【表紙】 令和7年4月25日発行・毎月1回25日発行・通巻第571号 ISSN 0386-0159 障害者と雇用 2025/5 No.571 職場ルポ 当事者目線の配慮と相互理解、だれもが活躍できる職場に 株式会社堀場製作所(京都府) グラビア 「やりがいのある仕事」多様な人材が活躍する職場で働く 株式会社グローバル・クリーン(宮崎県) 編集委員が行く 作業療法士による就労移行支援と職場定着支援 株式会社リニエR(東京都)、リニエワークステーション中野(東京都) この人を訪ねて ユニバーサル就労とダイバーシティ 社会福祉法人生活クラブ風の村 特別常任顧問 池田徹さん 「りんごの摘花(てきか)をする農家さん」青森県・米内山(よないやま)愛夏(まなか)さん 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) Japan Organization for Employment of the Elderly, Persons withD isabilities and Job Seeker 5月号 【前頁】 心のアート 富山空港 島 雄介 (特定非営利活動法人障害者アート支援工房COCOPELLI) 画材:色鉛筆、マーカー、画用紙/サイズ:106cm×77cm  プラレール遊びが好きだった子ども時代から、乗り物や町の風景に強い関心がありました。 絵を描いて楽しむようになってからは、家族と出かけるなどして、実際に訪れた場所、見た風景を思い出しながら描くことがあたり前になっていきました。独特の視点から構成し直された記憶の風景は、遠近法から解放され、いくつかの視点で見た景色が組み合わされたりしています。ときには、観に行った映画館のスクリーンも風景として描くなど、絵日記のようです。それらは、優しくていねいに重ねられた色鉛筆の色で、ほのぼのとした空気を漂わせています。現在は企業で働きながらスケッチブックなどに毎日少しずつ描き、2週間にスケッチブック1冊、A1サイズ1枚のペースで描き続けています。 (文:特定非営利活動法人障害者アート支援工房COCOPELLI(ココペリ) 米田(よねだ)昌功(まさのり)) 島雄介(しま・ゆうすけ) 1991(平成3)年生まれ。 2010年 「この素晴らしき世界 丸木スマとアール・ブリュット」西田美術館 2012年 個展「でじゃぶ」北日本新聞ギャラリー 2018年 個展「らんどすけいぷ」射水市大島絵本館 2021(令和3)年 「beのコトと人とこの美」南砺市立福光美術館 2023年「NOMAMA to GAMAMA〜氷見のアール・ブリュット展〜」氷見市芸術文化館 2025年 「真柄ふれ愛アール・ブリュット展 アートでつむぐ復興の街道」新潟市民芸術文化会館 【もくじ】 障害者と雇用 目次 2025年5月号 NO.571 「働く広場」は、障害者雇用の啓発・広報を目的として、ルポルタージュやグラビアなど写真を多く用いて、障害者雇用の現場とその魅力をわかりやすくお伝えします。 心のアート 前頁 富山空港 作者:島雄介(特定非営利活動法人障害者アート支援工房COCOPELLI) この人を訪ねて 2 ユニバーサル就労とダイバーシティ 社会福祉法人生活クラブ風の村 特別常任顧問 池田徹さん 職場ルポ 4 当事者目線の配慮と相互理解、だれもが活躍できる職場に 株式会社堀場製作所(京都府) 文:豊浦美紀/写真:官野貴 クローズアップ 10 障害者雇用率向上へのヒント 第2回 人的資本経営と障害者雇用〜企業成長を加速させる新たな視点〜 JEEDインフォメーション 12 国立職業リハビリテーションセンター 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター 訓練生募集のお知らせ/令和7年度「地方アビリンピック」開催地一覧/作品募集 令和7年度 絵画コンテスト 働くすがた〜今そして未来〜・写真コンテスト 職場で輝く障害者〜今その瞬間〜 グラビア 15 「やりがいのある仕事」多様な人材が活躍する職場で働く 株式会社グローバル・クリーン(宮崎県) 写真/文:官野貴 エッセイ 19 障害のある人の地域生活支援について 第1回 「合理的配慮」はだれのため? 日本社会事業大学社会事業研究所 客員教授 曽根直樹 編集委員が行く 20 作業療法士による就労移行支援と職場定着支援 株式会社リニエR(東京都)、リニエワークステーション中野(東京都) 編集委員 八重田淳 省庁だより 26 令和7年度 予算の概要(障害者雇用施策関係部分の抜粋版) 厚生労働省 職業安定局 研究開発レポート 28 第32回職業リハビリテーション研究・実践発表会 Part2 パネルディスカッション T「職場でのコミュニケーションの課題について考える」 U「障害者就労支援を支える専門人材を育てる 〜 福祉と雇用の切れ目のない支援に向けて〜」 ニュースファイル 30 編集委員のひとこと 31 掲示板・次号予告 32 国立職業リハビリテーションセンター 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター オープンキャンパスのご案内 表紙絵の説明 「遠足で体験したりんご園での摘花を題材にしました。摘花の仕方を教えてもらった通り、一つだけ残した真ん中の大きな花を強調したり、農家の方の日焼けした肌を思い出しながら、印象に残っている姿に近くなるよう色を工夫したりして描きました。絵や工作が好きなので、好きなことで受賞できとてもうれしかったです」 (令和6年度 障害者雇用支援月間絵画コンテスト 小学生の部 高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長奨励賞) ◎本誌掲載記事はホームページでもご覧いただけます。 (https://www.jeed.go.jp/disability/data/works/index.html) 【P2-3】 この人を訪ねて ユニバーサル就労とダイバーシティ 社会福祉法人生活クラブ風の村 特別常任顧問 池田徹さん いけだ とおる 1951(昭和26)年、富山県生まれ。1971年、生活クラブ生活協同組合東京に入職。1976年、生活クラブ生活協同組合千葉設立にかかわり、1995(平成7)年に理事長就任。1998年、社会福祉法人生活クラブ風の村設立、理事長就任。2022(令和4)年から社会福祉法人生活クラブ風の村特別常任顧問。公益社団法人ユニバーサル志縁センター代表理事、一般社団法人ダイバーシティ就労支援機構監事。 「ユニバーサル就労」の取組み ――池田さんたちが社会福祉法人生活クラブ風の村(以下、「生活クラブ風の村」)で取り組んできたユニバーサル就労支援について教えてください。 池田 もともと私が長年かかわってきた「生活クラブ生活協同組合千葉」は1994(平成6)年、全国の地域生協に先駆けて訪問介護事業を始めました。1998年には社会福祉法人たすけあい倶楽部を設立し、2000年に特別養護老人ホーム「風の村」を開設。全室個室ユニットケアが注目されました。  その後2006年ごろ、千葉県市川市内にできる有料老人ホームの運営を依頼されました。せっかくなら地域に貢献しようと、自治会長さんたちと考えた事業の一つとして生み出したのが「ユニバーサル就労」です。地域の障害のある人や引きこもりの人、ホームレスを含め「働きづらさを抱えた人」を職場に迎え入れるというプロジェクトでした。  具体的に行ったのは、マッチングのワークショップです。老人ホーム内の仕事・作業を切り出してメモに書き出し、各支援団体が集まった会場の壁に張り出す。そして担当者は、利用者一人ひとりのことを考えながら、できそうな仕事に〇をつけます。後日、支援団体と個別に話し合い、必要に応じて利用者の就業訓練も行いました。その後も私たちで施設などをオープンするときには同様のユニバーサル就労を手がけてきました。 障害は「働きづらさ」で考えるべき ――ユニバーサル就労は、ほかの団体や自治体でも導入されていったそうですね。 池田 社会福祉法人などを中心にノウハウを提 供してきました。自治体では、ユニバーサル就 労の推進条例を2017年に制定した、静岡県 富士市や、2019(令和元)年にユニバーサ ル就労支援センターを開設した、岩手県陸前高田(りくぜんたかた)市があります。  ちなみに2015年施行の生活困窮者自立支援法では、相談業務という形で就労支援が可能になりました。このときに盛り込まれた就労訓練事業(中間的就労)は、私たちが取り組んできたユニバーサル就労事業の実績が大きかったと自負しています。生活に困窮している相談者は、履歴書の書き方を教えてハローワークに紹介すれば就職できるという人が非常に少なく、「働きづらさは障害者だけの問題ではない」という認識も社会的に高まりました。  私は現在、有識者らでつくる「一般社団法人ダイバーシティ就労支援機構」で、障害のある人のほか就労困難者への就労支援につながる調査研究・啓発活動などに取り組んでいます。この活動で訴えているのは、障害は「社会モデル」で考えるべきだということです。いまは「医療モデル」で障害者を規定していますが、働きづらさというのは障害の程度区分と必ずしも一致しません。  例えば、私は車いすユーザーの一級障害者ですが、移動手段や環境が整っていれば、それほど就労困難ではありません。一級なのは医療モデルだからです。障害による働きづらさは個々の抱える事情によって大きく異なるはずです。私たちのプロジェクトは、「働きづらさ指数」、「働きづらさ程度区分」といった基準も検討し、社会モデルや制度に組み込んでいくことを目ざしています。 障害者雇用の質を問う ――障害者雇用における課題があるとすれば何でしょうか。 池田 いま日本の企業は人手不足ですよね。中小企業は特に深刻です。企業側は、働きづらい人をなんとか雇ってあげるという姿勢ではなく、企業の存続をかけて職場に迎え入れる仕組みをつくらなければいけません。  これまで福祉分野がになってきた就労支援ですが、企業側がもっとかかわる必要もあるでしょう。まずは福祉と労働を融合した、総合的な就労支援センターを整備していくことが現実的かもしれません。  また、生活クラブ風の村では以前、雇用率達成支援ビジネスに関する調査事業を行い総括しました。その調査結果から、雇用率達成支援ビジネスには、農場やオフィスなどの「場所貸し型」と、職場に指導員らも一緒に派遣する「支援型」があり、私自身は、支援型に一部賛成です。法定雇用率を達成させるためだけのビジネスは問題がありますが、もし特に重度の障害のある人を雇用し、きちんと職場に迎え入れたいという企業のニーズがあるとしたら、専門的ノウハウを持つ指導員らが派遣され支援をする形は、一つのモデルになりうると考えます。  生活クラブ風の村では、重症心身障害(※)のある人の雇用を実現するため、さまざまな取組みを検討していますが、その一つが彼らを社員研修の講師として企業などに派遣するものです。  これまで私は学校や公民館の依頼で福祉に関する研修を行ってきましたが、当事者が話したほうが、与えるインパクトも影響もはるかに大きい。昨年、生活クラブ風の村の新人職員60人に「これまで重症心身障害者に出会ったことがある人」を聞いたところ、たった4人でした。福祉を志す人でさえ60分の4ですから、一般の人はもっと少ないでしょう。これはきわめて不幸なことです。「すべての人たちに生きる意味があること」を、実体験をもって社員に理解してもらうことは、企業にとっても大きな意味があります。  それからもう一つ、専門性を持つ福祉的な事業所と、製造・販売のノウハウを持つ企業が一緒にインクルージョン体制をつくればよいのではないかと考えています。欧州には同様の仕組みがあります。このような取組みを法定雇用率に算定してもよいのではと私は思っていますが、その前提としては、現状のような人数という量だけでなく、例えば、実際どんなふうに働いて障害者雇用促進法でいう「能力開発」がなされているか、質を問う形があってもよいのではないかと考えます。  一概にどういう働き方がよいとか悪いとかよりも、大切なのは、やはり本人が選択権を持って働けるかどうかです。さまざまな事情を抱えた働きづらい人たちが、主体的に安心して働ける環境で、持てる能力を発揮していくことこそが目ざすべき障害者雇用であり、ダイバーシティ社会にもつながると思います。 ※重症心身障害…重度の肢体不自由と重度の知的障害とが重複した状態 【P4-9】 職場ルポ 当事者目線の配慮と相互理解、だれもが活躍できる職場に ―株式会社堀場製作所(京都府)― 1700人以上が働く機器メーカーでは、多様な配慮・工夫と相互理解の推進によって、だれもが自分らしく活躍できる職場環境づくりを目ざしている。 (文)豊浦美紀 (写真)官野貴 取材先データ 株式会社堀場(ほりば)製作所(せいさくしょ) 〒601-8510 京都市南区吉祥院宮(きっしょういんみやの)東町(ひがしちょう)2 TEL 075-325-5057 FAX 075-313-7081 Keyword:視覚障害、聴覚障害、発達障害、就労支援機器、デュアルシステム、実習 ★本誌では通常「障害」と表記しますが、株式会社堀場製作所様のご意向により「障がい」としています POINT 1 従業員の事情に合わせ、就労支援機器や支援サービスを積極活用 2 3ステップの長期インターン実習でていねいなマッチング 3 上司と相互理解を深めるワークショップや当事者同士の交流も 計測機器の総合メーカー  京都府京都市に本社を構える「株式会社堀場製作所」(以下、「堀場製作所」)は、1945(昭和20)年の創業から80年が経つ分析・計測機器の総合メーカー。