【表紙】 令和4年8月25日発行・毎月1回25日発行・通巻第539号 ISSN 0386-0159 障害者と雇用 2022 9 No.539 職場ルポ 縫製現場で技能を高め、検定やアビリンピックにも挑戦 株式会社Asahicho(広島県) 編集委員が行く 視覚障害・聴覚障害のある職業人を輩出する「母港」としての大学 国立大学法人筑波技術大学(茨城県) グラビア 令和4年度障害者雇用支援月間における絵画・写真コンテスト入賞作品 「絵画コンテスト 働くすがた〜今そして未来〜」 「写真コンテスト 職場で輝く障害者〜今その瞬間〜」 この人を訪ねて 車いすユーザーが和食店を開店した理由 和食ダイニング「わっ嘉」 店主 金子淳一郎さん 「私の支え」福島県・金澤(かなざわ)里美(さとみ)さん 9月は「障害者雇用支援月間」です 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 誰もが職業をとおして社会参加できる「共生社会」を目指しています 9月号 【もくじ】 障害者と雇用 目次 2022年9月号 NO.539 「働く広場」は、障害者雇用の啓発・広報を目的として、ルポルタージュやグラビアなど写真を多く用いて、障害者雇用の現場とその魅力をわかりやすくお伝えします。 この人を訪ねて 2 車いすユーザーが和食店を開店した理由 和食ダイニング「わっ嘉」店主 金子淳一郎さん 職場ルポ 4 縫製現場で技能を高め、検定やアビリンピックにも挑戦 株式会社Asahicho(広島県) 文:豊浦美紀/写真:官野 貴 クローズアップ 10 はじめての障害者雇用U 〜障害のある人が働きやすい職場づくり〜 第6回 地域障害者職業センターにおける企業向けの支援について JEEDインフォメーション 12 ご活用ください!障害者の職業訓練実践マニュアル/障害者職業訓練推進交流プラザのご案内 グラビア 15 33 令和4年度障害者雇用支援月間における絵画・写真コンテスト入賞作品 「絵画コンテスト 働くすがた〜今そして未来〜」 「写真コンテスト 職場で輝く障害者〜今その瞬間〜」 エッセイ 19 多様でユニークな支援のあり方 第4回 働き手の自主性を引き出す方法 Kプランニング代表 戸原一男 編集委員が行く 20 視覚障害・聴覚障害のある職業人を輩出する「母港」としての大学 国立大学法人筑波技術大学(茨城県) 編集委員 若林 功 省庁だより 26 特別支援教育における就労支援の取組み 文部科学省 初等中等教育局 特別支援教育課 研究開発レポート 28 気分障害等の精神疾患で休職中の方のためのジョブリハーサルの改良 障害者職業総合センター職業センター ニュースファイル 30 編集委員のひとこと 31 掲示板・次号予告 32 【御礼】東京障害者職業センター 開所50周年を迎えることができました ※「心のアート」は休載します 表紙絵の説明 「働いている姿を考えたとき、最初に思い浮かんだのが夫の姿でした。子どもたちのために暑い日も寒い日も懸命に働く夫を尊敬しています。今回、初めてアナログで大きな作品に挑戦したのでとても緊張しました。いかに立体的に見せるかを考えつつ、さまざまな色を使い何度も着色を確認しました」 (令和3年度 障害者雇用支援月間絵画コンテスト 高校・一般の部 高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長奨励賞) ◎本誌掲載記事はホームページでもご覧いただけます。(https://www.jeed.go.jp/) 【P2-3】 この人を訪ねて 車いすユーザーが和食店を開店した理由 和食ダイニング「わっ嘉(か)」店主 金子淳一郎さん かねこ じゅんいちろう 1973(昭和48)年、埼玉県生まれ。高校卒業後から料理の世界に入り、和食調理師として高級割烹店や寿司店、グループホーム施設などで経験を積む。2015(平成27)年、自転車で通勤途中に交通事故に遭い、脊髄を損傷。8カ月間の入院とリハビリ生活を経て車いすユーザーに。2018年、千葉県柏市内に和食ダイニング「わっ嘉」を開店。 https://www.wakka.space/ 通勤途中に自転車事故 ――金子さんは2015(平成27)年、42歳のときに交通事故で車いすユーザーになったそうですね。  私はそれまで長年、調理師として日本料理店や寿司店などで腕を磨き、結婚後は給食事業会社に勤めて高齢者施設の介護食などをつくっていました。そんなある日、自転車で通勤途中に、ダンプカーと衝突する事故に遭いました。脊髄損傷でした。  リハビリを含めた8カ月余りの入院は休暇扱いでしたが、調理師としての職場復帰はむずかしく、退職しました。その代わり、相談に乗ってくれた地域包括支援センター(※1)から紹介され、高齢者施設で食事をつくる週1回のボランティア活動に参加することにしました。社会復帰の第一歩です。  そして、退院から2カ月後には、長女と長男が通っていた小学校の朝の通学見守り隊にも参加しはじめました。きっかけは「人の目」です。車いすで外出するようになると、これまで感じたことのない視線に気づきました。「めずらしいからだな」と納得しましたが、秋の小学校の運動会でも遠巻きに見られるようだと、わが家の子どもたちが困惑するかもしれない。だったらそれまでに、「めずらしくない車いすの人」になろうと決めたのです。  毎朝、児童たちと挨拶がてらジャンケンなどをして交流していったところ、運動会当日には学校で多くの児童に「車いすのおじさん!」と声をかけられるほどなじめました。ほかにも驚くことがありました。ある日、見守り隊の活動で親しくなった学校の先生たちとの会話で、授業参観の話題が出て、「教室が2階だから行けません」と話したところ、「大丈夫、私たちが車いすを運びますよ」といってくれたのです。以前、別の小学校で参観希望の車いすユーザーが学校側に「危険だから」と断られた話を聞いたことがあったので、本当にうれしかったですね。日ごろのつき合いの大切さも実感しました。 店舗のトイレ改装にクラウドファンディング ――事故から3年目の2018年に、和食店を開店した経緯を教えてください。  じつは退職した翌年、昔の上司に声をかけられ、ろう学校の給食の献立を考える仕事をすることになりました。バスと電車を利用しての通勤でしたが、駅にエレベーターがありませんでした。毎回エスカレーターを止めて車いす仕様に変えて運んでもらうのが、精神的につらかったですね。諸事情が重なり、半年後に再び退職しました。それからハローワークに通ったものの、調理師のキャリアを活かせる仕事はありません。そんなとき、近所の商店街の空き店舗を安く貸してくれるという話が舞い込んだのです。  実際に私が調理や配膳などをするには、トイレも含め店内をバリアフリーに改装する必要がありました。金融機関に融資を申し込みましたが、通常のケースと同じ金額とはなりませんでした。車いすユーザーが厨房に立って経営する飲食店の前例はなく、どれだけ稼げるのかわからないというのが大きな理由のようでした。  そこで、知人からのすすめで挑戦したのがクラウドファンディングです。トイレの改装費として180万円を目標金額に設定し、支援を募りました。目標金額を達成するためには、「できるだけ多くの人に会って、顔と名前を売ったほうがいい」と助言されたのですが、以前から顔見知りだった地域の女性団体の人たちが、幅広い人脈を活かして、あちこちに連れて行ってくれてありがたかったですね。3カ月ほどで100万円以上集まりましたが、目標金額には届かず、資金を手にすることはできませんでした。しかしこのとき、予想外の効果がありました。新聞やラジオなどで紹介され、地元以外の多くの人たちにも私のことを知ってもらえるようになったのです。  周囲から背中を押され、再びクラウドファンディングに挑戦。今度は目標金額に届かなくてももらえる形にし、100万円以上が集まりました。じつは、物件探しも一苦労で、最初の物件が破談になるアクシデントがあったのですが、必死に物件を探して3カ月後に見つけたのが、自宅から10分ほどの場所にあるいまの店なのです。  厨房は車いすが回転できるよう通路の幅を広げ、調理台の下も車いすが入り込める空間をつくりました。客席は、カウンターとテーブルを合わせて26席。もともとあった座敷部分を取っ払い、すべて車いすで動ける床にしました。トイレは通常のものと、オストメイトの方用の設備や赤ちゃんのおむつ替え台も備えた多目的トイレの2カ所です。もろもろ含め改装に約1千万円かかりました。  店の名前は、応援してくれた人たちと一緒に考えました。車いすの車輪の「わ」と和食の「わ」、人の「わ」を重ねた「わっ嘉(か)」です。 「急げない」ペースを理解してもらう ――オープンしてから、お店の状況はいかがでしたか。  飲食店を切り盛りするうえで、自分が物理的にできないことはたくさんありますから、いまは1人のスタッフがサポートしてくれているほか、別の仕事をしている妻も、空いた時間に掃除や弁当の盛りつけなどを手伝ってくれています。店から車で15分ぐらいの魚市場にも、妻と一緒に買いつけに行きます。  オープン直後から、店の話を聞きつけた方たちが全国各地から来てくれています。ただ、何組かのお客さまが立て続けに入店すると、スムーズに料理などを出せなくなります。私自身はとても忙しいけれども、周りからはのんびりペースに見えるようです。つまり「忙しくても、急ぐことができない」わけです。いまは、なるべく来店前にメニューの予約などをお願いしています。  車いすで仕事をしていると、背中の痛みが悪化するので、たまにマッサージ師さんに来てもらいますが、その方は全盲の視覚障害者です。先日施術に来てもらったときは、店内で中小企業経営者の集まりも開かれていたので、そこで紹介し、新たな交流が生まれました。この店が、社会のいろいろな立場の人たちの橋渡しの場にもなっていけたらよいなと考えています。 社会のなかに居場所を ――車いすユーザーとして飲食店を運営して感じることや、今後の抱負を聞かせてください。  コロナ禍も重なり、正直、経営そのものは苦労しています。でも店で働いていると、あっという間に一日が終わってしまうんですよ。店で働いていると、脊髄損傷による体のしびれも忘れられる気がします。たくさんの人とかかわることができるからかもしれません。  私と同じような障害のある人にも、可能であれば家の外に自分の居場所をつくることをおすすめします。私の経験からいって、半年以上も家でじっとしていたら、再び外出するのは精神的に困難になるのではないでしょうか。自由に動けていたころの感覚やイメージが残っているうちに、どんどん外に出るとよいと思います。そして「めずらしくない車いすユーザー」になりましょう。  私自身は今後、これまで経験した苦労や学びを活かし、私と同じように脊髄損傷などで車いすユーザーになった人たちに向けてピアサポート(※2)などの活動をしていきたいと考えています。 ※1 地域包括支援センター:市町村が設置主体となり、保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員などを配置して、住民の健康の保持および生活の安定のために必要な援助を行うことにより、その保健医療の向上および福祉の増進を包括的に支援することを目的とする施設 ※2 ピアサポート:「仲間・同輩」(peer)による支え合い活動(support)のこと 【P4-9】 職場ルポ 縫製現場で技能を高め、検定やアビリンピックにも挑戦 ―株式会社Asahicho(広島県)― ワークウェアの製造などを手がける老舗企業では、若手の人材不足を機に特別支援学校から生徒の職場実習の受け入れを開始。大事な戦力として育成にも力を入れている。 (文)豊浦美紀 (写真)官野 貴 取材先データ 株式会社Asahicho 〒726-0004 広島県府中市府川町110 TEL 0847-45-4354 FAX 0847-45-5232 (本社工場)〒726-0013 広島県府中市高木町289 TEL 0847-45-4545 FAX 0847-45-0620 Keyword:知的障害、精神障害、特別支援学校、縫製、技能検定、アビリンピック、ものづくりマイスター POINT 1 若手人材の確保のため、高校だけでなく特別支援学校からも採用 2 「ものづくりマイスター制度」を活用し、技能検定やアビリンピックに挑戦 3 特別支援学校などとのつながりから、就労継続支援事業所に業務委託も 創業85年の繊維企業  家具や繊維・金属・機械など、ものづくり産業が盛んな広島県府中市で、1937(昭和12)年の創業から85年を迎えた繊維企業「株式会社Asahicho(アサヒチョウ)」(以下、「Asahicho」)。