【表紙】 令和4年11月25日発行・毎月1回25日発行・通巻第542号 ISSN 0386-0159 障害者と雇用 2022/12 No.542 職場ルポ 事務補助から窯業まで、能力を活かし活気ある職場に 株式会社旭化成アビリティ(宮崎県) グラビア 当事者目線で映像コンテンツをつくる 株式会社TBSスパークル(東京都)、東京障害者職業センター 上野本所(東京都) 編集委員が行く SPIS(Web日報システム)を通じ対話を深め、戦力化する 日東精工株式会社(京都府)、京都障害者雇用企業サポートセンター(京都府)、日東精工SWIMMY株式会社(京都府)、一般社団法人SPIS研究所(東京都) この人を訪ねて 特別支援教育の変革とこれから 全日本特別支援教育研究連盟顧問、東京学芸大学名誉教授 松矢勝宏さん 「一致団結コーヒー屋さん」青森県・石戸谷(いしどや)有記(ゆき)さん 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 誰もが職業をとおして社会参加できる「共生社会」を目指しています 12月号 【前頁】 心のアート 夕焼けデート すなみ あけみ (きらぼしアートセンター) 画材:布張りキャンバス、アクリル絵の具/サイズ:900mm×650mm  「アクリル絵の具を使い、布張りのキャンバスに2日間で一気に描きました。丘の上で夕陽を眺めながらデートする2匹の猫の“ほのぼの感”を表現しています」と、あけみさん。  夕陽からだんだん日が暮れてゆき、雲の上の空には星と三日月が出ている。猫がいるあたりは黄色で明るくし、オレンジ、ピンク、紫、青、そして紺色を混ぜて、最上部は青が多めの黒にすることで、明から暗へのグラデーションを表すことに挑戦した。  夕方から夜への天空の移ろいを見上げ、「きれいだなぁ」と語り合う2匹の後ろ姿に幸せと明日への希望が感じられる。 (文:一般社団法人岡山障害者文化芸術協会 荒木岳志) すなみ あけみ  33歳。岡山県岡山市在住。  絵が好きだった父の影響で、幼いころから絵を描き始めました。美術部に入部したことはありませんが、中学校時代から日常的に絵を描いています。  高校の家政科で介護を学び、短大で介護を専攻後、病院へ就職。ストレス障害から精神科へ通院し、就労継続支援A型事業所に通う。その後、再び絵を描くようになり、2021(令和3)年、岡山県の障害者アートの公募展「きらぼし★アート展」(岡山県、岡山障害者文化芸術協会など主催)に応募。作品名『大丈夫』が入選しました。傷ついて涙を流しゴミ箱にいた女性に手を差し伸べるところが描かれた作品です。この入選がきっかけで創作意欲が高まり、2022年1月には同協会の多機能型事業所アート&ジョブセンターの就労移行支援事業所を利用、アート班に入り絵画に没頭する日々です。 協力:一般社団法人岡山障害者文化芸術協会 【もくじ】 障害者と雇用 目次 2022年12月号 NO.542 「働く広場」は、障害者雇用の啓発・広報を目的として、ルポルタージュやグラビアなど写真を多く用いて、障害者雇用の現場とその魅力をわかりやすくお伝えします。 心のアート 前頁 夕焼けデート 作者:すなみ あけみ(きらぼしアートセンター) この人を訪ねて 2 特別支援教育の変革とこれから 全日本特別支援教育研究連盟顧問、東京学芸大学名誉教授 松矢勝宏さん 職場ルポ 4 事務補助から窯業まで、能力を活かし活気ある職場に 株式会社旭化成アビリティ(宮崎県) 文:豊浦美紀/写真:官野 貴 クローズアップ 10 職場内の支援体制の課題と対応 第2回〜社内全体の支援体制づくり〜 JEEDインフォメーション 12 障害者雇用を進める事業主のみなさまへ 就労支援機器をご活用ください!/障害者雇用のためのマニュアル・好事例集などのごあんない/「障害者雇用事例リファレンスサービス」を活用して本誌「働く広場」の掲載記事が探せます! グラビア 15 当事者目線で映像コンテンツをつくる 株式会社TBSスパークル(東京都)、東京障害者職業センター 上野本所(東京都) 写真/文:官野 貴 エッセイ 19 発達障害と就労 第2回〜企業の雇用管理力をサポートする(1)〜 特定非営利活動法人クロスジョブ クロスジョブ堺 副所長 砂川双葉 編集委員が行く 20 SPIS(Web日報システム)を通じ対話を深め、戦力化する 日東精工株式会社(京都府)、京都障害者雇用企業サポートセンター(京都府)、日東精工SWIMMY株式会社(京都府)、一般社団法人SPIS研究所(東京都) 編集委員 金塚たかし 省庁だより 26 道路の移動等円滑化に関するガイドライン(概要版)(令和4年3月) 国土交通省道路局ホームページより抜粋 研究開発レポート 28 精神障害者である短時間労働者の雇用に関する実態調査 〜雇用率算定方法の特例が適用される労働者を中心として〜 障害者職業総合センター研究部門 障害者支援部門 ニュースファイル 30 編集委員のひとこと 31 掲示板・次号予告 32 中央障害者雇用情報センターのご案内 表紙絵の説明 「当時たずさわっていた『珈琲をつくる作業』をテーマに、一人ひとりの手作業の連携で珈琲がつくられている様子をどうしたら伝えられるかと、考えながら描きました。もっとも注意して描いたのは珈琲豆の粉砕機です。珈琲愛好家の方々に『これを使っているのか』とわかるよう細部までていねいに描きました」 令和4年度 障害者雇用支援月間絵画コンテスト 高校・一般の部 高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長奨励賞 ◎本誌掲載記事はホームページでもご覧いただけます。(https://www.jeed.go.jp/) 【P2-3】 この人を訪ねて 特別支援教育の変革とこれから 全日本特別支援教育研究連盟顧問、東京学芸大学名誉教授 松矢勝宏さん まつや かつひろ 1940(昭和15)年、東京都生まれ。全日本特別支援教育研究連盟顧問、東京学芸大学名誉教授、NPO法人GreenWork21 理事長、社会福祉法人森の会理事長。1971年、東京教育大学(現・筑波大学)大学院博士課程修了。同年から2014(平成26)年まで大正大学、東京学芸大学、目白大学で教鞭を執る。全日本特別支援教育研究連盟理事長(2007〜2019)、厚生労働省・東京都の各種委員などを歴任。著書に『キャリア教育の充実と障害者雇用のこれから―特別支援学校における新たな進路指導』(共編著、ジアース教育新社、2013年)など。 「辻村賞」を受賞 −−本誌『働く広場』元編集委員でもある松矢さんは、特別支援教育における長年の功績が認められ、2022年2月に、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所(以下、「特総研」)から「第35回辻村賞」を授与されました。おめでとうございます。  ありがとうございます。辻村賞は、特総研の初代所長を務め、日本の特殊教育制度の基盤整備と発展に大きな力を果たした故・辻村(つじむら)泰男(やすお)先生(1913〜1979年)の功績を記念して創設されました。このような賞をいただき、たいへん光栄に思っています。  辻村先生は、東京帝国大学(現・東京大学)文学部心理学科を卒業後、戦前は傷痍軍人(しょういぐんじん)の救護活動に従事、戦後は旧厚生省で戦災孤児らの児童福祉問題を担当しました。1952(昭和27)年から当時の文部省内の「特殊教育室」初代室長として公立養護学校の整備について立法施策にかかわり、特総研では特殊教育の調査研究や担当教員の研修充実に尽力されました。1979年4月1日に養護学校教育義務制が実施されましたが、この日は辻村先生ご逝去の日でもあります。  私自身は、東京教育大学(現・筑波大学)で辻村先生の「児童福祉学」に学び、知的障害児者のための「全国手をつなぐ親の会(現・一般社団法人全国手をつなぐ育成会連合会)」(以下、「親の会」)の活動に加わりながら、特別支援教育のあり方を模索するようになりました。当時は「暮らす・学ぶ・働く」という社会権的基本権が障害者に保障されず、特に教育においては「就学義務の猶予・免除」の対象で、「障害の重い子は、教育を受けなくてもよい」という既成概念がありました。そこで「新宿区手をつなぐ親の会」が先頭になり「保護者の就学義務の猶予・免除の願い出をしない運動」を展開、これを受けて東京都は1974年に重度障害児学級を設置し、障害児全員就学を実施したのです。国の導入は5年後の1979年でした。  その後、私は親の会から「今後は就労に力を入れてほしい」と背中を押されました。親の会や全日本特殊教育研究連盟(全特連、現・全日本特別支援教育研究連盟)など知的障害関係4団体からつくる「社団法人日本精神薄弱者福祉連盟」(現・公益社団法人日本発達障害連盟)の長期行動計画作成では、委員として「就労」の項目を担当し、障害者雇用施策にかかわる国の審議会委員なども務め、活動を続けてきました。 主体性のある進路指導を ――1993(平成5)年に開設した「養護学校進路指導研究会(進路研)」は、学校の先生や企業も参画し、職業教育の向上につなげていきました。  「国連・障害者の10年」(1983〜1992年)において大きく認知されたのが、障害者の「本人参加と自己決定」の理念です。これを教育の場で具体化するため、生徒の主体性を重視した進路指導を目ざして立ち上げたのが進路研(現・NPO法人GreenWork21)です。関東圏の先生や支援機関・作業所、厚生労働省の職員も参加し80人近い規模になりました。個別の移行支援計画に関する研究とともに、1995年からは特別支援学校の卒業生のための大学公開講座「自分を知り社会を学ぶ」を開催しました。きっかけは、東京学芸大学附属特別支援学校高等部3年生の進路学習「一日大学生」です。生徒が大学を訪れ、学生と交流授業を持ちました。このときの生徒の喜びと活き活きと学ぶ様子に心を動かされたものです。この企画は、全国的なオープンカレッジの先駆けにもなりました。  特別支援学校では、生涯にわたる個々のキャリア形成についても改善を重ねてきました。もともと米国で始まった取組みですが、私たちも研究を重ね、進路指導と職業教育の一体的な改善を目ざし、東京都が主導する形で、企業や支援機関などとの情報共有のために個別の移行支援計画をつくりました。  その後、2005年に文部科学省が「個別の教育支援計画」作成について策定。ここでは「障害のある児童生徒の一人一人のニーズを正確に把握し、教育の視点から適切に対応していくという考えの下、長期的な視点で乳幼児期から学校卒業後までを通じて一貫して的確な教育的支援を行うことを目的」としています。まさに本人主体で計画をつくるという意味で、障害者権利条約につながる成果でもあります。 企業との連携、充実した職業教育 ――この20年あまりで、特別支援学校での教育は大きく進化してきましたね。  職業教育を軸に、企業との連携が活発になったことが大きいですね。知的障害者の雇用義務化(1998年)を機に特例子会社をつくる企業が増えるなか、「どう雇用していったらよいのかわからない」というケースも多かった。そこで特例子会社のトップが集まり、それぞれ順番に取組みを紹介しながら知恵を出し合う研修会「障害者の雇用を楽しく考える会」が発足、ここに進路研の先生方も参加させてもらいました。  もともと教育文化と企業文化は、互いに相いれない部分がありました。しかし卒業生が、就職先で働く力を身につけていく様子を目の当たりにし、先生方の考えも変わっていきました。就労現場では、安全を確保し、作業を積み上げていくための手順書がありますよね。これを反映させたのが東京都の特別支援学校における就業技術科と職能開発科の教育課程です。校内に事業所のような実習スペースをつくり、先生が職場管理者、生徒は社員の立場で、より実践的な学びを得られるようになりました。  さらに、こうした教育現場での実績をふまえ、東京都特別支援学校就労支援委員会と東京労働局との共催で、法定雇用率未達成の企業担当者を集めた企業セミナーを開催できるようになり、就職率の上昇につながりました。いまでは特別支援学校ごとに、就業に向けたさまざまな取組みをされています。東京都の就業技術科では、企業関係者を招いた校内競技会が好評です。作業実演とともに生徒たちがつくったパワーポイントによるプレゼンテーションは、目を見張るものがあります。  全国に目を向けると、校内カフェをはじめコンビニエンスストアや食堂、洗車場を定期的に運営したり、生徒が育てた野菜を販売したりと、地域性を活かしたプログラムに力を入れています。ぜひお近くの学校を見学してほしいですね。  いま危惧しているのは、このように充実した職業教育・キャリア教育を受けられる特別支援学校に入らず、通信制などの高校に進む生徒が少なくないことです。背景には、特別支援学校を卒業しても高卒扱いにならないことがあります。もともと中等教育の目的は大学進学ではなく、社会人として自立していくための基本的な教養を身につけることです。生徒一人ひとりの教育を支えていくという意味でも、特別支援学校の役割を今一度しっかりとらえ直すべきです。 【P4-9】 職場ルポ 事務補助から窯業(ようぎょう)まで、能力を活かし活気ある職場に ―株式会社旭化成アビリティ(宮崎県)― 大手企業の特例子会社では、各自の能力や経験を活かした多様な業務を展開。