【表紙】 令和4年9月25日発行・毎月1回25日発行・通巻第540号 ISSN 0386-0159 障害者と雇用 2022/10 No.540 職場ルポ 現場を支える多様な業務が、従業員の活躍の場広げる 新明和ハートフル株式会社(兵庫県) グラビア 梱包出荷をになう「優秀勤労障害者」 ジオマテック株式会社 金成工場(宮城県) 編集委員が行く 精神障害のある人への医療機関との連携による就労支援 株式会社IHI(東京都)、医療法人社団欣助会 吉祥寺病院(東京都) 私のひとこと 補助犬とともに働く、楽しく安心して働き続けられる職場 社会福祉法人日本介助犬協会 専務理事 蝸F子さん 「シュートを決めるぞ!!」愛知県・坂野(ばんの)太洋(たいよう)さん 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 誰もが職業をとおして社会参加できる「共生社会」を目指しています 10月号 【前頁】 心のアート 牡丹和美人(ムーダンフーメイレン) 夏寿 画材:画用紙/サイズ:270mm×270mm  切り絵アート。1カ月かけて制作しました。画用紙3枚で構成しています。中国風丸窓を1枚目と3枚目に、2枚目に美人画を切って重ねました。私のなかの「美人」をイメージしました。特に、髪の毛の部分を切るのが好きです。 (文:夏寿) 夏寿(なつひさ)  1998(平成10)年7 月18 日生まれ。愛媛県松山市在住。ADHD があります。  画用紙にイメージを描いて、デザインカッターのみで切り絵を制作しています。とにかく、ちぎれないように気をつけています。細かい作業に煩わずらわしさを感じることもありますが、その過程が好きです。デザインを考えたり、紙を切ったりしているときは、楽しいです。立体作品も制作しています。 協力:愛媛県障がい者アートサポートセンター 【もくじ】 目次 2022年10月号 NO.540 「働く広場」は、障害者雇用の啓発・広報を目的として、ルポルタージュやグラビアなど写真を多く用いて、障害者雇用の現場とその魅力をわかりやすくお伝えします。 心のアート 前頁 牡丹和美人 作者:夏寿 私のひとこと 2 補助犬とともに働く、楽しく安心して働き続けられる職場 社会福祉法人日本介助犬協会 専務理事 蝸F子さん 職場ルポ 4 現場を支える多様な業務が、従業員の活躍の場広げる 新明和ハートフル株式会社(兵庫県) 文:豊浦美紀/写真:官野 貴 クローズアップ 10 はじめての障害者雇用U 〜障害のある人が働きやすい職場づくり〜 最終回 合理的配慮の提供 JEEDインフォメーション 12 「障害者雇用納付金制度に基づく各種助成金」の活用事例/国立職業リハビリテーションセンター 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター 訓練生募集のお知らせ グラビア 15 梱包出荷をになう「優秀勤労障害者」 ジオマテック株式会社 金成工場(宮城県) 写真/文:官野 貴 エッセイ 19 多様でユニークな支援のあり方 最終回 ありのままで良しとされる世界 Kプランニング代表 戸原一男 編集委員が行く 20 精神障害のある人への医療機関との連携による就労支援 株式会社IHI(東京都)、医療法人社団欣助会 吉祥寺病院(東京都) 編集委員 松爲信雄 省庁だより 26 ハローワークを通じた「障害者の就職件数」が2年ぶりに増加 ─令和3年度 障害者の職業紹介状況等─ 厚生労働省 職業安定局 障害者雇用対策課 研究開発レポート 28 「障害の多様化に対応した職業リハビリテーションツールの効果的な活用に関する研究」 障害者職業総合センター研究部門 障害者支援部門 ニュースファイル 30 編集委員のひとこと 31 掲示板・次号予告 32 訪問型・企業在籍型職場適応援助者支援スキル向上研修 表紙絵の説明 「大好きなバスケットボールをしている自分を描きました。ほっぺを赤くして、試合で熱くなっている様子を出しました。大人になった自分を表現するために、ひげを少しつけました。受賞して友達や先生にほめられてうれしかったです。これからもたくさん練習して、技を覚えたり試合でシュートをきめたりしたいです」 (令和4年度 障害者雇用支援月間絵画コンテスト 中学校の部 高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長奨励賞) ◎本誌掲載記事はホームページでもご覧いただけます。(https://www.jeed.go.jp/) 【P2-3】 私のひとこと 補助犬とともに働く、楽しく安心して働き続けられる職場 社会福祉法人日本介助犬協会専務理事 蝸F子 はじめに  50年以上の歴史を有する盲導犬は、視覚障害者がいつでもどこにでも安心して出かけるために不可欠な存在として、国民的に認知されています。しかし、その盲導犬すら、職場での受け入れには高いハードルがあるのが実態です。2002(平成14)年5月に、盲導犬、介助犬、聴導犬の3種類の犬を「補助犬」とし、障害者の自立と社会参加促進を目的に、補助犬を同伴しての社会参加を拒んではならないとする「身体障害者補助犬法」(以下、「補助犬法」)が成立しました。  この背景には、頸髄(けいずい)損傷の介助犬使用者としてコンピュータープログラマーの仕事をしていた木村(きむら)佳友(よしとも)氏と介助犬シンシアの活躍があったと思います。それが周囲の多くの人の心を動かし、社会をも動かしたのです。当時「盲導犬は法制化されているが介助犬は法制化されていないために社会参加が許されず…」という報道があり、全日本盲導犬使用者の会から、「盲導犬は法制化されているとはいえ道路交通法しかなく、社会参加は保障されていない」とロビー活動が起こりました。私は1998年当時、厚生省の研究事業にて国内外の介助犬や盲導犬の実態調査、法律や制度等々の調査研究を行っていました。これらの結果、介助犬と盲導犬に加えて欧米諸国で実働が多く、国内でも実働が始まっていた聴導犬も補助犬法に加わることになりました。 身体障害者補助犬法の目的と要諦  補助犬法の目的は、障害者の自立と社会参加の促進です。前述の木村氏の場合、介助犬により自立度は上がったものの、法律や制度が整っていないため、介助犬同伴ゆえに利用できないお店が増えてしまいました。そもそも車いすで利用できない店舗が多いうえに、介助犬はペット扱いで交通機関すら同伴できませんでした。木村氏は在宅勤務が主でしたが、出勤の際に介助犬が同伴できないときは、通勤途中で鍵や鞄などを落とすと人に頼まねばならず、移乗を失敗すれば緊急事態です。そのような不安を解消できるのが介助犬ですが、同伴できなければ介助犬による自立と社会参加は実現しませんでした。補助犬法は、「不特定多数の方が利用するあらゆる場所で、認定を受けた補助犬を障害者が同伴することを、施設は拒んではならない」と定めています。  また、補助犬を受け入れる側に不安や不利益がないように、補助犬には認定制度が定められています。認定には、使用者である障害者自身が補助犬の健康・衛生・行動管理に責任を持ち、他人に迷惑を及ぼさないこととされ、その責任能力が要諦(ようてい)となっている点で、障害者にとっては温かくも厳しい制度となっています。一方、受け入れる側にとっては、安心して受け入れることができる制度となっているのです。 補助犬の職場での受け入れ  しかしながら、補助犬法は、制定20年目のいまも認知度が低いために飲食店や店舗、美術館や旅館、病院などでの同伴拒否が絶えないという実態があります。また、法律の課題として補助犬使用者にとってもっとも重要といえる住居については、公営住宅以外では同伴受け入れは努力義務とされ、法制定時に法施行後3年経過時の検討規定が設けられていましたが、未だ実現できていません。また職場での受け入れについては、障害者雇用促進法に基づく法定雇用率によって算出した、一定規模以上の常用労働者がいる事業所には受け入れ義務がありますが、それ以外の事業所は努力義務とされています。このように現在は、住居同様、障害者全体を受け入れる環境が十分に整っているとはいえない状況です。 補助犬とともに働くこと  介助犬の対象となる障害者は、身体障害者手帳を持つ上肢体不自由や体幹機能障害といった、手足に障害のある方々です。介助犬希望の際には、私はリハビリテーション科医師として、基礎疾患や障害の状態から、生活上の課題や自立・社会参加における解決すべき課題と本人のゴールまで、介助犬訓練士や社会福祉士、理学療法士、作業療法士らとチームになって評価・計画をします。希望者は、20代から50代で障害により仕事を諦めた方も多く、介助犬によって自立できるようになったら働きたい、社会貢献したいとおっしゃる方ばかりです。  介助犬導入の際は合同訓練として訓練士が使用者の自宅の近くに泊まり込み、在宅と職場、地域での実地訓練を行い、その間に職場での受け入れについても実地訓練を行います。介助犬の排泄や衛生管理の方法、普段はほぼ足元で寝ていて邪魔になることはないことなどを説明するとともに、介助犬の役割や有効性も説明します。それが、職場の人にとって初めて補助犬使用者の困難を理解する契機となり、職場における相互理解が深まる契機にもなることを多く経験しました。職場で何か不安があればいつでも支援対応できるとお伝えすることが、職場の人の安心感となります。そして受け入れてみれば、介助犬は職場の人気者になり、会社のPRに活躍したり、社員の楽しみになっているとの報告も聞いています。ただ、全国の補助犬使用者や訓練事業者から相談を受けるなかには、補助犬を受け入れる取組みもできない事業所もあり、社会的理解が浸透することが望まれます。  補助犬とともに働くことを受け入れることは、使用者である障害者自身を受け入れることにほかなりません。この記事が、「まずは受け入れてみよう」という意識につながる契機になれば幸いです。 蝸F子 (たかやなぎ ともこ)  医学博士。社会福祉法人日本介助犬協会専務理事、一般社団法人日本身体障害者補助犬学会理事、愛知医科大学客員教授、横浜市総合リハビリテーションセンターリハビリテーション科非常勤医。  愛知医科大学医学部卒業後、沖縄県立中部病院研修医、市立舞鶴市民病院内科医を経て東京医科歯科大学大学院医学部博士課程修了、人畜共通感染症についての研究で博士号取得。  厚生省(当時)の1998年度厚生科学研究介助犬の基礎的調査研究班、身体障害者補助犬法立案に学識経験者として尽力、厚生省介助犬検討会、介助犬訓練基準・認定基準検討会、身体障害者補助犬法の施行状況に関する検討会委員などを経て補助犬法政策づくりに貢献。2014年からは国土交通省交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会専門委員も務めている。2014 年東京弁護士会人権賞受賞。  おもな著書に『介助犬』(角川書店)、『リハビリテーションスタッフのための介助犬まんがマニュアル』(医歯薬出版)、共著として『介助犬を知る』(名古屋大学出版会)などがある。 【参考】社会福祉法人日本介助犬協会ホームぺージ https://s-dog.jp 写真のキャプション (資料提供:社会福祉法人日本介助犬協会) 【P4-9】 職場ルポ 現場を支える多様な業務が、従業員の活躍の場広げる ―新明和ハートフル株式会社(兵庫県)― さまざまな輸送用機器を製造する企業の特例子会社では、ものづくりの現場や周辺を支える多様な業務を開拓し、従業員の活躍の場を広げてきた。 (文)豊浦美紀 (写真)官野 貴 取材先データ 新明和ハートフル株式会社 (本店・甲南事務所) 〒658-0027 兵庫県神戸市東灘区青木1-1-1 TEL 078-436-0661 FAX 078-436-0662 (宝塚事務所) 〒665-0052 兵庫県宝塚市新明和町1-1 TEL 0798-54-4185 FAX 0798-54-4186 Keyword:特例子会社、知的障害、精神障害、特別支援学校、SDGs POINT 1 電子化業務を柱に、検査やAI関連など積極的に業務を開拓 2 ESGやSDGsの視点を活かした取組みにも挑戦 3 社内広報紙で業務や課題などを発信、グループ全体の理解を図る 輸送用機器メーカーの特例子会社  1920(大正9)年に「川西(かわにし)機械製作所」として設立され、今年で創業102年目を迎える「新明和(しんめいわ)工業(こうぎょう)株式会社」(以下、「新明和工業」)。同社は戦前から飛行機の製作を手がけ、いまでは海上自衛隊が運用する水陸両用の飛行艇US−2をはじめ民間旅客機の部品、ごみ収集車をはじめとする特装車などさまざまな輸送用機器のメーカーとして知られている。  