【表紙】 令和4年6月25日発行・毎月1回25日発行・通巻第537号 ISSN 0386-0159 障害者と雇用 2022 7 No.537 職場ルポ 障害のある社員の各部署への配属を通して、社内の意識改革や職場改善をうながす 清水建設株式会社(東京都) グラビア クリーンクリーニングの技術で製造業を支える 株式会社クレール(滋賀県) 編集委員が行く 障害のある社員が「働き続けたい」と願う職場づくりのヒント 日本理化学工業株式会社(神奈川県) この人を訪ねて 「分身ロボット」で、新しい働き方の実現を 株式会社オリィ研究所 所長 吉藤オリィさん 「うどん屋さんになりたいな」香川県・村井(むらい)暖基(はるき)さん 読者アンケートにご協力をお願いします! 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 誰もが職業をとおして社会参加できる「共生社会」を目指しています 7月号 【前頁】 心のアート 伊予市森の浜 大石涼 画材:画用紙、アクリル絵の具/サイズ:390mm×540mm  とても緻密な絵を描くことが得意な涼は、手抜きなど考えずに納得がいくまで時間を忘れて作品に向き合っています。そのため、一つの作品ができあがるまで1カ月近くかかりますが、できあがったときは喜びもひとしおです。  この絵は、自宅から20kmほど離れた海に何度も出かけスケッチしてきました。消波ブロックや砂浜の小石一つひとつをていねいに描き、海や空の微妙な色の変化も絵の具を塗り重ねることで表現しています。  また、絵画だけでなく立体作品もユニークなものが多く、それらの作品をアート展や個展などで、たくさんの人に見てもらうことが何よりの喜びです。(文:母) 大石涼(おおいしりょう)  1975(昭和50)年11 月、兵庫県伊丹市生まれ。2歳のとき、松山市に転居しました。  知的障害をともなう自閉症があります。感性が豊かで、山や海が近く自然に囲まれた松山の環境で生活ができ、のびのびと育ちました。  自転車で野山を走り回ることで体も丈夫になり、絵画の制作にも意欲を見せ、いまでは施設での仕事も得意な力仕事や小物の絵つけなどで活躍しています。  愛媛県の「愛顔(えがお)ひろがる えひめの障がい者アート展」では何度も入賞し、周りの人にもその影響が及んでいるようで、施設では絵を描く人たちが多くなりました。 協力:愛媛県障がい者アートサポートセンター 【もくじ】 目次 2022年7月号 NO.537 「働く広場」は、障害者雇用の啓発・広報を目的として、ルポルタージュやグラビアなど写真を多く用いて、障害者雇用の現場とその魅力をわかりやすくお伝えします。 心のアート 前頁 伊予市森の浜 作者:大石涼 この人を訪ねて 2 「分身ロボット」で、新しい働き方の実現を 株式会社オリィ研究所 所長 吉藤オリィさん 職場ルポ 4 障害のある社員の各部署への配属を通して、社内の意識改革や職場改善をうながす 清水建設株式会社(東京都) 文:豊浦美紀/写真:官野貴 クローズアップ 10 はじめての障害者雇用U〜障害のある人が働きやすい職場づくり〜 第4回 知的障害 JEEDインフォメーション 12 令和4年度 就業支援実践研修のご案内/令和4年度「地方アビリンピック」開催地一覧/障害者職業総合センター職業センター 令和3年度成果物のご案内 グラビア 15 クリーンクリーニングの技術で製造業を支える 株式会社クレール(滋賀県) 写真/文:官野貴 エッセイ 19 多様でユニークな支援のあり方 第2回 芸術活動は、仕事になるか? Kプランニング代表 戸原一男 編集委員が行く 20 障害のある社員が「働き続けたい」と願う職場づくりのヒント 日本理化学工業株式会社(神奈川県) 編集委員 大塚由紀子 省庁だより 26 令和4年度 障害保健福祉部予算の概要(1) 厚生労働省 障害保健福祉部 研究開発レポート 28 発達障害者のワークシステム・サポートプログラム 在職中又は休職中の発達障害者に対する作業管理支援 障害者職業総合センター職業センター ニュースファイル 30 編集委員のひとこと 31 掲示板・次号予告 32 訪問型・企業在籍型職場適応援助者支援スキル向上研修 表紙絵の説明 「私はうどん屋さんが好きでこの題材を選びました。おいしいうどんを通じて、みんなが幸せになれればと思っています。この絵は特に人物を描くのがむずかしかったです。コンクールで受賞したと聞いたときは本当にうれしかったです。不登校でしたが、最近は学校に行けるようになりました」 (令和3年度 障害者雇用支援月間絵画コンテスト 小学校の部 高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長奨励賞) ◎本誌掲載記事はホームページでもご覧いただけます。(https://www.jeed.go.jp/) 【P2-3】 この人を訪ねて 「分身ロボット」で、新しい働き方の実現を 株式会社オリィ研究所 所長 吉藤オリィさん よしふじ おりぃ 1987(昭和62)年、奈良県生まれ。高校時代に電動車椅子の新機構発明で2004年の高校生科学技術チャレンジ(JSEC)で文部科学大臣賞受賞。2005年に米国のインテル国際学生科学技術フェア(ISEF)でグランドアワード3位。高専で人工知能を学び、進学した早稲田大学創造理工学部在学中に分身ロボット「OriHime」を開発し、2012年に日本青年会議所「人間力大賞」受賞。同年、株式会社オリィ研究所を設立。2016年、米フォーブス誌「30 Under 30 Asia」に選出。おもな著書に『「孤独」は消せる。』(サンマーク出版)、『サイボーグ時代』(きずな出版)。 オリヒメが接客するカフェ −−吉藤さんは2010(平成22)年に遠隔人型分身コミュニケーションロボットOriHime(オリヒメ)を開発し、現在はオリヒメを活用したカフェを運営されています。これまでの経緯を教えてください。  オリヒメで接客するカフェは、寝たきりでありながら私の秘書も務めた親友の故・番田(ばんだ)雄太(ゆうた)との間で思いついた構想でした。障害のある人や外出困難者の新しい働き方を実現していくための実験の場と考えています。カフェでは彼らが自宅などでオリヒメを操作し、接客を通してお客さんと触れ合うことでどんな心理的向上が見られるのか、一方のお客さんはどんな気持ちになるのか、といったことを調べました。2018年に東京都の虎ノ門で実施した実験カフェでよい結果を得られたことから、さらに仕事の幅を広げることも試みました。大手町や渋谷での期間限定店を経て、2021(令和3)年から日本橋で常設実験店「分身ロボットカフェDAWN ver.β(ドーンバージョンベータ)」を運営しています。  オリヒメを操作する「パイロット」の登録者は現在、全国各地に住む約70人です。一日1時間でも働けるとうれしいという方から、長く働きたいという方まで、それぞれの障害や抱えている事情に合わせてシフトを組んでいます。  ちなみに私は、人が仕事をしなくてすむための自動化ロボットや、AIロボットにはあまり興味がありません。カフェのパイロットの方たちのように、仕事をしたいと思っている人のために考え出したのがオリヒメなのです。 企業の受付や秘書業務も ――2020年には障害者就労支援サービス「AVATAR GUILD(アバター ギルド)」も始めていますね。  カフェで経験を積んだパイロットの様子を見て、「これなら遠隔地でもスムーズに働いてもらえそうだ」と考える企業や自治体などと、これまで30件以上のマッチングを成功させてきました。常用雇用のほか、一時的な請負業務なども合わせるともっと多くなりますね。  ある大手通信会社では、受付の窓口にオリヒメD(ディー)(※)を置いて、パイロットが対応しています。大手ファストフード店では無人レジカウンターの隣にオリヒメがいて、レジの使い方を案内したり、おすすめ商品を紹介したりしています。オリヒメから発せられるのは人間の生の声ですから会話も広がりやすく、なかには看板娘のような存在になった店舗もあるそうです。  こうした接客業務をはじめ、営業アシスタント、秘書業務、技術検証業務などの実績があり、企業のリクエストに合わせて新しい業務も開拓中です。 大事なのは「居場所」と「関係性」 ――オリヒメなどの分身ロボットを開発しているオリィ研究所は、ミッションとして「孤独の解消」を掲げています。  私たちがいう「孤独」の定義は「自分がだれからも必要とされていないと感じ、つらさや苦しさにさいなまれる状況」です。孤独化の要因となる移動・対話・役割といった課題をテクノロジーで解決し、社会参加の実現を目ざしています。  とくに働くことにおいては、本人が、その場にいる同僚や顧客との関係性をどうつくっていけるかを重視しています。「自分の居場所」として感じることができるか、「この人のために、このチームのためにがんばりたい」と思えるかどうかは、互いの関係性によると思っているからです。そこには単純に仕事上のつき合いだけでなく、雑談などを通して互いのバックボーンを知るといった積み重ねもあるでしょう。ですから私たちは、ある程度自由に話せる職場環境で、業務遂行の関係性に余地を残せるような働き方にしたいと考えています。  さらにもう一つ、私自身もそうでしたが、孤独だったり居場所がどこにもなかったりという環境のなか、自分がどこまで通用するのか自信もない状況で、いきなり仕事の内容だけで評価されるようなところへ就職するのは、結構たいへんです。私たちのカフェでは、できるところからスタートし、上手な先輩の様子をまねながらスキル向上にもつなげてもらっています。というのも職場には、シフトに入っていない時間帯でも操作可能なオリヒメがあって、それを使っていつでも店内の様子を見ることができるんですよ。  それから、カフェなどの職場には、休憩時間を過ごせるスタッフルームがありますよね。私たちのカフェでもVR(バーチャルリアリティ:仮想現実)空間の「バーチャル控室」をつくっています。本人たちの分身が自由に出入りできる、いわゆるメタバースですね。パイロット同士がそこで雑談したりアドバイスし合ったりしているようです。 社会とつながり続けるために ――コロナ禍を機に、オリヒメを活用する職場も増えたのでしょうか。  そうでもありません。以前は、障害のある人だけが直接会議に参加できなかったことからオリヒメの利用価値が高かったのですが、いまはオンラインが普及し、オリヒメにこだわる必要もありませんから。でも選択肢が広がるのはよいことです。オリヒメは接客業務に向いているので、その方面で広がっていくといいなと考えています。  またコロナ禍で一つよかったと感じたのは、これまで障害者をはじめ一部の人しか味わってこなかった「外出困難のつらさ」を、一般の人たちも現実に体験したことです。「オンラインで仕事すればいいじゃないか」というだけではなく、「みんなと同じように外出できないのはつらいよね」と理解してもらえたと思います。ただ今後コロナ禍が落ち着いて元通りの生活に戻ったら、そこで再び一部の人たちが取り残されてしまうのは、よりつらいことかもしれません。やっぱりみんな一緒に参加できるようにしたいのです。  先日、私たちのカフェに集まってボードゲームをしたときは、オリヒメでも参加できるようにしました。こういう機会や場をもっと広げていきたいと考えています。例えば美術館でも博物館でも、現地で気軽にオリヒメを借りて、遠くにいる人もオリヒメを操作しながら一緒に回れるようにしたいのです。外出困難な家族や友人と「昔ここに来たよね」なんて話しながら、リアルタイムに体験を共有できます。レンタルサイクルのように、全国各地にレンタルオリヒメの拠点をつくりたいですね。  外出できなくなっても寝たきりになっても、どうやって社会とつながり続けられるか。その手段である就労や娯楽を軸に、私たちは活動を広げていくつもりです。これを読まれているみなさんも、いつか何らかの障害のある人となり、外出困難や寝たきりになる可能性はありますよね。そうなったときも自分の意思で働き続けたり、だれかと楽しく過ごしたり、外の世界と自由につながる選択肢のある社会環境を、みなさんと一緒につくっていきたいと考えています。 ※オリヒメD:全長約120cmで、テレワークをしている人が遠隔での接客や物を運ぶなど、身体労働をともなう業務が可能になる分身ロボット 【P4-9】 職場ルポ 障害のある社員の各部署への配属を通して、社内の意識改革や職場改善をうながす ―清水建設株式会社(東京都)― 大手建設会社では、ダイバーシティ推進室を軸に、社内のバリアフリー化や社員の意識改革を進めながら、各部署での直接雇用を拡大してきた。 (文)豊浦美紀 (写真)官野貴 取材先データ 清水建設株式会社 〒104-8370 東京都中央区京橋2-16-1 TEL 03-3561-1111(代表) FAX 03-3561-8528(ダイバーシティ推進室) Keyword:建設業、身体障害、精神障害、聴覚障害、直接雇用、ダイバーシティ、バリアフリー POINT 1 採用面接には各部署の担当者も同席し、マッチングを見きわめ直接配属 2 現場の声を聞きながら、ハード・ソフト両面の職場改善を重ねる 3 「チャレンジフォーラム」で意識啓発、トップとの意見交換も ダイバーシティ推進室を軸に  大手ゼネコンの「清水建設株式会社」(以下、「清水建設」)が、本格的な障害者雇用に乗り出したのは2009(平成21)年ごろからだ。それまでは、法定雇用率未達成の状態が続いていたという。同年4月、人事部にダイバーシティ推進室を開設したのを機に、社内のバリアフリー化を進めながら、各部署や各支社での雇用を拡大してきた。  いまでは全従業員1万1083人のうち、障害のある従業員は172人(身体障害155人、発達障害を含む精神障害14人、知的障害3人)で、障害者雇用率は2.38%(2022〈令和4〉年4月1日現在)だという。配属先は、本社をはじめ北海道から九州まで計10事業所で、設計、施工支援、見積り、現場監督を含む施工管理、人事・総務・経理、研究などさまざまな部署で働いている。 各部署での直接雇用  人事部ダイバーシティ推進室主査の田中(たなか)幸恵(ゆきえ)さんは、開設時から上司1人とともに配属された。はじめて障害者雇用に取り組むうえで「何でもやってみよう」との気持ちで臨んだそうだ。  その一つが、2009年度から2年間にわたり厚生労働省の「精神障害者雇用促進モデル事業」に参加したことだ。しかし、すぐに大成功とはいかなかった。  「職務能力の見きわめがむずかしく、当事者の方たちも苦労していたと思います。トライアル雇用後に正式採用した途端、勤怠が不安定になってしまった方もいました」  その後、就労支援機関からのアドバイスもあり、精神障害のある従業員については、2時間程度の時短勤務から始めてもらっている。本人から「もう少し長い時間働きたい」との希望が出ることもあるが、30分〜1時間ずつ延ばし、1年かけて徐々に勤務時間を長くしていくそうだ。  全般的な採用活動については、ハローワークの合同就職面接会などに参加しつつ、人材紹介会社の有料サービスも積極的に利用した。心がけてきたのは、人事部だけで対応しないことだという。面接時から他部署の人にも同席してもらい、一緒にマッチングを判断している。面接に参加している東京支店人事部第4グループ長の横瀬(よこせ)順一(じゅんいち)さんは、「これまでの経歴を含めて細かに質問し、入社後にどんな仕事をしたいか、やれそうかをイメージしながら、本人に合いそうな部署・担当も考えます」と説明する。  はじめて受け入れを依頼する部署からは、「フォローできる社員がいない」、「できそうな仕事がない」といった理由で難色を示されることもあったが、「障害者雇用は、公共工事における会社の評価項目にもなっています」などと説明し、理解を求めた。  一方、実際に受け入れた部署からは「話してみると予想以上によい人だった」、「一緒に働くイメージがつかめた」と好反応。その様子を見ていたほかの部署から「うちでも受け入れてみたい」との声が増えていったそうだ。 新社屋のバリアフリー化  障害者雇用の推進に向けたハード面での大きな転機は、2012年の新社屋建設だった。設計担当者らから「自社ビルにこれだけの設備が本当に必要なのか」といった消極的意見もあったが、田中さんは「本社は、いわばモデルルームです。(設置義務の)地域防災センターとしての役割も含め、十分なバリアフリー化は必須です」と説明しながら進めたそうだ。  その結果、車いすユーザーも使いやすい通用口やエレベーター、オストメイト対応の多目的トイレなどを揃えたが、障害種別によっては「かえって不便」というものもあった。「例えば、廊下の壁に沿ってつけた手すりは、下肢障害の人には助かるが、視覚障害の人はぶつかることも多いといわれました。みんなが納得できる着地点を模索しながら改善を重ねています」と、田中さんは語る。  今年度は多目的トイレの改修が予定されている。理由は、両手の握力が弱い車いすユーザーには使いにくいことがわかったからだ。というのも昨年秋、右半身に障害のある従業員から「使いづらい」との声を聞き、あらためて社内の車いすユーザーからアンケートをとったところ、実態が判明した。お腹の調子が悪いときは上司に相談し、在宅勤務に切り替えていた人もいたという。そして便座の両隣に台を置けば、そこに手をつくことで安定して移動できることもわかったそうだ。 トップダウンで意識改革  経営陣からのトップダウンによる意識改革も進んだ。2013年、障害者雇用の新しいモデル確立を目ざして20数社により設立された「一般社団法人企業アクセシビリティ・コンソーシアム(ACE)」に、当時清水建設の社長(現会長)で、ダイバーシティ推進の旗振り役だった宮本(みやもと)洋一(よういち)さんが、発起人として参画。現在は理事に就任している。  社内での取組みも活発化した。「障害者雇用」をテーマにしたeラーニング全員受講をはじめ、聴覚障害のある従業員のためのUDトーク導入、「同僚の車いすユーザーが一緒に泊まれない」との声で実現した宿泊型研修所のバリアフリー化などだ。また、全従業員対象の避難訓練に加え、本社で障害のある従業員を対象にした避難訓練も行っている。訓練にはサポーター社員も一緒に参加するが、聴覚障害のある人からは「煙でなにも見えない状態のとき、逃げるにはどうしたらよいのか」といった課題提起もあり、改善策を検討しているという。  2018年からは、障害のある従業員の活躍推進と全従業員の意識啓発を目的とした「チャレンジフォーラム」を毎年開催。きっかけは会長の宮本さんからの「障害のある従業員と、直接対話できる機会がほしい」との要望だった。  このイベントには、全国の事業所から障害のある従業員60人以上と、上司や同僚ら150人以上が参加し、トークセッションやパネルディスカッションを実施している。障害のある従業員らが登壇して障害や仕事への向き合い方、職場や社会に求められることなどを語る。参加者からは「職場ではなかなか話す機会がないので、今後も開催してほしい」といった感想が寄せられている。  フォーラム後には、障害のある従業員と経営トップによる懇談会も開かれ、日ごろ感じていることや意見を直接伝えている。ここで出た意見をきっかけに、社内診療所のドアの自動化、在宅勤務の制限緩和(週1回→2回、時間単位の勤務可など)も実現した。また、設備改修については現社長の井上(いのうえ)和幸(かずゆき)さんから「たとえそれを使う人が一人でも、やりなさい」という声に背中を押されたそうだ。コロナ禍では大規模なフォーラムを開催できなかったが、本社内の従業員を対象に経営トップとの懇談会が開催された。 各部署で働く従業員のみなさん  東京支店や本社に勤務する従業員のみなさんにも話を聞いた。 ●社内講師として啓発に努める  東京支店人事部第4グループの中田(なかだ)雅己(まさみ)さん(41歳)は、生後3カ月で左上半身の体幹機能障害と診断され、運動や歩行に不自由があるそうだ。大学で経営情報を専攻した中田さんは、就職活動中にハローワークの合同説明会に参加し、2004年に入社した。これまでに専門ソフトを使った産業廃棄物管理票のチェック作業や、大がかりなシステムデータのとりまとめ業務も任されてきたそうだ。左上半身が不自由なため、社員食堂でトレーを運べないといった苦労もあるが、「見かけた同僚たちが気軽に助けてくれます」と笑顔で話す。  中田さんは現在、社内で人権啓発研修の講師も務めている。昨年だけで2千人超の従業員を相手にオンラインで話した。「自分でも勉強しながら、全従業員に受講してもらうことを目標に日々、伝える努力をしています」と意欲的に語ってくれた。 ●体操選手から転身  中田さんと同じ東京支店人事部第4グループの若狭(わかさ)天太(てんた)さん(25歳)は、大学で体操競技に打ち込み、卒業後は実業団に入ることが決まっていたという。ところが卒業式の10日前、吊り輪の練習中に落下し、頚椎(けいつい)損傷で肩から下に麻痺(まひ)が残った。そして、国立障害者リハビリテーションセンターで1年間のリハビリ後、当機構が運営する国立職業リハビリテーションセンターで建築CADを1年学んだそうだ。  就職先に清水建設を志望した理由は「会社のホームページで、障害のある従業員が主役のチャレンジフォーラムというイベントを知り、働きやすい環境だと感じたから」だという。国立職業リハビリテーションセンターの紹介で2021年4月に入社した。  職場では、経理業務などデスクワークを担当しているが、両手の握力がほぼないため、自分なりに工夫もしている。例えば、過去の伝票を棚から探し出す作業が困難なことから、あらかじめ伝票をスキャニングしておき、必要なときはすぐにパソコン上で確認できるようにした。タイピングも困難なため、スマートフォンのフリック入力で操作できるソフト「フリックタイパー」を使っている。上司の横瀬さんは「本人と相談して、会社で購入しました。若狭さんにかぎらず若い人はフリック入力のほうが速いようですね」といい、こう話す。  「彼は指が動かない。『だからできない』ではなく、『どうしたらできるか』を考えるだけです。作業で困難な部分をカバーする方法を一緒に考え、苦手ではない部分の仕事の幅を広げています。彼の長所は、人とのコミュニケーション力や発信力なので、最近は社員教育の業務にも参加してもらっています」  若狭さんは車いすラグビーにも挑戦している。社会人チームに所属し月1回、福島県での練習に参加。「夢はパラ五輪出場です」と語る若狭さんに、横瀬さんも「彼が競技を続けられるよう、部内で情報を共有しながら、仕事の調整もしていくつもりです」と応援する。 ●スノーボードでパラ五輪出場を目ざす  2021年入社の東京支店総務部の坂下(さかした)恵里(えり)さん(30歳)も、スノーボード種目でパラ五輪出場や「パラスノーボードの普及拡大」を目ざしているそうだ。以前はテレビ制作技術会社でカメラを担当していたが、4年前にバイク事故で左のひざ下を切断。半年の入院後、義足で職場復帰したものの、仕事を続けることに限界を感じ退社した。その後は事務職やコールセンターの顧客対応担当も経験したという。  もともと運動が得意だった坂下さんは、事故の翌年からスノーボードに挑戦し、数年後には次世代育成選手に選出された。本格的に競技に取り組むためにも「練習や遠征がしやすい就労環境を」と、障害者雇用専門のエージェントを通じパラ五輪のスポンサーでもあった清水建設に出会ったという。義足を使っていることから、入社時に会社に確認したうえで、スニーカーで通勤している。  職場では、現場事務所などの契約書チェックのほか、支払い調書や課税書類などの取りまとめを担当している。  「最初は緊張していたのですが、周囲のみなさんが何かと声をかけてくださったのがありがたかったです。他部署との交流が活発で、風通しがよい職場だと感じています。いずれは自分が、下からも上からも頼られる存在になりたいと思っています」  競技活動については、年次有給休暇を使って参加し、足りない場合は欠勤扱いになるが、競技と仕事の両立を図るためにも、現場の上司と相談しながら試行錯誤しているそうだ。 ●国際コンテストで日本人初の快挙  先天性の上下肢障害のある渡邉(わたなべ)美土里(みどり)さん(36歳)は、美術大学で建築系の空間デザイン全般を学び、建築事務所でアルバイトもしていた。デザイナーとして就職活動をしていたが、なかなか決まらず、障害者雇用専門のエージェントを介して清水建設に2009年に入社したという。  