【表紙】 令和4年2月25日発行・毎月1回25日発行・通巻第533号 ISSN 0386-0159 障害者と雇用 2022/3 No.533 特集 第41回 全国アビリンピック この人を訪ねて 在宅勤務とキャリア支援で、選べる働き方を ジョブサポートパワー株式会社 前代表取締役、エグゼクティブ・アドバイザー 小川慶幸さん 公開座談会 コロナ禍を乗り越えて 〜新しい働き方を問う〜 「ペットショップの店員になりたいな」鹿児島県・吉野(よしの)優美(ゆうみ)さん 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 誰もが職業をとおして社会参加できる「共生社会」を目指しています 3月号 【巻頭・巻末】 第41回 全国アビリンピック 2021年12月17日(金)〜20日(月) 写真:官野貴・岩尾克治 会場は東京都江東区にある東京ビッグサイト(東京国際展示場) 東京スカイツリーや花火がデザインされた(左から)銀金銅メダル アビリンピックマスコットキャラクターの「アビリス」 会場では、マスク着用など感染防止の対応が呼びかけられた 競技は、手指の消毒などを行ったうえで実施 開会式は、全国アビリンピックと技能五輪全国大会の合同で行われ、ライブ配信された 当機構の湯浅善樹理事長による挨拶 選手宣誓を行ったアビリンピックに出場する木村(きむら)優基(ゆうき)さん(左)と技能五輪に出場する阿久澤(あくさわ)まなさん(右) 大会旗の入場 「電子機器組立」 「製品パッキング」 「ネイル施術」 「喫茶サービス」 「DTP」 「家具」 「パソコン操作」 「縫製」 「ビルクリーニング」 「ワード・プロセッサ」 「ホームページ」 「フラワーアレンジメント」 「機械CAD」 「パソコンデータ入力」 「木工」 「表計算」 「義肢」 「コンピュータプログラミング」 「洋裁」 「写真撮影」 「オフィスアシスタント」 「建築CAD」 「データベース」 「歯科技工」 「パソコン組立」 【もくじ】 障害者と雇用 働く広場 目次 2022年3月号 NO.533 「働く広場」は、障害者雇用の啓発・広報を目的として、ルポルタージュやグラビアなど写真を多く用いて、障害者雇用の現場とその魅力をわかりやすくお伝えします。 特集 第41回 全国アビリンピック 障害のある人たちが日ごろ培った技能を互いに競い合うことにより、その職業能力の向上を図るとともに、企業や一般の人々に障害のある人に対する理解と認識を深めてもらい、雇用の促進を図ることを目的とした「第41回全国アビリンピック」が、2021年12月17日(金)〜20日(月)に、東京都で開催されました。その様子をお届けします。 グラビア 巻頭・巻末 写真:官野貴・岩尾克治 アビリンピックルポ 4 文:豊浦美紀/写真:官野貴・岩尾克治 入賞者一覧 12 この人を訪ねて 14 在宅勤務とキャリア支援で、選べる働き方を ジョブサポートパワー株式会社 前代表取締役、エグゼクティブ・アドバイザー 小川慶幸さん クローズアップ 16 ジョブコーチ支援 〜ナチュラルサポートをめざして〜 最終回 エッセイ 18 発達障害当事者の働きづらさのリアル 第3回〜オープンとクローズ、どちらで働く?〜 姫野桂 JEEDインフォメーション 19 令和4年度障害者雇用職場改善好事例募集/職業センターの技法開発をご紹介します/「読者アンケート」結果発表!! 公開座談会 22 令和3年度「働く広場」公開座談会 コロナ禍を乗り越えて 〜新しい働き方を問う〜 『働く広場』記事索引 28 掲示板・次号予告 30 訪問型・企業在籍型職場適応援助者支援スキル向上研修 ※「心のアート」、「編集委員が行く」、「省庁だより」、「研究開発レポート」、「ニュースファイル」、「編集委員のひとこと」は休載します 表紙絵の説明 「犬や猫が好きなので、ペットショップの店員になりたいと思い描きました。たくさんの犬や猫のお世話をしたかったので、できるだけ多くの犬や猫を描きました。一筆ずつ色をつけていくのに苦労しましたが、初めて賞をもらえてうれしかったです」 (令和3年度 障害者雇用支援月間絵画コンテスト 小学校の部 高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長賞) ◎本誌掲載記事はホームページでもご覧いただけます。(https://www.jeed.go.jp/) 【P4-11】 特集 第41回 全国アビリンピック 12月17・18・19・20日  「第41回全国障害者技能競技大会(全国アビリンピック)」が2021(令和3)年12月17日(金)〜20日(月)、東京都江東区の東京ビッグサイトで開催された。47都道府県から集まった選手370人が全25種目の技能競技に出場、2職種の技能デモンストレーションも披露された。前回に引き続き、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、入場は選手および関係者のみとされ、開閉会式や各競技の様子がライブ配信された。 文:豊浦美紀/写真:官野貴・岩尾克治 12月17日(金) 開会式  開会式は、前回と同じく今回も第59回技能五輪全国大会と合同開催。今大会スローガンの「東京に 光るその技 開く夢」に合わせたオープニング映像に続き、東京都立南多摩中等教育学校の太鼓部員32人が迫力ある生演奏を行った。  小池百合子東京都知事の開会挨拶(ビデオメッセージ)に続き、大会旗の入場で旗手を務めたのは、アビリンピックの「オフィスアシスタント」種目に出場する原田(はらだ)悠介(ゆうすけ)さん(東京都)と、技能五輪の「とび」種目に出場する小山(こやま)空我(くうが)さん(東京都)。その後の国歌独唱は、東京パラリンピック開会式と同様、武蔵野音楽大学在学中の佐藤ひらりさんが務めた。  後藤(ごとう)茂之(しげゆき)厚生労働大臣のビデオメッセージの後は、アビリンピック大会会長である当機構の湯浅(ゆあさ)善樹(よしき)理事長が挨拶。このなかで、新しく誕生したアビリンピックのマスコットキャラクター「アビリス」が紹介された。名前のアビリスは、アビリンピックとの語感と、幸せを運んでくれるという花言葉を持つラン科植物「マキシラリア・バリアビリス」にちなんで命名されたという。公募のなかから、国立職業リハビリテーションセンターを修了後、都内の企業で活躍する川口(かわぐち)博司(ひろし)さんのデザインが採用された。  さらに、岸田(きしだ)文雄(ふみお)首相からのメッセージを小林(こばやし)洋司(ようじ)人材開発統括官が代読。選手宣誓は、アビリンピックの「ビルクリーニング」種目に出場する木村(きむら)優基(ゆうき)さん(東京都)と、技能五輪の「貴金属装身具」種目に出場する阿久澤(あくさわ)まなさん(東京都)が「われわれ選手一同は、職場や学校の導者、仲間、そして家族への感謝を胸に、全国大会という晴れの舞台で、日々培った技能を最大限発揮し、職業や地域、障害の有無にかかわらず、お互いに競い合うことを誓います」と声をそろえて表明した。2人に対し、東京都立永福学園と東京都立水元(みずもと)小合(こあい)学園の生徒2人が、選手たちへの応援メッセージとともに花束を渡した。 競技紹介選手・関係者の声 12月18日(土) ●製品パッキング/喫茶サービス/ワード・プロセッサ  「製品パッキング」(90分)は、商品を梱包するための箱や緩衝材の組立てと、それぞれの組込み作業を行う。梱包作業では2種類の緩衝材の組立て・結束、段ボール製の小箱・中箱・化粧箱の組み立て後に、それを大きな外箱に組み込んだものを4箱つくる。全国大会3回目の波多野(はたの)将平(しょうへい)さん(岐阜県)は、就労継続支援B型事業所で農業にかかわっている。同行していた母親は「自宅で練習してきましたが、今日の競技で初めて制限時間内に終えられました」と驚いていた。波多野さんは「時間内にでき、楽しかったです」と笑顔で話した。佐保(さほ)敬太(けいた)さん(大分県)は、大手機器メーカーの特例子会社に勤務し、50種以上の業務をこなし活躍している。職場の上司は「多くの社員がアビリンピックで多様な種目に挑戦することで、仕事でのスキルアップや職域拡大につながっています」と効果を説明する。佐保さんは競技後、「これからも全力で仕事に取り組みたいです」と意欲を見せていた。  「喫茶サービス」(約60分)は、会場内の模擬喫茶店で、チームごとに接客サービスを提供する。全国大会初出場の斉藤(さいとう)麻衣(まい)さん(岩手県)は、勤務先のカフェの帽子とエプロンを身につけて臨んだ。カフェを運営する障害福祉サービス事業所の関係者は「普段の業務と違う部分が多い」と心配しつつ、「全国レベルの高さを知るよい機会になりました」と話す。斉藤さんは競技後、「緊張もありスムーズに言葉が出てこなかったのが反省点。今後はほかの競技にも挑戦したい」と語っていた。高等支援学校3年生の原(はら)珠莉(しゅり)さん(山梨県)は、今回唯一の県代表。県大会で複数の種目が開催されたが、コロナ禍の影響もあり全国大会辞退者が相次いだからだ。母親によると、原さんは今回のアビリンピック出場を機に、念願のベーカリー店への就職を決めたそうだ。  「ワード・プロセッサ」(計1時間80分)は、和文文書の作成(80分)と英文文書の作成(60分)で腕を競う。速くて正確なタイピングスキルのほか、ワードの各種機能を使いこなす技術が試される。岩切(いわきり)洸樹(こうき)さん(宮崎県)は、IT系の特例子会社でWEB広告の審査などを担当。職場の上司は「パソコンスキルは十分にあり、前向きな性格なので、競技も楽しんでいるはず」と見守っていた。大手部品メーカーに勤めて1年目の中野(なかの)裕磨(ゆうま)さん(徳島県)は、初のアビリンピック挑戦。「この競技への参加を機に、職場でも自分のスキルを向上させていきたい」と抱負を語っていた。 ●表計算/ホームページ/コンピュータプログラミング/写真撮影  「表計算」(75分)は、エクセル2016を使用し、3大機能「表計算」、「簡易データベース」、「グラフ作成」の総合的なスキルを競う。渡邊(わたなべ)俊介(しゅんすけ)さん(佐賀県)は、前回大会では就労支援事業所からワード・プロセッサ種目に出場し、その後に地元企業に就職。システム系の部署で端末機器の管理業務などを担当している。競技後、「アビリンピックは、自分のスキルを高められるので、これからも挑戦していきたいです」と語ってくれた。  「ホームページ」(3時間)の今回の競技課題は、選手の「所属先(都道府県)の特産品・名産品を紹介するホームページ作成」。事前課題として各選手が作成してきたホームページをもとに、当日課題として提示される新たな仕様に沿って完成させる。前回大会はワード・プロセッサ種目に出場していた米田(まいた)勝利(かつとし)さん(宮城県)は、システム関連会社に勤務している。競技後、「最初に人の目に触れる部分として、ホームページのデザインは大事だとあらためて感じました」と話していた。  「コンピュータプログラミング」(6時間)は、小型アームロボットを使って、指定された場所で指定された手先の動きを実現するプログラムを作成するなかで、システムエンジニアとしての総合的な技量が求められる。今回は2人が挑戦。田中(たなか)卓也(たくや)さん(神奈川県)は、これまで銅賞・銀賞を受賞しているが、今回は競技中に悩む姿も。「これまでとは作業工程の前提が変わっていて、つまずきました。次回も挑戦します」と気持ちを新たにしていた。中山(なかやま)太郎たろう)さん(熊本県)は、これまで国際アビリンピックの同種目に出場するなど経験豊富だ。競技後は「誤差の補正に試行錯誤しましたが、なんとか形になりました」と語り、銀賞を受賞した。  「写真撮影」(4時間)の今回の競技課題は、東京ビッグサイトで開催されるアビリンピック2021をパンフレットなどで紹介することを想定し、大会の模様や会場風景を魅力的に撮影すること。竹田(たけだ)茂宏(しげひろ)さん(山形県)と向(むこう)伸(しん)さん(山形県)の2人は、同じ就労継続支援B型事業所に通い、データ管理やホームページ作成などを手がける。竹田さんは、前日の記憶が残りにくく苦労も多かったが、徐々に物事を覚えられるようになっているそうだ。向さんはプログラマーだが、デザインにも興味があり挑戦。同行していた事業所の指導員も全国アビリンピックの経験者で、「アビリンピックを経て就職した人もいますし、一人でも多く全国大会に出場させたいです」と話していた。向さんは銀賞を受賞した。 ●パソコン操作/機械CAD/電子機器組立  視覚障害のある選手が参加する「パソコン操作」(90分)は、パソコン画面情報読み上げソフトや画面表示拡大ソフトなどの支援機器を活用しながらパソコン操作技能を競う。中島(なかしま)弥生(やよい)さん(京都府)は、9年ぶりの全国大会。30年以上勤めた会社の定年退職を前に「最後に何か残したい」と、アビリンピックに挑戦したそうだ。「以前と比べ問題がバラエティに富んでいて苦労しましたが、よい経験でした」とふり返る。今後もフリーで仕事を続けながら、社会活動として高齢者向けのパソコン指導などを行っていくそうだ。  「機械CAD」(3時間10分)の今回の競技課題は、三次元CADツールを使ってバイス(万力)の部品図・組立図・立方分解図を作成するという内容。設計の際に意図された事項の寸法記入法、幾何公差、表面性状などを規格に沿って記入できること、課題の機能を理解しモデリングができることなどが求められる。今回は2人が挑戦した。  「電子機器組立」(4時間)の競技課題は、「省エネコントローラーの組立」。