【表紙】 令和5年2月25日発行・毎月1回25日発行・通巻第545号 ISSN 0386-0 障害者と雇用 2023/3 No.545 私のひとこと 障害のある人たちとともに海洋プラスチックを資源にカエル カエルデザイン合同会社 クリエイティブディレクター 高柳豊さん 職場ルポ スーパー各店舗に配属し、本社一括採用で細やかな支援 株式会社ヤオコー(埼玉県) グラビア 第10回国際アビリンピックへの挑戦! 三津橋幸勇さん、山本巧さん、小島未来さん、伊敷学さん、深見尚生さん 公開座談会 視覚障害者の雇用は今! 〜コロナ禍で変化している雇用環境に対する取組み〜 「歯科技工士になりたい!」長野県・齋藤(さいとう)楓佳(ふうか)さん 誰もが職業をとおして社会参加できる「共生社会」を目指しています 3月号 【前頁】 心のアート はばたく鳥 石原明日香 (きらぼしアートセンター) 画材:タブレット、タッチペン/画面解像度 4093pixel×28  この鳥はチャバライカル。北アメリカに多く生息し、全長約20p。身近にいない鳥を描きたいと、インターネットや電子本のなかにある鳥から選んだという。  タブレットを台に固定し、タッチペンで微細な点描を一つずつ、ていねいに描きあげていく。くちばしは紫、顔は黄色。顔から首にかけて明るい緑のグラデーション、やわらかい感じで中間色が美しい。羽根は薄い黄色の地色に赤、白、緑、ピンク、オレンジ、紫、水色の点描が散りばめられている。3週間、ペンを握る指先に集中してコツコツと描き、やっと仕上げたという。  5年前からこの点描で魚を描きはじめて注目され、岡山県の障害者アートの公募展「きらぼしアート展」で2019年に新人賞、2020年に絵画賞を受賞。昨秋からは鳥を描きはじめ、点描のアーティストは魚から鳥、さらに虫、果物へと、描く対象もセカンド・ステージへ。成長していく明日香ワールドを楽しみに見守るファンは多い。 (文:一般社団法人岡山障害者文化芸術協会 阪本文雄) 石原 明日香(いしはら・あすか)  2002年生まれ。岡山県岡山市在住。  二分脊椎で中学3年時から特別支援学校へ通う。車いすを利用している。高校1年時から絵を描きはじめ、自由帳にくねくねしたサケ、エイなどをボールペンで描いていた。いまはタブレットを使い、色をつけ、点描で表現するようになっている。  昨秋、就労移行支援事業所でアートに専念するようになり、明るくやさしい表現と、大胆な発想と色遣いで、将来への可能性を秘めた逸材として期待されている。 協力:一般社団法人岡山障害者文化芸術協会 【もくじ】 目次 2023年3月号 NO.545 「働く広場」は、障害者雇用の啓発・広報を目的として、ルポルタージュやグラビアなど写真を多く用いて、障害者雇用の現場とその魅力をわかりやすくお伝えします。 心のアート 前頁 はばたく鳥 作者:石原明日香(きらぼしアートセンター) 私のひとこと 2 障害のある人たちとともに海洋プラスチックを資源にカエル カエルデザイン合同会社 クリエイティブディレクター 高柳豊さん 職場ルポ 4 スーパー各店舗に配属し、本社一括採用で細やかな支援 株式会社ヤオコー(埼玉県) 文:豊浦美紀/写真:官野 貴 研究開発レポート 10 高次脳機能障害者の就職・復職等に係る自己理解の支援ポイント 障害者職業総合センター 社会的支援部門 JEEDインフォメーション 12 職業センターで開発した支援技法をご紹介します/「読者アンケート」結果発表!! グラビア 15 第10回国際アビリンピックへの挑戦! 三津橋幸勇さん、山本巧さん、小島未来さん、伊敷学さん、深見尚生さん 写真/文:官野 貴 エッセイ 19 発達障害と就労 最終回 〜発達障害のある人たちの就労支援の学びから〜 特定非営利活動法人クロスジョブ クロスジョブ堺 副所長 砂川双葉 公開座談会 20 令和4年度「働く広場」公開座談会 視覚障害者の雇用は今! 〜コロナ禍で変化している雇用環境に対する取組み〜 省庁だより 26 農福連携の推進について 農林水産省 農村振興局 都市農村交流課 『働く広場』記事索引 30 掲示板・次号予告 32 高障求メールマガジン登録受付中! ※「クローズアップ」、「編集委員が行く」、「ニュースファイル」、「編集委員のひとこと」は休載します 表紙絵の説明 「職場体験学習で歯科医院に行ったのがきっかけで、将来、歯科技工士になりたいと思い、題材に選び描きました。自分の手と顔の表情を描くのに苦労しました。受賞を聞いて、とても驚きました」 (令和4年度 障害者雇用支援月間絵画コンテスト 中学校の部 高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長奨励賞) ◎本誌掲載記事はホームページでもご覧いただけます。(https://www.jeed.go.jp/) 【P2-3】 私のひとこと 障害のある人たちとともに海洋プラスチックを資源にカエル カエルデザイン合同会社クリエイティブディレクター 高柳豊 海洋プラスチックのアップサイクルを始めたきっかけ  2017(平成29)年の夏、金沢21世紀美術館で開催された『ヨーガン・レール 文明の終わり』展は、とても衝撃的でした。ヨーガン・レール(※1)が石垣島で自ら集めたプラスチックゴミや漁網からつくった美しいランプは、ただ「美しい」だけでなく、自分たち人間が利便性を優先し、つくり、買い、使い、捨てるという生活が生み出したゴミ問題への懺悔(ざんげ)、後悔、哀しみも入り交じっていました。しかしヨーガン・レールのランプの「灯り」は、かすかな希望の象徴のようにも思えました。  地球温暖化や海洋プラスチック問題など、地球環境が急速に壊れていく時代に、「微力であっても海をプラスチックゴミから守りたい」。そしてその活動を、「さまざまな障害のある人たちが夢と誇りを持って仕事をし、未来に向かって希望を持って生きることにつなげたい」。そのことが、国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)の目標8「働きがいも経済成長も」や、目標14「海の豊かさを守ろう」に関連し、「SDGsが目ざす『誰一人取り残さない社会』の実現に寄与するに違いない」。そんな思いで始めたのが、カエルデザイン合同会社の「アップサイクル(※2)アクセサリープロジェクト」です。 障害のある仲間たちとともに  このプロジェクトのスタートは2019年。当時、僕がディレクターとして働いていた石川県にある障害者就労継続支援施設の『リハス』で始め、いまでは『鳴和(なるわ)の里』と『ジョブスタジオノーム』、『米(まい)ライフ』にもお願いし、合計四つの支援施設で行っています。  最初はさまざまな障害のある仲間たちと一緒に、金沢の海岸に行ってプラスチックゴミを拾い始めました。細かくなって海岸に流れ着いたプラスチックのうち、直径5o以下の小さなものはマイクロプラスチックと呼ばれ、海岸に行くと無数に見つかります。  海岸はマイクロプラスチック製造装置だという専門家がいます。海岸に流れ着いた大きなプラスチック片は太陽の熱や紫外線で劣化し細かくなってマイクロプラスチックとなり、それが海に流れ出ます。海岸に流れ着いた海洋プラスチックやマイクロプラスチックを拾うことは、海岸に行くことさえできれば、だれにでもできます。  砂浜に這いつくばってプラスチックを集めて、分別して洗って……。夏の暑い日には汗だくになるし、臭いし、冬の寒い日には鼻水が垂れるし。それでも自分たちの海に、海岸に、こんなにプラスチックゴミがあって、それが魚や亀や海鳥やイルカやクジラの命を奪っているという事実を知ったら、放っておけません。障害のある仲間たちもそう感じてくれたに違いありません。  一緒に拾ってきたプラスチックゴミを分別して洗って、また分別して、大きいモノはカットして、そこからプラスチックをブレンドして板にして、それをまたカットして、磨いて、樹脂加工して金具をつけて、ようやくアクセサリーができあがります。  拾ってきたプラスチックを溶かしてつくるアクセサリーは、二度と同じものがつくれません。それがたいへんでもあり、おもしろい点です。  障害とともに生きていくことはたいへんです。会社や学校、組織で管理された生活、人間関係、現代社会が引き起こすさまざまなストレスに適応できずに疲弊して、生きるのをやめようとした人たちもいます。  でも、こうして海岸に行って、潮風や潮の匂いや気温を全身で感じながら、地球が壊れていく様を目の当たりにして、人間の愚かさや、一人の人間の無力さや悲しさや、いろいろなことを感じながら、ちっぽけな自分でも、この地球のために、人間の未来のためにできることがあるんだって思える。それって自分が生きる意味にもつながると思うのです。  僕たちは1つでも1グラムでも多くの海洋プラスチック、マイクロプラスチックを減らしたい。そしてそれをアップサイクルして販売することで、障害のある人が夢と希望を持って生きられる未来を、多くの仲間と一緒につくりたい。  未来の地球をより良くカエル。  障害のある人たちが希望を持って生きることができるようにカエル。  僕たちはそう願っています。 全国に広がる支援の輪  スタートは金沢の専光寺浜(せんこうじはま)からでしたが、SNSなどを見ていただいて、全国から海洋プラスチックを送っていただけるようになりました。  いまでは、北海道から沖縄県まで30を超える都道府県から、クリーンビーチ活動などで回収した海洋プラスチックを金沢に送っていただき、1年間で総重量は約50sになりました。  コロナ禍ではありますが、おかげさまで私たちの活動やブランドに共感していただき、お取り扱いいただくお店も少しずつ増えてきました。  みなさまのご支援に感謝申し上げます。 高柳 豊 (たかやなぎ ゆたか)  エシカル、サステイナブルをテーマに活動する「カエルデザイン合同会社」のクリエイティブディレクター。海外向けコンピューターシステムのシステムエンジニアを経てカルチャー教室でさまざまな文化教室の企画運営などを経験。その後、フリーランスになり地域通貨の発行・運営、雑誌の出版編集、地サイダーやクラフトチョコレート等加工食品ブランドの立ち上げなど、商品企画、ブランディング、マーケティングなどを手がけ、2019年にアップサイクルブランド「カエルデザイン」を友人2人とともに立ち上げる。  カエルデザインは、2020年「第47回石川県デザイン展」知事賞(グランプリ)受賞、「ソーシャルプロダクツアワード2021」ソーシャルプロダクツ賞受賞。 写真のキャプション 海洋プラスチックをアップサイクルしたカエルデザインのアクセサリー(写真提供:カエルデザイン合同会社) ※1 ヨーガン・レール:ファッションデザイナー。1944年生まれ。1999年ごろ石垣島に移住。浜辺の清掃を日課としていたという ※2 アップサイクル:廃棄物や不要となったものを、デザインやアイデアを加えて付加価値の高い別のものに生まれ変わらせること 【P4-9】 職場ルポ スーパー各店舗に配属し、本社一括採用で細やかな支援 ―株式会社ヤオコー(埼玉県)― スーパーマーケットを展開する企業では、本社一括採用の従業員を店舗に配属し、大事な戦力として働き続けられるよう支援と育成を図っている。 (文)豊浦美紀 (写真)官野 貴 取材先データ ヤオコー 川越南古谷店 〒350-0026 埼玉県川越市泉町4-3 TEL 049-230-3211 株式会社ヤオコー 〒350-1124 埼玉県川越市新宿町1-10-1 TEL 049-246-7000(代表) FAX 049-246-7022 Keyword:特別支援学校、小売、接客、品出し、アビリンピック、実習、研修 POINT 1 本社が一括採用し、人件費負担のうえで各店舗に配属 2 本社の担当社員が店舗を巡回しつつ、現場と当事者を支援 3 社内研修や、地方アビリンピック埼玉大会「小売物流ワーク」で自己研鑽さんも 関東のスーパー127店舗などで雇用  1890(明治23)年に「八百幸商店」として創業した小売企業「株式会社ヤオコー」は、埼玉県内を中心に関東1都6県で181店舗(2023〈令和5〉年1月末時点)のスーパーマーケットを展開している。以前から身体障害のある人を中心に雇用してきたが、2000(平成12)年ごろから店舗数が大幅に増えたことで法定雇用率未満となり、ハローワークからの障害者雇入れ計画作成命令を機に、特別支援学校からの実習受け入れなど、本格的な障害者雇用に乗り出したそうだ。  いまでは障害のある従業員は266人(身体障害56人、知的障害185人、精神障害25人)、障害者雇用率は2.53%(2022年6月1日現在)だという。配属先も127店舗と加工工場に広がり、買い物客が行き交う売場を中心に、商品陳列や接客、加工補助などを担当している。今回は、ヤオコー旗艦店の一つ「川越南古谷(かわごえみなみふるや))店」を訪ねた。 売場で商品陳列や前出し作業  JR川越線の南古谷駅から徒歩8分ほどの場所に位置する大型ショッピングセンター。