ミニコラム 編集委員のひとこと 第53回 ※今号の「編集委員が行く」(20〜25ページ)は菊地委員が執筆しています。 ご一読ください。 キャリア・パスポートの活用による、対話を通した「学ぶこと」や「働くこと」への意味づけや価値づけ 弘前大学教職大学院 教授 菊地一文  キャリア・パスポートは「児童生徒が、小学校から高等学校までのキャリア教育に関わる諸活動について、特別活動の学級活動及びホームルーム活動を中心として、各教科等と往還し、自らの学習状況やキャリア形成を見通したりふり返ったりしながら、自身の変容や成長を自己評価できるよう工夫されたポートフォリオ」(文部科学省)と説明されている。  また、「その記述や自己評価の指導にあたっては、教師が対話的にかかわり、児童生徒一人一人の目標修正などの改善を支援し、個性を伸ばす指導へとつなげながら、学校、家庭及び地域における学びを自己のキャリア形成に生かそうとする態度を養うよう努めなければならない」(同)とも説明されている。  まさに児童生徒が「対話」を通して「なぜ・なんのため」学ぶのかを考え、目標を設定したり、諸活動をふり返ったり、自身の成長を実感したりする「学びをつなぐ」ためのツールであり、「教材」といえる。また、教師にとっては、キャリア・パスポートを用いた児童生徒との対話的なかかわりによって、効果的な指導・支援に活かすものといえる。  つまり、ただ単に学ぶことや働くことを体験するだけではなく、体験前に児童生徒が自分なりの目的意識や目標をもって臨めるようにすることや、体験後にふり返り対話することによってその意味や価値、さらにはこれからすべきことについて考えることが肝要である。今後の学校現場における「これまで」と「いま」と「これから」の「学ぶ」と「働く」をつなぐ、キャリア・パスポートの活用を期待したい。