以前は旭蝶繊維株式会社という社名だったが、2021(令和3)年に現社名に変更した。戦時中は軍服、戦後には作業服や学生服などを手がけ、現在はおもにワークウェアとして防寒服や安全服、デニムパンツなどを企画・製造している。最近では早稲田大学と共同で、持ち上げ作業の負担をやわらげる補助スーツを商品開発し、2021年度の「日本機械学会賞(技術)」(※1)を受賞した。  広島県や島根県に計5カ所の直営工場を持ち、従業員は117人。うち障害のある従業員は6人(身体障害2人、知的障害2人、精神障害2人)で、障害者雇用率は6.25%(2022年6月1日現在)にのぼるという。今回は、本社工場で働く従業員の様子とともに、人材育成の取組みなどを紹介していきたい。 若手の人材確保のために  Asahichoが、特別支援学校の卒業生を初めて採用したのは2015(平成27)年だ。工場長を務める舘上(たちがみ)恵(めぐむ)さんは「障害者雇用ということではなく、あくまで若い人材確保の一環でした」と説明する。きっかけは同年にスタートさせた高校卒業者対象の採用活動だった。  本社の総務部長として採用関連も取りしきる栗原(くりはら)悦美(えつみ)さんによると、背景には、とくに高齢化が進んでいた製造部の人材不足があったという。現場の若返りをうながすため、近隣のいくつかの高校に求人票を出したが、当時から高卒求人は売り手市場になりつつあったことから、なかなか就職希望者が集まらなかった。  そんなとき、隣の福山市にある広島県立福山北特別支援学校の先生から電話があり、「Asahichoさんに、ぜひ推薦したい生徒がいます」といわれたそうだ。栗原さんは「私たちの高卒求人の話をどこかで聞いたのかもしれませんが、『とにかく一度生徒を、職場実習で受け入れてみてほしい』と熱心にいわれました」とふり返る。その後、栗原さんは福山北特別支援学校の授業参観にも足を運んでみたという。  「印象的だったのは、生徒たちの社会的自立を目標にしたカリキュラムがしっかりと組まれていたことでした。実習の授業も多く、実践的な内容に感心しました」  じつは栗原さんは以前、職場の従業員から「息子が特別支援学校から一般企業に就職する」と聞いたことがあった。何度も職場での実習を行い、うまくマッチングして採用されたという話を思い出した。  そこで本社工場で、福山北特別支援学校から受け入れた生徒が、久田(くだ)大介(だいすけ)さん(25歳)だ。自宅から自転車で通える距離に住んでいることも好条件だった。1週間ほどの職場実習では、アイロン作業などを行ってもらった。作業中の手の動きが少し遅いようだったが、現場の従業員たちからは「しっかりしていて、よい生徒だ」とほめる声が多かった。そこで、「採用してみようということになりました」と栗原さん。久田さんは、1日7時間勤務の有期雇用の契約社員からスタート。ほかにも一般の高校から4人が正社員として入社した。 3年目には正社員に  久田さんが勤務している本社工場内を案内してもらった。業務用ミシンがずらりと並んだ場所が、製造部門のメインである製造部縫製グループだ。ここでは、あらかじめ裁断された布地の服のパーツごとに1人ずつ縫製工程を担当し、最後にすべて縫い合わせて完成する。十数人のチームで1日200着分ほどを仕上げていくそうだ。舘上さんが説明してくれた。  「大容量になる商品は海外の協力工場などでつくっていますが、在庫の追加分や試作品などについては国内工場で受け持っています。縫製の全工程を、一つの工場でまかなえるのが強みですね」  その一角で久田さんが、黙々とミシンに向き合っていた。「職場実習のときに、周りの人がやさしく教えてくれたので入社を志望しました。入社後は、いろいろな縫製作業を覚えるのがたいへんでした」と話してくれたが、舘上さんは久田さんの上達ぶりに目を見張ったという。  「彼は、とても好奇心が旺盛なようで、ほかの従業員がミシンで作業している様子を、いつもじっと見ていました。『できそうか?』とトライさせてみたところ、しっかりやり遂げたので驚きました」  確実に担当できる作業が増えていった久田さんを、職場の先輩たちは「彼なら大丈夫」と太鼓判を押した。翌年フルタイム勤務になり、3年目には正社員となった。正社員になると、同社の労働組合規約により組合員になれるほか、昇給があり賞与や退職金ももらえるようになる。  これまで久田さんを指導してきた、縫製グループの秦(はた)良江(よしえ)さんは、「久田さんは入社後に初めてミシン作業にかかわりましたが、素直な性格で、教えたこともすぐに理解してくれたので、スムーズに上達しました」と話す。また、一緒に働くなかで、久田さんの大きな長所にも気づいたそうだ。  「1日を通して、業務のペースを変わらず維持できるのは感心するほどです。安心して一定量の作業をまかせられます。飲み込みも早いですし、今後もどんどんがんばってほしいですね」  舘上さんによると、久田さんの同期入社の4人は、入社して数年のうちに辞めてしまったという。  「障害があろうとなかろうと、だいたい入社時はミシン作業が未経験です。それが数年のうちに予想以上に得意になる人もいれば、どうにも向かなくて辞めてしまう人もいます。そのようななか、久田さんは今年で入社7年目になりました」 技能検定やアビリンピックへの挑戦  高卒採用をきっかけに、舘上さんたちは、若手のための人材育成プランも考えた。その目玉が、国家検定である「技能検定」(※2)の取得推進だ。舘上さんは「せっかく縫製の仕事をするのですから、職人として向上心を持って努力し続けられる目標があれば、日々のやりがいも出てくるはずです」と説明してくれた。  まず目ざしたのは、「婦人子供服製造」職種の2級だ。取得することができれば、毎月資格手当もつけることにした。検定内容は、裁断ずみの材料と作製ずみの両袖を使ってブラウスを1着製作するというもの。近隣の同業他社でも技能検定の合格者を出していると聞き、従業員たちと一緒に見学にも行った。実技と学科の具体的な試験内容について教えてもらったが、従業員からは「こんなにむずかしいのはとても無理」という感想があがったという。  そこでちょうど舘上さんたちは、厚生労働省の「ものづくりマイスター制度(若年技能者人材育成支援等事業)」があることを知った。広島県職業能力開発協会などから「ものづくりマイスター」と呼ばれる指導員を一定期間、無料で派遣してもらえるというものだ。さっそく本社工場では、2016年から年間20回程度派遣してもらうことにした。「会社ぐるみの取組みとして、勤務時間内に検定に向けた訓練を行い、検定料や写真代も会社が負担しました。ここまでやる会社は、なかなかないと聞きました」と舘上さんは胸を張る。  特訓の甲斐もあって2018年に初めて1人が2級に合格。そしてこれまでに5人が合格している。さらにマイスターのすすめで、技能五輪にも挑戦することになった。栗原さんは「そこで初めてアビリンピックの存在を知り、だったら久田さんも挑戦してみようという話になりました」と話す。  しかし当時、久田さんが出場を目ざすアビリンピック「洋裁」種目の県予選は、実施されていなかった。栗原さんたちはあきらめられず、「挑戦できる方法はないでしょうか」と県の担当者に何度もかけあったそうだ。その結果、県内で公募を呼びかけたあと、久田さんは県に推薦してもらう形で、2019年の第39回全国アビリンピック愛知大会の出場資格を得ることができた。  一方の久田さんは、舘上さんから「アビリンピックに挑戦してみる?」といわれ、最初は驚いたが「はい、やってみます」とその場で答えたそうだ。そして、久田さんも新たに特訓を受けることとなった。  その後、念願かなって出場した第39回全国アビリンピック。競技課題は、オーダー仕立ての「オーバーブラウス」製作だった。久田さんは「日ごろの仕事でやることのない、手縫い作業に苦労しました」とふり返る。2回目の出場となった昨年の第41回全国アビリンピック東京大会の「洋裁」種目では、とくにミスもなく時間内で完成させることができた。周囲のレベルが高かったこともあり入賞は逃したものの、審査員から一定の評価をもらったという。その評価によって久田さんは、技能検定「婦人子供服製造」2級の実技試験の免除を受けることができた。いまもものづくりマイスターから教わりながら、残る学科試験のクリアを目ざして勉強中だ。  今年の第42回全国アビリンピック千葉大会へも出場予定の久田さんは、「次は小さなミスもせず、前回よりきれいに仕上げられるようがんばりたいです。職場でも、担当できる作業を増やしていきたいです」と抱負を語ってくれた。 裁断作業を1人で  久田さんの入社を機に、さらに福山北特別支援学校の卒業生2人が、本社工場と福山工場で働いている。その1人が、本社工場の製造部裁断グループに配属されている2019年入社の飯隅(いいぐま)信宏(のぶひろ)さん(22歳)だ。  裁断グループは、本社工場の正面玄関を挟んで縫製グループの向かい側にある。広い作業場には、長さ50mほどのベルトコンベアの上を、布地がゆっくり流れていく。コンピュータ制御された機械の下を通ると、自動的に服のパターンに沿った裁断の線が入る。最後に、人の手で布のパーツを1枚ずつ取り上げ、残りの切れ端がそのまま大きな箱の中に落ちていく仕組みだ。  ここで飯隅さんは、裁断機のタッチパネル操作や布の取り上げ作業などを1人で行っていた。特別支援学校時代に、職場見学のあと実習を3回ほど経験したという飯隅さんは、「もともと裁縫にも興味があったので入社を志望しました」と話してくれた。  入社後はアイロンやミシン作業などをひと通り経験したが、「失敗して布地をダメにすることが多かったです」と明かす。一方そのころ裁断グループでは高齢の従業員の後継者を探しており、飯隅さんに挑戦してもらったところ、操作をすぐに覚えたそうだ。  「ずいぶん作業には慣れました」という飯隅さんだが、いまも一番気をつけているのが「小さなパーツ」だ。以前、うっかり取り忘れてしまい、あとで気づいたときには、すでにほかの切れ端と一緒に処分されてしまっていたことがあった。  裁断グループの上司の藤田(ふじた)寿治(としはる)さんは、「見落としは私たちも当然ありうるミスです。本人には『一番小さなパーツから取るようにしよう』などとアドバイスしました」という。また藤田さんは、「飯隅さんは、まじめに作業に取り組むところが一番の長所です。作業に多少時間がかかったとしても、確実に正確に裁断してパーツを揃えてもらうことが大事です」と、飯隅さんの着実な成長を見守っている。 就労継続支援事業所への作業委託も  特別支援学校を通して就労支援機関とのつながりもできたAsahichoでは、工場での作業の一部を、就労継続支援事業所に委託することも増えてきたという。依頼するのは、縫製工程の最後の部分である、糸切り処理や糸くずの除去などだ。舘上さんが説明する。  「昔は、近所のおばあさんたちが内職で行ってくれていたのですが、どんどん引き受けてくれる人が減っていきました。代わりにやってくれるところがないか特別支援学校の先生に相談してみたところ、卒業生が通っている福山市や島根県の就労継続支援事業所が手をあげてくれました。いまは糸切りや仕上げアイロン作業をしてもらっていて、とても助かっています」 島根県の養護学校からも  特別支援学校の卒業生採用は、2018年から島根県内でも始まった。ここでも高卒採用向けの会社説明会などで、島根県立出雲養護学校の先生から声をかけられ、1人の女子生徒を紹介されたという。  「実習先となった雲南市内の工場は、従業員の平均年齢が60歳以上ということもあり、その生徒は、職場内で孫のように見守られながら、がんばり屋さんの性格を活かして仕事を覚えていったようです」と栗原さん。入社後は、通勤しやすいよう車の免許も取得したそうだ。  「彼女は現在、正社員として働いてもらっています」と栗原さんは話す。出雲養護学校からは今年も、男子生徒の職場実習を受け入れている。  取材中、久田さんや飯隅さんたちのことを「わが社にとって、なくてはならない大事な戦力です」と口にしていた舘上さんは、こう語る。  「特別支援学校の生徒さんたちは、せっかく働くための授業や実習などを受けているのですから、このことをもっと多くの企業に認知してもらい、受け入れ企業が増えて、彼らが社会に出てもしっかり働いていけるようになってほしいと思います。私たちはこれからも、彼らが就職につなげていける足がかりとして、実習の場を提供し続けていくつもりです」 ※1 日本機械学会賞:一般社団法人日本機械学会により、1958年に「日本の機械工学・工業の発展を奨励する」ことを目的として設けられた賞 ※2 技能検定:働くうえで身につける、または必要とされる技能の習得レベルを評価する国家検定制度で、131職種の試験がある。