三つの事業分野、「エネルギー・環境」、「バイオ・ヘルスケア」、「先端材料・半導体」における社会課題解決に貢献する機器やシステムを提供し、国内外に約50のグループ会社を展開する。  これまで経営理念や社風の大きな柱になってきたのは、創業者である堀場(ほりば)雅夫(まさお)さんが制定した社是「おもしろおかしく」で、「人生の一番よい時期を過ごす『会社での日常』を自らの力で『おもしろおかしい』ものにして、健全で実り多い人生にしてほしい」との願いが込められているそうだ。  障がい者雇用については、従業員1777人のうち障がいのある従業員が39人(身体障がい24人、知的障がい4人、精神障がい11人)、「障害者雇用率」は2.66%(2025〈令和7〉年1月1日現在)だという。生産・開発・事務・情報サービスなど幅広い部署に配属されている。  当事者の目線に立った配慮や公的制度などを活用した支援、相互理解を深める活動などに取り組む現場を取材した。 DE&I推進チーム  今回、堀場製作所の取組み説明と職場案内をしてくれたのは、管理本部グローバル人財センターグループ人事部人財サポート・DE&I推進チームのチームリーダーである安井(やすい)美香(みか)さん、サブリーダーの福岡(ふくおか)宏水(ひろみ)さん、横山(よこやま)友子(ともこ)さんの3人だ。同チームは2025年1月に発足したばかりで、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)をよりいっそう浸透させる職場づくりに取り組んでいるという。  堀場製作所は1990年代から、積極的な海外展開をするとともに、「ステンドグラスプロジェクト」(※1)にてダイバーシティを反映した「人財」育成に力を入れてきた。早くから在宅勤務制度や介護・育児との両立支援などを充実させ、DE&I推進チームに引き継がれている。  これまでおもに障がい者雇用にかかわってきた福岡さんは、「一人ひとりが活き活きと働ける職場をつくることが、全体として働きやすい職場であるはずだという思いで、だれかが声をあげたらなんとかしようというのが、私たちのポリシーです」と話す。まずはその実例として、中途障がいで目が不自由になった従業員のケースから紹介したい。 40代で目が不自由に  現在、再雇用の嘱託社員として開発本部R&Dプランニングセンターグループ開発基盤部Design & Simulationチームに所属する西本(にしもと)明弘(あきひろ)さん(63歳)は、長く計測機器のソフト開発にたずさわってきた。  ところが40歳手前の2000(平成12)年、網膜色素変性症の類縁疾患である網膜症と診断される。徐々に症状が悪化し、2009年には「身体障害者手帳」2級を取得した。西本さんは、「職場にも伝えましたが、当時は社内で初めてのケースだったようで、産業医も人事部も戸惑う部分が多かったようでした」とふり返る。  そこで西本さんは、手帳取得時に京都市から紹介された視覚障がい者向けの福祉施設「社会福祉法人京都ライトハウス」(以下、「ライトハウス」)に相談した。  「ライトハウスから会社側に『視覚障がいとはこういう状態で、どんな職場環境にしたらよいか』を説明してもらい、スムーズに進めていけました」(西本さん)  上司と相談しながら業務のやり方を変え、産業医の判断により出張禁止となった。白杖を使うようになってからは、夕方の通勤歩行が危険なため、朝は30分前倒しの時差出勤と、1日7時間勤務に変更してもらった。  2015年からは週3回の在宅勤務も開始。「当時は障がいを理由にした在宅勤務は初めてだったそうですが、所属部長さんたちに提案してもらい、ありがたかったですね」と西本さん。自宅にはパソコンやモニター、音声読み上げソフトなど、職場では光のまぶしさを軽減するパーテーションもそろえてもらった。こうした機器の一部は当機構(JEED)に就労支援機器の貸出しを申請し(※2)、効果を確かめたうえで会社側が購入したものだ。  西本さんはライトハウスで、白杖を使った歩行トレーニング(特別有給休暇扱い、週2回1カ月半)や点字トレーニング(特別無給休暇扱い、週1回9カ月)も受けた。その一方、職場から最寄り駅までの歩道の白線が見えづらくなっていたことから、堀場製作所側が警察署に相談し、京都市が計画前倒しで塗り直した。  西本さんはいま週1回の通勤を続けているが、「一番助かっているのが、通勤時の同行支援です」と話す。2020年から国が実施している雇用施策と福祉施策との連携による支援であり、JEEDの重度訪問介護サービス利用者等通勤援助助成金と京都市の重度障害者等就労支援特別事業を組み合わせて利用することで、事業主や利用者の費用負担を軽減できる制度だ。堀場製作所も補助を上乗せする形で西本さんの負担を軽減している。 ワークショップなどで相互理解  もともと堀場製作所の障がい者雇用は、特に障がい者雇用枠を設けず通常採用で進められてきた。その一人、聴覚障がいのある奥石(おくいし)拓斗(たくと)さん(29歳)は、2014年に入社。基盤製造や工程管理を経験し、2018年からは生産本部生産センター生産2部Medicalチームで医用機器の製造を担当。いまは医用生産の工程管理を任されている。技能士1級の資格を取得し、2020年には全国アビリンピックの電子機器組立種目にも出場している。  奥石さんは、事前質問に文書でていねいに答えてくれた。それによると、入社後に一番苦労したのはコミュニケーションだったという。  「初めて話す人の唇の動きを覚える必要があり、それに慣れるまで苦労しました。逆に自分から話すときは、相手の表情や反応を見ながら、『伝わっていないかも』と感じたら再確認するよう意識しています」  複数人が集まる会議などは、奥石さんの職場定着支援に入っていたJEEDの京都障害者職業センターの担当者や上司と相談し、メールやメモを提供してもらえることになった。いまはパソコンソフトの文字起こし機能を活用しているが、正しく反映されないことも多く、意見をいうタイミングを逃すことがある。奥石さんは「議題を事前確認し、ポイントを整理した資料を用意して開催者と共有し、会議の流れを把握しやすくしています」という。  生産本部生産センター生産2部部長の松浦(まつうら)英明(ひであき)さんは「話しかける分には特に問題なく、むずかしい話になると本人がパソコンのメモ機能などにすばやく打ち込んでくれます。会議などではUDトークを使いますが、事前にUDトーク向けオンラインレッスンで話し方のコツなども学びました」という。同じく生産2部副部長の伊藤(いとう)学(まなぶ)さんは、「文字起こし機能などは完全ではないので、特に大勢の場で話したあとは、大事な部分について個別に再確認するなどの意思疎通を心がけています」とのことだ。  また奥石さんは、聴覚障がいのある同僚7人とグループチャットでつながっている。日々の困りごとや工夫について意見交換し、支援機器の導入時には具体的なニーズを伝えることもできている。  一方、社内では「聴覚障がいのある社員と上司向けセミナー」も開催。外部講師を招いて障がいの定義や多様性についてあらためて学び、ワークショップで相互理解を深めている。奥石さんは「セミナーを通して『呼びかけたつもりでも気づいていないことがある』、『口元の動きやジェスチャーが大事』といった点を上司が理解してくれ、その後お互いのストレスも減りました」という。  職場側のサポートと自身の積極的な姿勢によって「聴覚障がいがあっても工程管理の仕事ができることを証明できたことは、自分にとっても大きな自信になった」という奥石さん。「同じ障がいのある後輩が入社したら、自分の経験を活かした指導やサポートによって、彼らも安心して働ける環境をつくりたい」と伝えてくれた。 ていねいなマッチング  堀場製作所は、2017年から本格的な障がい者雇用に取り組むことになったという。きっかけは、会社の規模拡大に「障害者雇用率」が追いつかなくなり、未達成が続いたことだ。「京都府の副知事が障がい者雇用の激励のため来社したことで、上層部も思い切った取組みが必要だと認識したようでした」(福岡さん)  当初は特例子会社の設立も検討したが、当時の管理本部長が「将来的には特例子会社も考えられるが、現段階で社内の意識がまだしっかり醸成されていないため、ただ障害者雇用率の数字のためだけに特例子会社を設立するのは堀場製作所らしくない。インクルージョンを大事にすべきだ」として、直接雇用での推進を図ることになったという。  堀場製作所での障がい者雇用は、採用までに三つのステップを踏んでいる。福岡さんに説明してもらった。 〈ステップ1〉本人と実習前面談を行う。本人のプロフィールや希望業務などを聴き取り、話し合ったうえで業務内容を決める。 〈ステップ2〉1回目のインターン実習は約2週間。講義で会社の考え方を理解してもらうほか、現場で業務の基本動作を体験する。最後は面談で実習全体をふり返り、双方合意のうえで2回目のインターン実習に進む。「候補の部署や業務が複数あるときは実習中にジョブローテーションも行い、最後にどの業務がよかったか、本人や部署と話し合って絞り込みます」 〈ステップ3〉2回目のインターン実習は2週間〜1カ月半ほど。継続して自律的に業務を行うことを想定し、必要以上に配慮しないよう心がける。最後に再び面談で実習をふり返り、双方が合意したうえで採用に進む。「長期間一緒に働くことで、お互いに『本当に働き続けられそうか』を判断します。やや、実習期間は長い方だと思いますが、ミスマッチを防ぐための大事な過程だと考えています」  長期間のインターン実習は、特別支援学校で広がりつつある「デュアルシステム」の取組みも参考にしているようだ。ドイツのマイスター制度を参考に2004年度から全国の専門学校などでモデル事業が始まった。京都市が主導し2006年度に立ち上げた「総合支援学校デュアルシステム推進ネットワーク」 では、授業と長期実習を組み合わせて職業人の育成を目ざす内容で、堀場製作所を含め大手企業などが参画している。  一方で、実習の受け入れ部署や業務の開拓についてはトップダウンで理解を求めていったと福岡さんがふり返る。  「最初は『うちは専門部署だから』などと難色を示す部署が少なくなく、グループ人事部長が『本人に会う前から断らないでほしい』と強くアナウンスしました。ただ実際に会ってくれた現場からは『予想以上にやれそうだ』と業務を任せてくれるようになりました」  初めて受け入れる部署に対しては、管理職やチームリーダーを対象に事前研修を行う。障がい特性や仕事上での対応アドバイスをまとめた資料も配付し、実習中は随時相談を受けつける。  精神障がいのある従業員が増えてからは、京都労働局が実施する「精神・発達障害者しごとサポーター養成講座」も活用し、出前講座の形で多くの従業員が受講。さらに2023年からは、オムロン株式会社の主導で発足した企業・行政・有識者による「ニューロダイバーシティ(※3)京都地域連携会議」に参加し、発達障がいの能力を活かした従業員の事例などを共有している。 改善活動リーダーに成長  特別支援学校時代に3ステップのインターン実習を経験し、2019年3月に入社した小寺(こてら)翔太(しょうた)さん(24歳)は、生産2部ボードアッセンブリチームで基板の検査業務を担当している。伊藤さんによると「当初は、周辺の補佐的な作業から始めてもらいましたが、徐々にピッキングや組立作業などを覚えてもらい、ほかの従業員と同じ内容をこなしています」とのことだ。  チームリーダーを務める村田(むらた)健(けん)さんは、「受け入れ当初は、同行の指導員からアドバイスをもらいながら対応しました。あやふやな表現が苦手ということで、普通は『置いといて』、『やっといて』と気軽にいうところを『どこに置くのか』、『何をいつまでに終わらせるのか』と具体的な指示を心がけました」と話す。もともと小寺さんがオープンな性格で、特性のことも周囲に伝えてくれたことで、同僚からのサポートやヘルプを得やすかったそうだ。  小寺さんは、いまの仕事について「基板ごとに検査時間が異なり、ほかの工程の進捗も読みながらなので、期限を守る見きわめがむずかしいですね。何度か間に合わず、ほかの工程に迷惑をかけたこともあります」と明かす。  小寺さんは3年前から、現場改善活動のリーダーを任されるようになった。伊藤さんによると「改善の結果も大事ですが、そのプロセスで自分が経験した気づきを、その先の成長につなげてもらうねらいもあります」とのこと。サポート役の村田さんは「本人自身もかなり勉強し、他チームに自分でアドバイスを聞きに行けるようになり、いまではすごく助かっています」。  小寺さん自身は、自分で現場改善活動の企画を考え、ほかのメンバーにふり分けたり発表したりするのが苦手だったそうだが、村田さんに相談しながら乗り越えてきたと語る。「いまではチーム内から『ここ危ないかも』と報告してくれるようになり、私の企画が役立ったように実感しています」と笑顔をみせた。  今後の目標は、工程のリーダー役になることだ。村田さんは「もうすぐですね。最近入社した後輩への教育係も含め、大いに期待しています」と激励する。 当事者グループで交流も  堀場製作所では、発達障がいを含む精神障がいのある従業員については、社内に常駐する臨床心理士と連携しながら支援を行っている。  「人によって、困っていることを説明しにくい、言語化しにくい特性があるので、臨床心理士と一緒にじっくり話を聞き、上司にフィードバックすることもあります。