【表紙】 令和5年9月25日発行・毎月1回25日発行・通巻第552号 ISSN 0386-0159 障害者と雇用 2023/10 No.552 職場ルポ 「可能性を限定しない」社訓のもと、働く意欲を戦力に 有限会社鹿屋電子工業(鹿児島県) グラビア 地域のリサイクルをになう 有限会社ローズリー資源(青森県) 編集委員が行く for others 人様のために 株式会社ナリスコスメティックフロンティア(兵庫県) この人を訪ねて 街なかの障害者アートがつくる共生社会 株式会社バウハウス 代表取締役、まちごと美術館cotocoto館長 肥田野正明さん 「しいたけの収穫」山形県・田澤(たざわ)拓夢(たくむ)さん 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) Japan Organization for Employment of the Elderly, Persons withD isabilities and Job Seekers 10月号 【前頁】 心のアート 難崖富士山(なんがいふじさん) 石栗仁之 (きぼう福祉園) 画材:紙、鉛筆、ボールペン、マーカー/サイズ:520mm×718mm  一見、淡彩の風景画のようだが、よく見るとびっしりと線が描き込まれている。そして、絵の隅には“スタート”と“ゴール”との文字がある。絵全体が迷路として描かれているのだ。小学校5年生のとき、友人が迷路を描いているのを見て「自分もできるのでは?」と描き始めた。  40色ほどのペンを常備し、0.3mm、0.5mmの太さを場所によって使い分ける。細すぎると途中で色がなくなるのが嫌で、この太さに落ち着いた。  40〜50日かけて描き込まれた線は、「富士山」の雄大さや風、自然の息吹を感じる。それは、その日の体調や気分で変化する筆圧によっても生まれる濃淡であり、石栗の息遣いを感じるようだ。  休日は散歩やDVD鑑賞をして過ごす。特にアクションや戦争映画を好む。 (文:まちごと美術館 cotocoto(ことこと)廣田(ひろた)千祐貴(ちゆき)) 石栗仁之(いしぐり・ひろゆき) 1988(昭和63)年生まれ。新潟県新潟市在住。 「社会福祉法人いぶきサポート協会きぼう福祉園」の就労継続支援B型事業所に通所し、就労している。 独自の視点と感性を迷路で表現する。 〇経歴 2016年 「アール・ブリュット展in長岡 -日々是好日 暮らしから生まれるもの-」(新潟県) 2016年 「第15回障害者芸術文化祭〜美術展〜(絵画部門)」県知事賞受賞(新潟県) 2017年 「ライフワークイズム ―日本のアール・ブリュット―」(滋賀県) 2017年 「第3回Art to You!東北障がい者芸術公募展」(宮城県)招待作家として出展 2018年 「アール・ブリュット◎高岡chapter3 らしくとままで」(富山県) 2018年 「ここから3―障害・年齢・共生を考える5日間」(国立新美術館・東京都) 2019年 「いろんなみんなの展覧会 たわわに、実る。」(岐阜県) 協力:まちごと美術館 cotocoto 【もくじ】 障害者と雇用 目次 2023年10月号 NO.552 「働く広場」は、障害者雇用の啓発・広報を目的として、ルポルタージュやグラビアなど写真を多く用いて、障害者雇用の現場とその魅力をわかりやすくお伝えします。 心のアート 前頁 難崖富士山 作者:石栗仁之(きぼう福祉園) この人を訪ねて 2 街なかの障害者アートがつくる共生社会 株式会社バウハウス 代表取締役、まちごと美術館cotocoto 館長 肥田野正明さん 職場ルポ 4 「可能性を限定しない」社訓のもと、働く意欲を戦力に 有限会社鹿屋電子工業(鹿児島県) 文:豊浦美紀/写真:官野 貴 クローズアップ 10 障害者雇用担当者のモチベーションアップ 第3回 〜障害者雇用担当者座談会(後編)〜 JEEDインフォメーション 12 「障害者雇用納付金制度に基づく各種助成金」の活用事例/国立職業リハビリテーションセンター 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター訓練生募集のお知らせ グラビア 15 地域のリサイクルをになう 有限会社ローズリー資源(青森県) 写真/文:官野 貴 エッセイ 19 相談員の苦悩と心得 第2回 日本相談支援専門員協会 顧問 福岡寿 編集委員が行く 20 for others 人様のために 株式会社ナリスコスメティックフロンティア(兵庫県) 編集委員 諏訪田克彦 省庁だより 26 ハローワークを通じた「障害者の就職件数」がコロナ禍以前の水準に向けさらに改善−令和4年度 障害者の職業紹介状況等− 厚生労働省 職業安定局 障害者雇用対策課 研究開発レポート 28 テレワークに関する障害者のニーズ等実態調査 障害者職業総合センター研究部門 事業主支援部門 ニュースファイル 30 編集委員のひとこと 31 掲示板・次号予告 32 訪問型・企業在籍型職場適応援助者養成研修(12月期) 表紙絵の説明 「これまで取り組んできた現場実習の写真のなかから、一番絵にしたいと思う一枚を選び描きました。自分が実習先でしいたけの収穫をしたときの姿です。見落としのないように、しいたけの菌床をしっかり確認し、手元に注視して作業したときの緊張感を思い出しながら描きました。真剣な様子が、目の表現に表せたように思います」 (令和5年度 障害者雇用支援月間絵画コンテスト 高校・一般の部 高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長賞) ◎本誌掲載記事はホームページでもご覧いただけます。 (https://www.jeed.go.jp/disability/data/works/index.html) 【P2-3】 この人を訪ねて 街なかの障害者アートがつくる共生社会 株式会社バウハウス 代表取締役、まちごと美術館cotocoto 館長 肥田野正明さん ひだの まさあき 1968(昭和43)年、新潟県生まれ。1992(平成4)年に「バウハウス」を創立、1996年に「株式会社バウハウス」設立、ビルメンテナンス事業を展開。2016年に「まちごと美術館cotocoto」事業を開始。同事業は2018年、公益財団法人にいがた産業創造機構の「第28回 ニイガタIDSデザインコンペティションIDS賞」を受賞。2020(令和2)年には「一般社団法人I have a dream」を発足、代表を務める。 心ひかれた油絵を購入 ――障害者アートのレンタル事業を始めることになったきっかけは、なんでしょうか。 肥田野 そもそも障害のある人たちとかかわりを持つようになったのは、私が代表を務めるビルメンテナンスの会社で「障害のある人を雇用してみたらどうか」と、就労支援機関にすすめられたのがきっかけです。小規模な会社ですが、「清掃業務は可能かもしれない」と受け入れてみました。結局、1年で3人辞めるなど失敗続きでした。ふり返れば当時は、現場でフォローできる人的な余裕がなかったと思います。  その一方、障害者雇用にかかわりながら、重度の障害のある人は特に就労がむずかしいことも知りました。なんとかできないかと思いあぐねていたころ、知人に誘われ障害者アートの展示会に行く機会がありました。そこでなんとなく心をひかれた油絵を見つけ、3万円ほどで購入したのです。会社の応接室に飾っておいたところ、来社するお客さんがみんな「これは何の絵?」などと聞いてくれました。こんなに関心を寄せてもらえるなら、もっと広く鑑賞してもらい、可能なら彼らの自立に少しでも役立ててほしいと思うようになったのです。  「作品自体を買うのはハードルが高いかもしれないが、レンタルなら続けられるはずだ」と、障害者アートを紹介してくれた知人らに事業提案をしました。具体的な実現の可能性を調べるため、地元企業が集まるイベントでアンケート調査を行ったところ、「やってみたい」との回答が97%、月々のレンタル料は「3千円」が最も多い56%でした。これならなんとかやれそうだと判断し、事業をスタートさせました。  貸し出すのは、額装した複写作品です。借りる側が作品管理に気を遣わず、私たちも数カ所同時に貸し出せるメリットがあります。この事業を「まちごと美術館cotocoto(ことこと)」と名づけ、まずは宣伝を兼ねて新潟市役所内で無料開催したところ、マスメディアなどに取りあげられたこともあって話題になりました。最初に契約してくれたのは老舗のお寿司屋さんです。そのお店に来店した、数多くの地元の経営者たちの目にとまり、次々と新規の申込みが来るようになりました。  1作品2カ月間(現在は3カ月間)からの契約ですが、多くの企業は、作品を替えながら1年、2年と継続してくれています。2016(平成28)年〜2022(令和4)年までの7年間で参加企業172社、設置枚数331枚、作者にお支払いした金額は計700万円ほどになります。 ――レンタル事業は、さまざまな手ごたえもあったようですね。 肥田野 職場や店舗などに障害者アートを飾ってもらうことで、それが一般のみなさんに障害のある人を知ってもらう「入り口」になるのですが、その先には、さまざまな効果も現れているようです。ある会社では「絵の話題をきっかけに会話が広がり、職場の人間関係の改善につながった」とか、またある会社では「取引先との商談に好影響を与えてくれた」といった話がありました。スーパーなどの商業施設にも飾っていますが、ある日、「作品を眺めているうちに、なぜだか涙が出てきました。どうもありがとうございます」と、お礼の電話がきたこともあります。  私たちが事業として大きな手ごたえを感じたのは、大手ファストフード企業とのコラボイベントです。新潟県内の20数店舗でいっせいに期間限定の店内展示をしました。1店舗あたり2作品で、フランチャイズの3店舗は年間を通じて飾ってくれています。さらに今年は、新潟県内の全店舗の店員が作品を使った特製缶バッジをつけることになり、その制作も作者が所属している施設に依頼することができました。  以前、大手コーヒーチェーン運営企業の方から聞いた興味深い話があります。聴覚障害のある人が働いていることで知られる東京都国立(くにたち)市の店舗は、障害のある人が全国から集まる聖地のような場所になっているのだそうです。「安心して来店できるから」といって、いわゆるサード・プレイスのような心地よい居場所として利用する人も多いと聞き、なるほどと思いました。私たちがコラボしているファストフード企業の店舗も、作品を描いた本人と家族が記念撮影のために来店してそのまま常連客になったり、お母さんたちがなにかと集まる場所になったりしています。  会社や店舗、商業施設などに障害者アートがあることで、そこが「障害のある人にも理解がある場所だ」と認識されますよね。来訪する心理的なハードルが下がり、新たなにぎわいを呼び込むこともあります。そうした変化が、共生社会の一つの形をつくっていくと考えています。 経済的自立と共生社会 ――肥田野さんたちの今後の活動について教えてください。 肥田野 レンタル事業をきっかけに、地元スーパーのプライベートブランドのパッケージデザインに採用された作品があります。そのスーパーの商品群は地産地消やSDGsに配慮していて、作者や家族からは「ストーリーのある商品に、自分たちについても深く考えてくれた結果であることがうれしい」といわれました。  また最近は、つながりができた各地の福祉施設などと一緒に、授産製品のブランディング販売事業も始めています。これまでは地元の役所や催事場などで買ってもらっていたかもしれませんが、本来の商品価値をうまく引き出せるよう販売方法を工夫すれば、新潟県のお土産や贈答品として選んでもらえるようになるはずです。  私たちはレンタル事業を始めたときから、障害のある人の持続可能な経済的自立に向けた一助になることを目ざしていました。親御さんからはよく、「自分たちが亡くなった後の生活が心配だ」という声を聞きます。いまはお小遣い程度かもしれませんが、少しでも永続的な収入として安心材料の一つになればと思っています。  「まちごと美術館cotocoto」については、県内の数多くの企業に利用してもらうことで広く知れわたるようになりました。全国にも同じように作品を描いている障害のある人や施設が数多くあり、そのまま埋もれてしまっている、もったいない作品もあります。他県の団体などから相談も受けているので、地域に合わせた事業スキームを展開する検討をしています。  なによりも私たちの事業は、共生社会の実現が大きな目的です。より多くのみなさんに、より多くの障害者アート作品を気軽に楽しんでもらえる場を、これからもそれがあたり前のように提供し続けられるよう、努力していきたいと考えています。 ※今号より「心のアート」で、まちごと美術館cotocoto様のご協力のもと作品を紹介していきます(全5回予定)。ぜひご鑑賞ください 【P4-9】 職場ルポ 「可能性を限定しない」社訓のもと、働く意欲を戦力に ―有限会社鹿屋電子工業(鹿児島県)― 精密電子部品の加工や検査業務を手がける会社では、「可能性を限定しない」を社訓に、だれもが一緒に同じ仕事に取り組む職場づくりを目ざしている。 (文)豊浦美紀 (写真)官野 貴 取材先データ 有限会社鹿屋(かのや)電子工業 〒893-0014 鹿児島県鹿屋市寿7-515-18 TEL 0994-43-8851 FAX 0994-41-4380 Keyword:身体障害、知的障害、精神障害、部品加工・検査障害者就業・生活支援センター、特別支援学校 POINT 1 障害者の就職面接会への参加を機に、職場実習を行い障害者雇用を本格化 2 障害者職業生活相談員と障害者就業・生活支援センターとの密接な連携による支援 3 工夫し、時間をかけながら、だれもが同じ業務をこなせるように 精密部品の加工・検査  和牛や黒豚などの畜産業で知られる鹿児島県の大隅(おおすみ)半島地域には、大手の電子部品・機器メーカー工場にかかわる事業所も少なくない。その一つ「有限会社鹿屋(かのや)電子工業」(以下、「鹿屋電子工業」)は、おもに精密部品の加工・検査を手がける会社として1980(昭和55)年に設立された。  同社が障害者雇用を本格化させたのは、瀬戸口(せとぐち)摩耶(まや)さんが、父・悟(さとる)さんに代わり38歳で代表取締役社長に就任した2016(平成28)年の少し前からだ。瀬戸口さんは「仕事を引き継ぐなかで、障害者の就職面接会の案内状を目にしたことが直接のきっかけです」と話す。  それまでも身体障害のある従業員は数人いたが、面接会で精神障害のある1人を採用したことを機に、職場実習などを行いながら障害者雇用を進めてきた。いまでは従業員292人のうち障害のある従業員は15人(身体障害5人、知的障害7人、精神障害3人)、障害者雇用率は4.81%(2023〈令和5〉年6月1日現在)にのぼるという。  職場では、障害のある従業員も部品検査や設備オペレーションといった業務をこなしている。そこには、瀬戸口さんが社長就任後につくった社訓「可能性を限定しない」という方針が貫かれている。その現場を取材させてもらった。 面接会での出会い  鹿屋電子工業は2014年、ハローワーク主催の障害者就職面接会に初めて参加した。瀬戸口さんがふり返る。  「労働生産人口の減少が予想されているなかで、障害者雇用も高齢者雇用も積極的に進めたほうがよいと思っていましたし、もともと障害のある人もない人も一緒に働くことに大きな差はないと感じていたので、幅広く人材を求める姿勢で面接会に臨みました」  妻で取締役を務める幸代(ゆきよ)さんも一緒に参加し、「何人か面接したうちの1人で、精神障害のある男性(Aさん)に意欲を感じました」という。ただ、それまで職場には身体障害のある従業員しかいなかったため、「具体的にどう採用まで進めていくか、ほぼ手さぐり状態からのスタートでした」とふり返る。  まずはAさんの相談先だった障害者就業・生活支援センターからアドバイスをもらい、職場実習からやってみることにした。おもな内容は、従業員が行っている部品検査の前工程と呼ばれる業務だ。瀬戸口さん夫妻は「2週間にわたる実習後、現場からはコミュニケーションや作業能力についての評価が高かったうえ、何よりも本人が『ここで働きたい』と強い意思表示をしてくれたことに心を動かされ、採用を決めました」という。入社したAさんは、数年前に別の病気で入院するまで働き続けたそうだ。 特別支援学校からの実習生  初めての就職面接会への参加を決めたころ、近隣の霧島(きりしま)市にある特別支援学校から「職場実習をしてもらえないか」との依頼があった。鹿屋電子工業の近くに住む生徒を紹介されたという。  そのときの実習生が、本社工場製造課に所属する内田(うちだ)大輔(だいすけ)さん(27歳)だ。さっそく職場で働く様子を見せてもらった。  クリーンルームで無塵服(むじんふく)の内田さんが行っていたのは、取引先から送られてきた精密電子部品の検査の前工程作業。まず部品の型枠を手作業で割り取り(個片化作業)、部品を専用の検査機械にセットし、通過したものをケースにはめ込む。さらに一定数の部品を取り出して異常がないか目視確認し、本検査へと送り出すという流れだ。  本社工場長を務める神田(かんだ)照和(てるかず)さんによると、「機械操作は比較的シンプルですが、個片化作業は、商品ごとにどの部分からどのような方法・順序で割るか、細かく指定されています」とのこと。内田さんは、「実習のときから覚えることが多くてたいへんでしたが、自分の成長につながると感じて入社しました。もともと細かい手作業や機械操作も好きで、やりがいがあります。相談しやすい先輩方に囲まれて、とても働きやすいです」と話す。  内田さんの上司として本社工場製造課の責任者を務める岡元(おかもと)一郎(いちろう)さんは、「ほかの部下と同じように叱咤激励しながら指導しています。内田さんの場合は、一つの作業に集中しすぎて、ほかの機械操作の音を聞き逃すときがあるのが課題です。将来は、職場の責任者になれるよう、がんばってもらいたいですね」。  最近は、周囲の仕事の進み具合も把握できるようになったという内田さん。「自分が早く作業を終えたときは、ほかの手伝いをすることもあります。チームワークを大事にしたいです。ほかの機械操作なども覚えて、職場で信頼される従業員になりたいです」と意気込む。  内田さんは入社4年目に正社員になった。鹿屋電子工業の障害者雇用は、入社時はパートタイム雇用から始まるが、正社員になる明確な基準は設けていないと瀬戸口さんが説明する。  「現場の上司や支援担当者らの意見を参考に決めています。基準をつくることもできますが、いまは本人の意欲や努力を大事にしてあげたいと思っています」  鹿屋電子工業には高齢の従業員もいる。現在最高齢だという74歳の女性は、部品検査の業務にたずさわっている。「75歳まで勤め上げた先輩がいるので、私も可能ならもう少しがんばってみたいです」と遠慮がちに話す女性の隣で、神田さんは「本人がギブアップというまで働いてもらうつもりです」とはっぱをかけつつ、「職場では、年齢や障害の有無で業務内容に差をつけることはありません」と話す。そして、次のように語ってくれた。  「私自身、老眼やモノ忘れがあり、これらも仕事をするうえで“障害”と感じることがあります。『(ある従業員について)何回いっても聞いてくれない』という部下に、『いや、あなたも聞かないでしょう』と返した笑い話もあります。他人が『あなたにはできない』と決めつけず、だれにでも必ず伸びしろがありますから、可能性を限定せず、多少の時間や工夫が必要なときは配慮していこうというのが会社の考え方ですね」 毎日のふり返りタイム  内田さんの採用以降、鹿屋電子工業では継続的に特別支援学校からの職場実習生を受け入れている。年2回で期間は1〜2週間だ。「これまで6人が実習を経て入社してくれましたが、みなさんほんとうに優秀で驚かされています」と幸代さん。  入社3年目の池ケ谷(いけがや)翼(つばさ)さん(20歳)も、特別支援学校の2年次に職場実習に参加して入社した。三つめの生産拠点として2020年から稼働している「おおすみ工場」で機械操作のオペレーターを務めている。具体的には、専用の機械で製品画像を撮って品質確認をする業務だ。  実習時から検査機の操作を教わったという池ケ谷さんは、「仕事をていねいに教えてもらえる職場環境がよかったです」と話す。上司として指導にあたっている大窪(おおくぼ)直人(なお)とさんは「落ち着いて取り組む姿を見ていて、一緒に働けそうだと思いました」と当時をふり返る。  一方で池ケ谷さんは、「働き始めてからは、業務中にわからないことがあっても、ついそのままに放置してしまいがちでした。大窪さんから『大丈夫?』と聞かれるので、いまは、自分から聞いていけるように努力しているところです」と明かす。  そんな池ケ谷さんのために、2年目からは毎日15分程度、別室で個別面談も行っているそうだ。その日の仕事のふり返りや、現場で聞きそびれたことを質問してもらっている。池ケ谷さんは「この面談のおかげで、気になっていたことをその日のうちに全部伝えて解消できるので、仕事内容にも自信が持てるようになりました。安心感が違います」。  大窪さんも「現場で大切な“報連相(報告・連絡・相談)”を身につけてもらうよう、うながしています。いまは本人が担当している業務内容について“社内認定”を取得できるようがんばっていて、もう少しですね」と背中を押す。社内認定は、規定の教育内容などをクリアし、筆記テストなども受ける。社内認定を取得すれば、一人で業務全般を行えるようになるそうだ。 障害者就業・生活支援センターとの連携  これまで障害者雇用に取り組んできた鹿屋電子工業にとって、「大きな支えとなったのは障害者就業・生活支援センターとの連携でした」と取締役の幸代さんは語る。  「少しでもわからないことがあったりアドバイスがほしかったりするときは、すぐに相談します。最初のころは『毎日電話していますよね』と冗談をいい合うほどの密接な関係でした」  障害者就業・生活支援センター主催の勉強会などにも積極的に参加。集まった企業担当者でグループディスカッションを行い、互いの悩みやうまくいったケースを共有し合うのも貴重な経験となっているそうだ。  さらに幸代さんは、社内で最初に障害者職業生活相談員の資格認定講習を受けた。  「講習では、特別支援学校の先生に教わった、会話のコツや言葉の伝え方などがとてもわかりやすかったです。車いすユーザーの当事者の方の授業も参考になりました」  その後も希望する従業員を中心に受講してもらい、いまでは障害者職業生活相談員の資格を持つ従業員9人を、各工場や現場に配置。それぞれが必要に応じて、障害者就業・生活支援センターに相談しながら対応している。  人材開発支援の中心をになうおおすみ 工場製造課の小濱(おばま)康孝(やすたか)さんも、障害者職業生活相談員の1人。受講した講習で知った『就労パスポート』(※)を、さっそく現場でも導入したそうだ。  「私自身、それまで障害者雇用についての知識がほとんどなかったのですが、この就労パスポートに書かれている内容は『障害のある人だけにいえることだろうか』とも感じました。あらかじめ周囲に知っておいてもらうことで、働きやすくなるメリットは大きいと思いました」 基本は面談で話を聞くこと  現場の障害者職業生活相談員による支援の柱は、こまめな面談だ。入社当初やフォローが必要なときには毎日、その後はケースバイケースで原則月1回〜半年に1回程度行っている。小濱さんは「私たちも同じだと思いますが、悩みがあるときは、まず人に聞いてもらうことが一番効果的だと感じています」と話す。  いまも小濱さんがよく面談をする1人が、入社5年目の秋篠(あきしの)李実(りみ)さん。2022年から稼働している「かさのはら工場」の製造課に勤務している。取材した日は、さまざまな部品の検査が行われる一角で、薄い部品の数をそろえる梱包作業に取り組んでいた。  秋篠さんは当初、一部の上司を除きクローズ(自分の障害について公開しない)状態で本社工場に勤務していたが、かさのはら工場に異動後、落ち込むことが増えたという。小濱さんは「面談したところ、職場環境が急に変わり、本社工場と行ったり来たりすることもあって、精神的に不安定になっていたことがわかりました」。  そこで上司も含めて相談し、職場を固定したうえで、職場の同僚たちに自分の特性などについて伝えることにしたそうだ。「周りに助けてもらえるようになって、働きやすくなりました」と秋篠さん。  秋篠さんは、いまも仕事で少しのミスがあるとひどく落ち込む傾向があるため、小濱さんたちが周囲から「調子が悪そうだ」という情報をもらうと、すぐに面談をすることにしている。秋篠さんが話す。  「小濱さんや幸代さんが話を聞いてくれるのでありがたいです。いまは9時から16時までのパートタイムですが、いつか正社員になりたいと思っています。なにごともチャレンジだと思っているので一生懸命にがんばりたいです」 ホテル支配人からの転身も  ホテルの支配人から転身し、2023年4月から働いている従業員もいる。池田(いけだ)一博(かずひろ)さん(44歳)だ。2年前に脳梗塞で倒れ、手術後に右半身不随の後遺症を抱えることになったという。リハビリでゆっくり歩けるようになったが、右側の腕から手先にかけて自由に動かせない。  「利き手だったので文字がうまく書けず、会話もスムーズにいきません。これはホテルマンとしては働けないと退職しました」  妻と中高生の子ども3人がいる池田さんは、すぐに障害者就業・生活支援センター経由で就職活動を始めたところ、鹿屋電子工業を紹介された。会社との面接では後遺症のことも細かく伝え、職場実習を経て採用が決まったそうだ。  入社後は、かさのはら工場で部品の電気検査を行う業務を担当。不自由な右手の使い方を自分なりに工夫し、部品運びにも慣れてきた。池田さんは、「これまでのサービス業とは全然違う仕事ですが、新鮮な気持ちで日々学んでいます」と笑顔で話す。  実習当時から指導役を務めるかさのはら工場製造課副責任者の上床(うわとこ)やすよさんは、「最初は不自由な右手が心配でしたが、本人の『仕事をしたい』という強い意欲が伝わってきて、私自身も心を動かされました。