渡邉さんが配属されている本社設計本部デジタルデザインセンターのデジタルソリューショングループは、建物のパース(※)やCG、動画などをつくる部署だ。ここで腕を磨いてきた渡邉さんは2015年、国際建築パースコンテスト「アーキテクチャー・イン・パースペクティブ(AIP)」において、日本人初の最優秀賞受賞という快挙を成しとげた。渡邉さんを入社時から指導してきたデジタルデザインセンター長の上田(うえだ)淳(じゅん)さんは、「当初はCG製作も未経験でしたが、ガッツのあるタイプで、どんどん技量を上げながら仕事の領域を広げていきました」とふり返る。  渡邉さんの快挙を社内報で伝えるとき、周囲からは「わざわざ障害があると書かなくてもいいのでは」という声があった。しかし渡邉さんは「ぜひ書いてほしい」といったそうだ。  「障害を公表することで、障害のある従業員や障害者雇用に対する社内の意識もさらに変わるのではないかと考えたからです。私自身が就職活動に苦労したので、障害に関係なく力を発揮できることを知ってもらい、少しでも障害の垣根を低くしたいと思いました」  実際に渡邉さんは社内外で一気に注目され、「ぜひ世界一の人に」と製作を依頼してくる同僚も少なくない。最近は、積み上げてきた経験やノウハウを後輩たちに伝えるため、勉強会などを任されているそうだ。 業務の改善や工夫も進む  中田さんや若狭さんと同じ東京支店人事部第4グループの島田(しまだ)真由美(まゆみ)さんに、日ごろから障害のある従業員と一緒に働くなかで、心がけていることを聞いた。  「障害にも、目に見えるものと、そうでないものがあるので、日ごろから会話を絶やさず、できること・できないことを遠慮なくいってもらえる雰囲気づくりが大事だと思っています」  障害のある同僚がいることで、業務について「本当に必要かどうか」の見直しも進んだそうだ。わずらわしい手作業を減らし、文書のデータ化をはじめ業務確認もチャット機能やメールで文字化することで、業務の流れが整理された。「コロナ禍では、私たちのグループがもっともスムーズに在宅勤務を導入できました」と島田さん。  田中さんも「オンライン会議の導入時は、聴覚障害のある同僚からライブキャプション(字幕表示)やトランスクリプション(文字起こし)などの機能を教えてもらうなど、とても助けてもらいました」としつつ、「私たちが今回感じた移動制限のストレスや、人とのつながりが希薄になったさびしさなどは、障害のある人たちが普段から感じているものかもしれないとの気づきもありました」とつけ加えた。 モノづくりにも反映  これまで各部署での直接雇用が進んできたことの影響について、田中さんは「職場内に障害のある人が増え、存在が珍しくなくなったことが、双方にとってよい環境になっているようです」とふり返る。  障害のある従業員からは「特異な目で見られなくなった」、「不便だと思っていても『自分だけなら』といい出しにくかったことが、同じ障害のある人のためならと声をあげられるようになった」という話も聞いたそうだ。  「いってもいいんだ、という雰囲気づくりが、職場の心理的安全性にもつながっていると実感しています」  一方で障害については、オープンにして配慮を希望する人もいれば、「業務に制限をつけられる」、「キャリアステップに必要な経験が積めないのでは」と不安をもらし、希望しない人もいるという。田中さんは、「本人の意向に沿いながら、会社としてどこまで配慮できるか。ナチュラルサポートへの移行も視野に入れながら、これからも試行錯誤していきます」と話してくれた。  一方で一般従業員からは「一緒に働くようになってから、街中で見かける障害のある人にも目が向くようになった」という声を聞く。最近も、土木部門で車いすユーザーの講演を聞く機会があった。「電車に乗るときに毎回介助してもらうが、一人でも乗れる仕組みがあるといい」と聞き、「建設会社として、何かできることがあるのではないか」と話し合ったという。ちなみに清水建設では2014年から音声ナビゲーションシステムの開発を始め、2018年にスマートフォンアプリ「インクルーシブナビ」として実用化した実績もある。田中さんが語る。  「障害のある人の視点に立った、ちょっとした気づきが、私たちの本業であるモノづくりにも反映していけるのだと信じています。SDGsの理念にもあるように、これからも、『だれ一人取り残さない』との考え方を意識して、みんなで一緒に仕事に取り組んでいけるような職場にしていきたいですね」 ※ パース:「perspective drawing(パースペクティブ ドローイング)(透視図)」の略。建物などを立体的に表現した図のこと 写真のキャプション 清水建設株式会社人事部ダイバーシティ推進室主査の田中幸恵さん 東京支店人事部第4グループ長の横瀬順一さん 2021年に開かれたチャレンジフォーラム(写真提供:清水建設株式会社) 2017年に行われた避難訓練の様子(写真提供:清水建設株式会社) 社屋の各所に設置された手すり 東京支店人事部第4グループの中田雅己さん 研修受講者リストの管理業務を行う中田さん 東京支店人事部第4グループの若狭天太さん スマートフォンで入力業務を行う若狭さん フリックタイパーやトラックボールを使いパソコンを操作 東京支店総務部の坂下恵里さん 契約書の確認作業を行う坂下さん 設計本部デジタルデザインセンターの渡邉美土里さん 渡邉さんは、画像処理ソフトを駆使し、建築パースやCG などを製作している 国際建築パースコンテスト「AIP」授賞式の様子(写真提供:清水建設株式会社) 設計本部デジタルデザインセンター長の上田淳さん 東京支店人事部第4グループの島田真由美さん 【P10-11】 クローズアップ はじめての障害者雇用U 第4回 知的障害 〜障害のある人が働きやすい職場づくり〜  これから障害者雇用に取り組もうとしているみなさまへの入門企画として、障害のある人が働きやすい職場環境を整えるために、どのようなことを行っていったらよいのか、取組み方法や事例を紹介します。第4回は、「知的障害のある人」が働きやすい職場づくりについてお伝えします。 知的障害の特性と配慮するポイント 〈知的障害とは〉  知的な発達に遅れがあり、意思疎通や日常的なことがらに支障が生じているため、援助が必要な状態のことです。  知的な発達に遅れがあるといっても、すべての能力の発達が遅れているわけではありません。「話し言葉は理解できるが、文章の理解や表現が苦手」、「言葉による指示より視覚的な指示の方が理解しやすい」という人もいます。個人差があるので、知的レベルだけで職務遂行能力を判断せず、本人の特性に合わせた配慮が求められます。 〈職場における配慮事項〉  混乱を避けるために、指導担当者をはっきりとさせることが大切です。仕事を教えたり、指示をする際は、「あれ」、「それ」、「適当に」などのあいまいないい方や抽象的な表現は避け、絵や図を活用したり、実際にやって見せて、次に本人が行い、理解を確かめるなど工夫することが効果的です。  また、業務だけではなく、職場内や通勤時に必要な安全ルールなどについても、講義だけではなく、具体的に理解できる方法で教えていくことも求められます。 知的障害者のための就労支援機器の例 ●レジ業務支援システム  販売業務のなかでレジスタ業務が行えるように支援する機器。「数が同じ」、「同じもの」という概念が理解できれば業務遂行できるよう設計されている ●作業スケジュール管理支援機  絵や写真や文字などで次の行動を示したカードをセットし、タイマー機能を組み合わせて、知的障害のある人が作業スケジュールを自己管理できるよう支援する機器 ●タイマー  視覚的にわかりやすい60分タイマー。アナログ時計で時間を理解することがむずかしい人でも目で見て、残り時間がわかる 事例 株式会社ハチカン(青森県八戸市) ◆事業内容  食料品の製造・加工および販売(調理冷凍食品、缶詰、びん詰、レトルト食品) ◆従業員数  687人(2022年4月1日現在) 実作業に近い形で安全教育ができる「安全教習所」  株式会社ハチカンでは、2022(令和4)年4月現在、知的障害のある社員が9人働いています。  「知的障害のある社員には、おもに工場内で製造業務や清掃などを担当してもらっています。重い荷物を運搬したり、調理用の機械があったりと、一歩間違えると大きな事故につながる可能性があります。そのため、社員への安全教育は社内に設置した『安全教習所』で実施していますが、障害のある社員には、特別な配慮をして行っています」と業務部労務課の長根(ながね)浩(ひろし)さんは話します。  安全教習所では、指差し確認の練習や適切な安全保護具着用についての教育などを行い、"機械への巻き込まれ"や"床での滑り"などの労働災害の擬似体験ができます。  「安全教習所は、障害者雇用に本格的に取り組み始めた2011(平成23)年に、知的障害のある社員にもわかりやすい安全教育の必要性が高まったことをきっかけに設置されました。受講後に確認テストを実施するのですが、知的障害のある社員は、書面でテストを実施することが困難な場合もあり、○×の二択式で、口頭でテストを行ったり、×の場合には、なぜダメなのかの理由を答えさせるなど、具体的な理解を深められるように工夫しています」と長根さんは教えてくれました。 世話役がマンツーマンで指導  日々の業務にあたっては、知的障害のある社員一人に対し、世話役の社員が必ず一人配置され、現場での安全、衛生、作業面の指導をマンツーマンで受け持っています。長根さんが話します。  「世話役の社員には、障害者職業生活相談員(※)資格を取得してもらっています。面倒見のよい女性社員が多く担当しており、障害のある社員をみんなで支えていこうという雰囲気づくりの中心にもなってくれて助かっています。当社に勤務する知的障害のある社員は、業務に集中して取り組む真面目な性格の人が多いのですが、臨機応変な判断を苦手とする部分があり、体調不良を言葉でうまく伝えられないことなどもあるので、休憩時間には、医務室の看護師が様子を見に行くなど、一人ひとりの特性に応じたフォローを行っています」 だれにでもわかりやすい表示が事故防止に役立つ  ハチカンの工場では、月に1回、社員による安全パトロールが実施され、事故の可能性が高い箇所などを確認しています。  「危険箇所がどこなのかが、ひと目でわかるようなハザードマップを作成して、全社員の目につくところに掲示しています。幸い、ここ3年ほどは事故がありませんが、事故が発生した場合には、その検証や改善策の検討に本人も参加し、本人の障害特性などを考慮した再発防止策を講じています」と、長根さんが説明します。  「文字情報を受け取ることがむずかしい人もいるので、危険な場所を表す標識などにピクトグラムを使用することも増えてきました。ピクトグラムは、外国人実習生にもわかりやすい目印となっており、直感的に一目でわかる表示を目ざすことで、社員の意識や理解度が深まり、事故防止や再発防止につながっていると感じています」 外部支援機関の活用と人材育成  知的障害のある社員の採用と定着にあたっては、外部支援機関の支援も積極的に活用しているそうです。  「トライアル雇用期間にジョブコーチから、業務内容の理解促進やコミュニケーション方法などのサポートを受けることで、安心して受け入れることができています。また、近年は知的障害者を狙った犯罪などについて耳にすることが増えてきました。このような問題についても、支援機関と情報共有をしながら今後の指導を強化していくつもりです。そのほかには、知的障害のある社員が職場に加わることにより、職場の雰囲気が和やかになってきました」と、長根さんは感じているそうです。  「障害のある社員も働きやすいようにしていこうという空気が、職場の雰囲気をよくしていると思います。2011年から知的障害のある社員を雇用していますが、別の目標を見つけて転職した一人を除き、全員がいまも当社で働き続けてくれています。経営者が障害者雇用に前向きであることと、それに理解を示す社員がいることが、このような結果につながっていると感じています」 ※当機構ホームページでご紹介しています。 障害者職業生活相談員 検索 写真のキャプション 安全教習所の模擬機械。