例えば『朝の挨拶は、どの程度の人までしたらよいのか』といったことですね」(福岡さん)  社内には、発達障がいのある従業員と臨床心理士からの提案を機に、自助グループの会もできた。約6人ずつ2グループに分かれて半年に1回程度、茶話会のように集まっている。毎回人事部のメンバーも同席し、ファシリテーター役を務めた。いまではプライベートでご飯を食べに行ったり、趣味や職場・生活上の工夫など情報交換をしたりしているそうだ。  2024年は、障がいのある若手従業員を対象に、滋賀県の「びわこ工場」でワークショップを初開催した。ビジネスマナー講義や工場見学なども行い、参加者からは「コミュニティを広げるきっかけになった」、「再勉強の機会になった」などの感想が聞かれた。働くうえでの考えや悩みを話し合う場に同席した横山さんは「私たちも、どうサポートすべきかをあらためて考える機会になりました」とふり返る。 自分らしく活躍できる職場に  堀場製作所では今後も、多様性に満ちた従業員が働く国内外のグループ会社の中核企業として、障がい者雇用だけでなく女性活躍やLGBTQを含めたダイバーシティを推進していくという。安井さんが話す。  「DE&Iチームでは、従業員一人ひとりのために会社ができることを最大限やっていけるよう努力していきます。社内研修やイベントなどによる啓蒙活動、働き方やキャリアにかかわる関連制度の整備などにも力を入れていくつもりです」  なかでも障がい者雇用の取組みは、DE&Iを牽引する大事な柱の一つだ。福岡さんたちは「地道に社内の理解を広げていきたい」としつつ、「一人ひとりの声を吸い上げながら、可能なかぎり配慮や工夫を重ねることで、結果的に、だれにとっても健全で実り多い職場につながると考えています」と語ってくれた。 ※1 ステンドグラスプロジェクト(2014〜2023):従業員一人ひとりを、色も形も大きさも違うステンドグラスの一つひとつのピース、また会社全体をステンドグラス全体の美しい絵に例えたダイバーシティ推進プロジェクト ※2 JEEDで実施している就労支援機器の貸出しの詳細は以下をご覧ください。 https://www.kiki.jeed.go.jp/ ※3 ニューロダイバーシティ(Neurodiversity):Neuro(脳・神経)とDiversity(多様性)を組み合わせた「脳や神経、それに由来する個人レベルでのさまざまな特性の違いを多様性ととらえて相互に尊重し、それらの違いを社会のなかで活かしていこう」という考え方で、特に発達障害のある人が特性を活かし活躍できる社会を目ざすというもの 写真のキャプション 株式会社堀場製作所は、「自動血球計数装置」などさまざまな分析・計測機器の製造を手がける(写真提供:株式会社堀場製作所) 管理本部グローバル人財センターグループ人事部人財サポート・DE&I推進チームチームリーダーの安井美香さん 人財サポート・DE&I推進チームサブリーダーの福岡宏水さん 人財サポート・DE&I推進チーム横山友子さん 西本さんは、計測機器のソフト開発にたずさわっている(写真提供:株式会社堀場製作所) 開発本部R&Dプランニングセンターグループ開発基盤部Design & Simulationチームの西本明弘さん 生産本部生産センター生産2部Medicalチームの奥石拓斗さん 2020年の全国アビリンピック愛知大会で「電子機器組立」種目の課題に取り組む奥石さん 奥石さんは、医用生産の工程管理を担当。身ぶり手ぶりをはじめ、パソコンのメモ機能などを活用し、コミュニケーションをとる 生産本部生産センター生産2部部長の松浦英明さん 生産本部生産センター生産2部副部長の伊藤学さん 生産2部ボードアッセンブリチームチームリーダーの村田健さん 小寺さんは、基板の検査業務を担当している 生産2部ボードアッセンブリチームの小寺翔太さん びわこ工場で行われたワークショップ。ビジネスマナーなどを学んだ(写真提供:株式会社堀場製作所) 【P10-11】 クローズアップ 障害者雇用率向上へのヒント 第2回 人的資本経営と障害者雇用 〜企業成長を加速させる新たな視点〜  2024(令和6)年度の障害者雇用状況をみると、民間企業における雇用障害者数は67万7461.5人、実雇用率は2.41%と、過去最高となりました。そして近年では、法定雇用率の達成にとどまらず、人的資本経営やDEIの観点から、障害者雇用のあり方を見直す必要性が高まっています。第2回は、そのような新たな視点をもち、障害者雇用を経営戦略に組み込んで企業が成長していく方法について、松井優子さんに執筆していただきました。 執筆者 障害者雇用ドットコム代表 東京情報大学非常勤講師 松井(まつい)優子(ゆうこ)さん はじめに  これまで障害者雇用は障害者雇用促進法により義務となっている法定雇用率の達成をおもな目的として取り組んでいる企業が多くみられました。しかし、近年の労働市場や経営環境の変化などにともない、障害者雇用の意義は大きく変わりつつあります。人的資本経営やDEI(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)の視点が重要視されるなかで、障害者雇用をどのように「経営」に組み込むとよいのかをみていきます。 障害者雇用を経営視点から見る意義  企業が持続的に成長するためには「多様な人材を活かし、組織全体を向上させること」が求められます。労働力人口の減少や市場の多様化が進む現在、従業員一人ひとりの能力を引き出すことは、競争力の維持・向上に直結するからです。このような流れのなかで、障害者を「組織の戦力」としてとらえる企業が増えています。  人的資本経営は、人材を「コスト」ではなく「資本」としてとらえ、長期的な成長のために投資する考え方です。人的資本経営を推進する企業では、従業員のスキル開発や働きやすい環境の整備に力を入れて従業員の力を最大限に引き出すことで、組織全体の競争力を高めることを重視しています。この観点から考えると、多様な人材を活用することは、企業の持続的成長に直結します。  多様な人材の活躍は、DEI推進の一環として進められることも多くなっています。しかし、このなかに女性や外国人、シニアなどが含まれることがあっても、依然として障害のある人は「特別な配慮が必要な存在」として扱われがちです。まずは、人材という大きな枠組みのなかに「障害者」を組み込むことが重要です。 なぜ、人的資本経営的な取組みが重要なのか  これまでの障害者雇用は人事部門や管理部門が担当することが多く、実務的なことが中心となりがちでした。一方、人的資本経営は経営の一環として経営企画部門が関与することにより、次のような広がりが期待できます。 ・障害者雇用を経営戦略に組み込む  経営方針や中長期の企業戦略を考慮したうえで、コンプライアンス対応だけでなく、企業の持続的成長に貢献する雇用を設計することができます。そのため業務プロセスの見直しや業務範囲を拡大することにより、従来では障害のある人を雇用することがむずかしいとされていた部門や職種での雇用を広げているケースが増えています。 ・部門間連携の強化(人事×経営企画)  経営企画部門がかかわることで、組織全体の経営戦略と連携しながら進めることができ、人事部や担当部署の問題というだけでなく、「企業全体の経営課題」として認識されやすくなります。また、経営層に雇用障害者数や法定雇用率だけでなく、組織に貢献している障害のある社員の情報が届きやすくなります。 ・KPI設定と継続的な成果の検証  障害者雇用だけをみていると法定雇用率に関する「数値目標」の達成に終始しがちですが、関連するKPI(組織が目標を達成するために設定する重要な業績評価指数)を設定することで、継続的に成果を検証しやすくなります。例えば、障害者の採用数・定着率、障害者の職種・キャリアパスの多様化、生産性向上の貢献度、社内のダイバーシティ推進度合い、従業員意識調査などがあげられます。 障害者雇用を経営の一環として進めるためのステップ  障害者雇用を企業の持続的な成長につなげるためには、「法的義務」としての対応に加えて、「経営資源」として戦略的に位置づけることが重要です。そのためには、経営層の理解を得ること、適切な業務設計を行うこと、そして社内全体で障害者雇用を受け入れる環境を整えることが不可欠となります。 (1)経営層の理解を得る  経営層が障害者雇用を「法的義務」 としてとらえるのではなく、「人的資本」として認識することで、組織全体での取組みが円滑に進みます。障害者雇用を戦略的に取り入れ、業務効率向上や組織力強化につながる企業の事例を共有することは有効的な方法です。 (2)適切な業務設計  障害者雇用を推進するうえで重要なのは、「組織に必要とされる業務」が何かを見きわめることです。場当たり的なものを考えるのではなく、中長期的な視点でニーズのあるもの、組織全体の業務効率が向上するものなどの視点で検討することが大切です。 (3)社内コミュニケーションの工夫  組織全体の理解を深め、受け入れ体制を整えます。障害者雇用は「雇用」であり、組織にとって価値創造につながるものであることを社内に浸透させます。具体的には、経営層や管理職向けに意義を伝える機会や、現場で一緒に働く社員の理解を深める研修などを設けるとよいでしょう。また、障害のある人を含めた多様な人材を受け入れ、組織全体でだれもが働きやすい環境をつくることに対する意識を醸成していきます。  障害者雇用に人的資本経営の観点から取り組むことには、いままでと違った新たな気づきがあります。障害者雇用がうまく進んでいないのであれば、人的資本経営の視点から見直すことで解決の糸口が見つかるかもしれません。 *****  次回は、障害者雇用の合理的配慮と職場環境整備について解説します。 DEIとは?  DEIとはDiversity(多様性)、Equity(公平性)、Inclusion(包括性)の頭文字をとった略語です。  この三つの単語にあるように、他者の多様性を認め、公平性をもって他者に接し、包容性をもって他者の個性や考え方などを受け入れるという理念です。  この理念の推進によって、多様な個性をもつ人材の能力を最大限に発揮でき、それによって大きな成果が得られると認識されています。 (編集部) 図1 障害者雇用における人的資本経営の役割 経営戦略の統合 KPIの設定と評価 部門間協力 筆者作成 図2 障害者雇用の戦略的進め方 経営層の理解を促進 雇用の戦略的利点を伝える 適切な業務設計 組織に必要な業務を設計する コミュニケーションの強化 包摂を促進するための意識を高める 筆者作成 【P12-14】 JEEDインフォメーション 〜高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)からのお知らせ〜 国立職業リハビリテーションセンター 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター 訓練生募集のお知らせ 〜障害のある方々の就職に向けた職業訓練や就職支援を実施しています〜 募集訓練コース、募集日程 国立職業リハビリテーションセンター 訓練系 訓練コース 訓練期間 メカトロ系 機械CADコース 1年 電子技術・CADコース FAシステムコース 組立・検査コース 建築系 建築CADコース 情報系 DTPコース Webコース ソフトウェア開発コース システム活用コース 視覚障害者情報アクセスコース ビジネス系 会計ビジネスコース OAビジネスコース オフィスワークコース 物流系 物流・資材管理コース 職域開発系 オフィスアシスタントコース 販売・物流ワークコース サービスワークコース 入所期 ハローワークへの申請書提出締切日 入所日 8月入所期 令和7年5月19日(月) 令和7年8月6日(水) 9月入所期 令和7年6月16日(月) 令和7年9月10日(水) 10月入所期 令和7年7月25日(金) 令和7年10月8日(水) 11月入所期 令和7年8月21日(木) 令和7年11月10日(月) 12月入所期 令和7年9月18日(木) 令和7年12月8日(月) 1月入所期 令和7年10月23日(木) 令和8年1月14日(水) 3月入所期 令和7年12月19日(金) 令和8年3月11日(水) 4月入所期 令和8年1月22日(木) 令和8年4月16日(木) 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター 訓練系 訓練コース 訓練期間 メカトロ系 機械CADコース 1年 電気・電子技術・CADコース 組立・検査コース 製造ワークコース ビジネス情報系 システム設計・管理コース 2年 【視覚障害者対象】ITビジネスコース 会計ビジネスコース 1年 OAビジネスコース オフィスワークコース アシスタント系 販売・物流ワークコース サービスワークコース 入所期 ハローワークへの申請書提出締切日 入所日 9月入所期 令和7年6月19日(木) 令和7年9月4日(木) 10月入所期 令和7年8月1日(金) 令和7年10月2日(木) 11月入所期 令和7年8月28日(木) 令和7年11月6日(木) 1月入所期 令和7年10月30日(木) 令和8年1月8日(木) 2月入所期 令和7年11月25日(火) 令和8年2月5日(木) 4月入所期 令和8年2月5日(木) 令和8年4月7日(火) ●遠方の方については……  国立吉備高原職業リハビリテーションセンターでは、併設の宿舎が利用できます。