障がい理解や後方支援を図り、だれもが活き活きと働く職場づくりを目ざす。 (文)豊浦美紀 (写真)官野 貴 取材先データ 株式会社旭化成アビリティ 〒882-0847 宮崎県延岡市旭町2-1-3 TEL 0982-22-2771 FAX 0982-22-2634 Keyword:身体障害、内部障害、知的障害、精神障害、特例子会社、縫製、アビリンピック、農業、窯業 POINT 1 アビリンピックに積極的に参加、意欲向上や顧客開拓のきっかけに 2 「活き活き推進部」を軸に職場理解の拡大や現場の後方支援を図る 3 新規分野に挑戦しつつ、受託スキル向上で旭化成グループの中核を目ざす 全国5営業所で多様な業務  創業100年を超える大手総合化学メーカー「旭化成株式会社」が1985(昭和60)年に設立した特例子会社「株式会社旭化成アビリティ」(以下、「旭化成アビリティ」)は、宮崎県延岡(のべおか)の地で10数人規模からスタートした。いまでは延岡をはじめ水島(岡山県)、大阪、富士(静岡県)、東京の全国5営業所まで拡大し、全従業員は466人、うち障がいのある従業員は372人(身体障がい163人、知的障がい72人、精神障がい137人)まで増えた。旭化成グループ23社をグループ適用した障がい者雇用率は2.37%(2022〈令和4〉年6月1日現在)になるという。  雇用人数の増加とともに業務開拓も進めてきた。グループ会社からの委託をメインに事務補助や図面などのデータ化、メール配送、印刷、各種資格の受験・受講手続き代行、縫製などのほか、農業や窯業(ようぎょう)などにも挑戦している。2018(平成30)年から代表取締役社長を務める押本(おしもと)知行(ともゆき)さんが語る。  「電子化やペーパーレス化が進み、受注内容はどんどん高度になっています。私たちも全体の業務スキルを上げながら、グループ会社の業務の流れの一部分に必須の組織として組み込まれるような中核会社を目ざしています」 全国アビリンピック金賞受賞者輩出の「縫製」  今回は最重要生産拠点として従業員300人近くが在籍する延岡営業所を訪ねた。案内してくれたのは、2009年に旭化成ホームズ株式会社(以下、「旭化成ホームズ」)から異動し、10年にわたり所長を務める工藤(くどう)通洋(みちひろ)さん。「当時の社長から『明るさを大切にしてほしい。暗い上司には相談したくないだろうから』といわれたことを忘れずにいます」と笑いながら明かしてくれた。  延岡営業所の大きな業務の一つが、業務部業務課で担当している「縫製」だ。全国のグループ会社の工場などで働く約6500人分の作業服の受発注とともに、サイズに合わせたすそ上げやネームづけがおもな仕事だが、パソコン運搬用バッグ、小物入れなどの製作も手がける。  ミシン技術は専門の外部指導員が指導し、これまでに全国アビリンピックの金賞受賞者を2人輩出している。その1人が北村(きたむら)重雄(しげお)さん(33歳)だ。特別支援学校を卒業後、木工家具の会社で働いていたが、修理を1人で担当することになり責任の重圧で退職したという。その後、就労移行支援事業所を経て2012年に入社した。半年後に縫製担当になり、すぐにアビリンピックへの挑戦をすすめられ、2016年に2回目の出場となった第36回全国アビリンピックで金賞に輝いた。  「アビリンピックで実力を認められたことで、むずかしい仕事も任されるようになったと思います。バッグの製作を布の裁断から完成まで1人でやり抜いたときは、大きな充実感がありました」  いまはネーム用の刺しゅう機操作を覚えているところだ。  もう1人は炭田(すみた)大介(だいすけ)さん(23歳)。特別支援学校2、3年生時に職場実習に参加し、2017年に入社した。いくつかの業務を経験し、手の器用さを見込まれ縫製担当になった。その年に全国アビリンピックへの出場を果たし、4回目となる2021年の第41回全国アビリンピックで金賞を獲得した。今後の抱負について炭田さんが話す。  「覚えていない操作や不安な部分もありますが、そばで教えてくれる北村先輩を目標に、いずれは1人でも自信を持って縫えるよう上達していきたいです」  旭化成アビリティではアビリンピックへの参加を積極的にうながし、延岡営業所だけでも毎年30人ほどが挑戦する。社長の押本さんは「アビリンピックは個人の能力開発の重要な場ととらえています。社内でも互いに切磋琢磨し、支え合いながら成長できる機会になっていますね」という。工藤さんも「アビリンピックで優秀な成績を収めた者が出ると『関連の仕事を頼めるのではないか』と期待されますし、私たちも顧客開拓のモチベーションにつながります」と話す。 受験・受講手続き代行  延岡営業所では、精神障がいのある従業員も50人以上が在籍し活躍している。その1人、オフィスサービス部オフィスサービス課の木村(きむら)慎太郎(しんたろう)さん(38歳)は2020年に入社した。  「以前は県外に住み、自身の障がいを明かさないクローズド就労でしたが、人間関係などで悩み退職しました。障がい者雇用に力を入れている企業を探し、旭化成アビリティ入社と同時に引っ越してきました」  面接時には自分の特性として「ものごとの段取りや見通しを立てること、円滑なコミュニケーションが苦手」と伝えたそうだ。「いまは職場で配慮してもらえ、よい人たちに囲まれて働きやすいです」と慎太郎さん。  担当は、グループ会社の社員が必要とする各種資格の受験・受講手続き代行業務だ。月平均400件ほどの受験申込みに合わせ、要件の確認や書類の準備などを一手に引き受ける。「いまは自分の業務だけで精いっぱいですが、いずれは職場のだれかをサポートできる立場になりたいと考えています」と語ってくれた。  オフィスサービス課の課長を務める木村(きむら)進二(しんじ)さん(51歳)によると、慎太郎さんはスケジュールを立てることはできるが、実施することを忘れてしまうことがあるため、「慎重な性格の同僚と一緒に進めることでミスを防いでいます。何人かと試し、いまのペアに落ち着きました」という。その同僚には聴覚障がいがある。2人は簡単な会話は口もとで理解し合い、込み入った内容は筆談で十分にできるそうだ。  進二さん自身も障がいがある。20歳のころに交通事故で両足を切断し義足となった。その後は陶芸を仕事にしていたが、加齢とともに力作業への不安を感じ、思い切って旭化成アビリティに転職したという。「さまざまな業務を経験しましたが、体力的に無理のないよう常に配慮してもらえるので安心です」 係長として部下を支える  これまで旭化成アビリティでは、国の制度を活用しトライアル雇用を経たうえで、かなり高い割合の人が正社員となっている。また障がいの有無にかかわらず「同一制度同一処遇(能力や地域性は考慮)」とし、前出の木村進二さんのように管理職登用もある。  情報サービス部情報サービス課の係長を務める山田(やまだ)智恵(ともえ)さん(55歳)は、2011年に入社した。入社前年に腎臓移植を受け内部障がいのある山田さんは、当時の勤務先で唯一の事務員だったため迷惑をかけてはいけないと思い退職。ハローワークの求人で旭化成アビリティを見つけたそうだ。  入社後はデータ入力などを担当していたが、グループ会社の旭化成リフォーム株式会社からの委託業務として建築CADを操作することになった。委託元の社員から教わりながらスキルを身につけ、いまでは過去の間取り図のトレースから現場作業用の図面作成、ビルの鉄骨補強の検討・提案までを手がける。80人近くいる部署の係長として「一人ひとりの個性や特性を仕事に活かしながら自立できるようサポートしています。仕事を通じて自信をつけてもらいたいですね。親のような気持ちです」と語ってくれた。  業務部印刷デザイン課の萩原(はぎわら)千穂(ちほ)さん(49歳)は2015年に入社し、2021年から係長を務める。印刷デザイン課では旭化成ホームズからの委託業務で、図面データを目的別に整理してクラウドにアップロードするほか、製本も手がけている。障がいのある同僚や部下からの相談を受けることも多いそうで、心がけていることを聞いた。  「とくに若い従業員は、ある程度、自分の仕事をこなせるようになると精神的に落ち着いてくる傾向があります。得意不得意がある場合は、まず得意な部分を徹底的に磨き上げることで自信がつき、不得意だったはずのことまで挑戦できるようになります。最初はじっくり見守ることも大事です」  高校生の子どもがいる萩原さんは、同じように子育て中の同僚への配慮も欠かさない。  「参観日は必ず行ってもらいますし、もちろん保育園から電話が来たらすぐに帰します。代わりに、だれが抜けても業務に支障が出ないよう、同じ仕事ができる人を2人以上にしています。私自身も極力残業をしません」  オフィスサービス部事務サービス課で2021年から係長を務める吉田(よしだ)智美(ともみ)さん(49歳)は1996年に入社した。聴覚障がいがあり、補聴器を使って会話をしている。「当時は電話対応できることが採用の要件に入っている会社も多く、就職活動が困難でした。その後障がい者手帳を取得し、家族が教えてくれた旭化成アビリティに入社しました」とふり返る。  吉田さんはグループ会社の給与関連の業務を担当しているが、「課内の一人ひとりの精神的なケアを優先に対応するよう心がけています」と話す。様子を見ながら声かけをするほか、「少し話を聞いてほしい」と相談を受けることも少なくない。「フレンドリーに、忙しくてもまず話を聞く姿勢で、公平な判断を心がけています」という。吉田さんでも解決がむずかしいと思ったときは、「活き活き推進部」に相談している。「障がいや特性の理解、職場での経験も含めてアドバイスがもらえ、とても頼りになる存在」だそうだ。 職場の理解促進と後方支援  「活き活き推進部」の活動は、2009年にできた安全健康推進部で行っていた機能を充実させるため、名称変更などを経て2020年に独立した。  ミッションは「障がいのある人もない人も、活き活きと働くことができる職場環境を実現する」だ。実習から採用、入社3カ月までの個別面談、社内研修やケース検討会、文化祭などのイベントなどを担当している。  管理職への昇進者を対象にした年2回の研修では、障がい種別やハラスメントについて話すが、「専門家がいるわけではないので、みんなで助け合うための心がまえのようなものを共有する場です」と延岡営業所所長の工藤さんはいう。社長の押本さんは、「現場の障がい理解を広げながら、同時に、サポートする側がつぶれないよう後方支援にも力を入れています」と語る。  活き活き推進部の部員は3人。その1人、田口(たぐち)知枝(ともえ)さん(52歳)は、2010年入社で、いまは延岡営業所総務課の係長も兼任している。  「私たちは専門の資格などを持っていなかったため、相談を受けることに不安がありました。新入社員のお世話係のような立場でスタートしました」という。田口さんは以前、精神科病院内の売店で患者に接客した経験があり、自身も腎臓移植による内部障がいや闘病で、いくつもの苦しみや壁を乗り越えてきた。「人生経験を糧(かて)に、アドバイスできることもあるかなと感じています」  個別に相談したいという人のために、周囲にわからないよう時間や場所を決めたりメールなどで応じたりしている。「自分から相談に来れる人は対応することができるのでよいのですが、行動を起こせない人も少なくないので、できるだけ私たちからもアプローチして、『なにかあれば相談しよう』と思ってもらえる存在になりたいですね。そのきっかけづくりも企画しているところです」 新規事業を次々と  障がいのある従業員数は、この10年で約200人から500人超と年平均30人ずつ増えている。押本さんは、「旭化成グループの拡大や法定雇用率引き上げを考慮すると、この先も同様のペースで採用すべき状況です。現在の業務には、需要が先細りするものもあるので業務開拓は欠かせません」という。そこで新たにスタートした3事業を紹介したい。 【農業】2016年に社内プロジェクトを立ち上げ、2019年に農業推進課が発足。「以前から行っていた工場敷地内の花壇管理で、購入していた苗を栽培してみようと始まりました」と工藤さん。延岡市内の農地20アールほどを借り、農業大学卒業者や農業経験のある従業員4人と障がいのある従業員4人が、農家の指導も受けながらナスなどの野菜や花苗を育てている。収穫野菜は月500sほどで、地元の卸売市場や直売所で販売。工藤さんは「自分たちの手で育てあげて商品として売り出す達成感は大きいですね。まだ試行錯誤の段階ですが、休耕地を活かしながら拡大し、別部署のみなさんが収穫の応援に来られるようになれば楽しみも増えます」と意欲的だ。 【窯業】手先を使ったものづくりが向いている従業員のために考案。ろくろなどを使わずにできる小皿や箸(はし)置きなどを電気窯で製作している。グループ会社の営業用にと売り込んだが、手ごたえがなく販路開拓に悩んでいたところ、窯業に人脈のあるオフィスサービス課課長の木村進二さんの紹介で、神社の「かわらけ投げ」(素焼きの皿などを投げる願かけ)に使う小皿を手がけることになった。  いまは月3〜4千枚の小皿を6人体制でつくっている。その一人、山田(やまだ)太一(たいち)さん(22歳)は、特別支援学校での職場実習を経て2017年に入社。作業服の洗濯や部品洗浄の業務などを行っていたが、窯業スタートと同時に担当になった。仕事内容について聞くと「すごく楽しいです。