実際に現場で働く前に、模擬的な実習を行うことができる 世話役の社員が一対一で指導しながら作業にあたる。世話役(左)と知的障害のある社員(中央) 重い荷物を運ぶ重作業などを、体力のある知的障害のある社員がになっている どのような状況や場所が事故につながりやすいのかが一目でわかるハザードマップ (写真提供:株式会社ハチカン) 【P12-14】 JEEDインフォメーション 〜高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)からのお知らせ〜 全国14エリアで開催します! 令和4年度 就業支援実践研修のご案内  当機構では、医療・福祉などの関係機関で障害のある方の就業支援を担当している方を対象に、就業支援の実践力を高めるための「就業支援実践研修」を、全国14エリアで開催します。  みなさまの受講を心よりお待ちしています。 対象者 労働、福祉、医療、教育などの関係機関の職員であって、2年以上の実務経験のある就業支援担当者 内容 【障害別コース:3コース(各コース1日間)】 ■精神障害コース ■発達障害コース ■高次脳機能障害コース エリア・時期・定員等 ■開催エリア:  @北海道 A北東北 B南東北 C南関東 D北関東 E甲信越 F北陸  G東海  H近畿  I中国  J四国  K北九州 L南九州 M沖縄 ■開催時期:令和4年10月〜12月 ■日程・会場・定員等:  詳細は、当機構ホームページをご確認ください。 お申込み ■申込方法:  申込用紙は、当機構ホームページからダウンロードできます。  希望するエリアおよび障害別コースの申込先の地域障害者職業センターあて、メールまたは郵送でお申し込みください。 ■申込受付期間・申込先:  エリアごとに申込先を設けておりますので、当機構ホームページをご確認ください。 ■受講決定:  メール等で順次連絡いたします。 受講料無料 ステップアップ方式の研修体制となっています! ステップ1 初めて担当する方 就業支援基礎研修 就業支援の基礎づくり 全国の地域障害者職業センター 就業支援 課題別セミナー 新たな課題やニーズに対応した知識・技術の向上 障害者職業総合センター (千葉県千葉市) ステップ2 2年以上実務経験のある方 就業支援実践研修 アセスメント力と課題解決力の向上 精神障害/発達障害/高次脳機能障害 コース 全国14エリアの地域障害者職業センター ステップ3 3年以上実務経験のある方 就業支援スキル向上研修 障害特性に応じた支援スキルの向上 精神障害/発達障害/高次脳機能障害 コース 障害者職業総合センター (千葉県千葉市) お問合せ先 職業リハビリテーション部 研修課 TEL:043-297-9095 E-mail:stgrp@jeed.go.jp URL:https://www.jeed.go.jp/ 就業支援実践研修 検索 ※お申込みが定員を超える場合は、人数の調整をさせていただくことがあります。  また、新型コロナウイルス感染症の影響により、エリアによっては、開催時期の変更等をする場合がありますので、ご了承ください。 ◆令和4年度「地方アビリンピック」開催地一覧◆ 各都道府県における障害者の技能競技大会「地方アビリンピック」が下記の日程で開催されます。 詳細は、「地方アビリンピック」ホームページをご覧ください。 アビリンピック マスコットキャラクター 都道府県 開催日 会場 北海道 10月1日(土) 北海道職業能力開発促進センター 青森 @A10月26日(水) @10月29日(土) @青森職業能力開発促進センター/Aホテル青森 岩手 7月30日(土) 岩手県立産業技術短期大学校矢巾キャンパス 宮城 7月9日(土) 宮城職業能力開発促進センター 秋田 7月15日(金) 秋田市文化会館 山形 7月6日(水) 山形国際交流プラザ(山形ビッグウイング) 福島 7月9日(土) 福島職業能力開発促進センター 茨城 7月9日(土) 7月10日(日) 茨城県職業人材育成センター 栃木 7月9日(土) 栃木職業能力開発促進センター/SHINBIデザインスクール 群馬 7月2日(土) 群馬職業能力開発促進センター 埼玉 7月2日(土) 国立職業リハビリテーションセンター 千葉 11月26日(土) 千葉職業能力開発促進センター 東京 2月中旬〜下旬(土)(予定) 東京障害者職業能力開発校/職業能力開発総合大学校 神奈川 @10月15日(土) A10月29日(土) @関東職業能力開発促進センター A神奈川障害者職業能力開発校 新潟 9月10日(土) 新潟市総合福祉会館/ホテルグローバルビュー新潟 富山 7月23日(土) 富山市職業訓練センター/富山県技術専門学院 石川 10月16日(日) 石川職業能力開発促進センター 福井 7月9日(土) 福井県立福井産業技術専門学院 山梨 10月2日(日) 山梨職業能力開発促進センター 長野 7月23日(土) 長野職業能力開発促進センター 岐阜 7月2日(土) ソフトピアジャパンセンター 静岡 @6月26日(日) A7月2日(土) B7月3日(日) @静岡職業能力開発促進センター/A静岡市東部勤労者福祉センター 清水テルサ/B学校法人静岡理工科大学 静岡デザイン専門学校 愛知 @6月4日(土) A6月5日(日)  6月11日(土) B6月12日(日) C6月18日(土) D6月25日(土) @大成今池研修センター/A愛知障害者職業センター/B専門学校日本聴能言語福祉学院/C愛知県立名古屋聾学校/D中部職業能力開発促進センター 三重 6月25日(土) 三重職業能力開発促進センター 都道府県 開催日 会場 滋賀 11月26日(土) 近畿職業能力開発大学校附属 滋賀職業能力開発短期大学校 京都 2月中旬 京都府立京都高等技術専門校/京都府立京都障害者高等技術専門校 大阪 @〜B 6月18日(土) @7月2日(土) @関西職業能力開発促進センター/A社会福祉法人日本ライトハウス視覚障害リハビリテーションセンター/B社会福祉法人大阪市障害者福祉・スポーツ協会 大阪市職業リハビリテーションセンター 兵庫 6月18日(土) 7月2日(土) 兵庫職業能力開発促進センター 奈良 7月23日(土) 奈良職業能力開発促進センター 和歌山 6月5日(日) 和歌山職業能力開発促進センター 鳥取 6月30日(木) 鳥取県立福祉人材研修センター 島根 7月9日(土) 島根職業能力開発促進センター 岡山 @6月25日(土) A7月16日(土) @岡山障害者職業センター/A岡山職業能力開発促進センター 広島 1月7日(土) 広島職業能力開発促進センター 山口 10月15日(土) 山口職業能力開発促進センター 徳島 9月17日(土) 徳島職業能力開発促進センター/徳島ビルメンテナンス会館 香川 2月上旬〜中旬(予定) 未定 愛媛 7月9日(土) 愛媛職業能力開発促進センター 高知 @7月2日(土) A7月9日(土) @高知職業能力開発促進センター/A学校法人龍馬学園 龍馬デザイン・ビューティ専門学校 福岡 @7月2日(土) AB7月9日(土) @福岡県立福岡高等技術専門校/A福岡障害者職業能力開発校/B福岡職業能力開発促進センター 佐賀 1月頃 佐賀職業能力開発促進センター 長崎 7月9日(土) 長崎職業能力開発促進センター 熊本 6月25日(土) 6月26日(日) 熊本職業能力開発促進センター 大分 10月1日(土) 大分東部公民館 宮崎 7月9日(土) 宮崎職業能力開発促進センター/宮崎県ビルメンテナンス協会 鹿児島 7月9日(土) 7月10日(日) 鹿児島職業能力開発促進センター 沖縄 7月23日(土) 沖縄職業能力開発大学校 地方アビリンピック 検索 アクセスはこちら! ※2022年6月9日現在 新型コロナウイルス感染症の影響により、変更される場合があります 開催地によっては、開催日や種目などで会場が異なります 参加選手数の増減などにより、変更される場合があります 障害者職業総合センター職業センター 令和3年度成果物のご案内  当機構の障害者職業総合センター職業センターでは、就労支援の現場で、発達障害、精神障害、高次脳機能障害の方々や事業主等に対しよりよい支援を提供するために、新たな職業リハビリテーション技法の開発と改良を行っています。令和3年度は、作業管理上の課題を持つ発達障害者への支援技法の開発などを行いました。みなさま方の支援のヒントになれば幸いです。 障害者職業総合センター(NIVR)ホームページから、全文やすぐに使える資料等をダウンロードできます。 https://www.nivr.jeed.go.jp/center/index.html 発達障害のある方への支援技法開発の成果 「発達障害者のワークシステム・サポートプログラム在職中又は休職中の発達障害者に対する作業管理支援」 実践報告書No.39(令和4年3月発行)  発達障害者の職場定着を進める際は、苦手といわれる作業遂行の管理(マネージメント)能力を高める支援が重要です。そこで、本報告書では、作業の一連の工程を的確に処理しタスクを完了する力(作業管理能力)をアセスメントする際の視点や方法を紹介するとともに、これらの視点に沿って、作業管理を行う際の課題を把握し対処方法を検討するためのツールを開発しました。  同じミスをくり返すなどの作業管理上の課題をもつ発達障害者とともに、課題を分析したり、対処方法を検討する際にお役立てください。 ※今号28〜29ページに詳しく掲載しています。 精神障害のある方への支援技法開発の成果 「ジョブデザイン・サポートプログラムジョブリハーサルの改良」 支援マニュアルNo.21(令和4年3月発行)  うつ病などで休職中の方が、復職に向けて学んだ知識などを職場に近い環境で検証するための「ジョブリハーサル」の改良版支援マニュアルです。  今回の改良では、業務遂行能力に関する評価項目や、感染症対策のために単独で実施できるタスクワークを取り入れました。また、職位ごとに求められる役割を設定した実施パターンを設けるなど、企業や支援機関のニーズをふまえた改良を行いました。 高次脳機能障害のある方への支援技法開発の成果 「高次脳機能障害者の復職におけるアセスメント」 実践報告書No.40(令和4年3月発行)  高次脳機能障害者の復職の際は、休職者と事業主双方の情報を幅広く収集し、復職のタイミングに間に合うよう計画的な支援の実施が求められます。そのため、情報収集、支援課題の把握、支援方針の策定、事業主との情報共有を円滑に行うための支援ツールを開発し、それらのツールの体系的な活用方法を取りまとめました。  高次脳機能障害者の職場復帰支援を進める際、特に事業主との調整方法を検討する際にお役立てください。 <お問合せ先>職業センター 企画課 調整係 TEL:043-297-9043 【P15-18】 グラビア クリーンクリーニングの技術で製造業を支える 株式会社クレール(滋賀県) 取材先データ 株式会社クレール 〒522-0314 滋賀県犬上郡多賀町大字四手字諏訪348-3 TEL 0749-48-2234 FAX 0749-48-2239 写真・文:官野貴  「参天製薬株式会社」の特例子会社として、1997(平成9)年に設立された「株式会社クレール」では、参天製薬の医薬品製造工程で使用する無菌衣、無塵衣(むじんい)のクリーンクリーニング(※1)や、参天製薬の工場内と工場に併設するビルの清掃、医薬品製造の準備工程作業などを請け負っており、知的障害などのある社員30人が活躍している(2022〈令和4〉年4月取材時)。  クレールが手がけるクリーンクリーニングは、「GMP」と呼ばれる「医薬品の製造管理および品質管理に関する基準」に準じて、「クラス10000」レベル(約30センチメートル立方中に0.5μmの微粒子が1万個以下)のクリーンルームで、洗濯、乾燥、折りたたみ、袋詰め、滅菌が行われている。現在では、参天製薬以外にも、滋賀県内の製薬会社工場や精密機器工場などで使用される作業衣のクリーニングも手がけており、親会社のみならず、地域の製造業に欠かせない存在となっている。  製造工程準備業務では、医薬品製造にかかわる教育(GMP関連教育)を受けて合格した者が、材料の入荷作業、材料包装の開梱作業、工場内移動用コンテナの消毒や移送を担当している。