ポイントとなる「はんだ付け」は、いまも電子機器の試作・改良といった開発作業を中心に必要とされる大事な技術だ。全国大会出場3回目という大手メーカー勤務の松山(まつやま)雄樹(ゆうき)さん(岡山県)は、はんだ付けをきれいにする努力をしてきたそうだが、競技後は「時間ギリギリだったので、配分を考えたい」との感想。結果は初の銅賞入賞だった。国立職業リハビリテーションセンターで訓練中の並木(なみき)耕作(こうさく)さん(埼玉県)は、書面で「障害があっても、パソコン技術などすばらしい能力を持つ人がたくさんいます。みんなが能力を発揮できる場所が増えたらいいと思います」と伝えてくれた。 ●歯科技工/木工/縫製  「歯科技工」(5時間)の今回の競技課題は、かぶせものなどの原型と部分入れ歯の原型を製作するというもの。自然感を持たせながら機能を発揮できるよう小道具と指先によって細かい造作をほどこす作業は、多くの専門知識と技量が求められる。歯科技工所に勤める吉田(よしだ)勇己(ゆうき)さん(東京都)は、歯科技工士の資格取得後すぐにアビリンピックに挑戦し始め、4回目の全国大会。「年々ステップアップしてきました。今日は日ごろの業務の力量を試されたと思います」と伝えてくれた吉田さんは、銀賞入賞を果たした。  知的障害のある選手が参加する「木工」(5時間)は、「蓋(ふた)付(つ)き木箱」の製作。のこぎり・のみ・かんななどの手工具を使って、家具製作の基本作業を正確に進めることがポイントだ。特別支援学校に通う田島(たじま)立貴(りつき)さん(栃木県)は2回目の全国大会。競技後、「前回は、ふた部分と本体がうまくかみ合わなかったのが、今回はできました。ただ、すき間ができた部分もあったのが反省点」とふり返る。同行した先生は「成果を出せたなかでも、自分で課題を見つける向上心は立派です」と、成長ぶりに目を細めていた。  「縫製」(4時間)の競技課題は、エプロンの製作。アイロンやミシンを駆使し、あらかじめ裁断された9つのパーツから完成させていく。各工程での適切な技術・判断力が必要だ。西岡(にしおか)愛織(あいり)さん(滋賀県)は、全国大会初出場。入社3年目になる大手メーカーの特例子会社で事務を担当しているが、縫製の腕を認められ、ときおり制服の裾上げ業務なども任されているそうだ。競技後、「ダーツやポケットのまち部分などがむずかしかったですが、やり遂げました。今後の仕事にも活かしていきたいです」と話してくれた。 ●技能デモンストレーション「OA機器等メンテナンス」  1日目の技能デモンストレーションは「OA機器等メンテナンス」。オフィス情報化支援事業を手がける企業の特例子会社「リベラル株式会社」(東京都)の10人が、業務の一部を実演した。「リファイニング作業」では4人1組で中古コピー機1台を細かい部分まで清掃、「リペア作業」ではコピー機内部のパーツを分解して故障原因を探しながら部品交換する。担当者は「重度の人も含め、全員が知的障害のあるメンバーです。いまでは機器の最終確認まで自分たちでやっています。彼らの無限の可能性を広く知ってほしいですね」と話していた。 12月19日(日) ●技能デモンストレーション「クラフトテープかごバッグ製作」  2日目の技能デモンストレーションは、「クラフトテープかごバッグ製作」。長野県内の多機能型事業所「やまゆり共同作業所」に通う3人が、かごづくりの腕を披露してくれた。取り組んだのは、取っ手つきの小物入れと、A4サイズが入る大きさの中かごの2つ。きれいな形に仕上げるための技術が必要で、色の組み合わせ方などにセンスが問われる。同行していた選手の父親によると、事業所では、かご製作のほか、委託業務として加工工場で果物を切る作業なども行っているそうだ。「親の私は、包丁も怖くて持たせられませんでしたが、作業所の方がどんどん挑戦させてくれて成長しました。かご製作も、むずかしくて無理だと思っていましたが、こんなにできるようになって驚いています」と笑顔で話していた。 ●オフィスアシスタント/ビルクリーニング/パソコン組立  「オフィスアシスタント」(30分)の競技課題は、書類などの準備・封入と社内便の仕分け。春山(はるやま)理砂(りさ)さん(島根県)は、就労継続支援B型事業所に通っていたころに製品パッキング種目で全国大会に出場し、翌年、食品加工会社に就職したそうだ。事業所の関係者は「アビリンピックの経験が大きな自信になり、驚くほど積極的になりました」と語る。競技後、春山さんにうまくできたかとたずねると、大きくうなずいていた。関係者は「コロナが落ち着いたら、多くの企業の方たちにも、アビリンピックで多様な技能を発揮する選手たちを直接見てもらいたいですね」と語っていた。  「ビルクリーニング」(10分)の競技課題は、16u(4m×4m)の模擬事務所において、挨拶からゴミ箱の処理、床面の掃き・拭き、机上拭きなどクリーニング業務の基本作業を行う。升本(ますもと)光(ひかる)さん(鳥取県)は、ビルクリーニング会社に勤務。アビリンピックには特別支援学校時代から挑戦し、初の全国大会だ。出場が決まってから週3回、勤務後に本社で指導を受けたそうだ。競技を見守った母親は「落ち着いて取り組んでいました。この成長ぶりに、とてもよい経験をさせてもらったと感じます」と語り、升本さんも「いつも通りにできました。練習の結果です」と充実した表情だった。  「パソコン組立」(4時間)の競技内容は、組立て済みのデスクトップ型パソコンのパーツを分解し、メンテナンス作業をしてから再び組み立て、OS(ウィンドウズ10)のインストールや設定を行う。2回目の全国大会となった島田(しまだ)静香(しずか)さん(北海道)は、パソコン教室での講師やデータ入力の仕事などをしている。競技前に「前回はウィンドウズ10の新しい仕様に慣れていなくて、ケアレスミスも多かったのが反省点。今回は、インターネットで技術的な情報を集めて練習してきました」と、意気込みを話してくれた。 ●パソコンデータ入力/DTP/データベース  知的障害のある人が対象の「パソコンデータ入力」(計90分)は、アンケートの入力、ワープロ文書の修正、帳票の作成の3課題を、各30分以内に行う。森田(もりた)博一郎(ひろいちろう)さん(愛媛県)は、これまで別種目も含め何回も全国大会に出場。いまは薬局関連の会社で棚卸業務などに従事しており、プライベートも充実させている。今大会の前週に開催された愛媛駅伝(第二部)にも出場し、区間賞を記録したそうだ。競技後「パソコンが好きなので、これを仕事にできるよう努力を続けたいです」と話してくれた。  「DTP」(3時間)の今回の競技課題は、選手が所属する各都道府県の「知られざる観光スポット」の紹介リーフレット制作。選手が事前に用意した写真データやイラストを使い、自由に企画・デザインする内容だ。生藤(いけふじ)貴博(たかひろ)さん(高知県)は、就労移行支援事業所に通いながら、イラストレーターだった経験も活かしてアビリンピックに初挑戦。競技後「もう少し文字を読みやすくしたかったのですが時間不足でした。同時開催していた技能五輪のWEBデザイン関連種目も見学し、もっと勉強したいですね」と話していた。結果は見事、金賞を受賞した。  「データベース」(3時間)の今回の競技課題は、架空の大学「アビリンピック大学」における入学試験システムの作成。システムのデータ構造を理解し、その流れに基づいて仕組みをつくることが重要なポイントだ。古賀(こが)直樹(なおき)さん(福岡県)は、大手アパレルメーカーの特例子会社に勤めて7年。会社の上司によると、もともと経営事務が担当だが、システムエンジニアの腕を買われ、社内の新しい開発チームにも参加している。競技後、古賀さんは「むずかしくて時間が足りませんでした」といいつつ、競技スタッフに声をかけて疑問点について熱心に聞いていた。 ●建築CAD/家具/洋裁  「建築CAD」(3時間30分)の今回の競技課題は、小規模な3階建てホテルの建築基本設計図を完成させるというもの。黒ア(くろさき)友和(ゆか)さん(栃木県)は、就労継続支援A型事業所に通う。事業所が建築CADを使う委託業務を行っていることから、デザイン系の仕事経験を活かし、新たに学んでいるそうだ。競技後も競技スタッフからアドバイスを受けていた黒アさん。「自分のCAD技術がどれほどなのか知りたくてアビリンピックに参加しました。今日の経験は大きな励みになります」とうれしそうに語っていた。  「家具」(5時間30分)の競技課題は、花台の製作。板同士や角材同士の接合部分の加工が正確にできるかが作品の良否に影響するほか、かんなの仕上げ削りにかかわる刃の研ぎや、台の調整にも高い能力が求められる。愛知県代表の加藤(かとう)豪(たけし)さん、城間(しろま)羽夏(はな)さん、坪井(つぼい)雅也(まさや)さんの3人は、愛知県立名古屋聾学校からの出場。同行した先生によると、最終学年の2人は、製造とデザイン系の会社への就職が決まっており、「ものづくりで培った仕事の段取りや取組みは、仕事でも活かせるはず」とのこと。競技後、「木の長さを決めて線を引く練習を重ねてきたので、うまくいきました」と答えた加藤さんは銅賞に、「ハプニングがあったけど完成できました。経験をみんなにも伝えたい」と話した城間さんは努力賞、「苦手な接合部分が大きく響いたが、反省を活かしてレベルを上げ続けたい」と語った坪井さんは銅賞に、それぞれ入賞した。  「洋裁」(6時間)の今回の競技課題は、薄手ウールを使ったオーダー仕立てのオーバーブラウス製作だ。ロックミシンなども使いながら、美しい仕上がりを競う。久田(くだ)大介(だいすけ)さん(広島県)は、2回目の全国大会。ワークウェアなどを手がける会社で製作にかかわっている。同行した工場長によると、職場で婦人服の製作はないが、会社として積極的にアビリンピックに選手を送り出しているそうだ。競技後、久田さんは「今回は大きなミスもなく完成できました。これからも仕事でがんばります」と語っていた。 ●フラワーアレンジメント/ネイル施術/義肢  「フラワーアレンジメント」(計2時間50分)の競技課題は、花束の製作(60分)・花嫁が持つブーケの製作(60分)・食卓テーブル装飾(50分)の3つ。形や大きさ、長さなどに条件があり、用意された花材を選びながら、実用性や完成度の高い作品を目ざす。藤澤(ふじさわ)一代(かずよ)さん(香川県)は、5回目の全国大会で前回は銀賞入賞。障害者福祉施設で働きながら、フラワーアレンジメントの教室に通っている。競技後「職場でも同僚が結婚したり異動したりするときに、花束を手づくりして渡しています。今後も楽しくお花にかかわりたいです」と語ってくれた。結果は銀賞入賞だった。  「ネイル施術」(計1時間55分)の競技課題は、健康で美しい爪を保つためのネイルケアおよびカラーリングの基本であるベーシックマニキュア(45分)と、テーマにあったデザインを表現するネイルチップアート(70分)の2つ。荒山(あらやま)美夢(みむ)さん(千葉県)は、これまで全国大会で銅賞、銀賞と受賞しての3回目の挑戦。特例子会社で事務系の仕事をしながら、通信教育などを活用しネイル施術の勉強を続けてきたそうだ。競技後、「今年は、細い線と立体感の表現に気をつけました。ネイリストとして働くことが夢です」と語り、念願の金賞を受賞した。  「義肢」(4時間15分)の競技課題は、繊維強化プラスチック製の「下腿義足ソケット」の製作。注型法という加工で、使用に耐えうる強度や外観の美しさを持った実用品を目ざす。大北(おおきた)康平(こうへい)さん(愛知県)は、初めての全国大会だったが、結果は、出場選手中最上位となる銀賞入賞だった。大会後に、書面アンケートをお願いしたところ、「今大会で自分の苦手とする部分や課題がわかり、とてもよい経験となりました。また、多くの方がライブ配信を観て、激励やお祝いの言葉をもらいました。私が製作する姿に感動してくださった方もいて、同じ境遇の方や健常者の方たちに勇気や希望が届けられたと思うと、出場してよかったと感じています」などと感想を伝えてくれた。 12月20日(月) 閉会式  開会式と同様、閉会式も技能五輪と合同開催され、成績発表とともにWEB配信された。このなかで、次回の全国アビリンピックが千葉県で開催されることが伝えられた。 写真のキャプション 会場となった「東京ビッグサイト」 岸田文雄首相からのメッセージを代読した厚生労働省の小林洋司人材開発統括官 会場入り口では、手指の消毒や検温が実施された 大会旗の旗手を務めた原田悠介さん(東京都) 「喫茶サービス」斉藤麻衣さん(岩手県) 「製品パッキング」佐保敬太さん(大分県) 「製品パッキング」波多野将平さん(岐阜県) 「ワード・プロセッサ」岩切洸樹さん(宮崎県) 「喫茶サービス」原珠莉さん(山梨県) 「ホームページ」米田勝利さん(宮城県) 「表計算」渡邉俊介さん(佐賀県) 「ワード・プロセッサ」中野裕磨さん(徳島県) 「写真撮影」竹田茂宏さん(山形県) 「コンピュータプログラミング」銀賞、中山太郎さん(熊本県) 「コンピュータプログラミング」田中卓也さん(神奈川県) 「機械CAD」加藤あすみさん(静岡県) 「パソコン操作」中島弥生さん(京都府) 「写真撮影」銀賞、向伸さん(山形県) 「電子機器組立」並木耕作さん(埼玉県) 「電子機器組立」銅賞、松山雄樹さん(岡山県) 「縫製」西岡愛織さん(滋賀県) 「木工」田島立貴さん(栃木県) 「歯科技工」銀賞、吉田勇己さん(東京都) 技能デモンストレーション職種「クラフトテープかごバッグ製作」 技能デモンストレーション職種「OA機器等メンテナンス」 「パソコン組立」島田静香さん(北海道) 「ビルクリーニング」升本光さん(鳥取県) 「オフィスアシスタント」春山理砂さん(島根県) 「パソコンデータ入力」森田博一郎さん(愛媛県) 「建築CAD」黒ア友和さん(栃木県) 「データベース」古賀直樹さん(福岡県) 「DTP」金賞、生藤貴博さん(高知県) 「家具」銅賞、加藤豪さん(愛知県) 「家具」努力賞、城間羽夏さん(愛知県) 「家具」銅賞、坪井雅也さん(愛知県) 「フラワーアレンジメント」銀賞、藤澤一代さん(香川県) 「洋裁」久田大介さん(広島県) 「義肢」銀賞、大北康平さん(愛知県) 「ネイル施術」金賞、荒山美夢さん(千葉県) 【P12-13】 第41回 全国アビリンピック 入賞者発表!  