省庁だより 令和7年度 障害保健福祉部予算の概要(1) 厚生労働省 障害保健福祉部 1 障害福祉サービスの確保、地域生活支援などの推進 1 良質な障害福祉サービスの確保 1兆6531億円(1兆5651億円)  障害者が身近な地域等で暮らすために必要な障害福祉サービスに必要な経費を確保する(※障害児支援に必要な経費として、4871億円をこども家庭庁で計上)。 【令和6年度補正予算】 ・障害福祉分野における食材料費・光熱水費高騰への支援 重点支援地方交付金の内数  物価高騰により苦しむ障害福祉サービス事業所・施設等(補装具事業者を含む。)への、重点支援地方交付金の活用を促進する。  障害者就労施設については、障害福祉サービス施設等に対する物価高騰対策支援の活用と併せて、利用者が行う生産活動に係る光熱水費や原材料等の価格の高騰に対する支援として、中小企業等に対するエネルギー価格高騰対策支援についても、活用を促進する。 2 障害福祉人材確保・職場環境改善等に向けた総合対策 【令和6年度補正予算】 ・障害福祉人材確保・職場環境改善等事業 258億円  処遇改善加算を取得している事業所のうち、生産性を向上し、更なる業務効率化や職場環境の改善を図り、障害福祉人材確保・定着の基盤を構築する事業所に対する支援を実施する。 ・介護テクノロジー導入・協働化等支援事業 16億円  生産性向上・職場環境改善等に係る具体的なテクノロジーの導入への支援、経営等の協働化への支援、処遇改善加算の取得促進や人材確保対策等の事務体制のサポート支援を実施する。 ・障害者就労施設の生産活動の経営改善等の支援 9億円  就労系サービス(就労継続支援A型等)の経営改善に向けたノウハウの習得や、ICT機器等の導入による作業の効率化、専門家による助言等の支援を実施する。 3 意思疎通支援事業等による地域生活支援の推進 502億円(501億円)  意思疎通支援事業をはじめとする障害者等の地域生活を支援する事業について、地域の特性や利用者の状況に応じ、事業の推進を図る。 注)地域共生社会の実現に向けた重層的支援体制整備事業の対応分を含む。  また、令和6年度予算額は、令和6年度障害福祉サービス等報酬改定により障害福祉サービス報酬へ移行した分等を除く。 4 障害福祉サービス事業所等の整備等の推進 50億円(45億円)  障害者の社会参加支援や地域生活支援を更に推進するため、地域移行の受け皿としてグループホーム等の整備を促進する。 【令和6年度補正予算】 ・社会福祉施設等の耐災害性強化等への支援 108億円(102億円)  「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」に基づく障害者支援施設等に対する耐震化整備、非常用自家発電設備の設置、浸水対策等に要する費用の補助を行うとともに、自治体の整備計画に基づく整備を推進する。 ・障害者支援施設等の災害復旧への支援 6・4億円  災害により被害を受けた障害者支援施設等の速やかな復旧を図るため、障害者支援施設等における災害復旧事業に要する費用を補助する。 5 障害者の地域における相談支援体制等の充実 43百万円(43百万円)  基幹相談支援センターや地域生活支援拠点等の整備の推進や(自立支援)協議会の効果的な運営のため、国と自治体の間で意見交換等を実施するための会議の開催を行うとともに、都道府県による市町村に対する基幹相談支援センターや地域生活支援拠点等の設置・整備や運営に関する助言等の取組を促進する。 【令和6年度補正予算】 ・障害福祉分野における相談支援体制等強化事業 5・9億円  都道府県が実施主体である相談支援従事者養成研修及びサービス管理責任者養成研修等について、緊急に研修体制を強化するための費用を補助するとともに、国が実施する指導者養成研修(都道府県における研修の企画立案・運営の中心的な役割を担う指導者を対象)の拡充を図る。 6 障害者等への良質かつ適切な医療の提供 2666億円(2591億円)  心身の障害の状態を軽減し、自立した日常生活等を営むために必要な自立支援医療(精神通院医療、身体障害者のための更生医療、身体障害児のための育成医療)等を提供する。また、自立支援医療の利用者負担のあり方については、引き続き検討する。 7 特別児童扶養手当、特別障害者手当等 2093億円(1977億円)  特別児童扶養手当及び特別障害者手当等の支給を行う。 8 障害福祉分野における介護テクノロジーの導入支援や経営の協働化等を通じた職場環境の改善 【令和6年度補正予算】 ・障害福祉分野の介護テクノロジー導入支援事業 9.4億円  「障害福祉分野のロボット等導入支援事業」、「障害福祉分野のICT導入モデル事業」の統合・支援メニューの再構築を行い、利用者の安心安全な生活の確保を図りつつ、職員の業務負担軽減や職場環境の改善に取り組む障害福祉事業者が介護ロボット・ICTを複数組み合わせて導入する際の経費等を補助する。 ・障害福祉分野における小規模事業所の協働化モデル事業 2.0億円  障害福祉分野の小規模事業所の人材の確保・経営の安定化、さらには地域の活性化に向け、障害福祉サービス間の協働だけでなく、同じ福祉分野である介護分野等との協働化(共生型)の取組や、さらには民間の他産業と協働化の取組について、モデル事業を実施することにより、取組の効果を把握するとともに、実施上の課題の把握や解消に向けた取組などを整理し、その内容を普及啓発することにより、障害福祉分野における協働化の取組を推進する。 