やりがいを感じます」と即答してくれた。山田さんは手先の器用さが認められ、今年の地方アビリンピック宮崎大会の縫製に初挑戦し、金賞を受賞した。 【コーヒー豆加工】専門業者に依頼した旭化成アビリティ専用の焙煎(ばいせん)豆を使い、ミル作業からドリップパック加工、袋詰めまで1日200袋を手がける。グループ会社の社名入りデザインラベルを貼り、ノベルティグッズとして使ってもらうそうだ。「一度注文してくれたグループ会社から好評で、少しずつ販路拡大中です」と工藤さん。  窯業とコーヒー豆加工は、営業所から車で5分ほどの作業所で行われている。洗濯やシュレッダー業務も含め、障がいのある従業員16人で柔軟に担当を変えながら進めている。 コロナ禍をきっかけに  旭化成アビリティではコロナ禍でも感染防止対策を十分に行ったうえで原則、在宅勤務を導入しなかった。「感染者はごく少数にとどまりクラスターもありませんでした」と工藤さん。  「基礎疾患などのある人について職場全体がよく理解し、各自が感染予防に努力してくれていました。いろいろな人がいる職場での、互いの理解と支え合いの企業文化は大事だなと実感しています」  一方で、東京をはじめとする都市部にあるグループ会社では在宅勤務が増えたことから、代わりに請求書や伝票の発行処理業務を旭化成アビリティが請け負うことになり、それが大きな一歩になったという。  今後は延岡営業所をマザー機能の拠点に、同じ業務を複数の営業所で行えるよう移管作業も進めている。押本さんが話す。  「5営業所が連携して、緊急時のバックアップも含め、グループ会社からいつでも安心して業務を委託してもらえる体制を整えているところです」 「10年後のありたい姿に向けて」  旭化成アビリティは2019年、2028年度ゴールの経営目標「10年後のありたい姿に向けて」を策定した。押本さんが説明する。  「もともと3年ごとの計画も立てていましたが、短いですよね。毎月の経営会議でも目先の数字の話になりがちでした。むしろ『10年先にどんな状態だったらよいか』を視野に、そこから3年ごとの目標を考えてみる。すると私たちもワクワクしながら、多少の冒険もできるのではないかと思います」  こうして決まったゴールが「社員一人ひとりが夢と誇りを持ち、アビリティを取り巻く全ての人達と共にハッピーになろう」だ。あるべき姿と現状とのギャップを議論しながら、人・仕事・組織・文化・認知・支援・売上の7項目で四つずつ、計28個の目標をつくった。  旭化成アビリティの今後について、押本さんは次のように語ってくれた。  「厚生労働省が力を入れている障がい者雇用の『質の向上』は、私たちも同感です。本来はグループ全体で追求すべきですが、まず旭化成アビリティとして、引き続き挑戦し続け実績を重ねていくつもりです。障がいのある人もない人も同じ職場で働きながら、結果としてチームの仕事の質を上げる。それが一人ひとりの活躍の場も広げ、グループ会社や社会に貢献しながら、自己効力感を高められる環境をつくっていくことにつながるのだと考えています」 ★本誌では通常「障害」と表記しますが、株式会社旭化成アビリティ様のご希望により「障がい」としています 写真のキャプション 代表取締役社長の押本知行さん 延岡営業所所長の工藤通洋さん 業務部業務課で縫製作業を担当する北村重雄さん(左)と炭田大介さん(右) オフィスサービス課課長の木村進二さん(左)と木村慎太郎さん(右) パソコン運搬用バッグを縫製する炭田さん 作業服のすそ上げを行う北村さん 慎太郎さんは、資格試験などの手続きを担当している 事務サービス課係長の吉田智美さん 印刷デザイン課係長の萩原千穂さん 山田さんは、建築用CADでトレースや製図を担当している 情報サービス課係長の山田智恵さん 吉田さん(中央)は課員の精神的なケアもになっている 農地でのナス収穫作業(写真提供:株式会社旭化成アビリティ) 部員と打ち合わせを行う田口さん(中央) 活き活き推進部、総務課係長兼任の田口知枝さん ドリップパックの袋詰め作業 粘土板を切り出す山田太一さん 小皿の成形作業の様子 【P10-11】 クローズアップ 職場内の支援体制の課題と対応 第2回 〜社内全体の支援体制づくり〜  障害のある社員が働きやすく定着しやすい職場となるためには、社内全体の支援体制づくりがポイントとなります。当連載の第2回は、「SGフィルダー株式会社」の取組みを取材。全国にある拠点に対し、本社の担当部署がさまざまなサポートをすることで、障害者雇用の成果をあげている同社の事例を紹介します。監修:中央障害者雇用情報センター(★) 【取材先プロフィール】 SGフィルダー株式会社(東京都江東区) ◆事業内容 労働者派遣事業、有料職業紹介事業、アウトソーシング事業など ◆従業員数(2022 年9 月30 日現在) 正社員 1265 人 パートナー社員 1万8282人(うち障害のある社員305人:身体133人、精神・発達78人、知的94人) ◆実績 ・2021年「大阪府障がい者サポートカンパニー優良企業」 ・2022年「SGホールディングスグループダイバーシティアワード2021(※)」グランプリ など ※SGホールディングスグループの各社が、多様な人材が活躍するための取組みや、D&I推進を加速させたポイントをプレゼンテーションし、業績向上や風土改革に貢献したチームを表彰するイベント。障害者雇用に関する取組みが評価されて受賞した。 専門チーム「D&I推進課」  佐川急便株式会社を中核としたSGホールディングスグループの一員として、物流に特化した人材サービスを展開している「SGフィルダー株式会社」。パートナー社員と呼ぶ契約社員が1万8282人(2022〈令和4〉年9月30日現在)在籍し、おもに、全国で200カ所以上ある佐川急便の物流拠点における仕分けなどの軽作業を請け負っています。  同社では2021年に、障害のある従業員だけではなく、女性や高齢者の活躍推進、LGBTQの受入れ・理解促進など、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を推進するための専門のチームとして、人事部に「D&I推進課」を設置。障害者雇用促進の取組みとしては、社内全体の意識の向上に向けた勉強会の企画や運営などを行っています。 「D&I推進課」が中心となり障害者雇用促進をバックアップ  D&I推進課係長の香川(かがわ)朋美(ともみ)さんは、次のように話します。  「障害者雇用に力を入れるようになった時期は、D&I推進課が設置される前の2018(平成30)年までさかのぼります。2011年の創業からそれまでは、事業の拡大にともない障害のある従業員の人数が増えていたものの、拠点ごとの対応だったため、社内全体で統率がとれず、法定雇用率にもあと少しのところで届かない状況が続いていました。その状況を打開するため、まずは2018年に人事部の主導で各拠点での業務を整理し、障害のある従業員に適した『業務の切り出し』に取り組むなど、物理的な環境を整備しました。物流の拠点というと、労働環境として危険な場所もあり、一般的には障害のある人に適した業務が少ないのではないかというイメージがあると思います。しかし、一つひとつの環境や業務内容をあらためて見ていくと、安全性の確保などに配慮したうえで、障害のある従業員が従事できる業務が多数あることがわかりました」  同時に、障害のある従業員の就業をサポートするため、200カ所以上の拠点それぞれに、業務などの相談窓口となる「障がい者担当」という担当者を配置しました。このような取組みが成果をあげ、聴覚障害のある人や知的障害のある人をはじめ、障害のある従業員を雇用しやすい環境になり、2019年には法定雇用率を達成しました。香川さんは、  「一方で、障害のある従業員の人数が増えるにつれ、現場から、『障害のある従業員にどのように接したらよいかがわからない』という声があがるなど、新たな問題が生じました。また、『障がい者担当』に対しても、人事部による勉強会を一度開いたのみで、その後のフォローが不十分だったことや、異動による人の入れ替わりもあり、時間の経過とともにうまく機能しなくなっていきました。このような経緯があり、2021年に、本社内に各拠点をバックアップする『D&I推進課』が設置されました。D&I推進課では、障害のある人を雇用する環境整備だけではなく、仲間の一員として長く働き続けてもらうことを目ざして、『障がい者担当』をはじめ、従業員の理解を促進する取組みに注力しています。また、ダイバーシティ&インクルージョンの専任のチームであるため、以前よりも細やかなバックアップができるようにもなりました」といいます。 勉強会や「Q&Aブック」で社内全体の理解を底上げ  D&I推進課がまず初めに取り組んだのは、各拠点に配置された「障がい者担当」の立て直しのための勉強会です。オンラインで全国の拠点をつないで、「障害者雇用に関する基礎的な知識」や「障害別の一般的な配慮のポイント」などについてレクチャーしました。基礎的な内容の講座で一通りの知識を得てもらった後は、障害のある従業員に接するなかでの困りごとをアンケートで集め、Q&A形式で再度勉強会を開催。そして、「Q.必要以上に保護的な接し方にならないようにするにはどうすればよいか?」「A.仲間として受けとめ、成長させようと考えましょう」など、寄せられた質問に対して回答する『障がい者雇用Q&Aブック』として冊子にまとめました。  「『障がい者担当』は、通常の業務を担当しながらその役割をになっており、障害者との働き方・かかわり方について特別な知識や経験のない者がほとんどです。試行錯誤しながら障害のある従業員と向き合っています。『周囲の理解が得られにくい』などの悩みには、『職場全体でプラスの効果があることを理解してもらったうえで、自然体で取り組んでいきましょう』というように、一つひとつの悩みにていねいに答える内容としました」と、香川さん。 知識や経験の体系化が今後の課題  現在は、「障がい者担当」が代わったときに、必ず勉強会の録画を見てもらうことで、その役割への理解を深めてもらっています。またSGホールディングスグループ全体でD&I推進に取り組むための『わくわくダイバーシティ委員会』を、SGフィルダー株式会社ではD&I推進課が事務局となり、月に1回ほど開催しています。この委員会には各拠点の「障がい者担当」も参加し、障害のある従業員への接し方などについての意見交換の場としています。  「全国の拠点のなかには、障害者雇用がうまくいっている拠点もあれば、あまり進んでいない拠点もあり、まだばらつきがあります。しかし、私たちD&I推進課で質問や困りごとなどの相談の声を集約するなど、体制を整えたことで、障害者雇用に取り組む社内の意識が少しずつ高まってきているのを感じます。障害者雇用がうまくいっている拠点では、合理的配慮などに上手に取り組んでいる様子が見られます。事業所内では自分たちの取組みの価値に気づいていないことでも、ほかの事業所で役立てられることが多くあります。今後はそれらを、だれにでもわかりやすく、使いやすい形で言語化したり体系化したりして、水平展開をすることに力を入れていきたいです」と、香川さんは語ってくれました。 ★中央障害者雇用情報センター 今号32ページ「掲示板」でご紹介しています。https://www.jeed.go.jp/disability/employer/employer05 <参考>「はじめての障害者雇用〜事業主のためのQ&A〜」ウェブコンテンツ版 「Q 障害者雇用に関する社内の支援体制はどのようにしたらよいでしょうか?」 https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/q2k4vk000003krmk.html 「Q 採用決定後、社内で行うことについて教えてください。」 https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/q2k4vk000003kszb.html 写真のキャプション 人事部D&I推進課係長の香川朋美さん。臨床心理士、公認心理師、産業カウンセラー、企業在籍型ジョブコーチの資格を持つ 「障がい者担当」育成のための勉強会の資料として作成された『障がい者雇用ガイドブック』と『障がい者雇用Q&Aブック』 『障がい者雇用Q&Aブック』の内容例 【P12-14】 JEED インフォメーション 〜高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)からのお知らせ〜 障害者雇用を進める事業主のみなさまへ 就労支援機器をご活用ください! 当機構の中央障害者雇用情報センターでは、障害者を雇用している、または雇用しようとしているみなさまに無料で就労支援機器の貸出しを行っています。 「就労支援機器」とは障害者の就労を容易にするための機器のことで、例えば視覚障害者を対象とした拡大読書器や、聴覚障害者を対象とした補聴システム(集音システム)といったものがあります。 拡大読書器 ●書類や写真などを拡大表示する機器です。 ●コントラストや色調の変更も可能なためより見やすく調整することができます。 ●卓上型、携帯型など活用シーンに合わせて選択できます。 補聴システム(集音システム) 受信機 マイク送信機 ●マイク(送信機)が拾った音を直接、補聴器や人工内耳に届けるシステムです。 ●聞きたい音を大きくできるので就労のあらゆる場面で有効に使用できます。 ノイズキャンセラー パーテーション ●視覚的・聴覚的な刺激を低減させることで、周囲の状況に影響されずに集中できる環境を整えます。 ▲上記は一例です 貸出しの対象となる事業主 障害者を雇用している、または雇用しようとしている事業主など ※国、地方公共団体、独立行政法人などは対象外です 貸出し期間 原則、6カ月以内 ※職場実習やトライアル雇用の場合も利用できます 貸出しの流れ 申請書の提出 申請書を記入し、メールまたは郵送でご提出ください ※申請書は当機構ホームページよりダウンロードできます 貸出し決定 申請のあった事業主に対し、決定内容を通知し、機器を配送します 貸出しの終了・回収 当機構が契約している業者が回収にうかがいます お問合せ 中央障害者雇用情報センター 〒130-0022 東京都墨田区江東橋2-19-12 ハローワーク墨田5階 TEL:03-5638-2792 E-mail:kiki@jeed.go.jp 就労支援機器を常設にて展示しているほか、導入に関する相談を行っています 就労支援機器は当機構ホームページで詳しくご紹介しています https://www.kiki.jeed.go.jp/ 就労支援機器のページ 検索 障害者雇用のためのマニュアル・好事例集などのごあんない  当機構ホームページでご覧いただけます。また、ダウンロードにより全文もしくは必要箇所を印刷することも可能です。ぜひご活用ください。 NIVR マニュアル 事業主 検索 https://www.nivr.jeed.go.jp/manual.html QR コードはこちら 基本的 一般的 個別的 応用的 はじめての障害者雇用 〜事業主のためのQ&A〜  障害者雇用を進めるにあたって直面する職務の選定や労働条件の検討、職場環境の整備などに不安や悩みを抱える企業の方に向けて、具体的な方策や関連情報をQ&A形式で解説。 障害者雇用マニュアル コミック版1〜6  具体的な雇用事例や障害者雇用に関する問題点を解消するためのノウハウを障害別(視覚、知的、聴覚、精神、発達、高次脳機能障害)にコミック形式で紹介。 障害者の雇用ノウハウに関する動画・DVD  障害者雇用を積極的に進めている企業の取組みや雇用管理などに関するさまざまなノウハウを動画でわかりやすく解説。DVDを無料で貸出し。 障害者雇用があまり進んでいない業種における雇用事例  障害者雇用があまり進んでいない業種に着目し、主に中小企業における雇用事例を掲載。経営者の声や障害者雇用のメリット、職場定着などを紹介。 職場改善好事例集  障害者の雇用管理や雇用形態、 職場環境、職域開発などについて、事業所が創意工夫を重ねて実践している取組みをテーマ別にまとめたもの。 令和2年度の募集事例は当機構ホームページ「障害者の労働安全衛生対策」で紹介しています。 QRコードはこちら お問合せ 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 雇用開発推進部 雇用開発課 TEL:043-297-9513 FAX:043-297-9547 「障害者雇用事例リファレンスサービス」を活用して本誌「働く広場」の掲載記事が探せます! 障害者雇用を進めたいけれど、ほかの企業ではどんな取組みをしているんだろう? 「障害者雇用事例リファレンスサービス」をご活用ください! 障害者雇用事例リファレンスサービスとは  障害者雇用について創意工夫を行い、積極的に取り組んでいる企業の事例や、合理的配慮の提供に関する事例を紹介する当機構のウェブサイトです。 https://www.ref.jeed.go.jp/ アクセスはこちら! ※カメラで読み取ったQRコードのリンク先がhttps://www.ref.jeed.go.jp/であることを確認のうえアクセスしてください。 「働く広場」掲載記事の検索 「障害者雇用事例リファレンスサービス」では、「働く広場」に掲載した「職場ルポ」、「編集委員が行く」の掲載記事 (※)を検索・閲覧することができます。※掲載企業から、同サイトへの掲載許可が得られた記事に限ります。 検索方法 1 「働く広場」の記事検索をする場合は、「モデル事例」をチェックしてください。 2 検索条件で、「働く広場」にチェックし、「業種」「障害種別」「従業員規模」「フリーワード」等の条件を設定して検索ボタンをクリックすることで、探したい記事をピックアップできます。 3 クリックすると、該当企業の事例ページが表示されます。 4 該当記事のPDFファイルまたはデジタルブック※にアクセスできます。 ※2022年度掲載記事からデジタルブックで提供しています。 当機構ホームページでも記事検索ができます! 「働く広場」の掲載記事については、「障害者雇用事例リファレンスサービス」で検索できるほか、当機構ホームページにて、バックナンバー(過去4年分)の記事索引の閲覧や、「グラビア」、「クローズアップ」などのコーナーも記事検索ができます。どうぞご利用ください。 記事索引画面 ■「働く広場」に関するお問合せ 企画部 情報公開広報課 TEL:043-213-6200 FAX:043-213-6556 E-mail:hiroba@jeed.go.jp ■「障害者雇用事例リファレンスサービス」に関するお問合せ 雇用開発推進部 雇用開発課 TEL:043-297-9513 FAX:043-297-9547 E-mail:ref@jeed.go.jp 【P15-18】 グラビア 当事者目線で映像コンテンツをつくる 株式会社TBSスパークル(東京都) 東京障害者職業センター 上野本所(東京都) 取材先データ 株式会社TBSスパークル 〒107-8002 東京都港区赤坂5-3-6 https://www.tbssparkle.co.jp/ 東京障害者職業センター 上野本所 〒110-0015 東京都台東区東上野4-27-3 上野トーセイビル3F TEL 03-6673-3938 FAX 03-6673-3948 写真・文:官野 貴  ドラマやバラエティ、ニュースなどの番組制作を手がける「株式会社TBSスパークル」(以下、「TBSスパークル」)は、2019(平成31)年、旧グループ会社11社を吸収合併し、企業規模が急激に拡大したため障害者の雇用が急務となった。そこで同社では、当機構が運営する「東京障害者職業センター」に協力を依頼。職場適応援助者(ジョブコーチ)による定着支援や業務の切り出しなどのサポートを受け、雇用の拡大を図った。  現在、TBSスパークルでは、障害のある社員21人が活躍しており、ろう者の那須(なす)元紀(もとき)さん(24歳)も、その一人だ。那須さんは、大学で健聴者と一緒に映像表現を学び、2020(令和2)年、新卒採用として同社に入社。現在は人事部において、定年退職式のチーフを務めており、過去には情報番組お天気コーナーの手話アドバイザーなどを担当した。また、社内向けSNSで配信される映像コンテンツで、手話講座や聴覚障害者の取組みを伝える「手話スタ!」の制作を担当しており、この日の収録では、デフリンピック選手の山田(やまだ)真樹(まき)さんの活動を伝えた。那須さんは今後、「当事者目線でマイノリティとマジョリティの差を埋める映像コンテンツをつくっていくことが目標」だと話す。  TBSスパークルでは、当機構の障害者雇用支援人材ネットワーク事業「障害者雇用管理サポーター」(※)から、聴覚障害者の雇用管理に関する助言を受けている。また、東京障害者職業センターで開催された企業担当者を対象とする「雇用管理サポート講習会」に、人事担当者が講師として登壇し、取組みの紹介などを行った。この講習会は、企業の障害者雇用の担当者などを対象に定期的に開催されており、先行企業の実例を知り、参加企業同士が情報交換できる場となっている。 ※詳しくは当機構ホームページをご覧ください https://shienjinzai.jeed.go.jp 写真のキャプション TBSスパークル 毎月、月末に定年退職式が行われる。そこで交付される辞令を印刷する那須元紀さん 障害者雇用管理サポーター(左)とのカウンセリングの様子 社内でのコミュニケーションは、ブギーボードでの筆談やチャットアプリが活用されている 「手話スタ!」の収録風景。那須さんは、ディレクターとして企画や撮影、編集など映像制作を取り仕切る 撮影現場でのコミュニケーションには、スマートフォンの音声認識文字化アプリが活躍する カメラマンと相談しアングルを決める。那須さんは、進行役として出演しつつ、ディレクションをこなす 自らカメラを構えて、デフリンピック選手の山田真樹さんのトレーニングを撮影 東京障害者職業センターの事業主支援担当のカウンセラー(左)が、TBSスパークルを訪問し人事担当者と面談 東京障害者職業センターでは、障害のある人や障害者雇用に取り組む事業主の方に対し、支援やサービスを提供している 東京障害者職業センター 上野本所 東京障害者職業センターは、全国初の障害者職業センターとして開所し、今年50周年を迎えた 企業担当者を対象とする雇用管理サポート講習会の様子。「はじめての障害者雇用」、「採用面接と合理的配慮」などをテーマにセミナーが開かれている 東京障害者職業センターの「職業準備支援室」。実務作業を再現し、課題への対処方法などを検討する 今号33ページで全国の障害者職業センター一覧を掲載しています。ご活用ください 【P19】 エッセイ 第2回 発達障害と就労 〜企業の雇用管理力をサポートする(1)〜 特定非営利活動法人クロスジョブ クロスジョブ堺 副所長 砂川双葉 砂川双葉(すながわ ふたば) 特定非営利活動法人クロスジョブ クロスジョブ堺・副所長。社会福祉士、介護福祉士。2013(平成25)年、特定非営利活動法人クロスジョブに入社。就労支援員としておもに発達障害のある人の支援、障害雇用を行う企業の支援を行う。2021(令和3)年、当機構の第29回職業リハビリテーション研究・実践発表会で、就労移行支援事業所におけるASD者のアセスメントと支援についての実践報告を発表している。 障害者の就労ニーズの多様化と雇用情勢の加速  2022(令和4)年の6月に、厚生労働省が障害者雇用促進法に基づき企業などに義務づけている法定雇用率に関連し、週の労働時間が10時間以上20時間未満の障害者を1人雇用した場合の実績を0.5人として算定する方針を固めたという報道があった(※1)。いままでは週20時間以上働くことができるかが障害者雇用枠で働く境界線だったため、働き方の選択肢が広がることは障害のある求職者の今後のチャレンジを後押しすることになると思われる。  民間企業の積極的な障害者雇用の増加を評価する一方、「障害者が能力を発揮して活躍することよりも、雇用率の達成に向けて数の確保≠優先するような動きもみられる」との指摘もある(※2)。障害者雇用を通じて実現させたいことは、障害のある人が就労を通じて豊かな人生を送ることと、多様性のある人材のマネジメントを通じて企業が組織力を高めることだろう。こうした使命を果たすためには障害者雇用の質の向上が必須であり、そのための企業側への支援について、2回に分けて考える。 事例から見る在職障害者の就労支援  特定非営利活動法人クロスジョブ(就労移行支援事業所)では、2018(平成30)年〜2019年の2年間、「大阪府障がい者委託訓練事業(障がい者の多様なニーズに対応した委託訓練)」に参画した。訓練の対象者は、民間企業に在籍している障害者手帳を所持する社員で、申込みの主体者は企業担当者だ。依頼内容は「書類選考や面接でのイメージと作業遂行の状態に乖離(かいり)がある」、「在職中に高次脳機能障害になり、今後の業務を検討するうえで相談に乗ってほしい」などだった(※3)。  実施方法は、訓練の対象者にクロスジョブの就労移行支援プログラムに約2週間通所してもらい、作業体験(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が開発したOA作業、事務作業、実務作業に大別された評価・支援ツール「ワークサンプル幕張版」を使用)や、定期面談を通じてアセスメント、ふり返り、本人の仕事に対する思いなどを聞き取りながら自己理解の支援を行い、その内容を企業担当者に共有することで、今後の支援体制について助言した。  初めて障害者を雇用した企業からは、「対象の社員が指示内容を忘れることが多く、教えられていないと嘘をつく。自分の書いたメモの内容を理解して作業ができない」との相談があり、配属先のキーパーソンが疲弊している状態だった。その対象者には身体障害があり、支援機関には所属せず単独で就職、また複数の離職経歴があった。訓練開始後、対象者にヒアリングを行ったところ「複数の指示のメモ取りが追いつかず、後半部分を忘れてしまう。メモを見返したときにどの指示に対する内容かを整理できなかった。年齢的に『わかりません』ということにとまどいがある」とのことであった。また、作業の行動観察を行うとマイルールで行動することや人との距離の近さなど発達具合の不均衡さも見られ、訓練ではメモ取り練習や暗黙のルールを見える化≠キることで、職場における適切・不適切行為の理解支援を実施した。訓練の内容、本人の気づきについてはその都度、企業担当者に報告を行い、人事担当者や配属先の従業員にも参加してもらうミーティングを複数回実施した。 