ、働きやすい環境づくり 株式会社ジーシーシー(群馬県) 文:豊浦美紀/写真:官野 貴 クローズアップ 10 ジョブコーチ支援〜ナチュラルサポートをめざして〜 第2回 JEEDインフォメーション 12 令和4年度「障害者雇用納付金」申告および「障害者雇用調整金」申請のお知らせ/障害者雇用納付金関係業務調査のごあんない/ アビリンピック マスコットキャラクター誕生! グラビア 15 障害のある人が活躍できるフィールドを広げるために 株式会社ゼンコー 濱田久仁彦さん(埼玉県) 写真/文:官野 貴 エッセイ 19 発達障害当事者の働きづらさのリアル 第2回 〜発達障害 通院や検査のタイミングは?〜 姫野 桂 編集委員が行く 20 ピーナッツを通じてつながった当事者・学校・農業・企業が地域を盛り上げる 株式会社オクヤピーナッツジャパン(福島県) 編集委員 金塚たかし 省庁だより 26 林福連携の可能性について 林野庁 林政部 経営課 林業労働・経営対策室 研究開発レポート 28 プライバシーガイドライン、障害者差別禁止指針及び合理的配慮指針に係る取組の実態把握に関する調査研究 障害者職業総合センター研究部門 事業主支援部門 ニュースファイル 30 編集委員のひとこと 31 掲示板・次号予告 32 障害者雇用の月刊誌『働く広場』がデジタルブックでいつでもお読みいただけます! 表紙絵の説明 「僕は、いい匂いが漂うパン屋さんに行くと幸せな気持ちになるので、パン屋さんになりたいなと思って描きました。パンを選んでいるお客さんも、パン屋さんも、みんな笑顔で幸せな気持ちが伝わったらいいなと思って描きました。パンが美味しそうに見えるように、さまざまな色を重ねながら描きました。暖かい雰囲気を出したくて、背景のレンガも工夫しました。パン窯の色は気に入っています」 (令和3年度 障害者雇用支援月間絵画コンテスト 中学校の部 高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長奨励賞) ◎本誌掲載記事はホームページでもご覧いただけます。(https://www.jeed.go.jp/) 【P2-3】 私のひとこと 障害者雇用に魅せられて 〜医療機関・公務部門・健康経営〜 医療機関の障害者雇用ネットワーク代表 依田晶男  行政官として障害者雇用にかかわった当時、障害者雇用に魅せられた多くの企業OBのみなさんに出会いました。現職を離れても、別の会社や支援機関で活き活きと活躍される姿を拝見し、短期間の異動が宿命のわが身には、とても羨ましく感じられたものです。「人を活かす仕事」が自分の生きる力にもつながることを、みなさんとのつき合いのなかで知ることができました。その後、内閣府で政府全体の障害者施策にかかわり、国立がん研究センターでは事業主の立場で障害者雇用に取り組んだ経験もふまえ、厚生労働省を退職すると同時に「医療機関の障害者雇用ネットワーク」を立ち上げました。 医療機関は仕事の「宝庫」  当ネットワークは、医療という業種内で障害者雇用のノウハウを共有する取組みです。一般に製造業やサービス業では取り扱う製品やサービスにより作業の工程や内容も異なりますが、医療機関はどこも同じような仕事をしています。このため、一つの医療機関で開拓した職域やノウハウは、そのままほかでも使える汎用性があります。医療機関に着目した理由は、こうした「横展開」が容易な点にあります。  医療の仕事は患者の命にかかわるため、「医療機関には障害者ができる仕事はないのでは」といわれがちです。しかしながら、国立がん研究センターや奈良県立医科大学などの先行事例からも明らかなように、実際には、医療機関は障害者がになう仕事の「宝庫」です。事務系の業務はほかの産業分野とも共通し、他産業で蓄積されてきたノウハウが活用できます。医療系の業務は医療機関に特有ですが、種類も量も膨大なものが院内に存在し、この分野での職域開発が障害者雇用を成功させる「鍵」となります。 医療職の「働き方改革」につなげる  医療系の業務での職域開拓のポイントは、タスク・シフティングの視点で、医療職の「働き方改革」の一環に障害者雇用を位置づけることです。看護師の仕事のうち国家資格が不要な業務は看護補助者が実施できますが、このうち直接患者と接しない定型的な作業では、患者との接触がむずかしいと思われる知的障害や精神障害のあるスタッフも戦力になれます。こうした業務を障害者雇用で分担できると、多くの業務を抱え余裕なく働いている看護師からは、「患者さんに接する時間を増やすことができる」と感謝されます。薬剤師や検査技師などほかの専門職の業務からも、定型的な業務はいくらでも切り出すことができます。当ネットワークのホームページでは、医療系のさまざまな業務で障害者が活躍している事例を多数紹介しています。  障害者雇用が専門職の「働き方改革」につながることを理解するには、実際に障害者が戦力として活躍している医療機関を見学し、同じ専門職から話を聞くことが効果的です。このため、当ネットワークで職場見学を案内する際には、専門職からも障害者雇用の効果について話をしてもらっています。 チーム就労が効果的な職場  規模の大きな病院で障害者雇用を進める場合は、専任のジョブコーチをつけてチームを組んで配置し、院内各所から業務を引き受ける方法をすすめます。どこの病棟にも同じような仕事があるので、集約化のメリットが大きいことに加え、チームによる就労だと仕事の種類も多彩になり、個々のスタッフに適した作業を割り当てられるからです。「やってもらうと助かる仕事」を専門職から切り出し、最初は5人程度のチームから始め、仕事のできばえを見ながら仕事の量や種類を増やし、雇用人数に応じてジョブコーチも増やしていけば、「働き方改革」に資する障害者雇用が自然に実現できます。  こうしたチーム就労の形態は、特例子会社を中心に普及してきましたが、特例子会社を設立した企業のなかには、企業立の病院を運営しているところも少なくありません。病院の障害者雇用を進める際に、同じ企業グループ内の特例子会社のノウハウや資源を活用できることは、大きな「強み」でしょう。まだ数は少ないですが、グループ内病院の障害者雇用をサポートする特例子会社の輪が拡がることも期待します。  当ネットワークには、障害者雇用を進める医療機関、サポートする支援機関など多数の方に参加いただいています。情報共有がメインなので、ぜひ、ホームページをご覧ください。 公務部門の障害者雇用  当ネットワークのホームページでは、「公務部門の障害者雇用情報サイト」も掲載しています。世間を騒がせた官公庁の障害者雇用率の不適切算定問題は、障害者雇用行政にかかわった者として心が痛みました。現場で苦労されるみなさんの役に立ちたい思いで、国機関の障害者雇用担当者研修の講師を引き受けました。3年間で12回、延べ250人ほどの国家公務員に、公務部門の特性をふまえて講義し、その内容をサイトで公開しています。公務部門の障害者雇用に関する制度、事例、Q&Aなど現場に役立つ情報を掲載しているので、公務部門や支援機関のみなさんに活用いただければと思います。 健康経営にもつながる  企業の間で関心が高まっている「健康経営」は、社員の健康への投資が生産性向上や企業価値を高め、企業の発展につながるという考え方です。職場のメンタルヘルス環境も大きく関係するため、精神・発達障害に関する障害者雇用のノウハウが役立つことを感じます。SDGsにつながる「多様性」の理解にも、障害者雇用の視点やノウハウはたいへん参考になります。障害者雇用をコンプライアンス問題として受け身にとらえる企業も多いですが、障害者雇用率達成だけが目的だと、障害者雇用ビジネスに委ねて、実態のともなわないものも出てきます。  しかしながら、私自身が組織の経営者として、また、企業の健康経営をサポートするなかで感じるのは、障害者雇用には企業の進化に役立つヒントが数多くあることです。障害者雇用を積極的に進める企業の経営者や担当者のみなさんと出会うたびに、この思いは強まります。これからも新たな出会いとネットワークづくりを通じて、障害者雇用の意義を発信し続けたいと思います。 依田晶男 (よだ あきお)  1981(昭和56)年、厚生省(現厚生労働省)に入職。1997年から2年間、障害者雇用行政に従事。2010(平成22)年の国立がん研究センターの独立行政法人化に際し、障害者雇用プロジェクトを立ち上げ、医療機関の障害者雇用に取り組む。2015年に厚生労働省を退職し、「医療機関の障害者雇用ネットワーク」を設立。ホームページ(https://medi-em.net E-mail:mediem.net@gmail.com)で情報発信するほか、公的病院グループや医療団体などで講演し、医療機関の障害者雇用の普及に努めている。  2020年「夢をつなぐDoctor’s Network」を結成し、障害のある医師の経験やノウハウを伝える活動にも従事している(https://dream-doctor.net)。  現在は、約1800社が加入する医療保険者において、加入企業の健康経営の取組みを支援している。精神保健福祉士。 【P4-9】 職場ルポ 一人ひとりの事情に合わせ、働きやすい環境づくり ―株式会社ジーシーシー(群馬県)―  情報システムサービスなどを手がける株式会社ジーシーシーでは、精神障害のある社員が増えるなか、社内の規則なども適宜改正しながら、働きやすい環境づくりと戦力化を図っている。 (文)豊浦美紀 (写真)官野 貴 取材先データ 株式会社ジーシーシー 〒379-2153 群馬県前橋市上大島町96 TEL 027-263-1637 FAX 027-261-1445 Keyword:精神障害、発達障害、身体障害、障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター、プログラミング POINT 1 障害者職業センターや障害者就業・生活支援センターと連携し、職場実習を実施 2 切り出す仕事は、本業のなかで社員が責任を持って指導できる仕事を 3 働きやすい環境づくりのため、社内の規則・制度も適宜適切に改正 自治体向けの情報システムサービス  1965(昭和40)年に「株式会社群馬電子計算センター」として創業し、1993(平成5)年に改称した「株式会社ジーシーシー」(以下、「ジーシーシー」)は、情報処理専門企業として、これまで全国の延べ1800の自治体に向けて多様な情報システムサービスを提供してきた。関東各地に支社・拠点があり、2021(令和3)年6月1日現在で全社員765人、うち障害のある社員は13人(身体障害8人、精神障害5人)だ。  社内には、以前から中途障害を含め身体に障害のある社員が7人ほどいたが、2015年から本格的に障害者雇用の推進に取り組み始めたという。その背景について、総務部人材開発グループ・総務労務グループ担当課長の八木(やぎ)真弓(まゆみ)さんはこう話す。  「会社の規模が拡大するなか、2015年時点で法定雇用率2.0%に対し1.6%だった当社は、さらに5年後には、障害のある社員5人が定年退職する予定でした。また、自治体事業の入札時に『障害者雇用状況』が評価ポイントになるケースが増えつつあり、取引先のほとんどが自治体である当社としては、障害者雇用を軽視できない状況でした」  こうした報告を総務部から受けた取締役会が2015年、会社として障害者雇用の推進に取り組むことを決定。社内全体の人事採用を担当していた八木さんたちが中心となって動き始めた。当時は、障害者雇用について何もわからない状態からのスタートだったそうだ。 本業で任せられる仕事を  「ハローワークで障害者雇用の相談ができることも知らなかったほどです」と明かす八木さんは、社員の健康やメンタルヘルスを担当する同僚とも話し合い、まずは、以前から職場復帰支援(リワーク支援)でつながりのあった「群馬障害者職業センター」や、障害者就業・生活支援センター「ワークセンターまえばし」(以下、「ワークセンター」)に相談。並行して、障害者雇用に関するセミナーや職場見学会、障害者職業生活相談員の資格認定講習にも参加して学びながら、採用方針や担当業務などについて検討していった。  