作業でわからないことをどんどん聞いてくれる姿勢が、急速な成長につながっていると思います。いまは障害を感じさせない仕事ぶりで、本当に助かっています」と話す。  作業内容の確認を表に書き入れる作業もあるが、見せてもらった表には、池田さんが左手で書いたていねいな漢字が並んでいた。「すごく練習されたのだと思います」と上床さん。池田さんは目下、外観検査業務の社内認定を取る準備中だ。 トライ&エラーを重ねつつ  これまでの障害者雇用について「とてもうまくいっているように見えるかもしれませんが、全然そんなことはなくて、私たちも日々、ひたすらにトライ&エラーをくり返しているところです」と幸代さんは率直に語る。  最近の課題は、これまで順調に成長していたと思っていた従業員が、そうではなかったとわかったことだそうだ。  「定期面談の内容や、現場からの『特に問題なし』との報告を受けて、そろそろ正社員にと提案したところ、現場から『正社員としてはむずかしい』と返ってきました。よく聞いてみると、いまも1人で作業を完遂できない状況でした」  あらためて独り立ちするための課題を洗い出し、いまはそれをクリアしていくためにどうするかを現場で相談しているところだという。  あらためて障害者雇用の進め方について、瀬戸口さんが語る。  「さまざまな障害の特性や程度によって、現場の工夫や時間はあってしかるべきだと思っています。結果としてほかの従業員と同じように働けることが本人の自信にもなり、周囲の従業員の成長、職場の生産力につながります。障害者という呼び方自体、職場のみなさんは違和感があるのではないかと思っています。私自身も区別したくないのですが、そうするとしても、職場においては、わけ隔てることなく、だれもが一緒に働ける環境を目ざしたいですね」  鹿屋電子工業は2030年の設立50周年に向け、「鹿屋地域でナンバー1」という目標を掲げているそうだ。瀬戸口さんが真意を説明してくれた。  「この“ナンバー1”は、いろいろなとらえ方があってよいと思っています。売上げや福利厚生、従業員数などもあるでしょう。私としては、ここで働いている人やその家族のみなさんが『ここで働いていてよかったね』と思える会社にしたいと考えています」 ※就労パスポート: 障害のある人が、働くうえでの自分の特徴やアピールポイント、希望する配慮などについて支援機関と一緒に整理し、事業主などにわかりやすく伝えるためのツール 写真のキャプション 有限会社鹿屋電子工業は、精密電子部品の加工や検査を手がけている 代表取締役社長の瀬戸口摩耶さん 取締役を務める瀬戸口幸代さん 本社工場製造課で働く内田大輔さん 内田さんは、検査の前工程作業を担当している 本社工場長を務める神田照和さん 部品の型枠を割り取る 本社工場製造課責任者の岡元一郎さん おおすみ工場 おおすみ工場製造課で働く池ケ谷翼さん 池ケ谷さんの指導にあたるおおすみ工場製造課の大窪直人さん 人材開発支援の中心をになうおおすみ工場製造課の小濱康孝さん かさのはら工場製造課で働く秋篠李実さん 部品の数をそろえる作業を行う秋篠さん かさのはら工場製造課で働く池田一博さん かさのはら工場 検査器具を使用した電気検査作業を行う池田さん 不自由な右手の使い方を工夫し、作業にあたる かさのはら工場製造課副責任者の上床やすよさん 【P10-11】 クローズアップ 障害者雇用担当者のモチベーションアップ 第3回 〜障害者雇用担当者座談会(後編)〜  障害のある人の雇用と定着のために重要な役割を果たすのが、障害者雇用にかかわる担当者の方々。この連載では、担当者のみなさんがモチベーションを維持・アップしながら、スムーズに業務を行うためのヒントを探っていきます。  第3回は前回の座談会の続きとして、企業で障害者雇用を担当している方々に、業務の工夫の仕方、これから障害者雇用に取り組む事業者や担当者へのアドバイスなどをお話しいただきました。 司会進行 『働く広場』編集委員 三鴨岐子 (みかも みちこ)  名刺や冊子などのデザイン制作を手がける「有限会社まるみ」の取締役社長。  障害のある社員の雇用をきっかけに「中小企業の障害者雇用推進」に関する活動を精力的に行っている。精神保健福祉士。 座談会参加者プロフィール Aさん  グループ会社の業務サポートや施設運営などを行う特例子会社の事業所で、障害者雇用にたずさわり12年目。約100人の障害のある社員の定着支援を行っている。職場適応援助者(ジョブコーチ)の資格を持つ。 Bさん  グループ会社の事務代行やメール室サービス、印刷業務などを行う特例子会社で障害者雇用にたずさわり13年目。現在は管理部門の業務と兼務しながら、精神障害のある社員2人をサポートしている。ジョブコーチの資格を持つ。 Cさん  グループ会社の事務代行やリラクゼーション業務、清掃業務などを行う特例子会社の障害者雇用担当者。親会社からの出向で担当となり4年目。定着支援リーダーとして採用活動や支援者の育成などを行う一方で、障害のある社員約10人を個別にサポートしている。  前回(※)に続き、「障害者就業・生活支援センターTALANT(タラント)」センター長の野路(のじ)和之(かずゆき)さんにご紹介いただいた、企業の障害者雇用担当者による座談会の後編をお届けします。司会進行は、本誌編集委員の三鴨(みかも)岐子(みちこ)さんです。 障害者雇用担当者を支える仕組みが必要 三鴨 前回のお話では、障害者雇用の担当は人の成長に向き合える喜びがある一方、多様な特性のある方々と、時間をかけて日々柔軟に向き合い続けることも必要であると感じました。みなさんは日々の業務でたいへんさを感じるとき、どのように乗り越えているのでしょうか。 Cさん 弊社では、定着支援の担当者8人が月に1回のミーティングで情報共有し、悩んでいることがあれば、それについて話してもらい、みんなで考えるといったこともしています。また、障害のある社員だけではなく、支援にあたる担当者も外部の臨床心理士のカウンセリングを利用できるようになっています。人に悩みを聞いてもらうだけでも、気持ちが楽になりますので、新しく担当として加わった社員にも、「悩むことがあれば早めに相談して、自分の気持ちのケアを大切にするように」と伝えています。 Aさん 弊社でも月に2回、臨床心理士に相談に来ていただいています。それ以外の日にもメールなどで相談できる体制になっています。また、担当者が孤立しないように、チームで定着支援を行うことも効果的だと考えています。チームでの取組みがむずかしい場合は、支援機関との連携体制を整えることも重要です。支援機関という第三者の立場の人が介在することで、当事者やご家族とのコミュニケーションがとりやすくなりますし、情報を共有して支援に活かすことができます。これまでに、精神的にも支えていただく機会がたくさんありました。 Bさん 特に、障害のある社員を雇用し始めて数年間は、支援機関との連携が非常に重要になると思います。障害者雇用担当者と当事者の方の信頼関係が構築できるまでには時間もかかりますし、はじめはコミュニケーションがスムーズに進まない場合もあります。支援機関を介在させることで、互いの理解が進みやすくなります。また、弊社では、過去の雇用事例や反省点の多かった事例などの経験から、現在の状況にどのように対応したらよいかを担当者同士で検討するミーティングを、週に1時間ほど設けています。精神障害のある社員が多いのですが、業務に関しては会社が、私生活に関しては支援機関がサポートするというように、役割をはっきりと分担するようにしています。 三鴨 社内での情報共有の仕組みづくりや、支援機関との連携など、「支援する側を支える存在」がポイントになりそうですね。みなさんは、いままで社外の勉強会や交流会などに参加されたことはありますか。 Aさん 支援機関主催の勉強会によく参加しています。社外の人との交流の場でもあり、情報交換をさせていただいています。 Bさん 弊社でも、情報収集の一環として参加しています。障害者雇用に取り組み始めて、右も左もわからない時期から交流会には頻繁に参加させてもらいました。 Cさん 都合が合うときには参加しています。コロナ禍でオンライン開催が増えたため、私の場合は参加しやすくなりました。また、最近は対面での開催が再開され、懇親会の場があると参加者同士で情報共有や悩み相談がしやすいと感じました。オンラインとリアルな対面のそれぞれにメリットがあると思います。 三鴨 業務のなかでは、精神的に負担のかかる場面も少なくありませんが、同じ思いを持つ人たちがいることで、心強さを感じますよね。このような機会を積極的に活用することで、障害者雇用担当者が悩みを抱え込まないようにできますから、話せる場を見つけることは重要なのかもしれません。 人と向き合うことで自分自身が成長できる 三鴨 最後に、これから障害者雇用に取り組む事業者や、はじめて障害者雇用の担当者となる方々へのアドバイスをお願いします。 Aさん この仕事は、長く続ければ続けるほど経験値が上がって、力をつけられる仕事だと思います。支援する側も人として成長できる仕事だと思うので、そういうマインドで取り組めるとよいのではないかなと思います。 Bさん 障害のある社員に対し、人としてしっかりと向き合うことが大切だと思います。「こういう障害だから」、「こういう特性があるから」などと相手にフィルターをかけてしまって、その人自身にしっかりと向き合えなかった失敗を、私自身も過去に経験しています。また、「自分の理解と相手の理解はまったく違う」ということに気づくまで、かなりの時間がかかりました。現在は、相手の意見がいまひとつ理解できないようなときには、自分のなかで消化できるまで、必ず一晩は寝かせて考えるようにしています。「仕事」という以前に「人とかかわっている」ということも、いつも心に留めています。 Cさん 私も「障害は、“だれもが持っている個性”の一つ」で、「個性は一人ひとり違う」ことを胸に刻んでいます。また、弊社には、障害のある社員が働いている複数の事業所がありますが、日々の仕事の様子を把握しきれないことに、私自身も悩むことがあります。これから担当になる方は、障害のある人たちが実際に行う業務がどういうものかを、現場で一度、体験してみることから始めると、より現場の状況に寄り添った支援ができるのではないかと思います。 三鴨 みなさん、本日はお忙しいなか、ありがとうございました。精神的、肉体的な負担を感じる場合もある障害者雇用の担当という業務で、担当者自身を支援する仕組みがあることも大切だといえそうですね。 * * * * *  次回は、これまでの3回の連載をふり返ったうえで、障害者雇用担当者のモチベーションを支える環境を、どのように整えたらよいのかについて、三鴨さんにお話しいただきます。 ※2023年9月号はこちらからご覧いただけます。 https://www.jeed.go.jp/disability/data/works/book/hiroba_202309/index.html#page=12 知りたい! ストレスをためないためのアイデア  障害者雇用担当者が、社内で孤立したり、ストレスをため込んだりしないように、できることから始めましょう。 ●社内でのミーティング:障害者雇用担当者を複数人配置できる場合は、チームで支援する体制を築けるとよいでしょう。情報交換ができるだけではなく、仲間意識や支え合いの意識を持つことができるのも大きなメリットです。 ●カウンセリングの活用:障害者雇用担当者は、立場上、社内の人に仕事の悩みを相談しにくいことがあります。一人で抱え込まずに、専門的な知識や経験を持つ外部のカウンセラーに相談すると、気持ちの整理をしたり、解決策を見つけるのに役立つかもしれません。 ●支援機関との連携:支援機関と連携することで、支援に対するアドバイスがもらえたり、障害のある社員やその家族とのコミュニケーションがとりやすくなったりします。 ● 社外の勉強会などへの参加:他社の事例やノウハウを学べるだけではなく、障害者雇用担当者同士がつながりを持つことで、悩みの相談や情報交換をすることができます。 【P12-14】 JEEDインフォメーション 〜高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)からのお知らせ〜 「障害者雇用納付金制度に基づく各種助成金」の活用事例  「障害者雇用納付金制度に基づく助成金」は、事業主等が障害者の雇用にあたって、施設・設備の整備や適切な雇用管理のための特別な措置を行う場合に、予算の範囲内で助成金を支給することで、一時的な経済的負担を軽くし、障害者の雇用の促進や継続を図ることを目的としています。  今回は、これらの助成金を効果的に活用した事例を紹介します。 事例 1 〜車いすの従業員の負担を軽減するための附帯施設の整備〜 【障害者作業施設設置等助成金(第1種作業施設設置等助成金)】  身体障害者(運動機能・移動機能障害2級)のTさんは、A社の製造部にパソコン入力業務の担当として採用されました。Tさんは杖や車いすを使用するため、自動車で通勤していましたが、A社の駐車場は砂利で段差があるため、乗り降りや移動が困難でした。また、事務所やトイレのドアが開き戸だったため、入退室も一人では困難な状況でした。