企業には工夫して情報共有  企業への報告では、この対象者は身体障害だけでなく、発達障害の傾向が見られることを共有し、本人が理解しやすい指示の出し方(指示の量、話すスピード、視覚情報の使用、指示を出す環境の設定)の助言を行い、作業進捗の定期報告を行うことでつまずきが生じても早期に対応できる仕組みをつくった。また、職場内の具体的なルールを提示したうえで、本人もほかの従業員も過ごしやすい職場づくりの提案を行っている。  次回は、現場の受入れ体制について考えます。 ※1 福祉新聞(2022年6月28日付) ※2 厚生労働省:第121回労働政策審議会障害者雇用分科会(資料) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26270.html  配布資料全体版 https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/000952203.pdf ※3 砂川双葉:第27回職業リハビリテーション研究・実践発表会発表論文  「在職障害者の就労支援〜『大阪府障がい者委託訓練(在職者訓練)』から考える職業準備性と企業の雇用管理」  http://www.crossjob.or.jp/common/uploads/2019/12/74f46916171bb385dad530d2d9b75838_f8671fd4ff 3d3bc735b4f47656b7ef9d.pdf 【P20-25】 編集委員が行く SPIS(エスピス)(Web日報システム)を通じ対話を深め、戦力化する 日東精工株式会社(京都府)、京都障害者雇用企業サポートセンター(京都府)、日東精工SWIMMY株式会社(京都府)、一般社団法人SPIS研究所(東京都) NPO法人大阪精神障害者就労支援ネットワーク 副理事・統括施設長 金塚たかし 取材先データ 日東精工株式会社 (本社) 〒623-0054 京都府綾部市井倉町梅ヶ畑20番地 TEL 0773-42-3111(代表) FAX 0773-42-8426 (城山工場) 〒623-0003 京都府綾部市城山町2番地 TEL 0773-43-1550 FAX 0773-43-1554 京都障害者雇用企業サポートセンター 〒601-8047 京都府京都市南区東九条下殿田町70 京都テルサ内 TEL 075-682-8928 FAX 075-682-8944 日東精工SWIMMY株式会社 〒623-0054 京都府綾部市井倉町梅ヶ畑20番地 TEL 0773-42-3111(日東精工株式会社代表電話) FAX 0773-42-8426 一般社団法人SPIS研究所 〒150-0011 東京都渋谷区東2-22-10 メディアパーク八島ビル2F TEL 03-6427-7717 FAX 03-5778-4138 編集委員から  SPIS(Web日報システム)というコミュニケーションツールを使い、「対話」を重視した障害者雇用と外部支援者のアドバイスにより、障害者雇用の価値に変化が現れたという現場がある。障害のある社員をビジネスにおいて「戦力化」していく過程で、担当者も一緒に変化していく姿をご紹介したい。 写真:官野 貴 Keyword:SPIS、精神障害、発達障害、就労定着、外部支援員、コミュニケーション POINT 1 京都障害者雇用企業サポートセンターからのアドバイスに衝撃を受ける 2 SPISを用いて職場担当者も当事者も本音をいい合えるようになり、壁がなくなっていく 3 SPISを障害者雇用だけでなく、新入社員やメンタル不調者にも導入 はじめに  「SPIS(エスピス)」は、「Supporting People to Improve Stability」の略称で、Webシステムを利用して精神障害や発達障害のある従業員、職場担当者、外部支援者である相談員の三者が連携する支援プラットフォームだ。障害のある従業員の職場での気分や体調、仕事やほかの人とのかかわりを、当事者だけでなく、職場担当者や外部支援者も毎日簡単にチェックすることができる。  今回、紹介する企業は、そのSPISを活用して障害者雇用を進めている京都府北部の自然豊かな綾部市にある日東精工株式会社(以下、「日東精工」)。新入社員のほかメンタル不調の従業員にもSPISの活用を検討されている。外部支援者のアドバイスやSPISによって担当者の考え方が変わったことで、会社になじめず退職を考えていた当事者が、いまでは貴重な戦力として働いている現状を取材した。  まずは障害のある社員、内藤(ないとう)清章(きよあき)さんが勤務する日東精工の城山(しろやま)工場にて、執行役員の桐村(きりむら)和也(かずや)さん、購買課課長の浜田(はまだ)光二(こうじ)さん、組立課係長の迫田(さこだ)麻美(まみ)さんにお話をうかがった。また、障害者の雇用管理についてアドバイスをされている、京都障害者雇用企業サポートセンター実践アドバイザーの谷垣(たにがき)信也(しんや)さんにも同席いただいた。谷垣さんと同社の出会いは2018(平成30)年9月に社内で開催した「管理監督者向け障害者雇用セミナー」。浜田さんと迫田さんが参加し、講師だった谷垣さんのお話を聴いたことがきっかけだったそうだ。その後、迫田さんから谷垣さんにアプローチをして、アドバイスを受けるようになったとのこと。  日東精工の城山工場における業務内容は、大きく分けて二つ。一つめは、ねじ締め機やねじ締めロボット、ドライバやねじ供給機など、締結関連部品の開発・設計・製造。二つめは、自動組立ラインの設計・製造。  そして今回お話をうかがった内藤さんが従事しているのは、ねじ締めドライバの製造だ。専任の作業者として、現在はピッキングや組立、検査、出荷調整までの一連の作業を一人で担当している。 当事者に対する遠慮があり接し方がわからなかった  障害のある社員と働くうえで、迫田さんは「当事者とともに働くメンバーとの関係性をとても大切にしています」と話してくださった。実は谷垣さんと出会い、アドバイスをもらう前は、試行錯誤の連続でとても悩んでおり、「私を含め、内藤さんに対する遠慮があり、接し方がわからないという従業員が多かった」そうだ。  「谷垣さんに教えていただいたことは、一人ひとりの特徴に合わせた仕事づくりや、光や音など職場の環境を配慮し改善を図ること。また、レベルに応じた能力開発を行い、現時点よりも少し難易度の高い業務にチャレンジしてもらうことで、内藤さんの向き不向きの業務が具体的に理解できるようになりました」と迫田さんは話す。  迫田さんと一緒に谷垣さんのセミナーを受けた浜田さんは、「迫田さんは、終始うなって首をひねりながらセミナーを聴いていました。自分の接し方とあまりにも差がありすぎる、と。最後に質問の時間があり、手をあげたことがきっかけとなり、谷垣さんが気にかけてくださるようになりました」とふり返る。また、浜田さん自身も内藤さんとのコミュニケーションを通じて人の見方に変化があったと語ってくれた。 「ほかに何ができるか」「戦力になってもらおう」  谷垣さんは当時の職場の様子を、「内藤さん自身が感じている障害特性と、周りの方から見た特性にズレがあるように感じました。そこで、『現在の内藤さんの状況を冷静に見て判断し、対応方法を考えましょう』とお伝えしました。また、他社の担当者と比べると、迫田さんと浜田さんは『できることはすべて取り組もう』と、躊躇なく積極的に臨まれる姿が印象的でした」と話してくださった。  こういったお二人の姿勢が功を奏し、内藤さんとの関係に変化が出てきたそうだ。また、谷垣さんは定期的に日東精工を訪れ、アドバイスを続けた。  「谷垣さんは私たちがいままで行っていたことや感じていたことと、まったく違う新しい世界を教えてくれました」と、浜田さんはいう。それまでは、「これぐらいまでならできるだろう」という作業しか、内藤さんには任せていなかったそうだ。「ほかに何ができるか」や「戦力になってもらおう」とは、考えたこともなかったとのこと。  障害のある社員が就労継続するための一つのポイントがこのエピソードにあると考える。合理的配慮のみならず、最高のパフォーマンスを発揮して戦力化するためにどうするのかを考えることが必要なのだ。 自分の気持ちをいってもいいとわかった  お二人の当時のエピソードを聞いて、当事者の内藤さんはどのように感じたのか。「入社する前から、『健常者と障害者の壁があるなぁ』ということは感じていました。『発達障害のある人はこうだ、こう接するべきだ』というように断言されているような気がしていました。しかし、いまはその壁がなくなりました」と、内藤さんはふり返る。  壁は一体どのように取り払われたのか。内藤さんは「SPISを導入してから、『リアルSPIS』と呼ばれる、実際に会って面談する機会も設けられるようになりました。そこで浜田さんと迫田さんの本音を聞くことができて、壁が少しずつなくなっていきました」という。  浜田さんは、SPISを導入する際に内藤さんに「これからは戦力として活躍してもらいたい」と話したことを覚えているそうだ。そして、「最終目的は内藤さんに実力をつけてもらい、賃金を上げることだ」と明言した。  一方、内藤さんにより近い立場で接していた迫田さんは、障害者雇用に関する知識を深めるため、社外のセミナーに積極的に参加するようになった。そして他社の障害者雇用の取組みについて学び、多くの方と交流を始めていくなかで「内藤さんといままで全然本心≠ナかかわれていなかった」と感じたそうだ。特に「自分の気持ちを内藤さんに伝えてみたらどうか」とアドバイスをもらったことは印象的だったようで、「いっても大丈夫なんだ、ぶつかってもいいんだと思えた」とふり返る。 SPISを通して当事者と深くかかわりたい  ところで、お二人はどのようにしてSPISに出会ったのか。  さまざまなセミナーに参加していた迫田さんは、2019年2月、京都府舞鶴市で開催された「舞鶴市障害者雇用支援シンポジウム」で、すでにSPISを導入している企業の体験発表を聴いた。「ある大手企業がSPISについて発表されていて、すごく楽しそうだなと感じました。これは内藤さんと深くかかわることのできるツールだと直感し、ぜひ利用してみたいと思い、谷垣さんに相談したところ、京都府のモデル事業に誘っていただきました」  当事者の内藤さんは、迫田さんから「SPISをやってみませんか?」と誘われたとき、どのように感じたのだろうか。  「どういうものなのかなと疑問がありました。『やってみよう』と強く決意して始めたわけではなく『とりあえずやってみるか』という感じでした。その後、一般社団法人SPIS研究所(以下、「SPIS研究所」)理事長の宇田(うだ)亮一(りょういち)さんと、外部支援員の灘友(なだとも)千紘(ちひろ)さんが来てくださり、説明を聞き、2019(令和元)年6月からスタートしました」  それから約3年。続いているのには理由がある。「趣味のことを話せたり、人間関係に困ったときにアドバイスをもらえることがとても助かっています。迫田さんや、SPIS研究所の外部支援員である灘友さんを中心に、浜田さんもたまに返信してくださいます」  SPISを始めてみて、迫田さんは「コミュニケーションが深まりました。社内では聞くことができなかった内藤さんの本当の気持ちや、職場での人間関係の悩みを知ることができ、面談の場をつくったり、上司に相談することができるようになりました。困ったことがあったときに発信してもらえると、こちらもすぐに動けます」と、そのメリットを力説する。  コメントのやり取りのみならず、コロナ禍前は月に一度は、実際に会って行う『リアルSPIS』と呼ばれる面談を実施。参加者は、灘友さん・谷垣さん・浜田さん・迫田さん・内藤さんに加え、人事担当者も一名参加。まずは内藤さんと灘友さんの二人で面談し、その後に迫田さんが入って三者面談。最後に内藤さん以外の支援者だけで現状報告やアドバイスをもらっているそう。いまは3カ月に一回ほど開催し、会社への訪問がむずかしいときはオンラインツールを活用して、内藤さんが続けたいと希望するかぎり、今後もリアルSPISは続けていくとのこと。 仕事の量よりも質が格段に上がった  18歳で入社して7年、内藤さんの仕事の幅は大きく広がった。「当初は製造の作業と、書類をデータ化するという作業の2種類だけでした。その後、特殊なパーツをつくる作業を手がけるようになり、SPISを始めてからはさらに増え、いまは4種類になりました」  内藤さんの成長する様子を、谷垣さんは「仕事の量よりも、質が格段に上がった」と表現されている。また、「質が上がったことで、周りの人の見る目も大きく変わったように思います」とのこと。  内藤さんは仕事を続けていくうえで、「相手を敬うこと」、「あいさつすること」、「任された仕事を最後までやり切ること」を心がけているそうで、将来について「これをやりたいという目標がいまはないのですが、目の前の仕事をしっかりと遂行して、ここで働き続けたいです」と決意表明のように力強く話してくれた。 新入社員とメンタル不調者にもSPISを導入  次に日東精工本社で、人事総務部部長の布川(ふかわ)貴英(たかひで)さんにお話をうかがった。 ―御社の概要について教えてください。 布川:創業は1938(昭和13)年2月、今年で設立84年を迎える会社です。おもな事業内容は工業用ファスナー(ネジやネジ部品)の製造、自動組立機の製造、計測・検査機器の製造です。