2022年4月からは、製造された製品をロンドレーショントレイ(波形緩衝材)へ箱詰めする「集積班」の業務がスタートした。  そして、同社では「業務検定」という社内検定を実施し、社員の技術向上を目ざしている。この検定により、社員が努力目標を設定しやすくなり、通常の業務以外の新しいことにチャレンジするきっかけや、技術の数値化にも役立っているという。さらに、外部の「漢字検定」や「各種資格取得」にチャレンジする社員のために、費用の支援や社内勉強会を行い、社員の成長をうながしている。また、自分のスキルを客観的に評価し、社外の優れた技術を吸収する機会として、アビリンピック(※2)への出場を積極的に行っている。 ※1 クリーンクリーニング:クリーンルームで使用されるウェアの特殊クリーニングのこと ※2 当機構ホームページでご紹介しています。https://www.jeed.go.jp/disability/activity/abilympics/index.html 写真のキャプション クレールの本社社屋。会社名はフランス語で「透明な」、「純粋」を表す「Claire」に由来する クリーンクリーニング業務 阪口(さかぐち)龍二(りゅうじ)さん @入荷した作業衣を服種やサイズ別に仕分けを行う。  クリーニング部門のセクションリーダーを務める阪口さん(左)は、「みんなが、ケガなく楽しく働ける職場にしたい」と話す A仕分けた作業衣を洗濯機に投入する。  洗濯機は、より安全に作業できるようにスイッチが改良されている B洗濯、乾燥を終えた作業衣を折りたたむ。  作業は空気圧調整、エアーロックなどを備えたクリーンルームで行われる 疋田(ひきだ)秀樹(ひでき)さん 「クリーニング1班」サブリーダーとして、作業の進捗管理や品質チェックも担当する疋田さんは、「作業衣を着る方のことを考えて、きれいに折りたたんでいます」と話す CQRコードの読み取り。滅菌された無菌衣は、QRコードで管理される。  この作業も、「クリーニング業務検定」の種目の一つ Dクリーニングを終えた作業衣を運送業者に引き渡す。  入荷から出荷の作業まで、障害のある社員が責任を持って担当する 製造工程準備業務 佐藤(さとう)奈穂美(なほみ)さん 「集積班」の業務を担当する佐藤さんは、「製造工程準備」の業務もこなす。 「箱詰め作業はむずかしいですが、患者さんに製品を届けるためにがんばっています。責任ある仕事に就けることがうれしい」という 自動倉庫への入出庫作業をパソコンで行う佐藤さん 昨年、「第41回全国アビリンピック」に出場。「製品パッキング」競技中の佐藤さん 工場内清掃業務 工場内や併設するビルの清掃を担当する「クリーン班」。アビリンピックでの経験が業務でも活かされる 「準備班」では、フォークリフトの運転資格を持つ社員が活躍。クレールでは8人が資格を取得している 【P19】 エッセイ 多様でユニークな支援のあり方 第2回 芸術活動は、仕事になるか? Kプランニング代表 戸原一男 戸原一男(とはら かずお)  約13年前から「SELP訪問ルポ」(日本セルプセンターWEBサイト)や『月刊福祉』(全国社会福祉協議会出版部)にて、290カ所以上の障害者就労支援施設の取材記事を連載する。施設職員を対象とした工賃向上研修会の講師実績も多数。  おもな著書として、『障害者の日常術』(晶文社)、『障害者アートバンクの可能性』(中央法規出版)、『パソコンで絵を保存しよう』(日本エディタースクール出版部)、『ブレイブワーカーズ』(岩波ブックセンター)、『はるはる日記』(Kプランニング)、ほか。 仕事とは無縁だった障害者の芸術活動  いまでこそ障害者の芸術作品は「アール・ブリュット」(※)として専門家からも高い評価を受けているものの、数十年前まではそんな世界など想像もできなかった。ここに風穴を開けたのが、1986(昭和61)年に社会福祉法人東京コロニーが設立した「アートビリティ」である。障害者の描いた絵画を撮影してデジタルデータでストックし、印刷メディアなどに有料で貸し出しするという事業だ。  現在ではすっかりお馴染みになった事業スタイルだが、当時としては障害のある人が描いた絵(正確には複製物)の利用料として、お客さんから「お金をもらう」発想は画期的だった。しかもメディア向きの絵を揃えるために、作品選考は美術専門家ではなくグラフィックデザイナーが担当した。その結果、労働組合や大手企業などが競って冊子やカレンダーなどに年間約400点以上も採用するようになったのである。 音楽や絵画活動だけの仕事場もある  アートビリティの成功は、障害のある人の芸術活動を、関係者が「事業」として再認識するきっかけとなったのではないか。  障害者アートの可能性を世の中に訴え続けてきたNPO法人エイブル・アート・ジャパンも、2007(平成19)年から「エイブルアートカンパニー」を設立し、メディアへの貸出事業を始めている。その後、続々と各地で同じスタイルの活動を進める組織が生まれ、専用の撮影スタジオを備えて作品のデジタルアーカイブ構築に力を注ぐ「天才アートKYOTO」という団体も現れた。  音楽や絵画などの芸術活動だけを作業科目とし、高い工賃を実現している就労継続支援B型事業所「JOY倶楽部」もある。障害のある人たちがプロ顔負けの演奏隊を編成し、各地で有料コンサートを開催しているのだ。街中で行う絵画のライブパフォーマンスも人気を集め、原画やグッズ販売が好調だという。立ち上げ時には「芸術活動だけで工賃が稼げるはずがない」と反対意見も多かったらしいが、いまや時代の最先端をいく施設として注目されている。 福祉を超えた本格的なアート事業の確立を  さらにいま、注目すべきなのは「株式会社ヘラルボニー」の活動だろう。「異彩を、放て。」をミッションに若き経営者が立ち上げた福祉ユニットで、大手企業とのダイナミックなコラボレーション事業を次々に実現させている。軸となる活動は、知的障害のあるアーティストとライセンス契約を行い、オリジナルブランド「HERALBONY(ヘラルボニー)」として製品を流通させていくことだ。  既存の福祉団体との決定的な違いが、製品レベルの圧倒的な高さだろう。例えばネクタイなら、プリントではなく500〜600本の糸を織り込むことで原画を再現。アート性を存分に活かした仕上がりとなっている。1本3万5200円という価格設定にもかかわらず、高級ギフト用品として根強い人気を誇る。  障害者アートをビジネス化するという究極の形が、まさにここにあるといっていい。「芸術活動は、仕事になるか?」という問いかけは、それ自体が(なかなかそれを活用しきれない)福祉関係者を代弁しているような気もする。障害のある人たちが描く作品には、自分たちが考えている以上に可能性があるという認識を、支援者側はもっと強く持つべきなのではないか。 ※アール・ブリュット(Art Brut):既存の美術などとは無縁の文脈によって制作された芸術作品をさす。フランス語で「加工されていない芸術」という意味が語源。英語では「アウトサイダー・アート」ともいわれる 【P20-25】 編集委員が行く 障害のある社員が「働き続けたい」と願う職場づくりのヒント 日本理化学工業株式会社(神奈川県) 株式会社FVP 代表取締役 大塚由紀子 取材先データ 日本理化学工業株式会社 〒213-0032 神奈川県川崎市高津区久地2-15-10 TEL 044-811-4121 FAX 044-811-4441 (障害のある社員:62人) 編集委員から  私が「知的障害のある社員が7割を占めるチョークの会社」日本理化学工業の存在を知ったのは、20年ほど前のことである。そして現在、変わらず障害のある社員たちがバリバリ働いていた。障害者雇用数は増加の一途だが、数ではなく質で考えたとき、いまの障害者雇用はどうなのだろう。採用した社員に長きにわたって働いてもらおうとするとさまざまな困難もある。あらためて障害のある人が長きにわたり心豊かに働いていくということを考えてみたい。 Keyword:製造業、知的障害、職場環境整備、職場定着、コロナ禍 写真:官野貴 POINT 1 障害のある社員が長く働くための環境づくり 2 生産効率と品質とを同時に高める取組み 3 すべての人にとって働きやすい会社『共働態』を目ざす 「知的障害のある社員が7割を占めるチョークの会社」  日本理化学工業株式会社は、チョーク製造の会社として創業85年を迎える老舗企業である。  学校などで使われるチョークはもちろんだが、その事業は時代に合わせて変化、進化している。アートチョークと名づけられた色とりどりのチョーク。紅色や墨色など、新色のチョークによって、チョークの表現力が一気に広がり、アーティストたちにも好んで使われるような商品に成長した。  ガラスなどに書いて消せる新商品「キットパス」も好調である。コロナ禍で、SNSで発信した「キットパスを使って自宅の窓に虹を描こう」キャンペーンが、ロックダウン中の海外に広がり、欧米などからも注文が一気に伸びた。  変わっていないのは、1960(昭和35)年に初めて2人の知的障害者を雇用して以来、60年以上にわたり、多くの知的障害者を雇用し続けていることである。 10年ぶりの訪問  私は今回、10年ぶりに川崎工場を訪ねた。  製造ラインで働く知的障害のある社員たちは、手慣れた様子で作業に取り組んでいる。だれに指示されるでもなく、てきぱきと作業を進めている。声をかけ合う様子にチームワークのよさも感じる。どんどんチョークが製造され、どんどん箱詰めされていく。  その働きぶりからは、10年前と同様に、ここで働く従業員たちに障害があることを忘れさせた。そして、変わらず掃除が行き届いている。さまざまな備品は整理整頓されている。生産目標などもしっかりと掲示されていた。  「なぜこんなにも長きにわたり障害者雇用を続けてこられたのか」とたずねた。  代表取締役社長の大山(おおやま)隆久(たかひさ)さんは、「一人ひとりが一生懸命働くことのできる環境づくり」と「生産効率と品質を高める取組み」だという。そして「特別なことをやっているわけではない」と謙遜するが、実際はどうなのだろうか。 一人ひとりが一生懸命 働くことのできる環境づくり  その一例は次のようなものだ。 【昼休憩後に円陣を組んで声出しをする】 (現在、コロナ禍につき中断している)  休憩後に全員が生産ラインに立つまでの時間短縮効果が見られた。 【年間個人目標】  「みんなの作業確認をして間違いをなくす」、「効率のよい現場にする」、「新しいセット作業にチャレンジする」、「まわりにやさしくする」、「休まず元気に仕事に来る」といった年間目標を、社員がそれぞれ設定する。食堂に掲示し、年の途中で目標を確認していく。表彰制度もある。 【終業後の反省会】  作業をしている社員それぞれに合わせた目標に対して、「その日できたこと」、「できなかったこと」、「注意しないといけないこと」、「翌日の仕事のこと」などを各現場の責任者と話す。 【班長制度】  チーム全体の作業に目を配ったり、ほかの社員への指導やフォローを担当する役割をになう班長を任命する。 【社員旅行、忘年会などの行事】 (社員旅行はコロナ禍のため2年延期)  所属や部門を越えたコミュニケーションを取れる大切な時間は、全社員にとっての励みである。 生産効率と品質を高める取組み  こちらも枚挙にいとまがない。 ・時計を読むことが苦手な社員でも時間が把握できる「砂時計」 ・チョークの余分な部分(耳)を一気に取り除ける、櫛(くし)状の道具 ・ノギスなど複雑な道具を使わなくてもサイズの検品ができる「検査棒」 ・正確にすばやくパックするための斜め作業用土台 ・一度に60パックまとめてできる作業方法 ・テープを貼るガイドラインが印刷された段ボール ・工具のかたち(輪郭)が原寸大で壁のボードに描かれている工具置き場 ・チームでの目標設定 ・時間短縮を図るため、製造工程を三つのチームに分け、チームごとにそれぞれの手が空かないよう工程を明記 ・異物混入を防ぐための身だしなみ点検表 など  これらによって、障害のある社員たちが、社員それぞれの理解力に合わせて一つひとつの作業工程を理解し、やりがいや成長を感じ、さらに意欲を持って仕事に取り組むようになることは間違いない。  