エルダー活躍先進事例集 平成27年度版
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BFACDEGHIJKLMNOPQRSTP医療,福祉改善区分課  題検討状況・改善内容① 制度面フルタイム勤務と短時間勤務制度が主であり、その他は本人の希望により一部認めていた。この場合、当初の雇用契約の就労が出来ない場合に、自発的に退職するものもおり、人材の流出を招いていた。○高齢者が希望する多様な就労形態の構築高齢者の希望に合致する多様な就労形態をシステムとして構築し、高齢者自身が遠慮することなく選択できるように改善し、働く人に安心感を与えると共に働きやすい職場の構築につながった。① 従前の1日8時間勤務(夜勤あり) 基本的な雇用であり、夜勤などの交替勤務制度が出来る方② 1日8時間勤務(日勤のみ) 家庭の事情で夜勤はできないが、日中はフルタイムで働ける方③ パートタイム勤務 (4時間勤務~7時間勤務) 家庭等の事情で、一定の曜日・時間帯のみしか働けない方 ④ 夜勤専門 主に夜勤が出来る方⑤ 隔日等勤務 毎日は出勤しないが、1ヶ月・1週間のうち一定日数勤務できる方⑥ 登録型ヘルパー特に訪問介護等で会社に登録しておき、会社からの指示で直接自宅から顧客の元に行きサービスを提供する方賃金については従事する職種により決定しており、賃金と能力のミスマッチがあった。また、高齢者が賃金に見合った仕事が出来なくなった場合には退職するものもいた。○能力に見合った賃金制度及び職務評価制度の創設能力給及び職務評価制度を導入し、能力に見合った賃金を支払うシステムに改善した。加齢による衰えには、個人差があり、直属の上司が本人の申し出等により、体力等の衰えが著しく職務の変更が必要と判断したとき、「職務変更評価」の1次評価を行い、最終的には管理者と本人との面談の上、より負担の軽い職務へ変更する。これらによって、負担の軽い職務への変更が容易となり、安定した高齢者雇用が可能となった。② 能力開発業務に必要な研修または資格取得は行なっていたが、体系的な研修制度はなかった。そのため、能力の個人差が顕著に表れ、職務の変更及び賃金設定等に格差が生まれることとなり、就労意欲の低下につながった。○豊かな職業人人生のための生涯にわたる研修計画の策定体系付けた研修制度を構築し、年次別また職種別の研修を計画的に行なうこととした。また、資格取得も奨励し誰もが資格を取得する機会に恵まれ、高い賃金を得ることを可能とした。これによって、高齢者の資格取得意欲が向上した。さらに、定年前には、今後の人生に必要な継続雇用・年金等の研修も実施し、安心して高齢期を迎えられるように改善を図った。③ 職場の 環境改善高齢者介護の場合、利用者を移乗及び支えるため一定の体力が必要である。特にエレベーターなどの設備がない箇所については、二階への移動に体力と緊張を要したし、体力等が衰えた高齢者には負担の大きな作業であった。○負担軽減器具の導入機械・設備による改善箇所は複数存在するが、優先順位を付けて計画的に取組むこととした。今回、最も高齢者に不向きな二階への利用者移動を改善し、階段に利用者が乗車して移動する簡易エレベーターを設置し、負担軽減を図った。④ 健康管理・安全衛生高齢者雇用の場合、健康管理が重要であるが、その管理については個人に任せており、会社としての健康管理意識が希薄であった。そのため、突然健康を理由に退職する者もおり人材の流出を招いていた。○健康管理制度の構築と全社員の健康診断実施定期的な健康診断を短時間勤務も含めた全社員に実施するように改善し、全社的な健康管理体制を構築した。健康診断結果については、当社が雇用する看護師が管理し、必要に応じて健康相談あるいは当社の産業医と連携をとることとした。その結果、健康等を理由に退職する者もいなくなり、病気による欠勤率も減少した。⑤ 新職場、 職務の創出今までは、一人の職員が一貫した介護業務を行なっており、高齢者にとっては負担のある職務も存在した。また、体力等がある現役世代には、軽易な作業も含まれており、職務のミスマッチも存在した。これらが高齢者の大きな負担となり、当社が目指す「生涯現役」の大きな障害になっていた。○高齢者に適している職務の切り出し及び新職務の創出それぞれの介護サービスを細分化し、どのような作業に負担があるか、またはどのような職務が高齢者に適しているかを一覧表にした。その結果、高齢者に適している職務の切り出しが可能となり、比較的負担のない職務に高齢者を専属的に配置するよう改善した。また、体力等が著しく衰えた場合でも、簡易な職種への転換が容易となり、長く勤務できる環境が整った。さらに、介護施設における給食を自社で調理しているため、今後の高齢者雇用を考えて農業分野の創設を模索している。高齢者が長年の経験・知識で、丹精こめて作った安心できる野菜等を利用者の方々に提供し、介護とは違った視点で社会参画・社会貢献を目指している。将来的には、高齢者による高齢者への食事の宅配サービスも考えている。⑥ 未解決の課題、うまくいかなかったこと「生涯現役」にむけた継続雇用制度の年齢を撤廃した場合の運用面及び加齢により就労出来ないと判断した場合の雇用終了をどのように判断するかまた、農業分野への労働者の職種変更をどのように客観的・合理的に評価し判断するか等の運用面で課題が残るものと思われる。̶高齢者が働きやすい職場づくりのためにこれまで行ってきた改善や工夫27-55

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