国立職業リハビリテーションセンターでは、身体障害、高次脳機能障害のある方、難病の方は、隣接する国立障害者リハビリテーションセンターの宿舎を利用することができます。 写真のキャプション 視覚障害者の支援機器を活用した訓練風景 3DCADを活用した訓練風景 国立職業リハビリテーションセンター 埼玉県所沢市並木4-2 職業評価課 TEL:04-2995-1201 https://www.nvrcd.jeed.go.jp 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター 岡山県加賀郡吉備中央町吉川7520 職業評価課 TEL:0866-56-9001 https://www.kibireha.jeed.go.jp ◆令和7年度「地方アビリンピック」開催地一覧◆ 各都道府県における障害者の技能競技大会「地方アビリンピック」が下記の日程で開催される予定です。 アビリンピック マスコットキャラクター アビリス 都道府県 開催日 会場 北海道 10月4日(土) 北海道職業能力開発促進センター 青森 10月下旬〜11月上旬(予定) 青森職業能力開発促進センター(予定) ホテル青森(喫茶サービス)(予定) 岩手 6月22日(日) 岩手県立産業技術短期大学校矢巾キャンパス 宮城 7月12日(土) 宮城職業能力開発促進センター 秋田 7月10日(木) 秋田市にぎわい交流館AU 山形 7月3日(木) 山形国際交流プラザ(山形ビッグウイング) 福島 7月5日(土) 福島職業能力開発促進センター 茨城 7月19日(土) 7月20日(日) 茨城県職業人材育成センター 栃木 7月5日(土) 栃木職業能力開発促進センター 障害者スポーツセンター(わかくさアリーナ) 群馬 7月5日(土) 群馬職業能力開発促進センター 埼玉 7月5日(土) 国立職業リハビリテーションセンター 埼玉職業能力開発促進センター 千葉 11月29日(土) 千葉職業能力開発促進センター 東京 2月中旬〜下旬 東京障害者職業能力開発校 職業能力開発総合大学校 神奈川 11月8日(土) 11月15日(土) 関東職業能力開発促進センター 神奈川障害者職業能力開発校 新潟 9月6日(土) 新潟市総合福祉会館(予定) ホテルグローバルビュー新潟(予定) 富山 7月19日(土) 富山市職業訓練センター 富山県技術専門学院 石川 調整中(10月頃) 石川職業能力開発促進センター 福井 6月21日(土) 7月5日(土) 福井職業能力開発促進センター 福井県立福井産業技術専門学院 山梨 10月4日(土)または10月5日(日) 山梨職業能力開発促進センター 長野 7月12日(土) 長野職業能力開発促進センター 岐阜 7月5日(土) ソフトピアジャパンセンター 静岡 7月12日(土) 静岡市東部勤労者福祉センター清水テルサ 静岡市清水文化会館マリナート 静岡職業能力開発促進センター 愛知 @6月7日(土) A6月8日(日) B6月15日(日) C6月28日(土) @大成今池研修センター A専門学校日本聴能言語福祉学院 B愛知県立名古屋聾学校 C中部職業能力開発促進センター 三重 6月28日(土) 三重職業能力開発促進センター 都道府県 開催日 会場 滋賀 11月15日(土) 近畿職業能力開発大学校附属滋賀職業能力開発短期大学校 京都 1月31日(土) 京都府立京都高等技術専門校 京都府立京都障害者高等技術専門校 大阪 6月21日(土) 7月5日(土) 関西職業能力開発促進センター (社福)日本ライトハウス視覚障害リハビリテーションセンター 兵庫 6月21日(土) 7月5日(土) 兵庫職業能力開発促進センター 奈良 7月19日(土) 奈良職業能力開発促進センター 和歌山 7月5日(土) 和歌山職業能力開発促進センター 鳥取 6月26日(木) 鳥取県立福祉人材研修センター 島根 7月12日(土) 島根職業能力開発促進センター 岡山 7月5日(土) 7月12日(土) 岡山職業能力開発促進センター 広島 7月19日(土) 広島職業能力開発促進センター 山口 10月4日(土) 山口職業能力開発促進センター 徳島 6月28日(土) 徳島職業能力開発促進センター 徳島ビルメンテナンス会館 香川 2月頃 未定 愛媛 7月5日(土) 愛媛職業能力開発促進センター 高知 @6月28日(土) A7月5日(土) @学校法人龍馬学園 龍馬デザイン・ビューティ専門学校 A高知職業能力開発促進センター 福岡 【北九州会場】7月5日(土) 【福岡会場】7月12日(土) 【北九州会場】福岡職業能力開発促進センター 【福岡会場】クローバープラザ 佐賀 1月頃 佐賀職業能力開発促進センター 長崎 7月5日(土) 長崎職業能力開発促進センター 熊本 6月22日(日) 熊本職業能力開発促進センター 大分 10月4日(土) 大分職業能力開発促進センター 宮崎 7月5日(土) 宮崎職業能力開発促進センター 宮崎県ビルメンテナンス協会 鹿児島 @7月7日(月) A7月12日(土) @鹿児島ホテル短期大学校 A鹿児島職業能力開発促進センター 沖縄 7月19日(土) 沖縄職業能力開発大学校 ※2025年4月10日現在 詳細は、ホームページをご覧ください。 地方アビリンピック 検索 ・開催地によっては、開催日や種目ごとに会場が異なります。 ・日程や会場については、変更となる場合があります。 アクセスはこちら! 作品募集 応募者全員に記念品をプレゼント! 令和7年度 絵画コンテスト 働くすがた〜今そして未来〜 写真コンテスト 職場で輝く障害者〜今その瞬間〜  毎年9月1日〜30日は、「障害者雇用支援月間」です。国民のみなさまに障害者雇用への理解と関心を深めていただけるよう、障害のある方々を対象に「働くこと」をテーマとする絵画を募集する「絵画コンテスト 働くすがた〜今そして未来〜」と、「障害のある方の仕事にスポットをあて、障害のある方が働いている姿を撮影したもの」をテーマとする写真を募集する「写真コンテスト 職場で輝く障害者〜今その瞬間〜」を実施しています。優秀作品をもとにポスター等を作成し、全国のハローワーク等に掲示します。 6月16日(月) 応募締切(当日消印有効) 絵画コンテスト ★募集作品  働くこと、または仕事に関係のある内容のもの ★応募資格  障害のある方(プロ以外であること) ★応募部門  小学生の部/中学生の部/高校生・一般の部 写真コンテスト ★募集作品  障害のある方の仕事にスポットをあて、障害のある方が働いている姿を撮影したもの ★応募資格  障害の有無は問いません(プロ以外であること) ※部門の別はありません 賞・展示  絵画コンテスト(部門ごと)、写真コンテストで選考を行い、厚生労働大臣賞1点、当機構理事長賞1点、理事長奨励賞数点をそれぞれ選出します。入賞作品は、全国6カ所で開催を予定している展示会等において展示します。 詳しくはホームページの募集要項をご覧ください。 https://www.jeed.go.jp/disability/activity/contest/index.html ★過去のポスターや入賞作品などもご覧いただけます。 JEED 絵画写真 検索 お問合せ先 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者雇用開発推進部 雇用開発課 TEL 043-297-9515 E-mail tkkike@jeed.go.jp シンボルキャラクター“ピクチャノサウルス” (かおはカメラ、つのは絵筆をイメージしています) 【P15-18】 グラビア 「やりがいのある仕事」多様な人材が活躍する職場で働く 株式会社グローバル・クリーン(宮崎県) 取材先データ 株式会社グローバル・クリーン 〒883-0066 宮崎県日向市(ひゅうがし)亀崎(かめざき)1-28 TEL 0982-55-0360 FAX 0982-55-0396 写真・文:官野貴  宮崎県日向(ひゅうが)市でビルメンテナンス事業などを営む株式会社グローバル・クリーンでは、2000(平成12)年の創業当時から障害のある人が大きな戦力として活躍してきた。同社は、研修プログラムの実施やチャレンジしたい職務のヒアリングなどを通じて、多様な人材が活躍できる環境づくりに力を入れている。  入社11年目で、精神障害のある早瀬(はやせ)直哉(なおや)さん(55歳)は、量販店での店内清掃や食品工場での器具洗浄を担当している。この日は、大型量販店での店内清掃の様子を、本社の倉庫内で再現してもらった。  フロアスクラバーと呼ばれる清掃機器の準備作業では、手際よく洗浄パッドを取りつけ、タンクに水と洗剤を投入し、準備を整えてゆく。担当する量販店の店内は広いため、効率的に作業を進めることが大事だという。「ちょっとしたトラブルが時間のロスへとつながるので注意しています。店内がきれいになるとうれしいです」と早瀬さんは話す。食品工場では、高圧洗浄機を使い、まな板やかごなどの器具洗浄を担当。器具は大型で重量もあるため「作業はたいへんですが、やりがいのある仕事です」とも語ってくれた。  現場で働く社員を支えているのが、身体障害のある林田(はやしだ)実(みのる)さん(56歳)。本社のオフィスで、手書き伝票の内容をパソコン上の管理ソフトに入力していた。入社4カ月目(取材時)で、「担当できる仕事も増え、仕事が楽しいです」と話す。よりよい作業環境を目ざし、ノートパソコンの配置を模索中で、この日はコピー用紙の束を利用して作業がしやすい高さを探っていた。  株式会社グローバル・クリーンは、プロレベルの清掃技術を指導する「クリーンコンサル」という取組みにも力を入れている。これは、福祉施設などに、清掃技術の指導や清掃者の教育を提供し、福祉施設を利用している障害のある人がプロレベルの清掃技術を身につけて仕事をするというもので、新たな職務創出と工賃向上につながっているという。 写真のキャプション フロアスクラバーの準備 @パッド台に洗浄パッドをセットする Aパッド台をフロアスクラバーに取りつける B装置のタンクに水と洗剤を投入 スピードを出しすぎると旋回がむずかしくなるため、スピード調整が大切だという ダスターかけ フロアスクラバーでの清掃作業の前に、ダスターでホコリを取り除く フロアスクラバーでの清掃作業 実際の量販店での清掃作業では、より大型の装置を駆使しているという バフかけ バフかけ機で床面を磨き上げる。早瀬さんはさまざまな道具や装置を使いこなし、どんどんきれいにしていく パソコン業務を担当する林田実さん。操作がやりやすい高さを模索中で、コピー用紙の上にパソコンを置いている グローバル・クリーンでは高齢者の雇用にも力を入れている。高齢の清掃スタッフと打合せをする林田さん 下足と上履きの履き替え用にいすが配置されている。オフィスは段差がなく、移動には不自由しないという 【P19】 エッセイ 障害のある人の地域生活支援について 第1回 「合理的配慮」はだれのため? 日本社会事業大学社会事業研究所 客員教授 曽根(そね)直樹(なおき) 知的障害のある人の入所施設、障害児の通園施設、障害者グループホームの職員を経験した後、障害者相談支援事業の相談員などを経て、厚生労働省障害福祉課虐待防止専門官として5年間勤務。日本社会事業大学専門職大学院教授を経て定年退職後、現職。 障害者差別解消法  「障害者差別解消法」をご存じでしょうか。行政機関と事業者に対して、障害を理由とする不当な差別的取扱いを禁止し、合理的配慮の提供を義務づけた法律で、2013(平成25)年に制定されました。行政機関は、国、都道府県、市町村とその関連団体。事業者は、企業や団体、店舗などのことで、営利・非営利を問わず、個人事業主やボランティア活動をするグループも「事業者」に含まれます。  不当な差別的取扱いとは、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否したり、サービスなどの提供にあたって場所や時間帯を制限したりするなど、障害のない人と異なる取扱いをして障害のある人を不利に扱うことをいいます。例えば、正当な理由がないのに、「障害のある方は入店お断りです」、「このホテルには泊まれません」といって入店や宿泊を断ったり、「保護者や介助者と一緒に来てください」などといって介助者などの同伴をサービス提供の条件としたり、火災が起きたときに避難誘導できないなどと、漠然とした安全上の理由から施設の利用を断ることなどをさします。  合理的配慮の提供とは、障害のある人にとっての社会にあるバリアについて、個々の場面で障害のある人から「社会的なバリアを取り除いてほしい」という意思が示された場合に、その実施にともなう負担が過重でない範囲で、バリアを取り除くために必要かつ合理的な対応をすることとされています。  例えば、車いすを使っている人から、お店の陳列棚の高いところにある商品を見せてほしいと頼まれて、店員がそれを取って渡して見てもらうとか、視覚障害のある人から、書類の文字が読めないので読んでほしいと頼まれて役所の職員が声に出して読むことなどをさします。 合理的配慮は障害のない人のためにも  この法律が施行された当初は、合理的配慮の提供義務は行政機関だけで、事業者は努力義務でした。法律が改正され、法制定から12年経った2024(令和6)年の4月から事業者もようやく義務となりました。合理的配慮の提供を義務化するにあたって、事業者の人たちは、過度な要求があったときに断れなくなるのではないかなどと心配していたようですが、大きなトラブルは起きていないようです。  