「伝わらないのは、『教えた側が至らない』と受け取り、伝わるようにさらに努力する」と大山さんはいう。  これは障害のある社員への対応にかぎったことではない。よいマネジメントの本質である。なおかつ、「知っている」だけではなく、忠実に「やっている」のが日本理化学工業なのだとあらためて感じる。障害者雇用にかかわる立場として、一つでも実践していきたいものだと反省する。 長きにわたり活躍する社員たち  障害のある社員たちの勤続年数の長さがすべてを証明している。入社20年以上の社員が32人、10年から20年の社員が12人、5年から10年の社員が9人、5年未満の社員が9人いるそうだ。  同社で、もっとも勤続年数の長い社員、小松(こまつ)純一(じゅんいち)さんは1980年の入社。勤続42年、今年61歳である。小松さんが担当しているのは、チョークの乾燥炉から出てくる製品のチェック作業である。不良品をはじき、良品を次の工程に運ぶ作業だ。乾燥炉の前は相当高温となり、体力的にもハードとのことであるが、集中力を絶やさずに、もくもくと作業に取り組んでいる。  「早く寝る」、「朝早く起きる」、「土日は家でゆっくりする」ことが長く働く秘訣だそうだ。「会社を辞めたいと思ったことはあるか」と少しいじわるな質問をしたら、「一度もない」と即答されてしまった。  小松さんの働く様子について、「重いチョークの板をたくさん重ねて運ぶ姿を頼もしく感じる」と広報の雫(しずく)緑(みどり)さんはいう。  「実をいうと、小松さんに加齢を感じることはない。本人が働きたいといってくれる間は、ずっと働いてもらう」と大山さん。  また、「報・連・相をしっかりすること、周りの人への声かけを大事にしている」、「ミキサーを回す1日の目標をクリアすると達成感を感じる」というのは、竹内(たけうち)彰浩(あきひろ)さんである。2003(平成15)年に新卒で入社して19年が経つ。  竹内さんの担当業務はチョーク製造ラインのもっとも上流工程である、原料の粉を混ぜる混錬(こんれん)(ミキサー)作業である。混錬作業は、チョークのできに大きく影響する重要なポジションだ。毎日変わる天候や湿度に応じて水分量を変える必要があり、職人の感覚も必要とされるそうだ。  さらに竹内さんは、チョーク部門の班長の役割もになっている。班長の仕事は自分の担当業務だけではなく、ほかの工程にも不具合がないかを、きめ細かに見て回る必要がある。そして必要に応じて報・連・相していくという責任を負っている。  鳥井(とりい)広記(ひろき)さんは、比較的新しい社員の一人である。職業訓練校を経て2020(令和2)年に日本理化学工業へ入社した。入社2年目の現在は、チョークの製造工程のさまざまなポジションを経験し、技術を習得している最中である。  取材にうかがったときは、チョークを適切な長さにカットする切断の工程を担当していた。入社後に始めた、昼休みに行う同僚とのキャッチボールをとても楽しみにしている。そんな鳥井さんだが、新型コロナワクチンを接種したあとの1週間は、「腕を痛めて仕事に支障が出てはいけない」という理由で、キャッチボールに加わらなかったそうだ。  いまの目標は「健康に働くこと」だという。責任感を持ってコツコツと仕事に向き合う鳥井さんの姿がすがすがしく感じる。  今年の4月に新入社員として入社したジェフ・エスパラゴザさん。キットパスの製造担当である。入社1カ月とは思えないほどの手さばきで仕事に取り組む。取材にうかがった日は、入社して初めてのお給料日であった。お給料で家族にプレゼントをするとのコメントが聞かれた。 コロナ禍を経て、これから  コロナ禍で、障害のある社員たちが自宅待機を余儀なくされ、営業部や企画部、総務部など出勤できる社員が総出でキットパスの製造ラインに入った時期があった。ところが、その時期に海外を含めたくさんの注文があり、出荷が追いつかない状態が続き「自分たちにとうていできない仕事を障害のある社員たちがやってくれていると痛感した」と大山さんが話す。  「お昼休みなど、必ずだれかしらが『旅行に行きたい』、『今年も旅行はむずかしいかな』と話題にする。早くコロナが落ち着いて、全員で楽しい時間を過ごしたい」と雫さんはいう。  「会社として変わらないことは、彼らと一緒にやっていくこと。事業はどんどんイノベーションを起こしていく。そして、お互いがお互いを活かそうと思う人の集団になっていきたい。そして多くの企業、団体、個人と『共働態』となって、『みんなの幸せが私の幸せ』になる未来に貢献したい」と話す大山さんである。  「VUCA(ブーカ)(予測困難な)(※)時代」といわれる現在、10年ぶりに訪問した日本理化学工業はどんどん進化・変化を遂げていた。変わらないのは、障害のある社員がやりがいと誇りをもって仕事に取り組み、戦力として会社を支えているということ。  障害のある人が働きやすい会社は、すべての人が働きやすい会社。このことが真実であることを、多くの社員が長きにわたって働いている日本理化学工業の存在が教えてくれていると、あらためて感じた一日であった。 ※VUCA:Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとった言葉。元々は軍事用語だったが、変化が著しく未来の予測がむずかしい状態をいい、2010年代に広まった言葉 写真のキャプション 日本理化学工業株式会社本社および川崎工場 川崎工場では「キットパス」(左)や「アートチョーク」(右)などが製造されている チョークの製造ライン。障害のある社員が作業に取り組む 代表取締役社長の大山隆久さん 社内に設置されたキットパスボードには、社員向けのお知らせが書かれている ふりがなやイラストが入り、知的障害のある社員も理解しやすい 作業用の板を積み重ねてもよい高さが、わかりやすく表示されている 乾燥炉の出口には、製品の不良状態を示す写真が貼られている 工夫を凝らしたツールの数々 砂時計 チョークの耳を取り除く櫛状の道具 検査棒 斜め作業用土台でのパック作業 ガイドラインが印刷された段ボール 輪郭が描かれた工具置き場 身だしなみ点検表 (写真提供:日本理化学工業株式会社) 広報を担当する雫緑さん 乾燥工程で働く小松純一さん 乾燥炉から取り出したチョークを確認する小松さん 混錬工程で働く竹内彰浩さん チョークの材料をミキサーに投入する竹内さん 入社2年目の鳥井広記さん 鳥井さんは、チョークのさまざまな製造工程を経験し、技術の習得を目ざす 初めての給料を手に笑顔のジェフ・エスパラゴザさん (写真提供:日本理化学工業株式会社) ジェフさんが働く、キットパスの成形工程 ジェフさんは、キットパス製造の重要な工程をになう 【P26-27】 省庁だより 令和4年度 障害保健福祉部予算の概要(1) 厚生労働省 障害保健福祉部 1 障害福祉サービス等の確保、地域生活支援などの障害児・障害者支援の推進 1 良質な障害福祉サービス、障害児支援の確保 1兆7960億円(1兆6789億円)うち障害児支援関係4256億円(3835億円)  障害児・障害者が地域や住み慣れた場所で暮らすために必要な障害福祉サービスや障害児支援を総合的に確保する。 2 障害福祉の現場で働く人々の収入の引き上げの実施  障害福祉職員を対象に収入を3%程度(月額9千円)引き上げるための措置を実施する。(令和4年10月〜) 128億円※1兆7960億円の内数 【令和3年度補正予算】 ・障害福祉の現場で働く人々の収入の引き上げの実施 414億円  障害福祉職員を対象に収入を3%程度(月額9千円)引き上げるための措置を実施する。(令和4年2月〜同年9月分)  ※交付金で実施(補助率10/10) ・障害福祉サービス事業所等に対するサービス継続支援 36億円  新型コロナウイルスの感染者等が発生した場合でも、影響を最小限に留め、サービスの提供を継続するため、消毒や人員確保等の経費への支援を行うとともに、緊急時に備え、職員の応援体制等の構築を推進する。 ・障害福祉分野におけるICT導入 4.6億円  障害福祉分野において、ICTの活用による生産性の向上の取組を促進し、安全・安心な障害福祉サービスを提供できるよう、障害福祉サービス事業所等におけるICT導入を支援する。 ・障害福祉分野におけるロボット等導入支援 2.9億円  障害福祉サービス事業所等におけるロボット等導入支援の実施により、介護業務の負担軽減等を図り、労働環境の改善、生産性の向上等を通じて安全・安心な障害福祉サービスの提供等を推進する。 3 地域生活支援事業等の着実な実施 518億円(513億円)  意思疎通支援や移動支援など障害児・障害者の地域生活を支援する事業について、地域の特性や利用者の状況に応じた事業の着実な実施を図る。 4 障害福祉サービス等提供体制の基盤整備(社会福祉施設等施設整備費) 48億円(48億円)  障害者等の社会参加支援や地域生活支援を更に推進するため、地域移行の受け皿としてのグループホームや生活介護等を行う日中活動系事業所、障害児支援の拠点となる児童発達支援センター等の整備を促進する。 【令和3年度補正予算】 ・障害者支援施設の対災害性強化等 86億円  「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」に基づく障害者支援施設等に対する耐震化整備、非常用自家発電設備の設置、浸水対策等について支援及び災害復旧を行う。 5 障害児・障害者への良質かつ適切な医療の提供 2588億円(2587億円)  心身の障害の状態を軽減し、自立した日常生活等を営むために必要な自立支援医療(精神通院医療、身体障害者のための更生医療、身体障害児のための育成医療)や障害児入所施設等を利用する者に対する医療を提供する。また、自立支援医療の利用者負担のあり方については、引き続き検討する。 6 特別児童扶養手当、特別障害者手当等 1787億円(1748億円)  特別児童扶養手当及び特別障害者手当等の支給を行う。 7 障害福祉の仕事の魅力発信 15百万円(15百万円)及び地域生活支援事業等の内数  障害福祉分野における多様な人材の参入を促進するため、インターネットやSNSを活用した広報、オンラインイベントの開催等を通じて障害福祉の仕事の魅力に関する情報発信を行うとともに、地域の関係機関等と連携し、障害福祉の現場を知るための体験型イベント等の開催を行う。 8 障害児・障害者虐待防止、権利擁護などに関する総合的な施策の推進 @障害者虐待防止の推進 6.2億円(6.2億円)  都道府県や市町村で障害児・障害者虐待の未然防止や早期発見、迅速な対応、その後の適切な支援を行うため、専門性の高い職員の確保や地域の関係機関の協力体制の整備、関係機関職員への研修、障害児・障害者虐待の通報義務等の制度の周知を図ることにより、支援体制の強化を図る。 A障害児・障害者虐待防止・権利擁護に関する人材養成の推進 12百万円(12百万円)  国において、障害児・障害者の虐待防止や権利擁護に関して各都道府県で指導的役割を担う者を養成するための研修等を実施する。 B成年後見制度の利用促進のための体制整備 地域生活支援事業等の内数  成年後見制度の利用に要する費用の補助や法人後見に対する支援等を推進することにより、成年後見制度の利用を促進する。 9 重度訪問介護等の利用促進に係る市町村支援 12億円(8.9億円)  重度障害者の地域生活を支援するため、重度障害者の割合が著しく高いこと等により訪問系サービスの給付額が国庫負担基準を超えている市町村に対する補助事業について、小規模な市町村に重点を置いた財政支援を行う。 10 障害者ピアサポート研修事業に係る指導者養成研修【新規】 10百万円  都道府県・指定都市における障害者ピアサポート研修事業の実施を推進するため、当該研修事業を担う指導者の養成が必要であることから、国において指導者養成研修を実施する。 11 障害児支援の推進 @医療的ケア児への支援の充実【一部新規】 4.0億円(2.2億円)  医療的ケア児等への支援の充実を図るため、令和3年9月18日に施行した「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」に基づく「医療的ケア児支援センター」の設置を推進するとともに、医療的ケア児等への支援者の養成、地域で関係者が協議を行う場の設置、医療的ケア児等に対応する看護職員確保のための体制構築、医療的ケア児等の家族への支援等を総合的に実施する。 