国内だけで20社超のグループ会社を抱える同社が、2015(平成27)年に子会社の新明和商事株式会社と共同出資して設立した特例子会社が、「新明和ハートフル株式会社」(以下、「新明和ハートフル」)だ。当初は障害のある従業員5人と指導員2人で、書類などの電子化事業からスタートした。2022年6月現在、障害のある従業員は26人(身体障害1人、知的障害24人、精神障害1人)になった。  2019(令和元)年8月に新明和工業の航空機事業部からの出向を機に、2020年から代表取締役を務めている西村(にしむら)重利(しげとし)さんは、「グループ規模の拡大にともない、雇用増と業務拡大を図ってきました」と話す。新明和商事株式会社の管理部から出向している管理課の井上(いのうえ)富和(とみかず)さんとともに、「実働部隊の2人」として、業務調整から支援機関や学校との連携、グループ内の営業までこなしているという。それぞれ長年、ものづくりの現場や周辺でつちかってきた経験と人脈をフル活用しながら、積極的に業務を開拓してきたようだ。  今回は、宝塚事務所の現場を見学しながら、さまざまな業務や従業員のみなさんを紹介してもらった。 図面やフィルムなどを電子化  主力の電子化業務は、長年にわたり工場などで保管されてきた大量の図面や資料などが対象だ。この7年間で計1200万枚以上にのぼる電子化の実績を認められ、今年2月からは、昔の図面などを納めたマイクロフィルム10万枚以上の電子化業務も担当している。井上さんは「フィルムを読み取る専用の機器を探し回り、工場で眠っていた機器を見つけました。それをメンテナンスしながら活用しています」と経緯を語る。  電子化業務が行われているのは、新明和工業の本社や各事業部が集まる宝塚工場内の建物の2階。事務フロアに業務用の複合機とパソコンが並び、従業員が手際よくスキャニング作業を行っていた。2人に話を聞いた。  2016年に入社した宝塚事務所の松橋(まつはし)義希(よしき)さん(24歳)は、もともとパソコン操作が好きだったことから、特別支援学校の先生にすすめられて同社の職場実習に参加したそうだ。「電子化業務は、濃度調整が一番むずかしい」というが、いまではより高度なスキルが必要な大型図面のスキャニングも任されている。  入社してよかったことをたずねると、「働くなかで、無理かもしれないと思っていたことも覚えられるようになり、自分の能力に少し自信がついたことです」と話してくれた。「日ごろから家族に『細かいところを気にするタイプ』だといわれるので、この仕事は合っているようです。ただ気にしすぎるのも精神的によくないと思い、意識してストレスを解消するようにしています」と明かす。家で好きなクラシック音楽を聴いたり、ウォーキングをしたりしているそうだ。  2019年に入社した陳(ちん)清倫(きよのり)さん(22歳)は、特別支援学校の職場実習で体験した同社のスキャニング作業が楽しくて入社を希望したという。苦労するのはやはり濃淡調整だが、指導員に何度も教わりながらコツをつかんできたそうだ。「細かなミスなく最後まで仕上げられたときは、達成感があります」とうれしそうに話す陳さんは、プライベートでパソコンの勉強にも力を入れてきたという。毎週土曜日に教室に通い、今年1月にはMOS(Microsoft Office Specialist)のエクセルの試験に合格。「仕事にも役立つはず」と、パワーポイントの資格試験合格も目ざしている。  陳さんは、「KOBEしあわせの村ユニバーサルカレッジ」にも参加している。これは文部科学省の「学校卒業後における障害者の学びの支援に関する実践研究事業」の一環で、毎月、文化や科学などさまざまな専門家を招いた講座のほか、テニスやダンス、鉄道研究などの部活動もある。今年度は新明和ハートフルから5人が参加している。西村さんは「職場以外にも視野を広げてほしいと思い、みんなに参加を呼びかけました。職場ではもの静かだった甲南事務所の女性従業員が、カレッジ参加後は積極的に話すようになって驚きました」と目を細める。 「家庭の協力も必要」  新明和ハートフルでは、障害のある人を、入社後3年間は有期雇用契約社員として雇用し、原則4年目から正社員として登用する。勤務時間は原則8時半から17時まで。昼休み(40分)のほか、午前と午後に10分ずつ休憩時間を設けている。また、体調によって短時間勤務にも対応している。  採用活動については、就労移行支援事業所のほか特別支援学校とも連携し、現在5校から定期的に職場実習生を受け入れている。採用段階の面接では、必ず保護者にも同席してもらい、会社の事業や従業員の仕事内容についてしっかりと説明をしているという。西村さんは「就職後も日々元気に勤務ができるよう、プライベートな生活部分においても支えが必要だと思っています。そのためにも親御さんには協力をお願いしています」と話す。創立から5年が経った2020年には、従業員の家族を招き、同じ敷地内にある航空機主翼部品の製造工場の見学会を開催するなど、折りに触れて交流も続けている。 「見守りながら」指導と工夫  5年前から現場で指導にあたる宝塚事務所の木村(きむら)庄太郎(しょうたろう)さんにも話を聞いた。長年、新明和工業の技術職として設計や開発などにたずさわってきたベテランのシニア社員だ。図面のことも熟知していることから、スキャニングやファイリングの最終的なチェックを任されている。  「50年以上前の劣化した書類や青焼き、トレーシングペーパーのスキャニングは結構むずかしいですよ。これだけ多種多様な資料の電子化に対応している私たちの業務は、とても存在価値があると考えています」  木村さんは、同社に勤務するまで障害のある同僚と働いた経験がなく、最初は対応に戸惑ったそうだ。しかし、就労支援機関と情報を共有しながら「いまでは、日ごろから一人ひとりをよく観察し、根気よく見守りながら指導することが大事だと思っています」と話す。  「現場では、決まった手順は手際よくできるのに少し複雑になると考えこんで進めない人や、1回では覚えられないが一度覚えたら絶対に忘れない人もいます。得意な作業だけやるほうが効率的かもしれませんが、私は、みんなにいろいろな仕事ができるようになってほしい。言葉を忘れやすい場合は必ずメモを取らせたり、実演を重視したり、工夫しながら各自に応じた指導を心がけています」 環境に配慮した印刷  近年は、電子化につぐ主要業務として印刷にも力を入れている。宝塚事務所では少部数注文に対応できるデジタル印刷機を導入し、名刺やパンフレット、紙製のクリアファイルなどの印刷物を手がけている。「即日納品」をモットーに、原則、受付の翌営業日には納品しているそうだ。  ちなみに名刺やクリアファイルに使用する紙は、適切に管理された森林の木材でつくられた環境配慮型の「FSCR森林認証製品」だ。西村さんによると「このクリアファイルは、脱プラスチック対策になるだけでなく、表面は半透明仕様で中身がうっすら見えるため内容を確認でき、ファイル本体に容易に書き込みができることも長所」だという。  今年4月にはA1サイズ対応の大型印刷機を導入し、ポスターなども任されるようになった。 測定器の検定業務  航空機部門の拠点が置かれている新明和工業の甲南工場内にある甲南事務所では、2019年から「測定器の検定」という特殊な業務も行っている。製造現場で使われるノギス(ものの厚さや長さを測定する工具)などの各種測定器は、精度がずれていないか定期的に検定しなければいけない。以前は親会社の従業員が行っていた業務だそうだ。新明和ハートフルでは、検定結果を報告するだけでなく、校正作業も行う。その対象は20アイテムにのぼるという。西村さんは説明する。  「専用の機械にはめてダイヤルを回しながら調整しますが、μ(マイクロ)クラスの精度を確認するのは、かなり根気が必要なむずかしい作業です。担当する従業員2人は、几帳面な性格を存分に活かして活躍してくれています」  さらなるスキル向上のため、今後は親会社の社内技能競技会の「機械検査」競技での入賞なども目ざしているそうだ。 社内便業務も拡大  宝塚事務所では今年4月、それまで2部署を往復するだけだった新明和工業の社内便業務を、宝塚地区6部署に拡大した集荷・配達業務をスタートさせた。作業場は1階の広めの部屋だ。井上さんが「仕分用の棚はネットオークションで安く購入し、作業台は親会社から譲ってもらいました。各ボックスの宛名シールは西村社長の手づくりです」と明かしてくれた。  最初の1カ月は西村さんが、担当の従業員3人につきっきりで現場指導したそうだが、苦労したのは新明和工業各部署の宛名の確認だという。もともと社内規則では、各部署名について航空機事業部は(航)、パーキングシステム事業部なら(P)などの略称・略号を使うことになっているが、「なかには部署内でしか通用しない略号などを記入する従業員もいます。そのたびに内線番号表などと照らし合わせて部署名を確認しました」と西村さん。のちほど紹介するグループ会社内広報紙で現状を伝えたところ、徐々に改善されているという。  社内便を担当している1人が、2018年に入社した宝塚事務所の鈴木(すずき)航(わたる)さん(27歳)だ。大学の文学部在籍中に発達障害と診断され、障害者手帳を取得した。キャリアセンターの職員に指導を受けながら一般枠での就職活動を進めたがうまくいかず、障害者枠に切り替えて新明和ハートフルに入社したという。面接では「うまく言葉で伝えられないことがあるかもしれない」ことなどを、あらかじめ相談したそうだ。これまでに名刺印刷や電子化、社内便などを担当し、いまはパソコンでのデータ入力なども任されている。  鈴木さんもパソコン教室に通ってエクセル関連の資格検定に合格。いまはワード関連の勉強をしており、「アビリンピックにも出てみたいです」と意欲を見せる。西村さんは、「社内には表計算種目で、5年連続して全国アビリンピックに出場した先輩がいます。ほかの従業員にもぜひ挑戦してもらいたいです」と期待する。 アップサイクル活動  製造現場から出る廃棄物を活用した業務開拓にも挑戦している。その一つが、西村さんの古巣である新明和工業の航空機事業部と連携した「アップサイクル活動」。アップサイクルとは不要物の特性を活かしつつ手を加え、新たな価値を付加して新しい製品に生まれ変わらせることだ。  今回は、航空機部品などの製造過程で出る廃木材を活用。昨年から親会社と連携して猫用ベッドやパレット板を試作し、社内モニターから意見をもらいつつ商品化を目ざしている。最近も、キャットタワーを親会社の従業員と一緒に試作。従業員2人が指導を受けながらドリル操作、ねじ止め、サンディング(やすりがけ)作業などを行った。完成品は実際に猫の保護施設などで試用してもらっている。  また、今年4月からは、廃棄電線の処理業務もスタートした。これまで、工場で製品出荷前テストとして加工した大量の電線は、業者に引き取ってもらっていたが、西村さんたちは、加工された電線からビニール製の被覆を剥(む)きとる手軽な専用機器があることを知って購入し、取り出した銅線をリサイクル業者に買い取ってもらうようになった。  「ESG(※)やSDGsの視点も取り入れ、グループ会社に貢献できる業務を少しずつでも増やすべく日々模索しています」と西村さん。 AIアノテーション業務  最先端の開発技術を支える新たな業務もある。親会社で増えているAI(人工知能)を活用した事業で必須の「AIアノテーション」作業だ。これはAIに学習させるために必要なデータを意味づけ(タグづけ)する作業のことで、例えば道路を映した画面からAIに「車」を認識させるために、前もって学習用画像内の車に印をつけるというもの。西村さんは「もともと開発部門の従業員が地道にやっていたデータづくりですが、今後は可能なかぎり私たちが対応したいと考えています」と話す。すでに何回か請け負ったが、恒常的に受注できるようマンパワーを充実させることが課題だ。  このほか新明和ハートフルの業務は、敷地内の植木の剪定作業や落ち葉の回収から、事務所が入っている建物の共有部分の清掃業務、敷地内4カ所のアルミ缶回収業務、水道メーター読み取り記録業務まで幅広くある。以前は、ほとんどがグループ会社の従業員の仕事だったそうだ。西村さんは「新明和工業のみなさんには、本業の開発や製造で、さらに力を発揮してもらいたいと考えています」と語る。 グループ会社と課題共有も  この数年間だけでも、さまざまな業務を開拓してきた新明和ハートフルだが、西村さんは「それでも業績は厳しいです」と明かす。  特に主力の電子化業務は、職場のデジタル化による先細りが目に見えているため、危機感が大きいという。