さらに、トイレに手すりがなかったため使用時に不安を感じていました。  そこでA社は、Tさんが使用する駐車場部分の舗装・段差解消工事を行い、事務所とトイレのドアをスライド式に改修しました。また、トイレに手すりを設置しました。  その結果、Tさんは通勤および事務所内の移動が一人でできるようになり、円滑に勤務できるようになりました。 事例 2 〜聴覚障害者のための手話通訳者の委嘱〜 【障害者介助等助成金(手話通訳・要約筆記等担当者の委嘱助成金)  聴覚障害者のKさんは事務職として勤務しており、上司や同僚とは筆談でやりとりしながら業務を行っています。しかし、週1回のミーティングでは口頭で協議や指示が行われるため、配付資料以外の内容が理解できず、業務に支障をきたしていました。  そこで手話通訳者にミーティングに同席してもらい、通訳してもらうことで内容を理解し、業務を円滑に進めることができるようになりました。また、社内で開催する手話勉強会の講師として手話通訳者に来てもらい、筆談以外でもコミュニケーションがとれるよう会社全体で手話への理解を進めています。 事例 3 〜通勤の負担を軽減するための駐車場の賃借〜 【重度障害者等通勤対策助成金(駐車場の賃借助成金)】  C社に在職中のBさんは両足にしびれを覚え病院を受診したところ、脊椎梗塞(せきついこうそく)との診断を受け入院することになり、退院時には、生活や移動に車いすを必要とする身体障害者(2級)となっていました。退院して復職を考えましたが、これまで通り通勤時に公共交通機関を利用すると、自宅と最寄り駅の間にある急こう配の移動と、混雑時の電車の乗り換えが課題であることがわかりました。  そこでC社は、Bさんがアクセル・ブレーキを手動式に改造した車を運転していたこともあり、助成金を活用して事業所近くの駐車場を借り上げることで、Bさんが車通勤を開始することにしました。  その結果、Bさんは自力で通勤できるようになりました。また、リハビリ期間を経て復職したBさんは、復職前と同じ管理職として活躍しています。 事例 4 〜助成金と市の制度を併用した継続的な通勤支援〜 【重度障害者等通勤対策助成金(重度訪問介護サービス利用者等通勤援助助成金)】  D社で事務の仕事に就いているNさんは視覚障害があり、一部在宅勤務を行っています。出勤日には電車とバスを乗り継いで片道80分かかる距離を通勤するのですが、通勤には障害福祉サービスの同行援護が利用できませんでした。  そのため、助成金と市の重度障害者等就労支援特別事業による支援を併用し、通勤時の支援を受けることにしました。  この制度を併用すると、年度ごとに最初の3カ月間は助成金、残りの期間は市の特別事業を利用して継続して支援を受けることができるため、会社の費用負担も少なく、必要な支援を受けながら通勤することができるようになりました。 ※支給にかかる要件や申請の期限などの詳細は、JEED都道府県支部高齢・障害者業務課(東京、大阪は高齢・障害者窓口サービス課)にお問い合わせください。  https://www.jeed.go.jp/location/shibu/index.html このような助成金もあります @作業施設、作業設備などの設置または整備を行う ⇒ 障害者作業施設設置等助成金(事例1) A福祉施設の設置または整備を行う ⇒ 障害者福祉施設設置等助成金 B雇用管理のために必要な介助などの措置を行う ⇒ 障害者介助等助成金(事例2) C通勤を容易にするための措置を行う ⇒ 重度障害者等通勤対策助成金(事例3) D職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援を行う ⇒ 職場適応援助者助成金 E通勤の援助を重度訪問介護等サービス事業者に委託する ⇒ 重度訪問介護サービス利用者等通勤援助助成金(事例4) F障害者が行う業務の介助を重度訪問介護等サービス事業者に委託する ⇒ 重度訪問介護サービス利用者等職場介助助成金 国立職業リハビリテーションセンター 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター 訓練生募集のお知らせ 〜障害のある方々の就職に必要な職業訓練や職業指導を実施しています〜 入所日など  国立職業リハビリテーションセンター、国立吉備高原職業リハビリテーションセンターでは、年間約10回の入所日を設けています。応募締切日や手続きなどの詳細については、お気軽にお問い合わせください。 ○遠方の方については……  国立吉備高原職業リハビリテーションセンターでは、併設の宿舎が利用できます。国立職業リハビリテーションセンターでは、身体障害、高次脳機能障害のある方、難病の方は、隣接する国立障害者リハビリテーションセンターの宿舎を利用することができます。 お問合せ 国立職業リハビリテーションセンター 埼玉県所沢市並木4-2 職業評価課 TEL:04-2995-1201 https://www.nvrcd.jeed.go.jp 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター 岡山県加賀郡吉備中央町吉川7520 職業評価課 TEL:0866-56-9001 https://www.kibireha.jeed.go.jp 募集訓練コース 国立職業リハビリテーションセンター 訓練系 訓練コース メカトロ系 機械CADコース 電子技術・CADコース FAシステムコース 組立・検査コース 建築系 建築CADコース 情報系 DTPコース Webコース ソフトウェア開発コース システム活用コース 視覚障害者情報アクセスコース ビジネス系 会計ビジネスコース OAビジネスコース オフィスワークコース 物流系 物流・資材管理コース 職域開発系 オフィスアシスタントコース 販売・物流ワークコース サービスワークコース 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター 訓練系 訓練コース メカトロ系 機械CADコース 電気・電子技術・CADコース 組立・検査コース 資材管理コース ビジネス情報系 OAビジネスコース 会計ビジネスコース システム設計・管理コース ITビジネスコース(視覚障害者対象) 職域開発系 事務・販売・物流ワークコース 厨房・生活支援サービスワークコース オフィスワークコース 物流・組立ワークコース サービスワークコース ○訓練の期間は……  「システム設計・管理コース」、「ITビジネスコース」(ともに国立吉備高原職業リハビリテーションセンター)は2年間、そのほかの訓練コースは1年間の訓練です。 ○国立吉備高原職業リハビリテーションセンターでは……  令和6年4月から訓練コース等が変更になります。詳細はホームページをご参照ください。 事業主のみなさまへ  両センターでは、障害のある方の採用をお考えの事業主と連携し、個々の事業主の方のニーズや訓練生の障害特性などに応じた、特注型のメニューによる職業訓練を行っておりますのでご活用ください。ご利用いただく事業主の方には次のような支援も行っております。 ■障害特性に応じた特別な機器・設備の配備や作業遂行に関する支援方法のアドバイスなど、円滑な受入れに関する支援 ■雇入れ後の職場定着に向けた技術面でのフォローアップとキャリアプランづくりのための支援 詳細については…https://www.jeed.go.jp/disability/person/person07.html 【P15-18】 グラビア 地域のリサイクルをになう 有限会社ローズリー資源 (青森県) 取材先データ 有限会社ローズリー資源 〒030-0955 青森県青森市大字駒込字深沢5-303 TEL 017-744-0575 FAX 017-744-0579 写真・文:官野 貴  青森県青森市に本社を置く「有限会社ローズリー資源」では、青森市内の一般廃棄物収集運搬業と、産業廃棄物収集運搬(青森県・秋田県・岩手県・宮城県)、中間処理、処分業を手がけており、廃棄物をリサイクルし価値ある資源として素材別のリサイクルに再活用している。1996(平成8)年の会社設立当初から障害のある人とともに働く環境を整え、地域と連携した自立支援職場体験作業の受入れなどを行っており、障害のある人がリサイクルの現場において欠かすことのできない人材として活躍している。今年1月には、青森県で2例目となる「もにす認定制度」(障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度)の認定を受けた。  身体障害のある田嶋(たじま)薫(かおる)さんは、統括部長を務めており、労務管理のほか、油圧ショベルを使用した廃棄物の分別作業などを行っている。田嶋さんは「従業員のシフトを考え、うまく業務が回ると達成感があります」と話す。また、聴覚障害のある三上(みかみ)司(つかさ)さんは、フォークリフトやプレス機などを駆使してリサイクル作業にあたっている。三上さんに事故防止対策についてたずねると、「フォークリフト運転時には前後左右をしっかり確認、安全確保をしています」と教えてくれた。  同社では、就労支援事業所と業務委託契約を締結し、施設外就労として知的障害、精神障害のある利用者が、リサイクル作業に参加している。彼らは、廃棄物として回収された電線の被膜を剥き銅線を取り出す作業、精密機器製造工場から排出された廃棄物から資源物を取り出す作業、プラスチックトレイを砕いてリサイクル素材とする作業などを行っており、資源循環のにない手となっている。  2020(令和2)年には、青森県の支援を受けて作業マニュアルの作成を行った。このマニュアルは障害の有無に関係なく、「だれにでもわかりやすい」と評判だ。同社では今後も障害者のみならず、女性や高齢者、刑務所出所者などが働きやすい職場環境をつくり、積極的に雇用を続けていく予定だという。 写真のキャプション 油圧ショベルを使い、廃棄物を素材ごとに仕分ける田嶋薫さん 田嶋さんは統括部長を務めており、労務管理などを担当している 電線のリサイクル 電線のリサイクル作業@ 電線の被膜を剥き、銅線を取り出す 電線のリサイクル作業A 取り出した銅線をブラシで磨き、不純物を取り除く 電子部品のリサイクル 電子部品のリサイクル作業では、電子基板を細かく砕き、価値の高い金属を取り分ける 電子部品には、さまざまな金属が使われており、色や形を手がかりに金属を種類ごとに分ける プラスチックのリサイクル プラスチックのリサイクル作業では、プラスチック製のケースやトレイを素材ごとに分け、破砕機にかけてリサイクルに適した状態にする 取り出された銅線は、新たな銅製品に生まれ変わる 種類ごとに仕分けられた電子部品の金属パーツ 破砕されたプラスチック。素材ごとにさまざまなものにリサイクルされる 仕分けられたリサイクル素材をフォークリフトで保管場所へ移動する三上司さん 空き缶のリサイクル 空き缶のリサイクル作業@ 回収された空き缶から異物を取り除く 空き缶のリサイクル作業A 空き缶をプレス機にかける 空き缶のリサイクル作業B プレスされた空き缶。リサイクルされ新たな金属製品となる 三上さんは、入社後にフォークリフトの資格を取得し、作業に活用している ローズリー資源の社屋には「リサイクル率100%を目指して」との標語が掲げられている 青森県と連携し作成したマニュアル。豊富な写真や図解などにより作業工程がわかりやすく解説されている 【P19】 エッセイ 第2回 相談員の苦悩と心得 日本相談支援専門員協会顧問 福岡寿 福岡寿( ふくおか ひさし)  金八先生にあこがれて中学校教師になるも、4年で挫折。その後、知的障害者施設指導員、生活支援センター所長、社会福祉法人常務理事を経て、2015(平成27)年退職。田中康夫長野県政のころ、大規模コロニーの地域生活移行の取組みのため、5年間県庁に在籍。  現在は「NPO法人日本相談支援専門員協会」顧問、厚生労働省障害支援区分管理事業検討会座長。  著書に、『施設と地域のあいだで考えた』(ぶどう社)、『相談支援の実践力』(中央法規)、『気になる子の「できる!」を引き出すクラスづくり』(中央法規)などがある。  障害のある人が地域で普通に暮らせるよう、多職種が集まってさまざまな取組みを行う自立支援協議会。私の住んでいる地域では、その協議会のなかに「本人中心部会(いってみてやって委員会)」という会があり、障害のある人が定期的に地域の障害福祉サービス事業所を見学したり、体験したりする取組みがあります。  長い間入所施設で暮らしていたAさんは、同委員会の主催する近隣のグループホーム見学に参加し、そこで「いいな」と思えるグループホームで体験入居をしたのち、正式にグループホームに生活の場を移しました。  しばらくはグループホームの暮らしに満足していましたが、徐々に「○○さんと一緒に食事をするとイライラする」、「一人で暮らしたい」などなど、グループホームの生活に不満が出始めました。  