グラビア 欠かすことのできない働き手 株式会社カン喜(山口県) 取材先データ 株式会社カン喜 〒745-1131 山口県周南市(しゅうなんし)大字(おおあざ)戸田字(へたあざ)一王(いちおう)1431 TEL 0834-83-2705 FAX 0834-83-2748 写真・文:官野貴  株式会社カン喜は、山口県周南市にある食品加工会社で、カキフライやカキグラタンなどの冷凍食品の製造や販売を手がけている。従業員の半数近くが知的障害や精神障害、身体障害のある従業員で、手数のかかる作業が多い食品加工業において、欠かすことのできない働き手となっている。  グラタンの製造工程で、カキ殻のサイズを整える「トリミング」を行っていた藤本(ふじもと)美枝(みえ)さん(45歳)は、「仕事は楽しいです。カキ殻をバランスよく並べるように心がけています」と話す。グラタンの製造では、ホワイトソースづくりや盛りつけ、包装や梱包など、製品づくりの各工程において障害のある従業員が活躍している。  同社では、生産工程を細分化しており、障害特性に合った工程を担当することで、重度の障害のある従業員が活躍できる職場環境を整えている。アジフライの製造ラインで働いていた檜ひ垣がき雄ゆう一いちさん(34歳)は、粉つけ機から出てきたアジの形を整える工程にチャレンジ中。適性がありそうな工程を試験的に担当し、特性に合うかを見きわめている最中なのだという。  働きやすい職場環境は、高い職場定着率につながっており、勤続20年以上の従業員も多い。個別凍結した冷凍カキの包装工程で働く福重(ふくしげ)亨(とおる)さん(52歳)もその一人で、勤続36年のベテラン。「働き始めたときはたいへんでしたが、いまは楽しい。長く働き続けたい職場です」と話す。  同社では、障害のある従業員のためのグループホームを運営するなど、従業員の生活を支えることにも力を入れている。2021(令和3)年には、さまざまな取組みが評価され、山口県第1号となる「もにす認定制度」(障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度)の認定を受けている。今後も、職場見学や職場実習を積極的に受け入れるなど、障害者雇用に向けた取組みを続けていくという。 写真のキャプション ハサミでカキ殻の形や大きさを整える「トリミング」 トレイにきちんと収まるサイズにトリミングする カキ殻のトリミングを行う藤本美枝さん(右) ボイルしたカキの身をカキ殻に詰める ホワイトソースづくりにも、障害のある従業員がたずさわっている ホワイトソースやパセリ、パプリカパウダー、チーズなどを盛りつける「トッピング」 手際よくパプリカパウダーをトッピングする藤本さん トッピングを終え、冷凍処理されたカキグラタン 重量検品の工程でも障害のある従業員が活躍している。ヘルメットは、てんかん発作による転倒に備えたもの 包装されたカキグラタンを箱詰めする梱包の工程 冷凍カキの包装工程で働く福重亨さん。個別凍結されたカキをチェックし、規格外のカキを取り除く チェックを終えたカキを包装機に投入する アジフライの製造ラインで働く檜垣雄一さんは、「カン喜で定年まで働き続けたい」と教えてくれた コンベアで運ばれるアジの形を整える。最終的な仕上がりに影響する大事な工程だ 開いたアジから骨などを取り除く作業の様子。食品加工は手数のかかる作業が多い ランチタイムの一コマ。左から藤本美枝さん、檜垣雄一さん、福重亨さん