エルダー活躍先進事例集 平成27年度版
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BFACDEGHIJKLMNOPQRSTH運輸業,郵便業森本 通仁さん代表取締役 当社では定年を70歳にし、70歳以降も健康で働く意欲がある場合には、高齢者が生涯働ける、心身の負担がない職場環境の実現をめざしています。歩合給→資格取得→賃金を上げ、かつ、高齢者の深夜勤務を軽減するサイクルを構築しています。 高齢者による交通事故も全国的には多発しており、高齢者の安全運転を確保することが必要になっています。 平成26年秋よりデジタル無線による運転システムを導入し、配車係との交信はデジタル化を実現し、高齢運転手の視力、聴力の低下を充分に補完することが可能になりました。 介護部門でもデジタル化により顧客の情報を的確に把握でき、サービスの向上に寄与することが可能となりました。そのため、異業種から転職した場合にも即戦力になり、短期間の間に成果を上げることができ賃金にも反映しています。 日常的な仕事を転職後早期にこなせれば、新たな資格の習得の時間的な余裕も生まれ、次々と資格を取得しています。種々の資格取得については会社が支援をしており、資格取得のための費用についても会社が費用を負担しています。介護部門の仕事が増え、高齢者が勤務しやすい昼型の勤務形態の構築を図っています。 環境に優しい社会参加の一環としてエコカー等の導入をしていますが、今後も順次導入を予定しています。 顧客のCS(満足度)を中心に考え、社長自らが「顧客に気に入ってもらえること及び介護タクシーの知名度」を高め社会的要請に応える工夫をしています。若いタクシー乗務員もほぼ全員が夜間の介護サービス部門をフォローするためにケアドライバーの資格を取得しており、今後若いタクシー乗務員自身が高齢乗務員になった場合にも対応できる体制の構築が図られています。高齢者雇用のメリットとしては、高齢乗務員が在籍していることで、若い乗務員に長期的な視点でライフサイクルをイメージさせることができ、高齢になっても賃金の低下にならないとともに心身に負担のない勤務形態の見本・手本が手近な社内にいることで、乗務員の定着化を図ることができます。 高齢乗務員としての豊富な接客経験と介護に関する技能、介護タクシーへの乗降技術を老若の乗務員が社内にいることで若い乗務員に継承でき、手本にすることが可能になります。 当社の果たすべき仕事は、運送契約に基づき顧客を安全かつ迅速に目的地まで無事に送迎することであり、介護タクシーの場合には、慎重・丁寧・優しい対応が要求されるため乗務員の健康状態と運転技能の低下には迅速に対応する必要があります。元気で健康に勤務するということを中心に考えれば、年齢はあまり関係はありません。優秀な高齢乗務員には智恵と工夫があるため信頼して仕事を任せられ、若い乗務員を上回る成果を上げています。 長時間労働よりも生産性の上がる効率的なつぼを得た仕事が高齢乗務員には可能(タクシー乗務で言えば客が乗車する場所・ポイントを経験や勘で知っている)です。 高齢乗務員の健康状態の把握をするためには健康診断を行った後、異常所見があれば2次検診を行います。高齢者乗務員の健康面では特に、脳・心臓疾患に留意することが必要です。27-104
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