エルダー活躍先進事例集2016年版
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医療,福祉BFACDEGHIJKLMNOPQSTR高齢者が働きやすい職場づくりのためにこれまで行った改善や工夫検討状況・改善内容課  題改善区分① 制度面リフレッシュの機会が少なく、心身共に疲労して、ひどい場合にはそのことが退職理由の一つになっていた。従業員に年齢にかかわり無く長期に働いて貰えるよう、年間1回の長期休暇(1週間~1ヶ月)を奨励することした。その間の時間の使い方は当人の自由であり、リフレッシュの効果は極めて大きい。従業員が長期休暇ならではの非日常体験をすることに、「人(人間性)を育てる」意味合いも感じている。② 能力開発7~8年前はOJTのみであり、「会社理念」が社内の末端まで伝わらなかった。また、以前は高齢者を能力不足と決め付けてしまう管理者(事業所施設ごとの、ホーム長・ホーム長補佐・介護リーダー)が多く、高齢者活用の阻害要因になっていた。「行動指針としての理念教育」を導入した。高齢者活用の当社理念を徹底させるために採用時から社長直々に理念教育を行っているほか、採用後3ヶ月は、多くの先輩についての実地訓練を行い、その後1年間は本人に合った指導員をつけるなど、教育訓練を徹底している。管理者に対しては、「(社長主宰の)管理者研修」、「(毎月の)支部長会議」を行い、そこでは、「(高齢者活用の)事例紹介とその横展開」、「それを支援する事業所間の人材融通」などが話し合われる。③ 環境改善「職員を含めて家族」という理念を掲げ、住宅型老人ホーム等の施設は限りなく一般住宅に近付け、利用者個人の生活リズムに合わせて時間的な融通を図る(自由を容認する)ようにしている。そのため、リフォームにあたっては特別の配慮が必要になる。購入・賃借した一般住宅を住宅型老人ホームやデイ・サービス施設に改造するにあたっては、「介護のし易さ」も重視している。例えば、利用者を階段の昇降機(モノレール)に乗せる場合、介護者は階段を利用するので、介護し易い場所にも手摺りを付けている。また、高齢調理職員の生産性向上のため、独立した厨房を見守りと会話のしやすい対面式食事室(リビング・ルーム)に改造した。その結果、利用者の好みを反映した献立で、利用者の満足度が飛躍的に向上した。④ 健康管理・  安全衛生・  その他介護施設は、通常、安全・衛生、作業性(移動性)・効率性が優先され、段差の存在は悪とされる。そのため、無駄なスペースや非衛生な内装を無くすことが必要と考えられていた。また、職員については原則自宅通勤にしているが、高齢の職員にとって食事と通勤は負担になっていた。介護施設への改造に当たって、和室、ベランダ、坪庭や植栽などを残すことで、利用者に癒し効果を与える一方、職員の労働環境の向上にも配慮した。例えば和室は畳の上に絨毯を敷くことで高齢の介護職員にとって安全性が高まるとの理由で残すなど。また、高齢の職員に限り希望者には会社所有のマンションの賃貸部屋への入居を認めることで、通勤に便利な生活空間を提供している。⑤ 新職場、  職務の創出小規模の介護施設の運営には相互扶助が不可欠であり、従業員は自身が自ら考えて行動することが求められる。職員に大幅な裁量権を与えることで創意工夫を刺激し、新たな職務の創出に繋げている。特に経験豊富な高齢職員に効果的である。例えば調理職では、献立を考え、予算に合わせて食材を仕入れるところまで仕事に含む。また介護職では、デイ・サービスのイベントを企画・実施したり、事故(ヒヤリ・ハット)予防など介護方法の工夫をすることも仕事に含む。管理者には絶えず、「従業員のやる気を引き出す」ことを求め、「全体で支え合う」体制をつくっている。例えば、仕事が一人に集中しないよう仕事の範囲を緩やかに重ねて、何時でも担当を替われるようにしている。⑥ 未解決の課題、うまくいかなかったこと①多人数で利用者をキメ細かく介護するため、介護担当には利用者一人ひとりの詳しい情報を所定の様式に書きとめて伝達し、次の時間帯の担当は、直前の担当が書いた記載を読み、内容が確実に伝達されたしるしに捺印している。②従業員の継続的な教育訓練の充実③障害者雇用の推進①健康状態を中心とするこれらの情報をWeb上で蓄積して利用者の家族に報告したり、利用者が地域医療機関の診療を受ける場合に活用出来るよう、専門機関との共同開発を始めている。②管理者教育、新人教育だけでなく入社3年~5年目の職員などに対する教育の必要性を感じている。③「利用者20人規模の老人ホーム」を開設する構想があり、その際には清掃業務などに障害者を起用することを検討している。2016年版 エルダー活躍先進事例集28-31

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