「さらにいえば、グループ会社内には、新明和ハートフルの存在や業務内容について知らない従業員がまだまだ多いことも課題です」と西村さん。  そこで、2021年からグループ会社を含めた社内向けの広報紙「(ハート)通信」を隔月で発行している。業務内容や従業員たちの紹介だけでなく、毎回、西村さん自ら「近況報告」を寄稿。グループ全体の障害者雇用について説明したり、新明和ハートフルの業務の実績や新しい仕事をアピールしたりしている。  ほかにも「(ハート)が抱える課題」と題した連載では、特例子会社や、障害のある人が能力を発揮する工夫、現場の指導員の高齢化などについて解説。グループ会社の従業員が少しでも障害者雇用について理解し、課題共有できるよううながしている。ある号でコロナ禍などによる受注の減少を訴えたところ、すぐにグループ会社の9部署から新規の依頼が来るなど、(ハート)通信の効果は大きいようだ。ただ西村さんは「グループ会社だけに頼っているわけにはいきません」とも話す。昨年度はコロナ禍により新明和ハートフルの受注も減り、時短勤務を余儀なくされるなど、事業の不安定さを体験した。  「今後は少しずつ、外部からも仕事を受注できる環境づくりを進めたいと思っています。先日もある自治体のデータ入力事業の入札に参加しましたが、価格で負けてしまいました。ここであきらめず、活路を見いだしていきたいですね。業務の改善やスキルアップも図りながら、多様な特性のある従業員一人ひとりが、安心して活き活きと働き続けられる職場にしていきたいと考えています」 ※ESG:環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)を考慮した投資活動や経営・事業活動をさす 写真のキャプション 新明和ハートフル株式会社代表取締役の西村重利さん 管理課の井上富和さん 電子化業務を担当する、宝塚事務所の松橋義希さん 電子化業務を担当する宝塚事務所の陳清倫さん 複合機のスキャナで、書類の電子化を行う陳さん 大型スキャナを使って図面の電子化を行う松橋さん 電子化業務の指導にあたる宝塚事務所の木村庄太郎さん 紙製のクリアファイル(左)。差し込まれたパンフレット(右)の絵柄がほどよく透けて見える 新明和工業甲南工場内にある甲南事務所(写真提供:新明和ハートフル株式会社) 各種測定器の検定作業。親会社の「ものづくり」を支える大事な作業だ(写真提供:新明和ハートフル株式会社) データ入力業務を行う鈴木さん 社内便やパソコン業務を担当する宝塚事務所の鈴木航さん 社内便の仕分け作業 グループ会社を含めた社内向けの広報紙「(ハート)通信」 廃棄電線の処理業務。電線の被覆を剥き、中の銅線を取り出す 神戸市内の商業施設で行われたキャットタワーのモニターテスト(写真提供:新明和ハートフル株式会社) 「AIアノテーション」作業のサンプル。写真上の自動車などにマーキングを行う(写真提供:新明和ハートフル株式会社) 【P10-11】 クローズアップ はじめての障害者雇用U 〜障害のある人が働きやすい職場づくり〜 最終回 合理的配慮の提供  これから障害者雇用に取り組もうとしているみなさまへの入門企画として4月号から始めた連載の最終回は、「合理的配慮の提供」について取りあげます。  「合理的配慮の提供」に取り組むにあたって、具体的な例、取組みのポイント、支援ツールなど、みなさまが企業の担当者として障害者雇用を進めるうえでの参考となる情報をご紹介します。 職場における合理的配慮の提供義務  「障害者の雇用の促進等に関する法律」の改正(2013〈平成25〉年)により、障害のある人と障害のない人との均等な機会や待遇を確保するため、また、障害のある人が職場で支障となっている事情を改善するために、事業主は障害特性に応じた配慮(合理的配慮)を提供することが義務とされました(2016年4月1日施行)。  事業主は、「募集及び採用時」は障害者からの合理的配慮の申し出に対して話し合いのうえで実施可能な合理的配慮の提供を、「採用後」は申し出の有無にかかわらず職場で支障となっている事情の有無を確認し、話し合いのうえで必要な合理的配慮の提供を行うこととなっています。 多くの企業が取り組んでいる合理的配慮の内容  各企業がどのような合理的配慮の提供に取り組んでいるのか、当機構が2019(令和元)年に行った企業へのアンケート調査(1442社から回答)では、「募集及び採用時」または「採用後」に、次のような点に取り組んでいる企業が多いという結果が示されています。【※1】 〈募集及び採用時〉 「体調に配慮した面接時間の設定をしている」…31.6% 「面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認めている」…30.7% 〈採用後〉 「作業の負担を軽減するための工夫」…49.3% 「通院・体調等に配慮した出退勤時刻・休暇・休憩の設定」…46.7%  当機構では、企業が合理的配慮の提供に取り組むにあたり、その参考となる事例を毎年収集し、ホームページで公開しています。  「障害者雇用事例リファレンスサービス」に掲載している3500を超える事例から、いくつか具体的な取組みを紹介します。 具体的な取組みの例(障害者雇用事例リファレンスサービス) 〈募集及び採用時〉  多くの企業では、ハローワークなどの就労支援機関と連携した募集を行い、採用にあたり参考とする情報(障害の特性、職務遂行能力、配慮すべき点など)をさまざまに工夫しながら把握しています。工夫の例としては、採用面接時に聴覚障害者に対して手話通訳を行うことや応募者が利用している就労支援機関の職員が同席する方法などがあります。  また、実際の職務や職場の環境を理解してもらったうえで、応募・採用につなげるために、企業見学や職務体験の機会を設けている企業もあります。そして、見学・面接での状況や就労支援機関との相談などを参考に、採用後の合理的配慮を検討しています。  企業によっては、トライアル雇用やジョブコーチ支援などを活用することで、スムーズな採用につなげているところもあります。 〈採用後〉  障害の特性が影響して生じる疲れやすさなど体調や体力を考慮し、担当職務の限定、勤務日数や勤務時間の調整などが行われています。定期的な通院が必要な社員には、年次有給休暇とは別の休暇制度を設け、安心して通院できるように配慮している企業もあります。  就労を支援する機器やソフトウェアを活用している企業も多く見られます。最近では発達障害者や精神障害者向けに自分で体調を確認し不調の兆しを把握することで、早めに上司への相談につなげるセルフマネジメントのためのソフトウェアを導入する企業もあります。  また、職場でのコミュニケーションが苦手な方に対して、インターネットを活用して勤務状況や体調把握、コミュニケーションの促進を図っている企業もあります。 就労支援機器の導入に向けた支援  当機構では、さまざまな障害の特性に応じた合理的配慮を事業主が提供したり、雇用の継続等を図ったりするために有効な就労支援機器について、専門家(就労支援機器アドバイザー)を中央障害者雇用情報センター*1に配置し、無料の相談や就労支援機器の展示・実演を行っています。  また、就労支援機器の無料貸出(原則6カ月以内)も行っています。最近では、PC画面拡大・読み上げソフトやWi-Fi環境下でのコミュニケーションツール、発達障害者向けの就労支援機器(ノイズキャンセリングヘッドホン)等、さまざまな障害の特性に応じた機器を取りそろえており、2021年度は延べ226件の貸出を行いました。  実際に利用可能な就労支援機器、貸出手順等の詳細な内容につきましては、当機構ホームページ「就労支援機器のページ」をご参照ください。  なお、就労支援機器を購入した場合等、当機構の「障害者作業施設設置等助成金」の対象となることもあります。助成金の認定申請についてはさまざまな要件がありますので、具体的には申請窓口である都道府県支部にご確認ください。 合理的配慮の提供に取り組む企業が感じる課題  企業が合理的配慮の提供に取り組むにあたって、どのような課題を感じているか、前述の企業へのアンケート調査(1442社から回答)では、次に示す3点が課題であると多くの企業が答えています。【※2】  「社内のサポート体制の構築ができていない」…41.0% 「社内の周知が進んでいない」…38.5% 「配置転換や業務内容の切り出しが難しい」…33.6%  また、在職障害者へのアンケート調査(1866人から回答)では、14.1%の在職障害者が「勤務する会社の差別禁止への取組に問題を感じることがある」と回答しています。さらにその内容をたずねたところ、「障害者雇用の理念や障害特性一般について、会社の理解が不足している」(68.6%)の回答が最も多い結果となりました。【※3】  雇用する障害者へのサポートに加え、企業全体の取組みとして準備し進めていく視点も、障害者雇用を成功させるポイントのひとつといえます。 地域障害者職業センターによる支援  企業の担当者のみなさまが雇用に向けた準備を進めるにあたり、当機構では地域障害者職業センター*2において、具体的な相談に応じています。  障害者雇用の専門家である「障害者職業カウンセラー」が、障害者の採用、職場適応、職場復帰等の各段階における企業のニーズのほか、雇用の分野における障害者の差別の禁止及び合理的配慮の提供義務への対応状況に応じて、事業主相談・支援ツールなどを用いて相談に応じています。企業の担当者とともに障害者雇用を進めるにあたっての課題の整理、目標の設定、目標達成に向けた方策の検討などを行い、企業が取り組む段階に応じて具体的な支援を提供します。  また、ハローワークをはじめとする地域の就労支援機関のネットワークを活用し、その企業が無理なく取組みを進められるように各機関と連携して支援を行っています。 企業のみなさまの参考となるマニュアル等の提供  当機構では、企業が障害者雇用を無理なく進めるにあたって参考となるさまざまな資料を作成し、広く提供しています。2022年2月には、ウェブコンテンツとして提供している「はじめての障害者雇用〜事業主のためのQ&A〜」*3をみなさまの手に取っていただきやすいA5版の書籍に取りまとめ、発刊しました。  このほか、社員の研修資料として活用していただけるコミック版の障害者雇用マニュアルをはじめとして、好事例集や合理的配慮の提供に関する動画*4などさまざまなコンテンツを当機構ホームページに掲載しています。  冊子で在庫のあるものは、企業の方に無料で送付しています。当機構ホームページのご案内ページに記載のお問い合わせ先*3までお気軽にご連絡ください。 おわりに  当機構では、さまざまな資料の提供や地域障害者職業センターでの具体的な相談などを通して、企業のみなさまが障害者雇用の取組みを着実に進められるように支援を行っています。  ぜひご活用ください。ご連絡をお待ちしています。 <参考資料> ・調査研究報告書No.157「プライバシーガイドライン、障害者差別禁止指針及び合理的配慮指針に係る取組の実態把握に関する調査研究」https://www.nivr.jeed.go.jp/research/report/houkoku/houkoku157.html 【※1】pp52-54、pp56-59 【※2】pp66-67 【※3】pp101-102 *1 中央障害者雇用情報センター https://www.jeed.go.jp/disability/employer/copy_of_kiki_setsumeikai.html *2 地域障害者職業センター https://www.jeed.go.jp/disability/employer/employer01.html *3 はじめての障害者雇用〜事業主のためのQ&A〜ご案内ページ https://www.nivr.jeed.go.jp/manual.html *4 合理的配慮の提供に関する動画 https://www.jeed.go.jp/disability/employer/index.html 写真のキャプション 「障害者雇用事例リファレンスサービス」https://www.ref.jeed.go.jp/企業の障害者雇用の全体的な取組みを紹介する「モデル事例」と、障害者本人の希望・ニーズに応じて個別に配慮している取組みを紹介する「合理的配慮事例」を掲載しています 「就労支援機器のページ」https://www.kiki.jeed.go.jp/ 【P12-14】 JEED インフォメーション 〜高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)からのお知らせ〜 「障害者雇用納付金制度に基づく各種助成金」の活用事例  「障害者雇用納付金制度に基づく助成金」は、事業主が障害者の雇用にあたって、施設・設備の整備や適切な雇用管理を図るための特別な措置を行う場合に、その費用の一部を助成することにより、事業主の一時的な経済的負担を軽減し、障害者の雇用の促進や雇用の継続を図ることを目的としています。  