東京ビッグサイト(東京都江東区)において、2021(令和3)年12月17日(金)から20日(月)までの4日間にわたり開催した「第41回全国障害者技能競技大会(アビリンピック東京大会)」。全25種目の技能競技に47都道府県から370人の選手が集い、日ごろ培った技能を競い合いました。  今大会は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、選手および関係者のみの参加による開催となりましたが、開会式、競技風景や成績発表については、WEBでライブ配信されました。  また、今大会での入賞者は以下の通り決定され、金賞20人、銀賞31人、銅賞39人、努力賞13人の方々が受賞されました。 金賞 洋裁 藤澤(ふじさわ)勇慈(ゆうじん) 東京都 公益社団法人全日本洋裁技能協会 家具 新倉(しんくら)政亮(まさあき) 鹿児島県 鹿児島県立鹿児島聾学校 DTP 生藤(いけふじ)貴博(たかひろ) 高知県 就労移行支援事業所 えだは 電子機器組立 吉田(よしだ)圭佑(けいすけ) 愛知県 株式会社デンソー 西尾製作所 歯科技工 中澤(なかざわ)昇一(しょういち) 東京都 和田精密歯研株式会社東京ラボ ワード・プロセッサ 大川(おおかわ)公佳(きみか) 大阪府 国立大学法人大阪大学 データベース 小野田(おのだ)勝之(かつゆき) 愛知県 トヨタループス株式会社 フラワーアレンジメント 川上(かわかみ)初美(はつみ) 埼玉県 埼玉県フラワー装飾技能士会 ビルクリーニング 木村(きむら)優基(ゆうき) 東京都 東京都立港特別支援学校 製品パッキング 宍戸(ししど)彩菜(あやな) 宮城県 セコム工業株式会社 喫茶サービス 白石(しらいし)胡桃(くるみ) 茨城県 茨城県立水戸高等特別支援学校 オフィスアシスタント 井門(いど)明日香(あすか) 愛媛県 株式会社愛媛新聞社 表計算 米田(よねだ)涼子(りょうこ) 福岡県 進和興産株式会社 ネイル施術 荒山(あらやま)美夢(みむ) 千葉県 エイジスコーポレートサービス株式会社 写真撮影 荒平(あらひら)楓(かえで) 鹿児島県 鹿児島県立出水養護学校 パソコン組立 原田(はらだ)大(だい) 熊本県 熊本県商工労働部商工雇用創生局労働雇用創生課 パソコン操作 井内(いのうち)利奈(りな) 大阪府 豊中市役所 パソコンデータ入力 渡部(わたなべ)雄太(ゆうた) 東京都 NSW ウィズ株式会社 縫製 炭田(すみた)大介(だいすけ) 宮崎県 株式会社旭化成アビリティ 延岡営業所 木工 日高(ひだか)優翔(ゆうと) 鹿児島県 国立・県営鹿児島障害者職業能力開発校 銀賞 洋裁 松本(まつもと)弥生(やよい) 熊本県 DTP 荘司(しょうじ)直人(なおと) 山形県 社会福祉法人山形県コロニー協会 建築CAD 天野(あまの)寛隆(ひろたか) 愛知県 愛知玉野情報システム株式会社 電子機器組立 伊東(いとう)惇(あつし) 三重県 株式会社デンソー 大安製作所 義肢 大北(おおきた)康平(こうへい) 愛知県 専門学校日本聴能言語福祉学院 義肢 立川(たつかわ)由実子(ゆみこ) 熊本県 医療法人弘仁会 熊本総合医療リハビリテーション学院 歯科技工 吉田(よしだ)勇己(ゆうき) 東京都 タクミオーデント ワード・プロセッサ 山本(やまもと)巧(たくみ) 愛知県 トヨタループス株式会社 データベース 前田(まえだ)初博(はつひろ) 広島県 株式会社エネルギア・コミュニケーションズ ホームページ 三井田(みいだ)有華(ゆか) 神奈川県 富士ソフト企画株式会社 ホームページ 楢原(ならはら)弘明(ひろあき) 福岡県 パーソルネクステージ福岡 フラワーアレンジメント 兼松(かねまつ)利江(りえ) 静岡県 ステップ・ワン就労アカデミー フラワーアレンジメント 藤澤(ふじさわ)一代(かずよ) 香川県 身体障害者福祉センター コスモス園 コンピュータプログラミング 中山(なかやま)太郎(たろう) 熊本県 株式会社ソリッド・ネット ビルクリーニング 西川(にしかわ)美月(みづき) 群馬県 群馬県立伊勢崎高等特別支援学校 ビルクリーニング 中井(なかい)一貴(かずき) 京都府 京都府立丹波支援学校 製品パッキング 金山(かなやま)達志(さとし) 東京都 株式会社バンダイナムコウィル 製品パッキング 吉井(よしい)秀一(ひでかず) 福岡県 サンアクアTOTO 株式会社 喫茶サービス 高橋(たかはし)夏姫(なつき) 大分県 社会福祉法人博愛会地域総合支援センター オフィスアシスタント 鈴木(すずき)崇大(たかひろ) 愛知県 株式会社デンソーブラッサム オフィスアシスタント 中谷(なかたに)翠(みどり) 三重県 百五管理サービス株式会社 表計算 山本(やまもと)勇(いさむ) 栃木県 株式会社栃木銀行 表計算 藤田(ふじた)雄大(ゆうだい) 東京都 株式会社セールスフォース・ドットコム ネイル施術 黒沢(くろさわ)伸子(のぶこ) 東京都 株式会社ノンストレス 写真撮影 向(むこう)伸(しん) 山形県 特定非営利活動法人輝きネットワーク メディアかがやき 写真撮影 大塚(おおつか)弘也(ひろや) 鹿児島県 鹿児島県立武岡台養護学校 パソコン組立 柿木(かきのき)徹夫(てつお) 栃木県 株式会社バンダイナムコウィル みらいステーション パソコン操作 原(はら)真波(まなみ) 東京都 三井金属スタッフサービス株式会社 パソコンデータ入力 金子(かねこ)龍揮(りゅうき) 東京都 コニカミノルタウイズユー株式会社 縫製 橋(たかはし)麗良(れいら) 静岡県 静岡県立あしたか職業訓練校 木工 若子内(わかこない)塁(るい) 岩手県 岩手県立盛岡峰南高等支援学校 銅賞 洋裁 葛城(かつらぎ)啓子(けいこ) 大分県 一般社団法人服は着る薬 家具 加藤(かとう)豪(たけし) 愛知県 愛知県立名古屋聾学校 家具 坪井(つぼい)雅也(まさや) 愛知県 愛知県立名古屋聾学校 DTP 南(みなみ)大介(だいすけ) 大阪府 株式会社ニッセイ・ニュークリエーション 機械CAD 二宮(にのみや)和哉(かずや) 岡山県 株式会社旭化成アビリティ 水島営業所 電子機器組立 松山(まつやま)雄樹(ゆうき) 岡山県 パナソニック吉備株式会社 義肢 中野(なかの)龍之介(りゅうのすけ) 鹿児島県 国立・県営鹿児島障害者職業能力開発校 歯科技工 佐々木(ささき)千秋(ちあき) 北海道 和田精密歯研株式会社 札幌センター ワード・プロセッサ 阿部(あべ)顕士朗(けんしろう) 神奈川県 株式会社バンダイナムコウィル ワード・プロセッサ 森島(もりしま)章文(あきふみ) 静岡県 データベース 手島(てしま)拓身(たくみ) 東京都 株式会社日立ハイテクサポート ホームページ 立石(たていし)成人(なりひと) 東京都 大東コーポレートサービス株式会社 フラワーアレンジメント 猿子(ましこ)美那(みな) 東京都 株式会社日比谷花壇 ビルクリーニング 島田(しまだ)稜(りょう) 栃木県 栃木県立足利中央特別支援学校 ビルクリーニング 川本(かわもと)勝之(かつゆき) 東京都 第一生命チャレンジド株式会社 ビルクリーニング 富岡(とみおか)翔(しょう) 奈良県 奈良県立高等養護学校 製品パッキング 大下(おおした)一太郎(いちたろう) 東京都 株式会社バンダイナムコウィル 製品パッキング 岡本(おかもと)工(たくみ) 愛知県 トヨタループス株式会社 製品パッキング 山本(やまもと)愛斗(まなと) 鳥取県 鳥取県立琴の浦高等特別支援学校 喫茶サービス 玉垣(たまがき)よりね 大阪府 喫茶サービス 小西(こにし)美咲(みさき) 兵庫県 日本パーソネルセンター株式会社 喫茶サービス 山下(やました)優香(ゆうか) 和歌山県 公立学校共済組合和歌山宿泊所 ホテルアバローム紀の国 オフィスアシスタント 齊藤(さいとう)菜緒子(なおこ) 青森県 独立行政法人国立病院機構 弘前病院 オフィスアシスタント 大熊(おおくま)天音(あまね) 埼玉県 株式会社バンダイナムコウィル オフィスアシスタント 荒木(あらき)翔(かける) 東京都 アフラック・ハートフル・サービス株式会社 表計算 風晴(かぜはれ)岬(みさき) 青森県 株式会社みちのく銀行 表計算 佐野(さの)亮(りょう) 滋賀県 パナソニックアソシエイツ滋賀株式会社 表計算 石田(いしだ)雅則(まさのり) 長崎県 特定非営利活動法人障害者就労支援センター アビリティ ネイル施術 一木(いちき)侑子(ゆうこ) 東京都 野村不動産ライフ&スポーツ株式会社 写真撮影 都築(つづき)弘(ひろし) 愛知県 パソコン組立 三宅(みやけ)勝己(かつみ) 神奈川県 富士ソフト企画株式会社 パソコン操作 池田(いけだ)智隆(ともたか) 東京都 アイフォーコム株式会社 パソコンデータ入力 藤田(ふじた)公孝(きみたか) 埼玉県 第一生命チャレンジド株式会社 縫製 田中(たなか)彩李菜(りな) 北海道 就労継続支援事業所ポラリス 縫製 中村(なかむら)伺音(しおん) 茨城県 茨城県立水戸高等特別支援学校 縫製 前田(まえだ)章江(あきえ) 熊本県 社会福祉法人熊本菊陽学園 木工 龍見(たつみ)勇斗(ゆうと) 群馬県 群馬県立高崎高等特別支援学校 木工 堀口(ほりぐち)叶多(かなた) 富山県 富山県立富山高等支援学校 木工 松内(まつうち)宏幸(ひろゆき) 熊本県 社会福祉法人アバンセ 多機能型事業所カサ・チコ 努力賞 洋裁 那須(なす)明美(あけみ) 大分県 一般社団法人服は着る薬 家具 城間(しろま)羽夏(はな) 愛知県 愛知県立名古屋聾学校 DTP 藤井(ふじい)翔太(しょうた) 福岡県 サンアクア TOTO 株式会社 電子機器組立 小山(こやま)せなみ 滋賀県 パナソニックアソシエイツ滋賀株式会社 ワード・プロセッサ 松(たかまつ)智恵(ちえ) 広島県 JFE アップル西日本株式会社 ホームページ 上間(うえま)真弓(まゆみ) 沖縄県 株式会社Compass ビルクリーニング 三上(みかみ)貴久(たかひさ) 神奈川県 株式会社日立ゆうあんどあい 喫茶サービス 荒井(あらい)剛(つよし) 東京都 SOMPO チャレンジド株式会社 表計算 上島(かみしま)一晃(かずあき) 東京都 文化シヤッター株式会社 ネイル施術 坂角(さかずみ)ゆかり 東京都 株式会社 JAL サンライト 写真撮影 林崎(はやしざき)沙也佳(さやか) 岩手県 パソコン組立 後藤(ごとう)秀一(ひでかず) 東京都 株式会社サンキュウ・ウィズ パソコン操作 石K(いしぐろ)知頼(ともより) 新潟県 UTハートフル株式会社 【P14-15】 この人を訪ねて 在宅勤務とキャリア支援で、選べる働き方を ジョブサポートパワー株式会社 前代表取締役、エグゼクティブ・アドバイザー 小川慶幸さん おがわ よしゆき 1961(昭和36)年、神奈川県横浜市生まれ。1993(平成5)年マンパワー・ジャパン株式会社(現マンパワーグループ株式会社)に入社、2005年西日本地域本部長、2006年マーケティング本部長、2007年人材紹介本部長を経て2008年にジョブサポートパワー株式会社に出向、事業本部長を経て2015年代表取締役、2021(令和3)年4月より現職。 約7割が在宅勤務 −−大手人材サービス企業「マンパワーグループ株式会社」の特例子会社「ジョブサポートパワー株式会社」は、障害のある社員157人のうち約7割が在宅勤務者だそうですね。経緯を教えてください。  2001(平成13)年に設立された当社は、2003年に特例子会社として認定され、翌2004年から在宅勤務者の採用を始めました。理由は、募集した事務系の人材がなかなか集まらないなかで「在宅なら働ける」という重度の身体障害のある方が少なくなかったからです。当初は、まだインターネット環境が整っていなかったので、新聞の切り抜きや軽作業などを担当してもらいました。  在宅向けのテレワークを本格導入したのは2010年ごろです。パソコンを貸与し、光回線のネットワーク環境も会社負担で整えました。現在は障害のある社員157人(身体障害130人、知的障害3人、精神障害24人)のうち、109人が在宅勤務者です。仕事内容は、大部分が親会社からの委託業務で、データ入力や経理、システムサポートなどさまざまです。  在宅勤務者は、北海道から沖縄まで全国31都道府県に散在しているため、定期的に対面の交流会を開催してきました。東京や大阪や福岡などに集まるのですが、「ついでに旅行も」と楽しみにしている社員もいます。これは、コロナ禍がおさまったら再開したいですね。 通院制度は月2回まで ――障害のある社員のために、会社側としてどんな支援をされてきましたか。  まず福利厚生面においては、当初から「定期通院制度」を導入しています。月2回まで通院目的の有給休暇が取れます。安定して働いてもらうことが、会社にとっても大きなメリットになりますから、通院も仕事の一環ととらえています。