ニュースファイル 国の動き 厚生労働省 使用者による障害者虐待の状況  厚生労働省が「令和6年度使用者による障害者虐待の状況等」を取りまとめ、結果を公表した。「障害者虐待防止法」に基づき都道府県労働局が地方自治体と連携し、障害者を雇用する事業主や職場の上司などの「使用者」による障害者への虐待防止や是正指導に取り組むなかで、通報や届出のあった事業所数と対象となった障害者数を調べた。  これによると通報・届出のあった事業所数は、前年度比5.4%増の1593事業所。対象となった障害者数は、前年度比1.5%減の1827人だった。虐待が認められた事業所数は、前年度比2.9%減の434事業所で、虐待が認められた障害者数は、前年度比14.3%減の652人で、障害種別では多い順に知的障害(189人)、精神障害(170人)、身体障害(142人)、発達障害(33人)などとなっている。  認められた虐待の種別では、経済的虐待が584人(85.0%)で最多となっている。ある製造業の事業所のケースでは、労働基準監督署が臨検監督で勤務実態等を確認したところ、知的障害のある正社員の割増賃金の支払額が不足していることが判明。是正勧告を行い、後日支払いを確認したという。 https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/001553553.pdf 地方の動き 関東 「障害者用駐車場の適正利用を」  関東の1都3県(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)は共同で12月までの間、障害者用駐車場の適正利用に向けた普及啓発のため、共通のリーフレットやポスター等を活用した広報活動を各都県で実施している。  障害者用駐車場(障害者等用駐車区画)は、車いすユーザーなど車の乗り降りや移動に配慮が必要な人のために設けられた区画で、通常より幅が広く、建物の出入口やエレベーターホール等に近い場所に定められている。こうした駐車場を「必要な人のために空けておこう」と呼びかけるポスターやリーフレットを、高速道路のサービスエリアや商業施設、イベント会場などで掲示・配布するほか、SNSなどでも集中的に発信している。 東京 SOSネットワーク対象に障害者も  八王子市は、行方不明になった認知症の高齢者らを早期発見するため、行政と民間が情報を共有する「SOSネットワーク」について、新たに障害者もネットワークの対象とする運用を開始した。事前にスマートフォンのアプリ(みまもりあいアプリ)に顔写真や身体的特徴を登録しておくと、失踪時、警察をはじめ公共交通機関や協力者らに情報が伝わる仕組み。  厚生労働省によるとSOSネットワークは、認知症の高齢者が巻き込まれる交通事故などを防ぐために普及を呼びかけており、いまでは全国の約1700自治体のうち8割以上で導入されているという。  八王子市内で昨年起きた、知的障害のある16歳の男子生徒の行方不明・死亡事故を受け、対象者を広げた。 神奈川 「手話リンク」を導入  神奈川県は県代表電話に、一般財団法人日本財団電話リレーサービスが提供する「手話リンク」を導入した。県ホームページの「手話で電話する」ボタンをクリックすると県庁に電話がつながり、通訳オペレータを介して手話で電話することができる。都道府県での手話リンク導入は鳥取県に次いで2番目という。  通常、聴こえない人が電話リレーサービスを利用するには事前登録が必要で通話料もかかるが、手話リンクは事前登録が不要で、インターネットの通信料のみかかる。利用方法などは神奈川県ホームページまで。 https://www.pref.kanagawa.jp/docs/yv4/prs/r4478719.html 働く 東京 パン・菓子づくりコンテスト  障害者らによるパン・菓子づくりのコンテスト「第10回チャレンジドカップ2025」の決勝大会が、日本菓子専門学校(世田谷区)で開催された。  コンテストは神奈川県内のベーカリー経営者らで構成する特定非営利活動法人NGBC(神奈川県)が、障害者の技術向上を応援しようと2003(平成15)年に初開催。途中、東日本大震災やコロナ禍などで中止となり今回6年ぶりに企画された。  参加資格は、パン・菓子製造を作業として活動している福祉施設の利用者と職員のチームで、パン部門と菓子部門のどちらかに応募できる。書類審査と公開審査を通過した15チーム(パン部門8、菓子部門7)が決勝大会に進出したが、公開審査に進出した製品については後日、審査員のコメントとアドバイスが送付される。  最高賞となる金賞には、パン部門は社会福祉法人希望会が運営する就労継続支援B型事業所「ばく to Pan」(茨城県)の「なかよしチーム ばく」がつくった「アーモンド香るフルーツたっぷり結いロール」、菓子部門は社会福祉法人江え刺さし寿じゅ生せい会か いが運営する就労継続支援B型事業所ワークセンターわかくさ「Ricoa(リコア)」(岩手県)の「米粉シフォンケーキ」が選ばれたほか、全チームが努力賞やチームワーク賞などに選ばれた。詳しい結果はコンテストの特設ホームページで公開している。 https://challengedcup.webnode.jp 本紹介 『障がい者はノウフクでもっと輝ける! ― 農福連携というしあわせな選択』  特例子会社を中心とした農福連携の促進に取り組む「農福連携特例子会社連絡会(ノウトク)」の代表を務める高草(たかくさ)雄士(ゆうし)さんが『障がい者はノウフクでもっと輝ける!―農福連携というしあわせな選択』(弘文堂刊)を出版した。  草さんは、父である故・草(たかくさ)志郎しろう)さんが2016(平成28)年に設立した一般社団法人ノーマポートの代表を引き継ぎ、農福産連携モデルを推進する活動などに取り組んできた。農福連携技術支援者育成研修や自治体向けセミナー等の講師を務めるほか、企業参入型の農福連携の普及啓発や人材育成に注力してきたという。本書ではノウフクを成功させるには、農業と福祉の橋渡しをするコーディネーターの存在も欠かせないとしつつ、「ノウフクって何ですか?」といった初心者にもとっかかりやすい説明のなかで、「なぜ、農業と福祉がお付き合いをするのですか?」といった質問形式をとりながら、農福連携が進められている背景から、実際の取組み、導入方法、課題などを解説している。四六判、192ページ、1980円(税込) アビリンピック マスコットキャラクター アビリン 2025年度地方アビリンピック 開催予定 11月末〜1月 千葉県、京都府、佐賀県 *開催地によっては、開催日や種目ごとに会場が異なります *  は開催終了 地方アビリンピック 検索 ※日程や会場については、変更となる場合があります。 ※第45回全国アビリンピックは10月17日(金)〜10月19日(日)に、愛知県で開催されました。本誌2026年2月号で特集します。 地図 千葉県 京都府 佐賀県