エルダー活躍先進事例集2016年版
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卸売業,小売業BFACDEGHIJKLMNOPQSTR高齢者が働きやすい職場づくりのためにこれまで行った改善や工夫改善区分課  題検討状況・改善内容① 制度面勤勉で有能な高齢従業員が60歳の定年を機に退職したり、引き続き継続雇用した場合においても定年以降の雇用について明確に規定されておらず、継続雇用者の身分が甚だ曖昧であったため就業意欲が今一つ上がらず、再雇用後、短期間で退職する者が多かった。「働けるうちはいつまでも働ける会社の実現」に向け、定年を60歳から70歳に引上げるとともに70歳以降も健康で働く意欲があれば働き続けることが可能となる制度に改めた。加齢による心身機能の低下により、今まで従事していた職務に対応しきれずに、「体力低下」を理由に退職を申し出た高齢従業員に対して新たな職務を提供することが出来ずに、そのまま退職を容認せざるを得ない状況であった。生涯雇用に向けて定年制度の大幅改定を図った当社にとって、「高齢従業員の職種転換」が大きな検討課題になってきた。身体的負荷の少ない転換可能な対象職種を選定して、まず当社の主要職種である営業職からの職種転換を主眼とした「職種転換コースⅠ型」を設定し、適用した。(職種転換コースⅠ型)※営業職から直接物流部門、検品担当への 職種変更も可能その後も事務部門などへの職種転換を図るコース(仮称Ⅱ型)についての職種転換の選択肢の拡大を検討中である。定年後の高齢従業員の人事評価を実施していないことが高齢従業員のモチベーションアップを妨げる一因となっていた。高齢従業員に対して支払われる賞与(寸志程度の少額ではあるが)の算定にあたって人事評価を織り込み、個人毎に仕事の“頑張り”を反映することにした。元役職者の高齢従業員に対する呼称については、周囲がその対応に苦慮するなどギクシャク感が生じていた。元役職者に対して新しい社内呼称を使うことにより職場内のギクシャク感を解消した。 ○○部次長 → ○○部サポート室長過重労働による疲労の蓄積が健康障害の大きな要因になるので、高齢従業員に対して具体的な過重労働対策を実施する必要があった。60歳以上の高齢従業員に対しては、健康管理上原則として時間外勤務を禁止して、所定時間内の勤務に限定した。② 能力開発顧客に関する情報や営業戦術などを含む営業ノウハウはベテランの営業担当の個々人に集積されており、組織に蓄積されていないため、営業系の技能伝承が課題となっていた。営業系のベテランの高齢従業員が講師となり、営業職や事務職を対象に集合研修を実施して技能伝承に努めている。また、高齢従業員が若年従業員とペアになり、顧客を同行訪問し、実地教育も行っている。③ 健康管理・安全衛生取扱商品は数量がまとまると、かなりの重量になることが多いので高齢従業員向けに重量物の取扱いに関する安全対策を実施する必要があった。高齢従業員が1人で行う運搬作業は「最大重量20kgまで」と定めて、その重量を超過する場合は体力のある若手従業員が行うなど役割に応じた分業を徹底するとともに共同作業の実践を指導している。重量物の運搬作業は決して無理せずに、2名以上で対処し、お互いが声を掛け合って共同して安全に作業を進めることを義務付けて全従業員に周知徹底した。2016年版 エルダー活躍先進事例集28-67営業職物流部門配送担当職物流部門検品担当職

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