Aさんを担当する相談支援専門員は、一人暮らしとはいっても、すぐに単独でアパートなどに暮らしの場を移すのは容易ではないと判断し、Aさんにアパートタイプのグループホームの見学をすすめ、何度か体験宿泊などもくり返しましたが、「一人の暮らしはさみしいし、かといって、個室があるとはいえ、一軒家に何人かが同居するグループホームも不満がたまる」という日々が続いていました。  そんななか、Aさんは「いってみてやって委員会」で企画した日中活動の事業所見学に参加してみました。いくつか見学するなかで、農福連携に取り組んでいる就労継続支援A型事業所に心が動いたようでした。  何度か体験するうちに、正式に就労継続支援A型事業所へ通所することとなりました。  Aさんにとって、この日中活動はやりがいにつながったようです。日中の生活が充実すると、次第にAさんからグループホームでの不満が聞かれなくなってきました。  そうしたAさんの変化を見て、相談支援専門員は「暮らしの場を入所施設からグループホームに移してみたり、あるいは余暇を充実させてみても、やっぱり社会参加の場である日中活動が充実していなくては、人は満たされないのではないかな」と、Aさんの支援を通じての実感を話してくれました。  仮に就労継続支援A型事業所のような賃金につながる日中活動でなくとも、「活躍できている。自分は必要とされている。期待されている。役に立っている」、そうした社会参加の場を持てているからこそ、夜のビールがおいしかったり、日曜日の買い物が楽しみになったりするのだと思います。  相談支援専門員は本人の生活を「サービス等利用計画」という書式にして、生活を組み立てていく仕事です。 しかし、それは単に日中の場や暮らしの場、土日の余暇を形式的にパッチワークのように組み合わせる業務ではなく、「どこで心が動いたか」、「どこに本人の活躍の場があるか」そうした本人の「心の動き」を探るアセスメントがないと活き活きしないものです。  障害の有無にかかわらず、65歳になると介護保険のサービスも視野に入ってきます。  しかし、「65歳になったので日中は介護保険のデイサービスで」と制度的にすすめられても、例えば、就労継続支援B型事業所で張合いを持って過ごしていた方にとっては、働ける間は、70歳になっても、このまま就労継続支援B型事業所で力を発揮してみたいと思うものです。  そこは、「制度のための本人でなく、本人のための制度だ」という本人の伴走者としての相談支援専門員の覚悟が大切です。  私も57歳で早期退職したとき、「退職したら毎日正月だ。朝からお風呂に入ってビールを飲んでみよう」、「好きな映画を好きなだけ観に行こう」と、いろいろ夢を描いて退職しましたが、一カ月ほどでそうした暮らしに飽きてしまいました。やはり、だれかの役に立ったり、人に必要とされる何かがないと抜け殻になってしまうようです。 【P20-25】 編集委員が行く for others 人様のために 株式会社ナリスコスメティックフロンティア(兵庫県) 武庫川女子大学 准教授 諏訪田克彦 取材先データ 株式会社ナリスコスメティックフロンティア 〒658-0033 兵庫県神戸市東灘区向洋町西5-10-4 TEL 078-846-6616 FAX 078-842-5560 編集委員から  「美」をつくり出す化粧品工場を見学させていただき、私にもいろいろな発見がありました。インタビューを行った従業員それぞれに、働くことの楽しさと自信が漂っていました。工場長の大西さんの「障害者雇用促進法が必要でなくなる社会」の一言が心に残っています。全盲の弁護士竹下(たけした)義樹(よしき)さんは、障害のある人とない人との関係について、「支え合う関係」よりも「影響し合う関係」の重要性を新聞でコメントしていました。今回の取材で「影響し合う環境」のなかで「美」がつくり出されていることを見ることができました。 Keyword:特例子会社、化粧品、工場、職場定着、定着支援、アビリンピック 写真:官野 貴 POINT 1 障害にとらわれず、「人」としての理解が大切 2 可能な限り体験を通して、働く自信と楽しさをともに見つける 3 雇用のなかで、その人の変化や成長を育んでいく はじめに〜取材のきっかけ〜  株式会社ナリスコスメティックフロンティア(以下、「ナリスコスメティックフロンティア」)の取材には以前、本誌の元編集委員である樋口(ひぐち)克己(かつみ)さんが2008(平成20)年に訪れている(※1)。  株式会社ナリス化粧品(以下、「ナリス化粧品」)の特例子会社、ナリスコスメティックフロンティアは、1995年に起きた「阪神・淡路大震災」の復興のなか、障害のある人の働く場として2005年8月、神戸市に誕生した。樋口さんの取材では、「美を追求する私たちの商品」と題し、@ナリス化粧品代表取締役社長村岡(むらおか)弘義(ひろよし)さんの特例子会社創業の想い、A各部門で働く社員たちの紹介、Bナリスコスメティックフロンティア取締役工場長のインタビューでまとめられていた。  今回は、私が勤務する武庫川(むこがわ)女子大学薬学部健康生命薬科学科客員教授、谷(たに)都美子(とみこ)さんの紹介で取材をお願いすることになった。まず、電話でお願いした際に、対応していただいたのはナリスコスメティックフロンティア工場長の大西(おおにし)太郎(たろう)さんだった。突然の電話による取材依頼だったが、谷さんからも事前連絡があったことなどから、快く取材を受けていただいた。  今回の取材では、同社がこの15年間で取り組んできた「障害者雇用」について、障害のある従業員と、会社管理者の方からお話をうかがうことを目的にした。特に前回、樋口さんの取材に応じてくれた5人の従業員たちに、現在の心境やこれまで続けることができた理由などをインタビューすることをお願いした。 株式会社ナリスコスメティックフロンティア (1)ロケーション  神戸市の中心部は六甲山(ろっこうさん)と大阪湾に挟まれた細長い地形から、戦後六甲山を削って海を埋め立て造成した二つの人工島(ポートアイランド、六甲アイランド)があり、その一つの六甲アイランドに所在している。六甲アイランドには会社、住宅地、店舗、学校のほか、公共施設などがあり、特にファッションに関する施設が多く存在している。  ナリスコスメティックフロンティアまでのアクセスは、JR東海道本線住吉駅に直結している神戸新交通六甲アイランド線(六甲ライナー)に乗り換え、「アイランドセンター駅」で下車して歩いて約20分。多くの工場がある工業団地内の一角に、本社工場を構えている。  取材当日は、玄関ロビーで大西さん、生産課課長の松村(まつむら)秀雄(ひでお)さんの出迎えを受け、谷さんとともに会議室に案内された。 (2)会社説明  取材のために用意されたパワーポイントの資料に沿って、工場長の大西さんから次のような会社説明があった。  兵庫県内には特例子会社が24社(神戸市13社)(2022〈令和4〉年6月1日時点)あり、当社は神戸市内で5番目に設立された。会社設立前に、ナリス化粧品の代表取締役社長である村岡弘義さんが全国の支社を訪問して社員と対話しながら、現在の工場が完成した。その成果は、会社玄関口に設置している「車いす洗浄機」、幅が広い廊下、左利き・右利きの人が使いやすいように分けられているトイレ、さらに工場内の安全面、衛生面に配慮したさまざまな取組みに活かされている。 (3)会社概要  会社概要についてスライド(資料@)で説明があった。ここで注目すべき点は、障害のある人の雇用率の高さである。障害のある人の法定雇用率は2026年7月までに2.7%に引き上げられるが(※2)、親会社のナリス化粧品は、ナリスコスメティックフロンティア設立時の2006年にすでに、ナリスコスメティックフロンティアと合わせた障害者雇用率が2.77%、2018年度以降は3%を超え、今年度は3.70%と高い障害者雇用率を維持している。  障害者雇用率の高さについてたずねると、「法定雇用率という制度自体に疑問を感じています。障害の有無にかかわらず、社員一人ひとりの働く意欲を大切にして、自立を目ざしてきた結果が数字に出ているだけです」と語る大西さんの言葉には、創業者である村岡弘義さんの想いが受け継がれていることを感じた。  また、ナリスコスメティックフロンティアのCredo(クレド)行動指針)(資料A)にも創業者の想いが反映され、障害のある人が安心して長く勤められる職場環境の実現につながっている。 (4)体制、業務内容  ナリスコスメティックフロンティアの体制は、前回の取材時と比較すると、従業員の数は26人→50人、障害のある従業員の数も11人→17人とそれぞれ増えている。工場内の組織は、「生産課」と「品質管理課」があり、業務内容はおもに化粧品、医薬部外品の充填(じゅうてん)、包装業務となっている(資料B)。  新型コロナウイルスの影響で減少していた売上げが、2022年度は2億5800万円まで回復し、2100万円の経常利益を得たことの説明があった。大西さんからは、「特例子会社として利益を上げることは会社全体の貢献につながり、そのことがナリスコスメティックフロンティア従業員全員の自信と意欲に影響している」との説明があり、工場長としての意気込みを感じた。 社内見学「従業員インタビュー」  前回の取材から15年が経過し、そのときのインタビューに応じてくれた5人の従業員が、この間どのように働いてきたか、さらに、どうしてこれまで続けてこられたのか、お話をうかがうことを編集委員として楽しみにしていた。大西さんにもこの点をご理解いただき、その5人と、最近採用されたニューフェース1人を加えた6人のインタビューを調整していただいた。 (1)工場見学の前の重要な衛生対策  会議室を出て工場部門内に入る前に、@感染予防用のユニフォームに着替え、マスク、感染防止キャップをかぶり、A手指消毒、Bテープローラーによる衣服のホコリ取り、Cエアーシャワーを受け、やっと入ることができた。  化粧品は、食品や医薬品と同じように、人に直接触れ、取り込まれる製品であることから、衛生、感染面などの管理がこのように徹底して行われている。「工場(充填室)内は、空気中のごみや微粒子が少ないクリーンルームと考えてください」との大西さんの説明から、化粧品への異物混入や品質汚染のリスク管理の重要性を再認識した。 (2)従業員インタビュー ●大脇(おおわき)啓嗣(ひろし)さん(36歳)、肢体不自由(車いすユーザー)。  事務室内で、パソコンに向かって事務作業を行っていた。前回の取材時は商品の外観検査とパッケージ梱包を担当していたが、いまは作業工程の段取りづくりを担当している。  「これまでいろいろな部署で働いてきたことがよかったです。その経験を活かして、作業が効率よく進むように工程を組んでいます」と笑顔で話してくれた。  大脇さんは甲子園球場がある西宮市から電車と六甲ライナーで毎日通勤している。朝は一番に出勤して、会社の門扉を開ける役割もになっている。特別支援学校卒業後、障害者職業能力開発校に通い、そこでナリスコスメティックフロンティアの立ち上げを知り、入社した。これまで長く続けてこられた理由をたずねると、「周りの人の理解と配慮があったからです。理解されているという実感が支えになっています」といい、大脇さんの誠実な人柄や「職業人としての自信、責任感の強さ」を感じた。 ●汐見(しおみ)祐佳(ゆか)さん(37歳)、聴覚障害。  前回の取材では、粉状のパウダーをプレス機と呼ばれる機械で圧縮させ容器に詰める作業を担当していた。汐見さんは今年の4月から充填室に異動。ここは、3人の従業員(聴覚障害)が工場内で使われている機械の部品洗浄、洗浄後の組立てを行っている。職場内のコミュニケーションについてたずねると、3人は手話でコミュニケーションを取っているが、ほかの人はマスクをしているので口唇が読み取れず、スマートフォンの文字変換アプリやメモパッドによるノートテイクでコミュニケーションを図っているという。  これまでのことをたずねると、「ナリスコスメティックフロンティアに就職して、仕事を覚え、結婚、出産とあっという間に15年が経ちました」という。  現在は2人のお子さんを育てながら働いている。長く続けてこられた理由をたずねると、「一人ひとりの個性や適性を考えてくれていること。それが支えになっています」と話してくれた。汐見さんはこれまで「機械」の知識や経験があったわけではなく、「機械の洗浄や組立て」は初めての経験で、作業を覚えていくなかで少しずつできるようになり、「こんなこともできるんだ」と新たな自分の発見があったようだ。  また、インタビューでは、「仕事と家事・育児はたいへんですが、現在も仕事が続けられるのは夫の理解と協力のおかげです」と感謝の言葉も添えられた。 ●羽溪(はたに)裕(ひろし)さん(41歳)、知的障害。  羽溪さんは働くことが大好きで、学校卒業前からハローワークや就労支援事業所などを自ら訪ねていたそうだ。相談窓口の担当者からナリスコスメティックフロンティアを紹介され、迷うことなく就職したが、15年間は一生懸命の毎日だったという。現在も前回の取材時と同じ仕上げ工程部門を担当している。ベルトコンベアー上を1分間に15個から40個流れてくる製品の梱包作業をていねいに行っていた。羽溪さんのモットーは「根気よくがんばる」、「注意されたら間違いをくり返さない」。  