また、訪問介護やリハビリ時間が必要な障害のある社員は、休暇を取った時間の業務を別の日に振り分けたり、フレックスタイム制度などを活用したりしています。  在宅勤務者は入社後、オンラインでの研修やOJTを経て担当業務をスタートします。ほとんどの人はパソコン使用経験がありますが、それ以上の専門知識や特別な技能がなくても大丈夫です。必要に応じてeラーニング教材も活用しています。特に重度の身体障害のある人の場合、それまで一度も働いたことがなかったり、中途障害を負ってから初めて就職したりしたため、「自分に何ができるのかわからない」と不安に思っていることが多いようです。少しずつできる仕事が増えて自信をつけ、自己効力感も高まっていく様子を見ながら、一人ひとりに合ったキャリア形成をうながしています。 「キャリアトランスファー制度」 ――キャリア支援について、具体的な取組みを教えてください。  定期的に行っている面談で、本人の課題設定をもとに、キャリアアップの道筋を一緒に考えていきます。社内ではおもに、リーダー登用と専門職への道がありますが、社外で違う道を模索したいという人もいますね。会社側の私たちも、現状の職場では、本人の努力や能力・意欲を活かしきれないという限界も感じていました。  そこで5年前に始めたのが、転職をバックアップする「キャリアトランスファー制度」です。転職を希望する障害のある社員と、おもに取引先のなかで人材を探している企業をマッチングさせるというものです。本人と企業側、双方の状況をわかっている私たちが橋渡し役になることで、スムーズに進められます。これまで30人以上が転職を成功させてきました。  一方、社内でキャリアアップしていきたいという障害のある社員のために、昨年から年2回の「社内公募制」をスタートさせました。「新しい職種に挑戦したい」という社員が活用しています。例えばある社員は、もともと一般事務の担当でしたが、独学で勉強して「IT部門でホームページを制作したい」と手をあげました。これまで4人が応募し、2人が選考を通って異動しました。  こうしたキャリア支援において私たちは、本人の意欲が何より大事だと思っています。じつは以前からリーダー登用も実施していたのですが、過去の職歴や経験から会社側が判断し、よかれと思って登用しても、本人の意思や意欲とずれていたために失敗したことがありました。いまリーダーに登用している障害のある社員は、未経験者ばかりです。「昔は入社がゴールで、その先は想像すらしていなかったのに」とふり返りつつ、リーダー登用や社内公募に自ら手をあげる人が増えていて、大きな手ごたえを感じます。 アビリンピック出場者の活躍が刺激に ――アビリンピックに挑戦する社員も出てきていますね。  2年前、アビリンピックにIT系の種目があるのを見つけて、社内で挑戦できそうな人たちに紹介してみたところ、長野県在住の小松(こまつ)智和(ともかず)さんが「来年やってみます」といってくれました。車いすユーザーの小松さんは2012年に入社して以来、システムサポート業務でスキルを上げていました。アビリンピックに向けては、自分で競技内容を調べて入念な対策をしたようです。前回の第40回全国アビリンピックに出場し、「データベース」種目で銀賞入賞を果たしました。  大会後は、月1回開催している社員同士の学びの会「ラーナビリティ」で、小松さんに大会をふり返って話してもらいました。動画を録画してオンデマンドで観られるので、多くの社員が参考にしたようです。刺激を受けて、今年は群馬県在住の社員が、「表計算」種目で第41回全国アビリンピックに出場しました。そのほかに、地方大会に出場した社員もいました。 キャリアの道を選べる環境 ――最後に、いまの課題や今後の抱負をお聞かせください。  私たちは、職場内における相互理解をもっと深めたいと考えています。障害のある社員が9割以上を占める当社では、さまざまな障害のある社員たちが混在し、互いの障害特性をしっかり理解できていないところからくる軋轢(あつれき)が生じてしまうことがあります。そこで、昨年から行動指針に掲げているのが「対話による意思疎通と相互扶助」です。社員同士が互いに助け合い、主体的に支え合っていける会社を目ざしていきます。  そして、社員が主体的にキャリアをつくっていけるような仕組みを、会社として今後も充実させていくつもりです。本人のためになる支援や応援をしながら、社員が自ら積極的にチャレンジできる職場環境にしていきたいと考えています。障害の有無にかかわらず、いろいろな選択肢から自分の働き方を選び、自分らしいキャリアの道を選べることが理想ですね。 【P16-17】 クローズアップ ジョブコーチ支援 最終回 〜ナチュラルサポートをめざして〜  障害のある人が長く働き続けるためには、ジョブコーチによる支援から、職場での「ナチュラルサポート」への移行が不可欠となります。  本連載の最終回は、「ナチュラルサポート」について、常磐(ときわ)大学准教授の若林功さんにご執筆いただきました。 ナチュラルサポートとは  これまでの連載2回はジョブコーチによる支援の実際を、「ナチュラルサポート」という言葉を交えて紹介してきました。いずれの事例でも「ナチュラルサポート」がポイントとなっていました。それでは「ナチュラルサポート」とは何でしょうか。  厚生労働省のウェブサイトによればジョブコーチ支援の内容について、「ジョブコーチが行う障害者に対する支援は、事業所の上司や同僚による支援(ナチュラルサポート)にスムーズに移行していくことを目指す」とされています(※1)(図)。つまり、ナチュラルサポートとは、障害のある人を雇用している事業所の上司や同僚から(つまりジョブコーチなどの雇用や福祉サービスの専門家ではない人から)障害のある人へ提供されるサポートということとなります。具体的な例として、「作業のやり方を根気よく教える」、「食券の買い方を教える」、「励ましの声かけをするなど情緒面から支える」などがあげられます。  なお、この厚生労働省のウェブサイトの説明から、ジョブコーチなどの雇用支援や障害福祉サービスの専門家(以下、「専門家」)によるサポートと、事業所の上司・同僚のサポートが対比的であることがわかります。また、ナチュラルサポートの「ナチュラル」という言葉が何を意味するのかについてはより詳細な議論が必要なため(例:「自然さ」、「さりげなさ」は不可欠な要素なのかなど)、ここでは最大公約数的に、ナチュラルサポートとは「事業所の上司・同僚から提供されるサポート」として、説明します。 なぜナチュラルサポートが必要なのか  では、なぜこのようなナチュラルサポートが必要なのでしょうか。専門家のみがサポートを提供するということではいけないのでしょうか。  ナチュラルサポートの必要性についてはいくつかの理由が考えられます。  一つは基本的な理念の問題です。だれしも職場などで上司・同僚からのサポートを受けることがあるはずです。そして、障害のある人であってもその職場の一員としてサポートを受けたり、ときには逆にサポートを提供したりすることは、職業を通じた「ノーマライゼーション」、「インクルージョン」実現の一つの要素と考えることができるのです。  第二に、上司・同僚という、専門家ではない人たちからのサポートを受けることで、障害のある人たちの職務満足度や、所属組織への愛着(組織コミットメント)などが高まるというメリットがあるためです。そしてこれら職務満足度や所属組織への愛着が高まることは、職場定着につながると考えられます。  第三に、着実に障害のある人の雇用(新規就職や職場定着など)が進んできているなかで、専門家のみで職場定着支援サービスを提供するのは、就労支援機関の数や専門家の数といった点からも困難であると考えられるためです。 職場のナチュラルサポートを生む要件とは  それでは職場のナチュラルサポートは、どのような要件で発生するのでしょうか。どのような場面を切り取るかにより、さまざまな考え方がありますが、ここでは研究の知見が蓄積されており、ナチュラルサポートと類似している「援助行動」(自ら進んで〈自由意志から〉、意図的に他者に恩恵を与える行動)の発生要因の紹介をしたいと思います(※2)。それによると、 ・困っている状況が発見されるか(見つけにくい状況では当然、援助は発生しにくい) ・援助の必要性があると認識されるか(援助する必要があると判断されないと援助は発生しにくい。例えば「自業自得」などと思われると援助されにくい) ・自分に援助を提供する責任があると判断するか(援助を提供すべき状況と思っても、その状況を見つけた人が自分に援助の責任があると判断しないと援助は提供されにくい) ・どのように援助すればよいのか方法がわかるか(援助方法やかかわり方がわからないと援助は提供されにくい)  などがあげられています。  加えて、障害のある人自身の援助を求める行動も、ナチュラルサポートを引き出す要因となります。そして、このようなナチュラルサポートの発生につながるよう、ジョブコーチ支援では、作業の速度や精度の向上のための支援だけでなく、ジョブコーチ支援の対象となる人が「わからない」、「困った」というときに、自ら質問に行けるようにするといった支援も行います。また、企業の担当者を一人あるいは複数人定めて、支援の対象となる人の障害特性や行動特性を、その担当者に情報提供するということも行われます。  ジョブコーチ支援を利用する企業の担当者の観点からいえば、ジョブコーチと情報交換をしつつ、ストレスを感じることなく、正しい状況の把握や適切な対応案の検討、実際の指導や注意の実施を行えることで、援助行動あるいはナチュラルサポートという支援につながりやすくなる、とも言い換えられるでしょう。そして、このような状況を長く維持するには、(企業の担当者だけがかかわるのではなく)組織や職場としての理解と援助が必要となるのです。 おわりに  以上、職場におけるナチュラルサポートについて述べてきましたが、もちろんナチュラルサポートは万能ではなく、就職後、職場定着の段階でも、状況によっては専門家との連携も必要となります。  日常的なサポートや見守りは障害のある人を受け入れた事業所・職場で行い、事業所の対応できる範囲を超えた問題(障害特性に起因するような問題であったり、事業所の外の生活場面で発生する問題など)については、専門家を活用していただければと思います。  このように、関係者それぞれが役割を果たすことで、「ノーマライゼーション」、「インクルージョン」社会の実現につながっていくことでしょう。 ※1 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/06a.html ※2 Latane, B. & Darley, J. M.( 1970). The unresponsive bystander: Why doesn't he help?, Appleton- Century- Crofts,(B. ラタネ・J.M. ダーリー, 竹村研一・杉崎和子(訳)(1997).『冷淡な傍観者―思いやりの社会心理学』ブレーン出版) 図 ジョブコーチ支援の内容 ・障害特性に配慮した雇用管理に関する支援 ・配置、職務内容の設定に関する支援 事業主 (管理監督者・人事担当者) ジョブコーチ 上司・同僚 ・障害の理解に関する社内啓発 ・障害者との関わり方に関する助言 ・指導方法に関する助言 ・職務の遂行に関する支援 ・職場内のコミュニケーションに関する支援 ・体調や生活リズムの管理に関する支援 障害者 ジョブコーチ 家族 ・安定した職業生活を送るための家族の関わり方に関する助言 写真のキャプション 常磐大学 准教授 若林(わかばやし)功(いさお)さん 【P18】 エッセイ 発達障害当事者の働きづらさのリアル 第3回 〜オープンとクローズ、どちらで働く?〜 姫野 桂(ひめの けい) フリーライター。1987(昭和62)年生まれ。宮崎県宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。25歳のときにライターに転身。現在は週刊誌やウェブ媒体などで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ、など。おもな著書に『私たちは生きづらさを抱えている 発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)、『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)などがある。  発達障害のある人がいちばん困っていることは就労関係です。なかなか自分にマッチした企業と巡り会えずに何度も転職をくり返す人も少なくありません。私が以前取材した際に感じたのは、障害者雇用を行っている企業でも身体障害のある人の雇用が多く、精神障害のある人の雇用、または精神障害のある人を雇用していても発達障害のある人の雇用が少ないケースがあるということです。これは、企業内での障害のある人へのサポート体制や、メンタル不調による急な欠勤の対応など、さまざまな理由から、精神障害や発達障害のある人の雇用を控える企業が多いからだと考えられます。そのため、クローズで(発達障害があるということを隠して)働いている人もいます。しかし、クローズで働いている人のなかでも、直属の上司にのみ発達障害であることを伝え、合理的配慮を受けられている人もいました。このあたりは上司との関係性が重要となってくるでしょう。  また、オープン就労(障害があることを公表して働くこと)をしていても、企業とのズレが生じてうまく働けずに退職してしまう人にも取材中に出会いました。