エルダー活躍先進事例集2016年版
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運輸業,郵便業BFACDEGHIJKLMNOPQSTR改善等写真高齢者雇用のメリット・他社へのアドバイス企業の声大竹 秀宜さん業務部長沼 田 彰さん代表取締役 こうした取り組みの結果、何よりも「生活の安定」に繋がることから、従業員の皆さんも以前より増して生きがいを持って仕事に積極的に取り組んでいます。 経験がものを言う業種でもあり継続雇用により、勤務年数が長い従業員が増えることに伴い、会社の業績アップに繋がっており、年々売上も順調に伸びています。 経営者自ら、あらゆる機会を捉え、高齢従業員を中心に声をかけ意思疎通を図りながら、士気高揚に努めています。従業員は上層部と接触する機会を得ながら、業務の内容等についても気軽に相談でき、高齢に伴い業務の軽減等を遠慮なく申し出る者もおり、高齢従業員の雇用の安定に結びついているのではないでしょうか。 また、高齢ドライバーと若手(新人)とのペア業務は、高齢者は自分が今まで培ってきた経験、ノウハウを後継者に伝授でき、一方で若手(新人)にとっては先輩ドライバーの手法等を目の当たりにしての活きた研修となっています。ペア業務については、高齢ドライバーから仕事面の指導だけでなく、人生の先輩として学ぶ点も多く、若手(新人)ドライバーから好評を得ています。知識を会得できる絶好の機会であり、双方にとってモチベーションの機運も高まっています。 現在、最高齢ドライバーは73歳、深夜便勤務も含め安全運転で活躍。職場の牽引者としても周囲のドライバーに声を掛けています。 交通事故の未然防止の安全会議は事故の減少に直結し、結果として業績アップに繋がっています。本社研修や営業所研修の継続は多くの従業員が希望しており、社長名での顕彰制度は大きな励みとなっています。 定年制の延長、継続雇用の拡充は、高齢者だけでなく従業員全員が「生活の安定とゆとりある職場」に直結することから、大いに歓迎されています。とりわけ、現制度施行後は、離職率も減少しています。高齢従業員の雇用の安定を図るための環境整備は、「安心感」が持て、仕事に打ち込めていると思われます。 賃金の減少のマイナス面より、いつまでも誇りを持って仕事に従事できることのプラス面の方がはるかに大きい、と口にしている高齢従業員もいます。 高齢従業員の割合は現在のところまだ低いですが、上述してきたように環境が整い始めてきており、かつ、離職者も少ないことから徐々にその割合は高くなっていくことが想定できます。 業種面から見た場合、高齢者にとってきつく、危険を伴う業務に従事することから、「過重な負担」、「安全」といった面に配慮していく必要があります。平成28年1月の軽井沢のバス事故以来ますます高齢運転者への風当たりが強くなってきています。そのような状況下、安全の確保と高齢者の活用を如何に両立していくかが課題ですが、工夫次第で十分可能であろうと考えています。 高齢者従業員の優先的採用と会社の業績アップは、一方では相反する面も見られますが、高齢化社会・就業年齢の延伸といった現実社会の中で、「貴重な人材」と受け止めて考えていく必要があるのではないでしょうか。ドライバー職に就いていたが、健康上の問題により構内作業に職種を転換高齢ドライバー(助手席)による運転手の指導2016年版 エルダー活躍先進事例集28-28

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