【令和3年度補正予算】 ・医療的ケア児支援センターの開設の促進 0.7億円  都道府県に対して、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律に基づく医療的ケア児支援センターを運営する上で必要な備品購入等について補助を行うことにより開設を促進する。 A聴覚障害児支援の推進  聴覚障害児支援のための中核機能の強化 1.7億円(1.7億円)  保健・医療・福祉・教育の連携強化のための協議会の設置や保護者に対する相談支援、人工内耳・補聴器・手話の情報等の適切な情報提供、聴覚障害児の通う学校等への巡回支援、障害福祉サービス事業所等への研修などを行う聴覚障害児支援のための中核機能の整備を図る。 12 障害児・障害者の自立・社会参加支援の推進 @芸術文化活動の支援の推進 3.7億円(4.6億円)  障害者文化芸術活動推進法を踏まえ、芸術文化活動(美術、演劇、音楽等)を通した障害者の社会参加を一層推進するため、地域における障害者の芸術文化活動への支援のための都道府県センターの設置促進や全国障害者芸術・文化祭を開催する。 A障害者自立支援機器の開発等の促進【一部新規】 1.5億円(1.4億円)  障害者自立支援機器の実用的な製品化を促進するため、障害者のニーズと企業のシーズのマッチング強化や機器の開発企業に対する支援を実施する。これに加え、障害者等のニーズを発掘し、課題解決のプロセスを習得するための事業を開始する。また、補装具の装用訓練やフォローアップ実施の推進に取り組む病院及びリハビリテーション施設の普及を促進する。 B視覚障害者・聴覚障害者等への情報・意思疎通支援の推進【一部新規】 5.1億円(4.3億円)  視覚障害者・聴覚障害者等への情報・意思疎通支援を推進するため、読書環境の整備、手話通訳者をはじめとする意思疎通支援従事者の確保やICT機器の利用支援などの取組を促進する。 13 教育と福祉の連携の推進 地域生活支援事業等の内数  市町村内における家庭・教育・福祉の連携促進及び地域支援対応力の向上を図るため、教育委員会や福祉部局、学校、障害児通所支援事業所等の関係者が障害児への切れ目ない支援について協議を行う場の設置や福祉機関と教育機関等との連携の役割を担う「地域連携推進マネジャー」を市町村に配置する。 14 市町村と地域生活定着支援センターの連携強化【新規】 地域生活支援事業等の内数  障害により自立した生活を営むことが困難な起訴猶予者等の抱える課題等を把握し、地域において孤立を解消するための支援や適切なサービスのコーディネートを行う者を市町村に配置し、地域生活定着支援センターとの連携の強化を図る。 15 サービス管理責任者研修、相談支援従事者等研修【一部新規】 地域生活支援事業等の内数  相談支援専門員、サービス管理責任者及び児童発達支援管理責任者について、質の向上及び専門性の確保を図るため、専門コース別研修の講義(障害児支援、就労支援、介護支援専門員との連携・相互理解)を創設・拡充する。 16 障害者施策に関する調査・研究の推進 3.8億円(4億円)  障害者施策全般にわたり解決すべき課題について、現状と課題を科学的に検証・分析し、その結果を政策に反映させていくため、調査・研究等への補助を行う。 〈以下は次号で掲載します〉 ※参考:「令和4年度 障害保健福祉部予算案の概要」 ※本誌では通常西暦で表記していますが、この記事では元号で表記しています ※( )内は令和3年度予算額 【P28-29】 研究開発レポート 発達障害者のワークシステム・サポートプログラム 在職中又は休職中の発達障害者に対する作業管理支援 障害者職業総合センター職業センター  当機構の障害者職業総合センター職業センターでは、発達障害のある方を対象とした「ワークシステム・サポートプログラム(WSSP)」を実施することにより、発達障害の特性に応じた的確な支援を行うための技法開発・改良を行っています。  WSSPでは、地域障害者職業センターをはじめとする就労支援機関から、「発達障害者の職場定着には、スケジュール管理や時間見積もりなど作業管理上の困難さについてアセスメントし、その管理能力を向上させる支援が必要」との意見をいただいていました。そこで、作業の基本的な流れにおける一連の工程を的確に処理し、与えられたタスクを完了すること(以下、「作業管理」)に対する支援として、令和3年度末に実践報告書39「在職中又は休職中の発達障害者に対する作業管理支援」をとりまとめました。以下にその概要について紹介します。 【作業管理支援の構成】  作業管理支援の構成は図1の通りです。 【作業管理支援におけるアセスメントの視点】  作業管理支援では、与えられた作業課題を制限時間(期間)内に仕上げるために必要な能力として9種類の「実行機能」(図2)をアセスメントの主な視点としました。  ただし、実行機能の働きに問題がなくても作業管理上必要となる行動がとれない場面があります。そこで、作業管理上必要な行動の発現を妨げる要因となる「作業管理を妨げる思考」、指示に対する質問や確認、進捗管理状況の報告など他者とのコミュニケーション上の課題がコミュニケーションに関する知識・スキルの不足が要因となる「コミュニケーションに関する知識・スキルの不足」を加え、11の項目をアセスメントの視点としました。 【作業管理課題の構成】  作業管理支援で受講者が行う作業は、「作業管理課題」と言い、13種類の作業を特徴ごとに7つのグループ(タスクA〜G)に分けています(図3)。 【作業管理課題の実施方法】  作業管理課題では、支援者の伝え方によって受講者の理解度が変わることを防ぐため、教示方法を細かく設定しています。  支援者は、受講者の状態に応じて、タスクの種類や作業、難易度を選択し、指示を出します。あわせて、受講者の作業の様子を11のアセスメントの視点にそって「行動観察シート」に記録します。  受講者は、支援者の指示に応じて、作業のスケジュールを自ら計画し、実行します。時には支援者と相談しながらタスクを遂行することもあります。あわせて、作業中のできごとについて「ふりかえりシート」(図4)に記録し、自らの取組みを振り返ります。 【個別相談(振返り)の実施】  作業管理課題実施後、支援者と受講者は、作業管理上の課題を共有し、課題に対する対処方法の検討を行うための個別相談(振返り)を実施します。その際、「行動観察シート」と「ふりかえりシート」を使用します。この2つのシートは作業工程の流れにそって共通した観察項目が示されているため、受講者と支援者が同じ視点で振り返ることが可能となります。そのため、受講者が特に意識した取組みと、うまく対処できなかった取組み、受講者と支援者の評価が異なる取組みを丁寧に振り返ることができます。また、うまく取り組めた行動に着目することができるため「すべての作業が苦手なわけではない」と気づけるようになります。 【対処方法の検討】  個別相談(振返り)では、苦手な行動に対処する方法を検討します。本報告書では「作業管理課題において活用した課題への対処方法〜ヒント集〜」(図5)に対処方法の事例を掲載していますので、苦手な行動への対処方法を検討する際の参考にしていただけます。  なお、個別相談で検討した対処方法は、作業場面などで実践し、効果を確認したうえで、実際の職場で活用しやすい方法に変更を加えます。 【作業管理支援を実施した事例の紹介】 文章作成を先送りにしがちな事例  Aさんは文章作成に強い苦手意識があり、先延ばししやすい傾向がありましたが、作成例が示されると取り組みやすい様子がうかがえました。その様子をふまえ、実行機能の「計画・組織化」を構成する「目標の明確化」に着目し、先延ばしして作業が開始できない要因を、「体裁や項目立てなど完成形のイメージが持てないためである」と考え、次の通り助言しました。 @完成形の例について質問する A項目立てや記述内容について相談する  助言後Aさんは、自分から完成形について指示者に質問することで作業を開始することができ、先延ばしを解消できました。Aさんからは、「苦手な作業を実行できたことで、作業の進捗管理にもっと取り組みたいという気持ちになりました。そのためにも記録用の手帳を使う練習をしたいと思います」との感想をいただいています。 *    *   *   *  同じミスをくり返すなどの作業管理上の課題をもつ発達障害者とともに、課題を分析したり、対処方法を検討する際にお役立てください。  実践報告書39「在職中又は休職中の発達障害者に対する作業管理支援」は、障害者職業総合センターホームページに掲載しています(★1)。また、冊子の配付を希望される場合は、当職業センターに直接ご連絡ください(★2)。 ★1「実践報告書No.39」は、https://www.nivr.jeed.go.jp/center/report/practice39.htmlからダウンロードできます ★2 障害者職業総合センター 職業センター TEL:043-297-9043 https://www.nivr.jeed.go.jp/center/center.html 図1 作業管理支援の構成 図2 実行機能の下位概念と定義 図3 作業管理課題の各タスクの課題項目 図4 ふりかえりシートと記入例 図5 作業管理課題において活用した課題への対処方法〜ヒント集〜 【P30-31】 ニュースファイル 国の動き 国土交通省 道路のバリアフリー化ガイドライン  国土交通省は、改正バリアフリー法や改正道路移動等円滑化基準をふまえて「道路の移動等円滑化に関するガイドライン」を作成した。道路管理者が道路施設などを新設、改築および管理する際に、バリアフリー法や道路移動等円滑化基準に加え、すべての人が利用しやすいユニバーサルデザインによる道路空間のあり方について具体的に示している。  障害者用の駐車施設の数については、駐車台数×50分の1以上(全駐車台数200台以下の場合)、駐車台数×100分の1+2以上(全駐車台数200台超の場合)とする。大規模駐車場で複数の出入口がある場合は分散させて移動距離を可能なかぎり短縮させる。障害者の移動等円滑化のために必要であると認められる立体横断施設には、エレベーターを設置するなどとなっている。  道路計画では、市町村は具体的な事業化の動きがない状況でもバリアフリーの方針を定められる移動等円滑化方針(マスタープラン)、移動等円滑化にかかる事業の重点的で一体的な推進に関する基本的な構想を策定し、そのなかで生活関連経路を設定するとしている。  「道路の移動等円滑化に関するガイドライン」は同省のウェブサイトに掲載、ダウンロードできる。 https://www.mlit.go.jp/road/road/traffic/bf/kijun/pdf/all.pdf 地方の動き 東京 障害者向け製品などの販路開拓を支援  東京都と公益財団法人東京都中小企業振興公社(千代田区)は、都内の中小企業者などが自社開発したパラスポーツ関連の製品や障害者・高齢者向け製品などについて、販路開拓の促進に向けて国内外の展示会への出展などを行うための費用の一部を助成する。  対象者は、東京都内の本店または支店で実質的な事業活動を引き続き1年以上行っている中小企業者、中小企業団体、特定非営利活動法人、一般財団法人、一般社団法人など。申請区分はパラスポーツ関連の製品、障害者・高齢者向け製品など。助成限度額は150万円、助成対象と認められる経費の3分の2以内。問合せは同公社助成課まで。 電話:03−3251−7894・7895 https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/jigyo/shogaisha.html 働く 群馬 「富岡倉庫」2号倉庫でカフェ  パーソルグループの特例子会社「パーソルサンクス株式会社」(東京都)は、富岡製糸場に関連する歴史的建築物「富岡倉庫」2号倉庫(富岡市)に、障害者雇用の拡大を目ざして「Merci Cocon & Cafe(メルシー ココン アンド カフェ)」をオープンした。