まず、発達障害に対する認知度がまだまだ低いことが要因にあげられます。発達障害のある人は「できること」と「できないこと」の差が大きいので、その人個人をよく見てあげて、その人ができる仕事を割りふることが大事な鍵となってきます。また本人も、例えばケアレスミスが多いのであれば、同僚や上司に「ケアレスミスを起こしやすいのでダブルチェックを頼んでもいいですか?」と頼ることも、働きづらさの改善につながります。そのためには、発達障害とはどのような障害であるのか、また、どのような配慮が必要なのかなど、受け入れる企業で研修を行ってほしいと個人的には思っています。  発達障害のある人は、100人いればその特性は100通りです。発達障害だから事務仕事が苦手だとか、営業が苦手だとか、そのような決めつけは偏見を助長してしまいます。発達障害のある人でもASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)でこだわりの特性が強い人であれば、経理などでも細かなミスを見つけることができますし、ADHD(注意欠如・多動症)で外交的な特性のある人ならば営業に向いていることもあります。  そして、発達障害のある人が働くうえでの深刻な悩みは、キャリアアップがむずかしい場合があることです。発達障害のある人も、仕事を自己実現の場にしたいと思っています。しかし、障害者雇用という雇用形態上、より上のキャリアに進めない場合があります。  発達障害のある人の雇用を積極的に行っている企業を取材したことがあるのですが、その企業の代表は、発達障害当事者に対して「適度な無関心」を心がけているとのことでした。それは、「発達障害だからこの作業はできないよね」と決めつけるのではなく、適度な距離感を保ちながら、その人ができそうな仕事を依頼するのです。また、「適度な無関心」とはいえ、集中力が欠けてしまいがちな特性のある人にはデスクにパーテーションを置いて視界を遮ったり、聴覚過敏のある人にはノイズキャンセリングヘッドホンの貸し出しを、人が近くを通ると気が散ってしまう人は人通りが少ない奥の席にする、じっと座っていられない人は立って仕事ができるスペースを用意するなど、さまざまな合理的配慮に取り組まれていました。  しかし、オープンで働いてもクローズで働いても、それぞれメリットとデメリットはあります。そのメリット・デメリットを企業側も意識して雇用していけば、発達障害のある人の離職率は減るのではないかと思います。 写真のキャプション 姫野桂 【P19-21】 JEED インフォメーション 〜高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)からのお知らせ〜 令和4年度障害者雇用 職場改善好事例募集 企業のみなさまから障害者雇用における雇用管理の工夫や働きやすい職場にするための改善事例を募集します。 ◆募集テーマ◆ 中小企業における社内の支援人材の効果的な活用により障害者の職場定着の推進に取り組んだ職場改善好事例 募集期間 令和4年2月1日(火)〜5月20 日(金) 募集事例 ・社内の支援人材や支援機関との役割分担を明確にしたことで、定着支援体制を構築した取組 ・社内外の研修機会の設定により支援人材のスキルアップを図りつつ、経営層や管理部門による支援人材へのフォロー体制を構築した取組 ・障害者に対する支援計画・目標を設定し、支援人材が障害者の個々の特徴に応じてきめ細やかにサポートを行った取組 ・新型コロナウイルス感染症拡大を契機として職務設定の見直しや在宅勤務の導入等の新しい働き方に対応するための支援体制を整備した取組  など 応募資格 (1)障害者を雇用している事業所(常用雇用労働者数300人以下の中小企業)。 (2)労働関係法令等に関し重大な違反がないこと及び社会通念上、表彰するにふさわしくないと判断される問題を起こしていないこと。 (3)応募事業所において障害者雇用に関する支援(障害者就労継続支援事業所を含む)・コンサルティングを主たる営業品目としていないこと、かつ自企業グループ内に障害者雇用に関する支援・コンサルティングを主たる営業品目とする企業がないこと。 賞 厚生労働大臣賞(1編) 優秀賞 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 理事長賞(若干編) 奨励賞 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 理事長賞(若干編) ※入賞事例は、令和4年8月末ごろにホームページ等で発表する予定です。 主催:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 後援:厚生労働省 ◎応募方法  募集要項をご確認のうえ、指定の応募用紙に改善内容を記入し、郵送またはEメールにてご応募ください。募集要項、応募用紙はホームページからダウンロードできます。 募集要項、応募用紙等はこちら→ ◎応募先・お問い合せ先 〒261-0014 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-3 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 雇用開発推進部 雇用開発課 E-mail:manual@jeed.go.jp Tel:043-297-9514 ※過去の入賞事業所などの取組を掲載した好事例集はホームページでご覧いただけます。 過去の好事例集はこちら→ 職業センターの技法開発をご紹介します 障害者職業総合センター 職業センター  障害者職業総合センター職業センターは、これまでの支援技法では効果の現れにくい発達障害者、高次脳機能障害者および精神障害者に対する職業リハビリテーション技法の新たな開発と改良を行っています。また、その成果について実践報告書または支援マニュアルに取りまとめて、幅広く支援技法の普及を図っています。  令和3年度の技法開発については、以下の3つの成果物を取りまとめています。 これまでの成果物の詳細は、ホームページをご参照ください。 https://www.nivr.jeed.go.jp/center/index.html 在職中又は休職中の発達障害者に対する作業管理支援の技法開発  発達障害のある方を対象に、障害特性などのアセスメントや職場適応のためのスキル(作業遂行力、対人スキル、問題解決、ストレス対処など)向上に向けた支援技法と、事業主支援に関する技法の開発などを行っています。  令和3年度は、作業の基本的な工程を的確に処理し、課せられたタスクを完了させる作業管理能力向上のための支援技法を開発しました。作業管理能力のアセスメントと、作業管理上の課題の把握と対応、活用するツール、支援事例などをまとめた実践報告書を作成します。  巻末には個別の支援で活用できるツールを収録した記録メディアを添付します。 高次脳機能障害者の復職におけるアセスメントの技法開発  職場復帰や就職を目ざす高次脳機能障害のある方を対象に、「障害認識の促進」、「補完手段の習得」の支援技法と、事業主支援に関する技法の開発などを行っています。  令和3年度は、高次脳機能障害者の復職支援における休職者と事業主双方の幅広い情報収集と支援課題の把握、これらに基づく支援方針の策定、休職者や事業主との情報共有などの各種支援ツールを開発し、その体系的活用方法を取りまとめて紹介する実践報告書を作成します。  巻末には支援ニーズに応じてアレンジできるよう、各種支援ツールを収録した記録メディアを添付します。 ジョブリハーサルの改良  職場復帰を目ざす気分障害等の精神障害のある方を対象に、職務および職場環境に対する適応性の向上を図るための支援技法と、事業主支援に関する技法の開発を行っています。  令和3年度は、復職に向けて習得したスキルや学んだ知識を実際の職場に近い環境のなかで総合的に実践・検証して、その実用度を高めるための支援技法「ジョブリハーサル( 平成28 年度開発)」の改良に取り組み、その内容や実施方法、実施上の留意事項などで構成する支援マニュアルを作成します。また、ジョブリハーサルにおいて実施する各種作業課題例を集めた別冊を作成します。  巻末にはジョブリハーサルで活用できるツールを収録した記録メディアを添付します。 ※実践報告書および支援マニュアルは令和4年3月に発行を予定しています。 <お問合せ> 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター職業センター企画課 TEL:043-297-9043 「読者アンケート」結果発表!! ご協力いただきありがとうございました  日ごろより『働く広場』をご愛読いただき、ありがとうございます。今年度実施しました読者アンケートでは、みなさまから多数のご意見・ご要望をいただきました。心よりお礼申し上げます。読者アンケートの結果の一部をご紹介します。今後の企画・編集の貴重な資料として活用させていただき、よりよい誌面づくりに努めてまいりますので、引き続きご愛読をよろしくお願いします。 本誌に対する評価 ・「非常に参考になる」、「参考になる」と、82.8%の方から高い評価をいただきました。その理由に、「実践的かつ具体的内容で参考になる」、「好事例だけではなく課題を包み隠さず提示している点に信頼が置ける」などの意見が多数ありました。 ・参考になった記事では、「職場ルポ」、「グラビア」、「編集委員が行く」、「この人を訪ねて」、「クローズアップ」の順で人気がありました。 参考になった理由(代表的な理由) 【職場ルポ】 ・各企業の取組み内容が写真と共に紹介されていて、分かりやすい。 ・どのように働いているか、現場、本人の声が分かるため。 【グラビア】 ・働く障害者が活躍されている様子がよくわかる。 ・実作業の様子を見ることができる。 【編集委員が行く】 ・様々な地域での先進的な取組み事例は参考になる。 【この人を訪ねて】 ・新しい取組みや、普段は知ることが少ない取組みを知る機会になった。 【クローズアップ】 ・流行のトピックスや現状の課題などが集約されているので。 さらに充実を図ってほしい記事や内容 【グラビア】 ・もっとボリュームアップして写真の枚数を増やしてほしい。 ・より一層幅広い職種の中でご活躍されている方々を紹介してほしい。 【職場ルポ】 ・困ったことへの改善について、さらに詳しく知りたい。 ・中小零細企業にスポットを当てていただきたい。 【編集委員が行く】 ・全国の職場をこれからも紹介してほしい。 【ご回答者の勤務先】 民間企業65.4% 障害者福祉施設(就労支援機関を含む)・団体13.2% 学校・教育機関7.8% 医療機関3.3% 国、地方公共団体の機関2.5% 個人1.2% その他5.8% 無回答0.8% ※その他:生活協同組合、経済団体、社会保険労務士事務所 など 【「働く広場」は参考になっていますか?】 参考になる 65.1% 非常に参考になる 17.7% あまり参考にならない 8.3% 参考にならない 0.6% 無回答 8.3% 今後取り上げてほしい内容 ・失敗事例からの立ち直り例 ・地方での取組み事例 ・コロナ禍での取組みについて ・障害のある人とのコミュニケーションについて ・農業や林業での雇用 ・特別支援学校の就労に向けた教育・取組み、企業に求めること ご意見・ご要望 ・デジタルブックで公開されていることを知ったので、活用したい。 ・アート作品だけの特別号も見てみたい。 ・JEEDからのインフォメーションを詳しく載せてほしい。 ・法律や制度改正などの情報を充実させてほしい。 今年度本誌で取り上げた内容については、28〜29ページの「記事索引」をご覧ください。 また、興味・関心のあるテーマについては、当機構ホームページに掲載しているバックナンバーもご覧ください。 働く広場 バックナンバー 検索 【P22-27】 「働く広場」 公開座談会 この座談会は、2021(令和3)年12月7日(火)に、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構障害者職業総合センター(千葉県千葉市)で開催された、「働く広場」公開座談会の採録です。 令和3年度「働く広場」公開座談会 コロナ禍を乗り越えて 〜新しい働き方を問う〜 出席者 座長 松爲(まつい)信雄(のぶお)さん 東京通信大学 教授 パネリスト 平岡(ひらおか)典子(みちこ)さん サントリービジネスシステム株式会社 コラボレイティブセンター 課長 Oさん(働く当事者) サントリービジネスシステム株式会社 コラボレイティブパートナー 雨宮(あめみや)祥浩(よしひろ)さん 株式会社リーガルビジネスサポート 統括部 古川(ふるかわ)亮(りょう)さん 社会福祉法人実のりの会 ハートウィル 施設長 兼 障害者就業・生活支援センター ビック・ハート柏/松戸 センター長 松爲 新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、在宅勤務や交代制勤務の導入など、私たちの働き方に大きな変化をもたらしました。これは、障害のある人についても例外ではありません。  そこで本日は、障害者雇用に取り組んでいる企業と、障害者を支える支援機関の方をパネリストに迎え、コロナ禍が障害者雇用に与えた影響についてお話しいただき、今後の障害者雇用の可能性について考える機会にしたいと思います。  