試験に合格すると合格証書が交付され、「技能士」と名乗ることができる 写真のキャプション 株式会社Asahichoが手がけるワークウェア 総務部長の栗原悦美さん 工場長の舘上恵さん 縫製グループで働く久田大介さん 自動ロックミシンで作業を行う久田さん 縫製グループは、工場の要となる部署だ 久田さんの指導を担当する縫製グループの秦良江さん 久田さんに、作業の説明を行う秦さん 昨年「第41回全国アビリンピック」の「洋裁」種目に出場。競技中の久田さん(撮影:岩尾克治) 全国アビリンピックに向け、久田さんが練習で製作したオーバーブラウス 裁断グループで働く飯隅信宏さん パーツの布を取り上げる飯隅さん 裁断機が生地を切り出す。細かいパーツもあるため注意が必要 飯隅さんの指導を担当する裁断グループの藤田寿治さん 裁断機を操作する飯隅さん 【P10-11】 クローズアップ はじめての障害者雇用U 〜障害のある人が働きやすい職場づくり〜 第6回 地域障害者職業センターにおける企業向けの支援について  当連載第5回までは、職場環境の整備について、また障害種別における働きやすい職場づくりのための方法や事例を紹介してきましたが、今号では当機構が運営する地域障害者職業センターが行っている企業向けの支援についてお伝えします。 1.各企業のさまざまなニーズや相談に対応  「障害者を採用したいがどのように進めたらよいのかわからない」、「どのような職務を提供したらよいのだろうか」、「どのような受入れ体制を整えたらよいのだろうか」など、はじめて障害者雇用を進めるに当たっては、疑問や不安だらけのなかで進めていかざるを得ないことが多いのではないでしょうか。  地域障害者職業センター(以下、「地域センター」)では、各企業のご要望や困りごとに応じて、長年蓄積しているノウハウをカスタマイズした支援プランを作成し、障害者雇用の各ステップに応じたさまざまなサポートを提供しています。 2.地域センターによるサポート内容  障害者雇用を進めるうえでは、図のステップに沿って進めていくことが一般的です。  地域センターが提供する企業向け支援では、これら各ステップにおいて必要な支援をオーダーメイド方式で提供します。 【企業向け支援の例】 ●ステップ1「障害者雇用の理解」  従業員や管理職に対して障害者雇用への理解促進を図るための社内研修を実施、など ●ステップ2「採用計画の検討・採用準備」  障害者に従事してもらう職務の設定(創出や切り出し)にかかる考え方や進め方をアドバイス、など ●ステップ3「募集活動・採用後の準備」  ハローワークなどと連携し、他社事例を交えながら就業時間、労働条件、雇入れ時に配慮すべき事項などのアドバイス、職場実習の提案・実施をサポート、など ●ステップ4「職場定着のための取組み」  雇い入れる障害者の特性に配慮した雇用管理や作業指導に関する助言のため、雇用と同時に定期的に企業を訪問し、ジョブコーチによる支援を実施(雇い入れた障害者への支援もあわせて実施)、など  このほかにも、企業の人事・労務担当者を対象に障害別の特性・雇用管理方法などをテーマにした講習や意見交換などを実施する「事業主支援ワークショップ」の開催、他社事例の紹介や先行企業などの見学、障害者雇用に関連する支援制度や助成金などの情報を提供しています。  また、メンタルヘルスの不調により休職した従業員の復職に関する支援「リワーク支援」、中途で障害者となった従業員への合理的配慮や雇用管理などについてのご相談にも応じています。 【中央障害者雇用情報センターと連携した支援】  当機構では、中央障害者雇用情報センター(※)に障害者雇用に関する豊富な知識と経験を有する「障害者雇用支援ネットワークコーディネーター」を配置し、雇用管理に関する相談や支援を行っています。また、労務管理、建築、医療などの分野に多くの知見と実践経験のある専門家を「障害者雇用管理サポーター」として登録しており、その紹介や派遣を行っています。  「特例子会社の設立ノウハウが知りたい」、「事業所内の設備改修について相談したい」、「〇〇という障害・疾患について、医療的側面から職場で配慮すべき事項は何か」といった相談などに対して、必要に応じて地域センターと中央障害者雇用情報センターが連携しながら相談・支援を行っています。  なお、「障害者雇用管理サポーター」の派遣依頼は、地域センターを経由して申請ができるほか、サポーター検索サイト「障害者雇用支援人材ネットワークシステム」に掲載された専門家に直接連絡し、支援の依頼をすることも可能です。 3.就労支援機関とつながる  これまで、地域センターにおける企業向けの支援についてご紹介してきましたが、地域センター以外にもハローワークや障害者就業・生活支援センターなど、企業からの障害者雇用に関する相談に応じる就労支援機関はさまざまです。  いまはインターネット上で障害者雇用に関する多くの情報に触れることができるため、それらの情報をもとに企業内で一定の方針を固め障害者雇用を進めている企業もあるのではないかと思います。しかしながら、企業も各社多種多様で、把握した情報が自社の業態・規模・経営方針・社内風土などに合致しているかどうかの判断はむずかしく、ややもすれば「社内の理解が得られない」、「うまく解決できない」など、壁にぶつかってしまうこともあるかもしれません。  そうなる前に、もしくはそのようなときこそ、就労支援機関にご相談することをおすすめします。特に、人事労務・採用を担当されている方にとっては、障害者雇用を進めるうえで迷い悩んだ際に、ともに考え解決に導くヒントを提供してくれる頼れる存在になるはずです。 ※ https://www.jeed.go.jp/disability/employer/employer05.html ★32ページ「掲示板」に、東京障害者職業センターからのお知らせを掲載しています。あわせてご覧ください 各都道府県にあります! 地域障害者職業センター 障害者職業カウンセラー(障害者雇用の専門家)が各企業の課題解決をサポートします!! ★新規の雇入れから、採用後の定着、職場復帰に至るまで、さまざまな「雇用管理」に関する相談にご対応します ★年間18,000事業所以上の相談実績があります お問合せ https://www.jeed.go.jp/location/chiiki/index.html 図 「障害者雇用のステップ」 ステップ1.障害者雇用の理解 ↓ ステップ2.採用計画の検討・採用準備 ↓ ステップ3.募集活動・採用後の準備 ↓ ステップ4.職場定着のための取組み 障害者雇用支援人材ネットワークシステムhttps://shienjinzai.jeed.go.jp 【P12-14】 JEED インフォメーション 〜高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)からのお知らせ〜 ご活用ください!障害者の職業訓練実践マニュアル  当機構が運営する国立職業リハビリテーションセンター(埼玉県)および国立吉備高原職業リハビリテーションセンター(岡山県)では、精神障害や発達障害、高次脳機能障害など、職業訓練上特別な支援を要する障害のある方の受入れを積極的に行い、より効果的な職業訓練の実施に必要な指導技法などを、障害種別ごとにマニュアルとして取りまとめています。  このマニュアルは、当機構のホームページからダウンロードすることもできます。また、無料で配付をしていますので、お気軽に左ページ下部お問合せ先へご連絡ください! NEW!! 職業訓練実践マニュアル訓練生個々の特性に応じた効果的な訓練実施に向けた取組み 〜基礎編〜 複数の障害種別の方が混在する環境下での訓練科運営が求められるなど、近年の職業能力開発施設における現状をふまえ、障害の有無や種別にとらわれない、訓練生個々の特性に着目した効果的な訓練を実施するための取組みについて、以下の構成でわかりやすくまとめました。 @効果的な訓練実施に必要な支援力の要素 A障害特性の理解 B安定した訓練受講のための取組み C対応法の習得の考え方 D特性の把握のための取組み E対応法の検討 マニュアル本文および教材等のツールは、巻末の付属DVDや当機構ホームページにも掲載しています。上記QRコードからアクセスできます。 マニュアルの内容 支援力の向上のための要素 マニュアルでは支援力の向上のための要素をまとめ、それぞれについて説明しています。 対応法の取組み状況の取りまとめ(例) 対応法を整理するためのステップや、訓練生との相談のポイントについても説明しています。 こんな方におすすめ! 「困りごとへの対応方法は?」「どんなツールを使ったらいいの?」という方にもわかりやすくまとめています。 また、スライドと解説をセットにしているため、施設内の研修などにも活用いただけます。 ◆付属DVD◆ マニュアル巻末の付属DVDにマニュアルで使用しているスライド(Power Point)や資料を収録しています。ご自由にご活用ください。 【予告】「令和4年度 訓練生個々の特性に応じた効果的な訓練実施に向けた取組み〜実践編〜」刊行予定 職業訓練実践マニュアル 精神障害・発達障害者への職業訓練における導入期の訓練編 ◆導入期の訓練編T 〜特性に応じた対応と訓練の進め方〜(平成30年度発行) ◆導入期の訓練編U 〜対応法の習得に向けた具体的な取り組み〜(令和元年度発行) ◆導入期の訓練編V 〜導入期の訓練のカリキュラムと具体的な進め方〜(令和2年度発行) 高次脳機能障害者編 ◆高次脳機能障害者編T 〜施設内訓練〜(平成28年度発行) ◆高次脳機能障害者編U 〜企業との協力による職業訓練等〜(平成29年度発行) 精神障害者編 ◆精神障害者編T 〜施設内訓練〜(平成24年度発行) ◆精神障害者編U 〜企業との協力による職業訓練等〜(平成25年度発行) 発達障害者編 ◆発達障害者編T 〜知的障害を伴う人の施設内訓練〜(平成22年度発行) ◆発達障害者編U 〜施設内訓練〜(平成23年度発行) ◆発達障害者編V 〜企業との協力による職業訓練等〜(平成24年度発行) 重度視覚障害者編 ◆重度視覚障害者編T 〜施設内訓練〜(平成22年度発行) ◆重度視覚障害者編U 〜企業との協力による職業訓練等〜(平成23年度発行) これまでに刊行した マニュアルは、右ページのQRコード(当機構ホームページ)からダウンロードできます。  「導入期の訓練」編では、入校直後の導入期に訓練生活への適応の促進を図るための職業訓練の実施方法などをまとめています。  「施設内訓練」編では、おもに訓練環境や指導体制の整備、訓練カリキュラム、訓練教材の作成方法、実践的な職業訓練の実施方法などをまとめています。  「企業との協力による職業訓練等」編では、おもに企業ニーズをふまえた職場実習や、就職活動における支援技法などをまとめています。 精神障害者等向け委託訓練参考マニュアル 精神障害や発達障害のある方への円滑な委託訓練実施のために〜精神障害者等向け委託訓練参考マニュアル〜(平成27年度発行)  委託訓練実施機関の方、また実施を検討されている機関の方に向けて、精神障害、発達障害のある方を受け入れるための、訓練環境におけるポイント、具体的な取組み内容などについてまとめました。 ◎お問合せ先 障害者職業総合センター 職業リハビリテーション部 指導課 TEL:043-297-9030 E-mail:ssgrp@jeed.go.jp 障害者職業訓練推進交流プラザのご案内 3年ぶりの集合開催&グループ別検討会実施 日時:令和4年10月26日(水)10:00〜16:30 会場:障害者職業総合センター(千葉市美浜区若葉3−1−3)  厚生労働省および当機構では、障害のある方の公共職業訓練を実施している、または、障害のある方の受入れを検討している職業能力開発施設などの方を対象に、精神障害や発達障害、高次脳機能障害のある方などに対する職業訓練技法の普及を行っています。  その一環として、厚生労働省主催の「障害者職業訓練指導員経験交流会」と当機構主催の「障害者能力開発指導者交流集会」をあわせて「障害者職業訓練推進交流プラザ」として共同開催するものです。  みなさまのお申込みを心よりお待ちしております! ◎対象者  障害のある方の職業訓練を実施している、または、障害のある方の受入れを検討している施設など(障害者職業能力開発校、一般の職業能力開発校、民間の障害者職業能力開発施設、障害者委託訓練受託施設、都道府県人材開発主管課)の方 ◎内容  ・行政説明  ・事例発表、訓練技法等の紹介  ・グループ別検討会  ※詳細は下記ホームページにてご案内いたします。 ◎お申込み方法  当機構ホームページ(https://www.jeed.go.jp/disability/supporter/intellectual/q2k4vk000001js26.html)から申込書をダウンロードできます。申込書に入力のうえ、当機構職業リハビリテーション部指導課広域・職業訓練係あて、メールまたは郵送でお申し込みください。 ◎締切 令和4年9月30日(金)必着  ★参加費は無料です。また、事前の参加お申込みが必要です。  ★昼食は各自ご準備ください。 ホームページはこちらから→ ◎お問合せ先 厚生労働省 人材開発統括官 特別支援室 障害者企画係 〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2 TEL:03-5253-1111(内線5962) 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター 職業リハビリテーション部指導課 広域・職業訓練係 〒261-0014 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-3 TEL:043-297-9030 E-mail:ssgrp@jeed.go.jp 【P15-18】 令和4年度 障害者雇用支援月間における絵画・写真コンテスト入賞作品 「絵画コンテスト 働くすがた〜今そして未来〜」 「写真コンテスト 職場で輝く障害者〜今その瞬間〜  高齢・障害・求職者雇用支援機構では、広く障害者雇用への理解と関心を深めていただくため、障害のある方々などから絵画と写真を募集し、優秀な作品をもとに9月の「障害者雇用支援月間」にあわせてポスターを作成しています。  募集は絵画コンテスト3部門と写真コンテストに分けて行い、全国から寄せられた1,569点(絵画1,256点、写真313点)の応募作品の中から、審査の結果、ポスターに採用する厚生労働大臣賞4点のほか当機構理事長賞4点、同理事長奨励賞72点がそれぞれ選ばれました。  厚生労働大臣賞を受賞した4作品をもとに作成したポスターは、障害者雇用支援月間中、全国のハローワークなどに掲示されます。 入賞作品展示会のお知らせ 全国5カ所で入賞作品展示会を開催します。 【東京】9/9(金)〜9/13(火) 飯野ビルディング 【大阪】9/27(火)〜9/29(木) 大阪市役所 【福岡】10/11(火)〜10/13(木) 福岡市役所 【札幌】10/23(日)〜10/25(火) 札幌駅前通地下広場 【愛知】11/3(木)〜11/5(土) ナディアパーク 詳しくは当機構ホームページをご覧ください。 今年度も力作がそろいました! シンボルキャラクター ピクチャノサウルス 厚生労働大臣賞 ◆絵画コンテスト 小学校の部◆ 「カッコイイ車を作ります」 于 ■汐(う りんし 大阪府) ◆絵画コンテスト 中学校の部◆ 「散髪屋さん」 富永 雄大(とみなが ゆうだい 兵庫県) ◆絵画コンテスト 高校・一般の部◆ 「みつけた!!やりがい」 小島 幸吉(こじま こうきち 神奈川県) ◆写真コンテスト◆ 「只今準備中」 永光 イチ子(ながみつ いちこ 大分県) 高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長賞 ◆絵画コンテスト 小学校の部◆ 「東急バスで、はたらきたい」 浅井 峻世(あさい しゅんせい 東京都) ◆絵画コンテスト 中学校の部◆ 「本屋の裏方」 長澤 矯海(ながさわ いさみ 長野県) ◆絵画コンテスト 高校・一般の部◆ 「明るく元気で働いている姿」 佐々木 亮介(ささき りょうすけ 東京都) ◆写真コンテスト◆ 「確実で丁寧な作業」 岸本 翔洋(きしもと しょうよう 愛知県) 高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長奨励賞 絵画コンテスト 小学校の部 「桜の下の警察官」 星野 蒼空 (ほしの そら 東京都) 「デコレーションケーキを作るパティシエになりたいな」 鶴田 梨乃(つるた りの 愛知県) 「かっこいいカメラマン」 岡崎 絢真 (おかざき けんしん 愛知県) 「ハンバーガーやさん」 前田 夏哉 (まえだ なつや 福岡県) 「プロサーファーで金メダル」 岩ア 翔琉 (いわさき かいり 福岡県) 「へあめいくあっぷあーちすと」 米田 里緒 (よねだ りお 鹿児島県) 「気合が入っている山手線の運転手」 二宮 謙親 (にのみや けんしん 鹿児島県) 「ワクワク トリマー」 酒元 美生 (さけもと みう 鹿児島県) 「ロボットをつくりたいな」 末廣 隼人 (すえひろ はやと 鹿児島県) 「うしをそだてたいな」 皆川 陸 (みながわ りく 鹿児島県) 絵画コンテスト 中学校の部 「寿司職人」 佐渡 将真 (さわたり しょうま 北海道) 「シャンデリアのあるキレイな新幹線で働く女性」 國廣 瞳 (くにひろ ひとみ 東京都) 「車のキズの修理」 相羽 星音 (あいば せいん 長野県) 「歯科技工士になりたい!」 齋藤 楓佳 (さいとう ふうか 長野県) 「タイヤの入れ換え」 寺澤 剛瑠 (てらさわ たける 長野県) 「素敵なイラストレーター」 杉浦 あすか (すぎうら あすか 愛知県) 「シュートを決めるぞ!!」 坂野 太洋 (ばんの たいよう 愛知県) 「がんばる わたし」 濱島 舞扇 (はましま まお 福岡県) 絵画コンテスト 中学校の部 「集中して、がんばレッツゴー!」 山悠太 (たかやま ゆうた 福岡県) 「テレビではたらくぼく」 小野 龍吾 (おの りゅうご 鹿児島県) 絵画コンテスト 高校・一般の部 「浜の御婆の意地」 内海雅充 (うつみ まさみつ 北海道) 「一致団結コーヒー屋さん」 石戸谷 有記 (いしどや ゆき 青森県) 「よし頑張るぞー」 釼持一斗 (けんもつ かずと 山形県) 「部品の袋詰め」 下島 拓真 (しもじま たくま 茨城県) 「車社会を支える人々」 板川 真梨子 (いたがわ まりこ 群馬県) 「私、13年間クレームゼロ!」 番場 平 (ばんば たいら 埼玉県) 「未来の私に笑顔」 寺前 雪路 (てらまえ ゆきじ 東京都) 「町の安全を守るため工事をする人」 前田隼汰 (まえだ はやた 東京都) 「農家のとうちゃん」 池田佳子 (いけだ かこ 東京都) 「私の憧れスウィーツ職人」 渡邉桃子 (わたなべ ももこ 神奈川県) 「パン工房」 長谷川 匠 (はせがわ たくみ 新潟県) 「フォークリフトの作業中」 山口 祐典 (やまぐち ゆうすけ 石川県) 「美しい紙面のために」 鎌田希和子 (かまた きわこ 山梨県) 「お鍋で笑顔を運ぶかまくらレストラン」 荻原有里 (おぎわら ゆり 長野県) 「ひたすらカクハンする」 加藤利和 (かとう としかず 岐阜県) 「宇宙飛行士」 松尾美月 (まつお るな 岐阜県) 絵画コンテスト 高校・一般の部 「協力のかけ橋」 石川 翼 (いしかわ つばさ 静岡県) 「キャロット収穫」 鎮守 瀬那 (ちんじゅ せな 静岡県) 「働く、工員」 伊藤 裕一 (いとう ゆういち 愛知県) 「華やかさを求めて」 大村 綾子 (おおむら あやこ 愛知県) 「ケーキ職人 パティシエ」 大村 麻子 (おおむら あさこ 愛知県) 「料理を提供するホールスタッフ」 岡本 邦裕 (おかもと くにひろ 愛知県) 「できたよ」 中瀬 友之 (なかせ ともゆき 三重県) 「『丁寧にテンポよく封入』をこころがけて」 音城 志保 (おとしろ しほ 大阪府) 「イラストレーター・夢を叶えるお仕事」 小林 弘典 (こばやし ひろのり 奈良県) 「熱々の唐揚げ いかがですか」 赤江 由衣 (あかえ ゆい 島根県) 「朝の仕込み」 松井 沙織 (まつい さおり 岡山県) 「服屋さん」 小橋 悠美 (こばし ゆみ 岡山県) 「いつものルーティーン作業」 山澤 義雄 (やまさわ よしお 広島県) 「曇りのない青空に」 綿部 匠 (わたべ たくみ 福岡県) 「ガラス工芸の薩摩切子の力仕事」 平井 英樹 (ひらい ひでき 福岡県) 「車のデザインを楽しむユーチューバー」 藤井 佑樹 (ふじい ゆうき 福岡県) 「いらっしゃいませ!!美味しい焼きたてのパンはいかがですか?」 松尾 英昭 (まつお ひであき 熊本県) 「介護職に光を」 相澤 知文 (あいざわ としふみ 大分県) 「ミッション・ザ・前期・ゲンバジッシュウ」 上山 樹亜 (うえやま じゅあ 鹿児島県) 「これから始まる」 野原 栄人 (のはら えいと 沖縄県) 【P19】 エッセイ 多様でユニークな支援のあり方 第4回 働き手の自主性を引き出す方法 Kプランニング代表 戸原一男 戸原一男(とはら かずお)  約13年前から「SELP訪問ルポ」(日本セルプセンターWEBサイト)や『月刊福祉』(全国社会福祉協議会出版部)にて、290カ所以上の障害者就労支援施設の取材記事を連載する。施設職員を対象とした工賃向上研修会の講師実績も多数。  おもな著書として、『障害者の日常術』(晶文社)、『障害者アートバンクの可能性』(中央法規出版)、『パソコンで絵を保存しよう』(日本エディタースクール出版部)、『ブレイブワーカーズ』(岩波ブックセンター)、『はるはる日記』(Kプランニング)、ほか。 タスカルカードを導入し、職場の雰囲気が一変  茨城県にある社会福祉法人ユーアイ村の「ユーアイキッチン」という多機能型事業所では、独自に開発したシステム「タスカルカード」を導入し、利用者支援に劇的な変化をもたらしている。毎日、朝早くから大量の弁当を製造し、目が回るような忙しさなのに、「いつも笑顔があふれる楽しい職場」に変わったというのだ。私が取材でお邪魔したときにも、障害のある人たちが活き活きと働いている姿がとても印象的だった。  タスカルカードの特色は、作業工程を細分化してイラストつきのカードにし、当日の予定を利用者自らが設定する(カードをタテ列に並べていく)ところにある。作業内容や順番はその日によってまったく異なるため、以前は一つの仕事を終えるたびに「次は、何をすればいいですか?」と何度もたずねてくる人が多かった。余裕があるときならともかく、バタバタしていると職員もついイライラし、「さっき説明しましたよね?」と反応してしまう。すると利用者は気落ちして、仕事への意欲も落ちてしまう……、そんな悪循環だったのだ。  タスカルカードの導入後、職場の雰囲気は明らかに改善したという。カードにしたがって自ら次の仕事に向かっていく彼らの姿は、自信に満ちている。職員も細かい指示をする必要がなくなったので余裕が生まれ、対応が優しくなった。「できないことを叱る」のではなく、「できたことを褒める」支援に特化するため、雰囲気が明るくなり、生産効率も大幅に向上したのである。 モチベーションを引き出すさまざまな工夫  このような職場改善を、積極的に導入する施設も全国には数多い。ダイレクトメールの発送代行を行う、愛知県の多機能型事業所「ワークセンターフレンズ星崎(ほしざき)」では、「封入→封緘(ふうかん)→宛名貼り」といった工程を分解し、複数の利用者がかかわれるように工夫している。これは、重度障害のある人にも作業参加をうながす配慮でもある。そしてそれ以上に重要なのが、分担すると作業スピードが格段に上がることだ。場合によっては、一人で全工程を行う職員よりも早いこともある。利用者の特性を見きわめ、もっとも得意な工程に専念してもらうと、まるで職人のような能力が発揮されていく。  千葉県にある社会福祉法人まごころの多機能型事業所「ビーアンビシャス」で取り入れているアンバサダー制度も、非常にユニークである。毎年利用者のなかから立候補者を募り、当選した人が施設見学に訪れるお客さまの先導役に選ばれるのだ。ステキなグリーンジャケットを着て颯爽(さっそう)と施設内を案内していく利用者の顔は、きりっと引き締まっている。「あんな仕事を自分もしてみたい」、みながそう憧れるから、毎年のアンバサダー選挙は大いに盛り上がる。激戦を勝ち抜いて当選した人は、アンバサダーとしての責任感から、普段の仕事においても格段の成長を遂げるそうだ。 自主性を育てると、作業効率が向上する  今回紹介した三つの事例は、働く人の自主性を育てることの大切さを教えてくれる。仕事の醍醐味というのは、そもそもやるべきことを自ら考えるなかにある。指示を待つだけでは、いつまでたってもやりがいなど感じられるはずがない。利用者たちが活き活きと動き出せば、職場の雰囲気が明るくなり、仕事もできるようになる……こんな正のスパイラルが生まれていくはずなのだ。もちろんこれは、障害者就労の現場にかぎった話ではないのだけれども……。 