「外部委託していた清掃なども考えましたが、やはり本業のなかで社員が責任を持って指導し、任せられる仕事のほうがよいのではないかと思いました」  そこで最初に切り出した仕事が、システム系の専門知識がなくても可能な、機密文書のシュレッダー業務だった。  採用条件については、「就労支援機関を利用していること」、「会社が実施する情報セキュリティ研修の内容について一定の理解ができること」などとした。また、必ず採用前に5日以上の職場実習を行い、会社独自の「職場実習チェックシート」などで評価しながらマッチングを見きわめることにした。  さっそく、ワークセンターから紹介された発達障害のある男性1人が2016年に入社。障害者職業センターからジョブコーチを派遣してもらい、1日4時間のパートタイム勤務から開始した。慣れてくると、取引先に納品する印刷物の倉庫管理や、各部署からの文書回収作業も加わり、数カ月後にはフルタイム勤務になった。  シュレッダー業務については、あらためて手順書などを可視化し、シンプルにするなどして業務の標準化を図った。社内のシュレッダー用文書の回収箱にも「分別表」を貼る工夫をしたそうだ。八木さんは、「回収作業をしやすいようにと、現場のほかの社員たちが考案してくれたものです。私たちも職場でシュレッダー用紙を箱に入れるとき、素材によってどちらに入れたらよいのか容易に判断できるようになりました」と職場全体への効果を語る。 プログラマーとして能力発揮  シュレッダー業務を担当する社員を採用後、同じ2016年にプログラマー2人も採用した。それ以降、IT技術者として現在までに計8人を採用している。うち1人は、大学院の在学中に通学できなくなり、発達障害と診断されたという。その後、就労移行支援事業所に2年ほど通っていたところ、高崎市内にある障害者就業・生活支援センター「エブリィ」を経由してジーシーシーに紹介され入社。パートタイム勤務を経て嘱託社員になった。日ごろはバス通勤だが朝夕1本ずつしかないため、会社側は、バスの時間に合わせ柔軟に勤務時間を調整した。  職場ではプログラミング業務を担当。納期が迫っているとあせって思うようにいかなくなる傾向があるため、納期に左右されない案件にかかわっている。一方で、一つの課題について想定されるリスクを詳細に提示するなど、大学院で学んだ知識をいかんなく発揮しているそうだ。八木さんによると、「身だしなみに無頓着な面もあったのですが、エブリィの支援担当者が、一緒に自宅での洗濯ルールを決めたり、着替えの服を買ったりして改善しました」という。  また別の1人は、新卒採用による正社員で、大学を卒業後入社した。面接時に自ら発達障害であることを伝え、「会議などは集中力が途切れない午前中に」といった配慮事項を願い出たそうだ。AIなど最新技術を使ったシステム開発などの部署で活躍しているが、ニュースなどを見てその内容に影響を受けやすく、体調を崩して休んでしまうこともあるという。  発達障害や精神障害のある人には、通院などで突然休まざるを得ないケースが少なくないとわかり、同社は2020年、就業規則に「障害者通院休暇」を加えた。障害者手帳を持っている社員は、通院の際に年間6日まで、1時間単位で取得できる。八木さんは「精神障害にかぎらず、透析を受けている社員などにも活用の幅が広がっています」と説明する。 入社後の指導の工夫  精神障害のある人の採用には、ケースによって、まずは総務部で実習的に働いてもらい、基本的な社内ルールや仕事の手順、報告書の作成などを身につけてもらってから、配属先を決めることもある。  指導係を務めてきたのが1989年入社の大久保(おおくぼ)淳(あつし)さん(58歳)だ。大久保さんは大学2年のときに、ラグビー練習中の事故で脊髄を損傷し、車いすユーザーとなった。卒業が2年遅れたが、母校の教授らが創業にかかわっていたジーシーシーに、同じ車いすユーザーの知人が就職していた縁もあって入社したそうだ。「最初の10年ほどは、自分で車を運転して取引先に行くなど動き回っていました」とふり返る大久保さんは、いまは総務部総務労務グループでSEとして働いている。  一方で大久保さんは、事故後、埼玉県にある国立障害者リハビリテーションセンター内で行われていた車いすバスケットボールの活動に参加し、就職後はプライベートで、さまざまな障害のある子どもたちのためのバスケットボールクラブの運営にたずさわっている。八木さんは、「大久保さんは長年、知的障害や発達障害のある子どもたちと触れ合ってきた経験からか、精神障害のある新入社員にもスムーズに対応してくれています」と信頼を寄せている。  例えば、自閉症傾向の強い新入社員を指導していたとき、本人はほとんど言葉を発しないため、隣の席同士でメールを使い会話をしていた。業務について説明するときも、「メールを読んで、そのまま作業を始めたらOKですが、眉間に指をつけて考え込むそぶりを見せると『納得できないのだな』と判断し、別の方法を提示していました」と大久保さんはいう。ほかにも音に敏感な社員のためには、耳栓をつけることをうながしたり、空いている会議室を探して本人だけの仕事部屋にしたりするなど臨機応変にフォローしている。  日ごろから心がけていることについて、大久保さんは「私がしてほしかったことを念頭に置いています」と話してくれた。  「せっかく入社したのだから、変に気をつかわれるのではなく、ほかの同僚と同じように仕事をさせてもらうことが一番よいと思っています。ですから本人たちにも、仕事上のことは特別扱いせず、技術的な成長も含めて一緒に働いていけるよう指導しています」 体調管理に努めながら  2018年入社の佐藤(さとう)恵理(えり)さん(30歳)は、地元の商業高校で情報処理を学び、就職した測量会社ではCADも使いこなしていた。ところが7年目に体調を崩して退職。病院の心療内科で双極性障害と診断されたが薬を飲んでも改善せず、精神科でアスペルガー症候群と注意欠如・多動症(ADHD)の診断を受けたそうだ。障害者手帳は取得したものの、その後に働いた工場ではクローズド就労(職場に障害を開示しないこと)だったため、「通院のため休みたい」といい出せず、半年で再び退職した。  その後、群馬障害者職業センターに通い、ハローワークの担当者に紹介してもらったジーシーシーに入社。採用前の面接では、「電話に出ると、それまで取り組んでいた内容を忘れてしまいがちになる」、「ものわかりが悪いので、何回も聞いてしまうかもしれない」といった不安を伝えてあったそうだ。  佐藤さんは現在、アウトソーシングサービス部のプリントサービスグループで、プログラミング業務を担当している。入社当初は9時〜16時の短時間勤務からスタートしたが、2カ月ほどでフルタイム勤務ができるようになった。忘れっぽいという課題については、なるべくメモを取って対応しているそうだ。  体調は、いまも波がある。「朝から激しいめまいに襲われてしまい、2週間ほど休んだこともあります。職場のみなさんがやさしいので、とても働きやすいです。ADHDの薬を服用し、月1回来社するジョブコーチにも助言をもらって体調管理に努めています」  佐藤さんの上司である坂本(さかもと)篤繁(あつしげ)さんは、「苦手だと話していた電話も、職場に慣れてきたからなのか、いまは積極的に対応してくれています。もの忘れについても、自分でメモを取るようにしているからでしょうか、特に業務に支障はありません」と太鼓判を押す。  「たまに気圧の関係で体調を崩すようなので、そこだけ気をつけてもらえたらと思っています。お昼以外でも、自分のタイミングで休憩を取ってもらっていますが、煮詰まっていそうなときは、声がけをして気分転換をうながしています」 新卒で入社後に休職  入社後、休職を機に障害者手帳を取得した社員もいる。2018年入社の阿部(あべ)貴志(たかし)さん(27歳)は、大学の新卒採用で営業職として入社。ところが半年ほどで体調を崩し、病院で双極性障害の診断を受けたうえで3カ月間ほど休職した。「当時は初めて一人暮らしを始め、仕事も含めた環境の変化についていけなかったのかなと思っています」とふり返る。  阿部さんは実家に戻り、まずは生活習慣を整え、散歩などで気分転換しながら、不得意だったタイピングの練習をして過ごしたという。  「休職中は、もう会社に戻れないのではないかという不安が大きかったのですが、毎週、上司が電話をくれて様子を聞いてくれたことで、気持ちが楽になりました。ありがたかったです」  復職するときには、主治医からのアドバイスで、1日2時間勤務からのスタートを自ら提案し、2時間ずつ延ばしていったそうだ。  いまは会社のフレックスタイム制度を活用して9時半〜18時20分の勤務。復職後の配属先は、上司と相談し、営業から営業事務の部署に変わったが、「周囲の人たちも自然な対応で受け入れてくれたので、スムーズになじめた気がします」という。復職直後は、2週間に1回の面談をしながら職場環境に慣れていったそうだ。  職場では契約書などの管理や、売上資料の作成などを担当。「突発的なことがなく、期限さえ守れば自分のペースで仕事をこなせるので、精神的な負担が軽いですね」と阿部さん。いまもたまに体調を崩すことがあるため「新しくできた通院休暇も助かります」と語る。  コロナ禍を機に、社内書類の電子決裁化など新しい取組みにもかかわっている。「今後も既存作業の効率化に貢献していけたら」と意欲を見せる阿部さんは、健康維持のためのウォーキングや筋トレのほか、食事にも気をつかうようになったそうだ。阿部さんは精神障害と就労についてこう伝えてくれた。  「目に見えない障害なので、何かと敬遠する人もいるかもしれませんが、環境が整えば、しっかり働けると証明していきたいです。障害のある人が働きやすい職場というのは、当事者がどんな支援をしてほしいかを明確に伝えられ、職場側は当事者の話にしっかり耳を傾けてくれる環境があることなのだと、あらためて感じています」 「休憩の質を高めること」  これまで精神障害のある社員の支援を担当してきた八木さんは、いくつか気づきもあったという。  例えば、休憩については「勤務時間中は職場が多少ざわついていても、わりと大丈夫な人が多いのですが、休憩時間は一人で落ち着いてとりたいと望む人もいます。会社側としては、しっかりと休憩時間と場所を確保して、休憩の質を高めてあげることが大事だと考えています」とのこと。現在行っている配慮として、三つの対応例を紹介してくれた。 @「休憩は一人でとりたい。日報を書くのを人に見られたくない」というシュレッダー業務担当の社員のために、シュレッダー室内に机といすを用意した。 A社内に休憩室はあるが、人の出入りが気になるという社員には、女子更衣室や、空いている会議室に予約を入れて使用してもらう。 B「休憩時間を適宜とってください」といわれて逆に迷ってしまう社員には、50分勤務して10分休憩というルールを決めた。  また八木さんは、「家族のサポートを得られていない人が、意外と多いとも感じています」と語る。家族が精神障害を認めておらず、その結果、働くうえで協力的ではないケースもあるそうだ。例えば、生活リズムを保てるよう親にサポートを頼んでも、「もう大人なのだから任せている」と取り合ってもらえなかったこともある。私生活まではなかなかふみ込めないため、「日ごろから就労支援機関からサポートしてもらえる状況を維持しておくことが大事です」と八木さん。  その一方で、当初の予想とは大きく異なる手ごたえもあったという。  「ペースは人それぞれですが、だれもが着実に成長して、戦力になってくれていることを実感しています。入社当初にあれほど『できない』といっていた人も、一人で十分に業務をこなせています。いまは、だれか一人でもいないと業務に支障が出るほど、本当になくてはならない大事な社員ばかりです」 障害にかかわらず働きやすい職場に  精神障害のある社員が増えてきたことにともない、最近、八木さんと同じような支援担当社員が一人増えたところだ。季節や社会情勢などによって、社員が体調を崩すときは重なることが多く、八木さんだけでは、一人ひとりへの細やかな対応がむずかしくなってきたからだという。  もちろん受入れ部署では、事前に必ず勉強会を実施し、障害者就業・生活支援センターなどで本人を支援してきた担当者を講師に迎えている。