初めにサントリービジネスシステム株式会社の平岡さんに、同社の障害者雇用の取組みとコロナ禍の対応についてお話をうかがいたいと思います。 知的障害者がもっとも輝ける会社を目ざして 平岡 サントリービジネスシステム株式会社の平岡と申します。サントリーでは、2015(平成27)年に知的障害のある方の採用を開始し、2018年に「コラボレイティブセンター(通称コラボセ)」を立ち上げ、知的障害者がもっとも輝き、働きがいを持てる会社を目ざして活動を続けています。  現在コラボセには、障害のある社員(以下、「パートナー」)26人とサポートスタッフ7人が所属しています。おもな業務の内容は、グループ企業から依頼される事務や営業活動支援などです。サントリーでは、創業者の「やってみなはれ」という言葉に基づくチャレンジ精神が大切にされているのですが、この言葉に倣(なら)い、「どんな依頼も断らず、新しい業務にどんどんチャレンジしていくこと」が私たちのポリシーです。その結果、設立以降ずっと右肩上がりで活動領域を拡げ、現在はグループ26社から、200種類を超える業務を受託しています。  同時に、私たちコラボセでは、仕事の受託先となる社員に、パートナーのことを知ってもらう機会をたくさん設けています。例えば、年1回、年末に行う「コラボセ成果発表会」では、パートナーの一人ひとりが「今年1年がんばったことと来年がんばりたいこと」を発表し、オンラインで参加した社員からコメントをもらっています。社員からパートナーに感謝の言葉が寄せられるなど、コラボセのパートナーが職場風土によい影響をもたらし、会社にとってなくてはならない存在になっていることを実感できる機会です。 緊急事態宣言中も在宅で就業を継続 平岡 順調に活動を拡げてきたコラボセでしたが、2020(令和2)年4月の緊急事態宣言発令で全社的に出社が禁止となった際は、本当に困りました。コラボセで行う業務は、出社が必要なもの多かったのですが、やむを得ない判断で、全員でテレワークを開始しました。  このときに私たちスタッフが大切にしたことは「就労の継続」、「チームの一体感」、「メンバーの心のケア」の三点です。業務については、パソコン業務や、販売店舗で使用する販促物の準備など、自宅で継続できそうなことをピックアップすることで、それまでの4割程度を継続することができました。それらの作業に必要な資材などは、パートナーの自宅に送付しました。残りの時間は、漢字や読書感想文、タイピングの練習といった課題学習などに取り組んでもらいました。生活リズムを崩さないように、各自が作成した活動計画表に基づいて行動してもらい、1日4回のビデオ通話で、ほかのパートナーやサポートスタッフと顔を合わせたり、オンラインの勉強会などを開催して、コミュニケーションを取ることも意識しました。テレワークによるパートナーの不安を解消するために、産業医や心理士にもサポートいただきました。  テレワークを実施した2カ月間を経て、「テレワークで仕事ができた」ことが、パートナー一人ひとりの自信につながったと感じています。また、自分で時間を管理する経験を通じて、自主性や自己管理能力が高まったと思います。一方で、会社に来て仲間と一緒に業務に取り組むことが、パートナーにとって大きな喜びであり、特別な意味を持つことも実感できました。 一人ひとりが働きやすい環境を整える 平岡 2020年6月に出社が再開した後は、テレワークに対応できるパソコン業務を増やすべく、グループ内の各部署に働きかけて新規業務の開拓を行いました。その結果、その後も感染の拡大状況に応じて、希望者にはテレワークを実施するなど、柔軟に対応することができました。また、一時は落ち込んだ業務量も回復し、コロナ禍前を上回る事業貢献の数値目標を達成することもできました。  今後は、出社前提の業務とテレワークでもできるパソコン業務の両面で、新規業務開拓を継続し、パートナーにとって、より働きやすく、より成長につながる環境を整えていきたいと考えています。  私の話は以上になりますが、この後は、コラボセパートナーのOさんから、テレワークの状況下でどのような思いで仕事をしてきたのかを話してもらおうと思います。 Oさん コロナ禍では、これまでに経験したことのないことで戸惑い、考えることが増えました。感染対策などが必要になり、すぐに気持ちを切り替えるのはむずかしかったです。  2020年4月にテレワークをすることになり、直接コミュニケーションを取ることができない不安がありました。テレビ会議では顔を合わせていましたが、久しぶりにみんなに会えたときは本当にうれしかったです。2カ月間テレワークができたことは自信になったし、よい経験にもなりました。出社を再開してからは、ウイルスを家に持ち込んでしまう不安もあったので、家でもできる仕事をためて、週1~2回テレワークができるようにスタッフと調整しました。  テレワークをしていて、わからないことがあったときに、すぐに電話がつながらなくて困ることがありましたが、そのときはできる仕事を優先して行いました。自分にもテレワークができるという自信がつき、むしろテレワークの方が集中できてよいと感じることもありました。 松爲 ありがとうございました。サントリービジネスシステムのテレワークの取組みは、コロナ禍を逆手に取って、事業の拡大と障害のある社員の成長につなげた好事例になりそうですね。続きまして、株式会社リーガルビジネスサポートの雨宮さんにお話をいただきたいと思います。 三つのチームで業務を行う 雨宮 リーガルビジネスサポートの雨宮と申します。当社は靴の製造・販売を手がける株式会社リーガルコーポレーションの特例子会社として2019年に設立され、「業務サポートチーム」、「物流サポートチーム」、「店舗サポートチーム」の三つのチームに分かれてグループ各社から業務を受託しています。  本社にある「業務サポートチーム」では、障害のある社員12人が社内清掃や事務などの業務を行っています。最近特に増えている業務が、靴の型崩れ防止用のシューパッドを作成する作業や、靴の中敷きに両面テープを貼りつける作業です。業務サポートチームでは、毎日必ず1時間、全員でこの作業を行い、生産子会社に納品しています。  「物流サポートチーム」は5人が所属し、商品センターにおける入出庫作業を担当してもらっています。  「店舗サポートチーム」は5人が所属し、アウトレット各店で1人ずつ、店舗清掃や店内消毒、試着用の靴下の洗濯などの業務を行っています。  最近になって、ようやく法定雇用率を達成できるようになり、2021年の10月現在、身体障害のある社員が3人、知的障害のある社員が9人、精神障害のある社員が10人と、合計22人の障害のある社員が勤務しています。 緊急事態宣言中は、自宅待機を実施 雨宮 新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、親会社の主力商品であるビジネスシューズなどの売り上げが落ち込み、全社的な業績悪化となりました。そのため、一時は当社でも、障害者の採用活動を停止しておりました。また、2020年4月の緊急事態宣言発令により、グループ全社に時短勤務の導入や在宅勤務の推奨などの指令が出されました。これに対して、出社を前提とした作業を業務の中心とする当社では、非常に対応に困りました。結果として、障害のある社員を全員自宅待機にする判断をしました。自宅待機の実施にあたっては、ご家族や支援者などとも連絡を取り、ご理解をいただくよう努めました。シューパッドや中敷きの納品などの、緊急事態宣言中も続けなくてはならない作業については、健常者のスタッフが行いました。  自宅待機中は、生活リズムを崩さないように時間を決めて、毎日10時〜16時に課題に取り組んでもらいました。課題の内容は、いままでの仕事の棚卸しとして、「私の現在の仕事の一覧表」や「作業工程表」の作成です。この作業を行ってもらった背景には、各自がだれから仕事を依頼されているのか、どんな仕事をしているのかを、私たちスタッフが正確に把握できていなかったという実情があります。自宅待機中にこの課題にしっかりと取り組んだ成果として、作業内容の不明点が確認でき、作業指示の統一化を図るのにも役立ちました。  その後の緊急事態宣言下では、就業生活リズム保持のために自宅待機中心ではなく出勤することとし、出勤体制に工夫をしました。当初は午前と午後の交代勤務なども試みましたが、午前勤務と午後勤務ではリズムが変わるため、うまく管理できず、最終的には週3日のシフト勤務としました。この結果、出勤しない社員が毎日確実に発生するため、それら不在者の仕事をカバーする必要があり、これに対応することで、一人ひとりの仕事の幅が広がったと感じています。また、障害のある社員にとって、会社に出勤し、人とコミュニケーションを取ること自体がストレスの軽減につながっていることも実感しました。 松爲 ありがとうございます。障害のある社員にとって、在宅勤務をすることのメリットがある一方で、出社することにも意味がありそうだと感じました。  では、次に支援機関の現状を、社会福祉法人実のりの会の古川さんにお話しいただきたいと思います。 支援機関におけるコロナ禍の影響 古川 実のりの会の古川です。私たちは、2000年に中小企業家同友会の有志で立ち上がった法人で、2003年に千葉県八千代市で、知的障害者通所授産施設ビック・ハートを開設して以来、知的障害者の就労に特化した支援を行っています。現在、ビック・ハートでは、就労継続支援B型事業所としてリネン類のクリーニングなどの仕事を行っています。また、千葉県の松戸市で、ハートウィルという就労移行支援事業所を、柏市と松戸市で、それぞれビック・ハート柏、ビック・ハート松戸という障害者就業・生活支援センターを運営しています。本日は、当法人の就労移行支援事業所と障害者就業・生活支援センターのコロナ禍における状況をお伝えしていきます。  コロナ禍は、就労移行支援などにとっても、厳しい状況がありました。2020年4月の緊急事態宣言下では、まずは、公共の乗り物を使わずに徒歩や自転車などで来所いただける方のみを通所で対応し、来所いただけない方については、在宅で、時間割に基づく運動や作業、家事などの課題に取り組んでいただきました。  緊急事態宣言の解除後は、感染対策を徹底しながら、午前と午後に分かれて、分散で通所していただきました。その後、全員が通所するようになったときにも、人が多い通学時間帯を避けるなど、感染のリスクを下げる工夫をしました。コロナワクチンの接種については、集団接種を実施することができた事業所もあれば、利用者個人で予約を取って接種しなければならなかった事業所もあり、希望者全員に対応できるようになるまで、かなりの混乱がありました。企業見学や実習といった取組みが行えなくなったのもつらい状況でした。  障害者就業・生活支援センターでは、緊急事態宣言中は、すべての職員が在宅勤務となりました。在宅勤務中は、約2000人の利用者に対して電話連絡を行い、緊急性のある方に面談を実施するなどの支援にあたりました。重度知的障害のある方が、企業から課題も出ない長期の自宅待機をされていたり、出社しても、密を避けるためにほぼ休憩時間とされていたりする状況も見られました。また、交流活動などの機会も減ってしまいましたが、一方で、オンラインによる意見交換の場には、企業などの参加者が増えています。その点では、コロナ禍によるオンライン化のメリットも感じています。 出社と在宅勤務それぞれのメリット、働き方の選択肢を 古川 出社しての勤務と在宅勤務について、一概にどちらがよいかとはいいづらいと思っています。例えば、当法人の支援の対象である知的障害のある方は、生活リズムを整えるためにも出社することを中心に考えた方がよいと感じます。一方で、精神障害や発達障害のある方のなかには、仕事に集中できるなど在宅勤務のメリットを感じていらっしゃる方もたくさんいます。そういった点から、今後は、在宅勤務にも対応できるような特別プログラムなどを用意し、働き方の選択肢を広げていくことが大切だと感じます。このような流れを後押しできるよう、支援機関として、企業の取組み事例などの情報を収集して、ほかの企業に紹介することなどにも力を入れていきたいと思います。 松爲 ありがとうございます。企業も、支援機関も、ともに働き方の選択肢を広げることに言及されていますね。  では、次に、事前のアンケートで会場の参加者からいただいた質問に答えていきたいと思います。 企業、当事者、支援機関ともに変化に対応する力が必要 松爲 初めの質問は、@「在宅勤務について企業が懸念している点は何ですか」、A「コロナ禍での新しい業務の切り出し、進捗の管理、コミュニケーションの方法について、ご意見があったらお聞かせください」の2点です。 雨宮 (@について)当社では、最終消費者に購入いただく商品を直接触ることが多いので、在宅で作業する場合に、適切な品質管理ができるのかという点が、一番の懸念点です。その解決策が見いだせていないことも、当社で在宅勤務を取り入れていない理由の一つです。 (Aについて)コミュニケーションに関して、当事者の方だけではなく、保護者や支援者の方とも密に連絡を取るようにしています。 平岡 (@について)在宅勤務をすることで、パートナーのモチベーションが下がってしまわないかということが一番の懸念点でした。モチベーションを保てるように、ていねいなコミュニケーションを取ることを心がけました。  (Aについて)コロナ禍を経て、「変化に対応することの大切さ」を実感しています。パートナーには、これまでも新しい仕事にどんどんチャレンジしてもらってきましたが、コロナ禍では、さらにいろいろな仕事に対応していけるよう、業務の切り出しなどに工夫をしていくことが必要になりました。 