【P20-25】 編集委員が行く 視覚障害・聴覚障害のある職業人を輩出する「母港」としての大学 国立大学法人筑波技術大学(茨城県) 常磐大学 准教授 若林 功 取材先データ 国立大学法人筑波技術大学 天久保キャンパス 〒305-8520 茨城県つくば市天あま久く保ぼ4-3-15 TEL 029-852-2931(代表) 春日キャンパス 〒305-8521 茨城県つくば市春日4-12-7 TEL 029-852-2890(代表) 編集委員から  今回、今年度から新任の編集委員として初めて取材を担当した。視覚障害や聴覚障害のある人の就労支援という話題は以前からあるものの、現在進行中の課題でもある。また、障害のある学生の高等教育と職業の関係も注目されてきている。今回の取材では、視覚・聴覚障害のある人を専門的に教育する大学の様子を、職業的観点から報告した。なお、コロナ対策についてもお話はうかがったものの、紙幅の関係から記事としては触れられなかったことをご容赦いただきたい。 Keyword:視覚障害、聴覚障害、大学教育、キャリア教育、インターンシップ、就職活動 写真:官野 貴 POINT 1 同じ障害種別の学生コミュニティを用意することで安心感を持ってもらい、主体的に活動する経験を提供 2 社会で活躍する先輩をロールモデルとして、将来について考える機会を設定する 3 実質的な「インターンシップ」の機会を確保し、就職につなげる 4 社会で活躍するために必要な「ITスキル」を高めるための充実した教育を実施 筑波技術大学の概要  筑波技術大学は、茨城県つくば市に位置する、視覚障害者・聴覚障害者のための国立の4年制大学である。つまり、視覚障害もしくは聴覚障害のある人でないと入学することができない大学である。筑波技術大学は当初、筑波技術短期大学として設置・開学した。現在、短大の開学から30年以上が経過しており、2017(平成29)年には開学30周年の行事が行われている。  大学の学部在籍者数は、2021(令和3)年5月現在で310人程度となっている。また大学院修士課程も設置されている(大学院は、視覚障害・聴覚障害がなくても学ぶことができる場合もある)。  筑波技術大学には、筑波大学を挟むようにして、二つのキャンパスが設置されている。一つは聴覚障害のある学生を対象とした天久保(あまくぼ)キャンパスであり、もう一つは視覚障害のある学生を対象とした春日キャンパスである。  今回の取材では、まず天久保キャンパスを訪問し、続いて春日キャンパスを訪問した。なお、取材に際しては、大学に取材を申し込みていねいに対応いただいたことに加え、同大学障害者高等教育研究支援センターの後藤(ごとう)由紀子(ゆきこ)助教にもお骨折りいただいた。 天久保キャンパス  天久保キャンパスには「産業技術学部」が置かれている。同学部は、情報科学や先端機械工学、建築学、福祉機器工学などの工学的な支援技術学を学ぶことのできる「産業情報学科」と、クリエイティブデザイン学やデザイン学的な観点で支援技術学を学ぶことのできる「総合デザイン学科」がある。  天久保キャンパスでは、まず就職担当である、産業技術学部産業情報学科の加藤(かとう)伸子(のぶこ)教授、障害者高等教育研究支援センターの後藤由紀子助教にお話をうかがった。  入学資格は、聴覚障害があるということで、具体的には「両耳の聴力レベルがおおむね60デシベル以上の人、または補聴器などの使用によっても通常の話声を解することが不可能、もしくは著しく困難な人」となっている。  このような条件があるものの、実際には入学前にどのような教育を受けてきたのか、特別支援学校(聴覚障害)出身か、一般高校出身かなどは学生によってバラバラだという。また、入学前のコミュニケーション手段についても、手話が十分身についている人もいれば、手話を使った経験があまりない人もいるとのことである。  入学時点では手話に関する経験はさまざまであるため、入学して最初の時期に手話の練習を行う機会(例えば、「手話コミュニケーション入門」などの授業)を設定しているとのことである。そして、同じ聴覚障害のある学生とのコミュニケーション手段の一つとして、手話コミュニケーションに慣れることを支援している。  つくば市は、2005年につくばエクスプレスが開業し、私がつくば市に在住していた1990年代から通勤・通学事情が大きく変わったが、それでも産業技術学部の学生は9割が寄宿舎生活を送っているとのことである。この寄宿舎は天久保キャンパスに通う学生用としてキャンパス内にあり、「学住近接」となっている。 在学中のキャリア教育など  一般の大学同様、あるいはそれ以上に、キャリア教育に力が入れられている。具体的には専門の勉強が中心となる3年生において、各専攻コースごとに「インターンシップ」の授業が設定され、必修ではなく選択の科目となっているものの、選択する学生が多いとのことである。これは文字通り、企業という実社会でそれまで学習してきたことがどのように関係するか体験するために、2週間程度の実習を行う授業である。もちろん単に実習のみということではなく、実習前の事前学習、事後学習もセットとして行っている。  現在、さまざまな企業で大学生を対象とした「インターンシップ」が行われているが、実態としては1日の見学会であったり、大学生同士のグループワークであったりの場合もある。しかし、加藤教授によれば、筑波技術大学の「インターンシップ」は、企業での1〜2週間程度の就労体験ができるように企業に依頼しているとのことであった。  このような授業のほか、プロジェクトやボランティアの経験を積める機会もある。例えば、つくばエクスプレスを運営する首都圏新都市鉄道株式会社と大学で連携協定を結び、駅のユニバーサルデザインの設備を学生がチェックするプロジェクトや、都内のろう学校の児童を対象に「ものづくり教室」を開催し、学生が講師としてかかわる活動などもある。  また、大学の授業や活動だけでなく、生活に密着した就労経験である「アルバイト」もキャリア形成に影響を与えることもあるだろう。  一方で、障害のある大学生が、障害者法定雇用率に基づく正規雇用ではなく、アルバイト先を探すのは、むずかしい場合が多いのではないかと私は感じている。しかし、筑波技術大学産業技術学部の学生についてはお店も協力的で、うまくアルバイト先を見つけられているそうだ。職場は、ファストフード店や居酒屋、(聴覚障害のある子どもを対象とした)家庭教師など、さまざまだという。また、同大学の学生が以前からアルバイトをしていて、先輩から代々引き継がれているものもあるそうだ。アルバイトについても、開学以来30年以上の時間が経過している強みがあるように感じられた。  そのほかに、通常の大学では学生が企業の合同面接会に出向くが、筑波技術大学では企業に学内に来てもらい、説明会を開催するとのことである。またこの説明会には、可能なかぎりその会社に就職した同大卒業生にも参加してもらったり、インターンシップ先だった企業が出席したりしている。先輩である卒業生からの言葉ということで、在学生にとって心に響くものがあるとのことであった。 ●在学生からお話を聞く  在学生からも、就職活動などについてのお話を聞くことができた。  1人目は室井(むろい)彩(あや)さん(21歳)、産業技術学部総合デザイン学科4年生。  「インターンシップも含めて10社の採用試験を受けました。現在、金融機関から内々定を得ています。大学の紹介で企業の説明会に参加し、その金融機関が多様性を大切にしている点に興味を持ったことがきっかけで、面接を受けました。  大学でのプレゼンの練習は、将来社会に出て役に立つと思います。また、大学でボランティア活動のリーダーを経験したことで積極性が身につき、いろいろ学ぶことができました。  この大学に入学を目ざす聴覚障害のある高校生などへのメッセージは、『人に頼って、助けを求めることが大事』だということです。また、『壁にぶつかったときに一人で抱え込まないでほしい』。私は高校までは周りの人にいわれるままに動いてきましたが、大学進学のときには、周囲から反対されても自分の入りたいという意思が強かったので進学しました。強い気持ちがあれば、ぜひ突き進んでほしいと思います」  続いて、廣瀬(ひろせ)紫優(しゆう)さん(22歳)、産業技術学部産業情報学科4年生。  「説明会に参加したのは15社くらいで、面接を受けたのは4社くらいです。現在、内々定を得ています。大学で学んだプログラミングを活用して企業向けのシステムをつくっていく仕事です。そこはインターンシップでお世話になった会社で、大学の先輩がいたのも進路選択の決め手の一つとなりました。就職したら、"Python(パイソン)"というプログラミング言語を使って人工知能の仕事にかかわれることが楽しみです。  また、大学のボランティア活動で特別支援学校の子どもたちに、ものづくりについて教えた経験が将来役に立つと思います。ボランティアでは、ペットボトルの輪投げや金魚釣りなどの企画を実施しました。  積極的に行動をするのが苦手な人への助言は、『まずはやってみるのが大事』だということです。自分も『ボランティアのリーダーをやってみないか』という話があり、できるかわかりませんでしたが、まずはやってみることにしました。そして自分一人で抱え込まないようにして動いてみようと思いました。まずは動くことが大事です」 聴覚障害に配慮した設備  天久保キャンパスの特徴である、聴覚障害に配慮した設備もご案内いただいた。例えば、手話使用者でも利用可能な公衆電話(手話対応型公衆電話ボックス)、学内のエレベータで音声が利用できないため、なかに人がいるかどうかモニターで確認することのできるエレベータ、顔を合わせやすくするためV字型に机を配置した実習室などである。これらの環境設定は、聴覚障害のある社員を雇用する企業にとっても、参考になるのではないだろうか。 春日キャンパス  春日キャンパスには「保健科学部」が置かれている。同学部には「保健学科」と「情報システム学科」があり、保健学科には鍼灸(しんきゅう)を専門的に学ぶ「鍼灸学専攻」、理学療法を学ぶ「理学療法学専攻」がある。情報システム学科は、視覚障害補償技術を活用して、コンピュータとその応用技術の基本を学習し一般企業への就職を目ざす学科である。  春日キャンパスではまず、就職担当である、保健科学部情報システム学科の嶋村(しまむら)幸仁(ゆきひと)教授、堀江(ほりえ)則之(のりゆき)准教授にお話をうかがった。その後、学内の設備を見せていただき、在学生にお話を聞くことができた。  筑波技術大学保健科学部の入学資格として、視覚障害に関しては「両眼の矯正視力がおおむね0.3未満であるかまたは視力以外の視機能障害が高度」などとなっており、全盲の学生もいる一方で、視力には大きな障害はないものの、視野の中心、あるいは周辺部分に見えないところがあり日常生活を送るうえで配慮が必要な学生もいるとのことであった。  入学してくる学生の年齢層は、保健学科の鍼灸学専攻や理学療法学専攻では年齢の高い学生もいるが、情報システム学科は18歳で入学する若い学生が多いとのことであった。  入学後の生活は、天久保キャンパス同様、寄宿舎があり、大多数の学生が寄宿舎生活を送っているそうだ。寄宿舎は4室や6室がまとまったユニットとなっており、それぞれのユニットには違う学科の学生が入居している。保健学科は年齢層が高い学生もいるため、結果的に年齢層が異なって配置されており、社会勉強になる面もあるという。  鍼灸学専攻は、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の資格取得を、理学療法学専攻は理学療法士の資格取得を目ざす。鍼灸学専攻の卒業生はヘルスキーパーという職種で、社員への福利厚生でマッサージを行う社員として大手企業に就職したり、大学院に進学したりしている。また同大学内にある東西医学統合医療センターで研修生のような形で数年間働くという人もいる。理学療法学専攻については、病院に就職することが多い。そのきっかけは病院での実習で、資格取得後その病院に就職するという流れが多いという。  一方、情報システム学科は一般企業に、エンジニアもしくは事務職で就職することを目ざしている。就職先一覧を見せていただいたが、IT系の企業のほか、製造業や官公庁などさまざまな業種があり、なかには特例子会社に就職している人も見受けられた。 在学中のキャリア教育等  インターンシップの授業は2年生から数日間で始め、3年生は1週間から10日と長めの期間を経験する。4年生では内定を判断するためにインターンシップを行うこともあるとのこと。また、2年生の秋から「キャリア開発」の授業があり、3年生の秋ごろから模擬面接や履歴書の書き方についての指導もしている。  社会人生活に向けて、学生にはなるべくリーダー役を経験してもらう機会を多く設けているという。