エルダー活躍先進事例集2016年版
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医療,福祉BFACDEGHIJKLMNOPQSTR高齢者が働きやすい職場づくりのためにこれまで行った改善や工夫改善区分課 題検討状況・改善内容① 制度面①これまで非正規職員の定年の定めはなく、運用で正職員と同様の取扱いを行っていた。②高齢者であっても介護資格取得者は週40時間勤務での雇用契約を締結していたが、高齢者にとっては労働条件が大変厳しく、働きにくいものであった。③非正規職員(高齢者を含む)は、特別賞与の支給対象ではなく、支給基準も不明瞭であったために、職員のモチベーション低下に繋がっていた。④人事評価制度を導入するまでは、公平で公正な処遇を行うことができず、不公平感に繋がり、モチベーションが低下していた。①正職員の定年後の継続雇用の上限年齢に合わせ、非正規職員は定年年齢を65歳とした。ただし、非正規職員は、運用で65歳を超えても雇用している。また、正職員は、特に必要な人材について、定年を最大2年延長することとした(給与等は60歳以前と同じ)。それ以降は継続雇用制度を適用する。②各事業所が、特に人員を必要とする勤務時間等を洗い出し、高齢者の希望を最優先に、勤務時間及び業務内容の調整を図った。また、「時間短時間非正規職員マニュアル」を作成し、仕事の割り振りを行った。③特別賞与の支給対象を高齢者を含む非正規職員にも拡大した。人事評価に基づき支給額が決定され、月額給与の1カ月分が上限となる。④定年後の継続雇用者を含む全職員を対象とした人事評価制度を導入した。期待する人材像を明確にした上で評価を行い、面接で結果をフィードバックする。② 能力開発①意欲のある高齢者への新たな知識や技術習得等に対するハードルが高く、能力等の陳腐化をもたらしていた。②新たに採用する職員への1対1での現場指導は難しい状況にあった。そこで、採用後の対応として、疑問や不安な点をレポートに書き、先輩職員がコメントにより後日回答するとしていたが、その数日間は不安なまま業務に就いていた。①定年後の再雇用者で基礎から学びたい者は、採用前の座学研修の受講も可能としている。また、外部研修を受講した職員は、職員会議の場において全職員を対象に伝達研修(リスク管理等の研修報告)を行う。②高齢者が、OJTにより日々アドバイス・指導を行うこととした。また、採用後2~3年目の職員が、「お世話役 (毎日担当は変わる)」 として、新採職員に1対1で付くこととしたが、高齢者も専属スタッフとして、「お世話役」となり、レポートへのコメント書き、アフターフォロー、声かけ、アドバイス等を担当している。③ 環境改善①入浴介護では、天井につけたリフトを活用していたが、それでも腰への負担が大きかった。また、車椅子からベッドへの移乗時も介護負担が大きく、腰痛になる職員もいた。②以前から行ってきた業務方法を当たり前のように継承し続けており、なかなか業務改善に繫がらなかった。また、若い職員が直接、意見を言いにくい環境にあった。①車椅子のまま湯船に浸かれる入浴機器の導入や施設内全てのベッドの電動ベッドへの買い替えにより、職員の腰痛予防に繋げた。衛生委員会で機器の活用等による負担軽減の検証し、その結果導入に至った。②業務改善を目的とした、「カエルプロジェクト」 を立ち上げた。その進め方は、まず、職場内で提案された内容を検討し、業務の省力化に繋がる改善を考える。次に、その改善策について各担当部署がそれぞれコメントし、掲示板に張り出して、全職員に周知する。さらに、実行した後にモニタリングを行い、より効率的にムダを省けるのかを検証する、といったものである。④ 健康管理・ 安全衛生、 その他①健康管理体制が不十分であった。②高齢者は短時間勤務が多く、職員旅行へも参加希望者が少なかった。また、日帰り旅行は、法人の職員旅行としては認めておらず、小さな子どもがいる職員や、家族を介護している高齢職員は、参加しにくかった。③衛生委員会での検討事項に対する対処、安全衛生管理体制が不十分であった。①全職員を対象とした定期健康診断を周知徹底した。さらに癌検診の受診体制を整備した。また、医師等による健診後の面接相談会を実施し、二次健康診断の受診体制を整備した。 インフルエンザの予防接種は全職員を対象に毎年実施(費用は一部自己負担)している。②職員旅行は、日帰り旅行を認めるとともに、行きたい職員同士で行きたい場所へ行けるようにした結果、旅行参加者が増えた(参加率約8割)。全職員を対象とし、費用も補助している。③腰痛予防対策等について、衛生委員会で検討し、各施設でアンケートを実施した。その回答を集計・分析して器具の活用等による負担軽減を検証し、更なる検討を行った。具体的には、テキストを活用した職員研修を行う等の対策により腰痛の訴えがほとんどなくなった。⑤ 新職場、 職務の創出各々正職員が、介護業務及びその周辺業務のすべてに対応していたため、時間的制約から、本来の専門業務に専念することができなかった。周辺業務(機器の修理 、中庭の手入れ、建物や敷地内の清掃、外回りの整備野菜の栽培等)を高齢職員に専属で担ってもらう制度を導入した。正職員は介護業務に専念でき、より質の高いサービスの提供が可能となった。⑥ 未解決の 課題、うまく いかなかった ことどのような周知方法で高齢者の応募に繋げるか。事業所と求職者の相談・説明する場が少ないため、行政等との関係作りが必要であると実感している。今後の取組みが必要である。2016年版 エルダー活躍先進事例集28-95
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