今回は、これらの助成金を効果的に活用した事例を紹介します。 事例1 〜障害が重度化した従業員の職種転換を支援するための機器の整備〜 【障害者作業施設設置等助成金(第1種作業施設設置等助成金)】  視覚障害(5級)のあるAさんは、工場内補助作業に従事していましたが、障害が重度化(1級)したために事務職へ異動となりました。異動後は、パソコンのデータ入力作業を担当することとなりましたが、入力内容の確認が困難でした。そこで、地域障害者職業センターの助言を受け、パソコン作業を容易にするために画面読み上げソフトを導入することにしました。導入前には、中央障害者雇用情報センターの就労支援機器の貸出し制度を利用し、その後助成金を活用してソフトを購入しました。読み上げソフトを整備したことにより、Aさんは職種転換後も円滑に業務を行うことが可能になりました。 企業 アドバイス 地域障害者職業センター 機器の貸出 中央障害者雇用情報センター 助成金の申請 JEED都道府県支部 事例2 〜職場復帰後の通院をサポートするための特別な有給休暇の付与〜 【障害者介助等助成金(職場復帰支援助成金)】  B法人が運営する地域包括支援センターで介護支援専門員として働くCさんは、直腸がんを患いしばらく休職しました。その後、直腸機能障害が残りましたが、仕事に復帰できるまでに病状は回復しました。しかし、復職後も月に2回以上の定期的な通院が必要で、通院には時間がかかるため仕事を休まなければなりませんが、有給休暇にも限りがあり、欠勤となると給与も下がってしまうためCさんは困っていました。  そこでB法人は助成金を活用してCさんの通院のために特別な有給休暇制度を整備しました。この特別な有給休暇を利用することでCさんは給与を下げることなく通院でき、仕事に復帰後も継続して働くことができています。 事例3 〜通勤の負担を軽減するための住宅の賃借〜 【重度障害者等通勤対策助成金(重度障害者等用住宅の賃借助成金)】  D社の在職中に事故で頸椎を損傷したEさんは、生活や移動に車いすを必要とする身体障害者(1級)となりました。復職に際して、通勤時に公共交通機関を利用する場合は、最寄り駅までの移動に時間と体力を要するうえに、混雑時間帯での2回の乗り換えなどが課題となっていました。そこでD社は助成金を活用し、事業所近くのバリアフリー設備を完備した世帯用住宅をD社にて借り上げ、Eさんとその家族を入居させました。自力での通勤が可能になったEさんは、リハビリ出勤を経て無事復職してD社でこれまでの経験を活かして営業とそのサポートに活躍しています。 事例4 〜職場適応援助者(ジョブコーチ)による職場定着の支援〜 【職場適応援助者助成金(企業在籍型職場適応援助者助成金)】  FさんはG社にトライアル雇用で採用され、初めての職業生活を送ることになりましたが、社会人としてのマナーや健康状態、作業手順を覚えるのが苦手という不安を抱えていました。そこでG社は企業在籍型職場適応援助者(企業在籍型ジョブコーチ)の資格を有する社員のHさんを配置し、支援計画を策定して、必要なときにいつでもFさんを援助できる体制を整えました。  ジョブコーチのHさんはFさんの傍(かたわ)らでマナーや健康管理面について助言したり、具体的な作業手順などをわかりやすく示したりと、就労上の課題を解消していきました。その結果、Fさんは正式採用されて社員として働くことになりました。 ※支給にかかる要件や申請の期限などの詳細は、都道府県支部高齢・障害者業務課(東京、大阪は高齢・障害者窓口サービス課)にお問い合わせください。  当機構ホームページでも情報提供しています。https://www.jeed.go.jp/disability/subsidy このような助成金があります @作業施設、作業設備などの設置または整備を行う⇒障害者作業施設設置等助成金( 事例1) A福祉施設の設置または整備を行う⇒障害者福祉施設設置等助成金 B雇用管理のために必要な介助などの措置を行う⇒障害者介助等助成金(事例2) C通勤を容易にするための措置を行う⇒重度障害者等通勤対策助成金(事例3) D職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援を行う⇒職場適応援助者助成金(事例4) 国立職業リハビリテーションセンター 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター 訓練生募集のお知らせ 〜障害のある方々の就職に必要な職業訓練や職業指導を実施しています〜 入所日など  国立職業リハビリテーションセンター、国立吉備高原職業リハビリテーションセンターでは、年間約10回の入所日を設けています。応募締切日や手続きなどの詳細については、お気軽にお問い合わせください。 ○遠方の方については……  国立吉備高原職業リハビリテーションセンターでは、併設の宿舎が利用できます。国立職業リハビリテーションセンターでは、身体障害、高次脳機能障害のある方、難病の方は、隣接する国立障害者リハビリテーションセンターの宿舎を利用することができます。 お問合せ 国立職業リハビリテーションセンター 埼玉県所沢市並木4-2 職業評価課 TEL:04-2995-1201 https://www.nvrcd.ac.jp/ 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター 岡山県加賀郡吉備中央町吉川7520 職業評価課 TEL:0866-56-9001 https://www.kibireha.jeed.go.jp/ 募集訓練コース 国立職業リハビリテーションセンター 訓練系 訓練コース メカトロ系 機械CADコース 電子技術・CADコース FAシステムコース 組立・検査・物品管理コース 建築系 建築CADコース ビジネス情報系 DTPコース Webコース ソフトウェア開発コース システム活用コース 視覚障害者情報アクセスコース 会計ビジネスコース OAビジネスコース 職域開発系 物流・組立ワークコース オフィスワークコース 販売・物流ワークコース ホテル・アメニティワークコース 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター 訓練系 訓練コース メカトロ系 機械CADコース 電気・電子技術・CADコース 組立・検査コース 資材管理コース ビジネス情報系 OAビジネスコース 会計ビジネスコース システム設計・管理コース ITビジネスコース 職域開発系 事務・販売・物流ワークコース 厨房・生活支援サービスワークコース オフィスワークコース 物流・組立ワークコース サービスワークコース ○訓練の期間は……  「システム設計・管理コース」、「ITビジネスコース」(ともに国立吉備高原職業リハビリテーションセンター)は2年間、そのほかの訓練コースは1年間の訓練です。 ○対象となる方は……  「ビジネス情報系」の「視覚障害者情報アクセスコース」(国立職業リハビリテーションセンター)、「IT ビジネスコース」(国立吉備高原職業リハビリテーションセンター)は、視覚障害のある方を対象とし、「職域開発系」の各コースは、高次脳機能障害のある方、精神障害のある方、発達障害のある方、知的障害のある方を対象としています。 事業主のみなさまへ  両センターでは、障害のある方の採用をお考えの事業主と連携し、個々の事業主の方のニーズや訓練生の障害特性などに応じた、特注型のメニューによる職業訓練を行っておりますのでご活用ください。ご利用いただく事業主の方には次のような支援も行っております。 ■障害特性に応じた特別な機器・設備の配備や作業遂行に関する支援方法のアドバイスなど、円滑な受入れに関する支援 ■雇入れ後の職場定着に向けた技術面でのフォローアップとキャリアプランづくりのための支援 詳細については…https://www.jeed.go.jp/disability/person/person07.html 【P15-18】 グラビア 梱包出荷をになう「優秀勤労障害者」 ジオマテック株式会社 金成工場(宮城県) 取材先データ ジオマテック株式会社 金成工場 〒989-5164 宮城県栗原市金成金生(かんなりきんせい)51 TEL 0228-42-3001(代表) 写真・文:官野 貴  「ジオマテック株式会社」は薄膜技術(※)の専門メーカーであり、同社の製品はディスプレイ機器や自動車の車載機器など、さまざまな分野で使われている。同社は障害者を積極的に雇用する「障害者雇用優良事業所」として、2021(令和3)年度に「独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長表彰」を受け、「優秀勤労障害者」として宮城県の金成(かんなり)工場で働く阿部(あべ)剛(たけし)さん(50歳)が表彰された。  難治性難聴のある阿部さんは、入社30年目のベテランだ。聾(ろう)学校を卒業後、同社に入社し検査部門などを経て、金成工場の梱包出荷部門を担当する責任者となった。入社当時から、口話や筆談、身振り手振りを駆使してコミュニケーションをとってきたが、昨今、新型コロナウイルス感染症対策でみんながマスクをしているため、口話で口の動きを読み取ることができず、苦労しているという。そこで、それをカバーするために、社内のコミュニケーションツールのチャット機能やメールを活用。ツールは、文字でやり取りができ、記録にも残ることから、作業ミスなども減ったという。  金成工場は、試作から大量生産まで幅広い薄膜製造に対応しており、その梱包出荷作業は多岐にわたる。梱包作業は、専用の発泡プラスチックケースや段ボール、気泡緩衝材など、仕様書に基づいた梱包資材の使用が求められる。阿部さんは、試作品など小ロットの発送時に、コストや環境への負荷をかけずに製品を梱包するために、箱の高さが変えられる段ボールの導入を提案し、成果を出している。  阿部さんに「優秀勤労障害者」受賞の感想を聞いたところ、「長く働き工夫を重ねてきたことが評価されたと感じ、うれしかったです。ここで定年まで勤めあげたいです」と話してくれた。 ※薄膜技術:光を反射させたり、電気を通したり、水を弾くなど、元の材料にはない多種多様な機能を、見えないほど薄い状態で、後からコーティングする技術のこと 写真のキャプション ジオマテック株式会社金成工場 出荷リストを確認し、ラベルシールを発行する 高さを変えられる段ボールを使用した梱包作業 段ボールには、折り線が入っており段階的に高さが変えられる 隙間ができないように、粘着テープを貼りつける 最適かつ最小の気泡緩衝材ですむように段ボールの高さを調整する きれいに整頓された梱包資材。製造した部署や仕様書に合わせ資材を使い分ける 梱包を終えた出荷物。出荷チェックを終えると「本日出荷」のサインを倒す テープも複数を使い分ける。カッターマットには、気泡緩衝材をカットする目安のラインが引かれている ロール状の気泡緩衝材を最適なサイズに切り出す 阿部さんはフォークリフトの運転資格を持ち、出荷作業で活かしている 【P19】 エッセイ 多様でユニークな支援のあり方 最終回 ありのままで良しとされる世界 Kプランニング代表 戸原一男 戸原一男(とはら かずお)  約13年前から「SELP 訪問ルポ」(日本セルプセンターWEBサイト)や『月刊福祉』(全国社会福祉協議会出版部)にて、290カ所以上の障害者就労支援施設の取材記事を連載する。施設職員を対象とした工賃向上研修会の講師実績も多数。  おもな著書として、『障害者の日常術』(晶文社)、『障害者アートバンクの可能性』(中央法規出版)、『パソコンで絵を保存しよう』(日本エディタースクール出版部)、『ブレイブワーカーズ』(岩波ブックセンター)、『はるはる日記』(Kプランニング)、ほか。 団員たちの特技を活かした仕事づくり  これまで全国の障害者就労支援施設で取り組んでいる多様な支援事例を紹介してきた。共通しているのは、利用者たちの個性を最大限に活かし、人に仕事を合わせるという考え方である。  最後にもう一つ、奈良県にある就労継続支援B型事業所「特定非営利活動法人なないろサーカス団」を紹介しておきたい。  