八木さんは、「いまは受入れ部署が5カ所以上に増え、職場の人たちも理解を深めながら、みんなが見守ってくれている環境になりつつあります。しかし社内全体では、障害者雇用に取り組んでいることすら知らない社員も、まだいると思います」という。そのため来年度からは、受入れ部署にかかわらず、就業管理者向けの研修にも障害者雇用のテーマを取り入れる予定だ。  これまでをふり返り、八木さんは、「特に精神障害のある社員を雇用するようになってから、一人ひとりの事情に合わせて、就業規則や社内制度を適宜適切に改正しながら対応できたのはよかった」としつつ、障害者雇用への取組みが、職場全体におよぼすメリットも大きいはずだと語ってくれた。  「障害者が働きやすく活躍できる職場というのは、子育てや家族の介護、自らの病気など、さまざまな制約のある社員たちにとっても、無理なく働き続けられる職場になると思っています。今後も、多様なバックグラウンドを持つすべての社員が、一緒に活躍できる職場環境づくりに向けて取り組んでいきたいですね」 写真のキャプション 株式会社ジーシーシーでは、自治体向け情報システムサービスを提供している 株式会社ジーシーシー総務部人材開発グループ・総務労務グループ担当課長の八木真弓さん 総務労務グループの大久保淳さん 素材ごとの投入先が表記された「分別表」(写真提供:株式会社ジーシーシー) シュレッダー業務の様子(写真提供:株式会社ジーシーシー) 佐藤さんは、プログラミング業務を担当している プリントサービスグループの佐藤恵理さん 大久保さんは、社内SEとして働きながら指導係もになう 阿部さんは、営業事務を担当している 本社営業部営業管理グループの阿部貴志さん 【P10-11】 クローズアップ ジョブコーチ支援 第2回 〜ナチュラルサポートをめざして〜  障害のある人が安心して就労し、安定して勤め続けるために重要なのが職場での支援体制です。なかでも、「ジョブコーチ」の果たす役割には大きな注目が集まっています。今回は、株式会社イオンファンタジーで企業在籍型ジョブコーチとして活躍する社員の方にお話をうかがいました。 【取材先プロフィール】 株式会社イオンファンタジー (千葉県千葉市) ◆事業内容 イオンショッピングセンター内の「アミューズメント施設」および「インドアプレイグラウンド」の運営 ◆店舗数 国内432店(2021年11月末日現在) ◆従業員数 5,552人、うち障害者129人(身体障害36人、精神障害77人、知的障害16人、2021年10月現在) 資格を活かすことで社内の理解が得やすくなった  全国各地のイオンショッピングセンター内に、ゲームなどのアミューズメント施設を展開している株式会社イオンファンタジー。同社は、2015(平成27)年の時点で1.51%だった障害者雇用率を3%以上に引き上げることを目標に、障害のある社員の雇用とサポートを充実させてきました。  現在は、全国で129人の障害のある社員が活躍しています。そのうち、店舗で接客や清掃などの業務に従事している人が85人、本社の人事グループのなかにある「ジョブサポート」という障害のある社員で構成された専門部署に35人、そのほかの部署に9人が所属し、2021(令和3)年10月現在の障害者雇用率は、3.02%となっています(図)。  障害者雇用の取組みの中心となってきたのが、人事本部人事グループの岡(おか)真三(まさかず)さんです。2017年春に「ジョブサポート」のマネージャーに着任した岡さんは、同部署の管理だけではなく、全社における障害者の採用と定着支援、障害者理解を促進するための社内セミナーの実施など、障害者雇用推進に関するさまざまな活動に精力的に取り組んできました。2020年には企業在籍型ジョブコーチの資格も取得し、現在はその知見も業務に活かしています。  「ジョブコーチのスキルを身につけることで、より計画的で専門性の高い支援を実施することができるようになりました。また、支援計画書で支援の方向性を提示することで、社内の理解も得やすくなったと感じています。困ったときにいつでも頼りにしてもらえる存在でありたいと思います」と、岡さんは話します。 雇用規模の拡大により支援機関と連携が不可欠に  一方で、現在は、障害のある社員に関わる業務に取り組む担当者が岡さん一人であるため、全社的な状況を細やかに把握しきれないことへの課題も感じているそうです。  「私だけでは対応できない部分は、支援機関と連携を図り、支援機関の支援者との定期的な面談の機会を設けることなどでフォローしてもらっています。特に、店舗については、支援機関のサポートを受けている人を積極的に採用し、就労後の支援と情報の共有を続けていただくことで、目の届きにくさをカバーしています。しかし、より細やかなサポートをしていくためには、ジョブコーチや障害者職業生活相談員に準ずる立場の人を、全国各地に配置する必要性も感じています」と岡さんはいいます。  具体的には、各エリアを統括する立場の社員(教育リーダー)に、ジョブコーチや障害者職業生活相談員などの資格を取得してもらい、障害のある社員をサポートする役割をになってもらうことなどを検討しているそうです。  「担当者が異動したときなどにもサポートが途絶えることがないよう、『引き継ぎ書』などを整備し、継続的な支援を職場全体で実現できるような仕組みもつくっていきたいと考えています」 障害者自身も支援する立場に  本社にある「ジョブサポート」では、社内のさまざまな部署から依頼された業務を、障害のあるメンバーで分担して進めています。岡さんは、ジョブコーチの視点で業務を分析し、作業手順や指示の方法などに工夫をしながら、メンバーの特性に応じて業務をふり分けています。メンバーの業務が円滑に進められるように岡さんをサポートしているのが、ジョブサポート・リーダーの津野田(つのだ)恵理(えり)さんです。津野田さん自身も発達障害などがありますが、ジョブサポートのメンバーとしての業務をになうほか、全体の状況を把握してメンバーに指示を出す立場をになうことで、岡さんへ負担が集中することを防ぎ、メンバーへの細やかなサポートを実現しています。  「障害があってもリーダーという立場を任されて、自分の可能性を拡げてもらえることにとても感謝しています。現在は、障害者職業生活相談員の資格を取得し、自分自身やメンバーへの対応に活かしています。今後は、さらにジョブコーチの資格を取得して、どんな方でも働きやすい職場づくりに貢献していきたいです」と津野田さんは話します。 専任担当者の必要性を実感  現在、イオンファンタジーの本社で働く社員の5人に1人が障害者です。障害のある社員が活躍する姿を実際に見てもらうことで、社内に、障害者雇用を前向きにとらえる雰囲気ができてきたと、岡さんは感じているそうです。  「社内の障害者雇用全体に関連する業務は、ほかの業務との兼務が非常にむずかしいと感じています。私自身も、障害者雇用の専任の担当者としての立場を明らかにしてもらえたことで活動がしやすくなり、その結果が、障害者雇用率の達成や定着にもつながったと思います。今後の目標は、2年以内の障害者雇用率5%の達成です」と、岡さんは意欲的です。  社内に障害のある社員をサポートする人を増やすことで、職場のだれもがサポートできる体制ができ、岡さんの目標に、また一歩、近づくことになるでしょう。 図 イオンファンタジーの障害者雇用率の推移 2014年 1.66% 2015年 1.51% 2016年 1.78% 2017年 2.36% 2018年 2.48% 2019年 2.40% 2020年 2.58% 2021年 2.86%(※) 法定雇用率 2.0%(2014年〜2017年) 法定雇用率 2.2%(2018年〜2020年) 法定雇用率 2.3%(2021年) ※2017年以降、法定雇用率を達成。2021年10月の速報値では3.02%を達成した ★写真および図の提供:株式会社イオンファンタジー 写真のキャプション イオンファンタジーの事業所エントランス 打合せをする岡さん(左)と津野田さん ジョブサポート内の「イラストレーターチーム」では、専門職であるイラストレーターの4人が活躍している。自身もパニック障害のある高野(たかの)哲(さとし)さん(左)がリーダーとしてチームをまとめている 【P12-14】 JEEDインフォメーション 〜高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)からのお知らせ〜 事業主のみなさまへ 令和4年度 「障害者雇用納付金」申告および「障害者雇用調整金」申請のお知らせ 〜常用雇用労働者の総数が100人を超えるすべての事業主は障害者雇用納付金の申告義務があります〜 令和4年4月1日から同年5月16日の間に令和4年度分の申告と申請をお願いします。前年度(令和3年4月1日から令和4年3月31日まで)の雇用障害者数をもとに、  ○障害者雇用納付金の申告を行ってください。  ○障害者の法定雇用率を下回る場合は、障害者雇用納付金を納付する必要があります。  ○障害者の法定雇用率を上回る場合は、障害者雇用調整金の支給申請ができます。 【申告申請期間】 種別 障害者雇用納付金 障害者雇用調整金 在宅就業障害者特例調整金 特例給付金 申告申請対象期間 令和3年4月1日〜令和4年3月31日 申告申請期間・納付期限 令和4年4月1日〜令和4年5月16日(注1、注2、注3) (注1)年度(令和3年4月1日〜令和4年3月31日)の中途で事業廃止した場合(吸収合併等含む)は、廃止した日から45日以内に申告申請(障害者雇用納付金の場合は、申告額の納付)が必要です。 (注2)障害者雇用調整金、在宅就業障害者特例調整金及び特例給付金は、申請期限を過ぎた申請に対しては支給できませんので、十分にお気をつけください。 (注3)常用雇用労働者の総数が100人以下の事業主が、特例給付金の申請を行う場合の申請期限は令和4年8月1日となります。 *詳しくは、最寄りの各都道府県支部 高齢・障害者業務課 (東京・大阪は高齢・障害者窓口サービス課)にお問い合わせください(33ページ参照)。 JEED 都道府県支部 検索 常用雇用労働者が100人以下の場合は障害者雇用納付金の申告義務はありません。 なお、雇用障害者数が一定数を超えている場合は報奨金の支給申請をすることができます。 詳しくは、最寄りの都道府県支部高齢・障害者業務課(東京・大阪は高齢・障害者窓口サービス課)にお問い合わせください。 申告申請の事務説明会にぜひご参加ください。 *全国各地で2〜3月に開催します。 *参加費は無料です。 JEED 納付金 説明会 検索 事業主のみなさまへ 障害者雇用納付金関係業務調査のごあんない 〜障害者雇用納付金制度を支える仕組みです〜  障害者雇用納付金制度の適正運営、経済的負担の平等性の確保などの観点から、障害者の雇用の促進等に関する法律第52条に基づき調査を実施しております。  実際に調査の対象となった事業主の方に対しては郵便、お電話にて事前にご連絡し、日程調整や用意いただく書類などについてご案内いたします。  ご協力をお願いいたします。 【対象となる事業主の方】  申告申請を行ったすべての事業主のうち、主として雇用障害者の種類および等級や程度を明らかにする書類などの添付書類の提出が義務付けられていない事業主から、毎年度、一定数の事業主を選定します。 【調査方法】  関係書類やヒアリングにより、常用雇用労働者の総数および雇用障害者数や障害の程度などが適正であることの確認を行います。 【申告申請額に誤りがあった場合】  調査の結果、申告申請内容に誤りがあった場合には、納付金の追加納付・還付、調整金などの返還を行っていただくことになります。  なお、納付金の追加納付が必要な場合には、その納付すべき額に10%を乗じて得た額の追徴金が課せられます。  申告申請書作成時に根拠とした書類は、調査時に確認しますので適切な保管をお願いします。  また、障害者の退職後も、障害者であることを明らかにする書類(手帳等の写し)を3年間保存する義務があります。ご注意ください。 本調査について、詳しくは当機構ホームページに掲載している 「障害者雇用納付金等に関する事業所調査のごあんない」をご参照ください。 