「自分のことをみんながわかってくれているので、仕事が楽しい」、これが現在も仕事を続けられている理由だと本人は話す。また、羽溪さんはダイエットが目的で始めたマラソンを、ずっと続けている。関西圏で開催される大阪マラソン、京都マラソンのフルマラソンに参加するほどの実力者。これからも可能なかぎり、大好きな仕事と「走る楽しみ」を続けてほしい。 ●東條(とうじょう)隆正(たかまさ)さん(41歳)、知的障害。  東條さんは、奈良県内のハローワークの紹介でナリスコスメティックフロンティアに就職した。仕事内容は、現在も仕上げ工程を担当している。ベルトコンベアーで運ばれてくる製品の点検や梱包をする際に、製品を自分の指でさしながら確認し、声を出してケースの中に収めていく。  「今日はいつもより張り切ってるね」と、周りの従業員さんの励ましに少し照れながらも、はつらつと仕事をこなしていた。これまで長く続けてこられた理由をたずねると、「いろいろな作業を経験したことで自分が成長できたと思います」という。どんな成長があったかたずねると、「それはですね、初めての作業は緊張するけど、続けていくとだんだんと好きになります。好きになると、一人でできるようになるんです」と話してくれた。さらに、東條さんのモットーとして「任された仕事は失敗しない」があり、そのひたむきさで製品を直角・水平にキッチリと配置する彼の仕事ぶりは、ほかの従業員から大きな信頼を得ている。 ●沖(おき)賢次(けんじ)さん(54歳)、肢体不自由(車いすユーザー)。  前回の取材時と同じ「品質管理課」で品質管理を担当。会社で生産する全商品の検査を行うという、責任の重い業務に就いている。また、工場内での障害のある従業員の相談役もになっていて、同社のハード、ソフト両面で重要な役割を果たしている。インタビューでは、沖さんの二つの話が印象に残った。  障害のある従業員についてたずねると、「17人の個性もそれぞれで、創業時からの従業員と、その後入社してきた従業員の世代間ギャップもありますし、高齢化も進んでいます。このような従業員の変化のなかで、化粧品をつくる仕事の効率化と、一人ひとりの役割をつねに考えています」という。さらに、従業員に対するサポートのポイントをたずねると、「サポートは人助けではなく“人造り”だと思う。障害=できないことではなく、個性や特技を持っている人として見つめ、支えることと、気持ちのサポートが大切」というコメントをもらった。  この二つのコメントから、沖さんがこの15年間、自社から不良品を出さないよう企業内の「最後の砦(とりで)」としての責任感と、障害のある従業員たち一人ひとりの成長を見守る優しさを感じた。 ●源(みなもと)桃果(ももか)さん(19歳)、聴覚障害。  源さんは高校生のときに見学に訪れ、工場内のバリアフリー環境が整っていること、化粧品に関心があったことから2021年に入社した。社会人2年目になり、「学生のころとは異なる生活を送るなかで、働くことの責任を実感しながら、一生懸命毎日を過ごしている」と話す。源さんは、これまでいろいろなことにチャレンジしてきたそうだ。学生時代には手話コンテストに、就職後は今年6月に開催された地方アビリンピックに挑み、「製品パッキング」種目で銀賞を獲得するなど、今後の活躍が期待される。ちなみに同社には、過去のアビリンピックに参加した従業員もいて、兵庫県の地方大会で見事な成績を収めている。  5人の先輩のように、源さんもナリスコスメティックフロンティアのなかに「働く居場所」を見つけてほしい。 (3)工場見学とインタビューを終えて  会議室に再び戻り、大西さん、松村さん、谷さんと見学後の感想などについて、しばし懇談した。今回の取材では創業時からの従業員にインタビューをして、あらためて認識した「定着支援」への取組みについて大西さんにうかがった。大西さんは、「障害のある人と一緒に働くのは初めてでした。工場長として赴任して1年が経ちましたが、喜びも2倍、悲しみも2倍です」という。  こんなエピソードを語ってくれた。  「1月のある日、神戸市内に大雪警報が出ました。幸い都市交通は止まらなかったのですが、六甲ライナーの駅から歩いて工場に向かっていたら、歩道上に車いすのわだちがありました。工場の門扉を開ける大脇さんには、『明日警報が出るかもしれないのでゆっくり出勤しなさい』といったのに、いつもより早く出勤していたんです。あらためて大脇さんの人としての魅力、責任感の強さと誠実さを痛感しました」  また、大西さんは、「障害のある人と接してきて、雇用はチャリティではなく、企業としてどう続けていくかが重要だと考えています。これからも17人の従業員が何らかの形で生産にかかわることを大切にしていきたい」と語ってくれた。  ナリスコスメティックフロンティアでは雇用後の定着支援の取組みとして、製品開発、マザー工場見学、生産参観が行われている。なかでも、生産参観に着目した。生産参観とは、障害のある従業員のご家族を工場に招待して、働く現場を参観してもらったり、従業員とご家族が懇談したりする機会だ。  障害療育の現場で働いてきた経験から、この取組みはとても重要だと感じた。障害のある子どもを育てる多くの親は、「親亡き後のわが子の生活」に不安を抱いている。ナリスコスメティックフロンティアの「生産参観」は従業員の授業参観ともいえるが、わが子が「働く」現場を観ることは、家庭では見られないわが子の発見である。その姿は、なにより安心につながる。当事者からすると、家族の安心感が自身の働くことの自信や意欲にも影響すると推測される。「定着支援」は、障害当事者と会社間のみの取組みだけではなく、家族の理解と協力も不可欠だと考える。  大西さんの話が終わった後に、今回の取材先を紹介してくれた、武庫川女子大学薬学部健康生命薬科学科客員教授で、日本介護美容セラピスト協会顧問でもある谷都美子さんによるビューティタッチセラピーが、従業員の大脇さんに行われた。介護美容については31ページのミニコラム「編集委員のひとこと」でも触れるが、今回はハンドセラピーの一部を行ってもらった。  手にクリームを塗ってもらい、肩、肘、腕、手とゆっくりもみほぐしていく。大脇さんに感想を聞くと、「マッサージとは違った体験でした。手の緊張が少しずつ和らぎ、気持ちも楽になりました」とのこと。谷さんからは、「高齢者や障害のある人の介護のなかに、介護美容という新たなアプローチを始めました。その道具として化粧品の役割も広がるのでは」と貴重なコメントをいただいた。 まとめ  今回の取材のメインテーマ「前回のインタビューに応じてくれた5人の従業員たちは、この間、どのように働いてきたか、さらに、どうして続けてこられたのか」について、インタビューメモを読み返すと、5人に共通するキーワードは「理解」、「個性」、「適性」、「経験」、「働くことが好き、楽しい」、「安心」、「責任」だ。これらは5人の従業員の言葉として表現されたものだが、その背景には、創業者の想い「化粧品づくりを通して就労の機会を増やし、お金を稼いで自立した生活を送ってほしい」ということ、さらに、その想いを具体化したCredo/行動指針が見事に反映されている。今回の取材で、企業の運営は、@Concept/創業者の想い、A行動指針、B人づくり/人材育成で成り立っていることをあらためて認識することができた。この三つのキーワード、ナリスコスメティックフロンティアの歩み、従業員の声が、読者のみなさんにとって何かの参考になれば幸いである。 ※1 当機構(JEED)ホームページの「障害者雇用事例リファレンスサービス」でご覧になれます。https://www.ref.jeed.go.jp/19/19578.html ※2 2023年度は2.3%で据え置き、2024年4月に2.5%、2026年7月に2.7%と、段階的に引き上げられる 資料@ 資料A 資料B (資料@〜B提供:株式会社ナリスコスメティックフロンティア) 写真のキャプション 株式会社ナリスコスメティックフロンティア (左から)工場長の大西太郎さん、生産課課長の松村秀雄さん、武庫川女子大学客員教授の谷都美子さん 車いすの方向転換にも支障がない広い廊下 トイレは各階に2室。手すりなどが左右異なる配置となっており、利き手に合わせて利用できる 「車いす洗浄機」を使用する様子 車いすに乗ったまま車輪をブラシで洗浄できる ナリスコスメティックフロンティアは、化粧品などの充填や包装業務をおもな業務としている 大脇啓嗣さんは、パソコンで作業工程の段取りづくりを担当している 部品洗浄や組立てを担当する汐見祐佳さん 製品の梱包作業を行う羽溪裕さん 製品をケースに詰め、確認作業を行う東條隆正さん 製品の品質管理をになっている沖賢次さん 製品の梱包作業にあたる源桃果さん 源さん(左)はアビリンピックの「製品パッキング」にも挑戦している(★) 従業員の家族が職場を見学する「生産参観」の様子(★) (★の写真提供:株式会社ナリスコスメティックフロンティア) 谷都美子さんによるビューティタッチセラピーの様子。コミュニケーションを取りながら施術を行う 【P26-27】 省庁だより ハローワークを通じた「障害者の就職件数」がコロナ禍以前の水準に向けさらに改善 ─令和4年度 障害者の職業紹介状況等─ 厚生労働省 職業安定局 障害者雇用対策課  厚生労働省は5月31日、令和4年度の障害者の職業紹介状況等をまとめました。  ハローワークを通じた障害者の就職件数は、令和3年度の9万6180件から、10万2537件(対前年度比6.6%増)とコロナ禍以前の令和元年度に近い水準まで改善しました。 〈ポイント〉(第1表) 〇ハローワークにおける障害者の新規求職申込件数は23万3434件で、対前年度比4.2%増、就職件数は10万2537件で、前年度と比べ6.6%増となり、いずれも前年度を上回った。 〇就職率(就職件数/新規求職申込件数)は43.9%で、対前年度差1.0ポイント増となった。 〇前年度に引き続き、新規求職申込件数が増加するとともに、障害者の就職先として比較的高い割合を占める、「医療、福祉」、「製造業」、「サービス業(他に分類されないもの)」、「卸売業、小売業」において引き続き求人数が増加し、特に「卸売業、小売業」において令和4年度に求人数の増加幅が拡大したことによるものと考えられる。また、ハローワークに届け出のあった障害者の解雇者数は1605人で、前年度(1656人)を下回った。 〈産業別にみたときの特徴〉(第2表) ○産業別の就職件数は、「医療、福祉」(3万9122件、38.2%)の割合が大きく、「製造業」(1万2765件、12.4%)、「卸売業、小売業」(1万1222件、10.9%)、「サービス業(他に分類されないもの)」(1万723件、10.5%)が続いている。 〈職業別にみたときの特徴〉(第3表) ○職業別では、「運搬・清掃・包装等の職業」(3万3097件、32.3%)の割合が大きく、「事務的職業」(2万4383件、23.8%)、「サービスの職業」(1万2877件、12.6%)、「生産工程の職業」(1万1977件、11.7%)が続いている。 ※本誌では通常西暦で表記していますが、この記事では元号で表記しています 第1表 ハローワークにおける障害者の職業紹介状況(令和4年度) @新規求職申込件数 A有効求職者数 B就職件数 C就職率(B/@) 前年度比 前年度比 前年度比 前年度差 合計233,434(件) 4.2(%) 382,115(人) 6.6(%) 102,537(件) 6.6(%) 43.9(%) 1.0(ポイント) 身体障害者 58,095 0.1 117,747 4.0 21,914 5.2 37.7 1.8 知的障害者 35,610 2.8 56,737 3.9 20,573 3.1 57.8 0.2 精神障害者 123,593 14.2 191,531 17.5 54,074 17.8 43.8 1.4 その他の障害者(注) 16,136 △30.0 16,100 △41.8 5,976 △37.2 37.0 △4.3 (注)「その他の障害者」とは、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳等を保有しない者であって、発達障害、高次脳機能障害、難治性疾患等により、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者である。ただし令和2年1月のハローワークシステム刷新により、障害者手帳を所持する者も一部計上されている。 