2020年からは医療用機器の取り扱いも始めました。連結の子会社が国内15社、海外に21社あります。グループ全体の従業員数は約2000人です。 ―障害者雇用率は? 布川:特例子会社の認定取得を前提とした「日東精工SWIMMY(スイミー)株式会社」を2019年9月に設立し、2020年1月に認定されました。本社と合わせ、2022年6月1日時点の障害者雇用率は2.6%で、日東精工が10人、特例子会社が7人です。障害種別は、精神障害のある従業員が4人、知的障害のある従業員が5人、身体障害のある従業員が8人です。 ―SPISを新入社員の方にも導入されているそうですね。 布川:入社して最初に行う集合研修の期間には、レポートを書いてもらうなど交換日記のような形で、1カ月間は人事担当者とやり取りを行います。しかし、現場に配属されてから正社員登用(入社半年後)までの間は、人事総務部と疎遠になってしまいます。その期間をフォローするためのツールとして、2021年の新入社員(10人)からはSPISを導入しました。日々の生活リズムや心配事についてなどを入力する項目があり、何かあれば相談できる体制を取っています。 ―どなたが提案されたのでしょうか? 布川:当時の人事課長です。迫田さんが障害者雇用セミナーでSPISを用いた事例報告をしているのを聞いて、「新入社員に活かせるのではないか?」と思い、提案したそうです。期間としては、正社員になるまでの約5カ月間、SPISでやり取りをします。 ―実際に導入してみていかがでしたか? 布川:正直、人事担当者の負担はあったのですが、新入社員の不安軽減につながったと思います。配属先で新しい上司との職場生活が始まるなかで、入社前からかかわっている人事担当者とつながっていることが、安心感に結びついたようです。今年の新入社員(18人)には任意での導入となりました。半数の社員がSPISの利用を希望し、9月現在で利用しているのは4人。仕事が忙しくなり、よい意味で後回しになっているケースもあるようです。 ―メンタル不調者に対してもSPISを導入されるとうかがっています。 布川:これまでは労務課衛生室で看護師の資格を持った担当者が、会社の携帯電話のSMSを使ってメンタル不調者とメッセージのやり取りを行っていました。が、メンタル不調者が職場の上長などに直接発信することができれば、不調のサインが早めにキャッチできるのではないかと考えました。本人が同意した場合に、SPISを使って、看護師の担当者と職場担当者がSPISで情報を共有していくイメージです。しかし今年度に導入したばかりで、まだ実際に使った例はありません。今後役立つことでしょう。 日東精工SWIMMY株式会社  続いて、ダイバーシティ推進を目ざし2019年9月に設立された特例子会社の日東精工SWIMMY株式会社を訪問し、代表取締役社長の檀野(だんの)佳子(よしこ)さんにもお話をうかがった。  社名にある「SWIMMY」は絵本作家レオ・レオニの絵本に由来し、個々の特性や能力が全体の集まりとなって、より大きな力を創造させたいという想いが込められたものだそう。当事者の社員の特性を見きわめ、同社から本社への異動を実施したとのこと。特例子会社から本社への異動というのはあまり聞かない事例である。ますます京都府北部の障害者就労を牽引していくに違いないと感じた。 SPISとは何か?  最後に、SPIS研究所理事長で臨床心理士の宇田亮一さんに、お話をうかがった。 ―SPIS研究所を立ち上げた目的は? 宇田:2018年に設立しました。目的は三つ。外部支援者を企業のなかに送り込むこと。その外部支援者を育成すること。そして企業の職場担当者を育成すること。 ―SPISとは何か? 宇田:SPISは障害者雇用の現場で「対話を重視する」システムです。精神・発達障害者の就労定着がうまくいかない一つの要因として、「対話がうまく噛み合っていない」ことがあります。その際、当事者だけでなく、職場担当者や外部支援者の「自己理解が足りていないこと」が実は大きな問題なのです。  職場担当者自身が「自分の鎧(よろい)が脱げた」瞬間に対話が変わります。人は自分の弱さを出せたとき、対話の楽しさに気づくのです。鎧を身に着けて企業の成果をあげる側面と、鎧を脱いで心を通わせる側面。この両方が相乗効果を上げるためには職場が「安心安全な職場」であることが不可欠です。 ―日東精工での取組みについては? 宇田:日東精工で当事者の内藤さんに初めて会ったとき、彼は「自分の障害を認めれば職場に居づらくなる」と思っていると感じました。そうしたなかで、浜田さんと迫田さんと外部支援者の灘友さんがSPISで熱心にサポートされることを通じて、SPISが内藤さんにとって「安心で安全な居場所」になっていくのです。その途端、彼はすぐに自分の障害を認めるようになりました。そこからすべてが変わっていくのです。 ―SPIS活用の最終着地点は? 宇田:最初は月に一度の面談にもSPIS研究所の外部支援者がサポートに入りますが、最終目標は企業におけるナチュラルサポートです。つまり、外部支援者がフェードアウトしていくのです。「企業内部の対話で十分やり取りできる」というチームづくりが理想です。 育つ環境、育てる環境  障害者雇用の経験が浅いなかで担当者に任命された方は、当事者にどのように接したらよいのか、どう声をかけたらよいのかを悩んでしまうことが多い。そのようなときは外部の支援専門機関をうまく利用すること、そして当事者を孤立させないために、担当者の不安をぬぐうことが重要である。谷垣さんは、「遠慮と配慮は違う」と明確にいった。この言葉で迫田さんは不安が払拭されたという。困ったときにアドバイスをもらえる安心感のある環境で、お互いが育ち、育てられる形になる。そして信頼関係を構築するためにSPISを用い、両者の間に立ちはだかっていた壁を取り除く。こうして自分の本音を吐き出して対話することが、実際に戦力化しているポイントである。  日東精工執行役員の桐村さんが、「城山工場には変なこだわりのない『やってみよう』という自由な雰囲気の文化がある」と話されていた。それが浜田さん、迫田さんの気持ちを後押しした。「多様な人材の活躍」がキーワードの昨今、対話を通して活躍の場を提供する取組みが、新入社員やメンタル不調者などへも広がりつつあり、今後、どのような展開になるのかとても楽しみである。 写真のキャプション 日東精工株式会社城山工場 城山工場では、ねじ締め機や自動組立ラインの設計、製造などが行われている ねじ締めロボットのデモ機 京都障害者雇用企業サポートセンター実践アドバイザーの谷垣信也さん 組立課係長の迫田麻美さん 購買課課長の浜田光二さん 執行役員で産機事業部長の桐村和也さん 城山工場の製造部組立課の内藤清章さん 内藤さんは、ねじ締めドライバの組立や検査など、一連の製造工程を担当している 一般社団法人SPIS研究所理事長で臨床心理士の宇田亮一さん SPISの入力画面(例)(写真提供:一般社団法人SPIS研究所) 日東精工株式会社本社 人事総務部部長の布川貴英さん 日東精工SWIMMY株式会社 代表取締役社長の檀野佳子さん 特例子会社の日東精工SWIMMY株式会社のオフィスでは、書類のデジタル化が行われていた 東京都渋谷区のSPIS研究所でお話をうかがった 【P26-27】 省庁だより 道路の移動等円滑化に関するガイドライン(概要版)(令和4年3月) 国土交通省道路局ホームページより抜粋 第1部 道路の移動等円滑化に関するガイドラインの活用と基本的な考え方 1章 道路の移動等円滑化に関するガイドラインの活用にあたって ガイドライン作成の背景 ●バリアフリー法の改正【平成30年5月、令和2年5月】 ・理念規定を設け、「共生社会の実現」、「社会的障壁の除去」を明確化  →社会的障壁を取り除くのは社会の責務であるとする「障害の社会モデル」の考え方を示す ・バリアフリー基準の適合義務の対象に旅客特定車両停留施設等を追加 ●障害者の権利に関する条約(略称:障害者権利条約) ・障害者の人権及び基本的自由の享有を確保し、障害者の固有の尊厳の尊重を促進することを目的として、障害者の権利の実現のための措置等について定める条約として、平成18年12月に採択され、日本は平成19年9月に署名、平成26年1月に寄託 ・障害は主に社会によって作られた障害者の社会への統合の問題であるという「社会モデル」の考え方を反映 ●障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(略称:障害者差別解消法) ・全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進することを目的として、平成25年6月に制定 ・役所や事業者は、社会の中にあるバリアを取り除くために対応が必要との意思が伝えられたときは合理的配慮が求められる(令和3年5月の改正により事業者は努力義務から義務へと改正) ●道路移動等円滑化基準の改正【令和3年3月】 ・旅客特定車両停留施設の構造に関する基準(ハード基準)、旅客特定車両停留施設を使用した役務の提供に関する基準(ソフト基準)が追加 ガイドラインの位置づけ ・道路管理者が、道路施設等を新設、改築及び管理する際に、バリアフリー法や道路移動等円滑化基準に加えて、高齢者、障害者等をはじめとした全ての人が利用しやすいユニバーサルデザインによる道路空間のあり方を具体的に示す ガイドラインの構成 第1部 道路計画の考え方、関係機関との連携協力、心のバリアフリーの推進、当事者参加の考え方等 第2部 整備にあたっての考え方を示した上で、「◎基準に基づく整備内容」、「○標準的な整備内容」、「◇望ましい整備内容」を記載ガイドライン本文の内容を補足する「参考」、ガイドライン本文の内容を実施している具体的な事例を「事例」、ガイドライン本文に記載はないものの配慮すべき観点を「コラム」として記載 対象施設等と対象者 ●対象施設等 ・道路移動等円滑化基準に基づき新設又は改築を行う特定道路や努力規定に基づき同基準に適合した整備を行うその他の道路 ・道路移動等円滑化基準に基づき新設又は改築を行う旅客特定車両停留施設 ●対象者  高齢者、障害者等を念頭におきつつ、「どこでも、だれでも、自由に、使いやすく」というユニバーサルデザインの考え方に配慮 ・高齢者 ・肢体不自由者(車椅子使用者) ・肢体不自由者(車椅子使用者以外) ・内部障害者 ・視覚障害者 ・聴覚・言語障害者 ・知的障害者 ・精神障害者 ・発達障害者 ・高次脳機能障害者 ・妊産婦 ・乳幼児連れ ・外国人 ・その他 2章 道路計画及び移動等円滑化に関する連携協力や当事者参加の考え方 道路計画の考え方 ●移動等円滑化方針(マスタープラン)や基本構想の策定 ・市町村は、具体的な事業化の動きがない状況でもバリアフリーの方針を定めることができる移動等円滑化方針(マスタープラン)及び移動等円滑化に係る事業の重点的かつ一体的な推進に関する基本的な構想(基本構想)を策定し、そのなかで生活関連経路を設定 ・設定にあたっては、連続性とともに高齢者、障害者等の安全性や利便性に配慮することや既存の道路整備に関する計画と整合を図ることなどが重要 関係機関等との連携協力の考え方 ●関係機関等との連携 ・管理者が異なる境界部などで不整合が生じることがないよう、地方公共団体内の関連部局、国道、都道府県道、市町村道の各道路管理者同士、公安委員会や他の施設管理者等と連携を図ることが必要 ●道路と建築物等との一体的な整備の推進 ・道路と建築物との段差の解消や勾配の改善、必要な幅員が確保されるよう一体的な整備を検討するなど、道路と建築物の一体的な整備が必要 心のバリアフリーの推進 ●道路での心のバリアフリー ・計画、整備、管理、評価の各段階において関わる全ての人が、お互いの人格や尊厳を大切にし支え合う「共生社会」の実現に向けて、様々な社会的障壁に気づき、心身に機能の障害がある方が社会的障壁によってどんな困りごとや痛みがあるのかに気づき、その原因や解決策を考え、具体的な行動を起こすことが重要 ・各段階において様々な障害のある人が参加し、どのような状況が困難であるのか、どのような整備が必要であるかなどを適切に把握し、理解を深めた上で、移動等円滑化につなげていくことが重要 当事者参加の考え方 ・利用者の状況によりガイドライン通りに整備を行っても必ずしも十分な対応とならないことがある ・そのため、新設や大規模な改修を行う場合は、計画・立案の段階から障害者をはじめとする地域の利用者や専門家等から意見収集や意見交換を行い、整備を進めることで、より多くの利用者にとって利用しやすい道路や施設、設備等となる ・道路管理者や施設管理者が理解し配慮すべき事項に関する知識を持つことに加え、利用者自身の意識の向上や地域住民の理解を深めることも重要 バリアフリー整備の継続的な推進 ・障害者や専門家等を含む多様な関係者が参加する評価を行い、その評価結果を以後の計画の立案や事業に反映していく、スパイラルアップ(PDCA)の取組が重要 ・地域内における評価結果を同一地域内の改善につなげるとともに、地域間のフィードバックも含む、社会全体としてのスパイラルアップを図ることも重要 「第2部道路の構造及び旅客特定車両停留施設を使用した役務の提供」および、『道路の移動等円滑化に関するガイドライン』は、国土交通省ホームページに掲載しています(★) ※本誌では通常西暦で表記していますが、この記事では元号で表記しています ★https://www.mlit.go.jp/road/road/traffi c/bf/kijun/kijun.html 【P28-29】 研究開発レポート 精神障害者である短時間労働者の雇用に関する実態調査 〜雇用率算定方法の特例が適用される労働者を中心として〜 障害者職業総合センター研究部門 障害者支援部門 1 本調査の背景と目的  現在、障害者雇用促進法に基づいて、企業(事業主)は、雇用している労働者数に対して一定の割合(法定雇用率)で障害のある人を雇用することが義務づけられています。