その一角を占めるヤオコー川越南古谷店は売場面積790坪超を誇り、実働従業員は250人にのぼる。障害のある従業員4人が働いている現場を見せてもらった。  多種多様なペットボトル飲料などが並ぶコーナーで重そうな段ボール箱をいくつも運んでいたのは、川越南古谷店ドライ部門の森田(もりた)篤(あつし)さん(39歳)。以前は清掃事業を展開する大手企業で洗浄業務を担当していたが、体調を崩し退職。ハローワークで就職先を探し、川越南古谷店オープン翌年の2006年に入社したという。ヤオコーを志望した理由については、「高校時代に地元スーパーで職場実習の経験があったので、仕事内容を把握しやすかったからです」と話してくれた。  最初の3カ月間は日用品の補充作業、その後はずっと飲料品の担当を任されている。以前は数多くの商品名を覚えるのに苦労したり、一度に多くの作業を頼まれて失念してしまったりすることもあったが、すっかり慣れたそうだ。いまは後輩を指導する立場でもある。「とにかく売場の品薄には気をつけて、店舗裏の在庫確認に努めています」と頼もしい言葉をくれた。  職場は「話しやすい同僚が多いのも魅力だ」と話す森田さんには、お客さんとの心に残るエピソードもある。  「あるとき飲料品コーナーで親子連れのお客さまが、お目当てのフィギュアつき商品を探していたのを見つけ、一緒に1品ずつ確認しながら見つけ出すお手伝いをしました。後日、店内に設置されている意見箱『お客さまの声』を通して感謝のメッセージが寄せられて、とてもうれしかったですね」  森田さんに仕事を教わっているところだという川越南古谷店ドライ部門の山本(やまもと)大(だい)さん(19歳)は、2022年4月に入社したばかり。腕には1年目の証(あかし)である「実習生」の腕章をつけている。  特別支援学校在学中、いくつかの会社の職場見学をするうちに「自分は接客業が向いているのかもしれない」と思い、ヤオコーの職場実習を2年次に1回(2週間)、3年次には3回(3週間を2回、2週間を1回)経験した。広い店内で飲料品の補充をしながら商品を並べるのも好きだと感じたそうだ。  入社後、楽しい仕事が始まったと思ったが、すぐにスピード不足であることを自覚。「特に夏は飲料品がすぐに品薄になることも多く、森田さんに『急がないと追いつかないよ』とせっつかれながらがんばりました」とふり返る。  最近は森田さんから在庫整理なども学び、気を引き締める。森田さんが休みの日に一人で商品補充をしていると、店長や主任から「助かるよ」と声をかけてもらったのがうれしかったそうだ。「長く働いて、いろいろな仕事を覚えていきたいです」と語る。  2年前から川越南古谷店の店長を務める赤司(あかし)正仁(まさひと)さんは、山本さんの採用にかかわった当時、「学校と連携しながら職場実習を何度も重ねたことで、働きぶりを十分に確認できました」とふり返る。入社して3カ月後に支援機関や学校の担当者と保護者を招いた反省会では、うれしい報告もあった。じつは、主任から「初任給が出たら親御さんに何かプレゼントするといいよ」と伝えていたが、その助言通り、山本さんは主任と相談してカステラを店で包装してもらい贈ったそうだ。「後日、山本さんに『お母さんにプレゼントを渡したの?』と聞くと『お母さん喜んで泣いてました』と答えてくれて、私までもらい泣きしたのも、よい思い出です」  売場の真ん中あたりにある日用品コーナーで商品補充をしていたのは、2011年入社の東海林(しょうじ)広明(ひろあき)さん(43歳)。就労移行支援事業所に通っていたときにヤオコーを紹介された。川越南古谷店ドライ部門住居担当として、最初は正社員の先輩とペアを組みながら仕事を覚えていったそうだ。  「接客業は自分には向いていないと思っていたのですが、がむしゃらにやっているうちに慣れました」と笑顔で語る。ただ、自分の考えを言葉にするのが苦手なため、インカム(職場内無線通話)の作業はむずかしいと上司に伝えてあるそうだ。現在は売場の商品管理を任され、陳列や発注、商品レイアウトも手がける。  「ヤオコーでは数年ごとに上司が異動しますが、新しい出会いは新鮮で楽しいです」という東海林さん。日ごろ職場で心がけていることを聞くと、「自分の決まった仕事があっても、ほかの社員や、特にお客さまから頼まれたことは最優先にすることです」と答えてくれた。  売場での東海林さんたちは、少しの合間でも、目についた商品棚の前出し(陳列手直し)作業をしていたのが印象的だった。東海林さんは「担当以外の売場でも、目につくと手が出ます」といい、森田さんは「休日に買い物で来店したときも、つい前出し作業をしてしまいます」と苦笑いしていた。ちなみに赤司さんによると、「前出し作業は、棚の前の方に寄せながら商品が見やすくなるよう並べるのですが、簡単なように見えて、積み方も含め時間内にこなすのは結構むずかしいんですよ」とのことだ。  また、品出し作業は、倉庫で各商品を整理しながら売場に出すものを選び取り(ピッキング)、お客さんが行き来する売場の中をスムーズに運んでいき、棚に並べるという流れだが、随所で判断すべきポイントがあるそうだ。赤司さんは「こういう作業の一つひとつを成熟させていくのも、彼らの大きな達成感につながるのではないかと思います」と語る。 地方アビリンピック埼玉大会「小売物流ワーク」出場  ヤオコーでは、地方アビリンピック埼玉大会にも選手を送り出してきた。種目は、埼玉大会で独自に開催している「小売物流ワーク」。当機構が運営する国立職業リハビリテーションセンター(埼玉県所沢市)にも販売・物流ワークコースが設置されており、なじみ深いようだ。  2021年の埼玉大会にヤオコー代表として出場したのは、2019年入社の田中(たなか)麗菜(れな)さん(22歳)。特別支援学校の2年次に1回、3年次にも2回の職場実習を経験し、「商品を棚にきれいに並べたことを評価してもらえたことで、入社を希望しました」という。川越南古谷店日配部門に配属され、パートナーさん(パート従業員)を含め約15人の同僚とともにパンや牛乳・卵などの商品を取り扱っている。「賞味期限が短いものが多く、棚に並べるときの置き方などに気を配っています」と田中さん。  「最初のころは、売場でお客さまに商品の場所を聞かれてもうまく伝えることができなくて苦労しましたが、3年経ったいまではずいぶん慣れて、お客さまにお礼をいわれることもあり、とてもやりがいを感じます」  田中さんにアビリンピック埼玉大会への出場をすすめたのは、ヤオコー人事総務部人事担当主任の成瀬(なるせ)陽香(はるか)さんだ。  「田中さんは作業のムラがなく、任せた仕事をきちんとやり抜く姿に同僚のみなさんからも『見習わなくちゃいけないよね』との声を聞いています。ふだんから仕事の評価は高いのに、本人は控え目なのが前から気になり、アビリンピック挑戦をすすめてみました」  そして田中さんは見事、地方アビリンピック埼玉大会で銀賞を受賞した。成瀬さんは「入賞して賞状をもらうことで大きな励みになりますよね。恥ずかしがり屋さんの田中さんも、日ごろの自分の仕事が評価されたと実感してくれているようです」と教えてくれた。 自分が働く姿を想像しやすい職場  ヤオコーでは本格的な障害者雇用を進めるにあたり、就労移行支援事業所や特別支援学校とのパイプをつくって採用活動を広げながら、すでに雇用している各店舗を回って課題や要望を聞きながら職場改善に努めてきた。  従業員の採用は、本社で一括して行っている。地域の学校や事業所から実習希望があれば声がけしてもらい、本人の通いやすい店舗を決める。  実習希望者を受け入れるかどうかの大きな目安は、@職場である売場において、コミュニケーションでお客さまに大きな迷惑をかけることはないか、A売場で必要なコミュニケーションなどが本人の心身に過剰な負担にならないか、だという。人事総務部の人事担当部長を務める鈴木(すずき)進(すすむ)さんが説明する。  「実際は、もともとスーパーで働くことを意識して志望してくるからか、現場に出て大きな課題につまずくようなことはあまりありません。面接でも、ほとんどの人がスーパーで買い物をしたことがあると答えており、おそらく自分が働く姿を想像しやすいのだろうと思います。そこがほかの業種とは違う、働きやすさの一つなのかもしれませんね」  実習は、年間延べ40店舗前後で実施している。1人1回あたり2〜3週間を3回ほど行い、そこでマッチングが確認できれば採用につながるケースが多いそうだ。成瀬さんが説明する。  「採用手続きから入社後のフォローはもちろん、各店舗の従業員の人件費は各店舗の負担ですが、障害のある従業員の人件費は本社で負担します。各店舗ではパートナーさんの人件費もシビアですから、障害のある従業員はプラスアルファの戦力になると考え、最近は各店舗から『よい人はいませんか』と相談されるほどです」  採用人数は年間20人弱にのぼる。入社後は、各自が抱える事情によって4時間〜8時間のパートタイム勤務で、1年後から無期雇用に切り替わる仕組みだ。 支援担当社員が店舗を巡回  入社1年目の従業員については年2回、本社の支援担当社員3人が各店舗に赴いて面談を行っている。職場の上司から勤務状況を確認したうえで、本人から何か困っていることなどがないか聴き取っている。成瀬さんは「ここで課題が見つかった場合は、店舗側に指導することもありますし、就労支援機関や保護者に協力を求めることもあります」と話す。  人事総務部で人事担当マネジャーを務める佐藤(さとう)かほりさんも、支援担当の一人として店舗を巡回しながら面談などを行っている。  「本人の顔つきや身だしなみ、生活習慣などを気に留めながらコミュニケーションを取るようにしています。そのなかで少しでも異変を感じたら、支援担当同士で相談しながら対応にあたっています。店舗側から相談があった場合は重点的にフォローに入ります」という。一人ひとりの情報をファイリングしたものを共有し、3人で連携しながら支援しているそうだ。  新入社員を紹介する社内報などでは、障害のある人が配属される店舗を告知しているものの、現場であらためて紹介はしていない。「本人が職場で困ったときに相談する人は決めてあるので、全員に周知しなくてもやってこられたのではないかと思います」と成瀬さんが説明する。  「これはどこの会社でも同じかもしれませんが、最初に受け入れを依頼する店舗は、だれかしら面倒見のよい、理解のある店長や主任がいて、上手に指導してくれるところを選んでいます」  その担当者が数年後に人事異動で変わると、本人も新しい担当者も戸惑ってしまうことがある。そのときに重点的にフォローに回るのが成瀬さんたちの大事な役割だ。人事異動を毎回チェックし、少し心配だと思われる店舗は優先的に訪問しているそうだ。  成瀬さんは2021年に職場適応援助者(ジョブコーチ)の資格も取得した。講座に参加し、あらためて勉強になったことについて話してくれた。  「例えば品出しという一つの作業は、日付を見て、もともと並んでいた商品を棚から出して、といった具合に、いくつにも分解できます。私たちが一つの作業として認識していても、彼らにとっては、いくつもの作業が組み合わさっている状態なのですね。もし『品出しができない』といわれたら、どこの段階でつまずいているのかを細かく考えられるようになりました。それが雇用継続の判断にもつながるので、大事な視点だと思っています」  受け入れる店舗の現場へ少しでも理解を広げるため、成瀬さんたちは年1回、店長・副店長が集まる会議で時間を割いてもらい、障害特性や障害者雇用率、就労定着などについての勉強会も開いている。 全員が集まりフォロー研修  障害のある従業員は年1回、本社のサポートセンターの大会議室に一堂に集まりフォロー研修も受けている。「一人ひとりがプロになる」、「期待されている役割を果たす」といったテーマの講義のほか、売場の基礎知識として商品の正しい前出し作業や接客の練習など、原点に立ち返るプログラムを揃えている。ワイシャツのボタンをつける実習や、ちょっとしたモノづくりを楽しむグループワークもある。成瀬さんが興味深い話もしてくれた。  「じつは、昨年はコロナ禍で研修を中止にしたのですが、その後、店舗から接客のクレームが増えたという報告があがってきました。やはり定期的に集まって『自分たちはヤオコーの従業員だ』ということを再認識することが、日々の仕事や接客の向上につながるのだと実感しました。本社に出向いての研修は気分転換にもなるようで、店舗を巡回していると『今年はやりますか。楽しみにしています』といわれますね」  スーパーマーケットという身近な職場を中心にした障害者雇用の取組みが評価され、ヤオコーは2015年度に「障害者雇用優良事業所等厚生労働大臣賞表彰」、2020年度は「障害者雇用職場改善好事例優秀賞」を受賞した。今後も店舗数を増やす予定だというヤオコーでは、さらに採用活動に力を入れながら、一人ひとりの長所を活かした戦力化と細やかな支援で、だれもが長く働き続けられる職場づくりに努めていくという。 