第2表 産業別就職件数(令和4年度) 産業 障害者計 身体障害者 知的障害者 精神障害者 その他の障害者 前年度比 前年度比 重度 前年度比 前年度比 重度 前年度比 前年度比 前年度比 合計 102,537(件) 6.6(%) 21,914(件) 5.2(%) 7,835(件) 4.8(%) 20,573(件) 3.1(%) 3,210(件) 1.9(%) 54,074(件) 17.8(%) 5,976(件) △37.2(%) 農林漁業 1,161 △1.7 236 14.0 54 5.9 248 △7.8 32 14.3 600 1.9 77 △33.6 鉱業,採石業,砂利採取業 38 26.7 13 0.0 3 0.0 3 0.0 0 − 20 122.2 2 △60.0 建設業 2,753 △0.8 797 2.2 241 △4.4 417 △1.0 46 7.0 1,378 5.7 161 △40.6 製造業 12,765 4.0 2,387 △1.8 833 4.3 3,317 2.1 453 △8.9 6,274 19.8 787 △41.8 電気・ガス・熱供給・水道業 96 △13.5 33 △10.8 16 6.7 6 0.0 0 − 49 △10.9 8 △38.5 情報通信業 1,680 7.3 322 8.1 149 20.2 135 △0.7 26 △10.3 1,103 28.6 120 △56.2 運輸業,郵便業 4,260 2.3 1,226 7.8 361 4.6 941 △6.8 145 △4.6 1,855 13.5 238 △37.7 卸売業,小売業 11,222 4.5 1,861 6.5 633 0.2 3,082 △0.8 443 △1.8 5,649 17.4 630 △41.5 金融業,保険業 1,051 1.4 360 △8.4 137 0.0 99 △13.2 24 9.1 545 30.7 47 △58.0 不動産業,物品賃貸業 1,081 13.2 307 15.4 87 1.2 154 18.5 19 △34.5 547 22.6 73 △35.4 学術研究,専門・技術サービス業 2,111 10.9 390 △3.7 159 9.7 197 △7.5 22 △26.7 1,378 34.6 146 △44.3 宿泊業,飲食サービス業 4,014 24.7 861 18.1 305 33.8 1,065 19.1 174 22.5 1,882 40.9 206 △20.5 生活関連サービス業,娯楽業 2,009 13.7 408 10.3 135 13.4 470 9.3 78 20.0 1,013 27.7 118 △32.2 教育,学習支援業 2,397 8.8 753 12.6 272 20.4 271 1.1 49 △2.0 1,249 18.5 124 △41.8 医療,福祉 39,122 9.0 7,172 7.5 2,834 6.1 7,412 6.8 1,261 8.5 22,264 16.8 2,274 △29.4 複合サービス事業 832 3.9 182 10.3 47 4.4 215 5.9 22 △24.1 387 7.5 48 △34.2 サービス業(他に分類されないもの) 10,723 2.8 2,645 2.0 896 △2.5 2,193 △1.4 375 △ 2.8 5,309 16.5 576 △45.5 公務・その他 5,222 1.7 1,961 2.2 673 △1.2 348 2.4 41 13.9 2,572 9.9 341 △36.4 第3表 職業別就職件数(令和4年度) 職業 障害者計 身体障害者 知的障害者 精神障害者 その他の障害者 前年度比 前年度比 重度 前年度比 前年度比 重度 前年度比 前年度比 前年度比 合計 102,537(件) 6.6(%) 21,914(件) 5.2(%) 7,835(件) 4.8(%) 20,573(件) 3.1(%) 3,210(件) 1.9(%) 54,074(件) 17.8(%) 5,976(件) △37.2(%) 管理的職業 115 △0.9 50 6.4 23 43.8 2 100.0 1 − 56 △3.4 7 △30.0 専門的・技術的職業 7,292 4.2 2,108 △1.7 911 △1.2 318 10.8 33 △5.7 4,259 14.1 607 △27.0 事務的職業 24,383 9.8 6,180 4.2 2,456 3.3 2,055 7.1 279 9.8 14,482 26.2 1,666 △42.0 販売の職業 4,515 6.3 684 0.6 226 △5.0 1,323 3.2 173 8.1 2,248 18.3 260 △32.5 サービスの職業 12,877 9.8 2,747 7.9 892 13.1 2,941 4.6 433 4.1 6,457 18.2 732 △19.4 保安の職業 1,209 1.1 536 1.9 125 △9.4 112 △7.4 8 △33.3 483 4.3 78 △9.3 農林漁業の職業 3,104 0.7 425 11.8 133 17.7 893 △0.4 184 14.3 1,610 8.3 176 △44.8 生産工程の職業 11,977 6.6 1,990 1.1 679 3.5 3,158 4.7 438 △5.2 6,100 19.6 729 △36.8 輸送・機械運転の職業 2,873 2.0 1,431 5.1 371 6.0 140 △3.4 10 △44.4 1,138 1.4 164 △13.7 建設・採掘の職業 1,095 △7.4 281 △11.1 60 △29.4 242 △5.5 13 △27.8 511 △2.3 61 △30.7 運搬・清掃・包装等の職業 33,097 5.5 5,482 11.3 1,959 9.1 9,389 1.8 1,638 1.4 16,730 14.9 1,496 △43.9 分類不能の職業 0 − 0 − 0 − 0 − 0 − 0 − 0 − 【P28-29】 研究開発レポート テレワークに関する障害者のニーズ等実態調査 障害者職業総合センター研究部門 事業主支援部門 1 はじめに  ICT(情報通信技術)を活用したテレワークについては、障害者雇用においても、多様な働き方の推進や雇用機会の確保の観点から、さらなる普及をめざすための取組みが実施されてきました。特に2020(令和2)年以降、新型コロナウイルス感染症対策としての必要性もあり、テレワークで働く障害者は急激に増加しました。そうしたなかで、障害者がテレワークという働き方をどのように認識し、どのようなニーズを持っているかを、総体として明らかにした調査は少なかったように思われます。このため、テレワークで障害者が働く際にはどのような課題があり、企業や障害者の双方がどのように対処しているのかといったことを、この機をとらえて明らかにする必要があると考えました。  そこで障害者職業総合センターでは、2021(令和3)年度から2022(令和4)年度にかけて、「テレワークに関する障害者のニーズ等実態調査」を実施いたしました。本調査では、就労や求職活動を行っていない人々も含めたアンケート調査により、障害者のテレワークに対するニーズ等を明らかにするよう努めました。加えて、テレワークを経験した障害当事者と、障害のある社員がテレワークで働いている企業の人事担当者等の双方にヒアリングを行い、障害者がテレワークで働く際に直面する課題とそれらへの対処法を、多角的にとらえることとしました。今回は、「雇用されている」障害者に関する結果の一部をご紹介いたします。 2 調査結果より(一部紹介) (1)テレワークの利点  今回、テレワークに関するアンケート調査を、1,000人の「雇用されている」障害者に対して実施しました。このなかで、現在の勤務先でテレワークの経験がある障害者に「テレワークを経験して良かった点」(複数回答可)をたずねており、その結果をまとめたものが図1です。最も多くの回答者が選択したのが、「通勤の負担軽減」でした。  「通勤の負担軽減」というテレワークの利点は、障害の有無に関わらず当てはまるものであり、さほど注目すべきことではないようにも思われます。しかし、テレワークで働く障害者へのヒアリングで掘り下げると、「通勤の負担軽減」は障害者にとってより切実なものであることがわかりました。「右足が動きづらく、最寄りのバス停に移動するだけでも負担感が大きかった」という声や、「身支度などの手間を省けるのはもちろんだが、免疫抑制剤を服用しているため、外出の回数が減れば健康面でのリスクも軽減する」などの声があり、通勤を回避することのメリットは障害によってより大きなものになり得ることが確認されました。  また、企業へのヒアリングにおいては、テレワークの利点として、地方在住者や移動困難者を含めたより多くの社員候補者を得られることが指摘されていました。  このように、障害者雇用におけるテレワークには、通勤の負担軽減のような重要な利点があることがわかりました。そのため、テレワークという働き方が、障害者の活躍の機会拡大に寄与することが期待されます。 (2)必要な配慮  「雇用されている」障害者に対するアンケート調査で、現在の勤務先でテレワークの経験がある障害者に「テレワーク時に必要だと感じた職場の配慮」(複数回答可)についてたずねました。最も多く選択されたのは、「障害特性に合わせた業務上のコミュニケーション」でした。回答結果の詳細は、図2のとおりです。  テレワークでのコミュニケーションについては、障害者へのヒアリング調査でも、「コミュニケーションにタイムラグが生じる」ことや、「ちょっとしたことを質問しづらい」ことが課題としてあげられていました。  テレワークを実施するうえで、コミュニケーション上の課題が存在することは、企業側も認識しており、それらを解消するための取組みがなされていることが、企業へのヒアリング調査で確認されました。コミュニケーションツールとしては、メールやチャットに加え、web会議システムやグループウェア、携帯電話などが用いられ、用途によって使い分けがなされているようでした。業務上の質問をいつでも受けつけられるようにするだけでなく、雑談などを行う場(チャットやwebミーティング)も設定され、気兼ねなくやりとりを行えるような工夫が見られました。  しかしながら、web会議システムのようなテレワークで多用されるコミュニケーションツールが苦手な障害者もいます。障害者に対するアンケート調査の自由記述では、「(カメラに)映るのが苦手」(視覚障害・精神障害ほか)、「ビデオ通話など画面を見ながらうまく話をすることができない」(精神障害・発達障害)という声がありました。業務上必要なコミュニケーションを取る際には、障害特性に配慮したコミュニケーション方法を選択することが大切でしょう。 3 おわりに  このほかにも、テレワークに関するニーズや課題、工夫等を収集することができました。今回の調査研究の結果をまとめた「調査研究報告書bP71」(※)は障害者職業総合センターのホームページからご覧いただけます。ぜひご活用ください。 ※https://www.nivr.jeed.go.jp/research/report/houkoku/houkoku171.html ◇お問合せ先:研究企画部 企画調整室(TEL:043-297-9067 E-mail:kikakubu@jeed.go.jp) 図1 「雇用されている」者に聞いたテレワークを経験して良かった点(複数回答) n=470 通勤の負担軽減74.7% 通院時間の確保26.6% 服薬がしやすい17.2% 介護を受けながら働く5.1% 体調に合わせて働く33.2% 作業環境の設定25.5% 周囲の目を気にせず作業28.7% 通勤できない遠方の企業に就職2.6% その他1.9% 無回答2.1% 図2 「雇用されている」者に聞いたテレワークを経験して必要だと感じた職場の配慮(複数回答) n=470 障害特性に合わせた業務上のコミュニケーション42.1% 業務マニュアル作成や業務補助者の配置等27.4% 障害に応じた支援機器等の導入、貸与16.8% 通院や服薬、休憩等の柔軟な時間管理23.0% 体調が悪い時の休暇取得や緊急時の対応28.9% 社内研修や教育、OJTの機会の確保19.6% 孤独感・疎外感について21.9% その他6.0% 無回答7.0% 【P30-31】 ニュースファイル 地方の動き 東京 特別支援学校2校に「職能開発科」を設置  東京都は、都立練馬特別支援学校と新設校の南多摩地区特別支援学校(仮称)に、2024年4月から「職能開発科」を設置することを発表した。「職能開発科」では、知的障害の軽度から中度の生徒を対象に、全員の企業就労を目ざす職業教育が行われる。これにより職能開発科は東久留米・足立・青鳥(せいちょう)・港・江東の各特別支援学校を含め計7校に設置となる。  このうち練馬特別支援学校では「食品コース」と「物流コース」の2コースを設け、3年間を通して清掃、事務、情報を学び、幅広い職種に対応できる力を育成する。1年生はどちらも体験し、2〜3年生ではコースを選択。「働くための態度の育成」、「キャリアパスポートを活用した指導」を柱とし、体験と授業を結びつけ、各家庭とも情報を共有しながら、ていねいな進路指導と本人が望む進路実現を目ざす。 奈良 手話普及動画を制作  香芝(かしば)市は、香芝市聴覚障害者協会と連携して手話普及動画「かしば手話のじかん」を作成し、YouTube 上の香芝市公式チャンネルで公開を始めた。  同市は2020(令和2)年3月に「香芝市手話言語及び障がいの特性に応じたコミュニケーション手段に関する条例」を制定。