https://www.jeed.go.jp/disability/noufukin_chosa.html 「障害者雇用納付金制度記入説明書」にも掲載されております。 〈お問合せ〉納付金部 調査課 TEL:043-297-9654 FAX:043-297-9657 ●アビリンピックの正式名称は「全国障害者技能競技大会」です。「アビリティ」と「オリンピック」を合わせて「アビリンピック」と呼んでいます。 〜アビリンピック〜 マスコットキャラクター誕生! こんにちは、アビリスです。 508作品のなかから選ばれたんだ! みんな、よろしくアビ! 作者プロフィール かわぐち ひろし 川口博司さん 東京都在住の40歳。 国立職業リハビリテーションセンターを修了後、都内の企業でデザイナー、WEB系エンジニアとして活躍。 インタビュー動画はこちら! ◆アビリンピックに関するお問合せ◆ 雇用開発推進部 雇用推進課 TEL 043-297-9516 FAX 043-297-9547 作者インタビュー 応募しようと思ったきっかけは? 国立職業リハビリテーションセンターに通っていたとき、職員の方が朝礼で募集案内をしていたことがきっかけです。もともとものづくりが好きなこと、また社会貢献をしたいと思い、応募しました。 デザインのポイントは? アビリンピックに関わるだれもの心にいる妖精をイメージしてデザインしました。「障害を乗り越える士気」や「受賞の歓喜」、「能力の開花」が伝わればと思います。 「アビリス」の名前の由来は? (全国障害者技能競技大会の愛称である)「アビリンピック」に、母親が好きなランの花の名前をかけ合わせました。 「アビリス」に期待することは? アビリスの採用が決まって、私自身にもうれしいことがたくさんありました。アビリンピックに関わるみなさんにも、たくさんのうれしいことをふりまいてくれるキャラクターとなってくれることを期待しています。 【P15-18】 グラビア 障害のある人が活躍できるフィールドを広げるために 株式会社ゼンコー 濱田久仁彦さん(埼玉県) 取材先データ 株式会社ゼンコー 〒330-0854 埼玉県さいたま市大宮区桜木町2-337-1 全交ビル TEL 048-642-3488 FAX 048-642-3464 写真・文:官野 貴  株式会社ゼンコーは、首都圏および関西地区に営業拠点をもつ警備会社で、警備とそれに付随するサービスを主力事業としている。グループ内では、身体障害や知的障害などがある社員も、警備士や警備事務職として働いている。また同社では、これまで障害者スポーツへの支援を行ってきた。現在は、パラアスリートの引退後のセカンドライフにおいて、その身体能力の探求、可能性に挑む勇気と力を活かして警備業で活躍してくれることを期待し、パラアスリートの人財発掘に力を入れている。  同社で、パラアスリートのスカウティング活動と、車いすユーザーが警備士として働くうえでの問題点の検証に取り組んでいるのが、濱田(はまだ)久仁彦(くにひこ)さん(61歳)だ。埼玉県警察本部の事務職員を定年退職後、元上司から誘いを受け、2021(令和3)年1月に入社した。警備研修も終え、現在は、埼玉県内の大学において同僚の警備士とともに、警備士のインターンとして、来校者の検温や消毒などの「受付管理業務」のほか、同社が請け負う講習会での「受付・講習管理業務」などに就いている。今回は、その一つである、埼玉県内で開催された講習会での様子を取材した。  濱田さんは、「だれかのためや、社会のために働けることが、やりがいにつながっていると思います。障害がありながら働くことの多様性を、警備業という分野で、たとえごく小さな芽でも植えつけることができればと思っています。障害のある人が活躍できるフィールドを広げられればという気持ちで取り組んでいます。今後は、パラアスリートの人財営業にも取り組んで、新たな展開への道を探したいです」と語る。 ★16ページの写真提供:株式会社ゼンコー 写真のキャプション 警備研修 警備研修では訓練時間を2倍に増やし、警備士に求められる身体能力や諸動作が行えるかということの検証を行った 救急対応における心肺蘇生訓練の様子。車いすを降り、意識確認や心臓マッサージを行う 大学でのインターンの様子 警備士のインターンとして、同僚とともに大学の受付管理業務を担当している 受付・講習管理業務 講習会の受付・講習管理業務は、会場の設営から始まる 打合せの様子。濱田さんは「配置先の方々とのつながりも、とても重要」と話す 案内板を設置する。車いすを操作しながらの作業のため、コツがいる 「おはようございます。検温からお願いします」と呼びかけ、受講者の体温測定を行う 講習会開始前、連絡事項や注意点のアナウンスも大切な業務だ 濱田さんは、幼少期にかかったポリオによる麻痺があり歩くことが困難なため、通勤には左手でアクセルとブレーキを操作できる自動車を使用している 業務を終え、同僚とともに会場を後にする。現場では、同僚との連携が欠かせない 【P19】 エッセイ 発達障害当事者の働きづらさのリアル 第2回 〜発達障害 通院や検査のタイミングは?〜 姫野 桂(ひめの けい) フリーライター。1987(昭和62)年生まれ。宮崎県宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。25歳のときにライターに転身。現在は週刊誌やウェブ媒体などで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ、など。おもな著書に『私たちは生きづらさを抱えている 発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)、『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)などがある。  発達障害の疑いがある際、通院や検査のタイミングに戸惑う方もいるでしょう。では、どういう場合に通院・検査をすればよいのか、私自身のことをふり返ってみました。  私の場合、3年ほど前にプライベートでつらいことがあり、体も心もクタクタなのに4日間ほど眠れなくなり、どうにかして眠りたいと心療内科に駆け込んだことから始まります。そのときは精神安定剤を処方してもらい無事眠れるようになったのですが、以前から「自分は発達障害があるのではないか」と疑っていたので、受診の際、「発達障害の検査もしてほしい」とお願いしました。そして後日、発達障害のさまざまな心理検査を受けた末、ADHD(注意欠陥・多動性障害)と算数LD(学習障害)、ASD(自閉スペクトラム症)傾向が出ました。  じつは会社員時代、毎週月曜日に朝礼があったのですが、その朝礼が私にとってかなり強いストレスだったようで、毎週のように倒れていました。目の前が真っ暗になり、吐き気がして立っていられなくなってしまうのです。貧血検査では一度も引っかかったことがないので、貧血ではありません。いま思うとこれは、おそらく適応障害を起こしていて受診すべき状態だったのだと思います。しかし私は頑(かたく)なに「自分は病気ではない」と受診を拒んでいました。また、心療内科や精神科などを受診したことが会社に知られると、業務に影響が出ると思い、「解雇されるのではないか」と怯えていました。  もうひとつ、いまになって「受診すべきだったな」と思うのは高校時代です。学校ではスクールカーストの下層で目立たないように過ごし、たまにスクールカースト上位の生徒からの嫌がらせに遭い、日々生きづらさを感じ、毎日不眠に悩まされていました。しかし、親に不眠について相談しても「運動をして体を疲れさせれば自然と眠れる」の一点張りで、病院を受診するという概念すらありませんでした。当時の私は陸上部に所属し、多いときは一日10qもランニングをして、それに加えて50mダッシュを10本こなす日もありました。さらに、毎日片道7qの道のりを自転車通学していました。これはどう考えても体は疲れています。こんなに体が疲れているのに布団に入ると体が硬直し、気づくと眉間にシワが寄って顔が硬直して眠れないのです。そうして気づいたら深夜2時、3時になっており、進学校で毎朝早くから課外授業があったのと、自分で弁当をつくっていたので起床は5時半。いつも睡眠不足でした。高校時代にもっとこの生きづらさと不眠について相談に乗ってくれる大人がいたら、もう少し楽しく過ごせていたのかもしれないと思います。  さて、最後に発達障害の検査のタイミングですが、「何か困りごとを抱えていたら受ける」というスタンスがよいのではないでしょうか。というのも、発達障害の検査には、クリニックにもよりますが数万円ほど費用がかかる場合があります。私の場合、二次障害の不眠をきっかけに検査を受けたので数千円で済みましたが、そうではない場合、大きな出費となります。また、発達障害の検査のなかで多く用いられるWAIS(ウェイス)−V(スリー)(※)という成人を対象とした知能検査は、大学生の場合、大学内の保健センターなどで無料で受けられる場合があります。それならWAIS−Vだけ受けたい方は、気軽に受けられます。  ただし、結果を医師が診てくれるわけではないので、検査結果から診断が降りることはありません。それでも、「ミスをしてしまう」、「忘れ物が多い」、「失言が多く、人とコミュニケーションを取りづらい」など、このような特性で仕事やプライベートで困っている際は、この検査を受けてみるのもよいでしょう。そうすると、今後どうすれば自分が生きやすくなるのか、検査結果からヒントを得られるはずです。 ※WAIS-III:Wechsler Adult Intelligence Scale -Third Editionの略。成人用ウェクスラー知能検査の改訂第3版。16歳〜89歳を対象とし、言語性IQ、動作性IQ、全検査IQに加え、言語理解、知覚統合、作動記憶、処理速度の群指数を測定できる 写真のキャプション 姫野 桂 【P20-25】 編集委員が行く ピーナッツを通じてつながった当事者・学校・農業・企業が地域を盛り上げる 株式会社オクヤピーナッツジャパン(福島県) NPO法人大阪精神障害者就労支援ネットワーク 副理事・統括施設長 金塚たかし 取材先データ 株式会社オクヤピーナッツジャパン 〒966-0852 福島県喜多方市字天満前8930(おくやピーナッツ工場内) TEL 0241-23-7630 FAX 0241-23-7001 https://okuya-pj.co.jp/ 編集委員から  地方における障害者雇用は都市部とは違う悩みや課題がある。ローカルでの取組みに興味があり、本誌の編集委員をお受けしてから地方の障害者就労の取組みについて取材をしたいと思っていた。その第1弾の取材として、福島県喜多方市での取組みをみなさんにご紹介する。 Keyword:特別支援学校、職場実習、農業、就労継続支援B型事業所、マッチング POINT 1 地域の社会資源とコラボし、農業・産業の活性化に貢献 2 企業と福祉、特別支援学校が一同に会する、会津地区障害者雇用連絡協議会 3 「連携型6次化」でさらなる障害者雇用の発展へ さまざまな企業とコラボ  東京から新幹線と在来線を利用して4時間強。ピーナッツの生産・加工・販売を生業にしている会社で、障害者雇用のみならず、地域の福祉事業所や企業とコラボレーションして地域おこしに取り組んでいる農業生産法人「株式会社オクヤピーナッツジャパン」。その取組みをレポートするため、人口約4.4万人の、ラーメンで有名な福島県喜多方市を初めて訪れた。まずは代表取締役の松ア(まつざき)健太郎(けんたろう)さんに、お話をうかがった。  松アさんは21歳のとき、いわき市から喜多方市に帰ってきて起業。10年ほどは農家などの御用聞きの仕事を受けていたが、そのうちある農家から「うちでつくった豆を買って、街で売ってくれないか」という依頼を受けたそうだ。  「最初は500円で買って問屋さんに売っていたのですが、ある年に相場が300円ほどにガクンと落ちてしまいました。農家さんが気の毒で、500円で買っていたものの、そのままでは赤字になるので、煮豆に加工して道の駅で販売しました。すると30分で完売したんです。