高校までの盲学校では同級生が1人といった場合があるなかで、このキャンパスでは、みな視覚障害者で1学年10人といった、一定数の同じ障害のある同級生がいる環境であり、そのなかで遠慮せずにリーダーとして活動する経験を積んでもらうのである。そのほか、音楽やスポーツといったサークル活動なども盛んに行われている。ここでは、視覚障害のある学生が主体的に活動にかかわることのできる環境が用意されている。  アルバイト経験については、洋服店でのバックヤード業務や、パソコン業務などのアルバイトに従事する学生もいる一方で、視覚障害の状況によってはむずかしい場合もあるそうだ。その場合、インターンシップが貴重な経験となり、そこで社会で働くことの感覚がわかり、勉学に一生懸命になる人もいるとのことである。  アルバイト以外に、ボランティアなどの経験も重要であろう。保健学科の学生はマラソン大会でマッサージを担当することが多いという。情報システム学科の学生はボランティアを経験する人は多くないが、視覚障害のある高齢者のパソコン操作についてサポートするボランティアを経験したケースがあったそうだ。  こちらの学部でも、聴覚障害のある学生が学ぶ産業技術学部同様、企業を招いて説明会を実施している。そこでは、自分がつくったプログラムやエクセルのマクロを組んで集計したものなどを企業担当者に見てもらうなどして、アピールをする機会もあるという。また、企業説明会ではその企業に就職した同大学の卒業生が一緒に来るようにしているそうだ。  卒業後もOB・OGに大学の先生方がかかわる機会があるそうである。直接メールなどで卒業生から相談がある場合もあり、例えば「PC Talker」という読み上げソフトを職場で導入することについての相談であったり、就職した会社が民事再生法適用となってしまい転職について相談や支援を行ったこともあったのこと。  また、一般の大学を卒業した人に比べて、不本意に離職する人は少ないとのことである。辞める場合でも、その理由が人間関係の場合もあるが、支援機器の販売などの事業を立ち上げるためという前向きな理由の人もいるとのことで、ネガティブな理由で辞める人はほとんどいないそうである。 ●在学生からお話を聞く  1人目は赤木(あかぎ)雅弥(まさや)さん(21歳)、保健科学部情報システム学科4年生。  「IT系の企業の内々定を4月くらいに得ました。エンジニア職です。それまでに8社くらい受けています。  この会社を選んだ理由は、視覚障害のある社員が多く在籍しているということもありますし、直接知っていて親しくしている、1学年上の大学の先輩が在籍しているということ、1週間くらいのインターンシップも体験できた、ということもあります。  エンジニアになるというのは、入学当初から考えていたわけではなく、2〜3年生くらいから就職について考えるようになり、最終的にエンジニアを目ざそうと思いました。高校時代は特別支援学校(視覚障害)に通っていましたが、将来について正直『こうなりたい』という思いはなくて、部活など、そのときやりたいことに注力していました。ただ、高校時代の職業体験の授業で、事務の作業にパソコンを使った経験があることから、パソコンを使う仕事を考えるようになったと思います。  視覚障害のある高校生などの後輩に伝えたいことは、『パソコンに触っておけ』ということでしょうか。選択肢を広げるという意味でも」  続いて、八染(やそめ)まどかさん(22歳)、保健科学部情報システム学科4年生。  「IT企業の内々定を得ています。ビジネス職で人事本部もしくはカスタマー本部配属予定と聞いています。これまでに15社ほど受けました。この会社を選んだ決め手は、社風や企業理念が、私の性格や考え方と一致していたことです。視覚障害者の雇用実績はあまり重視していませんでしたが、大学の先輩が在籍していたので安心感はありました。もともと人を支援する業務に興味があったのですが、情報社会ということでだれかの助けになるのはITだと考え、この学科で勉強しています。  私は盲学校の出身ですが、盲学校では、鍼灸の専攻科に進むか、企業への就職が中心で、大学に進学する生徒は珍しかったと思います。この大学は少人数ですが、それでも世界が広がったと思います。盲学校で重複障害ではない生徒は自分一人だけでした。  視覚障害のある高校生など後輩に伝えたいことは、『やりたいことに向かって自分のやり方で進むとよいのではないか』ということです。盲学校という世界だけでは狭い場合があると思います。  大学でサークルの先輩たちと交流できたことは、進路選択にも役に立っています。私の選んだ職種に近い仕事をしている先輩が多いのですが、人事業務の話など参考になります」 視覚障害に配慮した設備  視覚障害者のための機器については「支援機器室」を設けて展示しており、情報提供の場として非常に充実していた。また、学内の視覚障害に配慮した設備についても案内いただいた。拡大読書器や点字ディスプレイがさまざまな教室で豊富に置かれていたり、教室の入り口の向かい側の手すりに切り込みを入れて、入り口の位置がわかるようにしたり、学ぶための環境が整備されていた。 おわりに  今回、筑波技術大学での取組みを取材させていただき、障害特性への配慮だけでなくキャリア形成という面でも効果的な取組みがなされていることを実感した。大前提として、パソコンを中心とした専門性を高めるための教育プログラムが展開されていることが、視覚障害や聴覚障害のある学生を社会に送り出すうえで有効なものとなっていることを、まずあげておきたい。そのうえで、視覚障害や聴覚障害という同じ障害種別の同級生たちとの集団活動、また教員の目が行き届いた少人数での教育のほか、障害のある学生が各コミュニティに参画し、そのなかで受容され安心感が育まれることにより、学生にとって社会という海に出るうえでの「母港」としての意味が、筑波技術大学にはあるのではないかと感じた。  加えて、社会とのかかわりを含む主体的な活動の経験が積めること、先輩をロールモデルとして、将来について考えられる環境にあること、一定期間を確保した意味のある「インターンシップ」の機会が確保されていることも、非常に有意義で効果的だと考えられる。今後の筑波技術大学の活動と発展に期待したい。 写真のキャプション 国立大学法人筑波技術大学 天久保キャンパス 産業技術学部産業情報学科の加藤伸子教授 障害者高等教育研究支援センターの後藤由紀子助教 天久保キャンパス内の「学生寄宿舎居住棟」 ボランティア活動の一環として行われた「ものづくり教室」(写真提供:筑波技術大学) 企業を大学に招き行われた「合同企業説明会」。企業で実際に働く卒業生の話も聞くことができる(写真提供:筑波技術大学) 産業技術学部総合デザイン学科の室井彩さん 産業技術学部産業情報学科の廣瀬紫優さん 学生寄宿舎共用棟に設置された手話対応型公衆電話ボックス「手話フォン」 教壇を中心に机がV字に配置された実習室。手話でのコミュニケーションを円滑にする エレベータ内が確認できるモニター(左上)。災害時、閉じ込めの確認などに活用される 筑波技術大学 春日キャンパス 保健科学部情報システム学科の嶋村幸仁教授 保健科学部情報システム学科の堀江則之准教授 春日キャンパス内の「学生寄宿舎」 「企業招致説明会」の様子。企業説明の後に、学生がパソコン操作のデモなどを行い、企業からの質問にも答える(写真提供:筑波技術大学) 学生が制作したプログラムのデモ。点図ディスプレイ(左下)を活用したシューティングゲーム 保健科学部情報システム学科の赤木雅弥さん 保健科学部情報システム学科の八染まどかさん 拡大読書器などが展示された「支援機器室」。学生が機器を試用することができる 学生1人に1台設置されたパソコン、拡大読書器などが並ぶ「実習室」 廊下に設置された手すり。教室入り口の対面に切り込みを入れ、入り口の位置を示している 【P26-27】 省庁だより 特別支援教育における就労支援の取組み 文部科学省 初等中等教育局 特別支援教育課  改正障害者雇用促進法などの法的整備を背景に障害者の社会参加が進むなか、特別支援教育の教育現場でも、障害のある生徒の就職や職場定着を促進するための教育の充実に力が注がれています。ここでは、特別支援教育における就労支援の取組みの現状について紹介します。 1 就職する特別支援学校卒業生が増加  特別支援学校の卒業生の進路として、直近10年間を概観すると、企業に就職する生徒が増加傾向にあります(図1)。  背景としては、障害者を積極的に採用しようとする企業が増えていること等が考えられ、最近はそうした雇用ニーズに呼応して、企業就労も目ざした特別支援学校高等部を設ける学校も見られるようになりました。 2 キャリア教育・職業教育の推進  文部科学省においても、障害者の社会参加が進み続ける現状をふまえ、障害者の就労支援に向けたキャリア教育・職業教育の充実に取り組んでいます。  平成31年2月に公示された特別支援学校高等部学習指導要領では、キャリア教育・職業教育の充実を目ざして、次の点が示されています。 キャリア教育及び職業教育に関して配慮すべき事項 ●学校においては、キャリア教育及び職業教育を推進するために、生徒の障害の状態や特性及び心身の発達の段階等、学校や地域の実態等を考慮し、地域及び産業界や労働等の業務を行う関係機関との連携を図り、産業現場等における長期間の実習を取り入れるなどの就業体験活動の機会を積極的に設ける。 ●地域及び産業界や労働等の業務を行う関係機関の人々の協力を積極的に得るよう配慮する。 キャリア教育の充実 ●生徒が、学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら、社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力を身に付けていくことができるよう、特別活動を要としつつ各教科・科目等又は各教科等の特質に応じて、キャリア教育の充実を図る。 ●その中で、生徒が自己の在り方生き方を考え主体的に進路を選択することができるよう、学校の教育活動全体を通じ、組織的かつ計画的な進路指導を行う。その際、家庭及び地域や福祉、労働等の業務を行う関係機関との連携を十分に図る。  また、テレワーク、在宅勤務など、働き方も大きく変化しており、障害のある生徒等に対して新しい働き方を踏まえた指導や支援が求められています。このため、文部科学省では、令和3年度より、特別支援学校高等部の職業教育におけるICTを活用した指導計画、指導方法等の開発を行い効果的な指導の在り方について研究することとしています。 3 教育・労働などの関連機関・部局の連携  障害者の就労支援をさらに推し進めていくためにいま、教育・労働などの関連機関・部局の連携強化が強く求められています。  厚生労働省においては、障害者の雇用に関する労働関係機関と教育、福祉、医療など関係機関の連携について、都道府県労働局や公共職業安定所などにおいて特別支援学校などとの連携を一層強化するよう、厚生労働省職業安定局長より通知が出されました(平成25年3月29日に通知、平成30年4月2日改正)。これを受けて、文部科学省では、教育委員会などに対し、労働関係機関との一層の連携のもとに、障害のある生徒の就労に向けた支援の充実を図るよう周知しました。 4 共生社会の実現に向けた生涯学習の推進  障害の有無にかかわらず共に学び、生きる共生社会の実現とともに、障害者が生涯にわたり自らの可能性を追求でき、地域の一員として豊かな人生を送ることができる環境を整えていくことが求められています。  文部科学省では、障害者が生涯を通じて教育、文化、スポーツなどのさまざまな機会に親しむことができるよう、次のような事業を実施しています。 ●学校卒業後における障害者の学びの支援に関する実践研究事業 ・都道府県を中心とした地域コンソーシアム形成による持続可能な生涯学習支援モデルの構築や、地方公共団体と民間団体等の連携による障害者の生涯学習機会の拡大促進、大学・専門学校等における生涯学習機会創出・運営体制のモデル構築を目ざす取組みを実施 ・生涯学習の担い手の育成や学習環境の実質的な整備につなげるための研究成果発信・実践交流等を行うブロック別コンファレンスを実施 ●特別支援学校等における障害者スポーツの充実 ・特別支援学校等を活用した地域における障害者スポーツの拠点づくり等を実施 ・特別支援学校の児童生徒等を対象とした全国大会の開催 ●障害者の文化芸術活動の充実 ・障害のある生徒による作品の展示や実演芸術の発表の場の提供 ・障害のある生徒に対する文化芸術の鑑賞・体験機会の提供 ・障害の種別や年齢にかかわらず、鑑賞・創造・発表等の文化芸術活動に取り組むことができる機会の提供 ●障害のある学生の修学・就職支援促進事業 ・高等教育における障害学生支援の充実を図るため、先進的な取組みや多くの知見を持つ大学等がプラットフォームを形成し、他の大学等がプラットフォームを活用する「障害のある学生の修学・就職支援促進事業」を実施 ※本誌では通常西暦で表記していますが、この記事では元号で表記しています 図1 特別支援学校高等部(本科)卒業後の状況 令和3年3月卒業者 区分 卒業者 進学者 教育訓練機関等 就職者等 社会福祉施設等入所・通所者 その他 計 21,846人 405人 (1.9%) 344人 (1.6%) 6,705人 (30.7%) 13,447人 (61.6%) 945人 (4.3%) (学校基本調査より) 社会福祉施設等入所・通所者 社会福祉施設等入所・通所者 63.2%(平成20年)→61.6%(令和3年)に減少 就職者(等) 就職者(等) 24.3(平成20年)%→30.7%(令和3年)に増加 進学者・教育訓練機関等 進学者・教育訓練機関等 6.4%(平成20年)→3.4%(令和3年)に減少 その他 その他(在宅等) 6.1%(平成20年)→4.3%(令和3年)に減少 (各年3月時点) ※「就職者(等)」について、令和2年度学校基本調査から、就職状況の区分が細かく分類されたが、令和2年度以降においては「就職者等」の数を、平成31年度以前は「就職者」の数を学校基本調査から抽出することとした 【P28-29】 研究開発レポート 気分障害等の精神疾患で休職中の方のためのジョブリハーサルの改良 障害者職業総合センター職業センター  当機構の障害者職業総合センター職業センターでは、気分障害等で休職中の方を対象とした職場復帰支援プログラム「ジョブデザイン・サポートプログラム(JDSP)」の実施を通じ、ストレス対処、アンガーコントロール、対人技能等、職場復帰支援にかかる先駆的な職業リハビリテーション技法の開発に取り組んでいます。  2016(平成28)年度に開発した「ジョブリハーサル」については、全国の就労支援機関等でご活用いただけるよう普及に取り組み、多くの機関等で実施され、内容の拡充等に関する多数の要望や意見をいただきました。これを受けて、より活用しやすく効果的な技法となるよう2020(令和2)年度から改良に着手し、その成果を支援マニュアル21「気分障害等の精神疾患で休職中の方のためのジョブリハーサルの改良」に取りまとめました。以下にその概要を紹介します。 ●ジョブリハーサルとは  休職者が職場に戻って勤務することを想定し、実際の職場に近い模擬的な職場環境のなかで、チームで協力し合いながら負荷のある作業課題(以下、「タスクワーク」)に取り組み、それらを通じて職場復帰のために必要な知識や対処スキルを実践することを目的とする技法です。  タスクワークには、職場で予想されるさまざまな負荷(ノルマや納期、予定の変更、交渉・調整、役割に応じた責任等)が設定されています。受講者はタスクワークに取り組みながら、自らの行動の特徴や思考の癖を振り返り、自らの課題に対して職場復帰支援等で学んだ知識や対処スキルを使って対応します。 ●改良のポイント (1)目標設定のための支援と社会人基礎力の要素の導入  受講者がこれまでの働き方を振り返り、自らの支援課題を検討しながら目標設定が行えるよう、「ジョブリハーサル目標設定のための自己チェックリスト」(以下、「目標チェックリスト」)を新たに作成し、活用の手続きを明確にしました。目標チェックリストの大項目は、従来のリワーク支援等にみられた「生活習慣・体調管理」、「ストレス対処」、「コミュニケーション」に加え、経済産業省が提唱した社会人基礎力の12の能力要素を採り入れた「仕事の取組み方・働き方」によって構成しました。社会人基礎力とは、仕事をしていくために必要な基礎的な力であり、12の能力要素は、職業、職種、業種、職位等を問わない横断的な指標とされています。 (2)チーム構成における職位や役割の設定  チーム構成には、「部長」や「課長」、「主任」といった実際の職場での職位を反映させました。これにより、受講者は、職位に応じた役割や周囲からの期待等をふまえてタスクワークに取り組むことが可能となりました。 (3)タスクワークの拡充  タスクワークを実務作業、事務作業、文書作成、企画立案・問題分析・合意形成、復職関連、その他の6領域に分類し、全45に拡充しました。タスクワークの内容は、別冊「タスクワーク集」に取りまとめています。なお、タスクワークは、チームで実施、単独で実施、1日で実施、長期にわたって実施等、さまざまな実施パターンで行うことが可能となりました。 ●実施上の留意事項  ジョブリハーサルでは、受講者が休職前の職場の状況を想起しやすいため、ストレス反応の誘発、体調や気分の悪化、悲観的・否定的感情の高まり、うまくいかないことによる自信の喪失、不満や不安につながるといったリスクがあります。そのため、実施にあたり次のことに留意します。 【事前打ち合わせ(支援スタッフ)】  受講者の体調や作業遂行力に合わせてタスクワークの難易度、量、負荷を調整します。 【オリエンテーション】  ジョブリハーサルは、実際の職場に近い環境で負荷のあるタスクワークに取り組むことから、実施前のオリエンテーションにおいて、目的や留意事項をていねいに説明するとともに、復職後に対処スキルを実用的に使いこなすための練習の場であることをくり返し説明し、意識づけます。 【目標設定と振り返り】  「目標チェックリスト」を活用し、休職要因や課題となっている自らの働き方を振り返り、適切な目標設定ができるようにします。また、ジョブリハーサル実施後、受講者は、「ジョブリハーサル 振り返りシート(以下、「振り返りシート」)」を活用し、実施状況を振り返ります。振り返りシートは、目標チェックリストと項目を連動させ、目標に沿った振り返りができるように工夫しています。 【個別面談】  終了後の個別面談では、目標を意識した取組みができたか、新たに気がついた思考・行動・働き方の癖がみられたか等をていねいに聞き取り、フォローを行います。必要に応じて、主治医と相談するよう助言します。 【支援スタッフの介入】  支援スタッフは、基本的には、タスクワークの進捗や問題解決場面への直接的な介入は行わず、チームや個人のマネジメントに任せ、受講者自身の主体性や気づきをうながします。ただし、気分の落ち込みや身体症状等のストレス反応がみられた場合には、リラクゼーションや休憩等の対処行動を勧める等、必要な介入を行います。 ●受講者の声  改良したジョブリハーサルに取り組んだ受講者からは、「複数日のタスクワークを行い、実施計画の作成や疲労のコントロールに課題があることがわかった」、「自分の働き方の癖(休憩を取れない、オーバーワークになること)に気がつき、復職後に必要となる対処を考えられてよかった」等の声が聞かれています。これらのことから、復職後の再休職の予防や安定した職業生活に向け、効果があるものと考えます。  改良したジョブリハーサルについてご紹介している支援マニュアル21「ジョブリハーサルの改良」と別冊「タスクワーク集」は、下記のホームページで閲覧できますので、ご活用いただければ幸いです。冊子の配付をご希望の際は、下記へご連絡ください。 ★障害者職業総合センター 職業センター TEL:043-297-9043 https://www.nivr.jeed.go.jp/center/report/support21.html 図1 ジョブリハーサル実施例 部長 (支援スタッフ) @販促の企画書 A請求書の処理を頼んだよ。 @は14時15分からプレゼンしてください。 指示 報告・相談 課長(受講者) 主任は、作業計画を立てて役割分担してください! 主任(受講者) よし、今から作業計画と分担について打ち 合わせしよう! 担当者(受講者) 分かりました。頑張ります! 図2 社会人基礎力の能力要素 社会人基礎力とは 職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」として、経済産業省が2006 年に提唱したもので、「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つの能力(12の能力要素)から構成されています。 前に踏み出す力(アクション) 〜一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力〜 主体性 物事に進んで取り組む力 働きかけ力 他人に働きかけ巻き込む力 実行力 目的を設定し確実に行動する力 考え抜く力(シンキング) 〜疑問を持ち、考え抜く力〜 課題発見力 現状を分析し目的や課題を明らかにする力 計画力 課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力 創造力 新しい価値を生み出す力 チームで働く力(チームワーク) 〜多様な人々とともに、目標に向けて協力する力〜 発信力 自分の意見をわかりやすく伝える力 傾聴力 相手の意見を丁寧に聴く力 柔軟性 意見の違いや立場の違いを理解する力 情況把握力 自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力 規律性 社会のルールや人との約束を守る力 ストレスコントロール力 ストレスの発生源に対応する力 図3 タスクワークの拡充 @実務作業 ・文房具の受注・発注作業 ・重さ計測作業 ・販売促進品の作成作業 ・書類の分類・整理作業 A事務作業 ・請求書の金額チェック ・社員証の作成 ・セミナー参加者の受付名簿の作成 ・電話を受ける B文章作成 ・「社内報」に掲載するコラムの作成 ・お勧めの●●の作成 ・「採用情報」の原稿の作成 ・リーフレットの作成 C企画立案・問題分析・合意形成 ・イベントの企画立案 ・ディベート形式で討論 ・職場の課題に沿った改善策の検討 ・コンセンサス(合意形成)ワーク D復職関連 ・セルフトーク集の作成 ・面談記録の作成 ・部下・後輩の行動や態度を指導 ・再休職予防に役立つ標語の作成 Eその他 ・カード情報収集作業 対象者や施設の状況に合わせたタスクワークの組み合わせが可能に! 【P30】 ニュースファイル 国の動き 国土交通省 踏切内の視覚障害者安全対策  国土交通省は、鉄道の踏切における視覚障害者の安全対策のため「道路の移動等円滑化に関するガイドライン」を改定した。  具体的な改定内容は、「標準的な整備内容」として、「踏切の手前での視覚障害者誘導用ブロック(点状ブロック)の設置」、さらに「望ましい整備内容」として「踏切内に点状ブロックとは異なる形状の、表面に凹凸のある誘導表示などの設置」を求めるというもの。全国の自治体などに通知する。  今回の指針改定については、2022(令和4)年4月に奈良県内で視覚障害者が踏切内で列車に接触して死亡する事故が発生したことを受け、踏切の視覚障害者誘導用ブロック設置に関する目安について、視覚障害者団体や学識経験者からの意見を参考に検討してきた。 地方の動き 長野 障害者の芸術文化活動を支援  長野県は、障害のある人が芸術文化活動を通じて生きがいや楽しさを感じられるよう支援するため「長野県障がい者芸術文化活動支援センター」を、「社会福祉法人長野県社会福祉事業団」本部事務局内(長野市)に設置した。  同センターでは、展覧会の開催や団体などの作品展の開催支援をはじめ、地域で活動する団体や事業所間の情報共有・意見交換の場を設けて芸術文化活動を多面的に支援する。そのほか、作品の有償貸出、グッズの制作・販売などに関する支援の枠組み構築の促進、研修会などで障害者の表現活動を支援する人材の育成、障害者やその家族、事業所などからの芸術文化活動に関する相談対応などに取り組んでいく。問合せは事務局へ。 電話:026−217−0022 東京 ロボットを使いスポーツ活動に遠隔で参加  東京都は、デジタル技術を活用し、重度障害のある人たちが福祉施設などにいながら遠隔で「する・みる・支える」のさまざまなスポーツ活動に参加できる「パラスポーツリモート参加事業」を今年度から実施する。  東京都が行うパラスポーツの体験教室やイベントの会場に、自身の分身ロボットを配置し、福祉施設などにはタブレットを2〜3台貸与。タブレットを操作することでロボットの腕や首を動かしたり、会場にいる人と会話したりできる。スポーツ活動は、特別支援学校でのパラスポーツ体験教室(「する」)、パラスポーツ観戦会(「みる」)、パラスポーツイベントでのボランティア体験(「支える」)などを予定している。  申込受付は施設単位とし、障害種別は問わない。