この施設の特色は、障害のある人たちを「なないろの個性を持つサーカス団員」と定義しているところである。理事長の中川直美さんは、その意図を次のように語っている。  「(知的)障害のある人たちは、決してチャリティの対象になるような存在ではありません。むしろ一人ひとりがみなユニークな表現手段を持っていて、とてもチャーミングな人たちなのです。その魅力をきちんと伝えれば、もっと地域の人気者になると考えました」  そこで利用者のことをあえて「団員」と名づけ、彼らの個性に寄り添った仕事づくりを行った。料理が得意な人には、ランチ担当シェフを任せる。絵画や人形づくりが得意な人には、創作活動に専念してもらう。手工芸品を人にプレゼントするのが趣味の人には、「人を幸せにする」という大切な役割がある。  彼らの個性を積極的にアピールしながら住民との密接な協力関係をつくり、それを「商品」にするという地域密着型の事業展開をくり広げている。 障害のある人の個性が求められる時代  こうした発想から、地域に住む高齢者を対象とする御用聞きサービスへと進化していった。ひとり暮らしの高齢者にとって、知的障害のある人たちに独特の「人なつこさ」や「満面の笑顔」は、心の癒やしになる。「電球を取り替えてほしい」、「ゴミ出しをしてほしい」、「お弁当を届けてほしい」という要望に応える生活サポートサービスは、今後ますます求められていくのではないか。  さらにアイデアを膨らませてみよう。例えばダンスが得意なダウン症の人たちとプロのフィットネスインストラクターがコンビを組み、地域住民を対象としたエクササイズ教室を運営してみる。あるいは、しゃべることに関して卓越した能力を持つ障害のある人が、カフェでお客さんと雑談を交わすことを仕事にする……。  障害のある人たちが不自由な身体を駆使して苦手な作業をするのではなく、天性として持っている才能を使うだけで立派な仕事になる世界。存在そのものが価値であり、地域の人たちから必要とされる世界。それはまさに、彼らが「ありのままで良しとされる世界」の実現だろう。 多彩な能力を持つ支援者を集めよう  近年、厚生労働省は「我が事・丸ごと」の地域共生社会を目ざした地域づくりを積極的に推進している。その中心的な役割を、ぜひとも障害のある人たちにも、になってもらいたいというのが私の考えである。  福祉の専門家だけでなく、多様な職種、多彩な能力を持った支援者を集めることで、それは初めて可能になる。これまでの発想では、考えもつかなかった人材の発掘。福祉の世界など、まったく無縁だった人材の勧誘。彼らを障害のある人たちと交えることで、革新的な化学反応が生じるはずなのだ。  ぜひとも各地で、多様でユニークな就労支援活動が次々に生まれていくことを期待したい。 【P20-25】 編集委員が行く 精神障害のある人への医療機関との連携による就労支援 株式会社IHI(東京都)、医療法人社団欣助会 吉祥寺病院(東京都) 神奈川県立保健福祉大学 名誉教授 松爲信雄 取材先データ 株式会社IHI 〒135-8710 東京都江東区豊洲3-1-1 豊洲IHIビル TEL 03-6204-7800(代表) FAX 03-6204-8800 医療法人社団欣助会(きんじょかい) 吉祥寺病院 〒182-0011 東京都調布市深大寺北町4-17-1 TEL 042-482-9151 FAX 042-482-8260 編集委員から  精神障害のある人の雇用を継続するには、“医・職・住”の一体的で継続的な支援が重要である。精神科医療機関が直接的に就労支援を行う「医療単独型就労支援」はそれに応える方法だが、その実施には、キャリア支援をふまえた知識と技術を体得した人材の育成が不可欠と感じた。 写真:官野 貴 Keyword:精神障害、医療機関、医療単独型就労支援、就労支援専門職、定着支援 POINT 1 精神障害のある人の就労支援のあり方を知る 2 精神科医療機関が行う就労支援の実際 3 精神科デイケアでの就労支援プログラム はじめに  精神障害のある人の雇用状況は急激に進展していますが、企業は雇用管理面で悩んでいることが少なくありません。例えば、「職場でトラブルが多く、そのために一緒に働く同僚が疲れてしまっている」、「採用したが適当な業務がない」などです。このようなときに、適切な配慮への参考となるのが、本人と長くつき合ってきた医療機関からの情報です。  雇用の継続に際して精神科医療機関との連携が必要かつ有用なのは、第一に、患者さんが就労について最初に相談する相手は主治医であることが多く、また、障害を前提とした福祉施設や労働機関に相談に行くことに抵抗感をもつ人が少なくないからです。第二に、就職後も継続して通院する人が多いことから、医療機関は本人に生じる状況の変化や再発などの予兆をキャッチしやすい立場にあるからです。就労継続に必要な継続的なモニタリングができるため、企業や地域の支援機関から意見を求められることも多く、安定的な就労にとって非常に有用だといえます。  そこで、精神障害のある人の職場定着に医療機関がどのようにかかわっているかを知りたくて、企業と医療機関の双方を取材してきました。 IHIの障害者雇用  株式会社IHI(以下、「IHI」)は、1853(嘉永6)年創業の日本初の近代的造船所「石川島造船所」を起源とする総合重工業グループとして、資源・エネルギー、社会インフラ、産業機械、航空・宇宙の四つの事業分野を中心に新たな価値を提供しています。売上げは年間約1兆2千億円で、社員はIHI単体で約8千人、グループ全体で約3万人弱が働いています。 (1)精神障害者の定着支援  人事部の「本社人事グループ」アシスタントマネージャーで看護師の関根(せきね)理絵(りえ)さんにお話をうかがいました。  「当社の障害者雇用は、もともと身体に障害のある人を中心に各部門に採用していたそうです。1992(平成4)年に障害のある社員を集合させた「業務支援担当」を設けて、効果的な業務支援と職場定着の推進を図っています。現在では、IHI単体では約200人の障害のある社員を雇用しております。  2018年に初めて、5人の精神障害のある人を新規採用しました。そのとき、私も看護師の資格を持つサポートスタッフとして採用されました。この5人の新規採用者のうち、3人が現在まで継続して勤めています。3人とも主治医との定期的な受診と服薬調整のほかには、体力的にも能力的にもほとんど問題はなく、また、私との面談もほとんど必要がない状況です。  また、精神科医療機関を経由して入社した事例では、退院直後から特に生活支援において個別的で継続的な対応が必要な人がいました。ですが、医療機関から引き継いだ就労定着支援事業所の担当者が大きな力となり、日常生活が次第に安定してきました。本人自身も、『その担当者との出会いによって精神的に落ち着いた』とふり返るほどです。そのことが、業務の遂行に著しい効力を発揮して、今日まで継続して働き続けられています。  つまり、支援機関の担当者との出会いと継続的な支援が、職場定着を決定づけているといえるでしょう。それほど、支援者の資質やかかわり方が大きな影響を与えるということです」 (2)医療機関による直接的支援  次に関根さんからは、こうした就労支援機関とは異なる支援を受けている事例も紹介していただきました。それが、2020(令和2)年に採用された後も、医療機関による直接的な就労支援が続いている小野寺(おのでら)祐子(ゆうこ)さんです。  小野寺さんに、発症から今日に至るまでの経過をうかがいました。  「私は、統合失調症を20代後半に発症して、精神病単科の吉祥寺病院に半年ほど入院しました。その後、退院直後から同院併設のデイケアセンターに10年近く通いました。自宅から病院まで1時間以上かかるのですが、社会に出たいという一途な想いから、ほぼ毎日通いました。  デイケアのプログラムでは、生活リズムを整えながらさまざまな院内作業をしました。生活リズムに慣れるとハローワークでの求職活動も始めたのですが、就職には結びつきませんでした。ですが、病気でかたくなになっていた気持ちも、プログラムをこなしていくうちに、次第にほぐれていきました。  その後、デイケアで就職率と定着率の高さを売りにした“就労グループ”(23ページ参照)が新たにプログラムとして開始されたので、ただちにそれに応募しました。1年ほどこのプログラムに参加した後、IHIでの職場実習を経て入社しました。  現在の仕事は、デスクワークが中心で申請書類の作成を中心に、週40時間の勤務です。入社した当初は、8時30分から14時30分までの短時間勤務でしたが、1年ほどかけて現在の勤務時間にまで延長できました。  また、吉祥寺病院の主治医に、毎月、定期検診を受けています。そのとき同時に、デイケアで担当だった作業療法士さんとも面談します。これらを通して、現在の仕事の状況や困っていること、あるいは、生活に関する相談をしています。さらに、毎週末にはデイケアの担当者に電話やメールで定期連絡をして、体調面などの報告をしています。こうした多重の支援体制のおかげで、体調が崩れることはめったにありません」 (3)医療機関との連携の利点  小野寺さんの就労支援は、主治医のいる医療機関からの直接的な支援を受けながら、医師の診断と調薬そしてデイケアスタッフとの定期面談や毎週の状況報告が継続されていることが特徴です。  関根さんは、こうした支援の利点として、次のことを指摘します。  「この体制は、就労支援機関を介さないで、主治医や関係スタッフからの医療的バックアップを直接的に受けられます。ですから、精神症状の変調を起こしやすい精神障害のある人を雇用する場合、企業にとっては大きな安心感を得られます。  本人自身も、いつでも主治医やデイケアスタッフからの支援を受けられるという心理的な安定感が生まれます。特に、会社や家族は関与しにくい生活支援の些細なことでも、長い交流があるデイケアのスタッフとは安心して相談できます」 吉祥寺病院の就労支援  そこで、小野寺さんが医療や就職・定着支援を直接的に受けているという、医療法人社団欣助会(きんじょかい)吉祥寺病院を取材しました。  同院は東京都調布市に1954(昭和29)年に精神科単科病院として開院し、現在、精神科救急・急性期を含む6病棟で345床あります。平均在院日数は約149日、入院患者数は月平均約64人、外来通院患者は1日平均約111人です。訪問看護指導のほかに、リハビリテーションとして、精神科作業療法、精神科デイケア、精神科ナイトケア、家族支援として、家族心理教育、家族会支援などが行われています。  就労支援を担当している、デイケア・ナイトケア室主任で作業療法士の関谷(せきや)俊幸(としゆき)さん、精神保健福祉士の八木(やぎ)悠(はるか)さん、同じく精神保健福祉士の清澤(きよさわ)康伸(やすのぶ)さんの3人にお話をうかがいました。 (1) デイケア  関谷さんが説明します。  「デイケアは、医師・看護師・心理士・作業療法士・精神保健福祉士からなる“専門的多職種チーム”によって運営しています。そのなかで就労支援の担当であるES(Employment Specialist)と生活支援の担当であるCM(Case Manager)がチームを組んで就労支援を行っています。  デイケアは目的別に三種類のグループに分かれており、利用者様の希望・目的に応じて選択できます。一つめは、就労グループである“しゅう吉(就労支援プログラムin吉祥寺)”です。一般就労を希望している人を対象に、就労して働き続けていくための土台づくりである就労準備性の構築を目的としています。  二つめが“HUDC(ホップアップデイケア)”です。こちらは就労を希望するがまだ一歩をふみ出せない人や、復学支援、就労継続支援B型事業所など地域の障害福祉サービスを希望している人向けのグループとなっています。  三つめが“のんびりリカバリーデイケア”です。安定した地域生活や日中活動の場を提供するグループとなっています」 (2)就労グループ(しゅう吉)  引き続き関谷さんが説明します。  「“しゅう吉”は就労を希望する人へのプログラム提供だけでなく、職場開拓、企業支援、就労後のキャリア支援、職場定着支援と就労支援の一連の流れをシームレスに、サービス利用者と、雇用側である企業の双方へ提供しています。就労支援は本人だけでなく企業側への支援も必要だと考えているからです。企業支援では企業が障害者雇用を独自で運用できるような仕組みづくりも行います。職場開拓では東京都の各ハローワークと連携し実施しています。しゅう吉では一般就労の定義を、最低賃金以上の時給で、特例子会社や就労継続支援A型事業所ではない一般企業で働くことと位置づけています。  