松爲 平岡さんのお話からは、コロナ禍を、新たな仕事をつくり出すチャンスに変えていく視点が感じられますね。一方で、雨宮さんのお話のように、現場にいないとできない仕事もあり、今後は、このような職務への対応方法についても課題になると感じました。  次の質問はB「在宅勤務が一般化したなかで、調子の波が出やすい精神障害者に対する就労環境をどのように整備していったらよいか」、C「コロナ禍において、精神障害者が就労前に身につけておいた方がよいこと」、D「精神障害にかかわる医療機関に求めること」について、古川さんにおうかがいしたいと思います。 古川 (Bについて)在宅勤務を導入する際にキーになるのが、コミュニケーションだと感じます。企業の方から一方向の連絡をするのではなく、チャットなどで、当事者の方からも発信ができ、様子をつかめるような体制づくりも必要になると思います。また、体調や通院の状況をしっかりと把握するためにも、支援機関によるサポートも上手に活用してほしいと思います。  (Cについて)健康維持のための活動です。コロナ禍でもできる活動を取り入れていくことが大切だと思います。  (Dについて)医療機関と支援機関の連携です。立場の違いを越えてしっかりと意見交換ができるような形になるのが望ましいと思います。 松爲 精神障害のある人の症状の安定のためには、在宅勤務であっても、働くことを通じて生活リズムを安定させることが重要となりそうですね。  在宅勤務には、メリットとデメリットがあると思いますが、今後の障害のある人の働き方の可能性に、どのような展望を描いていますか。 古川 支援機関にも、在宅勤務にも出社にも対応できるようなプログラムを用意していくことが求められると思っています。また、企業においても、有事のときには在宅勤務ができるような体制づくりが必要になると思っています。 平岡 個人の特性や希望により、多様な選択肢から働き方を選べるようにしたいと思います。テレワークを取り入れるにしても、毎日というわけにはいかないと思うので、両方に対応できるような人を育成していく必要があります。 松爲 在宅勤務も出社も両方ありうるという前提のもと、仕事をつくり出していくことが必要になりそうですね。では、ここからは、会場にいるみなさんの質問を受けつけたいと思います。 質問者@ 千葉県内の高等特別支援学校にて教員をしています。コロナ禍で、企業での仕事内容も大きく変わってきていると聞きますが、これから就職を目ざす生徒に求めている能力があればお聞かせください。 平岡 企業によって違いがあると思いますが、当社では、テレワークにも対応できるパソコン業務が増えました。しかし、大切なのはスキルではなくて、どんな仕事であってもチャレンジしようとする成長意欲や変化対応力だと思います。 古川 生活リズムなどの基盤をしっかりと整え、変化への対応に耐えられるだけの人材育成をすることが大切だと思います。 松爲 大切なのは、スキルよりも、学ぶ力となりそうですね。そのために、学校教育では“学ぶ喜び”を身につけてもらいたいと思います。 質問者A テレワークを実施した、サントリービジネスシステム様にうかがいます。テレワーク中のオンオフの切り替えについて聞かせてください。 平岡 一日の時間割を立て、行動してもらうことで対処しました。また50分作業をしたら10分休憩することも指導しました。保護者の方が見守って声がけしてくださったことにも助けられていたと思います。 質問者B 東京都の江東区で就労移行支援をしております。コロナ禍における採用活動で、むずかしくなったことや変化したことがあれば、お聞かせください。 雨宮 緊急事態宣言中は、見学・実習・面接などの採用活動は一切できませんでした。その後、再開された採用活動については、コロナ前と大きな変化はありません。当社では、準備・実習から採用までに、約半年の時間をかけ、お互いの理解を深めることを大切にしています。 平岡 当社では、インターンシップを経て、特別支援学校から採用しています。採用プロセス自体に大きな変化はありませんが、最近は、「インターンシップをさせてもらえる企業が少ない」という特別支援学校の先生方の声を受け、普段以上にインターンシップの受入れを強化しています。業務を拡大しているため、採用活動には力を入れています。 古川 一度はストップした採用活動が再開している動きはありますが、企業側に十分な準備が整っていない状況があると感じています。 松爲 みなさんのお話を聞いて、企業や支援機関は、コロナ禍を必ずしもマイナスの面だけでとらえていないことを感じました。この状況を肯定的にとらえることで、“禍転じて福となす”という希望を持って、本日の座談会を閉会したいと思います。ありがとうございました。 写真のキャプション 松爲信雄さん 平岡典子さん Oさん 雨宮祥浩さん 古川亮さん 【P28-29】 『働く広場』記事索引 2021年4月号〜2022年3月号 本誌2021(令和3)年4月号から今号までの記事一覧です。記事は当機構ホームページからご覧になれます。 働く広場 バックナンバー 検索 月号 項目 【執筆者】/<取材先>タイトル 2021年4月号(No.522) 私のひとこと 【弁護士法人ソーシャルワーカーズ 代表弁護士・社会福祉士 浦ア寛泰さん】家計の把握、できていますか? 職場ルポ <株式会社美交工業>現場・本社・支援機関の連携で、見守りやすい職場に クローズアップ 職場定着に役立つ「ピアサポート」とは 第1回 〜当事者ならではの経験に基づく支援〜 JEEDインフォメーション 令和3年度 障害者雇用納付金制度に基づく申告申請が令和3年4月1日から始まります グラビア <日興みらん株式会社 持永知毅さん>「よき見本になりたい」 〜卒業生の活躍〜 エッセイ 【社会保険労務士・行政書士 高橋悠】障害福祉サービスの現場から 第2回 編集委員が行く 【平岡典子】<東京都立港特別支援学校、千葉県立特別支援学校市川大野高等学園>知的ハンディキャップのある方の就労に向けた特別支援学校の取組み 省庁だより 令和2年 障害者雇用状況の集計結果A(令和2年6月1日) 研究開発レポート 第28回職業リハビリテーション研究・実践発表会特集Part2 パネルディスカッション T「障害者を継続雇用するためのノウハウ 〜企業在籍型ジョブコーチの活躍〜」 U「障害のある社員の活躍のためのICT 活用」 2021年5月号(No.523) この人を訪ねて <一般社団法人ぷれジョブ 代表理事 西幸代さん>居場所としての企業 〜子どもが遊んで育つ場所〜 職場ルポ <富士ソフト企画株式会社>障がいのある社員同士「ともに助け合う」職場 クローズアップ 職場定着に役立つ「ピアサポート」とは 第2回 〜互いの障がいを理解し、支えあうことの重要性〜 JEEDインフォメーション 第41回全国アビリンピック/令和3年度「地方アビリンピック」開催地一覧/2021年度(令和3年度)職業リハビリテーションに関する研修のご案内 グラビア <株式会社JTBデータサービス 星宏明さん>「働きたい」職場へ 〜安心して長く働けるように〜 エッセイ 【社会保険労務士・行政書士 高橋悠】障害福祉サービスの現場から 第3回 編集委員が行く 【八重田淳】<大東コーポレートサービス株式会社、株式会社アーネスト>障がいが障害でなくなる職務創出を目ざして 省庁だより 障害者に対する就労支援の推進 〜令和3年度障害者雇用施策関係予算のポイント〜 研究開発レポート 企業在籍型職場適応援助者(企業在籍型ジョブコーチ)による支援の効果及び支援事例に関する調査研究 2021年6月号(No.524) 私のひとこと 【特定非営利活動法人若年認知症サポートセンター 理事長 宮永和夫さん】若年認知症と労働 職場ルポ <日本テクノ株式会社>各部署に点在、細やかな支援で定着 クローズアップ コロナ禍を乗り越えて 〜新しい働き方を問う〜 第1回 JEEDインフォメーション 国立職業リハビリテーションセンター 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター 訓練生募集のお知らせ/令和3年度「地方アビリンピック」開催地一覧/障害者雇用を進める事業主のみなさまへ 就労支援機器をご活用ください! グラビア <ポラスシェアード株式会社 渡辺啓仁さん>日本一をサポート エッセイ 【社会保険労務士・行政書士 高橋悠】障害福祉サービスの現場から 第4回 編集委員が行く 【阪本文雄】<多機能型事業所スピカ、医療法人豊仁会まな星クリニック、地方独立行政法人岡山県精神科医療センター、社会福祉法人共生シンフォニー>就労移行支援促進へ、医療、雇用企業ネットワークの活用を通じた支援スキル向上 省庁だより 農福連携の推進について 研究開発レポート ワークサンプル幕張版(MWS)の企業における活用事例 〜DICエステート株式会社業務サポート部における人材育成の取組み〜 2021年7月号(No.525) この人を訪ねて <株式会社ヘラルボニー 代表取締役社長 松田崇弥さん>知的障害のイメージを変えたい 職場ルポ <株式会社リクルートオフィスサポート>「地方の人材」をテレワークで積極雇用 クローズアップ コロナ禍を乗り越えて 〜新しい働き方を問う〜 第2回 JEEDインフォメーション 令和3年度 就業支援実践研修のご案内/令和3年度「地方アビリンピック」開催地一覧/障害者職業総合センター職業センターで実施している職業リハビリテーション技法開発に関する報告書のご紹介 グラビア <サントリービバレッジサービス株式会社 東京北支店>3人の活躍が業務効率の向上に エッセイ 【社会保険労務士・行政書士 高橋悠】障害福祉サービスの現場から 最終回 編集委員と行く 【朝日雅也】<越谷市障害者就労支援センター、特定非営利活動法人障害者の職場参加をすすめる会「職場参加ビューロー・世一緒」、株式会社クリタエイムデリカ、株式会社スマートFun>地域を耕す就労支援 〜埼玉県越谷市の就労支援ネットワークをともに訪ねて〜 省庁だより 令和3年度障害保健福祉部予算の概要(1) 研究開発レポート 記憶障害に対する学習カリキュラムの紹介 2021年8月号(No.526) 私のひとこと 【株式会社ウチらめっちゃ細かいんで 代表取締役 佐藤啓さん】ひきこもり×在宅×IT=可能性無限大!〜日本初のひきこもり者主体の株式会社の目ざす姿〜 職場ルポ <株式会社グリーンテック>拠点ごとに雇用し、全社体制で支援と推進 クローズアップ コロナ禍を乗り越えて 〜新しい働き方を問う〜 第3回 JEEDインフォメーション “事例で見る”“動画で見る”『障害のある方への合理的配慮の提供』/2021年度(令和3年度)就業支援課題別セミナー「視覚障害者への就業支援の最前線」のご案内 グラビア <株式会社東急ウィル 元住吉事務所>明るく元気に助け合い、意欲を持って働ける職場 エッセイ 【株式会社Ds'sメンタルヘルス・ラボ 代表取締役(精神科医・産業医) 原雄二郎】配慮は人のためならず 第1回 〜コロナ禍と働き方改革〜 編集委員が行く 【樋口克己】<キヤノンウィンド株式会社、大分キヤノン株式会社>特例子会社のあるべき姿・キヤノンモデルの紹介 省庁だより 令和3年度障害保健福祉部予算の概要(2) 研究開発レポート 職場復帰支援の実態等に関する調査研究 2021年9月号(No.527) 私のひとこと 【株式会社Connecting Point 代表取締役 阿部潤子さん】対話による「個」の成長が「組織」の成長へ 〜障害のある人の「成長ステップ」見える化プロジェクト〜 職場ルポ <コニカミノルタウイズユー株式会社>独自のキャリア支援で職業能力を高める クローズアップ コロナ禍を乗り越えて 〜新しい働き方を問う〜 第4回 JEEDインフォメーション ご活用ください!