その割合は、2018(平成30)年に民間企業で2.0%から2.2%に引き上げられました(※1)。この法定雇用率の引上げと同時に、精神障害のある人が法定雇用率の算定対象に加わりました。このようなことから、雇用している障害者数のうち、精神障害のある人の占める割合は年々上昇しています。  ところが、精神障害のある人の雇用は、身体障害や知的障害のある人に比べ、定着率が低いという課題があります。そのため、2018年より、「精神障害者である短時間労働者の算定方法に係る特例措置」(以下、「特例措置」)が施行されています。  この措置は、1週間あたりの労働時間が20時間以上30時間未満(以下、「短時間」)の精神障害のある人について、従来、雇用率算定上は0.5人とされていたところを1人とカウントできるという措置です。ただし、@雇入れから3年以内の者、またはA精神障害者保健福祉手帳の取得から3年以内の者という条件があり、雇用時に1人とカウントできた人も、3年経過後には0.5人となることから、その人の労働時間の延長も視野に収めた設計になっています。これは、精神障害のある人を短時間で雇用するハードルを下げることで、企業と当事者の負担を一時的に軽減し、その後の職場定着を目ざす試みといえます。  本調査は、特例措置が適用された企業(以下、「特例適用企業」)、事業所(以下、「特例適用事業所」)、当事者(以下、「特例適用者」)の実態を把握することで、暫定措置期間終了後(2023〈令和5〉年3月以降)の施策の企画立案に資する基礎的なデータを提供することを大きな目的とし、具体的に以下の三つの目的を設定しました。 【目的1】精神障害者を雇用する特例適用企業および特例措置の適用状況を把握すること 【目的2】特例適用事業所の精神障害者の雇用および特例措置についての認識・意見を把握すること 【目的3】特例適用者の実態(雇用状況、働き方についての考え)を把握すること 2 方法  まず、【目的1】では、毎年6月1日現在の障害のある人の雇用状況を国に報告する「障害者雇用状況報告」について、特例措置実施前の2017年から直近の2020年までの4年間の変化を、企業(事業主)単位で分析しました。次に、【目的2】では、2018年と2020年の「障害者雇用状況報告」で把握した特例適用企業に対し質問紙を送付し、特例適用事業所ごとの回答を求めました。最後に、【目的3】では、【目的2】で回答対象となった事業所で働く特例適用者に、質問紙への回答を求めました。  なお、【目的2】と【目的3】の調査では、質問紙に回答があった事業所・当事者のうち、数件ずつインタビュー調査も行いました。 3 結果の概要 【目的1】企業における特例措置の適用状況の分析によれば、精神障害のある人を雇用する企業のうち、約20%の企業が特例適用者を雇用しており、この傾向は、特例措置が施行された2018年から2020年までほぼ変わっていませんでした。また、産業別にみると、精神障害のある人を雇用する企業は製造業がもっとも多く、次いで医療・福祉業、卸売業・小売業と続くのですが、特例適用企業にかぎると、医療・福祉業がもっとも多く、次いで卸売業・小売業、製造業が多くなっており、特例適用企業がやや特徴的であることを示唆しています。 【目的2】特例適用事業所に、特例措置をあらかじめ知っていたかどうか、雇用管理において考慮したかどうかを聞いたところ、半数以上の特例適用事業所が特例措置を認識していましたが、雇用管理においてそれを活用しようと考慮した事業所は40%未満でした。また、特例措置によって得られるメリット、デメリットに関する印象項目が自分の事業所に当てはまるかどうか聞いたところ、7割の事業所が、特例措置が「雇用率達成のしやすさ」という印象項目に「当てはまる」と回答した一方、「定着の見通しの立てやすさ」や「無理のない労働時間」が「当てはまる」とした事業所は半数程度でした。特例措置は、一定程度知られているといえますが、それを精神障害のある人の職場定着に向けた取組みの一環として捉えうるということについては、必ずしも広く共有されるに至っていない可能性が考えられます。 【目的3】特例適用者に対し、現在の職場で働き続ける意志について聞いたところ、6割の人が、現在の職場で働き続けることを希望していました。また、この6割の人のうち、フルタイム勤務への移行を希望する人は2割程度、現状では移行困難とする人が3割程度、短時間勤務を希望する人がやはり3割程度でした(図)。つまり、同じ会社で継続的に勤務しながら、労働時間を延長したいと考えるか、短時間のままがよいと考えるか、という当事者のニーズは分かれています。当事者の抱えるニーズについて9名に行ったインタビュー結果によれば、現在の職場で働き続けたいと答えた人は、主として、働きやすい職場であることと同時に、仕事自体に興味をもっている傾向がみられました。ただし、障害/疾患とともに生きるためには、変化しやすい体調と必要な収入、加えて仕事による負担とのバランスをとらなければならず、職場定着の意志とフルタイム勤務への移行意志等が必ずしも結びつくわけではないことがわかります。 4 調査研究報告書No.161について  調査研究報告書No.161(※2)では、ここまで書いてきたことのほかにも、特例適用者を雇用する事業所が整備している支援制度、実施している合理的配慮とその効果、利用した支援機関やその支援メニューなどのデータをまとめています。社内で雇用管理を行う方、障害者雇用で働いている精神障害のある方にもご覧いただけると幸いです。 ※1 現在は、2021年に0.1%引き上げられたことで、2.3%になっています ※2 「調査研究報告書No.161」https://www.nivr.jeed.go.jp/research/report/houkoku/houkoku161.html ◇お問合せ先:研究企画部 企画調整室(TEL:043-297-9067 E-mail:kikakubu@jeed.go.jp) 図 特例適用者における現在の職場で働き続ける意志(a)と「現在の職場で働き続けたい」と回答した人におけるフルタイム勤務への移行意志(b) a 現在の職場で働き続けたい(215人) 60.7% 続けるのは難しい(25人) 7.1% 今のところわからない(96人) 27.1% その他(13人) 3.7% 無回答(5人) 1.4% b 移行希望(49人) 23.7% 移行困難(70人) 33.8% 短時間希望(64人) 30.9% 不明(24人) 11.6% ※bについて ・「移行希望」=フルタイムに移行したい ・「移行困難」=現状ではフルタイム移行は難しい ・「短時間希望」=短時間勤務をこのまま続けたい ・「不明」=いまのところわからない ・「その他」の8ケースは除外してある 【P30-31】 ニュースファイル 地方の動き 岐阜 「農福連携」推進の組織設置  岐阜県は、農業分野における障害者の活躍による新たな人材の確保とともに、障害者の社会参画を実現する取組みとして「農福連携」を全庁的に推進するため、「ぎふ農福連携推進本部員会議」を立ち上げた。  県は2022(令和4)年4月に、「ぎふ農福連携アクションプラン」を策定。取組方針として、「理解促進と認知度向上」、「人材育成」、「マッチング強化」、「働きやすい環境整備」、「ブランド力向上・販路拡大」を柱とした。知事を筆頭に全部局から構成する「ぎふ農福連携推進本部」で推進する。 生活情報 Suica、PASMOで障害者割引の導入決定  関東ICカード相互利用協議会は、関東圏の「Suica」、「PASMO」において障害者割引が適用される「障害者用ICカード」の導入を、2023年3月中に開始すると発表した。介護者向けも用意する。  サービス対象となるのは、第1種身体障害者または第1種知的障害者と、障害者本人を介護する任意の利用者1人。いずれも大人のみが対象。対象者は、手持ちのMy Suicaもしくは記名PASMOを障害者用ICカードに変更することもできる。本人用・介護者用別々での購入や、別々または単独での利用はできない。また、Apple PayのSuica・PASMOや、モバイルSuica・PASMOは、障害者用ICカードとして利用できない。  購入場所は、JR東日本のSuicaエリア内のみどりの窓口や、PASMO鉄道事業者の窓口など。購入時に、障害者手帳などを発売窓口で提示する必要がある。カードの有効期限は、購入日から1年後の同月末日まで。利用可能エリアは、首都圏のSuica・PASMOエリア、新潟と仙台のSuicaエリア。2023年春以降、青森・盛岡・秋田Suicaエリアでも開始予定。 全国 ヤマト運輸が独自の「ユニバーサルマナー検定」  ヤマト運輸株式会社(東京都)と株式会社ミライロ(大阪府)は、人権・多様性を尊重する社会の実現に向けた取組みの一環として、ヤマトグループ独自の「ユニバーサルマナー検定」を共同開発した。ミライロが企業独自の「ユニバーサルマナー検定」を開発するのは今回が初めて。  障害のある人の困りごとや適切なサポートなどを学習できるほか、荷物の受け取り・発送をする場面などを想定した日々の業務に沿った独自のカリキュラムで、2022(令和4)年9月からヤマト運輸社員を対象に順次受講を開始。動画視聴後に試験を受け、合格者には認定証とヤマトグループ独自のユニバーサルマナー検定ロゴマークが入ったステッカーを配布する。 岡山 病院内に「聴覚支援センター」  岡山大学病院(岡山市)は、聴覚障害児・聴覚障害者の医療的、社会的支援に特化した「聴覚支援センター」を開設した。コミュニケーション手段の確立や社会的自立の支援、社会参加できるプラットフォームの形成などに取り組む。  専門外来は耳鼻咽喉(じびいんこう)科に設置し、病気や加齢による聴覚障害がある人に、医師が補聴器や人工内耳を調整したり使い方を指導したりする。小児神経科、産科婦人科、臨床遺伝子診療科などのほかに、岡山大学SDGs推進本部、教育学部などと連携し、患者に適切な検査やリハビリを提供する。さらに企業などと協力し、防災サイレンの音などを検知して光や振動で緊急事態を知らせる装置の開発も進める。 働く 岩手 観光向け自転車用ラックを障害者施設が製作  岩手県は、「いわてサイクルステーション」を今年度からスタートした。この制度は、自転車利用環境が整備された施設を県内のサイクリング拠点として県が登録するもので、9月現在、道の駅や宿泊施設など計20数施設が登録されている。  この登録制度の一つであるサイクルラックについて、障害者の就労支援などを図るため、このたび、岩手県と岩手県社会福祉協議会の連携により、障害福祉施設が受注製作した。  サイクルラックは岩手県産のスギを使用。サドルを引っかけて固定する構造で、高さ110p、幅200p。スポーツサイクル3台を駐輪できる。「指定障害者福祉サービス事業所 盛岡市立しらたき工房」(盛岡市)が製作し、一関市の道の駅「むろね」が県内で初めて活用した。  県は、福祉分野との連携によるサイクルラックが普及しステーションの登録が進むことで、障害者の就労支援や県産木材の活用、自転車を活用した観光振興の促進を期待する。 本紹介 『ADHDを「才能」に換える生き方』  書道家の武田(たけだ)双雲(そううん)さんと、精神科医で昭和大学医学部精神医学講座主任教授の岩波(いわなみ)明(あきら)さんが『ADHDを「才能」に換える生き方』(ビジネス社刊)を出版した。  武田さんは大学を卒業後、NTTに就職したが、約3年後に書道家として独立。独自の創作活動で注目を集め、映画やドラマなどの題字やロゴを手がけるほか、世界中でパフォーマンス書道などを行い、文化庁から文化交流使にも任命された。数年前、「岩波先生に出会い、おそらくADHDといわれて心が軽くなりました」という武田さんが、ADHDにまつわる自身のこれまでを岩波さんとともに語る。四六判216ページ、1540円(税込)。 アビリンピック マスコットキャラクター アビリス 2022年度地方アビリンピック開催予定 11月下旬〜1月 千葉県、滋賀県、広島県、佐賀県 *部門ごとに開催地・日時が分かれている県もあります *  は開催終了 地方アビリンピック 検索 ※新型コロナウイルス感染症の影響により、変更する場合があります。 写真のキャプション 千葉県 滋賀県 広島県 佐賀県 【P31】 ミニコラム 第19回 編集委員のひとこと ※今号の「編集委員が行く」(20〜25ページ)は金塚委員が執筆しています。  ご一読ください。 対話で壁を崩す NPO法人大阪精神障害者就労支援ネットワーク副理事・統括施設長 金塚たかし  精神障害者の就労定着がむずかしい要因はいろいろあるが、当事者も企業もそれぞれが悩みを抱えている。