今後は参加可能なイベントの詳細が決まり次第、ウェブサイト「スポーツTOKYOインフォメーション」で情報を更新する。問合せは、東京都生活文化スポーツ局スポーツ総合推進部パラスポーツ課まで。 電話:03−5388−2218 https://www.sports-tokyo-info.metro.tokyo.lg.jp/ 沖縄 ジョブサポーター養成研修参加者募集  那覇市は「那覇市障がい者ジョブサポーター派遣等事業」として、就労を希望する障害者の就職活動や職場定着、余暇支援などを行うボランティア(ジョブサポーター)を養成する研修(全5日間)の参加者を募集する。20歳以上で障害者就労支援に関心のある人、または現在かかわっている人などで、市外からの参加も可能(諸条件あり)。研修場所は那覇市真和志庁舎3階会議室、定員は会場20人、リモート40人(多数の場合は選考)。受講無料。応募締切は9月30日。問合せは就労支援センターさわやかの「那覇市障がい者ジョブサポーター養成研修」事務局まで。 電話:098−833−7755 働く 愛知 愛知県経営者協会と障害者就労支援のNPOが雇用促進で協定  「愛知県経営者協会」(名古屋市)と、「NPO法人障がい者自立支援センターなごや就労移行支援事業所マーム」(名古屋市)が、愛知県内企業の障害者の雇用と定着を推進するため、パートナーシップ協定を締結した。同協会が障害者雇用に関する企業のニーズや要望などを把握し、マームのネットワークを通じて各企業に最適な支援事業所をマッチングする。マームはトライアル雇用から本採用、職場定着までの実務を支援。障害者雇用の理解を深めるためのセミナーや訓練現場の見学会なども行っていく。問合せは同協会(電話:052−221−1931)およびマーム(電話:052−339−0022)まで。 本紹介 『障害者雇用のハンドブック』  弁護士の家永(いえなが)勲(いさお)さんと谷川(たにがわ)聖治(せいじ)さんが、はじめて障害者雇用に取り組む人事担当者など障害者雇用にかかわる人に向けた実用書『障害者雇用のハンドブック』(労働調査会刊)を出版した。障害者雇用の基礎知識から進め方、合理的配慮、労務管理などを解説するほか、障害者雇用にかかわる判例の紹介から、企業と雇用者がトラブルとなる事項を読み解く。関連法規やガイドライン、支援制度・助成金・優遇制度なども掲載している。A5判200ページ、2200円(税込)。 アビリンピック マスコットキャラクター 2022年度地方アビリンピック開催予定 9月〜10月 北海道、青森県、神奈川県、新潟県、石川県、山梨県、山口県、徳島県、大分県 *部門ごとに開催地・日時が分かれている県もあります *  は開催終了 ※全国アビリンピックは11月4日(金)〜11月6日(日)に、千葉県で開催されます。 地方アビリンピック 検索 ※新型コロナウイルス感染症の影響により、変更する場合があります。 ミニコラム第16回 編集委員のひとこと ※今号の「編集委員が行く」(20〜25ページ)は若林委員が執筆しています。  ご一読ください。 高等教育機関での就労支援人材の養成 常磐大学人間科学部 准教授 若林功  私は現在、大学で社会福祉士という福祉系専門職の養成にたずさわっている。社会福祉士であつかう分野は、高齢者、障害者、児童、生活困窮者、地域住民などと幅広いが、障害のある人の就労支援に、学生が興味を持つことがある(とはいえ、障害者就労支援に興味を持つ学生は、それほど多くはないのも事実である)。  しかしながら、特に『働く広場』の重要なテーマである、障害者の「雇用」、「一般就労」について十分に学べる機会が、大学教育においてはあまりない。対人援助専門職養成では座学だけでなく実習も重要だが、社会福祉士になるための実習では、就労支援といっても、就労継続支援(特にB型)の現場を経験することはあるものの、障害のある人が企業などで働く現場について深く学ぶ機会はほとんどない。  一方、障害のある人で、企業などへの就労を目ざしたいという人が増えており、就労支援にたずさわる人材もこれまで以上に必要な状況となってくると思われる。それに対応すべく、就労支援人材の養成について、最近、国でも検討され、研修体制について議論が進んだ部分もある。なお、高等教育機関での障害者就労支援の専門的な人材養成については、2022年現在でもほとんど行われていない。  就労支援の知識・技術を学ぶために研修体制を整備し、障害者の就労支援現場で働いている現任者の支援スキルなどの向上を図ることはもちろん重要である。一方、それと並行して、障害者就労支援の制度や支援方法など、基本的な情報は知っていて当然のこととして、それを土台に今後どう改善すべきかを考えられるような専門的な人材が、大学や大学院から輩出されることも大事なのではないだろうか。私も今後、このことについても力の及ぶ範囲で何かかかわっていけたらと考えている。 写真のキャプション 北海道 青森県 神奈川県 新潟県 石川県 山梨県 山口県 徳島県 大分県 【P32】 掲示板 【御礼】東京障害者職業センター 開所50周年を迎えることができました  当機構の東京障害者職業センターは、1972(昭和47)年3月16日、全国初の障害者職業センターとして開所し、本年50 周年を迎えることができました。  これもひとえに皆々様の厚いご支援と温かい激励の賜でございます。  ここに心よりの感謝を申し上げます。  これを機に職員一同、より一層のサービスの向上に努めて参る所存でございますので、今後とも倍旧のご指導ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。   東京障害者職業センター所長 石黒秀仁 東京障害者職業センター 〒110-0015 東京都台東区東上野4-27-3 上野トーセイビル3F TEL 03-6673-3938 FAX 03-6673-3948 Email tokyo-ctr@jeed.go.jp 【リワークセンター東京】 〒111-0041 東京都台東区元浅草3-18-10 上野NSビル7F TEL 03-5246-4881 FAX 03-5246-4882 多摩支所 〒190-0012 東京都立川市曙町2-38-5 立川ビジネスセンタービル5F TEL 042-529-3341 FAX 042-529-3356 Email tama-ctr@jeed.go.jp 開庁時間 8:45〜17:00 ※土日祝、年末年始を除きます。 ホームページ https://www.jeed.go.jp/location/chiiki/tokyo/ メールマガジン好評配信中! 詳しくは JEED メールマガジン 検索 読者アンケートにご協力をお願いします! 回答はこちらから→ 次号予告 ●私のひとこと  社会福祉法人日本介助犬協会専務理事の蝸F子さんに、介助犬が活躍できるフィールドと職場での介助犬の受け入れ方などについてご執筆いただきます。 ●職場ルポ  新明和工業株式会社と新明和商事株式会社が共同出資して設立した特例子会社の新明和ハートフル株式会社(兵庫県)を取材。拡大する業務領域や正社員登用制度などについてお伝えします。 ●グラビア  フラットパネルディスプレイ用基板などの製造・販売を行っているジオマテック株式会社(神奈川県)を訪問。工場の製造ラインで働く障害のある従業員の活躍をご紹介します。 ●編集委員が行く  松爲信雄編集委員が、「医療機関との連携による就労支援」に関する取組みをご紹介します。 公式ツイッターはこちら! 最新号発行のお知らせやコーナー紹介などをお届けします。 @JEED_hiroba 本誌購入方法 定期購読のほか、最新号やバックナンバーのご購入は、下記へお申し込みください。 1冊からのご購入も受けつけています。 ◆インターネットでのお申し込み 富士山マガジンサービス 検索 ◆お電話、FAXでのお申し込み 株式会社広済堂ネクストまでご連絡ください。 TEL 03-5484-8821 FAX 03-5484-8822 あなたの原稿をお待ちしています ■声−−障害者雇用にかかわるお考えやご意見、行事やできごとなどを500字以内で編集部(企画部情報公開広報課)まで。 ●発行−−独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 発行人−−企画部長 飯田 剛 編集人−−企画部情報公開広報課長 中上英二 〒261−8558 千葉県千葉市美浜区若葉3−1−2 電話 043−213−6216(企画部情報公開広報課) ホームページ https://www.jeed.go.jp/ メールアドレス hiroba@jeed.go.jp ●発売所−−株式会社広済堂ネクスト 〒105−8318 東京都港区芝浦1−2−3 シーバンスS館13階 電話 03−5484−8821 FAX 03−5484−8822 9月号 定価141円(本体129円+税)送料別 令和4年8月25日発行 無断転載を禁ずる ・本誌に掲載した論文等で意見にわたる部分は、それぞれ筆者の個人的見解であることをお断りします。本誌では「障害」という表記を基本としていますが、執筆者・取材先の方針などから、ほかの表記とすることがあります。 編集委員 (五十音順) 株式会社FVP代表取締役 大塚由紀子 NPO法人大阪精神障害者就労支援ネットワーク 副理事・統括施設長 金塚たかし 岡山障害者文化芸術協会 代表理事 阪本文雄 トヨタループス株式会社 取締役 清水康史 武庫川女子大学 学生サポート室専門委員 諏訪田克彦 あきる野市障がい者就労・生活支援センターあすく センター長 原 智彦 サントリービジネスシステム株式会社 課長 平岡典子 神奈川県立保健福祉大学 名誉教授 松爲信雄 有限会社まるみ 取締役社長 三鴨岐子 筑波大学大学院 准教授 八重田 淳 常磐大学 准教授 若林 功 【P33】 高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長奨励賞 写真コンテスト 「匠の眼差し」 今 威 (こん たけし 青森県) 「まごころをこめて」 清水 武志 (しみず たけし 千葉県) 「ミリ単位だって見逃さない。」 児玉 綾花 (こだま あやか 神奈川県) 「緊張!初めての断裁機」 城所 祐也 (きどころ ゆうや 神奈川県) 「宛先どこかなぁ」 宮本 瑞恵 (みやもと みずえ 富山県) 「一本一本」 横森 雅幸 (よこもり まさゆき 山梨県) 「芝刈り機 先輩の教え」 川北 亮輔 (かわきた りょうすけ 三重県) 「ホッチキス ホイ!」 清水 翔紀 (しみず しょうき 三重県) 「壁の修理はおまかせ」 西田 賢一 (にしだ けんいち 大阪府) 「私も分かるチューブの長さ」 庄司 千景 (しょうじ ちかげ 兵庫県) 「くもりなく」 嶋崎 安代 (しまざき やすよ 兵庫県) 「息ピッタリな私たち」 小松 麻里子 (こまつ まりこ 兵庫県) 「好きな仕事に無我夢中!」 神 麻美 (じん まみ 岡山県) 「ヘイ!エブリバディ!」 山本 健太 (やまもと けんた 高知県) 「結び織 仕上げは私にまかちょーけ!」 呉屋 南月果 (ごや なつか 沖縄県) 「エコバッグ作成中! !」 新里 秀美 (しんざと ひでみ 沖縄県) 「壁の修理はおまかせ」 西田 賢一 (にしだ けんいち 大阪府) 「好きな仕事に無我夢中!」 神 麻美 (じん まみ 岡山県) 「宛先どこかなぁ」 宮本 瑞恵 (みやもと みずえ 富山県) 「私も分かるチューブの長さ」 庄司 千景 (しょうじ ちかげ 兵庫県) 「ヘイ!エブリバディ!」 山本 健太 (やまもと けんた 高知県) 「ミリ単位だって見逃さない。」 児玉 綾花 (こだま あやか 神奈川県) 「芝刈り機 先輩の教え」 川北 亮輔 (かわきた りょうすけ 三重県) 「くもりなく」 嶋崎 安代 (しまざき やすよ 兵庫県) 「結び織 仕上げは私にまかちょーけ!」 審査委員 永関 和雄 (委員長)元 全国造形教育連盟委員長 清水 満久 昭和女子大学 教職専門指導員 竹内 とも子 東京都新宿区立柏木小学校 指導教諭 桑原 史成 日本写真家協会理事 小山 博孝 日本写真家協会会友 古田 詩織 厚生労働省 職業安定局 障害者雇用対策課 障害者雇用促進研究官 湯浅 善樹 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長 【裏表紙】 令和4年度 障害者雇用支援月間ポスター このポスターの原画は、障害のある方々などから募集したものです。絵画・写真コンテストの入賞作品は、本誌グラビアで紹介しています。 9月号 令和4年8月25日発行 通巻539号 毎月1回25日発行 定価141円(本体129円+税)