エルダー活躍先進事例集2016年版
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運輸業,郵便業BFACDEGHIJKLMNOPQSTR高齢者が働きやすい職場づくりのためにこれまで行った改善や工夫検討状況・改善内容課  題改善区分① 制度面高齢者の増加に伴い、長く勤めてもらうような制度が必要。定年65歳、希望者全員を68歳まで継続雇用とし、更に会社選抜で一定条件の下、雇用を継続し、上限年齢を撤廃した。② 能力開発タクシー運転業務は基本的には一人ですべてをこなす必要があり、個人主義に陥りがちである。そのため、接客マナーも属人的であり、当社のように空港関係者や観光客の送迎が多い地域では、マナーの向上が必要であった。一方で、ベテラン高齢社員は、接客や運転方法など特有の技能・ノウハウを多くもっており、経験の浅い社員への技術・ノウハウ移転を目指した社員教育が課題であった。運転者を若年から高齢者までまんべんなく入るように5つのグループに分け、グループの責任者(班長)を決め、高齢者が、経験の浅い社員に接客マナー、送迎のコツなどのホスピタリティから事故・トラブル時の対応、道路の状況まで現場での指導を担当し、OJTの推進を図った。具体的には、グループ内社員で得意分野(接客、自動車の構造、保険、法令等)を明確にして、待機時間に教え合うこととしたことで技術・ノウハウを教育できるように進めていった。配車時も当社の地域柄、複数台数で行くことが多いので、若年とベテランがペアとなるように対応することとしたため、現場でOJTの機会もできるようにした。その取組によって、実績が公平に行き渡るようになったとともに、お客様との対話、ゴルフ場のフロントでの待機方法など細かいノウハウも伝承できるようになった。また、事故・トラブル時もグループ内で教え合うことで、事故の際のお客様や相手の車への対応、車の応急措置(安全のためガスを止めるコツなど)もスムーズにできるようになった。③ 環境改善高齢者が増加してくることを考慮に入れると、社内で行うタクシーの整備業務など現場での作業性の向上によって、誰もがムリなく安全に働ける環境整備が必要であった。社員からの提案で作業現場での以下の改善も図っている。①洗車時にワゴンタイプ車等、大型車の場合、屋根の清掃や点検等の際、今までは脚立に乗って作業を行っていたが、脚立だと遠くに手を伸ばす際に、バランスを崩して転落の危険性もある。そこで、高齢者でも安全に作業に当たることができるよう、台上部が水平になる作業台を製作した。これによって屋根の洗浄時も安全な姿勢を保つことができる。②厳寒期にはマイナス12℃以下まで気温が下がり、自動車整備を行う作業場において、自動車の屋根等に積もった雪が溶けて作業場の床に落ち、それが凍結して、作業を行う社員が滑る危険が多く、作業場内で自動車から乗り降りする際にも滑って危険である。高齢者であれば、なおのこと転倒防止策が重要である。そのため作業場に遠赤外線ヒーターを整備、ガスタンクを設置することで常時ヒーターを使用できるようにした。③社員用駐車場の樹木を伐採し、駐車スペースを広く取ることで転倒防止を図った。④ 健康管理・  安全衛生・  その他タクシーの運転業務範囲は道内遠方の観光地など広範であり、タクシーの効率的な運用はもちろん、運転者とのコミュニケーションを円滑に図ることで、情報共有化が必要であった。設備面では、タクシー無線機の改善を図った。設備は特注で700万円をかけた。全社員でコミュニケーションが可能となることを目標としており、指令者と運転者の会話を全台数の運転者で聞けるようにしており、道路情報の交換やトラブル時の対応など常にコミュニケーションできることで、車の効率的運用はもちろん、ノウハウや情報の共有化を図った。⑤ 未解決の課題、うまくいかなかったこと社員の健康管理の徹底を図りたい。点呼時の声掛け運動などを検討している。2016年版 エルダー活躍先進事例集28-3

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