仕事柄、障害者差別解消法についての研修を頼まれることがあります。研修を受講している人たちが、自分の身に引きつけて感じてもらえるにはどうしたらよいか考えています。それで、発想を逆転させて、障害のない人のための合理的配慮を探してみようと思い立ちました。そして、次のような例をみつけました。  広い研修会場で手話通訳が講師の話を手話で伝えるのは、聞こえない人への合理的配慮ですが、マイクとスピーカーを使って講師の声を拡声して会場全体に聞こえるようにしているのは、聞こえる人への合理的配慮です。目が見えない人は、夜部屋が暗くてもふだん通り生活できるかもしれませんが、目が見える人は夜部屋の電気がついていないと暗くて生活できません。照明器具は、目が見える人への合理的配慮です。そう考えると、障害のない人への合理的配慮は、それがあることがあたり前になっていて、気がつかないだけなのではないでしょうか。  研修でこの例をお話しすると、受講者のみなさんは、自分たちにとっての合理的配慮の必要性を理解され、それが特別なことではなく、障害のある・なしを超えてあたり前のことだと思ってくださるようです。これを読んでくださった方はいかがでしょうか。合理的配慮があたり前のことだと感じていただけたでしょうか。 【P20-25】 編集委員が行く 作業療法士による就労移行支援と職場定着支援 株式会社リニエR(東京都)、リニエワークステーション中野(東京都) 筑波大学大学院 教授 八重田淳 (写真提供:株式会社リニエR) 取材先データ 株式会社リニエR(アール) 〒101-0052 東京都千代田区神田(かんだ)小川町(おがわまち)1-8-8 VORT神田小川町6F TEL 03-5577-5915 FAX 03-5577-5916 https://linie-group.jp/about/company/linie_r/ リニエワークステーション中野 〒165-0027 東京都中野区野方(のがた)4-19-1 グランデ634 2F・3F TEL 03-5937-0483 FAX 03-5937-0484 八重田(やえだ)淳(じゅん) 編集委員から  障害者雇用には医療職のかかわりも大切であるが、どこでどのように活躍できるかについては社会一般的に理解が進んでいない。リハビリテーション医療にかかわる医師、看護師、保健師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等の医療職は、退院後の職業リハビリテーションの充実に欠かせないプロフェッショナルである。これらの専門職が有する医療的な専門知識とスキルを障害者雇用と就労支援を包括する専門領域である「職業リハビリテーション」に活用することによって、包括的な視野が一気に広がる。  この一つのモデルとして、今回取材させていただいた株式会社リニエRは、訪問看護や介護予防、児童発達支援等の事業のほかに、就労移行支援や就労定着支援といったサービスも提供している。子どもから高齢者という幅広い層に対してサービスを提供しているリニエR全体の取組みと、就労支援にかかわる具体的な活動内容をご紹介させていただく。 Keyword:医療職、作業療法、キャリア支援、就労移行、就労定着 POINT 1 子どもから高齢者までの生涯発達支援 2 医療職介入による効果 3 自立訓練と就労移行支援 1.はじめに  リニエ(Linie)はドイツ語の「線」(英語のLine)であり、ラグビーやサッカーでも「オフェンスライン」のように「戦線」という意味合いで使われている。リニエグループは、人生の始点から終点までを路線のように切れ目なく(シームレスに)つなぐ一本の線としてサービスを提供している。  株式会社リニエR(以下、「リニエR」)代表取締役の青山(あおやま)智(さとし)さんと谷(たに)隆博(たかひろ)さんは、「人生という一本の線は決して真っ直ぐにはいかず、もつれたり捻(ねじ)れたり、ときには切れかけたりもします。これからも私たちは、もつれた糸を解き、捻れた糸を直し、その人らしい生を全(まっと)うできるよう寄り添ってまいります」と述べている。  リニエグループは、医学・看護・心理・福祉等の領域で特に出版が多い株式会社三輪(みわ)書店と、四つの株式会社(リニエR、リニエL(エル)、リニエArts(アーツ)、リニエHeart(ハート))によって構成されており、提携医療機関としては、医療法人社団雪嶺会(せつれいかい)がかかわっている。また、2023(令和5)年に障害の有無の垣根を越えて参加できるイベントの運営や障害者の社会参加のための啓発を目的としてNPO法人「ぼこでこ」も設立した。今回は、このなかから、リニエRを取材させていただいた。リニエRの前身は旧・株式会社東京リハビリテーションサービスであり、RにはRehabilitationへの想いも含まれているようだ。 2.リニエの事業について  リニエの事業内容には、訪問看護、介護予防訪問看護、児童発達支援、放課後等デイサービス、保育所等訪問支援、障害児相談支援、就労移行支援、自立訓練(生活訓練)、就労定着支援、特定相談支援、居宅介護支援、通所介護、保険外教育サービス事業、研修事業(臨床塾)などがある。こうした多角的な事業を支えるための社員455人(2024〈令和6〉年8月現在)のおもな医療関連職種には、看護師・助産師(114人)、理学療法士(103人)、作業療法士(100人)、言語聴覚士(41人)等が含まれている。このほかに、ケアマネジャー、保育士、児童指導員、介護士、管理栄養士、生活相談員、職業指導員、ドライバー、事務員、営業職がいる。  全国81事業所(2025年1月現在)のなかには、訪問看護事業所(18カ所)、児童発達支援・放課後等デイサービス・保育所等訪問支援(8カ所)、就労移行支援・自立訓練・就労定着支援(1カ所)、相談支援(4カ所)、居宅介護支援(1カ所)等が含まれるが、就労移行支援に特化した事業所数は1カ所(リニエワークステーション中野)と少なく、今後の増加が期待されるところである。 3.リニエワークステーション中野の取組み  就労支援等に特化したこの事業所は、(1)自立訓練(生活訓練)、(2)就労移行支援、(3)就労定着支援の3本柱でサービスを提供している。まず自立した地域生活を送るための、生活能力の維持・向上のための訓練や助言を与える(1)自立訓練(生活訓練)は、18歳以上65歳未満の働きたい気持ちがある人で自力で通える人を通所資格としており、利用期間は原則2年である。  次に、企業に就職したい思いのある障害のある方が訓練を行う(2)就労移行支援では、@初期評価・職業適性評価・高次脳機能評価、A病状整理・本人の意向確認・セルフケア・合理的配慮の確認、B就職活動・履歴書などの作成といったステップをふみ、就職支援から就職後の職場定着までの一貫した支援を受ける。  そして、利用者が雇用された企業などにおける就労継続を図るために、企業・事業所や関係機関との連絡調整を行い、雇用にともない生じる日常生活または社会生活上の諸問題に関する相談・指導・助言を、就労後半年〜3年間で提供する(3)就労定着支援を実施している。  リニエワークステーション中野(以下、「リニエ中野」)では、利用者の個別性を重視し、生活訓練を併設することで、その方らしい働き方がみつけられるよう支援することを大切にしている。福祉的就労も含めた自分に適した職場に就職し、幸せに働き続けることを支援するためには、日常生活を安定的に過ごすことが重要である。そのために、リニエ中野では「ストレス対処」、「疾患や障害への対処」、「家族・保護者支援」等のサービスも提供している。これに加え、「自己理解」を促進する支援を行っている。自己理解とは、自分自身そして自分が感じている障害というものをできるだけ俯瞰的にみる「力」であり、これは職場でうまく働き続けるためにも重要な「スキル」である。  現在のリニエ中野における就労移行支援のサービス利用定員数は14名で、自立訓練(生活訓練)が6名、就労定着支援が20名であるが、リニエグループ全体としてはその事業所数はまだ少なく、今後は就労移行支援や就労定着支援サービスの拡大も期待されるところである。  これまでの就職者数36名のうち、高次脳機能障害者10名のなかには、身体障害や精神障害をともなっている方もいる。これらの利用者に対するサービス提供者は、常勤が5名(作業療法士2名、保育士1名、職場適応援助者〈ジョブコーチ〉1名、無資格が1名)で、非常勤が2名(作業療法士1名、精神保健福祉士1名)である。近年、特に高次脳機能障害者の就労支援には作業療法士(OT)の活躍が顕著であり、OT3名を擁するリニエ中野での取組みについて具体的にたずねてみた。  まず、サービスの量についてであるが、月曜〜金曜日の通所時間帯は9時30分〜15時30分であり、50分を一コマとすると、午前中に3コマ、午後2コマのサービスが提供されている。9割の利用者が中野区民で、食事提供もある。就労移行支援については、就職率は3〜4割だが、1年間の職場定着率は92%とのことである(2023年4月〜2024年3月)。提供されるサービスを可視化するために、1カ月単位でプログラムカレンダーを作成し、事前にどのようなプログラムが組まれているかを利用者に周知している。リニエワークステーション中野エリア長補佐の扇(おうぎ)浩幸(ひろゆき)さんは作業療法士・公認心理師であり、利用者の好きなことや得意なことを広げるための「作業療法的」なアプローチを考案している。  例えば、@インターネット販売というネットオークションを用いた取組みでは、ネット販売という「作業体験」を通して、自身の「できること」と「課題」を発見することを目的とした訓練プログラムを実施している。利用者は、オークションの出品作業を通して、「商品の仕分け」、「梱包」、「出品の紹介文章作成や写真撮影」、「パソコン入力」といった実務的な作業体験の機会を得ることができる。出品物が売れた場合、その7割は出品者に、2割はほかの利用者に分配、1割は手数料という形で、作業成果を共有している。  また、Aコミュニケーションスキルトレーニングでは、他者とかかわることで「障害の自己理解」を深めるために、段階づけされたプログラムが実施されている。そのなかの一つの「茶話会」は、ゲーム形式で雑談するプログラムであり、利用者がお茶を飲みながら、とてもリラックスした雰囲気で行われている。職場でもこうした心の休まるひとときは大切である。扇さんは「この茶話会での雑談力は、例えば、職場での円滑なコミュニケーションをとるためにも効果的だと思います」としている。ほかにも毎月1〜2回、テーマを決めたグループでの話し合いの「雑談力プログラム」、さらに、実際の職場で困るような場面をあえて取り上げて、自分だったらどう対応するか、といった意見を出し合う「職場編」というものも設定されており、「プログラムで話し合ったことは、私も勉強になります」と扇さんは話している。  さらに、Bパソコンスキル・事務スキルトレーニングでは、業務のスキルアップを目的とし、「タイピング練習」、「長文入力演習」、「チラシ作成」、「名刺データ入力」、「資格取得支援(情報処理技能検定やMOS:マイクロソフトオフィススペシャリストなど)」、「ラベル作成」、「ラミネート」、「複合機の利用」、「郵便物の仕分け」などに必要となる作業が作業療法士としての視点を加えて実施されている。  このほか、e ーラーニングを用いたセルフマネジメントスキル(セルフケア含む)、ビジネスマナーや社会生活技能訓練(SST)プログラムなどを活用した対人コミュニケーションスキルの自発的訓練などが提供されている。  こうした多彩なプログラムの成果をみるための場として、「プレゼンテーション」の機会も設けられている。  「1カ月前に利用者への希望調査を行い、発表をしたいという意向がある方とプレゼンテーションのテーマについて事前に話し合います。そして個別訓練の時間などに一緒に資料をつくって、人前で発表する練習をします。当日の発表は15〜20分くらいの割と長い時間ですが、この発表によって随分と自信がつくようです」(扇さん)  この「プレゼンテーション」自体が、プログラムの効果をみるための「事業評価」にもつながると考えられる。人前で話せる力は、就職活動時はもちろんのこと、職場での同僚との会話や仕事の成果報告などにも効力を発揮するだろう。  利用者の得意分野を活かした実践としておもしろいのは、同じリニエの法人内の精神科訪問看護を利用している双極性障害の当事者がリニエ中野で、「英会話」を教えているプログラムである。これは、当事者が当事者にサービスを提供するピアサポートの一つといえるかもしれない。言葉が出にくい失語症の方から「英語だったらしゃべれる」という「能力」を引き出し、これを活用する視点はセラピストならではかもしれない。教える側の双極性障害のある当事者にとって「自分の得意な英語を教えることでこんな自分でも役に立てることがあるのだ」と自信がつくだけではなく、その「小さな英会話クラス」を受けるほかの利用者にとっても励ましになっているようである。 4.求職支援プログラム  求職支援は、図1(24ページ)に示すような3段階で、@職業適性評価や各種の神経心理学評価アセスメントツールを用いて、基礎的な初期評価を行い、A病状整理シート、就労希望整理シート、状態チェック対応シート、障害特性・配慮希望シートなどを用いて「実習」につなげ、B「就活」として、履歴書や職務経歴書に自身の特性や対処、会社に求める配慮を明確に記入し、求職活動をしている。  