写真のキャプション 「ヤオコー」川越南古谷店(写真提供:株式会社ヤオコー) 飲料の前出しを行う森田さん 川越南古谷店ドライ部門の森田篤さん 川越南古谷店店長の赤司正仁さん 補充のため商品を運ぶ山本さん 川越南古谷店ドライ部門の山本大さん 人事総務部人事担当主任の成瀬陽香さん(左)との面談の様子 商品の補充を行う東海林さん 川越南古谷店ドライ部門住居担当の東海林広明さん 消費期限を確認しながら品出しを行う田中さん 川越南古谷店日配部門の田中麗菜さん 人事総務部人事担当部長の鈴木進さん 人事総務部人事担当マネジャーの佐藤かほりさん 【P10-11】 研究開発レポート 高次脳機能障害者の就職・復職等に係る自己理解の支援ポイント 障害者職業総合センター 社会的支援部門 1 調査研究の背景と目的  障害者の就職・復職等の支援において、本人が自己理解を深めていけるよう支援していくことは、職業生活への適応に向けて重要とされています。その一方で、高次脳機能障害者は、さまざまな背景により自らの障害やその影響について理解を深めることが困難な場合があります。就職・復職等の支援において自己理解に着目した支援が重要であることに違いはないですが、自己理解を深めることばかりにこだわってしまうと、障害者本人のメンタルヘルス上の問題につながってしまうなどのリスクもあります。そこで、高次脳機能障害者の就職・復職等の支援においてどのように自己理解を理解し、その支援のあり方をどのように考えていけばよいのかを整理することを目的に、インタビュー調査や文献調査を行いました。 2 研究の方法  初めに、当機構の地域障害者職業センター等に配置されている障害者職業カウンセラーを対象としたグループインタビューを行い、就職・復職等の支援にたずさわる支援実務者が、高次脳機能障害者の自己理解をどのようにとらえて支援をしているのか、またその支援の過程でどのような困難を感じているのか、その実態を整理しました。  次に、国内外の高次脳機能障害者の自己理解に関する文献調査を行い、高次脳機能障害者の自己理解をとらえるための概念や支援方法に関する知見を整理しました。  そして、初めのグループインタビュー調査で明らかになった就職・復職等の支援における実態と、文献調査で整理した知見の一致するところや相互に補えるところに着目してこれらを統合し、支援仮説をつくりました。  最後に、障害者職業カウンセラーを対象とした2回目のグループインタビューを行い、この支援仮説の内容についての妥当性や修正点についての意見集約を行い、これを基に支援仮説を修正しました。  このような過程を通して、高次脳機能障害者の自己理解をどのようにとらえ、どのように支援を選択していくことが望ましいのかを整理した「支援ポイント」をまとめました。 3 「支援ポイント」の概要  調査研究を通してまとめた「支援ポイント」の概要をご紹介します。 (1)自己理解をとらえるための視点 @ 「自己理解」という言葉に含まれる多様な意味  就職・復職等の支援にたずさわっている担当者が「自己理解」と表現している内容には、じつにさまざまな意味が含まれています。例えば、自身の特性についての知識(例:覚えることが苦手である)をさすこともあれば、その特性が及ぼす影響についての知識(例:覚えることが苦手なため、業務指示を忘れる場合がある)をさす場合や現実的予測(例:覚えることは苦手でも受障前に担当していた業務は問題なくできるはずだ)をさす場合もあります。これらは、「自己理解」と一言で表現される場合が多いと思われますが、それぞれ少しずつ違っています。  また、一般的に意識されることは少ないかもしれませんが、現在行っている仕事ができているかどうか自分で評価する力(セルフモニタリングと言い、この仕事がうまくできている・できていないといった自己評価につながります)や、今現在行っている仕事がどれくらい自分でできそうなのか判断したうえで、必要なサポートや工夫(メモを取るなどの障害を補う方法の実践)を判断する力といった、課題(仕事)への適応力に影響するような力も自己理解を構成する一つの側面であるという知見があります。このように、自己理解にはさまざまな側面があることから、自己理解の問題を一括りにせずに、どの側面が課題になっていて、どの側面を深める必要があるのかという詳細なアセスメントが必要です。 A 自己理解に影響する背景要因を考える  自己理解に影響する背景要因はさまざまです(図)。例えば、受障して医療リハビリテーションを終えた直後の状況では、いくら受障前の仕事の経験が豊富であったとしても、障害が仕事にどのように影響するのか理解することはむずかしいでしょう。また、脳機能の受障によって、自分自身を客観的に見る能力が低下しているという場合も多く見受けられます。このような場合、やみくもに仕事の経験を重ねても、障害や障害の影響等に気づくということはむずかしいかもしれません。  さらに、高次脳機能障害の自己理解の支援を行ううえで忘れてはならないのは、本人の心理的な受け入れがむずかしいということです。受障によって自分自身の能力に変化があったことを頭ではわかっていても、あまりにも急激な変化であるために無意識的に受け入れられないという状態に陥ることがあります。この場合、自己理解を深めさせようとするアプローチにより、ますます頑なになってしまうことが多く見受けられます。このように、自己理解を深めにくくする背景要因の違いにより、適切な支援のアプローチは異なります。したがって、背景要因を推察するためのアセスメントが重要になります。 (2)支援方法の選択  支援方法の選択は、ここまでに述べたようなアセスメントをふまえて行う必要があります。あわせて、次のような取組みを前提として行うことが重要です。 @支援対象者との信頼関係を構築すること A自己理解を深めることそのものに着目するのではなく、支援対象者が目標としていることや克服したいと思っていることに目を向けて支援すること Bできていることや、できるようになったことに着目して、それを生かせるよう支援すること C家族、医療機関、仲間等との関わりを通じて理解を深められるようにすること Dすぐに結果を出そうとするのではなく、長期的な視点をもって支援体制を整えていくこと E相談内容や支援内容は記録にとり、見える化して支援対象者と共有すること  このような前提をふまえたうえで、@自己理解を深めることに焦点をあてたアプローチを行っていくのか、A自己理解以外の部分に焦点をあててアプローチを行い結果的に自己理解を支援するのか(反復学習によって仕事に適応できるようにしていく、周囲の理解や関わり方を変えていく、受容的関わりやできていることに着目したアプローチにより自信をつけてもらえるようにする等)を、アセスメント結果に基づき判断していくことが重要です。 4 おわりに  本稿では「支援ポイント」の概要のみご紹介しましたが、調査研究報告書bP62(※2)では、この根拠となる調査の内容や、もう少し詳しい「支援ポイント」の内容を記載しています。ぜひご覧ください。また、今回ご紹介した「支援ポイント」のみダウンロードすることもできます。あわせてご活用ください。 ※1 O wnsworth, T., Clare, L., & Morris, R.(2006). An integrated biopsychosocial approach to understanding awareness defi cits in Alzheimer's disease and brain injury. Neuropsychological Rehabilitation, 16, 415-438.を参考に作成。調査研究報告書No.162に記載した図を簡略化して示した。 ※2 「調査研究報告書No.162」https://www.nivr.jeed.go.jp/research/report/houkoku/houkoku162.html ◇お問合せ先:研究企画部 企画調整室(TEL:043-297-9067 E-mail:kikakubu@jeed.go.jp) 図 自己理解に影響する背景要因(※1) 「自己理解」 生物学的要因 ●脳の損傷による直接的な影響 心理的要因 ●心理的苦痛への対処(心理的否認) ●受障前の性格等の影響 社会環境的要因 ●変化を認識するために必要な情報または機会の不足 ●障害を周囲に開示することで得るものより失うものが大きいと感じられる環境や状況 ●障害やキャリアに対する社会の価値観 【P12-14】 JEED インフォメーション 〜高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)からのお知らせ〜 職業センターで開発した支援技法をご紹介します 障害者職業総合センター 職業センター  障害者職業総合センター職業センターでは、発達障害者、高次脳機能障害者および精神障害者それぞれの障害特性や事業主のニーズに応じた新たな職業リハビリテーション技法の開発と改良を行っています。また、その成果を実践報告書、支援マニュアルに取りまとめて、幅広く普及を図っています。  令和4年度は、以下の3つの技法開発に取り組み、支援マニュアルに取りまとめます。 これまでの成果物の詳細は、ホームページをご参照ください。 https://www.nivr.jeed.go.jp/center/index.html 【発達障害がある方への支援技法】 発達障害者の強みを活かすための相談・支援ツールの開発  令和4年度は、一般的にポジティブな自己概念や感情を持ちづらいといわれている発達障害者の自己肯定感を高めることを目的として、「WSSP版強み育成プロジェクト」と称し、発達障害者が自身の「強み」に目を向け、それを日常的に活用できることを目ざした支援技法を開発し、支援マニュアルとして取りまとめます。  当プロジェクトは、「強みの理解をすすめる講習」、「強みの活用にチャレンジするホームワーク」等で構成され、これらの支援を効果的にすすめるために「強み」に着目した相談・支援ツールを開発します。自らの「強み」を育て、自己肯定感を高めることで、セールスポイントを的確に伝えたり、積極的な就職活動につなげることが期待できます。  巻末には、講習の音声付動画、就労支援現場で使いやすい各種資料を添付します。 【高次脳機能障害がある方への支援技法】 注意障害に対する学習カリキュラムの開発  令和4年度は、高次脳機能のうち記憶、情報処理等すべての認知機能の基盤となる注意機能に着目した支援技法を開発します。高次脳機能障害のある方が、@ご自身の注意障害の特徴を知り他者に説明できるようになること、A注意障害を補う対処方法を習得し、職場に求める配慮事項等を整理できるようになることを目的とした学習カリキュラムを開発し、支援マニュアルとして取りまとめます。  本カリキュラムでは、注意障害に対する知識を付与し、作業場面で生じる注意障害に起因する課題への気づきをうながします。そのうえで、注意障害の特徴に応じた対処方法を用いることにより課題の解決を試みたうえで、職場での配慮事項などをまとめた「注意の特徴まとめシート」を作成します。  巻末には、各種講習資料のほか、高次脳機能障害者や支援者にとって使いやすい各種資料を添付します。 【気分障害等の精神疾患で休職中の方への支援技法】 仕事の取組み方と働き方のセルフマネジメント支援  令和4年度は、うつ病等の休職者の職場復帰において、「健康的で安定した働き方」を目ざすための支援技法を紹介しています。@キャリア講習の改良、A働くうえで必要な基礎的な力を理解することを目的とした社会人基礎力講習の開発、Bテレワーク下での生活習慣や体調の自己管理、スケジュール管理等のセルフマネジメントに焦点を当てた講習を試行し、これらを支援マニュアルに取りまとめます。  巻末には、各種講習資料のほか、多角的にキャリアの振り返りが行えるワークシート、社会人基礎力レーダーチャート、テレワークで発生する課題への対処方法リストなどを添付します。 ※支援マニュアルは令和5年3月に発行を予定しています。 <お問合せ> 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター 職業センター 企画課 TEL:043-297-9043 「読者アンケート」結果発表!! ご協力いただきありがとうございました  日ごろより『働く広場』をご愛読いただき、ありがとうございます。今年度実施した読者アンケートでは、みなさまから多数のご意見・ご要望をいただきました。心よりお礼申し上げます。今号では読者アンケートの結果の一部をご紹介します。今後の企画・編集の貴重な資料として活用させていただき、よりよい誌面づくりに努めてまいりますので、引き続きご愛読をよろしくお願いします。 本誌に対する評価 ・「非常に参考になる」、「参考になる」と、88.7%の方から高い評価をいただきました。