当事者は職場環境などに対する不安や苦しみに支配され、それをだれにも相談できず、心身の不調に陥り出社できなくなってしまうことがある。また、自身の感情をコントロールできず他者を攻撃してしまうなどで人間関係が不調になり、組織のなかで孤立してしまうこともある。企業担当者も「どのように声かけしていいかわからない」、「こちらの意図が伝わらない」、「仕事をどこまで任せていいかわからない」、「信頼関係が築けない」など、対応方法に悩まれている。そうしてお互いに気持ちが理解できず、当事者と企業担当者の間に壁ができる。  今回の「編集委員が行く」のコーナーで取材をさせていただいた、一般社団法人SPIS研究所理事長の宇田亮一さんは、壁を取り除くのにSPIS(Web 日報システム)が有効であると話されている。SPIS内で当事者・企業担当者・支援者の三者でコミュニティをつくり、書き言葉で対話を深めていく。対話を深めるポイントは「働くを支える」ことと「気持ちを支える」こと。「働くを支える」にはコーチングマインドが必要であるが、当事者のなかに起きている悩みや不安を解消するためには、カウンセリングマインドが必要になってくる。カウンセリングマインドは、問いを相手だけに投げるのではなく、自分にも投げ、悩みを共有して解決していくことで壁を崩していく。それがダイバーシティ&インクルージョンという時代に対応するための対話力を磨くことになるであろうと話されている。 【P32】 掲示板 事業主のみなさまへ 中央障害者雇用情報センターのご案内 障害者雇用に関する相談・援助 企業の規模・業種の特性に応じた障害者の雇用管理に関する相談に応じま 中央障害者雇用情報センターの詳しい情報はこちら。 QRコードはこちら 障害者雇用管理サポーターによる支援 障害者の雇用管理にかかる専門的な支援を必要とする事業所へ専門家(障害者雇用管理サポーター)の派遣に関する相談を行います。 登録サポーターの専用検索サイトはこちら。 QRコードはこちら 就労支援機器の展示・説明会・貸出し 障害者の就労を支援する機器の活用事例の紹介やデモンストレーション、導入・貸出しに関する相談を行います。 貸出対象機器、貸出申請書類はこちら。 QR コードはこちら ◆お問合せ先 中央障害者雇用情報センター 住所:〒130-0022 東京都墨田区江東橋2-19-12 ハローワーク墨田5階 TEL:03-5638-2792 E-mail:syougai-soudan@jeed.go.jp 利用時間:月〜金(8時45分〜17時)※祝日および12月29日〜1月3日を除く メールマガジン好評配信中! 詳しくは JEED メールマガジン 検索 読者アンケートにご協力をお願いします! 回答はこちらから→ 次号予告 ●リーダーズトーク  株式会社三井住友銀行(東京都)人事部ダイバーシティ推進室長の河渕千紗さんに、特例子会社が推進する障害者雇用のほか、グループ全体の取組みについてお話をうかがいます。 ●職場ルポ  学校法人立命館の特例子会社、株式会社立命館ぷらす(京都府)を取材。学校や地域とともに職業的な自立と社会参加の場を創出する取組みについてお伝えします。 ●グラビア  社会福祉法人白鳩会が運営する第2花の木ファーム(鹿児島県)を取材。障害のある人が、社会に出ていく能力を身につける同施設の活動についてご紹介します。 ●編集委員が行く  原智彦委員が、長野養護学校(長野県)と、その卒業生が働く企業を取材。卒業生の活躍などについてお話をうかがいます。 公式ツイッターはこちら! 最新号発行のお知らせやコーナー紹介などをお届けします。 @JEED_hiroba 本誌購入方法 定期購読のほか、最新号やバックナンバーのご購入は、下記へお申し込みください。 1冊からのご購入も受けつけています。 ◆インターネットでのお申し込み 富士山マガジンサービス 検索 ◆お電話、FAX でのお申し込み  株式会社広済堂ネクストまでご連絡ください。  TEL 03-5484-8821  FAX 03-5484-8822 あなたの原稿をお待ちしています ■声−−障害者雇用にかかわるお考えやご意見、行事やできごとなどを500字以内で編集部(企画部情報公開広報課)まで。 ●発行−−独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 発行人−−企画部長 飯田 剛 編集人−−企画部情報公開広報課長 中上英二 〒261−8558 千葉県千葉市美浜区若葉3−1−2 電話 043−213−6216(企画部情報公開広報課) ホームページ https://www.jeed.go.jp/ メールアドレス hiroba@jeed.go.jp ●発売所−−株式会社広済堂ネクスト 〒105−8318 東京都港区芝浦1−2−3 シーバンスS館13階 電話 03−5484−8821 FAX 03−5484−8822 12月号 定価141円(本体129円+税)送料別 令和4年11月25日発行 無断転載を禁ずる ・本誌に掲載した論文等で意見にわたる部分は、それぞれ筆者の個人的見解であることをお断りします。また、本誌では「障害」という表記を基本としていますが、執筆者・取材先の方針などから、ほかの表記とすることがあります。 編集委員 (五十音順) 株式会社FVP 代表取締役 大塚由紀子 NPO法人大阪精神障害者就労支援ネットワーク 副理事・統括施設長 金塚たかし 岡山障害者文化芸術協会 代表理事 阪本文雄 トヨタループス株式会社 取締役 清水康史 武庫川女子大学 学生サポート室専門委員 諏訪田克彦 あきる野市障がい者就労・生活支援センターあすく センター長 原 智彦 サントリービジネスシステム株式会社 課長 平岡典子 神奈川県立保健福祉大学 名誉教授 松爲信雄 有限会社まるみ 取締役社長 三鴨岐子 筑波大学大学院 准教授 八重田淳 常磐大学 准教授 若林 功 【P33】 ◆広域センター・地域センター一覧◆ 令和4年11月25日現在 広域障害者職業センター 全国の広範な地域から障害者を受け入れ、職業評価、職業指導、職業訓練などの職業リハビリテーションを実施し、その成果に基づく指導技法などを能力開発施設へ提供しています 国立職業リハビリテーションセンター (中央障害者職業能力開発校) 〒359−0042 埼玉県所沢市並木4−2 04−2995−1711 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター (吉備高原障害者職業能力開発校) 〒716−1241 岡山県加賀郡吉備中央町吉川7520 0866−56−9000 地域障害者職業センター 障害者に対する専門的な職業リハビリテーションサービス、事業主に対する障害者の雇用管理に関する相談・援助、地域の関係機関に対する助言・援助を実施しています 北海道障害者職業センター 〒001-0024 札幌市北区北二十四条西5-1-1 札幌サンプラザ5階 011-747-8231 旭川支所 〒070-0034 旭川市四条通8丁目右1号 LEE旭川ビル5階 0166-26-8231 青森障害者職業センター 〒030-0845 青森市緑2-17-2 017-774-7123 岩手障害者職業センター 〒020-0133 盛岡市青山4-12-30 019-646-4117 宮城障害者職業センター 〒983-0836 仙台市宮城野区幸町4-6-1 022-257-5601 秋田障害者職業センター 〒010-0944 秋田市川尻若葉町4-48 018-864-3608 山形障害者職業センター 〒990-0021 山形市小白川町2-3-68 023-624-2102 福島障害者職業センター 〒960-8054 福島市三河北町7-14 福島職業能力開発促進センター内 024-526-1005 茨城障害者職業センター 〒309-1703 笠間市鯉淵6528-66 0296-77-7373 栃木障害者職業センター 〒320-0865 宇都宮市睦町3-8 028-637-3216 群馬障害者職業センター 〒379-2154 前橋市天川大島町130-1 ハローワーク前橋3階 027-290-2540 埼玉障害者職業センター 〒338-0825 さいたま市桜区下大久保136-1 048-854-3222 千葉障害者職業センター 〒261-0001 千葉市美浜区幸町1-1-3 ハローワーク千葉4階 043-204-2080 東京障害者職業センター 〒110-0015 台東区東上野4-27-3 上野トーセイビル3階 03-6673-3938 多摩支所 〒190-0012 立川市曙町2-38-5 立川ビジネスセンタービル5階 042-529-3341 神奈川障害者職業センター 〒252-0315 相模原市南区桜台13-1 042-745-3131 新潟障害者職業センター 〒950-0067 新潟市東区大山2-13-1 025-271-0333 富山障害者職業センター 〒930-0004 富山市桜橋通り1-18 北日本桜橋ビル7階 076-413-5515 石川障害者職業センター 〒920-0901 金沢市彦三町1-2-1 アソルティ金沢彦三2階 076-225-5011 福井障害者職業センター 〒910-0026 福井市光陽2-3-32 0776-25-3685 山梨障害者職業センター 〒400-0864 甲府市湯田2-17-14 055-232-7069 長野障害者職業センター 〒380-0935 長野市中御所3-2-4 026-227-9774 岐阜障害者職業センター 〒502-0933 岐阜市日光町6-30 058-231-1222 静岡障害者職業センター 〒420-0851 静岡市葵区黒金町59-6 大同生命静岡ビル7階 054-652-3322 愛知障害者職業センター 〒460-0003 名古屋市中区錦1-10-1 MIテラス名古屋伏見5階 052-218-2380 豊橋支所 〒440-0888 豊橋市駅前大通1-27 MUS豊橋ビル6階 0532-56-3861 三重障害者職業センター 〒514-0002 津市島崎町327-1 ハローワーク津3階 059-224-4726 滋賀障害者職業センター 〒525-0027 草津市野村2-20-5 077-564-1641 京都障害者職業センター 〒600-8235 京都市下京区西洞院通塩小路下る東油小路町803 ハローワーク京都七条5階 075-341-2666 大阪障害者職業センター 〒541-0056 大阪市中央区久太郎町2-4-11 クラボウアネックスビル4階 06-6261-7005 南大阪支所 〒591-8025 堺市北区長曽根町130-23 堺商工会議所会館5階 072-258-7137 兵庫障害者職業センター 〒657-0833 神戸市灘区大内通5-2-2 ハローワーク灘3階 078-881-6776 奈良障害者職業センター 〒630-8014 奈良市四条大路4-2-4 0742-34-5335 和歌山障害者職業センター 〒640-8323 和歌山市太田130-3 073-472-3233 鳥取障害者職業センター 〒680-0842 鳥取市吉方189 0857-22-0260 島根障害者職業センター 〒690-0877 松江市春日町532 0852-21-0900 岡山障害者職業センター 〒700-0821 岡山市北区中山下1-8-45 NTTクレド岡山ビル17階 086-235-0830 広島障害者職業センター 〒730-0004 広島市中区東白島町14-15 NTTクレド白島ビル12階 082-502-4795 山口障害者職業センター 〒747-0803 防府市岡村町3-1 0835-21-0520 徳島障害者職業センター 〒770-0823 徳島市出来島本町1-5 ハローワーク徳島4・5階 088-611-8111 香川障害者職業センター 〒760-0055 高松市観光通2-5-20 087-861-6868 愛媛障害者職業センター 〒790-0808 松山市若草町7-2 089-921-1213 高知障害者職業センター 〒781-5102 高知市大津甲770-3 088-866-2111 福岡障害者職業センター 〒810-0042 福岡市中央区赤坂1-6-19 ワークプラザ赤坂5階 092-752-5801 北九州支所 〒802-0066 北九州市小倉北区萩崎町1-27 093-941-8521 佐賀障害者職業センター 〒840-0851 佐賀市天祐1-8-5 0952-24-8030 長崎障害者職業センター 〒852-8104 長崎市茂里町3-26 095-844-3431 熊本障害者職業センター 〒862-0971 熊本市中央区大江6-1-38 ハローワーク熊本4階 096-371-8333 大分障害者職業センター 〒874-0905 別府市上野口町3088-170 0977-25-9035 宮崎障害者職業センター 〒880-0014 宮崎市鶴島2-14-17 0985-26-5226 鹿児島障害者職業センター 〒890-0063 鹿児島市鴨池2-30-10 099-257-9240 沖縄障害者職業センター 〒900-0006 那覇市おもろまち1-3-25 沖縄職業総合庁舎5階 098-861-1254 【裏表紙】 12月号 令和4年11月25日発行 通巻542号 毎月1回25日発行 定価141円(本体129円+税)