エルダー活躍先進事例集 平成27年度版
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BFACDEGHIJKLMNOPQRSTA農業,林業高齢者が働きやすい職場づくりのためにこれまで行ってきた改善や工夫改善区分課題検討状況・改善内容① 制度面当社は1974年創業(社歴41年間)の無菌椎茸生産販売業、総勢40人規模の組織であるが、雲仙市吾妻町の山間地に立地しており、創業時から人材確保に苦慮した経験がある。「定年65歳、希望者全員年齢制限を定めずに雇用する」継続雇用制度を平成21年に導入した。定年65歳以降は同一職務に就き、役職は継続、フルタイムの勤務形態、賃金は定年到達時と同水準(100%)となっており、定年後も雇用保険に加入すると共に、業績を基に年2回(7月・3月)決算賞与が支給される。定年前の社員は元より、定年後の継続雇用者も含めた全従業員に支給される決算賞与は、働くことができる喜びや会社の役に立っていることを自覚する瞬間であり、高齢者の勤労意欲アップに大いに寄与している。② 能力開発兼業農家からの中途採用者は、会社や組織での勤務経験が比較的少なく、共同作業するための人間関係の構築が苦手であった。中途採用者の高齢社員が増加する中、勤続年数10年間以上の者が16名存在するため、入社当初はOJTを通じて担当作業を習得するが、1カ月間は職場や人間関係に慣れる期間と位置付けており、新人には「無理に周囲にあわせようとせず、マイペースで学ぶこと」を促している。③ 環境改善改善前の椎茸栽培棚は移動不可能であり、菌打ちした椎茸栽培容器を手作業で陳列し、常温室で培養した後、多湿生育室に人力で移動する等の煩雑かつ作業負担が大きい工程であった。手作業で菌打ち椎茸容器を移動・運搬していた不動棚に、自社で溶接する等の創意工夫でキャスターを取付け、棚ごと移動できるようにしたところ、作業負担軽減と作業効率向上につながった。④ 健康管理・安全衛生本人の勤労意欲と勤務可能な健康状態であれば、年齢に関係なく勤務可能な職場づくりの基礎はできたが、健康管理は本人の自覚と摂生に頼るところが大きく、度を超えて干渉すると逆効果につながるケースが多々散見される。今後は、加齢にともなう有病率や機能低下等、一般的なデータを活用する形で外部専門家等の話を、座学等で学ぶ場の提供等が必要と考えている。○本人の健康状態にあわせて配置転換健康診断結果を基に個人面談を行い、加齢にともなう身体的機能や精神面の変化を把握し、本人の能力に対して負担が少ない作業に配置転換している。○健康維持は自己管理と自己責任が原則常日頃から、年齢に制限なく雇用する経営方針であるが、就労不可能な者を雇うことは困難であることを説明しており、自宅等における自己管理を促している。職場は完全禁煙までには至らないが、職場内に喫煙場所を設けて分煙を推進している。⑤ 新職場、 職務の創出知的障害者が6人在籍する中で、黙々と時間に関係なく作業する者や、キョロキョロと不安定な精神状態で作業する者等、障害者各人が個性的であり、一律の教育・訓練が困難な状況にある。障害者と健常高齢者がペアになって、作業を習得し工場全体の運営に支障が出ない体制を講じている。高齢社員が障害者の教育・訓練指導役に適しているのは、相手の気持ちをおもんばかって、相手の能力水準にあわせて接することに優れている点があげられる。⑥ 未解決の課題、うまくいかなかったこと65歳以降に就労する場合には、本人の意欲と共に支える家族の理解が不可欠であることを痛感している。今後は、高齢社員と個人面談の場を持って、無理のない範囲で私生活への、指導・助言等を行うことが必要と考えている。27-115
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