その理由に、「他社・他業種の取組みがわかる」、「就労支援における旬な話題や様々な特集が組まれている」などの意見が多数ありました。 ・参考になった記事では、「職場ルポ」、「編集委員が行く」、「クローズアップ」、「グラビア」、「この人を訪ねて」の順で人気がありました。 参考になった理由(代表的な理由) 【職場ルポ】 ・実際の対応や苦労された点がわかりやすい。 ・職場に定着できている方のインタビューなどが参考になる。 【編集委員が行く】 ・様々な組織における障がい者雇用、定着支援に関する先進事例、工夫等がよくわかる。 【クローズアップ】 ・配慮するポイントがわかりやすい。 【グラビア】 ・実際に従事されている様子が見られる事で、就労状況がイメージしやすい。 【この人を訪ねて】 ・違う価値観や支援方法を知ることができ、参考になる。 さらに充実を図ってほしい記事や内容 【職場ルポ】 ・もっと小規模の零細企業などの障害者雇用にも注目してほしい。 ・様々な困難をどのように乗り越えられたのか知ることができればありがたい。 【クローズアップ】 ・障害者雇用についての注意点や問題点、解決策などこれからも掲載して下さい。 【編集委員が行く】 ・障害がある方の働き甲斐、意欲の維持などについて、さらに多くの実例を得たい。 【ご回答者の勤務先】 民間企業 59.2% 障害者福祉施設(就労支援機関を含む)・団体 20.0% 学校・教育機関 6.2% 医療機関 4.2% 国、地方公共団体の機関 3.4% 個人 1.4% その他 5.6% 無回答 0.0% ※その他:介護福祉施設、社会福祉協議会、事業主団体 など 【「働く広場」は参考になっていますか?】 非常に参考になる 26.2% 参考になる 62.5% あまり参考にならない 5.1% 参考にならない 0.3% 無回答 5.9% (アンケート調査実施期間:通年、集計期間:2021年10月1日〜2022年9月30日) 今後取り上げてほしい内容、ご意見・ご要望 ・長期雇用におけるヒント。 ・ジョブコーチや定着支援でのフォローの実態。 ・病院や福祉施設での就業に関する取材記事を読みたい。 ・実際に現場で困ったこと、失敗したことのその後の対応など。 ・障害のある方の年代別、職種別、障害別などの切り口での課題や取り組み活躍事例。 ・障害者職業生活相談員の活躍事例を紹介してほしい。 ・障害者雇用率制度の今後の動向等について教えてほしい。 ・何より表紙が大好きで楽しみにしている。今後も継続してほしい。 今年度本誌で取り上げた内容については、30〜31ページの「記事索引」をご覧ください。 また、興味・関心のあるテーマについては、当機構ホームページに掲載しているバックナンバーもご覧ください。 働く広場 バックナンバー 検索 【P15-18】 グラビア 第10回国際アビリンピックへの挑戦! 三津橋幸勇さん、山本巧さん、小島未来さん、伊敷学さん、深見尚生さん 写真・文:官野 貴  2023(令和5)年3月22日(水)から25日(土)まで、フランス共和国メッス市において「第10回国際アビリンピック」が開催される。今大会では、24カ国の選手が44種目で職業技能を競い合い、日本からは17種目30人の選手が競技に挑む。派遣選手は、第36回から第39回の全国障害者技能競技大会(全国アビリンピック)の金賞受賞者も招へいし開催された、第40回全国障害者技能競技大会の成績優秀者から選出された。  「歯科技工」に出場する三津橋(みつはし)幸勇(ゆきお)さん(59歳)は、北海道札幌市で歯科技工士として働く技工歴38年のベテラン。国際アビリンピックへの参加を通して「なおいっそう技術を磨き、仕事にもその経験を活かしたい」と語る。  愛知県豊田市にある自動車メーカーの特例子会社からは、「英文ワープロ」で山本(やまもと)巧(たくみ)さん(39歳)、「写真撮影(屋外)」で小島(こじま)未来(みき)さん(23歳)の2人が出場する。山本さんは、「国際大会を最大限楽しみたい。挑戦するからには、金メダルを獲りたいです」。小島さんは、「いろいろな国の選手と感性を競う機会は滅多にないので楽しみたい。練習では撮影だけではなく、写真編集ソフトの操作にも力を入れています」と語る。  沖縄県南城(なんじょう)市の企業で働く伊敷(いしき)学(まなぶ)さん(35歳)は「コンピュータプログラミング」に挑む。「緊張していますが、特別な経験ができる貴重な機会ととらえています。日本代表として、よい成績を出したいです」と語る。  「家具(基礎)」に出場する深見(ふかみ)尚生(なおき)さん(20歳)は、「本番で練習の成果を発揮するために、練習の時点から完璧を目ざしていきたい」と語り、神奈川県横浜市にあるオフィス家具や店舗什器の製造を行う木工工場で働きながら、練習に取り組んでいる。  技能・技術を磨き、国際アビリンピックに挑む派遣選手の活躍に期待が集まる。 写真のキャプション 聴覚障害のある三津橋さんは、勤務先の顧問にすすめられてアビリンピックに出場。全国大会へと進み、金賞を獲得した 同僚とアビリンピックマスコットキャラクターのアビリスを囲んで記念写真 三津橋さんは、勤務先の歯科技工所で硬質レジン前装鋳造冠の作成を担当している 身体障害のある山本さんは、管理部門において社内OAやユーザーサポートなどを担当 国際アビリンピックに向けて、英字キーボードで練習を積む これまでの出題を分析、課題を想定してテクニックを磨く 聴覚障害のある小島さんは、初めての全国アビリンピックへの挑戦で金賞に輝いた 小島さんは、勤務先の業務部門で書類の電子化を担当している 写真の撮影だけではなく、写真の編集と印刷工程も重要な審査対象だ 精神障害のある伊敷さんは、当機構が運営する沖縄職業能力開発大学校でプログラミングを学んだ アビリスと一緒に 伊敷さんは、社員が使用するパソコンのセットアップ、トラブル対応を担当している 知的障害のある深見さんは、国立・県営鹿児島障害者職業能力開発校在籍時に全国アビリンピックに出場し、金賞を手にした 国際アビリンピックに向け、試作をくり返し完璧な仕上がりを目ざす 上司や先輩からの声援を受け、国際アビリンピックに臨む 【P19】 エッセイ 最終回 発達障害と就労 〜発達障害のある人たちの就労支援の学びから〜 特定非営利活動法人クロスジョブ クロスジョブ堺 副所長 砂川双葉 砂川双葉(すながわ ふたば) 特定非営利活動法人クロスジョブ クロスジョブ堺・副所長。社会福祉士、介護福祉士。2013(平成25)年、特定非営利活動法人クロスジョブに入社。就労支援員としておもに発達障害のある人の支援、障害者雇用を行う企業の支援を行う。2021(令和3)年、当機構の第29回職業リハビリテーション研究・実践発表会で、就労移行支援事業所におけるASD者のアセスメントと支援についての実践報告を発表している。 ふつう≠ノ見える努力  施設利用者からいわれた忘れられない言葉がある。「私は社会のなかでふつう≠ノ見えるように信じられないほどの努力をしています。定型発達者の世界から外れないように、失敗をしないように、張りつめた気持ちで日常生活を送っていることを知ってほしいです」。  その人は皆勤で訓練所に通い、熱心にメモを取り復唱や確認を行い、支援者からの助言を素直に取り入れ、すぐにでも就職ができる人だと評価をされていた。だれの目からも優等生≠ノ映るその人の本心を聞いたとき、私は支援者として、表面的にしかその人のことを見ておらず、できることを増やし続けることが成長や発達であると誤解していたように思う。また、アピールすることが多いほど企業就職には有利であると考え、課題をどんどんクリアしてもらう支援計画を立てていた。  自身の経験をふまえ、就労支援の現場を見ていると危ういと感じることがある。それは、企業や支援者側から問題行動と見られることに対し、発達障害のある人だけにその解決の努力を求めたり、本人の認知や行動を変えることが議論や支援の中心になることだ。企業に雇用されることを目ざすのであるから、企業の評価をフィードバックし、支援に活かしていくことは必要である。しかし、「〇〇ができないと企業では働けない」などと過度に集団生活へ適応させることは、彼らに我慢を強いたり、特性があることをネガティブな評価にしてしまう可能性があり適切とはいえない。発達障害は生来性の特性で、あくまで「違い」でしかない。それなのに和を重んじる日本の社会では「違い」ではなく、「集団に馴染まないもの」、「修正する必要があるもの」と認識されてしまうことに怖さを感じるのだ。  特性を活かし活躍する環境があれば、それは強みになり、困難さが生じやすい環境に身をおけば、特性が生きていくうえでの障害になっていく。例えば、ASD(自閉スペクトラム症)などの診断が出たからといって、その人がそこから永久的に「障害者」になるのではなく、取り巻く環境によって彼らの人生は変化するのである。支援者は、社会側が障害を生み出す構造になっていないか考察したうえで、社会側を調整する、あるいは、新しい社会の仕組みをつくることを議論の主軸にしなくてはならない。 支援者も成長していく  モリオさん(仮名)という男性がいた。彼はとにかく明るく元気で、大きな口を開けて笑う素敵な人だ。ただ、オフィスビル内にある訓練室では、彼の声量は大きすぎて適切ではないといわれた。うれしいことがあったり、伝えたいことがあるとボリューム調整がむずかしくなり、ケース会議ではその場に適した声量を視覚化したツールで支援することも検討されたが、本人と相談した結果、モリオさんの底抜けの明るさを活かした就労支援を目ざすことになった。  声が大きく、体力のあるモリオさんは飲食店のバックヤード作業に就いた。このお店はバックヤードのすぐそばに客席があるので、お客と直接かかわらない従業員も裏方から来店の挨拶を行っている。お客の来店とともに案内係の従業員が「お客さまがいらっしゃいました」と声を出すと、モリオさんはどの従業員よりも早く、元気な声で「いらっしゃいませ!」とお客を迎え入れる。雇用継続において、企業がモリオさんを最大限に評価しているのはこの声であり、彼も店における自分の存在が誇らしいようだった。  モリオさんが就職をしたのはこの飲食店が初めてのことで、就職前は漠然と「お金を貯めたい」と話していたが、就職してから数年後、「貯金は将来のお嫁さんと子どものために使いたい」とうれしそうに教えてくれた。自分の存在が必要とされる環境での就労を通じて、彼の心が豊かに育まれていることに感動した。  発達障害のある人の就労支援は、彼らが社会のなかでさまざまな人と交わりながら、新しく感じること、学習していることに触れることができ、彼らからの学びを通じて、支援者は成長していくのだと思う。また、発達障害のある人のがんばりがあるからこそ、日本の多様な働き方が進化しているということに感謝しながら、これからも日々の実践を積み重ねていきたい。 【P20-25】 「働く広場」 公開座談会 2022(令和4)年12月14日(水)に、当機構の東京障害者職業センターで開催された「働く広場」公開座談会の採録をお届けします。 令和4年度「働く広場」公開座談会 視覚障害者の雇用は今! 〜コロナ禍で変化している雇用環境に対する取組み〜 出席者 〈座長〉 石黒(いしぐろ)秀仁(ひでひと)さん 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構東京支部 東京障害者職業センター 所長 〈パネリスト〉 松本(まつもと)知之(ともゆき)さん アビームコンサルティング株式会社 人事総務グループ 人事ユニット マネージャー 福王(ふくおう)さやかさん アビームコンサルティング株式会社 人事総務グループ 人事ユニット シニアアソシエイト 井上(いのうえ)英子(えいこ)さん 視覚障害者就労生涯学習支援センター 代表 工藤(くどう)正一(しょういち)さん 社会福祉法人日本視覚障害者団体連合 総合相談室長 長谷川(はせがわ)秀樹(ひでき)さん 国立職業リハビリテーションセンター 職業訓練部 訓練第三課 上席職業訓練指導員 石黒 テレワークの拡大など、働き方が変化したコロナ禍において、視覚障害者の雇用環境も大きな影響を受けています。本日の座談会では、視覚障害者の雇用継続などにかかわる取組みについてお話をうかがい、視覚障害者の雇用の現状と課題について考えていきたいと思います。初めに、事例をご紹介いただきます。 四つのタスクを設定し、遂行には支援機関の協力も 松本 アビームコンサルティング株式会社の松本と申します。当社は1981(昭和56)年に創業した、日本に本社を置くアジア発のグローバルコンサルティングファームです。当社の経営理念のコアバリューには、「多様な個人の尊重(Power of Diversity)」がございまして、会社も社員もともに成長できる障害者雇用のあり方を目ざして、日々業務に取り組んでおります。本日は、当社が進める視覚障害者のキャリアチェンジの事例を紹介いたします。  