本人向けのプログラムとしては、@就労準備性(ストレスとその対処、注意サインとその対処など、就労後に必要となってくる事柄)を身につけるためのプログラムである“就労プログラム”、Aパワーポイントを使ったプレゼンテーションを行うとともに、マーケティングの視点を学ぶ“企業研究”、B論理的に物事を考えたり、それをふまえたコミュニケーションの仕方を学ぶ“ロジカルシンキング”の三つのプログラムを基盤としています。加えて、C認知機能を向上させる“認知機能リハビリテーション”、D自身の取り扱い説明書を作成する“WRAP(ラップ)”などのプログラムを補完的に提供しています。  本人への支援としては、デイケアでは個別担当制を設けており、CMが生活・病気の支援を行い、ESが就労支援を行います。この担当制が就労後も続いていきます。それにより、就労後のリスクに対しても早期発見・早期対応ができるような仕組みをつくっています。しゅう吉では、専門的多職種の支援者によるアプローチであるMDT(Multidisciplinary Team)を定期的に行い、本人のニーズや課題の把握、それに対しての支援の方向性やスタッフの役割分担、本人がどのように活動していくかを話し合います。  デイケア内では情報に漏れや抜けが起きないようにするために、グループ内ミーティングを毎週、全体ミーティングを月に2回行い、情報の共有を図っています。  就労後はデイケアチームが職場定着に向けた支援を継続します。基本的には、@月1回の外来診察の後にデイケアチームとのMDTで現状と今後の確認、A毎週金曜日に電話やメールでの本人状況の確認、B3カ月単位での職場訪問で今後のキャリア、業務内容などの打合せ(徐々に期間を延ばし、最終的には何か起こったときのみの対応)、C必要に応じて土曜日の個別面談を行っています。こうした支援体制を継続することで当事者たちは勤務を継続しています。  しゅう吉を始めて3年経ちますが、おかげさまで就労率は86%、就労後1年後の定着率は97.3%、しゅう吉への参加から就労までの平均期間が6.2カ月という結果となっています。  また、コロナ禍の最中にあって、ほかの二つのグループの利用者は大きく減少しましたが、“しゅう吉”は変わりませんでした。就労支援は社会的な需要が高く、就労後も継続的な支援を行うことで、病院の経営にも貢献すると考えています」 (3)医療単独型就労支援  清澤さんは精神科医療機関の就労支援を“医療単独型就労支援”と名づけています。その特徴についてうかがいました。  「最大の利点は、医療的な支援、就労と定着支援、生活支援の“医・職・住”の支援をシームレスにワンストップで行えるということです。精神症状がもっとも悪い状態から回復に至るまでの一連の流れを把握している精神科医療機関が、当事者と企業の双方にかかわることで、就労支援と職場定着を併行して実施できます。回復までの経過や調子を崩しやすい状況などを明確に把握できるとともに、企業自身が症状悪化のサインとその対処の仕方について直接知ることができます。  ほかにも、専門的多職種チームで就労支援を行えるということも“医療単独型就労支援”の利点となります。主治医は就労を前提とした服薬調整や病状のモニタリング、看護師は病気とうまくつき合いながらの生活支援、作業療法士は業務分析やストレッチなどのレクチャー、心理士は心理検査をふまえたアセスメントやリラクゼーション法のレクチャー、精神保健福祉士は就労・生活に関する制度面での支援など、それぞれの専門性をもとに、トータルで就労支援を行えます。定着支援に関しても、医療機関には定期的に診察という形で来院されますので、定着支援の期間を設ける必要はなく、毎月必ず当事者と会えるという利点もあると考えます。  就労後のリスクに早期介入と対応ができ、医療情報について責任を持って企業に直接提供できるので、企業からの信頼も勝ち得ることができるのです」 医療機関との連携のあり方 (1)連携の方法  精神障害のある人の雇用を継続するには、“医・職・住”の一体的で継続的な支援が担保されることが重要となります。今回の取材からは、そのための方法の例として二つあることがわかりました。  一つは、IHIが2018年に採用した5人のうちの3人が継続して働いている場合の、就労定着支援事業所による“支援機関型就労支援”です。医療機関から引き継いだ就労支援機関の担当者による支援が、日常生活の安定化と業務の遂行に著しい効力を発揮しています。この場合、支援担当者の資質が職場定着に大きな影響を与えていました。  もう一つが、小野寺さんの例に見た精神科医療機関による“医療単独型就労支援”です。主治医や関係スタッフの“専門的多職種チーム”による支援は、本人のみならず、雇用企業自身も安心感が得られるとされます。  ですが、就労支援を医療機関と連携しながら進めることは、実際にはそう簡単ではないといわれています。  その背景には医療機関側の課題とし て、精神科医は多忙であり、就労や復職の可否を的確に判断することが容易ではないという状況があります。また、就労支援機関に関する情報や支援方法を知らない、支援機関と連携する必要性に対する認識も乏しい、診療報酬がつかないことから就労支援に労力を割きにくいといったこともあります。  また、就労支援機関側の課題としては、本人の精神症状の状況を的確に把握して、調子を崩しやすい状況やサインとそれへの対処が求められます。そのためには、それをになうスキルを持つ担当者が不可欠でしょう。  こうした課題があるなかでも、精神障害のある人の医療機関との連携による雇用事例は少なからずあり、「医療機関の障害者雇用ネットワーク」(※1)でも紹介されています。 (2)連携を推進するには  では、こうした課題にどのように対処していけばよいのでしょう。  “支援機関型就労支援”では、医療関連の専門職を配属するか、精神科医療やリハビリテーション分野を学修した人材を育成していくことが求められると思います。  また、“医療単独型就労支援”では、地域生活への移行と定着には就労支援が不可欠との認識のもとに、デイケアを充実させることが必要でしょう。そのためには、これをになう人材の育成と配属が必修の要件となるでしょう。また、デイケアを障害福祉サービス提供機関として認定する制度的な改革も必要かもしれません。  これらに共通することは、就労支援人材の育成です。その重要性については、厚生労働省の審議会(※2)でも指摘されるように、今後の障害者雇用施策の重要な柱のひとつとなっています。特に、医療機関においては、キャリア支援を支える価値観をもって、企業と共同して継続的に支援する視点を有した人材が不可欠となるでしょう。  学修の場は数多くありますが、個人のペースに合わせた多様な習得方法を活用し、よりよい人材育成につながることを願っております。 ※1 医療機関の障害者雇用ネットワーク https://medi-em.net ※2 厚生労働省「労働政策審議会障害者雇用分科会意見書〜今後の障害者雇用施策の充実強化について〜」(令和4年6月17日) https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/000952801.pdf 写真のキャプション 株式会社IHIの本社 株式会社IHI人事部本社人事グループアシスタントマネージャーで看護師の関根理絵さん 株式会社IHI人事部本社人事グループで働く小野寺祐子さん 小野寺さんは、申請書類の作成などを担当している 小野寺さんが働く本社人事グループ 医療法人社団欣助会 吉祥寺病院 病院に併設されたデイケアセンター 吉祥寺病院デイケア・ナイトケア室主任で作業療法士の関谷俊幸さん 精神保健福祉士の八木 悠さん デイケアセンターは、外観内観ともにログハウス風 就労に向けたプログラムの様子(写真提供:吉祥寺病院) 精神保健福祉士の清澤康伸さん 【P26-27】 省庁だより ハローワークを通じた「障害者の就職件数」が2年ぶりに増加 ─令和3年度 障害者の職業紹介状況等─ 厚生労働省 職業安定局 障害者雇用対策課  厚生労働省は6月24日、令和3年度の障害者の職業紹介状況をまとめました。  ハローワークを通じた障害者の就職件数は、令和2年度の8万9840件から、9万6180件(対前年度比7.1%増)と2年ぶりに増加しました。 〈ポイント〉(第1表) 〇ハローワークにおける障害者の新規求職申込件数は22万3985件で、対前年度比5.7%増と、コロナ禍以前の水準を上回った。就職件数は9万6180件で、前年度(8万9840件)と比べ7.1%増と、新規求職申込件数の伸びを上回ったが、前々年度の令和元年度(10万3163件)と比べると6.8%の減となっている。 〇就職率(就職件数/新規求職申込件数)は42.9%で、対前年度差0.5ポイント増となった。 〇主に精神障害者の求職活動が活発化し、新規求職申込件数が増加するとともに、障害者の就職先として比較的高い割合を占める、「医療、福祉」、「製造業」、「サービス業」を中心に多くの産業で求人数が増加したことによるものと考えられる。また、ハローワークに届け出のあった障害者の解雇者数は1656人で、前年度(2191人)と前々年度の令和元年度(2074人)を下回り、落ち着きをみせている。 〈産業別にみたときの特徴〉(第2表) ○産業別の就職件数は、「医療、福祉」(3万5888件、37.3%)の割合が大きく、「製造業」(1万2270件、12.8%)、「卸売業、小売業」(1万743件、11.2%)、「サービス業」(1万432件、10.8%)が続いている。 〈職業別にみたときの特徴〉(第3表) ○職業別では、「運搬・清掃・包装等の職業」(3万1374件、32.6%)の割合が大きく、「事務的職業」(2万2198件、23.1%)、「サービスの職業」(1万1729件、12.2%)、「生産工程の職業」(1万1238件、11.7%)が続いている。 第1表 ハローワークにおける障害者の職業紹介状況(令和3年度) @新規求職申込件数 前年度比 A有効求職者数 前年度比 B就職件数 前年度比 C就職率(B/@) 前年度差 合計 223,985 (件) 5.7(%) 358,554(人) 8.2(%) 96,180 (件) 7.1 (%) 42.9(%) 0.5(ポイント) 身体障害者 58,033 0.6 113,195 5.6 20,829 4.0 35.9 1.2 知的障害者 34,651 1.0 54,618 4.5 19,957 0.8 57.6 △0.1 精神障害者 108,251 13.5 163,064 12.8 45,885 13.0 42.4 △0.2 その他の障害者(注) 23,050 △6.1 27,677 1.8 9,509 1.3 41.3 3.1 (注)「その他の障害者」とは、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳等を保有しない者であって、発達障害、高次脳機能障害、難治性疾患等により、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者である。ただし令和2年度1月のハローワークシステム刷新の影響により、障害者手帳を所持する方も一部計上されている。 