省庁だより 令和7年版 障害者白書概要A 内閣府ホームページより抜粋  11月号に続き、今号では「令和7年版障害者白書」の概要の第4章、第5章、第6章を紹介します。 第4章 障害のある人がその人らしく暮らせるための施策 1.福祉的就労をする障害のある人への支援 〇障害者総合支援法の改正により、障害のある人が就労先・働き方についてよりよい選択ができるよう、就労アセスメントの手法を活用して、本人の希望、就労能力や適性等に合った選択を支援する「就労選択支援」を創設。 〇就労継続支援B型事業所等での工賃の水準が向上するよう、都道府県は、2024年度から2026年度の新たな「工賃向上計画」を策定し、経営等の支援や関係行政機関、地域の商工団体等の関係者と連携し、取り組んでいる。 〇コンサルタントによる企業経営手法の活用や共同受注の促進など、比較的効果のあった取組に重点を置いて取り組むとともに、厚生労働省において、これらの取組に対して予算補助を行っている。 2.成年後見制度 〇2022年10月に公表された国連の障害者権利委員会による総括所見や、成年後見制度の見直しに向けた検討を行うとする第二期成年後見制度利用促進基本計画等を踏まえ、障害当事者団体からの委員も参加の下、2024年4月に、法制審議会民法(成年後見等関係)部会において、成年後見制度の見直しの調査審議が開始された。 成年後見に関する主な指摘 @判断能力が回復しない限り利用をやめられない A本人の自己決定が必要以上に制限される場合がある B本人がそのニーズに合った保護を受けることができない C適切な時機に任意後見監督人の選任申立てがされない 3.スポーツの推進 〇パラスポーツ活動の機会の創出やスポーツ活動の定着のため、スポーツ活動の場づくりや特別支援学校等の全国大会の開催を支援。 〇パリ2024パラリンピック競技大会が、2024年8月28日(水)から9月8日(日)までフランス・パリで開催。海外開催大会で過去最多となる11競技でメダルを獲得。複数の競技種別において、競技初・種目初となる金メダルやメダルを獲得。 〇2025年11月15日(土)〜26日(水)に、第25回夏季デフリンピック競技大会東京2025を開催。「“誰もが個性を活かし力を発揮できる”共生社会の実現」等を掲げ、東京都を中心に21競技が実施される予定。 4.文化芸術活動の推進 〇2023年策定の第2期「障害者による文化芸術活動の推進に関する基本計画」に基づき、文化芸術活動を総合的かつ計画的に推進。 第5章 住みよい環境の基盤づくり 1.公共交通機関のバリアフリー化 〇「バリアフリー法」に基づき、鉄道駅等の旅客施設の新設、大規模改良及び車両の新規導入に際し、構造や設備について、「公共交通移動等円滑化基準」への適合を義務付けている。2024年3月に公共交通機関の旅客施設や車両等、役務の提供等について、「移動等円滑化整備ガイドライン」を改正した。 〇2024年3月、「公共交通事業者に向けた接遇ガイドライン」の見直しを行い、障害者差別解消法に基づく国土交通省の対応指針の改正内容を盛り込んだ。 〇鉄道駅等旅客施設や車両の整備に対する助成及び融資により、公共交通機関のバリアフリー化を進めている。 2.歩行空間等のバリアフリー化 〇「移動等円滑化の促進に関する基本方針」に基づき、音響により信号表示の状況を知らせる音響信号機や、歩行者等と車両が通行する時間を分離して交通事故を防止する歩車分離式信号、横断歩道上における視覚障害のある人の安全性及び利便性を向上させるエスコートゾーン等の整備を推進している。 〇2024年1月には、「道路の移動等円滑化に関するガイドライン」を改定し、踏切道手前部の視覚障害者誘導用ブロックと踏切道内誘導表示の設置方法や構造について規定。 3.防災対策の基本的な方針の見直し 〇2024年11月「令和6年能登半島地震を踏まえた災害対応の在り方について(報告書)」において、快適なトイレの設置の確保や温かく栄養バランスの取れた食事の提供等に課題があったとされたことから、災害や紛争の影響を受けた人々への人道支援の国際的な指標である「人道憲章と人道支援における最低基準」(スフィア基準)も踏まえつつ、同年12月に「避難生活における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」、「避難所運営等避難生活のためのガイドライン(チェックリスト)」、「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」を改定し、公表した。 4.令和6年能登半島地震における障害のある人への主な支援 〇障害者等要配慮者の避難先となる福祉避難所を設置するとともに、一般の避難所においてもニーズの把握を行い、要配慮者スペースを設けるなどの必要な対応を行うよう被災自治体に対して通知。 〇石川県からの派遣要請に基づき、DPATを派遣。避難所の巡回活動を通じた精神疾患患者の診察や薬剤調整等を実施。また、中長期における被災者の心のケアとして、石川県が「こころのケアセンター」を設置し、心のケアを必要とする方に対して、専門ダイヤルによる電話相談や訪問支援等の対応を行っている。 〇介護職員等の派遣、避難者の受入等  ・介護職員等が不足している場合には、国や県等の調整を受けて、別の事業所等より介護職員等の派遣。  ・被災等により利用者の避難が必要である場合には、国や県等において調整を行い、受入先を確保。  ・障害者支援施設等の復旧事業や事業再開に要する経費に関する国庫補助事業を実施。 〇避難所における障害児者への配慮事項等、手話や点字・音訳による情報保障、ストーマ用品の無償提供等について、厚生労働省ホームページにおいて、随時情報提供。 5.障害者関連の被災状況(2025年3月11日現在) 〇石川県内の障害者施設については30施設に断水、9施設に建物被害があった。同県内の障害児施設については36施設に断水、25施設に建物被害があった。障害者施設からの避難はあったが、いずれも人的被害はなかった。 6.障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律に基づく取組 〇法に基づき、障害のある人による情報取得等に資する機器等の開発及び普及の促進並びに質の向上に関する「協議の場」(※)を2024年5月に開催し、前年度の施策の実施状況について関係府省庁から報告し、意見交換した。 ※視覚障害や聴覚障害などの障害当事者団体、機器開発等を行う事業者や関係団体、内閣府、デジタル庁、総務省、厚生労働省、経済産業省が参集。 7.視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律に基づく取組 〇法に基づき、関係者協議会を開催し、関係者からの意見聴取や協議等を行い、パブリックコメントを経て、2025年3月に基本計画(第2期)を策定した。 8.文字表示電話サービス「ヨメテル」の提供開始(TOPICS) 〇中途失聴者や高齢者を含む難聴者などが、スマートフォンを使って自身の声で通話相手であるきこえる人に話し、通話相手の声を文字で読むことができる文字表示電話サービス「ヨメテル」が2025年1月から開始された。 ※「ヨメテル」は、現行の電話リレーサービスと同じく公共インフラとして24時間365日利用でき、緊急通報(110、118、119)が可能。発信者側はIP電話へ発信する際と同程度の通話料金が適用。 第6章 国際的な取組 〇障害者権利委員会では、2024年6月に委員改選に伴う選挙が行われ、我が国から立候補した田門浩弁護士が当選し委員に就任した(任期2025年1月から2028年12月)。 ★「障害者白書」は、内閣府ホームページに掲載しています。https://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/index-w.html