当社では、2007(平成19)年に、社員の福利厚生の一環として、リラクゼーションルームでのマッサージを導入しました。施術をするヘルスキーパーの職種で、視覚障害のある方を雇用してまいりましたが、2020(令和2)年2月、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、安全配慮のためにリラクゼーションルームの一時閉鎖と、ヘルスキーパーの自宅待機を行いました。その後、感染状況の長期化、リモートワーク推進による在宅勤務率の向上により、2021年4月に、やむなくリラクゼーションルームの閉鎖を決定しました。同時に、ヘルスキーパーから事務職へのキャリアチェンジを支援するプロジェクトを発足しました。同年6月以降、外部の支援機関の協力を得ながら準備を重ね、2022年7月から業務のトライアルに取り組んでいます。プロジェクトの詳細について、福王から説明をさせていただきます。 福王 プロジェクトの期間は約1年間、プロジェクトチームのタスクは、大きく「教育訓練」、「環境整備」、「業務選定・トライアル」、「対象者フォロー」の四つを設定しました。「教育訓練」では、複数の訓練施設を見学のうえ選定し、入所手続きを進めました。「環境整備」では、業務上必要な就労支援機器やソフトウェアの選定・購入と、助成金の申請を行いました。「業務選定・トライアル」では、主治医の意見やパソコンスキルの習得状況などを確認しながら、訓練修了後に担当いただく業務を選定しました。選定後は実際の業務レクチャーとOJT、職場適応を支援するジョブコーチによるフォローなどのモニタリングを進めています。「対象者フォロー」では、定期面談の実施、随時の声がけなどで、業務や就業環境の変化に対する不安や心配事が解消するようフォローしてきました。  各タスクの進行には、外部支援機関のみなさまの助言や協力が欠かせませんでした。最初にご相談した東京障害者職業センターからの紹介で、本日ここにいらしている外部支援機関の専門家のみなさまとつながることができました。東京障害者職業センターでは、各外部支援機関への連携サポートに加え、パソコンスキルと業務習得に向けたサポートを手厚くするために、視覚障害専門のジョブコーチ活用をご提案いただきました。視覚障害者就労生涯学習支援センターでは、訓練施設の選定や、視覚障害者が遂行可能な業務選定についてのアドバイスをいただきました。本日ご登壇の井上さんには、視覚障害専門のジョブコーチとして定期的に当社へご来社いただき、現在も職場適応へのご支援をいただいています。また、メインの訓練機関の国立職業リハビリテーションセンターでは、本日ご登壇の長谷川さんにもお世話になりながら、6カ月間の教育訓練をご支援いただきました。前半3カ月間は就労支援機器の使い方やパソコンスキルを習得する基礎訓練、後半3カ月間は訓練修了後に担当予定の業務に合わせた課題を中心にご指導をいただきました。就労支援機器の購入にあたっては、中央障害者雇用情報センターの貸出制度(25ページ★)を活用することで、訓練先で使用した機器と会社のパソコンとの相性を事前に確認できました。独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の東京支部では、就労支援機器購入の助成金(※1)申請の手続きについてアドバイスをいただきました。  キャリアチェンジに挑戦する社員は現在、ウェブからの情報収集やExcel(エクセル)を使ったアンケートの集計などのパソコンを使った作業のほか、郵便物の振り分けや紙資料のPDF化などの目に負担のかからない作業も交えて、業務に取り組んでいます。今後も、基本的な合理的配慮の提供を継続しながら、個々人が安心してパフォーマンスを発揮できるよう、さらなる就業環境の整備を進めていきたいと思います。 事務職での就労に必要な就労支援機器や職業訓練とは 石黒 続いて、視覚障害者就労生涯学習支援センターの井上さんに、「就労支援機器の活用、パソコン作業スキルなどを駆使した企業における支援現場の現状」についてお話をうかがいます。 井上 私からは実際に企業で使われている就労支援機器についてお話をさせていただきます。視覚障害者のパソコン作業を補完する代表的な就労支援機器の一つが、「JAWS(ジョーズ)」、「PC-Talker(ピーシートーカー)」といった画面読み上げソフトです。これらはWord(ワード)、Excel、PowerPoint(パワーポイント)、インターネットなどに対応し、「文字の読み上げ」、「漢字の詳細な説明」、「書式、行や列タイトルなどの情報提供」を行います。ZoomText(ズームテキスト)などの画面拡大ソフトを利用することもあります。また、Gmail(ジーメール)などメールの利用の際には、標準のHTML形式ではなく、簡易のHTML形式で表示することによって、操作を楽にするなどの工夫もできます。パソコンの操作は、タブキーなどのキー操作を駆使して行います。そのため、常に、いま手順のどの部分を実行しているのかを理解しながら、作業を進める必要があります。画面読み上げソフトなどの就労支援機器の利用には、その企業が利用しているサーバとの相性も大切になりますので、上司やメンター、同僚の方に加え、社内のシステム担当者にも、必要な配慮などについて、ご理解いただくことが大切です。  職場定着のためには、ビジネスに必要な基本的なパソコン操作に加え、報告・連絡・相談の能力、ビジネス文書やメールを作成できる能力など、一般的なビジネススキルや漢字能力なども必要になります。また、当事者がご自身で、自分の見え方の特性などについて説明をして、必要な就労支援機器やサポートを相手に伝えられる能力も大切だと感じます。視覚障害者とともに働く周囲の人にも、視覚障害体験用シミュレーションゴーグルなどを使用して見えにくさを理解したうえで、視覚的な判断を要する場面でのサポートや画面読み上げソフトの使い方や読みやすい書式などへの理解や配慮が求められます。また昨今、増えている在宅勤務には、システム担当者の協力が不可欠です。 石黒 次に国立職業リハビリテーションセンターの長谷川さんに、「視覚障害者に対する職業訓練の概要」についてお話をうかがいます。 長谷川 国立職業リハビリテーションセンターは、国が設置した障害者のための職業訓練施設です。視覚障害者を対象とした「視覚障害者情報アクセスコース」(※2)では、就職や復職、就労の継続などのために就労支援機器などを活用して、事務に必要なパソコンスキルを習得します。視覚障害者は、パソコンのマウスの使用が困難なため、キーボードによる操作やWindows(ウィンドウズ)の設定も含めて学びます。おもな訓練内容は、ExcelやWord、PowerPoint、Outlook(アウトルック)(メール)、インターネットの利用など。さらに、Excelのマクロ設定やAccess(アクセス)などの高度なスキルも習得します。また、紙資料をスキャンしてPDFデータ化し、OCRと呼ばれる文字を認識する機器の使用方法なども習得します。これにより、視覚に障害のある人も、「給与にかかわるデータ集計」、「人事データ更新」、「採用業務」など、さまざまな業務に従事することが可能になります。  訓練は、事業主からの利用申請を受け、当事者の特性(見え方など)を把握し、職業リハビリテーション計画を策定したうえで実施します。復帰後の職務を想定した訓練が行われるとスムーズな復職につながります。また、訓練修了後も、フォローアップという形で、地域障害者職業センターのジョブコーチや職業訓練指導員が職場を訪問して、支援を継続しています。 視覚障害者の就労の現状と課題とは 石黒 最後は、日本視覚障害者団体連合総合相談室長の工藤さんから「視覚障害者の就労の現状と課題」について、発表していただきます。 工藤 私は、労働省(当時)在職中の1981年にベーチェット病を発病し、1987年に失明。6カ月間の職業訓練を受けた後に、職場復帰しました。その後は公務員として、障害者雇用にたずさわるのと同時に、1995年に、継続雇用を支援するための当事者による支援団体「中途視覚障害者の復職を考える会(現:認定NPO法人タートル)」を発足し、就労相談などを続けています。また、2015年より、「日本盲人会連合(現:日本視覚障害者団体連合=日視連)」に非常勤嘱託職員としてたずさわっています。  タートルに寄せられた2021年度の相談件数は、実人数で190件ありました。そのうち65人が網膜色素変性症、35人が緑内障です。相談後に、就労を継続できている人が51%、復職・再就職をしている人が13%、訓練中の人が7%などとなっています。最近は、在職している方の相談が増えています。これは、ロービジョンケア(保有視機能を最大限活用して、視覚障害者のクオリティオブライフ=QOLの向上を目ざす眼科リハビリテーション)が早期に開始されることにより、相談につながることが増えたからだと考えられます。障害の診断を受けたら早期に相談を開始することと、眼科医や産業医、関係機関と連携していくことが大切です。  日視連では、将来的に、イギリスの眼科などで活用されている「ECLO(エクロ)=Eye Clinic/Care Liaison Officer(眼科で直接支援する仕組み/支援する人)」の資格にならい、眼科にかかったときから、専門家から必要な支援につながる日本版エクロ(ECLO)制度の実現を目ざしています。  今回の座談会のテーマの副題は、『コロナ禍で変化している雇用環境に対する取組み』ですが、日視連に寄せられた年間約2000件の相談のうち、就労にまつわる相談を見てみると、2020年、新型コロナウイルス感染症の感染拡大当初の相談件数が突出しており、鍼灸(しんきゅう)マッサージの営業所から、衛生管理や経営にまつわる相談が多く寄せられていました。その後は、企業内のヘルスキーパーや訪問マッサージの仕事に就く方から、自宅待機や休業が続くことによる将来への不安などの相談が多く寄せられています。また、事務職では、ICT 環境の変化やテレワークの導入による相談が多く寄せられています。  障害者の雇用政策は、全体としては拡充傾向が続いていますが、視覚障害に関しては、「専門のジョブコーチがいない」、「リハビリテーションや訓練を受けたくても実施施設がかぎられている」などの厳しい現状があります。そのため、特別対策として、「視覚障害者の就労に対応できる支援者の養成と確保」、「視覚障害者向け在職者訓練を含む職業訓練の普及に向けた取組み」、「ICT技術革新やデジタル革新に対応した支援」、「障害者雇用納付金制度に基づく助成金(※3)を増やして通勤支援を充実させること」、『目が見えない=仕事ができない』という固定観念を払拭するために「視覚障害者の就労に関する調査研究や情報発信」を行うこと、「視覚障害のある公務員に対する実態調査の実施」の6項目を提言したいと思っています。視覚障害のある優秀な人材を活用できる社会になってほしいと願います。 視覚障害者の活躍できる職場環境をつくるために 石黒 ここからは、事前にいただいたアンケートの回答をもとに、議論を深めてまいります。「視覚障害者に適した業務の切り出し方法」について質問をいただきましたが、いかがでしょうか。 福王 新規の業務切り出しはせず、「すでにほかの社員が行っている業務であること」、「納期が短納期ではないこと」、「難易度が高すぎないこと」の3条件をベースに、目に負担がかからないようあまりパソコンを使わない業務も混ぜながら、担当業務を決めました。今後は、ただ同じ業務をずっと担当するのではなく、個々人の志向性や成長促進をふまえながら、担当業務の変更を検討していきます。 長谷川 音声読み上げソフトを使えば、視覚障害のある方もビジネス系のパソコンソフトの操作が可能になります。企業によっては、専用のシステムを利用していることもありますので、その場合には私どもが訪問して、業務の切り出しの相談をさせていただきます。拡大読書器があるとデータ入力ができますし、議事録などの文字起こしなども、事務職に慣れていない方に提案することの多い業務の一つです。 井上 他部門に声がけして、業務選定をした事例もあります。その都度、ジョブコーチや指導員などが支援にうかがうことが大切です。 石黒 就労支援機器の導入にあたっての留意点を教えてください。 長谷川 一口に音声読み上げソフトといっても、多種類あります。代表的なソフトの一つのJAWSは、使い勝手がよいのですが、導入にあたって、高スペックなパソコンを用意する必要があります。その企業のシステムとの相性もあるので、まずは当機構中央障害者雇用情報センターの貸出制度でお試しいただだくのがよいと思います。 視覚障害者とのコミュニケーションにおいて、求められる配慮とは 石黒 視覚障害者とのコミュニケーションについても、多くの質問が寄せられています。  