『500円で買っても付加価値をつければ利益が出る』ということがわかり、少しずつ豆の仕入れから加工販売に切り替えていくことになりました。いまから15〜16年ほど前、私が30歳ごろの話です。1年後に法人化し、『株式会社おくや』という名前で長らく運営していました」と松アさんは話す。  しかし昨年、コロナ禍で客足が激減。そこで、かねてから温めていた「一から豆を育てる農家をやりたい」という思いを形にしようと決意。奥さまに株式会社おくやの代表を任せ、松アさん自身は「株式会社オクヤピーナッツジャパン」という農業生産法人を、2020(令和2)年4月に設立した。  従業員4人からスタートし、いまは11人の会社に。うち2人は障害のあるスタッフだ。豆を育てるようになってからは、松アさんも年間約160日は畑に出ているそうだ。  「会社の業務内容としては、畑でピーナッツの生産をして、ピーナッツセンターという工場で洗浄・選別・乾燥・焙煎を行っています。また、そこで出たB級品をペーストにして、ソフトクリームなどに加工しています。繁忙期は節分に向けた12月から2月。会津では冬場の仕事がないため、障害者の授産施設にピーナッツの殻を剥(む)く仕事を依頼しています。100%手剥きのピーナッツというのは価値があり、販売する際の売りにしています」と松アさんは話す。  また、さまざまな企業とコラボし、ピーナッツを介して多くの商品を生み出しているのも特徴的だ。喜多方ラーメン店とともにピーナッツの担々麺を開発したり、ソースカツ丼にピーナッツを使うなど、ヒット商品が多数あるそうだ。  本部長の上野(うえの)雄市(ゆういち)さんは、松アさんの「みんなが横でつながって、資源同士をコラボさせると、よりすばらしい資源に変わっていく」という考え方や、夢に向かっていく姿に惚れこんで入社したそうだ。淡々とインタビューに応じる松アさんの内側には、郷土を愛する強い想いがあることを上野さんの言葉から感じた。 日本の豆食文化を伝え地域の産業と農業に貢献  同社の理念は三つ。ピーナッツを扱う豆屋だけに「豆商い3つの心」と謳っている。  「一つ目が『豆屋の使命』として、『〈健康で美味しい日本豆食文化〉を伝える心』です。日本は豆をたくさん食べる国です。しかし、私たちが子どもたちに美味しくない豆を食べさせてしまったら、『二度と食べない』といわれてしまいます。『豆って美味しいんだよ』と伝えていくことが、僕たちの使命です。  二つ目は『〈地域農業・産業〉に貢献する心』です。豆を通して、さまざまな人たちとコラボして、地域の農業と産業に貢献していく。町のお菓子屋さんや企業と共同で商品開発をしたり、連携してつくった商品を販売しています。私はそれを『連携型6次化』と呼んでいるのですが、農家さんが一人でやるよりも、さまざまな分野のプロを巻き込んで、にぎやかに商品をつくったほうがうまくいきます。  三つ目は『〈豊かである努力〉の上、人に尽くす利他の心』です。スタッフには心を豊かにするための努力をしてもらい、幸せな社員が幸せな会社をつくっていくことを理念としています」 地域の連絡協議会を通して学校・福祉・企業がつながる  障害者雇用を始めたのは、株式会社おくやを立ち上げた15〜16年前。松アさんが、会津若松市内の特別支援学校を見学したことがきっかけだった。  「農業班をはじめ、さまざまな訓練を行っている方たちと話をしました。また、2週間単位で企業で実習を行う仕組みがあることを、初めて知りました。働いている方たちが、とても真面目に黙々と作業している姿に感心し、『弊社の店舗にも来てもらえませんか』とお願いしました。2〜3日では当事者と企業、双方が理解し合うには十分な時間とはいえませんが、2週間来てもらって一緒にごはんを食べたら、お互いのことがわかります。スタッフたちを説得して、実習を受け入れることになりました」  同地区では、一般企業や福祉施設、学校の先生方が一同に会する「会津地区障害者雇用連絡協議会」という会があり、そこを通じて、企業と特別支援学校の先生とのパイプができている。そのため、実習先の企業が多く、ほかの地域の特別支援学校に比べて、雇用に至るケースが倍近くあるそうだ。松アさんも理事を務めており、先生方からいろいろと情報を得ているとのことだ。  「何人か実習生を受け入れているうちに、おくやで働きたいといってくれる知的障害のある方がいました。それまでにも授産施設にシール貼りなどの仕事をお願いすることはあったのですが、新卒生の受入れは初めてでした。仕事ぶりや性格を見て、『この方だったら』と思い、採用を決めました。今年で働き始めて9年目になる鷲津(わしづ)卓哉(たくや)さん(27歳)です。元々はおくやの店舗に勤務してもらっていたのですが、いまはオクヤピーナッツジャパンで、種まきから収穫までの農業全般と、ピーナッツセンターで焙煎の作業や、茹でピーナッツの製造を担当してくれています。そして、2021年にもう1人、特別支援学校から新卒生が入社しました。笑顔が素敵な遠藤(えんどう)凌介(りょうすけ)さん(19歳)です。店舗で接客を担当してもらっています。株式会社おくやのほうにも1人、障害のある社員がいます」  在学中の2週間の職場実習は、障害当事者にとって就職へ向けての有効な体験であるのと同時に、初めて障害者を受け入れる企業にとっても不安を軽減し、お互いを知る機会になり、ベストなマッチングを生むことになる。 実習生の受入れは従業員の研修でもある  特別支援学校以外にも、さまざまな学校からの実習を受け入れているが、「なかでも特別支援学校の生徒たちは素直さが抜群。仕事に臨む気持ちもすばらしく、伸びしろが大きい。もちろんたいへんなこともありますが、『小さな階段』をつくって仕事を覚えてもらっています。得意不得意は必ずありますので、苦手な仕事を無理にやらせるのではなく、障害特性を理解するよう心がけています」と松アさんはいう。1回ではできないことが多いため、階段のように「今日はここまで」と、一段一段、つき添いながら教えていくのである。  同時にまた、受け入れる側の体制も大切で、そこがきちんとできていないと、せっかく入社してもすぐに辞めてしまう。実習生の受入れというのは、受入れ側の研修にもなったようだ。  「私は障害者雇用を前提に考えていたのですが、最初は社員やパートさんから『小さな会社なので目が行き届かないのではないか』と不安の声が出ました。そこで『2週間の実習で様子を見てみよう』、ということになったんです」と松アさんはふり返る。  実際に、一人目の鷲津さんについては、雇用に至るまで6年かかっている。「毎年実習生を受け入れていました。女性のパートさんたちが実際に彼らと接する機会が多かったのですが、2週間が終わるころには、彼らの成長ぶりを見て泣いて別れるほどです。普通に働いていると、そんな経験はなかなかないですよね。それをくり返すうちに、受入れ体制が整ってきました。受入れに際しては、特にキーパーソンがいるわけではありませんが、店長がみんなのメンターとなってくれています」  そして次の松アさんの言葉は、特に印象的だった。  「障害のある方たちを受け入れて感じるのは、彼らの働きぶりから気づかされることが非常に多いということ。彼らは商品やお客さまに、100%の気持ちで向き合っている。私たちは果たして、そこまでの気持ちを持って仕事をしているだろうかと、考えさせられます」  障害者雇用は従業員の育つ環境、育てる環境をつくることができる。これは障害者雇用が法定雇用率によって雇用の機会を拡大するというだけでなく、企業にとって新たな気づきを与える可能性を持つことを示しているといえるだろう。 マッチングさえうまくいけば福祉と企業の課題を解決できる  現在、つき合いのある福祉施設のうち、就労継続支援B型事業所は15カ所だという。会津地域には約40カ所の就労継続支援B型事業所があり、多くの事業所はオクヤピーナッツジャパンのことをご存知で、「今後、業務が増えたら仕事をやらせてほしい」という声もある。松アさんは、最終的には40カ所すべてとおつき合いしたいと考えているそうだ。  「いまは約200人の利用者さんが、冬場の仕事としてピーナッツの殻剥きをしてくれているほか、ピーナッツパイも焼いてもらっています。シール貼りの仕事は、季節を問わずお願いしています」  約60軒ある契約農家の畑仕事のお手伝いに、4人一組で、うち1人が支援員というチームを組んで、行ってもらうこともあるそうだ。賃金については、松アさんが間に入って金額を調整する。そうすることでトラブルが減り、農家からはピーナッツ以外の畑仕事の依頼も増えてきたという。「助かる」という声以外にも、「孫のような若い人が来てくれて楽しい」という声もあり、10年以上のおつき合いになった農家もある。  「仕事がない」という福祉事業所と、「人が足りない」という企業。マッチングさえうまくできれば、両者の問題は解決できるのだ。 働く先輩の姿が目標〜入社1年目の遠藤さん〜  次に、店舗と工場を訪れ、2人の働く当事者の方にお話をうかがった。  1人目は前述の遠藤凌介さんで、福島県立会津支援学校を卒業後、2021年4月に入社。在学中にオクヤピーナッツジャパンにて3回の実習を経験されています。 −−実習では、どのようなお仕事をされましたか?  「1回目は工場に1週間、お店で1週間の実習。2回目と3回目は2週間ずつ、お店のみで実習しました」 −−ここに実習に来ることになったきっかけは?  「学校の先生からの紹介です。自宅は徒歩20分の場所。雨の日以外は自転車で通っています。近所に住んでいるのですが、実習に来るまで会社のことは知りませんでした」 −−なぜ「ここで働きたい」と思いましたか?  「初めて実習したときに、支援学校の卒業生である鷲津さんがていねいに指導してくださったことが印象的でした。就職前に面接があるのかなとドキドキしましたが、社長さんが受け入れてくださり、そのまま入社となりました」 −−いまはどんなお仕事を担当されていますか?  「接客やレジなどをはじめ、店舗業務全般を担当しています。以前はソフトクリームを巻くのが下手で曲がったりしていたのですが、いまはうまくできるようになりました。お客さまと接することがすごく楽しいです。中学生のころまでは知らない人と話すのが恥ずかしかったのですが、高校の作業学習では接客を学べるサービス班を自ら志願し、克服しました」 −−初めてのお給料は何に使いましたか?  「思ったよりたくさん入っていたので、家で飛び跳ねちゃいました。いつもお世話になっているおばあちゃんにご馳走しました」 −−今後の目標や展望は?  「先輩の鷲津さんのように、たくましくなりたいです」 農業全般と製造を担当〜入社9年目の鷲津さん〜  2人目の鷲津卓哉さんも、福島県立会津支援学校の卒業生。18歳で入社し、現在27歳。会社の主戦力として活躍している。 −−この会社に就職したいと思ったきっかけは?  「食べ物を扱う仕事に興味があり、学校の紹介で実習に来ました。その後、志願して就職しました」 −−食べることがお好きだと聞きました。  「はい。休みの日はラーメン店めぐりをしています」 −−あ、タイマーが鳴っていますよ。  「ちょっと失礼します。ピーナッツが茹で上がったようです。うまく茹だっているかどうかは、実際に食べてみて判断するんです。ホクッとした食感になっていることが大切です。茹でる水の量など、美味しくするためにいろいろと工夫をしています」 −−後輩の遠藤さんは、「鷲津さんのようになることが目標」とおっしゃっていました。  「うれしいですね。私自身の目標は、できる仕事の幅を少しずつ増やしていくことです」  本部長の上野さん曰(いわ)く、「鷲津さんは会津のなかでも5本の指に入るほどの焙煎の職人である」、「そしてどの会社でも、小さな階段をつくれる人がいれば働ける人はたくさんいる」とのことだ。鷲津さんの特性を見きわめて育ててこられたのだと感じた。 畑仕事でみなイキイキ知的障害のあるメンバーが活躍  最後に畑に移動し、オクヤピーナッツジャパンと施設外就労の契約をされている就労継続支援B型事業所「ドリームハウス富夢富夢(とむとむ)」の支援員、安倍(あべ)浩明(ひろあき)さんにお話をうかがった。 −−オクヤピーナッツジャパンとは、いつごろから連携されていますか?  「5年くらい前から殻剥きの作業をさせていただいています。