企業実習の期間について扇さんにうかがったところ、「企業実習は、一人あたり最低2回(軽作業、事務作業)は行うようにしています。期間は、企業によってさまざまですが、おおむね3〜5日程度が多い印象です。時間は、丸一日のときもありますが、半日くらいのことが多い印象です」とのことであった。  また、作業療法士としてジョブコーチ的な役割をどう果たすかについては、「実習中に作業療法士として事前に客観的にみたその方の特性を伝えたり、ジョブコーチ的な介入を行うこともあります」とのことで、図1の第二段階「実習」では、セラピストの視点で病状整理やセルフケア等の確認を行っていることがわかった。 5.就労定着支援  アメリカのジョブコーチは、就労定着支援を継続的に必要なだけ提供することが奨励されている。しかし、フォローアップを徹底することで職場にうまく適応し、働き続けることで生活の質が向上し、本人も健康で幸せを感じるような支援は、一人の支援者では無理である。利用者は次々に増えてくるわけで、支援者のケースロード(担当者の負担)は重くなってくる。そのためにも、支援者数を増加させることは喫緊の課題であると思われる。ジョブコーチの歴史的変遷をみると、援助つき雇用で重要なポイントは、重度障害のあるサービス利用者(アメリカでは重度障害者の競争的雇用に重点を置いている)に対する定着支援を徹底することが謳われている(八重田、2006)。アメリカで援助つき雇用が法制度化される20年以上前に、Rose(1963)は、この就労定着を厳密に行うために大切なのは、就職直後の「最初の一時間、最初の一日、最初の一週間はスタッフ(ジョブコーチあるいはナチュラルサポートを提供できる職場仲間)の誰かをつけるべきである」としている(Rose, 1963, p.13;八重田2006の文献;括弧内は八重田による追加説明)。  このように、就労定着支援の期間については事業主にとっても、支援者側にとっても大切なポイントとなる。扇さんも、「最初の半年は就労移行支援の枠組みでアフターフォローを行います。職場での最初の日、最初の1カ月というのはとても重要な時期であり、そこはていねいに支援することを心がけています」とのことであった。また「もちろん面接の時点から同席はしているのですが、できるかぎり早い段階で企業訪問を行い、企業の方との信頼関係の構築を行います」(25ページ図2.定着支援のポイント参照)とのことで、就労定着支援を成功させるためには、企業支援を同時に行うという基本的な姿勢がうかがえる。  続けて扇さんは、定着支援として「職場の人的環境、物理的環境を把握し職場のアセスメントも行います。必要に応じ、本人の障害特性について企業側にレクチャーを行うこともあります。就職後、半年間は最低でも月1回は本人と顔を合わせて話すように意識しています。就職後半年経ったら、就労定着支援の枠組みに変更を行い、このころから少しずつナチュラルサポートに移行していけるよう、フェーディングの支援を行っていきます。具体的には、実際の職場には3カ月に1回の訪問に減らし、必要に応じ本人とは月1回、オンライン面談を行います。1回にかける時間は30〜60分程度です」とし、オンラインを活用しながら継続支援(On-going Support)を提供していることを紹介してくださった。  そのうえで、今後の課題についてうかがったところ、「課題としては、就労移行支援と就労定着支援を一貫してできる専門的なスタッフの人材教育が必要だと思っています。ただ、スタッフの研修時間がサービスの現場ではあまり多くとれない現状があります」とのことで、就労支援に関する専門職自身が就職する前の段階で、大学などでしっかりと職業リハビリテーションにかかわる知識と技術を習得する必要性をあらためて感じた。 6.まとめ  今回の取材を通して、現在の職場適応援助者(ジョブコーチ)が、今後さらに臨床心理的な知識とスキルを有し、ビジネスパーソンとして企業にコンサルテーションできる知識と行動力を持つための継続研修も必要であることをあらためて感じた。医療職が多いリニエグループならではの「就労支援サービスモデル」の構築にも期待が寄せられるところである。今後は職業リハビリテーションをになうプロフェッショナルの一人として、障害者職業カウンセラー、ソーシャルワーカー、特別支援教育教員等とも連携する力を備えた医療的バックグラウンドをすでに有する各種セラピストが、就労支援のプロフェッショナルとしても活躍できる体制づくりが必要である。大学や大学院といった高等教育機関での障害者雇用、就労移行・就労定着にかかわる人材育成については長いあいだ議論されているところであるが、1日も早く国レベルで行われることが期待される。加えて、今回のような医療専門職による職業リハビリテーションへの関与と連携の一つのサービスモデルとして、リニエグループによる取組みについては今後も期待を寄せている。 参考文献 Rose, G. (1963). Placing the marginal worker:Alesson in salesmanship. Journal of Rehabilitation,29(2), 11-13. 八重田淳(2006).米国における援助付き雇用の変遷,職リハネットワーク,59, 11-16. 図1 求職支援の3段階 ・ステップ制とアセスメント 1.基礎 【初期評価】 ・就労移行支援のためのチェックリスト 【職業適性評価】 ・GATB 【神経心理学評価】  TMT、CAT、FAB 2.実習 【病状整理】 ・病状整理シート 【本人の意向確認】 ・就労希望整理シート 【セルフケア・合理的配慮の確認】 ・状態チェック対応シート 3.就活 【就職活動】 ・履歴書 ・職務経歴書 →自身の状態の整理をすることで障害の言語化をサポート 出典:リニエワークステーション中野案内資料 図2 定着支援のポイント 医師など医療関係者 病気の状態を安定させ生活ができるようにする 患者 障害のある人 従業員 人的資源として効率的に活用し、利益に貢献できるようにする 企業担当者 支援者 両者の立場を理解するために、両者の視点のポイントを踏まえ本人のサポートをする 出典:リニエワークステーション中野案内資料 写真のキャプション 株式会社リニエR代表取締役の谷隆博さん(左)、本誌の八重田淳編集委員(中)、同社取締役の竹中佐江子さん(右)(写真提供:株式会社リニエR) リニエワークステーション中野作業療法士の扇浩幸さん(写真提供:株式会社リニエR) 障害特性・配慮希望シート(写真提供:リニエワークステーション中野) 【P26-27】 省庁だより 令和7年度 予算の概要 (障害者雇用施策関係部分の抜粋版) 厚生労働省 職業安定局 厚生労働省職業安定局より発表された「令和7年度予算の概要」について、障害者雇用施策関係部分の抜粋版を紹介します。 障害者の就労促進 【165億円(163億円)】 ※( )内は前年度当初予算額 ハローワークのマッチング機能強化による障害者の雇入れ等の支援 54億円(53億円) ●「障害者向けチーム支援」の実施等によるハローワークマッチングの強化 予算額 17億円(17億円)  福祉施設等の利用者をはじめ、就職を希望する障害者一人ひとりに対して、ハローワーク職員(主査)と福祉施設の職員、その他の支援者がチームを結成し、就職から職場定着まで一貫した支援を実施(平成18年度から実施)。 ●障害者雇用ゼロ企業等に対する「企業向けチーム支援」の実施等 予算額 10億円(10億円)  障害者の雇用経験や雇用ノウハウが不足している雇用ゼロ企業に対して、ハローワークが中心となって各種支援機関と連携し、企業ごとのニーズに合わせて、企業内の体制整備、求人条件の設定、求職者とのマッチング支援等の準備段階から採用後の定着支援まで障害者雇用を一貫して支援する。 ●精神障害者等の就職及び雇用継続の促進に向けた支援 (精神・発達障害者雇用サポーター) 予算額 19億円(19億円)  きめ細やかな支援を要する精神障害及び発達障害のある求職者が増加していることから、障害特性を踏まえた専門的な就職支援や職場定着支援、及び事業主に対する精神障害者等の雇用に係る課題解決のための相談援助を実施する必要がある。  ハローワークに精神・発達障害者等の専門知識や支援経験を有する者を配置し、障害特性に応じた専門的な就職支援を実施する。 ●難病相談支援センターと連携した就労支援の強化 予算額 3.4億円(3.3億円)  ハローワークに「難病患者就職サポーター」を配置し、難病相談支援センターをはじめとした地域の関係機関と連携しながら、個々の難病患者の希望や特性、配慮事項等を踏まえたきめ細かな職業相談・職業紹介及び定着支援等総合的な支援を実施。 ●障害者雇用相談援助事業の適正な実施等 予算額 3.0億円(3.0億円)  今後、法定雇用率の段階的な引上げと除外率の引下げが予定されている中で、企業に対する支援の強化が求められている。  このため、特に障害者雇用に関するノウハウを十分に有しない中小企業等を中心に、雇入れから雇用管理、職場定着までの一体的な伴走型支援を実施し、着実な雇入れを実現するために「障害者雇用相談援助助成金」が創設された。本助成金を活用した障害者雇用相談援助事業における相談援助等の質を担保する等適切な事業運営を図る必要がある。  また、地域の就労支援機関等関係機関のネットワークの構築、連携強化、相互理解を図ることを通じて、引き続き、企業における一般就労の実現を推進する。 ●就職活動に困難な課題を抱える障害のある学生等への就職支援 予算額 1.2億円(1.2億円)  発達障害等のために専門的な支援がないと就職活動自体が困難な学生や、発達障害に限らず障害があり、障害特性に応じた就職支援を必要としている学生等への支援の実施のために、大学等と連携して支援が必要な学生等の早期把握を図るとともに、当該学生等に対する就職準備から就職・職場定着までの一貫したチーム支援を行う。 ●公務部門における障害者雇用に関する支援について 予算額 93百万円(93百万円)  公務部門においては、障害者雇用に関する基本方針等に基づき、順調に障害者の採用が進んだことにより、今後は採用された障害者の職場定着支援や支援体制づくりを重点的に実施するための取組を行う。 ●障害者に対する差別禁止・合理的配慮等に係るノウハウ普及・対応支援事業 予算額 58百万円(58百万円)  平成28年4月から改正障害者雇用促進法の差別禁止及び合理的配慮の提供義務が施行され、平成30年4月から精神障害者が法定雇用率の算定基礎へ追加されたこと等から、障害者が能力を十分に活かして働き続けることができる雇用の場の創出、障害者の職場定着への一層の支援が求められている。  このため、全国7ブロックに障害者雇用に係る事業主の相談窓口を設置し合理的配慮等のノウハウを提供するとともに、障害特性に配慮した雇用管理や雇用形態の見直し等の先進的な取組を普及する事業を実施する。 ●精神・発達障害者しごとサポーターの養成 予算額 8百万円(8百万円)  職場における精神・発達障害者を支援する環境づくりにより、職場定着を推進するため、企業内において、精神・発達障害者を温かく見守り、支援する応援者となる「精神・発達障害者しごとサポーター」を養成し、精神・発達障害者に対する正しい理解を促進する。 ●障害者の雇用を促進するためのテレワークの推進 予算額 47百万円(43百万円)  障害者の多様な働き方の推進や、通勤が困難な者、感覚過敏等により通常の職場での勤務が困難な者等の雇用機会の確保のため、障害者雇用におけるテレワークの更なる推進が必要である。  しかしながら、事業所から遠方に住む障害者のテレワーク時の雇用管理への不安から導入を躊躇する企業も多く、また、実際に新たに障害者のテレワークを導入した企業においては、テレワーク勤務におけるコミュニケーションや雇用管理等の課題が生じているところ。  企業に対して、個々の企業の状況を踏まえて、障害者のテレワーク勤務の導入に向けた相談支援や、雇用している障害者のテレワーク時の雇用管理面での課題解決に向けた相談支援を行う。  また、企業に障害者雇用の選択肢の1つとして、テレワークによる障害者の雇用を検討してもらえるよう、セミナーやインターネット上で事例の周知を図る。 ●トライアル雇用助成金 (障害者トライアルコース・短時間トライアルコース) 予算額 13億円(12億円)  障害者雇用の取組が遅れている事業所では、障害者雇用の経験が乏しいために、障害者に合った職域開発、雇用管理等のノウハウがなく、障害者を雇い入れることを躊躇する面があるところである。このため、これらの事業所に対して、障害者の試行雇用を通じ、障害者の雇用に対する理解を促進するとともに、障害者の業務遂行の可能性を見極め、試行雇用終了後に常用雇用への移行を進め、就業機会の確保を図ることとする。 ●特定求職者雇用開発助成金 (発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース) 予算額 6.1億円(5.8億円)  発達障害者は、社会性やコミュニケーション能力に困難を抱えている場合が多く、就職・職場定着には困難が伴っている。  また、難病患者は、慢性疾患化して十分に働くことができる場合もあるが、実際の就労に当たっては様々な制限・困難に直面している。このため、発達障害者及び難病患者の雇用を促進するため、これらの者を新たに雇用する事業主に対する助成を行う。 