手話が言語であること(手話言語)に対する理解の促進や、障害特性に応じたコミュニケーション手段への理解および利用の促進に向けて、動画を作成した。  市職員が撮影した動画は約2〜3分の長さで、登場者が「こんにちは」、「今日はどこへ行くの?」、「一緒にランチに行こう」などの日常会話を手話で進める様子を字幕つきで紹介。さらに会話に出てくる「元気」、「店」、「知っている」などの単語について手の動きを細かく説明している。月1本ずつ公開していく予定。 https://www.youtube.com/@kashibacity/featured 生活情報 「えきねっと」で障害者割引サービス開始  東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)(東京都)は、新幹線などの切符をインターネット予約できる「えきねっと」で、障害者を対象とした割引サービスを2024年2月(予定)に始めると発表した。身体障害者または知的障害者と、同乗する介護者の乗車券を5割引とする。このサービスにより、駅の「みどりの窓口」で申込みをする必要がなくなり、負担軽減が見込まれる。  利用するには、マイナンバーカードを用いて身体障害者手帳情報および療育手帳情報を確認するため、事前にマイナポータルへのマイナンバーカードの登録が必要。障害者が単独で乗車する場合は片道100qを超える場合にかぎり5割引となる。特急券は割引対象外。  今後は新幹線eチケットへの障害者割引の適用や、新幹線の「車いす対応座席」をえきねっとで申し込めるサービス、駅係員による乗車ホームまでの案内や乗降介助のウェブ予約サービスも検討する予定。 茨城 最重度障害者の新施設起工  障害者支援施設の「茨城県立あすなろの郷(さと)」(水戸市)が、最重度障害者向け施設「セーフティネット棟」の起工式を行った。新施設は居室や病院などの機能を持つ2棟で、入所定員200人。2025年度に供用開始予定。  県立あすなろの郷は、県社会福祉事業団が指定管理者として運営している。老朽化した既存施設を建て替える新施設は、最重度の障害者の受入れに特化しており、医療的ケアが必要な障害者が入所し病院や通所機能も設ける棟(2階建て延べ床1万3195u)と、強度行動障害のある障害者が入所する棟(1階建て延べ床5289u)で構成。供用開始と同時に既存施設から最重度の利用者約190人が移り、中軽度の利用者は敷地内に整備されている別棟を活用する。 本紹介 『ぼくは耳が聞こえないそれでも妻と一緒に住んだら人生幸せになった話』  耳の聞こえない夫トトさん≠ニ耳の聞こえる妻ゆっこさん≠ェ、運営するYouTubeチャンネル「みゆみゆチャンネル」の名前で『ぼくは耳が聞こえないそれでも妻と一緒に住んだら人生幸せになった話』(KADOKAWA刊)を出版した。  生まれつき耳が聞こえず家族全員がろう者のデフファミリーとして育った夫と、複雑な家庭環境に育ちながらも専門学校で手話を身につけた妻、そして娘も入れた3人の日常生活をまとめたエッセイ。ろう者がどのような日常を生き、ろう者と一緒に住むとはどのようなことなのか、父がろう者である娘は家族をどう認識し、どのように父と接するようになるのか。ろう者とともに生活する家族のありのままの日常を紹介。四六判192ページ、1540円(税込)。 『障害と人権の総合事典』  「特定非営利活動法人日本障害者協議会」が、『障害と人権の総合事典』(やどかり出版刊)を出版した。  日本障害者協議会は、これまで調査研究や政策提言、大会・セミナーなどの開催、情報誌やホームページなどでの情報の提供、啓発運動などを行ってきている。事典は、障害者権利条約をベースに障害分野を横断した27章で、障害関連の重要文書から抽出した320超の見出し項目で構成。当事者視点・現場の実態をふまえ、用語の本質や実践の方向性までを追求した解説となっている。視覚障害者等のためのテキストデータ引換券つき。A5判274ページ、2970円(税込)。 アビリンピック マスコットキャラクター アビリス 2023年度地方アビリンピック開催予定 10月〜11月 北海道、青森県、千葉県、神奈川県、石川県、滋賀県、山口県、大分県 *開催地によっては、開催日や種目ごとに会場が異なります * は開催終了 ※全国アビリンピックは11月17日(金)〜11月19日(日)に、愛知県で開催されます。 地方アビリンピック 検索 ※日程や会場については、変更となる場合があります。 写真のキャプション 北海道 青森県 千葉県 神奈川県 石川県 滋賀県 山口県 大分県 ミニコラム 第28回 編集委員のひとこと ※今号の「編集委員が行く」(20〜25ページ)は諏訪田委員が執筆しています。  ご一読ください。 美容再考 武庫川女子大学准教授 諏訪田克彦  先日、前の職場で一緒に働いた介護福祉士のOさんから「私、新しいこと始めました」とSNSで連絡があった。「なにを始めたの」と返信すると、「介護美容です」とすぐに返事があった。介護美容という言葉も初めて。美容と聞くと美容院、美容については「スキンケア」、「ボディケア」、「ヘアメイク」というイメージしかなく、美容と介護、福祉がどうつながるのか皆目見当もつかなかった。その内容を知りたいという好奇心から「今度どこかで会ってゆっくり教えて」と連絡すると、「勉強を始めたばかりなので、介護美容でお世話になっている谷都美子さんを紹介します」という流れから、今回の株式会社ナリスコスメティックフロンティアの取材へ発展した。  谷さんは、「メーキャップやマッサージなど肌に触れるケアを通して、心≠ニ脳=A体=A肌≠フ健康を推進することを目的にしています。特に、高齢者、障害のある人、難病を抱えている人たちに美容を通してその人らしい生活と人生を送ってほしいという思いからこの活動を始めました」とのこと。介護とは、一般的に日常生活の動作、家事援助、健康管理、社会活動の援助などを行うと定義されているが、自立支援や、意思の尊重などの考え方が加わり、介護の意味合いも変化してきている。少子高齢化が進むなかで、美容も「老いも若きも/ageless(エイジレス)」、「女性も男性も/genderless(ジェンダーレス)」と多様化している。介護のなかに「美容」が取り入れられることで、介護の在り方や社会福祉の考え方も変化していくのでは、と新たな期待を感じた。谷さんは、現在、介護美容が、医療や介護だけでは改善しにくい「心」の領域をサポートする有効な手段であることを、科学的に証明する研究に取り組んでいる。 【P32】 掲示板 受講者募集! 職業リハビリテーションに関する各種研修のご案内 訪問型・企業在籍型職場適応援助者養成研修(12月期) 受講料無料 ◆訪問型・企業在籍型職場適応援助者養成研修(12月期)  訪問型または企業在籍型職場適応援助者(ジョブコーチ)としての援助を行ううえで必要となる知識および技術を習得するための研修を実施します。 ◆日程および会場 【12月期】<大阪会場> ※西日本地域(静岡を除く東海、富山を除く北陸、近畿、中国、四国、九州、沖縄)の方が対象です。  日程:令和5年12月12日(火)〜12月15日(金)  会場:倉敷紡績株式会社本社ビル2階会議室(大阪府大阪市中央区久太郎町2-4-31) 【12月期】<幕張会場> ※東日本地域(北海道、東北、関東甲信越、静岡、富山)の方が対象です。  日程:令和5年12月19日(火)〜12月22日(金)  会場:障害者職業総合センター(千葉県千葉市美浜区若葉3-1-3) ◆申込受付期間(両会場とも共通です)  令和5年9月26日(火)〜10月20日(金) ◆お申込み先  ホームページに受講申込書および申込方法を掲載しています。 ◆お問合せ先  職業リハビリテーション部人材育成企画課(TEL:043-297-9095)  E-mail:stgrp@jeed.go.jp  https://www.jeed.go.jp/disability/supporter/supporter04.html 職場適応援助者(ジョブコーチ) 今回のご案内はこちらです。 ステップ1 ジョブコーチをめざす方 職場適応援助者養成研修 ジョブコーチ支援をする際に必要な知識・技術の習得 障害者職業総合センター 全国の地域障害者職業センター ステップ2 ジョブコーチの実務経験のある方 職場適応援助者 支援スキル向上研修 ジョブコーチとしての支援スキルの向上 障害者職業総合センター・大阪障害者職業センター 読者アンケートにご協力をお願いします! 回答はこちらから→ メールマガジン好評配信中! 詳しくは JEED メルマガ 検索 次号予告 ●メダリストを訪ねて  2023年3月にフランスで開催された第10回国際アビリンピックの「歯科技工」種目で、金賞を受賞した中川直樹さんに、大会の思い出や、今後の抱負などをうかがいます。 ●職場ルポ  ナット・パーツ製造を行う西精工株式会社(徳島県)を訪問。職場実習やトライアル雇用などを活用し、積極的に障害者雇用を進める同社の取組みを取材しました。 ●グラビア  アルミニウム製品の鋳造・加工などを行う栗田アルミ工業株式会社(茨城県)を訪問。継続的な職場定着を図る現場について紹介します。 ●編集委員が行く  松爲信雄編集委員が、株式会社加藤えのき(宮崎県)と支援機関を取材。中小企業における障害者雇用の工夫などについてお伝えします。 公式X(旧Twitter)はこちら! 最新号発行のお知らせやコーナー紹介などをお届けします。 @JEED_hiroba 本誌購入方法  定期購読のほか、最新号やバックナンバーのご購入は、下記へお申し込みください。  1冊からのご購入も受けつけています。 ◆インターネットでのお申し込み 富士山マガジンサービス 検索 ◆お電話、FAXでのお申し込み  株式会社広済堂ネクストまでご連絡ください。  TEL 03-5484-8821  FAX 03-5484-8822 あなたの原稿をお待ちしています ■声−−障害者雇用にかかわるお考えやご意見、行事やできごとなどを500字以内で編集部(企画部情報公開広報課)まで。 ●発行−−独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 発行人−−企画部長 境 伸栄 編集人−−企画部次長 中上英二 〒261−8558 千葉県千葉市美浜区若葉3−1−2 電話 043−213−6526(企画部情報公開広報課) ホームページ https://www.jeed.go.jp メールアドレス hiroba@jeed.go.jp ●発売所−−株式会社広済堂ネクスト 〒105−8318 東京都港区芝浦1−2−3 シーバンスS館13階 電話 03−5484−8821 FAX 03−5484−8822 10月号 定価141円(本体129円+税)送料別 令和5年9月25日発行 無断転載を禁ずる ・本誌に掲載した論文等で意見にわたる部分は、それぞれ筆者の個人的見解であることをお断りします。また、本誌では「障害」という表記を基本としていますが、執筆者・取材先の方針などから、ほかの表記とすることがあります。 編集委員 (五十音順) 株式会社FVP代表取締役 大塚由紀子 トヨタループス株式会社 管理部次長 金井 渉 NPO法人大阪精神障害者就労支援ネットワーク 副理事・統括施設長 金塚たかし 弘前大学教職大学院 教授 菊地一文 岡山障害者文化芸術協会 代表理事 阪本文雄 武庫川女子大学 准教授 諏訪田克彦 サントリービバレッジソリューション株式会社 人事本部 副部長 平岡典子 神奈川県立保健福祉大学 名誉教授 松爲信雄 有限会社まるみ 取締役社長 三鴨岐子 筑波大学大学院 教授 八重田 淳 常磐大学 准教授 若林 功 【裏表紙】 第43回 全国アビリンピック 障害者ワークフェア2023 〜働く障害者を応援する仲間の集い〜 入場無料 令和5年11月17日金〜11月19日日 11月17日(金)開会式(ウェブ配信) 11月18日(土)技能競技および障害者ワークフェア 11月19日(日)閉会式 開催場所 愛知県国際展示場 AICHI SKY EXPO 愛知県常滑市セントレア5-10-1 ●中部国際空港駅より徒歩5分 アビリンピック マスコットキャラクター アビリス 全国アビリンピック 第43回全国アビリンピックでは、全25種目の技能競技と2職種の技能デモンストレーションを実施し、全国各地から集った約380人の選手たちが日ごろつちかった技能を披露し、競い合います。 障害者ワークフェア 障害者ワークフェアでは、「働く障害者を応援する仲間の集い」として、約90企業・団体による出展を予定しています。能力開発、就労支援、職場紹介の3つのエリアによる展示・実演のほか、ステージイベント、各種特設コーナーなどがあります。 主催 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 当日はライブ配信も予定しています! アビリンピック 検索 写真のキャプション 電子機器組立 フラワーアレンジメント ワード・プロセッサ 障害者ワークフェア 10月号 令和5年9月25日発行 通巻552号 毎月1回25日発行 定価141円(本体129円+税)