その後、声をかけていただき、3年前から畑の仕事も任せていただくようになりました」 −−畑には毎日来られているのでしょうか?  「はい。天気のよい日は毎日、1チーム4人で2チームが来ています。春の種まきから夏の除草作業、秋の収穫までがシーズンです。メンバーは知的障害のある方がほとんどです」 −−この作業を始めてから、何か変化はありましたか?  「それまでは事業所内での作業が多かったので、外に出ることで、みなさんイキイキと作業をするようになりました。普段は見られないような一面も、見せてくれるようになりました」 −−今後の展望はありますか?  「いま、畑に来ているメンバーは、こういった仕事ができる方ばかりなのですが、事業所に残っているメンバーたちもたずさわれる仕事を見つけていきたいです」 「ピーナッツ村」を実現しより地域を盛り上げたい  最後に、松アさんに会社の目標をうかがった。  「3年後には『ピーナッツ村』をつくりたいと考えています。大きな敷地内に障害のある方たちが管理する畑があって、ピーナッツ工場で焙煎の様子を見ることができます。その横にカフェと加工場を併設し、障害者雇用を進めながら観光客にも楽しんでもらえる施設を計画しています。私たちだけでは実現できませんので、地域の企業や県・市町村、学校、農家さんたちとともに運営していくイメージです。10年、20年の長い目で見て、『障害のある方たちの両親が亡くなった後に、どう自立して生活していくか』という課題にも取り組んでいくつもりです」  連携型6次化において、障害者雇用のみならず障害者のこの先の人生まで考えている。そして障害者雇用に関しても、ピーナッツ村を通して、さらなるビジョンを思い描いている。  「弊社はいま、11人の小さな会社ですから、そこまで障害者雇用を増やすことはできません。しかし、企業や福祉事業所から相談を受けることもあり、『この企業とマッチングできるのではないか』と提案し、採用に至ることも増えてきました。ピーナッツ村が実現できれば、弊社も障害者雇用をさらに進められるのではないかと考えています」  障害者と企業を知る松アさんだからこそ、できるマッチングである。  今回の取材であらためて感じたのは、採用前の実習でお互いを知る機会をつくっておくことで、早期の離職リスクが減り、結果、障害者の戦力化につながるということだ。まさに実習はお互いを見きわめる時間であり、マッチングの精度を上げるもので、有効に活用をしていただきたい。また、実習を通して受入れの不安の軽減や、体制を整えている点も見逃せないポイントである。採用後は適性を見ながら「小さな階段」をつくり着実に仕事の幅を広げている。戦力化していくためには時間が必要であるが、ていねいに進めることで障害当事者の自信を高めることになる。  また、オクヤピーナッツジャパンの取組みは、地方モデルとして横展開できるのではないかと思われること。特に『連携型6次化』は、社会資源が少ない地域において、横軸で手をつなぎ、みんなで地域を底上げしていく仕組みといえる。そしてそれを実現するには、地域のなかのキーパーソンの存在が何より重要だと感じさせられた。  地域を愛し、地域を発展させるために、一企業が特別支援学校や福祉事業所、異業種とのつながりのなかから障害者雇用を始め、そこで終わるのではなく、地域で彼らを支えていく仕組みまで考え、さらに横軸を広げている。3年後の『ピーナッツ村』がどのような姿になっているのか、とても楽しみである。 写真のキャプション 株式会社オクヤピーナッツジャパン代表取締役の松ア健太郎さん 本部長の上野雄市さん 就労継続支援B型事業所での落花生の殻剥き作業 店舗での接客を担当する遠藤凌介さん 落花生の洗浄作業を行う鷲津卓哉さん ピーナッツ味のソフトクリームを巻く遠藤さん 左が乾燥や焙煎を行うピーナッツセンター。そのとなりに「ピーナッツ村」をつくる予定だ 薄皮を残すために、一つひとつ手作業で殻を剥く 自社農場での落花生の収穫作業 茹で上がった落花生をカゴに上げる鷲津さん 就労継続支援B型事業所「ドリームハウス富夢富夢」の支援員、安倍浩明さん 引き抜いた落花生を脱莢(だっきょう)機に投入する 【P26-27】 省庁だより 林福連携の可能性について 林野庁 林政部 経営課 林業労働・経営対策室 林業・木材産業と福祉の連携について  日本は森林が国土の約7割を占めており、林業及び木材産業は、就業機会の創出と定住促進などを通じて、地方の経済社会の維持・発展に寄与する極めて重要な産業です。しかし、林業従事者は減少傾向で、担い手不足が心配されています。  そのようななか、障害者が林業・木材産業で活躍し、生きがいをもって社会参画する「林福連携」が各地で取り組まれています。  林業というと一般に足場が悪く重量物を扱う作業が多いことから、障害者が従事するのは危険で難しいと考えられがちですが、きのこ栽培や苗木生産、木材加工など、障害者を雇用する福祉サービス事業所(以下、「事業所」)などで取り組める林業・木材産業の仕事は実は多くあります。その一例を紹介します。 林福連携の事例  三重県の「森林組合おわせ」は、山に植えるヒノキのさし木苗ポット製作を複数の事業所に委託しています。生分解性の小さな袋の底に荒い土を、その上に細かい土を入れる作業です。苗木を乾燥させないよう袋を20回振り、完全に隙間がなくなるまで袋を土で満たします。委託先の一つ、紀北(きほく)作業所を訪ねると、三人の作業者が歌を歌いながら作業していました。  かつてこの森林組合では、職員が夜間までさし木苗ポットの土入れ作業をしており、担い手を探していました。一方、作業所は持続的に担える仕事を探していました。作業所に話をもちかけ、丁寧に手順を説明したところ、委託が決まり、スタッフが障害者の能力に応じて作業の切り出しや割り振りをしながら実施してきました。今では2時間の作業で70個完成させる作業者もいます。森林組合がノルマを設定せず継続して仕事を供給していること、障害者が楽しみながら安全に仕事に取り組めるよう事業所スタッフが寄り添うこと、県が作業に必要なたらいや照明器具などの道具の導入を支援していることなど、林業・福祉、行政機関各々が長期的に丁寧にかかわってきたことで1年半以上の委託が可能となっています。  森林組合職員は「いつか植樹祭を開催して彼らにも参加してほい。地域の活性化にもつながる」と話していました。 全国の林福連携の取組みと課題  都道府県を対象に行った調査の結果、令和2年度には全国の林業事業体・木材関連企業、事業所で282の林福連携の取組みが行われています。その半数以上がきのこや炭などの特用林産にかかる仕事で、自らしいたけ栽培などを行う事業所は112にのぼります(図1)。  一方、都道府県の林業担当部局に林業・木材産業などへの障害者の就労支援の課題を聞いたところ、安全・危険回避の面で心配が多く、次いで施設・環境や情報・マッチング、体力・健康管理、指導人材などを危惧する回答が目立ちました(図2)。林福連携においては、林業事業体・木材関連企業と事業所の双方を理解してつなぐ人材、また、現場で直接障害者に指導する人材の育成が急務と考えられます。 「林福連携×デザイン性up」の取組み  ところで、林野庁では、令和3年度より林福連携で行う優れた地域材製品開発などの取組みに対して支援を開始しました。  具体的には福祉関係者、林業・木材産業者、デザイナー、地域関係者などが連携し、優れたデザインやストーリーをもつ付加価値の高い地域材製品を開発することにより、地域材の魅力向上や障害者などの新たな活躍の場の創出、地域の振興につながるモデル的な取組みを支援するものです。今年度は、それぞれ玩具、ベンチ、雑貨などの木製品について、製造工程や治具の検討、試作やモニター調査などを行ったのち、完成した製品や林福連携の取組みを効果的に情報発信してPRすることとしています。  本事業の取組みをモデルとして、各地で木工に関する林福連携の取組みが広がっていくことが期待されます。 林福連携の可能性  政府は、令和元年に「農福連携等推進会議」を設置し「農福連携等推進ビジョン」を取りまとめました。林福連携の取組みは、林業事業体や木材関連企業、事業所などのアイデアや努力はもちろん、長期的な社会・地域・行政機関とのかかわりにより、いっそう発展していくものと思われます。  林福連携が地域をつなげ、山村振興や地域の活性化の足がかりになることを期待しています。 ※本誌では通常西暦で表記していますが、この記事では元号で表記しています 図1 林福連携の取組分野 特用林産 (きのこ、炭等) 54% 木材・木材製品製造 20% 苗木生産 6% 造林・保育 4% 伐木造材外 4% その他 12% 図2 林福連携の課題 安全・危険回避 27% 施設・環境 19% 情報・マッチング 12% 体力・健康管理 11% 指導人材 11% 福祉事業所の負担(理解・業務量) 8% 仕事の遂行性 3% その他 9% 作成:林野庁 林政部 経営課 林業労働・経営対策室 写真のキャプション 作業者がヒノキのさし木苗ポットの袋に土を詰めている様子 さし木苗ポットで育った苗木 【P28-29】 研究開発レポート プライバシーガイドライン、障害者差別禁止指針及び合理的配慮指針に係る取組の実態把握に関する調査研究 障害者職業総合センター研究部門 事業主支援部門 1 はじめに  2005(平成17)年11月に「プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドライン」、2015年3月に「障害者差別禁止指針」および「合理的配慮指針」が策定されました。障害者職業総合センター研究部門では、これらのガイドラインと指針が職場においてどのように実施され、どのような課題があるのか、障害者の継続雇用や能力発揮のための環境づくりにつなげることを目的として、企業および在職障害者へ調査を行いました。本稿ではその一部について紹介します。 2 調査の内容 (1)企業に対する調査(アンケート調査、ヒアリング調査)  アンケート調査は、従業員数40人以上の企業5000社を対象に調査票を郵送し、1442社から回答がありました。ヒアリング調査は、アンケート回答企業のうち、合理的配慮の提供が13項目中3項目以上あり、かつ労働時間の配慮事例がある企業のなかから産業のバランスを見て5社を選定したほか、合理的配慮事例の少ない高次脳機能障害、難病を有する者を雇用している企業のなかから7社を選定し、合理的配慮の工夫点などを詳細に把握しました。 (2)在職障害者に対する調査(アンケート調査)  障害者団体および障害者雇用企業の協力を得て在職障害者に調査を依頼しました。@Web調査、A郵送調査を実施し、1866人から回答がありました。 3 調査結果の概要 (1)障害者に対する差別の禁止(障害者差別禁止指針の13項目) 【企業の取組】回答企業のうち、障害者雇用企業(1067社)を対象に集計したところ、障害者差別禁止指針の13項目について、「取り組んでいる」の回答が最も多かったのは「定年」(83.7%)であり、次いで「労働契約の更新」(82.8%)でした。「まだ取り組んでいない」の回答が最も多かったのは、「募集」(15.2%)であり、次いで「福利厚生」(13.4%)でした。 【障害者の状況】勤務する会社に「差別がないと思う」の回答が最も多かったのは、「募集及び採用」(68.1%)であり、次いで「退職の勧奨」(66.1%)でした。「差別があると思う」の回答が最も多かったのは、「定年」(28.9%)であり、次いで「福利厚生」(25.4%)でした。 【企業と障害者の比較】企業が「取り組んでいる」上位5項目に対して、障害者が「差別がないと思う」上位5項目は、「賃金」のみ一致していました。一方、障害者が「差別があると思う」上位5項目では、「定年」、「労働契約の更新」、「教育訓練」、「配置」の4項目が該当し、企業の取組と障害者の認識に差が見られました。 (2)合理的配慮の提供(職場環境整備、介助・雇用管理、通勤に関する13項目) 【企業の取組】採用後の合理的配慮について、回答企業のうち、障害者雇用企業(1067社)を対象に集計したところ、「取り組んでいる(一部取組も含む)」の回答が最も多かったのは、「作業の負担を軽減するための工夫」(62.6%)であり、次いで「通院・体調等に配慮した出退勤時刻・休暇・休憩」(58.4%)でした(図1)。 