例えば「集合研修における配慮」であれば、ご本人とすり合わせて、座席の位置を工夫する、事前に内容をテキストデータなどで共有する、講師の方も「これ」とか「それ」といった指示語をなるべく使わないようにすることなどが考えられますが、日常的には、どのようなことに心がけていらっしゃいますか。 松本 個々人の見え方の特性を理解し、ていねいに会話することが大切だと考えています。音声情報だけで伝えたい内容の理解を深めるのは、とてもむずかしいことだと思うので、粘り強く話すことが必要です。例えば、できるかぎり詳細かつ具体的に伝える、理解が追いつかないまま置いてきぼりになっていないか適宜確認する、オンライン会議では相手のパソコン画面を一緒に見ながら話すなどの工夫をしています。 工藤 視覚障害は、情報障害です。一人ひとりの見え方に合わせた配慮が必要だと思います。例えば、周りの状況が視覚で確認できないので、慣れない場所に行く際などには、周りの状況を細かくガイドしてもらえると助かります。また、同席した相手がだれなのかわからない状況もありえますので、挨拶や声がけなどで、名乗っていただけると助かります。 視覚障害者が活躍する職域の未来とは 石黒 次に、視覚障害者の今後の職業や支援のあり方についてうかがいたいと思います。「ヘルスキーパーとしての入社の機会は、減少するのか」いう質問をいただいておりますが、いかがでしょうか。 工藤 リモートワークの導入により、一時ヘルスキーパーの自宅待機などがありましたが、いまは出社を再開している企業がほとんどです。盲学校などの先生に確認したところ、ヘルスキーパーの求人自体はあるそうです。しかし、厚生労働省の発表している2010年以降の就職状況のデータを見ていると、視覚障害者の就職は横ばいから減少気味で、ヘルスキーパーの就職が減っている様子もうかがえます。 石黒 学校や支援機関に対して、伝えたいことなどはありますか。 井上 教育機関のあり方と業務で求められるスキルに隔たりを感じます。そこへのていねいな支援が必要だと考えます。また、企業に対しては、職場実習やインターンシップの際に、就労支援機器の導入やジョブコーチの配置などの先を見すえた準備をしていただけるとありがたいと思います。 石黒 視覚障害者の活躍の場は、伝統的な鍼灸マッサージのほかにも事務職、専門職など、私たちの想像以上にさまざまな職種に広がっているという調査結果もございます。最近注目されている職域について、コメントをいただけますか? 工藤 全盲の方で、電話を使用した営業業務を行っている事例があります。また、カウンセラーのような相談業務も注目されています。学校をターゲットにした講演を仕事にされている方もいらっしゃいます。ハンデもありますが、逆に強みもあるのではないかと思います。 石黒 最後に、視覚障害者の雇用継続にかかわるサービスについて、こんなふうに活用するとよいといったアドバイスがあればお願いします。 松本 企業だけで抱えこまずに、まずは、地域障害者職業センターに相談しましょう。必要に応じて外部の支援機関や専門家につないでもらいながら、全体感を持ったサポートを受けることがおすすめです。 長谷川 離職後に職業訓練を受けられた方からは、「在職中に訓練を受けていたら、前の職場にいられたかもしれない」という言葉が聞かれます。まずは在職中に相談をしていただくのがよいと思います。 石黒 当事者や事業主のニーズに対して、関係者が連携してタイムリーかつ的確な支援を行えるようにすることが雇用の安定につながることを再確認できました。ありがとうございました。 ※1 障害者作業施設設置等助成金 https://www.jeed.go.jp/disability/subsidy/shisetsu_joseikin/index.html ※2 ビジネス情報系「視覚障害者情報アクセスコース」 https://www.nvrcd.jeed.go.jp/person/training/business/index.html ※3 各種助成金 https://www.jeed.go.jp/disability/subsidy/index.html 就労支援機器の説明会を開催!  公開座談会終了後に、視覚障害者の就労支援機器についての説明会が行われました。  来場者は、機器の実物を手に取って試しながら、就労支援機器についての理解を深めていました。  就労支援機器に関するご相談や貸出制度などについては、当機構ホームページ(★)をご覧ください。 ★中央障害者雇用情報センターのごあんない https://www.jeed.go.jp/disability/employer/employer05.html 写真のキャプション 石黒秀仁さん 松本知之さん 福王さやかさん 井上英子さん 長谷川秀樹さん 工藤正一さん パネリストたちの発表や発言に会場の参加者も熱心に耳を傾けた 【P26-29】 省庁だより 農福連携の推進について 農林水産省 農村振興局 都市農村交流課 1 広がりを見せる農福連携  農業の担い手の不足という課題を抱えている農業分野、障害者の働く場が少ないという課題を抱えている福祉分野、それぞれが手を結び合い連携することで、双方の課題を解決できるのではないかとの考えから、農福連携の取組が推進されてきており、現在、様々な形で取組が広がってきています。  農福連携と聞くと、農業者が障害者を雇用する形、障害者就労施設が農業生産や農産加工に取り組む形を、まずはイメージするのではないかと思いますが、それ以外にも、障害者就労施設が農業者の元に出向き、農作業の一部を請け負う事例、特例子会社が農業に参入する、もしくは地域の農作業を請け負う事例、農業者と障害者就労施設のニーズを農協がマッチングする事例、食品関連企業が農業者や障害者就労施設と連携して新たな品目の栽培を手掛ける事例、地域協議会が農福連携の専門人材育成に取り組む事例など、地域の実情や課題に則した様々な農福連携の形が生まれてきています。 2 農福連携のメリット  農福連携の取組が広がってきているのは、農業分野、福祉分野双方の課題解決につながるいわゆるwin・winの関係にあり、農福連携に取り組むことによるメリット、効果があることも分かってきています。  例えば、雇用などにより障害者を受け入れ農福連携に取り組んでいる農業者のうち約8割は、「障害者を受け入れて貴重な人材となった」、同じく約8割は、「年間売上が増加した」と回答しており、実際に農福連携を実践している農業者は、農業経営に及ぼす効果を実感しているといえます。  一方で、農業に取り組む障害者就労施設の約9割は障害者が農業に携わることで効果があったと回答しており、「施設を利用する障害者に体力がついて長い時間働けるようになった」、約6割が「障害者の表情が明るくなった」、「感情面で落ち着いてきた」、「意欲が向上した」と回答しています。  それ以外にも、「コミュニケーション力が向上した」、「地域住民と交流する機会が増えた」、「自分で判断できるようになった」などの回答もあり、仕事への取組姿勢への効果もあることがうかがえ、就労訓練としての農業も期待されています。 3 農福連携推進の方向性  このように農福連携は、障害者が農業分野での活躍を通じ、自立や生きがいを持って社会参画していく取組であり、障害者の就労機会の創出となるだけではなく、農業分野の新たな働き手の確保につながる取組であり、これを通じて農業・農村の維持発展につながることが期待されています。この農福連携を強力に推進するため、2019(令和元)年に官房長官を議長とする「農福連携等推進会議」が設置され、今後の推進の方向性が「農福連携等推進ビジョン」として取りまとめられました(28ページ)。農福連携の裾野を広げるためには、現場において@知られていない、A踏み出しにくい、B広がっていかないという課題があることから、それぞれの課題に対して、3つのアクションを提起し、@認知度の向上のため、農福連携のメリットの客観的な提示、国民全体に訴えかける戦略的プロモーション、A取組の促進のため、ワンストップで相談できる窓口体制の整備、農福連携を進める専門人材の育成、B取組の輪の拡大のため、各界の関係者が参加するコンソーシアムの設置などに取り組むこととしています。  近年、農福連携は、障害者だけではなく、高齢者の支援や生活困窮者の就労訓練など、広がりのある取組となってきています。また、犯罪や非行をした者の立ち直り支援の方策のひとつとしても農業が注目されています。さらに、農業のみならず林福連携、水福連携の取組が見られるなど、「農」、「福」の双方において、従来の枠組にとらわれない取組が展開され始めてきており、ビジョンにおいても、今後、農福連携における「農」と「福」のそれぞれの広がりを推進していくこととしています。 4 農福連携等応援コンソーシアムの取組  農福連携の取組の輪を拡大するために設置した「農福連携等応援コンソーシアム」(図1)では、全国で農福連携に取り組む団体・企業や個人を募集し、農福連携の優れた取組を表彰し、その横展開を図る取組として「ノウフク・アワード」を2020(令和2)年から実施するとともに、2021(令和3)年からは、「異なるものとつながる力!」を合言葉に各界が連携し、対話を通じて社会課題の解決や、新たな価値創造を図るプラットホームである「ノウフク・ラボ」を立ち上げる等の取組を進めることにより、農福連携の全国的な展開につなげることとしています。  また、2021(令和3)年10月には、TOKIO城島(じょうしま)茂(しげる)さんに「ノウフクアンバサダー」に就任いただき、前述の取組のほかノウフク・マルシェ等の様々な活動にご参画いただいています。  農福連携の推進に向けては、今後も様々な取組を進めてまいりますので、その詳細につきましては、WEBの情報も是非ご参照下さい。 ノウフクWeb ノウフク・アワード 農福連携等応援コンソーシアム ノウフク・ラボ 5 農福連携等推進ビジョン(概要)  令和元年6月4日「第2回農福連携等推進会議」において決定 T 農福連携等の推進に向けて  農福連携は、農業と福祉が連携し、障害者の農業分野での活躍を通じて、農業経営の発展とともに、障害者の自信や生きがいを創出し、社会参画を実現する取組  年々高齢化している農業現場での貴重な働き手となることや、障害者の生活の質の向上等が期待  農福連携は、様々な目的の下で取組が展開されており、これらが多様な効果を発揮されることが求められるところ  持続的に実施されるには、農福連携に取り組む農業経営が経済活動として発展していくことが重要で、個々の取組が地域の農業、日本の農業・国土を支える力になることを期待  農福連携を全国的に広く展開し、裾野を広げていくには「知られていない」「踏み出しにくい」「広がっていかない」といった課題に対し、官民挙げて取組を推進していく必要  また、ユニバーサルな取組として、高齢者、生活困窮者等の就労・社会参画支援や犯罪・非行をした者の立ち直り支援等、様々な分野にウイングを広げ、地域共生社会の実現を図ることが重要(SDGsにも通じるもの)  農福連携等の推進については、引き続き、関係省庁等による連携を強化 U 農福連携を推進するためのアクション 目標:農福連携に取り組む主体を新たに3,000創出※ ※令和6(2024)年度までの目標 1 認知度の向上  ・定量的なデータを収集・解析し、農福連携のメリットを客観的に提示  ・優良事例をとりまとめ、各地の様々な取組内容を分かりやすく情報発信  ・農福連携で生産された商品の消費者向けキャンペーン等のPR活動  ・農福連携マルシェなど東京オリンピック・パラリンピック等に合わせた戦略的プロモーションの実施 2 取組の促進 ○農福連携に取り組む機会の拡大  ・ワンストップで相談できる窓口体制の整備  ・スタートアップマニュアルの作成  ・試験的に農作業委託等を短期間行う「お試しノウフク」の仕組みの構築  ・特別支援学校における農業実習の充実  ・農業分野における公的職業訓練の推進 ○ニーズをつなぐマッチングの仕組み等の構築  ・農業経営体と障害者就労施設等のニーズをマッチングする仕組み等の構築  ・コーディネーターの育成・普及  ・ハローワーク等関係者における連携強化を通じた、農業分野での障害者雇用の推進 ○障害者が働きやすい環境の整備と専門人材の育成  ・農業法人等への障害者の就職・研修等の推進と、障害者を新たに雇用して行う実践的な研修の推進  ・障害者の作業をサポートする機械器具、スマート農業の技術等の活用  ・全国共通の枠組みとして農業版ジョブコーチの仕組みの構築  ・農林水産研修所等による農業版ジョブコーチ等の育成の推進  ・農業大学校や農業高校等において農福連携を学ぶ取組の推進  ・障害者就労施設等における工賃・賃金向上の支援の強化 ○農福連携に取り組む経営の発展  ・農福連携を行う農業経営体等の収益力強化等の経営発展を目指す取組の推進  ・農福連携の特色を生かした6次産業化の推進  ・障害者就労施設等への経営指導  ・農福連携でのGAPの実施の推進 3 取組の輪の拡大  ・各界関係者が参加するコンソーシアムの設置、優良事例の表彰・横展開  ・障害者優先調達推進法の推進とともに、関係団体等による農福連携の横展開等の推進への期待 V 農福連携の広がりの推進  「農」と「福」のそれぞれの広がりを推進し、農福連携等を地域づくりのキーワードに据え、地域共生社会の実現へ 1 「農」の広がりへの支援  林業及び水産業において、特殊な環境での作業もあることにも留意しつつ、障害特性等に応じた、マッチング、研修の促進、経営発展を目指す取組の推進、林・水産業等向け障害者就労のモデル事業の創設 2 「福」の広がりへの支援  高齢者、生活困窮者、ひきこもりの状態にある者等の働きづらさや生きづらさを感じている者の就労・社会参画の機会の確保や、犯罪や非行をした者の立ち直りに向けた取組の推進 6 農福連携関連予算 ●農山漁村振興交付金(農山漁村発イノベーション対策)のうち農山漁村発イノベーション推進・整備事業(農福連携型) 【令和5年度予算概算決定額9,070(9,752)百万円の内数】 〈対策のポイント〉  農福連携の一層の推進に向け、障害者等の農林水産業に関する技術習得、障害者等に農業体験を提供するユニバーサル農園※の開設、障害者等が作業に携わる生産・加工・販売施設の整備、全国的な展開に向けた普及啓発、都道府県による専門人材育成の取組等を支援します。 ※農業分野への就業を希望する障害者等に対し農業体験を提供する農園 〈事業目標〉 農福連携に取り組む主体を新たに創出 (3,000件[令和6年度まで]) 〈事業の内容〉 1.農山漁村発イノベーション推進事業(農福連携型) @ 農福連携支援事業  障害者等の農林水産業に関する技術習得、作業工程のマニュアル化、ユニバーサル農園の運用、移動式トイレの導入等を支援します。 【事業期間】2年間 【交付率】定額(上限150万円等) A 普及啓発・専門人材育成推進対策事業  農福連携の全国的な横展開に向けた取組、農福連携の定着に向けた専門人材の育成等を支援します。 【事業期間】1年間 【交付率】定額(上限500万円等) 2.農山漁村発イノベーション整備事業(農福連携型)  障害者等が作業に携わる生産施設、ユニバーサル農園施設、安全・衛生面にかかる附帯施設等の整備を支援します。 【事業期間】最大2年間 【交付率】1/2(上限1,000万円、2,500万円等) 図1 農福連携等応援コンソーシアムの構成 国民的運動として農福連携を進めるための機運を高める仕掛け 393の団体・企業が参画 (令和5年1月末現在) 農林水産業団体 ・全国農業協同組合中央会 ・全国農業協同組合連合会 等 福祉団体 ・全国社会就労センター協議会 ・日本知的障害者福祉協会 等 その他の団体 ・更生支援事業団 ・全国特別支援教育推進連盟 等 有識者 地方自治体 ・農福連携全国都道府県ネットワーク ・全国市長会 ・全国町村会 等 関係省庁 ・法務省 ・文部科学省 ・厚生労働省 ・農林水産省 民間企業(賛助会員) 経済団体 ・日本経済団体連合会 ・日本商工会議所 等 コンソーシアムの活動内容 (1)「ノウフク・アワード」選定による優良事例の表彰・横展開 (2)農福連携等を普及・啓発するためのイベントの開催 (3)農福連携等に関係する主体の連携・交流の促進 (4)農福連携等に関する情報提供 等 (提供:農林水産省) ※本誌では通常西暦で表記していますが、28〜29ページでは元号で表記しています 【P30-31】 『働く広場』記事索引 2022年4月号〜2023年3月号 本誌2022(令和4)年4月号から今号までの記事一覧です。記事は当機構ホームページからご覧になれます。 働く広場 バックナンバー 検索 月号 項目 【執筆者】/<取材先>タイトル 2022年4月号(No.534) 私のひとこと 【障害者雇用ドットコム代表、東京情報大学非常勤講師 松井優子さん】コロナ禍における障害者雇用の現状と課題〜企業に求められるこれからの障害者雇用とは〜 職場ルポ <株式会社舞浜コーポレーション>「協働・協育・協挑」を実現する職場づくり クローズアップ はじめての障害者雇用U〜障害のある人が働きやすい職場づくり〜第1回 JEEDインフォメーション 令和4年度 障害者雇用納付金制度に基づく申告申請が令和4年4月1日から始まります グラビア <シスメックスハーモニー株式会社>安心して働ける職場〜医療機器の生産をサポート〜 エッセイ 【姫野桂】発達障害当事者の働きづらさのリアル 第4回〜発達障害自体よりも厄介? 二次障害とのつき合い方〜 編集委員が行く 【平岡典子】<宮城県立支援学校小牛田高等学園、宮城県立支援学校岩沼高等学園>宮城県の特別支援学校の取組みから考える障がいのある子どもたちの自立 省庁だより 令和3年 障害者雇用状況の集計結果@ 研究開発レポート 第29回職業リハビリテーション研究・実践発表会Part1 特別講演「コロナ禍における変化とチャレンジ〜障害者雇用の現場から考える〜」 2022年5月号(No.535) この人を訪ねて <ソーシャルハートフルユニオン 書記長 久保修一さん>働く障害者と、雇用側に求められるもの 職場ルポ <株式会社栄和産業>一人ひとりに合わせた実習で、身につく自信 クローズアップ はじめての障害者雇用U〜障害のある人が働きやすい職場づくり〜 第2回 視覚障害 JEEDインフォメーション 国立職業リハビリテーションセンター 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター 訓練生募集のお知らせ/令和4年度「地方アビリンピック」開催地一覧/作品募集 令和4年度 絵画コンテスト 働くすがた 〜今そして未来〜・写真コンテスト 職場で輝く障害者 〜今その瞬間〜 グラビア <TAKEUCHI株式会社、国立職業リハビリテーションセンター>習得した知識・技能を職場で活かす 〜国立職業リハビリテーションセンター修了生の活躍〜 エッセイ 【姫野桂】発達障害当事者の働きづらさのリアル 最終回 〜発達障害者が働きやすい職場とは?〜 編集委員が行く 【八重田淳】<MS&ADアビリティワークス株式会社>「障害ではなく能力を見よ」 省庁だより 令和3年 障害者雇用状況の集計結果A 研究開発レポート 第29回職業リハビリテーション研究・実践発表会Part2 パネルディスカッション T「メンタルヘルス不調者による休職者への対応〜職場復帰支援を考える〜」 U「職務創出とその支援〜障害者雇用をしていくために〜」 2022年6月号(No.536) 私のひとこと 【障がい者総合研究所 所長 戸田重央さん】障害者のテレワークの現状と今後の見通しについて 職場ルポ <株式会社DTSパレット>個々の能力開発を図り、業務の幅も広げる クローズアップ はじめての障害者雇用U〜障害のある人が働きやすい職場づくり〜 第3回 聴覚障害 JEEDインフォメーション 2022年度(令和4年度)職業リハビリテーションに関する研修のご案内/令和4年度「地方アビリンピック」開催地一覧/障害者雇用を進める事業主のみなさまへ 就労支援機器をご活用ください! グラビア <株式会社JR東日本グリーンパートナーズ 戸田事業所>お客さまを意識して、きれいにきちんと エッセイ 【Kプランニング代表 戸原一男】多様でユニークな支援のあり方 第1回 「汗」と「才能」の世界 編集委員が行く 【阪本文雄】<NPO法人大阪精神障害者就労支援ネットワーク、アクアクララ北大阪>支援計画で課題を明確にメンタルのセルフケアを支援 省庁だより 障害者に対する就労支援の推進〜令和4年度障害者雇用施策関係予算のポイント〜 研究開発レポート 調査研究報告書No.160「障害のある労働者の職業サイクルに関する調査研究(第6期)」 2022年7月号(No.537) この人を訪ねて <株式会社オリィ研究所 所長 吉藤オリィさん>「分身ロボット」で、新しい働き方の実現を 職場ルポ <清水建設株式会社>障害のある社員の各部署への配属を通して、社内の意識改革や職場改善をうながす クローズアップ はじめての障害者雇用U〜障害のある人が働きやすい職場づくり〜 第4回 知的障害 JEEDインフォメーション 令和4年度 就業支援実践研修のご案内/令和4年度「地方アビリンピック」開催地一覧/障害者職業総合センター職業センター 令和3年度成果物のご案内 グラビア <株式会社クレール>クリーンクリーニングの技術で製造業を支える エッセイ 【Kプランニング代表 戸原一男】多様でユニークな支援のあり方 第2回 芸術活動は、仕事になるか? 編集委員が行く 【大塚由紀子】<日本理化学工業株式会社>障害のある社員が「働き続けたい」と願う職場づくりのヒント 省庁だより 令和4年度 障害保健福祉部予算の概要(1) 研究開発レポート 発達障害者のワークシステム・サポートプログラム 在職中又は休職中の発達障害者に対する作業管理支援 2022年8月号(No.538) 私のひとこと 【京都文教大学臨床心理学部 教授・産業メンタルヘルス研究所 所長 中島恵子さん】一見わかりにくい高次脳機能障害の特性と職場の理解促進〜高次脳機能障害の職場復帰支援〜 職場ルポ <株式会社アダストリア・ゼネラルサポート 群馬サポートセンター>各拠点に支援体制、ナチュラルサポート移行も クローズアップ はじめての障害者雇用U〜障害のある人が働きやすい職場づくり〜 第5回 精神・発達障害 JEEDインフォメーション “事例で見る”“動画で見る”『障害のある方への合理的配慮の提供』/2022年度(令和4年度)就業支援課題別セミナーのご案内 グラビア <株式会社コネクト>店舗を支える戦力に エッセイ 【Kプランニング代表 戸原一男】多様でユニークな支援のあり方 第3回 問題行動と「才能」は、紙一重 編集委員が行く 【三鴨岐子】<株式会社新陽ランドリー、株式会社加藤福祉サービス>「社員は家族。ともに働き、幸せに生きる」 省庁だより 令和4年度 障害保健福祉部予算の概要(2) 研究開発レポート 障害者の週20時間未満の短時間雇用に関する調査研究 2022年9月号(No.539) この人を訪ねて <和食ダイニング「わっ嘉」 店主 金子淳一郎さん>車いすユーザーが和食店を開店した理由 職場ルポ <株式会社Asahicho>縫製現場で技能を高め、検定やアビリンピックにも挑戦 クローズアップ はじめての障害者雇用U〜障害のある人が働きやすい職場づくり〜 第6回 地域障害者職業センターにおける企業向けの支援について JEEDインフォメーション ご活用ください!障害者の職業訓練実践マニュアル/障害者職業訓練推進交流プラザのご案内 グラビア 令和4年度 障害者雇用支援月間における絵画・写真コンテスト入賞作品「絵画コンテスト 働くすがた 〜今そして未来〜」「写真コンテスト 職場で輝く障害者 〜今その瞬間〜」 エッセイ 【Kプランニング代表 戸原一男】多様でユニークな支援のあり方 第4回 働き手の自主性を引き出す方法 編集委員が行く 【若林功】<国立大学法人筑波技術大学>視覚障害・聴覚障害のある職業人を輩出する「母港」としての大学 省庁だより 特別支援教育における就労支援の取組み 研究開発レポート 気分障害等の精神疾患で休職中の方のためのジョブリハーサルの改良 2022年10月号(No.540) 私のひとこと 【社会福祉法人日本介助犬協会 専務理事 蝸F子さん】補助犬とともに働く、楽しく安心して働き続けられる職場 職場ルポ <新明和ハートフル株式会社>現場を支える多様な業務が、従業員の活躍の場広げる クローズアップ はじめての障害者雇用U〜障害のある人が働きやすい職場づくり〜 最終回 合理的配慮の提供 JEEDインフォメーション 「障害者雇用納付金制度に基づく各種助成金」の活用事例/国立職業リハビリテーションセンター 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター 訓練生募集のお知らせ グラビア <ジオマテック株式会社 金成工場>梱包出荷をになう「優秀勤労障害者」 エッセイ 【Kプランニング代表 戸原一男】多様でユニークな支援のあり方 最終回 ありのままで良しとされる世界 編集委員が行く 【松爲信雄】<株式会社IHI、医療法人社団欣助会 吉祥寺病院>精神障害のある人への医療機関との連携による就労支援 省庁だより ハローワークを通じた「障害者の就職件数」が2年ぶりに増加 〜令和3年度 障害者の職業紹介状況等〜 研究開発レポート 「障害の多様化に対応した職業リハビリテーションツールの効果的な活用に関する研究」 2022年11月号(No.541) 職場ルポ <株式会社テルベ>地域に根ざした事業と連携でノーマライゼーションを実践 クローズアップ 職場内の支援体制の課題と対応 第1回 〜職場内の人的な支援体制の構築に向けて〜 研究開発レポート 「障害者雇用及び雇用継続において事業主が抱える課題の把握方法及び提案型事業主支援の方法に関する研究」の概要 JEEDインフォメーション 令和4年度就業支援スキル向上研修のご案内/『働く広場』公開座談会 視覚障害者の雇用は今!