グラビア 「ものづくり」が楽しい 〜製造の現場で活躍する障害者〜 天伸株式会社(千葉県) 取材先データ 天伸(てんしん)株式会社 〒277-0042 千葉県柏市逆井(さかさい)442-1 TEL 04-7174-6571 FAX 04-7175-3155 写真・文:官野 貴  千葉県柏市にある天伸株式会社は、バネや金具といった金属製品の製造を手がける。同社では障害のある従業員が「ものづくり」の現場で活躍しており、従業員36人のうち、4人が障害のある従業員だ。  障害者雇用のきっかけは、特別支援学校の職場実習を受け入れたこと。特別支援学校在学中に二度の実習を行い、入社を決めたのが増山(ますやま)勝樹(まさき)さん(25歳)だ。当初は、加工を終えた部品を入れる箱の入れ替えなど、製造補助として簡単な作業を担当していたが、材料の交換や金型の取りつけをこなすなど予想以上の成長を見せた。現在では、プレス機の一種であるフォーミングマシンを複数台同時進行で動かし、バネ部品の生産を担当している。  増山さんの1年後輩で、同様に職場実習を経て入社し、フォーミングマシンのオペレーター業務をになっているのが松田(まつだ)侑大(ゆうた)さん(23歳)。取材時、金型の組立てや取りつけなど、バネ部品製造の準備を手際よく進めていた。松田さんは、「セッティングがうまくいき、きちんと部品ができあがるとうれしい」と教えてくれた。  入社3年目の佐藤(さとう)柾斗(まさと)さん(22歳)も同じ特別支援学校の卒業生で、実習時、2人の先輩がいることが安心感につながったという。現在は、2台のプレス機を操るオペレーターとして活躍しており、「今後はフォーミングマシンでの作業にも挑戦してみたい」と話す。  同社は、2020(令和2)年に、千葉県初の「障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度」(もにす認定制度)の認定を受けた。これを契機に、企業在籍型職場適応援助者(ジョブコーチ)を配置するなど、障害のある従業員が活躍できる環境づくりを進めている。彼らがさらに活躍できるように、それぞれの働きの質を高めるのが今後の目標だという。 写真のキャプション フォーミングマシンに金型を取りつける増山勝樹さん フォーミングマシンの送り込み装置に材料の板材をセットする フォーミングマシンで製造した部品の品質検査を行う。増山さんは、「判断に迷ったら確認する」ことを心がけているという 組み立てた金型をフォーミングマシンに取りつける 金型の組立てを行う松田侑大さん 製造したバネ部品を指で触り、不要な突起(バリ)の有無を確認する フォーミングマシンの稼働を見守る松田さん。「天伸は働き続けたい職場」だと話す プレス機でバネ部品を製造する佐藤柾斗さん。「機械に触れられる仕事が楽しい」という 拡大鏡でバネ部品をすみずみまで観察し、傷の有無を確認する 製造中は、機械の動作音や材料の残数などに気を配る 同じ職場で働く同窓生の3人。照れながらも取材に協力してくれた。3人は共通して「ものづくり」に関心があり、仕事が楽しいそうだ