【障害者の状況】「配慮を受けている」の回答が最も多かったのは、「通院・体調等に配慮した出退勤時刻・休暇・休憩」(49.0%)であり、次いで「作業の負担を軽減するための工夫」(38.6%)でした(図2)。「必要だが配慮を受けられていない」の回答が最も多かったのは、「疲労・ストレス等に配慮した福祉施設・設備」(14.0%)、次いで「障害者相談窓口担当者の配置」(12.3%)でした。 【企業と障害者の比較】企業が「取り組んでいる」上位5項目のうち、障害者が「配慮を受けている」上位4項目が一致していました(図1、図2)。一方で、企業が「取り組んでいる」上位5項目のなかには、障害者が「必要だが配慮を受けられていない」上位3項目(「疲労・ストレス等に配慮した福祉施設・設備」、「障害者相談窓口担当者の配置」、「作業の負担を軽減するための工夫」)も含まれていました。 (3)障害者の把握・確認 【企業の取組】障害者の把握・確認について課題を感じることとして、回答企業のうち、障害者雇用の経験のある企業(1170社)のなかから無回答を除いた622社を対象に集計した結果、最も多かったのは「労働者全員に対して申告を呼びかけているが、情報を伝えるのが難しい」(37.5%)であり、次いで「業務上支障が明らかな労働者がいるが、本人からの申告がない」(36.7%)でした。 【障害者の状況】障害の把握・確認について感じていること(自由記述227件)を質的に分類したところ、障害の理解や説明に関する記述(周囲にどのように伝わっているかわからない、障害が周知されていない、障害が理解されていないなど)が挙げられました。 4 まとめ  本調査により得られた企業の取組と障害者の状況をふまえ、障害者の継続雇用や能力発揮のための環境等を整理すると、@コミュニケーションの工夫(日常の会話を通した相談しやすい関係づくり、個別面談による相談窓口の明確化、社内外の支援者の活用など)、A社員の障害理解(障害を伝える範囲を決め、上司や同僚へ障害状況および配慮事項を説明する、社内外の支援者が社員への啓発および支援を行うなど)が挙げられます。障害者の継続雇用や能力発揮に必要な「働きやすい職場づくり」のためには、企業と障害者が障害の周知範囲や合理的配慮について話し合っておくこと、企業は障害者の個別状況に応じた合理的配慮の申出方法を用意することなどの取組が必要であると考えます。 図1 【障害者雇用企業】合理的配慮に「取り組んでいる」上位5項目(n=1,067) 作業の負担を軽減するための工夫 取り組んでいる(一部取組も含む)62.6% ニーズがあるが取り組めていない2.5% ニーズがないので取り組んでいない29.4% わからない3.0% 無回答2.4% 通院・体調等に配慮した出退勤時刻・休暇・休憩 取り組んでいる(一部取組も含む)58.4% ニーズがあるが取り組めていない2.0% ニーズがないので取り組んでいない34.3% わからない3.3% 無回答2.1% 職場内移動の負担を軽減するための設備 取り組んでいる(一部取組も含む)47.2% ニーズがあるが取り組めていない4.0% ニーズがないので取り組んでいない44.8% わからない1.8% 無回答2.2% 疲労・ストレス等に配慮した福祉施設・設備 取り組んでいる(一部取組も含む)45.2% ニーズがあるが取り組めていない4.4% ニーズがないので取り組んでいない44.4% わからない3.8% 無回答2.2% 障害者相談窓口担当者の配置 取り組んでいる(一部取組も含む)38.5% ニーズがあるが取り組めていない3.3% ニーズがないので取り組んでいない52.0% わからない3.8% 無回答2.3% 図2 【在職障害者】「配慮を受けている」上位5項目(n=1,866) 通院・体調等に配慮した出退勤時刻・休暇・休憩 配慮を受けている49.0% 必要だが、配慮を受けられていない8.0% 必要がなく、配慮を受けていない31.8% わからない8.3% 無回答2.9% 作業の負担を軽減するための工夫 配慮を受けている38.6% 必要だが、配慮を受けられていない11.8% 必要がなく、配慮を受けていない35.9% わからない10.8% 無回答2.9% 職場内移動の負担を軽減するための設備 配慮を受けている33.6% 必要だが、配慮を受けられていない7.6% 必要がなく、配慮を受けていない47.5% わからない8.8% 無回答2.6% 疲労・ストレス等に配慮した福祉施設・設備 配慮を受けている31.1% 必要だが、配慮を受けられていない14.0% 必要がなく、配慮を受けていない41.6% わからない10.7% 無回答2.6% 作業を可能にするための設備 配慮を受けている30.7% 必要だが、配慮を受けられていない8.1% 必要がなく、配慮を受けていない48.6% わからない9.7% 無回答2.9% ★調査研究報告書(No.157)は、下記ホームページからダウンロードいただけます https://www.nivr.jeed.go.jp/research/report/houkoku/houkoku157.html ◇お問合せ先:研究企画部 企画調整室(TEL:043-297-9067 E-mail:kikakubu@jeed.go.jp) 【P30】 ニュースファイル 地方の動き 大分 「指差しボード」でコミュニケーション  大分県は、聴覚障害のある人と手話を使わなくても意思疎通がしやすくなる「指差しコミュニケーションボード」をつくった。大分県手話言語条例の制定を受けた取組みの一つ。  コンビニ編・駅編・銀行編・病院編・美容室編・ショッピング編の6種類を用意。各場面で想定される選択肢をイラストつきで並べ、指を差しながら、相手に状況や意思などを伝えてもらう。大分県のホームページから無料でダウンロードできる。各コミュニケーションボードに合わせた動画も制作し、聴覚障害のある人が困りやすい場面やボードの使い方、簡単な手話も紹介。担当する大分県福祉保健部障害福祉課では、店の入口やレジなどに「指差しコミュニケーションボード」があることを伝える表示の協力も呼びかけている。 大分県 指差しボード 検索 働く 岩手 自販機に障害者アート  飲料メーカー「みちのくコカ・コーラボトリング株式会社」(盛岡市)が、障害者アート作品を手がける「株式会社ヘラルボニー」(同市)と連携し、障害者の絵画作品をラッピングした「ヘラルボニーアートラッピング自動販売機」をつくり、商業施設「クロステラス盛岡」(同市)内に設置した。偏見のない社会の実現を目ざす取組みの一環で、売上げの一部は作品の制作者に還元される。初回は「るんびにい美術館」(花巻市)に在籍する佐々木早苗さんの作品が採用された。 神奈川 ファンケルの特例子会社が菓子販売店  化粧品メーカー「株式会社ファンケル」(横浜市)の特例子会社「株式会社ファンケルスマイル」(同市)が、菓子の製造・販売を行う「スマイルスイーツファクトリー」(同市)をオープンした。  商品は、ファンケル総合研究所の管理栄養士が考案したレシピで、「発芽米」を生地に使ったグルテンフリーの菓子。製造はファンケルスマイルの社員6人が担当している。プレーン味のクッキーとナッツミックス味のビスケットの2種類(各1枚200円、税込)で、今後も定期的に新商品を発売予定。営業時間は平日9時〜17時半(土日祝定休)。 電話:045−890−6870 宮崎 霧島ホールディングスが特例子会社設立  「霧島酒造株式会社」(都城(みやこのじょう)市)などを傘下にもつ「霧島ホールディングス株式会社」は、障害者雇用を積極的に進めるため、特例子会社「霧島グリーンビレッジ株式会社」を設立した。宮崎県に本社を置く企業の特例子会社としては県内初の認定。  同社では、霧島ホールディングスの拠点内の緑地環境整備や清掃、名刺作成、各種軽作業などの業務を行う。従業員16人のうち障害のある従業員が9人で、今後さらに採用する予定。 生活情報 東京 障害者専用のスポーツジムがオープン  知的障害のある子どもの親たちが設立した「一般社団法人たま倶楽部2020」(八王子市)が、商業施設「スーパーアルプス西八王子駅前店」(同市)2階に、障害者専用のスポーツジム「にしはちスポーツジム」をオープンした。  施設は約100坪の広さで、サーキットトレーニングやボルダリング、車いすユーザーも楽しめるトランポリンなどのほか、サロンスペースも用意。利用対象者は、障害のある大人と特別支援学校高等部に通う生徒。利用料金は会費制で、一般的なスポーツジムより安価に設定しており、個人会員は月会費3500円。営業時間は10時〜19時。 神奈川 専門学校生が意思疎通アプリを開発  岩崎学園情報科学専門学校(横浜市)のシステム開発ゼミの学生ら6人が、「コミュニケーションカード」をスマートフォンで表示できるアプリを開発した。横浜市内の障害福祉関係団体などでつくる「セイフティーネットプロジェクト横浜」と連携し開発したもので、聴覚障害や自閉症のある人の周囲との意思疎通を助ける。  アプリでは、イラストと文字で表した200枚ほどのカードを表示して、日常のさまざまな場面での行動や質問、返事などに対応できる。頻繁に使用するカードのために「お気に入り登録機能」や「マイリスト機能」を備え、オフラインでも使える。アプリ「コミュニケーションカード」は、App Store、またはGoogle Playよりダウンロードできる。 本紹介 『おとなの発達障がいマネジメントハンドブック』  産業医科大学教授の森(もり)晃爾(こうじ)さんと、大阪市立大学教授の井上(いのうえ)幸紀(こうき)さんが『おとなの発達障がいマネジメントハンドブック』(労働調査会刊)を出版した。発達障害のある就労者の事例性(業務のなかで実際に起こる問題)を中心に、診断の有無にかかわらず「職場でどんな困りごとが生じているか」に焦点をあてた配慮と連携のあり方を紹介している。B5判、120ページ、1100円(税込)。 2021年度地方アビリンピック開催予定 2022年2月 東京都、香川県 *部門ごとに開催地・日時が分かれている県もあります *東京都、香川県以外は開催終了 地方アビリンピック 検索 ※新型コロナウイルス感染症の影響により、変更する場合があります。 ミニコラム 第10回 編集委員のひとこと ※今号の「編集委員が行く」(20〜25ページ)は金塚委員が執筆しています。  ご一読ください 企業文化に気づきを与える人たち NPO法人大阪精神障害者就労支援ネットワーク副理事・統括施設長 金塚たかし  コロナ禍において在宅ワークが一躍注目を浴び、セミナーなどで在宅ワークの事例が紹介されることが多くなった。時代に合った一つの働き方であると考えるが、障害者と企業にとって最適な労働環境であるわけではない。  障害のある方の就労支援(働き続ける支援)を行う立場で思うのは、当事者が職場で戦力化していくプロセスのなかで、企業側が気づきを得て経営、運営に変化を与えることが障害者就労の価値の一つであるということ。  ある企業の社長は「障害者を雇用したから、いまの会社があります」と威風堂々、講演会の冒頭で話をされていた。  同社では以前、採用した精神障害者がミスをして会社の信用を失墜させる事件が起きた。リストラも考えたが悩んだ結果、雇用を継続。今回のミスは障害者だからではなく、健常者でもミスをする可能性があり、障害者の雇用を継続するうえで社長の考えに変化をもたらした。「従業員の個の能力」から「仕組み」そして「チーム」へと視点が変化していく。キーパーソンが障害当事者を戦力化していくプロセスから気づきを得て、チームに、組織全体に好影響を与えた。  ほかにも「精神疾患のことをオープンに話せるようになった」や「適材適所の見直しを行った」、「リーダーのマネジメント力」、「コミュニケーション力」など。これらは従業員の育成や職場環境に好影響を与えることになる。これはまさに障害のある人たちと一緒に汗をかいて働いているからこそ得られるものであり、支援者である私たちも企業とともに、障害者を戦力化していくプロセスから得られる法定雇用率以外の価値を目ざしていきたい。 