障害者就業・生活支援センターによる地域における就業支援の促進 85億円(85億円) ●障害者就業・生活支援センターによる地域における就業支援 予算額 85億円(85億円)  障害者就業・生活支援センター(以下「センター」という。)は、障害者の職業生活における自立を図るため、雇用、保健、福祉、教育等の関係機関との連携の下、障害者の身近な地域において就業面及び生活面における一体的な支援を行い、障害者の雇用の促進及び安定を図る。  さらに、全国の障害保健福祉圏域ごとに設置しているセンターは、各地域における中核的な就労支援機関として位置づけられており、個々の障害者のニーズに応じた相談・支援に加えて、地域の支援機関のネットワークの拠点としての役割を担う。 ※本誌では通常西暦で表記していますが、この記事では元号で表記しています 【P28-29】 研究開発レポート 第32回 職業リハビリテーション研究・実践発表会 Part2 パネルディスカッション T「職場でのコミュニケーションの課題について考える」 U「障害者就労支援を支える専門人材を育てる〜福祉と雇用の切れ目のない支援に向けて〜」  前号に続き今号では、パネルディスカッションT・Uの様子をダイジェストでお伝えします。 パネルディスカッションT 職場でのコミュニケーションの課題について考える  近年、テレワーク等が広がるなど職場でのコミュニケーションのあり方は変化しています。他方、情報共有について障害に起因する課題を抱える障害者も少なくありません。パネルディスカッションTでは、このような変化の機会をとらえて、JEED障害者職業総合センター上席研究員の伊藤(いとう)丈人(たけひと)氏をコーディネーターとして、株式会社ラックでサイバーセキュリティプラットフォーム開発統括部開発部第三グループグループマネジャーを務める外谷(そとや)渉(しょう)氏、阪和ビジネスパートナーズ株式会社業務開拓推進部長の辻(つじ)敏彦(としひこ)氏、みずほビジネス・チャレンジド株式会社企画部職場定着支援チーム定着支援コーディネーターの平賀(ひらが)正樹(まさき)氏、学校法人大阪滋慶学園滋慶医療科学大学大学院教授の岡(おか)耕平(こうへい)氏をパネリストに迎え、あらためて障害者が、職場における情報のやり取りについてどのような課題に直面し、どのような配慮を必要としているのか、職場において情報を共有するための取組みや工夫等についても意見交換を行いました。  はじめに伊藤氏から、本ディスカッションを設定した背景について、職場で共有される情報には業務に関するフォーマルなものだけでなく日常的な会話や偶発的な情報のやりとりといったインフォーマルな情報もあるため、これに参加できないことにより障害者が疎外感を抱くケースも存在することが提示されました。そのうえで、2023(令和5)年度から2024年度に行われた、「職場における情報共有の課題に関する研究」(障害者職業総合センター)から、コミュニケーションに関して企業側と障害者側に認識のずれがあること、この「ずれ」は企業側の不満よりも障害者本人がより強い困難を感じる場合があるとの報告がありました。また、勤務形態の違いによって、情報伝達課題が異なることが示されました。そのなかでも各企業は、障害者が職場で円滑に情報交換できるよう、配慮や工夫を凝らした改善策を実施していると指摘。このディスカッションでは、実際の企業事例をもとに、障害者が直面する情報伝達の課題と、出勤やテレワークなど働く環境に合わせた適切なコミュニケーションのあり方について考え直す機会としたいとの目的が示されました。  次に、各パネリストから、それぞれの取組事例や研究成果などが発表されました。外谷氏からは情報セキュリティの分野で強みをもつ同社が、同氏をはじめとした視覚障害や発達障害のある社員を複数名採用していくなかで、業務指示伝達を円滑に行うための配慮や業務外の交流の推進をどのように行っているのかについて紹介がありました。  続いて辻氏からは、2024年10月に稼働を始めた同社が、障害者のテレワークを定着させるために行ってきたさまざまな取組みについて、テレワーク中の孤独感を軽減するため、つねにチーム全体がWebシステムに接続した状態を保ち、会話中心のコミュニケーションを重視していることや、従業員の不調の早期発見と対応にも取り組んでいることなどの発表がありました。その結果、これまでに24名を採用し退職は4名にとどまり、平均勤続期間は2年6カ月に達し、転職者からも前職よりコミュニケーションがよいとの評価を得ているとの報告がありました。  次に平賀氏からは、出社して業務を遂行する社員に対し「定着支援コーディネーター」が行っているさまざまなサポート支援、社内でのコミュニケーションにおける工夫・情報共有の方法について発表がありました。例えば聴覚障害のある社員とのコミュニケーションにおいては、職場で使う専門用語にはオリジナルの手話や指文字を活用して対応しているとの報告がありました。また、聴覚障害のある社員のために行っていた工夫が発達障害のある社員にとっても有用であることがあり、障害特性にかかわらずコミュニケーションにおける工夫・情報共有の取組みを社内共有することで、職場全体のコミュニケーションの質を高めるとともに円滑化を実現することを目ざしているという報告がありました。  最後に岡氏からチャットや社内SNSの利用等におけるコミュニケーション手段の変化と多様化が進む現代の職場で、こうした変化が障害者に与える影響について解説がありました。自身の研究結果などからテレワークから除外されがちな知的・発達障害者を支援するためのテクノロジーとして「共有メンタルモデル」と「トランザクティブ・メモリー・システム」が紹介されました。  その後、伊藤氏から各パネリストに質問があり、「テレワークをしている社員がSOSを出しやすい、質問しやすい雰囲気づくりや工夫について」などに関する質疑応答が活発に行われました。 パネルディスカッションU 障害者就労支援を支える専門人材を育てる〜福祉と雇用の切れ目のない支援に向けて〜  近年の障害者の就労可能性の急速な拡大をふまえ、福祉分野の就労支援と雇用分野の職業リハビリテーションの切れ目のない支援に向け、多様な障害種類・程度の障害者と企業の双方のニーズに対して多分野連携の促進を含めて効果的に対応できる専門人材の育成が喫緊の課題となっています。パネルディスカッションUでは、こうした障害者就労支援の共通基盤を確認するとともに、JEED障害者職業総合センター副統括研究員の春名(はるな)由一郎(ゆいちろう)氏をコーディネーターとして、障害者職業総合センター職業リハビリテーション部次長の市川(いちかわ)浩樹(ひろき)氏、特定非営利活動法人WEL'S障害者就業・生活支援センターWEL'S TOKYOセンター長兼主任職場定着支援担当の堀江(ほりえ)美里(みさと)氏、第一生命チャレンジド株式会社ダイバーシティ推進部課長の齊藤(さいとう)朋実(ともみ)氏、特定非営利活動法人全国就業支援ネットワーク代表理事の藤尾(ふじお)健二(けんじ)氏をパネリストとして迎え、就職前の支援と就職後の支援、障害者支援と事業主支援、医療や福祉と雇用支援といった具体的な局面において切れ目のない支援を実現できる専門人材の育成・確保に向けた意見交換が行われました。  はじめに春名氏から、ここ数年急速にニーズが高まっている先端的な障害者就労人材育成の取組みを実施できるかどうかは地域によってばらつきがあるとの指摘があり、参加者にもこのディスカッションを通じてそれぞれの地域の特性を念頭に障害者就労支援人材の育成について考える場となってほしいと望まれました。  次に各パネリストから話題の提供が行われました。市川氏からはJEEDが2025年度から実施を予定している「雇用と福祉の分野横断的な基礎的知識・スキルを付与する研修(基礎的研修)」は、福祉、教育、医療等の分野にて、就労支援を担当する初学者を対象としており、雇用と福祉の切れ目のない支援を可能とするためのスタートととなる研修であることの紹介がありました。  堀江氏からは、東京都の大規模な労働市場で障害者人口を抱えるという地域のなかに配置された地域障害者就業・生活支援センターの職員が、その専門性だけでは対処できない場面において多様な職種と連携できるスキルをもつことの重要性を指摘。そうした人材を育成するために外部のスーパーバイザーによる個別のスーパービジョンを実施する機会を設けるなど、包括的なスーパービジョン体制の構築に力を注いでいるとの報告がありました。  齊藤氏からは、企業内で働く就労支援人材育成の役割について、@目的=「安心して働く」「活躍できる」を共有する、Aそれぞれの事情をすり合わせる、B関係性の構築が大切、というポイントが示され、福祉分野でつちかったコミュニケーションスキルを活かして活躍していくのが企業内で働く就労支援人材の役割であると強調されました。  藤尾氏からは、「障害者就業・生活支援センターの機能強化」について話がありました。同氏は機能強化のポイントは地域の支援資源等を知り、適切にリファーする連携拠点「総合調整機能」、「地域における最後の砦」であるスーパーバイズ、困難事例等への対応という「本来あるべき機能を果たすこと」と主張されました。  後半では「福祉と雇用の切れ目のない支援に向けた、専門人材育成の課題」と題して「就職前の支援vs就職後の支援」、「障害者支援vs事業主支援」、「医療・生活支援vs就労支援」の三つをテーマに、切れ目のない人材育成について活発な議論が行われました。 (注)コーディネーターおよびパネリストの方々の所属先・役職は開催日時点のものです ★右記ホームページにて、パネルディスカッションの動画や発表資料等をご覧いただけます。 https://www.nivr.jeed.go.jp/vr/32kaisai.html ◇お問合せ先 研究企画部 企画調整室(TEL:043-297-9067 E-mail:kikakubu@jeed.go.jp) 写真のキャプション 伊藤丈人氏 外谷渉氏 辻敏彦氏 平賀正樹氏 岡耕平氏 春名由一郎氏 市川浩樹氏 堀江美里氏 齊藤朋実氏 藤尾健二氏 【P30】 ニュースファイル 地方の動き 福島 「バリアフリー対応消防車」導入  郡山(こおりやま)地方広域消防組合(郡山市)が、バリアフリー対応の新型警告灯を搭載した車両を導入した。2025(令和7)年11月15日〜26日に開催予定の東京2025デフリンピック大会で、サッカー競技が福島県内で開催されることを見すえた対応としている。新型警告灯は各地でパトカーへの導入が進んでいるが、消防機関では全国初という。  新型警告灯は「緊急走行中」は0.5秒間隔でチカチカと緊張感のある発光で、「一般走行中」は2秒間隔でぼんやりと穏やかな発光となる。光り方の違いによって、緊急走行時に道を譲るなどの判断につなげてもらうねらい。火災や災害現場のほかパトロールなどに使用し、今後も導入可能な車両について順次入れ替える方針としている。 生活情報 東京 「ビジョン・コンソーシアム」設立  1922(大正11)年から視覚障害のある人向けの週刊点字紙「点字毎日」を発行してきた毎日新聞社(千代田区)が、21の企業・団体などとともにインクルーシブな社会に向けた非営利の共同事業体「ビジョン・コンソーシアム」を設立した。  これまで視覚障害のある人と向き合ってきた企業・学校法人や団体、メディア、研究者らと、貴重な知見やノウハウを共有し、社会にDEI(Diversity、Equity、Inclusion)推進をうながすプラットフォームを目ざすとしている。具体的には、視覚障害のある人たちの「見えない」、「見えづらい」世界を体験する場や、晴眼者と視覚障害者が楽しく交じり合える場の提供を活動の柱にする。点字体験やパラスポーツ体験、アイマスクで白杖を用いて宝探しをする歩行体験や、視覚に頼らないゲーム体験など、コンテンツを数多く用意し、学校現場への出前授業やイベントとして実施していく予定。 https://www.mainichi.co.jp/vision-cons/ 大阪 電車の乗降介助依頼をWeb予約で  阪急電鉄(大阪市)は、車いすユーザーや視覚障害のある乗客に向けて、電車の乗降介助をWebで予約できるサービスを2025(令和7)年春から開始する。これまで介助等を希望する場合は、駅係員に直接申し出るか、交通ご案内センターの営業時間内に電話で依頼していたが、新サービスによりWebで事前の介助依頼が可能になるとしている。  電車の乗降介助依頼が年間25万件ほどにのぼるという阪急電鉄では、このサービス実施に向けて英国発のスタートアップ企業Transreport(トランスレポート) Limited(リミテッド)社が提供する介助予約システムを導入。2024年4月から駅係員専用のアプリを使い介助管理のIT化を図ってきた。今後は介助予約システムと係員専用のアプリを連携させ、駅係員の派遣や介助対応の準備等をより円滑に行えるとしている。  問い合わせは阪急電鉄交通ご案内センターへ。 電話:0570-089-500、06-6133-3473(平日9時〜22時、土日祝日9時〜19時)。 働く 東京 丸の内にデジタル業務のA型事業所を開設  三菱地所株式会社(千代田区)とVALT(ヴァルト) JAPAN(ジャパン)株式会社(同)が、千代田区の新大手町ビルに障害者就労継続支援A型事業所「デジタルイノベーションセンター丸の内supportedby三菱地所」(以下、「DIC丸の内」)を開設した。デジタル業務に特化した就労継続支援A型事業所は、23区で初としている。両社は今後、協働して障害者就労支援事業に取り組み、今後5年間で全国にDICを20センター開設し、約千人規模の雇用を目ざすという。  