ミニコラム 第51回 編集委員のひとこと ※今号の「編集委員が行く」(20〜25ページ)は金塚委員が執筆しています。ご一読ください。 評価の見える化 NPO法人大阪精神障害者就労支援ネットワーク 副理事・統括施設長 金塚たかし  企業の障害者雇用において、精神障害や発達障害のある方々に対してキャリアアップや能力開発の機会を提供する取組みが進んでいます。能力を正しく評価し、それに応じて給与を引き上げる動きが広がっていることは、社会全体にとっても歓迎すべき変化といえるのでしょう。一人ひとりの成長を認め、待遇に反映させる姿勢は、当事者の自己肯定感を高め、多様性を尊重する社会づくりにもつながっていくと感じます。  その一方で知的障害のある方々の雇用現場には依然として評価についての課題が残されているように感じます。今回取材させていただいた有限会社奥進システム(以下、「奥進システム」)代表の奥脇さんは、その背景について分析されています。  「知的障害のある方々の能力向上を正しく測定し、それを給与に反映させるための明確な基準やツールが存在していないことです。これは深刻な課題であり、職業能力を客観的に可視化する仕組みがなければ、公平な評価と報酬の連動は実現できません」  このような問題意識から、奥進システムでは知的障害者の職業能力を適正に評価できる独自のツールを開発されました。この評価ツールは商用化を目的としたものではなく、社会貢献の一環として無料で提供されています。ホワイトボードや手書きでの予定管理は便利な一方で情報を残らず管理するのも大変です。SkeBo(デジタルツール)はそんな声から生まれたようです(※)。予定を簡単に見える化し、自然に情報が蓄積されていくことにより、無理なくDXの第一歩を踏み出せるようにと。  このツールを活用することで、従業員一人ひとりの成長を数値として把握でき、本人にとってはやりがいの実感が職場への定着につながることを期待したいです。 ※無料で使えるスケジュール管理システムSkeBo https://skebo.jp/