エルダー活躍先進事例集2016年版
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運輸業,郵便業BFACDEGHIJKLMNOPQSTR高齢者が働きやすい職場づくりのためにこれまで行った改善や工夫検討状況・改善内容課 題改善区分① 制度面社会の高齢化の進展や健康寿命の延伸、また、生活の安定等のため永く働き続けたいという従業員の希望が多く出始めた。そのような意識が高まる中で、定年延長を切望する従業員が多くなっていた(以前は定年は満60歳、満65歳まで勤務延長)。また、後継者育成の面からも高齢従業員に対する期待も高まり、会社としても定年制延長については早急に改善の必要性に迫られていた。①定年を満65歳とし、従業員より申し出があった場合は、希望者全員を年齢の上限なく勤務延長、または再雇用することとした。②給与が固定給+歩合給のため、業務変更が行われると賃金が低下する場合がある。その場合、社長自らが対象従業員と膝を交えて丁寧に説明し、理解・納得を得るようにしている。普段から社長が現場に顔を出して各人とコミュニケーションを図っているため、合意・納得が得られやすい。社長のこうした姿勢や社風に引かれ、一旦退社した後に再び当社で働きたいと戻ってくるドライバーも少なくない。② 能力開発免許制度の改革等により、未経験の若手の早期戦力化が急務になっている。若手・後継者育成において、高齢ドライバーの存在が欠かせないものとなっている。若手(新人)ドライバー育成のため、「マンツーマン」という手法で、高齢ドライバーとペアを組み、独り立ちできるまで指導を行っている。③ 環境改善ドライバーの給与体系は、固定給と歩合給の組合せで決定される。ドライバー個人としても、給与面の確保から、高齢になっても従来の大型車に搭乗し、遠距離の配送に従事する例も少なくなかった。当社では配送業務が多岐にわたり、トラックも10t、4t、2tなどを保有している。手積み手卸しが必要な貨物もあれば、パレットやかご台車での配送貨物も取り扱っている。年齢を問わず長期にわたって雇用し続けるという社長方針に沿って、できるだけ本人の意思に応じた柔軟な就労条件を設定することにした。④ 健康管理・ 安全衛生・ その他従業員の中には高齢化の進展に伴い、仕事の内容が過重な負担となり、自己都合による退職へと追い込まれるケースも散見された。1.就労条件等の配慮①高齢者の視力の弱体化に配慮し、深夜配送を避け、早朝から夕方までの配送業務にシフトした。②従前は10t車で遠距離配送をしていたドライバーも、加齢により長時間運転が苦痛になってきた。本人の意思や能力を尊重し、2t車や4t車に変更し、短距離の運行に軽減できるように配慮した。③手積み手降ろしの必要な業務はできるだけ若手に任せ、高齢者に対しては、パレットやかご台車で配送できる業務に変更した。2.安全会議の開催と社内的安全管理の周知徹底年1回、保険会社とタイアップして高齢者が中心になって安全会議を実施している。この会議で、安全をどう確保するかみんなで意見を出し、集約された内容を社内に周知している。これにより高齢者に当事者意識が醸成されている。また、定期的に外部から講師を招聘し、交通事故の未然防止に重点を置いた研修を実施している。管理者が受講し、その後各営業所でドライバーに対する研修講師を務める。なお、本社研修時に5年間無事故無違反のドライバーについて、社長名で顕彰している。⑤ 新職場、 職務の創出加齢による健康上の問題を抱える社員も増加傾向にある。ドライバー業務を継続することは困難となっても、生活の安定を考えると、退職の勧奨もできない。定期健康診断(年2回実施)の結果、状況に応じ再検診を受診してもらう。健康上、ドライバーとしての適格性を欠いた場合にも、雇用契約は解除せず、仕事の内容を変更し軽作業に変更するなどしている。⑥ 未解決の課題、うまくいかなかったこと手積み手降ろし等の体力的に負荷がかかる仕事の人手不足が課題であり、ここに人材が確保できれば、高齢者や女性等の希望にさらに沿うこともできる。現状の適正人員は200名ぐらいであるが、現在154名である。2016年版 エルダー活躍先進事例集28-27
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