第2表 産業別就職件数(令和3年度) 産業 障害者計 前年度比 身体障害者 前年度比 重度 前年度比 知的障害者 前年度比 重度 前年度比 精神障害者 前年度比 その他の障害者 前年度比 合計 96,180(件) 7.1(%) 20,829(件) 4.0(%) 7,479(件) 1.3(%) 19,957(件) 0.8(%) 3,151(件) △5.4(%) 45,885(件) 13.0(%) 9,509(件) 1.3(%) 農林漁業 1,181 △5.7 207 △10.8 51 △21.5 269 △9.7 28 △33.3 589 △0.7 116 △10.8 鉱業,採石業,砂利採取業 30 30.4 13 8.3 3 0.0 3 50.0 0 − 9 12.5 5 400.0 建設業 2,776 △1.9 780 △14.3 252 △17.4 421 △3.7 43 7.5 1,304 6.1 271 6.7 製造業 12,270 18.5 2,431 18.1 799 9.6 3,248 3.4 497 15.9 5,238 31.5 1,353 15.0 電気・ガス・熱供給・水道業 111 22.0 37 48.0 15 25.0 6 △14.3 0 △100.0 55 10.0 13 44.4 情報通信業 1,566 18.7 298 △6.0 124 △16.8 136 △2.2 29 △27.5 858 32.2 274 28.0 運輸業,郵便業 4,163 9.6 1,137 0.5 345 △5.0 1,010 13.1 152 △10.6 1,634 16.5 382 2.7 卸売業,小売業 10,743 2.2 1,747 △2.3 632 0.0 3,108 △2.4 451 △15.7 4,811 9.3 1,077 △5.4 金融業,保険業 1,036 10.8 393 15.6 137 4.6 114 △8.1 22 △8.3 417 18.1 112 △5.1 不動産業,物品賃貸業 955 8.8 266 8.1 86 △4.4 130 △7.8 29 45.0 446 16.4 113 4.6 学術研究,専門・技術サービス業 1,904 4.3 405 △8.6 145 △19.9 213 19.7 30 △9.1 1,024 7.3 262 4.4 宿泊業,飲食サービス業 3,218 9.6 729 19.5 228 8.6 894 △5.5 142 △15.0 1,336 17.5 259 6.6 生活関連サービス業,娯楽業 1,767 8.6 370 △2.4 119 △7.0 430 △0.2 65 △20.7 793 19.4 174 13.7 教育,学習支援業 2,204 △2.5 669 △6.7 226 △17.2 268 △11.0 50 △15.3 1,054 3.8 213 △6.2 医療,福祉 35,888 4.3 6,669 2.4 2,672 △0.3 6,939 1.0 1,162 △5.8 19,061 7.8 3,219 △4.1 複合サービス事業 801 19.2 165 1.9 45 △15.1 203 18.0 29 11.5 360 33.3 73 7.4 サービス業 10,432 13.2 2,594 13.9 919 22.9 2,225 1.3 386 1.0 4,556 20.2 1,057 11.4 公務・その他 5,135 5.0 1,919 3.1 681 7.9 340 0.6 36 △23.4 2,340 13.1 536 △13.7 第3表 職業別就職件数(令和3年度) 職業 障害者計 前年度比 身体障害者 前年度比 重度 前年度比 知的障害者 前年度比 重度 前年度比 精神障害者 前年度比 その他の障害者 前年度比 合計96,180(件) 7.1(%) 20,829(件) 4.0(%) 7,479(件) 1.3(%) 19,957(件) 0.8(%) 3,151(件) △5.4(%) 45,885(件) 13.0(%) 9,509(件) 1.3(%) 管理的職業 116 14.9 47 11.9 16 6.7 1 △75.0 0 − 58 41.5 10 △28.6 専門的・技術的職業 6,998 6.5 2,145 △2.2 922 △5.9 287 10.0 35 △25.5 3,734 13.0 832 2.6 事務的職業 22,198 12.7 5,933 9.3 2,377 7.7 1,918 5.7 254 2.0 11,476 17.7 2,871 6.1 販売の職業 4,247 0.4 680 △4.5 238 △2.1 1,282 △4.8 160 △24.9 1,900 8.6 385 △8.3 サービスの職業 11,729 4.0 2,546 2.0 789 △5.2 2,813 2.2 416 △6.9 5,462 7.8 908 △5.4 保安の職業 1,196 2.9 526 1.2 138 △3.5 121 7.1 12 0.0 463 5.2 86 △3.4 農林漁業の職業 3,083 △0.5 380 △7.5 113 △12.4 897 △1.8 161 △11.5 1,487 1.7 319 2.6 生産工程の職業 11,238 14.4 1,969 12.0 656 1.2 3,016 3.2 462 7.9 5,099 25.1 1,154 8.1 輸送・機械運転の職業 2,818 10.9 1,361 4.5 350 3.6 145 5.8 18 63.6 1,122 22.1 190 5.0 建設・採掘の職業 1,183 4.4 316 6.4 85 25.0 256 △3.8 18 △14.3 523 8.1 88 2.3 運搬・清掃・包装等の職業 31,374 3.9 4,926 1.3 1,795 0.8 9,221 △0.6 1,615 △6.1 14,561 9.2 2,666 △2.8 分類不能の職業 0 − 0 − 0 − 0 − 0 − 0 − 0 − ※本誌では通常西暦で表記していますが、この記事では元号で表記しています 【P28-29】 研究開発レポート 「障害の多様化に対応した職業リハビリテーションツールの効果的な活用に関する研究」 障害者職業総合センター研究部門 障害者支援部門 1 調査研究の背景と目的  当機構の障害者職業総合センター研究部門では、障害のある人が自立した職業生活を送れるよう支援することを目ざした総合的な職業リハビリテーションサービスである「職場適応促進のためのトータルパッケージ」(以下、「TP」)を開発しました。また、サービスとしてのTPの実践を補助するツール等(以下、「TPツール」)として、ウィスコンシン・カードソーティングテスト、メモリーノート(幕張版)、ワークサンプル幕張版、幕張ストレス疲労アセスメントシート、グループワークが位置づけられています。TPの開発は1999年から2003年にかけて行われましたが、それ以降の研究においては、TPを活用できる人材の育成および研修の実施の必要性といった活用を促進していくうえでの課題が指摘されています。そこで本研究(※1)では、TPが効果的に活用されるような活用促進の方策を検討することを目的としました。 2 調査研究の方法  本調査研究では、TPに関する情報提供方法の一つとして、教育的なプログラム(以下、「伝達プログラム」)を想定して、開発を目ざしました。開発にあたっては、教育工学におけるインストラクショナルデザインの考え方を活用し、「分析」、「設計」、「開発」、「実施」、「評価」の五つのプロセスに基づく調査研究を展開しました。 3 伝達プログラムのニーズ等の「分析」  伝達プログラムのニーズ等を分析するためのデータ収集を次の通り行いました。 (1)TPツールの購入機関を対象とした質問紙調査  TPツールを購入している地域障害者職業センターおよび、それ以外の機関679カ所に対して、2019年8月~2020年1月の期間で質問紙調査を実施しました。TPに関して提供を希望する情報については、「就労支援業務におけるTPの有効な運用方法」、「TPの活用事例」、「応用行動分析に基づくTPの利用方法」といった希望が比較的多くありました。また、情報の提供形式についての希望では、「ホームページ」、「TPの体験を伴う研修」、「講座」への希望が比較的多くありました。 (2)TPの知見がある支援者を対象とした面接調査  TPの知見がある支援者21人を対象に2019年8月〜2020年11月の期間で面接調査を実施しました。その結果、組織内で活用できる研修等による情報提供の希望が高く、「TPの理論」や「実践で有効な支援方法」に関する情報提供が求められていました。 4 伝達プログラムの「設計」、「開発」、「実施」、「評価」 (1)伝達プログラムの「設計」  伝達プログラムの設計に関して検討した事項を表に示します。 (2)伝達プログラムの「開発」  開発にあたっては、TPに関する既存の教材と、新たに作成した教材を組み合わせました。特に、伝達プログラム受講者の学習意欲を引き出せるよう検討しました。 (3)伝達プログラムの「実施」と「評価」  質問紙調査に協力していただいた機関のうち、伝達プログラムの研修受講を希望する、との意思表示があった機関の職員の方52名を対象に研修を行いました。研修後に行った満足度アンケートの結果では、「学習した内容を自身の研修プログラムに反映させる」と回答した受講者が全体の9割を超え、自由記述でも「TP実施への意欲が向上した」との報告が複数ありました。また、TPチェックリストへの回答結果を確認するために行った面接調査では、「TPの導入」や「TPを活用した支援サービスの拡大を検討している」と回答した支援機関もありました。 5 伝達プログラムの活用  今回開発した伝達プログラムは、TPの学習を進めるうえで一定の効果があることが確認できました。研究の中では、伝達プログラムとは別に、支援者のTPツールへの導入意欲を喚起するための「職場適応促進のためのトータルパッケージツールを活用した実践事例集」(※2)と、TPの知識を必要に応じて参照できる「トータルパッケージ学習テキスト」(※3)を作成しています。今後は、伝達プログラムと実践事例集、学習テキストがさまざまな就労支援機関において活用され、TPに関する知識の普及と就労支援サービスの質の向上が期待されます。作成した研修スライドと、伝達プログラムの解説ポイント等をまとめた「講師用手引」(※3)(「研修の効果測定ツール」を含む)を障害者職業総合センターのホームページで公開していますので、どうぞご活用ください。  なお、これらの教材は、支援現場の業務内容等に合わせてカスタマイズすることもできます。例えば、「講師用手引」の中に掲載されている「TPチェックリスト」に、研修前に受講者に回答してもらい、その結果から実践度が低い項目と、受講者が所属する機関の役割や機能を照らし合わせることで、研修で学習すべき項目を絞り込むこともできます。地域の就労支援機関におかれましては、これらの方法も取り入れて、伝達プログラムを有効に活用していただければと思います。 ※1「調査研究報告書No.164」 https://www.nivr.jeed.go.jp/research/report/houkoku/houkoku164.html ※2 https://www.nivr.jeed.go.jp/research/kyouzai/kyouzai76.html ※3 https://www.nivr.jeed.go.jp/research/kyouzai/kyouzai75.html ◇お問合せ先:研究企画部 企画調整室(TEL:043-297-9067 E-mail:kikakubu@jeed.go.jp) 表 伝達プログラムの設計にかかる検討事項 項目 検討した事項 学習目標の設定 質問紙調査および面接調査から把握したニーズをふまえ、伝達プログラムは「研修」とするとともに、その目的を「支援者がTP の理論的知識を実践に生かせること」とした。 学習目標に応じたカリキュラムの決定 TPの実践場面による学習内容の違いを考慮し、「第1回 アセスメント」、「第2回 作業訓練」、「第3回 セルフマネージメント」の3回の研修を設定した。 学習成果の評価方法の開発 評価方法として下記の評価指標を設定した。 ・研修内容への受講者の満足度や好感度を測る「満足度アンケート」 ・研修で伝達した知識とその運用可能性を測る「獲得度テスト」 ・研修前後の受講者の行動の変化を測る「TP チェックリスト 【P30-31】 ニュースファイル 国の動き 厚生労働省 差別禁止・合理的配慮の相談等実績  厚生労働省は、都道府県労働局や公共職業安定所(ハローワーク)を対象にした「雇用の分野における障害者の差別禁止・合理的配慮の提供義務に係る相談等実績(令和3年度)」を公表した。  これによると、障害者差別や合理的配慮の提供に関する相談は244件(前年度比0.8%減)で、うち障害者差別に関する相談は55件(前年度比20.3%減)、合理的配慮の提供に関する相談は189件(前年度比6.8%増)。事業主に対するハローワークの助言件数は9件だった。  同省は、雇用分野における障害者の差別禁止・合理的配慮にかかわる制度のさらなる周知に努めると同時に、相談への適切な対応と紛争解決のための業務の的確な実施に取り組んでいくとしている。 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26346.html 内閣府 「障害者の差別解消に向けた理解促進ポータルサイト」  内閣府は、障害者差別解消法において定められている事項について解説する「障害者の差別解消に向けた理解促進ポータルサイト」を公開した。  同サイトでは、企業や店舗といった事業者などが、障害のある人に対して行うこととされる「不当な差別的取扱いの禁止」や「合理的配慮の提供」、「環境の整備」について、障害種別ごとの具体的な事例などを紹介しながら解説。