富岡市産の桑の葉を使ったドリンクや、そば粉の生地に温泉卵やチーズを載せたガレットなどの軽食も提供する。カフェでは2024年度までに22人の障害者雇用を予定している。  パーソルサンクスは2017(平成29)年に「とみおか繭(まゆ)工房」(富岡市)を開設し、手すき和紙や座ぐり製糸・はた織りなどの手仕事を活かした事業を展開している。2号倉庫ではカフェのほか、とみおか繭工房で制作したシルクアクセサリーや関連商品などの販売店や、2階でイベントスペースを運営する予定。  カフェの営業は11時〜17時、年中無休(年末年始は除く)。問合せは同カフェへ。 電話:0274―67―5591 静岡 農福連携事業で地方創生  JAグループの「株式会社農協観光」(東京都)と、「株式会社鈴生(すずなり)」(静岡市)ほか4者が提携し、静岡県内で農福連携事業をスタートさせた。  これまで農協観光は、障害者と企業を結びつ けて、企業が障害者を雇用するとともに、人手 が必要な農家と作業受託契約をし、障害者が農 業現場で働く仕組みづくりを進めてきた。また 鈴生は、野菜の生産販売や栽培指導などを行い 外食・小売業各社へ契約出荷している企業。農 福連携のさらなる拡大を目ざし、今回、農協観 光と鈴生のグループ会社「TEN Green Factory(テン グリーン ファクトリー)株式会社」(磐田市)、静岡県信用農業協同組合連合会(静岡市)、農林中央金庫(東京都)が連携して磐田市で事業を開始した。障害者の農業実習の場とし、地域活性化・地方創生へもつなげていく。 大阪 農福連携のグランピング施設  「三和建設株式会社」(大阪市)と「一般社団法人FUKURO(ふくろう)」(京都市)で共同設立した「一般社団法人SDGs LABO(エスディージーズ ラボ)」(大阪市)が、農福連携のグランピング施設「かいづかいぶきヴィレッジ」(貝塚市)をオープンした。  総面積約12万1000uの敷地には、17棟のグランピング施設のほか、キャンプサイト、地産地消をテーマにした、カフェ&レストラン、貸農園、農産物直売所、バーベキュー場などを整備。  昨年、大阪府が農業分野での障害者就労促進の場として、府立の農業公園へと整備し、SDGs LABOが府から指定業務管理を受けた。運営の大部分を障害者がになうことを前提に、今後は福祉作業所もつくり、障害者の就労・自立支援につなげていくという。  障害者は、農業や施設の維持・整備だけでなく、飲食店での調理や接客サービスなど幅広い業務に従事していく予定。問合せは、かいづかいぶきヴィレッジへ。 電話:072−479−8026 本紹介 『自閉症・知的障害者支援に役立つ氷山モデル・ABC分析シートの書き方・活かし方』  「社会福祉法人大府福祉会たくと大府(おおぶ)」(愛知県)の施設長で社会福祉士・公認心理師の林(はやし)大輔(だいすけ)さんが、『自閉症・知的障害者支援に役立つ氷山モデル・ABC分析シートの書き方・活かし方』(中央法規出版刊)を出版した。障害者支援の現場で、利用者へのアセスメントの際に多く使われる氷山モデル(本人の行動の課題の背景には、特性や環境などが隠れており、それを解決して課題の行動を減らすという考え方)や、ABC分析(行動が起こるにはきっかけがあり、先行事象や結果の調整で行動を変えるという考え方)の効率的・生産的な書き方や活かし方を紹介する。事例とシートを使ったスタッフミーティングの流れを漫画でわかりやすく示すほか、ミーティングにおける話し合いのコツや情報のとらえ方、支援方針の導き方などを具体的に解説する。 B5判、176ページ、2640円(税込)。 ミニコラム 第14回 編集委員のひとこと ※今号の「編集委員が行く」(20〜25ページ)は大塚委員 が執筆しています。  ご一読ください。 「人間の究極の幸せ」 株式会社FVP 代表取締役 大塚由紀子  「編集委員が行く」のコーナーで、日本理化学工業株式会社を取材した。  原稿にも書いたが、10年ぶりくらいの訪問。社長の大山隆久さんには、3年ぶりくらいの再会だったが、以前にも増してエネルギッシュだった。  社屋の廊下にはキットパスで描かれた絵画が多数展示されていた。定期的にキットパスのイベントが開催されているそうで、若きアーティストたちの作品だそうだ。  そして、工場の脇には、北海道美唄(びばい)市の特産品を集めた「アンテナショップ」ならぬ「北海道・美唄コンテナショップ」が。コンテナハウスを利用したショップであること、40年以上前からコンテナ便で美唄工場から川崎工場へチョークを移動させており、そのコンテナ便に地元で採れた新鮮な野菜やお米、加工品などを一緒に載せて川崎まで運んでいることが、「コンテナショップ」の名前の由来だそうだ。お米、お菓子、焼き鳥、はちみつなどなど、売られているのはすべて美唄産。ほかでは売られていない限定品であり、私も購入した。  さっそく次の休日に、買った商品をいただいた。日本理化学工業の元会長が禅の導師から教えられたという「人間の究極の幸せは四つ。人に愛されること、人に褒められること、人の役に立つこと、そして、人から必要とされること。愛されること以外の三つの幸せは、働くことによって得られる」との言葉をかみしめながら。じんわりとうれしい気持ちになった。 【P32】 掲示板 受講者募集! 受講料無料 職業リハビリテーションに関する各種研修のご案内 訪問型・企業在籍型職場適応援助者支援スキル向上研修 第3回をオンライン形式に変更 ◆訪問型・企業在籍型職場適応援助者支援スキル向上研修(第3回)  訪問型または企業在籍型職場適応援助者(ジョブコーチ)として1年以上の実務経験を有する方に対して、雇用管理やアセスメントに関する支援スキルの向上を図る研修を実施します。ご要望にお応えし、第3回はオンライン形式で実施することに変更いたしました。  講義・演習に加え、ケーススタディ、グループワーク、アクションプランの作成など実践的な内容が特長です。 ◆日程および会場  【第3回】<オンライン形式> ※全国からお申し込みいただけます。  日程:令和4年9月27日(火)〜9月30日(金) ◆申込受付期間  令和4年6月28日(火)〜8月5日(金) ◆お申込み先  当機構ホームページに受講申込書および申込方法を掲載しています。 ◆お問合せ先  職業リハビリテーション部研修課  TEL:043-297-9095  E-mail : stgrp@jeed.go.jp 職場適応援助者(ジョブコーチ) ステップ1 ジョブコーチをめざす方 職場適応援助者 養成研修 ジョブコーチ支援を行う際に必要な知識・技術の習得 障害者職業総合センター・大阪障害者職業センター 全国の地域障害者職業センター ステップ2 ジョブコーチの実務経験のある方 職場適応援助者 支援スキル向上研修 ジョブコーチとしての支援スキルの向上 障害者職業総合センター・大阪障害者職業センター 雇用管理や人材育成の「いま」・「これから」を考える人事労務担当の方 ぜひご覧ください! メールマガジン好評配信中! 詳しくは JEED メールマガジン 検索 次号予告 ●私のひとこと  京都文教大学臨床心理学部教授の中島恵子さんに、高次脳機能障害者の職場復帰支援に関する周囲の理解促進や今後の展望などについて、ご執筆いただきます。 ●職場ルポ  アパレルブランドを展開する株式会社アダストリア・ゼネラルサポート群馬サポートセンター(群馬県)を取材。物流支援と営業支援を中心に、サポートセンターと店舗での社員の仕事や、同社ならではの連携体制についてお伝えします。 ●グラビア  ハーブ専門店「enherb(エンハーブ)」を展開する株式会社コネクト(東京都)を訪問。店頭スタッフとして自立するためにトレーニングを重ねる社員と、その育成方法をご紹介します。 ●編集委員が行く  三鴨岐子編集委員が、株式会社新陽ランドリー(宮城県)と、株式会社加藤福祉サービス(宮城県)を訪問。共同生活援助などの事業をご紹介します。 公式ツイッターはこちら! 最新号発行のお知らせやコーナー紹介などをお届けします。 @JEED_hiroba 本誌購入方法 定期購読のほか、最新号やバックナンバーのご購入は、下記へお申し込みください。 1冊からのご購入も受けつけています。 ◆インターネットでのお申し込み 富士山マガジンサービス 検索 ◆お電話、FAX でのお申し込み  株式会社広済堂ネクストまでご連絡ください。  TEL 03-5484-8821  FAX 03-5484-8822 編集委員 (五十音順) 株式会社FVP 代表取締役 大塚由紀子 NPO 法人大阪精神障害者就労支援ネットワーク 副理事・統括施設長 金塚たかし 岡山障害者文化芸術協会 代表理事 阪本文雄 トヨタループス株式会社 取締役 清水康史 武庫川女子大学 学生サポート室専門委員 諏訪田克彦 あきる野市障がい者就労・生活支援センターあすく センター長 原智彦 サントリービジネスシステム株式会社 課長 平岡典子 神奈川県立保健福祉大学 名誉教授 松爲信雄 有限会社まるみ 取締役社長 三鴨岐子 筑波大学大学院 准教授 八重田淳 常磐大学 准教授 若林功 あなたの原稿をお待ちしています ■声−−障害者雇用にかかわるお考えやご意見、行事やできごとなどを500字以内で編集部(企画部情報公開広報課)まで。 ●発行−−独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 発行人−−企画部長 奥村英輝 編集人−−企画部情報公開広報課長 中上英二 〒261−8558 千葉県千葉市美浜区若葉3−1−2 電話 043−213−6216(企画部情報公開広報課) ホームページ https://www.jeed.go.jp/ メールアドレス hiroba@jeed.go.jp ●発売所−−株式会社広済堂ネクスト 〒105−8318 東京都港区芝浦1−2−3 シーバンスS館13階 電話 03−5484−8821 FAX 03−5484−8822 7月号 定価141円(本体129円+税)送料別 令和4年6月25日発行 無断転載を禁ずる ・本誌に掲載した論文等で意見にわたる部分は、それぞれ筆者の個人的見解であることをお断りします。本誌では「障害」という表記を基本としていますが、執筆者・取材先の方針などから、ほかの表記とすることがあります。 【P33】 読者アンケートにご協力をお願いします! いつもご愛読いただき、ありがとうございます。 「働く広場」では、よりよい誌面づくりを目ざし、読者アンケートを実施しています。 ぜひみなさまの声をお聞かせください。 お待ちしています! 回答方法 本号に同封した「読者アンケート」用紙にご記入のうえ、当機構までFAXにてお寄せください。 FAX 番号はこちら→043-213-6556 Webでの回答も可能です。 QRコードはこちら ※カメラで読み取ったリンク先がhttps://krs.bz/jeed/m/hiroba_enquete であることを確認のうえアクセスしてください 【令和3年度アンケート結果の一部より】 ご回答者の勤務先 民間企業65.4% 障害者福祉施設(就労支援機関を含む)・団体13.2% 学校・教育機関7.8% 医療機関3.3% 国、地方公共団体の機関2.5% 個人1.2% その他5.8% 無回答0.8% ※その他:生活協同組合、経済団体、社会保険労務士事務所 など 「働く広場」は参考になっていますか? 参考になる65.1% 非常に参考になる17.7% あまり参考にならない8.3% 参考にならない0.6% 無回答8.3% ご意見 【職場ルポ】各企業の取組み内容が写真と共に紹介されていて、分かりやすい。/現場、本人の声が分かる。 【グラビア】働く障害者が活躍されている様子がよくわかる。/実作業の様子を見ることができる。 【編集委員が行く】様々な地域での先進的な取組み事例は参考になる。/全国の職場をこれからも紹介してほしい。 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 企画部 情報公開広報課 TEL:043-213-6200 【裏表紙】 7月号 令和4年6月25日発行 通巻537号 毎月1回25日発行 定価141円(本体129円+税)