〜コロナ禍で変化している雇用環境に関する取組み〜/第42回全国アビリンピック開催のお知らせ グラビア <小林製薬チャレンジド株式会社>ものづくりをアシスト〜期待を超える品質への挑戦〜 エッセイ 【特定非営利活動法人クロスジョブ クロスジョブ堺 副所長 砂川双葉】発達障害と就労 第1回 〜働き続けるために必要なこと〜 編集委員が行く 【諏訪田克彦】<株式会社丸和>思いは人へ、そして環境へ〜人と地球にやさしい高品質な製品を提供する〜 省庁だより 令和4年版 障害者白書概要 2022年12月号(No.542) この人を訪ねて <全日本特別支援教育研究連盟顧問、東京学芸大学名誉教授 松矢勝宏さん>特別支援教育の変革とこれから 職場ルポ <株式会社旭化成アビリティ>事務補助から窯業まで、能力を活かし活気ある職場に クローズアップ 職場内の支援体制の課題と対応 第2回 〜社内全体の支援体制づくり〜 JEEDインフォメーション 障害者雇用を進める事業主のみなさまへ 就労支援機器をご活用ください!/障害者雇用のためのマニュアル・好事例集などのごあんない/「障害者雇用事例リファレンスサービス」を活用して本誌「働く広場」の掲載記事が探せます! グラビア <株式会社TBSスパークル、東京障害者職業センター 上野本所>当事者目線で映像コンテンツをつくる エッセイ 【特定非営利活動法人クロスジョブ クロスジョブ堺 副所長 砂川双葉】発達障害と就労 第2回 〜企業の雇用管理力をサポートする(1)〜 編集委員が行く 【金塚たかし】<日東精工株式会社、京都障害者雇用企業サポートセンター、日東精工SWIMMY株式会社、一般社団法人SPIS研究所>SPIS(Web日報システム)を通じ対話を深め、戦力化する 省庁だより 道路の移動等円滑化に関するガイドライン(概要版)(令和4年3月) 研究開発レポート 精神障害者である短時間労働者の雇用に関する実態調査〜雇用率算定方法の特例が適用される労働者を中心として〜 2023年1月号(No.543) リーダーズトーク 第6回<株式会社三井住友フィナンシャルグループ 人事部ダイバーシティ推進室長 河渕千紗さん>多様性そのものが競争力の源泉 一人ひとりが能力発揮できる土壌を 職場ルポ <株式会社立命館ぷらす>大学のキャンパスを拠点に、ごみ分別から建物清掃まで行う JEEDインフォメーション 令和5年度「障害者雇用納付金」申告および「障害者雇用調整金」等申請のお知らせ/「障害者雇用支援人材ネットワーク事業」のごあんない〜障害者雇用の専門家が企業のみなさまを支援します〜/第10回国際アビリンピック 派遣選手決定! グラビア <社会福祉法人白鳩会 第2花の木ファーム>食肉加工を通じて、地域とつながる エッセイ 【特定非営利活動法人クロスジョブ クロスジョブ堺 副所長 砂川双葉】発達障害と就労 第3回 〜企業の雇用管理力をサポートする(2)〜 編集委員が行く 【原智彦】<株式会社オート、社会福祉法人夢工房福祉会 ハルル、伸商機工株式会社、長野県長野養護学校>「地域」とは、地元の関係者のつながりを深めてこそ「地域」になる クローズアップ 職場内の支援体制の課題と対応 第3回 〜グループ企業の障害者雇用をサポート〜 研究開発レポート 高次脳機能障害者の復職におけるアセスメントの紹介 2023年2月号(No.544) 特集 グラビア アビリンピックルポ 入賞者一覧 第42回全国アビリンピック この人を訪ねて <ちばぎんハートフル株式会社 取締役社長 斎藤千草さん>従業員全員で「ともに成長する」職場を クローズアップ 職場内の支援体制の課題と対応 最終回 〜本社が店舗の障害者雇用をサポート〜 JEEDインフォメーション 令和5年度「障害者雇用納付金」申告および「障害者雇用調整金」等申請のお知らせ/障害者雇用納付金 電子申告申請システムが令和5年度申告申請から新しくなります/障害者雇用納付金関係業務調査のごあんない〜障害者雇用納付金制度を支える仕組みです〜 エッセイ 【特定非営利活動法人クロスジョブ クロスジョブ堺 副所長 砂川双葉】発達障害と就労 第4回 〜企業担当者と支援者の連携〜 編集委員が行く 【清水康史】<デンソー太陽株式会社、社会福祉法人太陽の家 愛知事業部>製造業の“障がい者雇用の質”について考えるヒント 2023年3月号(No.545) 私のひとこと <カエルデザイン合同会社 クリエイティブディレクター 高柳豊さん>障害のある人たちとともに海洋プラスチックを資源にカエル 職場ルポ <株式会社ヤオコー>スーパー各店舗に配属し、本社一括採用で細やかな支援 研究開発レポート 高次脳機能障害者の就職・復職等に係る自己理解の支援ポイント JEEDインフォメーション 職業センターで開発した支援技法をご紹介します/「読者アンケート」結果発表!! グラビア <三津橋幸勇さん、山本巧さん、小島未来さん、伊敷学さん、深見尚生さん>第10回国際アビリンピックへの挑戦! エッセイ 【特定非営利活動法人クロスジョブ クロスジョブ堺 副所長 砂川双葉】発達障害と就労 最終回 〜発達障害のある人たちの就労支援の学びから〜 公開座談会 令和4年度「働く広場」公開座談会 視覚障害者の雇用は今! 〜コロナ禍で変化している雇用環境に対する取組み〜 省庁だより 農福連携の推進について 【P32】 掲示板 高障求 メールマガジン登録受付中!  独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構では、全国で実施する高齢者や障害者の雇用支援、従業員の人材育成(職業能力開発)などの情報を、毎月月末に、配信しています。 雇用管理や人材育成の「いま」・「これから」を考える人事労務担当者のみなさま、必読! 高齢 定年延長や再雇用の取組 障害 障害特性に応じた配慮の方法 求職 ものづくり技術伝承や人材育成 みなさまの「どうする?」に応えるヒント、見つかります! JEED メルマガ で 検索 ※カメラで読み取ったリンク先がhttps://www.jeed.go.jp/general/merumaga/index.htmlであることを確認のうえアクセスしてください。 次号予告 ●この人を訪ねて  「あうわ」視覚障害者の働くを考える会(石川県)代表の林由美子さんに、地域全体での支援の土壌づくりなどについて、お話をうかがいます。 ●職場ルポ  株式会社リコーの特例子会社、リコーエスポアール株式会社(神奈川県)を訪問。障害のある人の職場定着施策として、人的サポートや作業環境の整備に取り組む現場を取材しました。 ●グラビア  NPO法人みのりが運営する多機能型事業所、領家グリーンゲイブルズ(埼玉県)を取材。視覚障害のある人たちが農業に取り組む様子をお伝えします。 ●編集委員が行く  平岡典子編集委員が、堀江車輌電装株式会社(東京都)を訪問。知的障害のある人の就労の様子と、雇用の現場を取材します。 公式ツイッターはこちら 読者アンケートはこちら 本誌購入方法 定期購読のほか、最新号やバックナンバーのご購入は、下記へお申し込みください。 1冊からのご購入も受けつけています。 ◆インターネットでのお申し込み 富士山マガジンサービス 検索 ◆お電話、FAXでのお申し込み  株式会社広済堂ネクストまでご連絡ください。  TEL 03-5484-8821  FAX 03-5484-8822 編集委員 (五十音順) 株式会社FVP 代表取締役 大塚由紀子 NPO法人大阪精神障害者就労支援ネットワーク 副理事・統括施設長 金塚たかし 岡山障害者文化芸術協会 代表理事 阪本文雄 トヨタループス株式会社 取締役 清水康史 武庫川女子大学 学生サポート室専門委員 諏訪田克彦 あきる野市障がい者就労・生活支援センターあすく センター長 原智彦 サントリービジネスシステム株式会社 課長 平岡典子 神奈川県立保健福祉大学 名誉教授 松爲信雄 有限会社まるみ 取締役社長 三鴨岐子 筑波大学大学院 准教授 八重田淳 常磐大学 准教授 若林功 あなたの原稿をお待ちしています ■声−−障害者雇用にかかわるお考えやご意見、行事やできごとなどを500字以内で編集部(企画部情報公開広報課)まで。 ●発行−−独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 発行人−−企画部長 飯田剛 編集人−−企画部情報公開広報課長 中上英二 〒261−8558 千葉県千葉市美浜区若葉3−1−2 電話 043−213−6216(企画部情報公開広報課) ホームページ https://www.jeed.go.jp/ メールアドレス hiroba@jeed.go.jp ●発売所−−株式会社広済堂ネクスト 〒105−8318 東京都港区芝浦1−2−3 シーバンスS館13階 電話 03−5484−8821 FAX 03−5484−8822 3月号 定価141円(本体129円+税)送料別 令和5年2月25日発行 無断転載を禁ずる ・本誌に掲載した論文等で意見にわたる部分は、それぞれ筆者の個人的見解であることをお断りします。また、本誌では「障害」という表記を基本としていますが、執筆者・取材先の方針などから、ほかの表記とすることがあります。 【P33】 第10回国際アビリンピック 開催迫る!!  2023(令和5)年3月22日(水)から3月25日(土)まで、フランス共和国メッス市にて開催される、第10回国際アビリンピックに日本から17種目30名の選手を派遣します。  派遣選手のみなさんは、国際アビリンピックでの上位入賞を目ざし、日々研鑽を重ねて大会に臨みます。  みなさまの応援、よろしくお願いいたします。 選手の職場での練習風景 家具(基礎) (写真:官野 貴) 歯科技工 (写真:官野 貴) 選手強化指導風景 洋裁(基礎) 【第10回国際アビリンピック開催日程・会場】 日程 2023年(令和5年) 3月22日(水) 開会式 23日(木) 競技会場確認 24日(金) 技能競技 25日(土) 技能競技、閉会式 会場 フランス共和国メッス市 式典会場:メッスアリーナ 競技会場:メッスエキスポ 大会ホームページ:https://abilympics2023.com/ (ビデオによるライブ配信予定) アビリンピック マスコットキャラクター アビリス 【お問合せ先】独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 雇用開発推進部 雇用推進課 TEL 043-297-9536 FAX 043-297-9547 E-mail kokusai2022@jeed.go.jp 【裏表紙】 作品募集! 令和5年度 「絵画コンテスト 働くすがた〜今そして未来〜」 「写真コンテスト 職場で輝く障害者〜今その瞬間〜」  毎年9月1日〜30日は、「障害者雇用支援月間」です。国民のみなさまに障害者雇用への理解と関心を深めていただけるよう、障害のある児童・生徒や働く障害のある方々を主な対象に「働くこと」をテーマとする「絵画コンテスト 働くすがた〜今そして未来〜」と、障害のある方の仕事をテーマとする「写真コンテスト 職場で輝く障害者〜今その瞬間〜」を実施します。厚生労働大臣賞受賞作品は、障害者雇用支援月間ポスターに使用し、全国のハローワークなどに掲示します。 3/1(水)〜6/15(木)締切・消印有効 詳しくはホームページの募集要項をご覧ください。 https://www.jeed.go.jp/disability/activity/contest/index.html ★過去のポスターや入賞作品などもご覧いただけます。 JEED 絵画写真 検索 令和4年度 障害者雇用支援月間における絵画・写真コンテスト 高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長賞受賞作品 【絵画コンテスト】小学校の部 「東急バスで、はたらきたい」 浅井 峻世さん(東京都) 東京都目黒区立碑小学校6年 【絵画コンテスト】中学校の部 「本屋の裏方」 長澤 矯海さん(長野県) 長野県長野ろう学校3年 【絵画コンテスト】高校・一般の部 「明るく元気で働いている姿」 佐々木 亮介さん(東京都) 第一生命チャレンジド株式会社 【写真コンテスト】 「確実で丁寧な作業」 岸本翔洋さん(愛知県) トヨタ車体精工株式会社 写真コンテストは、プロのカメラマン以外の方であればどなたでもご応募いただけます。 シンボルキャラクター“ピクチャノサウルス” (かおはカメラ、つのは絵筆をイメージしています) たくさんのご応募お待ちしています。 お問合せ先 雇用開発推進部 雇用開発課 TEL 043-297-9515 Email tkkike@jeed.go.jp 3月号 令和5年2月 25日発行 通巻545号 毎月1回25日発行 定価141円(本体129円+税)