「合理的配慮の提供」については動画も掲載し、資料集のコーナーでは事例集やリーフレット、障害者白書のリンク先などを紹介している。 https://shougaisha-sabetukaishou.go.jp 働く 東京 発達障害のある人材のための新組織  大手会計事務所グループの「EY(イーワイ) Japan(ジャパン)株式会社」(千代田区)は、精神・発達障害と診断されている人材の雇用促進に向け、専門的なスキルとキャリアを習得できる新組織「ダイバース・アビリティズ・センター」を、障害者就労移行支援事業を手がける「株式会社Kaien(カイエン)」(新宿区)と共同で発足させた。EY Japanのマーケッツ部門内の新チームとして支援体制を整えた。  第1期生は、通常の採用プロセスまたはそれ以上のステップを経て本人のスキルを精査したうえで22人を採用した。従事するのはほかのEY Japan社員と同等の業務で、具体的には一般事務からリサーチ、翻訳や資料作成、WEBデザインや動画作成などを予定している。  新組織には株式会社Kaienの指導員と支援員が常駐し、業務管理や業務指導、相談や健康管理を行う。また、リモート雇用や短時間勤務を導入することで負担の軽減を図り、地方在住者も採用した。 東京 「東京ヘレン・ケラー協会」が鍼灸治療院開設  視覚障害者のあん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師を養成してきた「社会福祉法人東京ヘレン・ケラー協会」(新宿区)が、有資格の視覚障害者らが働く就労継続支援B型事業所「ヘレン・ケラー治療院 鍼灸・あん摩マッサージ指圧」を開設した。有資格者と、運営を補助する視覚障害者の利用を呼びかけている。  具体的な活動内容は、鍼灸・あん摩・マッサージ・指圧の施術(施設内・訪問)のほか、施術準備・補助、点字名刺作成、グリーンメンテナンス、創作活動、清掃など。問合せは同協会へ。 電話:03−3200−0585 本紹介 『知的障がい・自閉スペクトラム症寄り添い支援のまなざし』  「公益財団法人鉄道弘済会総合福祉センター弘済学園」(神奈川県)の元園長で、「社会福祉法人かしの木会くず葉学園」(神奈川県)の理事長を務める飯田(いいだ)雅子(まさこ)さんが、『知的障がい・自閉スペクトラム症寄り添い支援のまなざし障がい者福祉のプロから学ぶ実践力』(学研教育みらい発行)を出版した。  60年以上にわたり知的障害や自閉症支援の施設に勤め、強度行動障害研究も続けてきた飯田さんが、豊富な実践経験をもとに、知的障害や自閉スペクトラム症のある人たちの乳幼児期から高齢期までの人生を俯瞰(ふかん)し、それぞれの時期にどうかかわるべきかをアドバイス。知的障害児者や保護者とのかかわり方、寄り添うための心得、障害特性と対応、障害者福祉で大切にしたいことなどについても伝えている。A5判、176ページ、1870円(税込)。 『障がい者が主役の喫茶(カフェ)を地域にひらく−喫茶がつなぐ まち ひと 共生−』  明治大学文学部教授の小林(こばやし)繁(しげる)さんらでつくる任意団体「障がいをもつ市民の生涯学習研究会」が、『障がい者が主役の喫茶(カフェ)を地域にひらく−喫茶がつなぐ まち ひと 共生ー』(フェミックス刊)を出版した。  同会は、障害のある人が飲食店で働くことへの認知を広げ、縦割り行政の弊害で分断されがちな当事者や支援者のつながりをつくることを目ざして2000年に立ち上げられた。本書では、障害のある人たちが働く各地の喫茶(カフェ)の訪問記やコラム、レシピなどを紹介するほか、全国の喫茶データ一覧も掲載。テーマは「全国喫茶コーナー交流会ってなぁに?」、「特別支援学校と喫茶コーナー」、「喫茶コーナーとアビリンピック」、「精神障がい当事者による喫茶の取り組み」など。B5判、128ページ、1650円(税込)。 アビリンピック マスコットキャラクター アビリス 2022年度地方アビリンピック開催予定 10月〜11月 北海道、青森県、千葉県、神奈川県、石川県、山梨県、滋賀県、山口県、大分県 *部門ごとに開催地・日時が分かれている県もあります *  は開催終了 ※全国アビリンピックは11月4日(金)〜11月6日(日)に、千葉県で開催されます。 地方アビリンピック 検索 ※新型コロナウイルス感染症の影響により、変更する場合があります。 北海道 青森県 千葉県 神奈川県 石川県 山梨県 滋賀県 山口県 大分県 ミニコラム 第17回 編集委員のひとこと ※今号の「編集委員が行く」(20〜25ページ)は松爲委員が執筆しています。  ご一読ください。 過去との出会い 神奈川県立保健福祉大学名誉教授 松爲信雄  先日、亡き母の遺品整理をしていたところ、膨大な「日記」をみつけ、ひと月以上をかけて読みふけった。何しろ、私が大学入学のために上京して以来、今年の初旬に106歳で天寿を全まっとうするまで、毎日数行ずつびっしりと書き連ねた30冊以上におよぶ大学ノートである。  そこには、父や兄弟夫婦とその子どもたちの日々、母の父母や兄弟姉妹、さらにはとなり近所や友人・同窓生との交流にいたるまで、こと細かく書き連ねてあった。のみならず、お茶、お花、ちぎり絵、大正琴、観劇、市民講座、旅行などイベントの内容も詳細に記述され、そのうえ、数百冊に及ぶ読後感想文もあった。  読み進めながら、上京して仕事に没頭してきた私の50年以上におよぶ長い時間をふり返ることになった。  30歳を前にして、職業リハビリテーションにかかわる知識と技術の体系化をライフワークにすることを覚悟し、それに向けた研究や講演と執筆が現在も続いているものの、いまだ道遠しの思いがある。  だが、それ以上に、日常のできごとの積み重ねこそが「生活の質」や「ウェルビーイング」をもたらしていることに気づかされた。人は、さまざまな社会とのかかわりを紡いでゆく過程のなかにこそ、幸せな人生が潜んでいるのだろう。障害の有無にかかわらず「生活のしづらさ」を抱えている人であっても、働くことを含めた社会参加の重要性をあらためて確認する機会となった。 【P32】 掲示板 受講者募集! 職業リハビリテーションに関する各種研修のご案内 訪問型・企業在籍型職場適応援助者支援スキル向上研修 受講料無料 ◆訪問型・企業在籍型職場適応援助者支援スキル向上研修(第4 回)  訪問型または企業在籍型職場適応援助者(ジョブコーチ)として1年以上の実務経験を有する方に対して、雇用管理やアセスメントに関する支援スキルの向上を図る研修を実施します。  講義・演習に加え、ケーススタディ、グループワーク、アクションプランの作成など実践的な内容が特長です。 ◆日程および会場  【第4回】<大阪会場> ※全国からお申し込みいただけます。  日程:令和5年1月31日(火)〜2月3日(金)  会場:クラボウアネックスビル3階(大阪府大阪市中央区久太郎町2-4-11) ◆申込受付期間  令和4年10月25日(火)〜12月2日(金) ◆お申込み先  当機構ホームページに受講申込書および申込方法を掲載しています。 ◆お問合せ先  大阪障害者職業センター  TEL:06-6261-5215  E-mail: osaka-ctr02@jeed.go.jp  https://www.jeed.go.jp/disability/supporter/supporter04.html 職場適応援助者(ジョブコーチ) ステップ1 ジョブコーチをめざす方 職場適応援助者 養成研修 ジョブコーチ支援を行う際に必要な知識・技術の習得 障害者職業総合センター・大阪障害者職業センター 全国の地域障害者職業センター ステップ2 ジョブコーチの実務経験のある方 職場適応援助者 支援スキル向上研修 ジョブコーチとしての支援スキルの向上 障害者職業総合センター・大阪障害者職業センター メールマガジン好評配信中! 詳しくは JEED メールマガジン 検索 読者アンケートにご協力をお願いします! 回答はこちらから→ 次号予告 ●職場ルポ  株式会社セブン&アイ・ホールディングスの特例子会社、株式会社テルベ(北海道)を取材。「めげず・たゆまず・ほがらかに」を合言葉に展開している、印刷事業と椎茸栽培事業についてお伝えします。 ●クローズアップ  職場内の支援体制をテーマとした新シリーズを、全4回の連載でお届けします。 ●グラビア  小林製薬チャレンジド株式会社(富山県)を訪問。小林製薬グループの特例子会社として、従来中心となっていた清掃業務から、新たな業務領域にも挑戦する従業員の姿をレポートします。 ●編集委員が行く  諏訪田克彦委員が、株式会社丸和(和歌山県)を訪問。創業から62年を迎えた同社の、寝具のリースやリネンサプライといった主力事業について紹介します。 公式ツイッターはこちら! 最新号発行のお知らせやコーナー紹介などをお届けします。 @JEED_hiroba 本誌購入方法 定期購読のほか、最新号やバックナンバーのご購入は、下記へお申し込みください。 1冊からのご購入も受けつけています。 ◆インターネットでのお申し込み 富士山マガジンサービス 検索 ◆お電話、FAX でのお申し込み  株式会社広済堂ネクストまでご連絡ください。  TEL 03-5484-8821  FAX 03-5484-8822 あなたの原稿をお待ちしています ■声−−障害者雇用にかかわるお考えやご意見、行事やできごとなどを500字以内で編集部(企画部情報公開広報課)まで。 ●発行−−独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 発行人−−企画部長 飯田 剛 編集人−−企画部情報公開広報課長 中上英二 〒261−8558 千葉県千葉市美浜区若葉3−1−2 電話 043−213−6216(企画部情報公開広報課) ホームページ https://www.jeed.go.jp/ メールアドレス hiroba@jeed.go.jp ●発売所−−株式会社広済堂ネクスト 〒105−8318 東京都港区芝浦1−2−3 シーバンスS館13階 電話 03−5484−8821 FAX 03−5484−8822 10月号 定価141円(本体129円+税)送料別 令和4年9月25日発行 無断転載を禁ずる ・本誌に掲載した論文等で意見にわたる部分は、それぞれ筆者の個人的見解であることをお断りします。本誌では「障害」という表記を基本としていますが、執筆者・取材先の方針などから、ほかの表記とすることがあります。 編集委員 (五十音順) 株式会社FVP 代表取締役 大塚由紀子 NPO法人大阪精神障害者就労支援ネットワーク 副理事・統括施設長 金塚たかし 岡山障害者文化芸術協会 代表理事 阪本文雄 トヨタループス株式会社 取締役 清水康史 武庫川女子大学 学生サポート室専門委員 諏訪田克彦 あきる野市障がい者就労・生活支援センターあすく センター長 原智彦 サントリービジネスシステム株式会社 課長 平岡典子 神奈川県立保健福祉大学 名誉教授 松爲信雄 有限会社まるみ 取締役社長 三鴨岐子 筑波大学大学院 准教授 八重田淳 常磐大学 准教授 若林功 【裏表紙】 アビリンピック アビリスもやってくる!? 第42回 全国障害者技能競技大会 障害者ワークフェア2022 〜働く障害者を応援する仲間の集い〜 3年ぶりの開催! 表計算 ネイル施術 電子機器組立 アビリンピック ラワーアレンジメント ※上の写真4点は2021年の様子です。そのほかの写真は2019年の様子です。 「洋裁」「木工」競技など全25種目+デモ競技2職種、全国から約430名の選手が集います! LIVE配信もぜひご覧ください 「Abilympics.jp」 販売コーナー クイズラリー 答えて景品ゲット 楽しいステージ 職場紹介、就労支援、能力開発の3つのエリアによる展示・実演 千葉県PR マスコットキャラクター チーバくん 第A2688-1号 令和4年11月5日 幕張メッセ展示ホール9〜11 千葉県千葉市美浜区中瀬2-1(JR京葉線海浜幕張駅徒歩約5分) 11/4(金) 開会式※ 11/5(土) 技能競技・障害者ワークフェア 11/6(日) 閉会式(成績発表) ※WEB配信のみを予定。会場に参加いただく形式では実施しません。 主催:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 アビリンピック 検索 SNSやってます! アビリンピック マスコットキャラクター アビリス 入場無料 10月号 令和4年9月25日発行 通巻540号 毎月1回25日発行 定価141円(本体129円+税)