ミニコラム 第46回 編集委員のひとこと ※今号の「編集委員が行く」(20〜25ページ)は若林委員が執筆しています。ご一読ください。 職業リハビリテーションの専門性の「見える化」と検定の創設 国際医療福祉大学 准教授 若林功  今回「編集委員が行く」で訪問した高次脳機能障害者サポートセンター「笑い太鼓」は、高次脳機能障害のある人の支援にかなり高い専門性を有している。単に作業を集団形式でするというだけでなく、講座を開催し職業準備性を高めることや、ジョブコーチという個別での就労支援にも注力をしていた。さらには企業へのアプローチ、ほかの専門機関との連携など非常によい実践をされているようにうかがえた。  現在のところ、このような障害者就労支援に関するその支援機関の専門性を具体的に把握するのは、簡単ではない。同業者であれば気づく面もあるかもしれないが、就労支援サービスのユーザーである、障害のある人や企業にとっては簡単なことではないことが多いだろう。結果としてクチコミや実際にそうした支援を受けてみて実感してみるということになる。  このような状況を改善するためには職業リハビリテーションの専門性の「見える化」が必要なのではないだろうか。いまのところ、職業リハビリテーション、就労支援の実際やそれを支える哲学・理念・技術というものは、なかなか初めてこの分野にかかわる人にとってはわかりにくい面もあるかもしれない。  ところで、厚生労働省では、この障害者就労支援分野に関して、「障害者就労支援士検定(仮称)」を検討しているようである※。これまで、障害者就労支援に関し研修はあるものの、検定や資格制度等はなかったので、もし実現すれば一つの変化となる可能性がある。これがきっかけとなり、障害者就労支援の専門性のさらなる「見える化」につながり、本分野がより活性化し、結果として専門性の高い支援が障害のある人や企業に対し提供されることにつながるのを期待したい。 ※厚生労働省「『職場適応援助者の育成・確保に関する作業部会』取りまとめ」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_53314.html