【P30】 掲示板 障害者雇用の月刊誌「働く広場」がデジタルブックでいつでもお読みいただけます! 本誌は当機構ホームページで、デジタルブックとしても公開しており、いつでも無料でお読みいただけます。  また、最新号は毎月5日ごろに当機構ホームページに掲載されます。掲載をお知らせするメール配信サービスもございますのであわせてご利用ください。 自由に拡大できて便利! 読みたいページにすぐ飛べる! ※2017年4月号〜最新号まで掲載しています JEED 働く広場 検索 雇用管理や人材育成の「いま」・「これから」を考える人事労務担当の方 ぜひご覧ください! メールマガジン好評配信中! 詳しくは JEED メールマガジン 検索 次号予告 ●特集  2021年12月17日(金)〜20日(月)に東京都で開催された「第41回全国アビリンピック」を取材。全国から出場した選手たちの活躍の様子をレポートします。 ●この人を訪ねて  昨年度の全国アビリンピックで活躍を見せた、マンパワーグループ株式会社の特例子会社、ジョブサポートパワー株式会社(東京都)を訪問。障害者雇用の担当者に、アビリンピックへの取組みや、障害のある人が働きやすい職場環境づくりなどについてお話をうかがいます。 ●「『働く広場』公開座談会」採録  2021年12月7日(火)に開催された公開座談会「コロナ禍を乗り越えて〜新しい働き方を問う〜」の採録を掲載します。 公式ツイッター始めました! 最新号発行のお知らせやコーナー紹介などをお届けします。 本誌購入方法 定期購読のほか、最新号やバックナンバーのご購入は、下記へお申し込みください。 1冊からのご購入も受けつけています。 ◆インターネットでのお申込み 富士山マガジンサービス 検索 ◆お電話、FAX でのお申し込み 株式会社広済堂ネクストまでご連絡ください。 TEL 03-5484-8821 FAX 03-5484-8822 あなたの原稿をお待ちしています ■声−障害者雇用にかかわるお考えやご意見、行事やできごとなどを500字以内で編集部(企画部情報公開広報課)まで。 ●発行−−独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 発行人−−企画部長 奥村英輝 編集人−−企画部次長 五十嵐意和保 〒261−8558 千葉県千葉市美浜区若葉3−1−2 電話 043−213−6216(企画部情報公開広報課) ホームページ https://www.jeed.go.jp/ メールアドレス hiroba@jeed.go.jp ●発売所−−株式会社広済堂ネクスト 〒105−8318 東京都港区芝浦1−2−3 シーバンスS館13階 電話 03−5484−8821 FAX 03−5484−8822 2月号 定価141円(本体129円+税)送料別 令和4年1月25日発行 無断転載を禁ずる ・本誌に掲載した論文等で意見にわたる部分は、それぞれ筆者の個人的見解であることをお断りします。本誌では「障害」という表記を基本としていますが、執筆者・取材先の方針などから、ほかの表記とすることがあります。 編集委員 (五十音順) 埼玉県立大学 教授 朝日雅也 株式会社FVP代表取締役 大塚由紀子 NPO法人大阪精神障害者就労支援ネットワーク 副理事・統括施設長 金塚たかし 岡山障害者文化芸術協会 代表理事 阪本文雄 武庫川女子大学 准教授 諏訪田克彦 あきる野市障がい者就労・生活支援センターあすく センター長 原 智彦 ホンダ太陽株式会社 社友 樋口克己 サントリービジネスシステム株式会社 課長 平岡典子 東京通信大学 教授 松爲信雄 有限会社まるみ 取締役社長 三鴨岐子 筑波大学 准教授 八重田淳 【P33】 (独)高齢・障害・求職者雇用支援機構 各都道府県支部高齢・障害者業務課 所在地等一覧  独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構では、各都道府県支部高齢・障害者業務課等において高齢者・障害者の雇用支援のための業務(相談・援助、給付金・助成金の支給、障害者雇用納付金制度に基づく申告・申請の受付、啓発等)を実施しています。 2022年1月25日現在 名称 所在地 電話番号(代表) 北海道支部高齢・障害者業務課 〒063-0804 札幌市西区二十四軒4 条1-4-1 北海道職業能力開発促進センター内 011-622-3351 青森支部高齢・障害者業務課 〒030-0822 青森市中央3-20-2 青森職業能力開発促進センター内 017-721-2125 岩手支部高齢・障害者業務課 〒020-0024 盛岡市菜園1-12-18 盛岡菜園センタービル3 階 019-654-2081 宮城支部高齢・障害者業務課 〒985-8550 多賀城市明月2-2-1 宮城職業能力開発促進センター内 022-361-6288 秋田支部高齢・障害者業務課 〒010-0101 潟上市天王字上北野4-143 秋田職業能力開発促進センター内 018-872-1801 山形支部高齢・障害者業務課 〒990-2161 山形市漆山1954 山形職業能力開発促進センター内 023-674-9567 福島支部高齢・障害者業務課 〒960-8054 福島市三河北町7-14 福島職業能力開発促進センター内 024-526-1510 茨城支部高齢・障害者業務課 〒310-0803 水戸市城南1-4-7 第5プリンスビル5階 029-300-1215 栃木支部高齢・障害者業務課 〒320-0072 宇都宮市若草1-4-23 栃木職業能力開発促進センター内 028-650-6226 群馬支部高齢・障害者業務課 〒379-2154 前橋市天川大島町130-1 ハローワーク前橋3階 027-287-1511 埼玉支部高齢・障害者業務課 〒336-0931 さいたま市緑区原山2-18-8 埼玉職業能力開発促進センター内 048-813-1112 千葉支部高齢・障害者業務課 〒261-0001 千葉市美浜区幸町1-1-3 ハローワーク千葉5階 043-204-2901 東京支部高齢・障害者業務課 〒130-0022 墨田区江東橋2-19-12 ハローワーク墨田5階 03-5638-2794 東京支部高齢・障害者窓口サービス課 〒130-0022 墨田区江東橋2-19-12 ハローワーク墨田5階 03-5638-2284 神奈川支部高齢・障害者業務課 〒241-0824 横浜市旭区南希望が丘78 関東職業能力開発促進センター内 045-360-6010 新潟支部高齢・障害者業務課 〒951-8061 新潟市中央区西堀通6-866 NEXT21 ビル12階 025-226-6011 富山支部高齢・障害者業務課 〒933-0982 高岡市八ケ55 富山職業能力開発促進センター内 0766-26-1881 石川支部高齢・障害者業務課 〒920-0352 金沢市観音堂町へ1 石川職業能力開発促進センター内 076-267-6001 福井支部高齢・障害者業務課 〒915-0853 越前市行松町25-10 福井職業能力開発促進センター内 0778-23-1021 山梨支部高齢・障害者業務課 〒400-0854 甲府市中小河原町403-1 山梨職業能力開発促進センター内 055-242-3723 長野支部高齢・障害者業務課 〒381-0043 長野市吉田4-25-12 長野職業能力開発促進センター内 026-258-6001 岐阜支部高齢・障害者業務課 〒500-8842 岐阜市金町5-25 G-front U 7階 058-265-5823 静岡支部高齢・障害者業務課 〒422-8033 静岡市駿河区登呂3-1-35 静岡職業能力開発促進センター内 054-280-3622 愛知支部高齢・障害者業務課 〒460-0003 名古屋市中区錦1-10-1 MI テラス名古屋伏見4階 052-218-3385 三重支部高齢・障害者業務課 〒514-0002 津市島崎町327-1 ハローワーク津2階 059-213-9255 滋賀支部高齢・障害者業務課 〒520-0856 大津市光が丘町3-13 滋賀職業能力開発促進センター内 077-537-1214 京都支部高齢・障害者業務課 〒617-0843 長岡京市友岡1-2-1 京都職業能力開発促進センター内 075-951-7481 大阪支部高齢・障害者業務課 〒566-0022 摂津市三島1-2-1 関西職業能力開発促進センター内 06-7664-0782 大阪支部高齢・障害者窓口サービス課 〒566-0022 摂津市三島1-2-1 関西職業能力開発促進センター内 06-7664-0722 兵庫支部高齢・障害者業務課 〒661-0045 尼崎市武庫豊町3-1-50 兵庫職業能力開発促進センター内 06-6431-8201 奈良支部高齢・障害者業務課 〒634-0033 橿原市城殿町433 奈良職業能力開発促進センター内 0744-22-5232 和歌山支部高齢・障害者業務課 〒640-8483 和歌山市園部1276 和歌山職業能力開発促進センター内 073-462-6900 鳥取支部高齢・障害者業務課 〒689-1112 鳥取市若葉台南7-1-11 鳥取職業能力開発促進センター内 0857-52-8803 島根支部高齢・障害者業務課 〒690-0001 松江市東朝日町267 島根職業能力開発促進センター内 0852-60-1677 岡山支部高齢・障害者業務課 〒700-0951 岡山市北区田中580 岡山職業能力開発促進センター内 086-241-0166 広島支部高齢・障害者業務課 〒730-0825 広島市中区光南5-2-65 広島職業能力開発促進センター内 082-545-7150 山口支部高齢・障害者業務課 〒753-0861 山口市矢原1284-1 山口職業能力開発促進センター内 083-995-2050 徳島支部高齢・障害者業務課 〒770-0823 徳島市出来島本町1-5 ハローワーク徳島5階 088-611-2388 香川支部高齢・障害者業務課 〒761-8063 高松市花ノ宮町2-4-3  香川職業能力開発促進センター内 087-814-3791 愛媛支部高齢・障害者業務課 〒791-8044 松山市西垣生町2184 愛媛職業能力開発促進センター内 089-905-6780 高知支部高齢・障害者業務課 〒781-8010 高知市桟橋通4-15-68 高知職業能力開発促進センター内 088-837-1160 福岡支部高齢・障害者業務課 〒810-0042 福岡市中央区赤坂1-10-17 しんくみ赤坂ビル6階 092-718-1310 佐賀支部高齢・障害者業務課 〒849-0911 佐賀市兵庫町若宮1042-2 佐賀職業能力開発促進センター内 0952-37-9117 長崎支部高齢・障害者業務課 〒854-0062 諫早市小船越町1113 長崎職業能力開発促進センター内 0957-35-4721 熊本支部高齢・障害者業務課 〒861-1102 合志市須屋2505-3 熊本職業能力開発促進センター内 096-249-1888 大分支部高齢・障害者業務課 〒870-0131 大分市皆春1483-1 大分職業能力開発促進センター内 097-522-7255 宮崎支部高齢・障害者業務課 〒880-0916 宮崎市大字恒久4241 宮崎職業能力開発促進センター内 0985-51-1556 鹿児島支部高齢・障害者業務課 〒890-0068 鹿児島市東郡元町14-3 鹿児島職業能力開発促進センター内 099-813-0132 沖縄支部高齢・障害者業務課 〒900-0006 那覇市おもろまち1-3-25 沖縄職業総合庁舎4 階 098-941-3301 【裏表紙】 高障求 メールマガジン無料配信中 新規登録募集中! 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構では、当機構が全国で実施する高齢者や障害者の雇用支援、従業員の人材育成(職業能力開発)などの情報を毎月月末に、みなさまに配信しています。 主な特徴 ・読みごたえのある充実した内容 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