グラビア だれもが働きやすい職場で働く 秋田協同印刷株式会社(秋田県) 取材先データ 秋田協同印刷株式会社 〒010-0976 秋田県秋田市八橋南(やばせみなみ)2-10-34 TEL 018-823-7477(代表) FAX 018-824-2864 写真・文:官野 貴  秋田協同印刷株式会社(以下、「秋田協同印刷」)では、印刷業でつちかったノウハウを活かして、従来のDTPや印刷、製本業務をはじめ、Webサイトや電子書籍のデータ制作などの業務を展開。同社の製本工程では、障害のあるベテラン従業員2人と入社7年目の若手従業員が活躍している。  この日、ミシン目加工機でカレンダーに切り離し用のミシン目を入れる作業を行っていた三浦(みうら)朋子(ともこ)さん(67歳)は、勤続39年の大ベテランで聴覚障害がある。三浦さんは、印刷した用紙をまとめる作業である「丁合(ちょうあい)」や穴あけ作業など、さまざまな製本工程を幅広く担当している。「ここは働きやすい職場です。体に気をつけて、70歳まで働き続けたいです」と話す。  三浦(みうら)寛之(ひろゆき)さん(55歳)も聴覚障害のある、勤続35年のベテラン従業員だ。折り機のオペレートを担当しており、折り機に大判の印刷物をセットし、きちんと一枚ずつ送り込まれるように調整を加える。「秋田協同印刷は、障害への理解があり、とても働きやすい職場です。楽しく仕事ができています」と話す。  若手従業員として活躍しているのが倉田(くらた)響(きょうま)さん(24歳)。倉田さんは、特別支援学校在学中の実習を経て、同社に入社。現在は、中綴(なかと)じラインで補助業務にあたっている。補助業務は、複数の作業を並行して行うため、全体的な流れを見ながら、それぞれの作業をバランスよくこなさなければならない。今後の目標についてたずねると「さらに経験を積み、知識を身につけて、中綴じ機の主担当にチャレンジしたい」と教えてくれた。  同社は、障害の有無にかかわらず、だれもが働きやすい環境づくりを大切にしており、2024(令和6)年度に「もにす認定制度」(障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度)の認定を受けた。今後も職場体験や実習などを通して、障害者雇用に貢献していく予定だという。 写真のキャプション 小型カレンダーにミシン目加工を行う三浦朋子さん ミシン目が正しい位置になるように微調整を行う 加工を終えたカレンダーをさばきながら、ミシン目の位置を確認する 折り機に加工用の印刷物をセットする三浦寛之さん 印刷物が一枚ずつ折り機に送り込まれるように調整を加える 折り機では、大判の印刷物が折り込まれ、冊子状へと加工される 冊子状になった印刷物を折り機から取り出す 冊子状の印刷物を整えてまとめる 冊子状になった印刷物を次の工程へ引き継ぐ 折り工程を終えた印刷物を運ぶ倉田響馬さん 傷や汚れをチェックし、中綴じ製本機の紙掛け装置にセットする 倉田さんは印刷物を紙掛け装置にセットする際、ていねいな作業を心がけているという 補助業務は、複数の作業を並行して行う。中綴じ製本が終わった印刷物をパレットに積み込む 中綴じ製本機で断裁された切れ端をまとめ、フレキシブルコンテナバッグへと詰める