9 障害者虐待防止、権利擁護などに関する総合的な施策の推進 @障害者虐待防止の推進 6.2億円(6.2億円)  都道府県や市町村で障害者虐待の未然防止や早期発見、迅速な対応、その後の適切な支援を行うため、専門性の高い職員の確保や地域の関係機関の協力体制の整備、関係機関職員への研修、障害者虐待の通報義務等の制度の周知を図ることにより、支援体制の強化を図る。 A障害者虐待防止・権利擁護に関する人材養成の推進 12百万円(12百万円)  国において、障害者の虐待防止や権利擁護に関して各都道府県で指導的役割を担う者の養成研修を実施するとともに、虐待事案の未然防止のための調査研究を行う。 B成年後見制度の利用促進のための体制整備 地域生活支援事業等の内数  「第二期成年後見制度利用促進基本計画」(令和4年3月25日閣議決定)を踏まえ、成年後見制度の利用に要する費用の補助や制度の普及啓発等の取組を推進する。 10 重度訪問介護等の利用促進に係る市町村支援 12億円(12億円)  重度障害者の地域生活を支援するため、重度障害者の割合が著しく高いこと等により訪問系サービスの給付額が国庫負担基準を超えている市町村に対する補助事業について、小規模な市町村に重点を置いた財政支援を行う。 11 重度訪問介護利用者の大学等の修学支援 89百万円(89百万円)  重度障害者が修学するために必要な支援体制を大学等が構築できるまでの間において、重度障害者に対する大学等の敷地内における身体介助等の提供を支援する。 12 障害者施策に関する調査・研究の推進 3.6億円(2.4億円)  障害者施策全般にわたり解決すべき課題について、現状と課題を科学的に検証・分析し、その結果を政策に反映させていくため、調査・研究等への補助を行う。 13 障害者等の自立・社会参加支援の推進 @障害者の情報アクセシビリティ・コミュニケーション支援 14億円(13億円)及び地域生活支援事業等の内数  手話通訳者をはじめとする意思疎通支援従事者の養成・派遣などの支援体制の構築を推進するとともに、ICT機器の利用支援の取組、読書環境の整備の促進等を行う。 A芸術文化活動の支援の推進 3.7億円(3.7億円)  第2期障害者文化芸術活動推進基本計画の策定を踏まえ、地域における障害者の芸術文化活動を支援する都道府県センターの設置や、障害者芸術・文化祭の開催による芸術文化活動(美術、演劇、音楽等)を通した障害者の社会参加をより一層推進する。  特に芸術文化活動の普及が見込めるイベントと連携し、障害者による文化芸術作品等を創造・発表・鑑賞する機会を創出するとともに、国内外に向け広く発信する。 B特別支援学校卒業後における生活介護利用モデルの作成 【令和6年度補正予算】 ・特別支援学校卒業後における生活介護利用モデルの作成事業の実施 1.0億円  生活介護において、特別支援学校教員のOB等の雇用やICT機器の導入等により、生涯学習に取り組むモデル事業を実施する。 14 事業者・自治体間の障害福祉関係手続に関する共通システムの整備 【令和6年度補正予算】 ・事業者・自治体間の障害福祉関係手続の共通化に向けた要件定義等委託事業 88百万円  各自治体において整備されている障害福祉サービス等の事業所台帳管理システムと、その他の自治体・事業者間の手続に関するシステムの共通化に向け、実態調査や要件定義等を行う。 15 障害福祉関係データベースの構築 【令和6年度補正予算】 ・障害福祉関係データベース構築に関する事業 5.2億円  第三者提供に向けたデータ項目の加工処理の追加、受給者台帳等の受領データの退避処理等の機能改修等を行う。 16 障害者自立支援給付審査支払等システムの改修(自治体向け) 【令和6年度補正予算】 ・障害者自立支援給付審査支払等システム事業(自治体分) 40億円  就労選択支援の創設や報酬請求システムのサービスコード修正に伴う所要の改修及び精神障害者に対する旅客鉄道株式会社等の旅客運賃の割引に係るマイナンバー情報連携に伴うシステム改修に必要な経費に対して補助を行う。 2 地域移行・地域定着支援などの精神障害者施策等の推進 1 精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築 8.4億円(8.4億円)  精神障害者等が地域の一員として安心して自分らしく暮らせるよう、住まいの確保支援を含めた精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築を目指す。  さらに、市町村等が実施する精神保健に関する相談支援について、精神障害者のほか精神保健に課題を抱える者も対象とされたことから、構築に資する取組について更なる推進を図る。  また、市町村長同意による医療保護入院者等を対象とした実効的な支援のため、都道府県等において、訪問支援員が精神科病院へ訪問し、患者の話を丁寧に聴きつつ必要な情報提供を行う事業を行うことができる旨が規定され令和6年4月より開始されたため、体制の更なる構築を図る。 〈2の後半と、3、4、5は次号で掲載します〉 ★本誌では通常西暦で表記していますが、この記事では元号で表記しています ※( )内は令和6年度予算額