企業からニーズのある高度なセキュリティを要するデジタル業務をDIC丸の内が受託し、DIC丸の内と雇用契約を結んだ障害者がデータ入力、サイト情報のデータベース更新、書類のデータ化サービス、データ校正作業、AI関連業務(AIアノテーション)などを行う。就労困難者へのデジタルトレーニングや実務経験提供も行い、デジタル技術を活用した就労支援のモデルケースを創出していくとしている。定員20名、今後40名まで増員予定で、原則18歳〜65歳未満までの障害のある人や難病の人が利用対象。営業時間9時〜18時(サービス提供時間10時〜15時)。問い合わせはメールで。 メール:marunouchi-dic@valt-japan.com 大分 「おおいたダイヤ事業協同組合」設立  障害者雇用の促進を図るため、大分県内の中小企業などが連携した「おおいたダイヤ事業協同組合」(別府市)が設立され、3月から事業を開始した。  県内の中小企業が出資して2024(令和6)年11月に設立された同組合は、障害のある人を雇用し、パソコン業務などの仕事をアウトソーシングする仕組みで、NTT西日本(大阪府)のノウハウを活用する。各企業に義務づけられている法定雇用率について、組合で合算できる「事業協同組合等算定特例制度」を九州で初めて利用するとしている。3月から精神障害者を中心にトライアル雇用を行い、IT系の事業に取り組んでいく。 【P31】 本紹介 『事例で学ぶ!発達障害のある高校生の進路指導ガイド5つのポイントで分かる指導・支援』  独立行政法人国立特別支援教育総合研究所が編集した『事例で学ぶ!発達障害のある高校生の進路指導ガイド 5つのポイントで分かる指導・支援』(明治図書出版)が出版された。  99%近い生徒が高等学校へ進学をする状況のなか、障害のある生徒もほとんどが進学をしているが、発達障害のある生徒への支援が課題となっている。このことから同研究所が、進路先の大学や企業でよくみられる適応困難の状態、特別支援学校や関係機関による高等学校への可能な支援内容などについて調査を行い、知見を学校現場で活用しやすいようまとめた。  本書では、発達障害等のある生徒の進路指導に関する現状と課題から、進路指導の充実に向けて「組織的対応」、「自己理解を促す指導・支援」、「自立と社会参加への力を育む指導・支援」、「進路先決定を支える指導・支援」、「連携による支援」の五つのポイントについて事例とともに解説。生徒6人の進路指導の取組み事例も紹介している。A5判128ページ、1650円(税込)。 作品大募集! あなたの力作がポスターになる! 令和7年度 「絵画コンテスト働くすがた〜今そして未来〜」 「写真コンテスト職場で輝く障害者〜今その瞬間〜」 応募締切 令和7年6月16日(月) 【当日消印有効】 児童・生徒をはじめ社会人・一般の方もご応募いただけます。 絵画コンテストの応募は障害のある方が対象です。 写真コンテストの応募は障害の有無を問いません。 多くのみなさまからのご応募をお待ちしています。 シンボルキャラクター “ピクチャノサウルス” 詳しくはホームページの募集要項をご覧ください。 JEED 絵画写真 検索 <過去のポスターや入賞作品などもご覧いただけます> 主催:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) ミニコラム 第45回 編集委員のひとこと ※今号の「編集委員が行く」(20〜25ページ)は八重田委員が執筆しています。ご一読ください。 なぜ働くのか 筑波大学大学院 教授 八重田淳  なぜ働くのかをさまざまな大学生に聞いたところ、「お金のため、生活のため、国民としての義務だから」といった答えが返ってきた。もちろんなかには、自分の夢を実現するため、その先にある目標を達成するための手段として、という未来に向けた回答もあった。  自分が大学生だったころ、同じ質問をされていたら、なんと答えただろう。「何かを成し遂げたい。その何かがまだ見つからないけど」と思っていたような気がしないでもない。みなさんはどうだろうか。  あなたはなぜ働くのですか?誰のために?何のために?  「その質問自体が愚問だ、働きたいけど働けないんだよ。働くチャンスもないし。そんななかで、食べるため、家族を養うため、生きるためには働くしかないだろう? 労働は手段であって、目的じゃない。」そんな声も頭の中で聴こえてくる。  どうせ働くなら、楽しく、愉快に、健康に、幸せに笑いながら、長時間ではなく、サラッと気分よく働きたいものである。その結果としてたくさんお金を貰えたり、褒められたり、自由な時間を獲得できたらいうことなしだ。「よし、もっとがんばろう、世のため、人のために」となるかもしれない。  好きな仕事を、マイペースで自由に進めていけたら人はどれほど幸せになるのだろうか。「なぜ働くのか」という設問に対する自分らしい答えを探しながら、今日も生きている。 【P32】 掲示板 国立職業リハビリテーションセンター 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター オープンキャンパスのご案内 訓練内容の説明、施設見学、職業訓練体験などを行うオープンキャンパスを、下記日程で開催します。 訓練に通うイメージをつくる絶好の機会ですので、ぜひご参加ください!! 【開催日程】 ●国立職業リハビリテーションセンター (開催時間:13時15分〜16時40分) 令和7年 4月25日(金)、5月14日(水)、6月18日(水)、7月16日(水)、8月8日(金)、9月24日(水)、10月22日(水)、11月19日(水)、12月17日(水) 令和8年 1月28日(水)、2月25日(水)、3月18日(水) ●国立吉備高原職業リハビリテーションセンター (開催時間:午前の部 10時00分〜、午後の部 13時00分〜) 令和7年 7月20日(日) ※詳細につきましては、各リハビリテーションセンターのホームページまたは下記お問合せ先までご連絡ください。 訓練生募集中! ハロトレくん お問合せ先 国立職業リハビリテーションセンター 職業指導部 職業評価課 〒359-0042 埼玉県所沢市並木4-2 TEL:04-2995-1201 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター 職業訓練部 〒716-1241 岡山県加賀郡吉備中央町吉川7520 TEL:0866-56-9003 メールマガジン好評配信中! 詳しくは JEED メールマガジン 検索 読者アンケートにご協力をお願いします! 回答はこちらから→ 次号予告 ●私のひとこと  「NPO法人言語障害者の社会参加を支援するパートナーの会 和音」理事の清水美緒子さんに、「失語症会話パートナー」による障害者への援助や、言語に障害のある人の社会参加のあり方についてご執筆いただきます。 ●職場ルポ  粉末スープ、乾燥具材等の充填包装およびセットアップの委託製造を行う、株式会社松本パック(群馬県)を取材。多くの知的障害のある社員が働き、会社の戦力として健常者と一緒に生産ラインで活躍している職場の様子を紹介します。 ●グラビア  バネや金具といった金属製品の製造業を営む天伸株式会社(千葉県)を訪問。障害のある社員がものづくりの最前線で、組み立て作業、プレス作業などを行う働きぶりを紹介します。 ●編集委員が行く  若林功編集委員が、高次脳機能障害者サポートセンター笑い太鼓、西濃運輸株式会社大曽根支店(愛知県)を訪問。高次脳機能障害のある人への雇用支援の実際をお伝えします。 『働く広場』読者のみなさまへ  2025年5月号は、大型連休の関係から、冊子の到着が通常よりも数日遅れることが見込まれます。ご不便をおかけしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。ご不明の点は編集部(企画部情報公開広報課、電話:043-213-6200)までおたずねください。 公式X(旧Twitter)はこちら! 最新号発行のお知らせやコーナー紹介などをお届けします。 @JEED_hiroba 編集委員 (五十音順) 株式会社FVP 代表取締役 大塚由紀子 トヨタループス株式会社 取締役 大野聡士 NPO法人大阪精神障害者就労支援ネットワーク 副理事・統括施設長 金塚たかし 弘前大学教職大学院 教授 菊地一文 武庫川女子大学 准教授 増田和高 サントリービバレッジソリューション株式会社 人事本部 副部長 平岡典子 神奈川県立保健福祉大学 名誉教授 松爲信雄 有限会社まるみ 取締役社長 三鴨岐子 筑波大学大学院 教授 八重田淳 国際医療福祉大学 准教授 若林功 あなたの原稿をお待ちしています ■声−−障害者雇用にかかわるお考えやご意見、行事やできごとなどを500字以内で編集部(企画部情報公開広報課)まで。 ●発行−−独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 発行人−−企画部長 鈴井秀彦 編集人−−企画部次長 綱川香代子 〒261-8558 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-2 電話 043-213-6200(企画部情報公開広報課) ホームページ https://www.jeed.go.jp メールアドレス hiroba@jeed.go.jp ●編集委託−株式会社労働調査会 〒170-0004 東京都豊島区北大塚2-4-5 電話 03-3915-6415 FAX 03-3915-9041 5月号 令和7年4月25日発行 無断転載を禁ずる ・本誌に掲載した論文等で意見にわたる部分は、それぞれ筆者の個人的見解であることをお断りします。また、本誌では「障害」という表記を基本としていますが、執筆者・取材先の方針などから、ほかの表記とすることがあります。 【P33】 第33回(令和7年度) 職業リハビリテーション研究・実践発表会 発表者募集中  当機構(JEED)では「職業リハビリテーション研究・実践発表会」を毎年開催しており、本年度は11月12日(水)・13日(木)に開催します。つきましては、障害者雇用に関する調査研究の成果、障害者の就労支援に関する実践事例、企業における雇用事例等について発表いただける方を広く募集します。  発表を希望される方は、「第33回職業リハビリテーション研究・実践発表会 発表者募集要項」をご確認いただき、「第33回職業リハビリテーション研究・実践発表会 発表申込書」よりご応募ください。 発表日 2025(令和7)年11月13日(木) 会場 東京ビッグサイト 会議棟 発表形式 ●口頭発表(第1部 9時30分〜11時20分/第2部 13時00分〜14時50分)※ テーマごとに分科会を設定し、研究成果や実践報告等についてスクール形式で発表を行います(発表時間は1題15分間、質疑応答・意見交換は5分間です)。 ※発表時間帯の希望は受けつけません。 ●ポスター発表(11時30分〜12時30分) 図表や写真中心のポスターを展示し、発表者と参加者が直接意見交換を行います。 申込方法 申込書に入力のうえ、E-mailまたは郵送でお申込みください。 ホームページから「第33回職業リハビリテーション研究・実践発表会 発表申込書」をダウンロードし、所定事項を入力の上、E-mailでお申し込みください。E-mailでのお申し込みがむずかしい場合にかぎり、郵送でもお申し込みいただけます。 申込期限 2025年6月13日(金)15時(郵送は6月12日(木)必着) 申込期限前であっても、定員になり次第申込みを締め切ります。 募集要項、申込書のダウンロードはこちらから 職リハ発表会 検索 https://www.nivr.jeed.go.jp/vr/vrhappyou-index.html 事務局 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター 研究企画部 企画調整室 TEL:043-297-9067 E-mail:vrsr@jeed.go.jp 【裏表紙】 ▼アビリンピックHP マスコットキャラクター アビリス 障害のある方々が日ごろ職場などで培った技能を競う大会です。障害のある方々の職業能力の向上を図るとともに、企業や社会一般の人々に障害のある方々に対する理解と認識を深めてもらい、その雇用の促進を図ることを目的として開催しています。 <お知らせ> ●地方アビリンピック 各都道府県で開催される「地方アビリンピック」についての詳細(開催日程、会場等)はこちら 地方アビリンピック 検索 地方アビリンピックHP▼ ●全国アビリンピック 第45回全国アビリンピックは、令和7年10月17日(金)から10月19日(日)に愛知県国際展示場(愛知県常滑市)で開催します! 本大会は、第11回国際アビリンピック(フィンランド大会)への派遣選手選考会を兼ねて行います。 ●国際アビリンピック おおむね4年に1回開催されます。次回、第11回大会は2027年5月にフィンランド・ヘルシンキで開催! みなさまのご来場をお待ちしています! <アビリンピックに関するお問合せ先> (独)高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 障害者雇用開発推進部 雇用推進課 TEL:043-297-9516 5月号 令和7年4月25日発行 通巻571号(毎月1回25日発行)