障害者の職業訓練実践マニュアルなど/国立職業リハビリテーションセンター 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター 訓練生募集のお知らせ グラビア 令和3年度 障害者雇用支援月間における絵画・写真コンテスト入賞作品「絵画コンテスト 働くすがた〜今そして未来〜」「写真コンテスト 職場で輝く障害者〜今その瞬間〜」 エッセイ 【株式会社Ds'sメンタルヘルス・ラボ 代表取締役(精神科医・産業医) 原雄二郎】配慮は人のためならず 第2回 〜多能工化とメンタルヘルス〜 編集委員が行く 【大塚由紀子】<東急不動産株式会社 ウェルネス事業ユニット事業戦略部、ウィズダイバーシティ有限責任事業組合>多様な雇用形態、多様な雇用の取組み 省庁だより 特別支援教育における就労支援の取組み 研究開発レポート 発達障害者のワークシステム・サポートプログラム リラクゼーション技能トレーニングの改良 2021年10月号(No.528) この人を訪ねて <社会福祉法人光明会専務理事、障害者支援施設「明朗塾」元施設長 内藤晃さん>就労で「だれかを幸せにする権利」を 職場ルポ <株式会社JALサンライト>社内公募で職域拡大、チームの自走化も図る クローズアップ コロナ禍を乗り越えて 〜新しい働き方を問う〜 第5回 JEEDインフォメーション 「障害者雇用納付金制度に基づく各種助成金」の活用事例/障害者職業訓練推進交流プラザのご案内 グラビア <ASKUL LOGIST株式会社 福岡物流センター>「優秀勤労障害者」の活躍 エッセイ 【株式会社Ds'sメンタルヘルス・ラボ 代表取締役(精神科医・産業医) 原雄二郎】配慮は人のためならず 第3回 〜こんなはずではなかった障害者雇用〜 編集委員が行く 【三鴨岐子】<株式会社あしすと阪急阪神、株式会社スミセイハーモニー、株式会社ベネッセビジネスメイト、楽天ソシオビジネス株式会社>"働く"を支える専門職 〜企業内で活躍する精神保健福祉士(MHSW)座談会〜 省庁だより ハローワークを通じた「障害者の就職件数」が12年ぶりに減少 ー令和2年度 障害者の職業紹介状況等ー 研究開発レポート 除外率制度の対象業種における障害者雇用に関する実態調査 2021年11月号(No.529) この人を訪ねて <メンタルヘルス診療所しっぽふぁーれ院長、精神科医 伊藤順一郎さん>精神障害者へのアウトリーチ支援と就労 職場ルポ <日本パーソネルセンター株式会社>ジョブコーチが連携し支援、競技会でスキル向上も クローズアップ コロナ禍を乗り越えて 〜新しい働き方を問う〜 第6回 JEEDインフォメーション 令和3年度就業支援スキル向上研修のご案内/「働く広場」公開座談会 コロナ禍を乗り越えて 〜新しい働き方を問う〜/「障害者雇用事例リファレンスサービス」を活用して本誌「働く広場」の掲載記事が探せます! グラビア <株式会社カインズ・ビジネスサービス>多様な業務展開で進める障害者雇用 エッセイ 【株式会社Ds'sメンタルヘルス・ラボ 代表取締役(精神科医・産業医) 原雄二郎】配慮は人のためならず 第4回 〜パラ五輪を観て考えたこと〜 編集委員が行く 【諏訪田克彦】<株式会社スミセイハーモニー>人の魅力が私たちの力 省庁だより 令和3年版 障害者白書概要@ 研究開発レポート 身体・知的・精神障害等のある中高年齢労働者の「職業生活再設計」のポイント 2021年12月号(No.530) この人を訪ねて <トヨタループス株式会社、柔道選手 半谷静香さん>パラスポーツの祭典を終えて 職場ルポ <SMBCグリーンサービス株式会社>研修や人事制度改革で「社員が主体の会社」を目ざす クローズアップ コロナ禍を乗り越えて 〜新しい働き方を問う〜 最終回 JEEDインフォメーション 障害者雇用を進める事業主のみなさまへ 就労支援機器をご活用ください!/障害者雇用のためのマニュアル・好事例集などのごあんない/令和3年度職業リハビリテーションに関する研修のご案内 グラビア <株式会社ダスキンプロダクト西関東>多能工化でキャリアアップも。長く働ける職場へ エッセイ 【株式会社Ds'sメンタルヘルス・ラボ 代表取締役(精神科医・産業医) 原雄二郎】配慮は人のためならず 最終回 編集委員が行く 【松爲信雄】<日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会>協同労働という働き方 省庁だより 令和3年版 障害者白書概要A 研究開発レポート 「企業と地域関係機関・職種の連携による難病患者の就職・職場定着支援の実態と課題」の概要 2022年1月号(No.531) リーダーズトーク 第5回<株式会社ファミリーマート 執行役員CAO(兼)管理本部長 垣見俊之さん>だれもが働きやすい地域密着のコンビニ 職場ルポ <株式会社ダイフク 滋賀事業所>現場実習を重ね、生産性を高める人材に JEEDインフォメーション 令和4年度「障害者雇用納付金」申告および「障害者雇用調整金」申請のお知らせ/「障害者雇用支援人材ネットワーク事業」のごあんない 〜障害者雇用の専門家が企業のみなさまを支援します〜/今、手に取られている「働く広場」をデジタルブックでもお読みいただけます! グラビア <太平ビルサービス株式会社 東京支店>アビリンピックでの経験を職場で活かす エッセイ 【姫野桂】発達障害当事者の働きづらさのリアル 第1回 〜発達障害当事者の一般就労の苦労〜 編集委員が行く 【原智彦】<生活協同組合パルシステム東京 青梅センター、社会福祉法人ほうえい会 介護老人福祉施設 栄光の杜、東京都立あきる野学園、東京都立羽村特別支援学校、東京都立青峰学園>地域とつながり、育つ・育てる クローズアップ ジョブコーチ支援 〜ナチュラルサポートをめざして〜 第1回 研究開発レポート ジョブデザイン・サポートプログラムのカリキュラムの再構成 2022年2月号(No.532) 私のひとこと 【医療機関の障害者雇用ネットワーク 代表 依田晶男さん】障害者雇用に魅せられて 〜医療機関・公務部門・健康経営〜 職場ルポ <株式会社ジーシーシー>一人ひとりの事情に合わせ、働きやすい環境づくり クローズアップ ジョブコーチ支援 〜ナチュラルサポートをめざして〜 第2回 JEEDインフォメーション 令和4年度「障害者雇用納付金」申告および「障害者雇用調整金」申請のお知らせ/障害者雇用納付金関係業務調査のごあんない/アビリンピック マスコットキャラクター誕生! グラビア <株式会社ゼンコー 濱田久仁彦さん>障害のある人が活躍できるフィールドを広げるために エッセイ 【姫野桂】発達障害当事者の働きづらさのリアル 第2回 〜発達障害 通院や検査のタイミングは?〜 編集委員が行く 【金塚たかし】<株式会社オクヤピーナッツジャパン>ピーナッツを通じてつながった当事者・学校・農業・企業が地域を盛り上げる 省庁だより 林福連携の可能性について 研究開発レポート プライバシーガイドライン、障害者差別禁止指針及び合理的配慮指針に係る取組の実態把握に関する調査研究 2022年3月号(No.533) 特集 第41回全国アビリンピック グラビア 第41回全国アビリンピック アビリンピックルポ この人を訪ねて <ジョブサポートパワー株式会社 前代表取締役、エグゼクティブ・アドバイザー 小川慶幸さん>在宅勤務とキャリア支援で、選べる働き方を クローズアップ ジョブコーチ支援 〜ナチュラルサポートをめざして〜 最終回 エッセイ 【姫野桂】発達障害当事者の働きづらさのリアル 第3回 〜オープンとクローズ、どちらで働く?〜 JEEDインフォメーション 令和4年度障害者雇用職場改善好事例募集/職業センターの技法開発をご紹介します/「読者アンケート」結果発表!! 公開座談会 令和3年度「働く広場」公開座談会 コロナ禍を乗り越えて 〜新しい働き方を問う〜 【P30】 掲示板 受講者募集! 職業リハビリテーションに関する各種研修のご案内 訪問型・企業在籍型職場適応援助者支援スキル向上研修 受講料 無料 ◆訪問型・企業在籍型職場適応援助者支援スキル向上研修(第1 回)  訪問型または企業在籍型職場適応援助者(ジョブコーチ)として1年以上の実務経験を有する方に対して、雇用管理やアセスメントに関する支援スキルの向上を図る研修を実施します。  講義・演習に加え、ケーススタディ、グループワーク、アクションプランの作成など実践的な内容が特長です。 ◆日程および会場  【第1回】<幕張会場> ※全国からお申し込みいただけます。  日程:令和4年5月31日(火)〜6月3日(金)  会場:障害者職業総合センター(千葉県千葉市美浜区若葉3-1-3) ◆申込受付期間  令和4年3月8日(火)〜4月15日(金) ◆お申込み先  当機構ホームページに受講申込書および申込方法を掲載しています。 ◆お問合せ先  職業リハビリテーション部 研修課  TEL:043-297-9095  E-mail : stgrp@jeed.go.jp  https://www.jeed.go.jp/disability/supporter/supporter04.html 職場適応援助者(ジョブコーチ) 障害者職業総合センター・大阪障害者職業センター 全国の地域障害者職業センター ジョブコーチ支援を行う際に必要な知識・技術の習得 ステップ1 ジョブコーチをめざす方 職場適応援助者 養成研修 ステップ2 ジョブコーチ の実務経験のある方 障害者職業総合センター・大阪障害者職業センター 職場適応援助者 支援スキル向上研修 ジョブコーチとしての支援スキルの向上 雇用管理や人材育成の「いま」・「これから」を考える人事労務担当の方 ぜひご覧ください! メールマガジン好評配信中! 詳しくは JEED メールマガジン 検索 次号予告 ●私のひとこと  障害者雇用アドバイザーとしてコンサルティングや研修などを行う障害者雇用ドットコム代表の松井優子さんに、コロナ禍における障害者雇用の現状と課題についてご執筆いただきます。 ●職場ルポ  テーマパークの運営などを行う株式会社オリエンタルランドの特例子会社、株式会社舞浜コーポレーション(千葉県)を訪問。多角的な支援と職域拡大を進める現場を取材します。 ●グラビア  検体検査機器や試薬の製造などを行うシスメックス株式会社の特例子会社、シスメックスハーモニー株式会社(兵庫県)を取材。同社で活躍する障害のある社員をご紹介します。 ●編集委員が行く  平岡典子編集委員が、宮城県立支援学校の小牛田高等学園と岩沼高等学園を取材。就労に向けた独自の取組みなどをお伝えします。 公式ツイッター始めました! 最新号発行のお知らせやコーナー紹介などをお届けします。 @JEED_hiroba 本誌購入方法 定期購読のほか、最新号やバックナンバーのご購入は、下記へお申し込みください。 1冊からのご購入も受けつけています。 ◆インターネットでのお申込み 富士山マガジンサービス 検索 ◆お電話、FAX でのお申し込み  株式会社広済堂ネクストまでご連絡ください。  TEL 03-5484-8821  FAX 03-5484-8822 あなたの原稿をお待ちしています ■声−−障害者雇用にかかわるお考えやご意見、行事やできごとなどを500字以内で編集部(企画部情報公開広報課)まで。 ●発行−−独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 発行人−−企画部長 奥村英輝 編集人−−企画部次長 五十嵐意和保 〒261−8558 千葉県千葉市美浜区若葉3−1−2 電話 043−213−6216(企画部情報公開広報課) ホームページ https://www.jeed.go.jp/ メールアドレス hiroba@jeed.go.jp ●発売所−−株式会社広済堂ネクスト 〒105−8318 東京都港区芝浦1−2−3 シーバンスS館13階 電話 03−5484−8821 FAX 03−5484−8822 3月号 定価141円(本体129円+税)送料別 令和4年2月25日発行 無断転載を禁ずる ・本誌に掲載した論文等で意見にわたる部分は、それぞれ筆者の個人的見解であることをお断りします。本誌では「障害」という表記を基本としていますが、執筆者・取材先の方針などから、ほかの表記とすることがあります。 編集委員 (五十音順) 埼玉県立大学 教授 朝日雅也 株式会社FVP 代表取締役 大塚由紀子 NPO法人大阪精神障害者就労支援ネットワーク 副理事・統括施設長 金塚たかし 岡山障害者文化芸術協会 代表理事 阪本文雄 武庫川女子大学 准教授 諏訪田克彦 あきる野市障がい者就労・生活支援センターあすく センター長 原 智彦 ホンダ太陽株式会社 社友 樋口克己 サントリービジネスシステム株式会社 課長 平岡典子 東京通信大学 教授 松爲信雄 有限会社まるみ 取締役社長 三鴨岐子 筑波大学 准教授 八重田淳 【裏表紙】 作品募集! 令和4年度 「絵画コンテスト 働くすがた〜今そして未来〜」 「写真コンテスト 職場で輝く障害者〜今その瞬間〜」  毎年9月1日〜30日は、「障害者雇用支援月間」です。国民のみなさまに障害者雇用への理解と関心を深めていただけるよう、障害のある児童・生徒や働く障害のある方々を主な対象に「働くこと」をテーマとする「絵画コンテスト 働くすがた〜今そして未来〜」と、障害のある方の仕事や職場をテーマとする「写真コンテスト 職場で輝く障害者〜今その瞬間〜」を実施します。厚生労働大臣賞受賞作品は、障害者雇用支援月間ポスターに使用し、全国のハローワークなどに掲示します。 3/1(火)〜6/15(水) 締切・消印有効 詳しくはホームページの募集要項をご覧ください。 https://www.jeed.go.jp/disability/activity/contest/index.html ★過去のポスターや入賞作品などもご覧いただけます。 JEED 絵画写真 検索 令和3年度 障害者雇用支援月間における絵画・写真コンテスト 高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長賞受賞作品 【絵画コンテスト】中学校の部 「小さな私の大きな仕事 ネイリスト」 又吉千聖さん(沖縄県) 沖縄県立鏡が丘特別支援学校3年 【絵画コンテスト】小学校の部 「ペットショップの店員になりたいな」 吉野優美さん(鹿児島県) 鹿児島県曽於市立末吉小学校3年 【絵画コンテスト】高校・一般の部 「想いを花束に代えて」 大村綾子さん(愛知県) 株式会社ネクステージ 【写真コンテスト】 「おひなさま飾りと揃いのエプロンで」 西村みずえさん(高知県) 特定非営利活動法人梼原竹ぼうきの会 写真コンテストは、プロのカメラマン以外の方であればどなたでもご応募いただけます。 イメージキャラクター“ピクチャノサウルス”(かおはカメラ、つのは絵筆をイメージしています) たくさんのご応募お待ちしています。 お問合せ先 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 雇用開発推進部 雇用開発課 TEL 043-297-9515 FAX 043-297-9547 3月号 令和4年2月25日発行 通巻533号 毎月1回25日発行 定価141円(本体129円+税)